ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(職業安定分科会)> 第125回労働政策審議会職業安定分科会 議事録(2017年7月21日)




2017年7月21日 第125回労働政策審議会職業安定分科会 議事録

○日時

平成29年7月21日 10:00~11:30


○場所

中央合同庁舎第5号館厚生労働省共用第7会議室(6階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○議事

○阿部分科会長 定刻になりましたので、ただいまから「第125回労働政策審議会職業安定分科会」を開催いたします。

 本日の委員の出欠状況ですが、労働者代表の久松委員、使用者代表の河本委員、熊谷委員、松井委員、深澤委員、森下委員が御欠席です。河本委員の代理として、全日本空輸株式会社の秋田様が御出席されております。

 議事に先立ちまして、事務局である職業安定局の幹部に異動がありましたので御報告します。小川職業安定局長、小林審議官、田中総務課長、弓雇用政策課長、渡辺公共職業安定所運営企画室長がそれぞれ就任されております。

 それでは、議事に入ります。最初の議題ですが、雇用対策法施行規則の一部を改正する省例案要綱について(諮問)です。本件については、718日付で厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛て諮問を受けており、718日に行われました地方連携部会において予め議論を行っていただいております。それでは、資料及び部会での議論について事務局より説明をお願いします。

○公共職業安定所運営企画室長 運営企画室長の渡辺です。どうぞよろしくお願いいたします。私から雇用対策法施行規則の一部を改正する省令案要綱につきまして御説明させていただきます。資料はタブレットの上の1-1と書いてあるもの、及び1-2と書いてあるもの、この2種類があります。

 資料1-1が省令案要綱そのものですので、最初に資料NO.1-2の概要のほうで御説明をさせていただければと思います。左から2番目のタブを押していただければと思います。

 この資料の上のほうに「背景」があります。背景について御説明させていただきます。第6次地方分権一括法が昨年8月に施行され、約1年が経過しているところです。大半の都道府県では雇用対策協定の締結というものが進んできており、雇用対策法施行規則において、現状、国と地方公共団体との連携という目的のもとに2つの規定があります。1つは「雇用対策協定」、もう1つが「雇用施策実施方針」、これを「地方方針」と呼んでおりますが、この対象となる都道府県に重複が生じてきていることから所要の改正を行うというものです。

 資料には、昨年度末、平成29330日現在の雇用対策協定の締結が進み、43都道府県と書いていますが、最新の数字を申し上げますと、昨日、広島県と広島労働局との間で雇用対策協定が締結されたという話ですので、現在44の自治体(都道府県)で協定が締結されている状況です。

 資料の下を順に説明します。左側が協定と地方方針の現行の規定についての説明です。協定は、都道府県労働局長と地方公共団体の長が、双方の合意の下に雇用対策協定を締結できるという規定になっています。これは第6次地方分権一括法による雇用対策法の改正において省令上にも規定されたものです。

 これとは別に、地方方針については都道府県労働局長が都道府県の雇用施策を密接な連携の下に円滑かつ効果的に実施するため、都道府県知事の意見を聞いて雇用施策実施方針を策定するといった規定になっております。

 これら2つの規定について、目的を見ますと、いずれも国と地方公共団体が連携して雇用に関する施策を実施するというものであり、重複していること、また先ほど申し上げましたとおり、都道府県レベルでの協定の締結数が現在、44の都道府県と、大半の自治体で締結が行われていること。また、運用上の話になるのですが、現行の説明の下、※1、※2で書いておりますが、現行の運用上でも協定に基づく実施計画が全国指針の趣旨・目的に沿っている場合には地方方針と見なすことができるとしておりますので、右側の改正後の所ですが、今後は当該連携の規定については連携度合いのより高い雇用対策協定に一本化するものとする。具体的には、現行の地方方針の規定を省令の本則上から削除する。ただし、協定未締結の県もまだあるということですから、経過措置として、当分の間、協定に基づく実施計画を策定しない所については、下のところに○がありますけれども地方方針を策定することを附則に規定するものです。

 施行日ですが、平成3041日を予定しているところです。以上の改正内容を省令案要綱にしたものが資料1-1となります。資料1の説明については以上です。

○阿部分科会長 ありがとうございました。本件について御質問・御意見がございましたら御発言ください。特段ございませんでしょうか、よろしいですか。特にないようでしたら、当分科会は厚生労働省案を妥当と認め、その旨を私から労働政策審議会会長に御報告申し上げたいと思いますがよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、報告文案の配布をお願いいたします。

(報告文案配布)

○阿部分科会長 お手元に配布された報告文案により、労働政策審議会会長宛て、報告することとしてよろしいでしょうか。ありがとうございます、それではそのように報告させていただきます。

(「異議なし」と声あり)

 次に移ります。次の議題は、「2016年度の評価及び2017年度目標設定について」です。事務局より説明をお願いいたします。

○雇用政策課長 雇用政策課長の弓です、私から2016年度の評価、また2017年度の目標設定について御説明申し上げます。

 例年、7月ごろに年度目標を設定しておりまして、年度後半に各施策の運用・実績の中間評価を行っております。2016年度目標につきましては、37日の安定分科会において中間評価について御審議をいただいたところです。年度が開け、昨年度、年度目標設定のタイミングで前年度の評価についても、併せて御審議いただいているところです。本日はこちらについて御審議いただきたいと思います。

 本日の資料につきましては資料2-12-22-3、そして参考資料が2-1から2-4までの7つとなっております。資料2-12-22-3につきましては机上にも配布させていただいております。参考資料のほうはタブレットで御覧いただく形になりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、資料2-1が、2016年度評価の評価シートになっております。それを取りまとめたものが資料2-1として、「2016年度職業安定分科会における年度目標の評価について()」という形になっております。資料2-1を中心にポイントを御説明申し上げたいと思っております。

 資料2-1を御覧ください。まず1番目の項目として、ハローワークにおける職業紹介・人材確保等です。こちらにつきましては、10項目の目標を設定しております。マル1がハローワーク求職者の就職率についてです。2016年度の就職率につきましては31.3%となりました。こちらは前年度実績が31.1%ですが、上回ったものの、目標である32.4%を下回ったという結果になっております。雇用情勢が着実に改善する中で、新規求職者数が減少していること、また就職するに当たり制約等が多い求職者の割合が相対的に高くなっている傾向があり、就職率を押し下げることとなっております。今後、個々の求職者の状況等に応じたきめ細かな就職支援、ハローワークと訓練実施機関の連携による就職支援や担当者制等の就職支援などを推進していく必要があることを記載しております。

 マル2ハローワーク求人の充足率についてです。こちらの実績は16.7%、こちらにつきましても目標の18.3%を下回っております。分析としては、新規求人が増加しており、新規求職者数が減少した影響により、求人充足率が低下することとなったとしております。

 マル3ハローワークにおける正社員求人数です。2016年度の正社員求人数は4656,832人でして、目標の425万人を上回っております。こちらにつきましては、求人開拓において求人の量の確保から正社員求人の確保を含む求人の質の確保へと重点の転化を図った結果、目標を上回る実績になったものと考えているところです。

2ページ目、ハローワークにおける正社員就職件数についてです。2016年度の就職件数につきましては788,904件、目標の87万件を下回っております。こちらにつきましては求職者自体の減少が続いており、正社員就職者数の実績が伸び悩んだものと考えております。

 マル5とマル6は、マザーズハローワークの重点支援対象者数と、その就職率になっております。対象者数の実績は76,001人で、目標の73,600人以上となっております。また、就職率の実績についても92.4%で、目標の88.5%以上を達成しているところです。

 マル7雇用保険需給者の早期再就職割合についてです。こちらの実績は36.2%ですので、目標の36.6%を下回った状況になっております。こちらについても、やはり雇用情勢が改善する中で制約等が多い求職者の方々の割合が相対的に高くなる傾向があり、目標に至ることができなかったと考えています。

 マル8マル9ですが、就職支援プログラム事業の開始件数と就職率です。開始件数の実績は約10万件で、目標の9.4万件を上回っております。就職率の実績は85.5%で、こちらも目標の83%を上回っているといった状況です。

 マル10求職者支援制度による職業訓練で、基礎コース終了3か月後の就職率又は実践コース終了3か月後の就職率です。基礎コースの実績は58.8%、目標が55%でした。実践コースは62.6%、こちらの目標は60%、いずれについても目標を上回る水準となっています。

3ページに、こちらをまとめたものが記載してあります。大半については目標を達成したものの就職率等については目標を下回る実績ということですので、引続き求職者へのきめ細かな就職支援を行うとともに、積極的・能動的マッチングの推進など、求人者サービスの充実に向けた取組を行うなど、目標達成を目指した取組みを進めるべきであるという記載をさせていただいております。

2番目の項目は「失業なき労働移動の推進」です。こちらは3項目ありまして、いずれも実績が目標を上回る状況です。

 マル11労働移動支援助成金です。再就職者に係る早期再就職割合ですが、実績が54.1%となり目標の50%を上回っております。こちらについては支給要件の厳格化するとともに、求職活動のための休暇を与えた事業主への助成額の引上げなどの見直しを行っており、そういったものにより早期再就職が促進されたものと考えているところです。

12番目が労働移動支援助成金による再就職のうち、フルタイム労働者の割合です。こちらの実績は65.1%、目標の64.2%を上回っております。こちらについても支給要件の厳格化とか、見直しなどを実施していることが効果があったのではないかと考えているところです。

13番目が産業雇用安定センターによる出向・移籍の成立率についてです。成立率については61.8%、目標の61%を上回っております。企業訪問を増やしたり、キャリアコンサルティングなどの取組みを進めたことによって目標達成できたものと考えております。

4ページには2番目の項目のまとめが書いてあります。2段落目の「また」以下ですが、「引き続き、積極的に企業訪問等を行うとともに、個々の労働者の出向・移籍に当たっての課題把握、支援メニューの策定、必要に応じた各種講習・訓練を実施し、より一層円滑な出向・移籍の実現に取り組むべきである」という形としております。

3点目が若者の就労促進です。こちらは3項目あり、マル14が目標です。マル15とマル16は、目標に届かなかったといった状況になっております。マル14ハローワークの職業紹介により正社員に結びついたフリーター等の数ですが、実績は30.8万人で、目標の30万人を上回っております。

 マル15ジョブサポーターによる支援における正社員の就職者数です。こちらの実績は19.2万人です。目標が19.5万人ですので、進捗率で申し上げますと98.4%ということになりますが目標を下回った状況になっております。利用者数については大幅な減少、5%以上の減少が見られたところです。こうしたことにより目標を達成することができなかったと考えております。

 マル16新卒応援ハローワークの正社員就職者数です。実績が9.8万人、目標の10.2万人を下回っております。こちらについても、相談件数が10%以上の減少が見られたところで、こうしたことにより目標を達成することができなかったというものです。

4ページ目の下から5ページ目にかけまとめを書かせていただいております。関係機関との連携を引続き実施することにより推進していくべきであるといったことを記載しております。

5ページ目、4番目の高齢者の就労促進については2項目マル17マル18の目標を立てております。まずマル17生涯現役支援窓口でのチーム支援による就職率です。55歳以上については、就職率は目標を僅かに下回った状況ですが、65歳以上については就職率が62.9%で、目標の50%を上回る実績となっているところです。

 マル18シルバー人材センターにおける契約受注件数です。こちらについては、人/日で目標を立てておりますが、実績としては7,054968人ということです。目標の7,100万人/日を下回っているといった状況です。

 こちらについて5ページの下からまとめ的なことを記載させていただいています。2段落目の「引続き」以降に書いてありますが、高齢者の雇用に意欲的な企業や就職希望の多い業種、職種に絞った求人開拓、また求人の職種や労働条件、有する職業能力や資格に関する評価など自己理解の促進のためのガイダンスの実施など、再就職支援に積極的に取り組むべきであるといったことを記載しています。また、シルバー人材センターにおきましては、マッチングがうまく行かなかったということがありますので、今後はマッチングに重点を置いた施策を講じるべきであるといったことを記載しています。

 引続き、2017年度の目標設定について御説明したいと思います。まず参考資料2-4を御覧ください。こちらについてはタブレットでの御参照という形になります。上のタブのほうで2-4が右側にありますので、矢印を押していただき、参考資料2-4を押していただければと思います。よろしいでしょうか。

 こちらについては、前回の中間評価の際、委員の皆様方の意見を反映させていただいて、目標については大きく見直しを行っております。まず、ハローワークに関する目標数の減少を図るといった考え方のもとに、同一とか類似の目標については一本化させていただいております。また、全体の動向として把握が可能と考えられる個別事業の目標についても目標を削減させていただいているところです。

 左側に2016年度の目標という項目、右側が2017年度の項目という形になっております。2016年度目標の項目で言いますと、マル2、マル3、マル5、マル8、マル9、マル16の項目について削除させていただいております。

 新たに追加させていただいた項目については、右側の2017年度目標項目というところを御覧いだだければと思います。右側の項目の番号で申し上げますと、まず人出不足への対応状況として、マル2人材確保対策コーナーの設置、ハローワークの人材不足分野の充足数を目標として新たに設定させていただいております。

 またマル7ですが、就職困難者への対応状況についてもしっかりと把握すべきということがありましたので、生活保護受給者等就労自立促進事業の支援対象者の就職率についても新たに目標を設定しております。

 マル13ですが、外国人の雇用サービスセンター等を経由した留学生の就職件数についても、現状では留学生の方々の3割しか就職できていないといった状況で非常に就職が困難な状況があります。こちらについても、新たに目標として設定させていただいております。

 各項目の目標設定の数値については、お手元に配布させていただいております資料2-3を御覧いただければと思います。横表になっております。こちらの目標設定の考え方について簡単に御説明したいと思います。まず1.ハローワークにおける職業紹介・人材確保等のマル1求職者の就職率です。こちらについては、平成28年度の就職率(見込み値)を維持することとし、31.3%の目標を設定しております。

 マル2人材確保対策コーナー設置/ハローワークにおける人材不足分野の充足数については、2016年度のコーナーの設置、所の実績を考慮し、それを上回る目標を設定させていただいており、26,800人としていただいております。

 マル3正社員の就職件数については、足下で大幅な減少が続いております。平成26年度で申し上げますと0.81%の減少、27年度では4.26%の減少、28年度になりますと6.82%の減少と、減少幅が徐々に拡大してきているところです。こちらについては、何とか過去3年間の平均値である3.96%の減少以上の数値を残したいという目標の立て方をしており、平成29年度の目標値については76万件に設定させていただいているところです。マル4マザーズハローワーク事業については、過去3年間の実績を踏まえて目標を設定させていただいています。マル5雇用保険受給者の早期再就職割合についても過去の実績を踏まえ、目標を36%以上とさせていただいております。マル6求職支援制度による職業訓練の就職率も3年間の実績を考慮しての設定というところです。マル7生活保護需給者等就労自立促進事業の支援対象者の就職率も、過去の実績を考慮して設定させていただいているところです。

2.失業なき労働移動の推進については、2016年度の実績を踏まえ、実績の55%以上という設定をさせていただいております。マル9労働移動支援助成金も、2016年度の実績を踏まえ、それ以上という形にさせていただいております。マル10産業雇用安定センターによる出向・移籍の成立率については、雇用情勢の変化や出向・移籍が困難とされる異業種間の移籍動向による変動が大きいというところがありますので、過去5年間の平均を取らせていただき、61%以上とさせていただいております。

3.若者の就労促進です。マル11フリーター等の数についてですが、支援対象者であるフリーターの数は7.2%程度減少することが見込まれているところですので、こちらの減少を踏まえた目標の設定をさせていただき、292,000人とさせていただいております。マル12高卒ジョブサポーターによる支援、こちらも支援対象となる未内定の卒業者が5.1%減少するということですので、この減少を踏まえて191,000人の目標を立てさせていただいております。

 マル13外国人雇用サービスセンター等を経由した留学生の就職件数、日本再興戦略において2020年までに外国人留学生の日本国内での就職率について、現状の3割から5割に上昇させることが目標として明記されているところです。こちらを段階的に達成するということで、2017年度の就職件数については1,750件と設定させていただいています。

 次に4.高齢者の就労促進です。マル14生涯現役支援窓口でのチーム支援による就職率については、前回の御議論で年齢をきちんと区分したほうがよいのではないかという御議論がございましたので、55歳から64歳と、65歳以上とに分けて設定することとし、実績を踏まえ、それぞれ75.8%、62.9%に設定させていただいております。マル15シルバー会員の就業の延べ数は、引き続き2016年度の目標を掲げて設定させていただいているところでございます。

 以上が、2017年度の目標設定に対する説明です。こういった目標を掲げ、2017年度におきましても取り組んでまいりたいと考えているところです。説明は以上です。

○阿部分科会長 本件について、御質問、御意見がありましたら御発言ください。矢木委員どうぞ。

○矢木委員 資料2-3のマル5雇用保険受給者の早期再就職割合について質問させていただきます。この質問は、201737日に行われた第120回職業安定分科会の席上、私のほうから質問させていただいた内容と関連いたしますので、あえて質問させていただきます。雇用保険法の改正において、特定受給資格者の所定給付日数が一部拡大されております。37日の段階でも、第120回職業安定分科会の懇談会の席上でも、私のほうから、そういう変更があるのに従って、この指標の細分化などの対応を図る必要があるのではないかというお話をさせていただきました。分科会長からも、大変建設的な意見だという御発言を頂いております。

2017年目標では、細分化等をして目標を設定するなどの対応が必要ではないかということについて、厚生労働省の見解を是非ともお伺いしたいと思います。以上です。

○阿部分科会長 事務局からお願いします。

○雇用政策課長 委員御指摘のとおり、以前にも同様の御指摘を頂きました。そのデータについて、特定受給資格者などの給付ごとのデータについては把握が困難な状況ですので、こちらについての目標設定は難しいという状況です。ただ、こちらのデータ把握については、平成31年度のシステムの公開を予定しているところですので、それに合わせてこちらのデータを把握できる状況にしてまいりたいという方向で考えさせていただいております。そちらを踏まえ、また目標設定についても検討させていただければと考えております。

○阿部分科会長 矢木委員、よろしいでしょうか。

○矢木委員 はい。

○阿部分科会長 その他にいかがでしょうか。高松委員どうぞ。

○高松委員 資料2-3で、新設項目として出された3番の若者の就労促進の中のマル13外国人雇用サービスセンター等を経由した留学生の就職件数について3点質問させていただきます。政府は、2020年までに外国人留学生の日本国内での就職率をを3割から5割に引き上げることを目標としていると説明がありました。また、2020年までに「外国人留学生30万人計画」も掲げていると承知しております。単純に留学生を増やすだけではなくて、就職まで結び付けるというのが重要な政策課題になっているとお聞きしています。ただ、外国人の雇用サービスセンターは、全国に3か所しかないと認識しています。3か所しかない政策推進機関の指標を、厚生労働省全省の政策目標として掲げるというのは妥当なのでしょうか、というのが1つ目です。

 併せて、外国人の留学生の数ですけれども、最近は増加傾向にあるということでした。文部科学省の調査をひも解くと、20152016年にかけて3万人ほど増加しているという数字が出ています。これに留学生の就職率を3割から5割に引き上げるという目標を加味すると、前年が1,563件ですから1,750件という目標値は少々保守的すぎるのではないでしょうか

3つ目は政策目標とは離れるのですけれども、最近は勉学ではなくて、就業を目的にした、偽装留学生のような者も増えていると聞いております。そうした者に対する対策がもしありましたら、それも合わせてお聞かせいただきたいと思います。以上3つをお願いいたします。

○阿部分科会長 事務局からお願いします。

○雇用政策課長 委員御指摘のとおり、外国人の対策についてですが、まずサービスセンターについては3か所だけとなっております。ただ、こちらを中心としたサービスの提供ということにはなるのですけれども、他にも留学生コーナーを設置していて、北海道、宮城、埼玉、千葉、東京、神奈川など17か所でコーナーを設置しています。こちらも含めた数値になっております。

 こうした中で、確かに年度ごとの数値の見直し、またその母数が増えてくると、その就職ということが増えてくるということがあるかと思います。まずは初年度として、現行の数値を踏まえ、そちらを上積みする形での1,750件という目標設定をさせていただいております。

 留学生の適正就労というのはごもっともなことだと思います。特に問題となっているのは、学生の身分として留学していながら、大学などの学校に通わずに働いてしまっている方々が、報道等でもかなり見られるのかと思います。今回目標として設定させていただいているのは、あくまで大学を終って、就労の関係のビザを正式に取得していただき、きちんとした形で就労していただく方の就職件数となっております。法務省を中心に入国管理とか、滞在状況についての確認は行わせていただいているところではありますけれども、日本に留学して就職を希望される方々については、しっかりとした就職をかなえることによって、政府の目標の達成、こちらは厚生労働省の就職件数だけではなくて全体の数になるのですけれども、厚生労働省としてもそうした取組については進めてまいりたいと考えております。

○阿部分科会長 高松委員、よろしいですか。

○高松委員 最近もNHKのニュースで、外国人留学生にとって、日本は就職先として魅力がないという内容の報道がありました。この指標で正しいのかどうかは来年以降も見直しをしながら進めていただきたいと思います。

○阿部分科会長 他にはいかがですか。遠藤委員お願いします。

○遠藤委員 私も、2017年度の目標案について、資料2-3に基づいてお尋ねいたします。マル2に「人材確保対策コーナー設置」という言葉があります。この設置件数についても、限定的に置かれていると聞いています。今後、このコーナーの増設の動きがあるのかどうか、動きがあるのであれば教えてください。

2点目はマル7で、この事業の対象者が「生活保護受給者等」となっていますが、伺ったところによると、生保受給者だけではなくて、児童扶養手当受給者、更には生活困窮者という方々も対象になっている事業と聞いています。福祉的な側面も持っているこの事業について、目標を立てながらPDCAで回していくことが馴染むのかどうかというのは若干疑問のあるところです。稼得能力のある方が生活保護を受給しているものの事情が様々なので、本事業の中で、対象者を一定程度絞るということは十分理解いたします。しかし、高い数値の目標達成があるがゆえに、その支援機会を奪われることのないよう、運用していただきたいと思います。これに関連してですが、この事業は就職後のフォローという形で継続雇用されているのか、定着しているのかというところも見ていると聞いています。今後、この目標がうまく機能しているということが見て取れる段階からで結構ですので、定着率も、参考指標として併せて見ていくことが必要ではないかと思います。

 最後に、参考資料2-3、タブレットにある資料です。「中長期目標一覧」で、マル1からマル7まで掲げてあります。それぞれ大変重たい目標ではありますけれども、関係者の御尽力により、数値として政策効果が出てきているものが幾つも並んでいます。下から2つ目のマル6に「不本意非正規雇用労働者の割合」があります。関係者の御尽力にもかかわらず、この数値を見る限りにおいては、政策効果が出ているというわけではないのではないかと思われます。このマル6に関わる部分については、今般の厚生労働省の組織変更がありましたので、別の審議会の対象項目ということになるのでしょうか。以上、3点です。

○阿部分科会長 事務局からお願いします。

○首席職業指導官 まず、人材確保対策コーナーについての御質問でした。現在、人材確保対策コーナーについて、今年度は全国で12か所ということで、人材不足が顕著な地域、あるいは被災地域である仙台や熊本等の12か所に設置しています。今は非常に限定的な箇所数となっております。最近の雇用情勢、今後の推移等を踏まえると、まだまだ不十分かと思っています。ですから、来年度の概算要求に向けて、具体的な額や箇所数等はまだ、この段階では検討段階ですけれども、現在、概算要求に向けて検討を進めております。

○就労支援室長 2点目の生活保護の対応です。PDCAに馴染むかどうかというお話でした。過去の就職率の実績を見ると、本事業は平成23年度から開始しておりますが、平成24年度が62%、平成25年度が61%ということでした。直近の状況を見ると、3年のアベレージでは大体65%ぐらいの実績で安定的に推移していますので、一応その65%を目標に取組をしてまいりたいと考えております。おっしゃるとおり、やはり就職が難しい方々が多いですので、回数であるとか時間もかかるということがあります。ただ、その数値目標を意識する余り、その辺りが雑にならないように、引き続き丁寧に対応してまいりたいと考えております。

 それから定着率に関してです。今は半年後に4割ぐらいの方が辞める状況にあります。こういう状況を踏まえて今年度から、その辺りの定着の対応をやっていこうということで、今年度に対策を始めたところです。一応そういう数値も意識しながら取り組んでまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

○雇用政策課長 不本意非正規の部分については、組織替えにより新たな組織によって取り組んでまいります。厚生労働省としては、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。また、本日頂いた御意見については、担当部局のほうに申し伝えたいと思います。

○阿部分科会長 遠藤委員の3番目の御指摘は、この指標の評価をこの審議会の場でやるのか、それとも他でやるのかということだろうと思うのですけれども、その点はどうなのですか。

○雇用政策課長 中期目標の数値については参考として出させていただいています。今回立てさせていただきました2017年度の目標については、当該審議会において御議論いただければと考えております。

○阿部分科会長 遠藤委員よろしいですか。

○遠藤委員 大変難しい局面を迎えていることは重々承知しておりますけれども、関係者の皆様方の御尽力をお願いしたいと思います。

○阿部分科会長 その他はいかがですか。林委員どうぞ。

○林委員 今の遠藤委員の御発言に関連してです。私からも同じ部分について発言させていただきます。参考資料2-3のマル6で、18.1%、15.6%ということで、雇用情勢の改善や様々な取組の結果、この不本意非正規雇用労働者の割合は減少してきてはいます。しかし、不本意非正規の割合を2020年に10%以下、そして若年層の不本意非正規を半減するというのはかなり高い目標でもあります。特に若年層については、中高年のフリーター問題ともつながっていきます。今回、厚労省の組織変更ということで、担当が変わるところではありますが、そのことによってこの取組が落ちることなく、引き続きいろいろなセクションの方々が、お互いに連携し合いながら、むしろ取組の強化につながるよう、あらゆる方面から御尽力を頂きたいということで、併せて発言させていただきます。

○阿部分科会長 その他にいかがでしょうか。河本委員代理お願いします。

○河本委員代理 代理で失礼いたします。1件確認させていただきます。資料2-3のマル10産業雇用安定センターによる出向・移籍の成立率です。2016年度の目標と2017年度の目標値は、61.0%と同じ数値でということでした。先ほどの説明の中では、過去5年間の実績と、もう一点は異業種間で、業種間や業界間の人材の移動に関する部分が重要だと先ほど伺いました。そこをもう少し詳しくお伺いできればと思います。

○阿部分科会長 事務局からお願いします。

○雇用政策課長 産業雇用安定センターについては、平均値を取るときにどこまで取るかという問題があります。過去5年間で取らせていただいています。出向・移籍をマッチングする際に、同業種間であると比較的そのマッチングが容易ですけれども、異業種間での移動となると、なかなかマッチングが困難だと一般的には考えられるところです。そういうところがありますので、比較的長めの実績の平均値を取らせていただいて、5年間の平均値である61%を踏まえて、目標を61%以上という形で設定させていただいております。

○阿部分科会長 よろしいですか。

○河本委員代理 はい。

○阿部分科会長 村上委員どうぞ。

○村上委員 今御指摘のあった産業雇用安定センターのことで質問させていただきます。資料2-28ページと9ページの辺りです。目標値のことは別に何も問題だとは思っていませんが、目標達成に当たってどのようなことを行っているのかということです。8ページでは、人材の受入れ情報の収集等のために企業への訪問を増やしてきたという説明になっていますが、9ページのマル13では、「企業への訪問件数を増やし、出向・移籍の対象者情報の収集、確保に努める」となっています。どちらを主に置いて企業訪問をされているのかという説明ぶりが違っているのではないかと思います。産業雇用安定センターが最近はどのようになっているかを詳しくは承知していないのですが、本来は企業側から、この部門を少し縮小したいという所があって、出向・移籍の依頼などがあって、そこで受け入れる企業の情報を開拓していくようなために企業訪問されるというのがスキームではないかと思っていました。9ページの評価シートだけではなく、資料2-1にも同じような記載がありますが、出向・移籍の対象者情報の収集確保のために企業訪問を行っているのでしょうか、その辺りの実情を教えていただければと思います。

○阿部分科会長 お願いします。

○労働移動支援室長 労働移動支援室長の木原です。今は雇用失業情勢がかなり良いものですから、なかなか優秀な人材を出すということにはらないと思うのです。基本的には事業縮小を行う企業の情報収集を行いつつ、その受入れを行う企業の開拓をするということです。事業縮小に関する情報収集をまず第一に行っています。今は送り出す方も少ない中で、人材育成のための出向というものもありますので、そういうものに特化した受入側の情報収集をしながら、そのマッチングを行っている状況です。

○阿部分科会長 村上委員よろしいですか。

○村上委員 はい。

○阿部分科会長 遠藤委員お願いします。

○遠藤委員 産業雇用安定センターの設立に関わっていた団体でもありますので一言申し上げます。産業雇用安定センターには、優秀か優秀でないか、そういうことではなくて、登録された人材情報が入ってきます。その情報が入ってきただけではマッチングが図れないということで、センターには各企業から、マッチングのための支援をしてくださる形で人が送られています。機械的なマッチングでは見えてこないところについて、それぞれの担当の方が一件一件回ってマッチングの精度を高めるといった地道な作業を今日まで続けてきていることが、産業雇用安定センターの実績につながっていると聞いております。そういう地道な活動は今後も続けていっていただきたいと思っています。

○阿部分科会長 その他にはいかがですか。柴委員お願いします。

○柴委員 私も資料2-32017年度の年度目標()の中で、高齢者の就業促進についてということで、マル14の「生涯現役支援窓口でのチーム支援による就職率」についてお伺いします。今回は目標の立て方が変わり、55歳~64歳と、65歳以上に分けて目標を設定することで、それぞれの層に対して、よりきめ細かい対応が図られるものと受け止めています。

 特に55歳~64歳の層については、求職する際の本人を取り巻く状況も様々ということがあって、雇用の質についても求める求職者が多いということが考えられます。目標の達成に向けては、雇用の質についても配慮することが必要です。2016年度評価の実施状況の分析でも、50代後半層の求職者の希望について、非常に難しい情報がいろいろあるのだということを見ると、よりきめ細かいチーム支援が必要になってくると思います。その辺をどのように進めていくのか、お考えがあれば教えてください。

○阿部分科会長 事務局からお願いします。

○雇用政策課長 委員御指摘のとおり55歳層、今回は目標に達成して取り組んだ結果、実績の所でも若干増えております。やはり55歳層の方々については、賃金に関する条件、また職種に関するこだわりが強いという状況が見られますので、なかなか就職率の向上に結び付けることができなかった。

 ただ、こういう中でも、雇用情勢の現状とか、チーム支援という形で、それぞれが手厚いサポート、むしろ担当者制よりも更に手厚いサポートを行うことにより、求職者の方々の御希望をお伺いしながら、また、現状の求人の状況なども説明しながら、何とかマッチングにつなげてまいりたいと考えているところです。引き続き、こちらの政策については実施してまいりたいと考えております。

○阿部分科会長 柴委員よろしいですか。

○柴委員 はい。

○阿部分科会長 他にはいかがでしょうか。太田委員お願いします。

○太田委員 ハローワーク求職者の就職率について少しお伺いしたい点があります。就職率は31.3ということで、前年度実績は上回ったものの、目標としていた32.4というのを下回ったという評価です。ハローワーク求職者の就職率は、ここで第一に掲げられている、ハローワークにとって非常に重要な指標ですので、この点に関して少しお伺いします。その目標を下回った理由として資料2-1のほうで書かれているのは、就職に当たって制約が多い求職者が増えたからだという判断です。恐らく、そういう点はあろうかと思います。高齢者の比率が上がったりということもあります。ある意味、就職ができやすい人材から先に就職していくということはもちろんあると思います。

 それと同時に、求人側も比較的良質な求人から先に埋まっていくという現状も恐らくあるのではないかと思います。そういう意味では、背後には求職者の質の変化と同時に、求人の質の変化ということも、ひょっとするとあるかもしれません。また、就職率を規定するその他の要因としては、ハローワークがどの程度効率的に運用されているかということも、影響要因として考えられます。

 したがって、こちらのほうでは「求職者の質の変化がメインの要因である」と書かれています。その他の要因を十分に検証した上で、これがメインであるとお書きになるならばそれはそうかもしれませんが、その他の要因に関しては余り明示的に書かれていないということがありますので、いかがでしょうかという点です。

 また、2017年度の年度目標が31.3ということで、2016年度と同じになっている点に関してお伺いします。目標設定の考え方として、実績と同時に、GDPの変化等を考慮したりするということがあったと思うのですが、そういう点を考慮した上での据置きというように考えていいのか。これは、2017年度の年度目標を、全く今年の実績と同じにしたということに関しての理由について、もう少し説明していただければと思います。

○阿部分科会長 それでは、よろしくお願いします。

○首席職業指導官 最初の御質問の「就職率の実績について」です。その要因として、求職者側の制約等について、ここでは理由を掲げています。当然ながら御指摘のように求人の質についても要因はあろうかと思います。ただ、その辺のところについて、具体的に細かく分析等は現状ではできていないのが正直なところです。例えば、正社員求人についても、正社員求人の確保、開拓ということを一生懸命やってきて正社員求人も増えてきていますが、就職者は御案内のとおり増えていないという状況です。正社員求人という、言わば一見して、非常に良質と思われる求人であっても、正社員求人の一つ一つを見ていくと、中には賃金水準が低かったり、労働条件が余り芳しくないといった正社員求人も中には当然あるということです。そういうところも、この就職がなかなか進んでいかない部分であろうかと思っています。そういうところについては、ハローワークのほうでも求人の充足という観点は非常に重要ですので、より充足可能になるような求人内容、条件になるように、求人要件の緩和というものも積極的に引き続き進めていきたいと考えているところです。

○雇用政策課長 2点目の目標設定の関係です。委員御指摘のとおり、経済見通しなどの指標を踏まえると、経済については回復傾向という形になっていますし、その雇用関係の指数についても、例えばその完全失業率については、平成29年度の見通しとしては2.9%、こちらは平成28年度の実績見込みの3.1%を下回るという状況になっておりますので、その労働力需給に関しては引き締まり基調ということが見込まれるといったところかと思います。

 そういう意味で、その数値については若干この目標設定を高めに設定している部分は、なかなか達成が容易ではない目標を設定させていただいているところではありますけれども、こちらについては何とか31.3%という、2016年度に達成できた実績がありますので、こちらについては何とか維持してまいりたいということで考えております。

○阿部分科会長 太田委員よろしいですか。

○太田委員 はい。

○阿部分科会長 他にはよろしいでしょうか。まだ御意見のある委員もいらっしゃるかもしれませんので、各委員におかれましては、本日御指摘の点以外にも御意見がありましたら、728()までに、お手元にお配りしているシート又はメール等で御意見を事務局までお知らせいただければと思います。なお、当分科会としての評価及び2017年度の目標については、本日の議論及び追加で御提出いただきます御意見を踏まえ、私と事務局で相談をして取りまとめたいと考えておりますがよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。次の議題は、2016年度のハローワークのマッチング機能に関する業務の評価、改善の取組についてです。事務局より説明をお願いします。

○公共職業安定所運営企画室長 運営企画室の渡辺です。私からは資料NO.3に基づき、「2016年度のハローワークのマッチング機能に関する業務の評価・改善の取組について」御説明をさせていただきます。タブレットの真ん中ほどに、3と書いている横書きの資料があります。最初に表紙があり、続いて1ページに概要の全体像が書いてありますので、御覧ください。

 ハローワークについては、下の左側の欄にありますとおり、従来から就職率などを中心に、PDCAサイクルによる目標管理を行ってきたところです。それを総合評価という形で、平成27年度から拡充する形で評価しております。具体的には、2つ目の左側のポツにありますとおり、地域の雇用の課題を踏まえて重点とする業務に関する指標を追加したり、中長期的な就職支援の強化のため、職員の資質向上や継続的な業務改善の取組を評価に加えて、マッチング機能に関する業務の総合評価をするといった取組をしているところです。

 こちらの評価結果についてですが、真ん中の欄の中ほどに書いておりますけれども、ハローワークごとに指標ごとの実績や目標の達成状況だけでなく、重点的に取り組んだ事項、業務改善を図った事項などを取りまとめて、労働局ごとに、この分科会の後、公表するというような手続を取っているところです。

 右側の欄にありますのは、その後ですが、評価結果に基づき、全国的な業務改善を図っていくことを目的としているところです。重点的に業務改善が必要なハローワークについては、しっかり指導していくとともに、好事例につきましては積極的に全国展開を図っていくこととしております。

2ページの資料を御覧ください。こちらは総合評価の構成についての説明です。2つの構成になっております。左側の欄を御覧ください。こちらは全てのハローワークで共通の主要指標による評価、それが(1)です。それに加え、右側の欄ですが、ハローワークごとに地域の特性等を踏まえ、重点的に取り組む業務、あるいは継続的な業務改善に関する評価を行うことにしております。右下の欄の(1)にあるように、障害者等の就職者数や生活保護受給者の就職者数など、ターゲットを絞った所重点指標による評価というものを1つ設けております。その下の(2)ですけれども、こちらは職員による事業所訪問や、職員にキャリアコンサルティング研修を受講させるなどの取組を、所重点項目として設定して、総合的に勘案し、評価することにしています。

3ページ目を御覧ください。こちらは総合評価の方法について説明したものです。指標につきましては、マル1年度当初に目標を定め、その達成率によりポイントを計算することにしております。そしてマル2はボーナス的な加点ということで、この場合は過去3年間の実績の平均としていますが、実績が例年を上回った場合に加点をすることにしております。マル3は、指標だけではなくて、前のページで御説明した重点項目です。職員の資質向上の取組などを行った場合に、一定のポイントを加算するということです。以上の13のポイントの合計をして、ハローワークごとの総ポイントを出すことにしております。

3ページの一番下に書いておりますのが、ハローワークについては置かれている労働市場の状況なども異なっておりますので、業務量や規模を踏まえ、ハローワークを11のグループに分類しております。そのグループの中でポイント数を比較評価するという形を取っております。これは好事例を横展開したいという思いがありますので、グループ化をしているということです。

 また、業務改善につなげることが目的ですので、ポイント数そのものを公表するという形ではなくて、評価結果については4段階として、実績値に加えて重点的に取り組んだ事項、業務改善事項などをまとめて公表することとしています。

4ページを御覧ください。こちらが平成28年度における総合評価結果の総括です。今年度は全国428のハローワークを対象に実施しているところです。4段階の評価の方法ですが、点線の枠のところにあるとおり、まず11の各グループごとに平均値を基準として、平均値以上を類型12、平均値未満を類型34に区分しております。その上で、類型12のうち、目標達成率100%を満点とみなし、満点以上を類型1としております。また類型34のうち、グループの平均値80%未満の所を類型4としております。ただし括弧にありますとおり、規模の大きい所、第1グループは90%未満、次に規模の大きいグループ、25のグループについては平均値85%未満を類型4として、規模の大きい所のハードルを高くしているところです。

 平成28年度の結果ですが、類型1については3所、類型2208所、類型3217所、類型40所となっております。隣にあります括弧の数字は平成27年度のものです。右側の表は、参考までにグループごとの満点と平均値を掲げたものです。

5ページの図を御覧ください。一番上が全体を表した分布図で、その下からは11のグループを5つに分けて、平成27年度との比較を行っているものです。少し図を解説します。横軸が、就職件数などを含む指標に関するポイントです。縦軸が職員の事業所訪問、あるいはキャリアコンサルティング研修の受講など、こういった取組を所重点項目と呼んでおりますが、所重点項目に関するポイントを点数化したものです。5ページがグループごとに見た全体の分布で、5ページの真ん中は、一番規模の大きい第1グループの分布です。先に進んで6ページの一番下は、一番規模が小さいグループ、具体的には911グループの分布になるものです。ざっと見ていただいて確認できることですが、平成27年度は規模が大きいほうがばらつきが少なく、規模が小さくなるとばらつきが大きくなる傾向が見られましたが、平成28年度はその傾向が若干弱まっていることが確認できます。

 また、重点項目の取組を中心に、全体として底上げが図られている、縦軸のところの点が上がってきていることが確認できます。重点項目による評価は、平成27年度に初めて導入したこともあって、初回は積極的に実施している所と低調である所の差が出ていたものが、今回は2回目なのですが、この取組が一定程度の広がりを見せているのではないかと確認できるところです。

 また今回、類型1が平成27年度として減ったことについて、もう少し時間を掛けて分析したいと思っているのですが、先ほどの市場の話があったとおり、今、全国的に雇用情勢の改善をしており、ハローワークへの新規求職者数が減少しています。労働市場が逼迫するということで、今回は就職者数や求人充足数などを主要指標として評価しておりますが、そこの加点については、先ほど例年超えというところがボーナス的に付与されるとマル2を説明したのですが、それが今回は、前回に比べて取れなくなってきているというのも要因ではないかと見ているところです。

7ページ以降で好事例を3つ御紹介しております。また向きを戻してください。3つというのは、平成28年度評価で類型1となったところですが、まずは千葉県の船橋所の取組です。点数が高いことに加えての特徴としては、東京への通勤圏内で利用者が多いということで、1つ目の●にあるとおり、通勤圏のマッチングを促進するために千葉県内の近隣所だけでなく、東京都近隣所とも一緒になって、5所共同で就職面接会を開催しました。あるいは開催に先立って「京葉マッチング会議」というものを行って、事前に周知・PRなどをして、集客に努めたといったことが挙げられているところです。

 続いて8ページを御覧ください。こちらは群馬県の太田所の取組です。こちらでは業務改善に向けて、全職員一丸となった取組を積極的に行っていることが特徴です。具体的には1つ目の●にあるとおり、全職員から企画提案書を提出してもらい、その結果、例えば、履歴書記入専用コーナーの設置や、人手不足分野でのツアー型事業所見学会、これと面接を同じ日にセットして開催する。こういった取組が実現しているところです。また、外国人のコーナーの話がありましたが、こちらはコーナーはないのですけれども、外国人求職者が多いという地域の事情を踏まえ、担当者制による就職相談もやっていることが確認できております。

 最後の9ページを御覧ください。こちらは栃木県の矢板所の取組です。こちらの所は比較的規模が小さいということで、地元の関係機関と密に連携した取組を進めていることが特徴的です。具体的には1つ目の●にあるように、矢板市在住の学生、地元出身学生の地元企業への就職に向けて、保護者向け企業セミナーを、市や商工会と一緒になって開催している、あるいは意見交換会を、市長、商工会会長、ハローワーク所長と一緒になって「やいたUターン意見交換会」を開催し、地元定着を目指していることなどが特徴的です。

 以上、好事例を御紹介させていただきました。今後とも、こういった好事例については、全てのハローワークの機能強化に向けて横展開を図ってまいりたいと考えています。また、この総合評価につきましては、今回で2年度目ですので、継続的な改善が必要だとも思っております。今後ともハローワークの中期的な業務改善、機能強化につながるような形で取り組んでいきたいと考えております。資料についての説明は以上です。

○阿部分科会長 それでは本件に関して、御質問、御意見がありましたら御発言ください。

○村上委員 総合評価をして見たところ、全体的に底上げされているということであるとか、好事例の御紹介もありましたけれども、それらを拝見しても、やはり、そういった評価は高まっていったことの背景には、現場の職員の皆さんの創意工夫であるとか、安心して仕事に取り組んでいらっしゃる環境があってこそだと思われます。

 そういった意味で、昨年も同じようなことを申し上げたのですが、ハローワークの職員の皆さんの半分ぐらいは非正規の方がいらっしゃるということで、是非そういう方々が安心して能力を発揮できるような環境を整えていただきたいと思います。同一労働同一賃金の議論もあり、公務員は違うのだという議論もありますけれども、やはり同じように仕事をされているということであれば、その処遇の改善というのは必要ではないかと思います。

 それからもう1点、細かな点で質問なのですが、好事例マル1の船橋所の取組の●の3つ目がよく分からなかったので教えていただきたいのですが、職業相談の職員の方が求職者目線で見た意見として、求人部門の方に求人条件緩和の提案を行い、それを踏まえて求人部門が求人企業に対して条件緩和を相談して、そのことによって求人が充足することに結び付いているということなのですけれども、求人条件の緩和について、もう少し具体的に教えていただいてもよろしいですか。

○公共職業安定所運営企画室長 求人一覧表というのは求人部門が作っているのですが、求職者の声をよく耳にするというのが職業相談部門であり、その中で、こういった求人があれば働きたいのにという話が幾つかあります。よく出てくるのが休日を週休2日で取れるとよいといった待遇面の話があります。また、仕事内容も事務職だったらいいよというので、お勧め求人にもあるのですが、どういった中身か分からないので敬遠してしまうようなところがあるようです。補足で仕事内容をもう少し細かく記載するなど、見て分かりやすい求人にしていくというのも大事な取組ではないかと考えております。

○阿部分科会長 よろしいですか。ほかにいかがですか。私から1つ、質問というか意見なのか分からないのですが、今、議論されている、このハローワークに関しての目標設定ですけれども、これは全国のハローワークが集まると、先ほど第2の議題で話した目標のところにつながっていくようになるわけですよね。ところが、目標の中身が、第2議題の年間目標の立てられている十幾つの目標設定と、ハローワークに対して設定されている目標数が3つということですかね。そういう意味で、ハローワークがどこに注力して仕事をするかというのが、ちょっとずれる可能性はないかという懸念があるということですね。つまり、第2議題で話していた目標を達成するということを全部やるのか、それともこちらのハローワーク個別の評価の軸になっている所に注力していくのか。本来、できたらそれを合わせるのが必要ではないかと思ったことです。

 それともう1つ、次年度の目標なのですが、ハローワーク単体では過去3年間の平均値を自動的に目標に立てるわけですけれども、先ほどの第2議題での目標設定というのは、そうではなかったわけですね。そこに目標のずれというものが出てくるような気がするのですが、この辺りを次年度は少しお考えいただいて、それぞれのハローワークに対してどのように目標を設定していくのかということと、年度目標のほうもどのように立てていくのかを、ある程度は合わせていったほうがいいのではないかということです。ただ、余りやり過ぎると、それだけで大変な労力になってしまうので、それはそこそこでもいいと思うのですが。ハローワークが積み上がって年度目標になっていくわけなので、その辺りを少し加味しながら、次年度以降はお考えいただけないかと思った次第です。何かあれば。

○公共職業安定所運営企画室長 御指摘どうもありがとうございます。私の説明が足りないところがありましたので、少し補足をさせていただければと思います。全体の指標と個別の所の取組が同じ方向を向いて、整合性が取れなければいけないというのは、阿部分科会長のおっしゃるとおりだと思います。今回のハローワーク評価は全ての所にやってもらわないといけないというので、所ごとにマンパワーであるとか、体制面での違いがあるということで、指標についても2段階で見ています。資料32ページになるのですが、主要指標は全ての所について実施する。それ以外の指標として、右側にありますように「所重点指標による評価」があります。こちらは厚労省として大切に考えているターゲット、例えば就職困難者などを目標に設定してくださいと、本省のほうからお示しをしているものです。現在、この「所重点指標」は12あり、大きい所は、このうちの9つを目標設定してください、その次に大きい所は7つ、中規模の所は5つ、ということで、地域の置かれている状況でどこに力を入れたいかというのは、労働局と相談しながら各所が決めているのですが、なるべく全体の目標と合うように、今後も誘導していきたいと思っているところです。

○阿部分科会長 分かりました。

○公共職業安定所運営企画室長 また、過去3年間の平均値を超えることを目標にはしていなくて、超えればボーナスとして主要指標毎に30点ずつ加点しましょうという形をとっております。

○阿部分科会長 そうですか。

○阿部分科会長 分かりました。目標は例年より上回った場合ということですね。ほかにいかがでしょうか。もしよければ、本日の予定されている議題は以上で終了したいと思いますが、よろしいですか。

 本日の会議に関する議事録については、労働政策審議会運営規定第6条により、分科会長のほか、2人の委員に署名を頂くことになっております。つきましては、労働者代表の勝野委員、使用者代表の遠藤委員にお願いしたいと思います。本日もお暑い中、お集まりいただきましてどうもありがとうございました。これで終了したいと思います。


(了)

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