第10回 日中韓少子高齢化セミナーについて

2022年11月10日(木)に、第10回日中韓少子高齢化セミナーをオンライン形式で開催しました。

1 経緯

 高齢化対策に関する経験交流を目的として2010年から「日中韓高齢化セミナー」を開催してきました。2018年の第8回セミナーにおいて、内閣府参加のもと少子化対策も含めて交流を続けることに合意し、「日中韓少子高齢化セミナー」として第10回を実施することとなりました。

2 これまでの実績

 日中韓3か国が持ち回りで開催し、第8回以降は少子高齢化対策に係るセミナーを行っています。テーマは開催毎に3か国間で協議して決定しています。
 
第8回 2018年7月 韓国(済州)開催「人口構造の変化と少子化対策」「活気に満ちた老後のための中高齢者再就職支援政策」
第9回 2021年12月 オンライン開催「少子化の状況と対応」「介護の担い手の確保」

3 第10回日中韓少子高齢化セミナーの概要

プログラム

・開会挨拶
・日本、中国、韓国代表による基調講演
・セッション1「結婚・出産に関するイデオロギーの変化と少子化」
・セッション2「高齢者向けケアサービスへのスマート・デジタル技術の活用」
・閉会挨拶

出席者

 日本側は、厚生労働省から大西証史 老健局長ほか、内閣府から北波孝 子ども・子育て本部審議官ほかが参加しました。中国側は、楊金瑞 国家衛生健康委員会老齢健康司副局長ほか、韓国側は、シン・コッシゲ 保健福祉部人口児童政策官ほかが参加しました。

概要

■基調講演
 中国の賀丹 中国人口と発展研究センター主任による開会挨拶の後、3か国の代表による基調講演が行われました。
 日本の北波孝 内閣府子ども・子育て本部審議官は、日本の少子高齢化の状況について紹介するとともに、少子化社会対策大綱に基づく最近の主な取組や、2023年4月に創設予定の「こども家庭庁」に係る議論の状況などについて説明しました。
 中国の劉芳 国家衛生健康委員会老齢健康司副局長からは、高齢化が進展する中国において、介護サービスの強化や健康管理の強化などに取り組んでいることなどが発表されました。
 韓国のシン・コッシゲ 保健福祉部人口児童政策官からは、人口見通しや少子高齢化の状況を踏まえ、少子高齢社会基本計画に基づく取組や、出産・育児初期の経済的負担を軽減する施策や、単身労働者向けの予防的介護の取組などが発表されました。
 
■セッション1「結婚・出産に関するイデオロギーの変化と少子化」
 日本は、国立社会保障・人口問題研究所人口動向研究部の守泉理恵 第1室長から、「第16回出生動向基本調査」等をもとに結婚・出産・家族に関する考え方の変化について説明した上で、非婚、無子等の生き方を「選ばざるを得ない人々」が増加した側面もあることから、これまでの多面的な支援に加えて「結婚前の段階での支援」が重要になると指摘しました。
 韓国は、韓国KDI国際政策大学院のチェ・スルキ教授から、結婚願望を持つ若者が相当数存在するものの、実際の出産計画では出産を遅らせるかより少なく生むとの回答が多く、現実の厳しさから理想との乖離が大きくなってきていると指摘しました。
 中国は、中国人口と発展研究センターの賀丹主任から、意識調査の結果に基づき、近年の結婚観や出産観念、女性が出産のために必要としている支援を紹介するとともに、包括的な出産政策の確立や家庭の負担軽減が必要であるとの見解を発表しました。
 
■セッション2「高齢者向けケアサービスへのスマート・デジタル技術の活用」
 中国は、左美雲 中国人民大学スマートシニアケア研究所教授から、情報技術を利用し高齢者支援を行う「スマート高齢者支援」の考え方のもと、通院・移動・消費における取組などが発表されました。
 韓国は、金澤植 韓国保健産業振興院首席研究員から、高齢者に優しいデジタル技術の研究開発の取組や、介護技術の活用事例が発表されました。
 日本は、大西証史 厚生労働省老健局長から、日本の介護をとりまく現状とともに、科学的裏付けに基づく介護や介護現場における生産性向上の取組を紹介しました。

セミナーの様子