障害者自立支援法のサービス利用について 平成24年4月版
障害者が地域で安心して暮らせる社会の実現をめざします
- 1障害者を対象としたサービス
- 2障害児を対象としたサービス
- 3相談支援事業
- 4地域生活支援事業
- 5利用の手続き
- 6利用者負担の仕組みと軽減措置
- 7障害に係る自立支援医療
- 8補装具の制度
障害者自立支援法
障害者が地域で安心して暮らせる社会の実現をめざします
はじめに
障害保健福祉施策は、平成15年度からノーマライゼーションの理念に基づいて導入された支援費制度により、充実が図られました。しかし、次のような問題点が指摘されていました。
- (1)身体障害・知的障害・精神障害(発達障害を含む)といった障害種別ごとに縦割りでサービスが提供されており、施設・事業体系がわかりにくく使いにくいこと。
- (2)サービスの提供体制が不十分な地方自治体も多く、必要とする人々すべてにサービスが行き届いていない(地方自治体間の格差が大きい)こと。
- (3)支援費制度における国と地方自治体の費用負担のルールでは、増え続けるサービス利用のための財源を確保することが困難であること。
こうした制度上の課題を解決するとともに、障害のある人々が利用できるサービスを充実し、いっそうの推進を図るために、障害者自立支援法が制定されました。
その後、障害者制度改革推進本部等における検討を踏まえて、障害保健福祉施策を見直すまでの間において、障害児(者)の地域生活を支援するため改正され、平成24年4月1日に施行されました。
障害者自立支援法・児童福祉法等の一部改正法のポイント
- 1趣旨の明確化
障害者制度改革推進本部等の検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間における障害者等の地域生活支援のための法改正であることが明記されました。 - 2利用者負担の見直し
- (1)利用者負担について応能負担を原則としました。
- (2)障害福祉サービスと補装具の利用者負担を合算し、負担軽減されるようにしました。
- 3障害者の範囲の見直し
発達障害が障害者自立支援法の対象となることを明確化しました。 - 4相談支援の充実
- (1)相談支援体制の強化を図りました。
- (2)支給決定プロセスを見直しました。
- 5障害児支援の強化
- (1)児童福祉法を基本として、身近な地域で支援が行われるようにしました。
- (2)放課後等デイサービス、保育所等訪問支援の制度を創設しました。
- (3)在園期間の延長措置を見直し、18歳以上の入所者は自立支援法で対応するようにしました。
- 6地域における自立した生活のための支援の充実
- (1)グループホーム、ケアホーム利用の際の助成を創設しました。
- (2)重度の視覚障害者の移動を支援する同行援護サービスを創設し、個別給付化しました。
- 7その他
- (1)成年後見制度利用支援事業を必須事業に位置付けました。
- (2)児童デイサービスに関する利用年齢の特例を設けました。
- (3)事業者の業務管理体制を整備しました。
- (4)精神科救急医療体制の整備等をすすめました。
- (5)難病の方等に対する支援・障害者等に対する移動について、検討を行います。
このような改正により、障害のある人びとの自立を支えます
1 障害者を対象としたサービス
障害者自立支援法による、総合的な自立支援システムの全体像は、自立支援給付と地域生活支援事業で構成されています。
- ※平成24年4月より障害児に関するサービスは、児童福祉法に位置付けられ、大きく再編されました。詳しくは、6ページ、7ページを参照してください。
市町村が行うサービス
自立支援給付は介護給付、訓練等給付、自立支援医療、補装具、地域生活支援事業で構成されています。
- 介護給付には、居宅介護(ホームヘルプ)、重度訪問介護、同行援護、行動援護、重度障害者等包括支援、短期入所(ショートステイ)、療養介護、生活介護、施設入所支援、共同生活介護(ケアホーム)があります。
- 訓練等給付には、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援、共同生活援助(グループホーム)があります。
- 自立支援医療は、更生医療、育成医療、精神通院医療があります。
- この他に補装具の制度があります。
地域生活支援事業には、相談支援、成年後見制度利用支援、コミュニケーション支援、日常生活用具の給付又は貸与、移動支援、地域活動支援センター、福祉ホーム、その他の日常生活又は社会生活支援があります。
都道府県が行うサービス
都道府県の行う地域生活支援事業には、専門性の高い相談支援、広域的な対応が必要な事業、人材育成等があります。
サービスは、障害の種類や程度、介護者、居住の状況、サービスの利用に関する意向等の勘案すべき事項、及びサービス利用計画案を踏まえ、個々に支給決定が行われる「障害者福祉サービス」「地域相談支援」と、市町村の工夫により、利用者の方がたの状況に応じて柔軟に実施できる「地域生活支援事業」に大別されます。
「障害福祉サービス」は、介護の支援を受ける場合には「介護給付」、訓練等の支援を受ける場合は「訓練等給付」に位置付けられ、それぞれ、利用の際のプロセスが異なります。
また、サービスには期限のあるものと、期限のないものがありますが、有期限であっても、必要に応じて支給決定の更新(延長)は一定程度可能となります。
「障害福祉サービス」は、次のとおりに再編されています。
介護給付には次の10のサービスがあります。
- (1)居宅介護(ホームヘルプ)
自宅で、入浴、排せつ、食事の介護等を行います。 - (2)重度訪問介護
重度の肢体不自由者で常に介護を必要とする人に、自宅で、入浴、排せつ、食事の介護、外出時における移動支援などを総合的に行います。 - (3)同行援護
視覚障害により、移動に著しい困難を有する人に、移動に必要な情報の提供(代筆・代読を含む)、移動の援護等の外出支援を行います。 - (4)行動援護
自己判断能力が制限されている人が行動するときに、危険を回避するために必要な支援、外出支援を行います。 - (5)重度障害者等包括支援
介護の必要性がとても高い人に、居宅介護等複数のサービスを包括的に行います。 - (6)短期入所(ショートステイ)
自宅で介護する人が病気の場合などに、短期間、夜間も含め施設で、入浴、排せつ、食事の介護等を行います。 - (7)療養介護
医療と常時介護を必要とする人に、医療機関で機能訓練、療養上の管理、看護、介護及び日常生活の世話を行います。 - (8)生活介護
常に介護を必要とする人に、昼間、入浴、排せつ、食事の介護等を行うとともに、創作的活動又は生産活動の機会を提供します。 - (9)障害者支援施設での夜間ケア等(施設入所支援)
施設に入所する人に、夜間や休日、入浴、排せつ、食事の介護等を行います。 - (10)共同生活介護(ケアホーム)
夜間や休日、共同生活を行う住居で、入浴、排せつ、食事の介護等を行います。
訓練等給付には次の4つのサービスがあります。
- (1)自立訓練
自立した日常生活又は社会生活ができるよう、一定期間、身体機能又は生活能力の向上のために必要な訓練を行います。機能訓練と生活訓練があります。 - (2)就労移行支援
一般企業等への就労を希望する人に、一定期間、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行います。 - (3)就労継続支援
一般企業等での就労が困難な人に、働く場を提供するとともに、知識及び能力の向上のために必要な訓練を行います。雇用型のA型と、非雇用型のB型があります。 - (4)共同生活援助(グループホーム)
夜間や休日、共同生活を行う住居で、相談や日常生活上の援助を行います。
地域生活支援事業には次の3つのサービスがあります。
- (1)移動支援
円滑に外出できるよう、移動を支援します。 - (2)地域活動支援センター
創作的活動又は生産活動の機会の提供、社会との交流等を行う施設です。 - (3)福祉ホーム
住居を必要としている人に、低額な料金で、居室等を提供するとともに、日常生活に必要な支援を行います。
日中活動と住まいの場の組み合わせは、入所施設のサービスを昼のサービス(日中活動事業)と夜のサービス(居住支援事業)に分けることにより、サービスの組み合わせを選択できます。また、事業を利用する際には、利用者一人ひとりの個別支援計画が作成され、利用目的にかなったサービスが提供されます。
日中活動の場は次のものがあり、1つ又は複数選択できます。
療養介護、生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援、地域活動支援センター
なお、療養介護は医療機関への入院とあわせて実施されます。
住まいの場は次のものがあります。
障害者支援施設の施設入所支援、居住支援(ケアホーム、グループホーム、福祉ホーム)
- ※平成24年4月から障害児支援が強化され、児童デイサービスは障害児通所支援に再編されました。障害児に関するサービスは6ページから7ページを参照してください。
2 障害児を対象としたサービス
障害児を対象とした施設・事業等のサービスは、施設入所等は児童福祉法、児童デイサービス等の事業関係は障害者自立支援法、重症心身障害児(者)通園事業は予算事業として実施されてきましたが、平成24年4月より児童福祉法に根拠規定が一本化され、体系も再編されました。
障害児通所支援を利用する保護者は、市町村に障害程度区分の認定について申請を行い、サービス等利用計画を経て、支給決定を受けた後、利用する施設と契約を結びます。
障害児入所支援を利用する場合は、児童相談所に申請します。
なお、「重症心身障害児(者)通園事業」が「児童発達支援」として法定化されたことにともない、18歳以上の障害者が引き続き利用するためには、新たに支給決定を受けることが必要となりますが、本人の申出により障害程度区分の判定等の手続きを省略して支給決定を行う経過措置が設けられています。なお、施設等の新しい体系への移行は、平成27年3月までに実施するという、3年の経過措置期間が設けられています。
見直しのポイント
- (1)障害児施設の一元化
障害種別で分かれていた障害児施設は、通所による支援、入所による支援にそれぞれ一元化されました。 - (2)障害児通所支援の実施主体を市町村へ移行
通所サービスの実施主体は市町村に変更され、障害者自立支援法の居宅サービスと通所サービスの一体的な提供も可能となりました。 - (3)放課後等デイサービス、保育所等訪問支援」の創設
学齢児を対象としたサービスが創設され、放課後支援が充実されるとともに、障害があっても保育所等の利用ができるよう、訪問サービスが創設されました。 - (4)在園期間の延長措置の見直し
18歳以上の障害児施設入所者に対し、自立支援法に基づく障害福祉サービスが提供されます。なお、現に入所している者が退所させられないように配慮されます。
障害児を対象としたサービスの再編
「児童デイサービス」「知的障害児通園施設」「難聴幼児通園施設」「肢体不自由児通園施設」「重症心身障害児(者)通園事業」の通所サービス等は、「児童発達支援」「医療型児童発達支援」「放課後等デイサービス」「保育所等訪問支援」からなる「障害児通所支援」に再編されます。
「知的障害児施設」「第一種自閉症児施設」「第二種自閉症児施設」「盲児施設」「ろうあ児施設」「肢体不自由児施設」「肢体不自由児療護施設」「重症心身障害児施設」の入所サービスは、「福祉型障害児入所施設」と「医療型障害児入所施設」からなる「障害児入所支援」に再編されます。
障害児を対象としたサービスの内容は次のとおりです。
障害児通所支援の内容
- (1)児童発達支援
各障害別に分かれていた障害児通園施設・事業が一元化され、児童福祉施設として位置付けられる児童発達支援センターと、児童発達支援事業の2類型に再編されます。これにより、さまざまな障害があっても、身近な地域で適切な支援が受けられるようになります。
「児童発達支援センター」は、通所支援のほか、身近な地域の障害児支援の拠点として、「地域にいる障害児や家族への支援」、「地域の障害児を預かる施設に対する支援」を行うなど、地域支援を実施します。「児童発達支援事業」は、通所利用の障害児に対する支援を行う身近な療育の場を提供します。 - (2)放課後等デイサービス
学校就学中の障害児に対して、放課後や夏休み等の長期休暇中において、生活能力向上のための訓練等を継続的に提供します。 - (3)保育所等訪問支援
保育所等を現在利用中の障害児、今後利用する予定の障害児に対して、訪問により、保育所等における集団生活への適応のための専門的な支援を提供し、保育所等の安定した利用を促進します。
障害児入所支援の内容
(1)福祉型障害児入所支援、(2)医療型障害児入所支援の2つに再編されます。
従来の障害種別の施設と同等の支援を確保するとともに、主たる対象とする障害以外の障害を受け入れた場合に、その障害に応じた適切な支援を提供します。また、医療型は、この他に医療も提供します。
なお、重症心身障害児施設は、重症心身障害の特性を踏まえ、児者一貫した支援の継続を可能とします。また、現に入所していた方が退所させられないように配慮されます。さらに、引き続き入所支援を受けなければ、その福祉を損なうおそれがあると認められるときは、満20歳に達するまで利用することができます。
3 相談支援事業
平成24年4月より、支給決定プロセスの見直しにより、計画相談支援の対象が原則として、障害福祉サービスを申請した障害者等への大幅に拡大しました。また地域移行・地域定着支援の個別給付化が図られました。
これらの地域における相談支援の拠点として、基幹相談支援センターを市町村に設置できることとし、相談支援体制の強化が行われました。さらに、地域支援体制づくりに重要な役割を果たす自立支援協議会を法律上位置づけました。
相談支援の事業名と事業内容
- 計画相談支援
- (1)サービス利用支援
障害者サービス等の申請に係る支給決定前に、サービス等利用計画案を作成し、支給決定後に、サービス事業者等との連絡調整等を行うとともに、サービス等利用計画の作成を行います。 - (2)継続サービス利用支援
支給決定されたサービス等の利用状況の検証(モニタリング)を行い、サービス事業者等との連絡調整などを行います。
- (1)サービス利用支援
- 地域相談支援
- (1)地域移行支援
障害者支援施設、精神科病院、児童福祉施設を利用する18歳以上の者等を対象として、地域移行支援計画の作成、相談による不安解消、外出への同行支援、住居確保、関係機関との調整等を行います。 - (2)地域定着支援
居宅において単身で生活している障害者等を対象に、常時の連絡体制を確保し、緊急時には必要な支援を行います。
- (1)地域移行支援
- 障害児相談支援
- (1)障害児支援利用援助
障害児通所支援の申請に係る支給決定前に、障害児支援利用計画案を作成し、支給決定後に、サービス事業者等との連絡調整等を行うとともに、障害児支援利用計画の作成を行います。 - (2)継続障害児支援利用援助
支給決定されたサービス等の利用状況の検証(モニタリング)を行い、サービス事業者等との連絡調整などを行います。
- (1)障害児支援利用援助
- ※サービス利用計画・モニタリングは特定相談事業者が行いますが、障害児の入所サービス利用については、専門的な判断を行う必要があるため児童相談所で行います。
相談支援は平成24年4月1日から次のようになります。
「障害者」の相談支援については、サービス利用支援、継続サービス利用支援からなる「計画相談支援」は、「指定特定相談支援事業者」が行います。また、地域移行支援、地域定着支援などの「地域相談支援」は、「指定一般相談支援事業者」が行います。なお、障害者・障害児等からの相談である「基本相談支援」は、いずれの事業者も実施します。
「障害児」の相談支援についても同様に、サービス利用支援、継続サービス料支援からなる「計画相談支援」は、「指定特定相談支援事業者」が行います。また、障害児支援利用援助、継続障害児支援利用援助からなる「障害児相談支援」は、児童福祉法に基づき設置される「障害児相談支援事業者」が行います。
4 地域生活支援事業
障害のある人が、その有する能力や適性に応じ自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう、住民に最も身近な市町村を中心として以下の事業を実施します。
市町村及び都道府県は、地域で生活する障害のある人のニーズを踏まえ、地域の実情に応じた柔軟な事業形態での実施が可能となるよう、自治体の創意工夫により事業の詳細を決定し、効率的・効果的な取り組みを行います。
なお、対象者、利用料など事業内容の詳細については、最寄りの市町村又は都道府県窓口にお尋ねください。
市町村事業の事業名と内容
- 相談支援事業
- (1)相談支援
障害のある人、その保護者、介護者などからの相談に応じ、必要な情報提供等の支援を行うとともに、虐待の防止や権利擁護のために必要な援助を行います。また、自立支援協議会を設置し、地域の相談支援体制やネットワークの構築を行います。 - (2)市町村に基幹相談支援センターの設置
地域における相談支援の中核的役割を担う機関として、総合的な相談業務の実施や地域の相談体制の強化の取り組み等を行います。
- (1)相談支援
- 成年後見制度利用支援事業
補助を受けなければ成年後見制度の利用が困難である者を対象に、費用を助成します。(平成24年度から市町村の必須事業に位置付けられています。) - コミュニケーション支援事業
聴覚、言語機能、音声機能、視覚等の障害のため、意思疎通を図ることに支障がある人とその他の人の意思疎通を仲介するために、手話通訳や要約筆記、点訳等を行う者の派遣などを行います。 - 日常生活用具給付等事業
重度障害のある人等に対し、自立生活支援用具等日常生活用具の給付又は貸与を行います。 - 移動支援事業
屋外での移動が困難な障害のある人について、外出のための支援を行います。 - 地域活動支援センター
障害のある人が通い、創作的活動又は生産活動の提供、社会との交流の促進等の便宜を図ります。 - その他の事業
市町村の判断により、自立した日常生活又は社会生活を営むために必要な事業を行います。
たとえば、福祉ホーム事業、訪問入浴サービス事業、日中一時支援事業、社会参加促進事業などがあります。
都道府県事業の事業名と内容
- 専門性の高い相談支援事業
発達障害、高次脳機能障害など専門性の高い障害について、相談に応じ、必要な情報提供等を行います。 - 広域的な支援事業
都道府県相談支援体制整備事業など市町村域を超えて広域的な支援が必要な事業を行います。 - その他の事業
都道府県の判断により、自立した日常生活又は社会生活を営むために必要な事業を行います。
たとえば、福祉ホーム事業、情報支援等事業、障害者IT総合推進事業、社会参加促進事業などがあります。
また、サービス・相談支援者、指導者などへの研修事業等を行います。
5 利用の手続き
- (1)サービスの利用を希望する方は、市町村の窓口に申請し障害程度区分について認定を受けます。ただし、「訓練等給付」のみを希望する場合は、障害程度区分の認定を受ける必要はありません。
- (2)市町村は、サービスの利用申請をした方(利用者)に、「指定特定相談支援事業者」が作成する「サービス等利用計画案」の提出を求めます。
- (3)利用者は、「サービス等利用計画案を「指定特定相談支援事業者」で作成し、市町村に提出します。
- (4)市町村は、提出された計画案や勘案すべき事項を踏まえ、支給決定します。
「指定特定相談支援事業者」は、支給決定された後にサービス担当者会議を開催し、サービス事業者等との連絡調整を行い、実際に利用する「サービス等利用計画」を作成します。その後、サービス利用が開始されます。
なお、自ら「サービス等利用計画案」を作成できる者は、その計画案(「セルフケアプラン」)を提出することもできます。
同行援護の利用申請の場合は、さらに同行援護アセスメント票によるアセスメントを行います。ただし、身体介護を伴わない場合は、心身の状況に関する106項目のアセスメント、障害程度区分の一次判定、二次判定(審査会)及び障害程度区分の認定は行わないものとします。
- ※障害児については、居宅サービスの利用にあたっては、自立支援法に基づく「指定特定相談支援事業者」が「サービス等利用計画案」を作成し、通所サービスの利用にあたっては、「指定障害児相談支援事業者」が「障害児支援利用計画案」を作成します。
- ※障害児の入所サービスについては、児童相談所が専門的な判断を行うため障害児支援利用計画の作成は必要ありません。
- ※サービス等利用計画に基づく支給決定は、平成24年度から段階的に範囲を拡大して実施され、平成26年度までにすべての方が対象となります。
- ※施設入所支援と就労継続支援または生活介護の利用(障害程度区分3以下)を組み合わせたサービスを平成24年4月以降に新規利用する方は、サービス等利用計画の策定が必須となります。
- ※障害程度区分とは
障害程度区分とは、障害者に対する介護給付の必要度を表す6段階の区分(区分1~6:区分6の方が必要度が高い)です。介護給付の必要度に応じて適切なサービス利用ができるよう、導入されました。
障害者の特性を踏まえた判定が行われるよう、介護保険の要介護認定調査項目(79項目)に、調理や買い物ができるかどうかなどのIADLに関する項目(7項目)、多動やこだわりなど行動障害に関する項目(9項目)、話がまとまらないなど精神面に関する項目(11項目)の計27項目を加えた106項目の調査を行い、市町村審査会での総合的な判定を踏まえて市町村が認定します。
モニタリング(継続サービス利用支援・継続障害児支援利用援助)
サービス等の利用状況の検証と計画の見直しのために一定期間を定めて「モニタリング」(サービス等利用計画の見直し)が実施されます。
- ※モニタリング実施期間は、利用者の状況や利用しているサービスの内容等によって市町村が定める期間ごとに行われ、少なくとも1年に1回以上は実施されます。
- ※モニタリングを実施した結果、支給決定の更新等が必要な場合は、「サービス等利用計画案」の作成等を合わせて実施します。
- ※セルフプランによるサービス利用者は、自ら利用計画を策定できる者であることから、モニタリングは実施されません。
6 利用者負担の仕組みと軽減措置
利用者負担はサービス量と所得に着目した負担の仕組みとされ、その負担は所得等に配慮した負担(応能負担)とされています。
なお、同一の世帯に障害福祉サービスを利用する障害者等が複数いる場合、障害福祉サービスと介護保険法に基づく居宅サービス等を併用する障害者等がいる場合などで、利用者負担の合計額が一定の額を超える場合には、高額障害福祉サービス費等を支給され負担が軽減されます。また、補装具に係る利用者負担も合算して利用者負担の軽減が図られます。
ただし、自立支援医療、療養介護医療、肢体不自由児通所医療及び障害児入所医療に係る利用者負担については、合算の対象外とされています。
利用者負担に関する軽減措置
サービス等の利用形態別に軽減措置があります。次の(1)から(8)の内容についての詳細は、「障害者」については17~18ページ、「障害児」については19~20ページをご覧ください。
[1] 20歳以上の入所施設利用者
- (1)利用者負担の負担上限月額設定(所得段階別)
- (3)高額障害福祉サービス費(世帯での所得段階別負担上限設定)
- (4)補足給付(食費・光熱水費負担を減免)
- (8)生活保護への移行防止(負担上限額の低減)
[2] グループホーム・ケアホーム利用者
- (1)利用者負担の負担上限月額設定(所得段階別)
- (3)高額障害福祉サービス費(世帯での所得段階別負担上限設定)
- (7)補足給付(家賃負担を軽減)
なお、食費や居住費については実費負担ですが、通所施設(事業)を利用した場合には軽減措置が受けられます。 - (8)生活保護への移行防止(負担上限額の低減)
[3] 通所施設(事業)利用者
- (1)利用者負担の負担上限月額設定(所得段階別)
- (3)高額障害福祉サービス費(世帯での所得段階別負担上限設定)
- (6)食費の人件費支給による軽減措置
- (8)生活保護への移行防止(負担上限額の低減)
なお、就労継続支援A型(雇用型)事業を利用する場合、事業主の負担により減免措置が受けられます。
[4] ホームヘルプ利用者
- (1)利用者負担の負担上限月額設定(所得段階別)
- (3)高額障害福祉サービス費(世帯での所得段階別負担上限設定)
- (8)生活保護への移行防止(負担上限額の低減)
[5] 20歳未満の入所施設利用者
- (1)利用者負担の負担上限月額設定(所得段階別)
- (3)高額障害福祉サービス費(世帯での所得段階別負担上限設定)
- (5)補足給付(食費・光熱水費負担を軽減)
- (8)生活保護への移行防止(負担上限額の低減)
[6] 医療型施設利用者(入所)
- (1)利用者負担の負担上限月額設定(所得段階別)
- (2)医療型個別減免(医療、食事療養費と合わせて上限額を設定)
- (8)生活保護への移行防止(負担上限額の低減)
6-1 障害者の利用者負担
[1] 月ごとの利用者負担には上限があります
障害福祉サービスの定率負担は、所得に応じて次の4区分の負担上限月額が設定され、ひと月に利用したサービス量にかかわらず、それ以上の負担は生じません。
- (1)生活保護世帯、市町村民税非課税世帯は、負担は求められません。
- (2)市町村民税課税世帯で所得割16万円未満の場合は、9,300円です。
ただし、20歳以上の入所施設利用者、グループホーム・ケアホーム利用者は除きます。 - (3)(1)(2)以外の場合、37,200円です。
所得を判断する際の世帯の範囲は、
- (1)18歳以上の障害者の場合は、障害のある方とその配偶者です。ただし、施設に入所している18、19歳の方は除きます。
- (2)障害児の場合、保護者の属する住民基本台帳での世帯が範囲となります。施設に入所する18、19歳の方を含みます。
[2] 療養介護を利用する場合、医療費と食費の減免があります
医療型個別減免
療養介護を利用する方は、従前の福祉部分負担相当額と医療費、食事療養費を合算して、福祉部分負担相当額とその他生活費を合算した額が手元に残るように減免されます。
[4][5][6] 食費等実費負担についても、減免措置が講じられます
20歳以上の入所者の場合、入所施設の食費・光熱水費の実費負担については、58,000円を限度として施設ごとに額が設定されますが、食費・光熱水費の実費負担をしても、自己負担相当額とその他生活費を合算した額が手元に残るように補足給付されます。
なお、就労等により得た収入については、24,000円までは収入として認定しません。また、24,000円を超える額についても、超える額の30%は収入として認定しません。
- 例)入所施設利用者(障害基礎年金1級受給者(年金月額82,508円、事業費350,000円の場合)
障害基礎年金収入である82,508円から、食費、高熱水費の46,587円を支出しても、手元にその他生活費の28,000円と自己負担相当額の7,920円の合算額が手元に残るように、11,413円が補足給付されます。
通所施設を利用している場合は、低所得の方、グループホーム・ケアホーム利用者で所得割16万円未満の方を含む一般1の方の場合、食材料費のみの負担となるため、実際にかかる額の約3分の1の負担となります。なお、食材料費は、利用する施設ごとに額が設定されます。
[7] グループホーム・ケアホームの利用者に家賃助成が講じられます
グループホーム・ケアホームの利用者が負担する家賃を対象として、利用者1人あたり月額1万円を上限に補足給付が行われます。
生活保護世帯、市町村民非課税世帯が対象です。
[8] 生活保護への移行防止策が講じられます
負担軽減策を講じても、自己負担や食費等実費を負担することにより、生活保護の対象となる場合には、生活保護の対象とならない額まで自己負担の負担上限月額や食費等実費負担額を引き下げます。
6-2 障害児の利用者負担(20歳未満の入所施設利用者を含みます。)
[1] 月ごとの利用者負担には上限があります
障害福祉サービスの定率負担は、所得に応じて次の4区分の負担上限月額が設定され、ひと月に利用したサービス量にかかわらず、それ以上の負担は生じません。
- (1)生活保護世帯、市町村民税非課税世帯は、負担は求められません。
- (2)市町村民税課税世帯で所得割28万円未満の場合は、通所施設、ホームヘルプ利用の場合4,600円、入所施設利用の場合9,300円です。
- (3)上記以外の場合は、37,200円です。
所得を判断する際の世帯の範囲は、
- (1)18歳以上の障害者については、障害のある方とその配偶者です。ただし、施設に入所する18、19歳は除きます。
- (2)障害児については、施設に入所する18、19歳の方を含み、保護者の属する住民基本台帳での世帯となります。
[2] 医療型障害児入所施設を利用する場合、医療費と食費の減免があります
医療型個別減免
医療型施設に入所する方や療養介護を利用する方については、従前の福祉部分負担相当額と医療費、食事療養費を合算して上限額を設定し、地域で子供を養育する世帯と同程度の負担となるように負担限度額を設定し、その限度額を上回る額について減免します。
地域で子どもを養育するために通常必要な費用は、低所得世帯と一般1では50,000円、一般2では79,000円とされています。なお、減免に求められる所得要件はありません。
[5] 福祉型障害児入所支援施設を利用する場合、食費の減免があります
20歳未満の入所者の場合、地域で子どもを養育する費用と同様の負担となるように補足給付が行われます。
地域で子どもを養育するために通常必要な費用は、低所得世帯と一般1では50,000円、一般2では79,000円とされています。なお、減免に求められる所得要件はありません。
[6] 障害児通所支援(児童発達支援、医療型児童発達支援)を利用する場合、食費の負担が軽減されます
障害児通所支援については、低所得世帯と一般1の世帯では食費の負担がそれぞれ、1,540円、5,060円に軽減されます。一般2の世帯については、軽減はありません。
なお、実際の食材料費は利用する施設により設定されます。
6-3 高額障害福祉サービス費(世帯単位の軽減措置)
[3] 世帯での合算額が基準額を上回る場合は、高額障害福祉サービス費が支給されます
障害者の場合は障害者と配偶者の世帯で、障害福祉サービスの負担額の合算額が基準額を超える場合は、高額障害福祉サービス等給付費が償還払いの方法で支給されます。また、介護保険も併せて利用している場合は、介護保険の負担額も含みます。
障害児が障害者自立支援法と児童福祉法のサービスを併せて利用している場合は、利用者負担額の合算が、それぞれのいずれか高い額を超えた部分について、高額障害福祉サービス等給付費等が償還払いの方法で支給されます。
なお、平成24年4月1日より補装具に係る利用者負担も合算による軽減が図られています。
同一の世帯に障害福祉サービスを利用する障害者等が複数いる場合、障害児が複数いる場合でも、合算した負担額が一人分の負担額と同様になるように軽減されます。
高額費算定基準額は、従来と同様、市町村民税課税世帯は37,200円、それ以外は0円です。
なお、自立支援医療、療養介護医療、肢体不自由児通所医療及び障害児入所医療に係る利用者負担については、合算の対象外とされています。
具体例
父親Aさん、母親Bさん(障害者)、子どもCさん(障害児)の3人家族で、Cさんが障害児通所支援を利用(Aさんが通所給付決定保護者)し、Bさんが障害福祉サービス及び補装具を利用(Bさんが支給決定障害者等及び補装具費支給対象障害者等)する場合であって、世帯の高額費算定基準額が37,200円である場合、次のように計算します。
高額費は、利用者負担世帯合算額と高額費算定基準額の差額を支給対象とします。したがって、障害児通所支援に係る利用者負担30,000円、障害福祉サービスに係る利用者負担20,000円、補装具に係る利用者負担30,000円の合計80,000円が改正後の利用者負担世帯合算額となり、高額費支給対象額は42,800円となります。この額は、障害児通所支援に係る利用者負担30,000円の合算額50,000円を利用者負担世帯合算額としていた改正前に比べ、30,000円高い額となります。
Aさん又はBさんに対する支給額は、高額費支給対象額を通所給付決定保護者按分率、支給決定障害者等按分率(Aさん、Bさんに係る利用者負担を利用者負担世帯合算額でそれぞれ除して得た率)で按分した額とするため、Aさんに支給される高額障害児通所給付費は、42,800円に障害児通所支援に係る利用者負担の30,000円を掛けて、利用者負担世帯合算額の80,000円で割った、16,050円となります。
Bさんに支給される高額障害福祉サービス等給付費は、42,800円に障害福祉サービスに係る利用者負担20,000円、補装具に係る利用者負担30,000円の合計50,000円を掛けて、利用者負担世帯合算額の80,000円で割った、26,750円となります。
7 障害に係る自立支援医療
従来の障害に係る公費負担医療(精神通院医療、更生医療、育成医療)が、自立支援医療に変わりました。
精神通院医療(精神保健福祉法)、更生医療(身体障害者福祉法)、育成医療(児童福祉法)が 平成18年4月に新体系に移行し、自立支援医療制度になりました。
自立支援医療制度では、「支給認定の手続きの共通化」「利用者負担の仕組みの共通化」「指定医療機関制度の導入」が図られています。
医療の内容や、支給認定の実施主体については、従来どおりです。
自立支援医療の利用者負担と軽減措置
所得に応じ、月ごとに負担上限額が設定されています。負担上限額がひと月あたりの医療費の1割を超える場合は、自己負担は1割となります。
なお、一定の負担能力があっても、継続的に相当額の医療費負担が生じる人々(高額治療継続者〈いわゆる「重度かつ継続」〉)にもひと月当たりの負担に上限額が設定されるなどの負担軽減策が講じられています。
世帯の単位は、住民票上の家族ではなく、同じ医療保険に加入している家族を同一世帯とします。ただし、同じ医療保険に加入している場合であっても、配偶者以外であれば、税制と医療保険のいずれにおいても障害者を扶養しないことにした場合は、別の世帯とみなすことが可能となる場合もあります。
入院時の食事療養費又は生活療養費については、入院と通院の公平を図る視点から原則自己負担となります。
自立支援医療の対象者、自己負担の概要
1 対象者
従来の精神通院医療、育成医療、更生医療の対象となる方と同様の疾病を有する方で、一定所得以上の方は除きます。また、対象疾病は従来の対象疾病の範囲どおりです。
なお、平成22年4月から肝臓機能障害が加わりました。
2 給付水準
世帯の所得水準等に応じてひと月当たりの負担に上限額を設定し、これに満たない場合は1割となります。
また、入院時の食事療養費又は生活療養費は原則自己負担です。
所得状況による負担は次のようになります。
- (1)生活保護世帯は負担はありません。市町村民税非課税世帯で本人収入が80万円以下の場合は、負担上限月額は2,500円、本人収入が80万円を超える場合は、負担上限月額は5,000円となります。
また、市町村民税課税世帯で所得割が33,000円未満の方の負担上限月額は医療保険の自己負担限度となりますが、育成医療の経過措置に該当する方は、市町村民税の所得割が33,000円以下の場合、5,000円、33,000円以上、230,5000円未満の場合10,000円となります。235,000円以上の方は、対象外です。
また、高額治療継続者(「重度かつ継続」)に該当する方は、市町村民税の所得割が33,000円以下の場合、5,000円、33,000円以上、230,5000円未満の場合10,000円、235,000円以上の方は、20,000円となります。
なお、高額治療継続者(「重度かつ継続」)の範囲は、次のとおりです。
- (1)疾病、症状等から対象となる方。
更生医療・育成医療腎臓機能、小腸機能、免疫機能、心臓機能障害(心臓移植後の抗免疫療法に限る)、肝臓機能障害(肝臓移植後の抗免疫療法に限る/肝臓機能障害は平成22年4月に追加)
精神通院医療統合失調症、躁うつ病・うつ病、てんかん、認知症等の脳機能障害若しくは薬物関連障害(依存症等)の方又は集中・継続的な医療を要する者として精神医療に一定以上の経験を有する医師が判断した方。 - (2)疾病等に関わらず、高額な費用負担が継続することから対象となる方。
8 補装具の制度
障害者等の身体機能を補完し、又は代替し、かつ、長期間にわたり継続して使用されるもの等。義肢、装具、車いす等の補装具については、これまでの補装具給付制度が個別給付である補装具費支給制度に変わりました。
補装具費の支給
以前の現物支給から、補装具費の支給へと変わっています。利用者負担については平成24年4月から所得に配慮した負担となるとともに、障害福祉サービスと介護保険法に基づく居宅サービス等に関わる利用者負担と補装具に係る利用者負担を合算したうえで利用者負担の軽減が図られるようになっています。
支給決定は、障害者又は障害児の保護者からの申請に基づき、市町村が行います。
補装具費の支給の仕組み
- (1) 利用者が市町村へ補装具費の支給申請
- (2) 市町村が補装具費支給決定
- (3) 利用者と補装具製作・販売業者で契約
- (4) 補装具製作・販売業者から利用者へ製品の引渡し
- (5) 利用者から補装具製作・販売業者へ補装具の購入費を支払い
- (6) 利用者から市町村へ利用者負担分を除く補装具費について支払いを請求
- (7) 市町村から利用者へ補装具費を支給
補装具費支給制度の利用者負担
補装具費支給制度の利用者負担は、所得等に配慮した負担となっています。
なお、世帯の所得に応じて負担上限月額が設定されます。
負担上限月額は、生活保護受給世帯、市町村民税非課税世帯は0円、市町村民税課税世帯は37,200円です。
なお、障害福祉サービスの負担額等と合算され、高額障害者福祉サービス費による軽減措置の対象となります。詳しくは、21ページを参照してください。
平成25年度4月から障害者総合支援法が施行されます
「地域社会における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律」が平成25年4月から施行されます。その概要をお伝えします。
- 1趣旨
障害者制度改革推進本部等における検討を踏まえて、地域社会における共生の実現に向けて、障害福祉サービスの充実等障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するため、新たな障害保健福祉施策を講ずるものとする。 - 2概要
- (1)題名
「障害者自立支援法」を「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)」とする。 - (2)基本理念
法に基づく日常生活・社会生活の支援が、共生社会を実現するため、社会参加の機会の確保及び地域社会における共生、社会的障壁の除去に資するよう、総合的かつ計画的に行われることを法律の基本理念として新たに掲げる。 - (3)障害者の範囲(障害児の範囲も同様に対応)
「制度の谷間」を埋めるべく、障害者の範囲に難病等を加える。 - (4)障害支援区分の創設
「障害程度区分」について、障害の多様な特性その他の心身の状態に応じて必要とされる標準的な支援の度合いを総合的に示す「障害支援区分」に改める。- ※障害支援区分の認定が知的障害者・精神障害者の特性に応じて行われるよう、区分の制定に当たっては適切な配慮等を行う。
- (5)障害者に対する支援
- [1]重度訪問介護の対象拡大(重度の肢体不自由者等であって常時介護を要する障害者として厚生労働省令で定めるものとする)
- [2]共同生活介護(ケアホーム)の共同生活援助(グループホーム)への一元化
- [3]地域移行支援の対象拡大(地域における生活に移行するため重点的な支援を必要とする者であって厚生労働省令で定めるものを加える)
- [4]地域生活支援事業の追加(障害者に対する理解を深めるための研修や啓発を行う事業、意思疎通支援を行う者を養成する事業等)
- (6)サービス基盤の計画的整備
- [1]障害福祉サービス等の提供体制の確保に係る目標に関する事項及び地域生活支援事業の実施に関する事項についての障害福祉計画の策定
- [2]基本指針・障害福祉計画に関する定期的な検証と見直しを法定化
- [3] 市町村は障害福祉計画を作成するに当たって、障害者等のニーズ把握等を行うことを努力義務化
- [4] 自立支援協議会の名称について、地域の実情に応じて定められるよう弾力化するとともに、当事者や家族の参画を明確化
- (1)題名
- 3施行期日
平成25年4月1日(ただし、(4)及び(5)[1]~[3]については、平成26年4月1日) - 4検討規定
障害者施策を段階的に講じるため、法の施行後3年を目途として、以下について検討- [1] 常時介護を要する障害者等に対する支援、障害者等の移動の支援、障害者の就労の支援その他の障害福祉サービスの在り方
- [2] 障害支援区分の認定を含めた支給決定の在り方
- [3] 障害者の意思決定支援の在り方、障害福祉サービスの利用の観点からの成年後見制度の利用促進の在り方
- [4] 手話通訳等を行う者の派遣その他の聴覚、言語機能、音声機能その他の障害のため意思疎通を図ることに支障がある障害者等に対する支援の在り方
- [5] 精神障害者及び高齢の障害者に対する支援の在り方
- ※上記の検討に当たっては、障害者やその家族その他の関係者の意見を反映させる措置を講ずる。
障害者虐待防止法が平成24年10月1日に施行されます
障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律の概要をお知らせします。
- 1目的
障害者に対する虐待が障害者の尊厳を害するものであり、障害者の自立及び社会参加にとって障害者に対する虐待を防止することが極めて重要であること等に鑑み、障害者に対する虐待の禁止、国等の責務、障害者虐待を受けた障害者に対する保護及び自立の支援のための措置、養護者に対する支援のための措置等を定めることにより、障害者虐待の防止、養護者に対する支援等に関する施策を促進し、もって障害者の権利利益の擁護に資することを目的とする。 - 2定義
- (1)「障害者」とは、身体・知的・精神障害その他の心身の機能の障害がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活・社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。(改正後障害者基本法2条1号)
- (2)「障害者虐待」とは、[1]養護者による障害者虐待、[2]障害者福祉施設従事者等による障害者虐待、[3]使用者による障害者虐待をいう。
- (3)障害者虐待の類型は、[1]身体的虐待、[2]性的虐待、[3]心理的虐待、[4]放棄・放置、[5]経済的虐待の5つ。
- 3虐待防止施策
- (1)何人も障害者を虐待してはならない旨の規定、障害者虐待を受けたと思われる障害者を発見した者の通報義務、障害者の虐待の防止に係る国等の責務規定、障害者虐待の早期発見の努力義務規定を置く。
- (2)障害者虐待防止等に係る具体的スキームを定める。
障害者虐待防止等に係る具体的スキームが次のように定められています。- [1]擁護者による障害者虐待では、虐待を発見した人が市町村に通報した場合、市町村は立ち入り調査等で事実確認を行い、一時保護や後見審判請求等の措置を行います。
- [2]障害者福祉施設従事者等による障害者虐待については、市町村が虐待の通報を受けた場合は、都道府県に報告します。都道府県は監督権限等の適切な行使や措置等の公表を行います。
- [3]事業所等の使用者による障害者虐待については、市町村や都道府県を介して虐待の通報を受けた労働局が監督権限等の適切な行使や措置等の公表を行います。
- (3)就学する障害者、保育所等に通う障害者及び医療機関を利用する障害者に対する虐待への対応について、その防止等のための措置の実施を学校の長、保育所等の長及び医療機関の管理者に義務付ける。
- 4その他
- (1)市町村・都道府県の部局又は施設に、障害者虐待対応の窓口等となる「市町村障害者虐待防止センター」・「都道府県障害者権利擁護センター」としての機能を果たさせる。
- (2)国及び地方公共団体は、障害者虐待の防止並びに障害者虐待を受けた障害者の保護及び自立の支援、財産上の不当取引による障害者の被害の防止・救済を図るため、成年後見制度の利用に係る経済的負担の軽減のための措置等を講ずる。
- (3)政府は、障害者虐待の防止等に関する制度について、この法律の施行後3年を目途に検討を加え、必要な措置を講ずるものとする。
- ※虐待防止スキームについては、家庭の障害児には児童虐待防止法を、施設入所等障害者には施設等の種類(障害者施設等、児童養護施設等、要介護施設等)に応じてこの法律、児童福祉法又は高齢者虐待防止法を、家庭の高齢障害者にはこの法律及び高齢者虐待防止法を、それぞれ適用。