ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働基準局が実施する検討会等> 平成28年度化学物質のリスク評価に係る企画検討会> (平成28年7月14日) 第2回化学物質のリスク評価に係る企画検討会 議事録(2016年4月22日)




2016年7月14日 (平成28年7月14日) 第2回化学物質のリスク評価に係る企画検討会 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

○日時

平成28年7月14日(木)15:00~


○場所

経済産業省別館302会議室


○議題

平成30年ばく露作業報告対象物質の選定について ほか

○議事

○平川化学物質評価室長補佐 本日は大変お忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。定刻になりましたので、ただいまより第2回化学物質のリスク評価に係る企画検討会を開催させていただきます。委員の出席状況ですが、吉田委員は所用により御欠席です。以降の議事進行を櫻井座長にお願いいたします。

○櫻井座長 まず、事務局から本日の配布資料の確認をお願いします。

○平川化学物質評価室長補佐 本日の議題ですが、1番目に、前回422日の第1回企画検討会で行った「リスク評価対象物質・案件選定の考え方について」です。2番目は、「平成30年有害物ばく露作業報告対象物質の選定について」です。この平成30年というのは、今年の12月に予定しております告示の後、平成291月から12月までの製造量、製造取扱量500kgを超えるものについて、平成301月から3月までに報告を頂くものの選定ということで平成30年とさせていただいております。議題はこの2点です。

 次に、資料の確認をさせていただきます。議事次第、資料、参考資料をまとめて左上1点留めとさせていただいております。資料114ページで、「リスク評価対象物質・案件の選定の考え方()」です。資料2-1510ページで、「IARCグループ1に分類されている作用因子(118因子)の分類()」です。資料2-2-11113ページ、「平成30年有害物ばく露作業報告検討物質の情報」で、資料2-1からの候補物質に関してまとめたものです。資料2-2-21518ページ、「平成30年有害物ばく露作業報告検討案件の情報」で資料2-1からの候補案件に関してまとめたものです。資料2-31921ページ、「平成30年有害物ばく露作業報告検討物質の情報」で、これは行政検討会から候補として上がってきたものです。資料2-423ページで、624日から77日までに行った「パブリックコメントによる候補物質の意見提出状況」です。

 参考資料12526ページで、化学物質のリスク評価に係る企画検討会開催要綱及び同参集者名簿です。参考資料227ページで、前回の企画検討会で議論していただきました「労働者の健康障害防止にかかる化学物質のリスク評価方針」です。参考資料33141ページで、「有害物ばく露作業報告制度及びこれまでの選定経緯・対象物質について」です。不備がございましたら事務局までお申し付けください。

○櫻井座長 議事に入ります。平成30年有害物ばく露作業報告の対象物質を検討するというのが主な議題です。その考え方については、前回第1回企画検討会で議論をいたしました。その後、事務局で内容を整理していただいたものが、本日は案として示されております。おさらいの意味も込めて、事務局から説明をお願いします。

○平川化学物質評価室長補佐 議題2の、平成30年有害物ばく露作業報告対象物質の選定に係る基本的考え方ということで、これを踏まえて資料2以降の議論を進めさせていただければと存じます。まず、リスク評価物質・案件の選定の考え方です。1(1)ヒトに対する重篤な有害性を有する又は有する恐れのある化学物質・案件として以下に該当するもの。特に、今回から過去にリスク評価を実施した化学物質・案件のうち、評価結果の見直しが必要なものも含むとさせていただきました。

 アのなお書きで、性状についての内容の見直しが必要であるという御指摘を頂きましたので、今般の労働安全衛生法改正に伴う通知対象物質における除外すべき形状についての労働安全衛生規則の書きぶりを踏まえ、なお書きの整理をさせていただきました。「有害性の程度が低く(ばく露限界値等の数値が大きいもの等)、かつ、当該物質の物理的性状からみてばく露程度が低いと判断されるもの(運搬中及び貯蔵中において固体以外の状態にならず、かつ、粉状にならない物(次の丸数字1~丸数字3のいずれかに該当するものを除く。) をいう。) については、リスク評価の対象から除外して差し支えないものとする。」といたしました。ただし、経皮吸収による有害性が指摘されている物質は、これにかかわらずリスク評価の対象から除かれないといたしております。これは、昨年度から出ております膀胱がんの事案も踏まえ、経皮吸収に対しての視点をこちらでも考えていくということで入れております。

 資料1の次のページに参りまして、イです。労働に伴う疾病に関する次の()()の情報において、化学物質による疾病が増加し、又は増加する恐れが示唆される化学物質・案件についても対象とするということ。

(2)の、国内における健康障害防止措置等に関する次のア、イの情報において、当該措置について問題が生じている又は生じる恐れが示唆される化学物質・案件。

(3)の、国内において、有害性に係る懸念・不安が広がっているものとして、次のア、イに該当する化学物質・案件。

 項番2のなお書きで、以下の(1)(2)に該当する場合にあっては、対象物質・案件から除外。ただし、対策の見直しが必要なものについてはこの限りではない。としております。

 項番3のところ、リスク評価の効率的・効果的な推進のため、リスク評価対象物質・案件を絞り込む場合にあっては、ヒトに対する有害性の確度の高いもの、有害性の程度、物理的性状等から見たリスクの高いもの及び対象物質を取り扱う事業場、労働者数から見た影響度の大きいものの中から、専門家の意見を踏まえ、選定するものとする。

 項番4のなお書きで、61日より改正施行された労働安全衛生法に伴い、これまで表示対象物質のみであったのが、SDSの交付、表示、リスクアセスメントが同時に義務化されたということで、「又は」の所を「及び」ということで、今回修正させていただければと考えております。最後はただし書きです。上記1(3)に該当する場合にあっては、有害性評価を先行して実施し、情報の提供を行うものとする。

今般IARCにおいてグループ1とされている物質が、膀胱がん事案に関連するという状況になっていることから、今回は1(1)の所を重視して、リスク評価対象物質の選定を行ってまいりたいと考えております。

○櫻井座長 ただいま、考え方案についての説明がありました。これについての御質問、御意見等がありましたらお願いいたします。

(発言なし)

○櫻井座長 特にないようですので、この案を平成28年度のリスク評価対象物質・案件選定の考え方としていきたいと思います。続いて、平成30年有害物ばく露作業報告対象物質の選定について、これは本日のメインの議題ですが、事務局から説明をお願いします。

○平川化学物質評価室長補佐 これまで有害物ばく露作業報告の選定においては、1(1)のアにある、国際機関又は政府の有害性に係る分類・情報の中でも、特にIARCにおける区分を優先して選定を行っておりました。その後、IARCの区分の見直し等が行われ、グループ1に入ってきているようなものもあります。今回の選定においては、IARCグループ1をまず優先的に検討していただいて、拾えるものがあれば拾っていくということを考えております。

 資料2-1です。最新のIARCグループ1に区分されているもの(118因子)を示しています。これを事務局でグループ分けをして、改めてばく露作業報告をしなければいけないものを分類させていただいています。

 まず、「すでに措置が講じられているもの(49因子)」がございます。これについては、労働安全衛生法令に基づいて既に措置が講じられているものということで、例えば、1番の2-ナフチルアミンですが、法令ではベータ-ナフチルアミンと言われるものであり、製造禁止になっております。次の7番のポリクロロビフェニル、これは法令では、塩素化ビフェニルと言われており、製造許可物質となっております。さらに、ホルムアルデヒド。これは特化則(特定第2類物質、特別管理物質)で規制されている物質です。このように法令等で既に措置が講じられているものについては、今回は有害物ばく露作業報告の候補からは外していくことになります。

 次に、「今後評価・再検討を想定しているもの(14因子)」です。これが、今回、有害物ばく露作業報告の対象として議論していただきたいものになります。後ほど改めて別の資料で説明させていただきます。

 その次が、「他の法令等により製造等が禁止されているもの(3因子)」です。1つ目はリンダンと言われているものですが、販売禁止農薬ということで、製造等が禁止に当たりますので、対象から外すことといたします。

63番のCAS番号313-67-7のアリストロキア酸については生薬の成分ですが、含む生薬は国内製造禁止という扱いですので、これも外します。8ページに記載のあるアリストロキア酸も同様です。

 次のグループの「職業ばく露対策では対応できないもの」ということで、これについては非常に幅広くあります。食品の関係もありますし、化学兵器とか、嗜好品といったものも含まれております。こういうものについては、労働環境ばく露に、必ずしもそれで考えるのは適当ではないのではないかということもあり、これも今回対象から外させていただければと考えております。医薬品についても、表示・SDSの関係では、対象外とされておりますので、こういうものについては今回の有害物ばく露作業報告の対象からは外していく方向で進めてまいりたいと考えております。

 このような形で118因子をグループ化いたしましたが、特に対象とするものについては14因子です。それ以外のものでこれは是非入れたほうがいいという御意見がありましたらお願いいたします。

○櫻井座長 ただいま、118因子を4つに分けて、そのうち今回候補物質として考えているのは2番目の14因子です。それ以外については、今回の対象とするかどうかという点では、原案では外すことになっております。それについて御意見がありましたらお願いいたします。

○近藤委員 2番目の、今後評価・再評価を想定しているものの前半の部分は、ある程度物質が特定できて、評価を進めていくのは可能かと思うのです。後段の部分は、物質の特定が非常に困難であるという実態があろうかと思います。候補因子として挙げるのはいいのかもしれませんけれども、具体的に何をどのように評価していくかという観点で、もう少し整理が必要かと考えます。

○櫻井座長 このすぐ後で、個別に1つずつ検討する際に、同じ見地から御検討いただくことになると思います。

○宮川委員 今回のものに直接関わらないかもしれないのですけれども、8ページの職業ばく露対策では対応できないということで除外するというものの中で、大量に抗がん剤の医薬品が並んでいます。医薬品はSDSの対象ではないわけですけれども、実際に物を特定しようと思うと当然できるものです。それから、病院等での取扱いによっては、一部職業性のばく露が起こることもあります。今回は候補から外してもよろしいかと思いますけれども、一律に職業ばく露対策では対応できないという切り口で、こういうのを認めたということではなくて、今回は除外するということで、記録に残すのであれば表現を考えていただきたいと思います。

○丸田委員 同じく8ページについてです。医薬品に関して言うと病院職場でのばく露というのがありえます。また、医薬品の製造現場で、場合によってはばく露することも考えられますので、そういう視点も取り入れていただければと思います。

○櫻井座長 使用の場である病院、製造の場と両方でのばく露があり得るということです。今回は当面取り上げないとしても、今後の検討課題という御意見です。

○穴井化学物質評価室長 医薬品は、パテントが絡むので、なかなか現場には入りにくいということがありますけれども、その辺は担当部局とも相談しながら検討させていただきます。

○清水委員 追加ですけれども、そういう医薬品を作っている建物などを工事で解体、あるいは改装するときに、労働者がばく露するケースが実際にあります。そういうことも考慮しておかなければいけないかと思います。

○櫻井座長 新しく御指摘がありましたけれども、それは存じませんでした。そういう報告があるということですね。

○清水委員 うちで、ばく露調査をしたことがあります。

○平川化学物質評価室長補佐 4番は「職業ばく露対策では対応できないもの」と書いてありますけれども、この辺りの表現も見直したほうがいいということでよろしいでしょうか。ここの表現ぶりで、修正案があればお願いいたします。

○櫻井座長 適切な表現がありましたらお願いいたします。

○穴井化学物質評価室長 別途対応していくような区分を作って、それで別枠にするとか何か考えたいと思います。

○櫻井座長 従来この医薬品絡みは、使われる場が割合特定しやすいということもあって、別扱いにされてきた経緯がありました。そういう経緯もあるので、その流れから、ここでは別に分類されているけれども、別途検討するというような表現を事務局のほうで考えていただくということでよろしいでしょうか。余り遅くならないうちに検討すべきだろうとは思います。

○平川化学物質評価室長補佐 そういたしますと、医薬品については52因子の中に含まれておりますけれども、別に切り分けた形で整理させていただくということでよろしいでしょうか。

○櫻井座長 そうですね。医薬品以外は大丈夫ですね。特に問題になりそうなものはないようです。たばこ、自然環境、排ガス、大気汚染、嗜好品、食品、ウイルス、大丈夫ですね。この件でその他に追加の御意見はありますか。

 ないようですので、15物質については、先ほどの御意見に従い、個別にこれから検討するということ。それから、2番目のものについては、医薬品を別に分けて、適切なくくりの名前で整理するということでよろしくお願いいたします。次の説明をお願いいたします。

○平川化学物質評価室長補佐 それでは、14物質を2つのグループ、物質・案件にそれぞれ分けて、これから議論を進めさせていただきます。物質・案件ということで分けたところ、11ページからの資料2-2-11番から7番が1つのグループ。資料2-2-2のグループが15ページから18ページまで、改めて1番から8番ということでグループ分けをさせていただきます。それぞれのグループ別にこれから説明をさせていただきます。

 資料2-2-11から4の、塩化水素、硝酸、弗化水素、硫酸という4物質については、IARCではどのような形で整理されているかと言いますと、強酸性ミストで整理されております。特にこの4物質についてIARCモノグラフに記載されておりましたので、有害物ばく露作業報告検討物質の候補ということで挙げているものです。塩化水素、硝酸、硫酸については、特定化学物質第3類物質となっております。弗化水素については、特定第2類物質となっておりますけれども、記録等の30年の保存が義務付けられる特別管理物質にはなっていないものです。いずれも、発がん等の遅発性疾病を防止する観点からの規制が必要かどうかについては、改めて検討する必要があると考えております。

 個別の物質について簡単に説明させていただきます。1番は塩化水素です。CAS番号は7647-01-0です。法令の名称に合わせております。物理・化学的性質ですが、気体(圧縮液化ガス)、無色、刺激臭のもので、融点は-114℃、沸点は約-85℃の物質です。蒸気圧は、非常に高圧ということです。比重は約1.5 mg/cm3 です。

 用途ですが、エッチング用、分析用試薬、医薬・農薬・染料・香料などの原料、食品製造用、排水処理用ということで、非常に広範囲の用途で使われています。製造・輸入量ですが、化審法に基づき集計している一般化学物質の製造・輸入数量として100万~200tとなっております。

 発がん性以外の有害性ですが、この資料では共通にGHS分類区分1となっているものを挙げております。皮膚腐食性・刺激性、眼に対する重篤な損傷・刺激性、呼吸器感作性。特定標的臓器毒性は単回ばく露で呼吸器系、同じく反復ばく露で呼吸器系・歯です。許容濃度は、日本産業衛生学会で最大許容濃度として2ppmと出されています。ACGIHにおいては、STELC 2ppmとなっております。

 次に、硝酸です。CAS番号は7697-37-2です。これも法令の名前に合わせております。次に物理・化学的性質です。液体で無色から黄色です。刺激臭があり、融点は約-40℃、沸点は約-80℃です。蒸気圧が6.4kPa(20)、比重1.4です。用途及び製造量ですが、硝酸塩(爆薬、肥料等)の原料、TDI・アジピン酸ニトロベンゼン等ニトロ化用、ICの酸洗い、ウラン・プルトニウムの回収溶媒、エッチング剤ということで使われているということです。製造・輸入量ですが、30万~40万tです。

 がん原性以外のその他の有害性です。急性毒性(吸入・蒸気)、皮膚腐食性・刺激性、眼に対する重篤な損傷・刺激性、特定標的臓器毒性は単体ばく露で呼吸器、同じく反復ばく露で呼吸器・歯です。許容濃度は、日本産業衛生学会で2ppmACGIHTWA 2ppmとそれぞれ決められております。

 次に、弗化水素です。CAS番号7664-39-3です。物理・化学的性質ですが、無色の気体あるいは液体で、刺激臭です。融点が-83℃、沸点が19.51(20)です。蒸気圧が122kPa(25)276.0kPa(50)です。蒸気密度が0.69、空気を1とした場合の蒸気密度0.69です。

 用途及び製造量です。これも広範囲にわたっていて、触媒(重合、加水分解)、冷媒(フロンガス)原料、フッ素樹脂原料、フッ素化合物原料、半導体のエッチング用です。製造・輸入量は、10万~20万tとなっております。

 その他の有害性として、皮膚腐食性・刺激性、眼に対する重篤な損傷・刺激性、皮膚感作性、特定標的臓器毒性は単体ばく露で呼吸器、膵臓、同じく反復ばく露で骨、歯、下垂体、甲状腺、腎臓、神経系、肝臓、精巣、気管支となっております。弗化水素は特定第2類物質ということで、管理濃度も定められていて、0.5ppmという数字が決められております。日本産業衛生学会で最大許容濃度として3ppmACGIH0.5ppmと定めております。

 次に、硫酸です。CAS番号7664-93-9です。物理・化学的性質です。無色、油状の吸湿性液体で、無臭です。融点が10℃、沸点が340(0.7mmHg)です。蒸気圧が146℃で0.13kPa25℃で0.0067Paです。蒸気密度が3.4、空気1の場合です。比重が1.8356です。

 用途及び製造量です。用途として肥料・繊維・無機薬品・金属製錬・製鋼・紡織・製紙・食料品、工業等での原料・助剤・排水処理剤等ということで使われています。製造・輸入量ですが、400万~500万tとなっております。

 その他の有害性です。皮膚腐食性・刺激性、眼に対する重篤な損傷・刺激性、特定標的臓器毒性は単体ばく露で呼吸器系、同じく反復ばく露で呼吸器系となっています。許容濃度等です。日本産業衛生学会では2000年に最大許容濃度として1mg/m3 ACGIHTWA0.2mg/m3 と定めています。酸については以上です。

 引き続き、5番、6番、7番を御説明いたします。まずベンゾ[a]ピレンです。物理・化学的性質は、針状晶、淡黄色、僅かな芳香、融点は179℃、沸点は495℃。蒸気密度は8.7、比重1.351logPow6.13となっております。用途及び製造量等です。用途は、非意図的生成物です。製造・輸入量はデータがありませんでした。

 その他の有害性ですが、生殖細胞変異原性、生殖毒性が指摘されております。許容濃度等については、日本産業衛生学会で未設定、ACGIHも未設定です。なお、この物質についてはリスク評価が既に行われております。有害物ばく露作業報告においては、7事業場からの報告があり、リスク評価の結果、リスクは低いということで1度評価されておりますけれども、改めて再評価が必要であるかどうかの検討をいただくため提示いたしました。非意図的に生成されるものであり、これを実際にどれだけ製造・取り扱っているかの量の算定は非常に難しく、改めて定めるなどの対応が必要ではないかと考えています。

6番は、けつ岩油です。CAS番号68308-34-9です。物理・化学的性質は、黒褐色の僅かに流動性の油状液体です。油母を399℃で熱分解して得られる炭化水素混合物ということで、炭化水素及び複素環状系化合物の混合物で、窒素、硫黄及び酵素を含みます。においとしては石油臭です。

 用途及び製造量等です。用途については、液体燃料の原料と言われています。許容濃度ですが、日本産業衛生学会未設定、ACGIH未設定です。これについては、SDSの対象となっております。

 これも物質の特定が困難な物質であり、今後の話として、業界団体の確認、物質の特定に関し、各団体への確認など、引き続き情報収集に努めることが必要ではないかと考えられるものです。

7番は、鉱油です。CAS番号は、職場のあんぜんサイトのSDS情報では6種類の番号があります。性状は、琥珀色の粘ちょう液体です。用途及び製造量ですが、用途としては潤滑油原料、鉱油、溶剤、潤滑油、灯油、軽油、A重油、石油、化学原料、熱媒体があるということです。製造・輸入量についてのデータはありません。

 その他の有害性ですが、特定標的臓器・全身毒性の反復ばく露で肺、皮膚が示されています。さらに吸引性呼吸器有害性もあるとされています。許容濃度等については、日本産業衛生学会未設定、ACGIH未設定ということで、これについてもSDSの対象物質となっております。

 これについても、物質の特定が非常に困難ということで、CAS番号もたくさん振られており、特定が難しいところもあり、業界団体等への確認など、引き続きの情報収集が必要ではないかと考えております。以上の資料2-2-1の各物質についてよろしくお願いいたします。

○櫻井座長 ただいまの説明で、案としては1番から4番までが、今回候補物質として採用すべきであり、5番、6番、7番については今の説明にもありましたが、今後の検討のために情報収集に努めるということになっていますが、いかがでしょうか。

○宮川委員 確認です。7番の鉱油の許容濃度は未設定となっているのですけれども、鉱油ミストという形で、日本産業衛生学会の古いもので、相当大きな値だったと思いますがあったと思います。3mg/m3 ぐらいでした。ACGIHのほうは、ミネラルオイルではなくて、オイルミスト(ミネラル)か、名前が時々変わるので分からないのですけれども、ACGIHにもあったような気がします。ただ2つに分かれていて、精製度の高いものは発がん性がないということで、そうでないものは発がん性があって、別の数字が載っていたと思いますので、確認していただければと思います。

○平川化学物質評価室長補佐 分かりました。

○宮川委員 実際に特定しようと思うと、ここに書いてあるものだけではなくて、随分精製して、他の用途で使われているようで、化粧品原料などになっていますので、どこまで含めるかが非常に難しくはなります。

○平川化学物質評価室長補佐 今回、鉱油ということで書かせていただいているものは、先ほどの資料2-1で見ると、7ページの53番「Mineral oils,untreated or mildly treated」と書かれているものです。要するに余り丁寧に精製されていないものが、IARCでグループ1とされています。実はファインのものが別に評価されておりまして、こちらはIARCグループ3となっております。この対象となるのは、あくまできちっと精製されたものではなくて、そういう形で中途半端と言いますか、精製されきれていないものが対象ではないかと考えております。

○櫻井座長 他にお気付きの点はありますか。

○名古屋委員 5番のベンゾ[a]ピレンの所は、もうリスク評価が終わっていて、たまたまそのときのリスクが上がっただけの話で、実態が変わっているかというと、少しも変わっていませんので必要ないのではないか、とてつもなく低かったですから。実態は変わっていませんので、入れる必要はないのではないか。

○櫻井座長 既に1度リスク評価をやっているのです。

○名古屋委員 はい。既に1度リスク評価をやっています。

○平川化学物質評価室長補佐 確かに定義の問題があるというわけではなかったものですから、御意見を賜りまして、対応させていただきます。

○名古屋委員 こういう現場はいっぱいあって、幾らでも使われています。我々も分析していますけれども、いろいろなものが混じっているので特定できないため、規制を掛けること自体がなかなか難しいのです。リスク評価で、何を使っていますか、と教えてもらうこと自体もなかなか難しいのではないかと思います。ただ、CAS番号の付いているものを扱っている所というのは、多分管理がきちんとできるのだと思うのです。それほど難しくはありません。もしかしたら、そういうCAS番号の付いているものに対して対応するか。ただ、それが精製されているか、いないかはよく分かりません。そういう意味では、こういう業界に聞いたほうがいいのかと思います。掘削油や切削油も世の中ではいっぱい使われていますのでということです。

○平川化学物質評価室長補佐 対象とする場合には情報収集をすることにいたします。

○櫻井座長 予想も付かないような大量ばく露がないかどうかというのが心配ではあります。

○平川化学物質評価室長補佐 はい、分かりました。

○名古屋委員 切削油そのものよりは、逆に環境管理がされていなくて、作業により環境中に飛散した切削油が壁、窓枠などに堆積していって、そこに細菌とかカビが繁殖して、そこから舞い上がった殺菌等を含んだ切削油を吸うことによって疾患が起こるという事例のほうが多いのではないですか。切削油直接ではなくて、という気はしました。想定して見ていてです。

○平川化学物質評価室長補佐 情報を集めて、挙げられる状態になったら挙げていくことになろうかと思います。

○米倉化学物質情報管理官 ベンゾ[a]ピレンの関係で一言補足させていただきます。ベンゾ[a]ピレンは非意図的生成物ということですが、一方で有害物ばく露報告では、ばく露していると認識している人が報告を出してきているので、実際にどこまでばく露していると認識した中で情報が収集できていたのか不明な点もあります。過去の報告を再確認してから、再度議論いただければと思います。

○名古屋委員 それは構わないです。

○石井委員 ベンゾ[a]ピレンについては、多環芳香族炭化水素の1つです。ディーゼル排ガスであったり、環境中でも結構検出されます。恐らく製造現場というよりは、先ほどのような排気とか、排ガスを取り扱うようなところまで調査ができるようであれば、もう少し拾えるのではないか。ちょっと検討していただければと思います。

○櫻井座長 なるほど、要するにそういう職場だとか。

○石井委員 そうですね、職場。

○名古屋委員 喫煙も入りますよね。

○石井委員 はい、そうです。

○__ 入りますね。

○__ 一番濃度が高いかもしれない。

○石井委員 別件です。1番から4番のほうの、強酸性ミストです。用途及び製造量ということで、いろいろ挙げていただいています。こちらも強酸性ミストと限定すると、かなりこの用途が絞られてきます。恐らく液体本体を使ってやっているような製造現場とは、IARCグループ1になった部分というのはかなり違う可能性がありますね。

○平川化学物質評価室長補佐 今回IARCグループ1になっているのはミストということです。報告ではどれだけ取り扱っているかというのを、液体・気体として見た上で、実際にミストとして取り扱っている事業場というのを選んで、ばく露実態調査をしていただくという形になるものと考えております。ばく露実態調査のやり方については、意見等を頂いた上でということになります。

○石井委員 それから、ミストとして調査をするか、あるいは全体を拾って、そこから抽出していくような形か、その辺は今後。

○平川化学物質評価室長補佐 ミストとしての取扱量を出すというのは非常に難しいのではないかと思います。よって、報告における取扱量の取り方としては、実際に硫酸であったり、塩酸であったり、これの製造取扱量というのを見ることになると考えます。ちなみに、有害物ばく露作業報告で出てくる情報というのが、その取扱量だけではなくて、対象物の用途、作業の種類、対象物の温度、対象物の物理・化学的性状、作業1回当たりの製造取扱量、発散抑制措置の状況、作業従事者1日当たりの作業時間、こういう情報が一通り全部上がってまいりますので、そういう情報を総合的に見て、ミストで取り扱われている可能性があるような所をばく露実態調査に選ぶというやり方が考えられると思います。

○櫻井座長 他に特になければ、このグループについては1番から4番までを当面対象物質とするということでよろしいでしょうか。よろしいようでしたら、次の資料の説明をお願いします。

○平川化学物質評価室長補佐 次の資料は15ページからになります。有害物ばく露作業報告検討案件について説明いたします。先ほど一部、近藤委員からも御説明ありましたが、1番から8番について説明いたします。

 まず1つ目、アルミニウム生産です。アルミニウム生産については、IARC100Fでグループ1とされております。国内のアルミニウム生産について調べたところ、「国内生産なし」ということです。2014(平成26)から国内精錬がなくなり、輸入100%になっているという状況です。

 次に2番目です。Acheson process,occupational exposure associated withですが、炭化ケイ素を作る際にAcheson processによる生成というものが出ており、恐らく、このアチソン法による炭化ケイ素製造工程のばく露と、考えております。炭化ケイ素については、平成29年有害物ばく露作業報告物質に指定されており、平成29年1月~3月の報告に向け、今年の製造、取扱状況を各事業場でデータを収集している段階かと思います。ちなみに、炭化ケイ素の製造・輸入量等ですが、化審法における優先評価化学物質に指定されており、平成26年度で47,246tとなっております。

3番の石炭気化です。これもIARC100Fでグループ1とされております。IARCから抜粋した内容を資料に示しておりますが、この内容から見ると、多環芳香族炭化水素の影響が考えられ、また、いろいろな物質が混じっているのであろうと、当方では認識しております。

4番のCoal indoor emissions from household combustion of 、屋内での石炭の燃焼です。これもIARC100Eでグループ1となっております。備考欄にあるとおり、これも多環芳香族炭化水素の影響が考えられ、ほかのいろいろな物質が混じって出てきているのではないかと考えております。

5番目、ゴム製造業がIARC100Fのグループ1に出ております。これについてMonograph中では、各項目別に物質の名前が出ております。これらの物質がばく露可能性のある物と考えられますが、この中にも多環芳香族炭化水素等を含む、種々な物が混じってのばく露が想定されます。

6番目はSootです。煙突のすす清掃などです。これもMonographの抜粋から見ると、多環芳香族炭化水素等いろいろな物が混じってのばく露が考えられます。

7番目、Leather dustです。Monographの抜粋から見るとクロム化合物の影響。クロム化合物については特定化学物質として既に指定されている物質ですが、それらを含め、混じった物でのばく露が考えられております。

 最後の8番目、Wood dustについては、IARC100Cグループ1です。これは木材のちりですが、以下の内容はMonographの抜粋として、関係部分だけ拾い出したものです。有害化学物質の影響も考えられますが、いろいろな物が非常に混じっていて、それらがばく露している可能性があると考えられます。

1番から8番は、全体的に申し上げられることは、既に規制されている物質も入っており、それらが取り扱われている状況にあることなどが考えられることから、引き続き、これらについては情報収集に努める必要があると考えております。これについて御意見等頂ければと思います。よろしくお願いします。

○櫻井座長 いかがでしょうか。何か御指摘がありましたら、お願いいたします。

○宮川委員 8番の木材のちりですが、この部分を、抜きだしてきた所を見ると、木材そのものではなくて、それ以外のものの影響が書かれている所を抜きだしてきたと思うのですが、そこだけが強調されると、ほかにも少し心配なものがありますので、そこが分かるようにしていただければよろしいかと思います。

○平川化学物質評価室長補佐 はい。

○櫻井座長 欧米では割合、発生している木材の質の問題が言われているように記憶しております。日本ではなかなかケース等の報告がなくて、課題ではあると理解しております。当面、情報収集に努めることでよろしいでしょうか。その他、何かありませんでしょうか。

 ゴム製造も昔から非常に多種類の老化防止剤など、それだけ見ても発がんの疑いというものも。多く使われているけれども、物質を特定して、調べるなら調べるということかもしれませんが、情報収集は今の段階ではちょっと難しいことだと思います。

 その他、特にないでしょうか。それでは、この中から当面どれかを選んで、すぐにでも検討するということではなく、情報収集に努めるという結論でよろしいですか。

 次に進みたいと思います。次の説明は、発がんワーキンググループの所ですね。どうぞ、お願いします。

○平川化学物質評価室長補佐 それでは、資料2-3です。こちらについては、胆管がんの問題が出て以降、発がん性評価の加速化を進めてきております。その中で、検討会やワーキンググループの委員の知見に基づき、文献情報に基づきIARC1-2B相当の物質について選定いただくとともに、長期発がん性試験等を実施してきております。それらの中から、有害物ばく露作業報告の対象物質に入れることが適当なものがあるかどうか、御議論をお願いできればと思います。

 今回、文献調査によるIARC1-2B相当として判定されたものは、101112番です。物性等の情報について、これから報告いたします。10番はウラシルです。CAS番号は66-22-8です。物理・化学的性質ですが、白色結晶性の粉末、無臭、融点335℃、水に対する溶解度は0.36%です。熱水に易溶、アンモニア水、アルカリ水に可溶、アルコール及びエーテルに不溶とのことです。

 用途・製造量等ですが、有機合成中間体、医薬原体、電子材料添加剤、肥料添加剤、写真薬剤用錯体系製剤となっています。製造・輸入量については不明となっております。現在、その他の有害性についてGHS分類区分1については指摘されておりません。許容濃度についても現在、示されていないとのことです。

11番、トリフルラリンです。CAS番号1582-09-8です。物理的性状ですが、黄橙色結晶、水に余り溶けないが、有機溶剤によく溶けるというものです。用途・製造量です。用途には農薬(除草剤)が言われております。生産量は原体166.3t、乳剤129.2kL、粒剤2,080.8t、輸入162.0tということです。この物質の発がん性評価の区分ですが、IARC53でグループ3と言われております。ヒト発がん性については分類できないということです。EPACです。ヒトでのデータがなく、動物実験で限定的な証拠ということです。以上の状況ですが、ワーキンググループでは1-2B相当としてよいのではないかということです。

12番、ベイシックバイオレット-3です。CAS番号548-62-9です。物理・化学的性質ですが、金属光沢のある暗い黄色から暗い緑の結晶又は結晶性粉末とのことです。用途・製造量ですが、医薬、細菌染色剤、染料です。今回の評価の以前に出ているEUの評価では3ということで、発がん作用の可能性により、ヒトに対して懸念を引き起こすが、十分なアセスメントを行うのに利用できる情報が適切ではないということです。許容濃度については、日本産衛学会、ACGIHともに未設定という状況です。

13番、国のがん原性試験で発がん性が確認されたものです。これについては、昨年度までがん原性試験を行い、その結果を今年度の有害性評価小検討会で検討し、動物に対しがん原性の証拠があるということでリスク評価の候補として入れるべきであるという結論を得ましたアクロレインについて、候補として提示いたしました。

 構造式は資料のとおりで、CAS番号は107-02-8です。物理・化学的性質です。性状は無色から淡黄色の透明液体です。比重は0.8389(20)です。沸点は52.6℃、蒸気圧は274 mmHgです。溶解性についてはエタノール、エーテル、アセトンに可溶、クロロホルムに微溶です。保管条件は冷蔵、暗所に保管とのことです。

 次に用途・製造量等です。メチオニン(医薬品や飼料の原料)となっているものの合成原料、グルタルアルデヒド、ピリジン、アリルアルコール、グリセリンの合成原料、架橋剤、繊維加工剤、医薬品・飼料添加剤原料、繊維処理剤等の用途です。製造・輸入量は優先評価化学物質として131tとなっております。発がん性は、IARC63においてグループ3ということで、ヒト発がん性について分類できないと言われておりますが、今回の試験では動物実験をした結果、がんが認められたということです。

 次に、その他の有害性です。GHS分類が区分1のものを列挙してあります。急性毒性(吸入:蒸気)、皮膚腐食性及び刺激性、眼に対する重篤な損傷・刺激性、特定標的臓器毒性は単回ばく露で呼吸器、中枢神経系、肝臓となっております。同じく反復ばく露が呼吸器系となっております。次に許容濃度等が日本産衛学会では未設定とのことですが、ACGIH1995年において、STEL C 0.1ppmとなっております。このアクロレインについては、SDSの対象物質、別表第98号の物質ということです。先ほど申し上げたとおり、化審法優先評価化学物質にもなっているものです。

 次に、がん原性試験、長期の試験ではありませんが、中期の発がん性試験を別途、行っており、その陽性物質についても、発がん性評価ワーキンググループで、リスク評価の対象の候補に入れるべきであるとなりましたので、入れております。

 対象となったのが、1-フェニルアミノ-4-イソプロピルアミノ-ベンゼンです。構造式はそちらに示すとおりです。CAS番号は101-72-4です。物理・化学的性質ですが、薄い灰色から赤みの灰色、結晶から粉末です。融点は80℃、沸点は180℃で、水溶解性については不溶です。

 用途・製造量ですが、オゾン劣化防止剤、有機ゴム薬品(老化防止剤)といった用途になっています。製造・輸入量は、化審法官報公示整理番号3-168に該当する全ての物質の合計値として1,000t未満です。その他の有害性ですが、GHS区分1のものとして、皮膚感作性が指摘されております。許容濃度等、日本産衛学会、ACGIHともに未設定ということです。化審法優先評価化学物質との資料の記載がございますが、これは誤りかと存じます。失礼しました。

 最後の15番、再告示物質です。これについては、前回、有害物ばく露作業報告を行った結果、1件もなかった物質について、改めて再告示をするものです。再告示後、ばく露作業報告がないものについては、これまでのルールでは打ち切りとなっております。

 物質についてはジチオりん酸OO-ジエチル-S-(2-エチルチオエチル)です。CAS番号は298-04-4です。用途は農薬(殺虫剤)となっております。ACGIHではA4と言われております。これについて、その他の有害性を見ると、急性毒性(経口、経皮、吸入:粉じん、ミスト)、特定標的臓器・全身毒性、単回ばく露は神経系と言われております。

 これまでのリスク評価の中で、がん原性のほかに神経毒性、生殖毒性も対象とすることとなっており、そのうち今回、神経毒性がGHS区分1で対象となっている物質ということです。改めて、これについては再告示となっております。

 許容濃度についてはACGIH2000年にTWA-0.05mg/m3 ということで、Skinも指摘されております。この物質については、PRTR法の第1種指定化学物質、毒物、劇物としての指定も受けております。

今回は、国によるがん原性試験で発がん性の症候が認められたアクロレイン等を中心に、御議論いただければと思います。よろしくお願いいたします。

○櫻井座長 19ページと20ページの6物質について説明がありましたが、いかがでしょうか。これらは対象物質とする方向だということだと思いますが。事務局では今まで対象物質として定められ、その後の検討が進められている物質がかなり溜まっていることから、今回、余り多くの物質を追加するのがいいかどうか、ちょっと迷っておられるというニュアンスを伺っておりますが。この物質について是非というのは、アクロレインは急ぐべきだということ。それから、再告示物質も前回は1件も出てこなかったので、今回もう一度試すということで、まず優先的に考えているという印象を私は受けております。101112のような発がん性ワーキンググループの御評価も、今まで尊重して採用させていただいて。

○平川化学物質評価室長補佐 昨年度の発がん性ワーキンググループで候補として上がってきたものについては、全て有害物ばく露作業報告には入れていたという状況にはなっています。

○櫻井座長 そうですよね。

○平川化学物質評価室長補佐 しかしながら座長のお話がありましたとおり、実際これまで有害物ばく露作業報告対象物質ということで、毎年度20物質前後上げてきております。ただ、現在の進捗状況を申し上げますと、直近で有害物ばく露作業報告が上がったものについて、直ちにばく露実態調査が行われているかといいますと、なかなかそこが進んでいないという状況で、着手されていないものもあります。情報の出てきた時期と、ばく露実態調査を行った時期がかなり開くという懸念もありますので、そうしたところも御勘案いただいて、物質の選定について御検討いただければと思います。

○櫻井座長 報告を求めること自体はすぐにでもできるから、それでいいのかなと思いましたが、それと調査との間の時間が空くことを心配しておられます。いかがでしょうか、この出ている10番から15番までの物質について、優先度を高めるべきであるということで、特に御意見ありましたら頂きたいと思いますが。アクロレインは是非ということ、その他何かありませんか。

○宮川委員 14番の物質ですが、国の中期発がん性試験で陽性ということで、これは発がんの評価を加速するということで中期試験を導入したということの中で、そう大量には陽性のものは出てきていなくて、初めて陽性になったものです。これはたくさん陽性になって、さあ、どれを選ぼうかという状況ではなくて1つなので、是非、重要な情報として調べていただくのがよろしいかと思います。これによって、その後どうするのかということの、これからの方法を考える上で、いいデータが得られるのではないかと思います。

○櫻井座長 なるほど。今の御意見はいかがでしょうか。では、14番の中期発がん性試験で陽性という初めての例については、直ちに報告の対象物質にするということでよろしいですか。その他、ありますでしょうか。たまたま今の物質は老化防止剤ですね。先ほどのゴム製造との関連。

 では、ほかには特にありませんので、ただいまのグループの中では13番と14番と15番を30年の報告対象物質とするという結論でよろしいですか。では、そのようにさせていただきます。ありがとうございました。

 あとは、パブリックコメント等ですね。次の説明をお願いいたします。

○平川化学物質評価室長補佐 それでは、資料2-4の説明をいたします。このパブリックコメントですが、先ほども説明したとおり、平成28624日から同年77日まで募集を行いました。その結果、2件の提出がありました。

 まず、1件目が沃化物です。今後SDS等の対象として追加されるという物質です。提出者の理由ですが、沃化物の一種であるヨウ化メチルですが、メチル化剤として使用され、取扱量も多いところ、厚生労働省から出している「強い変異原性が認められた化学物質による健康障害を防止するための指針」の指導対象にも指定されておりまして、ばく露防止対策を講ずることとされています。また、IARCではグループ3であるものの、EUの発がん性評価はカテゴリー2となっていることから、ヨウ化メチルは評価に値すると考えられるとのことです。

 また、ヨウ化メチル以外の先の報告書からなるヨウ化カリウム、ヨウ化銀、ヨウ化水素のみならず、総称に値する程度には様々な価数(-10+1+3+5+7)を持つ化合物の中から、労働者が取り扱っているものについても、同時に評価するようお願いしますというコメントです。

2つ目です。農薬の関係での意見が提出されております。この5つの、グリホサート、マラチオン、ダイアジノン、2,4-D2,4,6-トリクロロフェノールについてのリスク評価をお願いしますという意見です。理由はそちらに書いてあるとおり、IARCの発がん性評価で新たに2A2Bランクにされております。あと、2,4,6-トリクロロフェノールについては、平成26年度の発がん性評価ワーキンググループで、IARC発がん性ランク2Bに相当するという評価を受けている理由が言われております。

 まず、沃化物ですが、個別物質の有害性情報の収集、業界団体等への使用状況の確認など、引き続き情報収集に努めるといった対応が必要と考えております。次に、農薬の関係です。5つの物質ですが、いずれも平成29年有害物ばく露作業報告の対象物質ということで、昨年度の12月に告示しております。既にリスク評価の対象として現在進行中であることを確認する趣旨とも考えられます。このパブリックコメントに関する意見提出状況への対応については、このような形で進めていきたいと思いますが、御意見等を頂ければと思います。よろしくお願いします。

○櫻井座長 いかがでしょうか。

○堀口委員 パブリックコメントに返却するときは、今、おっしゃった理由は、また出すのですか。

○平川化学物質評価室長補佐 今回、申し上げました内容につきましては、従前より議事録の掲載をもって回答と代えさせていただくこととしております。

○堀口委員 了解です。

○櫻井座長 では、よろしいでしょうか。事務局のほうでの対応案として沃化物については情報収集の検討を続けると伺っておりますが、そのようによろしくお願いいたします。

 以上で一通り、今日、検討すべき主な議題は終了いたしました。今回、有害物ばく露作業報告の対象となる物質について確認したいと思いますが、読み上げていただけますか。

○平川化学物質評価室長補佐 それでは、事務局より読み上げます。まず、資料2-2-1から。1の塩化水素、2の硝酸、3の弗化水素、4の硫酸です。次に資料2-2-2は飛ばして、資料2-3です。資料2-3からアクロレイン、14番の1-フェニルアミノ-4-イソプロピルアミノ-ベンゼン、15番のジチオりん酸OO-ジエチル-S-(2-エチルチオエチル)。これら合計7物質を今回、有害物ばく露作業報告の対象とさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○櫻井座長 ただいまの確認でよろしいですか。では、今の整理で告示に向けて進めていただくよう、お願いいたします。

 最後、議事その他ですが、事務局から何かあれば説明してください。

○平川化学物質評価室長補佐 それでは、平成28年度3回目の企画検討会ですが、労働安全衛生法施行令別表第9の追加等予定しておりますが、開催日時について改めて調整させていただきます。よろしくお願いいたします。

○櫻井座長 それでは、予定された議事は以上で終わります。閉会とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

労働基準局安全衛生部化学物質対策課
化学物質評価室(内線5511)

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