アニサキス食中毒に関するQ&A

(令和元年11月1日最終改正)

 

Q1. アニサキスとは何ですか?

A1.
アニサキスとは寄生虫(線虫)の一種です。その幼虫(アニサキス幼虫)は、長さ2~3cm、幅は0.5~1mmくらいで、白色の少し太い糸のように見えます。
アニサキス幼虫は、サバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、イカなどの魚介類の主に内臓表面に寄生しています。
また、アニサキス幼虫は、寄生している魚介類が死亡し、時間が経過すると内臓から筋肉に移動することが知られています。

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Q2. アニサキス食中毒とは何ですか?

A2.
アニサキス幼虫が寄生している生鮮魚介類を生(不十分な冷凍又は加熱のものを含みます)で食べること起きる食中毒です。

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Q3. 国内での発生はありますか?

A3.
刺身や寿司など生鮮魚介類の生食を嗜好する食習慣と強く関連することから、多数の症例が国内で発生しています。
→詳しくは発生状況を御覧ください。

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Q4. アニサキス食中毒は新しい食中毒ですか?

A4.
アニサキス食中毒は以前からある食中毒で、2012年まではアニサキスも含めた寄生虫を原因とする食中毒は、食中毒統計では「その他」の項に分類されていましたが、2012年の薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食中毒部会において、アニサキス、クドア、サルコシスティスの寄生虫については、寄生虫性食中毒の独立項目として把握すべき旨の意見があり、2013年から食中毒統計において個別に集計しています。

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Q5. どのようにして起きますか?

A5.
アニサキス幼虫が胃壁や腸壁に刺入して食中毒(アニサキス症)を引き起こします。

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Q6. どのような症状ですか?

A6.
アニサキス幼虫が胃壁に刺入して生じる急性胃アニサキス症は、食後数時間後から十数時間後に、みぞおちの激しい痛み、悪心、嘔吐を生じます。
アニサキスの幼虫が腸壁に刺入して生じる急性腸アニサキス症は、食後十数時間後から数日後に、激しい下腹部痛、腹膜炎症状を生じます。
その他、アニサキス幼虫が胃壁等に刺入しない場合でも、アニサキスが抗原となり、じんま疹やアナフィラキシーなどのアレルギー症状を示す場合があります。

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Q7. 治療薬はありますか?

A7.
アニサキス幼虫に対する効果的な治療薬はありません。
なお、治療法に関しては、胃アニサキス症では胃内視鏡検査時に胃粘膜に穿入する虫体を摘出します。腸アニサキス症では対症療法を行い、場合によっては外科的処置が施されます。
また、アニサキスアレルギーに対しては、アレルギーに関する対処療法を行いますが、アナフィラキシーの場合、緊急に医療処置を行う必要があります。

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Q8. どのように予防すればよいですか?

A8.
内臓に寄生する幼虫が漁獲後に筋肉へ移行することがあるため、魚を購入する際は新鮮な魚を選び、速やかに内臓を取り除いてください。内臓を生で食べないでください。
また、魚が生きているときから既に筋肉内にアニサキスが寄生している場合もあるため、注意が必要です。
魚を調理する際には、目視で確認して、アニサキス幼虫を除去してください。
※一般的な料理で使う食酢での処理、塩漬け、醤油やわさびを付けても、アニサキス幼虫は死滅しません。

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Q9. 生鮮魚介類を取り扱う事業者は、どのように予防すればいいですか?

A9.
まずは、新鮮な魚を選び、速やかに内臓を取り除き、目視で確認して、アニサキス幼虫を除去してください。なお、魚の内臓を生で提供しないでください。
また、アニサキスは冷凍や加熱で死滅するので、調理をする場合には、-20℃で24時間以上冷凍するか、70℃以上若しくは60℃の場合は1分加熱をしてください。

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Q10. 飲食店や魚介類販売店で提供したものが原因で、アニサキス食中毒が発生した場合、飲食店や魚介類販売店には、どのような対応が行われますか?

A10.
食中毒やその疑いの連絡をうけた保健所は、直ちに患者への調査を開始すると同時に、食中毒の発生源と疑われる施設への立入調査を行います。立入調査の結果と、体調不良の患者への聞き取り調査の内容をもとに、食品衛生法第55条に基づき、被害拡大防止対策、再発防止対策が完了するために必要な期間・範囲で営業停止の行政処分がとられることがあります。

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Q11. 飲食店や魚介類販売店で提供したものが原因で、アニサキス食中毒が発生した場合の、行政処分がとられる被害拡大防止対策、再発防止対策が完了するために必要な期間・範囲とは具体的に何ですか?

A11.
行政処分については、都道府県等が定める規定に基づき運用されていますが、厚生労働省としては、アニサキス食中毒における行政処分に必要な期間とは、従業員教育等の再発防止措置に必要な期間で、必要な範囲とは、対象品目を鮮魚介類(冷凍品を除く。)に限定する等と考えています。
都道府県等ごとに営業許可の停止期間が異なっていたことや、従業員教育等の再発防止に必要な期間に関係なく一定の停止期間が設定されていた事例等を踏まえ、都道府県等に対し、「平成30年度食品、添加物等の年末一斉取り締まりの実施について」(平成30年11月19日付け生食発第3号)や平成30年度全国生活衛生・食品安全関係主管課長会議において、アニサキス食中毒における行政処分について合理的な処分内容とするよう要請をしています。

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Q12. 飲食店や魚介類販売店で提供したものが原因で、食中毒が発生した場合、飲食店や魚介類販売店は公表されますか?

A12.
食品衛生法第63条の規定により、食品衛生法違反者等の情報は、食品衛生上の危害の発生防止の観点から、公表される場合があります。

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Q13. 平成30年にアニサキス食中毒が多く報告された原因は何ですか?

A13.
平成30年にアニサキス食中毒が多く報告された原因を調査するため、平成30年度に「カツオの生食を原因とするアニサキス食中毒の発生要因の調査と予防対策の確立のための研究について」(概要)を実施しました。これまでカツオによるアニサキス食中毒の報告は少数でしたが、調査により、平成30年に漁獲されたカツオには、例年よりも海水温が高い状況が続き、海水温が例年並みに低下しなかったこと、漁獲海域が例年とは異なっていたことなどにより、多くのアニサキスが寄生したことが、平成30年の食中毒報告件数の増加の要因となったと推測されています。
令和元年10月23日時点(速報値)では、アニサキス食中毒の報告数は142件であり、10月末までに425件の報告があった平成30年と比較すると大幅に減少し、例年並みの報告数となっていますが、引き続きQA.8に示す予防対策を行っていくことが有効です。

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お問い合わせ先

医薬・生活衛生局 食品監視安全課

TEL:03-5253-1111(内線4244)