医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議(第6回)の議事録

日時

令和4年3月25日(金) 16:00~18:00

場所

TKP新橋カンファレンスセンター 「ホール15D」
東京都千代田区内幸町1丁目3-1 幸ビルディング15階

議題

  1. (1)安定確保会議のとりまとめのフォローアップについて
  2. (2)医療用医薬品の安定供給に関する最近の取組について
  3. (3)その他

議事

議事内容
○田中ベンチャー等支援戦略室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第6回「医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議」を開催いたします。
構成員の皆様におかれましては、お忙しい中、御参加いただき、誠にありがとうございます。
本日の会議については、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、一般傍聴は制限させていただき、報道関係者の皆様に限り傍聴可としております。カメラ撮りは冒頭のみとさせていただいておりますので、御理解、御協力をお願いいたします。
なお、議事録については、後日、厚生労働省のウェブサイトに掲載する予定です。
本日は、新型コロナウイルス感染症の流行状況等を考慮し、オンラインも活用したハイブリッド形式で実施しております。
本日の構成員の出欠状況ですが、欠席されている構成員の方はいらっしゃいません。
また、成川構成員、一條構成員、平川構成員、関構成員、土屋構成員はオンラインでの参加となっております。
次に、構成員の交代がございましたので、御報告いたします。
日本製薬団体連合会品質委員会大久保委員長に代わりまして、土屋直和安定確保委員会委員長が構成員として参加いただいております。
また、厚生労働省側の人事異動により、医政局長として、迫井局長の後任として伊原局長が就任し、林経済課長の後任として安藤経済課長が就任してございます。
以降の議事運営につきましては座長にお願いしたいと思います。
○清田座長 それでは、始めたいと思います。清田でございます。よろしくお願いいたします。
最初に、安藤課長からちょっと御挨拶をいただいたほうがいいのではないですか。簡単に。
○安藤経済課長 恐縮でございます。昨年の9月14日付で経済課長を拝命いたしました安藤と申します。この安定供給の問題、まさに着任早々からいろいろと問題が山積しているという状況で、まだ続いておりますけれども、ぜひとも先生方のお知恵もいただきながら少しでも改善に向けた方向に持っていきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○清田座長 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
それでは、最初に事務局から資料の確認をお願いいたします。
○田中ベンチャー等支援戦略室長
本日の資料ですが、ウェブ会議で御参加いただいている構成員の先生方におかれましては、事前に事務局より送付させていただきました資料、会場にお越しいただいている構成員の先生方におかれましては、お手元のタブレット端末にて資料を御確認いただければと思います。
本日の資料といたしまして、議事次第、座席表、議題1「安定確保会議のとりまとめのフォローアップ」の関係の資料といたしまして資料1-1から資料1-7、議題2「医療用医薬品の安定供給に関する最近の取組について」の関係の資料といたしまして、資料2-1と資料2-2、参考資料1から参考資料6までございます。御確認をお願いいたします。
資料に不備や御不明な点がございましたら、事務局にお知らせください。
なお、冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきますので、御協力をよろしくお願いいたします。
議事に入る前に、本日の会議の進め方の留意点をお知らせいたします。
オンラインで参加の先生におかれましては、御発言時以外はマイクをミュートにしていただき、御発言がある際にはチャット機能等を使っていただき、また、会場での参加の先生は手を挙げるなどしてお知らせください。御発言いただく際にはマイクを利用いただき、発言の最初にお名前をお知らせいただいた上で御発言ください。御発言が終わりましたら、マイクをミュートにしていただきますようにお願いいたします。
会議中、マイクの調子が悪くなるなど、ほかの出席者にとって聞き取りづらい状況が続く場合には、音声の代わりにメッセージで御意見等を記入いただくことがありますので、事務局または調査会長からお願いさせていただくことがございます。その他、システムの動作不良などがございましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局まで御連絡をお願いいたします。また、事務局のサーバーがダウンするなどのトラブルが発生した場合には、事務局からメールで御連絡いたしますので、御確認いただけますと幸いです。御理解、御協力のほどよろしくお願いいたします。
○清田座長 それでは、議事に入りたいと思います。
本日の議題は、1番目「安定確保会議のとりまとめのフォローアップについて」、2番目「医療用医薬品の安定供給に関する最近の取組について」、3番目「その他」となっております。
最近の後発医薬品の品質問題に端を発する全般的な医薬品の供給問題と、この安定確保会議のとりまとめへの対応について、一緒に交ぜて議論すると混乱する可能性がございますので、完全に区別するのは難しいかもしれませんが、まず議題1でこの会議のとりまとめのフォローアップについて議論し、その後、最近の後発医薬品の品質問題を発端とした医薬品供給問題について、議題2「最近の取組について」で取り上げて議論を行うことといたします。
それでは、まず議題1「安定確保会議のとりまとめのフォローアップについて」です。2020年9月に取りまとめられました本会議でのとりまとめを踏まえて、昨年3月の安定確保会議で安定確保医薬品が選定され、カテゴリ分類がなされました。それからちょうど1年が経過しておりますので、「安定確保医薬品を選定し、そのカテゴリを考慮しつつ、必要な対応を順次進める」というとりまとめのフォローアップについて議論したいと思います。
まずは資料の御説明をお願いいたします。
○田中ベンチャー等支援戦略室長
資料を御説明いたします。まず、参考資料4を御準備いただければと思います。この資料は、おととし9月の医薬品の安定確保会議でのとりまとめを1枚の図にしたものです。昨年3月の会議で、左上の水色の枠囲みの部分、安定確保に特に配慮を要する医薬品「安定確保医薬品」が選定されました。
そこで、この安定確保医薬品について、(1)供給不安を予防するための取組(①製造工程の把握、②供給継続の要請、製造の複数ソース化の推進、③薬価上の措置)、(2)供給不安の兆候をいち早く捕捉し早期対応に繋げるための取組(④各社でのリスク評価、⑤供給不安事例の報告)、(3)実際に供給不安に陥った際の対応として⑥、これは下のほうに書いてありますが、診療指針の内容等の見直し、⑦、⑧安定確保スキームということでございます。主にこの1年間に実施されてきた取組について、この内容に沿って御報告をさせていただきます。お手元にこの参考資料を置きつつ、資料を御覧いただけると分かりやすいかと思います。
それでは、資料1-1を御準備ください。製造工程の把握としてサプライチェーンマッピングを実施しているところでございます。昨年は抗菌薬のKey Drug10についてマッピングを実施したところでございますけれども、今年度は安定確保医薬品のうち最も優先度の高いカテゴリAの成分について、品目横断的にマッピングを実施しているところでございます。
現時点では1成分以外については、品目横断的に見れば複数ソースが確保されていますが、安定供給の確保を考える場合にはそれぞれのルートでの実際の供給量、供給キャパシティを考慮することも必要と考えられます。
原薬の製造については、日本のほか南欧諸国、東南アジア、中国、インド、韓国などが散見されており、原料製造についてもおおむね同じような傾向でございますが、比較的中国が多いというイメージでございます。
資料2を御覧ください。これは先ほどの参考資料4の②の部分に該当します。原料の複数ソース化に関連して、経済課で医薬品安定供給支援事業を実施しているというところでございます。この事業は、海外依存度の高い原薬またはその原材料を国内で供給する事業者を支援し、日本国内における抗菌薬等の医薬品の安定供給体制を整備するもので、それに要する予算の2分の1を補助するというものでございます。
第1次公募については令和2年度第1次補正予算により予算額30億円、記載されている3社、Meiji Seikaファルマ、シオノギファーマ、ニプロファーマの提案が採択されております。第2次公募は令和2度第3次補正により予算額30億円、記載されている2社、シオノギファーマ株式会社、Meiji Seikaファルマ株式会社の提案が採択されてございます。第3次公募として、今年度の補正予算により70億円が確保されてございます。こちらについては、今後公募を実施する予定でございます。
続いて、資料1-3を用意いただければと思います。資料1-3は、参考資料4の③薬価上の措置に該当するものについてでございます。
安定確保会議のとりまとめにおいては、薬価の既存の仕組みを活用するとされていたところでございますが、昨年、中央社会保険医療協議会(中医協)において議論がされまして、安定確保医薬品に関する措置が令和4年度薬価制度改革に盛り込まれました。その資料の抜粋が資料1-3になります。
ページの下「III 医薬品の安定供給の確保、薬価の透明性・予見性の確保」のところに「1.安定確保の優先度が高い医薬品の取扱い」と記載がございます。次のページの四角い枠で囲まれている部分に、安定確保医薬品のカテゴリAの医薬品を基礎的医薬品の区分として追加するということが記載されてございます。3ページ目に取扱いのイメージがございますので、御覧いただければと思います。
続きまして、資料1-4でございます。これは参考資料4の④製薬企業各社におけるリスク評価に関する資料でございます。業界団体における自主的な取組として、定期的な自己点検を実施することとされておりますので、日薬連安定確保委員会の土屋委員長から御説明をいただければと思います。
土屋構成員、よろしくお願いいたします。
○土屋構成員 日薬連安定確保委員会の土屋でございます。本日はよろしくお願いいたします。
まずもって、昨今の医療用医薬品の供給不足につきましては、患者様、医療関係者の皆様、医薬品卸の皆様をはじめ、多くの関係者の皆様に御迷惑と多大な御負担をおかけしておりますこと、この場を借りまして深くおわび申し上げます。業界として少しでも通常の状態に戻していくべく取り組んでまいりますので、御指導よろしくお願いいたします。
それでは、資料1-4に基づきまして、自主点検の状況について報告いたします。
スライド2は、今回の調査の目的と方法でございます。目的は、2021年度に選定しました安定確保医薬品の自主点検の実施状況について確認したものでございます。内容はウェブアンケート方式で、調査期間は御覧のとおりです。
次のスライドは自主点検の調査内容でございます。まず、安定確保医薬品のカテゴリごとに製造販売承認を保有している品目数を聞いております。それからまた、質問4では、2019年7月に業界団体から発出いたしました「医療用医薬品の安定供給に関する自己点検の実施」を会員会社に対して依頼をしておりますが、その実施状況の有無、実施頻度について伺っています。最後に、安定確保医薬品に対して、改めて自己点検で具体的な取組事例について自由記述で聞いているところでございます。
次のスライドはその結果でございます。安定確保医薬品のカテゴリAにつきましては、製造販売承認を保有する38社のうち、自己点検の実施率は76%。カテゴリBでは32社のうち実施率は88%。Cでは134社のうち66%。安定確保医薬品カテゴリAからCいずれかを保有している会社135社のうち、実施率は65%という形になっております。
御覧いただきますと、カテゴリAを保有している会社においても自己点検が実施できていないことが確認されておりまして、自己点検未実施の理由を確認したところ、業界団体で提示した自己点検チェックリストではなく、自社の自己点検マニュアルを用いて実施しているという会社が多くございました。また、実施頻度につきましては、約4割の会社が1年に1回以上という実施状況でございました。
次のスライドは、安定確保医薬品の自己点検の取組状況について、自由記述で記載していただいた事例でございます。見ていただきますと、1つは、安定確保医薬品に重点を置いた自主点検の取組事例としまして、ほかの品目よりも優先度を上げて対応している。あるいは安定確保医薬品に該当する全ての品目を最も高いプライオリティーに位置づけて対応している。あるいは医療上の必要性が高いという観点から、原薬を複数の原薬製造所から購入するとか、原薬在庫が保有されているかを自己点検にて評価するということ。それから、毎月個別に原薬及び製品在庫状況を確認する等に取り組んでいるという報告を受けているところでございます。
次のスライドをお願いいたします。我々はこのアンケート結果を踏まえまして、業界が提示しております自己点検について、しっかりと安定確保医薬品に対して重点を置いた取組をしている企業がある一方で、十分に定着していないという状況も見受けられています。
その背景には、先ほど申し上げましたが、自社独自のマニュアルを用いた自己点検にとどまっている状況が見られましたので、今般、会員会社に対しまして、各社の独自のマニュアルの中にも業界が提示しました自己点検項目を網羅いただくなど、改めて自己点検マニュアルの見直しの検討を依頼するなどして、安定確保医薬品を含む全ての医療用医薬品の定期的な自己点検を実施するべく、再徹底を行っているところでございます。
 
以上でございます。
○田中ベンチャー等支援戦略室長 土屋構成員、ありがとうございました。
続いて、資料1-5を御覧ください。参考資料4の⑤供給不安事案の報告について、供給不安時の対応の事前整理、供給不安情報の公表といったものに関する資料でございます。
1ページ目は令和2年12月18日に発出した通知で、医療用医薬品の供給不足に係る適切な情報提供についてです。
3ページ目の上のところに供給不安が判明した際に情報提供する内容について記載がございます。1ポツの(1)から(4)までになりますが、(1)供給不足の原因と解消の見込み、(2)優先して対応すべき疾患などの優先順位、(3)代替薬・代替療法などの対応策、(4)医療関係者や卸さんからの照会対応の窓口についてとあり、このような情報について医療現場にしっかり提供していただくとともに、適宜、日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会等へも提供いただき、経済課にも同じ情報の提供を依頼している通知でございます。
少しページをめくっていただきまして、13ページを御覧ください。13ページは令和3年5月28日付の通知でございますが、昨年の本会議において御議論いただいたものでございます。医療用医薬品の供給不足が生じる場合の対応スキームについて、本会議の議論の内容を踏まえまして、それを文書化したというのがこの通知でございます。15枚目にスキームの図が記してございます。個別の医薬品の供給不足をなるべく早く察知して必要な対応ができるようにということで考えられたスキームでございますが、今般は多数の医薬品の供給が同時多発的に不足しているという状況で、いわば、緊急事態という形になっていますので、このスキーム自身を活用するというのは、現状としてはなかなか難しい状況と考えておりますけれども、まずは医薬品の供給をより正常に近づけていき、そしてこの対応スキームが適用できるような形になれば良いなと考えております。
続いて、資料1-6をお願いいたします。昨年の会議で安定確保医薬品が選定されましたので、安定確保医薬品の基となる医薬品リストを提出いただいた各学会へ安定確保医薬品が選定された旨を御報告させていただくとともに、それぞれの学会において、供給不足が生じた場合の代替薬・代替療法、その優先順位のあらかじめの検討、情報提供の在り方や相談窓口の設定、学会内での情報提供の周知の方法について検討していただいたものでございます。
各学会から御提出いただいたものの中から対応の参考となりそうな情報を取りまとめて、ここにお示ししたのがこの資料になります。
まず、3ページ目は、日本化学療法学会ほか5学会の連名による抗菌薬の安定供給に関する提言でございます。
8ページ目の一番左側に抗菌薬が書いてございまして、推奨される代替薬等について右側のほうに記載がございます。
11ページ目は日本泌尿器科学会から提出いただいたものの扱粋になります。シロドシンの代替薬・代替療法、12ページにテストステロンエナント酸エステルの代替薬・代替療法等の記載がされてございます。
13ページからは日本核医学会からの提出資料でございます。同一成分薬や同効薬が記載されており、代替薬がない場合の代替法についても記載がされてございます。
17ページは日本放射線腺腫学会からの提出資料で、代替治療法や、学会における安定供給の検討・相談窓口、情報の周知方法等の記載がございます。なお、具体的な連絡先等についてはこの会議の資料においてはマスクをさせていただいております。
19ページからは日本産科婦人科学会からの資料で、供給不安時の代替薬・代替療法とその優先順位についてのあらかじめの検討の状況、22ページからは日本集中治療医学会からの資料で、対象医薬品の現状の把握、使用制限の取り決めの制定、代替薬・代替療法についての情報、25ページからは日本小児科学会から提出された資料で、代替薬、代替療法、優先順位、相談窓口・連絡先、周知の方法などについてまとめられてございます。窓口は個別の先生の連絡先が示されておりますが、先ほどと同様、この資料ではマスクしてございます。
34ページからは日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会からの提出資料で、供給不安発生時の代替薬・代替療法とその順位、相談窓口の設置について御検討いただいたものです。
36ページ目からは日本ペインクリニック学会、39ページ目は日本臨床腫瘍学会、40ページ目は日本眼科学会からの提出資料をそれぞれまとめてございます。
今回幾つかの学会の資料をここにまとめさせていただきましたが、各学会においても医薬品の供給状況に不安が生じた場合に対応できるように、それぞれ対応策について御検討いただけていることがお分かりになると思います。
続きまして、この議題の最後の資料になりますが、資料1-7を御覧ください。実際に供給不安に陥った際の個別の対応について発出した事務連絡を一つにまとめたのがこの資料になります。実際にこの1年の間に様々な要因により様々な医薬品の供給不足が生じました。まず、1ページ目はフロポフォールでございます。新型コロナウイルス感染症による急激な需要の増加により供給が不足したということで、日本麻酔科学会と協力して必要な対応について連絡したものがこの事務連絡でございます。
3ページ目はアルファカルシドール製剤に関するもので、ちょうど同じ時期に同種同効薬のエルデカルシトールの供給も不足する中でのアルファカルシドールの出荷停止により供給不足が生じたということで、関連する学会と協力して対応を行ったものでございます。
7ページ目はアブラキサンに関するものでございます。海外の製造施設の不具合により供給量が少なくなったということで、必要な患者さんに優先的に使用いただけるよう関係学会と協力して対応したというものでございます。
10ページ目はデキサメタゾン製剤に関するものでございます。新型コロナウイルス感染症患者の増加に伴う需要増が原因で供給が不足したというものでございます。
11ページは先ほどのアルファカルシドール製剤の続報、14ページはデキサメタゾンの続報、20ページは昨年11月末に発生した日立物流西日本の物流センター火災に関するもので、火災による在庫の消失の影響が医薬品の供給に与える影響をなるべく小さくできるように、安定供給についての協力を依頼したものでございます。
22ページ目は昨年12月のカルバマゼピン及びバルプロ酸ナトリウム製剤に関する安定供給に対する協力依頼ということでございます。てんかん学会と協力して対応したものでございます。
以上が議題1に関する資料となります。
○清田座長 ありがとうございます。
ここまでの資料につきまして御議論いただくことにいたしますが、どのような御意見でも結構ですので、御自由に手を挙げていただいて御意見をいただければと思います。いかがでしょうか。宮川先生、どうぞ。
○宮川構成員 日本医師会の宮川でございます。
まず、一言だけ申し上げますと、1-6の資料でございますが、日本医学会の会長は、門田守人先生ですけれども、日本医学会というのは日本医師会の中の学術組織でございますので、日本医師会としてもこの事実を非常に重く受け止めております。様々な安定供給に向けた提言が各学会から出ていますけれども、その思いを日本医師会としても非常に重く受け止めておるということはまず一言申し上げたいと思います。
それから、質問というか、日薬連にちょっと教えていただきたいことがございます。1-4の最後のスライド「自己点検の状況調査」というところで、「自社独自のマニュアルを用いた自己点検を実施している会社も多かった」ということですが、実際に自社独自のマニュアルというものと業界のマニュアルとの整合性が大切です。ここに「網羅いただき」と書いてあるだけで、どのくらいの一致率なのかが不明確です。それと、「実施するよう再徹底を行う」と書いてございますけれども、これは期限としていつまででしょうか。その辺の時間的なことを教えていただきたいと思います。
○清田座長 いかがでしょう。
○土屋構成員 日薬連の土屋でございます。
今の御質問に対しまして、まず今回アンケート調査におきましては、内容の細かい項目までは踏み込んでおりませんので、不明な部分がございます。ただ、業界が2019年7月に提示しました自己点検は、各社が同じ物差し、基準で点検できるようにということを基に作成しましたので、業界のマニュアルをきちっと自己点検の中に組み込んでいただくという形で連絡、指示を出す予定です。、昨日このアンケート結果を基に、会員各社に対して通知を出しているところでございます。
2つ目の点ですが、自己点検の再徹底に関しての実施時期ですが、先ほど申し上げましたとおり、昨日アンケート結果とともに再徹底の事務連絡をしましたので、その結果、状況につきましては、今後、再度調査をする必要があると考えているところでございます。
以上でございます。
○宮川構成員 ありがとうございます。
そういう意味では、それを徹底していただくことと、その時期をなるべく早期にしていただいて、それに対して十分な情報をこれから提供していただきたいと思います。
以上です。
○土屋構成員 承知いたしました。
○清田座長 その時期についてはまだ決定されていないようですので、分かり次第当局のほうに御連絡いただくということでよろしいでしょうか。そのような理解で。
○土屋構成員 この調査の時期につきましては、また経済課と御相談をさせていただいて、御報告をさせていただこうと考えております。
○清田座長 ありがとうございます。
いかがでしょう。どうぞ。
○安部構成員 分かりやすい説明をありがとうございました。
資料1-1と1-2でありますが、今回サプライチェーンのマッピングをしっかりしていただいて、1-1の下の四角囲みの中に「マッピングによる現段階の気づき」が整理されています。このとおりだと思っていますし、1-2では、今、具体的に医薬品安定供給支援事業で原材料等の国内生産に対して一定の事業を補助して進んでいるということをお示しいただきましたが、昨今のコロナとか国際紛争の状況を見ると、この程度の予算で今、しっかり事業が進んでいますが、そのほかの重要な医薬品成分、原料について、スピード感を持ってというか、ギアを上げてしっかりと対応していくことがこの状況下では必要なのではないかと感じています。政府もサプライチェーンの強靱化を国の方針としておりますので、さらにこの支援事業等を充実させるということも含めて、意見として申し上げることが必要なのではないかと考えています。
○清田座長 ありがとうございます。
具体的に原材料の候補というのはもう挙げられているのですか。どうぞ。
○安藤経済課長 ありがとうございます。
今、安部委員からもございましたように、政府としてまさにサプライチェーンの強靱化に向けた取組について、大きな方針をお示ししているところでございまして、その現状について御報告をさせていただきたいと思います。具体的には経済安保の推進法、一括法として、まさに今、内閣委員会、国会のほうで御審議をいただいているという状況でございますけれども、どういう枠組みになっているかということ。資料がなくて、口頭で恐縮ございますが、簡単に申し上げますと、まずサプライチェーンの強靱化につきましては、この法律に基づいて、特定重要物資という形で、要するに、何の物資について強靱化を図っていくかということについて政令で定めるということになってございますが、まずは特定重要物資を定めるというところから始まるところでございます。
そもそもとして特定重要物資の中に医薬品が含まれるのかどうかということについて、かねてより様々なところで議論となってございましたが、それにつきましては政令で定めるということでございますし、さらに医薬品が位置づけられるにしても、どういった医薬品がこの中で位置づけられていくのかということについて、具体的な考え方等については法律が成立した後ということになると思いますけれども、大きな枠組みとして、医薬品については明確に特定重要物資の中に位置づけられる、そういう想定だということについては、今朝方の内閣委員会の中で小林大臣のほうから明示的な答弁がありましたので、そういう方向で政府としては受け止めて位置づけをしていくということだろうと考えております。
特定重要物資がまず定められて、医薬品が想定されていると。特定重要物資が定められますと、医薬品であれば厚生労働省のほうで、まずは取組方針と。具体的にどうやって強靱化を図っていくのかという大きな方針がそれぞれの特定重要物資ごとに定められるということになります。
さらに、医薬品に係るメーカー、主として製造業者において、実際にどうやって強靱化を図っていくかという計画をつくっていただくということになってございまして、さらにそういった企業の取組に対して、国として支援を行うと。その支援の中身・方法につきましては、この法律に基づいて基金を造成する形になってございまして、基金ができますので、基本的には年度というものの拘束を超えて、年度をまたいだ形での支援というものが可能になるというところに一番の意味があるわけでございますけれども、その基金を造成した上で、それを活用しながら支援を行っていくというのが、今、まさに国会で審議をいただいている経済安保推進法案の中でのサプライチェーンの強靱化の大きな中身になっているということでございます。
もちろん、この法案の中でもその前提として特定重要物資。経済安保の法案でございますので、当然サプライチェーンがかなり特定の国に限定されているといったことが一つ大きな要件として考えられることでございますが、それを見極めていくに当たっては、今まさに我々が資料1-1に書いてございますようなサプライチェーン調査を行っていくことが必要になるということでございます。
この法律に基づいても調査できる形、そういう規定が設けられているところでございますけれども、厚生労働省はセファゾリンの問題がございましたので、この法律ができる以前の段階からまさにこの取組を進めてございまして、スピード感という意味で申し上げますと、この法律が成立して、実際に実行に移っていくまでには、特に安定確保医薬品についてこういったサプライチェーンのマッピング調査というものを行った上で、要件の該当性があるものについては、まさに経済安保推進法に基づく、先ほど申し上げました支援の枠組みの中でしっかりサプライチェーンの強靱化を図っていくという流れに移していきたいと考えているところでございます。
法律の具体的なところは実際に成立した後にまた詰まってくるということになると思いますので、現時点で今、申し上げた以上の細かいところについては、正直我々もまだ分からないところでございますけれども、サプライチェーンの脆弱性があるものについてはしっかりと取組を進めるということになってございますので、先ほどの繰り返しになりますが、この法律の成立に合わせて、そういった医薬品についてはしっかり取組が進むように、まずはこのサプライチェーンマッピング調査というものをしっかりスピード感を持って対応していきたいと考えているところでございます。
○清田座長 ありがとうございます。
原材料の重要度のプライオリティーというのは、大体腹積もりはできているのですか。具体的な弱そうなところがどこら辺にあるのかと。その法律が出来上がって、支援事業を始めましょうというときに、では、こういう物質から支援していきましょうというのは大体。これはまだ決めてはいないのですね。
○安藤経済課長 まさにサプライチェーンのマッピング調査の中で、どこに脆弱性があるのかというところを今、見極めるべく作業を進めているという状況でございます。
○清田座長 私は蛭田構成員にちょっと確認したいのですけれども、この安定供給事業で既に予算が下りているものがありますね。6-APAだとか。それはもう始めてはいるのですが、実を結ぶのにちょっと時間がかかるということも伺ったことがあるのですけれども、どんな感じなのですか。すぐに原材料が出来上がるわけではないですね。何か御存じであれば御紹介いただきたいのですが。
○蛭田構成員 会社から抜けてから時間がたつので、現在どうなっているかということは把握していない部分がございますけれども、この会の第2回ぐらいのところで私から御報告させていただいた、原材料を国内生産するとしたらどのぐらいかかるよという試算から比べますと、今、予算化していただいている部分が大体10分の1ぐらいの額でございますので、重要な原材料を国産化するということに関しては、まだまだこれからの課題なのかなと思っています。今、国産化に向けてどこまでできるのかという検討とか、どういった設備を投資していけばいいのかというところで検討がスタートしている段階なのかなと思います。まだまだ時間はかかる。
○清田座長 これからということですね。
○蛭田構成員 はい。
○清田座長 ありがとうございます。
どなたか御意見ございますでしょうか。どうぞ。
○平川構成員 日本精神科病院協会の平川と申します。
資料1-5の3ページ目に、供給不足の原因となる回収・欠品・出荷調整等の理由と供給不足が解消する見込みの時期についての情報の提供というところがあったのですが、これについて、私たち現場の人間からすると全く把握できない。医療を行う上では、どの薬が使えるか使えないかを気にしながら処方するということはかなり負担になることで、これは早い時期に解消していただきたいのですが、その原因で品物云々、製造工程云々という話もそうですけれども、根本的に予算をきちんと取っていただいて、早く今の状況を改善するような施策を取っていただかないと、経済的な理由で患者さんの命、病状が悪化する可能性がある状態が延々と続くのは、現場としては大変困ります。
医師会の先生、宮川先生が先ほどのやり方でいいということをおっしゃっていましたが、私たちのようなもっと下の現場からすると、とてもじゃないですけれども、今の現状は安心して医療を患者さんに提供できる状況にないので、その辺は強く申し上げたいと思います。実際に解消する時期はいつ頃になるのかということを明確に教えていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○清田座長 これはお答えになれますでしょうか。
○田中ベンチャー等支援戦略室長 御質問ありがとうございます。
この通知については、個別の品目ごとにそれぞれ各製造販売業者が自社の製品について、例えば欠品が生じた場合に、その情報を適切に医療現場に届けていただくということをお願いしている通知になってございます。ですので、ここの通知で書いているものにつきましては、基本的にはその製造会社、メーカーが各医療現場に対して適切な情報を伝えていただくと。個別の品目について、自社の目安についてお伝えいただくものとなってございます。
それとは別に、全体的な医薬品の供給不足の話もあるかと存じておりますけれども、昨今の供給不足の話は議題2のほうにございますので、そちらについては議題2のほうで御議論いただければと考えてございますが、いかがでしょうか。
○平川構成員 いつ解消するのかという目安だけでも教えていただけないでしょうか。
○清田座長 品目によってちょっと違うのですね。
○平川構成員 ただ、メーカーさんや問屋さんに聞いても、昨年注文した実績がないからおたくには薬を出せませんとか、いろいろ言われて、現場は本当に困るのですよ。ですから、10倍資金があれば原材料を日本でつくれるのであれば、10倍出してもらいたいというのが現場の意見としてあります。よろしくお願いします。
○清田座長 これに対してはいかがですか。
○田中ベンチャー等支援戦略室長 ありがとうございます。
議題2のほうでも資料がございますが、状況についての把握ということで、厚生労働省で一定の調査をさせていただき、医薬品の総量、錠剤の数、流通している数について、時期がオンタイムという形ではなくて、時期を1点で定めてという形ではございますが、調査をさせていただいたところ、供給量としてはそれほど変化がないという状況にございます。医薬品によってそれぞれの違いはあると思いますけれども、成分の総量でマクロで見たときには大体これまでと同じ程度があるのですが、ただ、臨床の現場から見たときにはなかなか入手しづらい状況があるという実態については、お伺いしているところです。
医薬品をつくってから現場に届くまでの中で、流通なり、その過程が若干うまくいっていない部分が恐らくあるのだろうと考えてございますけれども、それについて一遍に解決するというのは現状ではなかなか難しいと考えておりますが、少しずつ対策を取っているという状況でございます。すぐに改善するかと言われますと、なかなか難しい状況だと思いますけれども、少しずつ改善のための方策を取っていきたいと厚生労働省のほうでも考えているところでございます。いましばらくかかるかと思いますが、御苦労をおかけしてしまいまして恐縮ですけれども、よろしくお願いいたします。
○清田座長 議題2につきましてちょっとお待ちいただければと思います。
○平川構成員 分かりました。
○宮川構成員 名前が挙がったので、ちょっとだけ。
○清田座長 ちょっとだけ。
○宮川構成員 今、日本医師会という名前が出たので、一言だけ申し上げます。日本医師会としても、今の現状を許しているわけではないということで、これは1ポツのところの議論だったので、私は我慢して言っていないだけですので、平川委員をはじめとしてすべての委員に御留意いただきたいと思います。2ポツになれば言いたいことは山ほどありますので、同じようなことだという意見であります。日本医師会としてもこれを是認していることではないということを言わないと、先ほどの発言というのは認めることができませんので、よろしくお願い申し上げます。
○清田座長 セファゾリンが全くなくなってしまったときに一番困ったのは感染症関連学会なのです。カテゴリAの薬についての対応策というか、代替薬の挙げ方とかというのは資料1-6でまとめてありますので、一例として御覧いただいて、まとめた松本哲哉構成員から少し解説していただければと思います。
○松本構成員 ありがとうございます。
先ほど御説明がありました様々な学会からいろんな要望書とか提言が出ていたというのは知りませんでしたが、感染症に関しては、日本化学療法学会、日本感染症学会を含めた5学会で抗菌薬の安定供給に関する提言を出させていただきました。この提言の中で、Key Drugを提案させていただいております。Key Drugはすでに2019年に10の薬剤を選んでいたのですが、実際には10の薬剤で各種の感染症の治療に対応できるわけではございませんので、さらに追加して合計32薬剤に増やして改めて提案させていただいております。
それに加えて、代替薬はどういう薬剤が選べるかについても表にさせていただいておりますけれども、基本的に代替薬もほぼ重複しております。そのため、Key Drugが1つ欠けると次のも足りなくなって影響が大きくなることが予想され、実際にセファゾリンの供給停止の際も連鎖的に各種の抗菌薬の不足が起こりました。
さらに追加で発言させていただければと思いますが、まず何で現在直面しているように抗菌薬も含めて多くの薬剤の供給不足が問題となっているのかについて意見を述べさせてください。1つは薬価の切り下げがかなり影響しておりまして、私たちの日本化学療法学会にもいろんな企業からの要望がありますが、最近は製造を中止したいという趣旨の連絡が多くきます。しかも先発薬でKey Drugを発売している企業から、製造中止が決定事項としてご連絡を受ける場合もあります。その最大の理由は、このまま製造を続けても黒字が見込めないということです。すでに低い薬価の製品でもさらに薬価がずっと下げ続けられていることで、このような弊害が後発薬だけでなく先発薬にも起こっておりますので、その問題をもう一度、真剣に考えていただきたいと思います。
もう一つ、先ほど意見が出た国産化については、例えばペニシリンの原薬の国産化も進められていますが、実際に供給できるようになるのは5年後ぐらいだと聞いております。しかも、それで全部賄えるかというと、最初は全体の必要量の10%ぐらいであろうということです。その後、増産できるのかもしれませんが、その鍵を握るのは、本当に原薬の製造を続けてちゃんと黒字化できるのかということだと思います。その解決策としては、国が作られた原薬をいったん買い上げていただくという新たな仕組みも必要かと思います。今後、せっかく工場まで作って生産体制を整えても、赤字なので製造を中止するということになれば、何のための事業なのか分かりませんので、その辺りも含めて長期的な視点で考えていただくことをよろしくお願いいたします。
以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○安藤経済課長 ありがとうございます。
2つほどお話をさせていただきたいのですが、1点目は今、松本委員のほうからございました抗菌薬についてのお話で、まさに今、御指摘いただいた点ですけれども、先ほど御紹介させていただいた予算で実際支援をさせていただいているのは、まだ製造設備の段階でございますので、国産化に向けて、まずはそのベースとなるいわゆる初期投資部分についての支援というところでございます。その上で、実際に国産化ができた、要するに、国で実際に原材料あるいは原薬の製造というものができた段階では、まさに今、松本先生がおっしゃった問題というものが具体化してくると。
すなわち、特定国からどちらかというと安価な原材料というのが一方でありますので、国産化するということになると、コストという意味では高くなりますから、単価という意味では高くなってしまう。高くなってしまっている原材料、原薬というものを市場でどうやって安定的に供給していくかというところは、言ってみれば市場原理に反する話になってしまうので、それに対しましては、何らかの特定の取組をやっていかないと、要は、つくったけれども売れないということが現に生じてしまうということになるのだろうと。我々もそこは課題として認識しておりまして、現時点で具体的にこうしますということは言えなくて大変心苦しいのですが、先ほど申し上げました全体としての経済安保の取組、政策というものも一つ連携しながら、そこは我々のほうでどう対応していくかということについて考えていきたいと思っているというのが1点目でございます。
2点目は、やや全体的なお話。今、先生方のほうからまさに供給問題、様々な理由で起こっているということがございますので、私の理解ということでございますが、全体の体系ということで一回お話をさせていただきたいのですが、この供給問題というのは大きく3つの類型に分けて考えていく必要があるのではないかと考えてございます。
1つ目は、議題1の中で御議論いただいているサプライチェーンの脆弱性というものがありまして、それに伴って何らかサプライチェーン上の課題というものがあって、それで供給問題という形で表れてくるというもの。まさに2019年に起こったセファゾリンの問題はその典型だと思っております。
これにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、今、松本先生からも御指摘がありましたように、いろいろ経済合理性に反するという課題はあるのですけれども、そこは今般の経済安保の取組とうまく連携を図りながらしっかり対応していくということが必要なのではないか。要は、サプライチェーンを強靱化するという観点で、国産化というのはその一つの手段だと思いますが、サプライチェーンの強靱化を図るという取組が必要になってくるのだろうと思っております。
2つ目は、まさに今回のコロナの中で具体化してきたという話。サプライチェーンの脆弱性というところも背景には含まれていたりしますが、さらに言うと、需要が今回コロナの中で一気に急増したことに伴って、それで供給問題という形で出てきた問題。これも議題1の通知の中に一部入ってございましたが、そういう問題があって、これはどちらかというと、コロナのような有事が起こるということに対して、どう考えていくかというアプローチが必要なのだろうと考えておりまして、今、厚生労働省内で全体。これは薬に限った話ではなくて、医療提供体制を含めて、有事、今回のコロナの対応の一定の反省なり検証というものを踏まえまして、感染症有事が起こったときにどう対応していくかということについて、検討を進めさせていただいているという状況でございます。
大きな3つ目が、典型的には次の議題2の中で出てくる後発品が一番端緒として出てきている問題でございます。どちらかというと、もともと後発品については、個社の品質問題というものが端緒となりまして、それが欠品したことに伴って、様々な医薬品、いわゆる代替品の供給不足が起こってしまっているという問題でございます。こちらについては、当然のことながら企業のコンプライアンスの問題等々もございますが、さらにその背景的なところとして、先ほど松本先生もおっしゃっていただいたように、薬価の問題とか、あるいは流通の課題。言ってみれば、今、現行の医薬品の仕組み。これまで当たり前のように使われてきた制度のひずみと言ったらちょっと言い過ぎなのかもしれませんけれども、課題というものが内在しているのだろうと考えておりまして、これはこれでまた別のアプローチというものが必要になるのだろうと思っているところでございます。
実際にはそれが複合的に絡んで起こっているということも多々ありますので、単純には割り切れないところはあると思うのですが、大きくこういった体系立てた上で、原因がどこにあるのかということをある程度見定めた上で、対策というものを考えていくことが必要な段階に来ているのではないかという理解を個人的にはしているところでございまして、そういった形に即す形で対処方針を今後我々のほうでも考えていきたいと考えているところでございます。
すみません。長くなりまして恐縮でございます。
○清田座長 いえいえ、ありがとうございました。
そろそろ議題2に移りまして、議題1とも絡むことですので、宮川先生が山ほど言いたいことがあるとおっしゃっていますので。どうぞ。
○川上構成員 議題2に行く前に、議題1に関連して2点だけ発言したいのですけれども、よろしいですか。
○清田座長 どうぞ。
○川上構成員 資料1-2の医薬品安定供給支援事業です。実施している内容は、ペニシリン系やセフェム系の原薬の原料が発酵法で作られるため、かつては国内にあった工場が今は全て閉場してしまっているので、何らかの形で国内で出発物質となる原料を作れる体制を取ろうということで、経年的に実施している事業と理解をしています。少なくとも今、実施している内容についてのゴール設定や、この事業をどこまで続けると少なくとも最低限の体制が取れるのか。また、発酵法で作る抗菌薬の原料以外にも、この支援事業の対象を拡大するのか否かということへの御検討も是非、一度していただけると宜しいかと思います。
2点目は1-3の薬価上の取扱いです。安定確保医薬品のカテゴリAの21品目のうち8品目を今回、基礎的医薬品として組み込んで、薬価上の対応が取られているかと思います。これは中医協で議論することなので保険局との話になると思うのですが、例えばカテゴリBやCの中でも、そういった対応が必要な医薬品があるのかどうかということも、引き続き御検討いただくことが必要かと思います。
2点、よろしくお願いします。
○清田座長 ありがとうございます。
それはよろしいでしょうか。
○安藤経済課長 はい。
○清田座長 どうぞ。
○三村構成員 安定確保医薬品の話と先ほどの経済安全保障法制の関連ということで、課長から御説明いただいたとおり、これから新しい法制ができることによって、医薬品の供給安定ということについて、ある意味では骨格ができるのではないかと思います。ただ、私が少し感じておりますのは、この経済安全保障法制検討の一つの出発点は明らかに医薬品であったと。セファゾリン供給不足問題からスタートしたと思うのですが、どこかで半導体が議論の中心になってしまっているところがございます。
これはあくまで私が一般のメディアとかを拝見して感じた意見ですけれども、先ほどいろいろな学会から供給不足に対応する御提案が示されました。これほど深刻なのかと改めて思ったのですが、ほとんどは一般には理解されていないし、内閣官房のほうで本当にそこまで理解されているのか。つまり、問題の解決は厚労省にお任せみたいなところがあるのではないかという感じがしております。
そういうことがありますので、今回の経済安全保障法制が本当に医薬品の供給安定のためにうまく使えるかどうかについて、厚労省のほうでも相当積極的に働きかけていただく。そしてそれをうまく接続するように相当積極的なアプローチが必要かと。また、一般な理解をもっと浸透させる取組が必要ではないかと感じましたので、それだけちょっと申し添えておきたいと思います。
○清田座長 ありがとうございます。
ぜひ頑張っていただきたいと思いますので。
○宮川構成員 座長、一言だけです。
○清田座長 また一言ですか。
○宮川構成員 一言だけです。安藤課長が先ほどから経済安保とずっと言っているのですが、今、三村委員が言ったように、これは国の安全保障の中の人間の安全保障なのです。「経済安保」などという言い方をしないでください。人間の安全保障というのがすごく大事なことなのです。ですから、松本委員などは一生懸命やっているわけでしょう。それを「経済安保」という言葉でくくられるのは非常にいけないことと思います。これからあまり使わないでいただいて、人間の安全保障ということで厚労省としてはやっていただきたいと思います。
以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
議題2に移ってよろしいでしょうか。
(首肯する構成員あり)
○清田座長 ありがとうございます。
それでは、田中さん、よろしくお願いします。
○田中ベンチャー等支援戦略室長
それでは、議題2「医療用医薬品の安定供給に関する最近の取組について」の資料について御説明をさせていただきます。
資料2-1を御覧ください。昨今の後発品を中心とする医薬品供給不足の発端は品質問題ということでございました。小林化工、日医工、長生堂製薬がそれぞれ薬機法上の行政処分を受けておりますので、まずどのような事案だったのかを振り返るための資料として冒頭につけてございます。
1ページ目は小林化工による睡眠導入剤の混入事案の概要になってございます。この事案では製造時の原薬の取り違えにより抗真菌薬に睡眠誘導剤が混入しました。通常であれば製造過程のどこかで誤りに気がつくはずですが、気づかれずにそのまま市場に出荷されてしまったという事案でございます。
2ページ目は薬機法違反の実態について記載がされてございます。承認内容と異なる製造、二重帳簿の作成、品質試験結果の捏造などが長年にわたって行われていたということで、本来であれば途中の過程で気づくものが、気づかれずに出荷されていたということと考えてございます。こういった事例で116日間の行政処分が実施されたということでございます。この行政処分によって小林化工の製造していた品目については、この後市場に提供されなくなったということで、医薬品供給の観点から見ても影響が生じたという事例でございます。
3ページ目でございます。小林化工の事案の後、供給が回復してきた頃に日医工社にも行政処分が実施されてございます。こちらについても承認書と異なる製造方法、不適切な品質試験の実施等によって、薬機法違反で医薬品製造業32日間の業務停止、製造販売業が24日間の業務停止ということで、出荷量が減少し、業務停止期間終了後も日医工社からの出荷量が当初の予定どおりには回復してきていないという状況でございますので、医薬品供給の観点から大きな影響が発生しているという状況でございます。
4ページ目は長生堂製薬の行政処分でございます。供給状況がよくない中で、同様に承認書と異なる製造方法、規格不適合品に対する必要な措置が取らなかったことによって処分が行われて、ここに記載されているような業務停止が実施されてございます。この処分も医薬品供給にさらなる影響を及ぼしているという状況でございます。
相次ぐ後発医薬品企業の薬機法違反による業務停止により、その企業の製品だけではなくて、他社の同一成分規格の医薬品への注文が集中するといったことが発生したということでございます。それらの医薬品を製造している製造販売企業が既存患者への安定供給を優先するといった理由によって出荷調整をかけてございますが、これによって医療現場で必要な医薬品の入手が困難な状況も生じております。その状況を把握するということで、日薬連に依頼しましてアンケート調査を実施していただきました。その結果を5ページ目にお示ししております。
2021年8月末時点においてアンケートで回答された合計1万5444品目のうち、743品目が出荷停止、2,400品目が出荷調整を実施している状況ということで、供給に何らかの影響が生じている品目は合計3,143品目、全体で言うと20%強、約5分の1ということであることが分かりました。
内訳ですが、左下の表を御覧いただけると分かるとおり、欠品・出荷停止、出荷調整とも後発品の割合が多いということと、右下の表で示しておりますように、要因の自社・他社別のところを見ると、後発品の出荷調整については、他社の影響により出荷調整が発生していることが多いということも明らかになってございます。
6ページ目をお願いいたします。このような状況の中でステークホルダーもそれぞれ取り得る対応を行ってきているところでございます。厚生労働省のほうでも医薬品供給不足の情報を医療現場に適切に届くよう指示し、医療上非常に大きな影響が生じ得る医薬品の供給不足が生じた場合には、個別の対応ということで、優先すべき患者への優先供給、代替薬・代替治療の検討、長期処方を避ける、可能な場合には短期間の休薬の検討といったことを学会と協力して対応するなどの対応を実施してきているところでございます。日本医師会は、会員などへの長期処方の見直し、処方の必要性の検討などを周知いただき、卸売販売業者は、流通量の管理、入手可能状況・代替品について確認ができるシステムやアプリの開発を進め、製造販売企業のほうは、増産対応や在庫の放出、医療機関への出荷状況の適切な情報を実施してきているところでございます。
7ページをお願いいたします。一部後発企業が薬機法の処分を受けたことで、製品の出荷が長期間停止、縮小したことを受けて、同一成分の品目を中心に出荷調整が実施されて、それを機に医療現場では医薬品の入手がしづらい状況が続いていたということを踏まえて、実態の調査を行いました。この調査は令和3年10月時点で出荷停止している559品目と同一成分規格の医薬品を合わせて、令和2年9月及び令和3年9月の出荷量を比較した調査を行いました。その結果、8割以上の品目で供給量が増えているということが分かったということでございます。
この状況を踏まえまして、令和3年12月10日付の通知で供給量が対前年比5%以上増えている成分規格のリストを提示いたしまして、それらの成分規格については出荷調整の解除を依頼したところでございます。併せて、不足している成分、20%以上減少している成分については増産を依頼しているという状況でございます。
この通知に対して、一部の企業では出荷調整の解除が実施されたところでございますが、多くは解除がされていないという状況でございます。ヒアリングを実施したところ、個別品目ごとの出荷状況が分かりにくいということがあり、出荷調整に踏み切れない、また、出荷調整により大量の注文が集中したり、複数の卸に発注しているものが全て納入されたりするということで、混乱するという御意見をお伺いしました。また、医療関係者からは成分規格のリストということだと、実際にどういう品目があるのか分かりにくい、分からないという御意見も伺いました。
そのために、出荷調整の解除が少しでも進められることを目指して、1月25日付の通知で製薬企業に対して個別銘柄ごとの出荷状況の調査の実施をお願いするとともに、購入側の医療機関・薬局に対しましては一定の目安を示した上で適正な購入を依頼させていただいております。3月4日には調査結果を公表して、改めて出荷調整の解除と適正な購入をお願いしております。
後ろのページにそれぞれの通知がついてございます。かいつまんで御説明をさせていただきたいと思います。8ページでございます。先ほど説明しました対応についての実際の通知文の1つ目でございます。令和3年12月10日付の通知で、令和3年10月1日時点で欠品している品目とその同一成分・同一規格の医薬品について、供給不足が発生する前の令和2年9月と供給不足が発生している最中の令和3年9月、この2つの時期の供給量の調査をして、その結果として86%の医薬品については供給量が増えていて、14%が減っていたということを報告したものでございます。
供給量が増えているものの中で対前年比5%以上の増加があったものについては、10ページの別添1というリストで一覧として提示をさせていただいております。
16ページからのリストは別添2ということで、20%以上の減少があったものについてお示しをしているということで、先ほどの供給量が対前年比5%以上増えているものと、20%減少したものとをお示しをすることで、まず供給状況の見える化を模索しようということを考えました。
その上で、供給量が増えている成分規格、先ほどの別添1のリストになりますけれども、これについては19ページの記の1ポツのところにお示ししていますように、製造販売企業に対して、各社一斉に横並びで、いっせいのせいで時期をそろえて出荷調整を解除するということを依頼させていただいたものでございます。また、一方で、供給量が足りないものについては増産への協力をお願いしてございます。
21ページを御覧いただければと思います。これに併せて、21ページでお示ししているように、卸売業者には供給が偏らないように受注・出荷を行って、返品を避けていただくことなどを通じて円滑な流通に協力いただくこと。そして、25ページのところにお示ししてございますけれども、医療関係者の皆様には処方見込みや在庫量を把握していただいて、必要最低限の発注として、返品を避けていただくということをお願いさせていただいてございます。
この通知でうまく出荷調整が解除されて、医薬品の供給状況が改善し、医療現場において医薬品の入手がしやすくなればいいなと考えておったところでございますが、実際には思ったほど出荷調整は進んでいないという状況でございます。
関係者に状況や反応についてヒアリングしている中で、先ほども少し申し上げましたが、出荷調整を解除すると注文が集中してしまうおそれがあるので、出荷調整ができませんということ。それから、出荷調整を解除した瞬間に大量の注文をする医療機関・薬局が出てくる可能性があるので、出荷調整が解除できないという話。それから、医療機関・薬局で医薬品が入手できない状況の中で、医療現場のほうでは何とか確保しようということで、同じ品目を複数の卸業者さんに発注している場合もございます。この場合に出荷調整を解除すると全ての発注が通ってしまうということが起こり得るといった情報を得ることができたということ。医療機関・薬局の医療現場のほうでは、成分規格の総量で十分な量があるということが分かっても、それぞれその中にどの企業のどんな品目があるのかが分からない、分かりにくいという御意見もお伺いしました。
このような状況を踏まえて、これらの課題に対応するように次の方策として、26ページにお示ししている令和4年1月25日付の通知を発出するということにいたしました。この通知におきましては、出荷調整時の大量の購入などを予防するという観点から、医療機関・薬局に対して、「1か月分程度の在庫量」または「従来の購入量の110%以内」ということで、一定の目安をお示しした上で、処方見込みや在庫量に応じて必要量のみの発注としていただくことと、同時に複数の卸に同一品目を発注している場合には見直していただくこと、それから返品を避けていただくということについて協力をお願いしてございます。併せて、卸売販売業者には引き続き円滑な流通への協力についても依頼をしているということでございます。
また、先ほどどのような品目があるのか分かりにくいという意見がございました。これに対しては、医療現場において銘柄ごとに出荷状況等が確認できるようにするということを考え、各企業が販売する個別の銘柄ごとの供給状況について調査をするということにしまして、製造販売企業に協力を依頼したものでございます。38ページ目のところに企業に依頼した通知がございますので、御確認ください。
39ページが令和4年3月4日付の通知でございまして、個別銘柄ごとの調査結果をお示ししたものでございます。
40ページを御覧いただければと思います。出荷状況を真ん中にございますAからDまで、Aが通常又はそれ以上に出荷されている状況、Bが出荷量として80%以上100%未満、Cは出荷量80%未満、Dが出荷停止という形で、この4つの区分で現在の出荷のステータスについて確認をしていただき回答いただいたものでございます。
41ページ目からが実際の結果の一覧表という形になってございます。成分規格ごとにそれぞれの製造販売企業の銘柄ごとの出荷量をAからDでお示しして、出荷状況が分かるようにしたものでございます。この通知については厚生労働省のウェブサイトにも掲載してございますので、どなたでも御覧いただくことが可能になっております。この結果によって同業他社の出荷状況も一定程度明らかになるということで、併せて再度製造販売企業には出荷調整の解除を依頼させていただいております。
現在まで経済課においてこのような対応をしてきているところでございますが、引き続き製造販売企業の出荷調整の解除の対応状況等を注視しながら、医療現場において医薬品が何とか入手できるようになる、普通に入手できるようになることを目指して、必要な対応や方策について検討してまいりたいと考えております。
現状の日本における仕組みでは、薬価収載された医薬品の安定供給については、製造販売企業が一義的にその責務を有してございます。最初の令和3年12月の通知でも、その後の累次の通知でも記載させていただいているところでございますけれども、一度経済課のほうでもこのような形で情報提供ができるのではないかということでお示しをさせていただいたというところもございますので、今後の情報提供については製造販売業者の所属する業界団体を中心として対応をお願いできないか、引き続き相談をさせていただきながら、適宜対応を進めていきたいと考えてございます。
以上、経済課からの説明になりますが、この後、医薬品業界の最近の動きについて、日薬連安定確保委員会の土屋委員長から御説明をいただきます。土屋構成員、よろしくお願いいたします。
○土屋構成員 安定確保委員会の土屋でございます。
それでは、資料に基づいて御説明をさせていただきます。
1枚おめくりいただきまして、これまでの日薬連の対応の経緯ということでございます。ここにお示ししておりますのは直近の日薬連の安定確保に関する取組でございます。先ほど御説明しましたが、2019年7月以降、安定確保に関する自己点検チェックリストを作成し、それを周知徹底しているというところでございます。その後、経済課から様々な形で通知が出ておりますので、同通知に基づいて安定供給に向けて対応しているところでございます。そういう中で、2021年7月、しっかりと安定確保に向けて取り組むということで、日薬連の業界団体の中に安定確保委員会を新設したところでございます。
次のスライドをご覧ください。この安定確保委員会の設置の目的でございます。医薬品の安定確保に必要な諸課題の検討及び、今、起こっております医薬品の回収・欠品・供給不安が生じた場合の情報提供に関する検討等を今、取り組んでいるところでございます。
おめくりいただきまして、昨年7月に設置した以降の当委員会の対応の状況でございます。本日は赤文字で書いてある3つの点について御説明をさせていただきます。1つは、医薬品の安定供給確保に関するアンケート調査の実態調査を行っているところでございます。
もう一つは、田中室長からも御説明がございましたが、経済課長通知によりいわゆる出荷調整解除の依頼がございましたので、その解除のあった実態について加盟会社にアンケート調査を実施し、結果を今日御報告させていただきます。
3つ目は、現在、医薬品の供給状況を示す考え方の整理、いわゆる用語の定義を検討しているところでございます。これまで各社間で出荷状況の考え方、特に「出荷調整」という言葉が出てきまして、なかなか実態が分かりづらいという御意見をいただいておりましたので、その目線を合わせるべく用語の定義を現在検討しておりますので、今日はその方向性について御説明をさせていただきます。
次のスライドでございます。まず、1つは昨年9月に実施しました安定供給確保に関するアンケート調査でございます。これは経済課のほうから御指示をいただきまして、全体の出荷状況の調査をしたところでございます。
次のスライドを見ていただければと思います。これは先ほど田中室長から御説明がございましたので詳細は御説明しませんが、昨年8月末の時点でございますが、通常出荷は全体の79.6%、欠品・出荷調整は20.4%という状況が明らかになったというところでございます。また、先発品、後発品を区分した結果は、後発品が90%を占めていたという状況でした。
次のスライドは2つ目のところです。出荷調整解除の状況調査の結果でございます。これは先ほど田中室長からも御説明がありましたが、昨年12月10日付の経済課長通知により業界側へ出荷調整の解除の依頼がございましたので、その結果について調査いたしました。この実施の背景でございますが、昨年12月10日の経済課長通知で経済課において、令和3年10月1日時点で1銘柄でも出荷停止が生じている製品規格について、一部後発品企業の不祥事が発生する前の令和2年9月とその1年後の令和3年9月の供給量にて調査が行われました。その結果を受けまして、厚生労働省経済課より供給量が増加している成分規格130成分の規格を製造販売する企業に対しまして、この出荷調整の解除の依頼がされたところでございます。その依頼を踏まえまして、当委員会では経済課の依頼を受けまして、加盟団体に対しまして、出荷調整解除の状況及び出荷調整解除に向けた課題等を把握することを目的に、出荷調整の解除に関するアンケートを実施したところでございます。
次のスライドは調査内容の全体像でございます。詳細は御説明いたしませんが、出荷調整解除の依頼対象となった品目数、会社数を把握したこと、それから、昨年12月10日の経済課長通知を受けた後の出荷調整を解除した品目数の状況、。また、本年3月末までに出荷調整解除の実施あるいは予定している品目数を聞きました。併せて、自由記載でございますが、今回出荷調整を解除できなかった理由についても自由記述としてアンケート調査をしたところでございます。
次のスライドは調査結果の全体像でございます。経済課から出荷調整を受けた製品を保有していると回答した会社数は89社、品目数としては1,796品目でございました。このうち、昨年12月10日から12月末までの間に出荷調整を解除した品目数は49品目、6社でございました。また、昨年12月末時点では出荷調整は解除できなかったけれども、今年の3月末までに出荷調整を解除する予定、あるいは12月末以降に出荷調整を解除した品目は54品目、15社という結果となっております。
また、12月末時点で出荷調整を解除しましたが、再度出荷調整となった品目数は3品目。あるいは出荷調整解除後に特定の医療機関・薬局から大量の発注等、複数卸様への同時発注があった品目数は7品目という回答が得られたところでございます。
次のスライドは、経済課から出荷調整解除の依頼のありました品目について、昨年12月10日から本年3月末までの出荷状況についてまとめたものでございます。少しビジーですが、真ん中の赤枠のところを御覧ください。昨年12月10日時点では通常出荷数は931品目、出荷調整数は646品目、出荷停止数は219品目でございました。これが昨年12月末時点では通常出荷数は930品目、出荷調整数は648品目、出荷停止数は218品目という形になっております。ここで出荷調整数が2品目増えている結果になっておりますが、この背景には、通知発出後、出荷調整解除ができたのは49品目ですが、逆に新規に出荷調整をしなければいけなかった品目が51品目ございまして、この出入りによって2品目増えているという結果になったということでございます。
それからまた、本年3月末の予測ですが、通常出荷数は984、出荷調整数は594という形になりまして、3月末までに出荷調整解除予定または出荷解除している品目につきましては、54品目、15社という回答になっております。
なお、ここには書いてございませんけれども、先ほどの経済課の経済課長通知発出後から今年3月末までに出荷調整を解除、あるいは出荷解除の予定の累計で見ますと、49品目と54品目で103品目、20社が対応しているということでございます。十分とは言えませんけれども、少しずつ出荷調整から通常出荷へ移行しているのではないかということを考えているところでございます。
次のスライドは、出荷調整を解除できなかった理由のまとめでございます。これも田中室長からお話がございましたが、出荷調整解除後に急激な需要拡大によって欠品が生じる懸念を示す回答が多く占めております。その背景には、同種同効品を扱う他社が出荷調整をまだ継続している点や、十分な在庫量を確保できない点、既存の納入先への供給量の確保という理由で出荷調整が解除できなかったという形で回答が得られているところでございます。
次のスライドでございます。今後、出荷調整解除における意見・要望ということで自由記述を求めたところでございます。意見としましては、同種同効品を扱う他社が出荷調整を継続しているのであれば、なかなか解除に踏み切れない。特にシェアが低い場合については解除が難しいという意見が多くございました。また、独禁法上の課題がありますが、企業間での供給量の情報交換を求める声もございました。一方で、大変御負担をおかけしているところでございますが、在庫の偏在の問題解消の仕組みづくりへの要望もあったというところでございます。
次のスライドでございます。3つ目は話が変わりまして、最後に出荷状況を示す用語の整理、定義について、現在当委員会で検討中でございます。本日は概略のみ説明をさせていただければと思います。先のアンケート調査を通じて会員企業、関係の諸団体の皆様方から、供給不安となった場合の製品の出荷調整を提示する用語の考え方が企業によって異なるという意見が多く寄せられております。そのため、業界においてこの出荷状況の用語を統一するという要望がございましたので、私どもはこの用語を統一あるいは整理をするということで、医療機関・薬局の皆様方の供給不安の解消の一助になればということで、業界内で目線を合わせて出荷状況を示す考え方、用語を整理する検討を進めているところでございます。
コンセプトとしましては、シンプルで分かりやすく、しっかりと各社が同じ概念の用語を用いて、医療関係者の皆様方、薬局等へ医薬品の供給状況に係る情報を提供する、それからまた独禁法に抵触しない情報提供をしていきたいと考えているところでございます。
最後のスライドは具体的な用語の整理の考え方の概略でございます。今後は出荷量と製品の受注対応状況の2つの軸で情報提供をすることを考えております。つまり、1つの軸である出荷量につきましては、先ほど田中室長から説明がございました12月27日の経済課の事務連絡によりまして、出荷量がAからDの分類の指標が提示されておりますので、その考え方を用いて活用すれば、製品の出荷量の状態を見える化できるのではないかと検討しているところです。例えばAは正常な出荷状態であるし、例えば105%、対前年5%の出荷量であれば増量出荷。Bであれば、出荷量は前年の80%から100%の間。Cであれば出荷支障、いわゆる前年の80%以下、Dの分類であれば出荷停止を示すこととなります。これにより、いわゆる出荷量の状態をしっかりお示しすることができると考えています。もう一方で、もう一つの軸である製品の受注対応状況について、現在その出荷量に対して通常の状態の受注状況の出荷なのか、限定的な出荷なのか、各製品の受注対応状況を見える化できるような形で用語を検討していきたい。今、その方向性で考えているところです。この2つの軸で整理することによりまして、供給不安について少しでも解消していくべく取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
以上で私からの御説明を終了させていただきます。
○清田座長 ありがとうございました。
それでは、これまでの資料を踏まえて、御意見、御質問がございましたら伺いたいと思います。いかがでしょう。宮川先生、どうぞ。
○宮川構成員 そろそろ独禁法という壁、理由にならないのだということをしっかり示してください。この言葉を使うことをなるべくやめるということが大切です。本当だったら業界と厚労省と一緒になって公正取引委員会に相談すれば、ある程度公取が国家の安全保障の一角を担う医薬品の流通状況に責任を持つということになって、対策を対応するはずで、ある程度独禁法の話は出てこないと考えます。よこれはいかがなのですか。独禁法の話をずっとしているのですけれども、対応に時間がかかりすぎていますが、これに対して何かコメントをいただきたいと思います。
○清田座長 コメントはできますでしょうか。
○田中ベンチャー等支援戦略室長 御質問ありがとうございます。
独禁法は、流通に関する情報を企業間で特定の情報、出荷量なり価格なりの情報を交換するということで、それを交換すると独禁法上問題があるということは把握してございます。ただ、今回の供給の不安に関して、もちろん独禁法に引っかかってしまうようなやり方も当然あるのだと思うのですが、そうでないやり方も考えられると思っておりまして、そういったやり方を業界と経済課で協力しながら模索していくといったことは可能なのかなと思っていますので、独禁法があるからできないということではなくて、それであれば、どういう形で対応できるのかというのを考えていくというのが建設的なのかなと考えてございます。
○宮川構成員 もう数年以上もそういう話が出ているので、厚労省はどこにちゃんと問い合わせているのですか。それは公取にしっかりと対応策を探ってください。それでないやり方があると考えられるはずです。どうしてそれを示さないのでしょうか。
○田中ベンチャー等支援戦略室長 公正取引委員会には経済課から各種相談をさせていただいてございます。先ほど議題1のところで供給不足発生のときの対応スキームというのがございます。これについては事前に公正取引委員会とも対応を協議した上で取りまとめさせていただいたということでございます。そのような形で経済課でも必要に応じてどういう形の対応であればできるかというのは、公正取引委員会とも相談をさせていただきながら対応してきているところでございます。
○宮川構成員 ありがとうございます。
ずっと相談しているのですから、どこかで結論を出してください。日薬連がこうやってデータを出しても、すぐ独禁法という理由をつけて、スルーしてしまうわけですから、それをしっかり問題化して解決のほうに持っていってください。
○清田座長 出荷量の分類をAからDに分類したと。これは画期的というか、そうかと私は思いましたけれども、これから受注対応状況をどういう形でお示しいただくのか。この2つの要素のてんびんですので、これをちょっと期待したいなと思います。それによってユーザーのほうへ状況が伝わるのではないかなと思うのです。それで在庫調整というのは、融通をちょっと図っていただきたいというのが正直なところなのですが、流通側からの御意見はございますでしょうか。
○宮川構成員 流通のことなのですが、流通に関する情報提供もしっかり対応してください。
○清田座長 そうです。
○宮川構成員 ですから、それは海外の行政当局がやっているように、これを一元化することは可能ではないかなと思うのです。経済課にとどまらず、医薬・生活衛生局とか、医薬品のワクチンのこと、健康局も含めて、厚生労働省全体としてどのように情報提供ができるのかということを一元化して考えるということができるのではないかなと思うので、それをぜひ検討していただきたいと思います。
○清田座長 これはいかがですか。
○田中ベンチャー等支援戦略室長 御意見ありがとうございます。厚生労働省のほうでもどういう形で情報を一元的に提供できるかということは引き続き検討させていただきたいと考えております。ありがとうございます。
○清田座長 どうぞ。
○三村構成員 今の宮川先生の意見と同じなのですが、先ほど経済安全保障法制がどう使えるかという話があって、あれは緊急事態に対応する法制度。正常事態と緊急事態。そして、緊急事態でも軍事的な性格の事態ではなくて、いわば中間的な緊急事態においてどう対応するかという問題意識から出てきた法制度と理解しております。
ただ、先ほど私が申し上げましたように、まだ日本国全体とか内閣官房自体に医薬品供給の抱える問題の難しさとか重要性とか深刻さが十分に理解されていない。そして、先ほど日薬連から出していただいた資料の中に、緊急事態に関しての措置の必要という提案がありましたが本当にそのとおりだと思うのです。例えば軍事衝突とか大災害といったものではなくて、原薬調達の困難などといった形で深刻なサプライチェーンの分断が起こり得るのだという認識がまだ十分でない。ただし、私は今回の事象はまさに緊急事態だと思います。
そういうときになぜ独禁法が出てくるのかということなのですが、独禁法は、基本的には正常時における需給を市場メカニズムを活用して調整するという考え方をベースとしていますから、市場外的事情で深刻な供給不安とか供給不足が起こったときにそこに競争原理を働かせる必要があるのかということについて、公取も、それに対する考えをお持ちだと思います。この中で日薬連も主張されていますように、基本的に対象品目が確実に限定されていること。そして、それがなぜ供給不足かということの理由が明確であること。そして、まさに供給が改善されるまでの一時的措置であること。そして、公平性・透明性が確保されて、そこにどういう需給調整が行われたかということについて厚労省経済課にきちんと報告があって、そのプロセスが見える化されていること。それが可能になるルール化がなぜ無理なのかということです。
卸さんの場合もお得意様から来た注文は断れないですね。それが結果として供給不足の混乱を増幅させているわけですから、やはり重要な品目についてはきちんとした定義をして、そして今、宮川先生がおっしゃったように、供給一元化という一時的な措置であってもやると。ただし、そこに公平性とか透明性をどう担保するかという仕組みをつくるという方針で、やはり公取と相談されるべきではないかと思います。
以上です。
○清田座長 どうぞ。
○安藤経済課長 ありがとうございます。
まず、公正取引委員会と協議しているか、していないかというところの事実関係で申し上げれば、それは我々も当然やっています。やった上で、我々の認識としても、先ほど生命の問題もありましたけれども、これだけ供給不安が起こって、国民の皆さんにそもそも医薬品が届かないという事態が起こりつつある、危機的な有事と同じような状況だというのは、我々も基本的な認識として持っております。
そういう前提で公正取引委員会とも話をさせていただいておりますが、正直そこの壁は大きい、高いといいますか、難しいという実態もある中で、それでどうするかというところで、苦肉の策として、少なくとも当面の話としてとにかくこの問題、情報の共有を進めなければいけないという中で、まずは今回も通知の中で提案させていただいておりますが、企業側のほうで一旦公表情報にしていただいた上で、その情報を集めて、それで関係者の皆様にお伝えすると。これは本当に代替手段です。これが本質的な解決とは全く思っていませんけれども、そういう代替手段を講じてでもとにかく今、足元の問題に対して何かしなければいけないということで我々は取り組んできていると。
その上で、本質的なところということで申し上げれば、諸外国の対応ということを踏まえると、これについては一定的な、法制的な取組は必要なのだろうと。これはやや踏み込んだ発言になりますが、私、個人的な思いとしては持っております。
なので、諸外国をもう少ししっかり検証する、研究する必要はあると思いますけれども、一定の制度として。もちろん、制度としてつくるときも公正取引委員会とは協議が必要になりますが、まさにこういう事態が日常的に起こっているという中で、それはきちんとした一つの制度としてそれが担保されているという形にしなければいけないのではないか、そういう問題意識も持っておりますので、すみません。法律とかそういう話になりますと、要するに、今日言ったら明日できるかといったら、そういう問題ではございませんが、それについても検討自体はしっかりとさせていただきたいと思います。
とにかくまずは足元、この状況について少しでも皆さんに情報が届くようにしなければいけない。それについては、申し訳ないのですが、代替手段的な形で何とか取組を進めたいと思っているところでございます。
○三村構成員 ありがとうございました。大変よく分かりました。
○清田座長 どうぞ。
○安部構成員 まず、今日御説明いただいた資料2の40ページ、3月4日の調査結果の報告をいただいて、いわゆる物が足りないという風評的な評価とか、現場としてはやみくもに不安があったものが、具体的な数字としてこういう詳細に出てきたということについては、薬局や医療機関でその在庫を管理することはもとより、製薬企業間の、どの企業が調整し、どの企業が調整していないというばらつきとか、それから卸業にとっても極めていいデータを出していただいたのだと思います。そういった意味では経済課の対応に感謝したいと思います。
これは現在の供給不足が解決するまではしっかりとアップデートしていただいて、先ほど製薬団体の方がおっしゃったように、用語についてはまだ整理する余地もあろうかと思いますので、しっかりとアップデートする中で用語の整理などももう一度していただいて、この問題が解決するまでしっかりと継続していただきたいと思います。
さらに、現在のコロナの状況とか国際状況などを見て、重要な医薬品の確保というのは重要な問題でありますので、こういった優先順位の高い品目については、40ページ以降のような資料が必要に応じて速やかに、かつ確実にできるようにするためには、先ほど課長がおっしゃったように、国の仕組みとして法制化などということもしっかり議論する必要があろうかと思いますので、そこは経済安全保障、人の安全保障という観点からこういった議論を踏まえてしっかりと取りまとめていただいて、実行していただきたいと思っております。
1点お願いであります。資料2-1の6ページに「これまでの対応」というのが書いてございまして、厚労省、日本医師会、卸販売業、製造販売業と書いてございます。もちろん、日本薬剤師会も会員に対して、厚労省や医師会の通知などと併せながらしっかりと通知をしているところでありますし、この薬が不足して、最後の対応で患者さんに説明をし、医師に報告をし、理解をしていただくように汗をかいているのは薬局でございますので、うっかり書き落としだと思いますけれども、これが厚労省のホームページに資料としてしっかり残るわけでありますので、資料として修正を要求したいと思います。どのように書くかは御相談させていただきたいと思います。
○清田座長 ありがとうございます。
修正の方法は後日調整していただければと思います。
○田中ベンチャー等支援戦略室長 ありがとうございます。しっかりと対応させていただきます。
○安部構成員 よろしくお願いします。
○清田座長 どうぞ。
○川上構成員 昨年来、医政局経済課で調査して供給不足に係る対応の通知等を出していただき、この3月4日にも130成分規格について具体的な銘柄ごとの状況をお伝えいただいたことで、医療機関の薬剤師としても大変感謝をしています。
この会議でも、2年前の6月に自身がプレゼンする機会に、回収情報はPMDAのホームページで出ているけれども、こういった流通不安定や供給状況については一元的な情報の把握がされていないので、それを是非、行政が行って公表してくださいとお願いしたので、2年近くたってやっと実現していただき、大変うれしく思います。
なお、通知ですと、文書を読んで目で追わなければいけないので、できたらウェブページとかでアップデートされて、国内の医療機関どこからでも常に見えるようにしていただけると、本当に現場にとって有益な情報になるかと思います。それを最終的に厚労省あるいは日薬連で行うのかについては御検討いただければと思いますが、継続して実施していただきたいと思います。
法制化については、もちろん必要だということも理解しています。5年ごとに薬機法を見直していくでしょうから、次の見直しの際にでも併せて御検討してほしいと、お願いしたいと思います。
以上でございます。
○清田座長 ありがとうございます。
よろしいでしょうか。
○安藤経済課長 はい。
○清田座長 コロナが優先されてしまっていますので、この問題はどうしても関心が薄いのです。ですから、マスコミ、医師会にコロナと同じようなアナウンスを私のほうからお願いしたいなと思います。そのほうが理解がみんないくのですね。こちらも危ないのだぞというのは前から言っているわけでありまして、そこら辺はみんなで頑張って国民に分かりやすく説明していければと思っています。
どうぞ。
○平川構成員 日精協の平川です。何度もすみません。
先ほど日薬連の報告の中で、5%増加したけれども、出荷調整がなぜできなかったかということがございましたが、5%増加したからといってそんなに増えた気がしないといいますか、倍になったとかいうのであれば、安心して出荷調整ができると思うのですが、5%で線引きをした理由が分かりません。これを見ますと、出荷調整、1,796品目中、6社しか回答していないのでしょうけれども、49品目。1796分の49にすると、2.7%しかないのです。単純計算してはいけないものでしょうけれども、7.6%という中途半端な数で、私たちからするとあまり増えていないのではないかという実感の数かなと思います。
既存の納入先というのは、こんなところで言っていいかどうか分かりませんが、大手薬局チェーンなどはたくさん薬を買っているわけです。我々一医療機関などは少ないわけで、医療機関で目の前に患者さんがいて使いたいときに使えないというのは、まさしくそういう構造的なものもあるのではないかと思うのですけれども、その辺についてのお考えはいかがでしょうか。
○清田座長 これは土屋構成員からどうぞ。
○土屋構成員 ありがとうございます。
まず、5%の考え方でございますが、例えば急激な需要が起こりますと、相対的に出荷量、供給量が落ちてしまう。そういう状況には陥っておらず対前年度と比較して同数量で出荷できている状態を維持している品目ということで、105%以上という形でピックアップをさせていただいているところでございます。
先生がおっしゃるとおり、なぜ5%なのかというところは説明が難しい状況でございますが、通常の出荷量を維持し、少し多く出荷している、ところで今回ピックアップをさせていただいたというところでございます。
2つ目のところでございますが、スライドの10ページ、出荷調整解除の品目について、対象品目1,796品目の中で、12月10日の中で出荷調整数は646品目。これが母数と考えれば、先ほど先生がおっしゃられた49品目、7.6%というのは非常に少ないと考えています。これは私どもも同じような形で、12月10日時点から12月末まで非常に期間が短かったこともありますし、そこでこの品目に限られたのかなと思っています。ただ、おっしゃるとおり、本年3月末の予定で見ましてもまだ54品目ぐらいにとどまっている状況を踏まえますと、経済課から今月通知が出ましたが、改めて出荷調整解除を会員会社の皆さんに通知をしておりますので、これから増えてくるのではないかということは期待しているところでございます。答えになってございませんけれども、今後増えてくるのではないかと予測をしているところです。
3つ目のところですが、既存のお客様を守っていく、そこの構造的な問題につきましては、私どもメーカー側で御説明するのは難しい課題でございますが、私どもメーカーの立場としましては、しっかりと増産体制をつくって、そのサイクルを回しながら卸様へ提供し、きちっとした受注の体制をつくっていきたいと考えているところでございます。
○清田座長 どうぞ。
○原構成員 大手チェーンという話が出ましたので、保険薬局協会の私のほうからお話し差し上げます。私どものほうでも会員にアンケートを取ったりして、これぐらい患者さんに後発品を出せていない、後発品から先発品に替わったのが1年間で500%増えているとか、こういう品目があるというのは、医政局にも保険局のほうにもお出ししております。
実際同一チェーン店舗の中でも、不思議なことにこの店舗は入るけれども、この店舗は入ってこないね、とか、入荷状況がばらばらな感じになっていたり、先行きが非常に見えにくい状況になっているのも間違いなく、今の状況で言うと、メーカーさんも頑張ってくれている。卸さんも頑張ってくれている。行政もみんな頑張っていて、医療機関もみんな苦労しながら頑張っている中で、通常出荷にどんどん出荷調整品が上がっていくことによってだんだん不安定流通品が減ってくると思うのです。薬局も置く場所が決まっていまして、調剤室以外に薬を置いたら薬機法違反で捕まりますので、待合室などには置けませんので、そんなに在庫を置くキャパはない。これは病院さんもクリニックさんも同じだと思っているのですけれども。そういう意味合いでは、出荷調整が通常出荷になれば不安定供給品は減るとは思うのですが、問題は出荷調整品よりも、出荷停止品の数がずっと同数残ってしまっていると。出荷停止になっているものが何で出荷停止もななまなのかと。工場の問題もあるのかもしれませんし、先ほど松本先生から出てきたような、この薬をやめたいのだとか、薬をつくりたくないのだとか、そういうことが出てきて出荷停止になっているのであれば、ここが何とかならないことには、とてもじゃないけれどもほかの品目に生産が回ってこないのではないかというのも現場感覚としてあります。出荷停止になっているのはなぜ出荷停止なのだ、いつこれが解除できるのだというのが一番大きいのではないかなと個人的に考えているので、ここのところについてもぜひ今後調べていただければと思っております。
以上になります。
○清田座長 ありがとうございます。
では、そこの精査をぜひよろしくお願いいたします。
平川先生、先ほどから足りない、足りないと叫んでおられる品目は具体的に何なのですか。何が手に入らないのですか。
○平川構成員 身近なところはバルプロ酸です。これは散剤のものと徐放剤とかいろんな剤形があって、こちらはあるけれども、こちらはないとか、そのようなことが起きたり、あとは抗精神病薬も剤形がいろいろ。結局、患者さんの服薬のコンプライアンスが違うので、剤形を替えると患者さんが非常に嫌がるようなこともあって、この薬しかないというのがあるのです。そういうところですごく困ってしまいます。
○清田座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○原構成員 今、バルプロ酸とかが非常に問題になっていまして、血中濃度も非常にシビアに管理しなければいけないものですし、患者さん・家族にとってはてんかん発作というのは非常に大変なことですので、先ほど座長から出たように、融通し合うというのがいつかできたらいいなと。実際、ちょっと余裕があるところと足りないところがあると思うのです。包装単位で買ってしまいますから、100錠で2か月もつ人もいれば、半分残っているとか、そういうことがあり得ますので、そういう意味ではトレーサービリティーをしっかりすることが実は一番大事なのではないかなと。
卸さんは薬局や病院さんに自分が入れた分は分かるのですが、ほかの卸さんが入れた分は分からないのです。だから、ここがたくさん残っているということが分からないのです。でも、メーカーさんは自分の商品がどこにたくさん入ったかは分かっているはずなのです。でも、メーカーさんも自分のところの成分は分かっても、ほかの会社さんの成分までは把握できない。そういう意味合いでは、どこにどの成分がたくさんあるかが分からないので、トレーサービリティーをしっかりすることによって、これは偽薬防止にもなりますし、それをちゃんとすることによって偏在も見えますし、在庫がたくさんあるからいけないということではなくて、もしかしたら処方変更してもらったり、いろんなことをして正しい使い方をしているうちにちょっと在庫が余っている可能性もありますので、足りないところがちゃんと使えるようになるかもしれない。これは先ほど課長が言った1番、2番、3番、どの類型にも当てはまるのですが、実際に医薬品がない場合にどう融通するかというときには必要になるのかなとちょっと思っているところでございます。
以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
では、バルプロ酸もいい例として精査願えればと思います。
ほかに御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。どうぞ。
○蛭田構成員 先ほど1ポツのところで自己点検の話が出てまいりました。そこについてまた徹底していくということなのですが、あの自己点検のチェックリストは作成したのが3年前で、それこそセファゾリンの件があって、セファゾリンを総括してつくったチェックリストであるのです。現状としては、先ほど課長からも話がございましたように、欠品については3つポイントがあるのだということもございますので、とにかく今、欠品、この状況を打開するというのがまず最初だとは思うのですけれども、落ち着いたところで、本来何をすべきなのかというところをベースにもう一度課題を明らかにした上で、チェックリストの見直しというのも検討されたらいかがかなと思っております。
以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○宮川構成員 今の問題はすごく大事で、現状はあるのです。それから次から次へと今、起こっているのですよ。雨後のタケノコみたいに次から次へと起こっています。ですから、最初に私が言ったように、点検リストがしっかりとしていないのです。もっと徹底してしっかりとした枠組みをつくっていかないと、業界として繰り返しているではないですか。業界として繰り返しているということを重大に思っているのかということについて、日薬連も含めてもっと当事者感覚を持っていただきたいなと思います。ただ現状でンケートを取ったり、分析したりするのは結構ですが、解決策が明確でありません。その辺のところは日薬連がもっと当事者感覚を持ってください。実際自分のところから問題は出ているわけですから。それが他人事のようにジェネリックだとか言うのではなくて、業界としてどのようにきちっと取り組んで、対応策を提示してください。ぜひとも、将来を見据えた対策をしっかり取っていただきたいと思っております。
以上です。
○清田座長 よろしいでしょうか。重い宿題をいただきました。
どうぞ。
○一條構成員 新幹線が脱線してしまって東京に行けない状態で、Zoomになってしまったのですけれども、震災とコロナワクチン配送とこの調整品で卸は今、走り回っております。実際に震災で震度6強があったのですが、次の日には全ての卸が動きました。そういうふうに供給安定で動いているのですけれども、今日、皆さん、貴重な御意見ありがとうございます。一番していただきたいのは、コロナで会議がなくなって意見がなかなか通用しなかった。今日みたいな活発な意見交換ができる会議をしっかりやっていただきたいというのを最後にお願いとして上げました。まだまだ頑張っていきますので、国民の安全、医療に対するものをしっかりやっていきたいと思いますので、こういう会議をもっともっとしっかりやらせていただきたいというのを最後にお願いしたいと思います。
○清田座長 ありがとうございました。
どうぞ。
○土屋構成員 今、宮川先生のほうから御指摘いただいたところでございます。確かにそのとおりで、その部分につきましては先般も医師会長のほうから要請文をいただいておりますので、それを踏まえまして、先般3月24日に業界団体の中で日薬連の理事会、製薬協総会において日本医師会からいただいた御要望を周知徹底しましたし、私ども製薬企業各社の使命であります安定供給確保に向けて最大限の対応をするということで再確認をしたところでございます。先ほどもお話がありましたとおり、一連の供給不足の解消については、後発に限らず、先発、後発品共に自社事情とか、あるいは他社の影響とか、そういうところいかんにかかわらず、全ての製薬企業が通常の状態に戻すべく、増産ということも含めて対応していきたいと考えているところでございます。また関係者の皆様、特に経済課と連携しながら取り組んでまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
以上でございます。
○清田座長 ありがとうございました。
それでは、議題3「その他」について、事務局から何かございますでしょうか。
○田中ベンチャー等支援戦略室長 事務局からは特にございません。
次回の開催につきましては、追って事務局のほうから構成員の先生方に御連絡をさせていただきたいと思います。
○清田座長 ありがとうございました。
いろんな問題点、宿題もございます。次回までにまた話が進むことを期待して、この会を閉じたいと思います。今日は本当にありがとうございました。お疲れさまでした。