ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 保険局が実施する検討会等> 保険者による健診・保健指導等に関する検討会> 第19回保険者による健診・保健指導等に関する検討会(2016年4月13日)




2016年4月13日 第19回保険者による健診・保健指導等に関する検討会

○日時

平成28年4月13日(水)13:30~15:30


○場所

厚生労働省専用22会議室
東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館18階


○議題

1.特定健診・保健指導の医療費適正化効果等の検証のためのワーキンググループ検証結果取りまとめ報告について
2.特定保健指導等の効果的な実施方法の検証のためのワーキンググループ検証結果取りまとめ報告について
3.後期高齢者支援金の加算・減算制度について(報告)
4.保険者インセンティブの検討状況について

○議事

○多田羅座長 まだ時間まで1~2分ありますが、委員の皆さんおそろいになりましたので、ただいまより第19回「保険者による健診・保健指導等に関する検討会」を開催いたします。

 委員の皆様には充実した審議ができますよう、御協力いただきますようよろしくお願いいたします。

 それでは、会議に先立ちまして、本日の委員の出欠状況について事務局から確認をお願いいたします。

○野中室長補佐 事務局でございます。

 本日の委員の皆様の出席状況を確認させていただきます。

 本日は今村委員、岡崎委員、金子委員、久野委員、下浦委員、細江委員、吉田委員より欠席の御連絡をいただいております。

 次に、欠席委員のかわりに出席される方について御紹介いたします。

 岡崎委員の代理として、村岡参考人。

 金子委員の代理として、千本参考人。

 細江委員の代理として、伏屋参考人。

 吉田委員の代理として、三輪参考人に御出席いただいております。

 続きまして、資料の確認をお願いいたします。議事次第、構成員名簿、座席表、資料1、資料2-1、資料2-2、資料3、資料4、資料5、資料6、以上となっております。過不足等がございましたらお申し出ください。

 それでは、事務局からは以上でございます。

○多田羅座長 ありがとうございました。

 それでは、議事に入らせていただきます。議題1でございます。特定健診・保健指導の医療費適正化効果等の検証のためのワーキンググループ検証結果取りまとめの報告をお願いいたします。

○安藤室長 データヘルス・医療費適正化対策推進室長でございます。

 私から資料の御説明をさせていただきます。

 まず議題1の関係の資料でございますが、資料1といたしましてこのワーキンググループ報告の概要。資料2-1といたしましてワーキンググループの取りまとめ資料。資料2-2といたしまして、いわゆるバックデータです。別冊資料という形でデータ集を配付させていただいてございます。本日はそのうちの資料1の概要を使いまして御説明をさせていただきたいと思います。お手元に資料1を御用意ください。

 まず特定健診・保健指導の医療費適正化効果の検証のためのワーキンググループで、昨年度、平成27年度に実施した分析のリストを1枚目に記載しております。平成27年度は4つの分析を行ってございます。1つ目が特定健診・保健指導による検査値あるいは医療費への効果の経年分析ということで、これは昨年度も行っているものでございますけれども、データの蓄積がございまして、平成20年度から25年度の5年間の経年分析を行ったものでございます。

 2つ目といたしまして、特定健診・保健指導による保健指導レベルの推移に係る分析ということで、こちらも20年度から25年度の5年間の経年で、積極的支援ですとか動機づけ支援といった保健指導レベルの推移についての分析を行った経年分析でございます。

 3点目が、2年連続で特定保健指導を行うことの効果分析ということで、こちら26年度のときになりますけれども、検討会で御指摘をいただいて、その御指摘を踏まえて昨年度に分析を行った結果をまとめたものでございます。

 同じく26年度のこの検討会の中で、こちらも委員の方から御指摘をいただいておりました特定健診・保健指導の3疾患関連の入院外医療費の効果額を各保険者さんがシミュレーションするためのツールについて、開発ができないかという御指摘をいただいてございまして、こちらについても昨年度このワーキンググループで開発を行ってございますが、本日は議題が多くにわたることもございますので、この4番目につきましては、次回この検討会で御報告をさせていただきたいと考えております。

 なお、平成26年度に行われましたこの検討会では、もう一点、特定健診を受診されていない方の分析についての御指摘もいただいているところでございますけれども、こちらについても昨年度ワーキンググループでナショナルデータベースを使ってトライをしてみたのですが、ナショナルデータベースに格納されているデータについては1つは特定健診対象者の個人IDを特定することができないといったことですとか、御案内のとおり今、ナショナルデータベース、レセプトデータと健診情報の不突合の問題もあるということがございまして、なかなかナショナルデータベースを活用した正確な分析は難しかったというところでございます。ですので、こちらについては今年度引き続き個人単位でIDがつながっている保険者さんの御協力を得ながら分析を行ってみたいと考えております。ですので本日は1~3の分析結果についての御報告をさせていただきます。

 2ページは、このワーキンググループのメンバー、構成員の方々の名簿ですとか、これまでこのワーキンググループで検証してきた経過についてまとめたものでございます。

 御案内のとおりでございますけれども、このワーキンググループでは最初平成26年4月に特定健診・保健指導の実施によるまずは検査値への単年度の影響ということで、第一次中間取りまとめという形で御報告させていただきました。同じ年の11月に、今度はこれも単年度でございますけれども、特定健診・保健指導の医療費の適正化効果についてということで、第二次中間取りまとめという形でこの検討会のほうに御報告させていただいております。また、昨年になりますけれども、平成27年6月にはこれら検査値及び医療費の適正化効果について、その時点で蓄積がございました平成20年度から23年度の3年間のデータを使用しまして、経年的な分析というものを行って、第三次中間取りまとめという形でこの検討会に御報告させていただいております。

 今回は先ほど申し上げましたように、引き続き20年度から25年度までの5年間のデータを使いまして、検査値、医療費適正化効果の経年分析というものを行ったのと、保健指導レベルの推移、2年連続で保健指導を行うことの効果についての分析結果を御報告させていただくものでございます。

 3ページ、まず検査値及び医療費適正化効果の経年分析でございます。こちら分析のデザインについて概要が書いてございますけれども、まず分析対象でございますが、これは前回までの分析の対象と基本的には同様でございますけれども、レセプトの特定健診情報の不突合の課題があるということがございますので、今回、分析の対象といたしましたのが平成20年度から25年度の特定健診・保健指導のデータのうち、全ての年度についてレセプトデータとの突合率が8割以上であった保険者さんのデータを活用してございます。結果、364の保険者さんのデータを活用してございますけれども、大部分が国保の被保険者の方のデータを活用しているという状況になってございます。

 分析対象者数は、分析方法で若干異なっておりますけれども、概ね20万人から22万人のデータを使って分析を行ってございます。分析方法でございますが、こちらも前回までの中間報告でお話させていただいたものと同様でございますけれども、20年度に特定保健指導の対象となった方について、参加者と不参加者に分けて検査値、メタボリックシンドローム関連の入院外の1人当たり入院外医療費、それから、外来受診率というものを経年で比較してみたというものでございます。参加者、不参加者の詳しい定義については下に書いてございますが、まず参加者のほうは20年度に特定保健指導の対象となった方のうち、その年度で初めて特定保健指導を受けまして、最後まで終了した方。参加者については、21年度以降、特定保健指導を受けているかどうかについては分析の中では考慮はしていないという状況になってございます。したがって、2回、3回受けていらっしゃる方も参加群の中に入っていることになります。

 他方、不参加者のほうですが、こちらについては平成20年度に特定保健指導の対象となった方のうち、その年度から平成25年度まで一度も特定保健指導を受けていないという方を不参加者という形で定義づけをして、両群の検査値及び1人当たりの入院外医療費を比較するという分析を行ったものでございます。

 結果でございますが、4ページをご覧ください。まず検査値のほうでございますけれども、結果を概略いたしますと、積極的支援の参加者についてでございますが、そちらについては不参加者と比較しますと、概ね全ての検査値において特定保健指導後の5年間という長期にわたりまして検査値の改善効果が継続しているということが、一定程度確認されたという結果になってございます。他方、動機づけ支援の参加者についても、基本的に積極的支援よりも改善幅は小さかったという特徴がございますが、積極的支援と同様の傾向が見られたという結果となってございます。

 下には積極的支援の例ということで書いてございますけれども、左側のグラフが男性で右が女性となってございまして、上から腹囲と体重についてまずは示してございます。それぞれ表にも書いてございますように、20年度との差ということでそれぞれ積極的支援参加者と不参加者の20年度の差の推移がどうなっているかということを見たものでございます。ここは腹囲と体重でございますけれども、ご覧いただければおわかりになりますように、基本的に差自体は5年たつと徐々に縮まってきているという傾向がございますけれども、引き続きこれらの2つの項目については、男性、女性ともに有意な差というものが見られるといったような結果になってございます。

 次のページは同様に、その他の検査値、代表的な検査値ということで血糖値、血圧、脂質の検査値について同様に20年度との差ということで見てございますけれども、若干そのデータ、項目によって有意でない項目も出てきているところでございますが、傾向といたしましては基本的に差は縮まってきてはいるのですけれども、引き続き5年たった後も参加群と不参加群の差というものが見られるといったような結果になっているということでございます。

 6ページ、今度は3疾患関連の1人当たり入院外の医療費と、外来受診率について積極的支援の参加者、不参加者について比較したものでございます。

 まず結果の概略でございますけれども、積極的支援参加者と不参加者を比較いたしますと、1人当たり入院外の医療費について、男性で概ね5,000円後半から8,000円ぐらい、女性で1,500円ぐらいから7,000円台後半の差異が見られた。これは全て年額でございますけれども、見られたということでございます。他方、動機づけ支援についても、概ね同様の傾向ではございますけれども、年齢階層によっては参加群と不参加群の逆転が起こっているというような年齢階層も見られたところで若干違いがございました。

 外来受診率についてでございます。傾向としては基本的にこの入院外医療費の部分と同様でございますけれども、下のほうにございますように、男性のほうが比較的差が顕著に出ていまして、女性のほうが差が縮まってきているといったような傾向が見られたところでございます。

 7ページ、今度は2つ目の大きな分析でございますけれども、保健指導レベルの推移について5年間見たものでございます。まず分析のデザインでございますけれども、こちらレセプトデータを使わなくてできるということで、対象者を増やしてこちらについては分析を行ってございますが、平成20年度に積極的支援に該当した方のうち保健指導を終了した方と保健指導を受けていない方について、21年度から25年度の各年度の保健指導レベル、積極的支援なのか動機づけ支援なのか、あるいは情報提供なのかといった保健指導レベルの判定結果というものを性・年齢階級別に分析を行ったものでございます。動機づけ支援についても同様に行ってございます。分析対象者数については、先ほどよりもかなり増えまして、各年とも約80万人を対象に分析を行ったところでございます。

 結果の概略でございますけれども、積極的支援の該当者で保健指導の終了者については、保健指導を受けていない方よりも情報提供レベルへの改善というものがより見られたという結果でございました。動機づけ支援の対象者についても幅は積極的支援よりは縮まるのですけれども、同様の傾向が見られたという結果になってございます。

 下のグラフは、例として積極的支援による保健指導レベルの改善状況について、20年度から25年度の推移ということでグラフ化したもの。男性の40歳から44歳を例にとりまして書いてございますけれども、左側の棒グラフが並んでいるもの、真ん中よりも左半分が保健指導の終了者で、右半分が保健指導を受けていない方について、それぞれ20年度は全員積極的支援に該当している方ですけれども、その方々が受けた方、受けない方、それぞれについて21年度以降、この内訳シェアがどのように推移しているかということを見たものでございます。このグラフの中で赤っぽい色が動機づけ支援で改善した方で、緑が情報提供。保健指導の対象から外れた方でございまして、改善と言える方々でございます。他方、一番下の紫色の部分が服薬に移行した方でございまして、全体の傾向としてご覧いただければわかりますように、服薬の部分についてはまず保健指導が終了した方も受けない方も、ほぼ同様な形で年々そのシェアが増加しているといった傾向が見てとれるということでございます。

 他方、情報提供、動機づけ支援の部分でございますけれども、特に情報提供の部分について、左側のグラフでは見づらいので、そこの部分だけ取り出したグラフというものを右側の棒グラフで、色が紛らわしくて恐縮でございますけれども、青と青のグラフでお示ししてございますが、こちら青いほうが保健指導の終了者で、赤いほうが保健指導を受けていない方の棒グラフになってございますけれども、要は情報提供レベルに改善した方の割合というものが、2つの両群でどのような形になっているかというものを抜き出してお示ししたものでございます。ご覧いただければおわかりになりますように、男性4044歳の例で見ますと、概ね5年間とも有意な差というものが、縮まってはきているのですけれども、有意な差が見られているといったような結果になっているところでございます。

 次のページ、最後でございますけれども、8ページをご覧いただければと思います。次に3つ目の大きな分析でございますが、2年連続で保健指導を行うことの効果ということで、こちらの分析は先ほど申し上げましたように、検討会のほうで委員から御指摘がございまして、昨年度ワーキンググループで分析を行ったものでございます。

 まず分析のデザインでございますけれども、平成20年度から25年度の間に3年間連続で特定健診を受診いたしまして、初めて積極的支援に該当した年度に保健指導を終了したものの、その翌年度にも積極的支援に該当した方、要は2年連続で積極的支援に該当した方を対象としてございます。2年連続対象となっているのですけれども、そのうち1回目については両群とも受けてございまして、2回目については2回連続で受けた方と、2回目は受けなかった方というように2つのA群、B群という形でグループをつくりまして、それで両群を比較するといったような分析を行っております。分析対象者数はそちらに書かれておりますようにA群、すなわち2回連続保健指導を受けた方というのが約3.6万人。B群、すなわち1回目は受けましたけれども、2回目は受けなかったというのが約6.1万人という規模になってございます。

 分析結果でございますけれども、まず概略でございますが、A群、すなわち2回連続で保健指導を受けた方については、2回連続で保健指導を行うことによって体重、腹囲を初めとして、多くの検査項目において改善傾向が見られたということでございます。B群は1回目を受けて2回目は受けなかったというグループでございますけれども、1回目の保健指導で、これは両方とも受けておりますので、A群と同程度の変化があったにもかかわらず、2回目に保健指導を受けなかったことにより不変か、むしろ悪化傾向が見られたという結果になってございます。

 下にこちら男性、女性4064歳のグラフを載せてございますが、左側が男性でございます。男性のほうをご覧いただきますと、A、Bありますが、A、Bは先ほど申し上げましたようにAが2回連続、Bが最初の1回だけ保健指導を受けたというグループでございまして、棒グラフの中で青いグラフが1回目の効果でございまして、赤いほうが2回目どうなったか。緑はその2つ、2年間の効果というものを足し上げたものになってございます。先ほど申し上げたとおりでございますけれども、まず1回目の青の部分については両群とも受けてございますので、ほぼ同程度の、これは体重で見ておりますけれども、体重の減少幅が出ている。2回目についてはA群で受けてございますが、同程度の減少幅が出ておりますけれども、B群においてはほぼ不変ですけれども、若干むしろ体重が増えるような傾向が見てとれた。女性も全く同様でございますし、さらにこれは体重を例にとってございますけれども、ほかの検査値においてもほぼ同様の傾向が見られたということでございます。

 こちらはなかなか考察が非常に難しいところがございますが、そもそもとして2回連続で積極的支援を受けるということで、対象者の健康意識に偏りがあるといった可能性もあるということもあって、なかなか評価は難しいところもございますけれども、どちらかというと効果が出にくい対象者に対しては継続して支援する必要性というものが一定程度示唆されたという結果かなと考えているところでございます。

 以上、今年度また次回シミュレーションツールについては御報告をさせていただきたいと思いますけれども、27年度にワーキンググループで行った分析結果について御報告をさせていただきました。以上の結果を特に検査値ですとか、医療費の効果、5年間たっても引き続き、特に検査値のほうについては有意な差というものがかなり見られたということについては、一定程度特定健診・保健指導の効果に該当するのだろうと考えておりますので、積極的に保険者さんに情報提供いたしまして、さらなる受診率向上の1つの資料として活用していただきたいと考えているところでございます。

 まず事務局からの御説明は以上でございます。

○多田羅座長 ありがとうございました。

 ただいま御報告いただいたことについては、特に検査値、医療費については20年から23年までの推移については、これまで中間報告として御報告いただいておりますが、最後に室長が申しましたように、今回は25年まで含めた分析を行い、これまでの結果とほぼ同じような効果を確認することができたというのは1つの大きな特徴かと思います。

 さらに、保健指導レベルの改善、そして、今回新たに2年連続で保健指導を行うことの効果についても、20年から25年のデータを使って確認したという御報告をいただきました。それぞれそれなりに効果の形が確認できたということは申し上げることができるのではないかと思います。

 つきましては、この分析に直接指導いただいた津下委員から、もし追加がございましたら一言お願いいたします。

○津下委員 ワーキングで分析に携わらせていただきましたので、若干コメントをいたしたいと思います。

 まずマル1の特定健診の5年間の検査値の推移については、これまでの3年間の延長の分析で、過去と同じような結果だったのですけれども、特にHbA1cについては、健診は受けていても保健指導を受けていない人は年々高くなっていくことが確認されました。特定保健指導の対象者はメタボリックシンドロームの方々ですので、糖尿病になりやすい方々であることがわかります。そういう対象グループについて有意な抑制効果が継続しているということが確認できました。

 それから、階層化判定、情報提供への改善ということで、特に保健指導の翌年、翌々年はかなり抑えられている傾向がわかるのですけれども、資料2-1の187ページをご覧いただきますと、服薬への移行状況というものが終了群と受けない群の比較があります。メタボリックシンドロームの対象者、積極的支援の対象者は検査値の問題がありますので、年々服薬への移行というものが起こるわけですけれども、それについても保健指導終了者のほうが有意に抑制がかかっている。逆に言いますと、お薬を飲んでいる人は受けない人のほうが若干高いのですけれども、検査値は受けたほうが良好ということで、終了群ではお薬を飲む人が少ない割に検査値がより効果があった。血圧などで一部保健指導を受けない人たちがよく下がっているように見えるのですが、お薬の影響もあるのかなとは見ています。

 あと、保健指導のリピーターが話題になっています。2回連続で保健指導を実施して効果があるのかという話です。先ほどの8ページが2回連続の対象者でございますが、例えば体重で言うと1年目に0.5キロの減量になっています。これは実は4ページで同じ男性で比べてみますと大体1.98キロ下がっているのです。積極的支援全体では大体2キロ前後減量しているのですが、リピートしている方についてはそもそも1年目の保健指導の減量幅が0.5キロしか減量できていなかったので、翌年も対象になるのだということが確認できました。

 それから、青が1回目で赤が2回目なのですけれども、2回とも実施している人では2回目も下がっていまして、足し合わせると積算で下向き、2倍になっているということであります。ところが、B群の2年目は下がらないというか若干上がる傾向がみられます。リピートしている人では、ゆっくりではありますが、少しずつではありますが、重ねることによって2年間で1キロということではありますが、受けた効果については確認できたのかなと。リピートするにはそれなりの効果があったのかなと思います。

HbA1cについても214ページあたりを見ていただきますと、受けた群、受けない群で、やはり受けない群のほうが2年目の上がりが大きいということで、2年連続の積算した値についてはぐっと伸びているわけです。1度の積極的保健指導で効果が出なかった方については、その状況も踏まえつつ2年目繰り返すことは一定の効果を生むということが確認できたと考えております。

 以上でございます。

○多田羅座長 ありがとうございました。

 御報告は以上でございますが、質問、御意見ございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。白川委員、どうぞ。

○白川委員  分析結果につきましては、残念ながら少しずつ効果額は減っていますけれども、3年間だけではなくて5年間見てもそれなりの効果が持続しているということで、ある意味、安心いたしました。

 これに関連して質問をさせていただきたいのですが、1つ目は、特定健診・保健指導の効果検証の分析対象が国保の加入者中心にならざるを得ない。その理由は全角、半角の問題と伺っておりますけれども、室長はできるだけ早く解決したいという御回答でしたが、それがどうなったかというのを教えていただきたいと思います。

 2つ目は質問というよりは意見なのですけれども、これも前回申し上げて、津下委員も言及されましたが、HbA1cが確かに保健指導をやることによる効果はあるのですが、それでもプラス傾向になっています。今、健康局で健診項目や保健指導のあり方について第3期に向けた検討が行われておりますが、血糖値については保健指導のあり方そのものをもう少し御検討いただいたほうがいいのではないかと思います。津下委員はメンバーでもいらっしゃるようでございますが、ぜひ力を入れて御検討をお願いいたします。

 3つ目は保健事業の場合、どうしても費用対効果ということを考えざるを得なくて、前回、3年間の効果額の類型を見るとほぼ積極的支援でかかる費用と見合っているというように申し上げました。それがさらに持続しているので、費用対効果はいいということだと思いますが、ただ、女性の効果額がかなり低いのが気になります。それから、服薬に移行する方が5年たつと2割いるということも問題かと思いますので、この辺も含めて健康局の検討会でぜひ御検討いただければと思います。

○多田羅座長 貴重な御意見ありがとうございます。

 まず最初の健康保険対象者ですか。この辺の取り組みのこれからの展望について、まず事務局から御回答いただけますか。

○赤羽根室長 NDBの現状について、保険システム高度化推進室長からお答えさせていただきます。

 御指摘のとおり、NDBに取り込む際の匿名化のときに被保険者記号番号等々からハッシュIDというものを振り出して、突合に活用しているという状況なのですけれども、委員御指摘のとおり全角、半角等々の記載ゆれに起因して不突合の問題が起こっていたという事象がございます。これについては昨年度、匿名化システムの改修により対応を行っております。この改修したシステムで匿名化されたデータというものが、レセプトについては今年度からで、特定健診・特定保健指導については来年の前半に実績ということで上がってきますので、それ以降については改善した突合率でのデータを活用できると考えております。

○多田羅座長 それ以降というのはいつですか。年度で言うと。

○赤羽根室長 29年度ということになります。

○多田羅座長 29年度からは全保険者について突合できるということですか。

○赤羽根室長 29年度からというのは改善した突合率でのデータが使えるということで、一定程度は過去のデータについても遡って突合することもできます。過去の遡及については実際にやってみないとわからないところもありますけれども、29年度以降、改修されたシステムのデータが過去の分まで活用できるようになるということでございます。

○多田羅座長 わかりました。その場合は全保険者ですね。

○赤羽根室長 おっしゃるとおりでございます。

○多田羅座長 わかりました。今回は市町村国保320保険者、健保組合が2保険者、共済組合が42保険者だったということですね。全部になるとこれは幾つになるのですか。

○安藤室長 何保険者かというところは全体で3,000強ぐらいの保険者になりますので、全部かどうかというところはあれですけれども、かなりの。

○多田羅座長 全部ではないのですか。

○安藤室長 どちらかというと、今は突合率の問題があるので、突合率の高い保険者のデータを使うという形なので保険者数が出てきますけれども、これからはむしろ別に保険者は気にせずにデータの突合率が上がれば、別にあとは中に入っているデータをそのまま使って行うことになりますので、だからその突合率がどこまで上がるかというところにもよりますけれども、基本的には対象者の数はという意味では、相当程度は大きくなるということになろうかと思います。

○多田羅座長 突合率は全部突合できるのでしょう。限らないのですか。

○赤羽根室長 そもそも現在出している突合率というものが、健診を受けられた人の中でレセプトが発生している人を突合していって出しているので、例えば健診を受けられている人の中でも、そもそも医療機関を受診されていない方というのはレセプトがないので突合されないことになります。なので理論的にも100%という数字はあり得ないものでございます。改修でできるだけ改善は図りたいと思っています。

○多田羅座長 わかりました。

 いかがですか。白川委員、その点よろしいですか。

○白川委員 結構です。

○多田羅座長 29年度からは何とかなるということです。

 あとHbA1cのことについて御意見がありましたが、これは津下委員から。

○津下委員 HbA1cについては、終了群では1年目は下がるのですけれども、2年目はとんとんで、3年目以降は上がってきてしまうということがあります。その原因として、1つは減量の幅が3%から5%ぐらい減量できると明らかな効果が期待できるという研究はあるのですけれども、実施群においても減量の幅がやや小さいというのが1点と。

○多田羅座長 それは保健指導はまだ。

○津下委員 保健指導で体重減量が大きいグループでは、もっと効果が出ているいうのが1点あります。なので効果性を高めることが必要というのが1つです。もう一つは年齢の影響がありまして、加齢とともにどうしても筋肉量が減るとか、膵臓のインスリンの分泌が減るとかいう、いろいろなファクターで加齢の影響をどうしても受けるということはあります。糖尿病については生涯合併症を出さないということが大雪で、血糖が若干上がっても何とか合併症まで行かないようにコントロールする視点が重要だと思っています。

 さらに今回のデータからいえることとして、例えばHbA1c、血糖の異常のある方については保健指導のプログラムにおいて、どういうところが強化しなければいけないのかとか、そういうことをさらに深掘りして、対象者に合わせた保健指導ができるように質を高めていくことが非常に重要だと思いますので、そのあたりが丁寧にできたらと考えております。

○多田羅座長 ありがとうございました。HbA1c、糖尿病というのは大きな戦略的な課題のある疾病でございますので、具体的な保健指導の方法についてさらに御検討いただきたいと思います。

 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○津下委員 あと、女性について服薬に移行する割合として、今回は3つの服薬の区別をした表記にはなっておりません。ただ、細かく見ると女性では男性よりも脂質異常症の薬が多い傾向にあるということで、若干その中身も違ってきております。その辺も精緻化した分析というものが今後なされると対策につながると思います。

○多田羅座長 ありがとうございました。

 どうぞ。

○伊藤委員 1つ伺いたいと思います。

 2年分今回追加した部分についての考察ではないので、もう既にここで議論があったかわからないのですが、女性のデータに見られる特徴について教えていただきたいと思います。資料1の7ページで保健指導レベルへの推移の下のほうに書いていただいた棒グラフが、男性についてのみ出ていす。資料2-1の173ページが女性の部分だと思うのですが、これを見ますと男性より女性のほうが保健指導を受けていない人と保健指導の終了者との差が小さいように見えるのですけれども、これをどう評価するかというのは委員の皆さんの意見もあると思います。ネガティブに言うことも可能だし、積極的支援の対象だよと言われたことで、保健指導を受けなくても自発的に行動変容を行うという意味での効果が出ていると言うこともできるのだと思うのです。

 なぜこのような差が出るのかということについては、何か分析がありましたら教えていただければと思います。

○津下委員 女性でも例えば情報提供への移行状況、182ページを見ていただきますと、終了者と受けていない人の差は、やはり終了者のほうが女性においても有意に良好であったということは言えると思うのですが、有意の*がついていないのは、例数が少ない。特に40代では非常に少なく有意差がつきにくいということと、階層化判定では腹囲基準の男女差や男性のほうが喫煙の保有率が高くて積極的支援になりやすいということがありまして、女性の積極的支援該当者のほうがBMIとか肥満度のベースライン値が高いのです。なので女性において積極的支援から情報提供になるというのは相当頑張らないとなかなか達成できない目標かもしてません。40代については階層化基準の男女の違いも影響しているのではないか、ということです。年齢階級別のリスクの保有状況を見ますと、男性と比べると年代が高くなってリスクが増えてくる傾向にありますので、そもそも人数が少ないということで有意差が出にくいというのがあるかなと思っています。

 もう一つ、ご指摘いただいたように保健指導を受けていない人の情報提供への移行率については、男性よりもやや高い年代も多かったように思うのです。ということでポピュレーションアプローチというか、受けていなくても女性のほうが健康に関心がある方が多くて、行動に結びつきやすいとか、保健指導でない健康教室などでもカバーできていることもあるのではないかということで、差が出にくかった理由の1つかもしれないと議論しているところです。

○多田羅座長 ありがとうございました。

 まだほかにあるかと思いますが、かなり詳細になるところもございますので、もしございましたらまた津下委員に特にコンタクトいただいて、検討会としては大筋のところ確認できたということを本日のところ御了解いただきたいと思います。それでよろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○多田羅座長 ありがとうございます。

 それでは、次の議題2に移らせていただきます。特定保健指導等の効果的な実施方法の検証のためのワーキンググループ検証結果取りまとめの報告について、事務局から説明をお願いします。

○安藤室長 御説明申し上げます。

 お手元の資料3が今、御指摘がございましたワーキンググループ報告の概要でございまして、資料4が報告書の本体になってございます。こちら特定保健指導等の効果的な実施方法の検証のためのワーキンググループということで、これは先ほど白川委員からもございました御発言にも関連するところでございますけれども、一定程度保健指導の中身の話に入っていて、要は効果的な実施方法というものがどういったものなのかというところについて検証ができないかということで、昨年度になりますけれども、これも1年間かけてワーキンググループを設置いたしまして、そちらで御検討いただいたという、その結果の報告でございます。また、これにつきましても資料3の概要を使いまして簡単に御説明をさせていただきます。

 まず資料3の1ページでございますが、こちら検証結果概要ということで、最初の○のところには今、申し上げましたように効果的な実施方法を検証するためのワーキンググループ、構成員の方々の名簿はそちらの枠囲いの中で書かれているとおりでございます。このワーキンググループを設置いたしまして、ナショナルデータベースから効果的に保健指導を実施していると考えられる保険者を抽出いたしまして、アンケート調査あるいはヒアリング調査から得られた検証結果を今回まとめたものでございます。

 そのワーキンググループでは、効果的な特定保健指導を実施している保険者につきまして、翌年度の特定健診結果の先ほども出てまいりましたけれども、階層化判定結果でございます保健指導レベルの改善率をもとに抽出を行ってございます。抽出した保険者に対しまして、先ほども申しましたようにアンケート調査及びヒアリング調査というものを行いまして、それぞれ保険者種別あるいは市町村国保についてはさらに規模別に分けまして、保険者が行う特定保健指導の実施方法から特に運営面で工夫している点等を検証して、その結果を保険者の方々に活用していただくということを目的に今回まとめたものでございます。

 次のページをご覧ください。こちらのページでは効果的な特定保健指導を実施していると考えられる保険者の抽出方法について書いてございますけれども、「1.抽出方法」に記載がございますように、ナショナルデータベースに格納されている特定健診のデータを使いまして、積極的支援、動機づけ支援の別に平成23年度から24年度、それから、24年度から25年度の保健指導レベルの改善率がともに高い保険者というものを抽出してございます。

 抽出の結果が2に書かれてございますけれども、保険者種別、それから、規模別、健保組合につきましては総合化、単一化と分けてございますけれども、それぞれ保険者種別、規模別に合計147の保険者を抽出してございます。

 ※にございますように、協会けんぽにつきましてはナショナルデータベースの中では協会けんぽ1本という形でしか入ってございませんので、こちら協会けんぽさんのほうに御協力をいただきまして、47都道府県支部別に同様の考え方で抽出作業をやっていただきまして、5支部の別途抽出を行ってございます。こうして抽出した147+協会けんぽ5支部の合計152の保険者を対象に今回、アンケート調査を実施してございます。

 さらにその種別ごとに、特に保健指導レベルの改善率が上位であった保険者については、実際にワーキングの場にお呼びしてヒアリングもあわせて実施をさせていただく。今回そのアンケートとヒアリングの結果をまとめたものでございます。

 3ページ以降がその結果の概要を簡潔に書いたものでございます。まず3番でアンケート調査結果及びヒアリング結果ということで、全体の後ほどこの分厚いほうはご覧いただければと思うのですが、このアンケート調査結果及びヒアリング結果については、保険者さんのほうで参考としやすいように保険者種別にかかわらない共通の特徴をまずは整理した上で、さらに詳細な特徴についてはそれぞれの種別、さらに市町村国保については規模別、健保組合については総合型なのか単一型なのかということに分けて整理というものを行って取りまとめ、冊子としてまとめております。

 こちらの概要資料には本当にポイントとなるようなところのみを記載してございますけれども、まず総論といたしまして共通的であった主な特徴ということで3点書いてございます。1つには特定保健指導の実施形態、直営か委託かというところは保険者さんによってかなりいろいろございましたけれども、今回抽出した保険者さんの特徴といたしまして、直営、委託の別にかかわらず、対象者の方の生活実態に応じて訪問回数をふやすといったように、対象者の特性に合った実施方法で実施されているということが1つ総論的な形で言えるのではないかと考えてございます。

 もう一つ、特定保健指導に合わせましてさまざまなポピュレーションアプローチを行ってございまして、各種広報の実施ですとか各種イベント、教室の実施などに熱心に取り組まれているという保険者さんが多かったという感じがいたします。

 特定保健指導の実施形態が委託の場合、こちらもかなりの保険者さんで委託の形態で行われている場合もございましたけれども、委託先とこまめに事業の実施状況を把握いたしまして、具体的には電話連絡ですとか訪問、健保組合では加入事業所の職制を通じた声かけなどによる対象者の途中脱落防止対策というものを委託先と連携して実施しているといったような、総論的にはそういったような特徴が見てとれたところでございます。

 枠囲いの中、これも非常に要点のみしか記載してございませんけれども、保険者種別ごとの主な特徴ということで3種別に分けて記載してございます。まず市町村国保でございますけれども、直営委託と実施形態はさまざまでございました。概して規模が大きくなればなるほど委託で実施する形態が多くなっているといったような傾向が見られたところでございますけれども、さまざまでございますが、特定保健指導の内容や濃度、具体的にはポイント数等でございますけれども、それは対象者の年齢等の特性に応じて変更を行ったりですとか、あるいは保険者が主導して他のポピュレーションアプローチである運動教室と組み合わせたり、あるいは家族も同席した食事指導を実施するなどといった企画面でかなり工夫を行っている保険者さんというものが見られたところでございます。

 ただ、先ほど申しましたように、規模が大きくなるにつれて直営だけではなく委託での実施というものが市町村国保においても増えてくるという傾向がございますけれども、特定保健指導の実施者と対象者の距離を縮めるように、こまめな声かけですとか連絡等を行っているという特徴が見られたところでございます。

 続きまして健保組合でございますけれども、健保組合につきましては委託の形態で実施されているケースが多くなってございますが、こちらについても先ほどの市町村国保と同様に保険者にいらっしゃる医療職ですとか、保健事業の担当者の方が、例えば保健指導の面談記録を委託先から提出いただいたりですとか、あるいは委託先を集めて打ち合わせ会を定期的に開催するといったように、特定保健指導の実施に当たって委託先とこまめに連携しているというような特徴が概して見られたということがございました。

 協会けんぽでございますけれども、こちらにつきましてはまず本部が支部の保健師さんなどへの研修を実施されているということと、支部において委託先の評価というものを徹底しているという特徴がございました。さらに協会けんぽの加入事業所、これは小規模なところが多くなってございますけれども、職場での健康づくりに取り組むことが難しいという場合が多くなってございますが、その際、市町村国保との連携によって質の向上などの対策を行っているといった取り組みも見られたところでございます。

 4ページ、今回このアンケートの調査結果では、実施方法についてはもちろんそこをメインにお伺いしているところでございますけれども、さらにそういった実施方法に加えまして、特定保健指導の実施に当たって課題と考えられることについてもお伺いしているところでございます。その結果いろいろな御意見を御提出いただいてございまして、提出いただいた回答については今後まさに特定保健指導の効果を高めていくための貴重な御指摘であると考えてございまして、先ほど白川委員からもございましたけれども、まさにこの検討会で今後行っていく特定健診、特に特定保健指導のまさに今後のあり方、見直しの議論の中で活用できるのではないかと考えているところでございます。

 概要のほうでは、提出いただいた回答の例ということで何個か書いてございますけれども、まず1つ目に書いてございますのは、特定保健指導の実施率の課題。これは多くの保険者さんが課題という形で提起されてございまして、特に市町村国保では40歳代から50歳代の被保険者の方々、被用者保険では被扶養者の方々について実施率が低迷しているという課題がございまして、それを向上していくための課題というものが多くの保険者の方から提起をいただいてございます。

 先ほど効果検証の中でも出てまいりましたけれども、特定保健指導を実施しても翌年度も繰り返し対象となる方、いわゆるリピーターの方が多いということは、こちらについても多くの保険者から課題提起がなされてございます。リピーターに対応できるような保健指導技術の向上を図ることが必要ではないかといった御意見というのも提出されてございます。

 3つ目が、特定保健指導のいわゆるポイント制についてでございます。こちらのポイント制については投入量を考慮した保健事業とすることができるですとか、委託基準が明確になるといった御意見も出された一方で、効果が出ているのにポイントをこなすだけの保健指導を行っているといったような御意見も提出されてございまして、こちらについても今後の保健指導の議論の中で、まさにこういった御意見というものも1つ活用しながら議論を進めていくことが必要かなと思っております。

 このようなほか、さまざまな課題が提起されてございまして、報告書本体のほうには書かせていただいておりますけれども、専門職のマンパワー不足ですとか、保健指導技術向上の必要性、事業評価ですとかその標準化に向けて簡便な指標を設定することが必要ではないかといった御意見。国民の健康管理に対する意識の向上の必要性等々の御意見というものが、実際の保険者の方々から提起がなされているということで、今回ヒアリング対象といたしましたのは、先ほども申し上げましたように保健指導レベルの改善率が高いという保険者さんに対してヒアリングを行っておりますので、そういった保険者さんをしても、こういったさまざまな課題が保健指導について日ごろ持たれているということで、繰り返しになりますけれども、この検討会で今後行うことになってございます特定健診・特定保健指導、また、特定保健指導のほうになると思いますけれども、特定保健指導の見直しの議論の中で、まさにこういった現場の生の声については、議論の前提として活用をしていきたいと考えているところでございます。

 事務局から以上でございます。

○多田羅座長 ありがとうございます。

 この資料4の目次を見ていただいて、考察というものがございます。これについての事務局からの報告はありますか。ヒアリングまではいいのだけれども、かなりページ数があります。

○安藤室長 まず全体の報告書の構造から簡単に御説明いたしますと、2ページから8ページまでは先ほども簡単に申し上げましたけれども、今回の検証方法について対象者の抽出方法ですとか、その辺についてより具体的に書いたものでございます。

 8ページが実際のヒアリング対象の方々に使いました調査票の項目ごとに結果をまとめたものになってございまして、これがかなり膨大でございますけれども、70ページまでその結果が続いてございます。

70ページ以降、132ページまでのところでございますが、こちらは特に保健指導レベルの改善率が高かったということで抽出いたしました保険者さん。具体的には70ページのところにそのリストが載ってございますけれども、市町村国保と健保組合から、協会けんぽは全国の協会けんぽ、本部にお伺いしてございますが、ヒアリング対象の保険者の一覧となってございますけれども、それぞれヒアリングを行った結果について70ページから個々の保険者ごとにこれは書いてございます。

132ページ以降からが、全体を通しました考察ということで、これはワーキンググループの委員の方々に分担して御執筆をいただいてございまして、まず132ページから総論ということで、今回の検証作業を通じた考察というものが132ページ、133ページに記載してございます。

134ページ以降は各論ということで、これは先ほど概要のときにも申し上げましたけれども、これは保険者種別、規模別にそれぞれ今回のアンケート調査あるいはヒアリング調査の中でどういった特徴が見てとれたかということについて、一定それぞれ大項目、小分類を決めて、それぞれについて整理をしたものを書いてございます。

134ページから市町村国保の大規模のところについての検証の今回の考察結果になってございまして、大きくは先ほど申しましたように項目としては特定保健指導の実施方法、運営方法の内容がどうなっているか。それから、次のページ、135ページですけれども、対象者へのアプローチということでどういったことを行っているか。IIIとしてポピュレーションアプローチとしてどういったことを行っているか。IVその他として何か特徴はあるか。その下のところ、事例1で船橋市と書いてありますが、ここは事例のところで、詳細はその前のところで書いてございますけれども、それぞれ大規模に該当する事例ということで船橋の事例を簡潔にまとめるといった形で、次のページからは今度は市町村国保の中規模という形で、それぞれ種別、規模別に今回のヒアリングあるいはアンケート調査で見えた結果について、その概略をまとめているところでございます。概略は先ほど概要のところで申し上げたところでございますが、より詳細についてはこちらに書かれている。

 さらにページで申し上げますと152ページ以降の部分については、今回の回答の中で特に自由記載ということで書いていただいた回答がございまして、そちらの内容について、こちらも委員の方にまとめていただいたものを記載させていただいて、こちらも情報量がかなりありますけれども、それから、157ページ以降が先ほども御紹介させていただきましたが、特定保健指導の実施に当たって最も課題と感じていることということで、それぞれ保険者からいただいた、これはアンケートになりますけれども、そのアンケートでいただいた回答というものを踏まえながら、それを紹介しながら、それに対しての一定の考察のようなものを追記させていただいているというような、雑駁でございますけれども、全体構成としてはそのような形になってございまして、詳細についてはお時間の関係で割愛させていただきますが、概要としましては先ほど申し上げたとおりでございます。

○多田羅座長 わかりました。今、事務局が申し上げたとおりですが、具体的に私のほうで確認したいのは、まず報告書の8ページです。資料4の8ページに表がございます。調査票の回収状況というものがございまして、147の保険者を対象に行って、135の保険者から回答があった。まず91.8%と非常に高い回収率であった調査であることを確認させていただきたいということです。

 それから、135からこうして回答をいただいたのですが、その調査票というのはこの報告書の169ページ、最後に1ページから調査票というものは掲載いただいております。この内容については先ほど事務局から基本的な点を御報告いただきましたけれども、私どものワーキングで確認した中で特に最後の自由記載、1821の内容について各135の回答のうち132ですか、3つの保険者では特記することなしという形式的な回答だったのですけれども、それ以外の132の保険者からは非常に詳細なコメントをそれぞれいただくことができました。ワーキングでもこれはぜひ具体的に参考にする必要があるという認識で、各委員がそれぞれ分担して全部目を通して最後の報告書に生かしていくという観点でまとめさせていただいたのが、主としてこの最後の考察というところになります。今回のこのアンケート調査に対しましては、保険者からまず90%以上の回収があったということ。また、この自由記載というところでも非常に詳細に書いていただいているということは非常に大きな特徴であり、その意味でもこの特定健診、保健指導は保険者の仕事として明らかに具体的な一歩を刻んでいただいているということは、今回の全体の調査として私もワーキングのほうに参加させていただく中で確認することができたと思います。それを踏まえての考察部分でございますので、事務局からは調査結果の具体的な点を中心に御報告いただきましたけれども、考察部分についてはぜひ委員の皆さんにも目を通していただきたいと思う次第です。

 この辺、特に考察部分をまとめていただいたのは津下委員ですので、津下委員から一言コメントをお願いできますか。

○津下委員 ありがとうございます。

 今回のポイントとして、調査対象者選定において、NDBから効果が出ているところを抽出して選ぶ。この選び方が本当にこれでよかったかどうかというのも最初は心配であったのですけれども、来ていただいた方々のお話を伺うと、本当にすごく保険者の責任といいますか、加入者に対する健康管理の責任の意識が非常に高いことがわかりました。その中で委託をしていても丸投げではなく、ちゃんと委託先の仕事を見ていくのだとか、効果の声を聞いていくとか、積極的な姿勢がありました。反面、マンネリという言葉が課題の中にも時々言葉として出てくるわけですけれども、やはり長年やっている中で工夫とか改善とかPDCAがまだうまく回り切れていない状況というのもわかり、そして、それに対して何らかの対応策をとっているところと、まだそこまでいけていないところがあるということでした。自由記載欄も多く記載していただき、丁寧に委員で読み取ったわけですけれども、非常に価値のある調査ではなかったかなと思っております。

 特に課題だけではなく、今後の対応でどのようなことができるのだろうかということで、保険者自身が頑張ればできることや、保険者自身だけではなく、例えば健診機関や医師会等の関係でそういうところが協力的にやっていかなければ難しいところ、それから、健保では事業所、市町村では衛生部門とか他部局との連携が重要なところ。特に広報に対する要求が非常に多かったように思います。加入者自身がやる気になるような広報をどんどん打ってくれ、テレビとか何でも使ってやってほしいというような広報や研修の充実という現行の制度の中で何とかやっていけそうなことと、ポイント制についてとか、実施方法について対象者の選定方法について制度改正も考えなければ解決できない課題など、さまざまなものが盛り込まれていまして、まだワーキングとしては整理し切れていないところだろうと思いますが、たたき台として今後の検討に活用していただければありがたいなと考えております。

 以上です。

○多田羅座長 ありがとうございます。今、津下委員がおっしゃったとおりかと思います。まさにたたき案としてのアンケート結果であったということで、かなり具体的な問題提起もいただいているので、今後の課題というところもございますが、非常に多数の保険者から積極的な御意見をいただいたこと、検討会の座長として改めてお礼を申し上げたいと思います。

 その辺、話が長くなりましたが、いかがでしょうか。御意見、御質問いかがでしょうか。これはこれとして受けとめていただくというのでよろしいでしょうか。

 井伊委員、どうぞ。

○井伊委員 ありがとうございます。この事例集も丁寧に作成していただいて、大変わかりやすいと思いました。

 少し気になっていましたのが、効果的な実施と言ったときコストの問題があります。例えば99ページの、広島県の海田町についてコストが終了者1人当たりの単価が1万5,000円という記載があるのですけれども、効果的と言ったときに費用対効果はどうか。しかもこれは事業費としてかかっているものを頭割りしているのですね。だからもともとの人件費とかはどう考えるのか。特定健診、保健指導は、マニュアルどおりにきちんとやれば相当の保健師なら保健師を投入しないと実施できません。ほかにも多く保健事業がある中でどのくらいそこに人を割くのが適切かというのは各市町村でも本当に悩ましく思っているところです。この概要だけではどのぐらい投入しているのかということに関する記述がなかったので、考察を伺いたい。

○多田羅座長 事例としてはわかりますけれども、意味合いですね。それは津下委員、何かわかることはありますか。

○津下委員 事例に出ているものはヒアリングを行ったところで、実際の金額が出ていたりとか、マンパワーがどのぐらいかかったかとか出ていました。井伊委員がおっしゃったように、非常に丁寧に実施されていて、これだけが保健事業でないのにここに相当かけているというところも中には見受けられたので、委員からどれだけかかっていますかとか、の質問もありました。先ほどの事業費だけではなく人件費、職員の費用もかかっているということについて、認識されているところと認識がやや薄いところも保険者さんによってはあったのかなということがありました。特に委託しているところの費用は含まれているのでしょうけれども、委託しているところも丸投げではなく、保険者の方々がかなり手をかけて相談したりしているものについてはコストに反映していないということがあります。今回、どのぐらい投入量がかかったかということを初めて詳細に聞けたのかなと思っていまして、まだ解釈としては少し難しい部分といいますか、状況に合わせた解釈をしていかないといけないので、まずは記述する、伺うという形だったかなと思います。現時点では。

○井伊委員 わかりました。

○多田羅座長 各出席いただいた保険者からも非常に熱心に御報告をいただいたのですけれども、やはり意味合いとか費用となると明らかにできるところとできないところという面もございまして、これはあくまで報告いただいた数字そのものというところがございますので、十分こちらも説明し切れないところがございますが、一応こういう形だという形で御理解いただいたらありがたいかと思います。

 事務局、何か追加はございますか。

○安藤室長 今、津下委員からお話があったとおりでございますけれども、こちらのコストの問題については、当初アンケートの調査票の議論のときから、そもそもコストが聞けないかというところはワーキングの中でも御議論があったところでございますが、まさに井伊委員がおっしゃったような観点で非常に難しい。なかなか線引きも難しいですし、委託している場合でも先ほど津下委員がおっしゃったように丸投げという場合よりは、むしろ保険者の中での保健師さんですとか、そういった担当者の方々がかかわっている。そこをどうするかとか、委託も1つの業種だけではないとか、複数あるとかいった場合にどう見るかとか、さまざまコストの問題については勘案すべきところが余りにも個別性が高過ぎて、なかなか一律の調査票で聞くというのは難しいということで、見送ったという経緯がございます。

 ですので今回ヒアリングの中でお伺いしたところだけは、その辺も幅広にお伺いしながら、今回このような形でお話があったところについてのみ記載をさせていただいているところでございますけれども、その解釈につきましては先ほど座長からございましたように、いろいろ留意しなければいけないのかなと考えてございます。

○多田羅座長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。その辺が一番こちらも知りたいところではあったのですけれども、なかなか線引きの難しいところがございますが、今回、懸命にありのままの形で御報告をいただきましたので、非常に参考になったと思います。最大限できる範囲でまとめさせていただいたということですので、御了解いただきたいと思います。ということでよろしいでしょうか。質問もあるかと思いますけれども、一応課題も含めながらまとめさせていただいたということで御理解いただきたいと思います。ありがとうございました。

 それでは、次の議題に移らせていただきます。議題3「後期高齢者支援金の加算・減算制度について(報告)」について事務局から説明をお願いいたします。

○安藤室長 資料5をご覧ください。後期高齢者支援金の加算・減算制度について御報告ということで、資料5を使って御説明をさせていただきます。

 1ページは今の後期高齢者支援金の加算・減算制度について記載させていただいたものでございます。こちらは御案内のとおりでございますので割愛させていただきまして、資料の2ページからご覧ください。こちら後期高齢者支援金の加算・減算の方法ということで、それぞれ加算の方法、減算の方法について簡潔にまとめたものでございます。

 まず加算する保険者につきまして、その方法につきましては赤字で書いてございますように、特定健診または保健指導の実施率が実質的にゼロ%である保険者について加算するということで、現行の仕組みは動かしてございます。

 現存する保険者のところでございますけれども、こちら25年度の後期高齢者支援金分と26年度の支援金分で方法が異なっておりまして、まず発足当初の25年度の支援金分については、特定健診・特定保健指導の2つの参酌標準、保険者種別ごとに定めております実施率目標でございますけれども、その参酌標準を両方達成した保険者について減算するという形で、25年度の支援金については減算対象者を選んでございます。

 それにつきましてこの検討会での御議論を踏まえて、26年度の支援金分からは調整済実施係数を使ってこの減算対象保険者を選定するという形、そういうルールで動かしてございます。調整済実施係数につきましては下に参考として書いてございますけれども、それぞれ保険者種別ごとに特定健診・特定保健指導の実施率についてさまざま状況が異なることから、それぞれの種別ごとのグループ内で同程度に努力している保険者が同程度の評価となるように実施率を調整するということを目的といたしまして、具体的には特定健診・保健指導それぞれについて種別ごとの実施状況の分布を一定の分布状況になるように調整した上で、その調整後の実施率をもって評価をする。その際に使うのが調整済実施係数ということで、出し方はそこに書いてございますけれども、これを用いて減算保険者を決めるという形で26年度の支援金分から行うという形で動かしてございます。

26年度のときだったと思いますけれども、この検討会の中でも調整済実施係数の水準はどの水準で切るかということについては、この検討会で御議論をいただいたところでございます。その際には25年度と同程度の減算幅、減算率となるように実施係数というものを設定してはどうかという検討会での結論になったと認識してございまして、結果やってみたところ調整済実施係数で申し上げますと、0.66以上の保険者を減算対象とするという形で26年度の支援金の減算対象者を選定したところでございます。

 その結果が3ページでございますが、平成26年度後期高齢者支援金の加算・減算のそれぞれ加算対象保険者数と減算対象保険者数の種別ごとの内訳も含めて記載をさせていただいております。全体としての移動した金額についてはそこにありますように、これは0.23%加算率で設定しておりますので、基本的にそんなに大きな金額のずれはございません。7,600万円という規模のお金が動いているといったような結果になってございます。

 4ページ、5ページにつきましては、これも前回の検討会、前回と言っても26年度のときの検討会だと思いますけれども、検討会の中で減算の対象保険者については名前を公表してあげてはどうかといったような御指摘をいただいてございましたので、今回から減算の対象保険者については、具体的なお名前について公表をさせていただきたいということで、本日公表資料でございますけれども、具体的に列記をさせていただいてございます。それぞれ種別ごとに記載をさせていただいておりまして、まず4ページの部分につきましては市町村国保、これは保険者数で申し上げますと85ございましたけれども、市町村名と、右端のほうにございますが、国保組合ということで保険者数3ということでございます。

 次のページでございますけれども、5ページのところは健保組合、こちら総合型と単一型とに分けましてそれぞれ減算対象に今回該当された保険者さんのお名前。一番右に共済組合という形で、それぞれ固有名詞のほうを今回から減算対象保険者については公表させていただきたいと考えているところでございます。

 あわせまして既に終わった話でございますけれども、6ページ以降は参考で平成25年度の後期高齢者支援金の加算・減算の対象保険者数を書いてございますが、この25年度分についてもこの際、あわせて減算の対象保険者につきましては7ページ、8ページになりますけれども、それぞれ保険者の名前を公表させていただきたいということで、本日、公表資料の中にそれぞれ種別ごとに保険者さんの具体的な名前を記載させていただいているものでございます。

 事務局からの説明は以上でございます。

○多田羅座長 ありがとうございました。加算・減算制度については、この検討会でも当初から議論があったところでございますが、当面の処置としては先ほど事務局から説明がありましたように、調整済実施係数を使って対象者を決めることについては既に検討会の了解を得ているところでございます。今回0.66以上の保険者ということで、これは前回の同程度の減算率となるようにというところが基準になって、0.66という数字が定まったと理解しております。結果として今、御説明がございましたように、減算対象保険者数が183、加算対象は142という結果でございます。名前はここにあるとおりで、特に長野県などは非常に多い。長野県というのは平均寿命が長い長寿県としても有名でございますけれども、こういう実績がやはりあるのかなということを改めて認識しております。つまり元気で長寿ということに対しては、こういう特定健診・保健指導の実績というものも地盤になっているという感じもするわけでございます。

 ということでございますが、これにつきましては加算・減算については議論があるかと思いますが、方法については既に検討会の了解を得た方法で行っておりますので、その点については御了解をいただきたいと思います。

 ということで御質問、御意見いかがでしょうか。

○三輪参考人 よろしいでしょうか。つまらないことなのですが、資料5の6ページで加算対象保険者数、市町村国保は1となっていますけれども、加算額が0万円になっているのです。共済は1つあって200万円加算されているというようになっているのですが、このあるのにゼロというのはどういうことなのですか。

○多田羅座長 これは四捨五入ですか。

○安藤室長 これは10万円未満であったということです。後期高齢者支援金の額がありまして、それに加算率が0.23%と決まっておりますので、それをかけ合わせて実際の加算額というものが出てまいりますけれども、これはそれぞれの保険者の規模によってそれぞれ後期高齢者支援金の額というものが変わってございますので、たまたまその影響が出てしまったということがございます。

○多田羅座長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。

 それでは、これについては既に決まった法に基づいて26年度計算してこのようなことになったということで御了解いただいたこととさせていただきます。ありがとうございました。

 それでは、次の議題に移ります。議題4でございます。保険者インセンティブの検討状況について事務局から説明をお願いします。

○安藤室長 資料6「保険者インセンティブの検討状況について」を使いまして御説明をさせていただきたいと思います。

 1ページ、こちらそれぞれ保険者インセンティブの道筋の全体像について書かせていただいておりますけれども、先ほど御説明させていただいたのは、現行の後期高齢者支援金の加算・減算制度の結果について御報告させていただきましたが、今から御説明させていただきますのは、今後の保険者のインセンティブの見直しについての議論の状況についての御報告でございます。こちらまず全体についてでございますけれども、御案内のとおりこちらの検討会において、今年1月になりますけれども、まずもって全保険者が共通的に取り組むべき指標というものを提示させていただいているところでございます。

 2ページの部分に、そのとき提示させていただいた共通的に取り組むべき指標について参考までに添付させていただいてございますけれども、それを1月にまずは提示させていただきまして、それも1つの参考にいただきながら、それぞれの保険者種別ごとに今日は具体的な評価指標の検討を開始させていただいているところでございます。これはそれぞれの種別ごとに今まさに検討を行っているところでございますが、右半分のところが被用者保険の項になってございまして、健保組合、共済組合と協会けんぽ。こちらにつきましては新たなインセンティブ制度の制度設計ですとか、評価指標の具体案というものをまさに検討中でございまして、今年の夏、秋ごろに具体的なその辺を取りまとめまして、提示をさせていただきたい。その際にまたこの検討会のほうにも御報告をさせていただいて、議論をしていきたいと考えているところでございます。

 他方、左側の半分が国保・後期のものでございます。国民健康保険の部分につきましては、昨年の法改正の中で平成30年度からは保険者努力支援制度という形のものが動くことになってございますけれども、その保険者努力支援制度につきまして、その趣旨を前倒しで今の特別調整交付金に反映をさせて実施することになってございます。したがいまして28年度の特別調整交付金から反映させていくことになっておりますので、国保の場合については前倒しで実施することもございまして、評価指標を4月中を目途に提示をしていかなければいけない。具体的な指標につきましては国保基盤強化協議会という自治体の方々が集まっている協議会のほうで検討中でございますが、本日はそちらでの検討状況を踏まえまして評価指標の案をこちらの検討会にも提示させていだたいて、御意見をいただくというものでございます。

 2ページは先ほど申しましたように、1月の段階でお示しした共通指標の資料でございますので、こちらは割愛させていただきまして、3ページをごらんください。3ページ以降は国保の30年度以降になりますけれども、保険者努力支援制度の案について概略を資料として提示してございます。一番上の四角枠囲いの中でございますけれども、概要・規模ということで、概要といたしましては医療費適正化の取り組みですとか、国保固有の構造問題の対応を通じて、保険者機能の役割を発揮してもらうという観点から、適正かつ客観的な指標に基づいて保険者としての努力を行う都道府県ですとかあるいは市町村に対して支援金を交付することで、国保の財政基盤を強化するものでございます。

 財政規模としましては大体700800億円程度を想定しているところでございまして、具体的な項目、算定方法については下の四角の枠囲いの中でございますけれども、まず指標につきまして具体的なところはまた後ほど出てまいりますが、この保険者努力支援制度に基づく交付金につきましては、保険者の努力を判断する指標を踏まえて交付金を加算するという形で考えてございます。その際、指標につきましては検討会における共通の指標のほか、あるべき医療提供体制を考える都道府県が適正化計画等に定める目標についても、都道府県の取り組みといて勘案して加算の対象とするといったことですとか、あるいは収納率などの国保の構造問題への対応分についても加算の対象とするということで考えているところでございます。

 算定方法につきましては、こちらはまだ具体的なところはこれから検討でございますけれども、次の4ページに保険者努力支援制度における交付のイメージというところで、それぞれ都道府県分、市町村分ということでイメージ図を添付させていただいてございますが、都道府県、市町村共通でまずはそれぞれ基礎点というものを定めまして、先ほど申しました指標に基づき点数を加算した後に、それぞれの被保険者数をかけることで自治体の点数というものを出しまして、この点数に応じて配分金額を決めるという方法を現時点でございますけれども、考えているところでございます。こちらにつきましては繰り返しですが、30年度からの制度となってございますので、制度の詳細については引き続き関係者の方々と御議論をして検討していくことになってございます。

 次の5ページをご覧ください。こちらは保険者努力支援制度の前倒しについてのお話でございますが、まず一番頭に書いてございますのは昨年、2015年のいわゆる骨太方針の抜粋になってございます。この骨太方針の中で下線を引いてあるところでございますけれども、国民健康保険において保険者努力支援制度の趣旨を現行補助制度に前倒しで反映する。その取り組み状況を踏まえて2018年度、平成30年度ですけれども、までに保険者努力支援制度のめり張りのきいた運用方法の確立など、保険者における医療費適正化に向けた取り組みに対する一層のインセンティブ強化について制度設計を行うということが、昨年の骨太でございますけれども、そういったような閣議決定がなされているということでございます。

 そういった骨太方針も踏まえまして、そちらの下の部分でございますけれども、保険者努力支援制度の前倒し分ということで、実施時期としては今年度、28年度と29年度を対象といたしまして、現在ございます特別調整交付金の一部を活用いたしまして、したがって対象は市町村となりますけれども、一部を活用して一定の評価指標、保険者共通の指標に加えまして、収納率等国保固有の問題にも対応できるような一定の評価指標を活用して、保険者努力支援制度のいわば趣旨というものを前倒しで行うということを考えているところでございます。

 その際に、どういった評価指標で行うかというところが6ページでございまして、こちらはまだ地方団体と調整中の案ということでございますけれども、保険者努力支援制度及び前倒し分の指標の候補ということで、現時点で考えているものをリスト化したものでございます。

 左半分の部分は、この検討会でも御議論いただきました保険者共通の指標ということで、指標1~6が掲げられてございまして、そういった指標に加えまして右半分が国保固有の指標ということで、収納率向上に関する取り組みの実施状況ですとか、あるいは医療費の分析等に関する取り組みの実施状況、それから、医療費通知の実施といった給付の適正化に関する取り組みの実施状況ですとか、市町村は介護保険の保険者でもございますので、地域包括ケアの推進に関する取り組みの実施状況、第三者求償の取り組みの実施状況といったものが国保固有の指標ということで現在、議論がされている状況でございます。

 7ページ、こちらはまさに前倒し分も含めまして先ほど申し上げましたけれども、国保の基盤協議会のもとに設置されております国保の事務レベルワーキングという、こちらも自治体の方々がお集まりになっているワーキンググループでございますが、そちらのほうで御検討が進められてございまして、現時点で国保実務レベルワーキングで、先ほど申し上げました指標に対して提案されている主な御意見を7ページは記載させていただいております。例えば特定健診の受診率などについて、被保険者の規模別年齢構成により受診率等が高低することもあるので、評価する際にはこうした事情を考慮すべきではないかという御意見。

 2つ目は、検討会の中でも以前、共通資料の議論をするときに出された御意見ではございましたけれども、がん検診ですとか予防・健康づくりの取り組みについては、国保の被保険者に限定されない土地の住民全体への取り組みというものを行っている市町村が多くございますので、国保の保険者の指標としてそれを活用することについて、どのように考えるかといったような御意見。市町村の財政力に応じて健康づくりなどの取り組み状況に差が生じ得るということをどのように考えるかといった御意見。地域包括ケアの推進について市町村として取り組むべき事項は幅があると考えられるので、保険者努力支援制度においては国保として取り組むべき事項を整理した上で指標とすべきではないかという御意見。28年度からの前倒し分の評価指標については検討が進んでいるものに限定して、30年度の本格実施に向けて実施状況を見ながら指標を追加、修正することとしてはどうかといったような御意見というものが、現在この国保の実務レベルワーキングで提案がなされているというところでございます。

 8ページは、後期高齢者医療における保険者インセンティブの案ということで、後期高齢者医療制度におきましても、その運営主体でございます広域連合による予防・健康づくりですとか、あるいは医療費適正化の事業実施というものを全国規模で展開されるということを目的といたしまして、広域連合の取り組みを支援するための仕組みを構築することを考えているところでございます。

 具体的には評価指標に基づきまして広域連合の取り組みというものを評価いたしまして、こちらにつきましても今年度、平成28年度から交付する特別調整交付金に反映するということで考えているところでございます。反映方法は現時点、国保の都道府県分と同様のイメージで考えているところでございます。

 その際の評価指標の候補の案でございますけれども、先ほどの国保と同じように左側がこちらの検討会でも御議論いただいている保険者共通の指標の中で、例えば特定健診がございませんので、そこの部分については健康診査ですとか歯科検診の実施という形で後期仕様に変更しているところもございますけれども、いわゆるこちらの検討会で御議論いただいた共通指標の中から取り出している指標と、右側が後期と固有の指標ということで、データヘルス計画の策定状況ですとか、あるいはいわゆるフレイルといったような高齢者の特性を踏まえた保健事業の実施状況、それから、広域連合において専門職の配置など、保健事業の実施のために必要な体制整備がとられているかといったような、後期固有の指標というものも併せて評価の指標としてはどうかということで考えているものでございます。

 9ページをご覧いただければと思います。9ページはその他の被用者保険がメインになりますけれども、健保組合、共済組合、協会けんぽあるいは国保組合の現在、足元での検討状況について簡単に概略をまとめたものでございますが、先ほど冒頭に申し上げましたように、こちらのグループにつきましては今年の夏から秋を目途に具体的な制度設計ですとか、あるいは評価指標についてそれぞれ検討の場がありますので、そちらでまとめていきたいと考えておりますので、また取りまとまり次第、こちらの検討会にも御報告をさせていただき、御議論いただければと。

 したがいまして、本日は特に前倒し実施をいたします国保、後期の先ほど提示させていただきました評価指標を中心に、御議論を賜ればと考えているところでございます。

 事務局からは以上でございます。

○多田羅座長 ありがとうございました。保険者インセンティブの検討状況ということで、特に2ページは既に御報告いただいているということで、特に今日は国保の保険者努力支援制度について御提案というか御報告がございました。保険者努力支援制度は私は初めて見る言葉なのですが、これは法律で言うとどういう法律でやられることになるのでしょうか。

○榎本課長 国民健康保険課長でございます。

 昨年、医療保険の一括改正を行うときに、国民健康保険法の改正を行っておりまして、その中でやっております。

○多田羅座長 いつ改正されたのですか。

○榎本課長 昨年5月に法律改正を行っています。

○多田羅座長 もう1年前ですか。1年前に保険者努力支援制度というものは制度になっているのですか。

○榎本課長 はい。施行は平成304月からすることになっております。

○多田羅座長 非常に大きい概念ですね。

○榎本課長 仕組みとしてはその時点で導入をさせていただいています。

○多田羅座長 わかりました。国民健康保険法で去年5月に制定された制度なのですね。

○榎本課長 国会で法律として改正をいただいたという状況でございます。

○多田羅座長 ということでございます。非常に大きな概念かと思いますが、それを具体的に進める方策について事務局から説明いただきました。

 ほか後期高齢者の事業についても、医療における保険者インセンティブについても御説明をいただきました。いかがでしょうか。これは飯山委員、まず何かコメントをいただけますか。

○飯山委員 ありがとうございます。

 前回のこの会議で、平成25年度の市町村国保の被保険者における特定健診と医療機関受診の関係を、KDBのデータにより御説明いたしました。そのデータから被保険者のかかりつけの医療機関と、保険者がその方の状況を共有して的確な治療指導、保健指導を連携して行っていくことが必要ではないかということを申し上げました。

 本日、3点ほど御提案したいのですけれども、1点目は、このことを踏まえまして本日示されました指標案の国保固有の指標。

○多田羅座長 何ページですか。

○飯山委員 6ページです。

○多田羅座長 今、触れておられるのは支援制度とは直接。

○飯山委員 支援制度の指標のことに関してです。国保固有の指標のところのマル2です。医療費の分析等に関する取り組みの実施状況で、その中の○でデータヘルス計画の策定状況等となっておりますけれども、ここのところに「医療機関と連携を図り治療中断者対策や治療中の方の生活改善に向けた保健指導を実施している保険者を評価する指標」。これを考えて入れていただきたいと思っております。

 2点目は、特定健診を受診しておらず、医療機関も受診していない方々が相当数おりますけれども、これらの方々の受診しない理由を尋ねた保険者の報告によれば、「男性のひとり暮らしなのでつい出向かない」とか、「家族の介護のために家をあけられない」とか、「再検査になったらお金がかかると思う」等の事例がございました。このような健診の受診や受療をためらってしまっている、あるいは家庭事情で受けられないといった方々への対策を実施している保険者も評価することができないかということでございます。

 最後、3点目でございますけれども、言うまでもなく生涯を通じた予防健康づくりの推進が重要であることに鑑み、増加している後期高齢者への対応という観点から、高齢者に関して国保の対象の時期から後期高齢者の時期まで一貫した保健事業を実施している保険者。後期の場合には市町村ということになってしまうと思いますけれども、こういった保険者、市町村に対しても評価できる工夫ができないかということでございます。

 本日のところは抽象的な言い方がございますけれども、このようなことを御検討いただければと思っていますので、よろしくお願いいたします。

○多田羅座長 その点、事務局いかがですか。今日は承っておくということでよろしいですか。

○榎本課長 今いただいた御意見を踏まえて、また事務レベルワーキングなどでも議論をさせていただきたいと思っております。

○多田羅座長 では前向きで承っていただくと。

○榎本課長 また皆さんの御意見をお聞きしたいと思います。

○多田羅座長 ということで前向きで。

○榎本課長 そこは皆さんがどのようにおっしゃるかによると思います。

○飯山委員 よろしくお願いします。

○多田羅座長 佐藤委員、いかがですか。

○佐藤委員 1つ確認をさせていただいてよろしいでしょうか。この検討会の中で2ページの指標というのは保険者共通の指標として決められたというか、意見がそろっていると思っているのですが、この6ページの例えば今回決めていただいている国保固有の指標というものと、保険者共通の指標との関係というのは、マッチしなくてもいいというお考えなのですか。

○榎本課長 国民健康保険課長でございます。

 今、佐藤委員からお尋ねがありました件ですけれども、今ご覧いただいている6ページの左のほうの青い部分に載っておりますものは、今、御指摘がありました2ページの共通指標に相当するものという整理で考えております。固有の指標はこれはまさにそれぞれの医療保険制度の中で、それぞれの状況に応じて考えるべきものという整理で考えております。今回、市町村国保でまず前倒し実施も含めて考えるということでございますので、その状況に応じてこういった指標が考えられるのではないかということで今、議論をいただいているものだということで御理解をいただければと思います。

 そういう意味では、共通指標に対する上乗せというか、医療保険の中でさらに、国保の中でこういったものも併せて評価をしていくことを考えたいということで、御理解いただければと思います。

○佐藤委員 そうすると、共通の指標と国保固有の指標と両方見てという形になるということで理解してよろしいですか。

○榎本課長 おっしゃるとおりです。

○佐藤委員 ありがとうございます。

○多田羅座長 いかがでしょうか。どうぞ。

○村岡参考人 全国市長会で市町村の立場から少し意見を申し上げたいと思います。

 説明がありましたように、保険者努力支援制度の指標につきましては、この検討会の中で議論をしました保険者共通の指標に加えまして、それぞれの保険者の中で独自の指標を盛り込めるということで現在、国保固有の指標という形で6ページにありますように、どちらかといいますと都道府県あるいは市町村で行っております健康づくり部門での取り組みを踏まえまして、ある意味、幅広の議論をしているというのが現状でございます。そういう現状の中で保険者努力支援制度自体は平成30年度からの施行。それから、28年度から特別調整交付金での前倒しということになっておりますので、この中で最初から全てを盛り込んでいくことにはなかなかならないと考えておりますので、そのあたりについては7ページの一番下にありますように、それぞれ検討が進んでいるものに一定限定をしながら28年度からは実施をしていただき、30年度の本格施行に向けてその取り組み状況を勘案しながら、具体的な最終的な指標を追加修正していただきたいというのが1点ございます。

 全体的な保険者努力支援制度、いわゆる保険者に対するインセンティブの付与の考え方として、この検討会の中でも個人へのインセンティブの付与についてのガイドラインが取りまとめられておりますけれども、その中でも例えば金銭的な価値が高過ぎるインセンティブの提供によって、結果的に加入者、市民の間に不公平感が生じるようなことがないようにとの指摘もございますが、ある意味、保険者努力支援制度、保険者に対するインセンティブについても、特に国保については今回の基盤強化の議論の中で国保固有の構造問題ということで、1,700ほどの保険者がありますけれども、格差が非常にあるということが指摘をされてございますので、その格差を是正していくための基盤強化ということで議論がなされてきた経過もございますから、この保険者努力支援制度の支援の幅を厚くすることによって、その格差を助長する結果になってはならないというのが我々市町村保険者の立場でございます。

インセンティブそのものを否定するということではございませんが、その取り組みのあり方については十分検討しておく必要があるのではないか。我々としてはこういう形でのインセンティブを付与することによって、結果として全ての都道府県、市町村での健康づくりの取り組みが強化されていく。健康無関心層の取り組みが、結果として健康づくりにつながっていくことが非常に重要ではないかと考えているところでございますので、そういった視点で最終的な制度設計をやっていく必要があるのではないかと思っています。

現在、ワーキングのほうで議論がなされておるところでございますので、特に平成30年度から都道府県も保険者に共同参画をしていくことになりますので、都道府県また、市町村の意見を十分踏まえていただいて、よりよい納得のいく形での制度の構築をお願いしたいと考えております。

○多田羅座長 ありがとうございます。

 支援制度は非常に国保にとってはありがたい制度かと思いますが、格差との関係ですね。その辺、国民健康保険課長から何か一言、進め方といいますか、お考えがあればお教えいただきたいと思います。

○榎本課長 まさに今、村岡参考人がおっしゃったような課題を事務レベルワーキングでもいろいろな地方団体の代表の皆様から頂戴しいるところでございます。ですので、とは言え一方でインセンティブという側面もあるということでございますので、そういった両面からこのあたりをどう整理していくのかということを、また皆さんの御意見を聞いて整理していきたいと思います。

○多田羅座長 ありがとうございます。

 その支援制度は、特定健診・保健指導というところの保険者インセンティブが中心なのですか。ほかに何か個々への支援制度で考えられていることはあるのですか。

○榎本課長 国民健康保険におきましては、保険者の間でも規模の大小、医療費の状況、所得の状況の違いが相当ございますので、実はもともとの公費負担の中でそういったいわば格差を調整する仕組みというものがございます。そういったものもあわせて活用しながら財政支援を行っていくという形で今、進めているところでございます。

○多田羅座長 わかりました。

 いかがでしょうか。白川委員、立場は違いますけれども、何か一言。せっかくの場でございますので。

○白川委員 地方団体と調整中ということでございますので、被用者保険側から中身についてあれこれ言うつもりはないのですが、一個人として拝見させていただいて、若干印象めいたことを申し上げますと、1つは国保と市町村の役割分担がなかなか難しくて、御意見の中でもがん検診の取り組みは多分国保ではなくて市町村でやっているケースが多くて、逆に6ページの国保固有の指標の4にある地域包括ケアは国保の問題なのかというと、むしろ市町村なのではないかという気もします。地域包括ケア自体、国保側がどれぐらいかかわっているか実態を全然承知していませんが、国保の評価項目としては違和感があるという感じがしております。

 もう1つ、指標2で飯山委員も指摘されておりましたけれども、医療費の分析よりはデータヘルスそのもののほうが私は重要ではないかと思っております。そのために医療費の分析をやるというだけの話でございますので、テーマとしてはデータヘルスにしたほうがよろしいのかなという気もします。逆に左側のブルーの保険者共通の指標、これは先ほどこれで決まったという御発言もありましたけれども、私は決まったとは思っておりません。これ自体は今、後期高齢者支援金の加算・減算ワーキンググループでいろいろ検討されている最中だと思いますが、私は保険者共通の指標のところにデータヘルスは持ってくるべきではないかと思います。もともとデータヘルス自体は健保組合が先導するのだという言い方をしていましたが、今や後期高齢者、広域連合も含めて全保険者が取り組もうと計画を策定しておりますから、それこそ保険者共通の指標という位置づけのほうがぴったりくるという感じがしております。とりあえず2年間、暫定的な指標を運用されるということですから、それはそれで国保固有の指標にあってもいいと思いますけれども、その2点だけ気になりましたので発言させていただきました。

○多田羅座長 ありがとうございます。非常に貴重な御意見でした。これはワーキングでまた検討いただくことになるのですか。

○榎本課長 今日、この場で皆様からいただく御意見をまた持ち帰りまして、議論いただくことにしております。

○多田羅座長 よろしくお願いします。

 伏屋参考人、どうぞ。

○伏屋参考人 今、白川委員から御発言がございましたが、後期高齢のほうも同じように8ページの国の指標の中で6項目、記入がございますけれども、やはり指標5に後期高齢者医療の視点から地域包括ケア推進の取り組みというものが挙げられてございます。

 私は個人的な意見といたしまして、後期高齢のほうにこれを挙げていただくのはすごくいいことだと思っているのですが、逆に私、岐阜県なのですが、岐阜県の県の医療計画というものが本当はこの3月末までにできるはずだったのですが、少し遅れまして、これからパブリックコメントがかかる状況です。私ども保険者協議会のメンバーとして、その医療計画の協議会といいますか、素案の意見なんかを言わせていただく場にお邪魔をしたのですが、要は人口減少の中で各県の人口が減っていく。病床機能の見直しをする、そういういわゆる指標案が国のほうから提案をされた。岐阜県で言いますと10年間で1万8,000床を1万5,000床にしなさい。そのような医療計画になるわけです。

 いろいろな細かい分析データを出されて説明されますので、私どもは専門的知見がありませんから、何もそれに反発することはできないのですが、後期高齢者として意見を言わせていただきましたのは、今後10年間、岐阜県の人口は減るかもしれません。しかし、28年2月現在で岐阜県の後期高齢者の被保険者は28万人お見えになります。10年後の見込みは36万人になります。後期高齢者は8万人増えます。県がつくっている人口ビジョンの中でもそういう数字は出ています。また、単身の後期高齢者が増えます。そういう中で後期高齢者がこの計画を見た場合、いわゆるベッドが減っていく。その計画の中では地域包括ケアのほうで入院から居宅の体制を整えますと計画ではうたって見えるのですが、中身は何もないのです。県は市町村でそれに取り組まれると計画に書かれるだけなのです。

 ですから私ども後期高齢のほうで、地域包括ケア推進の取り組みを国のほうで指標に挙げていただいて、後ろから押していただけるのは非常にありがたいのですが、何をどうやって押していけばいいのか。そういう部分がまだ非常にわからない。これは各県の広域、先ほど国保の例で出されましたけれども、今、どの自治体でも困っていると思っておりますので、これは今後検討されていく今は案ということでございますから、後期高齢としても白川委員の言われた意味とは逆で、うちは推進というものを与えていただけるのであれば、ではどれだけ何がいただけるのだろうと。後押ししていただけるような、逆に期待する部分もあるのですが、その点が1点。

 もう一つは、いわゆる後期高齢者の特徴といたしまして、健診とかいろいろあるのですが、痴呆、認知症の問題です。4人に1人とか5人に1人が認知症になると言われている中で、後期高齢で取り組むことは可能なのですけれども、本当を言うともっと早い年代から検討いただくべきことではないのか。それはいろいろ検討されているのでしょうけれども、実感が湧かないものですから、その2点をお願いします。

○多田羅座長 伏屋参考人、ありがとうございました。

 前半の話については、今日承って再度検討いただくということでよろしいですね。

○榎本課長 一応、御意見としてまたお伝えしたいと思いますが、一言だけ申し上げますと、地域包括ケアの話というのは、これまでの議論はまず介護保険の世界で進んできておりまして、その上で最近は地域医療構想を策定していく中で地域の包括ケアを進めていく必要があるという議論がなされてきております。

 こういった議論は介護だけの議論あるいは医療提供体制だけの議論という話では決してないものだろうと思っておりまして、そういう意味では例えば国民健康保険について申し上げると、国民健康保険の中でも被保険者の方々の半分以上、過半数が実はいわゆる前期高齢者であるという状況でもございますので、決して他人事でいるわけにはいかない課題であろうと思っております。むしろこういった問題というのは介護、医療、医療保険を合わせて取り組みを進めていくことが今後必要になるのではないか。そういう問題意識を持って今回提案させていただいているということを念のためつけ加えさせていただきます。

○多田羅座長 今の伏屋参考人は、道筋がない、道を示してくれというお話のような気がするのです。

○榎本課長 まさにそういった今、伏屋参考人からあったようなお話は、介護保険ともあわせて提供体制をどうしていくのかということを、これは在宅の面あるいは住まいの面、そういったところからも考え方を整理して、具体的な対策を講じていかなければならない問題だと思っておりますので、そういったところと連携しながらこういった取り組みを進めていくことが必要かと思っております。

○多田羅座長 認知症は非常に大きな課題ですが、何かございますか。

○村岡参考人 関連して、地域包括ケアの問題につきましては7ページにそれぞれの地方からの意見もございますけれども、市町村としての役割なのか、都道府県としての役割なのか、また、保険者としての役割なのかという非常にわかりづらい、それと地域包括ケアシステムそのものが具体的にどういったものかという設計図はなかなかないというのが実態でございますので、そういった意味で今の時点ですぐに評価指標としていくのがなかなか難しいのではないかという地方の意見もございますし、今日のこの会議の中でもそういった御意見もございますので、ぜひ事務局においては、そういう趣旨を踏まえて今後具体的な検討を進めていただきたいと要望しておきます。

○多田羅座長 ありがとうございます。地域包括ケアは非常に大きい、今のところ介護保険という世界で何とか進めようとしておるけれども、それにとどまらないという現実があるという御指摘だと思います。それに対してこういうインセンティブというような概念からどのように仕組みが組めるのか御検討いただきたいと思います。

 何かありますか。

○津下委員 今の地域包括ケアの考え方については、現在、医療でやっているものを地域に戻すという流れでいくと行き詰まってしまう。地域で支えられる高齢者ケアのあり方とか、家族や地域ではどこまでできるのかを考え、逆算してその前の急性期医療は何をすべきかを考えるとか、考え方を逆転させたりいろいろしないといい解が見つからない。病院のことを地域でそのままやるようなイメージで語られると、それは絶対に足りない話になってしまう。国民自身も十分知って、考えていかなければいけないと思います。私はいろいろな機会に後期高齢者に直接接することができるチャンスに、どういう医療が望ましいのかを話したりしています。費用負担のことも含めて皆さんの常識が変わっていくことが必要で、専門家だけが話をしていても納得が得られないのかなと。だから、そのあたりで保険者さんなどが後期高齢者の方々と、どういう世界を目指すのか話し合う場面というか、そういうことをまず進めていくことも一方では非常に大事ではないかと思うのです。そこのところがおろそかになって、専門家だけで地域包括ケアのことを話していても、本人たちは切り捨てられるような感じになってしまいます。後期高齢になる前でも、なってからでもそうなのですけれども、どうしていきたいのかとか、どういう社会をつくりたいのかということをもっと議論していく場が必要なのだろうな。専門家だけではない中で取り組みが進んでいくような、そういう取り組みが広がるといいのかなと思っています。感想めいた話で申しわけないのですけれども、ぱっと役所が計画をつくったからそのようになって、それで幸せな感じになるかというと、きっとそうはいかないと思います。受けとめの素地をつくっていくことについては、直接関われるところが担っていかないといけないので、健診とか保健事業の機会を活用して、そういう取り組みが入ってくるのはいいことかなと思っているのです。

○多田羅座長 どうぞ。

○武藤委員 認知症のお話がありましたけれども、そもそもメタボとか糖尿病の合併症という側面も認知症はありまして、この特定健診・特定保健指導は認知症の予防としての側面も絶対にあると思うのです。食事療法や運動療法である程度予防できる。軽症の段階でしたら予防できる。ある程度進んでしまったものは仕方がないと思いますけれども、なので特定健診・特定保健指導を進めていくことが1つ大事ということを認識していただいて、何もやっていないということではなくて、これも効果的です。できれば今後先ほど医療費のところがありますけれども、認知症になる人が少ないとか、それにかかわる医療費が減ってきているというのが今後出せていければ、さらにいいかなと思います。

○多田羅座長 ありがとうございます。特定健診・保健指導も関連がある。そういうことへのベースだということですね。今の伏屋参考人の特に後期高齢者の視点からの地域包括ケア推進の取り組みと言われても、なかなか道筋が明らかでない現状を理解してほしいという御意見かと思いますけれども、こういう検討会の座長として、しかしやはりこうして指標として挙げられていることは、こういう視点からの取り組みが大事だということが示されているということだと思うのです。

 ですから津下委員がおっしゃったように、そういう大事なことに対して、みずから取り組もうという動機、指標にしていただいて、後期高齢者自身が地域包括ケアの推進に取り組まなければいけないのだという原点にするといいますか、この形でこういう手法の提起というものも活用いただくことができるのではないかと思うのです。言われてもどうしていいかわからないのではないかというのもありますけれども、言われているのだから我々やろうではないかというような、指標というものはそのようにも活用いただきたいなというように、検討会の座長としてはお願いしたいと思います。よろしくお願いします。わかっておられると思うので蛇足かもわかりませんけれども、お願いしたいと思います。

 どうぞ。

○河合委員 先ほど保険者間格差の話が出ていたので、1点だけ私の思うところを述べたいと思います。余りそこにこだわってしまうとインセンティブ改革そのものがやれなくなってしまいますので、とらわれ過ぎてはいけない。一方で、そういう観点はすごく大事でもあります。すなわち、これは「程度」の問題だと私は思うのです。そこで事務局に質問ですけれども、国保の保険者努力支援制度の前倒しについては、かなり期待も高まっていますが、実際どれぐらいのお金が動くのか。上限のようなものをつくっていくのか。この辺はどういう整理になっているのでしょうか。

○榎本課長 まず3ページをご覧いただきますと、保険者努力支援制度の上の概要規模の枠のところに記載しておりますが、規模としては700800億円程度トータルで予定しているところでございます。ただ、これをどのように配分していくのかということについては、まだこれからさらに議論をして整理をしていきたいと思っております。今、いろいろな指標を挙げておりますけれども、そういったものもどのように配分していくのかということも含めてこれから議論をして、整理をしていきたいと考えております。

○多田羅座長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。

 一応、予定の時間になってまいりました。これも非常に大きなテーマであり、特に国保の支援制度、努力という言葉が入っているというのは非常に歴史的なような気がいたします。そういうことですので努力してくださいというような思想だと考えまして、ぜひ各保険者がみずから特に健康づくり、保健指導、そういう道に取り組んでほしいという努力という言葉が出ているということを前向きといいますか、理解いただいて、検討会でもその点、特定健診・保健指導という舞台が努力の舞台であるということとして認定いただいているという理解もさせていただいて、ぜひこの支援制度を生かす方向を国保の方に座長としてお願いしたいと思います。

 ということでよろしいでしょうか。まだ議論あるかと思いますが、時間にもなりましたので、今日のところはこの4つの議題について御検討いただいたということで、これにて本日の検討会は終了でよろしいですか。

○安藤室長 特に最後の保険者インセンティブの検討状況につきましては、本日いただいたもろもろの意見については、またそれぞれ検討の場がございますので、そちらのほうに持ち帰りまして、その中で特に前倒し分については先ほども申し上げましたけれども、今月中目途でその指標を決めていかなければいけないというスケジュール感がございますので、こちらの検討会での御意見も踏まえまして、それぞれ国保で言いますと実務者ワーキングで検討をさせていただいて、それで実際の前倒し分の指標を決めていくという形で今後、進めさせていただきたいと考えてございます。

○多田羅座長 予定は何かありますか。具体的にはいつまでに、どのような格好という予定はまだ、それは無理ですか。

○榎本課長 できるだけ早く私どもも市町村の皆様にお示しすることが必要だと思っておりますので、今日の御意見を踏まえてまた。

○多田羅座長 これは28年度からですね。だからもう始まっておりますから。

○榎本課長 年度は始まっておりますので、できるだけ早くお示しできるようにしたいと思います。

○多田羅座長 夏までには出していただく。

○榎本課長 もっとそれよりも早くしたいと思います。

○多田羅座長 わかりました。では、どうぞよろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。

 


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 保険局が実施する検討会等> 保険者による健診・保健指導等に関する検討会> 第19回保険者による健診・保健指導等に関する検討会(2016年4月13日)

ページの先頭へ戻る