第99回社会保障審議会医療部会 議事録

日時

令和5年6月2日(金)13:00~15:00

場所

AP新橋 3階Aルーム

議題

1. 遠隔医療の更なる活用について(報告)
2. 令和4年度人生の最終段階における医療・ケアに関する意識調査の結果について(報告)
3. 第 8 次医療計画(6事業目(新興感染症対応))について(報告)

議事

議事内容
○医療政策企画官 ただいまから、第99回「社会保障審議会医療部会」を開催させていただきます。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席くださいまして、誠にありがとうございます。
 本日は、前回に引き続きまして、委員の先生方におかれましては、あらかじめオンラインまたは現地での御出席ということで選択いただいた上で御出席を賜っております。
 次に、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
 本日は、相澤委員、木戸委員より御欠席との御連絡をいただいております。
 医療部会の定足数は8名でございます。本日、22名の委員の皆様が御出席となりますので、定足数に達していることを御報告申し上げます。
 また、内堀委員より5分ほど遅れての出席、さらに途中退席されるとの御連絡をいただいているところでございます。
 次に、議事に入ります前に、資料の確認をさせていただきます。
 事前に議事次第、委員名簿、座席表のほか、資料1-1、1-2、2及び3、参考資料を送付させていただいておりますので、お手元に御準備いただければと思います。
 では、カメラの方はここまででお願いいたします。
 以降の進行につきましては、遠藤部会長にお願いさせていただきます。
○遠藤部会長 遠藤でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、早速議事に移りたいと思います。
 それでは、議題の1番、「遠隔医療の更なる活用について」でございます。
 こちらにつきましては、前回第98回の部会において意見聴取を行い、その後、事務局から意見照会をさせていただいた「オンライン診療その他の遠隔医療の推進に向けた基本方針(案)」及び第94回において御議論をいただいた「身近な場所におけるオンライン診療」の2つについてまとめて御説明をいただいて、その後御議論いただきたいと思います。
 では、事務局から関連資料の説明をお願いいたします。
○医療政策企画官 ありがとうございます。
 では、まず資料1-1を御覧いただければと思います。
 タイトル「オンライン診療その他の遠隔医療の推進に向けた基本方針」でございます。
 今、遠藤先生から御説明があったように、私どものほうから皆様方に対しまして、前回の医療部会で参考資料として出させていただいておりましたこの基本方針につきまして、文言を皆様にチェックいただいたところでございます。
 修正点を中心に御説明させていただきたいと思います。
 4ページ目でございますが、注釈のところでございます。それぞれ局長通知等出典がございますが、それのURLを付すようにという御依頼をいただきましたので、検索しやすいようにということでURLを記載させていただいていたところでございます。
 5ページ目でございますが、「3.本方針が扱う範囲」とあります。もともと2行目の「本方針は」というところから始まっていたのですけれども、本方針の扱う遠隔医療というのはどういうものなのかということを明示するために、「遠隔医療とは、支援・指導等を含む、情報通信機器を活用した健康増進、医療に関する行為であるが」という文章を追加したところでございます。
 8ページ目でございます。「(4)D To P with その他医療従事者」とありますが、ここの【特徴】のところの2つ目のポツでございます。医師の処方箋に基づく薬剤師による調剤・服薬指導や、理学療法士による医師の指示に基づくリハビリテーション等を実施することが可能であるということで、もともとは服薬指導とリハビリテーションといった言葉のみを使っていたところなのですけれども、具体的にせっかく医療従事者との関係を記載する部分でしたので、代表的な専門職を記載したところでございます。
 9ページ目は注釈の変更でございます。
 
 10ページ目でございます。「(3)オンライン診療等に関する患者の理解促進について」というところでございますが、それの2段落目、「その際」ということで、患者の理解を得る上で以下のような課題があると考えられるという項の1つ目のポツでございますが、説明事項の十分性ということで、括弧書きでオンライン診療指針で求められている急病急変時の対応方針や症状の増悪があった場合の対面診療の受診先等の説明ができているか等を追記させていただいたとところでございます。
 次が12ページ目でございます。少し細かい修正でございますが、12ページ目一番下のところ、【国の取組み】とあります。国の取組の中の①事例集、②手引き書とあって、その具体的な中身の括弧のところでございますが、ここにオンライン診療等の利用手順の後に処方箋という文言を追加させていただいてございます。
 14ページ目、15ページ目は注釈の変更ということでございます。
 16ページ目でございますが、「6.取組みの方向性」というところの【国の取組み】の3つ目のポツでございます。こちらに遠隔医療に関する課題の整理、エビデンスの収集や構築を行うと書かせていただきましたが、そこの括弧で具体的な内容の例示をさせていただいております。先進技術の導入、遠隔医療の質の担保と記載させていただいたところだったのですけれども、遠隔医療の質の担保の中の具体的な中身の一つのコンテンツといたしまして、役割分担や連携の在り方を含むというものを追記させていただいたところでございます。
 16ページ目、注釈のところはURLを追加しているところでございます。
 最後、19ページ目でございますが、こちらもURLの追加ということでございます。
 少し駆け足ではございますが、まず資料1-1の御説明は以上でございます。
 次に、資料1-2を御覧いただければと思います。
 「へき地等において特例的に医師が常駐しないオンライン診療のための診療所の開設について」ということで、先般、総務課長通知のほうを出させていただいたところでございます。
 94回、昨年の12月に医療部会で御議論いただいたテーマでございますが、規制改革会議のほうから、端的に申し上げると公民館ですとかデイサービスセンターとか、場合によっては郵便局などでオンラインのための診療所の開設を認めるようにするべきではないかといった指摘をいただいているというところが背景にはありますけれども、その辺りにつきまして整理をさせていただいた上で、各都道府県等に周知をしているという状況でございます。
 具体的には「記」とあるところの1ポツ目のところでございますけれども、そちらの4行目でございます。まずこの課長通知は、僻地等においてのみ行うことが一つのポイントになってございますが、僻地等において特例的に医師が常駐しないオンライン診療のための診療所の開設を認めることとするということでございます。
 留保条件を幾つかつけてございまして、まずは、当該診療所の管理者は診療所のスタッフと診療所の開設時間において常時連絡を取れる体制を確保するということを要件とさせていただいてございます。
 2ページ目でございますが、「また、この場合において」という辺りなのですけれども、オンライン診療指針で求められている体制というものがしっかりと遵守できているかどうかということについて、開設を許可する主体である都道府県知事等がしっかり実地調査も通じながら確認していただきたいということ。さらに、医療機関としましては、チェックシートをしっかりと記載していただくということに加えまして、急変時に対応していただく対面で診療が可能な医療機関と、あらかじめ急変した場合には対応いただくということについて事前に合意を得ておくこと、その医療機関名を都道府県知事に報告することということにしてございます。それに加えまして、地域医療に与える影響というものも非常に重要になってきますので、そういったものにつきまして、地域の医師会等、医療関係者と連携して把握するということ。こうしたことにつきまして、おおむね1年ごとにアップデートしていただきたいということでございます。
 3ページ目でございますが、こちらは巡回診療の関係なのですけれども、こちらもまず2ポツ目のところですが、「へき地等において」ということで、定期的に反復継続して行われることのない場合または一定の地点において継続して行われることのない場合に限定しておりますが、こういった場合におきましては、新たに診療所の開設の手続を要さないということでございます。
 留保条件につきましては、先ほどのいわゆる医師が常駐しない診療所の開設のところで御説明した内容とほぼ同様のものを記載させていただいているところでございます。
 関連いたしまして、お手元の資料の参考1を御覧いただきたいと思います。
 昨日、規制改革会議のほうから「規制改革推進に関する答申」というものが出されております。ここの答申の中では、実施事項といたしまして、「今般へき地において公民館等にオンライン診療のための医師非常駐の診療所の開設を可能としたことを踏まえ」ということで、僻地に限らず全ての地域においてこうした診療所の開設を可能とするように検討すべきであるという御指摘があるところでございます。
 少し駆け足でございますが、私からの御説明は以上でございます。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいま事務局から説明のありました内容につきまして御意見、御質問等をいただければと思います。いかがでございましょうか。
 では、内堀委員、お願いいたします。
○内堀委員 遠藤部会長、ありがとうございます。
 今回、特例的に僻地等において医師が常駐しないオンライン診療のための診療所の開設が認められることとなりました。特に対象地域についても、無医地区、準無医地区だけでなく、医師が常駐しないオンライン診療のための診療所を開設する必要があると都道府県知事が認めた地区にまで拡大をしていただくことで、それぞれの地域の実情に応じた柔軟な取扱いが可能となりました。週1回程度と診療日数が少ない場合には、巡回診療の取扱いに準じて診療所開設の手続は要しないなど、要件も緩和されています。これらについて、地方側の要望をきめ細かく受け止めていただいたものと考えております。ありがとうございます。
 過疎・中山間地域では通院に多くの時間と労力を要している方々がおられます。そうした方々の負担軽減と受診機会の確保につながると期待しています。なお、オンライン診療等を導入するに当たっては、関係者の皆さんの理解を深めることが必要です。国において作成を進めていただいている事例集や手引き書等について、できるだけ早くお示しをしていただければと思います。都道府県としても、地域住民の皆さんへの周知・理解促進など、必要な取組を進めてまいります。
 私からは以上です。ありがとうございます。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、野村委員、お願いいたします。
○野村委員 野村と申します。よろしくお願いします。
 今回の遠隔医療の活用や僻地等において特例的に医師が常駐しないオンライン診療ということで、本当に活用は幅広くて、従来の過疎地域や医療を受けることが困難な方のみではなくて、都市部や医療が潤っている地域で生活している方にとっても医療を受ける選択が広くなるというものであるかと思っています。
 資料の中にもたくさんの課題が示されております。本当にどれも起こり得るものが想定されているなと私も思います。今後、ここからさらなる活用に向けてより具体的に進んでいくものと思いますが、やはりどれだけ対策をしていても、導入する中で少なからずの不具合や予想しなかった事象も起こるかと思います。医療を扱う者として、やはり国民の命に直結するものであり、安全だけはきちんと保持できるようお願いしたいです。
 そして、前回の医療部会でも質問させていただき、今後、このオンライン診療等をさらに推進していくということで、1点だけお願いしたいです。こうした導入時期にシステムが不具合になったりすることがテレビ等でたくさん報道されることで、やはり私たち国民の意識がこの活用に抵抗感だけ残ってしまうような感じにならないのがいいのかなと思います。連日、マイナンバーカードの保険証の件でも、やはりたくさんテレビで目にします。こうした中で、患者さん側からもこれは使わないほうがいいのではないのかとか危ないのではないかというのを病院でも聞くことがあります。せっかくのこのようないいオンライン診療や遠隔医療が本当に必要な方に届くように、安心して国民が活用できるような報道の仕方もぜひお願いしたいと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。重要な御指摘もいただいたと思います。
 事務局、何かありますか。最後の要するにつつがなく進ませるようにという御要望ですけれども、何かコメントがあればお願いします。
○医療政策企画官 まさに御指摘のとおりだと思いますので、そのように留意して進めさせていただきたいと思います。
○遠藤部会長 よろしくお願いいたします。
 それでは、井上委員、それからフロアの神野委員の順番でお願いいたします。
○井上委員 ありがとうございます。井上でございます。
 今回のこのオンライン診療、また、遠隔診療は、やはり患者負担の軽減あるいは利便性の向上に資するとともに、対面診療と適切に組み合わせることで、限られた医療資源の有効、柔軟な活用にも非常に大きな意義があると思います。今回の基本方針に賛同いたします。
 この基本方針で示されたとおり、国及び都道府県、市町村におきましては、医療機関、国民、患者向けの正しい情報提供、周知、広報、また、好事例の共有なども進めていただきたいと思います。
 また、この分野の技術は日進月歩でございますので、今後も必要な見直しができるように、各形態での現状の把握や、エビデンスの着実な蓄積をお願いしたいと思います。
 私からは以上でございます。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。また、非常に重要な御指摘もいただいたと思います。
 それでは、神野委員、お願いいたします。
○神野委員 会場のほうからお話しします。
 2点ございます。
 1点目はささいなことなのですけれども、1-2に関しましては通知として出ている資料なので、今さらの話でありますけれども、先ほど御説明のときに、2ページ真ん中辺りの急変時の対応に関して、まさに「事前に」合意したとおっしゃいました。もしこれからこの通知をまたいろいろ広めるときに、単に合意した医療機関というよりも「事前に」ということを強調していただきたいなと強く思います。
 それから、もう一点は1の基本方針に絡む話であります。前回もこの会議で申し上げましたけれども、また、井上委員も今、日進月歩の技術という話をされましたけれども、やはりこれはどんどん技術が進歩しておりますので、いろいろな可能性というのは否定すべきではない。それは働働き方もオンラインを使って変わるということも含めて、いろいろな可能性を否定すべきではないと思います。
 その中で、資料の1-1の5ページ目、「3.本方針が扱う範囲」はとても重要だと思うのですけれども、今回追加された「遠隔医療とは」という中に情報通信機器を活用した健康増進という言葉が入っております。これに関して私は違和感をちょっと覚えてしまう。特に健康増進ということになりますと、私たちが考える医療行為を離れて、健康増進アプリとか万歩計アプリとか、栄養アプリとか、体操アプリとか、いろいろなものが健康増進の分野であるわけであります。それをこの遠隔医療の一つとして本指針でキャップをかけるということに対しては、私はいかがなものかなと思います。その辺のところ、厚生労働省の見解というのを伺えればと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 では、事務局、最初に事前というものを強調してほしいという御依頼だと思います。それについてもコメントがあればお願いしたいと思います。あとは質問でありますので、よろしくお願いします。
○医療政策企画官 では、まず先に私のほうから事前にということで御説明させていただきたいと思いますが、まさにこの文言にもそのように書かせていただいておりますし、、こちらは非常に文章が分かりづらい部分もあると思いますので、今後、各自治体、医療機関の皆さんが使いやすいようにQ&Aなども作っていきたいと思っておりますので、その際には改めてご指摘の点も分かりやすくなるよう工夫していきたいと思います。
○遠藤部会長 では、健康増進についてよろしくお願いします。
○保健医療技術調整官 保健医療技術調整官の矢野でございます。
 遠隔医療の定義につきましては、厚労省でいくとオンライン診療指針のほうの定義ですね。5ページ目の下の用語の説明の中にはもともと記載がございましたが、こちらの定義をそのまま本文の3のほうに持ってきたという形の修正でございます。その元をたどっていくと、この遠隔医療の定義というのは遠隔医療学会のほうが提案していたところになるのだと思います。その遠隔医療の定義というところは、今、一旦こういった形でコンセントがある形で進んできたところということだと思いますが、また新しい技術が出てくるということだと思いますので、また継続的な議論が必要になるのかなと思います。
 以上です。
○神野委員 健康増進も遠隔医療の対象とするということでよろしいのですね。
○遠藤部会長 事務局、どうぞ。
○保健医療技術調整官 事務局でございます。
 こういった文言でこれまで遠隔医療の定義はなされてきているというところでございます。
○遠藤部会長 神野委員、どうぞ。
○神野委員 先ほど申し上げましたように、健康増進はもうちょっと広く、本当に私たちのヘルスプロモーションですので、一般の方々が、それから、いろいろな企業あるいはいろいろな団体、組織が入って健康増進を進めるもので、遠隔医療ということに関してはやはり私は違和感を覚えるということでございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。御意見として承りました。また、議事録にはもちろん残るということで、そのように記録させていただきたいと思います。
 それでは、これまたフロアですけれども、山口委員、お願いいたします。
○山口委員 ありがとうございます。山口でございます。
 前回の医療部会は欠席いたしましたので、資料1-1について具体的な意見をお伝えしたいと思います。
 まず、4ページの「1 背景」の下から5行目、4行目あたりに「不適切な利用実態もあることが指摘されており」とさらっと書かれているのですけれども、オンライン診療がなかなか進まないと言われている中で、オンライン診療の初診解禁とともに急速に活用しているのが美容医療で、ホームページ、あるいは私、地下鉄の中の広告などでもビデオを見たことがあるのですけれども、やはりこういったところは、今までもいろいろ対応されていると思いますけれども、かなり不適切な使用の仕方ということがかいま見られると思いますので、ぜひその辺りも今後もチェックしていただいて対策を取っていただきたいということが一つです。
 もう一つ、12ページに④オンライン診療の限界などの正確な情報の提供というのがございまして、ここに「対面診療に比べて得られる患者の心身の状態に関する情報が限定される」と書かれているのですけれども、今回のこの基本方針の中でオンラインだと実施できる検査が限られているということを患者に知ってもらう必要があることがどこにも触れられていないような気がいたしました。ですので、できれば対面診療に比べて得られる患者の心身の状態に関する情報や実施できる検査等というのを入れていただくと、注意喚起になるのではないかなと思いました。
 最後に、非常に些末なことで恐縮なのですけれども、16ページの一番下の行です。在宅医療で「、」があって、その地域に専門医療機関がない疾病における活用を検討する。これはよく読むと、在宅医療とその地域に専門医療機関がない疾病が並立して「における活用を検討する」にかかっているということが、よくよく読むとそういうふうに読むのだと思うのですけれども、何となく「、」になっていることで何が並んでいるのかなというのが読んでいて分かりにくかったのです。ですので、例えば在宅医療やその地域に専門医療機関がない疾病とか、在宅医療の後を「・」にするとか、そういうふうにしていただいたほうが正確に読み取れるのではないかなと思いましたので、非常に些末なことで申し訳ありませんが、提案でございます。
 以上です。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
 最後は提案でありましたけれども、重要な御指摘もありましたので、事務局としてお考えがあるところをお聞きしたいと思いますが、いかがですか。不適切な広告云々も含めて、何かあれば。
○保健医療技術調整官 事務局でございます。
 今の御指摘は重要だと思いますので、この後またパブリックコメントなどを募集して、最終的に固めて発出するという形を考えておりますので、今いただいた意見も踏まえて修正を考えて対応させていただきたいと思います。
○遠藤部会長 山口委員、よろしゅうございますか。
○山口委員 はい。ぜひよろしくお願いいたします。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、またオンラインに戻りまして、荻野委員、お願いいたします。
○荻野委員 ありがとうございます。日本薬剤師会の荻野でございます。
 資料1-1の基本方針には、薬剤師についても御記載をいただき、ありがとうございました。
 そして、資料1-2につきまして、薬剤師会としましては、当該特例措置を実施する自治体や地域の医師会等と十分に連携をし、資料1-1の基本方針中の8ページ目、(4)の2ポツ目及び12ページの(2)の②手引き書の記載にのっとって、地域の薬局が当該診療所と連携して調剤に対応すること、また、オンライン服薬指導の活用等を含め、地域住民の医薬品適正使用及び医薬品提供体制の確保に取り組み、医療の完結が図られるよう都道府県薬剤師会に周知を行ったところでございます。引き続き、患者さんがどの地域でも安心して暮らせるよう、地域包括ケアを担う一員として安全かつ有効な薬物療法を切れ目なく提供する役割を果たしていく所存でございます。
 私からは以上でございます。ありがとうございました。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、山崎親男委員、お願いいたします。
○山崎(親)委員 オンライン診療その他の遠隔医療の推進に向けた基本方針について、議論を取りまとめていただきまして感謝を申し上げます。医療資源が少ない地域の医療提供体制が維持されることを大いに期待しているところであります。
 今までも申し上げましたとおり、僻地や無医地区においては、遠隔医療に欠かせない通信インフラ等の基盤整備がいまだ整っていないというのが現状であります。したがって、遠隔医療の推進において、このようなインフラ整備の差が地域の医療提供体制の格差につながらないよう、基本方針の9ページの現状の課題として記載いただけるようご配慮をお願いします。遠隔医療を推進するに当たりまして、通信インフラを含めました社会資本整備は必須でありますので、地域間の格差が生まれないようにぜひ必要な支援や措置をお願いしたいと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 御意見として承りました。どうもありがとうございます。
 また会場に戻りまして、それでは、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員 ありがとうございます。
 私からは、資料1-2について発言をさせていただきます。
 今回の通知内容は、僻地等においてあくまで特例的に医師が常駐しないオンライン診療のための診療所の開設について、その可能な場所や条件について整理したものと理解をしております。今後の運用に当たっては、通知に記載された条件を遵守することが非常に重要となります。その上で、いざというときの救急搬送体制など、僻地の所在する場所によって対応や対策は様々となることから、地域の実情も踏まえつつ、柔軟に対応するようお願いしたいと思います。
 私からは以上です。
○遠藤部会長 御意見として承りました。ありがとうございました。
 それでは、加納委員、その次に楠岡委員の順番でお願いしたいと思います。
 では、加納委員、どうぞ。
○加納委員 ありがとうございます。
 今も出ました1-2においても、急変時の対応に非常に大事なことだと思っておりますので、オンラインを進めるに当たって、1-1でありましたら10ページのところにまとめられているように、きっちりと急変時の対応に関しては認識するようにお願いしたいと思います。
 それを踏まえてですが、島崎委員が前回のときにもおっしゃっていた責任の所在の在り方ですよね。急変時に対応する医師と遠隔の医師との責任も出てくるかと思いますし、そういった問題に関しましては、今回、資料1-1でいきますと16ページに書いてある、6 取り組みの方向性というところで、【国の取組み】の下のほうに遠隔医療に関する課題の整理という形で書かれているのですが、この中で役割分担や連携の在り方を含むというその在り方の中に、今後の責任の所在の議論が入っているという認識でいいのでしょうか。そこら辺は質問なのですが、よろしくお願いします。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 では、事務局、お答えいただけますか。
○保健医療技術調整官 保健医療技術調整官です。
 その点を含んでいるということでございます。今後、調査研究を進めていく中で、その観点を持って進めていきたいということでございます。
 以上です。
○遠藤部会長 加納委員、いかがでしょうか。
○加納委員 大事なことなので、よろしくお願いしたいと思っております。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、楠岡委員、お待たせしました。
○楠岡部会長代理 楠岡です。
 資料1-2の通知のチェックリストに関して、細かいことなのですが、運用上のことで少し教えていただきたいことがございます。
 一つは、このチェックリストを開設時に提出するということなのですが、緊急時に対応していただく医療機関とか、あるいは幾つかの項目についてはホームページに掲載することという指示があるので、これは開設前にできると思うのですが、その他の多くのことは実際に始まってから実施する内容になっています。チェックリストを出すときにはこれをちゃんと守りますという誓約の意味でチェックするのか、それともその時点では必ずしもチェックを必要としないのか、その点が一点であります。
 もう一点は、診療計画ということでありますけれども、診療計画書とは書いていないので、患者さんにこれを何らかの形で交付する、書面で交付するなり、ほかの方法はあると思うのですが、交付する必要があるのかどうかということと、こういう書ではなくて計画ということであれば、カルテのどこかにそのことが記載されていればいいというものでいいのかどうか、運用上の2点に関しましてお教えいただきたいと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 それでは、事務局、お願いします。
○医療政策企画官 1点目につきましては、まさに制約という趣旨で事前にチェックリストを出していただきたいと考えています。
 2点目の患者さんに対してどうするかという辺りにつきましては、今後Q&A等を出させていただく中でしっかり整理していきたいと思いますけれども、基本的には患者さんにもしっかり理解していただくことが必要になりますので、正しく伝わるように紙を渡すのか、説明するのか、その辺りのやり方はいろいろあると思いますけれども、そのようにしっかりと適切な対応が取れるようにやっていきたいと考えております。
○楠岡部会長代理 オンラインをしている中で、そういう書面を郵送というのはちょっと矛盾があるかと思うのですけれども、最終的に受け取り手が例えばPDFとかを展開できないというような状況を想定しているので、最後は紙で何らかの形で送るとかということも考慮の対象にしていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○医療政策企画官 御指摘を含めて検討させていただきます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 ほかにございますでしょうか。よろしゅうございますか。
 ありがとうございました。
 本件は報告事項ではありますけれども、当然いろいろな御質問、御要望が出ました。また、今後の検討についてのいろいろな課題も出されたわけであります。先ほどの規制改革会議からの御意見もありますので、本件につきましては、今後の遠隔医療のさらなる推進に向けて当部会においても引き続き御議論をいただくというふうになるかと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
 それでは、本件についてはこれまでにさせていただきまして、次は「令和4年度人生の最終段階における医療・ケアに関する意識調査の結果について」、これも報告事項でございますので、事務局から報告をお願いします。
○外来・在宅医療対策室長 事務局でございます。
 令和4年度人生の最終段階における医療・ケアに関する意識調査の結果について、地域医療計画課において調査を行いましたので、その結果を御報告させていただきたいと存じます。
 右方に資料2とある資料を御覧くださいませ。
 2ページ目に参りまして、こちらに今回の調査の目的等を整理して記載してございます。本調査でございますが、平成4年度以降、約5年ごとに6回にわたりまして一般の方、また、医療・介護従事者の人生の最終段階における医療・ケアに対する意識ですとか、その変化の把握を行うための調査を実施してまいったところです。また、その結果につきましては、我が国の人生の最終段階における医療・ケアを考える際の資料として広く活用してまいりました。平成29年度調査から5年を経まして、社会的なニーズですとか、医療・ケアの提供状況にも変化が生じておることから、令和4年度に改めて一般の方及び医療・介護従事者に対しまして意識調査を行い、その結果を、本人の意思を尊重した人生の最終段階における医療・ケアの在り方の検討に活用していきたいということで調査を実施しております。
 今回の調査に当たりまして、前回から幾つか変更した点がございます。
 まず、調査時期ですけれども、前回、平成29年の12月中ということで行っております。今回は令和4年11月22日から令和5年の1月21日まで届いた調査票を結果に含めております。
 また、調査対象につきましても少々変更してございます。一般の方、医師、看護師は前回と同じでございますが、今回、より人生の最終段階における医療・ケアに関わりの深い方ということで、前回介護職員としておりましたものを介護支援専門員の方にお聞きしております。それに伴いまして、居宅介護支援事業所を対象施設に加えております。
 また、調査方法につきましても、これまで郵送で調査票をお送りして郵送で御回答いただいていたところ、今回からウェブによる回答も可といたしました。
 このような変更点を加えましての結果でございますので、前回と単純な比較はできないところではございますけれども、参考として前回の結果も含めながら、以下で概要を御説明させていただければと存じます。
 3ページ目を御覧くださいませ。
 今回、一番の改善の見られた点としましては、やはり回収率が高くなったことと考えております。一般の方の回収率が前回16.2%と低くとどまっておりましたところ、今回50%。医師、看護師につきましてもそれぞれ改善を認めてございます。また、介護支援専門員の方は前回と単純な比較はできませんけれども、58.4%と高い割合で御回答いただきました。
 さらに、結果について概要を御説明いたします。
 まず、人生会議と我々は愛称で呼んでおりますけれども、アドバンス・ケア・プランニングの考えについて知っていたかということをお聞きしております。こちらにつきましては、一般の方の認知というのは前回が3.3%、今回が5.9%の方がよく知っていると御回答されており、調査票の回収数なども異なることから単純な比較はできませんが、大きな変化はないと考えておりまして、より普及啓発に努めてまいりたいと考えております。
 また、医師、看護師、介護支援専門員につきましては、いずれも45.9%、45.8%、47.5%の方によく知っていると御回答いただいていて、一般の方よりは職業的に関わっておられる方のほうに高い認知があるということが分かりました。一方で、専門職でありつつ、聞いたことあるがよく知らないという方々もいらっしゃいます。この点に関しましては、さらなる普及啓発、また、研修事業等を通じて取り組んでいきたいと考えております。
 次の概要で4ページ目を御覧ください。
 人生の最終段階における医療・ケアについて考えたことがあるかという設問をお聞きしております。こちらについては、前回と大幅な変化は見られないものの、やはり一般の方と医師、看護師、介護支援専門員で少し差が見られるという結果でございました。一般の方の51.9%が考えたことがあるとお答えのところ、医師、看護師、介護支援専門員ですといずれも80%を超える方々から考えたことがあるという御回答いただいております。
 また、その下にあります結果の概要③でございますが、人生会議を進めることについてどう思うかという御質問に対しても②と同様の結果が現れておりまして、一般の方においても57.3%と高い割合で賛成であるというお答えをいただいております。医師、看護師、介護支援専門員になりますと、さらに高い割合の70%から80%台で賛成の御意見をいただいております。一方で、分からないとされている方々が一定数おられまして、これについてはやはりさらなる普及啓発や研修等に取り組んでいくべきと考えております。
 次のページに参りまして、5ページ目の御説明でございます。
 結果の概要④として、医療・ケアについて話し合うきっかけについて設問を2つまとめております。
 まず、全対象者にお聞きしておることでございますが、家族等や医療・介護従事者と医療・ケアについて話し合うきっかけとなる出来事はどういったことかというのをお聞きしております。こちらは前回と今回とで似たような傾向でございまして、今回は御家族の病気、自分の病気というのを多く御回答いただいています。前回は少し選択肢が違っておりまして、御家族等の病気や死としておりますので、正確には同一ではないのですけれども、やはりそちら一番たくさん御回答いただいたところ、また、自分の病気ということころにも御回答を多くいただいておりまして、傾向としては似ている状況かと考えております。
 また、一方で医療・介護従事者の方に、実際に話合いを行っている時期はいつなのかということを聞いておりまして、こちらは前回と今回で変わらずに、病気の進行に伴い死が近づいているときというのを一番多く御回答いただきました。また、注目すべき点と考えておりますのが、一定数、人生の最終段階に限ることなく、日々の診察の中で話し合っているという御回答いただいておりまして、ACPの観点からは非常に重要な回答と考えております。
 次の6ページ目に参りまして、調査の結果の概要の⑤をまとめております。医療・ケアの充実のための医療・介護従事者の役割という観点で設問をまとめて御提示しております。
 まず、全ての対象の方に、死が近い場合に受けたい、もしくは受けたくない医療・ケアについて、どのような情報元から情報を得たいかということを聞いておりまして、こちらは前回と今回で変わらず、医療機関や介護施設という御回答をたくさんいただきました。やはり専門の機関、専門職のいるところで正確な情報を得たいというニーズの表れかと考えております。
 また、医療・介護従事者に対して、人生の最終段階における医療・ケアの充実のために必要なことは何かということを聞いております。こちらは患者・利用者本人や家族等への相談体制の充実というのが今回一番多くいただいた御回答でございます。前回ですと、人生の最終段階について話し合った内容につきまして、本人・家族等や医療・介護従事者等の看取りに係る関係者との共有の仕方というのを多く御回答いただいていますが、前回、今回ともにほかの選択肢もたくさん選ばれておりまして、それほど選択肢間で差が出てございません。こちらにつきましては、様々な観点から総合的な取組を進める必要があるという認識の表れではないかと考えておりまして、引き続き普及啓発とともに医療・介護従事者向けの研修等に取り組んでまいりたいと考えております。
 7ページ以降は、調査方法の細かな内容ですとか、一つ一つの設問についてグラフ化してお示ししておりますので、御説明は割愛させていただきます。
 以上でございます。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの報告に関しまして御意見、御質問等あればお願いしたいと思います。
 それでは、楠岡委員、お願いします。
○楠岡部会長代理 楠岡です。
 集計の方法について少しお伺いしたいのですけれども、一般国民の方の場合は8割近くが人生会議について知らないと答えている中で、人生会議についてどういうふうに実施しますかとかいつしますかという質問をして正確な回答が得られるのかどうかというのが疑問のところです。そこを層別化して聞く必要があるのではないかということと、調査票の中には人生会議についての説明が全くないのですけれども、最初のアンケートの別添か何かにそういうことを説明した上で聞いているのかどうか、その2点によって解釈が相当変わってくるかと思うので、その辺りを教えていただければと思います。
○遠藤部会長 事務局、お願いいたします。
○外来・在宅医療対策室長 御指摘ありがとうございます。
 調査票の中でも設問の部分で人生会議の考え方について分かるようにお示しして聞いておりまして、御回答者は御理解の上でその先の御回答をいただいているとは認識しております。一方で、先生の御指摘のとおり、もっと定義ですとか分かりやすく情報を示した上で調査を考えるべきと思いますので、次回以降、しっかり調査方法について検討してまいりたいと存じます。
 また、年齢等の患者の属性でございますが、調査の中で情報収集しており、今、私どもの手元に年齢の情報等もございますので、こちらはしっかり分析して事業等に役立てていきたいと思っております。
○楠岡部会長代理 せっかくのデータですので、層別化とかいろいろして御検討いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 では、遠藤秀樹委員、お願いいたします。
○遠藤委員 歯科医師会の遠藤でございます。
 1点質問と要望ですけれども、質問のほうは今、楠岡委員のほうから出たところと類似しているのですが、一般国民のデータとして上がってくる中で年齢は層化されているということですけれども、例えば一般国民の方でも家族の介護を経験されている方と介護を経験したことのない方で相当意見が違うのではないかなと思っているのですが、その辺のところはどういうふうに区別がつくのかどうか、その辺のところを分けて考える必要があるのではないかなというが一点質問のところです。
 もう一点は、人生の最終段階のところでも、歯科医療についても徐々に参加することが増えていると伺っているところですけれども、アンケートの結果の中を見ても、やはり最期のところまでお口から食べる、自分の口で食べるということは大変重要なことかなと思っております。また、口の中の管理ということでいうと、口腔乾燥とかは結構違和感の強いものでございます。もちろん誤嚥性肺炎の予防ということもありますし、最期の段階のQOLを少しでもよくするという意味では、やはり最終段階まで口腔の管理というのは重要かなと思っていますので、そういったことが施策の中で生かされるよう要望いたします。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 事務局におかれましては、質問もありましたのでよろしくお願いします。
○外来・在宅医療対策室長 御質問、御指摘ありがとうございます。
 先生の御指摘のとおり、介護経験ですとか御本人の体験によっても非常に考え方の変わってくる重要な要素と思っております。今回、調査対象者の負担等も鑑みて、あまりそういった御指摘の点まで詳しく深くというところが行き届いておりませんで、恐縮でございます。先ほど申し上げたとおりですけれども、次回以降、よりよい調査になるよう、どのような項目を含めていくかしっかり検討してまいります。
 また、歯科の取組についても、一例でございますけれども、私どもが取り組んでいる在宅医療等におきましても、やはり人生の最終段階まで高いQOLを保った医療・ケアを目指していくために大変重要な御指摘と受け止めました。引き続きしっかり取り組んでまいります。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 遠藤委員、よろしゅうございますか。
○遠藤委員 はい。
○遠藤部会長 それでは、オンラインに移りたいと思います。
 島崎委員、いかがでございましょうか。
○島崎委員 ACPの啓発・普及というのは非常に大切だと思いますが、それと並んで重要なことは、せっかく作成したACPが確実に医療・ケアの内容に反映されることだと思います。
 特にこれが問題になりますのは、救急搬送の場です。例えば在宅医療の患者が延命治療を望んでおらず、その意思が家族とか医療・介護関係者と共有されていたとしても、患者の病状が急変し苦しんでいるような場合、家族が対応に苦慮し救急車を呼ぶ場合というのは当然あるだろうと思います。あるいは延命治療をその患者は望んでいないのだけれども、今の痛みを何とかしてほしいと患者が思い、苦痛の緩和を希望して救急搬送の要請を行うケースも少なくないと思います。
 こうした場合、とりわけ心肺蘇生が必要なような場合に、家族が患者は延命治療を望んでいないということを告げたとしても、消防隊員は客観的に患者の意思を確認できないので、心肺蘇生等を行うという方針を取っている消防本部も自治体によってはあります。その一方で、一定の条件の下で蘇生を中止する方針を取っているところも見られ、率直に言いますと、各自治体、消防本部の対応は区々というか、分かれているのが実状だと思います。
 こうした実状があるために、総務省の消防庁は、「傷病者の意思に沿った救急現場における心肺蘇生の実施に関する検討部会」というのをかつて設け検討を進めてきました。そして、2019年の1月のときにもこの医療部会でそのことが議論になったのですけれども、結局のところ、2019年の7月に総務省消防庁は、「事案の集積による救急隊の対応についての知見の蓄積が必要である」ことを理由に、統一ルールの策定を見送ったという経緯があります。
 私の質問は、人の生死に関わる問題に関する対応が、今申し上げたように、自治体によって、消防本部の方針によって違うということは適当なのだろうかと思います。そこで質問の1つ目なのですけれども、実は先ほど申し上げた総務省の消防庁が統一ルールの策定を見送った後に、2019年の12月16日から、東京消防庁は、家族の同意や、かかりつけ医への確認などを条件に心肺蘇生や搬送を中止できるという運用を開始しています。このことはホームページなどにも載っております。東京消防庁は国内最大の消防本部ですので、そこの影響というのは非常に大きなものがあると思います。それから数年たっておりますので、実務上の問題点とか運用成果や評価ということはどうなっているのか、厚生労働省としてその実態を把握しているか、それから、その評価等についてどう考えているのかということが、お尋ねしたいことの1つ目です。
 2つ目は、先ほど申し上げたとおり、総務省消防庁が統一ルールの策定を見送ってから4年経ちますので、事案の集積も、今申し上げた東京都の事案も含めてですけれども、相当進んだと思われますので、総務省消防庁と厚生労働省がタイアップしてこの問題についてやはり再度検討を行うべきだと私は思いますけれども、それについての御所見をお尋ねしたいということです。
 以上2点、質問です。よろしくお願いします。
○遠藤部会長 以上、救急医療についての御質問ですけれども、事務局、いかがでございましょうか。
○外来・在宅医療対策室長 御質問ありがとうございます。
 まず、御指摘いただきました救急現場における心肺蘇生を望まない心肺停止患者の方への対応方針につきまして、取組としまして、第8次医療計画の作成指針におきまして、救急医療の関係者や地域包括ケアの医療・介護関係者、また、消防関係者等、地域の関係者がそれぞれ実施する会議を合同で開催するなどの取組を行いまして、地域の実情に応じて様々な関係者が協力して検討することとさせていただきました。このとおり、まずは地域ごとに検討いただくことを促していきたいというところでございます。
 一方で、御指摘いただきました消防庁の検討会の報告書におきましても、実態が十分に明らかになったとは言い難いとされていたところがございまして、今後の医療計画の進捗も見ながら、消防庁にもこういった委員会でうけたまわっている御意見もお伝えしながら、今後どういった対応ができるかということを考えてまいりたいと存じます。
 また、東京都の運用の実態につきまして、こちらの方でも把握しておりまして、その他の地域における救急医療の取組例とともに、医療計画の指針の策定の際にも参考にさせていただいたところでございます。また、都道府県の担当者にも地域の取組の事例としまして周知を図っているというところでございます。
 今後とも消防庁と相互に意見をしっかり交わしつつ、連携しながら事例を把握して、参考にしてまいりたいと考えております。
 また、在宅の関連でございますけれども、在宅医療の関係者との救急医療関係者との協議の場を設けるですとか、在宅の療養者等に関する救急搬送について情報共有のルールの策定ですとか、人生の最終段階の医療・ケアに関する住民向けの普及啓発に取り組んでいる自治体なども先進的なところがありますので、こういったところを参考に関係機関間のルールを策定する支援ですとか、好事例の展開といった自治体向けの支援を行うような研修なども実施しております。こういったところには消防庁からもオブサーバーとして御参加をいただいております。
 こういった取組を通じまして、御本人の意思を尊重した円滑な救急搬送に向けて引き続き取り組んでまいりたいと存じます。御指摘の統一的なルールというよりは、少しボトムの取組が先行している状態で恐縮ではございますが、今取り組んでいるところでございます。
○遠藤部会長 丁寧な説明をありがとうございます。
 島崎委員、いかがでしょうか。
○島崎委員 まず申し上げておきたいのですけれども、2019年の1月の医療部会では、私だけがこのことを問題提起したわけではなくて、本日御欠席でいらっしゃいますけれども相澤委員とかほかの医療関係者の方もこれは現場で非常に大きな問題になっているのだということを指摘したのです。このことは、改めて当時の議事録を確認していただきたいと思います。
 それから、今の御説明だと、結局のところ、各自治体の中で話し合ってほしいということだとすると、A町の取扱いとB市の取扱いが違うということになりますが、果たしてそれでよいのかと思います。およそ人の命を取扱いに関することなので、もちろん軽々にやるべきだということを申し上げているわけではないのですけれども、私は、人命に関わる方針や判断が自治体によって異なって果たしてよいのかと疑問に思います。
 ですので、その点については、関係者のお話、特に在宅医療の関係者でありますとか、それから消防隊員にとってみましても非常に大きなストレスになっていることは間違いありませんのでぜひ聞いていただきたい。大きなストレスになっているからこそ、東京都は先ほど申し上げた対応に踏み切ったわけです。また、このことについては、実は2019年1月の医療部会でも、総務省消防庁任せにするのではなくて、むしろ厚生労働省がイニシアチブをとって検討すべき課題なのだという指摘もあったことを再度思い出していただきたいと思います。
 いずれにしましても、この問題については、今おっしゃったようなことだとしますと、せっかく作成したACPが結局反映されないということになりかねません。そうなれば、何のためにこれをつくったのかということになってしまいますので、その点についてはぜひ検討をお願いしたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。重要な御指摘として受け止めさせていただきたいと思います。
 それでは、またオンラインが続きまして、河本委員、お願いいたします。
○河本委員 ありがとうございます。
 調査結果を見せていただきますと、人生会議に関する国民の認知度というのはまだ低いですけれども、一方で人生の最終段階における医療やケアについて考えたことがある方とか、あるいは人生会議のようなものを進めることに賛成の方というのが半数を超えているということで、やはり多くの国民が重要な問題だと認識しているということが伺えると思います。
 ただ、資料の27ページから29ページにございますけれども、医療や介護の従事者と詳しく話し合っているという方はごくわずかにとどまっておりますし、これまで話し合ったことがない理由としてきっかけがなかったという回答が多いというのが見てとれます。話し合いには時間がかかりますし、状況に応じて見直す必要もあるわけですから、簡単なことではもちろんないのですけれども、人生の最終段階の医療・介護の在り方というのは、やはり患者中心の医療・介護を進める上で極めて重要であると考えております。
 今回のアンケートの中でも、日々の診療の中でこういったことを話し合っているという医師の方が2割を超えているという調査結果がございますけれども、まずは医療や介護の関係者が人生会議について十分に理解をした上で、日常診療の機会も含めて、なるべく早いタイミングで患者と話し合っていただくということが重要ではないかと考えるところでございます。
 私から以上でございます。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。重要な御指摘をいただいたと思います。
 それでは、会場に戻りましょう。それでは、佐保委員、山口委員の順番でお願いします。
○佐保委員 ありがとうございます。
 私も先ほど楠岡先生が御発言されたことに関連しますが、年代というのが非常に重要なキーワードだと思っておりまして、どの年代で認知度が高かったのか、もしくは低かったのかといった年代別の分析なども行いながら、人生会議を自分事として捉えることができるような効果的な普及啓発の取組が必要だと考えております。例えば若年層の方の認知度が低いというのであれば、若年層へ一番知っていただけるような効果的な周知のやり方があるのではないかと思いますので、そういったことをお願いしたいと思います。事務局におかれましては、年代別の状況等を分析された時点で構いませんので、その結果等についてお示しいただければと思っております。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、山口委員、続きまして神野委員の順番でお願いします。
○山口委員 山口でございます。
 先ほど島崎委員がおっしゃったことは私もとても大事だと思っていまして、やはりACPをつくっても、それをきちんと実現してくれるかどうかということは、やはり実効性ということを考えると、本気になってつくるというところに大きく関わってくると思います。
 私たちのところで電話相談を受けていまして、意思表示をしていたとしても、それがやはり実現してもらえなかったという相談が届くこともあって、生死に関わるようなことでもあるだけに、その辺りは十分検討していく必要があるのではないかと先ほどの御意見をお聞きしていてと思いました。
 資料2に戻りまして3ページ、確かに医師、看護師、ケアマネージャーの認知は高いわけですけれども、それでも知らないと答えた医師が24.6%、看護師が19.6%、ケアマネージャーが11.5%と、これは決して低い数字ではないのではないかと思います。あらゆる医療機関に調査をされたということですので、部署とか医療機関の種類によってはあまりACPになじみがないような職場で働いている方もいらっしゃっての結果だと思いますけれども、やはりまだまだなのかなという気がいたしました。
 その中で、一般の人の72.1%が知らないと回答しているということで、今回のこの結果を今後の人生の最終段階における医療・ケアの在り方の検討に活用するということですので、ぜひお願いしたいと思うことを幾つかお伝えしたいと思います。
 まず、やはりこの普及啓発ということがなかなか進んでいないということだと思うのですけれども、こういった人生の最終段階におけるようなテーマで私たちもセミナーを開くことがあります。そうすると、大抵同じ一部の層の方たちが関心を持って参加してこられるというのがずっと30年ぐらい変わらない傾向でもあります。ということは、やはり多くの方にこういったACPとは何かや重要性が届いていない。そういう現状があって、どうすればそういう方々に届くのかということを考えていかないといけないのかなと思います。
 例えば医療機関で配付できるようなものを厚労省で作って、例えばダウンロードできるように、もうされているかもしれませんけれども、そういうものを作るとか、それから、やはりターゲットとして、親の介護をしている、あるいは親の介護をする予備軍ぐらいの年齢層の方を考える。というのも、やはり高齢者の方というのはなかなか御自分の問題として理解できる方も少ないですので、そういった親のことを考えつつ自分のことも考える層にアプローチするということも大事なのかなと思いました。
 それから、今回、調査の中で、日常の診療の中でこういったこと話し合っているという回答が一部あったということからしますと、今、かかりつけ医機能についていろいろと議論していますけれども、やはりかかりつけ医がこういったACPについても患者さんに伝えていくということも、かかりつけ医と看護師ですね。ケアマネージャーもそうですけれども、そういったところに働きかけをするということも大事なのかなと思います。
 現場を見ていますと、ACPというのはやらなくてはいけないという意識が医療従事者の中にはとても高まっていて、自分たちが何をするのかということは一生懸命勉強したりされているわけですけれども、一番主体であるはずの患者に対しての説明ということが医療者からあまり行われていないような気がします。そうすると、一方的に質問されて、何のことか分からないけれども答えるというようなACPになっていないだろうかというようなことも感じていまして、できれば医療者が、国がACPを周知するということも必要なのですけれども、患者の理解を促すということも、医療者の役割として伝えていくということも大事なのかなと思います。
 それから、いろいろな自治体でACPについて印刷物を作ったり、いろいろな取組をされたりしている。その内容が厚労省にも届いていると聞いていますので、ぜひ国から各都道府県に対してこういう取組がプラスになっているのだという好事例の展開を厚労省が中心になってしていただきたいと思います。
 以上、意見です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。具体的な提案もいただいたということであります。
 それでは、神野委員、どうぞ。
○神野委員 神野でございます。
 先ほど来皆さんおっしゃっていらっしゃるように、年齢構成の問題が非常に大きいと思います。恐らく一般国民は20歳からということですので、知らないという方が多い。これはある程度納得できる。問題はお話があった、「聞いたことはあるけれども、よく知らない」と「知らない」が、やはりまだ医療従事者の半分以上が知らないということに関してはまだ問題が大きいのかなと思いますし、医療従事者としては恥じるところかなと思うところであります。そういった意味では、知らない医療従事者に知っていただくためのターゲット、ここの年齢構成、属性というものを明らかにして、医療従事者から理解しないと患者さんにいろいろなお話はできないと強く思います。
 それから、もう一点、先ほどの救急等の話なのですけれども、例えば慢性疾患とかがんとか徐々に進行していく病気におけるACPをどうするのということに関しては非常に簡単、簡単と言ったら恐縮ですけれども、分かりやすい。一方で、救急の現場で例えば目の前にいる息が止まった方が、お餅を詰まらせて止まったのか、がんの末期症状で止まったのかということは、最前線はそんなの判断できないですよ。救急隊も、それから、あるいは救急室も。そのときにやはり最善のことをやるというのが医療従事者としての使命、救急隊としての使命であると思いますので、その辺のところは、前線の目の前にいる人がどういう状態で今の状態になったかということを全て慮れということは、現場に対しては大変酷なような気が私はいたします。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。御意見として承りました。
 それでは、都竹委員、お願いいたします。
○都竹委員 ありがとうございます。
 この問題なのですが、ACPは今ほどもいろいろお話があるのですけれども、恥ずかしながら私、今回事前説明を聞くまで知りませんでした。市長職にある私が、たまたま私という人間が知らなかったのではなくて、恐らく結構知らない人は多いのだと思うのです。やはり知名度という点では非常に低いと思います。
 ただ、アンケートにあるように、自分が病気のとき、自分がどういう終末期を迎えるのかの関心を持っておられる方は圧倒的に高くて、そこに対する関心というのは物すごく高いというのも一方で事実としてあると思うのです。その在り方をACPという形でまとめていくのは一つ、もちろん今までの流れではあるのですけれども、やはりどういう人生のしまい方をするのかということについて考えるという流れ、希望がある以上、そこに対して応えていく手法というのはACPだけではなくて、いろいろな手段があるのではないかなと思っています。
 その点でいくと、いろいろなことを考えていかなくてはいけないのですが、条件、前提となる、例えば在宅医療でどんなことが行われるのかとか、そういったことについての知識が一般市民の間にまだまだ私は普及していないと思っています。
 私どもの町で昨年の6月に在宅専門のクリニックができて、在宅医療をやっているところは多いのですけれども、それまで専門のところというのはなかったので、最期どうなっているのかということが初めて町の中で理解され始めたという状況になるのです。そうなると、やはり家でこういうふうに人生を終えたい、病院で亡くなっていくのではなくて家に帰ってこういう暮らしをしたいという方が増えてくる。そうしたときに初めて自分の終末期の在り方というのをみんなで考えるという条件ができるのではないかと思います。
 したがって、いろいろなサービスが今あって、こんなふうに使えるんだよということをまず普及していくという流れが前提にないといけないし、その上で、ACPにこだわるのではなくて、やはりいろいろな考え方を取ってくということが必要ではないかなと思います。
 その点でいくと、地方自治体からの情報提供というのは、このデータにあるようにあまり期待はされていないのですけれども、例えば老人クラブとかいろいろな地区、自治区とか自治会とかの会合とか、いろいろな中で、どういうサービスがあってどう使えるのかということの基礎知識を普及するということは十分できると思いますし、そういったことは、自治体とまた連携をとりながら、自治体の役割ではありますけれども、また厚労省との連携も取りながら進めていかなくてはいけないと思いましたし、そういった連携をぜひとっていただけるとありがたいなと思ったということでございます。
 以上でございます。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、山﨑學委員、お願いいたします。
○山﨑(學)委員 今回のこういうようなアンケートがこれから増えていくのでしょうが、私は妻を、ステージ4で見つかった膵臓原発の全身転移でなくしましたが、最後は腹水、胸水がたまってほとんど自分で身動きが何もできないような状態で亡くなるのを介護しながら見ていて、尊厳死をどういうふうに考えるかそろそろ討論しなければいけないと思っていました。今、2人に1人ががんで亡くなるという時代に入ってきて、こういった調査をするのならばもう一歩踏み込んで、外国では既に幾つかの国でも行われている尊厳死の在り方についてということを含めて、一般国民の方々の尊厳死に対する考え方をアンケート調査に盛り込んでほしいと思いました。
 以上です。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。非常に奥の深い話でございますので、より議論を進めたいというお話だと思います。
 ほかにございますか。よろしゅうございますか。
 ありがとうございました。
 本日、様々な御意見をいただきました。大きく分けて2つあったかなということで、一つはこの調査報告についての調査の仕方、あるいは分析の仕方についての御意見や御提案、もう一つはそもそもこのACPの運用についてどう考えるかと。救急の現場も含めて様々な課題があったということでありますので、事務局におかれましては、大変重要な御指摘だったと私は認識しておりますので、適切な対応をやっていただけるようによろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、3番目、最後の課題に移りたいと思います。3番目は「第8次医療計画(6事業目(新興感染症対応))について」ということで、事務局から説明をお願いしたいと思います。
○参事官(救急・周産期・災害医療等・医療提供体制改革担当) 医政局参事官でございます。
 資料3をお願いします。
 8次医療計画の6事業目(新興感染症対応)ということで、昨年12月の感染症法の改正も踏まえまして、こちらの医療部会でも御議論いただきながら、3月20日に医療計画検討会における意見の取りまとめをいただいたところでございます。
 これを踏まえまして、厚生科学審議会の感染症部会の議論も得まして、感染症法に基づく予防計画との整合も図りながら、つまり、予防計画の中の医療体制の部分がその内容になるようにしながらということで、先般、5月26日に第8次医療計画の新興感染症対応に係る医療提供体制の確保に関する基本指針、また、ガイドラインなど関連法令や通知等を公布、発出しておりますので、その内容のポイントを今般報告するものでございます。
 2ページからでございますけれども、6事業目としての8次医療計画の追加のポイントということで、概要の1パラ目でありますが、法改正の経過でありまして、令和4年の感染症法の改正によりまして、平時に都道府県と医療機関がその機能・役割に応じた協定を締結する仕組みが法定化された。令和6年4月施行ということでありまして、2パラ目は予防計画・医療計画の目標の関係でありまして、新型コロナ対応の教訓を踏まえて、これを念頭にまずは最大規模の体制を目指すということで、また、協定締結等を通じまして、平時から地域における役割分担を踏まえた感染症医療及び通常医療の提供体制の確保を図る。これらが要旨でございます。
 続いて、次の枠にありますけれども、新興感染症発生からの一連の対応。右側の※が重要なところでありまして、コロナ対応の最大規模の体制を速やかに立ち上げ機能させるということであります。
 左のほうから一連の対応ということで、まずは新興感染症発生から流行初期までということで、最初のポツにありますとおり、新興感染症の発生時、まずは現行の特定、第一種、第二種感染症指定医療機関の感染症病床を中心に対応。これらの対応により得られた知見を含む国内外の最新の知見等について国が随時収集し、都道府県を通じて医療機関へ周知していく。次いで、新興感染症の発生の公表、これは実質2類相当に位置づける旨の公表でありますけれども、これが行われてから流行初期、3か月ですけれども、これら感染症指定医療機関も含めまして、この上記の知見を得た流行初期医療確保措置の協定を締結した医療機関を中心に対応ということで、病床にしますと全国ベースで1.9万床の確保を想定ということであります。
 右側ですけれども、発生から一定期間経過後、つまり、3か月たってからはその他の公的医療機関等も、また、対応可能な民間医療機関も中心となった対応、右下の絵のとおり、プラス1.6万床をまず想定ということで、その上でさらに発生の公表後6か月をめどに全ての協定締結医療機関で対応、病床では5.1万床を想定ということでございます。
 下のほうの3つ目の枠ですけれども、国及び都道府県の平時からの準備等ということでありまして、主に国ですけれども、新興感染症の特性や対応方法など、最新の国内外の知見を収集、想定が異なれば判断して機動的な対応をしていく。次ですけれども、主に都道府県では協定の締結状況や履行状況等について、患者の適切な選択にすることにも留意して公表・周知していく。最後、国でも都道府県でも、でありますが、感染症対応を行う人材の育成、医療機関向けの研修・訓練の実施等を進めて感染症対応能力を強化していく。そうした内容を医療計画の指針等に盛り込んでおります。
 3ページですけれども、予防計画・医療計画の数値目標の考え方等について、ということでありまして、こちらの1の流行初期であります発生の公表後から3か月まで、また、下のほうの2の流行初期以降の①3か月後時点、また、②のその後の3か月、つまり発生の公表後6か月までにつきまして、ここでは病床と発熱外来についての、先般御議論いただきました意見の取りまとめに沿った形で、考え方と、また、イメージ図としてまとめたものでありまして、最終的には新型コロナでの対応の最大規模の体制を目指すということで、枠の一番下でありますけれども、全国ベースで病床で5.1万床の確保、発熱外来で4.2万医療機関との協定の締結を目指して、各県でそれぞれの数値目標を立てていただくというものでございます。
 4ページですけれども、医療措置協定の締結等のガイドラインについて、ということでありまして、こちらは計画の指針などと併せまして、5月26日に都道府県等に発出・周知したものであります。
 ガイドラインの狙いは、改めて協定の協議の当事者であります都道府県と医療機関の担当者に今回のこの協定の仕組みの趣旨、目的を御理解いただきながら、つまり、今般できました協定の仕組みによりまして、平時から協定の協議をしていただき、地域における各医療機関の役割分担を踏まえた感染症医療と通常医療の提供体制の構築を図ることが重要であるという趣旨を踏まえまして、協定の協議を進めていただきたいということで、そのために参照していただけるようなガイドラインを作成したということでございます。
 下のほう、ガイドラインの主な内容ということで、①で協定の協議・締結の進め方ということでして、都道府県は医療機関の協定締結の意向などを事前に調査した上で、その結果や、また、協定案や計画の案を医療審議会にも諮りながら、また、医療関係団体等とも適宜連携しながら、広く医療機関との協定の協議を行い、地域における医療機関の機能や役割を確認して、協定を締結しながら感染症医療と通常医療の分担、確保を図るということであります。
 事前調査の調査票の例につきましては、参考資料3-1に添付させていただいておりますけれども、調査票の例ということで、新型コロナでの対応の実績と協定のメニューに沿って可能な見込み量などを聞く内容としておりまして、都道府県において適宜アレンジして活用してもらうこととしております。
 お戻りいただきまして、さらに協定の協議・締結に資するようにということで、協定のひな形を併せてお示ししております。こちらは参考資料3-2で添付しておりますけれども、病院と診療所、また、薬局、訪問看護事業所別でそれぞれひな形をお示ししています。目的ですとか医療措置の内容別に、つまり病床、発熱外来、自宅療養者等の高齢者施設等の入所者等への医療の提供、後方支援、人材派遣、その他、そういった具体的な協定のひな形と併せて、ガイドラインのほうにはこのひな形に沿って条ごとに解説を記載して盛り込んでおります。併せて、改正法に設けられました公的医療機関等の義務の通知につきましても別途ひな形を示しまして、協定の協議と併せて通知する旨の解説を記載しております。
 また、医療審議会の意見聴取手続なども記載をしているということでありまして、スケジュールとしましては、5年度中に計画を策定していただくためには、協定締結作業につきましては6年4月の施行の前から、つまり、5年度中から順次実施し、数値目標等のめどを立てていただき、協定の締結自体は医療機関側での体制づくりの準備を経る場合もありますことから、令和6年9月末までに完了するということとしております。
 ②ですけれども、医療機関に対する事前調査ということで、これは先ほどの参考資料3-1の調査票の例のとおりでございます。あわせて、国のほうで別途G-MISで医療機関に対して、協定締結や人員確保、報告方法等に当たっての予定や課題などについて調査を実施しておりまして、この調査の周知と別途協力依頼をしております。今後、協定の協議の状況ですとか、また、この調査結果も踏まえて、国において必要な支援を検討していくこととしております。
 最後、③ですけれども、協定締結後の公表や報告変更等についてということで、締結した協定の内容の都道府県ホームページでの公表や協定の履行状況の報告、平時は年に1回、新興感染症発生・まん延時は随時の報告のルールですとか、また、新興感染症が事前の想定、つまりは新型コロナ対応とは大きく異なる事態の場合は、国において判断を行い、機動的に対応する。つまりは適宜柔軟に対応する、または協定を見直すことなどについて解説をしております。
 以上を主な内容としますこのガイドラインにつきまして、5月26日に都道府県に発出しまして、その後、都道府県説明会を開催するなど周知しているところでありまして、今後、都道府県において、医療審議会等に諮りながら協定の協議を進めて、今年度中に予防計画・医療計画を策定していくこととなっております。
 厚労省としましても、既に都道府県にも予告済みでありますけれども、今後、計画の策定や、医療機関との協定協議の状況につきまして進捗確認をしていく予定でありまして、医療関係団体の皆様をはじめ、関係者の皆様におかれましても、御協力方よろしくお願いいたします。
 報告は以上となります。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの報告、6事業目、積み残しておりました医療計画の中身の御説明でしたけれども、何か御意見、御質問等はございますでしょうか。
 佐保委員、どうぞ。
○佐保委員 ありがとうございます。
 ガイドラインを発出されて都道府県説明会も実施されているということで、都道府県においては新興感染症という事態を意識しつつ、地域の実情に応じた医療提供体制の見直しに取り組む必要があると思います。改正感染症法に基づく医療措置協定のプロセスを通じて、地域における医療提供体制の構築を図ることが重要になってくると考えております。医療措置協定の仕組みの実効性を確保する観点からも、ガイドラインの丁寧な周知をお願いしたいと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 ほかに何かございますか。
 遠藤委員、どうぞ。
○遠藤委員 このガイドラインの中で、当然新興感染症が発症されれば、それへの対応が第一優先であるのは当然なのですけれども、ただ、そういった方々でも、他の疾患を抱えている方も当然いらっしゃると思いますし、我々歯科においては急性疾患を発症される方も中には出てこられるといったこともありますので、感染症に対する対応の中で他の疾患をどうするのかといったこともぜひ御配慮いただきたいなと思います。よろしくお願いします。
○遠藤部会長 ありがとうございます。御意見として承りました。
 ほかにございますか。
 釜萢委員、お願いいたします。
○釜萢委員 まず、今回のこの計画が行われて医療措置協定をしっかり締結していくという取組は、これまでにないことなので大変重要であると考えております。ただ、これも感染症部会等でも発言をしているところですが、あくまでも今回の新型コロナを経験したことを踏まえての計画でありますので、今後どういう新興感染症が来るか分からないということも踏まえて、できるだけの対応をしておく必要があると思います。その場合、協定を結ぶ作業等はぜひ粛々と進めるべきなのですが、新興感染症が発生した初期において、まず取り組む医療機関としては感染症の指定医療機関、これは特定第一種、第二種とあるわけですけれども、この体制が現状のままでよいのかどうかということについては、確保のベッドの数等も踏まえてしっかり振り返っておく必要があるだろうと思っております。これらの感染症の指定医療機関のベッドを確保しておくということは、それぞれの医療機関にとっては大変大きな負担になるところでありますが、ここがまず最初の段階での大事なとりででありますので、その辺りを踏まえて、病院がこれの維持が可能になるようにしっかり手当てをしていただきたいと考えております。
 それから、細かいところで恐縮ですが、私どもに要望として寄せられている点を情報共有させていただきます。今日の資料の4ページです。ガイドラインの主な内容の②のところで、予防計画・医療計画策定や協定締結等に先立つ医療機関調査(事前調査)というのが行われておりまして、特に2段落目の今後の対応に当たっての予定や課題等についてG-MISを使って報告するということが行われているわけですが、締切日が割合切迫していて、医療機関ではその対応がまだ十分できていないというところがあるので、日本医師会としてそのことを踏まえて発言をしてほしいという要請がありました。これは事務局にお願いでありますが、そのような要請が来ているということをお伝えしたいと思いますので、対応していただければ幸いでございます。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。御要望も承りましたので、事務局としては適切な御対応をお願いいたしたいと思います。
 それでは、松田委員、お願いいたします。
○松田委員 ありがとうございます。
 今回、事前に協議をして契約をしてやっていくというのは新しい試みでよいと思うのですが、今回のパンデミックで各地域、各病院でどういうことが起こったのかということをもう少し丁寧に見るべきだろうと思っています。DPCのデータを見てみますと、地域によっては、救急をやるところと、それ以外のところをきちんとやるところと分かれて、全体としてがん診療の量が落ちなかったところもあるし、実際に地域によっては救急もがんも全部落ちてしまったという地域があります。先ほどどなたかがおっしゃられたように、感染症下においてもやはりがんとかその他の生命に関わる救急の医療の提供量を落としてはいけないと思います。そうすると、そういう影響が出てしまった地域では、やはり何か問題があるのだろう、何かやらなければいけないことがあるのだろうと思います。そういうことを個別に少し丁寧に見ていって計画を立てていかないと、結局立てただけの計画に終わってしまうと思うのです。そういう意味で、今回の地域医療計画に書き込むに当たっては、もう少し地域別にきちんとデータの分析をして、実効性のある契約を結んでいくということをやらないといけないと思います。特に病床数というよりも、やはり人の確保というのが一番大きな課題でしたので、それをどうするかということを書き込んでいかないと、結局、計画はつくったけれども、契約もしたけれども、動かないということが起こってしまう可能性が高いのではないかなと思います。
 それから、2番目は、今回のコロナでも明らかなことですけれども、やはり高齢者施設で大量にクラスターが発生するのです。高齢者施設で発生したクラスターを全て救急病院で受け入れるというやり方でやっていくと、またこれは無理だと思います。そうすると、救急医療提供体制で受け入れる施設を、病床数を確保するという対策の一方で、高齢者施設において発生した場合に、そこでどのように対応していくかということを別途立てておかないと、実効性が上がらないと思います。これはイギリスもフランスもドイツもそういう形で高齢者数に対する対応というのは別に定めて計画をしているので、これは介護保険課のほうと少しやらないといけないと思うのですけれども、そういう視点での計画の立て方というのを少し検討していただけたらと思います。
 以上、意見です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。重要な御指摘だと思います。
 御意見でありますけれども、事務局、何かコメントがあればお願いしたいと思います。
○参事官(救急・周産期・災害医療等・医療提供体制改革担当) ありがとうございます。
 今回の改正感染症の仕組みで計画を策定するに当たっての連携協議会の仕組みも設けられておりまして、その中では消防ですとか、また、御指摘の高齢者施設の団体も含めて、救急の在り方も含めて、また、感染症医療との両立ですとか、そういったことも含めた話し合いを平時からしておきましょう、というような仕組みが設けられておりますので、御指摘の点をそういったところで話し合っていただいていければ、ということでありますので、御意見は都道府県のほうにもお伝えして、そういった議論を促してまいりたいと思っております。
 以上です。
○遠藤部会長 どうぞよろしくお願いいたします。
 ほかに何かございますか。よろしゅうございますか。
 ありがとうございました。
 それでは、本件につきましてはこれぐらいにさせていただきたいと思います。
 それでは、本日の議題は以上3つでございますので、本日はこれぐらいにさせていただきたいと思います。
 最後に、実は本日の部会を最後に御退任されます委員の御紹介をしたいと思います。
 まず、本日御欠席なのですが、相澤委員におかれましては平成22年より当部会の委員に御就任いただきまして13年間、また、本日御出席されておられます遠藤秀樹委員におかれましては令和元年より御就任いただきまして4年間、部会において多大なる御尽力をいただきました。部会長といたしましてお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございます。
 それでは、相澤委員は本日御欠席でございますので、御出席されておられます遠藤秀樹委員より一言御挨拶をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
○遠藤委員 日本歯科医師会の遠藤でございます。
 この医療部会の委員として4年間議論に参加させていただきまして、ありがとうございます。
 口腔の健康管理というのを通して、患者さんや住民の方々の健康増進とQOLの維持向上を目標として議論に参加させていただきました。超高齢社会の中では、連携した医療提供というのはますます重要になってくると思っております。歯科においても、かかりつけ歯科医機能の果たす役割や遠隔医療、また、オン資に始まる医療DXと、歯科においても課題は多いと思っております。何分歯科のほうは個人経営の小規模な診療所が多数を占めております。特に医療の現場での大きな混乱がないよう進められることを願っております。
 今後とも住民のための歯科医療が発展していくように御支援、御指導をよろしくお願いします。
 4年間どうもお世話になりました。ありがとうございました。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、次回につきまして事務局から何かございますか。
○医療政策企画官 次回の医療部会につきましては、また後日改めて御連絡させていただきたいと思います。
○遠藤部会長 よろしくお願いします。
 それでは、これをもちまして本日の会議は終了したいと思います。長時間非常に貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。
(了)