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2016年9月30日 第116回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録

職業安定局雇用保険課

○日時

平成28年9月30日(金)15:00〜17:00


○場所

経済産業省別館(2階)238号会議室


○議題

・雇用保険制度について
・その他

○議事

○岩村部会長 ただいまから第 116 回雇用保険部会を開催いたします。皆様、お忙しい中をお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日の出欠状況ですが、田島委員、野川委員、秋元委員が御欠席です。また、遠藤委員は 30 分ほど遅れての御出席と伺っています。

 それでは、議事に移ります。本日の議題はお手元の議事次第にありますとおり、雇用保険制度ということになっています。まず議事の順序ですが、資料 4 から始めさせていただきたいと存じます。そこで、事務局から資料 4 についての説明を頂戴したいと思いますので、よろしくお願いします。

○高橋雇用保険課調査官 それでは、資料を御説明させていただきます。配布資料は表紙にありますように、資料 1 から資料 4 まであります。あと、参考資料がありますので、御確認をいただければと思います。

 最初に、資料 4 について御説明をさせていただきます。前回の部会で委員から頂いた御指摘に関する資料ということで、前回の部会の関係ですので、冒頭で御説明させていただきたいと思います。 1 ページを御覧ください。まず「最低賃金と賃金日額の関係について」の資料です。左側から 2 つ目の列で、賃金日額の下限額を記しています。直近、平成 28 8 月を御覧いただくと、 2,290 円が賃金日額の下限額となっています。こちらについては「自動改定」の横に※ 2 が付いていますが、毎月勤労統計による労働者の平均定期給与額の年度ごとの上昇率に応じた自動改定を、毎年行ってきておりまして、ここ最近の推移を御覧いただくと、低下傾向ということになっています。

 その隣の列で、最低賃金の全国加重平均額を記載しています。ここ最近、大幅な引上げが図られてきています。一番右の列で、最低賃金を用いて週 20 時間働いた場合の賃金日額を計算しています。こちらについては最低賃金に 20 時間を掛けまして、それを日額に直すということで 7 で割っているというもので、平成 28 8 月は 2,351 円という結果になります。この額と賃金日額の下限額を比べていただきますと、賃金日額の下限額のほうが下回るという状況になっています。

 平成 23 年の所で、改正法定額に基づく日額の辺りに吹き出しで書いてありますが、このときについては、平成 22 8 月に自動改定された賃金日額の下限額 2,000 円が、このときの最低賃金を用いて計算した賃金日額を下回る水準になったことから、法改正を実施したという経緯です。 1 ページ目は以上です。

2 ページ目以降についてですが、基本手当受給者の基本手当日額の分布状況です。こちらについては委員のほうから、基本手当日額の分布について出してほしいということがありましたので、 2 ページ目以降、それぞれ年齢階層別に出しています。 2 ページ目が 29 歳以下、 3 ページ目が 30 44 歳という形になっています。こちらを順次御覧いただきますと、 29 歳以下や 30 44 歳では、 5,000 5,499 円が最も高い割合となっています。 45 59 歳では 5,500 5,999 円の所、 5 ページ目の 60 64 歳では 4,500 4,999 円が高い割合となっています。そのほかには 30 44 歳や 45 59 歳では、 2,000 2,499 円の層の割合が、ほかの年代よりも若干高めに出てくるという状況です。もう 1 点は年齢が上がるにつれて、上限額の割合も高まってくる傾向があるという状況です。

 最後の 6 ページ目、基本手当日額と再就職時賃金日額の状況です。これは第 1 回の資料でもお出ししています。再就職時の賃金日額について平成 23 年以降を掲載していますが、平成 27 年が青いもので、上昇してきているということです。以上です。

○岩村部会長 ありがとうございました。それでは、ただいま御説明いただきました資料 4 について、御意見、御質問がありましたらお出しいただきたいと思います。

○村上委員 賃金日額の下限額と最低賃金で週 20 時間働いた場合の賃金日額との比較については、資料 4 1 ページにもあるとおり、賃金日額の下限額をこうして見ると、やはり最低賃金を下回るということは問題ではないかと思っています。賃金日額の下限額は是非引き上げていただきたいということと、併せて上限額も引き上げていただきたいと考えていますので、意見として申し上げます。

○岩村部会長 ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。それでは、資料 4 については以上として、今度は順番に戻って資料 1 からということにしたいと思います。資料 1 と資料 2 については、一括で説明を頂きたいと思います。事務局のほうで、どうぞよろしくお願いします。

○高橋雇用保険課調査官 それでは、まず資料 1 について御説明させていただきます。「平成 28 年度末までの暫定措置について」です。 1 ページ目、「平成 28 年度末までの暫定措置について」の全体ですが、 1 つ目が本来の所定給付日数に加えて、給付日数を 60 日間延長する個別延長給付というものです。 2 つ目が雇止め等により離職した者の所定給付日数の拡充です。 3 つ目が常用就職支度手当の支給対象範囲の拡大というものです。これ以降、順次御説明させていただきます。

 最初に個別延長給付です。 3 ページを御覧ください。個別延長給付の概要です。特定受給資格者又は有期労働契約が更新されなかったために離職した方のうち、公共職業安定所長が就職が困難だと認めた方について、所定給付日数を最大 60 日間延長するものです。対象者はその下にありますが、まず (1) として 45 歳未満の求職者のうち、安定した就業の経験が少なく離転職を繰り返している方。 (2) として ➀➁➂ とありますが、有効求職者の割合ですとか有効求人倍率、基本受給率といったものが、平成 22 1 月の全国平均と比べて厳しい状況にあるかどうかという基準です。 (3) が、公共職業安定所長が特に再就職のための支援を計画的に行う必要があると認めた方ということです。

4 ページ目は個別延長給付の支給状況です。これは第 1 回でもお出しした資料ですが、平成 27 年度については初回受給者数が 6 7,000 人ということで、前年度比で 32 %程度減少しているという状況です。

 次の 5 ページも引き続いて支給状況ですが、右から 2 つ目の列に延長給付率というのがあります。こちらは、 の基本手当支給終了者数に占める の個別延長給付初回受給者数でして、基本手当の支給が終わった方のうち、どの程度が個別延長給付に移行したかという割合になります。こちらについては、平成 23 年度は 75 %ありましたが、平成 27 年度は 34.3 %となっています。その右側の列の支給終了率は、 の個別延長給付初回受給者数に占める の個別延長給付支給終了者数でして、個別延長給付を受けられた方のうち、 60 日分の支給が終わった方の割合ということになります。おおむね 85 %ぐらいから 95 %までの幅の所で推移していまして、平成 27 年は 84.9 %という状況です。

6 ページ目が個別延長給付のうちの地域指定についての推移です。地域指定要件は先ほども申し上げたように、そこに掲げてある水準に該当する地域に居住する求職者です

四半期ごとに判定を行い、 1 度判定をされますと、その年度を通じて対象地域になるという形で行っています。

 指定地域の推移は 6 ページの下にありますが、指定範囲の変更ですとか、要件の厳格化を行ってきています。直近、平成 27 年度においては 14 労働局の 35 安定所ということになっています。そちらに上がっている地域を御覧いただきますと、人口の減少などにより地域の活力が低下している市町村を含む安定所が指定される一方で、例えば福岡、大阪の枚方など、大規模な商業圏に隣接するベッドタウンを含む安定所についても指定されているという状況です。

7 ページ目は個別延長給付受給期間中の就職割合です。この数字については注 2 にありますが、支給終了までに就職をされた特定受給資格者の方のうち、個別延長給付の受給期間中に就職した方の割合を出しているものです。こちらを御覧いただきますと、所定給付日数の 90 日の層は、個別延長給付の受給期間中に就職した方の割合が高く、例えば、被保険者期間の 1 年以上 5 年未満の 45 歳未満といった所が高くなっています。

 続いて 2 つ目の暫定措置の件です。特定理由離職者の給付日数の拡充です。まず 9 ページは、雇止め等により離職した方 ( 特定理由離職者 ) の給付日数の拡充の概要です。下にありますが、まず、期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことで離職した方。 2 つ目は正当な理由のある自己都合により離職した方。この理由により離職した方については、通常は一般の離職者と同じ給付日数の 90 150 日であるところ、暫定的に特定受給資格者と同じ給付日数である 90 330 日に拡充しているものです。

10 ページで基本手当の受給資格要件と所定給付日数について整理をしています。まず 、一番上の特定受給資格者の所ですが、被保険者期間は離職の日以前 1 年間で 6 か月以上必要となっており、給付日数は 90 330 日となっています。特定理由離職者については、離職の日以前 1 年間で、被保険者期間は 6 か月必要です。給付日数は 90 150 日ですが、平成 28 年度末までの間、暫定措置で 90 330 日に拡充をしています。それ以外の離職者の方については、離職の日以前 2 年間で、被保険者期間は 12 か月以上必要となり、給付日数は 90 150 日となっています。

 続いて 11 ページ、特定理由離職者数の推移です。初回受給者数について御覧いただきますと、まず特定理由離職者全体の初回受給者数については、平成 23 年度は 10 万人台であったものが、平成 27 年度は 6 9,000 人になっています。その中について、雇止めと正当理由に分けて見てみますと、雇止めについては平成 23 年度が 8 9,000 人であったものが、平成 27 年度では 5 7,000 人まで低下してきています。正当理由は、おおむね 1 2,000 人台で推移をしています。続いて 12 ページ、特定理由離職者の推移ですが、こちらは前ページに書いたものについての月別で見たものですので、説明は省略させていただきます。

13 ページは、特定理由離職者の離職理由別の就職状況を整理したものです。まず雇止め離職者の方については、就職率は 79.6 %です。その就職された方の就職時期について見たものが、その右側にあります。こちらを御覧いただくと、受給中の就職率は 40.7 %という状況になっています。

13 ページの真ん中にある正当理由のある自己都合離職者についてです。こちらは未就職の方が 36.7 %と、雇止め離職者と比べると高くなっています。就職者の就職時期も受給中の就職率は 19.1 %で、雇止め離職者と比べて低くなっています。一方、受給終了後 3 か月以降に就職された方は 24.3 %で、雇止め離職者と比べると割合が高くなっています。

 その下は参考で、特定受給資格者についても整理をしています。就職率は 71.8 %です。そして、就職時期について見ますと、受給中での就職率が 44.5 %ということです。傾向としては、特定受給資格者と雇止め離職者の就職時期での就職率というのは、似たような傾向をとっているという状況です。

14 ページからが常用就職支度手当です。 15 ページが概要です。常用就職支度手当については、受給資格者のうち、基本手当の支給残日数が、所定給付日数の 3 分の 1 未満である方を対象とした給付になっています。対象者については、そこにイからトまでありますが、障害者の方など、就職が困難な方を対象にしています。対象者の中の一番下にあります ( ) ですが、「安定した職業に就くことが著しく困難と認められる者であって、就職日において 40 歳未満であるもの」、ここが暫定措置となっている所です。

16 ページも概要です。まず要件の所ですが、イで「安定所等の紹介により 1 年以上引き続いて雇用されることが確実と認められる職業に就いたこと」ということがあります。支給額は下のほうになりますが、基本手当日額× 90 × 40 %ということで、残日数に応じた額が定められています。

 続いて 17 ページ、常用就職支度手当の支給状況です。年度の所を御覧いただくと、受給者数は約 1 万人程度で推移していて、直近 9,700 人ということになっています。その内訳を右のほうで御覧いただくと、安定した職業に就くことが著しく困難な 40 歳未満の方というのが 6,100 人程度ということで、全体の中で最も多くなっているという状況です。

 最後の 8 ページで論点ということですが、 これまで講じてきた暫定措置の効果をどのように考えるか、 確実に改善が進んでいる雇用失業情勢の中で、今後の暫定措置の取扱いについてどのように考えるかというものです。

 続いて資料 2 を御覧ください。暫定措置に関して、今回、都道府県労働局にアンケートを行いました。その結果について御説明をさせていただきます。 1 ページを御覧ください。 3 つの暫定措置ごとに、聞いておりますので、順次御説明をさせていただきます。

 まず、「個別延長給付の効果はあるか」です。「どちらかというとない」というのが 45 %、「ない」というのが 45 %ということになっています。その下の設問は、「ない」以外の回答をしたものが対象ですので、「かなりある」「どちらかというとある」「どちらかというとない」という回答をした労働局に対して、その効果があると思う理由を整理したものです。その中で多いのが 3 つ目の「 60 日間の延長がなければ、最就職が困難又は望まない条件で再就職をせざるを得ない受給者が多くいるため」ということになっています。

2 ページ目では、効果がないと思う理由を聞いています。ここについては、「かなりある」以外の回答をした場合ですので、「どちらかというとある」「どちらかというとない」「ない」を集約したものです。回答として多いのは 2 で、「求職者は、受給期間終了間際に就職活動を開始する傾向にあり、受給期間の延長は、就職活動開始時期を後ろ倒しにしていると思われるため」というものです。次に多いものが 4 番目の「受給期間の延長目当ての応募をしていると思われる者が多く見受けられ、熱心に就職活動を行う者への支援となっていないため」というものです。次には、 1 番目の「雇用情勢が改善しているという中で、受給期間中の再就職が充分に可能であるため」という回答が多くなっています。

3 ページを御覧ください。効果があるということに関しての自由記述を整理したものです。 1 つ目にありますが、「震災等により地域的に求人が減少した場合」ですとか、 2 つ目の「地域的に本人の希望する業種が少ない場合」といったような場合には、効果があると考えられるということです。 3 つ目が、「動機は個別延長のための応募実績作りであったとしても、結果的に就職に結びつくケースもある」ということ。最後の所にある「受給者の中には、積極的に活動しても所定給付日数の範囲内で再就職することが難しいものもおり、ごく一部の準就職困難者に対しては効果がある」という記述がありました。

 効果がないと思うことについての自由記述についてです。「雇用情勢が改善しているから」、「就職困難な者については、職業訓練の支援をしていかなければ就職につながらないから」、「延長したために就職できたのかどうかが不明であるため」といったものが挙げられました。

 続いて 4 ページ、ここからは特定理由離職者の特定受給資格者へのみなしに係る暫定措置の効果です。まず、そのうち雇止めによる離職者に関しての効果についてです。ここについては、「どちらかというとある」というのが 53 %で、最も多くなっています。効果があると思う理由ですが、多い回答は、「雇止めによる離職は、再就職の準備をする時間的余裕がなく、解雇・倒産等による離職と同等の求職活動期間が必要であるため」というものです。

 効果がないと思う理由のほうですが、その中では 3 つ目の、「求職者は受給期間終了間際に就職活動を開始する傾向にあり、受給期間の延長は就職活動開始時期を後ろ倒しにしていると思われるため」、次に多いのが 2 つ目の、「雇用情勢が改善し、早期から再就職活動を行っていれば受給期間内の再就職は十分に可能であるため」となっています。

5 ページ目の自由記述です。最初に、効果があると思う理由に関する自由記述ですが、「「解雇」も「契約の事業主側からの終了」も、社会的認識として、また、本人にとっては、退職させられたという点では同じように受け取られているため」、次に「更新時には明示がなく、契約の終期直前に雇止めとなるような場合は、解雇と同様の措置が必要と思われる」ということです。

 続いて 6 ページ、特定理由離職者のうち、正当な理由のある自己都合離職者についての効果に関して、です。効果があるかということについては、「ない」というのが 43 %、「どちらかというとある」というのが 30 %となっています。効果があると思う理由についてですが、多いのは「対象となる者は、再就職の緊要度が高い者が多く、給付日数の延長の必要性が高いため」ということになっています。

 効果がないと思う理由に関してですが、多い回答としては 2 番目の「雇用情勢が改善し、早期から再就職活動を行っていれば受給期間内の再就職は十分に可能であるため」ということです。続いては 3 つ目の「求職者は受給終了間際に就職活動を開始する傾向にあり、受給期間の延長は、就職活動開始時期を後ろ倒しにしていると思われるため」ということになっています。

7 ページは、効果があると思う理由に関する自由記述についてです。「自己都合退職者と異なり、再就職の準備などを行う時間的余裕がなく退職となった者が多く、解雇・倒産等による離職と同等の求職活動期間が必要であると思われるため」です。

 効果がないと思う理由に関する自由記述です。「退職が予見できたかという点において、ある程度予見可能であるため」ですとか、「本人の事情による離職であり、就職の時期が本人の判断が大きいため」ということが挙げられています。

8 ページが 3 つ目の常用就職支度手当に係る暫定措置の効果です。「安定した職業に就くことが著しく困難と認められる者であって 40 歳未満の者について、手当を支給することの効果はあるか」ということについては、「ない」というのが 60 %、「どちらかというとない」というのが 34 %という結果になっています。効果があると思う理由については、「受給者にとって受給期間内に再就職するインセンティブとなっているため」ということが多くなっています。効果がないと思う理由については、 2 の「安定した職業に就くことが著しく困難と認められる者であって 40 歳未満の者の就職が困難な程度は、身体障害者等と同等ではないと思われるため」というのが多くなっています。

9 ページは自由記述です。効果があると思う理由についてですが、「優柔不断な若者も多く、最後の一押しになるケースもあるため」ということです。効果がないと思う理由に関する自由記述ですが、「 40 歳未満には 20 代も含まれ、就職困難者とはならないのではないか」、「発達障害、難病等の者であって、就職支援が必要であると認められる者を対象とすべき」ではないかということです。下から 2 つ目ですが、「就職困難な者と 40 歳未満の者というのを同等に扱う必要はない」ということが挙げられています。以上が資料の御説明です。

○岩村部会長 それでは、今、説明いただいた資料 1 、資料 2 について、御意見、御質問がありましたらお出しいただきたいと思います。

○青山委員 個別具体的なことについては、後ほど皆さんの御議論を待ちたいと思います。前回、欠席させていただきまして失礼いたしました。今日が本格的な議論の開始だということで、考え方について冒頭述べさせていただきます。

 今回の課題は、昨年度に議論されたことの残りということだと認識しております。こういう問題というのは、個別具体的な話であることは話なのですけれども、段々年を追うごとに、実はその問題、単体としての問題というよりも、いろいろな問題が輻輳しているというような現象が起きているのではないかと。ですから、この部会の中で解決できる問題と、そういう問題でない問題、要は、ほかの分野とどうしても絡み合う問題、そういうものが出てきているのではないかと感じています。ですから、雇用保険全体を捉えて、一個別具体的な施策もさることながら、雇用保険の制度全体の中で、まず考えていくべき。これは当然、皆さんも共通認識だと思いますが、改めてその観点が求められるのではないかと思っています。これが、 1 つです。

 例えば、所定給付日数についても、現状の所定給付日数で職に就けないものというのが、その原因、実態というのはどこにあるのか。日数の問題なのか、それとも、個人のいろいろなキャリアとか能力の問題なのか、そういうようなことをより明らかにすることによって、より効果のある施策を打つことが可能ではないのかなと思っています。

 ということになると、この雇用保険の中で支援すべき方々なのか、それとも、例えば、能力開発のほうで支援したほうがいいのか、そういうようなところまでやはり分析して、議論していく必要はあるかなと思います。

 この出されている課題は、本来の目的というのは、早期の再就職支援に尽きると思います。これを実現するために部分的に、今、物事を考えるというより、全体的に。ですから、部分最適よりも、全体最適というようなことを考えて議論していく必要があるかなと私どもは考えております。こういう考え方を皆さんと共有しながら、議論を進めさせていただければいいなと思っております。

 私ども使用者側として、基本的にはどうやったら効果のある施策が打ち出されるのか。そういうようなことを議論するには、積極的にやりたいと思います。予算を効果的に使うという観点から、そういう議論を是非ともやっていきたいと思っております。以上でございます。

○岩村部会長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。

○深澤委員 今の青山委員のおっしゃるところは、正にそのとおりだと思います。暫定措置についての検討という観点で申し上げると、やはり暫定措置は暫定として行うべき内容、状況であるというところでスタートしたものですので、そのまま恒久制度に移行するという性格のものではないと考えております。

 一方で、暫定措置の延長を重ねてきたという経緯もありますので、その整理ももちろん必要と考えます。終了した場合に予想される影響などの議論から入っていくというのがいいのではないかと考えております。以上です。

○岩村部会長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。

○村上委員 今の暫定措置の話ですが、資料 2 では、都道府県労働局のアンケート結果が出されていまして、効果がある、効果がない、いろいろな意見が出されておりますが、数値が多いとか少ないとかだけで判断すべきではなくて、やはり何がこれからも必要であるのかということをきちんと把握して、議論をしていくべきだと考えております。基本的に、私ども労働側としては、これまで暫定措置はそれぞれ程度の差はあるにしても、政策効果はあったのだという理解でおります。

 また、今後、対応を検討するに当たっては、継続か、廃止かという二者択一ではなくて、求職者の生活の安定、良質な雇用への再就職支援という、 2 点を念頭に置いて、対応について、例えば若年者の基本手当の所定給付日数を拡充することや、特定理由離職者を特定受給資格者の対象範囲に入れていくといったような方向で検討していくべきだと考えます。

 それから、青山委員の御意見について、ほかの分野と絡む部分があるということで、能力開発の問題、恐らく若年フリーターや、就職氷河期世代などについて御指摘されたのかとは思いますが、それ以外に何か雇用保険制度と一緒に検討しなくてはならない課題というのがあるのか、ないのか、もし何かイメージがあれば、具体例があれば教えていただきたいと思います。

○青山委員 私どもも効果があるというと、これは先ほどの労働局のアンケートに出ていますが、もっと実態、姿を出していただけたら有り難いと思っています。というのは、効果があるというのは、より具体的にどういうことなのか。それで効果がないのは、なぜないのか。そういうところを私どもに実態を教えていただければ、大変有り難いと思っています。

 先ほど、例で出しましたが、どちらかというと、雇用保険の話なのか、それとも能力開発の話なのか。そういうことはある程度イメージは湧くのですが、そのほかに何か理由があるのかどうか。その辺は是非とも実態を調べていただきたいと思います。

○岩村部会長 いかがでしょうか。

○遠藤委員 会議に遅れてまいりまして、大変失礼いたしました。先ほど青山委員、深澤委員がそれぞれ大きな捉え方で発言をさせていただきましたので、個々のテーマについて、私から発言をさせていただきます。

 個別延長給付についてです。本日の資料を改めて見てみましたが、 4 年連続して、対前年度比で 3 割以上減少していること。あるいは、地方労働局のアンケートを見ますと、延長給付ということによりまして、就職の活動開始時期そのものが後ろ倒しにされているなど、弊害を強く指摘している声が多く見られるところです。したがって、私どもとしては、個別延長給付そのものの役割は一旦終えるということで、物事を進めていきたいと思っています。

 ただ一方で、やめてしまうということになると、その後の状況がどのようになるのかということです。先ほど、青山委員のお話もございました。就職できない理由は何なのか、これをもう少し精査させていただきながら、具体的にどういったところに、制度としてのひずみが出てくるのかということを十分吟味させていただいた上で、場合によっては、所定給付日数についての議論をしていくこともあり得るのではないかと思っております。ただし、繰り返し申し上げますが、所定給付日数そのものが拡充していくことになると、当該求職者の意識、行動への影響というものは、かなりあると私どもは考えております。慎重な議論を求めるという姿勢そのものは変わっていないということです。○岩村部会長 ほかにはいかがでしょうか。

○山本委員 この間、各委員から全体のお話があって、今、遠藤委員からも個別の案件の発言がありましたけれども、私からは、先ほど村上委員から発言があったとおり、労働側とすると、全体的には個別延長給付を含めて各暫定措置は、これは一定の効果があったということを前提として、個別延長給付について、我々労働側の立場から発言させていただきたいと思っております。

 まず、本日の資料 1 7 ページでは、それぞれ支給終了までに就職した特定受給資格者の中での個別延長給付の受給期間中に就職した者の割合が示されております。

 記載の中身を見ると、所定給付日数、とりわけ 90 日の方については、個別延長給付の受給期間中に就職した割合が高いという実態にあると思っています。ただ、前回部会では、所定給付日数が 90 日の方については、個別延長給付を含む支給終了までに就職した人の割合が特定受給者資格者の全体平均 59.2 %と前回出ていましたが、それに比較しても若干、低い層であったという資料が提出されていました。

 個別延長給付ですが、求職者の生活の安定という雇用保険制度自体の目的を踏まえれば、やはり所定給付日数 90 日の方について、現在の個別延長給付が担保している支給期間延長を、直ちに停止してよいのかということについては、結論にはまだ至らないのではないかと思っているということが、まず 1 点目です。

 次に、その他の所定給付日数はどうなのかということについては、労働側としては、個別延長給付の政策効果がないとまでは言い切れないのではないかと見ています。

 資料 1 3 ページには、現行の個別延長給付の支給者の要件が記載されています。これらの対象者の要件については、これは大分昔になりますが、 2013 年の本部会、第 88 回部会ですが、ここで議論した際には、各労働局における、 45 歳未満、指定地域、個別支給、それぞれの実績の報告がされておりました。その中では、指定地域の実績がゼロというような労働局においても、相当数の個別支援の実績がある傾向にありました。これが現在、どのような状況にあるのかというところについても、少し検証して、丁寧に議論していくことが必要かなと思っております。これは資料を含めて、よろしくお願いしたいと思います。

 最後に、あくまで個別支援というのは、目的にありましたとおり、「公共職業安定所長が必要あり」と認めたケースということになっていますので、そういった意味では、個別延長給付で担保している支給期間延長が直ちに不要になるということは考えられないのではないかと思っております。意見と、少し議論するに当たっての資料を含めた要望ということで発言させていただきました。ありがとうございます。

○岩村部会長 ありがとうございます。今、事務局のほうに資料要望がありましたけれども、いかがでしょうか。

○田中雇用保険課長 すみません、今、手元に第 88 回の部会の資料がありません。後ほど確認させていただきまして、現在の状況をつかめるものがあれば出させていただきたいと思います。

○岩村部会長 よろしくお願いします。遠藤委員、どうぞ。

○遠藤委員 私どもは、効果がないということを申し上げたことは一度もなくて、リーマン・ショック直後の 2009 年度からこの仕組みがどれだけ機能してきたかというのは、認めています。

 そういった中で、今日、発表がありました雇用失業情勢が、この水準にきているので、次に取るべき対応は何なのかというところを、むしろ見ていきたい。個別延長給付というものが、そのまま引き続き存続するということになるとすれば、やはりそれは政策効果として、逆の結果をもたらすのではないだろうか。要するに、それがあることによって、まだ先があるではないかということではなく、求職活動に対する自分の距離感を、もう少し考えることがあってもいいのではないかと思っております。私どもとしては、効果は認めておりますが、これからの状況を踏まえたときの対応として、まず一旦、終わらせてください。終わらせた上で、どう考えていくかという議論をさせていただきたいということです。

○岩村部会長 はい。山本委員、どうぞ。

○山本委員 状況はある程度理解していますが、あくまでも雇用保険では、この間いろいろな制度改正があって、基本手当の日額も含めて給付が減ってきているという状況もあって、先ほど遠藤委員からも、給付日数をそもそも増やすことも含めてという発言がありまして、それについては、我々労働側もずっと承知してきたことなのでいいのですけれども、要は、そういうような全体感でいくと、暫定措置がいったん終わって、新たな対応を考えるということが、そこも含めて検討ということであれば、議論も進めやすいのかと思っております。そこも含めて議論ができる時間軸があるのかという中ではありますが、それぞれの暫定措置についても検討していくことがいいのではないかと思っております。意見としてです。よろしくお願いします。

○岩村部会長 部会長が余り言うのもどうかと思いますが、事務局にお尋ねします。ひょっとすると既に資料をお出しいただいているのかもしれませんけれども、資料 1 3 ページで、個別延長給付の対象者には、 3 カテゴリーあるということでしたが、カテゴリーごとの受給者数の推移というのは、分かるのでしょうか。

○田中雇用保険課長 今回の資料の中ではお出ししていませんけれども、そのような集計ができますので、準備させていただきます。

○岩村部会長 それがあると、多分、もう少し焦点を絞った議論ができるかという気がします。

 もう一点は、これも質問です。同じことなのですが、カテゴリーが 3 つある中で、 (1) (3) は、どちらかというと (2) とは性格が違っていて、個別的に見たときに、要するに就業経験が少なくて、なかなか安定した職に就けない人とか、それから (3) の場合だと、再就職のための支援が必要だというようなカテゴリーになっているわけですが、これらについては、給付を出すということと同時に、個別的にそれぞれのカテゴリーの特性に対応した、例えば訓練とかを講じるとかということは、私の理解している限りでは、組合せにはなっていないと思います。その理解でよろしいでしょうか。

○田中雇用保険課長  (1) については、 45 歳未満の求職者ですので、訓練を受けなければいけないとか、どのようなことをしなければいけないというようなことにはなっていません。 (3) については、個別支援を計画的にやっていただくということは、ここはセットになっていますが、こういう訓練を受けなければいけないというような訓練と組合せた形でのセットの要件にはしていませんが、当然のことながら、離転職を繰り返されたり、知識、技能が足りない方については、その訓練が有用だというような場合も多くあると思います。当然、個別支援をさせていただく中で、適切な訓練への誘導等々について行わせていただいているという現状です。

○岩村部会長 ありがとうございます。例えば (1) のケースだと、もちろん訓練も必要ですが、例えば最初に、まず研修生という形で、とにかく職場に入ってもらって、ヨーロッパなどの経験だと、それが結構有用という話も昔に見たことがあります。それを要件にするというと、いろいろ問題が生じる可能性もありますけれども、何かその辺がもう 1 つ議論の中身に入ってきてもいいのかという気がしますが、そこは多分、労使それぞれの御意見があるのだろうと思います。ほかにはいかがでしょうか。

○三島委員 特定理由離職者の対応について、資料 1 13 ページの就職率及び就職者の就職時期についてですが、まず御説明があったとおり、雇止め離職者については、下段の特定受給資格者とほぼ同様の傾向があるかと思ってはおります。

 次に、資料 2 4 ページの所に、アンケートの結果があります。再就職の準備に時間的余裕があるとか、早期から再就職活動を行っていれば、基本手当の受給期間内での再就職は可能であるという回答があったようですが、雇止め離職者の方は、契約期間満了まで仕事をしているなど、十分な求職活動が行える状況ではないのではないかと考えています。本人の希望に反して雇止めとなった有期契約労働者については、被保険者期間が短い 1 年未満の者であっても、必要な給付を受けられるようにすることが必要であると考えています。雇止め離職者への対応については、何らかの形で対応を継続すべきではないでしょうか。

 資料 1 13 ページに戻ります。正当な理由のある自己都合離職者については、就職者の就職時期が、受給中が 19.1 %、終了後 3 か月以降が 24.3 %と、二極化していると思います。正当な理由のある自己都合離職者は、 9 ページに様々な要件がありますけれども、二極化には、これらの要件ごとに、それぞれの傾向があるのではないかと思います。状況を確認させていただければと思います。よろしくお願いいたします。以上です。

○岩村部会長 ありがとうございます。事務局で、今の点で何かありますか。

○田中雇用保険課長 データから読み取れることとしては、三島委員から御指摘があった内容だと思います。これもデータ、それから、労働局のアンケートも、個別のケースをということではなくて、全体でどう考えるかということですので、当然のことながら、制度としては、個別、個々の、一人一人を見た場合に、いろいろなケースがあるということは十分承知しております。ただ、制度全体として仕組んでいくに当たっては、基本的に多くの方の傾向としてカバーできるものというように組まざるを得ない面もあると思っております。できるだけ多くの方がしっかり再就職できるような支援にするにはどうしていくかという観点から、議論を頂きたいと思います。

○岩村部会長 遠藤委員、お待たせいたしました、どうぞ。

○遠藤委員 三島委員から特定理由離職者の取扱いということも含めて御主張がありましたので、私どもなりの考え方を御説明したいと思います。

 特定理由離職者については、正当な理由のある自己都合退職者と、いわゆる雇止めされた方と、大きく 2 つに分かれていることを踏まえた上で、そもそも論として、解雇・倒産といった形で再就職の順備ができない方々を中心にした特定受給資格者という区分があるわけですから、これ以外は、広く自己都合という形で、まず整理させていただきたいと思っています。

 そうなると、特定理由離職者でカバーされてきた方々はどうなるのかということになりますので、これは三島委員、村上委員もおっしゃっていたことと、私どもは方向としては一緒だと思います。雇止めに関わる部分については、特定受給資格者の中で考えていく。現状でも、例えば有期で 3 年以上雇われている場合などがあります。その辺で包含できるような規定ぶりが整えられれば、そこにシフトしていくことはあるかと思っています。ただし、どのような場合もということではないと思います。あらかじめ期間満了ということが分かった形で雇止めになった方々はどうなのか。あるいは、更新上限があることが分かっているような場合についても同じような扱いにしていくのかという点については疑問を持っています。

 それに対して、正当な理由がある場合については、ハローワークのアンケートにも出ていましたが、やはり一定程度、自分がコントロールできる状況にあるのではないだろうか。まず、今回は雇止めの方をどうするのかという点で議論をしていく必要があると思います。

 もう一点は、先ほど部会長が話されたことに関わりますが、とりわけ、若年者については、自分の再就職先を見付けにくい状況があり、例えば本来であれば、もっと早い段階で公共職業訓練に行けたのに、給付期間満了近くになって、どうしたもんだろうかというようなケースもあると聞きました。事務局にお尋ねしましたら、満了近くで受講を指示してしまうと、訓練延長給付になってしまいモラルハザードの問題があって、そこは一旦、線を引いているのだけれども、若年者に関して言えば、それも多少融通をきかせて、訓練延長給付をかませる形で受講指示をしているということも聞いております。新しい枠組みでなくても、現行の枠組みを維持しながら、どう運用していくのかというところもポイント、ポイントでついていけば、随分やりきれるものがあるのではないかと思っております。○岩村部会長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。

○亀崎委 員 私からは常用就職支度手当の拡充についてです。資料 1 17 ページには、就職困難な 40 歳未満の方への対応についてとありますが、雇用情勢が回復したとは言いつつも、転職活動が長期化してしまう 40 歳未満の方については、支給期間内での再就職に対して、背中を押すような制度がやはり必要ではないかと思っております。これまでは暫定措置として、常用就職支度手当の枠内で議論してきましたけれども、若年層の良質な雇用への早期再就職を促すための支援については、離職と再就職の状況を踏まえて対応を検討する必要があると考えておりますので、意見として申し上げたいと思います。以上です。

○岩村部会長 ありがとうございます。ほかにありますでしょうか。

○柳沢委員 今、亀崎委員からも発言がありましたように、ここでの暫定措置というのは、 40 歳未満の方に対する措置ということですが、 17 ページにもありますように、この対象者への支給が常用就職支度手当全体の 60 %を超える水準にありますので、この暫定措置の効果については、やはり大きなものがあったということは見て取れるのではないかと思います。

 ただ、 15 ページの対象者をもう一回改めて見ますと 40 45 歳のところだけが対象外となっており、逆に言うと、そこだけが抜けているというようにも見えます。全体をカバーするということであると、メリハリなくということにもなってしまうかと思いますので、今の雇用情勢を踏まえて、より若手の人たちの労働流動性や再就職支援を想定し、 35 歳未満、あるいは 30 歳未満いうような視点もあるのではないかと思います。以上です。

○岩村部会長 ありがとうございます。深澤委員、どうぞ。

○深澤委員 常用就職支度手当の支給の対象範囲の拡大という論点ですが、そもそも就職困難者の方々の就業支援ということで考えると、対象者の置き方という議論だけでもないのかと考えています。これまでいろいろな対策が行われてきて、手当とか教育訓練に対する給付なども対象者への支援が多かったと思っております。

 安定した職業に就けない 40 歳未満の方々ということでいうと、先ほど村上委員もおっしゃっていた就職氷河期世代というのがひとつ大きな理由でもあったかと思います。その方々が中年、更には高齢化となり、事態は深刻化していくという状況にあるのかと考えています。

 民間企業の人事責任者の立場で率直に申し上げますと、 40 歳を超えて安定した就業経験が少ないというような方を、積極的に採用検討するというのは、正直難しいというのが実態ではないかと考えております。ここはやはり政策的な後押しは必要だと思いますが、対象者の支援だけでは進まないとも思っておりまして、例えば、先ほど部会長からもあったと思いますが、対象者ではなくて、雇用を行う事業者への助成とかインセンティブといったことのほうが、より安定した雇用が生じるが生じるのではないかというような観点もあるのではと考えています。

 今、人材難の情勢であり、特に地方や中小企業など特に地方やで非常に苦しまれている会社がたくさんありますので、そういう所に公共職業訓練などを経てということになるとは思いますが、これらの対象層の常用雇用を行っていただくということを事業者に補助金などを通じて促進することも、このテーマとはかけ離れるかもしれませんが、雇用保険二事業などもありますので、そういうところに加えていただくという議論もできたらと思います。意見ということで、よろしくお願いします。

○岩村部会長 ありがとうございます。山本委員、どうぞ。

○山本委員 私からも本日の論点から若干ずれるかもしれませんが、我々労働側も良質な雇用への再就職をなるべく支援していきたいということと、やはり生活の安定ということを両方見ているのですが、現状、若者、あと今も深澤委員からもありましたがある程度年齢がいった方というのは、とりわけ、若者だと職のミスマッチがやはり起こっていて、自分が思っていた仕事ではないとか、本当は業務を経験をして、そういう仕事をやっていきながらであれば経験があるのですが、やはりどうしても現状での違いの中で辞めてしまうという方もいる可能性もありますので、そういうことも踏まえた対応の検討が必要であり、あとは、ある程度の年齢の方については、お互いに求職者と雇用側との両方でのマッチングを図るということを、もう少し接続をうまくやれるような方法の検討も、一方ではあってもいいのかと思っております。

 最近だと、お試しということではありませんけれども、インターンシップ制度ということでいろいろ活用します。例えばそのようなインターンのようなことをやった所に対する何らかの支援策を行う中でマッチングを図ることで、長期で安定した雇用、働きがいのある仕事へ就ける支援にもなるようなことも、場合によっては検討してもいいのではないかと思っておりますし、そのような話もよくしているという状況もありますので、これはまた本日の話とは違いますが、先ほど、部会長も似たようなことを多分おっしゃっていたと思いますので、我々労働側もそういう対応も、少し検討してもいいのではないかと思っています。

○岩村部会長 今日の話題から確かにおっしゃるように、少しずれるのですが、広い意味では、雇用保険二事業も含めての雇用保険の枠の中の話かなというように思います。

 特に、常用就職支度手当金の場合は、インセンティブをもたせるという仕組みではあるわけですが、 40 歳未満で仕事に就くのが非常に困難な人、これで確かにインセンティブはもつけれども、しかし、では、それだけでいいのかという問題はやはりあるので、そこは、先ほどの青山委員もおっしゃったように、ほかの施策とのコンビネーションというのをどう考えていくかということも、当然、視点としてはあるのかと思っています。私もそれほど多くのケースを見たわけではなくて、非常に限られたものしか見ていないので一般化はできませんけれども、特にこのカテゴリー、 40 歳未満で非常に仕事に就くのが難しい方というのは、先ほど山本委員がおっしゃったようなミスマッチの問題というのもあるのですが、そもそも、仕事に対するイメージがうまく結べていない人たちも結構いて、それが就職するのに難しいというところにつながっていってしまうということもあるので、そういったものも組み合わせつつ、多分、全体の中でこの常用就職支度手当をどうするかというのも考えていくのかという気もするところです。では、菱沼委員、どうぞ。

○菱沼委員 常用就職支度手当の議論になっていたかと思いますが、事務局に確認したいことがあります。資料の 17 ページの常用就職支度手当の支給状況で、身体障害者等、 45 歳以上の者、特例受給資格者、安定した職業に就くことが著しく困難な 40 歳未満の者と分けています。資料 2 9 ページ、労働局のアンケートで、 40 歳未満の者には 20 代も含まれ、就職困難者とはならないのではないかとありますが、常用就職支度手当の要件で漏れを防ぐように、恐らく 40 歳未満の者ということで入れていただいたと思いますが、 20 代とか 30 代という話でしたが、年齢層別に何人受けているかというデータは出てきますか。

○田中雇用保険課長 すみません、にわかには分かりかねます。確認させていただければと思います。

○岩村部会長 データ数は少ない、 6,000 しかない。見ようと思えば見られますね手作業でこうやっても出来てしまう。

○田中雇用保険課長 そういうデータが取れるかどうか、今すぐ分かりかねますので、後日、もし取れるようであれば、そのような資料をお示しさせていただきたいと思います。取れなければ、大変申し訳ございません。

○岩村部会長 よろしく御検討いただきたいと思います。ほかにはいかがでしょうか。

○村上委員 特定理由離職者のところですが、先ほど遠藤委員からもありましたように、雇止めの人たちを特定受給資格者にしていったほうがよいのではないかということで、私ども労働側もそのような考え方でございます。

 ただ、遠藤委員がおっしゃった「全てではないのではないか」という中で、少し詰めていかないと、遠藤委員がおっしゃった「その更新は前提とされていなかった」ということだけだと、雇止めや更新については様々なトラブルがあるところなので、そこは詳細に慎重に検討しなければいけないところではないかと思っております。

 それから、正当な理由のある自己都合による離職をした者ということで、 9 ページに列挙されています。こちらについては事業主の都合ではなく、ある程度辞職することは分かっていたのではないかという御意見もありましたが、仔細に見ていくと、どれだけの人数の方がいらっしゃるかよく分かりませんが、 2 9 ページ、2の の通勤不可能又は困難となったことにより離職した者の中には、例えば、 iii) では事業所が通勤困難な地に移転したとか、 vi) の会社から転勤、出向と言われたときには転居できず、転居を回避して残るために、やむなく離職したという方については、やはり特定受給資格者並みにしていくことが必要ではないかと思います。これらも含めて、今後、議論していくべきではないかと思います。以上です。

○岩村部会長 ありがとうございます。青山委員、どうぞ。

○青山委員 今、御指摘のお話、こういう理由というのはあるのかもしれませんけれども、それも実態で、数字的に分かるものなら教えてほしいと思います。非常に多いというのだったら、それなりの対策をもっと強力にすべきだと思いますし、その実態の数字が出てこないものですから、本当にあるのかどうか。増えるのか、要は、先行きどうなっていくか、どういう傾向になっていくのかというような捉え方ができないのです。ですから、その分析をもう少し事務局のほうでやっていただくと、議論がより進むのではないかと思います。よろしくお願いしたいと思います。

○岩村部会長 はい。今のは難しい注文かなという気もしたのですが、例えば、資料 1 9 ページの正当な理由による自己都合ということで、どのぐらいの人がどの理由で給付を受けているかとか、そういうことは分かるのですか。

○田中雇用保険課長 それはデータ上は分からないです。ですから、ここのところをデータとして、どこがどれぐらいかというようなことをデータとしてお示しをすることは、今の保険のシステムとか、記載していただいている内容からは難しいです。

○岩村部会長 難しい。

○田中雇用保険課長 はい。

○岩村部会長 村上委員、どうぞ。

○村上委員 今の点ですが、人数が多いから救うということでは、多分ないのではないかと思います。離職の理由に関しては、やむなくそういう理由で辞めざるを得なかった人たちの状況がどうなのかということで判断するべきではないか、人数が少なくても救うべき人は救うということではないかと考えています。給付日数の話とか、そういったところはデータも見ながらの検討ということにはなるかと思いますが、どういう状況にあるのかということについては、該当者が 1 人であろうとも、救うべきところは救っていくべきだと考えます。

○岩村部会長 ありがとうございます。資料 1 と資料 2 は、大体これでよろしいでしょうか。ありがとうございます。

 それでは、次に資料 3 に移ります。資料説明をお願いします。

○高橋雇用保険課調査官 それでは資料 3 、雇用保険の適用、マルチジョブホルダーについてです。 1 ページを御覧ください。まずは雇用保険の適用について、 1 が雇用保険の適用範囲です。雇用保険の適用事業に雇用される労働者を被保険者としておりますが、週の所定労働時間が 20 時間未満である方、 31 日以上雇用されることが見込まれない者については、被保険者とはならないということで適用除外になっております。

2 が雇用保険の適用基準の考え方です。雇用保険は自らの労働により賃金を得て生計を立てている労働者が失業した場合の生活の安定等を図る制度であり、その趣旨に鑑み、保護の対象とする労働者を一定の者に限っております。一般に保険とはということで、同種類の偶発的な事故による危険にさらされている人々が、この危険の分散を図るために危険集団を構成するものであるが、雇用保険制度においては同種の危険にさらされている人々として、週の法定労働時間を 40 時間であること等を考慮し、 20 時間を適用の下限としています。

2 ページの 3 で、 2 以上の雇用関係にある労働者の雇用保険の適用の取扱いです。同時に 2 以上の雇用関係にある労働者については、当該 2 以上の雇用関係のうち、当該労働者が生計を維持するのに必要な主たる賃金を受けている 1 つの雇用関係についてのみ、被保険者となるということになっております。被保険者に係る 1 つの雇用関係については、週所定労働時間が 20 時間以上などの適用要件を満たすことが必要です。そして 1 つの雇用関係が解除されたとしても、ほかの雇用関係が被保険者となり得る形で維持されていれば、雇用保険制度の保険事故である「失業状態」には当たらず、給付は行われないことになっております。

3 ページを御覧ください。適用範囲の変遷の比較です。昭和 50 年が最初で、このときには、週所定労働時間が通常の労働者のおおむね 4 分の 3 以上かつ 22 時間以上ということになっておりました。平成元年に週所定労働時間を 22 時間以上として、就業形態の多様化に対応することで、短時間労働者の適用拡大を行ってきております。平成 6 年には週所定労働時間が 20 時間以上になりました。平成 13 年を御覧いただきますと、年収要件を廃止しております。ここについては短時間労働者の収入多寡にかかわらず、重要な労働力であることを反映させようということで廃止しました。平成 21 年には雇用期間の見込みについて 6 か月以上となり、平成 22 年からは雇用期間 31 日以上の見込みとなっております。資料にはありませんが、前回の法改正により、 65 歳以上の方で新たに雇用された方についても適用されるよう措置しました。

4 ページが雇用保険被保険者数の推移です。年度別のほうを御覧いただきますと、一般被保険者は平成 27 年度直近で 3,919 万人、 1.5 %増、高年齢継続被保険者は 158 万人で 10.2 %増となっております。

5 ページのマルチジョブホルダーの現状については、まず本業も副業も雇用者である労働者数の推移です。本業も副業も雇用者である労働者は 105 万人ということで、雇用者全体に占める割合は 1.8 %になっています。こちらは 2012 年が直近のデータとなります。次が本業も副業も雇用者である労働者の内訳ということで、本業の従業上の地位・雇用形態別に見たものです。パートが 26.8 %、続いて正規の職員・従業員が 24.4 %となっております。

6 ページが本業を所得階層別でみた副業をしている方の数です。こちらは全雇用者のうち副業をしている方の数について所得階層別に見たものです。色が付いている所、本業の年間所得が 299 万円以下の階層で、全体の約 7 割を占めているという状況になっております。

7 ページが本業を所得階層別でみた雇用者の総数に対する副業をしている者の割合です。こちらはそれぞれの所得階層別の雇用者に対して、副業ありの方の数と割合を出しているものです。こちらを御覧いただきますと、本業の年間所得が 199 万円以下の階層と 1,000 万円以上の階層で、副業をしている方の割合がほかの層に比べて相対的に高くなっているという状況になっています。

8 ページは、雇用保険が適用されていないマルチジョブホルダーの数について、粗い推計を行ったものをお示ししております。まず、結論的には多くても 30 万人程度と推測されます。これについては下のほうにある※の 2 を御覧いただければと思います。雇用保険は週所定労働時間 20 時間以上、かつ 31 日の雇用見込みがあることが必要になってきますが、仮に 1 週間所定労働時間を 19 時間として時給 1,000 円とした場合、年間所得を計算しますと約 99 万円になりますので、本業の収入が 100 万円未満の方は雇用保険が適用されないものと推定されます。

 そこで、その上の※ 1 に移っていただければと思います。前のページでありましたが、副業をしており本業が雇用者である方の本業の所得階層 100 万円未満の方は 28 %程度でした。したがって、その割合を本業も副業も雇用者であるという全体に掛けたところ、 29 万人という数が算出されましたので、多くても 30 万人と推測されるとしています。

9 ページには、これまでのマルチジョブホルダーに関しての部会報告書の該当部分を掲載しております。直近の平成 27 12 月ではマルチジョブホルダーについては、社会保障・税番号制の施行後も適用に当たっての労働時間の把握方法や失業の判断といった課題が、引き続き存在することも踏まえつつ、諸外国の状況を含めて適切に実態の把握を行い、技術的な論点を考慮した上で、雇用保険の適用の在り方と併せて、引き続き議論していくべきであるという報告となっております。また、国会の付帯決議においても、海外の状況の調査を行うよう言われております。そういったことも踏まえ今般、阿部委員、遠藤委員、亀崎委員に海外の調査に行っていただきました。その調査で聴き取った内容について整理したものを御紹介させていただきたいと思っております。

10 ページです。まずは日本、フランス、ドイツにおける失業保険制度についてということで、 1 の主な適用要件を御覧ください。日本では 31 日以上の雇用見込みと、週所定労働時間が 20 時間以上であるという要件を満たす雇用者ということになります。フランスは雇用契約を結んでいる民間の賃金労働者ということになります。ドイツは 65 歳未満で月収 450 ユーロ以上の労働者となっております。そしてフランスとドイツについては ( ) にありますように、労働時間による適用要件は存在しないということになっております。

2 の主な受給要件です。日本では離職日前 2 年間において、通算 12 月以上の被保険者期間が必要となりますが、倒産・解雇等による離職の場合には 6 月以上の被保険者期間ということになります。フランスについては、年齢別で一定の被保険者期間が必要となっております。その下のほうに として記載していますが、正当な理由なく自己都合で離職した者でないことというのが要件となっております。ドイツについて、主な受給要件の ですが、離職日前 2 年間において、通算 12 か月以上の被保険者期間があることが必要になってきます。

3 の給付日数です。日本、フランス、ドイツのいずれも年齢、被保険者期間によって給付日数が決められます。フランスについては被保険者期間の日数が給付日数となるということですが、その上で年齢別で給付の日数の上限と下限が設定されています。

11 ページに移っていただき、 4 の給付水準です。各国、離職前賃金をもとに算定したものについて、一定の給付率を乗ずるという形でおおむね共通しています。

5 の給付制限です。日本では自己都合による離職の場合、原則 3 か月間の給付制限がかかります。そして安定所による職業指導等を拒否した場合にも、 1 か月以内の給付制限がかかるという形になっております。フランスでは、実際に求職活動を行っていないことが判明した場合には、手当支給の中断などが取られることがあります。ドイツについては、失業者が合理的な理由なく就労関係を解消したり、職業紹介や面接を拒否したりした場合には、 1 12 週間の支給停止になります。

12 ページ、 6 の失業認定の運営組織・仕組みです。失業認定の仕組みに関してですが、日本の場合は 4 週間に 1 回、公共職業安定所において失業状態にあることの認定を行います。フランスでは毎月 1 回、雇用局の質問票に基づいてインターネットによる報告を行っています。ドイツは日本と同様かと思いますが、失業者自身が直接窓口に来て手続を行うという形になっています。

13 ページです。日本、フランス、ドイツにおけるマルチジョブホルダーに係る取扱いについて整理しております。まず、日本についての適用要件、保険料徴収についてですが、同時に 2 つ以上の雇用関係にある労働者については、当該 2 以上の雇用関係のうち、生計を維持するのに必要な主たる賃金を受ける 1 つの雇用関係についてのみ被保険者となります。フランス、ドイツ両国については、原則それぞれの雇用関係において失業保険が適用され、雇用保険料の支払義務が発生することになっております。

2 の受給要件です。日本では雇用保険の被保険者となっている仕事について、通常の離職と同様の要件で受給することができるとなっております。フランスでは失業給付を受給しながら、就労している仕事についての給料を受け取ることができるということになっております。※にありますように、複数の職に就いていて、そのうち 1 つの職を失った場合を含みます。そして失業給付の受給額と就労による収入の合計が、前職給与額を超えてはならないということになっております。ドイツの受給要件については、複数の職に就いていて、そのうち 1 つの仕事を失った場合であっても、所定労働時間が 15 時間以上である職に就いている場合には、失業給付の受給資格はないということで、 15 時間未満の就労をしている場合には「失業状態」となって、通常の給付が受給可能となります。

3 の給付水準、 4 の給付日数については、通常の給付と同水準ということになっているという状況です。

○岩村部会長 ただいまの資料説明の中で、海外調査に行った結果の説明がありました。そこで、出張された委員から今日の資料 3 に関して、何かコメントなどがありましたらお願いしたいと思います。亀崎委員からお願いいたします。

○亀崎委員 まず、この度フランスとドイツに視察に行く機会を与えていただきまして、感謝申し上げます。フランス、ドイツともに若年層や高齢者対策、そして特殊事情になるかもしれませんけれども、移民や難民問題、更にはホームレスの問題とか、薬物から更生して就職する方への対応など、様々な分野での雇用対策や保険制度の拡充がされていることを確認しました。とりわけ今回の目的であるマルチジョブホルダーについては、一言で言うならば、フランスでもドイツでも、失業保険の適用要件・受給要件が日本とは異なるとはいえ、今、説明がありましたように、マルチジョブホルダーへの対応が図られていたというように認識しております。

 率直な感想として、事実としてそうした対応をしている国があることからすると、日本でこのまま、マルチジョブホルダーを雇用保険のセーフティーネットの対象外としたままの状態でよいかということです。日本では複数働いていても、現在の制度の中においては要件を満たしていないということで、マルチジョブホルダーには雇用保険が適用されていませんが、複数の職場で働き、何とか生計を維持している方たちが増えているのが実態だろうと思っています。したがって、これまでは支給のベースとなる部分での制度設計が異なることから、日本では直ちに適用はできなかったわけですが、今後どうすれば日本でも対応が図れるのかということで、前向きに検討を深めていく必要があると認識してきたところです。

○岩村部会長 それでは労使というところで、遠藤委員にお願いしたいと思います。

 

○遠藤委員 私の感じたところを申し上げたいと思います。フランスとドイツに行って、通して一番印象深かったのがどういうことかと申しますと、保険給付が終わった後に失業扶助という仕組みが継続的につながっている制度を持っているところです。用語が適当かどうかは分かりませんけれども、ベーシックインカムサポートという形になっていますので、そもそも論の考え方が違うことになります。

 ヨーロッパでは、基礎的な生活の収入を保障していくという考え方を、国自体が国民の中できちんと合意されている仕組みとして運用していることを考えると、日本はそことはまた違う世界にいるわけです。私自身は、ヨーロッパではマルチジョブホルダーの方々の対応ができていたから、それを日本の中に持っていこうということは、正直難しいのではないかと思っております。例えば、雇用保険の適用者になるかどうかということについては、極端に言えば、フランスは週 1 日であっても、 1 時間しか労働しなくても、契約が成立すれば雇用保険の対象にしますという理屈です。それに対してドイツは月収 450 ユーロ以上の場合です。そういう形で全然考え方が違う中で、議論としてそのまま持ってくるというのは、もう難しいと思っています。

 もう 1 つ感じたことは、フランスもドイツも、それだけ手厚く給付面でサポートするわけですから、その裏側として求職者が負うべき義務の大きさというのが、日本とは比較にならないということです。簡単に言いますと、国と当該求職者が契約を結ぶ形で「あなたは求職活動を適切な形でやってください。なぜ職業紹介をしたのに行かないんですか。なぜ無断で面接を受けなかったんですか」となって、そういう場合は停止の条件にもなりますし、厳しく指導していくことになります。しかし一方で、求職サポートというのは、担当者を置きながらそれぞれの事情に基づいて、複数人のチームでサポートするという手厚い仕組みもあるわけです。バランスとして失業認定、認定後の求職活動のサポート、それからベーシックインカムという考え方、これらの大きなミックスの中でマルチジョブホルダーの方々が対象になっているという理解をしたところです。

○岩村部会長 それでは阿部委員、お願いいたします。

○阿部委員 ただいま、亀崎委員と遠藤委員から御報告がありまして、私が追加することは余りないのですが、その中で私が思ったことをお話させていただくとすると、亀崎委員がおっしゃったように、フランス、ドイツとも制度が整備されていて、副業、マルチジョブホルダーへの対応というのは、日本でもできないことはないだろうと思います。ただし遠藤委員がおっしゃったように、フランスとドイツと日本とでは、そもそも制度が違いますので、日本に導入するとなると、制度の根幹から考え直す必要があるのではないか。単純に今回、マイナンバー制度ができたから、個人がどういう働き方をしているかが追跡できるどうのこうのということではない。そもそも保険に対する考え方と保険の制度、制度を運用する仕組みの全てが違っておりましたので、すぐにフランスやドイツの制度を日本に導入するということは、現状ではかなり難しいのではないかと思っております。

 ただ、先ほど御紹介いただいたように、雇用者に占める兼業している人の割合も伸びていますし、最近では兼業や副業といったものが望ましいという報道もあるようですから、多分、今後こうした副業や兼業が伸びていく可能性はあるだろうと思います。さらに今後の雇用の在り方を考えると、厚生労働省でも報告書が出ていたと思いますが、雇用だけでなく、働き方が雇用以外のところでも、もっと増えてくる可能性があると思います。そうしたときにリスクをどうやって社会が負担していくかということを考えることは、非常に大事なことではないかと思います。

 冒頭に関連するかどうかは分かりませんが、青山委員から、ほかの分野と絡み合って制度をどう考えていくかといったところをお話いただいたと思いますし、村上委員もそのような御発言をされていたと思います。多分、雇用保険制度だけではなく、生活のリスクにどう対応していくかということを考えると、税制や社会保障制度を含めて考える必要があるのではないか。特に遠藤委員が御紹介していたベーシックインカムというのが、ドイツでは雇用保険制度、失業保険制度に組み込まれた形になっている。そういうところまで見ていくかどうかとか、いろいろ議論する余地はあるのではないかと思います。したがって、本当は早く制度の見直しに着手すべきだと思いますが、今後の雇用の在り方、どういうリスクに対応するかというのを十分に考えて、そもそも雇用保険制度やほかの制度とどのように改革していくかというのは、少し長い目で見ていったらいいのではないかと思っているところです。

○岩村部会長 大変貴重な御意見を皆様から頂きまして、ありがとうございました。この後の時間については、資料 3 の御意見、御質問等をお願いしたいと思います。もちろん、海外調査に行かれた方に対する質問でも結構です。

○遠藤委員 資料3の 12 ページにあるフランスの項目を御覧いただきたいのです。ここの※で紹介されていることです。失業認定や給付のために必要な情報は、本人の申告情報をもとに判断。不正受給の調査等に際しては、他機関との情報連携等も実施。と書かれています。この数行に書かれていることについて、すごくショッキングなことがありました。どういうことかと申しますと、フランスを訪れたときにわざわざ公的な機関から、不正受給をテーマにして意見交換をしたいということになりました。

 不正受給の意味合いは何なのかを申し上げますと、移民の方も、隣国の方々も国境なき形で働いています。そうすると、本来は給付が停止されなければいけないけれども、給付を受けながらほかの国で働いているといったことが、現実問題としてあり、この方々にどう対処していくかというのが、 1 つの大きなテーマになっているのです。フランス側からも日本に対して、「日本は働きながら給付を受けることってあるんですか」という質問があり、ここは不正受給の問題と、働きながら給付を受けているということの捉え方が、ポイントになってくるかと思いました。

 なぜショッキングなことを感じたかというと、この不正受給を防止するために、フランスではどういうことをやろうとしたか。求職者のありとあらゆる情報を集めることをするのです。ありとあらゆる情報を集めるとはどういうことなのかをよく聞いてみると、例えばその人がどういう物を買ったのか、どういう行動をしているのかということについても、一切の情報を集めます。そうすると、例えば求職活動をしている人がちょっといい服を買ったとか、家族と食事に行きましたということが、求職者として適正でないということを言いたいのかと思いながら聞きました。給付をし続けている以上、適正な求職活動であるかないかということについて、最大の関心を持っているということだったと思います。

○岩村部会長 若干補足しますと、フランスは基本的にカード社会ですので、口座の明細を押さえると、どういう消費行動を取っているか、洗いざらい全部分かってしまうのです。恐らく何を買っているかを見るというのは、ほかに所得があるのではないかというのを調べるのです。それは当然、税務当局も非常に興味を持ちます。したがって、恐らく税務とタイアップしながらということになるのだろうと思います。

○阿部委員 恐らくではなくて、そのとおりです。社会保障番号で全部見られるのです。

○岩村部会長 ほかにはいかがでしょうか。

○村上委員 今のお話ですが、フランスは税も厳しいですし、労働基準関係の取締まりも大変厳しいと聞いています。また、フランスに行くとチケットを買わずに地下鉄などに乗車してしまうと、見つかると大変なことになるというのをよく聞いており、実際に取締りの現場を見たことがあります。あれだけきちんと不正を取り締まるという文化がある国なので、失業保険についてもそのようなことをやっているのかなという感じがいたしました。

 先ほどの遠藤委員の御指摘や阿部委員の御指摘は、私ども労働側としても考えていかなくてはいけないことではないかと思います。そもそも適用対象をどうしていくかというところから始まって、マルチジョブホルダーをどうするかということになっていくのだろうと思います。ここの課題ではないかもしれませんけれども、フランスのようなベーシックインカムサポートをどうするかという話は別にして、手厚いチーム支援というのは見習っていくべき課題ではないかと思います。

 それから、事務局に御質問したいと思います。資料 3 1 ページ、 3 ページの辺りですけれども、雇用保険は自らの労働によって賃金を得て生計を立てている労働者が失業した場合の生活の安定を図る制度であるから、保護の対象とする労働者を一定の者に限っているということで、かつては 3 ページにありますように、労働時間と年収の要件の両方で見てきていて、それを少しずつ拡大してきたというのがこの間の経緯であったと思います。私が雇用保険制度について初めて勉強したのは、社会人になってから社労士の資格を取るときでした。平成の初めの頃だったので、もう 20 何年か前ですが、その頃、昼間学生は除外ということについて、その当時はそうだなと思っていたのですが、その考え方というのを、もう一度教えていただきたいと思います。

 今となって見れば、昼間学生だからといって全部適用範囲から除くのが妥当かどうかということは、制度全体を考えるときにも 1 つのイシューとして考えていくべきではないかという感じがしております。というのは、学生の中でも週 40 時間近く働いている方もいらっしゃいます。それが学費を稼ぐとか生活費を稼ぐということで複数の職場を掛け持ちであったり、 1 か所でシフトに入ってやっていらっしゃる方がいます。それが本来の学生としてどうあるべきか、好ましいかどうかということは別にして、その仕事を失ったときには何かサポートが要るのではないか。そこの対象をどうやって絞っていくかということはありますが一方で昼間学生だから全部、週 20 時間以上働いても雇用保険の適用ではないという話なのかどうかということも、実態を踏まえて少し考えていくべきではないかと思いましたので、現在の考え方、なぜ昼間学生を除いているのかについて御質問いたします。

○岩村部会長 では、事務局のほうでお答えいただければと思います。

○田中雇用保険課長 昼間学生が適用除外になっている理由としては、そもそも昼間の時間、 1 日のうちの大きな時間を勉学に費やされている方というのが基本になりますので、そういう方が強制適用の保険の中で、適用すべき一定のまとまりのあるものを失ったときのリスクを分散させるという対象にするほどの働き方をするというのが、そもそも想定されていないというのが 1 つあろうかと思います。強制適用の保険制度ですので、その中でどういうリスクを皆さんの連帯の拠出によって賄うべきか、どういう範囲にしようかというのを、制度としてのマスで切り取って、適用していくことになっていることから、今は昼間学生が適用除外になっていると。現行の制度としては、そういう整理だと思っております。

○岩村部会長 ほかにいかがでしょうか。

○亀崎委員 関連して。昼間学生の環境は、私どももいろいろな労働相談を受けているのですが、やはり昔と違って、今は昼間も働かないと奨学金などを含めても生活できないということで、現実に相談があるのです。したがって、数が少ないという問題ではなく、そういう人たちも含めて何らかの手当というか、対応を検討していく必要があるのではないかと思いますので、意見として申し上げておきます。

○遠藤委員 そもそもの疑問ですが、仮に学生を対象にすると、その学生が失職したときに求職活動をすることになります。学生の身分を持ちながら求職活動をやりなさいという政策が、果たして適合するのかという思いが私にはあります。

 もう 1 つは、雇用保険の適用はないのですけれども、雇用保険の適用がないということは、保険料を取られないということがあります。雇用の機会がそれによってどう影響を受けるのか。要するに、適用対象にすることによってどういう影響が出るかを考えると、学生が適用対象に入っていないことは、それなりに説明が立つのかなと思っています。

○岩村部会長 大学には大学の建前もあるので、なかなか難しいところです。

 

○遠藤委員 すみません。総理が言明しておりますように、本人が望めば利息のない奨学金も、今後対象者を広げていくということもありますので、雇用保険が出ていくところなのか。他の施策で補い得る状況があるとすれば、そちらのほうに委ねていくことも考えていきたいと思います。

○阿部委員 議論の進め方として、近々まとめなければいけないものと、そこそこ長く議論したほうがいいものとあるような気がしています。対象者をどうするかというのは、すぐに決めなければいけない部分もあるかもしれないけれども、そうでない部分もあるので、そこの切分けをきちんとしていただいて、何を議論するかということをしないと、今ここで昼間学生を入れる入れないというのが何の話なのか、よく分からないような気がするのです。ですから何をここで議論して、いつまでにそれを決めなければいけないのか、その辺りを整理していただければと思います。今回はマルチジョブホルダーの話が出て、私が長期的に考えなければいけないというようなお話をしたので、混乱があったのかなと思って意見を申し上げます。

○岩村部会長 問題をきれいに整理していただいて、大変ありがとうございます。いずれにしろマルチジョブホルダーの問題というのは、先ほどの御指摘にもありましたように、そもそも第一に雇用保険の適用範囲の在り方をどうするかという問題に関わると同時に、他方で失業の給付事由をどのように捉えるかという問題にも関わってくることです。

 さらに失業扶助の問題が、どういうように絡むかという話がありますけれども、いずれにしろ私の知っている限り、ドイツもフランスも多分、失業保険には国のお金は入っていないのです。その代わり失業扶助という形で、雇用保険が切れた後にやるという整理になっているのですが、日本の場合は雇用保険のところに国庫を突っ込んでしまっているので、その辺をどういう形で整理するかということも、場合によっては関係してくるかもしれないと思います。

 いずれにしろ今日、事務局でもこういう形でペーパーを用意していただいて、問題の所在を御指摘いただき、かつ、ドイツとフランスの状況も調査していただきました。それに伴ってマルチジョブホルダーの適用について、どういうところを考えなければいけないかという論点もあって示されたように思いますので、これについてもまた議論を深めていければと思っております。

 資料 3 について、ほかにありますか。よろしいでしょうか。それでは、今日用意した議題は以上です。最後に、本日の署名委員です。使用者代表については深澤委員に、労働者代表については亀崎委員に、それぞれお願いしたいと思います。次回の日程は 10 17 日の月曜日となっております。次回は引き続き基本手当及び暫定措置について御議論を頂戴するとともに、教育訓練給付及び就職促進給付についても、御議論いただくことを予定しております。場所等の詳細は事務局から、改めて各委員に御連絡差し上げるということですので、よろしくお願いしたいと思います。今日はこれで終了とさせていただきます。委員の皆様にはお忙しい中、どうもありがとうございました。


(了)

厚生労働省職業安定局雇用保険課企画係
TEL:03-5253-1111(内線:5763)

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