第2回循環器病対策推進協議会 議事録

厚生労働省健康局がん・疾病対策課

日時

令和2年2月3日(月)17:00~19:00

場所

厚生労働省専用第22会議室18階
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

 

議題

(1) 開会
(2)循環器病対策の現状等について
(3)学会、団体等からのヒアリング
(4)その他

議事

○安井課長補佐 定刻より少し早いですけれども、ただいまより第2回「循環器病対策推進協議会」を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
私は事務局を務めさせていただきます、厚生労働省健康局がん・疾病対策課の安井と申します。
まず、本日の出席状況について御報告いたします。
本日は、大橋未歩委員、熊谷雅美委員、中谷祐貴子委員、横山徹爾委員から欠席の御連絡を頂いております。
なお、永井良三会長からは、遅れて御出席される旨、御連絡を頂いておりますので、到着されるまでの議事進行は、宮本享会長代理にお願いいたします。
また、本日は、参考人として、日本介護支援専門員協会副会長 牧野和子様、日本歯科医師会常務理事 小玉剛様、日本薬剤師会常務理事 吉田力久様、日本栄養士会 諸岡歩様、日本失語症協議会副理事長 園田尚美様、日本脳卒中者友の会理事長 石川敏一様、日本心臓ペースメーカー友の会副会長 井上美枝子様、全国心臓病の子どもを守る会会長 神永芳子様に御出席いただいております。
本日は定員20名のうち、15名の方に御出席いただいており、定足数に達していることを御報告申し上げます。
なお、事務局の丸山課長補佐は公務のため欠席しております。
厚生労働省では審議会等でのペーパーレス化を推進しており、本協議会もペーパーレスで実施いたします。
お手元にはタブレット、スタンド、操作説明書を配付しております。操作説明書を参照しながら一度操作をお試しください。不明点がございましたら、お近くの職員に御質問ください。
続きまして、資料の御確認をお願いいたします。
議事次第、座席表、循環器病対策推進協議会委員名簿。
資料1から2-10。
参考資料1、2。
委員のタブレットに格納しております参考資料2には、一部、机上配付扱いのものが含まれます。右上に「協議会後回収」と記載しています。
以上でございます。
資料が御覧いただけない場合は、事務局までお申し出ください。
以上をもちまして、カメラを納めていただきますよう御協力のほど、よろしくお願いします。
(カメラ撮り終了)
○安井課長補佐 これからの進行は、宮本会長代理にお願いいたします。
○宮本会長代理 それでは、永井会長が来られるまでの間、議事を進めさせていただきます。
前回、1月17日に開催されました第1回協議会では、この会の運営規程を決定した後、今後のスケジュール、循環器病対策の現状について、事務局から御説明いただきまして、その後、学会、団体などの9団体からお話を伺いました。
本日は、まず、循環器病対策の現状について事務局から説明の後、学会、団体等からのヒアリングを行いたいと思います。
それでは、まず、議題2「循環器病対策の現状等について」に移りたいと思います。
資料1「循環器病対策の現状等について(その2)」の説明を事務局からお願いいたします。
○安井課長補佐 事務局でございます。
資料1を御覧ください。
第1回協議会資料の各論の続きになりますが、まず予防・啓発に関する現状の取組等についてです。
3ページを御覧ください。「健康日本21(第二次)の概要」を示します。
「健康の増進に関する基本的な方向」の2つ目にある「生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底」において、循環器疾患について目標を設定し、対策に取り組んできました。
4ページに、循環器疾患に関する目標を示しております。
5ページから、具体的な取組を示します。
5ページに示しております<スマート・ライフ・プロジェクト>は「適度な運動」「適切な食生活」「健診・検診の受診」をテーマに、健康作りに取り組む企業・団体・自治体を支援する取組です。
個人や企業の「健康意識」及び「動機付け」の醸成・向上を図り、社会全体としての国民運動へ発展させることを目標としています。
6ページに【健康寿命延伸に資する優れた取組の表彰事例】として「あだちベジタベライフ」を紹介します。
飲食店に協力を求め、ラーメンや焼肉を注文しても、自ずと食前ミニサラダが出てくるような「ベジファーストメニュー」や、1食で野菜が120グラム以上摂れる「野菜たっぷりメニュー」などが提供される「あだちベジタベライフ協力店」を置いて、生活の質の向上と健康寿命の延伸を目指す取組です。
7ページに、特定健康診査・特定保健指導の概要を示します。
特定健診・保健指導は、保険者が健診結果により、リスクに応じて対象者を選定し、対象者自らが健康状態を自覚し、生活習慣改善の必要性を理解した上で、実践につなげるよう専門職が個別に介入するものです。
8ページから保健・医療・福祉の取組等について示します。
9ページを御覧ください。「地域包括ケアシステムの構築について」です。
重度な要介護状態となっても、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に確保される体制、地域包括ケアシステムを実現するとしています。
高齢化の進展状況には大きな地域差があり、地域包括ケアシステムは保険者である市町村や都道府県が地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じて作り上げていくことが必要としています。
10ページ「在宅医療・介護連携の推進」ですが、医療と介護の両方を必要とする状態の高齢者が、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けることができるよう、地域における医療・介護の関係機関が連携して、包括的かつ継続的な在宅医療・介護を提供することが重要としています。
このため、関係機関が連携し、多職種協働により、在宅医療・介護を一体的に提供できるよう、都道府県・保健所の支援の下、市区町村が中心となって地域の医師会等と緊密に連携しながら、地域の関係機関の連携体制の構築を推進することとしています。
11ページを御覧ください。
治療と仕事の両立については、疾病を抱える労働者が、職場において適切な配慮が行われるよう、両立支援の具体的な取組の進め方等をまとめたガイドラインが作成されています。
12ページを御覧ください。
令和2年度より、循環器病の医療提供を行う医療機関において、各個人の状況に応じた治療と仕事が両立できるよう、支援を行うモデル事業を実施する予定としています。
以上でございます。
○宮本会長代理 ありがとうございました。
それでは、ただいまの事務局からの御説明に、御質問、御意見はございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、続きまして、議題3「学会、団体等からのヒアリング」に移りたいと思います。
本日は10団体からお話を伺いますので、前半6団体、後半4団体に分けて、それぞれまとめてプレゼンテーションしていただいた後に、質疑応答の時間を設ける形にしたいと思います。
御発表は1団体当たり5分とし、事務局は終了1分前にベルを1回、終了時にベルを2回鳴らすようにしてください。
それでは、まず、資料2-1から2-6について、一括して説明していただいた後に、質疑応答とさせていただきます。
それでは、資料2-1の説明を、日本リハビリテーション医学会よりお願いいたします。よろしくお願いします。
○安保委員 日本リハビリテーション医学会の安保雅博です。どうぞよろしくお願いします。
資料2-1の1ページ、まとめの資料です。
次のページお願いします。
12条についてです。日本リハビリテーション医学会としては、運動療法や発症早期からの適切なリハビリテーション医療の重要性をパンフレットや記者会見などで啓蒙してきました。さらに取り組むべきと考える対策として、学校教育、広報活動、学会活動などを用いたリハビリテーション医療の啓蒙をします。また、生活習慣病や障害のある者でも実践できる運動療法のマニュアルを作成し、発症や再発及び防止、早期受診、治療につなげたいと思います。
次のページお願いします。
14条についてですが、急性期のリハビリテーション医療は重要ですが、セラピストの人員配置が乏しい急性期病院もいまだ多く存在します。なので、急性期病院におけるセラピスト増が必要です。
また、急性期脳卒中患者に、休日もリハビリテーション医療を提供することで、より機能改善をもたらすことが知られており、回復期リハビリテーション病棟のみならず、急性期病院においても、休日のリハビリテーション診療を促進する必要があると思います。
また、回復期リハビリテーション病棟は、増加しつつある一方で、心臓病は入院対象疾患となっていない課題があるので、心臓リハビリテーションを提供する医療施設の拡充が必要です。
また、生活期においては、医療機関でのリハビリテーション医療の提供が望ましい患者は一定層存在しますので、生活期のリハビリテーション診療における医療機関の役割の明示を挙げたいと思います。
次のページをお願いします。
第15条、16条についてです。
現状の課題と今までの取組はスライドのとおりです。
5ページをお願いします。
取り組むべき考える対策として、生活習慣病のみならず、フレイル、運動器疾患などを抱えた患者も多く、運動療法に先駆けて、医者によるメディカルチェックと運動処方は必須であると考えます。運動療法の実施に際して、医療機関、福祉施設、民間施設の相互連携を促進することが大切です。
また、就労を目的とするための外来のリハビリテーション診療の提供体制や、雇用先の協力体制の確立は、不十分かつ地域格差が大きい状況なので、就労支援体制の拡充をすることが大切です。
また、患者の高齢化に伴い、貧困や独居などの生活基盤に問題を抱えるケースが増えてきましたので、生活基準の脆弱な患者に対する支援が大切です。
6ページをお願いします。
17条についてですが、リハビリテーション科専門医は、他科に比べると圧倒的に少なく、地域的な専門医数の格差を認めます。循環器病に包括的に対応するためには、リハビリテーション科専門医の育成と適正配置は重要であります。また、PT、OT、STの育成機関は急激に増加したので、リハビリテーション医学の知見に基づいた教育の質が担保されているかという点については疑問が残ります。よって、日本リハビリテーション医学会は、関係23団体とともに日本リハビリテーション医学教育推進機構を立ち上げ、いろいろな取組を実施してきました。
さらに取り組むべき考える対策として、医学生、療法士、介護福祉士などに対するリハビリテーション医療・医学教育の促進と向上、リハビリテーション科専門医の育成と、全国医学部へのリハビリテーション医学講座の設置が必要かと思います。
7ページをお願いします。18条についてです。
学会主体のリハビリテーションデータベースがあり、エビデンスが構築されるなど成果がある一方、急性期と回復期がリンクしない、心臓病患者が含まれない、生活期の患者が含まれないといった問題点がありますので、国際生活機能分類に基づく統一的な活動評価で、急性期、回復期、生活期、全てにかけての情報がリンクされている循環器病の症例レジストリ・データベースの構築が大切だと思います。
次のページお願いします。
19条についてですが、取り組むべき考える対策として、臨床研究法の施行により、医薬品や医療機器を用いた前向き研究のハードルが高くなっている現状がありますので、多施設共同研究のコーディネートや民間個人から研究寄付金の非課税化など、循環器病に対する予防、治療のサポート体制の構築が重要かと思います。
また、本邦で実践されているリハビリテーション治療の有効性を明らかにすることも重要と考えます。
以上です。
○宮本会長代理 ありがとうございました。
続いて、資料2-2の説明を、日本医療社会福祉協会よりお願いいたします。
○早坂委員 医療ソーシャルワーカーの団体の、日本医療社会福祉協会の早坂と申します。よろしくお願いします。
1ページに従って説明させていただきます。
医療ソーシャルワーカーは、これまで地域連携パスに代表されるような医療連携の体制の要として機能してきました。
また、相談窓口として、患者さん、利用者さんの個別性を重視した生活支援を行い、この中に療養支援も含まれています。
また、入院、外来問わずに、様々な社会資源を活用し、開発するというところでも機能してきました。
その中で見えてきた課題としては、心血管疾患患者さんの医療機関の特性に合わせた患者さんの受診・受療行動についての支援の不足、2番目は患者さん主体の再発予防に関する支援の不足、3番目は、私たちというよりも、心血管疾患の慢性期の患者さんが活用できる社会資源の不足、制度の未整備、4番目は生活期、維持期における脳卒中専門の相談機能の未整備、社会資源とのつなぎ役の不足が考えられます。
概要については、2ページのポンチ絵を御覧いただければ、その概要について書いています。
短期的に取り組むべき対策としてですが、これは地域差があるので一概には言えないのですが、1点目には、やはり心血管疾患の病態に合わせたケアマップの作成。これは増加が予想される心血管疾患の患者さんが適切な受診・受療行動をするための連携パスのようなものが作成されることが望まれると思います。
具体的には、患者さんがどのような医療機関にかかって、次の段階のどこに行くかというような流れと、社会資源の選択肢、介護保険のサービスが書かれていると良いと思います。ここに緩和ケアのことも含めて、どのような資源があるかが明確になることが望まれると思います。
2点目は、循環器疾患の再発予防プログラムの開発で、これは軽症なうちに再発予防に関する意識を高める支援と考えます。特に、予防にアクセスしづらい、忙しい方とか、低所得の方に関する支援の強化が求められると思います。
資料の6ページと7ページを御覧いただくといいかと思うのですが、ここに北海道医療連携ネットワーク協議会の「あんしん連携ノート」というものを載せています。これはスマホのアプリの中で取り入れられて、自分の管理のために役立てられているそうです。8ページ以降に、その副読本の「あんしん生活ガイドブック」というものを載せていますので、参考まで御覧いただければと思います。この連携の中にソーシャルワーカーも入って、コーディネート機能を果たしてしてきました。
最後に、脳卒中総合相談窓口の設置ということです。
脳卒中の方は、身体のみならず心理的にも社会的にも不安や悩み、苦しみを持たれます。医療を速やかにつなぐだけでは、その悩みというのは解決されるものではありません。そこで、3ページを御覧いただきたいのですが、これは大阪脳卒中医療連携ネットワークの活動の例を提示しています。
どういうところでどんな支援が受けられるのかということを全然知らないで、急性期の病院から退院されている方も多くいらっしゃいます。特に軽症な方で、例えば、紹介状だけもらって自宅に帰った後に、高次脳機能障害が残っていることが分かるとか、様々なことが生活期にも出てきます。不安や悩みは急性期から出てくるので、時期を問わずにこういう相談の窓口があって、不安を受け止めて適切な資源につなげるという機能が求められているかと思います。
脳卒中の場合は、障害福祉サービスも必要になります。身体障害者手帳が欲しいときに、そのかかりつけ医が指定医でなかったり、障害の評価ができないという場合も現実にあるということで、このような窓口が必要かと思います。
資料の4ページ、5ページを御覧いただければと思います。
これは外来期、生活期のリハビリの連携、相談窓口についてですが、1つは、回復期リハビリ病棟を持つ病院がリハビリを継続して、シームレスな連携をするというのが4ページです。5ページは、その地域に地域リハビリテーション拠点事業というものがあり、そこで相談を受けられる。今、船橋市の例を出していますが、これはかかりつけ医からリハの部分の相談、あるいはケアマネ、市民から相談を受けているという形です。
最後に、中長期的に取り組む対策なのですけれども、様々な資源が特に慢性期の心血管疾患には不足しています。具体的には、薬が高額であり、療養病床に入れない、介護度が低かったり、若年層のサービスがなく、介護保険のサービスが使えない、そういうようなことが具体的な問題かと思います。
また、加えて、私どもソーシャルワーカーが、このような循環器疾患にたけるソーシャルワーカーを育成していくことも、この中長期的な目標として考えられると思います。
以上です。
○宮本会長代理 ありがとうございました。
続いて、資料2-3の説明を、日本介護支援専門員協会よりお願いいたします。
○牧野参考人 介護支援専門員の職能団体となります、一般社団法人日本介護支援専門員協会副会長の牧野和子と申します。発表させていただきます。
私たち介護支援専門員は、循環器病対策基本法推進の一助となり研さんを重ね、より一層、支援体制を強化してまいる所存であることを冒頭にお伝えさせていただきます。
3ページを御覧ください。
当協会の「設立目的」として、公正中立なケアマネジメントの確立等を掲げております。国民の健康と福祉の向上を目的に、全国で市民講座を開催しております。市民講座については参考資料の15、16ページに記載いたしました。また、3ページには、全国の介護支援専門員の専門職団体全国支部を記載いたしております。
次に、4ページを御覧ください。「介護支援専門員(ケアマネジャー)の制度的位置付け」を御確認願います。
要介護者または要支援者等からの相談に応じ、要介護者等が自立した日常生活を営むのに必要な、援助に関する専門的知識及び技術を有する者として、介護保険法にのっとり活動いたしております。
5ページにつきましては、スライド4の資料データが古いものですから、平成29年度版を記載いたしました。御参照ください。
1ページを御覧ください。上段、循環器病に係る取組等についてです。
介護支援専門員の職能団体として「脳卒中医療福祉連携会議」や「在宅医療推進会議」等循環器病関連会議に参画し、円滑な連携に努めております。
介護支援専門員の法定研修課程では、法定研修テキストを日本介護支援専門員協会が作成しております。
ケアマネジメントにおける実践事例の研究及び発表、入退院時における医療との連携に関する事例など、高血圧、心疾患、脳血管疾患含む疾患の特徴や予防について、医療との連携を具体的に指導しております。後ほど、資料の9、10、11ページも御確認いただけたらと思います。
法定外研修におきましては、疾患全般について学ぶ機会を設け、例えば、診療報酬改定に関する研修会も開催いたしております。資料の13、14ページを御確認いただけたらと思います。
循環器病基本法設立に合わせ、循環器病に特化した形で、医療機関と地域の連携強化を推進するための仕組み作りが求められていると考えます。
1ページ目の中段を御覧ください。短期的に取り組むべき循環器病対策についてです。
急性期から在宅生活に至るまで、切れ目のない医療・介護・福祉の連携体制の整備が求められていると考えます。例えば、慢性心不全の患者、利用者について、退院前のカンファレンス、担当者会議を丁寧に開催したケースは、再入院率の低下や入院までの期間が長くなるという傾向があります。効果的、効率的に退院支援を行う取組が重要であるという認識を着実に浸透させる必要があると考えます。
循環器病について、多職種連携、地域資源の活用など、効果的な支援方策を検討する必要があると考えます。
介護保険法第4条の国民の努力義務、自ら努力をするという視点で健康管理を行うことを、保険医療機関と共同して国民に伝えていく必要があると考えます。
最下段、1ページ目を御覧ください。
利用者が、地域包括ケアシステムの中で、在宅生活を継続していくことができるよう、支援体制構築のために必要な取組の整理、職場復帰支援に関する課題の整理や検討が必要です。
循環器病の患者家族支援についても、実態把握や支援方法の検討が求められています。脳血管認知症を伴う患者への支援方法の確立や、中等教育においても、地域包括ケアにおける循環器病について学ぶ機会が必要と考えます。
課題検討の理由については、資料の6、7、8に記載しておりますので、御確認のほど、お願いいたします。
ありがとうございました。
○宮本会長代理 ありがとうございます。
それでは資料2-4の説明を、日本歯科医師会よりお願いいたします。
○小玉参考人 日本歯科医師会から参りました常務理事の小玉でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
1ページ目上段に、現状と課題、今までの取組というところの御説明をまず始めさせていただきたいと思います。
防ぎ得る脳卒中循環器疾患に対して、歯科口腔保健の果たす役割は大きいものだと思います。これは食生活が適切なものであると同時に、生活習慣病の対応も、我々8020運動を通じて国民の皆様に投げかけておりまして、結果、健康寿命の延伸というところにつながると思っております。
現状といたしましては、脳卒中の患者さんの急性期、これはなるべく早くに口腔ケア、口腔健康管理を取り入れるということが必要になってきますし、また、回復期におきましては、摂食嚥下の機能障害があれば、それを回復する。また、誤嚥性肺炎を起こす方が、脳卒中患者さんが非常に多くなってございますので、その対応をしっかり行う。それから、在宅では、せっかく病院で口腔ケアをしっかりやっていても、在宅、施設に戻ると継続する方が2割しかいないという現状がありますので、そういったところを地元の歯科医師会と連携して継続して行われるようになればいいなと思ってございます。
実際、病院全体で歯科があるのが2割程度であり、その接続に課題があると思いますので、その部分の対応というのを深めていただくような調査研究を進めていきたいと思ってございます。
また、口腔と全身の健康のエビデンスの関係につきましては「健康長寿社会に寄与する歯科医療・口腔保健のエビデンス2015」にまとめてございまして、特に歯・口腔の健康と、心臓血管疾患、脳血管疾患と非感染性疾患との関係を示してございます。
短期的に取り組むべきことといたしましては、経済財政諮問会議、骨太の方針に示された口腔保健の在り方、また、この法律に基づく、歯科疾患と循環器病の発症との関係に関する研究を進める。
それから、厚生労働科学研究において、令和元年、2年と続いて、口腔の健康と全身の健康に関する研究が進められてございますので、その結果を踏まえて対応していきたいと思っているところでございます。
中長期的には、やはり歯科疾患と循環器病との関連性、因果関係に関するエビデンスをしっかりと構築する。また、医科歯科等の有機的な連携を行いながら、予防・健康作り事業の推進、医療提供体制の構築、歯科を含めて診療報酬体系の施策にも取り組むようにお願いしたいと思います。
めくっていただきまして、2ページ目、歯周病と動脈硬化と記してございますけれども、3ページ目、ポケットという歯周病の原因になっている細菌がたくさんいるところから、全身の血管を渡って、細菌が脳血管とか動脈硬化、心臓のところにも達しますし、体全体の血管に達し得る可能性があるということを示してございます。
4ページ目、5ページ目、6ページ目は、歯の治療を行うと、血管の中に、特に歯周病の方はたくさん細菌が入っている可能性が高いということを示してございます。
7ページ目は、冠動脈硬化の中にスピロヘータ、これはらせん状の矢印のところにある細菌ですけれども、これが歯周病菌の一つの種類として入っていくということを示してございます。
ただ、入っていくときに、8ページ目、9ページ目、これはポリフィロモナスジンジヴァーリスという歯周病菌の特徴的なものでございますけれども、これが血管の内壁にいろいろな悪さをしまして、こういった細菌を入りやすくすると。従来、そういった中では、頸動脈の肥厚が2倍以上、糖尿病の方にはこういった細菌が入っている可能性があるということでございます。
10ページ目、これも歯周病菌でございます。
11ページ目、動脈硬化は、脂質代謝の関連疾患とされてきましたけれども、こういった細菌による軽微な慢性炎症の保有者ほど、心筋梗塞を発生する可能性が高いというようなところを示してございます。
13ページ目に、感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドラインの中でも、歯科治療は非常に慎重に行わなければならないということが示されているわけでございます。
14ページ目、15ページ目も、やはり動脈硬化と歯周病菌の関係になってございます。
最後は、19ページ、20ページ目で、これは脳卒中と歯周病の関係を表してございますけれども、20ページ目にあるとおり、歯周炎や欠損歯があると、脳卒中の発症率が高まるという報告がございますので、その結果をもって今後の研究に役立てていきたいと思ってございます。
以上です。
○宮本会長代理 ありがとうございました。
それでは、資料2-5の説明を、日本薬剤師会よりお願いいたします。よろしくお願いします。
○吉田参考人 日本薬剤師会常務理事の吉田でございます。
薬剤師は、循環器病において予防、治療、再入院、重症化予防に取り組んでおり、かかりつけ薬剤師・薬局独自の一元的情報持って、処方医と連携した薬物治療を行うことで、外来機能の強化につなげております。
1ページおめくりください。
薬局には4つのアクセスがあり、発症前はセルフケア、セルフメディケーションや健康支援業務のファーストアクセス、地域活動等に貢献を行うソーシャルアクセス、発症後は在宅医療のチーム・アクセス、薬物治療におけるラスト・アクセスと、地域におけるインフラが整備されております。
次、お願いします。
薬局・薬剤師は一次予防で、健康な国民を増やすことで医療・介護費用を抑制し、発症後は、薬物治療において、患者に応じた調剤を実施し、医師と連携し、例えば心不全であればアドヒアランス、食事やインスリンの制限、息切れ、体重チェックなど、服薬期間中のフォローで再入院、重症化予防を行います。このように、薬局では、一次から三次までの健康維持増進・予防において関わっております。
次、お願いします。
こちらは、長野県の事業で、日本の約6万薬局の100分の1に当たる605薬局が参加して、血圧に関する説明を実施し、血圧管理をかかりつけ医等で行っていない方に、薬剤師が受診勧奨や健診勧奨を実施し、次回、来局された843人中35%が受診、健診したという結果でございます。
次、お願いします。
薬剤師が提案することで、生活改善を実施した数や血圧の記録をつける患者が増加しております。地域住民の身近な薬局・薬剤師が関わることで、患者の意識が高まっております。
次、お願いします。
積極的に禁煙を啓発し、地域における喫煙率の低下による健康増進及び地域の医療関係者に受診勧奨するなど、連携を促進しております。
次、お願いします。
地域包括ケアシステムの中で、かかりつけ薬剤師・薬局が基盤となって、健康サポート機能充実させ、予防と健康づくりを行い、入院時には、病院・薬剤師に情報提供、退院後は、かかりつけ医や多職種と連携し、患者に個別最適な薬物治療を提供しております。
次、お願いします。
かかりつけ薬剤師・薬局は、患者がかかっている全ての医療機関や服用薬を把握し、薬学的管理指導を行って、24時間対応、在宅対応や医療機関との連携を行っております。
次、お願いします。
薬剤師の介入による個別最適化の例として、不整脈用剤、血液凝固阻止剤、ジキタリス製剤など、御承知のとおり治療有効域が狭く、中毒域と有効域が接近して、投与方法や投与量の管理が難しく、体内動態や生理的要因で個人差が大きいなど様々な性質を持っていて、薬力学及び薬物動態学的視点から、定期的に副作用や相互作用のモニタリングを行って、患者の健康被害の防止及び早期発見に努めることが重要になってまいります。
外来患者は、入院患者と異なって自己管理に委ねることになりますので、副作用発現の認識や、その他の対処方法など、患者が医薬品の適正使用に必要な知識の向上や、正しい行動が可能になるように取り組んでおります。
アドヒアランスの高い患者は、血圧コントロール率がよく、心血管イベントの発症は低くなります。逆に、アドヒアランス不良群は、脳卒中症状の発症頻度が高くなります。
また、軽症から中等症の高血圧患者では、医師・薬剤師が協力して、薬物療法や生活習慣病のアドバイス等を実施した群は、しなかった群に比べ、降圧薬の中止または投与量の有意な減少が見られております。
次、お願いします。
服薬数を少なくし、服薬回数が減らせる薬剤への切り換え、介護者が管理しやすい服用方法のまとめ、嚥下機能を考慮した剤形の選択など、アドヒアランスに配慮した服薬支援を行っております。
次、お願いします。
昨年の改正薬機法では、薬局薬剤師は、投薬時だけでなく、次回受診まで服薬期間中の患者支援と、必要に応じて医師への情報提供を行うことが法律上明記されました。
次、お願いします。
2年以内に施行される地域連携薬局では、循環器病においても、入退院時の医療機関等との連携や在宅医療等に、地域の薬局と連携しながら対応できる機能と役割が期待されています。
最後です。
心不全地域連携プロジェクトです。病院薬剤師と薬局薬剤師が協力し、服薬アドヒアランスとセルフケアの強化を目指し、連携ツールとして一番下に書いております心不全手帳やお薬手帳、投薬チェックリスト等を用いて、心不全管理の不連続性を解消し、再入院を減らすことに取り組んでおります。このように循環器病では、予防、治療、再入院、重症化予防のいずれにおいても薬剤師が関わることが重要であると考えます。
本計画においては、薬剤師の機能を位置づけることで、しっかり取り組んでいきたいと思っております。
薬剤師会からは以上です。
○宮本会長代理 ありがとうございました。
続いて、資料2-6の説明を、日本栄養士会よりお願いいたします。
○諸岡参考人 日本栄養士会より参りました諸岡です。よろしくお願いいたします。
資料の2ページ、3ページのほうから御覧いただきたいと思います。
日本栄養士会は、国内約5万人の管理栄養士・栄養士により組織された職能団体であり、栄養と食の専門職として、保健、医療、福祉の各領域において、栄養の指導により、健康づくりや生活習慣病の発症予防と重症化予防に取り組んでおります。
資料の4ページを御覧ください。
管理栄養士・栄養士は、胎児、乳幼児期から高齢期まで、あらゆる年齢の人々の栄養状態の改善と維持はもとより、傷病者や被災者への栄養管理など、誰一人取り残さない栄養施策の推進に深く関与しております。
具体的には、学齢期の小児肥満や偏食、食物アレルギーに対しては、世界的に誇るべき学校給食の実施や栄養教諭制度の活用、また、成人期のメタボリックシンドロームに対しては、特定健診・特定保健指導の充実などが掲げられます。
資料の5ページを御覧ください。
次に、循環器病対策基本法の条文に沿い、日本栄養士会として取り組むべき主な循環器病対策を整理いたしました。
まず、第12条の予防についてです。
「健康日本21(第二次)」の中間評価におきましても、小児肥満の改善は不十分であったというような評価がなされております。やはり小児期からの食育と生活習慣病対策の充実が必要です。
また、日本人の食事摂取基準2020年版の普及により、さらに適正体重を維持している者を増加させる。また、食塩摂取量の減少に向けての普及啓発が必要です。
また、本年4月1日より、食品の栄養成分表示が義務表示となりますが、そのような食品の栄養成分表示やおいしい減塩食品の開発など、食環境整備を含めた健康な食事への設定の拡大が必要です。
さらには、食生活改善普及月間、また、8月4日の栄養の日、8月1日から7日の栄養週間等を活用し、循環器病予防や発症時の対応に関する国民へのさらなる普及啓発が必要だと考えております。
次に、第15条、生活の質の維持向上については、重症化予防のための栄養指導の徹底、摂食嚥下困難者向けの食品の製造と流通の拡大、回復の障害となる栄養不良の予防、改善のためのフレイル対策の充実などに取り組んでまいります。
第16条、連携協力体制の整備につきましては、入院から在宅医療における切れ目のないシームレスな栄養管理として、摂食嚥下機能に応じた食事提供を継続的に提供するということ。また、医療機関での外来栄養食事指導の充実、在宅患者へは訪問栄養食事指導において多職種との連携の促進が必要です。
さらに、国民にとって身近で気軽に栄養食生活相談ができる栄養ケア・ステーションを現在の250か所からさらに増やし、国民の利活用を促進してまいります。
第17条の人材育成については、本会の責務として、高度な知識と技術の向上を図るための研修体制を充実強化してまいります。
第18条の情報収集体制の整備につきましては、ナショナルデータベースや介護DB、国民健康・栄養調査など、各種のデータベースの効果的な利活用により、地域の特性に応じた栄養政策を推進してまいります。
最後に、第19条の研究促進については、個人の発症リスクの評価法や予防法の開発研究など、科学的根拠に基づく栄養食生活指導のための調査研究を充実してまいります。
さらに、中長期的には健康無関心層も含めた予防や、健康づくりの推進、自然に健康になれる食環境作りの充実も求められております。
日本栄養士会では、栄養と食の専門職として、これからも健康寿命のさらなる延伸に向け、関係機関、団体の皆様とともに「健康日本21(第二次)」や食育の推進など、食事を中心とした栄養食生活関連政策をより一層推進してまいりたいと思います。
今日はありがとうございました。
以上です。
○宮本会長代理 ありがとうございました。
6つの団体から御発表いただきました。
この御発表を踏まえて、御質問や御意見、ディスカッションをしていただければと思います。何かございましたら挙手の上、御発言をお願いします。
峰松先生、どうぞ。
○峰松委員 今の栄養のことで質問があります。東日本大震災の直後のことですが、私はそのとき国立循環器病研究センターに所属しており、震災後に東北各地を視察しました。岩手県栄養士会を訪問した時のことですが、もともと岩手県は塩分摂取量が高くて、脳卒中死亡全国1位か2位の原因と考えられていました。そこで県全体での取り組みで塩分摂取量を抑制しようとしましたが、「減塩」と言ってしまうとかえって反発を食らうので、「具たくさんのおみそ汁運動」を進めていました。
東日本大震災のときの復旧に合わせて、全県レベルで減塩運動に取り組まれているのを知り、非常に感銘を受けました。循環器病、脳卒中、心臓病合わせての予防のこと考えると、減塩運動は非常に意義があることと思います。循環器病対策推進基本計画も、最終的には都道府県や市町村に降りていって、各地域で具体的な活動をしなくてはいけません。そういった各地の動きがもしあるのであれば説明していただきたい。
○諸岡参考人 御質問ありがとうございました。
委員がおっしゃいましたとおり、確かに食塩摂取量、平成30年の国民健康・栄養調査の最新の状況でも、摂取量は10.1グラムと目標量を超えているという現状でございますし、おっしゃられたとおり震災後に脳卒中の患者さんが増えたということも確かにあります。
今の御質問で、現在、全国的に岩手県のような減塩対策をされているのですが、近いところで青森県は、だしを活用したという「だし活」というものをやっていたり、平成20年の当初から、新潟県も脳卒中の発症率が高いということで「にいがた減塩ルネサンス」などを行っています。全国各地におきましても、食塩摂取量が高いというのは、どの都道府県も課題となっておりますので、管理栄養士が行政、医療・福祉の関係団体とも連携しながら、その地域の特性に応じた取組を積極的に進めております。
○宮本会長代理 永井先生、どういたしましょうか。このディスカッションまでをお預かりして。
○永井会長 ディスカッションの終わりまでお願いします。
○宮本会長代理 その次の段階から先生が。
今、栄養指導のことで御質問いただきまして、お返事を頂きましたけれども、先ほど、栄養でいうと、シームレスな栄養指導という言葉が出てきました。これは実際、現実的にどのように行われているのでしょうか。
○諸岡参考人 御質問、ありがとうございます。
まさに切れ目のない栄養連携ということですが、病院から施設あるいは在宅に転院、退院した際におきまして、病院において、きざみ食であったり、ペースト、とろみなど、摂食嚥下リハビリテーション学会の基準に基づきながら、食形態に応じた食事は提供されているのですが、それがなかなか次の施設にうまくつながっていないというのが問題でして、現行では、介護報酬のほうでは、例えば再入所持連携加算というような形で、施設から病院に一時的に入院された方がまた施設に戻られるときに、食形態が悪化をしている場合は、それを事前に施設の栄養士が病院に聞き取りに行き、施設に入所した当初から円滑に食事提供が出せるようにという、報酬的な仕組みも整っておりまして、今、全国各地におきましてもシームレスな連携に向けて、栄養だけではなく、医師とか多職種と連携しながら、栄養管理情報提供書というようなものもオリジナルに作りつつ、今その機運がどんどん高まっているところだと思います。
○宮本会長代理 ありがとうございました。
羽鳥先生、どうぞ。
○羽鳥委員 1番目、2番目の日本リハビリテーション医学会と医療社会福祉協会の話で、とても大事な指摘があったと思います。リハビリの拡充ということころで、例えば、入院中はしっかりリハビリをやっている循環器も心不全も心筋梗塞後も、糖尿病においても、入院中はリハビリができるのですけれども、外来になると、それが診療報酬上算定できないということもあったと思います。この辺を含めて、日本医師会では、健康スポーツ医部会というのを作って、地域の先生が運動療法の取組をしております。
そういうことを含めると、先ほど、再発予防のためのプログラムを提案する、そういうところをここから提案できるといいのではないかと思います。そのためにはやはり症例のレジストリを行いながら、うまくいく例、うまくいかなかった例を検証していくことが重要です。そのときには日本医師会も参画させていただきたいと思います。この場で日本医師会から説明する場がないので、よろしくお願いします。
○宮本会長代理 ありがとうございました。
リハビリについては、今の生活機能のリハビリ継続と、心臓リハビリについての問題提起があったと思うのですけれども、何か御意見はございますでしょうか。
お願いします。
○山本委員 多分、リハビリの先生は、回復期リハが割と長い患者さん、特に脳卒中の発症後に比較的長く見られると思うのですけれども。あまり指摘がなかったのですけれども、高次機能障害で、麻痺とか、そういう目に見える後遺症がないけれども、例えば失算とか、私が知っている中では、本当に全く何もなさそうに見えて、実は物すごく道順障害があって、家を引っ越せないという患者さんを見たことがあるのですけれども、引っ越すと道に迷ってしまうので、ずっと同じ家に住み続けていなければならないという方を見たことがあるのです。そういう高次機能障害が割と見過ごされて家に帰ってしまっているケースが今のところはやはり散見されるような気がしておりまして、それを医師もですけれども、リハビリのところで、ある程度、特に高次機能障害は就労のところで物すごくバリアになってしまうので、そこをうまく引っかけるようなことができないのかなと思うのですけれども、それはリハビリの観点からはいかがでしょうか。
○安保委員 先生の言うことはごもっともなことです。私の勤務している東京都だと、各医療圏に指定された高次脳機能障害支援普及事業施設があり、地域特性に応じたリハビリテーション医療が提供されています。ただし、専門的に高次脳機能障害の外来をしながら、丁寧に復職に向けてつなげていく施設は患者さんが多いので非常に不足しているのが現状です。
また、地域色がより強くなると、なおさら医療と福祉のつながりというのが非常に難しくて、実際に社会復帰したものの、高次脳機能障害が前面に出て、うまく対応できなくなってしまった例を、御相談いただくことが多々あります。なので、これを機に、脳卒中後遺症の一つでもある見えない障害といわれる高次脳機能障害に対する正しい知識をより広めて、それに対するリハビリテーション医療の啓蒙、あとは、一番大事な復職に向けてのアプローチのところをつなげていければと考えています。ありがとうございます。
○美原委員 全日病の美原です。
今のお話、高次機能のことなのですが、実際に、非常に困っているのは車の運転に関してです。認知症とともに、脳卒中の後遺症の方がいかに車の運転に復帰できるか、それは身体的な問題だけではなくて、今、先生がおっしゃった高次脳機能の問題があるわけです。
どのように、患者さんの運転を許可しているかと言うと、実際には担当の医師が、自分の判断によりそれなりの検査をし、その結果を診断書として公安に提出し、公安がオーケーを出す。しかし、その基準は必ずしも明確になっていないように思われ、運転が許可されなかった患者さんにとっては、特に田舎では車が交通手段になっており、生活していく上で非常に大きな問題になっているのです。
ですから、脳卒中患者さんの社会復帰を考える場合、認知症患者さんの場合と同様、車の運転に関しては、留意して対応していただければと思います。
以上です。
○宮本会長代理 小室先生、どうぞ。
○小室委員 脳卒中のリハビリにも課題があることは分かりますけれども、心臓リハビリと比べると脳卒中リハビリはかなり進んでいるかと思うのですのですけれども、心臓リハビリが脳卒中リハビリのように大きく発展するには何が一番重要だとお考えですか。
○安保委員 脳血管障害だと発症からの期間がありますが、回復期病棟に入院できる対象疾患です。しかしながら、心臓病は入院対象疾患ではありません。管理が難しくなるかもしれませんが、ちゃんとした運動療法なり指導をしていかないと、先生もこの間おっしゃったように、心不全での再入院率というのが非常に高くなりますので、脳卒中同様、できればしっかり運動ができるシステムができれば一番いいのかなと思います。
あとは外来でも、しっかり適切な運動量の指導ができるような施設が多くできればいいかなと思います。
○宮本会長代理 よろしいでしょうか。
どうぞ。
○峰松委員 日本医療社会福祉協会の発表に対しての質問です。第1回目の協議会の時の日本脳卒中協会のプレゼンテーションで、患者が一番困っているのは、家に帰った時、あるいはその直前で、体系的な相談窓口がないという現状であることを紹介しました。今回のメディカルソーシャルワーカーの計画の中に、脳卒中総合相談窓口の開設ということが記載されていました。しかしながら、メディカルソーシャルワーカーは病院との関係が強いという点が気になります。それから、果たして要求に応えられるだけの人的資源があるのかが気になります。相談窓口、相談担当者などを新たに作るよりは、既存の仕組みがあれば、それを拡張するなり強化して、理想的なものに近づけていくというプロセスが大事だと思います。そういう意味で、やはりメディカルソーシャルワーカーというのは非常に大きな受け皿かなと思うのです。問題点も多々あると思うのですが、そこら辺はどうでしょうか。
○早坂委員 ありがとうございます。
難しいのですが、この2つの例を挙げたのは、1つは回復期リハビリ病棟で、入院しかやらないところとかがあり、かなり地域差があります。そうするとその後のつながるところがないというのが現状です。そこで1つは、回復期リハビリ病棟で、リハビリのスタッフとか、リハビリの先生がいらっしゃるところが継続して、外来が持てるというのが1つの案かと思います。
あと、以前に地域の拠点ということで、地域リハ広域支援センターというのを、都道府県ごとに置いたということは聞いたことがあるのですが、それだと広域過ぎて手が回らないということもあるそうです。やはり市区町村ごとにそういう窓口に置いて、ソーシャルワーカーはつなぎということの役割を果たしながら多職種連携でカバーしていくということになります。
メディカルソーシャルワーカーを全部の市区町村に置けるかというと、ちょっと難しいところはあるのですけれども、ただ、社会福祉士という職種は今、日本全国で23万人いますので、そこで医療に関心のある人を引きこんできてということも考えられなくもないかなと思います。
○峰松委員 ぜひ考えていただきたいです。
どこかがやらないといけないのですが、その受け皿としては、今おっしゃった既存のものを十分に活用するのが大事ではないかなと思います。
○早坂委員 ありがとうございます。
○宮本会長代理 磯部先生、どうぞ。
○磯部委員 磯部でございます。
厚労省と早坂さんのほうから地域包括ケアについてのコメントがございましたけれども、今後、慢性の心不全を効率よく診療していくために医療機関の分業はぜひ必要で、急性期病院、それから地域病院、さらに介護施設などと、患者さんの生活の流れの中で見ていけるような形の診療の分業をやっていかなければいけないと思うのですけど分担と同時に大事なことは連携だと思います。
連携で大事なことは情報共有です。多くの地域あるいは医師会等で心不全の連携パスを作る試みがされているのですけれども、ほとんど普及していません。
私も厚生労働省から科研費を頂きまして、かかりつけ医の先生を中心とした診療提供体制構築に向けてという研究をしております。心不全の連携パスを作ろうと思っても、結局、普及しない理由が幾つかあって、一つはインセンティブがなくて、具体的に言うと診療報酬がつかないということ。それから、診療情報提供書に加えてそういうものを書くことに対する、医師あるいは医療者側の負担が大きいということ、もう一つは、パスを作ったときにどういう効果があるかというエビデンスが日本ではほとんどないこと、さらにパスを管理する地域の協議会のような組織が必要となることです。心不全診療提供改善のアウトカムを示すために、再入院や死亡といったハードエンドポイント以外のクオリティインジケータを地域の実情に応じて設定していくことが必要だと思います。
○宮本会長代理 連携パスの問題と相談窓口の問題と、生活機能のリハの問題が出たと思うのですけれども、日本循環器学会は心不全療養士の認定を始められているということですが、相談窓口は必要でしょうか?
○小室委員 心不全療養指導士制度を作ることによって、一人の患者を多くの職種の人が、その専門性、経験、知識等で見るというチーム医療を作るという点では、私はいい制度だと思っていますけれども、相談窓口をどうするかということはまたちょっと違った次元の話で、それをまた作っていって、やはり、どういうネットワークを作って、一人の患者を見てくか、そういう行動を作っていかないといけないというのを考えています。これはまた次の課題だと思っています。
○磯部委員 補足させていただいてよろしいですか。
私も、心不全療養指導士は非常に重要な役割を担っていけると思うのですけれども、核になる形で、特に病院中心に配置されるのだと思うのですけれども、実際、臨床の現場といいますか、大事なことは、今、多職種は様々なサービスがありますけれども、実際、心不全なって患者さんが退院された後に、どういうサービスを使ったらいいかということさえ分からない。ですから、核を作って、そういうことを広めることが大事ですけれども、やはり、多職種間の連携パスをうまく作動できるようなシステムが必要かなと思います。
○宮本会長代理 ありがとうございました。
時間の関係で、ディスカッションは全てできないのですけれども、大体、今のところで前半部は終わりまして、後半の司会を永井先生にお返ししたいと思います。よろしくお願いいたします。
○永井会長 それでは、ここから私が座長をさせていただきます。
資料2-7から2-10までについて、一括して御説明いただいた後に質疑応答といたします。参考人の皆様、座席の移動をお願いいたします。
それでは、資料2-7の説明を、日本失語症協議会からお願いいたします。
○園田参考人 日本失語症協議会の園田と申します。よろしくお願いいたします。
最初のページは目次として、2ページから参ります。
最初に、失語症は、話す、読む、書く、聞いて理解する、計算するなど、コミュニケーション能力全般に障害を負う脳卒中の後遺症です。患者は全国に約50万人、その障害特性から、社会的認知、保健、医療、福祉などの分野で対策が遅れています。
私たちは、全国約2,000名の会員とともに、基本法の制定に向けて努め、本基本法の成立によって改善してほしいと切実に訴えてきました。
1、医療機関を退院後の失語症の機能訓練は、障害者総合支援法の障害福祉サービスと介護保険法のサービスですが、実際には全国的にほとんど提供されていません。そのため、多くの失語症者は、機能訓練ができないままに家庭復帰、職場社会復帰が阻まれ、人間としての尊厳が確保されていません。
2、医療機関のリハビリは180日が上限、言語聴覚士は7割以上が医療機関に在籍、福祉・介護の現場で機能訓練に従事するSTはごく少数です。失語症は、長期間の機能訓練で徐々に改善が見込めると専門家が指摘していますが、障害福祉サービスの上限は1年、最大延長が2年であり、機能回復には不十分な制度です。他方、介護サービスでは報酬加算がないため、機能訓練施設の普及の前提を欠いている現況にあります。
3、法第14条及び16条などで、医療、福祉サービスを居住する地域を問わず継続的総合的に提供する施策を講ずることが明記され、附則第三条では、失語症の文言を明記した上で、リハビリ提供機関の整備などが定められています。基本計画の中に、これらの問題の解決に必要な機能訓練施設の整備に関する事項の明記を望みます。
3ページ目、1、現行の介護保険調査票は失語症に関する項目がなく、失語症者への介護認定が適切ではなく是正が必要です。
障害福祉サービスの支援区分の認定も、失語症の障害の実態が適切に反映されない例が多く、実態に精通した専門職が関与する等の改善が必要です。
2、2018年度から失語症者の意思疎通支援者養成派遣事業が開始されました。早急に全都道府県での実施の措置を講じてください。失語症者は、労災、裁判、民事、刑事手続、交通事故などの際の証言の支援、投票権、被選挙権の行使の支援を欠き、基本的人権が保障されていません。早急の改善が必要です。
法第18条に定める各地域の患者家族への相談支援体制の整備も必要です。
3、失語症者は若年の患者も多く、コミュニケーション能力の障害のため、情報社会において重大な就労困難に直面し、言語機能回復支援と就労支援を一体として提供する諸外国で失語症センターと称される施設整備、支援機関と雇用側の密接な連携の確保などの取組が必要です。
4、以上、法第15条及び16条附則第三条に失語症対策として明記された、社会生活を円滑に営むための必要な支援措置として、基本計画で対策を明記してください。
4ページ、失語症はコミュニケーションという日常生活能力に障害を負う疾患です。しかし、身体障害者手帳は2級、3級、4級のみ。全失語の重度者はもとより、軽度者の障害者就労も困難である不合理な格差に置かれています。
2、失語症者は障害特性のために稼得能力に著しい困難があるにもかかわらず、障害者年金は2級以下です。
3、失語症の専門医制度はなく、失語症に関する適切な医学的知見に基づくという等級判断を、全国の各地域で確保するための措置が必要です。現在、厚労省では、等級制度の見直しの科研費事業が行われています。各制度の見直しが適正にされるよう、法第16条や附則第三条の規定に基づき、必要な事項を基本計画に明記してください。
最後に、失語症者は、障害特性から自ら社会的に意見等をすることが困難です。家族も多くの困難を抱えます。本意見書及び附属資料に記載の要望事項は、基本計画や都道府県計画等で患者や家族自身が政策成果を評価でき、国や都道府県、職能団体などに必要な改善措置が適切に確保される仕組みを早急に措置していただくことを願います。
以上です。
ありがとうございました。
○永井会長 ありがとうございました。
続きまして、資料2-8の説明を、日本脳卒中者友の会よりお願いいたします。
○石川参考人 こんにちは。日本脳卒中者友の会の理事長やっています石川です。
まず、私は35年前に脳卒中を発症しまして、弱冠40歳で発症し、現在75歳です。計算が合わないかな。ということで、脳卒中の急性期から回復期、維持期、生活期、現在、全てのいろいろな問題を体験しました。ですから、脳卒中の恐ろしさ一番よく知っています。
この法律は脳卒中に特化した法律で、当初、運動を始めたので、ここに様々な問題がここに含まれますので、なかなか話し切れない。今日、5分で話すということは難しいです。
友の会の活動については、基本的には再発防止と自立、それぞれの個人が、地域で友の会の中でもって、アウトドアでも生活しております。それが、この資料によりますと、8ページから救急の問題に入ります。
救急というのは、ここでしっかりと今の医学で対策すると、私のようなこの三十何年も後遺症を抱えて、終生、障害を負いながら生活をしないで済むわけですから、ですから、ここら辺の救急の対策を。
私は脳出血でしたけれども、最近は脳梗塞が多くて、横浜市においては、脳梗塞の治験の段階で非常に優秀だった先生がおる医療機関で、非常にいい成績が出たのです。
tPAという薬は、ほとんど障害を残さないで退院する場合もあるし、逆に大きな出血をするという場合もあります。ですから、その辺、横浜市に対して、非常に怖いので、救急搬送は、やはりtPAを多用できる医療機関ではないといけないわけです。
今日は総務省の救急の方が見えていないようなのですが、実は、脳卒中と救急は非常に大事なので、この辺のところについては、主管は厚労省のほうと前から聞いていましたので、こちらでもって今日は話していきたいと。
そういうことで、直近搬送が救急の基本なので、発症したすぐ近くに搬送する。急いで搬送すればいいという問題でありません。いわゆるtPAができるかどうか、対応したときに、あるいは出血したときに対応できるスタッフがいるかどうか。こういう脳卒中の専門医師がいる病院なのか、という形で、これができる病院を、横浜市は手挙げ方式という形で、できるところを募集しました。
資料後ろのほうに、別の資料を送ったので、今日は載っておりませんが、病院ごとの治療結果をホームページでもって横浜市で公開してくれました。はっきり言いますが、私、患者の目から見て危ない、怖い病院にも搬送されています。だけれども、優秀な病院にまだあきがあるという形で、この辺をチェックしていきながら、NRS、いわゆる治療前と治療後の結果、全部数値で公表してもらいましたので、この辺のところを見ながら、よりいい、障害を少なくしていく、命を助ける医療機関に搬送してほしい。
tPAのほかに、現在は、血管内治療で、カテーテルでもって、1.5時間で対応できない4時間半のそういう治療もできる技術ができましたので、この両方ができる病院に搬送していただきたいということをお願いしています。
この救急の問題と、生活期、維持期、リハビリの継続という問題については、先ほどのデータが、制度変わって65歳になると障害福祉から高齢福祉、介護保険に移る。介護保険が優先であるということになりますので、医療的リハビリができなくなってくる。
今、有料のリハビリがありますが、かなりの効果があるようです。だけれども、これは日本の介護保険制度に矛盾するという形で、私たち患者は反対です。だけれども、よくなるという事実はあるわけですから。脳の可塑性というところでもって。細胞は死ぬけれども、使っていない細胞に新しい神経が伸びるということがありますので、現在の医学では、そちらに多少の望みがある。
ただし、完治はしません。そのために友の会の必要性、いわゆる、リハビリの本番は家庭に帰ってからと私は習いました。それと、制度が、いわゆる障害福祉と高齢福祉、非常にそこら辺りの縦割り行政が分かりづらい。先ほど、相談の話もありましたけれども、病院でMSW、あと行政のケースワーカー。私たちは、現在は相談員をやっておりますが、非常にどこへ行くか分かりづらい。
そういうことで、全体を統括するキーマンが、昔は保健師さんがいたのですが、今は介護保険のケアマネさんです。ですから、介護保険の中で、あなたは点数がこれだけしか使えませんよと言われると、もうしようがない、諦めなくてはいけないという人がいますが、私どもも勉強した中で、障害者差別解消法が施行されてから2年になります。その中で、介護保険でできないの、だったらその先どうしたらいいの、勉強してもらうのがケアマネさんでしょうと私は言います。そうするとびっくりするそうです。
いわゆる、そこで切り捨てるということは、合理的配慮を欠く行為でないですか。それが差別解消法に書いてありますよ。これを知らない人も多いです。私は患者会としてはそれを勉強しています。私が言うと、主任ケアマネとか担当者がすっとんで来ます。ということは非常に分かりづらいことです。ですから、障害を持ちながら、いわゆる機能的な障害と、私も一時は回復してきたけれども、加齢とともに、障害を持って加齢ですから、現在こういう形で介護しながら参加する状況です。
ですから、社会モデルという捉え方をすると、私の機能と同じ機能は、恐らくこういうところに出てこられないと思います。こういう活動を、いわゆる社会モデルであっても、その先々にはバリアがあるわけですから、友の会に支援していただいて、私たちが苦労した脳卒中の恐ろしさ、それを知る者の口を使ってください。それが予防につながるし、本当の脳卒中の恐ろしさを私は嫌というほど体験したのです。
よく、バス停でいろいろどうしたのだと言われるけれども、私は脳卒中の恐ろしさを体験したのです。だから健康管理を徹底しているのですと話をします。そうすると、好きなことをやっている人は、これは駄目だと、どこかへ行ってしまう。それは余談になります。
そういう形で、脳卒中は、いつ、どこで誰が発症するか分からないし、あなたの大切な人が発症するかも分からない。そのときにそういう、いい医療機関に一刻も搬送してもらう。ただ搬送ではなくて、スタッフがいるかどうか、そういうところも全部、横浜はチェックしています。ですから、横浜だけいいというわけではないです。旅行先、どこで倒れるか分からないわけですから。そのために、当初は脳卒中に特化した法律で、全国の均等化を図る、ああそうかということで運動をしたのですが、なぜか脳卒中に特化した法律から循環器に包括されまして、非常にややこしい。これは5分で終わりません。
そういうわけで、長々と話しましたけれども、話せば35年話せます。
大変お世話になりました。ありがとうございました。
○永井会長 ありがとうございます。
それでは、続きまして、資料2-9の説明を、日本心臓ペースメーカー友の会からお願いいたします。
○井上参考人 日本心臓ペースメーカー友の会の、私は井上と申します。
今般、このような機会を頂戴いたしましたことに感謝申し上げます。
ただ、本日は誠に貧弱な資料をお持ちいたしまして、申しわけなくもお恥ずかしい次第でございますが、資料2-9のまま進めさせていただきますので、大変に抽象的な話になりますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
第1の課題にお示しいたしましたが、私どもは心臓ペースメーカーの植え込み患者と家族を中心に、専門の医療者と機器技術者で構成される患者団体でございまして、国産第1号の植え込み手術をされました医師団の主導の下で発足して五十数年になります。
東京の本部と全国に29支部を置き、活動を続けてまいりましたが、患者の不安に寄り添い、そして、その不安を払拭すべく、今日まで至っておる次第でございます。
患者の自分の病気に対する理解度というのは総じて低く、これは、ペースメーカー患者の平均の年齢が70代後半、77歳から78歳であるということが大きな理由の1つでございますが、少なくとも医療者と意思疎通のできる「患者力の向上」、つまり、医療者との意思疎通ができるぐらいの努力はしていかなければならない、と、努めてまいりました。
病を得たら終わりではなくて、そこから始まる患者生活を、できるだけ健やかに過ごしていくためには、当事者としての努力も多少は必要であると考えるものでございます。
私ども、全国展開の友の会の活動の中で、会員が訴えますことの多くには、「地域や施設間における医療格差の問題」が少なくございません。これには顧問医師団のネットワークで対応しておるわけでございますけれども、なかなかその不安は拭い去れない状況でございますので、この基本法成立によって解消の方向へ進むことへの期待が大変に持たれるわけでございますので、よろしくお願い申し上げます。
課題の2に移らせていただきます。
短期的に重点的に取り組むべき云々の課題の2でございますが、「病を遠ざける日常生活の在り方、教育の徹底」と申しますか、「予防」、これこそが循環器病対策の最たるものとする「啓発活動の充実」を切に望んでおります。
基本法の第1章、総則の第1条、そして第2条、そして第3章の基本的施策も、予防等の推進から始まります。その徹底、充実が全ての出発点でございまして、例えば、「学校教育の場」からこそ授業実数を増やすと同時に、分かりやすさの工夫、そして、さらなるきめ細やかな、さも検討された上で、早期から実践してほしいと願っておるものでございます。
予防、そして診察、治療、リハビリテーションと、この基本法の中には繰り返し一連で記されておりますけれども、「心臓リハビリ」につきましては、その言葉すら知らない患者が多く、実は医療者側にも多少同じことが申せます。「正しい認識の普及と、そのための工夫」は、ここで特に必要と考えるものでございます。
「地域ケア」等についても同じでございまして、手を差し伸べてくれる存在を知らないのです。それを利用すると申しましても、その存在すら知らない患者が多い。どこに相談をしていいのかとよく申されます。
また、散歩の範囲で行かれるような、かかりつけ医との良好な関係を保っていくということは大変大切なことなのですが、手術や救急搬送の経験があると、遠くても同じ病院へ行かなくてはと考えてしまいがちで、どこかそれも適切なアドバイスが欲しいわけでございます。
ペースメーカーの治療がこの世の中に出て半世紀でございますが、そこでMRI対応の機種や、リードレスという画期的な新機種が登場しておるのですけれども、長期植え込み者の不具合もまた増加いたしております。そのような中、やはり「適切な対応ができる施設には、実は差がございます。全て一定の水準以上にあるとは言いがたい現状を改善してほしい」と願っております。
最後に、10年単位に重点的に取り組むべきと考える循環器病対策云々でございますけれども、若年層のペースメーカーの装着者が増えてきつつあるように思います。そういたしますと、「就学・就労の問題も含め、年代ごとの支援体制の強化」が望まれます。
その次は、高齢化の加速とともに、思うように動けない患者は増えてまいります。「日頃のリハビリ指導に加え、使いやすく質を高い補助具の研究や開発、改良施策も同時に加速」してほしいと願ってもおります。
「デバイスラグやドラッグラグ、タイムラグの解消」を望んではおりますけれども、厳しい検証は外せないわけでございますから、「制度上のプロセスに何か検討の余地はないだろうか」、もう一度立ち返って考えていただけたらと思うわけでございます。
大変簡単な資料に基づく抽象的な発表でございましたが、ペースメーカー友の会からは以上でございますので、よろしくお願いいたします。
○永井会長 ありがとうございました。
続きまして、資料2-10の説明を、全国心臓病の子どもを守る会よりお願いいたします。
○神永参考人 全国心臓病の子どもを守る会会長の神永と申します。
本日、循環器病対策推進協議会において発言の機会を頂きましたこと、心より感謝申し上げます。
当会は、先天性の心臓病を持つ患者・家族の団体です。その立場から、循環器病対策推進基本計画の中に、ぜひとも先天性心疾患患者の施策を入れていただきたく、本日は発言させていただきます。
私たちの会は57年前に設立され、現在、全国に50の支部があり、約3,600世帯の会員がおります。会の具体的な活動については、資料の10ページ以降に書いてございます。こちらは後ほど御参照ください。
それでは、1ページに戻ります。
ここ半世紀の目覚ましい医療の進歩によって、先天性心臓病の子供たちの9割以上が救命され、成人を迎えた先天性の患者は、現在では50万を超えております。そして、その患者は毎年1万人ずつ増加していくと言われております。
私たちが循環器病対策に望むことは、まず、先天性心疾患患者への生涯医療体制の確立です。先天性心疾患は、小児期の手術を経て、状態が安定したとしても、病気が治ってしまうわけではありません。術後の遺残症、遠隔期における続発症や合併症が、年齢とともに問題になってきます。
重症疾患の患者では、チアノーゼが残ったりして、日常活動に大きな制限を抱える患者もおります。
3ページを御覧ください。
また、成人期には不整脈や心不全を伴う場合も多く、再手術が必要になることもあります。フォンタン手術による1心室修復の場合には、心臓以外にも肝硬変、肝がんといった重篤な問題を併発することも分かってまいりました。女性であれば、妊娠・出産は大きなリスクを伴い、通常の産科で対応することは難しくなります。
これらの問題に対応できる医療機関が近隣にはないため、遠くの医療機関に通院せざるを得ない患者は大勢おります。
5ページを見ますと、30代、40代になっても、引き続き小児科にかかり続ける患者も少なからずおります。
また、3ページにお戻りください。
これらのことから、適切な医療を受けることができないために、疾患の重篤化を招くことや、経済的・社会的にも困難を抱えることにつながります。子供から大人へ移行していくための切れ目のない移行を支援する体制整備が必要です。
また1ページに戻りますと、こうした成人先天性心疾患を診ることのできる専門医を増やしていくこと。他科との連携が取れる専門医療施設の整備を迅速に進めていただきたいと考えます。
さらに、大人になった先天性心疾患患者が、自立して生活を送るためには、患者・家族への福祉の充実が求められます。生まれながらに心疾患を持つ子供たちは、手術を経て、病状が一定改善しても、成長とともに様々な困難に直面していきます。疾患が、心理面に影響を及ぼすこともあります。
困難に立ち向かい、自立に向けて努力を続けていく患者の人生を支えるには、障害者や難病施策、小児慢性疾病自立支援事業と連携した総合的な福祉施策の充実を図ることを求められます。
さらに、教育や就労の現場における、先天性心疾患への理解を広めていくことも重要です。学校や職場において疾患への理解が得られれば、一人一人の患者が、より豊かに、より充実した生活を送ることができます。そのためには、子供から大人になっていくときの切れ目のない社会的な支援が必要です。
これまで述べてきた問題につきましては、4ページ以降の資料をぜひお読みいただきたいと思います。
私たち先天性心疾患患者や家族の声を、循環器病対策推進計画の中の策定において、ぜひとも反映させていただきたいと強く願っております。そして、今後も先天性患者が困っている実態をお伝えする場、患者家族の声を届ける場を引き続き設けていただきたいと願っております。
本日はありがとうございました。
○永井会長 ありがとうございました。
それでは、ただいま御説明いただいた資料2-7から2-10までの発表を踏まえまして、御質問・御意見を頂きたいただきたいと思います。いかがでしょうか。
山本委員、どうぞ。
○山本委員 2点ありまして、1つは、今の先天性心疾患の子供さんの話ですけれども、実際、私も自分の施設で、横で見ているというか、たまに患者さんを診ることもあったのですけれども、ほかの心疾患とか脳卒中とは全く違う状況に置かれているということがあって、今、ようやくがん対策基本法ができて、最近になってAYA世代のがん患者さんという話があって、そういうところはまた特別というか全然状況が違うので、別扱いというかそれに適したことを考えていきましょうということが出てきていると思うのですけれども、やはり、この中でも、小さいとか成長期にかけての患者さんというのは、その後の非常に長い生活が待っているということもあるので、そこはまた別のことを考えていかないといけないのではないかなと思いました。
もう一つは、先ほどから、やはり患者さん方の声として、どこに情報があるのか分からないということがあちらこちらから出てきていると思います。いろいろな職種が連携してと言っていますけれども、患者さんから見ると、どの人がどの職種かということがよく分からないのです。
例えば、ケアマネさんもソーシャルワーカーさんもリハの先生も、かかりつけ医も、みんなが基本的な情報を共有していて、どこにいても基本的な情報にはアクセスできるという、ワンストップサービスというか、どこにいってもある程度共通の情報がちゃんと取れるような形にしておいて、そこから先、そこから、次はあちらに行きなさいとか、こちらで相談しなさいというナビゲーションがされないと、患者さんは、どこかに行ったら、ここにありませんと言われるのでは困ると思うので、そういう工夫が必要なのではないかと、聞いていて思いました。
○永井会長 ありがとうございます。
峰松委員、どうぞ。
○峰松委員 失語症に関連してですが、この法律が決まったときに、附則で4つ新たに項目が加えられました。その中に、てんかん、失語症等の脳卒中の後遺症に関して特別に条文を作っていただきました。これは、もともとの条文案には入ってなかったのが、わざわざ入れられたものです。心臓のほうも、幾つかの病気に関しても同じような形で扱われています。一般的な疾患や症状を中心に法律を作ると、こういった特殊な部分が抜けてしまうという観点で入れていただいた訳で、これは非常に大事なことだと思います。しかし、今説明してもらったように問題が余りに大きくて、基本計画を作る段階で、何から始めたらよいのか、優先順位をつけるのが大変難しいと感じました。
関連する法がたくさんあるがゆえに、現状をよくしようと思ったら、それを一つ一つ潰していかなくてはいけない。時間もかかるし、エネルギーも必要です。日本失語症協議会は全国組織なので、うまくいっているところ、そうでないところがあると思います。それから、海外に失語症センターがどうのこうのと言われていましたが、国内外の成功事例を幾つか挙げていただいて、可能ならばそれをこの基本計画の目標に定めて、それをモニターするということから始まるのかなと思います。そこら辺はどうでしょうか。
○園田参考人 ありがとうございます。
やはり、今の情報社会で生きづらい障害だと思います。一番発症率が高いのが30代から50代の方で、やはりこれから第二の人生を、コミュニケーション障害を持ってどう生きるかというのを皆さん悩んでいます。したがって、その社会参加、家庭復帰、就労まで行くというのは、とても大変な道です。したがって、そういうものが全て交ざり合ったような失語症センターなり脳卒中センターの中に失語症のこと入れていただいて、そこで総合的に支援していただくような体制を作っていただく。
そして、就労したら、企業側と患者側といいますか、そういうコラボレーションをしっかりと取る。つまり、就労して3か月だけ支援します、あとはほったらかしです、そうではなくて、ずっと支援していただくような体制をキープしていただかないと、やはり失語症の方は完治ということがないので、それはもうずっと続く。支援はもうこの段階でいいということがないのです。ですから、ずっと支援していただけるような体制を作っていただくのが、私にとっては望みでございます。
ありがとうございます。
○永井会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
小室委員、どうぞ。
○小室委員 今、全国心臓病の子どもを守る会の方のお話に関しまして、おっしゃるとおりでありまして、私は第1回の本協議会におきまして、専門医または専門施設が必要な疾患として、肺高血圧と並んで成人先天性心疾患が重要であるというお話をさせていただきました。
日本循環器学会でも、数年前より成人先天性疾患の重要性を認識し、昨年は、移行医療に関する提言を厚労省に提出させていただいています。また、全国に、循環器内科医が成人先天性疾患の患者さんを診るように、循環器内科医と小児科医、また心臓外科医が連携をして、成人先天性外来をするように、成人先天性心疾患学会と一緒に推進しております。
今日お話を頂いて、さらに認識したのは、疾患に対する認識がまだ非常に低くて、多くの方がほとんど知らないと思いますので、その点に関する啓発活動も今後行っていきたいと考えています。
以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
美原委員、それから山本委員、どうぞ。
○美原委員 ちょっとお聞きしたかったのですが、今、失語症のお話のときに、失語症センターみたいなものがあったらいいとの御意見でしょうか。
脳卒中の後遺症として失語症のある患者さんは在宅に戻ってらっしゃるわけですよね。まさにそこのところで、よくセンター化、センター化と言って、県に1つというよう集約化するのではなく、もっと満遍なく、それぞれの地域において、つまり、地域包括ケアの中で、そのような患者さんに適切なリハビリやケアが提供できる体制を整えることが、より住民にとってはいいのではないかと個人的には思っています。
今、急性期治療の集中化をすべきという話がありますが、同じように、慢性期も、何でもかんでも集約化、センター化すべきであるということには、少し違和感があるのです。むしろ、今の脳卒中に関して、あるいは心臓に関しても、診療提供体制を、アメリカのようにセンター化を急速に進めるのではなくて、それぞれの地域で、小さな病院とは言わないまでも、それぞれの病院が、頑張っていることを認めて欲しいように思います。確かにセンター化したほうが、治療成績がよくなるかもしれないけれども、いきなりそこに突っ込んでいくのはいかがなものかなと、僕は思っています。
今、お話があったように、特に慢性期の医療提供体制に関しまして、センター化することが本当に地域住民によっていいことかというのを、もう一度よく考えてみる必要があると思います。やはり、慢性期の患者さんで在宅に復帰している人には、そのそばで、住んでいる地域の中で、いい診療というか、いい治療提供体制が構築されることが望まれるのではないかと思いまして、意見させていただきます。
以上です。
○永井会長 どうぞ。
○園田参考人 もちろんそうだと思います。ただ、若年というかお若い方にとっては、地域社会で生活することは人間の基盤ですから、それは地域包括で連携を持って支援していただくのは大変重要です。ただ、家庭から一歩出て、社会に出たときに、いわゆる就労支援と機能回復訓練が一体化しているセンターというものは、再就労する、また、新たに復職する失語症者にとっては、地域だけの中で生活するわけではないので、そういう情報をたくさん蓄えているセンター。センターは、単なる名前をセンターとしただけなのですけれども、そういう機関が絶対必要だと思います。
高齢の方だけでしたら。でも、高齢の方でもやはり地域社会に出ていかなければいけない。家庭の中で閉じこもっていて、来る支援者だけを待っているのか、そういうことでは社会参加できないと思います。
また、学生さんも多い、学業に復帰する、そういうことになりますと、どうにかしてチームで支えていただく、地域のチームも必要なのですけれども、多くの情報のあるセンターというものを活用して、社会に出ていくというのは、私は必要だと思っております。
○永井会長 ありがとうございます。
山本委員、どうぞ。
○山本委員 先天性心疾患の方々の就労もそうですし、学生とか若年で、働き盛りの方で失語とか高次脳機能障害が起こった方もそうなのですけれども、広義では障害者に入ると思うのですけれども、実際にはそこの障害者に対する就労支援というのが、日本の中では、障害者というのが、目に見えた麻痺とか何かそういうものがない人を障害者と捉えるというところがかなり欠落していて、結果的に、実際、先天性心不全の人とか、ある程度以上働くとチアノーゼが出てしまって動けなくなったり、そういう方も結構いらっしゃるのに、そういうところは障害としては捉えられていないところがあります。
別々に見るのがいいのかどうか分かりませんけれども、就労支援というところに関しては、ある程度、障害者という枠組みの中で考えていくという必要も、それはそれでまた障害者支援法がまた別にあるので、そことどううまくつなげていくのかということを考える必要もあるのかなと思いました。
○永井会長 ありがとうございます。
いろいろと共通の問題も多いと思いますので、全体を通じて、さらに御質問・御意見を頂きたいと思います。
どうぞ。
○横田委員 横田です。
前回、たしか9団体、今回が10団体のご発表で、非常に感じたことは、“連携”や“パス”というキーワードが出てくるわけです。それは極めて重要で、それは進めていかなくてはいけないのですけれども、これだけ多職種あるいは多組織が関わる脳卒中、循環器の疾患は、恐らくまだまだ関わる職種や組織があるはずだと思います。それらをどのように連携していくかというところがポイントで、質の高い医療と効率のいい医療を提供するというのが大きな課題だと思います。
そこには、データベースという発想が当然出てくるのですけれども、データベースの大きな意味というのは、1つは研究、疫学に資する。もう一つは、実臨床に役に立つということです。実臨床に役に立たないと何の意味もないということで、例えば患者さん個別のポータルサイトや医学部の学生教育でその重要視されているポートフォリオのようなシステムが必要です。個人情報保護というのは前提ですけれども、やはり全ての脳卒中、循環器に関わるスタッフ、職種が、データベースにアクセスできて、自分から患者さん個別の情報を取っていくシステムが必要でしょう。
例えば、私は磯部先生と同じように、厚労省から研究費を頂いて、3年間、ある地区の脳卒中と心疾患のパスをモニターしたことがあります。前者、脳卒中のほうは非常にパスの運用率が高い。それは、ある施設が特段の努力をしているのです。一方、心疾患のほうは、初年度は非常に導入率が高かったのが、あっという間に3年で下がってしまった。これは診療報酬のこともあるのですけれども、やはりそこには特段の努力をしている施設がなかったことが大きな理由です。そうしますと、やはり一定以上の努力が必要なのですけれども、やはりここにはICT化を使った形の効率化というのが重要だと思います。
やはり、連携を組まなくては質の高い医療というのはできませんので、せっかく法律ができたので、良いデータベースを作っていただいて、急性期から回復期、維持期、生活期までを網羅できるようなシステムを作るべきだと思います。
○永井会長 ありがとうございます。
羽鳥委員、どうぞ。
○羽鳥委員 横田先生の意見に全く賛成です。循環器疾患のパスを作るというのはとても大事だと思います。
脳卒中連携のパスがとても有効に働いていたのは、前々回の診療報酬改定で、パスを作ること、連携の会議を開催することが年間3回やることによって、診療報酬の加点があったのです。前回の診療報酬改定でそれがなくなって、運用の効率が下がってしまったということもあるので、何でも診療報酬に結びつけてしまうのはよくないですけれども、加算する仕組みを作ってほしいということが1つ。
それから、もう一つ、昨日、おとといと、日本医師会で医療情報システム協議会というのをやっていました。EHR、PHRの話、それから、個人情報保護法の話もありましたけれども、例えば、いわゆる遺伝子の問題とか機微な情報というのは、これら脳卒中、循環器の疾患に関しては多くないのではないか。むしろそれよりも、御本人、家族の人、ケアマネさん、訪問看護の方、救急病院の方、みんなで共通してデータを持つ、救急に対応できることが大事だと思うので、個人情報保護の仕組みをまず第一に、と考えると、失敗すると思います。
例えば、栃木県の「どこでも連絡帳」のようにKMSというソフトを使いながら、在宅の患者さんの共有データを持つ。今、こういうことが起きている、例えば、その場合には褥瘡があったとか、家族、ケアマネさんや訪問看護から話を伺ってもらうのと同じように心不全はどうか、FAST兆候が出たとか、そういうことだと思うのですけれども、そのような、ここで提言できるような新しい共通のパスみたいなものを提案したらどうでしょうか。
○永井会長 石川参考人、どうぞ。
○石川参考人 私どもも、いわゆる情報公開をお願いしたときに、医療機関が、脳卒中者が転院すると、その辺の周知が消えてしまうのです。転院というのがありますので、私の思いつきかもしれませんが、例えば、マイカードのようなもの、持ち回りのカルテがあれば、どこまでがどういう数字が出て、そこから先がどうなったか継続できるのですが、全くそれが切れてしまう。そこに問題があるので、ぜひ、そういう個人情報よりもやはり命のほうが大事だと思います。
そういうことで、ぜひそちらのほうを、診療報酬を上げるから、DPCというのですか、その辺のところを上げると点数が高くなるとかいろいろありますが、それよりも個人情報というよりも、持ち回りカルテといいましょうか、これをぜひ実現して、医療の質を高めていただきたいと思います。
○永井会長 それについては、今、PHR、個人カルテという話が始まっています。協議会が始まっていますので、恐らくそういう方向へ向かうのだろうと思います。
ほかにいかがでしょうか。
木幡委員、どうぞ。
○木幡委員 皆さん、いろいろありがとうございました。
聞いていまして、やはり、予防、発症、搬送、治療、さらには回復期、生活期、それぞれのステージがあって、それぞれにまだ改善すべき点があって、さらに、それがまた臓器ごと疾患ごととかに分かれていて、何だかとても複雑だなというのが非常によく分かりました。
やはり、これでは、患者さん、国民が正しい情報にすぐにたどり着くことができないのではないかなと思っていまして、ワンストップの情報センターみたいなものはもちろんいいと思うのですけれども、既にがんもそれがあったり、もしかしたら、これからもっと違う病気に関しても出てきたりすると、結局、ワンストップならなかったりもするかもしれませんので、本当に私たちからすると、どの臓器がおかしくなったから、今、この症状になっているかというのが分からないので、症状から入ってこの病気は何なのかというところが分かるとか。
健康で長く生きるために、どうしたらいいかというシンプルなことだと思うので、そういう視点に立ったときに、どういう情報発信の在り方がいいのかというところも、ワンストップセンターを作る際は考えたほうがいいのではないかと思いました。
それから、あらゆるステージにおいて何が足りないのか、患者さんは何に一番困っているのかという部分は、ぜひ、メンバーにも入っていらっしゃる安藤さんとか川勝さんとか、今日は、大橋さんはいらっしゃっていないのですが、経験者の声というのを聞きたいなと、私などは思っていますけれども、もしよろしければお願いできますでしょうか。
○永井会長 堀場委員、どうぞ。
○堀場委員 今、心臓病のお話がありまして、心臓病の患者本人の堀場です。
結論から話しますと、医療ソーシャルワーカーの方には、特に急性期の最初のサポートを手厚くしていただきたいと考えます。そう思ったのは、私自身もそうでしたし、私の知っている病になっている人たちもそうでしたが、例えば、健康だった人が突然病に冒されたとき、そのときの不安や悩みに押し潰されそうな精神状態であり、一人では到底解決できない状態、一緒になって考えていただけるソーシャルワーカーの存在は非常に大きいと感じたからです。
極端に言えば、受けられるサポートをこれだけあるとしたら、全体をこれだけとすると、最初のほうに重点を置いていただけたらいいと私は思っています。よろしくお願いします。
○永井会長 ありがとうございます
ほかに御発言はいかがでしょうか。
川勝委員、どうぞ。
○川勝委員 川勝です。
今日は感想という感じでお話しします。
感動したお話が2つありまして、石川さんの話で、リハビリのことをこうおっしゃられた「リハビリの本番は家庭に帰ってから、と習った」、これは、私はずっとセミナーをやっていますけれども、リハビリは、社会生活そのものがリハビリだと言っています。ですから、私も脳梗塞経験で16年目ですけれども、本日までリハビリなのです。今日の今まで。そういう思いでずっと過ごしてきて、多分、石川さんも同じ思いをお持ちだと思うのです。
そのことが、正しく患者さんにもう少し早く教えれば、心に火がついて、リハビリももっと効果が出てくると思うのです。リハビリの医学会も頑張っていらっしゃるのはよく分かります。もう少し、なぜリハビリをするのかとか、根本的なところ、脳が壊れて、こういうふうに補完する、こうやって動いてとか、医学の言葉ではなくて普通の言葉で、患者目線での言葉でリハビリについて教えれば、もっと早期に回復する人が出てくるのではないかなという思いを持っています。ですから、リハビリを正しく理解していただくことがまず求められている。これが進めば後遺症がある患者への正しい理解が進み、社会復帰も進んでくると思います。
もう一点、ペースメーカーの井上さんの話で、資料の真ん中に書いてあるのですけれども、この言葉はすごくいい言葉で「病を遠ざける日常生活の在り方教育の徹底」と書いてあるのです。この言葉は極めて日本的でいい言葉ですよね。これは、一般的には生活習慣の改善というのです。それらのものは命令形なのです。生活習慣の改善。上から目線。ですから、病を遠ざけてくれるわけです。そういうことのために、日常生活の改善です。皆さんの日常をこう過ごせばいいのだよということを教える、今後作成する計画にこのように柔らかい表現があれば都道府県の計画もわかりやすくなるし国民が読んでも今までとは違うと興味を持ってくれるのではと思います。この優しさが根幹にあれば社会も変わってくるのではないかという感想を持ちました。
以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
石川参考人、どうぞ。
○石川参考人 川勝さん、ありがとうございます。
よく聞くのは、リハビリをどこまでやればいいのかと。完治しないわけだから。ただし、これは医療提供者が言う言葉ではないのです。医療提供者は可塑性を追求して、医療水準を上げていただく。だけれども、私たち当事者としては言えるのです。完治はしないよ、ほっておいたら逆にどんどん廃用症候群が進みますよと。だから、アウトドアをしましょうねと通じるのです。それを言えるのです。この辺のところをはっきり言わないと、健常の亡霊を追い求めます。元気なときの自分に早く戻りたいと。それを焦るから再発するのです。余計な話になりました。
ですから、そういう形で、私がいつも健常な亡霊を断ち切って、今の自分の水準で何ができるか。楽しく、心が動けば体が動く、遊びリテーションという考えで進んでいます。
以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
ほかにいかがほかにいかがでしょうか。
安藤委員、どうぞ。
○安藤委員 入院中は寝たきりで全く筋力がなくなっており、4か月ほどリハビリをして車椅子と杖で退院したのですが、その状態での日常生活では、骨折などでの再入院というのは大いにあり得ることでしたので、病院にお願いし、そこから6か月間毎日リハビリに通わせてもらいました。そのリハビリがあったことで、社会復帰の道が開けました。
一人で歩けるということは、生活、行動、前向きな気持ちなどが大きく広がるので、もし、リハビリが可能じゃなければ、家に引き籠もっていたかもしれないし、そこで先生が「6か月頑張りなさい」と言ってくださったことで、私の次の道が開けたので、できるものであれば、リハビリを希望すれば受けることができる機会が、もっと広がればと思っています。
あと、仕事のほうも、病気と付き合った上で働くということは、通院、入院、日々の体調などの影響で、なかなか正規雇用が難しいのが現状です。どうしても契約社員での雇用が多くなってしまうので、収入の差があったり、キャリアを目指したい人にしたら、まずそこからどうしていくかを考えないといけない。その上、契約社員の無期雇用制度が決まったことで、喜ばれる人もいるのですが、病気と付き合っていながらでも正規雇用、キャリアを目指したい人にとっては、またすごく大きな壁になってしまうというのが現状です。
○永井会長 ありがとうございます。
ほかによろしいでしょうか。
どうぞ。
○神永参考人 先ほどの委員のほうから、ぜひ患者の困っている声を酌み取ってというお話がありました。大変、ありがたいことだと思っております。この協議会にも、御本人の方が参加されていると思います。今後、基本の計画が策定され、さらに都道府県における協議会等の意見を聞く場というのがたくさん出てくると思いますので、疾患の理解というのはまだまだ知られていないというところで、そういう困っているのだという声を聞く場を、今後ともぜひ作っていっていただきたいと、切に願っております。
○永井会長 ありがとうございます。
よろしいでしょうか。
牧野参考人、どうぞ。
○牧野参考人 たくさんの御意見を聞かせていただき多くの学びがありました。
地域で生活される方々が、地域包括ケアの中でどのように生活上の支障を乗り越えて活動していかれるか、そのような場があるかというところは、地域ごとにかなり異なっていると思われます。循環器病患者の通いの場の検討が必要です。
私は東京都内の地域包括支援センターで働いています。「在宅医療・介護連携の推進」に関して述べます。例えば、リハビリテーションについて多職種で連携できるような仕組みが出来上がってきております。循環器病に関する多職種連携手法について各地域で、先進的なところがあれば、連携がどのように形成されていくのかなど確認をし、好事例を共有するというのが一つの近道かなという感じを持ちましたのでお伝えいたします。
あと、一つ御紹介したのが、興味関心チェックシートです。どのようなことに利用者が興味を持ち生活しているのかを確認し、興味や関心のあることをリハビリや社会復帰に活かすことも、過去の事例から役立つ情報ではないかと思いまして、情報提供させていただきます。
以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
どうぞ。
○園田参考人 園田です。
やはり、機能回復訓練施設もそうなのですが、相談支援の窓口、皆さんそうおっしゃっていましたけれども、これが設置されましても、その窓口を利用した患者家族が、ここでどういう成果を得られたかという建設的な相談窓口でなければ意味がないと思います。
相談窓口で何かをしていただいた、自分が何かを得た、そこでこのニーズが達成された、こういう仕組みを、相談支援窓口、また、訓練施設あるいは私などの支援センターみたいなものにも構築していただきたいと切に願います。
○永井会長 ありがとうございます。
大体、時間になりましたので、またお気づきの点は事務局にメール等でお寄せいただければと思います。
本日は大変お忙しい中、委員・参考人の皆様方には、非常に積極的な御意見・御議論、ありがとうございました。次回も幅広く御意見を伺いつつ、また、これまでの意見を踏まえて、引き続き議論を進めたいと思います。
最後に、事務局から連絡事項をお願いいたします
○安井課長補佐 委員、参考人の皆様方、ありがとうございました。次回の協議会の日程と場所ですが、決定次第、御案内申し上げます。お忙しい中恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
事務局からは以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
それでは、これで本日の協議会を終了いたします。
委員、参考人の皆様、長時間ありがとうございました。