第35回保険者による健診・保健指導等に関する検討会議事録(2019年11月13日)

 

 


○日時


令和元年11月13日(水)15:00~17:00

 


○場所


都道府県センター101会議室
東京都千代田区平河町2-6-3

 


○議題


1.2017年度特定健診・保健指導の実績等に基づく2018年度の後期高齢者支援金の加算・減算について
 
2.特定健診データ等の保険者間の引継ぎ、マイナポータルを活用した特定健診データ等の閲覧について
 
3.特定健診・保健指導の医療費適正化効果等の検討状況について
 
4.特定保健指導の「モデル実施」に係る対応について

5.高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドラインの改定について(報告)
 
6.その他
 

 


○議事


○多田羅座長 定刻になりましたので、ただいまより第35回「保険者による健診・保健指導等に関する検討会」を開催させていただきます。
構成員の皆様におかれましては、お忙しい中御参集いただきまして、まことにありがとうございます。
会の運営に対し御協力いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
それでは、会議に先立ちまして、前回の開催から構成員の交代と、本日の構成員の出席状況について、事務局から報告をお願いいたします。
○坂本医療費適正化対策推進室長補佐 事務局でございます。
まず、構成員の交代について御紹介させていただきます。佐藤構成員にかわりまして、全国国民健康保険組合協会から西田重之構成員、高野構成員にかわりまして、日本歯科医師会から山本秀樹構成員、藤原構成員にかわりまして、全国後期高齢者医療広域連合協議会から三重県津市市長の前葉泰幸構成員に御就任いただきました。また、本日御欠席ですけれども、岩澤構成員にかわりまして、全国町村会から徳島県那賀町長の坂口博文構成員に御就任いただいております。お手元に御就任いただいた後の名簿をお配りしていますので、適宜御確認ください。
次に、構成員の出席状況についてお知らせいたします。岡﨑構成員、鎌田構成員、坂口構成員、下浦構成員より御欠席との連絡をいただいております。
尾﨑構成員の代理で濱田参考人、吉田構成員の代理で増田参考人に御出席をいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
また、岩崎構成員におかれましては、途中で御退席されると聞いておりますので、よろしくお願いいたします。
オブザーバーとして、社会保険診療報酬支払基金から高齢者医療部の十文字部長に御出席いただいております。
前回の検討会は3月でございましたが、それ以降厚生労働省において異動がございましたので、御紹介をさせていただきます。
医療介護連携担当の審議官の八神です。
○八神審議官 八神と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○坂本医療費適正化対策推進室長補佐 本日、別の公務の関係でおくれておりますが、医療介護連携政策課長に山下が就任しております。
続いて、医療費適正化対策推進室長の新畑です。
○新畑医療費適正化対策推進室長 新畑です。よろしくお願いします。
○坂本医療費適正化対策推進室長補佐 本日は、議題に関連いたしまして、姫野保険課長、込山高齢者医療課長にも御出席をお願いしています。
ここで、審議官の八神のほうから開会に当たりまして、一言御挨拶をさせていただきます。
○八神審議官 本年の夏に担当の審議官を拝命いたしました八神と申します。どうぞよろしくお願いいたします。一言御挨拶を申し上げます。
まず、平素より特定健診・保健指導をはじめとした保険者による予防・健康づくりの推進に御指導・御尽力を賜りまして、感謝を申し上げます。また、本日は多田羅座長をはじめ、構成員の皆様方におかれましては、御多忙のところお集まりいただきまして、まことに感謝申し上げます。どうもありがとうございます。
さて、特定健診・保健指導につきましては、制度開始から10年が経過しております。さらなる実施率の向上が課題となっております。昨年度より特定保健指導のモデル実施を導入するなど、これまで以上に効率的・効果的な特定健診・保健指導を進めていくことが期待されております。今回は特定健診・保健指導に関連しまして、後期高齢者支援金の加算・減算、特定健診データ等のマイナポータルによる閲覧、特定健診・保健指導の医療費適正化効果等の検討状況、特定保健指導のモデル実施に係る対応などにつきまして御議論をいただきたいと存じます。
特定健診・保健指導をはじめとした保険者による予防・健康づくりの推進に向けまして、構成員の皆様方の活発な御議論を期待し、私の挨拶とさせていただきます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
○坂本医療費適正化対策推進室長補佐 大変恐縮ですけれども、八神も本日、他の公務の関係で途中で退席させていただくことになりますので、御了承いただければと思います。
それでは、議事に入らせていただきますが、厚生労働省は審議会等のペーパーレスを進めておりますので、タブレットを用いて資料をごらんいただければと思っております。もしタブレットの操作方法等で御不明な点がございましたら、挙手等をしていただければ事務局が御説明をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
議事次第と構成員名簿と座席表につきましては、紙の資料で配付しておりますが、そのほかの資料につきましては、お手元のタブレットの中にPDFで資料の番号順に格納させていただいておりますので、御確認ください。
以上になります。
○多田羅座長 それでは、議事に入らせていただきます。タブレット使用ということですので、よろしくお願いします。
初めに、議題1「2017年度特定健診・特定保健指導の実績等に基づく2018年度の後期高齢者支援金の加算・減算について」。事務局から説明をお願いいたします。
○姫野保険課長 ありがとうございます。保険課長でございます。
資料1に沿って説明させていただきたいと思います。1ページですけれども、これまでの経過、今後の方針についてこれまで決まっていることを整理したものでございます。後期高齢者支援金の加減算につきましては、2017年度までにつきましては、加減算の方法としまして、2の1に書いていますように、実施率が0.1%未満の保険者について加算をするということで、加算率0.23%。実施率が相対的に高い保険者につきまして減算をするということでございました。2018年度以降につきましては、右側の箱になりますが、加算、減算それぞれ率を段階的に引き上げるということになってございます。加算率につきましては、2020年に最大10%、減算につきましても最大10%で、3区分に設定してはどうかということで、お決めいただいているところでございます。
2ページ、2018年度の支援金の加算の計算方法でございます。こちらにつきましては、2つ目の○にありますように、今回、2017年度の実績から具体的に当てはめをいたしまして、健保組合で103保険者、共済組合は3保険者が加算の対象となりまして、加算総額は約4億939万円ということになってございます。具体的な加算の基準につきましては、下の表にあるとおりでございますけれども、例えば特定健診ですと、単一健保・共済組合の場合は45%未満の実施率の場合、総合健保・私学共済の場合は42.5%未満の場合に1.0%の加算になる。そういった基準をお決めいただいているところでございます。
3ページは、その結果、各保険者ごとにどのような実施率の状況になっているのかというのをグラフにプロットしたものでございます。数だけ申し上げますと、下の表にありますように、加算対象の保険者につきましては、単一健保84保険者、総合健保で19保険者、共済で3保険者ということになってございます。
参考までに次のページに、2016年度の実績で同じように当てはめますとどうなるかということで、グラフにプロットしておりますが、相対的に実施率が向上しているという結果が見て取れてございます。下の表にありますように、特定健診で見ますと、2016年度の実績で当てはめますと21保険者が加算対象になりますが、2017年度の実績ですと9保険者、特定保健指導につきましても209から98ということで、加算対象の保険者が縮まっていくという傾向になってございます。
今回御意見いただきたいところですけれども、減算の具体的な率の当てはめ方ということでございます。5ページ、第30回、2017年10月のこの検討会におきましてお決めいただいた内容を整理してございます。減算対象保険者の要件につきましては、評価項目、7つの大項目を設けていただきまして、その大項目ごとに重点項目を1項目以上実施するということを減算の要件とするとお決めいただいております。参考として16ページに評価指標をおつけしております。ここで大項目1、特定健診・保健指導などの実施率、大項目2、要医療の者への受診勧奨など。そういった形で大項目1から大項目7までございますが、この評価指標の右側の「重点項目」という欄に○印がついている項目が重点項目になりますが、これを各大項目ごとに1つ以上達成しているというのが減算の要件ということでお決めいただいているところでございます。
5ページに戻りまして、具体的にどういう評価をしていくのかということですけれども、この評価指標に沿いまして配点を積み上げて、点数で総合評価をするということにしていただいておりますが、事業主との連携のしやすさなど保険者の特性を考慮して、現行と同様単一健保、総合健保・私学共済、その他の共済の3つのグループごとに評価をするということまでお決めいただいております。また、減算率につきましては、メリハリある評価をするということで、上位から減算率を10~5%、5~3%、3~1%の3区分で減算率を設定してはどうかということで、お決めいただいているところでございます。
6ページです。今回の減算の基準に当てはめまして対象保険者を整理いたしましたところ、単一健保で103、総合健保で16、共済で9、合計で128保険者が減算の対象になるということでございます。
具体的な分布がその下のグラフにあるとおりです。赤く表記しているところが減算対象の保険者ということになります。点数が高いほうから順に減算対象となっておりますけれども、一部点数が同じでも大項目の中の重点項目を達成していない場合は減算対象になりませんので、同点であっても減算になる、ならないという差が生じてきているという状況でございます。
7ページは減算率の具体的な計算方法をどうするか、区分をどうするかということでございます。減算率の上位、中位、下位と3区分をつけていくということですけれども、その区分の決め方については、この分布の標準偏差を用いまして上位、中位、下位を決めてはどうかというのを1つの考え方としてお示ししております。具体的には下のグラフにありますように、今回減算対象となる保険者の点数分布を並べますと、このような青いグラフになっております。これを単純に数で上位、中位、下位と三等分いたしますと、緑の矢印でありますようなグループ分けになりまして、点線で示しているところで切れ目が入ることになります。そうしますと、青い山の少し塊の間で切れ目が入るような格好になりますが、一方で、標準偏差を用いまして3区分にいたしますと、赤い矢印のようなグルーピングになりまして、山の比較的まとまったところ、実線のラインでグルーピングができるということになりますので、こういった標準偏差の手法を用いてグルーピングしてはどうかという考え方をお示ししてございます。
減算率の決め方ですけれども、10~5%、5~3%、3~1%の3区分というものが基本ということで、2017年の際にお示しいただいておりますので、この考え方をもとに、それぞれの区分の真ん中の値である7.5、4、2、この比率を基本として減算率を決めていってはどうかと考えてございます。
8ページでございます。評価方法についてということで、単一、総合、共済という3つのグループごとに評価をするということで2017年の検討会でお示しいただいておりますが、この評価に当たってどのような方法でそれぞれのグループごとの評価をしていくかということで考え方を整理してございます。
案1でございます。点数の区分、減算率の設定それぞれにこの3つのグループを完全に分けて、グループ内で設定をするという考え方が1つあるかと思っております。
案2でございます。減算率はこの3つのグループで統一のものを設定する。ただし、単一健保、総合、その他の共済の3つのグループごとに、上位、中位、下位というものを標準偏差を用いてグルーピングして、減算率だけは統一のものになるように計算をするという仕方が案2でございます。
案3は、3つのグループを分けずに、そもそも評価指標の中でそれぞれのグループの特性に応じた評価をされているという前提で点数を補正した上で、まとめて3区分、上位、中位、下位と評価をするという方法も考えられるかということで、3つ案を並べてございます。
それぞれの案の特質を整理したのが9ページになります。案1のように、グループごとに上位、中位、下位というものをつくりまして、減算率も3つのグループごとに設定するという場合ですけれども、3つのグループごとに加算額をもとに減算率を決めていくということになりますので、グループの中で評価が完結いたします。そういった意味で、グループごとの特性を考慮した評価ができるということは言えるかと思います。ただ、一方で、案1の場合ですと、加算対象がなくなった場合に、結果的にそのグループ内では減算対象も出てこないということになりますので、小さなグループ内で評価をすることのデメリットもあるのではないかということでございます。
一方、案2、案3で3つのグループを一律に評価していく場合の論点ですけれども、まず全体の加算額をもとに減算率を一律に設定いたしますので、将来的にあるグループだけが減算が行われないということは生じないと考えられます。一方で、グループごとに3区分するということですとか、点数を補正するということで一定の評価は配慮できますけれども、果たしてそれでグループごとの特性が十分に反映できているのかという懸念が残るということですとか、あるいは加算額と減算額がグループ間で移動するということについての保険者間での理解が得られるかといった課題があろうかと思っております。この点についても御意見をいただければと思ってございます。
10ページですけれども、この結果、減算対象保険者の名称を公表するかどうかということについても検討するようにというのが前回の宿題でございます。今回その点につきましては保険者の名前を公表するということが基本かと思っておりますので、一方で、点数まで公表するのかどうかというのは、いろんな御意見もあろうかと思います。具体的には僅差、1点差で上位、中位で分かれてしまった場合などは納得感が得られないのではないか、そういった御指摘もあろうかと思いますけれども、一方で、標準偏差である程度グループの山を意識してグルーピングをすることで、そういった納得感というものには対応できるのではないかということも考えられます。
また、点数も公表することで、よりインセンティブが働くということも考えられますので、合計点数もあわせて公表してはどうかというのが、今回お示しした案でございます。
11ページ、2020年度、先の話になりますが、減算対象保険者の要件をどうするかということも御議論いただきたいと思っております。2017年度の検討会の中では、2018年度は大項目の重点項目の中から1項目以上実施するということを要件とすることになっておりますが、2019年度以降につきましては、実施状況を踏まえて、重点項目の中で達成すべき項目数の見直しを行って、大項目2から7の要件となる項目数を2項目以上に段階的に引き上げていくことを検討するとお決めいただいてございます。
今回その結果、どういう達成状況かというのを下の表にお示ししておりますけれども、実は大項目1という特定健診・保健指導の部分の達成状況が一番悪くて、10%程度になっておりますが、その他の大項目2から7につきましては、7~9割を超えるような達成状況になっているという状況でございます。
こういった結果を踏まえまして、今後どうするかということですけれども、まず法定義務である特定健診・保健指導の実施率にインセンティブを働かせるということも一つ大きな課題でございますので、2020年度の減算においても引き続き大項目2から7については項目数は1つ以上達成するということを要件としてはどうかというのを1つの考え方として提示させていただいているところでございます。
論点が多岐にわたりますが、御意見をいただければありがたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○多田羅座長 ありがとうございます。
ただいまの議題1、加算・減算について、事務局より説明をいただきました。少し複雑なところもあり、考え方、3区分に分けてお話しいただきましたが、いかがでしょうか。御意見ございましたら、よろしくお願いします。河本委員、どうぞ。
○河本構成員 ありがとうございます。
減算率の計算方法について、意見を申し上げたいと思います。事務局から3つの案を御提示いただいておりますが、今までの評価の仕方というのは、グループごとに評価をして、保険者が同程度の評価となるように補正をした上で、同率の減算率を適用するという形になっております。今回、減算率自体をグループごとに変えてしまう案1というパターンも提示していただいておりますが、減算率自体をグループごとに変えてしまう手法は今までに例がないということもございますので、ここについては慎重な議論が必要ではないかと思います。同様の評価でありながら、グループによって減算率に大きな差が出てしまうというのは、なかなか納得が得られにくいのではないかと考えております。
それから、くくりを小さくしてしまうと、将来的に対象保険者の少ないグループでは、加算対象の組合のみが発生して、減算対象組合がない、あるいは逆に加算対象組合がなくなって、減算対象組合のみ発生するなど、加減算が機能しなくなるリスクもあるのではないかなと考えております。
その他の案2、案3につきましては、御提案の内容について、今のところ特段異論はございません。
○多田羅座長 ありがとうございます。
3グループごとに上位、中位、下位に3区分して数字は示すと。
○河本構成員 上、中、下の3区分の減算率を一律に示すというのはよろしいかと思うということを申し上げました。
○多田羅座長 数字を出すときに1つにするということですね。
○河本構成員 案1というパターンですと、上位でも恐らくグループごとに減算率が変わってくる。例えば、あるグループは減算率が0.8%、あるグループは0.2%など。それが年によっても大きく異なるということになります。そういう意味で、減算率はグループごとの特性を踏まえて評価の調整をしているにもかかわらず、そこで一旦決まった評価について減算率が大きく違うというのは、なかなか理解が得られないのではないと思います。
○多田羅座長 区分ごとで大きく違うというのは理解を得がたいのではないかと。
○河本構成員 そうですね。同じ上位とされたところがグループごとに減算率が大きく違う、あるいは同じ中位とされたところがグループごとに減算率が大きく違うということになると、なかなか理解が得られにくいのではないかという意見でございます。
○多田羅座長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。北原委員。
○北原構成員 私のほうも同様の意見ですが、やはり案1について疑義的なところがございます。論点としては先ほどおっしゃったとおりなのですが、次に出てくる公表では、案1のままだと、8ページにあるように落ちこぼれが出てしまう。ある程度実施率がよくても、加算がないがために減算対象にならず、公表からも外れてしまうという危惧がある。同じレベルでいい実績を上げているにもかかわらず、加算・減算を同じ枠の中にはめ込んでしまうがために減算対象から外れてしまう。その結果、公表というのが必ずしもしっかりとしたもの、同じレベルの保険者を公表していることにならないのではないかと考えられるので、案1については、そこあたりも含めて慎重な議論が必要ではないかと思ってございます。
以上でございます。
○多田羅座長 ありがとうございます。
具体的な論点を御指摘いただきました。
ほかにいかがでしょうか。私学共済も名前が挙がっておりますが、酒井さん、いかがですか。
○酒井構成員 私学共済でございます。
案1、案2、案3をお示しいただきまして、この中であえて選べと言われれば、案1なのかなと思いますが、今、北原委員がおっしゃったように、問題を整理した上でやっていく必要があるのかなと思っております。
以上でございます。
○多田羅座長 ありがとうございました。
問題点を具体的に御指摘いただいて、かなり建設的な御意見ではないかなと思います。
いかがでしょうか。事務局のほうは何かございますか。一遍持って帰りますか。
○姫野保険課長 いえ、特にございません。
○多田羅座長 いかがでしょうか。どうぞ。
○伊藤構成員 質問をさせていただきます。案2の場合、グルーピングは、3グループごとに3区分を置くということで、その3区分について相対的な評価で区切りをつけることになると思いますが、それがグループごとに違うところになるわけですけれども、下位のグループについての減算率を一緒にするということは合理的なのですか。そこがよくわからないので、そのやり方が適切なのかを説明いただければと思います。
○多田羅座長 では、事務局。
○姫野保険課長 御指摘ありがとうございます。
案2については、御疑問のように、グルーピングについては、3つのグループの中で相対評価をして、それを最終的に統一の率で評価しますので、少し違和感があるかと思いますけれども、まず相対評価で上、中、下と分けるところについては、そのグループ間の特性を加味してグルーピングをするということで、一定のグループ特性を配慮するということにしております。ただ、最終的に減算率が変わるということの違和感を解消するために、減算率については統一の尺度で適用するということになっております。これが果たして納得が得られるかどうかというところはいろいろな御意見があるところかと思いますので、今の案の構成としてはそういうことだという御説明でございます。
○多田羅座長 今の御説明で納得いただけましたか。減算率については一律のものにするというのが基本のお考えのようですね。いかがでしょうか。これも考え方で、減算率が各グループによって違うというのも不公平、何でだというところもあるような気がしますね。減算率というのは非常に大事な概念なので。いかがでしょうか。津下委員、どうぞ。
○津下構成員 どの方法がいいのかというのを検討するため、3ページ、各保険者で加算・減算の根拠となる健診受診率、保健指導実施率とか、6ページの分布などを拝見しました。各保険者で若干数字は違うのですけれども、分布の中の位置づけとか、そういうことについては大きな差異がないともお見受けできると思います。保険者種別に一定の基準のもとに対象を決めた後は、この加算・減算のルールに従って減算率を設定していくのがいいのかなと思いました。
特に注目したいのは4ページにございますように、加算・減算制度が一つのインセンティブ、誘因になりまして、特に実施率が低いところが減ってきているということです。保険者が健診や保健指導を提供しないと、加入者のところまで届かないということで、しっかりと取り組んでいただく必要があります。実施率目標自体も特別に厳しいわけではないという状況もあります。全ての保険者において、加算対象がなくなったらどうしようということもありますが、全体的に数字が上がって、加算保険者がなくなって、皆さんがいい状態になるというのが最終的な理想形かもしれません。しかし、当面はまだそういう制度が必要なのかなと思いました。
もう一つの論点であります重点項目の取り扱いということです。重点項目の中で大項目1については、健診受診率や保健指導実施率という対象者に対するカバー率などを見ているものになりますが、大項目2以降の項目については、保険者が取り組みをしているか、していないかという、ややあいまいな評価ということになっていきます。今後さらに大項目2以降が精緻化されて、データでどのぐらい行き届いているかとか、評価できる段階になると、ウエイトを増やしてもいいのかなとも思いますけれども、現段階では大項目1がまだ10%ということで達成率が低い状況でもございますので、現行を継続していただくのがよろしいのかなと思いました。
以上です。
○多田羅座長 そうすると、案1、案2、案3のうち、先生のお考えでは何が。
○津下構成員 案2かなと思いました。
○多田羅座長 では、減算率については統一するということですね。
いかがですか。一応、案2の御意見をやや出していただいているような気もしますけれども。事務局、一度持ち帰りますか。
○姫野保険課長 はい。津下先生から案2という御意見もいただきましたし、一方で、伊藤委員からは案2のわかりにくさという御指摘もいただきましたので、どの案が一番保険者の皆様にとって納得が得られやすいのかという視点で、今いただいた御意見を踏まえて再度検討いたしまして、次回再度お諮りしたいと思っております。
○多田羅座長 よろしくお願いします。
確かに減算率がグループごとに変わってくるというのも、制度としてはどうかなという感じもありますね。ですから、減算率というところを一律にするというのが私は一つの考えのような気もします。事務局もその辺を御検討ください。
ということでよろしいですか。どうぞ。
○河合構成員 論点というか、違うところで。公表の仕方のところですが、合計点数をあわせて公表するという提案もされているのですけれども、私としては点数もさることながら、減算対象になったところが何で実施率を上げられているのか、その要因というものをきちんと同時にお示しいただけないかなと思うのです。この制度は、実際率を上げていくということが目標なので、なかなか実施率が上がらなかったところがそういうところを参考にしていくということが政策誘導としては正しい話と思います。悪いところができなかったことはさることながら、うまくいっているところの公表をぜひともしていただきたいと思います。
○多田羅座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○山本構成員 日本歯科医師会の山本でございます。
先ほどの津下先生の御指摘でございますが、いわゆる項目ごとの評価というところが半定量的ということは、私どもも非常に懸念をしています。例えば、大項目5の歯科健診をどの程度事業者がやっていただけるか、あるいは保健指導をしているのかということが全然わからないという状態でございますので、その点については、今後事務局のほうで数なり、あるいは何%ぐらいがこういったところで行っているかということがわかるようにしていただけると大変ありがたいなと思っています。これは要望でございます。
以上でございます。
○多田羅座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○姫野保険課長 公表の際に実施率が上がった要因も公表してはどうかという御意見をいただきました。網羅的にどこまでできるかというのは、なかなか難しいところもあるかと思いますけれども、我々としてもベストプラクティスをしっかりと普及していくという観点で検討していきたいと思います。
また、項目で非定量的なところをもう少し改善すべきという御指摘もありますが、この評価指標につきましても中間年で再度検討する必要があるかと思っておりますので、来年度以降しっかりと検討できるように準備を進めていきたいと思っております。
○多田羅座長 ありがとうございます。
それでは、先ほど事務局から一度持ち帰りたいという御意見もございましたので、この案については、今日の御意見を踏まえて事務局で御検討いただき、次回検討会において最終的に決定させていただくということで御了解いただきたいと思います。それでよろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○多田羅座長 ありがとうございます。
それでは、議題2に移らせていただきます。議題2「特定健診データ等の保険者間の引継ぎ、マイナポータルを活用した特定健診データ等の閲覧について」。事務局から説明をお願いいたします。
○新畑医療費適正化対策推進室長 資料2-1、2-2に基づきまして御説明させていただきたいと思います。
資料2-1「特定健診データ等の保険者間の引継ぎ、マイナポータルを活用した特定健診データ等の閲覧について」。現在の検討状況について御報告させていただければと思います。1ページは以前の検討会の資料でございますが、こちらは保険者間引き継ぎの基本的な考え方というところで、再度絵にさせていただいております。1番目のポツは、保険者にとって新規加入者の過去の特定健診等データを活用して、本人の過去の状況や病歴等の特性に応じた、個別の保健事業に引き継ぎを行うことでメリットがあるのではないかというところを基本的な考えのもとに、こういった取り組みを進めているところでございます。
2ページです。こうした取り組みを進める上で、現在構築中でございますオンライン資格確認等システムを用いまして、システム上円滑な情報のやりとりを進めていけるよう、検討のほうを引き続き行っているところでございます。
3ページは、こうした取り組みを進めるに当たりまして主な検討項目というところで、以前の検討会の資料に基づきまして、現在主に検討している内容を赤枠で御提示させていただいているところでございます。
さらに分解した検討項目につきまして、4ページのところでお示しさせていただいております。1番、保険者間引き継ぎの運用について、どのように円滑に行っていくかというところ。実際に引き継ぎを行っていくファイルのことを「閲覧用ファイル」と申しておりますが、こちらの登録についてどのように行っていくか。また、導入されていきます個人単位被保険者番号の確認。こちらは個人をひもづける重要な情報になってきますので、こちらの確認をどのように行っていくか。
保険者間引き継ぎの同意の登録につきましては、前回の検討会の中で御意見をいただいた部分もございますので、資料2-2で改めて御説明させていただければと思います。
また、こうした運用を実現していくに当たりまして、データ様式をどのようにしていくかというところもあわせて検討しているところでございます。
5ページ「保険者間引継ぎの運用について」の御説明でございます。
6ページに特定健診データ等の提出経路を図示した資料を御用意させていただいております。左側に「加入者」というところを書かせていただいておりまして、実際加入者は健診実施機関で特定健診を受けて、そういったデータが保険者のほうに移っていきまして、そういったデータが支払基金・国保中央会の中で特定健診等データ収集システムを介してオンライン確認等システムのほうにデータの送出として格納されていくというところをあらわしております。
また、オンライン確認等システムから医療機関の閲覧用のデータでございますとか、マイナポータルで閲覧する、加入者自身が閲覧するといったところも右側のところに書かせていただいているところでございます。
7ページは特定健診データ等の登録方法というところで、現在の検討状況でございますが、オンライン資格確認等システムに登録する特定健診データにつきましては、法定報告に含まれるものを活用することが考えられますが、以下のような制約が生じるというところで、法定報告の時期は健診実施年度の翌年の11月1日までですけれども、こういった時期のために、システム上で登録されるまでに実際健診を受けた日付から相応の期間を要するというところがございます。
また、法定報告に含まれる特定健診データにつきましては、年間を通じて加入していた者のデータに限定されるため、年度途中で資格を喪失した者等のデータは含まれないといった課題がございます。こういった制約を踏まえまして、法定報告に含まれるものを基本とはするものの、個々の保険者の実情に応じまして、以下の1、2のような対応をしてはどうかというところを検討しているところでございます。
1従来の法定報告よりも早いタイミングで特定健診データを登録するようにできたほうがよいのではないか。また、年度途中で資格を喪失した者の特定健診データを含め、全ての特定健診データを登録できる体制を設けてはどうかというところで検討を行っております。
8ページは、閲覧用ファイルの登録について、閲覧用ファイルの仕様も含めて御提示させていただいております。閲覧用ファイルにつきましては、法定報告には特定健診データ情報、特定健診の結果の情報と特定保健指導の情報ファイルが含まれておりますけれども、実際に引き継ぎを行うのは特定健診情報ファイルのみとさせていただくというところで、ファイル形式としまして、細かい仕様ですけれども、XML形式ファイルで登録するとか、また、閲覧用ファイルにつきましては、法定報告用ファイルと別の時期に登録することができるようにするといったことでございますとか、ただ、法定報告を見本といたしますので、法定報告用に名前をつけて登録していただいた場合につきましては、特定健診情報ファイルのみを抽出して、オンライン資格確認等システムに連携できるようなシステムに整えるというところで検討しております。
時期がずれて登録されてくる可能性がございますので、そういった場合は、後から登録されたファイル情報に更新して格納されるといったルールづくりでございますとか、それから閲覧用ファイルの登録時期が法定報告とはずれて登録されることになりますので、そちらの頻度をどうしていくかというところで、現状の頻度としましては、最も頻度が高いところで月次までを想定しながら、月次の登録を実現するために、登録についてはオンラインを原則としてはどうかといった検討を行っております。
9ページは、個人単位被保険者番号の確認についてというところでございます。こちらはデータが誤って引き継がれることがないように、保険者から登録された特定健診等データに含まれる個人単位被保険者番号をオンライン資格確認等システムに照会して、個人をひもづけていく。資格が確認された特定健診データのみをオンライン資格確認等システムに登録するといったシステムを考えております。また、こういったエラーが生じた場合につきましては、保険者に削除結果を連絡する。再度資格を確認していただいて登録していただくという流れになっております。
10ページ、同意については後ほど御説明させていただきますが、同意につきましてどのような運用を考えていくかというところでございます。同意を取得する対象といたしましては、保険者の変更があった特定健診の対象者である40歳以上の加入者。
同意を取得する保険者としては、新保険者を想定しております。
データの登録開始時期につきましては、2020年度実施分を想定しておりますけれども、詳細なスケジュール等につきましては、引き続きワーキング等で検討させていただく予定にしております。
同意情報をどのように登録していくかというところで、2種類の経路を今、考えておりまして、中間サーバーというところに資格確認の情報がございますが、中間サーバーのところに接続できる統合専用端末というものが保険者に割り振られておりますけれども、こちらに直接登録できる仕組みを御準備させていただくのと、また、統合専用端末で登録が難しいといった場合につきましては、特定健診データに同意情報ファイルを1人1ファイル登録いただければ、被用者保険と市町村国保と国保組合のほうで、若干経路は異なりますけれども、そういったファイルを登録していただければ同意を確認できるシステムの構築を考えております。
また、同意を取得するタイミングといたしましてはa、b、cを想定しておりまして、aの保健指導実施時に保健師等が説明・取得する場合でございますとか、bの新規保険加入時に保険者が窓口等で説明・取得していただく場合でございますとか、cの特定健診・保健指導の受診案内時に郵送等による説明・取得を行っていく場合等を想定しております。
11ページは、登録された同意情報をどのように管理していくかというところで、同意情報の切りかえというところが想定される場合、どのように管理していくかというところでございますが、同意取得日というものを同意あり、なしと同時に管理することで、直近の同意取得日を優先して同意あり、なし、同意フラグを判定していくというところを考えております。
同意情報ファイルの登録頻度といたしましては、可能な限り随時登録できる環境を整えるように検討していきたいと思っております。
12ページ以降はデータ様式でございます。
13ページは個人単位被保険者番号の入力方法というところでございます。個人単位被保険者番号の入力規則につきましては、3月の検討会資料で被保険者証等記号から被保険者証等番号、枝番まで1つの行、「整理用番号5」に全て入力するとしておったのですが、オンライン資格確認等システムの検討も進んでおりまして、オンライン資格確認等システムのレイアウトを右側にお示ししておりますが、こちらのほうはレイアウトが決まりましたので、システム上、特定健診のシステムを構築していくに当たりましても、オンライン資格確認等システムの親和性、連携をとる意味でも、こちらのレイアウトに合わせたほうがよいであろうというところで、オンライン資格確認等システムにつきましては、今回も個人単位被保険者番号で新規につきます枝番というものを別行で用意するというレイアウトになっておりますので、そちらに合わせまして特定健診情報ファイルにつきましても枝番を別行でデータレイアウトとして用意させていただきたいと考えております。
14ページは、以前お示しさせていただいた資料の部分を先ほどの枝番を別行として追加するという記載に修正させていただいて、御提示させていただいております。
15ページは、同意情報ファイルはどういった形式にしていくかというところです。下のほうに御提示させていただいておりますが、先ほど御説明させていただいた同意情報といたしましては、同意取得日と本人同意のフラグというものを受診者情報と一緒に御登録いただくという運用を考えております。同意取得対象者のみデータを作成いただいて、御登録いただくようなシステムのほうを現在考えているところでございます。
16ページは、法定報告用(匿名化前・匿名化済)、また2種類のファイルができたりということでございますとか、閲覧用のファイル、同意情報用のファイルとファイルの形式がふえますので、現在6号通知、8号通知の別表でお示しさせていただいております種別コードや実施区分につきましても、お示しさせていただいているようなコードの追加を行わせていただきたいと考えております。
17ページ、登録していただいたデータを実際どのような形式、ダウンロードファイルの形式で利用していくかというところを整理させていただいております。一番上の保険者用といたしましては、基本的には登録していただいたファイル、XMLファイル、CSVのファイル、全ての項目をダウンロードして利用いただくというところを想定しております。
加入者が利用いただくマイナポータルにつきましては、現在閲覧に関しましてはPDFになっておりますが、こちらはPDFファイルで用意させていただくというところです。医療機関用の閲覧用につきましては、医療機関のほうで電子カルテシステム等を改修していただく必要がございますけれども、そういった改修状況に合わせましてPDFファイル等のファイルを御提示させていただく方向で考えております。
医療機関用につきましては、DV防止等の観点を踏まえまして、健診実施機関等、居所が類推できるような情報につきましては削除するなどして項目を整理しているところでございます。
18ページは、以前検討会でお示ししました保存期間のダウンロードに関する資料でございます。以前の資料ですと、中間サーバーを介してダウンロードできるといった記載をさせていただいたのですが、こちらの検討が進みまして、中間サーバー自体は特定個人情報を扱うもので、情報のセキュリティー上、ダウンロードができないというところで検討が進んでいるところでございますので、今、お示ししておりますように、基本的にはオンライン請求用の端末と、国保連合会につきましては、特定健診等データ管理システムの端末を活用してダウンロードしていただくというところで、資料の修正をさせていただきたいと思います。
19ページは、閲覧項目のほうを先ほど医療機関用に御説明させていただきまして、居所を類推する情報と一緒に整理をさせていただいているところでございます。
表のほうを御参照いただきますと、真ん中で居所を類推する情報のところに○をつけさせていただいておりまして、こういった情報につきましては、医療機関のほうでは表示をしないといった項目、内容を考えております。
20ページ、21ページにつきましても検査情報とか続きますけれども、こちらに関しましては居所を類推する情報はないというところで、基本的に全てお示しするというところで検討しております。
22ページは、マイナポ閲覧のときに実際PDFファイルをどのように作成していくかというところでございますが、PDFファイルにつきましては、現在厚生労働省のほうで特定健診の結果を通知する際の基本的なデータのレイアウトを通知でお示しさせていただいておりますが、こちらのほうに文字を入れた形。23ページ、こちらの通知でお示しさせていただいている表のレイアウトに合わせて文字を入力して、PDFファイルを作成させていただくという形で検討を進めさせていただければと思っております。
資料2-1の説明につきましては以上となります。
続きまして、資料2-2の御説明をさせていただきたいと思います。資料2-2「保険者間引継ぎを行う際の本人同意に係る論点について」ということで、3月に御意見をいただいたところを中心に事務局が資料としてまとめさせていただいたところでございます。
1ページでございます。上段に現在高確法の現行の規定を御提示させていただいておりまして、下の図の部分は、保険者Aから保険者Bに移動した際を想定して図示させていただいております。
上段の「現行の規定」というところでございますが、高確法の第27条第1項及び第3項によりますと、新保険者は旧保険者に加入者の特定データ等を求めることができ、求められた保険者は当該データを提出しなければならないこととされております。
2番目のポツでございます。当該データの移動につきましては、特定健康診査及び特定保健指導の実施に関する基準(基準省令)の第13条第1項において、移動に当たって新保険者、旧保険者のいずれかが本人の同意を取得することとされている。こちらが現行の規定となっております。
2ページは、今般の動きと今後の検討の方向性というところで整理させていただいたところでございます。上段の今般の動きでございますが、オンライン資格確認等システムを通じた特定健診データ等の保険者間引き継ぎができるシステムの改修を進めているところでございまして、こういった場面で保険者間引き継ぎが円滑に行われることは重要であるというところを2ポツ目に書かせていただいております。
3ポツ目でございますが、特定健診データの保険者間引き継ぎに係る本人同意を逐一保険者等において明示的に紙等で取得することは、円滑な引き継ぎの阻害要因となり得るほか、同意情報を登録するためのシステム改修にも多大な費用を要するところということで、整理をさせていただいております。
続きまして、下段の「今後の検討の方向性」というところでございます。特定健診データ等の保険者引き継ぎに係る本人同意を明示的に取得する方向につきましては、事務負担やコストの面から困難な点もございます。一方で、特定健診データという個人の健康に係る情報の取り扱いについて論点がございまして、保険者等における負担や個人が経年的に健康情報を確認できることによるメリットと個人情報保護の重要性とのバランスをとりながら、適切な方法を検討していく必要があると考えております。
具体的な検討につきましては、各関係者や有識者等の助言を得つつ、早急に進めてはどうかというところで、事務局として整理させていただいたところでございます。
資料の説明としては以上になります。
○多田羅座長 ありがとうございました。
資料2-1、2-2について御説明いただきました。資料2-1については、具体的な仕組みの問題で、実態として御了解いただけるのではないかと思いますが、基本的な点として資料2-2の「本人同意に係る論点について」というのは、一応こういう健康情報という扱いについては本人同意というのは極めて重要ということが社会の、本人のプライバシーの最たるものとして、本人同意をもとにデータ処理を行うというのが哲学であろうかと思います。
しかし、非常に膨大なデータ量であること、また、多様な保険者があることなどから、法律の面でも高確法の定義と、それを行う基準あたりの文面が少し違っているというところがあって、推進について慎重な検討が必要ということかと思いますが、委員の皆さん、いかがでしょうか。取り扱いについて。今村先生。
○今村構成員 ありがとうございます。
同意のお話にも多少かかわるのかもしれませんが、基本的な仕組みの話で、何度聞いても、時間を置いて聞くとまたわからないというところがあるので、事務局に教えていただければと思います。2-1の18ページ、前にもこの話があったのですけれども、これは正式に決まったわけではないのだろうと思うのですが、保険者に5年間の保存義務があると。例えば4年たったところで、A保険者からB保険者に変わりましたと。B保険者は、前の保険者の4年分のデータと新たに自分のところで積み重なっていくデータを保存することになると思うのですが、義務として保存しなければいけない5年分というのはどこまでを言っているのですか。
○多田羅座長 事務局、いかがでしょうか。
○新畑医療費適正化対策推進室長 ありがとうございます。
こちらは、引き継ぎがあった段階で、先ほどAからBに移動した場合ということで御説明させていただくと、Bの保険者のものになりますので、こちらは引き継いだ段階から5年間というところかなと思います。
○坂本医療費適正化対策推進室長補佐 もともとの保険者が実施したのが5年前であれば、5年前の情報から保存義務があります。今の例だと、Bは5年間ですので、当然全部持たないといけないですけれども、その1年後にはA保険者の1年目の情報は5年以上経過していますので、そこの部分の保存義務はなくなります。
○今村構成員 ということですね。そうすると、5年たつと、以前のデータは移った保険者には全くなくなるということですね。
○坂本医療費適正化対策推進室長補佐 移った保険者というのは、新しい保険者。
○今村構成員 新しい保険者の保存義務がないから。
○坂本医療費適正化対策推進室長補佐 保存義務はないです。
○今村構成員 ということは、持っていないということですね。
○坂本医療費適正化対策推進室長補佐 はい。
○今村構成員 そうすると、同意をとるということも、結局、5年間分のための同意をとるということですね。5年たったら、同意をとっていても、そもそもそのデータ自体がもうなくなっているという考えでいいのですか。移行するという瞬間の話で同意をとるというのが大事だということですね。
○坂本医療費適正化対策推進室長補佐 5年たったところの同意をとるということですか。
○今村構成員 そうでなくて、A保険者からB保険者に移るときに、その瞬間はデータを移すので、同意を御本人からいただくということが重要だという話はわかるのですが、結果的には5年たったら、新しい保険者にはその本人のデータはなくなってしまっていますよということですね。
○坂本医療費適正化対策推進室長補佐 そうです。もともと今の規定でありますと、保険者が移る、移らないにかかわらず、保険者は5年の保存義務だけですので、保険者が変わらないにしても、6年たてば、その保険者は6年前の情報を保存する義務はなくなります。それは移動に関係なく、そうなっています。
○今村構成員 ありがとうございます。
機微に触れる情報ですから、御本人の同意というのはとても大事な行為だと思います。ただし、それほどたくさん保険者が移られるということがあるわけではないと思いますけれども、保険者を移る都度御本人の同意をとっていくという行為そのものに対して、相当丁寧に被保険者に説明をし、理解を得ないと、説明する方の説明によっては、全く自分が何をやっているかよくわからないうちにいろんな同意をとるということにもなりかねません。これは個人的な考えで、様々な意見はあると思いますけれども、最初に保険に加入するときに、包括的な同意を一回とるということも考えられるのではないかと思います。そうでないと、ある時点では同意をし、次のときは、同意しないということが個人の中で経年的に起こった場合、結局、その方の健診データは所々が抜けてしまい、保健指導をはじめ保健事業に使えなくなってしまうのですね。だから、本来の目的のことを考えるのであれば、医療保険に入るということはこういうことなのだということで、一回同意をとっていただくことが大事なのではないかなと思います。
もう一点、長くなって恐縮ですけれども、2-1の3ページ、一番最後のところに「民間PHRサービスと役割分担やデータの授受の方法」というのが出ておりますけれども、今、健康局でPHRの議論が始まっているのですが、マイナポータルでは5年たったら消えてしまうということが前提ですから、当然のことながら御本人がそれをずっと活用しようと思うと、一旦は自分がダウンロードしてくる、あるいは紙ベースで保管し、その後、持っているものをどこかの民間PHRサービス事業者に預けるということをしない限り、御本人は一生を通じた健診情報を利用できない。そういうことを言っているということなのでしょうか。
つまり、自動的にはつながっていかない。なおかつ、一生涯データは別に持てるわけではない。あくまで本人が相当に自覚をして、そのデータをまずは5年分とって、それをPHRで活用するということをしなければできないのだという理解でよろしいですか。
○新畑医療費適正化対策推進室長 ありがとうございます。
オンライン資格確認等システムの中とマイナポータルを閲覧する。保存期間が5年間ですので、それだけでは自動的に一生をもって個人のデータを利用するのは難しいという御理解でよろしいかと思います。
○今村構成員 その際に、今、議論になっているPHRとどういうふうに関係性を持たせるかというのが今後の議論だということで、まだ決まっていないという理解ですね。
○新畑医療費適正化対策推進室長 はい。
○今村構成員 わかりました。ありがとうございます。
○多田羅座長 非常に個人のプライバシーと情報という概念とのかかわり方の難しさかと思います。単純に同意同意ということが本人にとって望ましいこともあれば、かえってそれが情報の喪失ということにもつながるということで、今村先生の御意見も実際の臨床の場ではそういうこともかなり直面するということから御意見をいただいた。今村先生、この場合、どうしたらいいですか。
○今村構成員 先ほど申し上げたように包括同意みたいな同意は一度はとったほうがいいと思います。
○多田羅座長 健診情報の保険者から保険者への移動の場合の同意。
○今村構成員 同じ保険者に加入し続けるか、あるいは将来保険者が変わるかもしれないけれども、そのときはあなたの健診データはきちんと引き継がれるようにしたい。そういう仕組みに乗っていただくためにはこれに同意をしていただく必要があるということ、また、その先のことも説明し、もしさらに次の保険者に移られるときもこの同意書をもとに健診データが引き継がれますという同意をとっておけばいいのではないかなと個人的には思いました。
○多田羅座長 一度とるということですか。
○今村構成員 最初だけはとっておく。
○多田羅座長 事務局、どうですか。一度とるというのは可能ですか。具体的な現実問題として。
○今村構成員 今の仕組みだと、移動するたびに毎回とるということですね。
○多田羅座長 そういう仕組みになるのですけれども、だから、最初の一度はとったらいいのではないかと。事務局、その辺、いかがですか。
○今村構成員 だから、毎回でないほうがいいだろうと。そういう言い方がいいかどうか。包括同意みたいな感じなのですけれども。
○多田羅座長 最初に一度も現実問題としては相当難しいこともあるのではないか。だからといってというわけにもいかないのかもわかりませんが、その辺、事務局、いかがですか。具体的な判断。可能性の問題としまして、多数の情報について、最初でも。今村先生は、最初の一回はあったほうがいいのではないかという御意見でしたけれども。
○山下医療介護連携政策課長 ありがとうございます。
まさに今村先生のようなやり方もありますし、一方で、例えば法令上は今は動くたびに同意をとる必要がある。
○多田羅座長 それは省令ですね。
○山下医療介護連携政策課長 省令で動くたびに同意をとるようにと言われています。一方で、オンライン資格確認等システムがつくられまして、そこに各保険者は特定健診のデータを載せることになります。そういうことをするのであれば、例えばそれは誰でも見られるようなシステムではありませんので、限られた人、保険者が共通に使うシステムでありますので、そういったシステムが導入されていることを前提に考えると、例えば今の省令も含めたあり方ということをどう考えますかということも含めて、今日皆様方にお伺いしたいということで、事務局としては提案という形で、何も代替案がないのですけれども、させていただいているというところでございます。
○多田羅座長 事務局の提案はどういうことですか。
○山下医療介護連携政策課長 事務局としては、新しいシステムをこれから構築しようとしている中で、今の省令というものは、もう少し新しいシステムに合わせた形で見直すべきではないかと思っております。
○多田羅座長 それは今のところはありますからね。その場合、どうするのですか。
○山下医療介護連携政策課長 それはまだ具体的な案はないのですが、例えば極端なところ、その省令がなかった場合にどんな支障が出てくるのか。もしそれがあったとしても、どういうふうに変えればもっとスムーズになるのか。
○多田羅座長 変えればというのは、ある議論としては可能でも、現実にはこの省令は存在していますからね。
○山下医療介護連携政策課長 ですから、その省令について、新しいオンライン資格確認等システムができることを前提にすると、新しいものができることの時期をめどに、今の省令のあり方というのを引き続き持っておくべきなのか、そうでなくて、新しいシステムに合わせた形で何らか変えることができないのか。
○多田羅座長 省令を変えるのですか。
○山下医療介護連携政策課長 省令を変えることについてもどう考えますかというのを今日お伺いしているということでございます。
○多田羅座長 省令を変えるというのは将来の話で、今、現実にある省令の中でできることがないのかということをこの検討会としてはまず考えたいと思います。省令をどうするというのは、国のほうで長期的観点で考えてもらったらいいと思いますけれども、まずは省令がある。しかし、法令ではデータを提供できるとなっているわけですね。できるけど、省令の中で移す場合に同意が要るという各論で提起しているわけですね。だから、それをどう運用していくかというところは検討会。省令が存在するという前提で工夫がないのか。今村先生がおっしゃったようなことも一つの案かとは思うのですけれども、ほかの委員の方、いかがですか。どうぞ。
○伊藤構成員 多田羅座長のおっしゃることに賛同したところです。特定健診・保健指導が一人一人の行動変容を喚起する仕組みとして重要であるというのは、もちろん、ここに参加している以上理解しているつもりです。だけど、健診データ等を保険者間で移動するに当たって、あえて法律の規定とは別に省令を置いているのは、センシティブ情報に鑑みて、厚生労働省として医療政策上の観点から置いたのだと理解しています。だから、この同意はとても重要なものだと思いますので、それが前提だと考える必要があると思っています。
事務局からは省令の改廃まで視野に入れた御提案がありましたけれども、そうだとすれば、施行された2010年以降本人同意の必要性について立法事実が変わったのかということを確認しておく必要があると思います。むしろ国民の意識は、個人情報の第三者提供とか、民間事業者でいろいろ不適切な事案が出ている中で、高まっているとは言っても、もはや同意は要らないという社会的な認識になっているとは到底思えないのです。個人情報保護委員会でも、あっせん事案の約6割が第三者提供に関するもので、むしろ関心は高まっていると思います。改正個人情報保護法でも要配慮個人情報として医療と健診情報が指定されておりますので、むしろ厳格化されてきていると思います。
○多田羅座長 わかりました。
○伊藤構成員 ですので、この省令改正については非常に丁寧に議論していただきたいですし、本人同意が個人情報保護と健康の増進、保健の向上とのバランスをとっている規定だと思っていますから、この点についてもし議論するというのだったら、この場だけでは全然済まない大変重要な議論だと思いますので、丁寧にやっていただきたいと思います。
○多田羅座長 ありがとうございます。
伊藤委員がおっしゃっているのは、座長として余りついてもいけないと思いますけれども、基本的な観点だと思います。ただ、個人情報というのは、「個人」という言葉が示しているように、1対1という概念なのです。1人の情報というもの。ところが、健診データとなると、膨大な数、何万人あるいは何千万というデータ。保険者で何千万はないでしょうけれども、そういう膨大なデータ処理と個人という概念の扱い方を一々何万人の個人から全部同意をとらないと、保険者がデータを移動できないということが、こういうコンピュータ時代、全数の考え方がなかなか相入れないところもあると思うのです。だから、省令のほうでは、各個人の情報は個人の同意がないと移せないというのは、絶対的に大事なことだけれども、制度全体として考えたら、何万人、何千人という人のデータ、一々個人の同意をとらないと、何千人のデータが。私の考えですけれども、社会を運営できないという論点もあると思うのです。
ですから、個人という考えを我々はどのように考えていくか。それは公衆衛生にとっても一番大事な点なのです。ですから、個人というのと社会というものとの重なり方をどのように妥協していくのか。その意味では、その事業について、その社会という概念について、この検討会のようなところで同意が得られたら動かしてもいいというふうな一種の道もあってもいいと思うのです。個人の同意がないといけないというのは大憲法だからと言って、社会の運営そのものも全部個人となってくると、社会の運営ができないということもあるような気もするのです。
ですから、この検討会でこの健診データについては、保険者のを移すという場合、可能という判断もあるような気もしますので、検討会の役割が非常に重要だという感じがします。長い意見で済みません。
どうぞ。
○藤井構成員 私ども協会けんぽは、多田羅先生がおっしゃっていた、まさに何千万の個人情報を扱っておりまして、率直に申しましてこの省令の改変も含めた御検討をいただかないと、保険者の実務としては事が回っていかないところが正直ございます。
法令との関係で若干申し上げさせていただきますと、資料2で法律、省令と書いていただいていますけれども、本人同意について、個人情報保護法の23条第1項の個人情報の第三者提供の制限で、法令に基づく提供の場合、本人の同意は不要と規定されています。
かつ、高確法の27条3項で前保険者は現保険者から健診等の記録あるいは記録の写しを求められた場合、提供しなければならないとされています。高確法の27条3項は国会の審議を経た上で制定されていますので、個人情報保護法との関係で申しましても、現保険者は健診記録の提供を受けることは必要だと。これは加入者に利益があるということで、そういう法律が制定されたものと私どもは考えます。そういう意味では、法律がこうなっているにもかかわらず、省令で同意を求めるということになっていること自体が、本来の法律の趣旨を鑑みて、これは疑問があるのではないかと考えざるを得ないところもあります。
ただ、省令の制定時、平成19年の状況を鑑みますと、個人情報保護法の施行後間もなく、たしか個人情報保護法は平成17年施行だったと思いますが、その後間もなくでしたし、世の中全体としてもまだ個人情報保護に係る意識が醸成されていなかったので、あえて省令で規定されたのだろうなと思います。
それにつけ加えますと、事業者が保険者へ提供する場合というのは、特に同意を求めていませんので、恐らく保険者がデータを活用することよりも、むしろ被用者保険でデータを受け取った現保険者が企業の人事部署等へ不適切な提供をするようなことを懸念してこういう規定を設けたのだろうなと思います。
その後、10年以上が経過していまして、保険者あるいは企業の個人情報に関する意識も、特定健診・保健指導の制度ができたときから比べますと大きく変わっていますし、制度面でも平成29年には要配慮個人情報といったことが規定されていまして、医療情報、健診情報等の取り扱いについてはより厳格化されています。また、保険者向けのガイダンスも改定されています。
加えて、現在検討されている個人情報保護法の3年ごとの見直しでも罰則の強化などが議論されていると聞いています。
一方で、前回も申し上げたとおり、協会けんぽで実際の同意取得の運用を考えますと、実際に同意がとれる機会というのは物すごく限られますので、特定保健指導の初回面談時に前保険者以前の健診データを活用するというのは、本当にリアルな実務の問題として考えたときに、物すごく難しいのが実情です。
したがいまして、私どもとしては、前保険者から健診データを引き継いで、より質の高い保健指導を円滑に行うということがこの検討会でこれまでずっと議論してきた肝だと思います。特に協会けんぽは、保険者として取得した情報が事業主に提供されるということはまずあり得ないので、そういう意味では、もともとこの省令で心配していたところにも抵触しないと思いますので、せっかくここまで議論してきたこの仕組みを十分に活用するためにも、私どもは省令の改廃も含めた検討、議論をぜひお願いできればありがたいなと思います。
○多田羅座長 貴重な意見ありがとうございます。これは非常に重要な難しい議論でございます。ということで、今、伊藤委員から御意見をいただいたこととして、今日は皆さんにその後、それぞれ御検討いただいて、座長預かりとさせていただいて、次の回で。ありますか。どうぞ。
○前葉構成員 今、藤井構成員、伊藤構成員のお話を伺って、保険者間の引き継ぎ上の必要性、個人情報の保護の必要性がわかりますので、事務局のほうでそのあたりを整理していただいて、特に個人情報保護法のスキームの中でどう考えるのかということを整理していただくといいと思います。その際の事例の提供を2~3分だけさせていただいていいですか。
災害対策基本法というのがありまして、ここで避難行動要支援者名簿をつくっています。これは市町村がつくるのですが、避難行動を支援する必要性のある方、高齢者とか障害者とか要介護認定を受けている方の名簿をつくるのです。その同意をとっているかということです。災対法は、その名簿をつくって、避難を支援する方に情報を提供するものとすると。ただし、市町村が条例で特別の定めをする場合を除き、本人の同意が得られない場合はこの限りでないと。行ったり来たり、行ったり来たりしているのでわかりにくいのですが、基本は提供しますと。ただ、本人の同意が得られない場合は提供しません。ただ、本人の同意が得られない場合であっても、市町村が特に条例をつくればまた別ですと。こういう3段階のスクリーニングをかけているのです。
津市はどういう条例をつくったかというと、不同意の場合のみ申し出てくださいという逆手上げ方式の同意を条例で書きました。その意図は、これは災害のときに助けに行く話なので、御本人にとって絶対プラスになる話なので、プラスですよねということを確認しながら、しかし、どうしても嫌な場合は申し出てくださいと。こういう仕組みにいたしました。そうしたところ、そういう条例がないときは普通に同意をとりに行っていたのですが、登載率が27%。実際に逆手上げ方式の条例施行後の登載率は96.5%というふうに変わりました。一つ御参考までに発言しました。
○多田羅座長 ありがとうございます。
非常に具体的にわかりやすい例を挙げていただいたと思います。
ということで、非常に重要な課題でございます。私は、この検討会の役割は非常に大きいと思います。こういうところで議論して、方向を全員一致で確認いただくということを目指したいと思いますので、少し時間をいただき、事務局にも御検討いただき、委員の先生方にも同意ということについて十分御検討いただいて、次回検討会において結論を出させていただくという方向で、事務局に準備をいただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。御意見があるかと思いますが、実は次の議題も迫っておりまして、申しわけございません。御了解いただければありがたい。よろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○多田羅座長 事務局、いいですか。
○山下医療介護連携政策課長 はい。わかりました。
○多田羅座長 よろしくお願いします。
そういうことで、勝手ですが、次の議題3「特定健診・特定保健指導の医療費適正化効果等の検討状況」。そして、時間の関係で、事務局は議題4もやっていただきたいのですね。
○新畑医療費適正化対策推進室長 はい。
○多田羅座長 事務局がそういう御希望ですので、座長としてはその意向を受けまして、議題4「特定保健指導の『モデル実施』に関する対応について」。議題3、議題4をあわせて事務局から御報告をいただき、その後、委員の皆さんの御意見を伺うことにします。どうぞよろしくお願いします。
○新畑医療費適正化対策推進室長 ありがとうございます。
では、資料3、資料4を続けて御説明させていただきたいと思います。
まず、資料3のほうをお開きください。こちらは特定健診・特定保健指導の医療費適正化効果等の検討状況について、ワーキング等の検討について御報告させていただければと思います。1ページ、2ページの部分は、特定健診・特定保健指導の基本的なスキームを御説明させていただいておりまして、特定保健指導につきましては、特定健診の結果に基づきまして階層化を行い、対象者につきまして動機づけ支援、また、積極的支援を行っているというところでございます。
3ページでございます。適正化効果の検証のためのワーキングを立ち上げておりまして、こちらに御提示させていただいております構成員の方々と分析の方法について議論いただきながら検討を進めているところでございます。今回、分析の一部でございますけれども、検討状況について御報告させていただきたいと思います。
3ページの下段でございます。今回分析対象としておりますのは、NDBに格納されております2013年度から2017年度の特定健診・保健指導データを用いまして、約3,300の保険者。分析方法によって保険者数と分析対象者数が異なりますが、約113万人のデータを対象に分析を行っております。基本的な分析方法といたしましては、2013年度の特定保健指導対象者のうち、特定保健指導に参加している方と参加していない方に分けまして、2013年度から2017年度の特定健診の検査値等がどのように推移したかというところを比較しております。
4ページは、詳細な方法を書かせていただいておりまして、方法につきましては、2013年度の特定保健指導を対象といたしまして、介入群と比較群といたしまして、保健指導参加群、非参加群というのを分けさせていただいております。
また、過去の保健指導参加状況によって効果が異なるのではないかという仮説、そういった可能性をもとに層別に分けまして分析を行っております。
結果ですけれども、5ページに積極的支援を行った後の検査値等のそれについてお示ししております。こちらはBMIに関してでございますが、左側に2013年度より前、過去に積極的支援に参加されたことがない方、右側に過去にも保健指導に参加している方に分けた表を御提示させていただいております。その中で2013年度に積極的支援に参加された方、参加されなかった方で分けて分析しております。赤枠のところでBMIの変化の平均値におきまして、各年度ごとの比較、引き算でございますが、そちらの値をお示しさせていただいておりまして、赤枠で囲ませていただいているところについては、積極的支援参加と参加しないというところを比較したときに、有意差を持って値が異なっているというところを赤枠で囲ませていただいております。
BMIにおきましては、過去参加なしと過去参加ありと分けまして、おおむね2013年度に積極的支援、参加された方のほうがBMIが低下しているという傾向は認められました。
6ページでございます。同様の分析を腹囲のほうで行っておりまして、腹囲に関しましてもBMIと同様の傾向でございます。
以下、血圧でございますとか、中性脂肪、LDLコレステロールと結果が続いてまいりますが、過去参加ありの層の部分で有意差が認められていない項目もあったというところでございます。
12ページでございます。こちらの質問票の喫煙の項目を分析対象といたしまして、積極的支援参加ありとなしで「喫煙あり」と回答された人数のパーセンテージを示しております。途中経過で、検定までは行われていないのですが、引き続き詳細な分析を行いまして、また検討会で御報告させていただければと思います。
13ページに結果のまとめとしてお示ししております。1ポツ目、BMI、腹囲につきましては、過去の保健指導参加の有無にかかわらず、保健指導参加群において数値の改善が認められております。
2ポツ目でございますが、初めて保健指導に参加した場合につきましては、過去に保健指導に参加している場合と比べると、やや保健指導後の数値の改善が、初めて参加していると大きい傾向が認められております。一方で、一部の項目におきましては、保健指導非参加群と比較しまして、保健指導参加群の数値の改善が認められない項目があったというところで、御報告とさせていただければと思います。
資料4は特定保健指導の「モデル実施」に係る対応につきまして、検討状況について御報告させていただければと思います。1ページは、モデル実施というものを第三期、平成30年度以降の特定保健指導の流れの中で位置づけたものを示しておりまして、モデル実施につきましては、従来の積極的支援の運用というものとは別枠で、3カ月後の評価のところで腹囲が2センチ以上、体重2キロ以上の減少を達成していれば、従来の180ポイント必須といった項目にかかわらず、保健指導を終了したとみなせるといったところをモデル実施として位置づけているところでございます。
2ページでございます。モデル実施を行う際の基本的な流れを「2.基本的な流れ」というところでお示ししておりますが、モデル実施を行う前に実施計画書を提出いただいて、実際モデル実施を行っていただき、最後にモデル実施実績報告書を法定報告データとして厚生労働省に提出いただくという運用をしているところでございます。
3ページにおきましては、モデル実施の実施要件といたしまして1から4をお示ししているところでございます。
4ページは、モデル実施の実施状況。モデル実施計画書の提出状況に基づきまして、2018年度。2019年度につきましては、11月5日現在の保険者数についてお示ししているところでございます。
こちらは引き続き実施計画書を提出してまいりますので、今後の検討会で実施状況につきまして御報告させていただければと思います。
モデル実施の効果につきましても検討するようにといただいておりますので、こういった検討のためのワーキング、モデル実施だけではないですが、特定保健指導等の効果的な実施方法の検証のためのワーキングも立ち上げておりまして、5ページにお示しさせていただいております構成員の方々と検討を行っているところでございます。
6ページは、2019年度に実際効果検証としてどういうことをやっていいかというところを赤枠でお示しさせていただいております。主にモデル実施実績計画書でございますとか報告書の記載内容をもとに、どういった取り組みをしているか。また、参加者の割合や脱落者の割合、達成できなかったところがどれぐらいあるのかというところを調べるというところを予定しております。
詳細な取り組みにつきましては、実際保険者にヒアリングを行いまして実際の取り組み内容について詳細に把握していくというところで、2019年度は予定しております。
また、資料3でお示ししたNDBを使いました分析につきましては、データがそろってくるのが来年度以降になりますので、そちらにつきましては、2020年度以降に引き続き検討させていただきたいと考えております。
資料4の説明は以上になります。
○多田羅座長 ありがとうございました。
時間の関係で議題3、議題4を続けて説明いただきました。これまでワーキングなどで検討いただいたことについて御報告いただいたと思います。
何かありますか。
○津下構成員 このワーキング2つにかかわっておりますので、コメントさせていただきます。医療費適正化効果の検証については、対象保険者数が大きくなりました。以前の分析では突合率の問題で国保を中心とした限られた保険者の分析だったのですけれども、3,000以上の保険者で大きな人数で行いました。また、2000年度は制度が始まった当初のデータであったのですけれども、10年たった13年のデータから見ても効果が確認できたということは大きかったかなと思っております。また、初めて受ける人が効果が大きいということで、保健指導の実施率においては、今まで受けていなかった人に積極的に参加していただくような取り組みがますます重要になるのではないかなと思いました。
一方、モデル実施については、180ポイントにとらわれず、保険者の創意工夫によって効果のある保健指導をするということで、まだ定性的な状況ではありますけれども、保険者さんがさまざまな工夫をされて取り組んでいらっしゃる様子がよくわかります。この効果検証も重要で、特定保健指導がポイントを達成すれば終わりではなく、どう効率的に効果を上げていくかということを研究する、実践する時代に移ってきたのかなと考えております。
以上、コメントです。
○多田羅座長 今村先生、お願いします。
○今村構成員 ありがとうございました。
事務局から教えていただきたいのですけれども、資料3の12ページに喫煙の状況がございます。特定健診が始まって問診票で喫煙歴を聞いているというのはすごく大きな意味があって、従来健康局の国民健康・栄養調査で5,000人ぐらいの規模で喫煙率をはかっていました。ところが、これは1500万人のデータで、思っていた以上に日本は先進国の中で喫煙率が非常に高い。特に40代、50代の男性が高く、なおかつ保険者ごとに非常に大きな差があるというデータが示されたということは、大きな意味があったと思います。
それを前提として、この喫煙状況、男性、女性とも全ての保険者を一緒にして、いわゆる積極的支援をしたことによってどう変わったかという見方になっているのですけれども、クロスで保険者間の比較というものをぜひしていただきたいと思います。
○多田羅座長 それはどういう意味ですか。
○今村構成員 実例を挙げて恐縮ですが、たしか協会けんぽは非常に喫煙率が高くて、共済は非常に低い。半分ぐらいの差がある。恐らく喫煙は疾病の大きな原因の一つになっていて、喫煙が保険者の中における被保険者の疾病状況に大きな影響を及ぼしている可能性も当然あり得ると思っているので、短期的に医療費適正化という数字を評価するのは難しいと思うのですけれども、長期的にこのデータを追っていくことによって、医療費が適正化されていく、数字が表に出てくる可能性があるので、保険者の数値をクロスで見ていただきたいというお願いでございます。
○多田羅座長 団体の属性などもそれで理解できるということですね。
○今村構成員 そうです。
○多田羅座長 ありがとうございます。
津下先生、何かございますか。
○津下構成員 重要なポイントで、ワーキングの中でも保険者ごとの状況についても見ていく必要があるという意見がありまして、段階的に検証作業を進めているところだと思いますので、そのあたりもメッセージを出していけるといいのかなと思っております。
ありがとうございます。
○多田羅座長 武藤先生、どうぞ。
○武藤構成員 資料3の9ページ目が中性脂肪の成果、保健指導によってデータがよくなっているというのがあって、一方、10ページ目にLDLの下がりが悪くて、むしろ上昇しているというのがあるのですけれども、私たちが通常の保健指導の成果とかを見ていますと、中性脂肪が下がるとLDLとHDLも上がることが多い。LDLに関しては、女性の場合は特に閉経後にぼんと上がりますので、構成年齢によっても結構違ってきますから、減量の効果としては中性脂肪とHDLで見たほうがいいのではないか。LDLは参考程度にして。第三期からnon-HDLが入りましたから、non-HDLで評価していただいたほうがよくて、LDLを見てしまうと、一見ちょっと悪くなっているように見えるのですけれども、参考程度にしていただいたほうがいいかと思います。
○多田羅座長 貴重な御意見ありがとうございます。
そのとおりですね。津下先生。
○津下構成員 はい。ありがとうございます。
特に女性については閉経とかそういう影響がかなり入っているということと、それから今回のデータセットではないのですが、以前のデータセットで非参加群のほうがどちらかというと薬物治療を始めるケースも多くて、そういう状況も考えて、非服薬だけで見ていくとか、そういうことも必要なのだろうなと思います。
○多田羅座長 よろしくお願いします。
ほかによろしいでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、時間も押してまいりましたので、議題を進めさせていただきます。議題5「高齢者の特性を踏まえた保健事業のガイドラインの改定について(報告)」。よろしくお願いします。
○込山高齢者医療課長 恐れ入ります。高齢者医療課長でございます。
お手元のタブレット、資料5「高齢者の特性を踏まえた保健事業のガイドラインの改定について」の御報告でございます。高齢者の保健事業ガイドラインにつきましては、この検討会のもとに設置されております高齢者の保健事業ワーキンググループにおきまして御議論いただき、この10月16日に改定版を公表させていただいた次第でございます。その内容につきまして、概略を御報告申し上げる次第です。
ちなみに、本体につきましては、参考資料3としてタブレットに収納させていただいておりますが、本体が128ページ、別添が34ページで、合計162ページにも上るものでございますので、本日は資料5の概要にて御説明を申し上げます。
この保健事業のガイドラインの改定につきましては、御案内のとおり、来年度から実施されます高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施を踏まえて、改定いたしました。これはこれまで広域連合さんが責任主体となって高齢者の保健事業に取り組んでいただいたわけですが、来年度からは市町村さんに委託をして、いわば市町村さんを舞台に介護予防と一体的な取り組みを主体的にやっていただくという枠組みをつくるものでございます。
これまで市町村の御厚意にお願いして幾つかの事例等はございますけれども、全国的な流れというのは乏しいところもございました。どういったやり方で高齢者の保健事業を展開していけばいいのか、そういった取り組みのポイントをこのガイドラインに示させていただいたものでございます。
1ページは、今、申し上げた保健事業と介護予防の一体的実施の背景でございます。簡単に申し上げますと、75歳以上の方は広域連合の被保険者になります。そうしますと、法律上は、広域連合さんがこの保健事業の責任主体になるわけでございますが、実態として75歳での断絶が起きてしまって、要するに、市町村国保の取り組みからの接続がうまくいっていないということ。高齢者の方の健康課題は、社会的な部分も含めた多面的なものがございますので、ここは介護予防とも一緒にやっていかなければいけない。そういった課題をこの図で示したものでございます。
そういった背景の中で、2ページは、来年施行が予定されておりますこの法律の改正の内容、スキーム図でございます。端的に申し上げますと、広域連合が市町村に法律に基づく委託をしていただいて、市町村で介護の予防の取り組み、さらには国保の保健事業の取り組みと連続的、一体的にやっていただくというものでございます。その際に費用なども必要になりますので、広域連合から市町村に例えば専門職の方の人件費などの費用を交付する。ちなみに、この費用につきまして、国といたしましても特別調整交付金で支援をするといったスキームをつくっております。
加えますと、国保の保健事業時代のデータや介護のデータ、そういったデータを包括的、多面的に活用する必要がございますので、国保中央会さんや国保連さんに御尽力いただいているKDBシステムを事業に活用させていただいて、そういった総合的な分析などもできるような法的な裏打ちも整えた次第でございます。
さらに申し上げますと、2ページの下のほうですが、この取り組みは、広域連合さん、市町村さんのみならず、都道府県さんや地域の医師会さんなどの医療関係団体、さらに中央会、国保連さんの御協力が必要でございまして、そういったサポートが必要な部分を法的にも規定させていただいたというものでございます。
3ページは、今、申し上げた今後の一体的実施の展開のイメージ図。こういった形で展開していただくとありがたいなというイメージ図でございます。いろいろ書いてございますが、端的に申し上げますと、先ほど申し上げた広域連合さんの財源を活用して医療専門職を市町村に配置する。一つは、各市町村さんにおけるもろもろのコントロールタワーになっていただく。事業の企画・調整、さらにデータの分析などをしていただく医療専門職の方を配置。さらに、個々地域で例えば日常生活圏域などで御活躍いただく医療専門職の方を配置する。こういった費用を広域連合さんに交付していただくということです。
そういった医療専門職の方がデータ分析に基づいてその地域の健康課題をきちんと捉まえて、かつ医師会さんなどの医療関係団体といろいろ協議していただいて、どういった事業が効果的なのかといったことを具体的に企画していただくというものでございます。
事業の内容といたしましては、大きく分けて2種類ございまして、一つはこれまでの重症化予防などと同じように個別のアプローチ的なこと。それに加えて、介護予防の場を使ったようなポピュレーションアプローチ的な集団に対する取り組み、そういったものをあわせて実施していただきたいというのがこのイメージ図でございます。
そういったことを具体的にガイドラインにいろいろまとめていく必要があるということで、ワーキンググループなどにおいていろいろ検討していただいた次第でございます。
4ページは、スケジュールの御紹介でございます。10月16日にガイドラインを公表させていただいておりますが、それに至る過程の中で、2段目にあるような実務者検討班での御検討、さらに高齢者保健事業のワーキンググループでの御検討を経てまいりました。この検討の中では、例えば三重県の津市さんの先進事例なども御紹介しながら、そういった個々の事例の中から導き出されるエッセンス、ポイントは何なのかということをいろいろ御議論いただいた次第でございます。
5ページ、6ページにつきましては、こういった検討班、ワーキングチームのメンバーの方々でございますので、御紹介申し上げます。
7ページが本題でありますガイドラインの概要でございます。7ページの左半分が体制の整備ということでございまして、それぞれの関係者の方々がどういうふうに関与していただけばいいのかということを示しております。何分この事業は非常に総合的で、いろいろな部署にまたがる事業でございますので、それぞれの関係者の方が連携していくということが非常に大事になっています。それも市町村だけではなくて、広域連合はもちろん、都道府県さんなども含めて、そういった庁内連携をしていただきたいという旨をこちらに書いてございます。
7ページの右側はこの事業の主なポイントを10点に分けて整理したものでございます。具体的には9ページから10ページにまとめてございます。駆け足で申し上げますが、先ほど申し上げた医療専門職の配置ということが第1点。第2点は介護予防とのコラボということで、例えば通いの場などに医療専門職の方が関与して通いの場の質を上げていただく、保健医療的な観点からさらに付加価値をつけていただくということを掲げています。
3点目ですけれども、先ほど申し上げた国保連さんのKDBシステムで、それぞれの個人さんの健康課題や、さらには地域の課題をかなり多面的、総合的に分析することができます。図が真ん中についていますが、例えば健康スコアリングという視覚的にわかりやすいデータ分析の手法も御用意いただいていますので、こういったものも活用して分析等をしていただきたいというものです。
その結果として、4、対象者の方をそれぞれ地域の実情に応じて抽出していただいて、事業対象にしていただくという点です。
10ページ、5の具体的な事業実施ということで、いわゆるハイリスクアプローチ的な個別的な支援と、集団に対するポピュレーションアプローチ、通いの場などへの積極的な関与、この両面を行っていただきたいという旨を強調して書かせていただいております。個別支援の中でも、これまでの重症化予防の取り組みももちろんですが、例えばKDBシステムで医療の受診もない、介護の利用もない、健康状態不明の方にも医療保険の保健事業の立場からアウトリーチをかけることができるといったことも強調させていただいております。
6につきましては、市民の参画をお願いしたいということ。
7は非常に大事な点ですけれども、事業の企画の段階から地域の医療関係団体との協議を進めていただいて、どういう効果的なアプローチがあるのかというのをきちんと話し合いをしていただきたいということを強調しております。
9ですが、先ほど情報の点でも御議論がございましたが、国保時代の情報と、これをそのまま75歳以降になっても市町村の中で引き継いで、その情報を活用して事業としても接続して展開をしていただきたいということをお示ししております。
概略で恐縮ですが、ガイドラインの主な概要は申し上げたとおりでございます。
最後に11ページ、12ページでございます。これは3月28日のこの検討会でも御報告させていただきました。高齢者向けの健診の場における新しい質問票をまとめさせていただきました。これまでメタボ健診の質問票を活用させていただいていましたが、これを改め、高齢者特有の特性、いわばフレイルに着目した質問票としてこういう構成させていただいたものでございます。
大変駆け足で恐縮ですが、御報告は以上でございます。
○多田羅座長 ありがとうございます。
特に広域連合のことについて触れていただいたと思うのですが、広域連合の予算はどのように担保されるのですか。
○込山高齢者医療課長 ありがとうございます。
広域連合から市町村に必要な経費を交付することになりますが、これも特定健診と同じようにいわゆる保険料財源を基本とします。
○多田羅座長 新しくそういう財源をつくるのですか。
○込山高齢者医療課長 いえ、これまでの高齢者の方からいただいている保険料財源を基本として、先ほど申し上げた、
○多田羅座長 後期高齢者を含めた。
○込山高齢者医療課長 後期高齢者の方の保険料でございます。後期高齢者の方に保険料で負担をしていただいて、かつ国としても、
○多田羅座長 保険料は後期高齢者、広域連合で処理するわけですね。
○込山高齢者医療課長 はい。広域連合が後期高齢者の方から徴収する、いただく保険料でございます。
○多田羅座長 各広域連合で保険料は決めるのですか。
○込山高齢者医療課長 さようでございます。繰り返しで恐縮ですが、さらに国としても特別調整交付金で支援をするというスキームです。具体的に申し上げますと、3分の1が保険料、3分の2が国の特別調整交付金で負担する。
○多田羅座長 3分の2が国というのは、もう決定されているのですか。
○込山高齢者医療課長 これは来年度予算にかかわることなので、最終決定ではございませんが、そういった方向で進めたいと思います。
○多田羅座長 それは課長が3分の2をとってきたという御自慢の話でございますか。
○込山高齢者医療課長 いやいや。恐縮でございます。そういう方向で御理解いただきたいというふうに現在提案させていただいております。
○多田羅座長 とにかく3分の2が入ってくるという前提で進んでおられるわけですね。
○込山高齢者医療課長 さようです。それに3分の1は広域連合さんがつけていただいて、それを市町村にお渡しするというスキームでございます。
○多田羅座長 予算は心配していないということですか。
○込山高齢者医療課長 余り軽々には申し上げられませんが、貴重な財源ですので大事に使わせていただきたいと思います。
○多田羅座長 ありがとうございます。勝手な質問、済みませんでした。
いかがですか。非常に大事なこれからの。どうぞ。
○前葉構成員 広域連合の立場から御礼かたがた。予算も安心していいようですので、ありがたく思っております。
全市町村が構成員となっている広域連合が個別市町村に委託をするというスキームでございますので、本来広域連合自身でできればいいのではないかという考え方もあるのですが、保健師とか栄養士等、直接雇用している人数が非常に少ないものですから、どうしても市町村でやらざるを得ないだろうという議論でこのスキームができたわけでございます。そうなった以上は市町村がしっかりやりますので、この検討会に御参加になっておられる医療、保健、関係各位の御理解と御支援をぜひよろしくお願いしたいと思います。
ありがとうございます。
○多田羅座長 力強い支援の言葉、ありがとうございました。
いかがでしょうか。どうぞ。
○河合構成員 総務省のほうは、どちらかというと広域行政をという方向で政策を動かしているわけでありますが、厚労省の政策は、これに限らず、市町村へ市町村へという流れでやっているわけですね。現実問題として、市町村の人口動態の変化を見ていくと、とてもじゃないけど成り立たなくなってくる市町村がこれから増えてくる中で、どこまでこれを見通しておられるのか。市町村ごとに、やれるところとやれないところの差というものがかなり出てくる段階がそんなに遠くなくやってくると私は見ておるのですが、やれないというところはどうするつもりなのか。今、どういうふうにお考えなのでしょうか。
○込山高齢者医療課長 ありがとうございます。
前提として、例えば医療保険行政は、例えば国保の都道府県化なども含めて、いわゆる医療給付という面では一定の広域化の方向を向いているという部分もございます。他方で、この問題は高齢者の方に対して効果的な保健事業をどう提供するかということです。なので、先ほど前葉市長がお話しいただいたように、広域連合さんとしての限界がございますので、そこを実際に機動的に対応していただける市町村さんにお願いしたいということで、こういったスキームになっております。
ただ、御質問のように、それぞれの市町村の御事情、規模の問題もあって、とりわけ人材確保の問題等、かなり御指摘もいただいています。そういった中で、地域の医師会さんを初めとする地域医療関係団体の御協力であったり、国保連さんのバックアップであったり、楽観視はできませんが、地域にいろいろ潜在している人材などをできるだけうまく活用する方策を国としてもいろいろ考えていきたいと思っています。
○河合構成員 実際問題としては、2045年までに人口が7割減る自治体というのがかなりの数出てきます。総務省の推計値では、人口が1万人未満の自治体の場合、2040年までに現行よりも24%以上も自治体職員が減っていくとあるわけです。それだけでなくて、そもそも平成の大合併でエリア的にかなり広くなっているわけで、厚労省がいつまでも市町村に委ねている姿勢に疑問を持つわけであります。やれるところはもちろんやっていただいて構わないわけでありますけれども、やれないところの対応は同時に考えていただくということが必要になってくると思いますので、今回のスキームだけの話ではございませんけれども、ぜひ御検討いただきたいと思います。
○多田羅座長 ありがとうございます。
津下先生、どうぞ。
○津下構成員 ありがとうございます。
今、河合構成員がおっしゃったことですけれども、例えば重症化予防の事業。市町村で小さいところはなかなか単独でできないとか、郡市医師会が複数の市町村を担当している場合もあるのでなかなか動きがとりずらいケースもあります。例えば医療圏とか、または保健所管内のようにある程度広域化した動きでやっていくのが現実的かなと。そのほうが小さいところは動いているところもあります。そういう意味では、都道府県、保健所を含むということ、2ページにありますように、こういう規模感に合わせた具体的な対応をしていくというのが重要かなと思います。
一方、高齢者の保健事業についてですが、小規模自治体のほうが高齢化が進んでいるということもありますし、介護と保健事業の一体実施は、もう既に同じ保健師さんが両方やっているということで、1人の中で一体実施になってしまっているような現状もあります。
壁の高さという面では、小さいほうが動きやすいように見えます。なので、それぞれに合ったやり方を住民に届くように工夫してやっていくということを事例集などでもお伝えしていきたいなと思っています。
○多田羅座長 ありがとうございます。
組織体制として市町村からの出向で人間が担保されている課題というのが挙がっていますね。将来、出向はなくなるのですか。
○込山高齢者医療課長 ありがとうございます。
広域連合の組織についてのお尋ねだと思います。御案内のとおり、広域連合というのは、市町村さんが集まっての広域自治体でございますので、職員さんの実態は、一部都道府県からも来ていただいておりますが、市町村職員の方の出向という形で構成されています。
いろいろパターンがあるのでしょうが、おおむね例えば3年を任期として来ていただくということが多いようでございます。
○多田羅座長 将来予算をつけても出向という体制の広域連合ですか。
○込山高齢者医療課長 現状からすれば、基本的には市町村さんから出向という形で来ていただいて職員体制を整えるということになっています。
○多田羅座長 どうぞ。
○前葉構成員 その件は非常に難しい問題で、プロパー職員がほとんどいない状況でやると、2~3年でノウハウがしっかり引き継がれない、蓄積されないということがございます。実はこの会議の前に1時から全国市長会の社会文教委員会でそのことについて発言したある市長が、例えば広域連合は国保連と一緒になってやっていくようなことを将来的には考えなければいけないのではないかという提言をしておりました。我々としても非常に難しい課題だと受けとめています。
○多田羅座長 非常に大事な点だと思うのです。出向という形では精神が育たないという感じもありますので。座長がいろいろ言って申しわけないのですが、課長、予算もとってきたのだから、体制もつくってください。お願いします。
○込山高齢者医療課長 ありがとうございます。
付言で恐縮ですが、とりわけ保健事業については、この重要性を広域連合さんがそれぞれ認識していただいて、保健師さんなどを直接雇用するという動きは最近広がってきています。事務職の方は先ほど御説明したとおりですが、保健師さんを直接に確保するという取り組みも徐々には始まっているところでございます。
○多田羅座長 よろしくお願いします。
まだ議論があると思うのですけれども、申しわけございません。ほぼ予定の時間になりました。
議題6「その他」。事務局、ありますか。
○坂本医療費適正化対策推進室長補佐 資料6ということで御準備させていただいている資料をごらんいただければと思います。お時間が超過している中で大変恐縮です。前回の検討会で2017年度の特定健診と保健指導の実施率に御報告させていただいたところですけれども、そちらの中で被保険者と被扶養者の実施率というのを、特に被保険者、被扶養者という概念がある協会けんぽさん、共済組合さん、健保組合さんでそれぞれ実施率を公表させていただいていたところですが、その集計の際に、1ページにありますとおり、もともと対象者を定義すべきときに、任意継続被保険者と特例退職被保険者については、当然被保険者として定義をして、集計すべきだったところ、そちらを被扶養者のほうに混ぜて集計をしてしまっていたという誤りがありましたので、御報告させていただいた上で、大変恐縮ながら訂正をさせていただきたいと思っています。
修正後の数字については2ページになりまして、全体の実施率、それぞれの保険者種別別の実施率には影響はございませんが、2ページのとおり、被保険者、被扶養者の実施率が一部変更になっておりましたので、御報告をさせていただきます。
○多田羅座長 これは単純ミスと考えていいですか。
○坂本医療費適正化対策推進室長補佐 こちらの集計のミスですので、反省したいと思っております。
○多田羅座長 わかりました。よろしいでしょうか。訂正ミスということで、訂正の報告がございました。ということで、御了解いただきたいと思います。
それでは、以上で本日の議題。お願いします。
○中野構成員 大変申しわけございません。国保中央会でございます。
時間がなかったので、お話ができなくて大変申しわけなかったのですが、ごく簡単にお話しさせていただきます。議事2に関係することでございます。2点要望させていただきます。我々は事業を実施する立場ということで要望させていただきたいと思うのですが、今後個人の健診データが匿名化されていないものをいただいて処理するということになるのですが、残念ながら法的な裏づけがありません。その中で例えば市町村さんが連合会と契約をして、連合会が中央会と契約をすることになると思うのですが、その辺について、市町村さんの御理解を厚労省さんとしても十分得るように御努力いただきたいということです。
2点目はシステムの開発でございます。今日、データの様式に変更の概要が若干示されたのですが、ファイルの仕様説明書ができないと、システムの開発に着手することができません。ですので、なるべく早く御提示いただければと思います。我々がちゃんとしたシステムをつくるためにもぜひ必要ですので、なるべく早く御提示いただければということです。
2点でございます。申しわけございません。
○多田羅座長 ありがとうございました。
事務局、よろしくお願いいたします。
○新畑医療費適正化対策推進室長 はい。
○多田羅座長 それでは、本日の予定の議事は全て終了いたしました。委員の皆さんの積極的な御支援、御協力に感謝して、この会を終了したいと思います。
どうもありがとうございました。