医務技監からのメッセージ

厚生労働省医務技監 迫井 正深

社会を支え進化する保健医療を、
次世代に引き継ぐ

厚生労働省医務技監
迫井 正深SAKOI Masami

激動の時代を生きる

 今、私たちは激動の時代を生きています。
 急速な情報化社会の進展は、つい最近までは想像もしていなかった生成AIの出現など、驚異的なスピードで大きな社会変革をもたらしています。国際社会での紛争、エネルギー確保、気候変動などが複雑に絡み合い、日常生活にも目に見える変化が、次々と生じています。能登半島震災など自然の猛威もまた、私たちの生活に折り重なっています。

変革する社会を支える保健医療

 激動の時代にあって、社会・経済の営みを続けるには、それらを支える保健医療システムが社会インフラとして機能しなければなりません。コロナパンデミックを通じて人々は「社会を支える保健医療」の尊さとともに、そこに解決すべき課題が存在することも認識したと言えます。
 そして、少子高齢化や、ゲノム・DXなどの医療イノベーションにも対応する社会インフラとして、この保健医療システムを進化させながら、次世代に引き継いでいく ― 私たち厚生労働省はこの使命を胸に、全力で日々取り組んでいます。

行政官として、医師・歯科医師として

 医療が社会インフラとして機能するためには、社会制度と保健医療現場の協働・調和が不可欠です。医師・歯科医師のバックグラウンドを持った、現場に精通する行政官、すなわち医系技官が、行政と現場の意思疎通を図りながら、政策形成に参画することが求められるのです。
 皆さんが医師・歯科医師を志した、具体的な動機はさまざまでしょう。しかし、国家資格を取得し、プロフェッショナルとして歩み始めている皆さんは、従事する場や組織によらず、必ず心にとめなければならないことがあります ― 公衆衛生の向上及び増進に寄与し、国民の健康な生活を確保する -(医師法・歯科医師法 第一条)。
 行政であれ、保健医療の現場であれ、社会の期待に応えることに違いはありません。

私たちのチャレンジ

 社会インフラとしての保健医療システムをどのように守り育てていくのか。このことが正に問われている今、希望ある将来を信じて、果敢に挑戦してくれる仲間を私たちは必要としています。
 批判されることが決して少なくない厚生労働行政です。平坦な道のりではないかもしれません。しかし、そこには厳しさとともに、人々の命を守り社会に貢献するという唯一無二の価値がある - 医師・歯科医師を志した皆さんには共感していただけるものと確信しています。
 私たちのチャレンジは続きます。
 これをご覧になっている皆さんが、医系技官の一員となって、保健医療システムの未来を私たちと共に切り拓いていく。ご一緒できる日々を楽しみにしています。