第Ⅰ部 労働経済の推移と特徴

2022年の我が国の経済について概観すると、引き続き感染症の影響がみられたものの、感染防止策と経済社会活動の両立が図られ、個人消費の回復や企業収益が引き続き高水準であったことなどにより、経済活動は徐々に正常化に向かった。
 雇用情勢は、2021年以降、感染拡大前と比べて求人数の回復に遅れがみられる産業もあるものの、経済社会活動が徐々に活発化する中で持ち直している。また、求人の回復基調が続く中で、女性や高齢者等の労働参加が着実に進展している。ただし、少子高齢化に起因する我が国の労働供給制約や経済社会活動の回復などに伴う人手不足の問題も再び顕在化している。
 労働時間・賃金の動向をみると、経済活動が正常化に向かっていることなどに伴い、労働時間は2020年の大幅減から2年連続で増加の動きがみられ、名目賃金は大きく増加し2019年の水準を上回った。ただし、労働時間については、働き方改革の取組の進展等を背景に長期的には減少傾向で推移しているほか、賃金については、名目賃金が大きく増加する中でも、実質賃金が前年比でマイナスとなるなど、物価上昇の影響もみられた。
 第Ⅰ部では、感染防止策と経済社会活動の両立が図られ、経済活動が徐々に正常化に向かう中で、持ち直しの動きがみられた2022年の一般経済、雇用・失業情勢、労働時間・賃金等、物価・消費の動向について概観する。