第76回WHO総会結果(概要)

1.概要

  • 期間:2023(令和5)年5月21日(日)~5月30日(火)
  • 対面会議
  • 日本政府代表団:本田顕子厚生労働大臣政務官、日下英司国際保健福祉交渉官等
  • 本会議では、9日間にわたり、全27議題について協議。19の決議と15の決定を採択。

  ※WHO総会は、全加盟国代表で構成される最高意思決定機関。毎年5月に開催され、保健医療 
  に関する重要な政策決定を行う。

2.政府代表演説

WHO総会では、本田顕子厚生労働大臣政務官から政府代表演説を行い、

  • 本年2月に発生したトルコ・シリア地震で被災された方々へのお見舞いを述べるとともに、被災された方への揺るぎない支援を行うことを約束
  • 今もなお続くロシアによるウクライナ侵略は、力による一方的な現状変更かつ国際秩序の根幹を揺るがす暴挙であり、ウクライナの主権と領土一体性を侵害する明白な国際法違反であると強く非難した上で、引き続きウクライナ政府を支援すること
  • G7議長国として、G7広島サミット及びG7長崎保健大臣会合を開催し、国際保健にかかる大きなテーマとして、「将来の健康危機のための予防・備え・対応の強化」、「より強靱、より公平、より持続可能なユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成への貢献」、「ヘルス・イノベーションの促進」を中心に議論し、「感染症危機対応医薬品等(Medical Countermeasures: MCM)への公平なアクセスのための広島ビジョン」、「MCMデリバリー・パートナーシップ」、「G7 UHCグローバルプラン」を打ち出し、国際保健の諸課題に対してG7全体で官民合わせて480億米ドル以上の資金貢献を表明したこと
  • 様々な国際会議での議論を通じて、グローバルヘルスの推進、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成に向けた政治的モメンタムを高める必要があり、WHOが中心的な役割を果たすことを期待する等述べた。

3.主な議題

(1)事業予算:WHOにおける「持続可能な財政」のため、予算に占める分担金割合の20%増を含む2024年-2025年期予算案が採択された。日本からは、分担金の引き上げはWHO改革と同時に実施されるべきであり、WHO改革の進捗及び分担金増加の影響をしっかりとモニタリングしていく旨を発言。

(2)健康危機:パンデミック対応に関する法的文書の政府間交渉会議の進捗が報告されたほか、WHOの健康危機プログラムに対する提言、健康危機におけるグローバルヘルス・アーキテクチャー等が議論された。

(3)平和とグローバルヘルス(人道危機でのWHOの活動):スイス・オマーンが主導し「平和のためのグローバルヘルスのロードマップ」を議論。少数の国から修正を求める意見が示されたことにより、ロードマップは引き続き協議されるものとして留意され、協議の進捗状況については次回の執行理事会において報告されることとなった。

(4)UHC:日本から、本年5月に日本で開催したG7長崎保健大臣会合及びG7広島サミットにおいてUHCを主要議題として扱い、「UHCグローバルプラン」を採択し、9月に開催予定のUHCに関する国連総会ハイレベル会合が意義あるインパクトを生み出せるよう引き続きコミットする旨発言。

(5)執行理事の改選:ウクライナ他10か国が含まれるWHO地域委員会が推薦した候補国リストが採択された。

4.二国間会談(本田顕子厚生労働大臣政務官)

(1)テドロス事務局長との会談
本田顕子厚生労働大臣政務官はテドロス事務局長と会談を行い、G7広島サミットや本年9月に開催予定の保健に関する3つの国連総会ハイレベル会合、WHO改革等について議論を行った。

(2)各国代表との会談
アルーナス・デュルキース・リトアニア保健大臣との会談では、2018年に締結した保健分野における協力覚書について議論し、覚書の延長と、昨年友好100周年を迎えた両国の更なる連携について合意した。フランソワ・ブラウン仏保健大臣との会談では、G7としての両国の緊密な関係を確認するとともに、グローバルサウスとの連携や、UHC実現に向けた保健システム強化の重要性について議論した。ポール・ケリー・豪首席医務官との会談では、WPRO加盟国としての日豪連携の重要性や日米豪印等の多国間での連携について議論を行った。