確定拠出年金制度の概要

1.確定拠出年金とは

  • 確定拠出年金は、拠出された掛金とその運用益との合計額をもとに、将来の給付額が決定する年金制度です。
  • 掛金を事業主が拠出する企業型DC(企業型確定拠出年金)と、加入者自身が拠出するiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)があります。
 

2.制度の概要

(1)対象者(制度に加入できる者)、拠出限度額等

  企業型DC iDeCo
実施主体 企業型年金規約の承認を受けた事業主 国民年金基金連合会
加入対象者 実施企業に勤務する従業員
 
※厚生年金保険の被保険者のうち
 厚生年金保険法第2条の5第1項第1号に規定する第1号厚生年金被保険者、
 または同項第4号に規定する第4号厚生年金被保険者。

1.国民年金第1号被保険者(自営業者等)
※農業者年金の被保険者、国民年金の保険料免除者を除く。

2.国民年金第2号被保険者(厚生年金保険の被保険者)
※公務員や私立学校教職員共済制度の加入者を含む。

※企業型DC加入者においては、以下の全てにあてはまる場合に限る。
[1]掛金(企業型DC・iDeCo)が各月拠出である。
[2]iDeCoの掛金額は、企業型DCの事業主掛金額と合算して各月の拠出限度額を超えていない。
[3]企業型DCの加入者掛金を拠出していない。

3.国民年金第3号被保険者(専業主婦(夫)等)

4.国民年金任意加入被保険者
 
掛金 事業主拠出
(企業型年金規約に定めた場合は加入者も拠出可能(マッチング拠出)。)
加入者拠出
「iDeCo+」(イデコプラス・中小事業主掛金納付制度)を利用する場合は事業主も拠出可能。)
拠出限度額

詳細はこちら
■確定給付型の年金を実施していない場合:55,000円/月

■確定給付型の年金を実施している場合:27,500円/月
※マッチング拠出の限度額は、事業主掛金額を超えず、
かつ、事業主掛金額とマッチング拠出による事業主掛金額の合計が55,000円/月(確定給付型の年金を実施している場合は27,500円/月)の範囲内。

1.国民年金第1号被保険者(自営業者等):68,000円/月
※国民年金基金の掛金、または国民年金の付加保険料を納付している場合は、それらの額を控除した額

2.国民年金第2号被保険者(厚生年金保険の被保険者)
■確定給付型の年金及び企業型DCに加入していない場合(公務員を除く):23,000円/月

■企業型DCのみに加入している場合:20,000円/月
※企業型DCの事業主掛金額との合計額が55,000円の範囲内

■確定給付型の年金のみ、または確定給付型の年金と企業型DCの両方に加入している場合:12,000円/月
※企業型DCの事業主掛金額との合計額が27,500円の範囲内

■公務員:12,000円/月

3.国民年金第3号被保険者(専業主婦(夫)等):23,000円/月

4.国民年金任意加入被保険者:68,000円/月
※国民年金基金の掛金、または国民年金の付加保険料を納付している場合は、それらの額を控除した額
 
注:確定給付型の年金とは、厚生年金基金、確定給付企業年金、石炭鉱業年金基金、私立学校教職員共済制度を指します。

(2)運用

  • 運営管理機関(金融機関等)が選定・提示する運用商品(投資信託、保険商品、預貯金等)の中から、加入者等自身が商品を選んで運用します。
  • 運用商品は、必ず3以上(簡易企業型年金においては2以上)35以下(※)の商品を選択肢として選定・提示することとなっています。
    ※平成30年5月1日時点において提示している商品数が35を上回っている場合、5年間は平成30年5月1日時点の商品数が上限。
  • 加入者等は、複数の運用商品を選ぶこともでき、運用の途中で運用商品を変更することもできます。
 

(3)投資教育

確定拠出年金は、老後までの間の運用結果が将来の給付額に影響するため、個々の加入者が適切な資産運用を行うための情報や知識を有していることが重要です。
そのため、確定拠出年金を実施している事業主は、加入者等に対して必要かつ適切な「投資教育」を行わなければなりません。
詳細は、確定拠出年金の投資教育をご参照ください。
 

(4)離転職時の年金資産の持ち運び(ポータビリティ)

加入者等が離転職した場合には、確定拠出年金で積み立てた資産を他の制度へ持ち運べる場合があります。
資産移換が可能な場合については、以下の表をご確認ください。
詳細は、離職・転職時等の年金資産の持ち運び(ポータビリティ)をご参照ください。
 
  離転職先で導入している制度、資産移換先の制度
確定給付企業年金
(DB)
企業型確定拠出年金
(企業型DC)
個人型確定拠出年金
(iDeCo)
通算企業年金 中小企業退職金共済














 
DB (DB/個人単位)※2 (DB/個人単位) ※1 ※3
(DB/制度移行)※1 ※2 (DB/制度移行)※1
企業型DC ※2 ※3
iDeCo ※2 × ×
通算企業年金 ※2 ×
中小企業退職金共済 ※2 ※3 ※3 × ×
●:個人の申出により移換▲:事業主の手続きにより移換、-:対象外、×:移換不可
※1 離転職前等に加入していたDB規約の定めによる
※2 離転職先等で導入しているDB規約の定めによる
※3 合併等の場合に限る
 

(5)給付

  老齢給付金 障害給付金 死亡一時金 脱退一時金
給付 5年以上20年以下の有期、または終身年金
(規約の規定により一時金の選択可能)
5年以上20年以下の有期、または終身年金
(規約の規定により一時金の選択可能)
一時金 一時金
受給要件等 原則60歳に到達した場合に受給することができる
(60歳時点で確定拠出年金の通算加入者等期間が10年に満たない場合は、支給開始年齢が段階的に先延ばしになる)
・8年以上10年未満→61歳
・6年以上8年未満→62歳
・4年以上6年未満→63歳
・2年以上4年未満→64歳
・1月以上2年未満→65歳
(※1)
75歳に到達する前に傷病によって一定以上の障害状態になった加入者等が、傷病の状態で一定期間(1年6ヶ月)を経過した場合に受給することができる 加入者等が死亡した場合に、その遺族が資産残高を受給することができる 一定の要件(※2)を満たした場合に、受給することができる

※1 60歳以降に初めて確定拠出年金に加入する場合は、加入した日から5年経過した日以降に受給可能。
※2 例外として60歳未満で資産を引き出せることがあります(脱退一時金)。脱退一時金を受給出来るのは以下3つのケースです。
1.企業型DC加入者の資格を喪失した後に企業型記録関連運営管理機関に請求するケース。(個人別管理資産額が15,000円以下の場合)
・以下の全ての要件に該当する者
[1]企業型DC加入者、企業型DC運用指図者、iDeCo加入者及びiDeCo運用指図者でないこと。
[2]資産額が15,000円以下であること。
[3]最後に企業型DC加入者の資格を喪失してから6ヶ月を経過していないこと。

2.企業型DC加入者の資格を喪失した後に企業型記録関連運営管理機関に請求するケース。(個人別管理資産額が15,000円を超える場合)
・以下の全ての要件に該当する者
[1]企業型DC加入者、企業型DC運用指図者、iDeCo加入者及びiDeCo運用指図者でないこと。
[2]最後に企業型DC加入者の資格を喪失してから6ヶ月を経過していないこと。
[3]60歳未満であること。
[4]iDeCoに加入できない者であること。
[5]日本国籍を有する海外居住者(20歳以上60歳未満)でないこと。
[6]障害給付金の受給権者でないこと。
[7]企業型DC加入者及びiDeCo加入者として掛金を拠出した期間が5年以下であること、または、個人別管理資産額が25万円以下であること。

3.個人型記録関連運営管理機関または国民年金基金連合会に請求するケース。
・以下の全ての要件に該当する者
[1]60歳未満であること。
[2]企業型DC加入者でないこと。
[3]iDeCoに加入できない者であること。
[4]日本国籍を有する海外居住者(20歳以上60歳未満)でないこと。
[5]障害給付金の受給権者でないこと。
[6]企業型DC加入者及びiDeCo加入者として掛金を拠出した期間が5年以下であること、または、個人別管理資産額が25万円以下であること。
[7]最後に企業型DC加入者またはiDeCo加入者の資格を喪失した日から起算して2年を経過していないこと。

注:上記2[4]及び3[3]の「iDeCoに加入できない者」とは以下の者です。
      ・国民年金第1号被保険者であって、保険料の免除を申請している、または、生活保護法による生活扶助を受給していることにより国民年金保険料の納付を免除されている者
      ・日本国籍を有しない海外居住者

注:上記2[5]及び3[4]について、法令上の規定は「20歳以上65歳未満」ですが、脱退一時金を受給するためには「60歳未満であること」(2[3]、3[1])にも該当する必要があるため、誤解を与えないよう当ウェブサイトでは「20歳以上60歳未満」と記載しています。
 

(6)税制

  企業型DC iDeCo
拠出時 非課税
■事業主が拠出した掛金:全額損金算入
■加入者が拠出した掛金:全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)
非課税
■加入者が拠出した掛金:全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)
iDeCo+を利用し事業主が拠出した掛金:全額損金算入
運用時 ■運用益:運用中は非課税
■積立金:特別法人税課税(現在、課税は停止されています。)
給付時 ■年金として受給:公的年金等控除
■一時金として受給:退職所得控除
 

3.確定拠出年金と確定給付企業年金の比較

  確定拠出年金(DC) 確定給付企業年金(DB)
仕組み あらかじめ定められた拠出額とその運用益との合計額をもとに、将来の給付額が決定する仕組み あらかじめ給付の算定方法が決まっている仕組み
実施主体 <企業型DC>
企業型年金規約の承認を受けた事業主

<iDeCo>
国民年金基金連合会
企業年金基金または事業主
掛金 <企業型DC>
事業主拠出
(企業型年金規約に定めた場合は加入者も拠出可能)

<iDeCo>
加入者拠出
iDeCo+を利用する場合は事業主も拠出可能)
事業主拠出
(加入者が同意した場合は加入者拠出が可能)
資産運用等 加入者が運用方法を決定し、資産は個人別に管理される。 実施主体がまとめて運用管理を行う。
税制 <拠出時>
非課税
■事業主が拠出した掛金:全額損金算入
■加入者が拠出した掛金:全額所得控除
(小規模企業共済等掛金控除)

<運用時>
■運用益:運用中は非課税
■積立金:特別法人税課税(現在、課税は停止されています。)

<給付時>
■年金として受給:公的年金等控除
■一時金として受給:退職所得控除
<拠出時>
非課税
■事業主が拠出した掛金:全額損金算入
■加入者拠出は実質課税(生命保険料控除)

<運用時>
■積立金:特別法人税課税(現在、課税は停止されています。)

<給付時>
■年金として受給:公的年金等控除
■一時金として受給:退職所得控除
※加入者拠出相当分は非課税