加藤大臣会見概要

(令和4年12月2日(金)9:35~9:46 院内閣議室前)

広報室

会見の詳細

閣議等について


大臣:
 「新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの同時流行に備えた対応」について、各都道府県に対し「外来医療体制整備計画」の策定を依頼してまいりました。この結果を取りまとめましたので公表いたします。
 はじめに結果を申し上げますと、今冬の最大診療能力は今までと比較して約13万人分強化され、約90万人となる見込みであります。単純な積み上げとしては、後ほど申し上げるピーク時の発熱外来等の受診見込者数約75万人を一定程度上回る診療能力が確保される見通しとなりました。
 具体的な内容でありますが、今回の計画策定に当たっては各都道府県において地域の医師会等と協議の上、ピーク時の患者数や発熱外来等の受診見込者数等、いわば需要を推計するとともに、発熱外来等の診療能力、いわば供給を調査等により把握し、両者の比較検討を踏まえ外来医療体制等を強化する計画を策定していただきました。
 需要の推計については、ピーク時の1日当たりの患者数は約81万人、うち検査キットによるセルフチェックの結果、新型コロナ陽性判定となって健康フォローアップセンターに登録し自宅療養される方の見込み者数は約7万人、その結果、発熱外来等の受診見込者数は約75万人となっています。これに対し、各都道府県が今回の計画策定に取り組む前に把握した診療能力の合計は1日当たり約76万人であり、これに加え各地域で必要と考える体制の強化を図っていただきました。
 具体的には、発熱外来等の診療時間の拡大、箇所数の増加等のほか、地域外来・検査センターの強化など様々な取組を組み合わせることにより、約13万人分の診療能力の強化が図られることとなります。
 このうち電話・オンライン診療については、全国では14地域が電話・オンライン診療の強化に取り組み、約1.8万人分の体制強化も図られる予定となっております。 さらに、重症化リスクが低い方が安心して自宅療養を行っていただけるようにするための必要な環境整備として、健康フォローアップセンターの体制の強化も図っております。
 同時流行が起こった場合のピーク時における健康フォローアップセンターへの登録見込み者数は1日当たり約7万人ですが、各都道府県でそれを大きく上回る1日当たり約20万人の登録に対応できる体制となる見込みです。このように保健医療体制の強化については、各都道府県において策定された計画に基づき既に取組が進められています。
 厚生労働省としても、今冬に向けて引き続き都道府県と緊密な連携を図りながら、多数の発熱患者が生じた場合にも必要な方に必要な医療を提供できる保健医療体制の確保に万全を期していきたいと考えております。

 二点目でありますが、我が国の産学官の協力によって開発されたサル痘ワクチンLC16について、コロンビア政府及びWHOの要請に基づき、近日中にコロンビア政府に供与する手続きを進めることができるよう最終的な調整を進めております。
 コロンビアではワクチンの安全性・有効性を厳格に評価するための臨床試験が実施され、サル痘感染のリスクの高いグループへのワクチン接種が開始される予定です。
 日本政府からは、ワクチン及び専用の接種針の供与、専門家による技術面での研究協力等を行う予定です。このことによって日本のワクチンが世界的に認められ、サル痘の封じ込めに貢献することが期待されます。

質疑

記者:
冒頭ご説明のあった外来医療体制の強化に関してですが、最大診療能力90万人ということで見込み者数を超えたとのことになりますが、そこに対する大臣の受け止めと、今後実効性の担保が必要になると思いますが、今後の新型コロナとインフルエンザの同時流行に備えた厚労省の取り組みをお願いします。
大臣:
先ほど申し上げたように、各都道府県のいろいろなご努力の結果としてピーク時の発熱外来等の受診見込者数を一定程度上回る診療能力が確保される見通しとなったということで、まずは各都道府県の取組に協力したいと思います。その上で、それを万全の体制にしていくということが必要であります。
 あわせて既にさせていただいていますが、地域の住民の皆様に対してもその地域の感染状況とか、あるいは先手先手で次にどういう展開になっていくのかということを発信していくということで、国としてはタスクフォースを作らせていただいていますが、そうしたことを通じてしっかりとコミュニケーションを図りながら、住民の皆さんを含めて万全を図っていただけるよう都道府県と連携して進めていきたいと思っています。
記者:
新型コロナの感染症法上の分類見直しについてですが、日本医師会が先日コロナ独自の新しい枠組みを検討すべきとの考えを示しました。これに対する大臣の受け止めと、先日のアドバイザリーボードでも専門家に議論を呼びかけましたが、今後どのように引き下げの議論を進めていく考えか、判断の時期の目途など教えてください。
大臣:
釜萢(かまやち)常任理事が日本医師会の記者会見で、新型コロナの感染症法における位置付けや公費負担の措置について発言されているとの報道は承知しております。
 分類そのものについては当面維持しつつ、先ほどの同時流行も含めた体制整備を図っているところであります。その上で感染症法上の位置付けについては、今日参議院の本会議で感染症法の採決が行われるわけでありますが、そこの附則においても「速やかに検討」という規定もございます。それについて専門家の意見も聞きながら、公費負担の在り方も含めて総合的に検討を進めていきたいと思っております。そうした中で、先日のアドバイザリーボードでもわかりやすい考え方を深掘りしてほしいということで、さらなる検討もお願いしているというのが今の状況であります。
記者:
本日の参議院本会議で、感染症法などの改正案が可決、成立する見込みです。今後、協定に沿った対応ができない「正当な理由」としてどういったものを認めるかや、未知のウイルスの流行に備えて協力する医療機関をどれだけ増やしていけるかが焦点になるかと思います。今後、どのように自治体や医療機関の理解を得て、どのように支援していくのか、現時点での大臣のお考えをお聞かせください。
大臣:
国会の審議でも申し上げましたが、まずは現に対応している、またこれまでの対応の教訓を活かすことができる新型コロナへの対応を念頭に、そうした作業を進めていただくことになると思っております。
 また、各医療機関が地域で果たしている役割を踏まえて積極的に協定締結にご協力いただけるよう、各都道府県における予防計画策定の段階から十分なコミュニケーションを図ることが必要でありますので、厚労省としてもその点を踏まえて基本指針等を示していきたいと思っておりますし、また「正当な理由」というところも、具体的にこういったものがそれに該当するということをお示しすることが、今申し上げた医療機関との間で円滑な協定の締結に繋がっていくのではないかと考えております。
 なお、財政支援等の話もございますので、これは感染症の特性に応じて実際の感染まん延時等にその内容や範囲を検討していくということでありますが、平時からの整備に関する費用の一部についても国が補助できることになっていますので、そうしたことについては具体的な内容を精査して固めていきたいと思っています。
記者:
一部報道で、厚労省所管の国公立病院を運営する二つの独立行政法人の積立金について、11月29日に鈴木財務大臣から加藤大臣に早期返納を要請したとありますが、その事実関係について教えてください。また前回もお伺いいたしましたが、早期返納が実現した場合、2023年度以降の防衛費の財源として活用される可能性も指摘されていますが、それについての大臣のご所感を改めてお聞かせください。
大臣:
今お話のありました財務大臣との面会については、これから予算編成がいよいよ終盤を迎えるわけでありますので、社会保障全般について厚労省における取組等についていろいろお話をさせていただいたということであります。また防衛関係費に関しては、必要な予算、財源をどのように確保していくのかも含めて、現在、政府部内で検討がなされているものと承知しております。
 ご指摘の積立金の国庫返納については、それぞれ個別法がございますが、JCHO(独立行政法人地域医療機能推進機構)等に関しては令和6年3月までの中期目標期間が設定されており、その終了後に次の期間に必要な業務、例えば施設整備をどうするのか、そういったことも踏まえた上で繰越が認められた額が決定されて、それ以外の部分は返納するという規定になっているわけでありますが、現時点で今申し上げた次の業務、施設整備の話も固まっているわけではありませんし、ご質問のような対応方針が具体的にあるわけではありません。

(了)