第107回社会保障審議会医療部会 議事録

日時

 令和6年3月21日(木)16:00~18:00

場所

航空会館ビジネスフォーラム 7階 大ホール

議題

1.地域医療構想の更なる推進について
2.新型インフルエンザ等対策政府行動計画改定の検討状況(医療部分)について(報告)

議事

議事内容

○医療政策企画官 それでは、定刻より若干早うございますが、皆様おそろいでございますので始めさせていただきます。
 ただいまから、第107回「社会保障審議会医療部会」を開会させていただきます。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席、誠にありがとうございます。
 今回もオンラインと、それから現地のハイブリッド開催とさせていただいております。
 まず、委員の出欠状況でございます。楠岡委員より御欠席との御連絡をいただいております。
 総数が24名、本日23名の皆様の御出席となりますので、定足数に達していることを御報告申し上げます。
 また、島崎委員より遅れての御参加という旨の御連絡をいただいてございます。
 次に、議事に入ります前に資料の確認でございます。
 本体資料といたしましては資料1、それから資料2、そして参考資料、こちらのほうを御用意いただければと思います。
 カメラはいらっしゃらないと思いますので、これ以降の進行は遠藤部会長にお願いいたします。
○遠藤部会長 皆様、本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に移りたいと思います。まず、「地域医療構想の更なる推進について」、事務局より資料の説明をお願いしたいと思います。
○大臣官房参事官(救急・周産期・災害医療等、医療提供体制改革担当) 医療提供体制改革担当の参事官です。
 資料1を御用意ください。「地域医療構想の更なる推進について」になります。
 資料を1枚めくっていただいて「目次」ですが、内容は2つございます。
 1つは、2025年まであと2年となっている中で、2025年に向けた進め方です。3月13日の地域医療構想医師確保のワーキンググループで議論いただいた内容になります。
 2つ目、もう一つは、その後の「新たな地域医療構想の検討について」です。
 資料の枚数が多くなっていますので、省略しながら説明をいたします。
 4ページをお開きください。地域医療構想の概要になります。
 御承知のとおりですが、中長期的な人口構造や地域の医療ニーズの質・量の変化を見据えて、医療機関の機能分化・連携を進め、良質かつ適切な医療を効率的に提供できる体制の確保を目的とするものです。医療費の抑制を目的とするものではないということです。
 続いて、7ページをお開きください。地域医療構想に関する主な経緯をまとめた資料になります。
 平成26年に医療法改正をされて、地域医療構想のガイドラインを発出しています。
 平成29年に、公立・公的医療機関において先行して対応方針の策定をいただきました。
 令和元年のところで、公立・公的医療機関等の具体的対応方針の再検証の取組を行っています。この中で、地域の中での混乱もあったということです。
 また、その後、新型コロナの流行が発生をして、地域医療構想の議論が一旦、停滞をしたというような経緯がございます。
 その後、令和4年の3月24日、厚生労働省のほうで局長通知を発出して議論を再開させています。
 その後、令和5年の3月には告示改正、通知発出を行って、現在PDCAサイクルを通じた取組を行っているということです。
 次の8ページは、令和4年3月に地域医療構想の議論を再開した際の厚生労働省の通知になります。
 上のほうで2022年度、令和4年度、それから2023年度、令和5年度において、各医療機関の対応方針の策定などを行うこととしています。
 また、その下に書いていますが、その際、新型コロナの感染拡大により病床の機能分化・連携等の重要性が改めて認識されたことですとか、2024年度からの医師の働き方改革の施行ということがあるので、医療機関内の取組に加えて各構想区域における病床機能の分化・連携の取組など、地域全体での取組を進めることが重要だということを書いております。
 一番下の〇ですが、「なお」ということで、地域医療構想の取組は病床の削減や統廃合ありきではなく、各都道府県が地域の実情を踏まえ、主体的に取組を進めるものだということを通知に記載をして議論の再開をしています。
 10ページは、PDCAサイクルの取組です。
 令和5年3月に、こちらも通知を発出しています。
 (1)のような構想区域ごとの「年度目標の設定」、それから「(2)地域医療構想の進捗状況の検証」、データの分析ですとか、あるいは調整会議での要因の分析・評価をお願いしています。
 また、(3)では検証を踏まえて必要な対応を行っていただくということをお願いしている。
 これらの取組を今、行っているということです。
 11ページ以降は、そのPDCAサイクルの取組の状況の調査を行っていますので、その概要になります。
 例えば11ページですと、各構想区域の目標の設定で、7割の構想区域で目標が設定をされています。
 12ページですと、医療機関の対応方針の策定率の見込みです。
 令和5年度末時点で100%になる見込みの構想区域が85%になっているということです。
 それから16ページまで飛んでいただいて、16ページは調整会議の開催状況になります。
 新型コロナのときにはなかなか調整会議が開催できないということもございましたが、令和5年度の調整会議の開催回数についてはコロナ前の令和元年度よりも多くなる見込みとなっています。
 続いて、26ページまで飛んでください。病床数の変化になります。
 2022年度の病床機能報告で、2022年の病床としては合計119.9万床と報告をされています。それが2025年の報告では合計119.0万床になっています。
 一番右のグラフ、推計上の2025年の病床の必要量になります。こちらが合計119.1万床ですので、2022年度の病床機能報告の報告上の見込みの病床数は、ほぼこの必要量と同じ水準まできているという状況になります。
 他方で機能別の病床数を見ると、例えば紫色の急性期ですと、必要量が40.1万床のところ、2025年の見込みでは52.5万床なので、差異が指摘をされているという状況になります。
 他方で、方向性としてはこの必要量の推計に沿った取組、進捗が見られるところです。
 29ページの資料は、2025年の必要量と2015年の病床数、あるいは2022年の病床数の乖離の変化の状況を表にしたものです。2015年から2022年にかけて、病床機能計の乖離率はプラス5%からプラス0.7%に縮小しており、必要量に近づいているという状況です。病床機能別に見ても、4機能それぞれにおいて乖離率は縮小をしているという状況になります。
 30ページは、構想区域別に見たものです。
 こちらは、構想区域別に見ても病床機能報告上の病床数と2025年の必要量との乖離の変化は全体として乖離が縮小している傾向にあると見ています。
 31ページは急性期、32ページは回復期のデータになります。
 33ページは、個別の事例になります。
 重点支援区域の取組ですが、34ページ以降のような医療機関の機能の転換、あるいは再編の取組が行われているという状況です。
 37ページですが、今の前のほうにあった資料を踏まえて昨年の11月、厚生労働省の地域医療計画医師確保ワーキンググループの資料になります。
 「地域医療構想については、以下のとおり」というのが病床数の変化ですとか、重点支援区域などでの取組を踏まえ、一定の進捗が認められるというような評価がされています。
 一番下の〇ですが、一方で構想区域によっては乖離が残っている区域があるため、構想区域ごとに確認・分析を進めていく必要があるとされています。
 これを受けて、構想区域ごとの取組、進捗状況等の調査を行っています。それが39ページ以降で、こちらはその進捗状況の調査を行った結果の概要で、3月13日の地域医療構想、医師確保のワーキンググループに報告をしています。
 39ページで、2025年の病床数の見込みと必要量に生じている差異について、各構想区域でデータの分析、解析を行っているかどうか調査をしたものです。行っている構想区域が43%、行っていない構想区域が57%となっています。
 40ページは、その差異の解析を行っている構想区域について、生じている差異を要因別に調べたものです。
 病床機能報告が病棟単位であることに起因する差異があるという区域、あるいは都道府県の定量的基準の導入により説明できる差異がある区域などがございます。
 41ページは、今のデータの特性だけでは説明できない差異が生じている構想区域について、調整会議で要因の分析評価を行っているかどうかを確認したものです。
 左側の円グラフですが、行っているというのが48%、行っていないというのが52%の区域となっています。
 44ページですが、「構想区域の医療提供体制上の課題」があるか、ないかをお聞きしたものです。339の全ての構想区域で何らかの医療提供体制上の課題があるという回答になっています。
 右側で、具体的にどのような課題かというものをお聞きしています。救急医療体制、あるいは医療従事者の確保、医師確保、在宅医療、外来、みとりの体制などが課題として多く挙げられています。これらの医療提供体制上の課題、救急医療体制などについて、前のほうの必要量との差異などを踏まえて地域で分析・評価をして解決に向けた取組の議論につなげていきたいと考えています。
 46ページは政府の会議、議論になります。昨年12月の経済財政諮問会議でまとめられた改革工程表2023の抜粋です。
 右側の赤い四角の中ですが、地域医療構想について2025年までの年度ごとに国、都道府県、医療機関がそれぞれ取り組む事項を明確化すること、あるいはbのところで国において都道府県、構想区域の病床機能等の状況の見える化ですとか効果的な事例の周知。
 5つ目のポツで、病床機能報告における2025年の病床数の見込みと必要量の乖離等を踏まえて医療提供体制上の課題、重点的な支援の必要性があると考えられるモデル構想区域などを設定して、アウトリーチの伴走支援の実施などが定められています。
 48ページはこれらの調査結果などを踏まえた対応の案で、こちらも3月13日の地域医療構想医師確保のワーキンググループに報告をした資料になります。
 一番下の〇ですが、2025年に向けてPDCAサイクルの取組がさらに推進されるよう、国、都道府県、医療機関がそれぞれ取り組む事項を明確化する。病床機能等のデータの見える化、好事例の周知、アウトリーチの伴走支援など、国による支援を講じることとしてはどうかとしています。
 49ページもワーキンググループの資料ですが、そのために上の四角に書いていますが、3月中をめどに通知を発出することとしてはどうかと考えています。
 その内容が、1.で2025年に向けて取り組む事項の明確化で、国において推進区域、モデル推進区域を設定してアウトリーチの伴走支援を実施するということです。アウトリーチの伴走支援の内容は、右下の⑥に記載をしています。データ分析などの技術的支援、医療介護総合確保基金の優先配分などの財政的な支援ということです。これらの支援によって、それぞれの地域の取組の後押しをしていきたいということです。
 推進区域については、上のほうの四角の※印に書いています。推進区域は都道府県当たり1~2か所設定、そのうち全国に10~20か所程度のモデル推進区域の設定ということを考えています。
 3月13日の地域医療構想医師確保ワーキングにおいて、これらの推進区域、モデル推進区域の設定が取組の遅れている区域に対して国が一方的に何か強制するみたいなことに受け取られると、かえって取組が進まなくなるおそれがあるというような指摘もございました。取組が行われている区域のレッテルを貼るというようなことではなくて、これまで一定の進捗がある地域医療構想についてアウトリーチの伴走支援を行うことで、さらに推進を図るという視点で丁寧に取り組んでいきたいと考えています。
 それから2番目、国による支援で、「①地域別の病床機能等の見える化」によって地域医療構想調整会議の分析・議論の活性化につなげる。②、③の好事例の周知、④の支援策の周知などを行っていきます。
 57ページからは、「新たな地域医療構想の検討について」です。
 58ページは、令和4年12月の医療部会において取りまとめられた意見の抜粋になります。
 下のほうの①の地域医療構想については、病院のみならずかかりつけ医機能や在宅医療等を対象に取り込む。慢性疾患を有する高齢者の増加や、生産年齢人口の減少が加速していく2040年頃までを視野に入れてバージョンアップを行う必要があるという指摘をされています。
 その下のポツですが、このため「治す医療」を担う医療機関と「治し、支える医療」を担う医療機関の役割分担を明確化。これまでの病床の機能分化、連携の推進に加えて、在宅を中心に入退院を繰り返し、最後はみとりを要する高齢者を支えるための医療・介護の「水平的連携」を推進するということが指摘をされています。これらの意見の内容を踏まえた検討を行っていきたいと考えています。
 60ページは、昨年12月に閣議決定をされた全世帯型社会保障構築の改革工程の抜粋になります。
 真ん中くらいの2つ目のポツ、地域医療構想の取組について医療・介護の複合ニーズを抱える85歳以上人口の増大、現役世代の減少に伴う医療需要の変化に対応できるよう、2040年頃を視野に入れつつ、病院のみならずかかりつけ医機能、在宅医療、医療・介護連携等を含め、中長期的課題を整理して検討を行うこととされています。
 61ページは、「新たな地域医療構想の主な検討事項(案)」を事務局で一定の整理を行ったものです。
 これらの現状、課題、検討事項などについても、今後の検討会などで検討いただきたいと考えています。
 【主な課題】として挙げているものが、真ん中の点線で囲ったところです。2025年の病床の必要量に病床の合計・機能別とも近づいているが、構想区域ごと・機能ごとに乖離がある。
 2つ目の〇で、病床の議論がされているが、外来や在宅医療等を含めた医療提供体制全体の議論が不十分ではないか。
 3つ目の〇で、医療・介護の複合ニーズを抱える85歳以上が増大する中、在宅を中心に入退院を繰り返し、最後はみとりを要する高齢者を支える医療を提供する必要があるのではないか。その際、かかりつけ医機能の確保、在宅医療の強化、介護との連携強化等が必要ではないか。
 その下の〇で、2040年まで見ると地域ごとに人口変動の状況が異なる。
 一番下の〇で、生産年齢人口の減少などがある中、医師の働き方改革を進めながら地域で必要な医療提供体制を確保する必要。
 これらの課題を踏まえながら、新たな地域医療構想をどうするかという検討をいただきたいと考えています。
 主な検討事項の案は、右側の青いところに書いています。
 2040年頃を見据えた医療提供体制のモデル。
 2つ目の〇が、これまでも取り組んできた病床の機能分化・連携、これまでの取組も踏まえて改善する部分はどこかということ。
 それから3つ目の〇で、さらに入院・外来・在宅等を含めた医療提供体制の議論を地域医療構想に取り込んではどうかということです。
 その中では、医療機関の役割分担・連携の在り方ですとか、将来推計についてはこれまでの病床の将来推計に加えて外来・在宅・みとりの推計を行うこととしてはどうか。それから、医療従事者の推計も見ながら地域で医療提供体制の議論を行うようにしてはどうか。
 医療機関の役割分担という観点から医療機関からの機能の報告、構想区域・調整会議、特に区域については外来・在宅・介護連携等の議論を行う区域について、これまでの調整会議は二次医療圏が中心となっていますが、外来とか在宅などの議論を行う区域としてはどのような区域が適当か。
 それから、医療介護総合確保基金、都道府県の権限、一番下に書いてあるのは市町村の役割として在宅、介護連携などの議論を行う際に市町村の関与、役割が重要になるのではないかということを考えています。これらについて検討いただければと考えています。
 62ページは、検討体制になります。
 左側の<現行の地域医療構想>については、現行の地域医療構想医師確保計画に関するワーキンググループで進捗状況の評価、さらなる取組などの検討を行う。
 新しい地域医療構想については、右側の新たな地域医療構想等に関する検討会を新設して検討を行ってはどうかと考えています。構成員の方々をお書きしています。
 また、一番下に※印で書いていますが、「必要に応じて参考人の出席を要請」、お願いをして加わっていただきたいと考えています。
 63ページは、今後の想定のスケジュール(案)になります。
 右側の「新たな地域医療構想」について、3月の下旬に第1回の検討会を開催、月1、2回程度の開催を考えています。それで、この医療部会にも報告をしながら検討を進めてまいります。夏から秋ぐらいに中間まとめ、年末に最終まとめというスケジュールを想定しています。
 令和7年度に新たな地域医療構想に関するガイドラインの検討・発出、令和8年度に新たな地域医療構想を地域で協議いただいた上で検討・策定、令和9年度に新たな地域医療構想の取組を開始する。ちょうど8次医療計画の中間見直し後の取組と、スケジュールがそろうということを考えています。
 資料の説明は以上になります。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいま説明のあった内容につきまして御質問、御意見等があれば承りたいと思いますが、いかがでございましょうか。
 内堀委員、どうぞ。
○内堀委員 遠藤部会長、ありがとうございます。公務の都合により、議題1と2について簡潔に発言をさせていただきます。
 まず、議題1についてです。令和6年度からの新たな取組として、国において推進区域及びモデル推進区域を設定し、アウトリーチの伴走支援を実施するとされています。
 推進区域については、2025年の必要病床数との差異等を踏まえて設定するとされていますが、一律的・機械的に設定するのではなく、地域の実情を踏まえた慎重な対応が必要です。
 また、設定に当たっては、各都道府県において、地域医療構想調整会議等での事前の説明、協議も必要になるものと考えます。
 地域で不要な混乱が生じることがないよう、都道府県と十分に協議を行っていただくようお願いします。
 また、新たな地域医療構想の検討については、現行の地域医療構想の課題を踏まえ、将来にわたり、地域で必要となる医療提供体制等を確保していくため、実効性のある、新たな地域医療構想が策定できるよう、十分な検討をお願いします。
 次は、議題2についてです。
 現在、都道府県においては、改正感染症法に基づく予防計画の改定や、医療機関等との医療措置協定の締結により、新興感染症に対応する医療提供体制の構築に向けて取り組んでいます。
新興感染症の発生初期から適切に対応できる体制を確保するため、感染症医療に係る研修等の充実、強化により、国として平時から、専門的知見を有する医療人材の確保・育成を推進することが重要と考えます。
 また、病床確保料等、感染症対応に当たる医療機関への支援については、都道府県の財政状況によって医療提供体制の確保に支障が生じることがないよう、国の全面的な財政支援が不可欠です。国において必要な予算を確保し、補助金や交付金等による予算措置を含め、地方への財政支援を行うことについて明記をしていただくようお願いします。
 私からは以上です。どうぞよろしくお願いします。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 内堀委員は公務の御都合で参加される時間に制限があるということで、議題2についてもコメントいただきました。
 オンラインで、順番としては山崎學委員、木戸委員、井上委員、ここまで御発言いただいて、その後、会場からまた御意見を承りたいと思います。
 それでは、山崎學委員お願いいたします。
○山崎(學)委員 ありがとうございます。
 新たな地域医療構想の主な検討事項について、病院の病床の機能分化だけではなくて、その地域のかかりつけ医機能とどのように連携させていくかというようなことについての方向性は大賛成であります。
 ただ、問題点は、この地域のかかりつけ医機能というのも9時-5時でしか診療していない診療所と、準夜対応、あるいは地域によっては深夜対応も含めたかかりつけ医機能を持たなければいけないという地域もあると思います。
 それともう一つ、ここで現在の医療提供体制の中で有床診療所という地域で頑張っている先生方がいるわけですが、この有床診療所の役割というのは非常に今の地域医療体制の中で大きな役割を果たしていると考えています。
 したがって、単なる病院と、それからかかりつけ医という分類だけではなくて、かかりつけ医機能と在宅医療というふうな切り分けではなくて、ここの中にかかりつけ医機能と有床診療所や在宅医療という文言を追加していただければありがたいと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。御意見として承りました。
 それでは、木戸委員よろしくお願いいたします。
○木戸委員 地域医療構想において2025年、そしてその後の2040年という年度目標を立てて、サステーナブルな医療提供体制に向けて取組を進めることは、将来世代に対して我々が責任を持って実行するべきことであり、手間もかかりますし、時には痛みを伴うこともあるかもしれませんが、やはり理由をつけて先送りにすることは許されないと思います。
 取組が遅れているところに、必要に応じて国が支援しながらでも実現に向けて進めていくべきという今回の方針に賛成したいと思います。
 重点支援の地域の事例というのが今回幾つか資料に掲載されておりますけれども、効果のところに限られた医療資源をうまく集約化して救急対応能力の強化につながったものもあります。まさにこういった好事例を住民、そして医療従事者にぜひ共有していただいて、推進に向けての理解とか協力を得ることが進める上で重要と思います。
 医療機関の職員という立場からは、再編をしますと自分の雇用とか待遇がどうなるか、いろいろ不安は大きいと思います。やはり現状維持としたいという気持ちは分かります。
 ただ、再編によって担い手が増えて診療体制が充実すれば、当直や夜勤などの回数も減って時間外労働が減ることも期待できます。
 働き方改革と地域医療構想は偏在対策と併せて一体的に進めていくべきところでありますけれども、今回御紹介いただいた事例などで、救急対応が向上したという効果があった中で、実際、医師をはじめとして医療従事者の働き方にどのような変化が出ているかはぜひ興味深いところです。そうしたデータを取っているのか、そして今後こうした事例が増えてくると思いますけれども、働き方改革に関する指標についても併せてモニタリングしていくことは検討されているのかについて質問させていただきたいと思います。
 私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 それでは、事務局、御質問ですので御対応をお願いいたします。
○大臣官房参事官(救急・周産期・災害医療等、医療提供体制改革担当) 今、木戸委員のほうから御質問がございましたのは、重点支援区域の事例について救急対応の能力向上のほか、医療従事者の人員、あるいは働き方の変化のデータがあるかというようなことでした。
 現時点では、そこまでのデータの把握はしていないという状況です。この重点支援区域の取組、事例などにつきまして、引き続きどういうような効果、あるいは地域への影響も含めてどのような状況の変化があるのかというものについては把握をしていきたいと考えています。
○遠藤部会長 木戸委員、いかがでしょうか。
○木戸委員 分かりました。重要なところですので、ぜひそういったデータを集めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、井上委員お待たせしました。
○井上委員 ありがとうございます。
 まず、2025年に向けた地域医療構想の進め方ですけれども、累次の制度改正や財政支援を受けて、病床数につきましては進展をしたと、こういうことは評価をする一方で、急性期と慢性期の病床数のバランス、または地域間での進展のばらつきにつきましてはまだ取組の余地があると思いますので、よろしくお願いいたします。
 2025年に向けた対応はいずれも重要であります。特に、ここで示されたような病床機能の見える化をぜひ進めていただいて、地域構想の進展、議論に資するように提起をいただきたいと思います。
 また、ちなみに令和6年度の診療報酬改定で地域包括医療病棟というものが創設されておりますけれども、この病床機能というのはどういう位置づけになるかということにつきましても今後明確化していただきたいと思います。
 さらに、新たな地域医療構想につきましてですけれども、2040年をめどにかかりつけ医機能、あるいは在宅医療、医療介護連携、こういう検討を進めていくことは全く賛同いたします。
 ただ、本来であれば、この2040年の先にある地域というのがどういうことになっているのか、さらなる人口減少の中でどういうことが想定されるのかということを視野に置きながら、2040年というものをどういうふうに位置づけていくのかという視点が重要ではないかと思います。
 外来、在宅を含めた検討をする場合でも、6年ごとの医療計画との関係性などについてもぜひ明らかにしていただきたいと思いますし、特に重要なのは資料の中にもありましたけれども、2040年に向けて生産年齢人口が減少するなかで、医療提供体制をどうやって確保していくのかというのは非常に大きな問題になると思います。
 この医療の人材確保の視点も、医療・介護の連携による人材の有効活用といった視点も含めて検討していただきたいと思います。
 以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、会場のほうから御意見を承りたいと思います。
 泉委員、お願いします。
○泉委員 泉です。ありがとうございます。
 今のお話はもっともなことで、2025年に向けた37ページから29ページにまとめられているように必要量に近づいているということです。特に今年の4月から医師の働き方改革、それから令和6年の診療報酬改定に伴って、それぞれの地域でかなり地域医療構想が進んできているという感じがいたします。
 医師の働き方改革についてはかなり地域差があって非常に厳しい取組をされているところと、まだ緩やかなところがあるということで、かなり地域差があるのかなと思っています。
 特に最近の大きな課題としては、他産業の賃金が非常に高騰しているということで医師確保、それから看護師確保がだんだん困難になってきているという現状がございます。
 したがいまして、これが地域医療構想の進む原因にもなっているのですが、しかし、地域にきちんとした医療を提供することは重要なので、適正な方向になるようにきちんと考えながら進めていただきたいということをお願いしたいと思っています。
 それから、58ページから60ページにかけて2026年以降の地域医療構想の取組についてなのですけれども、85歳以上の人口の増大、そして現役世代が減るということで、この指摘のとおりだと思います。特にこの中で指摘されているのは、かかりつけ医の機能を担うということは非常に重要なのですけれども、やはりこれは医師の研修が極めて重要だと思っていますので、住民が困らないために医師の研修をしっかりやれるための支援をしっかりお願いしたいということをお願いしたいと思っています。
 それから、60ページに医師の偏在対策、それから61ページに主な検討事項と書かれております。「治す医療」と「治し、支える医療」を念頭に偏在対策をやっているということでございますが、特に最近の問題は主な検討事項の中で書かれているとおり、生産年齢人口の減少がある中、他産業で非常に賃金の上昇があるということで、医療職の人材確保が極めて困難になってきているということを十分に勘案していただかないと、非常に地域医療構想は進み過ぎてしまって地域の医療が成り立たないということも心配される事態になってきていると思います。
 タスクシフトとかタスクシェアという言葉が出てきているのですが、このシェアするための人材確保も非常に困難になってきているということですので、ここもきちんと人材確保ができるような賃金を払えるような体制をぜひ構築してもらいたいということでございます。
 それから、61ページの右下に構想区域と調整区域ということについて記載がございます。今回の新型コロナウイルス感染で問題になったことも明らかになりましたように、もっと広い地域で話し合う、あるいはもっと狭い地域で話し合う会議も必要ですので、構想地域、調整区域についても今の二次医療圏にこだわらないでもう少しいろんな視点で考えることも考えたほうがいいのではないかと思っています。
 以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、加納委員お願いいたします。
○加納委員 ありがとうございます。
 私からは2点、まず49ページ、先ほどから話も出ておりますモデル推進区域という形での提案についてでございます。これは本当にこういった形で今後のモデルをしっかりと決めていただきたいのですが、先ほども出ていましたように全国一律ではなくて、これから高齢者が増える大都会、それから高齢者も人口も減っていく地方での問題、これは考え方が画一では駄目だと思います。決して一律に集約化ではなくて、都会では面で受けるような体制づくり、こういった意味でのモデルケースとしてぜひとも提案をお願いしたいと思っております。
 次に、61ページにあります今後の検討事項の中でありますが、下のほうにあります右の都道府県の権限ということにも関連するかと思うのですが、大阪府では当初より民間病院、公的病院、全ての病院で地域医療構想の議論を進めてまいりました。こんな大阪でも最終的に大阪府医療審議会等で反対していたにもかかわらず、勝手に病床の機能を変更して、新設だと知事の勧告ができないということで、適用される医療法の抜け道を使って堂々と新病院を建ててしまったという事例もございました。
 このようなことが起こると、せっかくの地域医療構想の議論が無意味になりますので、次期地域医療構想ではぜひともこのような事例が起こらないような対応をお願いしたいと思います。調整会議の意見をもっと法律的に裏づけるとか、いろいろな方法があるかと思いますが、こういった議論をぜひともしていただきたいと思っております。
 以上、意見です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、河本委員お願いいたします。
○河本委員 ありがとうございます。けんぽれんの河本でございます。
 御説明いただいた現行の地域医療構想に関する今後2年間の取組、それから新たな地域医療構想の検討について、これはいずれも事務局からお示しされた内容に異論はございません。御提案のとおり進めていただければと考えておりますけれども、何点かコメントをさせていただきたいと思います。
 まず、健保組合の立場から地域医療構想の意義というものを改めて申し上げますと、将来の医療需要に基づいて地域医療の体制が計画的に再構築されるということで、加入者に過不足なく医療が提供できるようになるということが挙げられると思います。
 また、それに加えて被保険者と事業主から預かった保険料が中長期的にどこに支出されるのか、そういうイメージを持つことが可能となるわけでございますので、保険財政の運営においても優れた取組だと認識をしております。
 その点で、現在の地域医療構想については事務局が整理されましたとおり、一定の進捗は認められるということでございますけれども、ただ、必要量等の大きな乖離が残っている区域も相当数ございます。新型コロナの影響があったとは思いますけれども、私どもとしてはかなりの遅れだと受け止めております。
 また、その必要量等の差異の要因分析ができていない区域も相当数ございますし、分析の結果、合理的に説明できない差異がある区域もそれなりに多いということも分かってまいりました。地域によって様々な事情があることは十分に承知をしておりますけれども、2025年の状況が新たな構想の発射台になるというわけでございますので、今後の2年間の取組が大変に重要だと思います。
 今回示された対応案からは国としての強い意思といいますか、それもうかがえますので、着実に取組を進めていただければと考えております。
 一方で、資料の44ページとか45ページを見ますと、現在の地域医療構想では解決が難しい課題も多いように思います。新たな地域医療構想については外来や在宅、看取りや看護との連携等々まで範囲を広げて検討する。これには賛成でございます。
 ただ、射程とする時期について、高齢化がピークとなる2040年頃を見据える。これも当然必要ですけれども、それだけではなくてもう少し前に中間地点というか、マイルストーンを設定して進捗をちゃんと管理するべきだと考えております。
 私からは以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、佐保委員よろしくお願いします。
○佐保委員 ありがとうございます。
 私からは4点、意見と質問を述べさせていただきたいと思います。
 まず意見ですが、地域医療構想の期限は2025年度ですので、都道府県の取組をさらに促進するためには進捗状況を正確に把握する必要があると考えます。都道府県ごとに状況は違い、温度差もあると思いますが、資料を拝見しても、どの地域が進んでいて、どの地域が進んでいないのかが分かりません。各地域、構想区域での議論はもちろん重要ですが、日本全体の医療提供体制をどうするかといった大局的な視点での議論も重要であり、その議論を行うのはどこかと医療部会において以前お聞きした際に、この医療部会であると事務局から回答をいただきました。
 したがって、全体の議論をするに当たって、都道府県ごとの進捗状況の把握は必要不可欠ですから、この場でも都道府県別のデータ、分析を御提示いただきたいと考えております。
 次に、これは質問ですが、18ページの地域医療構想調整会議の構成員の状況を見ますと、一部ではありますが、公立・公的の病院、民間の病院が参画していないという区域がございます。構想の実現に向けて病院の参画は不可欠と認識しておりますので、この理由や背景についてお分かりであれば教えてください。
 次に、新たな地域構想についてです。61ページに「病院のみならず、かかりつけ医機能や在宅医療、医療・介護連携等を含め、地域の医療提供体制全体の地域医療構想として検討予定。」とあります。確認ですが、ここにつきましては無床診療所も含めて考えているという理解でよろしいでしょうか。無床診療所はこれまで入っていませんでしたが、地域全体の医療提供体制を議論する必要性や、在宅医療などとの連携を踏まえれば、検討に入れるべきだと考えております。
 また、62ページの新設する新たな地域医療構想等に関する検討会(仮称)のメンバーを見ますと、患者の意見を代表する委員が少ないように感じます。もっと患者の意見を代表する委員を参画させてはいかがかと考えております。
 私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 御意見と御質問がありました。御質問について回答ができるものについてはお願いしたいと思います。
○大臣官房参事官(救急・周産期・災害医療等、医療提供体制改革担当) 資料の18ページの地域医療構想調整会議の構成員の病院の参加の状況の御質問です。
 公立・公的の医療機関については、ほぼ全て339の調整会議で委員になっていて、残り2つの調整会議で参加をされていませんが、そこについて、2つのうち1つはこの3月から追加をしますというようなことでした。もう一つは、まだ状況を確認中です。
 民間の病院についても304の構想区域で参加をされていて、残り37の調整会議は入っていないのですが、その中の多くは医療団体として民間病院の方も構成員になっていたり、構想区域に民間病院がない区域もございます。
 あとは、調整の結果、ほかの医療関係団体の方が入っているので、民間病院の方は入らなかったというような状況をお聞きしています。
 それから、2040年に向けた検討の中で、無床診療所も含めて考えるのかということです。これは、新しい検討会を設置してまた検討していただくことだと考えていますが、我々事務局としては在宅医療、あるいはかかりつけ医機能、医療介護の連携、医療提供体制を議論いただくという観点においては、無床診療所というのは重要な医療提供体制を担う主体ですので、それも含めて検討したいと考えています。
 以上です。
○遠藤部会長 佐保委員、いかがでしょうか。
○佐保委員 ありがとうございます。
 参画していない区域で、本当に団体とかだけで参画を全くしていないような区域については、参画を促進していただきたいと考えております。
 あと一点、質問ではなかったのですが、都道府県別のデータというのは今後お示しいただけるのでしょうか。
○大臣官房参事官(救急・周産期・災害医療等、医療提供体制改革担当) 都道府県別のデータについて、また構想区域別のデータについて、今回の3月の通知で見える化をしようと考えています。
 ですので、結構膨大な量のデータになるのですが、必要に応じてお伝えというか、提示をして議論いただきたいと考えています。
○遠藤部会長 よろしくお願いいたします。
○佐保委員 ありがとうございます。よろしくお願いします。
○遠藤部会長 それでは、山口委員、お待たせしました。
○山口委員 ありがとうございます。山口でございます。
 まず、2025年に向けての地域医療構想ということで、今回の資料を拝見していますと、そもそもの調整会議の開催状況自体もそうですし、目標設定、対応方針の検討状況、そして分析など、非常に地域にばらつきがあると感じています。好事例を周知されるということですので、ぜひ自分たちがどういうことをすれば前に進むのかということが分かるような、そういった好事例をぜひ周知していただきたいと思っております。
 今、佐保委員からもございましたけれども、都道府県の進捗状況ということで、これは膨大なデータとさっきおっしゃったのですが、ぜひ国民にもそれを少し分かりやすく解説したような形で、私たちの住んでいるところが今どういう状況になっているのか、進んでいるのかどうかというようなことが分かるように、そういったものもできれば準備していただけたらと思っております。
 そもそも、この地域医療構想のガイドラインの中に、策定前から住民参加が必要だということがガイドラインに書き込まれてきたわけですけれども、今どうなっているのか、どう進んでいるのか、各都道府県による住民への周知があまり進んでいないように私は感じていますし、一般の方々が地域医療構想自体に関心を持っていないという現状があると思っています。
 ですので、厚労省としては各都道府県に、2025年に向けて改めて住民が関心を持てるような工夫をした上での各都道府県からの周知というようなことを働きかけてもらいたいということをぜひ声をかけていただきたいというのが1つです。
 もう一つが、61ページの「新たな地域医療構想の主な検討事項」というところの【主な課題】の最後に「生産年齢人口の減少等がある中、医師の働き方改革を進めながら」という文言があります。もちろんそういうことも入っているんだと思いますが、私が今、聞いていますのは、4月から働き方改革が本格的に始まることで救急医療のしわ寄せということを懸念する地域の声をとてもよく耳に致します。
 ですので、進めながらだけではなくて、医師の働き方改革によってどんな変化が起きていて、どんな課題が生じているのか。これも地域差があると思うのですけれども、そういったことも課題の中に入れて、それを考えながら2040年考えていく必要があるのではないかと思いますので、具体的にそういった文言もこの【主な課題】にもし可能であれば入れていただきたいと思います。また、人口減少と書いてありますけれども、それ以上に予想より急速に進んでいる出生数の減少ということを考えますと、「2040年頃」と書いてあるのですが、それ以降の医療の担い手がかなり数としては逼迫するような現状がもう既に予想できると思います。
 ですので、新たな地域医療構想を考えるときにはその先のところの担い手ということも視野に入れて考えていく必要があるのかなと思いましたので、そういったことも盛り込んでいただければと思いました。
 そのことについて、もし何か事務局から御意見があれば聞かせていただきたいと思います。
○遠藤部会長 事務局、いかがでしょうか。
○大臣官房参事官(救急・周産期・災害医療等、医療提供体制改革担当) 医師の働き方改革に伴う地域の医療提供体制の影響も踏まえる検討というような御指摘だったと思います。
 今回の4月からの医師の働き方改革によって、地域の医療救急などに対してどのような影響があるのかどうかというものについては、引き続きフォローしながら地域医療の確保、それから医師の働き方改革の推進をやっていこうと考えています。その状況も踏まえて、新たなその先の地域医療構想の検討も行っていこうと考えています。
○遠藤部会長 山口委員、よろしいですか。
○山口委員 はい。
○遠藤部会長 では、オンラインの皆様、お待たせしました。オンラインに移りたいと思います。
 それでは、都竹委員お願いいたします。
○都竹委員 ありがとうございます。
 この新たな地域医療構想の検討事項(案)については賛同するものでありますけれども、その上で4点申し上げたいと思います。
 まず、御説明もありましたけれども、地域医療構想は元来、病床数の削減が目的ではなくて、地域に合った医療体制を地域自らが決めていくということが目的でなければならないと考えております。そのためには、地域のニーズをきちんと分析して、それに見合った医療体制は何かということを議論していくということがまず本筋であると思うわけです。これは従前より変わっていないはずなのですが、その際、先ほど少し触れられましたけれども、令和元年の公立・公的医療機関の再検証要請が機械的に示されたということがあって、全国的に大きな動揺と反論を引き起こしたわけです。
 私自身も当時その渦中にありまして、大変激しく抗議反発をしたということが思い出されるわけでありますけれども、そのときに厚生労働省の信頼は大変大きく損なわれたと思っております。自治体の中には、いまだに不信感が根強く残っております。改めて、こうした深刻な事態であったということを認識していただいて、二度と同様のことが起こらないように丁寧な進め方をしていただくように強くお願いをしたいと思います。これが1点目です。
 それから、現在、地域医療構想の議論が進んでいる地域と進んでいない地域が明確に分かれているのではないかという印象を持っておりますけれども、進んでいない地域というのは議論のイニシアチブを誰が取っているのかが不明な地域が多いのではないかと思っております。
 それで、一義的には都道府県ということになるのでしょうけれども、私は必ずしも都道府県である必要はないと思っておりまして、各地域の事情が違いますので、都道府県が中心になりながらも各地域の議論は誰がどのような役割をしているのかということを分析した上で、リードするのは誰かということを明確にしていただく調整をしていただきたい。これを、この議論の改めての再開に当たってしっかりとお願いをしたいと思います。これが2点目でございます。
 それから、その際に基礎自治体、市町村の役割を明確にしていただきたいと思います。今日の資料を読んでおりましても、市町村はどちらかというと介護保険の事業主体だという捉え方をされていて、調整会議などでも実施内容の報告をされるという立場になるような記述が出てまいります。
 しかし、市町村は地域医療の当事者でありまして、特に我々のような首長は医師確保の問題もあって、地域の住民から非常に強い地域医療についての問題意識の声を常に受けておりますので、地域医療の確保については各市町村の課題でもあり、首長にとっては政治課題でもあるということであります。
 そうなると、やはり市町村がしっかりとした役割を果たさなければいけないと思いますし、市町村であれば自治体間の連携とか、そうしたことも取りやすいと思いますので、ぜひ市町村の役割というものを明確にしていただきたい。その配慮をお願いしたいというのが3点目でございます。
 そして、今度は具体の議論の中でありますが、特に在宅、介護の連携ということがこの後は強く出てくるのだろうと思うんですけれども、市町村の中でもさらに細かい生活圏で見ていかないとその理想の姿が見えてまいりません。在宅医療を担う医師とか訪問看護、訪問ヘルパーの今後の見通しとか確保も検討が必要です。
 さらに、特に在宅医療に関しましては、やはり在宅医療の専門医を確保していくということが必要ではないかと思っております。当市も人口減少の進んだ過疎地でありますけれども、開業医が減少していくということが目に見えている中で、在宅医療の専門の体制が取れないと在宅のみとりということが難しい状況になってきている。これは今後、都市部が経験していくことになります。
 したがって、在宅専門医を目指す医師に対してどんな人材育成をしていくのか。そうした方法についても、ぜひ検討をよろしくお願いしたい。これが4点目でございます。
 以上、どうかよろしくお願いいたします。
○遠藤部会長 御意見として承りました。ありがとうございました。
 それでは、井伊委員よろしくお願いいたします。
○井伊委員 ありがとうございます。
 私は、新たな地域医療構想の主な検討事項について2点申し上げます。
 まず1点目は、在宅医療についてです。今回の資料の22ページを見ますと、地域医療構想調整会議において在宅医療の議論を行っている割合が半数にとどまっています。会議自体は増えているということですけれども、在宅医療については取り上げられているのかどうか、大変心配な数字だと思います。
 在宅医療は地域医療構想において入院、外来と並ぶ大きな柱の一つで、61ページには新たな地域医療構想の主な検討事項(案)が示されていますけれども、今後、特に患者数の増加が見込まれる訪問看護を含む在宅医療について、全体の構想における将来像を明確にしていく必要があるのではないかと考えます。
 そのためにも、なぜ在宅医療の議論を行っている割合が半数にとどまるのか、そうした理由の把握・分析も必要ではないでしょうか。もし地域医療構想調整会議の中に在宅医療、訪問看護や介護施設入所者への医療の提供、こういったことの議論がうまく進んでいるような事例があれば、そうした事例を収集して共有を図るということも意味があるのではないかと考えます。
 それから、2点目は看護の需給推計についてです。在宅医療・訪問看護の需要量等について議論を行うには看護職員の需給推計が不可欠です。59ページの記載にもありますように、新たな地域医療構想を踏まえて看護職員の需給推計を実施していただきたいと考えます。現在の看護職員の需給推計は2025年までしか行われていません。
 63ページの今後のスケジュールによりますと、新たな地域医療構想に関する検討が2024年末にまとめられ、それからその後、2025年度にはガイドライン、そして2026年度に新たな地域医療構想が策定ということですので、ガイドライン発出に間に合うように看護職員の需給推計に着手、実行できるよう、お進めいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
 私からは以上でございます。ありがとうございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。御意見として受け止めさせていただきます。
 それでは、お待たせしました。神野委員、どうぞ。
○神野委員 神野でございます。
 2025年までの地域医療構想に関しては、ここにもたくさんワーキングの委員の方がいらっしゃいますので、そちらで議論いただければと思います。私のほうからは、新たな地域医療構想について3点意見を述べさせていただきます。
 まず1点目ですけれども、この構想区域の在り方であります。これは各都道府県が決めることだと思いますが、多くは医療圏がイコール構想区域だと思います。まさに人口が数万しかいない医療圏から、大阪のように二百何十万人の医療圏が1つの区域であるということに関してはちょっと異常であると思わざるを得ない。ここはやはりきちんと基準を示して、構想区域はこれだけの人口規模とか、あるいはこれだけの社会面積とか、そういうものを決めるべきではないかと思います。
 ちなみに、私の地域はまさに皆さんから支援をいただいております能登半島地震の被災地でありますけれども、特に能登北部の医療圏というのはもう人口5万ちょっとしかいなくて広大な面積、人口密度は全国平均の6分の1、それから50%を超える高齢化地域であります。そこにコロナがあって、そして今回の災害があって、もう一気に未来がきちゃった。被災が大きかったので全員避難してしまった消滅集落はたくさんあるという地域であります。そういった意味では、本当に限界集落がなくなったような未来ということになると思います。
 そういったところで、この医療圏の構想区域で考えるということは非常に難しいというふうに思います。構想区域を見直して、そして住民の安心のためにかかりつけ医機能を持つような医療機関、そしてハブとなるような医療機関というものをきちんと設定する必要があるのではないかと思うわけであります。そういった過疎地域というのは全国にたくさんありますので、そういったものの在り方というのは2040年を見据えるならば絶対に必要な考え方ではないかと思います。
 それから、2番目は病床の区分という高度急性期、急性期、回復期、慢性期という区分そのものはやはりそろそろ限界なのではないでしょうかということであります。26ページにもありますけれども、ベッド数は構想どおりだけれども、その区分がおかしいというのがこれまで言われてきたわけでありますが、急性期というのは一体何ぞや、それから回復期とは何ぞやということをもう一回見直さないと、非常に無駄な議論というのが増えるだけではないかと思うわけであります。
 そして、それに関係して3点目でありますけれども、これは都竹委員とか井伊委員からも今お話がありましたが、在宅とか介護であります。これから2040年に向かって高齢者がいっぱい増えるわけです。要介護者がいっぱい増えるわけであります。そういった中で病院医療の機能、あるいは診療所機能の医療という議論ではなくて、介護とか在宅との連携が必須でありますので、そういった意味では地域医療構想そのものも地域医療介護構想とするような感じで、ぜひ在宅、介護等を入れ込んで全体でのグランドデザインというものを書く必要があるのではないかと思います。
 私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、島崎委員よろしくお願いいたします。
○島崎委員 意見と質問が1つずつございます。
 まず意見なのですけれども、地域医療構想の区域の設定についてです。先ほど泉委員、あるいはただいま神野委員からも御指摘があった点なのですけれども、私もこの部会で何度か申し上げたとおり、二次医療圏の線引きが実際の人口の動態でありますとか患者の流れと乖離している都道府県あるいは医療圏が少なくありません。
 また、それ以上に申し上げたいことは、医療圏は人口動態、医療資源の分布、交通事情等によって異なるだけではなくて、医療機能によっても異なるということです。例えば、分娩機能を有する産科のエリアは二次医療圏では完結せず、一方、在宅医療であるとか外来、あるいは介護との接合を考えてみますと、一般論で言えば二次医療圏では広過ぎるということになると思います。
 実は、先ほどまで私は長野県立病院機構の理事会に出ていたのですけれども、長野県その木曽二次医療圏の人口は2万5000人くらいしかありませんが、この二次医療圏の面積は東京都の面積の3分の2以上もあります。木曽二次医療圏には病院は1つしかありませんが、こういうところの医療圏の在り方をどういうふうに考えるのかというのは、今後ますます重要な課題になってくると思います。
 61ページの資料を見てみますと、あるいは先ほどの説明を伺いますと、構想区域の在り方も検討事項の案に入っているようですけれども、ぜひ構想区域の捉え方、それからその見直しの議論はしっかり行っていただきたいと思います。
 以上は意見ですけれども、次に質問を1ついたします。
 61ページの資料を見てみますと、病床機能報告の報告基準なども検討事項案に掲げられております。これにつきましては、今回の資料の中には載っておりませんけれども、「特定の機能を有する病棟における病床機能報告の取扱い」というペーパーというか、スライドがありますよね。どんなものかというと、例えば特定集中治療管理料を算定している病棟は、病床機能の報告上、高度急性期機能として報告するといった、こういうものを整理したものであります。
 私がお尋ねしたいことは、これまで地域包括ケア病棟については基本的には回復機能なのかもしれませんけれども、その実態に応じて急性期機能に該当することもあり、あるいは場合によっては慢性期機能として報告することもあり得るという取扱いになっていたと思いますが、今般の診療報酬改定では、地域包括ケア病棟とは別に地域包括医療病棟という類型が新設されたわけであります。
 これに伴って、これまでの地域包括ケア病棟とのひもづけが変わってくるのか、それから、そもそも新設される地域包括医療病棟については急性期として整理されるのか、それとも回復期として整理されるのか、あるいは急性期とか回復期という機能の概念が実態に合っていないので変えるのかといった点も含めて、いろいろな論点があると思います。
 さらに申し上げると、そもそも診療報酬の特定入院料と病床機能報告とを連動させる方向を目指していくのかという本質論もあると思います。この点について、先ほど井上委員は意見にとどめておかれたわけですが、これは重要な点だと思いますので、現時点で事務局としてお答えいただけることがあればぜひお聞かせいただきたいと思います。
 併せて、これについては既設の地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループで検討していくのか、それともその点も含めて将来的な在り方ということで、新たな地域医療構想等に関する検討会で議論されるのかということについても、ぜひお答えいただきたいと思います。
 以上、意見と質問を1つずつ申し上げました。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 それでは、事務局からお答えをお願いいたします。
○大臣官房参事官(救急・周産期・災害医療等、医療提供体制改革担当) 病床機能報告と診療報酬の入院料との関係で、特に今回の診療報酬改定で新設をされた地域包括医療病棟の関係をどう検討するのかという御質問だと思います。
 これまでも、病床機能報告と診療報酬の入院料は1対1、この入院料だったらこの病床機能を報告するというように1対1で決めているものではございません。国のほうで一定の目安、一般的な取扱いの例を示して、それを踏まえて各医療機関で判断して報告をいただいているというのが今の状況です。
 その上で、今回の診療報酬改定で地域包括医療病棟が新設をされています。高齢者の急性期、急性疾患の治療と、早期のリハビリ、栄養管理等を行う入院料としての新設をされています。
 こちらの地域包括医療病棟の病床機能報告における取扱いについては、まずは既存の地域医療構想医師確保ワーキングで現在の地域医療構想、現在の病床機能報告での取扱いを議論いただきたいと考えています。
 また、病床機能報告と診療報酬との関係については、新しい地域医療構想の中でどうするかについては関連性を持たせるのか、持たせないのかも含めて、新しい検討会のほうで御議論いただきたいと考えております。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 島崎委員、いかがでしょうか。
○島崎委員 今の時点ではそういう答えになるかもしれませんが、今日はこれ以上申し上げませんけれども、重要な点でありますので、ぜひしっかり議論していただきたいと思います。また、地域包括医療病棟と地域包括ケア病棟との違いというか、どちらをどういう形でもっと整理するかというのは現場では非常に大きな関心を持たれていると思いますので、しっかり議論をしていただきたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、お待たせしました。城守委員、お願いいたします。
○城守委員 ありがとうございます。
 それでは、61ページからの事務局が提出された新たな地域医療構想の主な検討事項に関して3点ほどお聞きしたいことがございます。
 まず、議論の場についての確認なのですけれども、これまでの地域医療構想に関しての議論はいわゆる地域医療構想と医師の偏在のワーキングで行われていて、62ページを今、見ますと、25年まではこのワーキングにおいて評価、検討を行うとなっています。それで、新しい構想ということに関しては、これに外来の医療体制と、それから在宅の体制を加味した、いわば地域の医療提供体制そのものを議論するという大変大きな議論になろうと思うんですね。
 その議論に関して、新たに立ち上げる新たな地域医療構想に関する検討会において議論されるということになるわけですが、やはり地域医療構想に関してはまたワーキング等をつくられるということ、そして外来、在宅に関してはまた違うワーキングを設置するという認識でいいのかどうかということが1点です。
 2点目は、先ほどの島崎委員の御質問にちょっと似ているのですけれども、これまでの地域医療構想というのは基本的には将来の医療の需要と供給のバランスを取るということで、その指標として医療資源投入量というものを基本として、それに地域の実情を踏まえつつという形で策定をしていくということになっていると思います。
 それで、これからこの新たな地域医療構想ということにおいて、特に入院の医療提供体制に関しては、もちろん従来の考え方、医療資源投入量みたいな考え方をベースにしつつということになるのだろうと思いますけれども、そのほかに例えば地域の実情を踏まえつつということで地域の実情とか、今、島崎委員がおっしゃった診療報酬によってできる新たな病棟区分、これは今回新たな病棟はできていますけれども、今後も新たな病棟がつくられる可能性はあるわけですよね。ですから、その辺りも加味して新たな考え方や指標というものを事務局として持っているのかどうか教えてください。
 これは先ほど少しお答えになられたような雰囲気もありますけれども、やはり診療報酬に合わせて医療機能区分を考えるというのではなくて、医政局が機能をしっかりと考えて、要するにその機能を診療報酬で評価するというのが本来の在り方だろうと思いますので、その辺りに関して医政局としてはどういうふうに考えているのかということをお聞きしたいと思います。
 それから、もう一点は意見ですけれども、先ほど山口委員もおっしゃった61ページの【主な課題】の一番下のところですが、医師の働き方改革はこの4月から始まります。それで、この働き方改革と地域医療構想、そして医師の偏在と、それぞれが関連する非常に難しい取組になるわけですが、この医師の働き方改革による地域医療への影響というものが最初に一番早く出てくるということは確実なわけですね。
 そういうことになりますので、この記載としてその影響も大きくなる可能性もあります。ですから、この医師の働き方改革を進めながらというよりも、記載としては、医師の働き方改革の影響も踏まえた地域で必要な医療提供体制を確保という文言、そして課題としてはかなり上にくるというふうな形の認識でお願いしたい。これは意見になります。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 それでは、事務局、御質問について答えられる範囲でお願いいたします。
○大臣官房参事官(救急・周産期・災害医療等、医療提供体制改革担当) 1点目の御質問が、新検討会で新しい地域医療構想を検討するに当たって、在宅あるいは介護などでワーキンググループをつくるのかということだったと思います。
 まず、新しい地域医療構想の内容、在宅あるいは介護も含めてどう制度の見直しを考えるかという点を新しい検討会のほうで議論をしようと思っています。その後、外来なり在宅を対象に入れた場合に、ではどういうような議論を地域でやっていただくかというのがその先にあると思っています。そして、国でそのガイドラインの検討をする際にはそういう具体的な議論を行うことになって、在宅あるいは外来ですとか、そのような機能ごとのワーキンググループというのも考えられるかなと今の時点では考えています。
 また、地域で新しい地域医療構想の議論をいただくに当たっては、今の入院の議論を行っている二次医療圏を中心とした調整会議だけではなくて、外来あるいは在宅の議論を行う協議の場みたいなものを新しく設けて重層的な議論を行っていただくというようなことも考えられるのではないかというふうに今の時点では思っています。これらについて、新しい検討会の中で議論いただきたいと考えています。
 それから、今の病床の推計、入院の推計、医療資源投入量をベースにそれ以外の要素など、新たなものを持っているのかというような御質問でした。
 こちらについて、基本的には現在の病床の将来推計を行っている手法がございます。それをベースにしながら、これまでの地域医療構想の取組の中で改善したほうがいいような点があれば改善をしていくということを考えています。今時点で何か新たな指標、新たな要素として、事務局のほうでこれがありますというようなものは持っていないということです。
 ただ、病床の推計、あるいは病床機能報告の報告区分の中でよく医療関係の方々から指摘を受けるのは、今の病床機能報告の回復期のところの区分について、定義ですとか名称については様々な御指摘をいただいていますので、そこの内容については新しい検討会で議論いただきたいと考えています。
 取りあえず以上になります。
○遠藤部会長 いかがでしょうか。
○城守委員 今の時点ではそうですよね。
 ただ、この新たな検討会の役割として、従来の地域医療構想の役割プラス外来と在宅の議論の取りまとめ、調整もするということになると、これはかなり大変な検討会になるのではないかと思いますし、その辺りは同じ検討会でしたほうがいいのか、分けたほうがいいのかというのはまた事務局で検討をしていただいてもいいかなと思います。
 以上です。ありがとうございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、松原委員お願いいたします。
○松原委員 必要病床とは目的が違うので直接的には関係ないものの、地域のニーズに応える体制をつくるためにも、基準病床数の捉え方が今のままだと病床利用率が低いところほど必要な病床が多く出てきてしまうので、地域の実情を捉える算式というのも検討したほうがいいのではないかと常々思っておりました。
 もう一つ、神野委員もおっしゃっていたことですけれども、介護も一緒に捉えていく必要があると思います。高齢者を地域で支えていくためには当然介護が必要で、入院患者も平均年齢75歳を超えている時代ですので、介護の需給状況をにらみながら策定する必要があると思っております。
 介護を確保できなければ、在宅医療の話など全く絵に描いた餅になり、在宅にいられない高齢者が病院へ行き、病院も本来の機能を発揮できないということになってしまいます。
 また、介護側も呼ばなくてもいい救急車を呼んでしまうということも起きていますし、医療側もy高齢者の在宅の様子というのはあまり知らない場合もありますので、お互いに勉強、連携していくということが必要だと思います。さらに、連携が必要とよく言われますけれども、介護側から見ますと、どうしても医療側に意見は言いづらいという立場にあるということも、ご理解いただいた上で連携を進めていただきたいと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、荻野委員お待たせいたしました。
○荻野委員 ありがとうございます。日本薬剤師会の荻野でございます。
 私からも、1点意見を述べさせていただきたいと思います。
 これまでも、様々同じような点について御意見が挙がってございましたけれども、61ページ、62ページに示されたことに関連をした意見でございます。
 地域における外来、在宅等を含めた医療提供体制の検討の際に、薬剤師による医薬品の提供に関わる視点が非常に重要になってくると考えております。特に在宅医療のさらなる推進においては、医薬品の提供、薬剤師・薬局との連携という視点は欠かせないことを考えれば、今後必要に応じて議論に参加をさせていただけるようお願いしたいと思っております。
 私からは以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、次に山崎親男委員お願いいたします。
○山崎(親)委員 まず議題1ですけれども、地域医療構想のさらなる推進については一定の進捗が認められており、引き続き取組を推進する必要性は理解しております。
 一方で、2025年に向けました取組に関する通知の発出方法につきましてですけれども、令和元年度の再検証時のような混乱を起こさないように特にお願いしたいと思っております。当時は非常に多くの医療現場、あるいは地域住民に混乱を招きました。その現場でもある町ですので、特によろしくお願いしたいと思います。
 それから、61ページのことなのですけれども、新たな地域医療構想の検討に当たっては、現場の声を丁寧に聞き取っていただきたいと思っております。
 その中で、皆さん言われていたわけですけれども、【主な課題】の上から3つ目の〇の中に「看取り」というところがあります。無医地区におきまして看取りというのは非常に困難な医療の中の一つだと思っておりまして、そういう中で倫理的な課題もあると思うのですけれども、オンライン診療というのはこれから顕著に話が出てくる課題だと思っております。そういうところで非常に重要なことでありますので、議論をさらに深めていただきたいと思っております。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、松田委員お願いいたします。
○松田委員 幾つかあるのですけれども、まずは構想区域の件ですが、構想区域はもともと最初の地域医療構想においても、それぞれの地域の実情に合わせて構想区域はつくっていいということになっていました。そのことを可能にするために、地域間で傷病別にどのような患者移動が起こっているのかというデータをつくって、それを各都道府県にお配りしているんですね。
 でも、実際にはそのお配りしたデータがほとんどの地域で使われなかったという現実があります。実際にそれを使ったところでは、医療圏の分割を行ったりとか、構想区域を医療圏をまたぐような形で再編成したりとか、そういうことをやっています。そうすると、結局これはデータ分析、データをそれぞれの都道府県がどのくらい活用できるかというところにかかってくるんだろうと思います。
 あとはもう一つ、この患者移動の状況を把握する方法として、実際に私は最初の地域医療計画の策定のときの基礎資料の作成というものに学生としてアルバイトで関わったのですけれども、そのときに国勢調査のデータを使っています。国勢調査の通勤圏とか通学圏というデータはかなり患者さんの動くところに相関していますので、実は国勢調査のデータを使ってもいろいろなところができるんですね。私自身も幾つかの委員会に参加していますけれども、そういうデータがほとんど使われていない。ここにやはり一つの大きな問題があるんだろうと思っています。
 ただ、いずれにしても、今あるデータでいろいろなことはできます。
 それから、在宅とか、いろいろな慢性期の問題とかを考えるときに考える軸が必要で、その軸というのは多分、高齢者研究だろうと思っています。各地域でその高齢者研究の対応方法というのは随分違っていて、在宅の支え方というのも違っていて、在宅をやろうとすると、例えば在宅がやれる診療所がたくさんあるところというのは在宅療養支援病院をどういうふうにつくって整備していくかということが課題になるし、外来の診療所が少なくなってきているというところというのは現実問題として介護施設が仕事をしてうまく使いながらやっている、あるいは療養病床、有床診療所などが何とかやっている。
 こういう事例は、実はSCRという指標を国、内閣府が出していまして、NDBをベースにしてつくったものですけれども、それをやっていくとそれぞれの地域がどういう形で在宅を支えているか、大体分かります。それをもうちょっと正確にしようとすると、今ナショナルデータベースでつくっているSCRを介護のデータベースを使って介護版もつくっていただくということが必要になります。
 その2つがあると、大体それぞれの地域で慢性期のケアをどういうふうにやっているかという状態が分かります。
 多分、それぞれの条件を合わせて慢性期をどういうふうに支えて、その中で高齢者救急をどういうふうに見ていくのかという具体的に議論をされるのが、地域医療構想とか地域医療計画をより実態に合ってつくっていくためには重要なのかなと思います。
 それから、定義の問題はすごく大事で、今日も御批判があった420病院ですけれども、あれは結局、厚労省が考えている急性期、高度急性期という定義に合わない病院において、急性期というふうに御自分のところを出してきたところが、機能の見直しをしてくださいということを多分、厚労省はおっしゃったんだと思います。
 実際にNDBのデータとかで分析をしてみると、やはりやっている医療の内容に関して回復期というふうに申請しているところと、急性期というふうに申請しているところは実はそんなに差がないのが現状です。
 ただし、これは回復期という言葉の定義を明確にしなかったことによる混乱だと思うので、実際に420病院挙げられたところが、では全く医療をやっていないのかというとそういうことではなくて、そういう病院を実際に私たちは分析しましたけれども、分析してみると何が分かるかというと、そういう病院というのは高齢者の内科的な入院を中心にやっているんです。しかも、それを複数の非常に少ないドクターで、少ない人員でやっている病院です。そういうところで必要なのは、恐らく病院総合医なんだろうと思います。
 要するに、その機能に応じてどういう医療が必要なのかということをもう少し丁寧に見ていかないと、言葉の定義の問題で無用な混乱を生じてしまいますので、そこはきちんと議論していただくことが大事なのかなと思います。
 あともう一つ、データを使わせていただいている立場から言うと、やはりデータが出てくるのがちょっと遅過ぎると思います。タイムラグがすごく大きいんですね。今のデータを分析しようとすると、どうしても2020年とか2021年とかのデータになってしまうのですけれども、さすがに3年前、4年前のデータでこれからのことを考えるというのはちょっと無理があるので、ナショナルデータベースの全体を使う必要はないと思います。
 四半期のところのどこか1か所でもいいと思うんですけれども、人口構造の変化というのは確実な未来ですので、そうすると少しどこかサンプル調査で部分的に使うということでもいいと思うんですけれども、迅速な活用を可能にするようなデータの準備の体制というのをつくることが重要ではないかと思います。
 以上、意見です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、お待たせしました。小熊委員、お願いいたします。
○小熊委員 ありがとうございます。
 ただいま松田委員がおっしゃったように、今使っているデータというのは2013年のデータを2015年にまとめて使っているんですね。それでは、やはりちょっとまずいだろうというのが私の強い思いです。
 日本全国で、地域で医療の実態が物すごく変わってきていますし、これからも皆さんがおっしゃったように様々な要件で地域医療の在り方というのは変わると思うんですけれども、そのデータをぜひ松田先生のつくられたデータをそのまま市町村に使えと言っても使えるかどうか、それも含めての問題ですけれども、データをいかに正しく使って今後に臨むかということを真剣に考えなければいけないのだろうと私は思っています。そのためには、新たにこれから厚労省がやろうとしている方針に沿ったデータの作成が必要なのではないかという思いです。
 また、先ほどから出ておりますように二次医療圏をどう見直すかとか、今は病棟ごとに報告していますけれども、それはやめて急性期の定義をばしっと定めて、あるいは回復期の定義をきちんと定めて、それに基づいた医療がこの地域でどれだけ将来必要かということを出さなければいけないのではないかと思います。そういうデータを用いることができるような状況を何とかつくらなければいけないと思っております。
 それからもう一つは、今の地域医療構想で意見が進まないのは、はっきり言いますと、都道府県や市町村がイニシアチブを取らないからです。個人個人の病院に自分の進路を任せてしまって、地域全体の医療の在り方にまでそういう病院というのは目が行き届かないというか、考えが及んでいないんですね。そういう人たちに将来の姿を求めても、適切な答えが返ってくるわけはと私は思っています。
 ですから、例えば重点医療機関を決めたときのように、都道府県なり市町村がここは非常に大事なんだ、こういうふうにやるんだ、自分たちはこう思っていますという提案を皆さんに理解していただくようにお示ししなければいけないのではないかと私自身は思っています。
 全ての委員が言われたことはもっともなことでございますけれども、私が考える基本的な解決策というのはこの2つではないかと思っております。
 随分乱暴な言い方をして申し訳ありませんが、お話をさせていただきました。ありがとうございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 一通り御意見は承ったと思います。大分時間も押しておりますので、議題1につきましてはこれぐらいにさせていただければと思います。本日は大変貴重な御意見が多方面から出ましたので、事務局におかれましては本日いただいた御意見も踏まえまして、2025年に向けたさらなる取組を進めるとともに、新たな地域医療構想に関する検討を行って、検討状況につきましては適宜この本部会に報告をするようにお願いしたいと思いますのでよろしくお願いします。
 それでは、議題2「新型インフルエンザ等対策政府行動計画改定の検討状況(医療部分)について(報告)」を議題といたします。
 事務局から説明をお願いします。
○大臣官房参事官(救急・周産期・災害医療等、医療提供体制改革担当) 医療提供体制改革担当の参事官です。
 資料2を用いまして、「新型インフルエンザ等対策政府行動計画改定の検討状況(医療部分)について」の御報告をいたします。
 資料をめくっていただいて、3ページです。
 昨年12月の感染症部会の資料になります。新型インフル等の政府行動計画のまず、位置づけです。この政府行動計画につきましては、新型インフル等対策特別措置法の規定に基づいたものです。平時の準備、感染症発生時の対応の内容を示すものになります。
 今の検討状況ですが、真ん中の四角に書いてございます。昨年9月に内閣感染症危機管理統括庁が発足をしており、こちらの危機管理統括庁のほうで政府行動計画の改定に着手をしています。
 この危機管理庁のほうに、「新型インフルエンザ等対策推進会議」を設置しまして、そちらで具体的な検討をされています。昨年の12月にその推進会議で改定に向けた意見というものも取りまとめられています。
 一番下の「今後の進め方」です。年明けと書いていますが、令和6年の推進会議で対策項目13項目について順次議論をしていくこととなっています。その対策項目の1つに、⑧で「医療」が位置づけられています。本日は、この「医療」部分について御意見をいただきたいということです。
 厚生労働省においても、感染症部会などの中に医療部会も入っていて議論をして、その結果を統括庁、あるいは推進会議に報告することで具体的な内容を反映させていくこととしています。令和6年の夏頃に行動計画、それからガイドラインの改定を予定しています。
 次の4ページは、昨年12月の推進会議でまとめられた改定に向けた意見の概要になります。
 5ページで、推進会議のほうで新型コロナの対応を振り返って、3つの主な課題を整理されています。
 (1)が「平時の備えの不足」、検査体制、あるいは医療提供体制の立ち上げ、それから都道府県と国、あるいは都道府県と市町村などとの連携の課題。
 それから、「変化する状況への対応の課題」として、対策の切替えのタイミング。
 それから、(3)で「情報発信の課題」というものが主な課題として挙げられています。
 それを踏まえて、3つの目標も改定に向けた意見の中で整理をされています。
 平時からの体制づくりで、平時からの備え、迅速な初動、それから訓練、研修、そして右側にいってDXの推進、人材育成ということが目標として定められています。
 そのほか、(2)で国民生活・社会経済活動への影響ですとか基本的人権というものが定められています。
 7ページに、その対策の項目ごとの方向性が意見の中に書かれています。それで、⑧の「医療」については、感染症法が改正をされて医療計画、それから予防計画の策定の指針というものも示していまして、都道府県で今その策定作業、あるいは協定締結の協議をやっているというところです。それで、その予防計画、あるいは医療計画に基づいて平時から医療提供体制を確保すること、それから訓練や連携強化というものを平時からやっていくということが指摘をされています。
 9ページからが、今年、令和6年3月14日の感染症部会の資料になります。行動計画の厚生労働省関係の各論部分の検討案、検討状況になります。
 10ページで、政府行動計画の各論が13項目ございます。そのうち、厚生労働省関係が9項目あって、「医療」が⑧番になります。本日の医療部会では、この⑧の「医療」について御意見をいただきたいと考えています。
 下のほうの「フェーズごとの計画」として、政府行動計画の中では3つの段階、フェーズに分けて記載することとされています。準備期が感染症が発生する前段階の平時の対応、初動期が感染症の発生初期、具体的には政府対策本部が設置されるまでの対応、そして対応期が感染症の蔓延以降、収束するまでの対応を定めるということとされています。
 「医療」については、25ページになります。
 25ページで「記載の考え方、ポイント」ですが、「医療」については改正感染症法の内容などを踏まえた記載を行いたいと考えています。
 令和4年の感染症法改正によって、平時に都道府県と医療機関で協定を締結して、有事には協定に基づいて都道府県からの要請に応じて病床確保、発熱外来、自宅療養者などへの医療提供、後方支援、医療人材の派遣を行う仕組みなどが創設をされていますので、その内容を政府行動計画に反映をさせたいと考えています。
 準備期には今の協定の締結、それから研修・訓練を通じた人材の育成、具体的には医療法の改正で災害感染症医療業務従事者、DMAT、あるいはDPAT、災害支援ナースの育成の規定をされていますので、その内容ですとか、あとは新型コロナの対応でECMO、あるいは人工呼吸器などを扱う医療人材の研修の重要性というものがありますので、それらを記載していきたいと考えています。
 それからDXの推進、これもコロナのときにつくりましたG-MISの改善をやっていくということ、都道府県連携協議会などの関係者の連携、こちらも感染症法改正でこの協議会を規定されています都道府県、保健所、市町村、医療機関、それから高齢者施設、あるいは消防機関などの連携体制の確保ということです。
 初動期は、感染症が発生した可能性がある時点から政府対策本部決定までの対応です。まずは新型インフル等に関する知見、情報の共有、海外の情報、あるいは感染症指定医療機関で先行して対応した際の臨床情報などを共有するということ、感染症指定医療機関の患者受入れ体制の確保、相談センターの整備などを記載していきたいと考えています。
 対応期については、感染状況に応じて行う対応です。流行初期には、感染症指定医療機関に加えて流行初期医療確保措置の対象となる協定締結医療機関による対応、流行初期以降にはそのほかの協定締結医療機関も順次対応をしていくということを記載していきたいと考えています。
 そのほか、感染状況に応じて対応する協定締結医療機関を増減させることでしたり、入退院の基準を変更したり、宿泊療養、自宅療養を実施するというようなこと、それから体制を超えている準備をした医療提供体制を超えた感染拡大のおそれがある場合には、広域的な人材の派遣、臨時の医療施設、あるいは重症度、緊急度に応じた医療提供ですとか、あとは蔓延防止措置の検討などを行っていくということを記載していきたいと考えています。
 資料の説明は以上になります。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明に関して御意見、御質問をお願いします。
 泉委員、どうぞ。
○泉委員 泉です。
 時間がありませんので、⑧についてコメントさせていただきます。
 今、厚労省から説明がありましたように、やはりこういう非常に重篤な感染症については人材の育成が重要で、平時から訓練をするということは極めて重要ですので、この訓練に対する支援というのをぜひお願いしたいということでございます。
 ここで書かれている初動期のところで、感染症指定医療機関の患者の受入れというふうに書いてございます。今回の新型コロナで経験したことは、感染症指定医療機関というのは隔離が目的でつくられていますので、主な病床からちょっと離れたところで隔離をするという病院が非常に多かったので、コロナのような重症の患者さんは隔離をしなければならないという非常に特殊な感染症に対して必ずしも設備、施設が適切でなかったということは非常に大きな反省点でございます。
 したがって、設備とか施設を整備し直すんだという御意向があるのかどうか、あるいは感染症指定医療機関というものに対して要件の見直しをするのかどうか、この辺についてお伺いしたいと思います。
 それからもう一つが対応期についてですが、流行初期医療確保措置について記載がございます。この中で収入の補填だけが書かれているのですが、当然ここだけではないわけでございまして、やはり感染力に応じて非常に強い病原体である場合には職員の安全を守らなければいけないとか、様々なことが出てまいります。
 したがいまして、人材確保とか、安全体制の確保であるとか、こういったことも極めて重要ですので、単にお金を出せばいいみたいな書き方ではなくて、もう少し医療従事者のことをきちんと思いやった書き方をしていただければと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 御要望ではありましたけれども、一応質問もありましたのでお願いいたします。
○大臣官房参事官(救急・周産期・災害医療等、医療提供体制改革担当) 感染症指定医療機関の施設要件、あるいは施設設備の見直しですが、感染症指定医療機関は健康局のほうが実は担当していまして、その見直しの検討状況は承知をしていません。
 それで、医政局のほうで協定締結医療機関に関して、その施設、あるいは設備に関しては体制強化するに当たっての補助金を令和5年度補正予算で計上しておりますので、それらも活用しながら体制の見直しを各医療機関にやっていただきたいと考えています。
○泉委員 今回の新型コロナで問題となりました感染症指定医療機関では今まで隔離という話しかなかったのですが、そこが大きななかなかコロナが克服できなかった課題にもなっておりますので、ぜひ譲り合いをなさらないで厚労省の中でしっかり今回の反省を踏まえて改定できる点をお願いしたいと思っております。
 以上です。
○遠藤部会長 御意見として承りました。関連部局に御意見を伝えていただければと思います。
 それでは、オンラインで角田委員お願いいたします。
○角田委員 遠藤部会長、ありがとうございます。日本医師会の角田でございます。
 2つ申し上げたいことがございます。
 1つは、今回これが新型コロナウイルス感染症を念頭にした対策で、これは当然だと思いますが、そのときに幾つか指摘されている課題を見ますと、過去の2009年の新型インフルエンザとか、その後SARS、MERSの後に検証されて提言されていることがしっかり実行されなかったということがございます。今回の新型コロナウイルス感染症の検証はある程度早急に行われたわけており、決して十分だとは言えないと思います。ですから、ぜひそのときの検証をしっかりとして、その上でさらに具体的に生かしていただきたいと思います。
 もう一点は、やはり平時からの準備は極めて重要でございますが、平時から医療機関はかなり逼迫しているような状況でございます。そこでできる範囲のことをお示しになるということは非常に意義があると思いますが、やはり今回の新型インフルエンザを考えても特に入院等のサージキャパシティーをしっかり確保する必要があると思います。これは先ほど泉委員からも御指摘がございましたが、そのためにも十分に検討していただきたいと思います。
 私からは以上でございます。
○遠藤部会長 御意見として承りました。
 では、加納委員どうぞ。
○加納委員 ありがとうございます。私からは、要望を1点お願いしたいと思います。
 今の両委員の先生方の御意見どおりで、やはりいろいろな意味で入院治療とか、そういった形の準備をしていかなければいけない、ということだと思うのです。以前から私は何回かこの医療部会でもお願いしているのですけれども、健康局マターだとは思うのですが、このもともとの議論をするいわゆる感染症部会のほうには病院団体としてぜひとも参入をお願いしたいと思います。細かく入院治療とか、そういったもの、または平時の準備から、そういった現実的な現場の意見というものを拾ってもらうためには、病院団体から委員の参加をぜひともお願いしたいと思います。
 民間病院もコロナでは最後は6割は入院治療を担っていたわけですし、やはりそういった意見をはっきり伝える場所というものを、ぜひとも我々病院団体にも与えていただきたいかと思っておりますので、よろしくお願いします。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 ほかに御意見はございますか。
 河本委員、どうぞ。
○河本委員 ありがとうございます。
 感染症が発生した場合の対応については、改正感染症法に基づいて体制整備をすると、資料の22ページのとおりということについて異論はございませんけれども、平時の医療に戻していくということも重要なポイントかと思っております。
 新型コロナの場合は、感染症法の位置づけが5類になってから、医療が通常の体制に移行するまでに約1年かかっております。必ずしも政府の行動計画にその正常化のフェーズを加えろということではございませんけれども、平時に戻るタイミングとか、あるいは条件を何らか想定しておいたほうが対応しやすいのではないかということを指摘させていただきたいと思います。
 以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 かにいかがでしょうか。
 それでは、佐保委員どうぞ。
○佐保委員 ありがとうございます。
 以前も発言したとは思うのですが、流行初期医療確保措置の対象となる協定締結医療機関がまず最初に医療を提供するということになりますので、対応するための準備が必要になると思います。そのための支援や、その準備状況がどうなっているのかといった把握も必要かと思いますので、よろしくお願いします。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 ほかにございますか。よろしゅうございますか。
 ありがとうございました。本改定は基本的には新型インフルエンザ等対策推進会議で議論されるということでございますので、これについての御意見はこれを統括しております内閣感染症危機管理統括庁と連携して御対応いただければと思います。また、健康局との調整等々の御要望もありましたので、関連部局にその旨をお伝えいただければと思いますのでよろしくお願いいたします。
 本日の議題は以上でございますけれども、事務局から何かありますか。
○医療政策企画官 ありがとうございました。
 本日いただいた御意見を踏まえて、引き続き検討してまいりたいと思います。
 また、次回の医療部会についても決まりましたら御連絡をいたします。
 以上です。
○遠藤部会長 それでは、本日の会議はこれまでにしたいと思います。
 本日は、大変お忙しい中、活発な御意見をいただきましてどうもありがとうございました。