ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働基準局が実施する検討会等> 平成27年度化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会> 第6回化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会(2015年12月14日)




2015年12月14日 第6回化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会

労働基準局安全衛生部化学物質対策課

○日時

平成27年12月14日(月)13:30~


○場所

厚生労働省 共用第8会議室


○議事

○北村化学物質情報管理官 お忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。定刻になりましたので、ただいまから「第6回化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会」を開催いたします。本日は、大前先生、田中先生から欠席の御連絡を頂いております。

 それでは、以下の進行については、菅野先生にお願いいたします。

○菅野座長 本日もよろしくお願いいたします。最初に事務局から資料の確認をお願いします。

○北村化学物質情報管理官 それでは、議事次第を御確認ください。本日の議事は3つあります。(1)健康障害防止措置の検討について、1つ目、三酸化二アンチモン、2つ目、リフラクトリーセラミックファイバー、3つ目、がん原性指針対象物質となります。(2)その他として、今後の予定となります。裏を見ていただくと、「配布資料一覧」です。まず、資料関係は、資料1のグループ、資料2のグループ、資料3のグループを別々にホチキス留めしております。各資料のグループで通し番号を付けております。資料1-1、「三酸化二アンチモン関係」は1ページから、資料1-23ページから、資料1-3(A3横長の表)7ページです。資料2-1、「リフラクトリーセラミックファイバーの呼吸用保護具の検討について」は1ページから、資料2-2、「呼吸用保護具の防護係数について」は3ページからです。資料3-1、「(がん原性指針)対象物質の選定の考え方」は1ページ、資料3-2、「がん原性指針対象物質の選定」は3ページ、資料3-3、「多層カーボンナノチューブMWNT-7及び関連製品の概要」は5ページ、資料3-4、「ナノマテリアル情報提供シート」は7ページから、資料3-5、「ナノ材料含有コンポジット等からのナノ材料の排出」は21ページからとなります。続いて、参考資料です。参考資料1、「リフラクトリーセラミックファイバーの使用すべき呼吸用保護具について」は1ページ、A4横長の表です。参考資料2として、インジウム化合物等の呼吸用保護具に関する通達は3ページから、参考資料3として、「電動ファン付き呼吸用保護具の規格」に関しては7ページからです。残りは先生方と事務局の机上配布資料です。机上配布資料の資料1関係資料の束、資料2関係の机上配布の束、資料3関係は、A4横長の1枚物です。資料については、以上です。

○菅野座長 それでは、本日の議題に入ります。まず、三酸化二アンチモンについて、資料の説明をお願いします。

○北村化学物質情報管理官 それでは、三酸化二アンチモンについて御説明いたします。資料17ページのA3横長の資料を御覧ください。「三酸化二アンチモンに係る措置検討等の経過」は、前回までのものを網羅して入れております。真ん中の「措置検討会での意見等」の欄には、追加した部分に下線を引いています。

 まず、本日の検討事項の1つですが、事業者団体のアンケートの結果、少量取扱い等リスクが低いと考えられる作業が記載されています。リスクが低いことを示すデータ等を確認すること、という御指示をいただいておりましたので、本日、検討する予定としております。

 次に、第5回の前回の検討です。第4回の事業者団体ヒアリングにおける質問事項について、回答を御説明したところです。先生方から三酸化二アンチモンの投入作業について、密閉化が困難な理由について再確認することという御指示をいただきました。

 また、精錬工程関係の事業者団体からのヒアリングですが、こちらは非公開で行いました。これについては、今後、精錬作業を行っている事業場の現地視察を行うことになりました。

 右の欄は、「措置検討にあたっての視点等」です。3(5)の所ですが、精錬作業を行っている事業場の現地視察を行って、発散防止抑制措置が困難な箇所を確認することとなっております。前回までの検討会の内容は以上です。

 続いて、資料1-1を御覧ください。「三酸化二アンチモンに係るリスクが低いと考えられる作業等について」です。次ページに資料1-2が付いています。関係事業者・団体にアンケートを実施した結果、リスクが低いと考えられる作業を網羅したものです。前回までは作業名と措置の状況の2列だけでしたが、今回1列を追加し、「取扱形状」を記載しました。

 資料1-1に戻ってください。このうち、作業環境測定結果があるのは2作業のみでした。ほかの作業については、下記の理由により、作業環境測定は実施されていませんでした。

1つ目の理由として、マスターバッチ化、溶液状のものは、粉じんが空中に舞うことはほとんどなく、粉じんを吸い込む可能性が低下するであろうと推定できるため。2つ目の理由としては、三酸化二アンチモンが組成の一部として混合されたペースト状や顆粒状の混合物は、三酸化二アンチモンへのばく露はないものとして取り扱うのが通例であるということです。3つ目の理由は、研究用途では一般的にドラフト内作業や保護マスク着用など、ばく露低減措置を講じた上で作業しているため。4つ目の理由は、作業頻度が年1回ぐらいで、三酸化二アンチモンを対象としての測定は行っていないということです。5つ目の理由は、取扱い形態が溶液であること、蒸気圧が低いこと、ドラフト内での取扱いであることから、リスクは低いと考えられるためといった理由から、データを持っている事業者は非常に少なかったという状況です。

 机上配布資料の資料1関係に2つの事業者団体から頂いた作業環境測定の結果を付けています。326ページまでがA事業場の作業環境測定結果、27ページからがB事業場の作業環境測定結果となります。

A事業場は、粉体を取り扱う部分があり、管理区分として、作業環境測定は半年ごとに3回分を付けています。まず、201312月のものは第1管理区分、20145月に行ったものは第2管理区分、201412月に行ったものも第3管理区分という結果です。

27ページ以降のB事業場は、こちらはマスターバッチ投入のものということで、作業環境測定結果も非常に低い結果となっています。資料1-1については以上です。

○菅野座長 ただいまの説明について、御意見、御質問がありましたらお願いいたします。

○唐沢委員 資料1-12に理由として、(1)(5)が列挙されていますが、私の意見では、(1)(2)(3)は、ばく露のリスクが低いということは、そのとおりだという気はいたします。(4)は作業頻度が年1回ということだけでは、リスクは低いかどうかは分からないのですね。1回でも多量に取り扱ったり、あるいは三酸化二アンチモンあるいは、それが含まれる粉じんにさらされるようなことがあるのかどうかということが詳らかでないと、にわかに判断できないという感じです。(5)は、取扱い形態が溶液ということと、蒸気圧が低いということ、ドラフト内での取扱いであるとリスクが低いと。これは、そういう条件であれば、それは分かるということです。

 資料1-21ページ目の一番下の所です。作業名の欄の当該物質を微量含有する製剤の投入・溶液調製という所ですが、これは粉じんを取り扱うのですか。それで、右側の欄に当該物質は微量ということで、微量というのは何かというと、0.22%未満。1%をちょっと超えている部分があるのかもしれないという感じです。この場合は、3行目以降に、作業時間がこの程度で、頻度は年2回から1回、1回が3日連続で作業するという意味でしょうか。

 それから、三酸化二アンチモンが13kg/回程度ということで、この場合には、次のパラグラフの所に屋内作業で、局所排気装置があって防じんマスクを着用しているということですから、こういうことを前提条件とするならば、リスクは低いだろうというように理解してもいいのかと思いました。以上です。

○菅野座長 頻度は、年2回から3日に1回程度ですか。

○唐沢委員 年2回から1回なのですね。1回が3日かかるという意味ですか。

○保利委員 年2回から3日に1回という意味ですかね。

○菅野座長 3日に1回ですよね。

○保利委員 ですよね。

○菅野座長 ですので、そのように頻度が低いというのは。

○唐沢委員 そういうことですか。年、1回か。そうであれば、ちょっと私の誤解かもしれません。

○菅野座長 いかがでしょうか。ただいま御指摘がありました資料1-12(1)(2)ですが、何か封じ込めるものがあればリスクは非常に低いと仮定しているわけですが、実際の作業環境の測定の結果では、粉体を扱う、つまり液化したり、プラスチックに埋め込んだりしていない物を扱っていても、作業環境区分は2程度ということで、(1)(2)の前提は、ある程度、許容できるかなという印象はありますけれども、いかがでしょうか。

○藤間委員 資料1-2の一番最初の作業例なのですが、これは粉体の所とペレットとが何か一緒になっているような感じで、あくまで粉体の所とペレットは分けて考えるべきところなのではないかという気がします。

○菅野座長 この御意見は、粉体は問題ですが、その後はいいのではないかという御意見ですよね。

○小野委員 今の所ですが、投入する作業から押し出しまでというのが1つの機械になっていますので、だから投入の部分だけは、別途、加工というか、何かに分けないと、結局、一緒になってしまうと思います。ですから、押出、成型に関しては除外でもいいとは思いますが、装置自体が、投入部分と。

○菅野座長 そうですね。環境自体が分けられていない場合は。

○名古屋委員 押出、成型は多分、投入する所は結構囲われていて、それから出てくると、結構分かれているような気がします。ただ、そこは当然かかるのです。

○小野委員 そうですね。

○名古屋委員 こちらは大丈夫でしょうけれども。

○小野委員 入口と分けていないと、一緒の扱いになってしまう可能性があるということ。

○名古屋委員 そういうことですね。

○菅野座長 作業をする場所として分けられない場合は、注意する必要があるという御指摘ですね。

○小野委員 はい。

○保利委員 資料1-2の一番下の所ですが、頻度が年2回~3日に1回というのは、かなり差があるような気もしますが。

○名古屋委員 随分差がある。

○保利委員 事業場というか、作業場によって頻度が違うということなのでしょうか。それとも忙しいときは頻繁にあって、そうではないときは、年2回程度というと、そういう話なのでしょうか。3日に1回なら結構頻度があるので、少し考えないといけないですね。年に2回とかであればそれほど問題ないかと思いますが。

○菅野座長 多分、この御意見は、全体の含有量として2%以下なのでというところに話があるのではないかと思います。ただ、量としては13kgと書いてありますので、割合が低いから大丈夫と言ってしまうと、ちょっと分かりませんけれども。

○保利委員 低いから大丈夫という話ですか。

○名古屋委員 それはないよね。

○菅野座長 ほかに何か御意見、御質問はありますでしょうか。

○保利委員 4ページの上から2番目の所で、「小分け計量作業」は、これも1回当たり100kg程度を扱うということで小分けするのであれば、それなりのばく露がありそうな気がします。保護具や防じんマスクを着用するということが、ある程度の粉じんを出すということの前提の作業だと思いますが、その辺はどうなのでしょうか。これはリスクが低いという例で出されているわけですよね。

○菅野座長 これは粉体の扱いですので、リスクが低いから除外することにはならないという気がします。

○保利委員 ならないということですね、粉なので。

○菅野座長 本日は結論を出そうということではありません。

○保利委員 はい。

○菅野座長 触媒としては取扱いもありますが、残念ながら、作業環境測定をした例はないのですね。

○北村化学物質情報管理官 ありません。

○菅野座長 ないそうです。B事業場の測定結果ですと、湿潤状態とか、マスターバッチにした状態では、発じんはそれほどはないということでしょうか。ただ、この場合も、囲い式のフードが付いているようですので。

○唐沢委員 やはり囲い式のフードが付いているから濃度が低いのですね。だから、そういうものがきちんと付いていて稼働しているのでないと困るわけですね。前提条件なしにリスクが低いということでは困るわけですね。その辺はやはりはっきりしておいたほうがよいですね。

○菅野座長 それなりの対策をすれば、こういう作業では低減させることができると言ってもいいのかと思います。

○唐沢委員 全体的に明示したほうがいいですね。こういう条件、こういう状態であればということは必要かと思います。

○藤間委員 このB事業場の場合、助剤計量室(パウダー状)(湿潤状)という書き方になっていて、多分、両方を扱うのでしょうか、これは。湿潤状であれば飛散の可能性は低いでしょうし、その辺りがどういう条件なのかが今一つ分からないところではあります。

○菅野座長 ただ、パウダーも扱っているのですよね。

○藤間委員 パウダーも扱っているのですよね。ドライパウダーもということですね。

○菅野座長 ほかにはいかがでしょうか。一応、こういう結果であることを今回は御承知いただきたいと思います。

○唐沢委員 その触媒の所で、3ページ目にいろいろ書いてありますが、コバルトのときは特化則の第2条の2に、かなりバッと外してありますが、いつかの検討会で委員の1人が御発言になったように、こういうような前提条件でやるからリスクが低いのだとしておかないと、やはり危ないと思います。そういう状況も明示されたらいかがかと思います。

○菅野座長 ただ、これ、1か所は局所排気装置がありますが、そのほかの所は、マスクを使用しているのでリスクが小さいとおっしゃっているようです。なかなか難しいところですね。

○唐沢委員 3ページの下から3番目は、2年に1回程度だということですが、「重機等による搬入、投入、抜出、搬出」というのは、重機によるぐらいですから、きっと量が多いのでしょうね。だから、量は多いのですが、これは屋外作業なのでしょうか、局所排気装置のような、あるいは密閉装置のようなものはちょっとイメージが、あるいはプッシュプルなどはやはりイメージが湧かないかもしれませんが、いずれにしても、大量な触媒として製剤を取り扱う作業でしょうから、もし、きちんとした設備的な対応が難しい場合には、有効な保護具とか、保護衣、作業衣を的確に着用しないといけないという前提条件にしておかなければいけないような感じがいたします。

○菅野座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。それでは、時間の関係もありますので、次に移りますが、よろしいでしょうか。

○北村化学物質情報管理官 すみません、資料1関係で、1つ説明が漏れていたものがあります。机上配布資料の1枚目の所です。前回、第5回の検討会で大前先生から御質問いただいた件について事業者に確認をしたものです。

 触媒調整タンクに三酸化二アンチモンが投入するという所があり、保管庫から投入口まで3メートルぐらいありますという説明をしましたが、先生から、三酸化二アンチモンを投入口まで運ぶ間は封を開けるのか開けないのかということと、投入口付近で開封するということであれば、そこの部分だけ密閉化すればよいのではないかという2点の御質問をいただいておりましたので、事業者に確認しました。開封は投入口付近で行っているということでした。ただし、投入口付近が、ほかの調整タンクや配管が並んでいるということで密閉化するのは困難ですという回答を頂いております。こちらは御報告です。

○菅野座長 よろしいでしょうか。まだ検討したいことはたくさんあると思いますが、時間の関係で、リフラクトリーセラミックファイバーに移ります。事務局から資料の説明をお願いします。

○北村化学物質情報管理官 議題2「リフラクトリーセラミックファイバーの呼吸用保護具について」を検討します。本日は、オブザーバーとして、日本呼吸用保護具工業会から3名の方に御出席いただいています。

 それでは、資料2-1を御覧ください。「リフラクトリーセラミックファイバーの呼吸用保護具の検討について」です。まず、現行の制度についてです。本年5月に行った、「平成27年度第1回化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会」における検討の結果を踏まえて、リフラクトリーセラミックファイバー等を製造又は取り扱う作業のうち、特に発じんのおそれが高い作業に従事する場合の呼吸用保護具について、以下のとおり規定したところです。

 まず、特定化学物質障害予防規則第38条の203項第2号において、「リフラクトリーセラミックファイバー等を窯、炉等に張り付けること等の断熱又は耐火の措置を講ずる作業又はリフラクトリーセラミックファイバー等を用いて断熱又は耐火の措置を講じた窯、炉等の補修、解体、破砕等の作業に労働者を従事させるときは、当該労働者に有効な呼吸用保護具を使用させる」という規定を設けています。

 そこで、有効な呼吸用保護具は何かということで、(2)です。施行通達において、「100以上の防護係数が確保できるもの」と書いてあります。具体的には、アとして、粒子捕集効率が99.97%以上の全面形の面体を有する電動ファン付き呼吸用保護具。イとして、粒子捕集効率が99.97%以上の半面形の面体を有するPAPRのうち、漏れ率が1%以下(PAPR規格の漏れ率による等級がS級又はA級のもの)であって、労働者ごとに防護係数が100以上であることが確認されたものと、通達に書いています。

 ここで、本日の検討事項として(1)(3)まで設けています。後で御説明しますが、資料2-2に、JISの指定防護係数が100に満たないような電動ファン付き呼吸用保護具がありますが、この中で、有効な呼吸用保護具として認められるものはあるかということです。

2つ目として、PAPRの規格で定める漏れ率がS級又はA級のものについては、そもそも防護係数の確認を行わないといけないのかということです。

3つ目は、こちらはちょっと話が変わるのですが、作業環境測定が実施可能な作業場であって、その結果が第一管理区分であることが確認された場合、そこで窯や炉等の施工又は補修等の作業に従事する労働者に対して、現行の法令上だと防護係数100となりますが、この場合に、防護係数100に満たない呼吸用保護具の使用は認められるのかどうか。

 次に、資料2-2の説明に移ります。横長の表で3ページ以降になります。今回、工業会の御協力いただき、4社からデータを頂きました。表の説明をします。まず、上から2段目、面体形の所です。こちらが、3ページは全面形、4ページは半面形、5ページがルーズフィット形のフード、6ページがルーズフィット形のフェイスシールドと種類を分けてまとめています。社名は、A社、B社ということで書いています。1~8と分けているのは、これはマスクの製品が違うことを示しています。それから、漏れ率と粒子捕集効率に分けています。左側の漏れ率試験はモデルタイプのもので、右側の実測値はマンテストを行ったものです。測定をした者については、A社には、サンプル数10ということで10人の方にしていただいています。B社は3名の方ということです。

 この表は大きく2つに分かれていますが、左側が厚労省規格適合品で、右側がJISの適合品ということですが、PAPRの厚労省規格の適合品は、当然ながらJISの適合品にほぼ合致するということなので、右のほうは特に数値は書いていません。左と同じデータになるということです。防護係数についてはマンテストの所ですが、例えば、A社の1は、防護係数(上限値)が、「未実施」と書いて、下に(10,000)となっていますが、これは、上側がJIS8150による測定結果です。括弧内はJIS8159による測定結果を示しています。同じような形で4ページ以降も記載しています。半面形とか、ルーズフィット形と記載しています。4ページの一番下のD社ですが、こちらについては、厚労省規格の適合品ではなくてJISの適合品となりますので、左は空欄になりまして、右側にデータを記載しています。

 先生方のお手元に資料2関係ということで机上配布資料を置いています。A社からD社の生データでして、A社のデータが1ページから、B社のデータが33ページから、C社のデータが37ページ、D社のデータが38ページとなっています。それに加えて、PAPRに関する文献として、39ページ以降に英文のデータを付けています。資料2について、事務局からの説明は以上ですが、工業会様から補足を頂ければと思います。

○オブザーバー(日本呼吸用保護具工業会) 日本呼吸用保護具工業会の技術委員長をやらせていただいている山田と申します。まず、この資料の説明に入る前に、漏れ率だとか防護係数だとかと出てきます。それで、常日頃から接している方にはすぐ理解できると思うのですが、なかなか呼吸用保護具メーカーの人間としてもちょっと混乱するところもありますので、認識を共通なベースにするために簡単な説明をさせていただきたいのですが、よろしいでしょうか。

○菅野座長 お願いします。

○オブザーバー(日本呼吸用保護具工業会) まず、防護係数とか漏れ率という言葉を使っていますが、中身は基本的に同じです。それで、ここに呼吸用保護具を付けます。これ{呼吸用保護具}はちょっと抽象的に丸で覆うという形にしておきます。この保護具の外側の濃度をC0 、中側の濃度をCI として、これらを測ることによって、この防護性能を評価するわけです。漏れ率といっているのは、外側の濃度に対して中側の濃度が幾つかということで表します。これは、どれだけ漏れ込んできたかという意味で、%で表します。それから、防護係数というのは、中側に対する外側の比を言います。これは%ではないです。それで、これ{漏れ率}を仮にLとして、これ{防護係数}は普通PF(プロテクションファクター)と言います。これらの記号を使うと、PF=CO/CI 1/(CI/CO )ですので,分母と分子に100を掛けますと、分母{(CI/CO)×100}は漏れ率Lですから、PF=100/Lというように表せます。ですから、数字は違ってきますが、中身は全く同じということが分かるわけです。国家検定の漏れ率試験は、人間が呼吸用保護具を装着する試験ではないのですが、要するに、ここ{呼吸用保護具を装着する部分}に人形を使って濃度を測って漏れ率で検定をします。防護係数のほうは、呼吸用保護具を選択するときに、ユーザーサイドで測るために使われているものです。ですから、中身は同じで、こちら{防護係数}の場合は人、こちら{漏れ率}は人の場合もあるし人形の場合もあるという使い分けをしています。

 参考のために、数字を書いておきます。LPFがあるのですが、これ{L}が漏れ率です、こちら{PF}が防護係数。どのような数字でもいいのですが、後の検定との関係もあるので、代表的な数字を書いておきます。0.01%が漏れ率のときは、これがLですから、この漏れ率で100を割れば、防護係数になります。これ{L=1%}が一番楽で、これ{PF}は100です。1%漏れるということは防護係数が100だということです。漏れ率が0.1%の場合は、防護係数は1,000になります。これ{L=0.01%}のときは、防護係数は10,000になります。これ{L=5%}のときは、防護係数は20です。漏れ率が10%の場合は、防護係数は10となります。ですから、これ{L}とこれ{PF}は同じ内容を表していることになります。それで、電動ファン付き、PAPRと呼びますが、検定の漏れ率は、これ{0.1%(PF=1,000に相当)}がS級です。これ{1.0%(PF=100に相当)}A級、これ{5.0%(PF=20に相当)}がB級。一応この表を頭に入れておかないと、ちょっと理解できないところがあります。

 それで、もともと、日本ではこちら{漏れ率}のほうが馴染みがあって漏れ率を使っていましたが、何年か前から防護係数という言葉が入ってきました。なぜこれがよいかというと、この式{PF=CO/CI }の段階で、ここ{分子}に環境濃度がありここ{分母}に、ばく露限界濃度、例えばTLVみたいなものを入れると、ある数字が出ます。それよりも大きな防護係数を持った呼吸用保護具を選びなさいということになります。選択のときに非常に便利なものですから、この防護係数が使われるようになりました。

一応このような関係を理解していただいて、それでこの提出データを改めて見ていただければ理解しやすいです。

 例えば、3ページ目のデータで、A社の一番上のデータは漏れ率がS、これは検定上のS級のものです。ですから、漏れ率としては0.1%未満のグループに入るものです。使用ろ過材の粒子捕集効率は、電動ファン付き呼吸用保護具としての性能ですが、後ろにも資料があるとおり、PS1とかPL1という1のクラス、PS2PL2のクラス、PS3PL3のクラスです。123という3つのクラスがあって、これは試験粒子が違うだけでクラスとしては同じです。1のクラスは,粒子捕集効率が95%以上、2のクラスが99%以上、3のクラスが99.97%以上です。これらは、粒子をどれだけ捕集するかという率です。これ{粒子捕集効率95%}をこちらの漏れ率みたいな考え方をすると、どれだけ透過したかということ、どれだけ抜けてきたかということ{透過率()=100()-粒子捕集効率()}になりますので、それは5%になります。それから粒子捕集効率99%及び99.97%は、それぞれ1%及び0.03%です。PAPRにおける性能{漏れ率}というのは、この{透過率}数字そのものではないのですが、これに相応したような数字と、あとは人間の顔との隙間から入り込んでくる率、の足し算と言っていいかどうか分かりませんが、合わせたものとなるわけです。そういう意味で、3ページの資料でいくと、漏れ率がS級で、粒子捕集効率としてはPL3のクラス、要するに、99.97%の粒子捕集効率、逆に、透過率としては0.03%というものです。それを検定上は、検定のルールで測定したら、漏れ率が0.01%未満でしたということですから,防護係数としては10,000より大きいということになります。

 それと同じサンプル、同じ型式のものを使ってマンテストをした場合、マンテストのほうは、これがちょっとまた複雑ですが、2つのJISがあります、マンテストについて記載されているものに。1つが、JIS T 8150です。これは呼吸用保護具の選択、使用及び保守管理方法というJISです。いわゆる、呼吸用保護具を使うときにどういうことに注意したらよいかを書いてあるJISです。そこに、防護係数を測りなさい、測る上ではこういう手順でやりなさいということが、余り詳細ではないのですが一応ポイントが書いてあります。もう1つが、JIS T 8159です。これは呼吸用保護具の漏れ率測定方法というタイトルだと思いますが、呼吸用保護具の、いわゆる防護係数みたいなものを測る方法です。要するに、メーカーサイドで、この呼吸用保護具の防護係数というのはこういうものですということを測る方法を規定したJISです。ですから、JIS T 8159はメーカーサイドの測り方で、JIS T 8150はユーザーサイドという区分けに一応なっているわけです。この提出データの最初の表では、「未実施」と書いてありますが、何が未実施かというと、JIS T 8150に準じた試験は未実施ですという意味です。A社の最初に記載されているサンプルでは、JIS T 8159に従ってやったところ、上限値が10,000より大、下限値が10,000で、平均すると10,000より大という結果だったということを表しています。

 もう1つ、言葉の関係で注意していただきたいのが、JIS T 8150の中に指定防護係数という言葉が出てきます。呼吸用保護具の種類による指定防護係数が、正に指定されています。指定防護係数を作った背景としては、それまで日本ではそういう基準がなかったので、何かしら呼吸用保護具を選択する上で必要だろうということで、もう大分前ですが、新しく入れたものなのです。ほかの国では、それぞれ自分の国でいろいろ長年、貯めてきたデータをベースにして、その国の事情に合わせた指定防護係数を決めているのですが、日本の場合はそういうベースがなかったものですから、いろいろな国の、と言っても3つくらいなのですが、情報をベースにして、一番低いところを考慮して設定したものがJISで規定されている指定防護係数です。

 それはどういうことかというと、この種類の呼吸用保護具は、少なくともこのくらいの性能はあるだろうという一番低いところを決めたという位置付けです。ですから、指定防護係数は、その種類の標準的な性能だとかいう意味ではなくて、どんなに悪いものでもこれぐらいはというような位置付けで決めたものです。ですから、指定防護係数よりもはるかに性能の良い製品は実際にはたくさんあるということです。

 それで、今回のデータは、ちょっと時間の関係もあってサンプル数が少ないこともあるのですが、この結果だけからすると、漏れ率として検定上S級で粒子捕集効率がPL3のもの、今回はないのですが、PS3でもいいと思うのですが、3のクラスのろ過材を使ったものであれば、防護係数は確実に100は超えるだろうということです。マンテストとの関係が、サンプル数が少ないので何とも言えないのですが、やはり検定上は、そこそこでちょっと落ちるというものもあるので、防護係数100という意味では、S級でPL3ということになるかと思います。

ここまででよろしいですか。何か質問があれば、お受けしますが。

○菅野座長 ありがとうございました。ただいまの御説明について、御質問等があればお願いします。

1つお伺いしてよろしいでしょうか。A社の結果を見ると、防護係数の測定の上限が10,000なのかなと見えるのですが、C社の防護係数は30,000とか40,000とか大きいものがあります。これは測定法が違うのでしょうか。

○オブザーバー(日本呼吸用保護具工業会) C社のデータですが、先ほど説明がありましたように、外側の濃度と内側の濃度を単純に計算して割った数字を今回はお示ししています。ですから、10,000以上という値で示している会社さんもありますが、恐らくそれは、例えば20,000であったり30,000であったりすると思うのですが、その生データを直接お示ししたという形になります。

○菅野座長 そうですか。 

○オブザーバー(日本呼吸用保護具工業会) A社の10,000というのは漏れ率が0.01%ですね。ですから、そこまでしか測れないのでそれより大となっているのです。測定の精度といいますか、測定限界というのですか、何かそういうことと関連して書き方が変わってきているということだと思います。

○菅野座長 積極的に粉じんを入れて測られたということですか、10,000より大きい数字が出たというのは。つまり、周りの濃度が高くないと、中の濃度が低すぎて測れなくなると思うのですが。

○オブザーバー(日本呼吸用保護具工業会) いや、それはそうなのですが、測定機のほうの、何ですか、影響と言うのですか、そちらのほうの問題だと思うのですが。

○オブザーバー(日本呼吸用保護具工業会) いわゆる、下流側の検出限界以下に出ているものは全てこういう形、10,000以上で表現していると思います。

○菅野座長 そうしますと、信頼性は、C社の数万というのとA社の10,000以上というのは同程度と考えてよろしいのでしょうか。

○オブザーバー(日本呼吸用保護具工業会) そうです、そのようにお考えください。

○菅野菅野座長 はい、分かりました。

○オブザーバー(日本呼吸用保護具工業会) あと、御質問があれば続けていただいて結構なのですが、もし無いようでしたら、國谷さんに海外の防護係数の関係を調べてもらっていますので、その説明をよろしいですか。

○オブザーバー(日本呼吸用保護具工業会) では、ごく簡単に。お手元の机上配布の資料ですが、37ページに、米国(SWPF)という形で、米国の値を参考として載せています。アメリカは防護係数のスタディはかなり過去からやられていて、PAPRに関して言うと、指定防護係数は251,000という2つの値を持っていて、いずれかの値を用いる形になっています。1,000を指定防護係数として使う場合は、メーカーに、その根拠を示しなさいというルールになっています。参考資料として、39ページ以降に付けたAIHAジャーナルの文献は、その指定防護係数の評価に一般的に用いられている方法になります。SWPFは、Simulated Workplece Protection Factorと申しまして、作業場のプロテクションファクターを想定するという測定法になります。こちらの方法を使っての値という形で参考として付けています。こちらでも、先ほどお話がありました1万以上という数字が出ていますので、JISのデータとも、ある程度整合があるかなと思っています。以上です。

○菅野座長 ありがとうございました。

○保利委員 資料2-16ページです。A社の漏れ率のデータで、試験用人頭とマンテストで大分差が出ているのですが、これは何か原因があるのでしょうか。

○オブザーバー(日本呼吸用保護具工業会) そういうデータのところも違ってくるのですが、測定日が違っているということもありますし、試験粒子が違っている場合もあります。それに装着状態もあるでしょう。

○保利委員 大体、人のほうが高くなる傾向にあるのですか。

○オブザーバー(日本呼吸用保護具工業会) それも何とも言えないのですよね。そうでない場合もあるのでね。難しいです。ただ、こういう測定というのは、詳細な数字というよりも、ある意味オーダー的な見方をする必要があるかと思いますので、その範囲で明らかにオーダーが違うような結果になると、それは検討する必要がありますが、大きいとか小さいということ自体は、それほど問題ではないような気がします。

○菅野座長 もう1つ、これはバッテリーが持つ時間は大体どのぐらいですか。

○オブザーバー(日本呼吸用保護具工業会) それはものによってですが、一応メーカーとしては作業単位で考えますので、半日単位でいくか、1日単位でいくかというと、どちらでも大体対応する形ですね。

○菅野座長 では、4時間ぐらいは持つと。

○オブザーバー(日本呼吸用保護具工業会) そうですね。それと7時間あるかどうか分かりませんが、そのぐらいの。

○菅野座長 それから、防護係数なのですが、バッテリーが切れた場合の防護係数はどのぐらいになるのでしょうか。ファンが回らなくなったときの防護係数というのは。

○オブザーバー(日本呼吸用保護具工業会) 防じんマスクの場合の防護係数は、ものすごく難しいです。要するに、PAPRの場合は空気をファンで送りますので、その条件とプラスアルファで装着状態があるのです。ところが、防じんマスクの場合は100%装着状態なのです。もちろん、ろ過材の性能もありますが、それは決まったものを使うとしても。ですから、それが要するに防じんマスクだから幾つというように、はっきり言えないところに難しさがあるのです。単純に比較できないということもあります。装着がちゃんとしていれば、ほとんど100%ですし。

 別の話ですが、要はたくさんのサンプルを使って、特別な条件を付けずに装着した状態で、それぞれの漏れ率を測るというようなデータが出てくると、分布としてどちらに中心があるかということで、ある程度評価できるような気がするのですが、単純にこの製品を持ってきて、はい、測ってというやり方だと、PAPRのほうは割合と客観的に出てくるのですが、防じんマスクのほうは、それぞれで良かったり悪かったりということで難しい結果になると思います。

○菅野座長 ああ、そうか。電池が切れた場合は防じんマスクと同じだという意味では。

○オブザーバー(日本呼吸用保護具工業会) だから、防じんマスクをちゃんと測ると、そこそこ良い結果になると思います。だけど、皆さん御存じのように、実際は運用上のいろいろな問題があるわけですよね。そこが今ちょっと隠れてしまっているものですから、はっきり言えないところもあるのですけれども。

○名古屋委員 溶接などで電動ファンを付けている人たちで防護係数を測ったときですが、ファンを止めたときに防護係数を測るとどうかというと、すごく良い人と悪い人があって、一概には言えないと。

○オブザーバー(日本呼吸用保護具工業会) ちゃんと付けていれば良い結果が出るのですよ。

○名古屋委員 そういうことですね。でも、電動ファンのときは余り気にしないで付けているから、その人によって、終わった後、電動ファンを消してみたときに測るのですが、装着状況は違いますよ。でも、動いているときはほとんど問題ないのですが、動いていないときはその人がどのように付けているかによって違うので、何とも言えませんねということ。

○菅野座長 分かりました。ありがとうございます。ほかに御質問等ありませんか。この件については検討事項がありますので、JISの指定防護係数が100に満たない電動ファン付き呼吸用保護具のうち、「有効な呼吸用保護具」として認められるものがあるかどうかというのが検討事項の1つ目なのですが。

○名古屋委員 これは前、5月に議論したときに、たまたま改修ではなくて、補修しているときのデータの中に、結構高いのが1点あったのです。通常もっと低い濃度と思ったのですが、それがあるので、結果的には100以上でなければいけないと決めたのであって、それより低い所もいっぱいあるので、100を満たない所でも有効ではないかという気はするのです。ただ、あのときのデータは多分1点が超えていただけであって、ほかは低かった。やはりほかも低いので、リスクを考えるとそれはできないので、とりあえず100に決めましょうという決め方をしていたと思います。あのとき、そのように決めたと思います。

○菅野座長 今の御指摘はというか、検討事項の1番目は指定防護係数が100未満のものであっても、有効とすることができるものがあるかどうかということなのですが。

○北村化学物質情報管理官 指定防護係数のことなのですが、参考資料としてインジウム化合物に係る呼吸用保護具の通達を付けております。6ページに指定防護係数の一覧表を付けておりますので、そちらも御覧いただきながら御検討いただけると。

○オブザーバー(日本呼吸用保護具工業会) 先ほども言いましたが、指定防護係数というのはデータに基づいて作ったものではなくて、諸外国の情報をベースにして低い所を選んで決めたという経緯があるものですから、正直言って化学技術的に余り根拠があるものではないのです。

○北村化学物質情報管理官 もう1つ、先ほど名古屋先生から御指摘いただいた5月の検討会の流れなのですが、参考資料1に当時の経緯をまとめておりますので、そちらも御覧ください。先ほど高いデータが出たというのは、管理濃度は0.3f/ccでしたが、最大値が26.8f/ccと非常に高い値が出たので、そのときの議論では、少なくとも防護係数は100は必要なのではないかということでした。また、その際、指定防護係数で100というのは全面形しかないというところもありましたので、我々のほうで通達を書くときに全面形か若しくは防護係数を測った上で半面形という形にさせていただきました。

○菅野座長 つまり、半面形でPL3でも大丈夫ではないかと、そういうことですよね。ルーズフィット形でもPL3ですと、一応は防護係数が高くなっていますが、それはそれでよろしいかということです。

○名古屋委員 そうすると、全面しかなくなってしまうので、普通の作業のときに全面はやりにくいのですよ。

○菅野座長 ですから、4ページの半面形でも、PL3なら大丈夫ということですよね。

○名古屋委員 半面が認められればいいのではないかという気がします。

○オブザーバー(日本呼吸用保護具工業会) 予測して測って、それで確認が取れればそれはいいと思うのです。これは先ほどの繰り返しになるのですが、そのやり方は防じんマスクには通用しないのですよ。あくまでも電動ファンだから成り立つことなのですね。

○名古屋委員 ここにあるからいいのではないですか。半面を使用するということが書いてあるので、大丈夫だと思います。

○__ 改修ではないのに全面はかわいそうだね。

○オブザーバー(日本呼吸用保護具工業会) 今回出させていただいたデータから見れば、半面形も全面形も防護係数、実際に測ったデータは変わりがないので、今、半面形だけ防護係数を測ってから使用するとなっているので、その必要は本当にあるのかどうかというところだと思うのです。

○名古屋委員 メーカーさん、どうですか。要らないのではないですか。

○オブザーバー(日本呼吸用保護具工業会) 要らないとは思うのですけれども。

○名古屋委員 作業性を考えると、やはり全面はかわいそうですよ。要するに解体だったら分かるのですが、補修だとか修復のときに全面形をやっていると見にくいし、作業もやりにくいから、半面形がある程度の数字だから作業性を認めてあげないと、現場の人はかわいそうだなと。ましてやそれで、今言われたように漏れないのだったら、ここに書いてあるような半面形はOKではないかと私は思います。

○藤間委員 検討事項の(2)とも関係あるのですが、ユーザーサイドからすると、実際に防護係数を測定するかどうかというところが、実際には無理ですよね。そもそも装置を買って、そのために測定するかというところで、確かにどのようにこういう数値をメーカーが開示してくださるか。こういうしっかりした形で、どこかで見て分かるのならいいのですが、逆にメーカーからそういう情報を開示していただくことによって選択できるという形にしていただくのが、本来の姿ではないかと思います。いちいち測定というのは、やはり現実には無理です。

○オブザーバー(日本呼吸用保護具工業会) そのとおりだと思うのですよ。それで、まだちゃんと公の場所での議論はしていないのですが、工業会ベースで提案しようと思っているのですが、例えばJIS T 8159、要するに呼吸用保護具の漏れ率測定方法に準じて、防護係数を各メーカーが測定すると。それを公表して、それをベースにユーザーが選択の基準にするというのをルール化したいと思っているのです。ですから、JIS T 8150のほうは、要するに選択・使用・保守管理方法のJISとして、その中に、そういうことをベースにして選択する方法もあるということを規定して使っていただくということを、今はプランの段階なのですが、ありますので、何とかそういう方向で進めたいと思っています。あとは行政のほうの問題もありますので、すぐ「うん」と言って頂けるかどうか分かりませんが、少なくともユーザーには有用な情報になると思いますので、JISの中には入れたいと思っています。

○オブザーバー(日本呼吸用保護具工業会) アメリカのケースなのですが、やはり個々人のものを測るのは難しいということで、メーカーがフード形のPAPRに関しては数値を取って公表して、その数値を使っております。具体的には1,000という防護係数の保護具として使用しているという背景もありますので、全面、半面、フードまでは十分な防護係数が得られるものとして御議論いただければ助かります。

○櫻井委員 テストのときは塩化ナトリウム粒子ですよね。繊維の場合、特に変わりはないでしょうか。そこを教えていただきたいのです。これは繊維ですよね。

○名古屋委員 重松さんだって、セラミックファイバーの実験をやっているではないですか。

○オブザーバー(日本呼吸用保護具工業会) それはやっています。そういうことの直接のデータではないのですが、関連付けた2段階の事実から、有効だということを示すことができます。

○名古屋委員 基本は、アスベストの所が本当に漏れているかどうかが繊維形態と粒子形態では、要するにメカニックが違うかもしれないからということで、アスベストで実験できないので、ファイバー映像モニターを用いてやっていますよね。だから、多分そこのところでできていればいいのではないかと思います、実験していますから。

○オブザーバー(日本呼吸用保護具工業会) そうですね。

○櫻井委員 どっちが防護しやすいか分からないですが、全く同じということはないだろうなと思います。

○オブザーバー(日本呼吸用保護具工業会) そうですよね。

○名古屋委員 多分メカニックとすると、意外と長い繊維が肺に入ってくるのと同じで、メカニックはちょっと違っていて、我々がバグフィルタの所のものを測定していると、大きい繊維が抜けてくる可能性がありますねということで、それはどうしてなのかは分からないのです。それはあることはあるので、多分マスクメーカーも怖いので、今、実験されているのではないかと思います。粒子はメカニカルフィルタのメカニックとはちょっと違う部分で抜けてくるのかなと。どういう理由かちょっと分かりませんが、それは私たちが実際に測定してみると、ろ過フィルタを付けても大きい粒子が時々抜けてくることがあるのです。肺のときも全く同じで、長いのが入ってくるので同じではないかという気がちょっとします。

○オブザーバー(日本呼吸用保護具工業会) その辺は調べさせて頂きます。エアロゾルの特性などから、その点を解明できないか調べてみます。

○櫻井委員 調べて、はっきりさせていただけると有り難いですね。

○オブザーバー(日本呼吸用保護具工業会) はい。

○名古屋委員 あと、3番は認めてあげたらいいのではないですかと思います。インジウムをこういう形で認めてあげているので、せっかく第1管理区分になっているのに。きちっと測っていらっしゃるのですから、これを認めてあげて、少し動きやすいマスク、作業しやすいマスクという形のものにしてあげたほうがいいのではないかと私は思いますけれども。

○藤間委員 3番に関してなのですが、これは炉とか窯の補修で熱間、暑い所での作業は結構ありまして、そういうところで、そもそも全面形はもたないですし、あるいは半面でもどれだけもつかなというところもありまして、我々の会社の中で実際に測定してみると、かなり第1管理区分に収まっているところがあります。でも文面からいくと、どうしても窯とか炉の補修は防護係数100を使いなさいということになってしまっていますので、そこで行き詰まっているところが鉄鋼さんとか、暑熱の所では、とても選択に苦しんでいる状態にあると思います。そういうところで何らかの方法を取り得るのであれば、こういう作業環境測定を、定常的な補修もありますので、そういう所については測定を行った上で選択してもらうということもあり得るのではないかと考えます。

○名古屋委員 でも、管理濃度委員会の中で今、FAM、要するにファイバー映像モニターが用いられることを検討していますので、もしFAMが用いられることになると、その場でリアルタイムにすぐ出てきますので、それを使えば、その点で判断できるかなと。そのときに、すぐそれを使うケースがそのまま使えるかどうか分かりませんが、私はF値を使って構成しましょうと提案していますが、そういう形のものが積み重なってくると、ある程度ファイバー映像モニターなどを用いられれば、比較的、防護係数が分かるので、測定して第1管理区分だとしたらということはできてくる。今だと、PCMだとなかなか測定などが難しい。そこはもし管理濃度委員会で認められる形になると、もうちょっと楽に56はできるので、是非ここは認めておいていただければ有り難いかなと思います。

○菅野座長 (3)ですが、第1管理区分であるとしたら、マスクは用いる必要はないのだと思うのです。つまり、ここで問題になっているのは、補修等の作業があるときに、作業環境測定を行ったものであるかどうかということだと思うのです。ですから、現実にその場の濃度を集積したデータがある場合は、そのデータに基づいて防護係数を決めていただければよろしいわけですので、この使用を認めるとかというように一義的に言うのではなくて、それに応じて決めるというように規定すれば。

○名古屋委員 それでもいいです。

○菅野座長 それから、防護係数なのですが、メーカーでたくさんマンテストの結果を出していただければ、だんだん収束すると思うのですが、顔の大きさなどによるわけですよね。それでPAPRだって、隙間がどの程度まで許容可能なのかというデータはないような気がするのですけれども。もしそれがあれば、最悪の防護係数が大体推定できるでしょうからいいのですが、失礼ながら、現実には全部10,000以上ということになっていますが、いろいろなパネルを用意されてやったのか。訓練しないと、この10,000以上という数値は出ないかと思います。

○オブザーバー(日本呼吸用保護具工業会) 今のは、JIS T 8159のことですね。漏れ率の測定方法のやり方では、特別の顔を用意しろにはなっていないのです。ただ、その人の顔のある決まったところを測定しなさいと。だから、その記録だけが残るだけで、そこまでなのです。大きいからどうとか、小さいからどうとかという話はないので、そこはもう一歩突っ込んでやらないと意味がないかもしれませんね。

○菅野座長 PAPRの場合はマージンはかなりあるとは思うのですが、PAPRだから必ず100以上になるというのは、まだ保証できるデータがないのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○オブザーバー(日本呼吸用保護具工業会) そうですね。それは余り心配していないのです。ただ、例えばフェイスシールドとかフードとか、ああいうのは頭の大きさなどが関係してくることは分かっているのです。どこまで問題があるかまでは確認していませんが、何しろ影響はあるということが分かっていますので、そういうところはある程度押さえていかなければいけないと思います。ただ、PAPRの場合の性能について、多少上下するかもしれませんが、それは防じんマスクの比ではないですよ。

○菅野座長 陽圧ということがありますので、かなり大丈夫であるとは思いますけれども。

○名古屋委員 そうではなくて溶接でやっている部分については、現場のデータで間違いなくこのとおりになっていますね。よほど付け方が悪くても、40とか50という周辺濃度であったときの中は、防護係数ではなくてマスクの中の濃度を測っていますが、これより下がることがあって、ちゃんとしていますねということ。ただ、防じんマスクは全然駄目ですが、電動ファン付き保護具については、私たちは結構データを持っていますね。

○小野委員 溶接の場合ですと比較的、もちろん溶接にもよりますが、作業時間がどうなのでしょう。炉の改修などに比べて時間が短いですよね。ですから、電池の確認というか、電池の交換がきちっとできるかどうかということで、多分炉の改修でも丸1日ということはないと思うのですが。

○名古屋委員 炉の改修も多分、中にずっと入っているわけではなくて、暑くなったりすると出てきますので、そのときに電池の確認はできるし、取替えもできると思うのです。溶接はある程度すぐやめられますが、炉の確認でもそんなに長い間はなかなか。熱中症とかそっちのほうの可能性が多くて、作業性がきつくて汗がダラダラ流れてくるので、やはりそこから出ていきましょうとなるから、そういうときに確認できますので、それほど心配はないのではないかと私は思っていますから。

○オブザーバー(日本呼吸用保護具工業会) B級は別ですが、S級とA級は、例えば面体を使うタイプだったら、内圧を必ず測っているのです。モニターしなければいけないことになっているのです。それで、警報機を鳴らすようになりますので、そういう防護性能に関しての最低限のところは必ず確保されるようになっているのです。【内圧警報装置は、「電動ファン付き呼吸用保護具の規格」では規定されていません。検討会後、発言者より訂正が入っております。】今のは面体ですが、いわゆるルーズフィット形でしたら風量のチェックをしています。ですから、そういう意味で、顔が大きかろうが小さかろうが、その辺の性能は一応、確保されているのです。

○小野委員 ランプがつくということでは、私はランプがつきやすいのです。多分、顔のスイートスポットが小さいので、すぐずれるのですけれども。

○オブザーバー(日本呼吸用保護具工業会) 陽圧をキープしようとしていても、隙間が大きかったらそれは駄目ですからね。そこそこ一応はついていないとまずいので、そこだと思うのですけれども。

○唐沢委員 資料2-12の検討事項の(3)で、先ほど菅野座長がちょっとお触れになったのですが、今の(3)の事務局の原案では、「作業環境測定が実施可能な場合」うんぬんとあって、それが「第1管理区分であることが確認された作業場で作業する労働者に対し」と。その後段が「窯とか炉等の施工又は補修等の作業に従事する場合であっても」ということです。これは前段と後段で大分意味が違ってきてしまっているように思うので、例えば私であれば、このように書くと思います。ちょっと言いますが、「作業環境測定を実施した場合」というのがあるのですが、その前に、最初からもう一度言いますと、「窯・炉などの施工又は補修等の作業について、作業環境測定を実施した場合、第1管理区分であることが確認された作業場で作業する労働者に対して防護係数100に満たない呼吸用保護具の使用を認められるか」と、恐らくこういう設問ではないですか。前段は、要するにルーチンワークで定常的に屋内作業場で炉を作っているような場合は想定できますが、後段の窯とか炉等の施工とか補修というのは、6か月も続くようなことはまずないでしょうから、私は書くとすれば今言ったように書きますけれども。そのほうがベターなような気がしますが、いかがでしょうか。

○名古屋委員 もう1点お願いできると、第1管理区分でもいいのですが、多分、炉は小さいのと大きいのがあって、作業環境を測定することはなかなかできない部分があるので、できたらB測定だと思って、作業で一番高い所の中で、その濃度で判定してくださいという形のほうが、より現実的なのかと。要するに大きい炉だと確かに測れるのですが、小さい炉もあるのです。そうすると、同じように第1管理区分で測れるかというと、なかなか第1管理区分は測定できないので、作業性を考えてみて、一番高いと思われる所の中で、例えばFAM等を測って、その濃度で判定してくださいとしたほうが、より現実的なのかと私は思いますけれども。

○小野委員 それは、そのときの作業なのですか。それとも同等の作業の過去のデータではなく。

○名古屋委員 違います。同等の作業は無理でしょう。同じような作業をしたって、やり方によって違うし、炉の劣化によっても違う。それはそのときに、やるときに測るという形になるのか、あるいは測れなかったらリスクが高いから、当然測るのですが、もし長い作業で測れるのであったらという形になるかと思う。FAMだったら意外と測れるのか。でも、そうか。どこが高いか分からないか。

○小野委員 それから、その判定のタイミングです。

○名古屋委員 第1管理区分はきついな。

○小野委員 判定してから作業を始めますといって、マスクの投入を始めるというか、それは現実的ではない。

○名古屋委員 それはできないね。類似作業で推定するしかないね。大雑把に推定して確認するという形は駄目ですかね。

○保利委員 結局、参考資料11)で示してある最大値との差が重要なのでしょう。要は現場での最大値が20幾つだと。このぐらいの値がマスク着用の前提になっている。

○名古屋委員 そのぐらいのところで設定していくと。何かうまく軽減してあげたいなというのはあるのですが、炉というのは難しいですね。

○藤間委員 炉ですと、比較的RCFを定期的に交換する所はあるのです。そういう所の作業を実際にやったときにどのぐらいかというのは、我々が測定してみて、それに基づいて、その次から同じ作業をやるときはという形で選択をしておりました。

○名古屋委員 みんなは無理ですね。

○小野委員 定常作業について、第1管理区分ということが分かっていればということ。

○名古屋委員 前提でしょう。

○小野委員 要するに作業環境測定で第1管理区分が続いていれば、検知管にすることができるというのがありますが、それとマスクと重要度が違う気はするのですけれども。

○菅野座長 何か、くどいようですが、第1管理区分の作業場でマスクする必要はないですよね。

○藤間委員 ない。

○菅野座長 そうですよね。ですから、この場合、作業環境測定という規則による測定でなくてもいいですが、作業環境測定を実施している作業場で、これこれの作業を行う場合には、経験的な最大濃度に基づいてマスクの防護係数を決めてよろしいとかという意味なのですよね。

○藤間委員 そうです。ですから、実際には第2管理区分になる場合もあるでしょうけれども、それに応じた防護係数を選べばいいというか、なるのではないですかね。

○名古屋委員 そこでリスク評価と置き換えては駄目なのですか。

○小野委員 RCFは義務化になって。

○櫻井委員 1つ気になるのは、発がん性に関わるものであるということから考えると、私だったら第1管理区分であっても、10分の1辺りを目標としますよ。さらに、ばく露限界値の10分の1ぐらいを目標にしますよ。

○菅野座長 実際には0.3倍ぐらいでないと、第1にはならないと思うのですけれども。

○櫻井委員 やはり、どうしても作業者に勧めてやらせてしまいますよ。だから、100分の1でなくてもいいのですよね。もしかしたら、防護係数20ぐらいでいいのかもしれない。そうすると、5%になる。

○小野委員 第1管理区分というのが個人ばく露でないということがありますよね。

○名古屋委員 ばらつきもある、第1管理区分で。

○小野委員 基本的にマスクをしないで済むということで第1管理区分。そうではなく、マスク自体が汗で動いたりすると意味がなくなってくるのでということですか。マスクをしないという、防護係数に関しては、PAPRだったら100のクリアというのはそんなに難しいことではないですし、選択の余地もものすごくあると思うのです。ですから、する、しないという、要するに100以上のものは特に決めなければいけないことでも何でもないように。

○菅野座長 3番ですよね。

○小野委員 そうです。3番です。

○菅野座長 私もそう思います。

○小野委員 そう思うのです。だから、第1管理区分にこだわるのは、するかしないかという判定のためですか。

○菅野座長 いや、ですから、この文章だと第1管理区分でも100以下のものを使ってよろしいかとなってしまうので、ちょっと。

○小野委員 いずれにしても厳しい状態になるのでしょうか。

○名古屋委員 第1管理区分ではなくて、炉とかの作業している場合に、ある程度の濃度だったら防護係数100以下に下げていいですかということの問合せだと私は思っているのです。

○小野委員 100以下というのは、PAPRではないものを使うという。

○名古屋委員 そうです。

○小野委員 それはやはりPAPRでないと危険すぎると思うのですけれども。

○保利委員 第1管理区分かどうかではなくて、最大濃度がどれぐらいあるかというところだと思うのです。もともと防護係数100という数字を入れたのが、この参考資料1の最大値が26.8f/ccというところから来ているのであれば、要は最大の濃度をそれ以下に抑えられるのであればいいのではないかということだと思うのです。

○名古屋委員 そうすると、半面が使えるから結局、要らないんだ、いいんだ。

○保利委員 だから、第1管理区分だったら、半面でも何でもいいのかという。

○名古屋委員 そうすると、やはりここは第1管理区分が効いてくるんだ。炉の作業のときは半面ができているから、4050を選べるからいいけれども、もし、ちゃんと測定していって第1管理区分だったらということですね。

○保利委員 そうです。

○名古屋委員 そうですね。そうしよう。分かった。大丈夫だ。

○菅野座長 第1管理区分というのを残すのですか。

○名古屋委員 いやいや、もし例えば長い炉を使ってやっていて、第1管理区分だったらマスクの判定をということでしょう。私が今考えているのは、炉とかのそういう作業については、良かったらリスク評価で防護係数を下げてもいいでしょう。でも、結果的には電動ファンはできないとしても半面ができるので、そうしたら、それはあえて決めなくても対応できるから大丈夫かなと。ただ、第1管理区分になったときはどうなのでしょうか。なることはありますかね。大きい炉というのはありますよね。長い炉だったり、解体して長くやっていると、当然、作業環境を測定できますよね。

○藤間委員 あと、今、有効な呼吸用保護具ということで、防護係数100という。この文言から言ってしまうと、どうしても選択せざるを得なくなってしまうのです。そこがちょっと。現実的なのかなというところがありまして。補修と言ってもいろいろあるというところを御理解いただいたほうがいいのかなという気がいたします。

○保利委員 だから、第1管理区分であることが確認された作業であれば、別に防護係数は重要ではないと思うのです。予防のためにというぐらいの感じでもいいような感じがするのです。ただ、濃度が高い所はやはり必要な防護係数の防じんマスクを使用するという話ではないでしょうかね。

○名古屋委員 ということですね。

○菅野座長 防護係数100以上というのは、実際の濃度は分からない、かつ高かった事例があるということで決まったものですので、3番目の事例とは全く関係ないと思いますね。

○保利委員 第1管理区分の場合、特にそのような必要がないので。

○菅野座長 話が先に行ってしまいましたが、全面形以外に半面形のPAPRも有効な呼吸用保護具として認めるということはよろしいでしょうか。

○保利委員 それはいいと思います。

○菅野座長 ルーズフィット形というのは、どうなりますか。ですから、これもデータとしてはPL3PS3と、大丈夫ということになりますよね。フェイスシールド形がちょっとまずいです。フード形のルーズフィット。

○名古屋委員 ルーズフィット形を使って解体はやらないよね。

○菅野座長 いかがでしょうか。これはペンディング。

○名古屋委員 ルーズフィット形とフード形とこれというのは、解体とかに使いませんよね。使いますか。

○オブザーバー(日本呼吸用保護具工業会) 私は、それは余りよく分からないのですけれども。

○オブザーバー(日本呼吸用保護具工業会) 多分こういう白いフードをイメージされているのだと思うのですが、フードの中にはヘルメットタイプというのがありまして、保護帽と顔を守るためのものが一体になったような固いものがあるのです。それは溶接とか、型ばらしなどでもたくさん使っていますし。

○名古屋委員 溶接はよく見るのですが、ないのかな。だって、トンネルのときは結局、ルーズフィットとフードは作業性が悪いからと排除したのです。要するに作業性があっても見にくいから要らないと、半面と全面にしたのです。だから、今回のものもあってもいいのですが、現場的に使わないのではないかという気がするのです。重たくて使いにくい。溶接の場合は使っているのはよく知っているのですが、ほかの場合は使いにくいのではないかと思うのですよね。どうなのだろう。

○オブザーバー(日本呼吸用保護具工業会) フードは、いわゆる粉じん、石の加工とか、ああいうのでは使っているみたいですね。

○名古屋委員 使いますよね。要するに、小割りだとか粉砕のときは使いますね。粉じんの作業には使いますが。

○櫻井委員 いろいろ飛んでくるのではないでしょうか。それもある。

○名古屋委員 そうなのですね。ヘルメットにすると楽です。

○オブザーバー(日本呼吸用保護具工業会) 汚れたくないというのがあるのです。あと、女性の場合。

○菅野座長 半面形でも使っていい所なんて、それを使える環境だったらフード形でも使えるのではないかと思うのです。つまり、これを除外する理由がなくなってしまう。

○オブザーバー(日本呼吸用保護具工業会) 全体的に風を送るような構造にもなっているので、冷却とか暑熱の観点でもメリットはあるかと思っていますので、積極的に選ばれないかもしれないのですが、防護係数としては十分あるものですので、そこは全面、半面のほうと合わせて検討いただけると。

○名古屋委員 夏場に使ってくれるけれども、冬場は使わないというのがあるではないですか。寒くて嫌だよというのがあって。

○オブザーバー(日本呼吸用保護具工業会) そういうのはあるかもしれません。ただ、防護係数としては十分にあるものですので、使う使わないの選択はユーザーに任せることで、排除しないようにして頂きたいと思います。

○名古屋委員 顔に風が当たるから、夏はいいけれども、冬は嫌だと。排除することはないと思います。何か使いにくいかなと。

○菅野座長 大分時間が押しているのですが、呼吸用保護具についてはこのぐらいでよろしいでしょうか。大体、感じとしては。

○北村化学物質情報管理官 (2)の防護係数の確認の所は、例えば今回サンプル数が最大でも10というところで、ちょっと少ないところもありますので、例えば引き続きこういう業界にお願いをして、もう少しサンプル数を集めるとか、そういったことも検討できるかなと事務局では思っているのです。

○菅野座長 これは確認ですが、全面形でも半面形でも、内圧を測って警報が出るのですか。

○オブザーバー(日本呼吸用保護具工業会) そうです。面体形は。【内圧警報装置は、「電動ファン付き呼吸用保護具の規格」では規定されていません。検討会後、発言者より訂正が入っております。】

○オブザーバー(日本呼吸用保護具工業会) 例えば検定の規格で、先ほど山田さんから説明していただいたように、全面形も半面形もS級はやはりS級で、漏れ率で言えば、要するにそれが検定上では最上位の防具なのです。両方とも1,000以上の防護係数をキープしているという件では、余りそこに差はないような気はするのですけれども。

○菅野座長 ですから、もともとの状態だけ見れば、区別する理由は面を覆わないというぐらいで、区別の理由がないように見えるのですが、この防護ということだけを考えるとですね。

○北村化学物質情報管理官 その場合は、全面形は、今は全面形を選択すればそれでいいという話ですが、半面形は防護係数を測った上で選択という形になっているのです。半面形についても測る必要がないということですか。

○菅野座長 理屈の上では必要がないように見えるのですけれども。

○北村化学物質情報管理官 今回のリフラクトリーセラミックファイバーは、インジウムのときの呼吸用保護具の書きぶりに倣っておりまして、インジウムの「防護係数100を担保する呼吸用保護具とは」という書きぶりをそのまま引用しています。全面形は防護係数を測る必要はないとして、防護係数は100以上あるのでということでそうなのですが、半面形は最大の指定防護係数が50なので、防護係数を測って100以上を確認した上で使いましょうということにしています。

○菅野座長 あのときは、PAPRは検定の規格はなかったのですよね。

○北村化学物質情報管理官 はい、規格はありませんでした。

○名古屋委員 いないと思うから、要らないのではないかな。インジウムのときは濃度が低いし、どうしてもあれは欲しかったけれども、リフラクトリーは、今言われたような形で、全面と半面でそんなに違わないので、実質的には確認は要らないのではないかなと思いますけれどもね。

○北村化学物質情報管理官 それは半面形に限っては要らないということで、先ほどの議論にあったルーズフィット形はいかがでしょうか。

○保利委員 ルーズフィットは全面や半面とは違うかもしれません。全面と半面は、理屈から言ってもそんなに差がないと思うのですけれども。

○名古屋委員 ルーズフィット、これはだって新しく出てしまう。それはちょっと分かりませんけれども。半面、全面は要らないのではないかなという気はしますよね。フードは確かに。

○オブザーバー(日本呼吸用保護具工業会) 防じんマスクの場合は全面と半面でフィットネスが違うということで、明らかな序列があるのですよ。だけど、電動ファンの場合は、若干は残るかもしれませんが、趣は大分違う気がしますね。しかも、内圧の測定器が付いているというのを考慮すると。【内圧警報装置は、「電動ファン付き呼吸用保護具の規格」では規定されていません。検討会後、発言者より訂正が入っております。】

○保利委員 ルーズフィットとこの場合は違うのでしょう。

○名古屋委員 ルーズフィットとこれはよく分からないので、何とも言えませんけれども。

○オブザーバー(日本呼吸用保護具工業会) ルーズフィットも一応、風量の警報装置が付いているのですけれどもね。ちょっと何とも言えないところですね。

○名古屋委員 イメージが湧かないので、ちょっと分かりませんが、半面は要らないのではないかなと私は思います。

○北村化学物質情報管理官 最後の(3)については、事務局のほうで、もう少し書きぶりを検討した上で、また次回以降に御確認いただくことにしたいと思います。表記が曖昧な部分がありまして、御迷惑をおかけしました。

○オブザーバー(日本呼吸用保護具工業会) 先ほどの、もう少しサンプル数を増やしてデータを増やすという点については、どうですか。メーカーとしては出すのは全然問題がないですけれども。もし裏付けとしてデータが必要であれば、各社に頼んで出してもらいますけれども。

○菅野座長 どのぐらいの期間で出てくるものでしょうか。

○オブザーバー(日本呼吸用保護具工業会) そう言われるとあれですけれども。

○保利委員 多いに越したことはないと思いますけれどもね。

○オブザーバー(日本呼吸用保護具工業会) そうですね。少なくともJIS T 8159、漏れ率の試験方法に準じたものはメーカーサイドでできますのでね。ただ、JIS T 8150のほうは、どのように考えるかで、自社の被験者でもいいとするのか、それともあくまでもユーザーの所に出ていくのかということで大分、状況は変わってくるのですけれども。だから、ここで未実施になっているのは、やはりちょっと大変だからだと思うのですよね。

○菅野座長 あるデータは頂けると有り難いと思いますけれども。

○オブザーバー(日本呼吸用保護具工業会) 一応、期限を切っていただいて、それまでにできるまで努力するという感じにしていただいて。

○名古屋委員 可能な範囲でいいのではないですか。

○北村化学物質情報管理官 データの追加についても、事務局と工業会様のほうで御相談して、また資料として提出したいと思います。

○オブザーバー(日本呼吸用保護具工業会) はい、分かりました。

○菅野座長 長い間ありがとうございました。

 時間の関係もありますので、がん原性指針についての検討をお願いしたいと思います。事務局から資料の御説明をお願いします。

○角田化学物質評価室長 資料3-1を御覧ください。時間も大分押していますので、なるべく効率的に御説明します。1ページ目にあるのは、指針の対象物質の選定の考え方ということで、平成26年度に方針を整理したときに、この措置検討会にも概略は御報告しております。

 要は、がん原性指針は、法令で規制するものと違って、従来、国で実施している2年間の長期がん原性試験でがん原性が確認されたものについては、発がんのおそれがあるということで、大臣名の指針で指導しているというものです。その対象物質の選定の考え方として、(1)(2)がありますが、(1)は発がん性試験で、がん原性が認められると専門家により評価された物質ということです。(2)のほうは、それでなくても、IARC(国際がん研究機関)の発がん性分類の12Bに該当する物質、又は他の国際機関等による発がん性分類又はその他の発がん性に関する知見によってそれに相当すると専門家が判断した物質ということです。

 それから、「また」と書いてあるのは、がん原性指針の対象とされた物質又は業務であっても、リスク評価の結果、特定化学物質障害予防規則(特化則)等により、発がん予防の観点での規制がなされた場合には、これは既に法令で規制がされたということですので、指針の対象から除くという考え方で整理しております。

 次のページに、横長の表が載っております。今の考え方というか、ルールが一番左に書いてあります。それを受けて、最近の指針でどういう物質を加えてきたかということをまとめているものです。平成25年の改正で、がん原性試験の結果で指針に追加したものは、N,N-ジメチルアセトアミドでした。1,2-ジクロロプロパンは指針で指導していたのですが、胆管がんとの関係もあり、洗浄・払拭の業務が特化則で規制されることになったので、その部分を指針から除外したということです。

 平成26年の改正では、DDVPと有機溶剤関係の特化則改正が行われたのですが、従来、有機溶剤となっていた10物質を特化則に移して、発がんを踏まえた規制を導入したわけです。その10物質のうち6物質は既に指針で指導していたということで、一番下の欄にあるように、6物質については有機溶剤業務が特化則で規制されたので、それを指針から除外したということです。それから、10物質のうち4物質については、指針に入っていなかったので、特化則規制の有機溶剤業務以外の業務を指針に入れました。DDVPは「ジクロルボス」という殺虫剤用途のものですが、これについては特化則で規制された業務がありますので、それ以外の業務は指針に入れたということです。

 平成27年の指針改正に向けて準備を進めており、現在もパブリックコメントを募集していますが、3つの●が、がん原性試験で発がん性が確認されたものです。それから、エチルベンゼンは、既に特化則で塗装業務が規制されているのですが、これもそれ以外の部分を指針に追加する必要があるので、その準備を今しているところです。ただ、リスク評価の過程で、ガソリンスタンドにおける取り扱い業務は非常に低リスクだったこともあるので、それは指針の対象には入れない方向で案を整理しております。以上が、がん指針の概略です。

 今回、御意見を承りたい点は、●のうち複層カーボンナノチューブ(MWNT-7)についてです。複層カーボンナノチューブについては、次のページの資料3-3に横長の表が載っております。形態としては、123とありますが、1は、MWNT-7というカーボンナノチューブです。一番右に書いてあるとおり、日本バイオアッセイ研究センター等からの試験研究用途での提供依頼に応じて供給がなされたということです。これが試験に供されて、ラットの長期吸入暴露で発がん性を確認したというのは、正にナノチューブですので、これは指針の対象になると考えております。

 2と3ですが、2については、造粒品です。これはMWNT-7という試験に供した物質を樹脂等に加えて混練するのですが分散処理を容易にするために、造粒剤()で固めて、50μm程度の径の粒にしたものです。嵩密度は1の10倍ぐらいとなっております。右の欄になりますが、これはその造粒品の出荷先のユーザーが委託加工によって製造した混練品(ペレット等)を成型して製品を製造しているということです。こういった造粒品を出荷して、それをユーザーさんのほうで委託加工でペレット等に成型して、製品を製造するということです。

 一番下にある3が、2を樹脂と混練してペレット状又はゴム等の粘性の高い固体状としたもので、これを出荷されています。これは出荷先でユーザーさんが成型して、いろいろな形の製品を作っているそうです。大体この3つのものが、MWNT-7等ということで取扱われています。

 一番左の欄に書いてありますが、名前が変更され、2009年以降は1はNT-7Kという名前になっております。それから、2の部分が、これは造粒品ですが、2009年以降は、NT-7という名前になっています。注書きにありますが、MWNT-7及びその名称変更品がNT-7KNT7ですが、これらについては、既に2014年に製造が中止されております。今年の夏に企画検討会でリスク評価の対象とするかどうかということを検討しました。既に製造中止ということもあって、リスク評価の対象物質にはなりませんでした。ただ、やはり試験で発がん性が確認されたものですので、従来の物質と同様に、この被験物質を指針の対象にする準備を進めているところです。

 その次の7ページからは、ナノマテリアル情報提供シートです。これは経済産業省がやっておられる、情報収集と発信のプログラムです。これは製造事業者による情報が経産省のホームページに掲載されているものです。この中で、12ページ以降に製品安全データシートがあります。18ページを御覧ください。こちらに電顕の写真が載っておりますが、上が造粒品です。これがNT-7だと伺っております。それからその下が、NT-7Kで、カーボンナノチューブです。粒径分布については、右にある19ページの図1がナノ粒子の分布です。その下にある図2が集合体のサイズということです。団子状になっているもののサイズです。

 少し飛びますが、21ページに移ります。これは右上に書かれておりますとおり、国立研究開発法人の産総研の小倉先生がまとめられた資料です。私どもの問題認識としては、先ほど3種類のものがあると申し上げたのですが、2と3のもの、いわゆる造粒や、樹脂に混ぜているものについては、指針で必要な指導を行うかどうかということについて、いろいろと御検討いただければと考えております。その関係情報として、小倉先生の資料をここに提出させていただいております。

 本来なら、先ほどの指針対象として検討しているMWNT-7について、造粒品からのナノの排出や、あるいは樹脂のものについてのナノの排出がデータとしてあればよいのですが、なかなか実際にそういうデータがないということもあり、それで関連の試験データ等をお示ししております。したがって、これは直接MWNT-7ということで調べたものではありませんが、参考ということで、少し御説明させていただければと思います。

 この小倉先生の資料ですが、ナノ材料含有コンポジットや、コーティングからのナノ材料の排出について、特にカーボンナノチューブに関する論文を中心にまとめておられるものです。

 その下に、どんな形態で出てくるのかをまとめた図1があります。「CNTコンポジットの摩耗等により排出され得る粒子の例」ということで、Aは完全に脱離した単体、Bは母材から完全に脱離した凝集体で、CCNTが露出した(突き出た)状態になっているようなもの、それから他に、混合粒子や母材自体の摩耗粉、また母材成分が気化凝縮した粒子(CNTを含まない)があるということです。

 次のページに、プロセス分類の1例があります。どのようなプロセスで調べたものを文献としてまとめているのかということですが、機械加工、穿孔、切断、研磨、切削等で、比較的強いエネルギーによるものということ。それから摩耗(日常の使用)、比較的弱いエネルギーによるもの、そして劣化によるマトリクスの分解などで、試験をされているということです。

 試験方法としては、テーバー摩耗試験(荷重ローラーによる摩耗試験)で行われている例がしばしばあるということです。ただし、テーバー摩耗は、概して、粒子の排出濃度が低いということです。それから、耐候性試験については、ISOに準じて試験が行われています。それから研磨などは、各研究でそれぞれの方法で行われております。

 その下の排出粒子を計測する方法ですが、気中への排出は、エアロゾル計測器がしばしば使われておりますが、この計測器では、CNTとそれ以外の粒子を識別することができないということです。排出粒子の特定やフリーなCNTの有無、CNTの露出などの評価は、多くの場合は電顕観察に頼っているということです。ただし、その場合は定量評価が難しいとされております。

 具体的な結果としては、その下に「研磨や切削、摩耗などによる排出粒子」という項目があります。研磨や切削、摩耗などによって、表面にCNTが突き出た粒子(1C)が多くの研究で観察されているとのことです。2つ目のポツですが、比較的太いCNT、カーボンナノチューブのことですが、CNTCNTが凝集している場合、フリーなCNTの排出も幾つかの研究で認められております。先ほども申し上げましたが、ただし定量的な評価は余りなされていないということです。

 それから、CNTのコンポジット内における分散状態が悪いもののほうが、CNTが排出しやすい傾向があるということです。また、研磨や切削では、CNTの添加の有無によらず粒子が発生して、それらの粒子濃度の差は明確でない場合が多いということです。

 その試験の中身についてまとめられているのが、25ページです。表1は、コンポジットやコーティングからのナノ材料の排出などの試験成績がまとめられているものです。いろいろな結果が出ており、フリーのナノ粒子が出ているものもありますし、それが確認されていないというものもあります。例えば一番上の文献では、材料は、Epoxy樹脂に、MWCNT5070nm径のものを0%と1%混入とありますが、プロセスとしては研磨で行われていて、分析はこのような形で分析していると。要約が一番右の欄にありますが、MWCNT含有の場合、ナノ粒子の排出がSMPSで検出され、CNTの突き出た大きな粒子がTEMで観察されたということです。こういった形でそれぞれまとめておられます。

 その下ですが、これはBello et al.という文献のものです。これはCuttingでは確認されなかったが、Drillingでは、フリーな数ミクロンサイズのCNTクラスターの排出が確認されたと。それから、その下のCena & Petersによると、フリーなCNTの排出はなかった。それから、その下のWohlleben et qal.はドイツの文献ですが、これについてもフリーのナノフィラーの排出は認められなかったということです。それから、少し下に行きますと、Schlagenhaufet al.がありますが、これはCNTが突き出た粒子に加えて、フリーなCNT及びその凝集体が電顕の観察で確認されたということです。その下のHuang et al.も、フリーなCNTも確認されています。試験によって、いろいろと結果が異なってきています。

 こうした文献で、試験としてはいろいろなデータがあって、この材料(MWNT-7)で実際に測定したデータがなかなか入手できないこともあり、少し難しい部分もあるのですが、こうしたことについて、どのように指針で取扱うべきなのか。基本的に粒子になっているものや樹脂に入っているものまで同様に扱う必要があるのかということ、それから、もしそういう場合には、どういう点に留意して取り扱わなければいけないのか、御意見を承れればと思います。

 それと、実際にどのぐらいの量があるのかというと、資料3関係の机上配布という1枚紙を別途お配りしてあるのですが、これには企業情報なども入っているので、既にお配りして御説明した公開版の資料3-3には、この線を引いた部分を除いてまとめております。何が違うかというと、流通量が書かれております。1はかなり限定的です。それから23については、大体このぐらいの数字のベースで使われているということです。説明は以上です。

○菅野座長 ありがとうございました。ファイバーそのものではなくて、プラスチック等に造粒したものをどう扱うかということですが、御意見がありましたらお願いします。

○唐沢委員 カーボンナノチューブという非常に微妙な物質なので、注意して対応しなければいけないのだろうと思うのです。溶かしたり樹脂と混練して、要するにCNT、あるいはSingleMultiも含めてですが、そういうものが単離しないようなものは、そもそも指針の対象にしなくていいというのは、それはそれでいいのだろうと思うのです。ただ、今日御説明があった物質は、実際に文献調査をしていただいた25ページ以降の表は事前に資料として送っていただいていたので目を通しましたが、標準化はなかなか難しいですよね。ですから、例えば指針の今回の書き振りとしては、Multiのものも一応対象にしておいて、括弧か何かで何とかして、モノあるいはMultiの各ナノチューブが単離しないものは対象にしないという書き振りはあると思うのですけれどね。

 だから単離した瞬間に、やはり指針の適用があるというようには、しなければいけないだろうと思うのですけれどね。私はそのように感じました。

○菅野座長 分かりました。単離するかしないかの確認がなかなか、これは企業の責任。

○唐沢委員 しかし、おそれがあれば、やはりカバーしておかなければいけないのではないかなと思いますけれどね。

○小野委員 樹脂に入っているマスターバッチは除外でもよくて、あと、何らかの成型品になっているのを処理した場合にCNTが出る可能性はあると思うのですが、ただ、規制しなければいけないほどの濃度まで出てくるということは想像しにくいと思いますので、やはり除外可能かなとは思います。

 ここにはないですけれど、スラリー状になっている場合も、入っているものの何十パーセントのものが空中に多分出てくるということはないと思いますので、それも除外はできるかもしれないのですが、汚い使い方をしていて、作業場にいっぱいそういうものが飛び散ってしまうような状況を、何らかの管理をしなくていいのかという心配はあります。ただ、それはなかなか難しい管理の要求になると思うのですけれども。

 あと、糊で固めている造粒タイプのものですが、こちらは嵩密度がかなり低いのですけれど、空気動力学径的に問題にならない、吸入するということで問題にならないのかなというのが1点。多分ここの粒径分布というのは電顕で見た分布だと思うのですが、大きければどちらにしろ入らないかなという気はするのです。

 あと、この造粒品については、ないと思いますが、何らかの毒性、vitroでも何でもいいのですが、何かそういうデータがあるのかどうか。コンポジットに関しては、ドイツのグループがずいぶん細胞に振りかけてやって、それでいいのかというところはあるのですが、この造粒品については、今まで余り考えていなかったので、これはどう判断したらいいか分からないというのが、私の考えです。以上です。

○菅野座長 ありがとうございます。この2については中間という、3も中間といえば中間ですが、3の取扱いはそのまま加熱して成型するとか、そういうものだと思うのですが、2は粒状になったものを一旦溶いて、それからまた何かに混ぜるということをしている気がするのですが。

○角田化学物質評価室長 お聞きしたところによりますと、割とナノチューブみたいにふわっとした状態で混ぜるというのがなかなか取扱いが難しいので、ある程度固めて取扱いを容易にして分散させるという処理で、やっているようです。

○菅野座長 つまりそれは、例えば液体に入れるときにというようなことですよね。

○角田化学物質評価室長 そうですね。樹脂と混ぜるような形で、そういった加工をして、それで混ぜているということのようです。

○菅野座長 想像でしかないのですが、これは容易に壊れそうな感じがします。そんなことはないのでしょうか。

○小野委員 造粒品の高フィネスみたいなのは、見てないのですかね。

○角田化学物質評価室長 通常のプロセスですと、造粒品をまた粉砕するということはないようですので、元のナノに戻るようなことはないという御意見は、パブコメではいろいろ聞いています。

 ただ、造粒品のNT-7が、ナノのNT-7Kに戻るようなことがもしあるとすれば、例えば非常にドライな環境の大気下で、意識的というか意図的に粉砕処理をするということになってくると、NT-7Kというのが出てくる可能性は、あるようですが、通常の工程ですと、そういうことはないようです。

 ですから、通常はないということですが、もし仮にそういう取扱いがあるとすれば、注意喚起をするというのは、指針本体に書くかどうかということはありますが、必要ということはあるかと思います。

○名古屋委員 だから樹脂に入れたときに、Cuttingしたときにナノが出てくるよりは、造粒したときのほうが摩擦で出てくる可能性があるかどうかということだけですよね。

○角田化学物質評価室長 そうです。

○名古屋委員 そこだけですよね。だから、固め方がどうなのかなという。でも、やはり少しは摩擦で、きちんとコーティングされているわけではないから、そこが出てきたら、それは少しリスクがあるねということだと思います。

 ただ、ペレットの場合、Cuttingを入れても出てこないという実験を持っているので、出てこないのですが、その他は分からないので何とも言えないかなという。どの程度の固まりで固められているのかなというのがあります。

○菅野座長 多分、小倉先生の調査には、2番は含まれていないのではないかと。含まれていますか。

○小野委員 ないです。

○菅野座長 含まれていないのではないかと思いますよね。

○角田化学物質評価室長 ええ。

○菅野座長 3番目について調査をされたのではないかと。

○小野委員 恐らく造粒品に、そんなに摩擦をかけるようなことはなくて、造粒品を何らかの液体とかに入れて、そこで分散させて使うと思うのですが、ですからこの造粒品から、元のCNT10ミクロンのものが抜けるということはないのですが、アスベストみたいに長さでの管理がCNTの場合はありませんので、その屑が出るのか出ないのか。出る場合には、先ほど唐沢委員がおっしゃったように、それはCNTが出るものとして、何らかの対策を考えるという、クリアではないのですが、そういう形しかないかもしれないです。

○菅野座長 ほかにいかがでしょうか。どのようにお考えでしょうか。

○名古屋委員 固めるだけだから、表面コーティングしているわけではないから、難しいですよね。

○菅野座長 この造粒品というのは、何か密度が。先ほど小野委員からも御指摘があったのですが、ただの繊維だと嵩密度が0.01くらいで、造粒品はその10倍以上と書いてあるのです。0.1だとすると、空気動力学的粒径は、実際の実態としての粒径の3分の1くらいになりますので、この集合体というのが大きく崩れただけでもレスピラブルになってしまう可能性はあります。

○名古屋委員 何とも言えないな。これは、想像できるものではないな。

○菅野座長 ですから、液体に入れるときに投入するのでしょうけれど、それがどうかという。

○__ 固める元の繊維の長さが分からないからね。

○名古屋委員 固める元の繊維の長さが分からないのでしょう。引っ張り強度が強いか長ければ、まとめれば出ないけれど、短いものを固めるのだったら、そこから出てくるかもしれない。

○角田化学物質評価室長 これ自体の長さは、10ミクロンです。資料3-3の所に、繊維径が4090nmで、繊維長の平均は10ミクロンとあります。

○名古屋委員 余り良くない繊維の長さですよね。繊維の体系で一番強いところですもんね。

○小野委員 元の形を見ても、かなり絡まっていますので。ただ、11本ではなくてもCNTの場合には、それなりの毒性があるという話にはなっていますので、多分これは大きいのでレスピラブルではないということが重要なのかなと思うのですけれども。

○菅野座長 この造粒するときに使う糊というのは有機物なのでしょうか。有機物なのでしょうかというのは変ですね。水溶性なのでしょうか。

○角田化学物質評価室長 お聞きはしているのですが、企業情報に係ることだからということで。ただ、有機物だと思います。

○小野委員 出荷先の方と調整をして、糊も決めていると思うのです。どういうものに溶かすかということになりますので。

○菅野座長 最終的にポリマーを合成するときに溶けるのですよね。

○小野委員 ある程度、溶けて分散。糊状というか塗料状にすることもあると思いますし、いろいろな使い方があるので、糊に関してはまちまちだと思いますが。

○菅野座長 すみません、時間のことを忘れていました。この123の区分のうち、3のペレット等というのは除外してもよろしいかと個人的には思うのですが、皆様はいかがでしょうか。

○名古屋委員 それはいいと思います。

○角田化学物質評価室長 通常は余りないかもしれませんが、例えば切断とか粉砕をしたときには、そういう可能性が否定できないということであれば、データもかなり限られているのですが、そこも合わせて注意をしてくださいということを、指導するということはあるのかなと。基本は除外するということでよろしければ、それにするにしてもですね。

○菅野座長 除外しても、切断とか何かは必ず発生しますので、注意喚起する必要はあると思います。2については微妙ですが、いかがでしょうか。

○名古屋委員 切断しても出ないと小野さんは言っていましたよね。

○小野委員 3ですか。

○名古屋委員 切断のとき、余り出たデータはないとおっしゃっていましたよね。

○小野委員 製品できちんとしているものについては、まず出ないです。それで、固い樹脂とCNTを混ぜたようなものでDrillingみたいに、ただ、ドリルで出るというのが先ほど御説明がありましたけれど、あれも製品ではなくて、恐らくプロトタイプの試験品だと思います。ですから、製品から出るとしても量はほとんどないので基準で引っ掛かってくる部分にはならないのですが。

○名古屋委員 私もそれを見てもらったとき、うちが切断のとき、1回ぐらい出たときに「珍しいデータですね」と言われたくらいなので、余り出ないのではないかという経験はあります。

○角田化学物質評価室長 では、3については、余りそこは。

○名古屋委員 でも、注意喚起はしておいたほうがいいと思います。

○角田化学物質評価室長 はい。それで、2のほうは。

○名古屋委員 それは、ちょっと分からないです。

○角田化学物質評価室長 2のほうもレスピラブルは出ないという意味において、除外はするけれども、例えば3と同じように注意喚起をするという方法もあるのかなという感じはしますが。

○小野委員 レスピラブルかどうかというのが、この今持っているデータだけでは、レスピラブルというのは比重とか密度も係ってきますので、この数字が間違いなくレスピラブルではないと言えるかどうか。そこは、確認というか考えないといけないかなというのはあります。

 そこがクリアできるとすれば、先ほどのコンポジットと同じように単独のものが出てくるかどうかをよく確認して、それで対応を考えるという、コンポジットと同等でいいのですかね。

○菅野座長 プラスチックは一般に不溶なんですよね。だけど、この糊というのは溶ける可能性があるわけですよね。

○小野委員 溶けて分散してということで、だから、そのスラリーをどう扱うか。そうすると、スラリーをどうするか。

○菅野座長 身体の中に入ったとき。

○小野委員 身体に入っても、アスベストは毒ではないものですし。

○菅野座長 ですから、ほかのプラスチックとか何かと付いている場合は、大きいですから吸入性ではないと思うのです。

○小野委員 レスピラブルの屑で出ますけれど、樹脂の屑もレスピラブルサイズで出てきます。

○菅野座長 そうですか。

○小野委員 だから、樹脂の中にCNTが入って、もしかすると少し突き出ていますが、レスピラブルのサイズの屑は出ます。

○菅野座長 ただ、濃度が低いわけですね。

○小野委員 濃度は樹脂に何パーセント入っているかによって、全部違ってきますので。

○菅野座長 でも、そういうことですと、3を除外できなくなりますが。

○小野委員 だから、その付帯は毒性が低いというのが、vitroの試験では一応そういうことになっているのですが、ただ、レスピラブルの粒子もそんなに大量に出てくるわけでは、もちろんないので。

○菅野座長 どうしましょうか。多数決で決めることではないと思いますが。これはやはり、まだペンディングということで。

○小野委員 2について、もう少し情報を。

○菅野座長 どのような情報が必要ですか。

○小野委員 レスピラブルになり得るかどうかです。あとは、もしCNTの屑というか、単独ではなくても数本ぐらいの凝集体として、何か投入とか、ちょっとした物理的な作業で出るのか出ないのか。というか、そうでなければ、使う業者さんに単独品が出るかどうかを毎回確認しなさいというのは、少し厳しいかなと思うのです。

○菅野座長 今のところ2については、空気動力学的な粒径を御確認いただければということ。

○角田化学物質評価室長 そうですね。ちょっと把握できるかというのはあるのですが、そこはまた別途、事業者の方に確認はしたいと思います。

○菅野座長 だから、どのぐらい壊れるかということですかね。

○小野委員 多分、大丈夫とは思うのですが、一応そういう確認をなさったことがあるかどうかということだけでもいいと思います。

○角田化学物質評価室長 分かりました。

○菅野座長 では、3は除外可能ということで、2はもう少しデータを頂いてからということにしたいと思います。それでは、CNTについてはこれでよろしいでしょうか。長い時間がかかってしまって申し訳ありませんでした。最後に、その他の項目について御説明をお願いします。

○北村化学物質情報管理官 今後の予定については、1225日に予備日を設けていましたが、年内は今回が最後ということにしまして、また、年明けに日程調整をさせていただきたいと思います。

 それから三酸化二アンチモンの現地調査については、事業者団体様と調整させていただいておりまして、そちらについても年明けになろうかと思います。先生方と御相談させていただいて、どの先生に御参加いただくかなど、それも含めて御相談させていただきたいと思います。事務局からは以上です。

○菅野座長 ありがとうございました。それでは、時間がかなり超過しましたが、これでおしまいにしたいと思います。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働基準局が実施する検討会等> 平成27年度化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会> 第6回化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会(2015年12月14日)

ページの先頭へ戻る