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2015年5月29日 薬事・食品衛生審議会 要指導・一般用医薬品部会 議事録

○日時

平成27年5月29日(水)14:00~


○場所

航空会館501+502会議室


○出席者

出席委員(14名)五十音順

 阿 曽 幸 男、 乾   英 夫、 生 出 泉太郎、 神 田 敏 子、
 新 保 卓 郎、 鈴 木 邦 彦、 多 田 弥 生、○西 澤 良 記、
◎橋 田   充、 福 島 紀 子、 藤 原 英 憲、 村 島 温 子、
 望 月 眞 弓、 吉 山 友 二
(注) ◎部会長 ○部会長代理
他参考人1名

欠席委員(5名)五十音順

五十嵐   隆、 金 澤   實、 川 原 信 夫、 寺 崎 浩 子、
平 石 秀 幸

行政機関出席者

神 田 裕 二 (医薬食品局長)
成 田 昌 稔 (大臣官房審議官)
森   和 彦 (審査管理課長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
俵 木 登美子 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
 他

○議事

 

○審査管理課長 定刻より少し早いですが、ただ今から、「薬事・食品衛生審議会要指導・一般用医薬品部会」を開催させていただきます。委員の先生方におかれましては、本日、足下の悪い中、また大変お忙しい中、御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。

 はじめに、当部会は、本年1月の薬事・食品衛生審議会の委員の改選がございまして、新しく委員の任命が行われております。つきましては、お手元に「要指導・一般用医薬品部会の名簿」の1枚紙がございます。これに基づきまして委員の先生方を御紹介申し上げます。名簿の順番で読み上げさせていただきます。よろしくお願いします。まず、阿曽幸男委員、本日御欠席ですが五十嵐隆委員、乾英夫委員、生出泉太郎委員、本日御欠席ですが金澤實委員、やはり御欠席ですが川原信夫委員、神田敏子委員、新しく委員に御就任いただきました新保卓郎委員、鈴木邦彦委員、学会の所用で遅れていらっしゃると連絡を頂いておりますが、新しく多田弥生委員に就任いただいております。後ほど到着されると思います。本日は御欠席ですが寺崎浩子委員、西澤良記委員、橋田充委員、本日御欠席ですが平石秀幸委員、福島紀子委員、藤原英憲委員、村島温子委員、望月眞弓委員、吉山友二委員。

 なお、この要指導・一般用医薬品部会の部会長につきましては、本年1月26日に開催されました薬事分科会において、橋田充委員が部会長として選出されていますので、御報告申し上げます。更に、薬事・食品衛生審議会令第7条第5項の規定に基づきまして、「部会に属する委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理する」とされていまして、部会長代理につきましては、部会長から御指名を頂くことになっております。橋田部会長、よろしくお願いいたします。

○橋田部会長 橋田でございます。引き続いて部会長を務めさせていただくことになりました。どうぞよろしくお願い申し上げます。部会長代理でございますけれども、非常に御多用なところで申し訳ないのですけれども、引き続き、西澤良記委員にお願いしたいと思っております。よろしゅうございますか。では、よろしくお願い申し上げます。

○審査管理課長 よろしくお願いします。それでは、西澤委員は部会長代理席に御移動をお願いいたします。現時点で、当部会の委員19名のうち13名が御出席ということでして、定足数に達していることを御報告いたします。また、本日、審議事項、議題1「ロキソニンSパップ」他2品目、議題2「ロキソニンSゲル」につきまして、参考人として日本整形外科学会の新井貞男先生に御出席を頂いておりますことを御紹介いたします。

 また、本年4月以降、医薬品医療機器総合機構におきまして、幹部の人事異動がございましたので御紹介いたします。独立行政法人医薬品医療機器総合機構・審査マネジメント部部長の中山ですが、所用により欠席でございます。申し訳ありません。

 続きまして、本日の議題の公開・非公開の取扱いについて御説明いたします。平成13年1月23日付けの薬事・食品衛生審議会決議に基づきまして、報告事項の議題1については公開で行いたいと思います。それでは、橋田部会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。

○橋田部会長 それでは、まず、事務局から配布資料の確認をお願いします。

○事務局 資料の確認をします。配布資料として、議事次第、座席表、委員名簿、競合品目・競合企業リスト、専門協議委員名簿、当日配布資料として1~5を机の上に御用意しています。まず、非公開の案件については、当日配布資料1「薬事分科会審議参加規程・運用等の一部改正について」、当日配布資料2として、ロキソニンの貼付剤の添付文書とパッケージ修正()、当日配布資料3として、ロキソニンのゲル剤の添付文書とパッケージ修正()です。公開案件の方でございます。当日配布資料4「一般用医薬品の地域医療における役割と国際動向に関する研究報告」について、当日配布資料5「スイッチ成分の評価システムの検討について」、これは1枚紙になっています。資料No.1~3については、事前にお送りした資料です。過不足等がありましたらお知らせいただければと思います。

○橋田部会長 特に不足等はありませんか。よろしいですか。それでは、審議に入る前に、薬事分科会審議参加規程・運用等が一部改正されていますので、その内容について事務局から説明をお願いします。

○事務局 当日配布資料1を御用意ください。少しお時間を頂いて御説明します。薬事分科会の審議参加規程については、薬事分科会審議参加規程の第19条において、独立した評価委員会を設置し、運用状況の評価及び必要な改善方策を検討することが定められています。昨年度、この評価委員会を2回開催して、規程の改定等について、こちらの当日配布資料1の2ページの(別添1)に、意見がまとめられています。これを踏まえて、3月に開催した薬事分科会において審議参加規程及び確認事項が改正されたところです。既に、委員の先生方には文書で改正についてお知らせしています。

 一つ目の規定の第12条関係についてです。従来、審議品目については、部会の前に寄附金等の受領について申告を頂いていますが、その申告の範囲には家族も含まれています。この家族というのは配偶者及び一親等の者、つまり両親及び子供であって、委員と本人と生計を一にするものを言うと定められています。今回、この「生計を一にするもの」という範囲について明確にしました。具体的には、確認事項、資料4ページの第12条関係に記載しています。以下のいずれの場合も、「生計を一にするもの」とみなすと書いていますが、一つ目としては、家族が同一の家屋に起居している場合。これは生計を一にする者として寄附金等の申告の対象にするということです。もう一つは、勤務、修学、療養等の都合上、他の家族と日常の起居を共にしていない家族がいる場合であっても、次に掲げる場合に該当するときは対象の範囲に含めるということです。これは所得税法の基本通達を準用しているもので、先生方の通常の同一生計のお考えと齟齬はないかと思っています。

 続いて、3ページに戻ります。3ページの下の方ですが、第8条の関係です。「特別の利害関係を有する委員等」について、その対象となる家族の範囲を明確にしました。具体的には、家族が関係企業の役職員(常勤職員)に該当する場合には、退室の扱いとする。先生方の御家族の1親等内の方で生計を一にする方が製薬企業の常勤の役職員である場合、当該企業の審議品目の間は退室していただくということを明確にしたものです。

 戻って2ページの別添1の4番目になります。今回は、既に申告から変更させていただいていますが、委員からの申告の際に、寄附金等の受領額が最も多い年度を記載していただくこととして、運用の更なる適正化を図ることとしています。具体的には、本資料の5ページにFAX回答表の例を載せています。議題1の企業名の所の横に、「受取有り」の場合、年度のチェック欄を付けています。申告対象の3年度のうち最も受領額が多い年度についてチェックを入れて、先生方に申告を頂いて、また、その年度の額を具体的に申告していただくという形にしています。例えば、今年度では、平成27年度、平成26年度、平成25年度の寄附金等の額を申告していただくことになるのですが、3年度分の中で、例えば、平成26年度の400万円が一番多いということであった場合、平成26年度にチェックを頂いて、その上で「50万円超~500万円以下」の欄にチェックしていただくという形で申告を頂くことにしています。仮に、平成25年度、平成26年度の受領額が全く同じ場合の申告方法に関しては、より新しい方の年度を、例えば、平成25年度と平成26年度であれば平成26年度にチェックを頂ければと考えています。

 3ページに戻ります。第16条の関係です。真ん中辺りです。これまで、先生方が500万円以上もらっている場合であっても特例的な参加の規程があったということです。この参加規程は平成21年から運用していますが、この特例的な扱いは今まで一度も使ったことがない規程です。そういう観点から、少し範囲を限定してもよいのではないかということで、具体的には新旧対照表の新の所になりますが、特例的に扱いが認められるのは、500万円を超える場合であっても「当該委員等の発言が特に必要であると分科会等が認めたときは、当該委員等は審議に参加することができる」という規程に限定しています。50万円から500万円をもらっていて、その先生が、正に自分が議決に参加したいということもこれまで特例的に認めることができたということなのですが、そういう事例が実際になかったということもあるので、規程の方から削除したというものです。

 続いて、大変恐縮ですが、1ページの改正内容の()です。現在、製薬企業において、透明性のあるガイドライン等を定めて寄附金等の自主的な公表が進んでいます。これに関して、先生方の申告情報を付き合わせる形で活用する仕組みを試行的に導入しています。具体的な手続としては、既に先生方に御意向の確認をしていますが、一部個人情報を扱うということもあるので、企業側が厚生労働省に寄附金等の額を知らせることについて、先生方から了解を頂くという形を取っています。流れとしてはこちらの2番目です。従来どおり、事務局に寄附金等に関する申告書を先生方から提出していただきます。ただし、企業側への確認という作業を考慮して、部会の開催前の1週間頃までの提出を依頼することになるかと思っています。御協力をお願いします。次に3番目です。事務局から審議品目の製造販売業者に対して申告内容を送付して、万一、委員から申告された内容が公表情報に照らして過小であると明らかになった場合には、事務局を通じて委員の先生方に、その旨をお知らせしたいと思っています。その場合には、改めて先生方に内容を確認いただきたいと考えています。

 例えば、寄附金等の額について、製薬企業が把握している情報が先生方に届いている額と必ずしもマッチしない場合があります。具体的には、大学側や所属機関が間接経費を取っているようなケースとか、企業が渡した額と実際に先生の所に行った額がずれるケースがあります。そういうところで、必ずしも企業情報と一致するものではない可能性があるということで、まずは試行的な導入という形を取らせていただき、また、その運用状況を見ながら本格的に導入するという検討をしたいと考えています。少し長くなりましたが説明は以上です。

○橋田部会長 ありがとうございました。ただ今の事務局からの説明に何か御質問等ありますでしょうか。よろしいですか。薬事分科会の審議参加規程、またその運用がこういう形で改正されたという御説明です。どうぞよろしくお願いします。

 それでは、本日の議題に入ります。まず、事務局から、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告をお願いします。

○事務局 事務局です。本日の審議品目に係る競合品目・競合企業リストを御覧ください。競合品目、競合企業及びその選定理由について御説明します。

 「ロキソニンSパップ他2品目」、「ロキソニンSゲル」は関節痛、筋肉痛等を効能・効果とする外用剤です。同様の効能・効果を有する製剤については、資料に掲げるとおり競合品目として選定しています。以上です。

○橋田部会長 ただ今の事務局からの説明について御意見等はありますでしょうか。よろしいですか。それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては委員の皆様の御了解を得たものといたします。

 それでは、各委員からの申し出状況について報告をお願いします。

○事務局 「ロキソニンSパップ他2品目」、「ロキソニンSゲル」については、退室委員、議決に参加できない委員はいらっしゃいません。なお、本日の審議事項の申請品目については、先ほど御説明しましたとおり、寄附金、契約金等の申告に係る運用の見直しに沿って、あらかじめ御同意を頂いた先生については、寄附金等の状況を申請企業にも確認いたしましたことを申し添えます。以上です。

○橋田部会長 ただ今の事務局からの説明ですが、何か特段の御意見等はありますでしょうか。よろしいですか。では、ありがとうございました。

 それでは、今から議題に入りたいと思います。まず、「審議事項」議題1「医薬品ロキソニンSパップ」、「ロキソニンSテープ」、「ロキソニンSテープL」の要指導医薬品の指定の要否、製造販売承認の可否についてですが、議題2の「医薬品ロキソニンSゲル」と医療用医薬品から移行した有効成分、及び投与経路が同一となりますので、併せて説明いただくことにしたいと思います。よろしいですか。それでは、機構から両品目について説明をお願いします。

○機構 機構の一般医薬等審査部です。資料1が「パップ剤」、「テープ剤」、資料2が「ゲル剤」となっています。審査報告書はほとんど同じですので、資料1のパップ剤、テープ剤の審査報告書に沿って御説明します。

 資料1、最初の審査報告書のタグです。1ページの審査報告です。それでは御説明します。申請品目はここに書いてあるとおりです。効能・効果はゲル剤も同じです。用法・用量については、ゲル剤は1日3~4回、適量を患部に塗擦することになっています。

 2ページになります。ロキソプロフェンナトリウムの経口剤は既にOTCとしてスイッチされていて、現在は第1類医薬品として販売されています。また、医療用の外用剤については、平成18年にパップ剤が承認され、次いでテープ剤、ゲル剤が承認され、昨年、再審査結果が通知されています。本剤は、この外用剤をOTCにスイッチするというものです。本剤をOTCとして開発する意義について、申請者はここに書いているとおり述べています。掻い摘んで要点を御説明します。痛みという自覚症状が比較的はっきりしており、使用者自らが適用部位を特定できるということ、同一成分の経口剤が既に効能・効果を発揮していること、複数の剤形が存在することにより、使用者の利便性や、あるいは薬物治療上有意義であるということ、使用者のライフスタイルに合わせた新たな選択肢を提供し、QOLの向上に寄与することができることを挙げています。

 次に、医療用製剤の製造販売後調査における有効性、安全性です。副作用の発現率はおおむね3%程度で、そのほとんどが薬剤貼付部位に発現したもので重篤なものはありませんでした。ただ、高齢者で副作用発現率が高かったということから、高齢者に対する注意喚起を行っています。また、光線過敏性反応が12件認められています。こちらについては、後ほど御説明します。有効性については90%以上の有効率が得られています。

 4ページ、海外での使用状況です。ロキソプロフェンを含有する外用剤は海外では発売されていません。

続いて提出された資料です。本剤は医療用の製剤と同一ですので、ロ~ヘについては、全て医療用の申請時、あるいはその後の一部変更承認申請時の試験成績が資料として提出されています。

 5ページ、臨床試験です。こちらも新たな治験は行われておらず、申請時及び再審査申請時の資料が提出されています。

 6ページ、医療用パップ剤の第 II 相、第 III 相試験の臨床試験をまとめたものです。右から二つ目のカラムに「改善率」という項目がありますが、ロキソニンのパップ剤は65%から98%の改善率を示しています。

 7ページの安全性です。1,075例中副作用が91例、そのうち53例が貼付部位における皮膚関係の局所的なもので重篤な副作用は認められていません。また、テープ剤とゲル剤については、医療用申請時に生物学的同等性が示されていて、これらの剤形についても特に問題となる副作用は報告されていません。

 「審査の概略」を説明します。まず、規格及び試験方法、安定性については特段問題がないと判断しています。

 「有効性について」です。本剤は自覚症状がはっきりして使用者の判断で使用できるというところから医療用の製剤としての有効性が確認されていることをもって本剤の有効性は示されていると考えています。テープ剤、ゲル剤についても、先ほど申し上げたようにパップ剤との生物学的同等性が確認されているので、同様に有効性は示されていると考えます。

 「安全性について」です。先ほどお話しました光線過敏性反応の副作用が集積していることに関してですが、全て発現部位が貼付部位のみで、重篤なものはなく、また確定診断されている症状もないことから、再審査においても、使用上の注意等の改訂等の対応は不要だと判断されています。これを踏まえて、機構としても、要指導・一般用医薬品として現時点では特段の問題はないと考えています。

 9ページ、「適正使用」についてです。貼付剤の適正使用の観点から、包装単位及び1回当たりの使用量を規定する必要がないかを申請者に検討を求めました。申請者は、100mgパップ剤4~8枚程度で安全性が確認されているということ、また、血中濃度の観点から、パップ剤でのAUCは経口剤でのAUCに比べてロキソプロフェンで7.2%、代謝物のヒドロキシ体でも約10%程度であり、非常に吸収が少ないことから枚数制限をする必要がないと回答しています。しかしながら、機構としては、大量貼付によって血中濃度が高くなる可能性が否定できないこと、同種同効薬で大量貼付による副作用が報告されていることから、審査管理課と共に申請者と検討を行い、審査報告書には書いていませんが、包装単位と1日量を規定することにしました。具体的に申しますと、パップ剤とテープ剤Lについては一箱7枚で1日2枚まで、テープ剤でLの付いていないものはサイズが半分ですので、一箱が14枚で1日4枚まで、ゲル剤については、1本当たり25g、1回当たり、チューブから出して8cm程度(おおむね2.4gぐらい)としました。当日配布資料2と3で、それぞれテープ剤、パップ剤とゲル剤の添付文書の改訂()が出ていますが、そちらの方には既に今説明したことは反映されています。

 「使用上の注意」についてです。同種同効薬のNSAIDsの外用剤については、「してはいけないこと」に「妊婦」が記載されています。しかしながら、既に承認されている一般用のロキソプロフェン(LOX)の経口剤では、出産予定日12週以内の妊婦が「してはいけないこと」となっていて、「相談すること」に「妊婦」が記載されています。この点について、申請者の方から経口剤に合わせたいという申入れがありました。血中濃度の観点から、パップ剤100mgのピーク時の血漿中濃度は経口剤のピーク時の血漿中濃度と比べ、ロキソプロフェンの濃度が約200分の1以下であるという説明があり、それを受けて、機構は、本剤の妊婦及び胎児に関する情報が少ない状況ではありますが、「妊婦」を「相談すること」の所に記載するという申請者案を了承しました。しかし、妊娠中の大量貼付による副作用が報告されていることを踏まえて、過量投与等を避け、適正使用をするための対策が十分になされることが重要であると考えています。

12ページです。以上を踏まえて、総合評価です。審査の結果、以下の効能・効果、用法・用量において本剤を承認して差し支えないと判断しました。ゲル剤の用法・用量については、1日3~4回、患部に適量を塗擦するとなっています。なお、本剤の有効性、安全性を担保するためには適正使用が重要であり、チェックシートによる確認、及び情報提供が必要であることから、まず、要指導医薬品として適正に使用されることが確認されたことをもって一般用医薬品としての販売可否を検討する必要があると考え、以下に示しますような承認条件(承認後、少なくとも3年間の安全性等に関する製造販売後調査を実施することという条件)を付すことが適当であると判断をしました。説明は以上です。なお、通常、お手元に製品のサンプルをお配りしているのですが、今回はサンプルが間に合わなかったので、当日配布資料2と3にパッケージの写真等がありますので、そちらの方を御参考にしていただければと思います。以上です。よろしく御審議のほどお願いします。

○橋田部会長 ありがとうございました。ただ今の内容に関して、御質問御意見等がありましたらお願いいたします。参考人の新井先生には、御質問がありましたら、御専門の立場からお答えいただくということでお願いしたいと思います。

○神田委員 用法・用量の所でもよろしいでしょうか。今日配布されているのを今、見たところですが、御説明のあった8cmとか2枚とかと書かれていると思います。これを見ましても、使う側からすると、どう使ったらいいのかなというのが伝わりにくいところがあるので、お聞きしたいと思います。どちらも同じなのですが、一つは、「1日当たり2枚以上貼ってはいけない」、これは1日1回に2枚で、身体のどこか痛い所に2箇所しか貼ってはいけないという意味ですよね。そうしますと、これは現物がないので分からないのですが、非常に重要な情報だと思います。というのも、効能・効果については、いろいろ書かれていまして、筋肉痛とか腰痛、打撲、捻挫、こういうことを考えますと、これが同時に起きる可能性は非常に多いわけです。私も先日、転んだのですが、手首は痛める、筋肉痛にはなる、腰も痛いということで、そうしたときに2枚ということであれば、非常に重要な情報だと思いますので、それはどのような所にきちんと表示されるのか、細かい所ではなく表示してほしいと思います。

 それからもう一つ、ゲルの方ですが、1回当たり8cmくらいだという御報告がありまして、1週間に50gを超えた量を使ってはいけないと。1製剤単位が25gとおっしゃいましたか、そうすると、それは1週間に2本以上使ってはいけないということですよね、そうですよね。そうすると、ただ、8cmというセンチの単位とグラムというのが一緒になっていまして、8cmは何gぐらいなのかなと思ったり、あるいは50gは一体何cmぐらいなのかなとか思いました。例えば使いかけて終わりにした場合に困るのではないかなと思ったのです。1本を全部使いきってしまえばいいのですが、そういうものがちょっと現物がないので、どの程度の大きさのものなのかが分からないのでお聞きしているのですが、これも使いかけをおいといてまたあとで使う場合に、ちょっとその単位がよく分からないなと思いました。

 それからもう一つ、パップ、テープ及びゲルの両方ですが、添付文書の「してはならない」という所に、「連続して2週間以上使用しないで下さい」と書いてあります。「相談すること」の所には、「5~6日間使用しても症状がよくならない場合は~相談して下さい」となっています。この両方を見ますと、ちょっと分からなくなってしまって、2週間以内なら扱い続けてもいいのかなというような受け取り方もできるのではないかなと思ったのです。この辺の整合性と、使う側が間違えないように使えるような表示をしていただきたいと思いました。

○橋田部会長 事務局からお答えいただけますか。

○機構 まず最初の質問についてです。1日2枚までという所は、当日配布資料2の添付文書を見ていただきたいのですが、2ページの「用法・用量に関連する注意」という項目がありまして、 ()に、「1日あたり2枚を超えて使用しないで下さい」と書いてあります。

○神田委員 それは分かります

○機構 これについては、患者向けの説明文書にも反映させていただき、十分に注意喚起をしていきたいと思います。

 また、ゲル剤の1回8cmということについてですが、当日配布資料3の用法・用量の所には、確かに先生のおっしゃるとおり1回あたり8cm、1週間あたり50gと、違う単位で書いてあるのがちょっと分かりにくくて、大体1cm0.3gぐらいに相当します。

○神田委員 1cmですか。

○機構 1cm0.3gなので、8cmでは2.4gになります。その目安は、患者向け説明文書にきちんと記載させていただいて、分かりやすく説明をさせていただいています。

 あと、先ほど言った「2週間以上使用しないで下さい」というのと、「5~6日間使用しても症状がよくならない場合は~」ということですけれども、こちらの症状がよくならない場合というのは、使っても治らない場合は、すぐに医師又は薬剤師に相談をしてほしいと。こちらの2週間以上使用しないで下さいというのは、効果があったとしても2週間で治らないというのは、やはりOTCとしては対応できないのではないかということです。効果があったとしても2週間以上は使わないでいただきたいということで、こちらは効果があってもということで、5~6日の場合は効果がない場合ですので、そこは意味合いがちょっと違う記載になっています。

○橋田部会長 今のお答えでよろしいですか。もしも御追加がありましたら。

○神田委員 最後のところからいきますと、それはそうなのですが、受け取る側は非常に分かりにくいと思ったのです。効果がなくても貼り続ける場合がありますので、それはしてはいけないということで、次の「相談すること」の所に書かれているという趣旨は分かるのですが、こうしたものは、やはり使う側にしっかりとその辺の趣旨が伝わらないといけないと思いますので、例えば単語をもう1個ずつ増やすとか、そうした形でしっかり伝わるようにしてほしいと思います。

 それから「2枚」の件ですが、確かに今日頂いた資料には書いてありますけれども、そんな形で書かれるわけですよね。これって全然見えないですし、もちろんそれは使う側の自己責任だと言われたらしょうがないですが、そういうものではなく、やはり提供する側がしっかり伝えなければならないことは、こういう「ロキソニンテープ」などはこんな大きく書いてあるわけですから、このすき間の所にでも、しっかりと書くべき情報だと思います。それは先ほど申しましたように、「2枚」というのは、いかにも少ないわけです。打撲とか何かをしたときには4枚ぐらい肩や腰に貼りたい。普通の湿布は、そのように貼っているのが私たちの日常だと思います。そうしたところに2枚という形で限定的に使っていいということであれば、それは今まで使っているパターンでこれを使っていいのでしたらそんな小さいのでもいいのですが、それはまた違う指摘なので、それはどこかにきちんと分かるように書くべきだと思います。書かれているよということの説明は分かりましたが。

 それから、グラム()の所も、そういうことでは分かったのですが、全体的にお願いしたいことは、そういう使う人の側の目線で、間違えないように、あるいは正確に、あるいは無駄になったり使い過ぎにつながらないような表現をしていただきたいと思っていますので、そういう改善をしていただきたいと思います。

○生出委員 今、神田委員からのお話を聞いて、これはまだ認められたわけではないのですが、認められれば大型の要指導医薬品となるので、正に薬剤師が店頭でどのように説明して患者さんに納得していただいて確認を取るかが重要になってくると思います。日本薬剤師会としては、きちんと会員に、もちろん医療用医薬品ということで経験が豊富にあるわけですから、それを基に生活者の方々に、今、神田さんが疑問に思っているようなことをきちんと説明できるような対応をしていかなければならないと思っています。

○機構 先生、ありがとうございました。先ほど神田委員から御指摘がありました所につきまして、より患者の目線で、患者に分かりやすいような表記、記載にするように検討していきたいと思います。

○橋田部会長 要指導医薬品、一般用医薬品ですので、できるだけ使う方にとって使いやすいものにする。でも一方で、安全性を十分担保するという、その両方のバランスでいろいろ御判断いただいていると思います。

○神田委員 それで、薬剤師からしっかりと説明をしていただくということは、安心しましたけれども、ただ、買ってくるお薬とか、こういうものは、一旦買ってきますと、買うときには説明を受けても、家庭の中にあって違う機会のときに使うことが多いということです。つまりはこういうお薬なのですね。お医者さんからもらってきたものではない、何となくそういう使い方がされている現状を前提にして説明なり表示なりをしていただきたいと思います。

○橋田部会長 添付文書の方は、そういう意味では正に使う人側の視点と言いますか、そういう立場からよく分かるような形で、できるだけ表現を考えていただく必要があるということです。この点につきましては、もう一度、少し事務局で再度検討ということにさせていただきたいと思います。

○機構 使用者向けの情報提供の資材も御用意させていただいていますので、販売するときにはそれを患者さんに渡していただいて、薬剤師の方から御説明していただくことになります。この内容についても先生の御指摘を受けて、もう少し患者目線で分かりやすいものにしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

○機構 重複ですが、今、神田先生、生出先生から御指摘いただいた点を踏まえて添付文書で反映すべきところ、ただ、添文については面積と言いますか、制限が非常にあるところで、いかに情報提供をするかというところもありますので、そこは工夫させていただきたいと思います。それが1点です。

 それから、実際にそのほかに、今日も部会の資料の後ろの方に、患者、使用者向け情報提供資料というタグがありますけれども、その部分でちょっと写真等が未完成で、今日積極的に御紹介するのがどうかと、ちょっと迷うところもあるのですが、再度こういう形で添文で情報提供が不十分なところは、今の先生方の御指摘を踏まえて内容を盛り込むということと、それから薬剤師の方々向けに製品の解説書がその前にありますので、こういうのはメディアを使って更に適正使用を図っていきたいと思っています。

○鈴木委員 1日2枚までという、その根拠を教えていただけますでしょうか。この文書を見ると、いわゆる最大投与量のようなものなのでしょうけれど、経口に比べて、生物学的利用率は10%程度だそうですから、10枚貼ったら1錠飲むのと同じぐらいの濃度なのでしょうか。どういう意味で2枚なのかを教えていただけますか。

○機構 まず、パップ・テープ剤の方ですけれども、医療用の方で先ほど説明しましたように、パップ100mg4枚での安全性は確認されています。本品は医師が関与しない一般用医薬品として使われるので安全性を考慮して、その半分の量として、パップ及びテープのLについては1日あたり2枚とさせていただきました。

 ゲル剤については、医療用パップの100mgとゲルの1%が生物学的に同等であるということが示されています。パップ・テープの1日2枚というのが、ゲル20gに相当します。安全性を考慮して、一日量を更にその半分の10gとし、ゲル剤は1日4回ですので、1回当たり2.5g程度となります。それがチューブを出すときの長さにすれば8cm程度になります。

○橋田部会長 よろしいでしょうか。安全性の面から、吸収率が投与量の10%というような話も出ましたけれど、そういう観点と、それから医療用との比較において、最大投与量を半分になるようにするというような御説明でした。

○藤原委員 一つは先ほどの神田先生のお話ではないのですが、ロキソニンのパップもゲルもそうなのですが、本剤を使用している間は他の外用の鎮痛消炎剤を使用しないで下さいと書かれています。これが一般の方には分かるかなということです。これはよく考えれば分かることだとは思うのですが、どうしてもゲルを塗っておいて、貼るタイプのパップを医療の中で使われたりする場合もあるようですので、その辺もちょっと心配な文言かと思います。

 それと、もう一つは、新井先生にお聞きしたいのですが、ゲルでも「かぶれ」とかは多少あるかと思うのですが、ゲルは基剤としてアルコールを使用していることから、アルコールに対して過敏性のある方がかぶれるという状況は実際にあるのでしょうか。

○新井参考人 それは普通のアルコール消毒でもかぶれますので、あると思います。ただ、テープ剤とゲル剤とを比較すれば、テープ剤の方が遙かに多いです。ゲル剤でかぶれることは少なくて、むしろテープ剤を使っている人がかぶれてゲル剤に変えてほしいと言って来ることの方が多いです。

○藤原委員 薬剤師が選択するときには、アルコールに過敏な方に対してはゲルを選択しても、パップ剤に変えるとかいう方向で考えたいと思いますが、一般の方には何かそういう文言が少し入ってもいいかなと。ゲルを使うときの注意点として、アルコールの消毒液等にかぶれやすい人は注意するとか、何か少し入れておいたらどうかなと思いました。

○橋田部会長 添付文書と販売店向けの資料ですが、それぞれ説明が必要であれば追加させていただくことにしたいと思っています。

○新井参考人 参考人です。販売店向け資材8ページの光線過敏症に関して、私はロキソニンのテープ剤に関しては経験がないのですが、日本整形外科学会の理事会で光線過敏症に関しては注意してほしいという意見がありまして、この文書には、あまり問題はないというような形で書いてあるのですが、実際にはどうも問題があるケースもあるみたいなので、私はちょっと軽く言っていいのかなという気がします。

○橋田部会長 事務局、いかがですか。

○機構 光線過敏症につきましては、先ほど申しましたように、今回報告されたものについては、貼付部位に限定しているとか、確定診断されていないとかというものだったのですが、ほとんどテープ剤で認められていまして、そうしたことも踏まえて、製造販売後調査では、剤形別に副作用の状況等も見て、もし必要があれば適切な安全対策等の措置を講じていきたいと思っています。

○新井参考人 専門ではないので分からないのですが、ロキソプロフェンとか、ケトプロフェンというようなフェンが付くタイプのテープ剤に関しては、ほとんど光線過敏症があるものだというように考えてほしいと、指摘を受けたのですが。

○機構 安全部とも情報共有して、注視したいと思います。

○橋田部会長 その辺りも盛り込んだ形で添付資料等々、検討いただくということにしたいと思いますが、事務局は、それでよろしいでしょうか。

○審査管理課長 今の御指摘ですが、ケトプロフェンを使った外用剤では光線過敏症が多いということはよく知られているお話でありまして、恐らく非常に汎用されているものですので、それがかなり印象が強いかと考えています。ただ、同じ構造、類似性のあるような他の成分を使っているものについても光線過敏症の発生状況はどうであるかということについては、安全対策部門の方でも、継続的に注視しているところですので、御指摘の点は私どもの方もしっかり見守っていきたいと考えているところです。現時点では、まだロキソプロフェンの製剤で光線過敏症について注意喚起をという必要性の高い状況では必ずしもないというように認識はしていますが、今日、御指摘がありましたので、入念に安全対策部門の方にも、また確認をしまして、本当にそのようなシグナルが挙がってきているような様子がなければ、しばらく注意深く見守るということにいたしますし、もし、最近の状況でロキソプロフェンを使っている製剤、外用剤等で光線過敏症についての報告の件数がそれなりにあるようでしたら、それを踏まえて医療用も一般用も対応することになると思いますので、これについては御指摘を受けてしっかり対応したいと考えています。

 丁度、皮膚科の多田先生がいらっしゃいましたので。

○多田委員 ケトプロフェンの方が光線過敏があるということで、ロキソプロフェンはどうかということですので、国内外の文献等を一応探してみたのです。今のところ明らかな光線過敏についてロキソプロフェンで誘発されたという報告はなくて、むしろモルモットを使った実験で、ケトプロフェンの光線過敏のシステムを明らかにするために、陰性コントロールとしてロキソプロフェンを使うという文献が一つ見つかりました。もちろん否定はできないですけれども、今のところは、そういう明らかな報告はないようです。

○橋田部会長 ただ今の点はよろしいでしょうか。ほかに御質問、御意見等がありましたらお願いいたします。

○新保委員 添付文書ですが、「用法・用量に関連する注意」の所で「15歳未満の小児は使用しないで下さい」と書かれています。これは使い方というよりは、対象の患者さんに関する言及なので、何かもう少し添付文書の早いところで書かれていてもいいようなことなのではないかなという気がします。同じような内容で言えば、「してはいけないこと」という所で対象の患者さんに関して記載されているので、そこで書かれてもいいようなことなのかなという気がちょっとしたのですが、その辺がどうかということです。

 ほかの同種同効薬を見ると、申請資料概要のイ-16ページで、フェイタスとかバンテリンとか、パテックスとかでは、「してはいけない」という所に、15歳未満の小児というのが入っています。このロキソニンだけ、これを外す理由は何かあるのかなと思ったのです。

○機構 「してはいけないこと」という所は、安全性の観点から、こういう人には投与しないで下さいということを注意喚起している所で、今回15歳未満の人が使ったら特に危ないとか、副作用が出やすいとかそういうわけではなくて、対象として15歳未満の人は使用しないでくださいということですので、「用法・用量に関連する注意」というところに記載させていただいています。

○審査管理課長 ちょっと理由としては、今のようなことを考えているということは御説明としてあるのですが、ただ、他の製品の記載との整合性ということの御指摘も、これもまた極めてもっともな御指摘ですので、整合性の観点で整えることも考えられると思います。おっしゃるとおりですので整理させていただきます。ここは多分「してはいけないこと」の方に揃えるというのも一つの整理の仕方だと思いますので、御指摘を踏まえて対応させていただきます。

○乾委員 乾です。実際に発売された場合の包装で、用量というか、枚数をちょっとよく探せなくて、7枚入りだけですか。

○機構 テープの小さいサイズは、14枚です。

○乾委員 それだけですか、ここに書いてある。それと、25gのゲルということでよろしいですか。

 そのテープとかパップの膏体と言いますか、材質は医療用と全く同じものですか。それとも一般用で。

○機構 医療用と全く同じです。

○乾委員 分かりました、ありがとうございます。

○望月委員 添付文書や使用者向けあるいは薬局販売店向けの情報提供資料について、幾つかの御指摘があったのですが、今回、外用製剤ということもあって、使用者向けとか、薬局販売店向けの情報提供資料の中身があまり充実していない感じの印象を強くもちました。まず、添付文書についてです。先ほど添付文書は限られた紙面で情報量もあまり盛り込めないという説明がありましたが、確か添付文書の記載要領が一部改定になったときに、「してはいけないこと」の項目については括弧書きで、その理由等を、なぜそれをやってはいけないのかをできるだけ記述するというようになったかと思うのです。今回例えば、「次の部位には使用しないでください」という所には、確かに使用してはいけない部位は書かれているのですが、どうしてなのかというようなことは書かれていませんし、使用してはいけない対象になる方々の所は、一応副作用が起こりやすくなると書いてあります。もし書けるのでしたら、こういうところに書いていただくか、もしくは先ほど来、使用者向けの情報提供資料を充実させるというお話もありましたので、それであれば使用者向けの情報提供資料において、なぜそういう注意をしなければいけないのかということを、もう少し明確に分かるような記述にしていただいた方がいいかと思います。

 先ほど神田委員が御心配されていた、連続して2週間以上使用しないことの意味と、5、6日使用しても症状が変わらなかったり悪化するようであれば受診しなければならない等々の意味合いの違いというのも、丁寧に、使用者向け資料の中で御説明いただいたり、1日に2枚以上ということもほとんど説明されていませんので、もう少し丁寧に説明していただくことが必要かなと思います。

 使用者向けは今指摘させていただいた通りですが、薬局販売店向けも情報が、非常に何か申し訳程度の情報内容になっているところも多く、「15歳未満の小児は使用しないで下さい」ということについても、先ほど審査の立場の方から説明があったようなことを御理解いただいた上で、これを販売していただくことが大切かと思いますので、そうした面もこの販売者向けの資材の中に入れていただくことも必要かと思います。外用剤ですが、使用量に制限があるところは、いろいろな薬物動態等を踏まえて、かなりいろいろな考察をされた上で、ここに落とし込んだということは、審査報告書を読ませていただいてきちんと理解はできるのですが、恐らく販売店の方々が審査報告書まで遡るかどうかというと、そこまでいかない可能性もありますので、せっかくこういう資材をお作りになられるのであれば、ここにそうしたことをきちんと理解した上で、この注意はこういう意味合いがあってこうなのだということを、販売者が情報提供できるように工夫をしていただけると有り難いと思います。

○機構 ありがとうございます。先生の御指摘を踏まえて、使用者向け説明文書の内容を検討して、使用者に分かりやすく、また、販売店向け説明文書の方は、より情報提供しやすい内容にしたいと思います。

○新井参考人 湿布ですけれど、一つには薬効成分が入っている湿布と、従来というか、入ってない湿布があるわけですが、患者さんは湿布は害がないと思っているのです。かぶれる以外は害がないと思っていますので、大量に使います。今日も午前中に外来をやってきましたけれども、患者と喧嘩をしました。出せるだけ出してくれと。それはどうしてかというと、置き薬的な薬になっているのです。ですから、あれば全部使います。一度服を脱いだら体中全部が湿布だったの人もいますから、販売するときに最大はどのぐらいの量まではオーケーにしますか。

 包装単位で、私は保険の審査委員もやっていますけれども、審査の中には700枚というのが出てきたりすることもあります。当院では一回の処方で28枚以上は絶対出さないので、そのぐらいで抑えています。販売するときに1箱が7枚入りでも10箱売れば70枚、そこら辺の制限を設けなければ、結局、置き薬として置いておいて、家族みんながそこから使っていくということで、買った人とは違う人が使うことも多々想定されると思います。

○機構 実は、一般薬の貼付剤で枚数制限をするというのは、今まではほとんどなかったのですが、今回はよく使われそうなものであるから制限しようと考えました。今後、ほかのものにも段々それが普及していけばいいと思いますし、要指導薬ですので、まずは薬剤師の先生方にしっかりと注意喚起をしていただくことが必要だと考えます。たくさん貼りすぎているようなコマーシャルもありまして、個人的にはあれもどうかなと思うのですが、そういう点からも注意喚起していかなければならないのではないかと思っています。

○橋田部会長 よろしいでしょうか。

○福島委員 今のお話は、特に高齢者に副作用が多く出ているという報告があります。手元の資料で見たのですが、副作用が12週以上と、かなり多く使っている高齢者の方がいるように思いました。ですから今言われたように、一般用になると、家に置いてあって、それをいつから貼っているのかとか、そのようなことも薬剤師が販売するときに、その辺のところをきちんとチェックできるようなシステムを作っておかないといけないのかなと思っています。

○橋田部会長 ありがとうございました。ほかによろしいでしょうか。大体今御指摘いただいたなかで、特に多くいただきましたのは、使用者あるいは販売店に対して、必要な情報をできるだけ的確に提供するということかと思います。これにつきましては、もう一度事務局とPMDAと企業とで一緒に相談をいただきまして、要点ごとに御検討いただき、その内容及び結果を私と参考人の新井先生、それからそれぞれ御質問いただいた先生方に、もう一度戻しまして御確認いただくという形で整理をしたいと思います。この問題はそれでよろしいでしょうか。よろしければ、この審議品目について、議決に入らせていただきます。

 議題1の医薬品ロキソニンSパップ、ロキソニンSテープ、ロキソニンSテープL及び議題2のロキソニンSゲルの四つの製剤を承認しても差し支えないとしてよろしいでしょうか。ありがとうございました。また要指導医薬品に該当するという指定もさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは薬事分科会にその旨を報告させていただきます。どうもありがとうございました。

○事務局 事務局です。以降の議題は公開で開催させていただきます。会場の準備等を含めまして、10分間の休憩とさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。

                                    ( 休憩)

○審査管理課長 ただ今から、要指導・一般用医薬品部会を再開させていただきます。ここから公開ということでございます。傍聴の方々のカメラ撮りはお済みでしょうか。カメラ撮りはここまでということで御協力のほど、よろしくお願いいたします。

 それでは、以後の進行につきましては、橋田部会長、よろしくお願いいたします。

○橋田部会長 それでは、議題に入りたいと思います。まず、昨年度厚生労働科学研究費補助金「一般用医薬品及び一般用検査薬の地域医療における役割等に関する研究」におきまして、「一般用医薬品の地域医療における役割と国際動向に関する研究報告」がまとめられています。本部会の委員でもございます望月委員が研究代表者をお務めになっておられますが、望月先生に資料を御用意いただいていますので、概要の説明をお願いいたします。

○望月委員 慶應大学の望月でございます。このような御報告の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。当日配布資料4に従いまして御説明させていただきます。タイトルは、「一般用医薬品の地域医療における役割と国際動向に関する研究報告」ということになります。

 2ページ、この研究を行う背景ですが、本研究のおおもととして、200211月8日に出された「一般用医薬品承認審査合理化等検討会」の中間報告というのがあります。この中で、一般用医薬品の範囲の見直し、安全対策の強化、情報提供の拡充、承認審査の流れの改善等が議論され、一部、それは実施に移されています。とりわけ、一般用医薬品の販売時の情報提供や相談応需を強化するということで、2009年6月から新たな一般用医薬品の販売制度がスタートしたところです。

 その中で、一般用医薬品のインターネット販売のことが議論に上りました。全ての一般用医薬品をインターネットで販売できるようにするというプロセスの中で、2014年6月から要指導医薬品の制度が創設されています。研究班の方では、このような一般用医薬品をめぐる背景を踏まえ、生活者の意識調査、あるいは海外のスイッチ化の実情の調査等をいたしました。それを踏まえて、スイッチOTC医薬品のあり方について医師・薬剤師等の専門家の意見をとりまとめさせていただきました。

 3ページ、日本における医薬品販売の現状について確認させていただきたいと思います。現在、日本における医薬品は、医療用医薬品、要指導医薬品、一般用医薬品の三つに分かれて販売されています。要指導医薬品はスイッチ直後品目、及び劇薬等がここに含まれていて、対面で薬剤師が販売する義務があるものになっています。スイッチ直後品目等は3年程度の安全性の評価期間を経て、一般用医薬品への移行の可否が検討されることになっています。その際、一般用への変更が可能と判断された場合は、リスク分類として第1類、第2類、第3類のいずれに分類して販売していくかについて議論され、その分類に従って販売されていく形になっています。この場合は、いずれの分類においてもネットで販売することが可能となっています。日本においてはこういう状況です。

 4ページ、18歳以上のネットモニター生活者を対象に、2014年3月にWeb調査をさせていただきました。この背景ですが、18歳以上70歳代ぐらいまで各年代構成は均等に、男性、女性、それぞれ1年代当たり6070名で構成した調査対象者になりました。全部で大体781名ほどの回収がされています。

 左上の図で、一般用医薬品を使用(購入)する際の理由として、一番多いのは「普段から一般用医薬品を使用しているから」で約50%近くありました。次は「近くに薬局・薬店があり一般用医薬品を購入しやすいから」で40%弱、その次が「忙しくて病院や診療所に行く時間がとれないから」で30%弱でした。いずれの場合も、比較的一般用医薬品は利便性が高いという趣旨の回答を選んでいる方が多かったことになります。これは選択肢を提示して、複数選択可で回答を得ています。

 右側に、今までどのような一般用医薬品を使用したことがあるかについて、こちらも選択肢を提示して、複数選択可で御回答を頂いています。一番多いのは「かぜ薬」で、80%程度の方が使った経験があるということ。50%前後の方が「胃腸薬」、あるいは「頭痛、筋肉痛の薬」、40%前後の方が「解熱薬」と「眼科用薬等」となっています。

 下の表は、自由回答で記載を求めたものになります。左側が、今後どのような医薬品を薬局・薬店で販売してほしいかについて、右側が、一般用医薬品またはスイッチOTC医薬品についての意見や希望、不満に感じていることについて、これは自由記載欄として設けたものです。このようになっています。

 5ページ、一般用医薬品等をめぐる国外の現状について示しています。「国内外」となっているのは「国外」です。上からドイツ、フランス、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカの順になっています。それぞれどのような分類で販売されているかを示しました。各国とも処方せん医薬品とそれ以外の医薬品が存在していますが、これらのうちグリーンで示したもの、ドイツの自由販売医薬品、イギリスの自由販売医薬品、オーストラリアの一般販売医薬品、ニュージーランドの一般販売医薬品、アメリカの非処方せん医薬品、これらは薬局でなくても一般の小売店で販売できる形態をとっています。アメリカは処方せん医薬品と非処方せん医薬品の2種類しかありませんが、その他の国では薬局でないと売れないものとして処方せん医薬品以外に、例えばフランスでは処方任意医薬品、イギリスでは薬局販売医薬品、オーストラリア、ニュージーランドでは薬剤師販売医薬品と薬局販売医薬品が存在しています。なお、フランスでは医薬品について、処方せんが必要であろうがなかろうが、全て薬局で販売しなければいけない形態をとっています。

 6ページ、これは各国のスイッチ化のプロセスを示しています。欄の解説がありませんが、一番上の国の欄の下、2番目の欄ですが、ここは申請できる立場を示しています。ドイツ、フランス、イギリスについては製造販売企業が申請を出すのですが、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカについては企業でなくても、誰でも申請することができる形です。その下の欄が申請のプロセスで、どういう形で審議を受けて承認をされていくかというプロセスです。フランスとイギリスではプロセスが二つに分かれていて、一つが候補の申請というプロセス、それから、その候補の申請の審議が終わった後、次に承認の申請というプロセスに分かれています。各国とも共通している部分としては、承認までのいずれかの段階でパブリックコメントあるいは公聴会等を行って、広く意見を求めるという作業をしています。ある種、透明性をこれで確保するということが行われていることになります。

 7ページ、検討組織についてお示ししています。ここからフランスを抜いていますが、実はフランスの承認のプロセスについては情報があまりきちんと得られず、はっきりしていませんでしたので掲載は避けさせていただきました。もう1点、前のパワポでイギリスは候補の申請と承認の申請が分かれていると申しましたが、こちらの方に示した検討組織は候補の申請段階で検討するための組織を示しています。いずれの国でも薬理や毒性、医学・薬学の専門家、あるいは医師や薬剤師の代表などからこの検討組織が構成されていて、有効性及び安全性の両側面からの評価が行われている形でした。先ほどのパワポにありましたように、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカは誰からでも申請を受け付ける国になっていますが、スイッチ化の可否の検討について、オーストラリアでは消費者問題の専門家の参加を必須としていて、ニュージーランドでは申請をした者がオブザーバーとして出席する。アメリカでは消費者団体等から推薦された者と業界関係者を会議体に含めています。企業からの申請のみを受け付けるイギリスでも、必要に応じて患者代表を加えて検討される。ドイツではカイロプラクティクスの施術者などを例とするのですが、非医療専門家として加えています。議決権については、表に示しましたように全てにあるわけではないという形です。イギリスのSAMの候補の申請について議論する組織では、一番下段に示している委員会の内容の所に書きましたが、規制問題や臨床現場・薬局への流通の問題、スイッチ化に関する患者側の意見等について議論して、承認の評価についてはMHRAが行うという形です。特徴的なのはニュージーランドで、一番下の委員会の内容の所に書きましたが、申請内容がスイッチ化に適合するまで、繰り返し審議することが行われているということが特徴的です。

 8ページ、アメリカの消費者行動調査を示しています。各国のスイッチ化の条件として一般消費者が医師の指示、つまり処方せんなしに使用しても危険はないかという点について、ベネフィット・リスクバランスの観点で検討をすることが必要な条件であると、謳っていますが、この点については医療用医薬品としての使用経験を踏まえ、基礎、臨床の両方の観点から安全性プロフィールの情報を根拠にして、どの国でも検討がされています。さらに、それに基づいて安全性を確保するためのリスクマネジメントの計画等が検討され、そのためのリスク最小化として添付文書等への注意喚起がなされる形をとっています。特に自己診断に伴う誤診や診断の遅れ、あるいは不適切な使用によるリスクについて、それを回避するためのリスクマネジメントの一環として、リスク最小化のツールとしての添付文書あるいは患者向けのリーフレットを使った情報提供が、どうあるべきかということは、どの国でも検討されているところです。

 ここに示したのはアメリカの消費者行動調査ですが、今、申し上げたような適正使用の情報として最も基本となる情報源、アメリカではラベルと呼んだりしています。イギリスでは患者向医薬品情報書、日本では添付文書に相当するだろうというところですが、それについては理解度調査を行って、理解度が一定の水準以上であることを確認することが求められています。アメリカにおいては添付文書理解度調査以外にも、自己選択試験、使用実態試験というものが行われています。2.と3.は全ての医薬品について求められているわけではありませんが、新しい適応症を持っているもの、あるいはOTCを使用しない方がよい集団が特定されている場合に、自己選択がきちんとできるかどうかの試験を行ったり、あるいは使用実態下で有効性・安全性が、適切に確保されるか等を見るための使用実態試験等々を行う形になっています。

 これらについて、とりわけ消費者の適正使用を推進する上で重要なものとして、添付文書の理解度調査があるのではないかと検討会では考えました。イギリスでも添付文書理解度調査と同様な試験としてユーザーテストというものを、患者向医薬品情報提供書について行っている状況もありました。医薬品の開発段階で、消費者がきちんと適正な使い方を理解できているかどうかを確認することは、重視すべきであろうと考えています。

 9ページ、現在、日本のスイッチ化のスキームがどのようになっているかですが、2008年度からこのようなスキームを走らせて動いている状況にあります。日本薬学会という学術団体がありますが、こちらがスイッチOTC医薬品の候補品目の選定作業を行っています。当然のことながら、先ほど申しました有効性・安全性について医療用医薬品でのデータを踏まえた検討、それからスイッチ化のための様々な安全性を担保する上での注意点等々が評価され、妥当性を検討した上で選定される形をとっています。その上で日本薬学会と、それらの適応症になるものに関連する関係医学会等で、本当に大丈夫だろうかというところの意見調整がされ、それを経て薬学関係と医学関係の調整のついたものが、薬事・食品衛生審議会に挙げられて議論された上で、スイッチ候補成分として公表される形をとっています。この途中のプロセスは公表されていませんが、候補成分について公表する形をとっています。22成分がこれまでに公表され、そのうちの5成分がスイッチ化される形になっています。これ以外のスキーム、すなわち製造販売業者が直接申請するという従来通りのルートも並行して存在する形がとられています。

10ページ、以上、今回の調査結果を踏まえ、日本におけるスイッチOTC医薬品候補品目の選定から承認審査までを、(配られている資料No.3、「一般用医薬品の地域医療における役割と国際動向に関する研究報告」の22ページに検討会の構成メンバーをリストしています。)これらのメンバーで検討しました。その結果が、ここに示しますように大きく分けると二つのポイントに集約されたというものです。

 ポイント1.は、多様なニーズの反映と透明性の確保ということです。海外では製造販売業者に限らず、誰でも申請できる仕組みを持っている国も複数存在しました。日本においても社会の要望を受け止めやすくするために、スイッチ化を希望する場合には、誰でも提案できるような仕組みを考えていけるのではないか。それを踏まえて、スイッチ化の可能性を検討する場においては、専門家を中心とした一般消費者も含めた場でのヒアリングやパブリックコメントを実施して、透明性を確保するという方向性が重要ではないかとなりました。

 ポイント2.は、承認審査や申請資料の見直しです。一般用医薬品の特性として、まずは一般消費者が適正に使用できるかどうかを確認することが重要で、従来の臨床試験では評価しきれない、添付文書の理解度調査等の仕組みを取り入れることが重要ではないかと考えています。また、要指導医薬品等を適切に販売するためのチェックシート、あるいは情報提供資材については更なる充実を図り、適正使用を促進するための支援を考えていくことも大切と思っています。更に製造販売後においては使用実態下での安全性情報の収集等の、いわゆる製造販売後調査の充実・強化も必要であると思われます。以上が、この検討会でまとめた方向性についてになります。

11ページ、最後に、「信頼され、安心して使用できる一般用医薬品等であるために」ですが、医師・薬剤師等の専門家の関与による適正使用や安全性に関する適切な情報提供、相談応需も含め、そうしたことをもっともっと充実させていくことが必要であろうということ。それから、市販後のデータ収集や医薬品のリスク低減に向けた取組として、添付文書を含めた様々な資材を充実させるだけでなく、イギリス等ではリスクマネジメントプランということで、発売前の段階でリスク管理の計画書の提出等を、新しいタイプのOTCに関しては求めたりもしていますから、そうした取組も必要と考えています。

 最後になりますが、新しくできた医薬品医療機器法ですね、薬機法と呼ばれていますが、この第1条にも国民の役割が明記されています。何よりも実際にお使いになる国民お一人お一人が医薬品に対する理解を向上していただけるよう、その知識と理解を深めるように御自身でもお努めいただくとともに、医療関係者がそれをきちんと支援していく体制が重要であろうと考えています。長くなりましたが以上です。御清聴ありがとうございました。

○橋田部会長 ありがとうございました。この部会におきまして以前に、医療用医薬品を一般用医薬品に転用する方法と言いますか手続きについて議論がございましたが、そのときにも厚生労働科学研究として、この問題について調査研究するという御報告がありました。今回、その研究がまとめられて、今日、御報告を頂いたということです。望月委員だけでなく、先ほど御紹介がありましたように複数の委員がこの研究に御参加いただいていますので、そういったところも含めて、いろいろ御意見、コメント、あるいは追加等を頂けたらと思っています。何か御質問等はございますか。

○藤原委員 10ページのスイッチOTC医薬品候補品目の選定から承認審査までで、ポイント1.の2番目のポツに、専門家を中心とした一般消費者も含めた場でのヒアリング、パブリックコメントの実施とあります。このイメージが分かりづらいので教えていただきたいというのが一つです。それと11ページ、信頼され、安心して使用できる一般用医薬品等であるためにの所で、医師・薬剤師等の専門家の関与による適正使用や安全性に関する適切な情報提供とあります。先ほど相談というのがあったのですが、情報収集というのが必要ないかどうかというのが二つ目の質問です。お願いします。

○望月委員 まず後の方の質問からお答えします。当然、それも重要なことだと思っています。この書き方はちょっと不足な点がありますが、二つ目のポツの市販後のデータ収集という中には情報収集のところも含まれています。また別の意味での情報収集ですね、専門家が、自分たちが販売するに足るだけの情報をきちんと得た上で販売するという意味の情報収集も重要だと考えています。ありがとうございます。

 一つ目の御質問で、ポイント1.の多様なニーズの反映と透明性の確保の二つ目のポツに関する具体的なイメージですが、実はこれに関しては、私も具体的にどんな形というのを、ここで御提案申し上げられるような状況にまだなっていません。ここで重要な点は、ここは社会の要望を受け止めやすくするということがあり、もし誰でも提案できるという制度にした場合、そこには社会のいろいろな立場の方からお考えをお聞きするという形がどうしても必要だろうと考え、こういう表現にさせていただきました。

○橋田部会長 ほかにいかがですか。

○西澤部会長代理 同じくポイント2.の中に、添付文書の理解度調査というのが出てきました。これは私は非常に重要なポイントになると思いますが、具体的にどの程度のことを調査することになるのでしょうか。

○望月委員 これに関しては今年度、私どもで研究をさせていただいています。これに関してはアメリカのやり方とイギリスのやり方でまたちょっと違うのですが、大体、どちらもツーステップ行うようになっていて、まず最初に、全体として大体どのぐらい、どの辺が理解されにくい形になっているか調査した上で、それを踏まえて分かりやすい形に1回修正し、それを更に一つ一つのポイント、ポイントについてインタビュー形式で調査していく形をとっているようです。ここに関しては、まだアメリカ、イギリスでの実施方法について、ヒアリング調査等をした結果が整理されていませんので、改めていずれかの時期に御報告させていただけたらと思います。

○鈴木委員 私も、この研究班に参加させていただいて議論をしておりますので、私が言うのも何ですが、先ほどあまり御説明がなかったので申し上げると、望月先生の資料4の4ページに、今後、どのような医薬品を薬局・薬店で販売してほしいかについて、あるいは一般用医薬品またはスイッチOTC医薬品についての意見や希望、不満に感じていることについてとありますが、「(特に)なし」が圧倒的に多い回答でした。そうした意味では、もちろん現状の一般用医薬品も使った上での話ですけれども、今の日本の医療制度に多くの国民は満足しているのではないかと考えられます。医療制度によって一般用医薬品の必要性が違ってきますので、それを前提に考えるべきだと思います。

○橋田部会長 ありがとうございました。ほかに御質問あるいは御意見等、いかがですか。

○西澤部会長代理 日本のスイッチ化スキームというのが9ページにあります。この中で薬事・食品衛生審議会にて議論するとあり、前に一度、ここでも問題になったと思います。議論は確かにしましたけれども、その結果のフィードバックがここでなされるのか、なされないのか、その点についてはどういうふうに考えておられますか。

○審査管理課長 この9ページは、現行、こうなっていますという形なのです。実際、こういうやり方を今までやっていましたということで、これで幾つか課題があるなとなっていますから、先生、御指摘のようにフィードバックはどうなのかということも課題かなという話だと思います。各学会から御意見を頂くことに関しても、これは研究班の中の議論でも、十分聞いていないのではないかという御指摘も出ていました。本当に意見を出していただける所にきちんと御説明し、きちんと意見を引き出して、問題をきちんと予測し解消しながらやっていくようなことが、本来、望ましいということが研究班の中の議論でも出ていましたから、それは、今のスキームをどう変えるかについて御意見を賜ったと理解しています。

○西澤部会長代理  それを聞いてちょっと安心いたしました。ありがとうございます。

○橋田部会長 ほかに、よろしいでしょうか。

○神田委員 感想的なことになると思いますが、よろしいですか。先ほども鈴木委員から出たと思いますが、各国の調査をなさって各国の調査結果が載せられていますけれども、医療制度が国によって違うのではないかと思います。たまたま私はアメリカのことが少し分かるのですが、アメリカの場合と日本とでは、医療制度のあり方が随分違います。医師にかかりにくいというか、ほとんど医師にかからず薬を飲んでというのがアメリカの方法です。そういったところの医療制度が違う中で、では日本でどうあるべきかというところの比較がしにくいということなので、その辺のことも情報として提供していただきながら、日本がセルフメディケーションをどこまで進めようとしているのかということが、ちょっとつかみかねているのです。その方向であるということは知っていますが、どの辺まで求めていくのか。日本もアメリカのように、できれば医師にかからないで薬で治していこうというところが主流になっていくのかということも、こういったシステムのことを考えていくときに、前提の情報として必要なのかなと思いながら聞いていました。

 もう一つは、こういった制度の調査と同時に、全部でなくてもいいのですが、例えばアメリカではこういった制度のもとで実態はどうなっているのか。消費者のところで、この制度がきちんと適切に利用が進められているのかどうかです。その辺の実態調査あるいはヒアリングでもいいかもしれませんが、調べてみることが必要かなと思います。

 と申しますのも、私が知っている範囲は非常に狭い範囲かもしれませんが、「この薬は効かないから2倍量を飲みましょう」とアメリカではよく聞きます。それで平気で飲んでいる。これは医薬品についての知識が豊かだから、そのぐらい飲んでも平気だとして飲んでいるのか、あるいはそうでないから飲んでいるのかは分かりませんが、私が知っている範囲では大体多く飲むのが常識的になっている。そういった実態も考えながらいかないと。参考にするのは一部かもしれませんけれども、そういったヒアリングも必要なのかなと思ったのですが、その辺は研究でどうなっていたのかお聞きしたいと思います。

○望月委員 確かに神田委員の御指摘はごもっともです。今回、この検討会では、例えば一般用医薬品としてどういう範囲が適当であるか、セルフメディケーションはこれからどういう方向で推進すべきか、そういったことは議論の対象としませんでした。あくまでも安心して信頼できる一般用医薬品のあり方、一般用医薬品として必要な評価のための情報のあり方等々について検討する形をとらせていただきましたので、そこは大変恐縮ですが、良い情報をここでは発信できていないと思っています。

 それから、二つ目のアメリカの実態ということについてですが、アメリカの場合は、処方せん医薬品と非処方せん医薬品の二つの分類しかありません。非処方せん医薬品に関しては普通の小売店でも売ることができてしまう形です。ここに、日本のように薬剤師が関与するなり登録販売者が関与するプロセスが入らない形になっています。そのためアメリカを参考にしてしまいますと、恐らく日本とはちょっと違った形の結果になるのではないかと想像いたします。医療システム自体が日本と諸外国ではいろいろ違いますので、何とも言えないところがありますが、そういう意味では欧州、大洋州の方が、日本に比較的近い販売の仕方をしているのかなと思っています。あまり十分なお答えになっておらず恐縮です。

○生出委員 皆さんのお手元に当日配布資料5があると思いますが、これが正に、これからのスイッチOTCの促進の考え方ということで、きれいにまとまっていると思います。先ほど神田委員等からお話があったように、我々薬剤師や製薬産業からだけの提案ではなく、広く一般の方々からの要望を取り入れながら、この真ん中にある学会、産業界、消費者で議論するのが非常に大事かと思います。そういうことで日本に本当にふさわしい一般用医薬品が新たに誕生してくるのではないかと思っています。

○橋田部会長 ありがとうございました。今、生出先生から少し触れていただきましたが、先ほどの神田委員の御議論、あるいはフィードバックという話題もありましたけれども、まさにそういう位置づけで、当日配布資料5の医療用医薬品の有効成分の一般用医薬品への転用の仕組みについてという御提案を事務局から御用意いただいていますので、これからこれを御説明いただき、それでまた御議論いただくことにしたいと思います。お願いします。

○事務局 お手元に1枚紙で当日配布資料5のフロー図を御用意ください。先ほど望月先生の方から一般用医薬品の地域医療における役割と国際動向に関する研究報告を取りまとめられ、報告を頂いております。これを踏まえまして、新たなスイッチ成分の評価システムの構築についてということで御説明させていただきます。

 平成26年6月にまとめられました「『日本再興戦略』改訂2014」におきましても、アメリカなど海外の事例も参考に、産業界、消費者等のより多様な主体からの意見が反映される仕組みを構築するとされております。

 こちらのフロー図の見方ですが、上の方が開発段階で、下の方が申請・製造販売承認、いわゆる実用化段階ということで、流れを書いております。旧来の評価システムは左の図にありますが、先ほど来、御説明、御報告いただいておりました日本薬学会で選定され、また、学会の意見聴取の上で審議会において決定という流れになったところです。新評価システムにおいては、学会、団体、消費者個人といった多様な主体からの意見を、要望として受け付けるような仕組みを導入するということです。挙がってきました要望等を整理して、真ん中辺りの四角い枠に、仮称ではありますが「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」という、医学、薬学の専門家、消費者等からなる会議体を設置しまして、これを公開でスイッチの評価ということで議論を頂くとともに、点線で四角囲みがありますが、ヒアリングにより、関係医会・医学会の意見を反映する、また、透明性の確保、スイッチ候補成分の明確化、また、左の方の点線の四角囲みですが、その結果について、海外でも行われているようなパブリックコメント等の実施をして、さらに多様な意見を聴取するといった仕組みを、新たに構築したいと考えております。

 従来どおり、検討会議で御議論いただいた結果に関しては、本部会、薬事・食品衛生審議会薬事分科会要指導・一般用医薬品部会でも議論を頂いて、その上で候補の成分ということで公表させていただくというフローを書かせていただいております。

 その下の実用化段階です。これも、従来、スイッチの候補成分と選定されただけではなくて、当然ではありますが、企業の方で開発、承認申請をされることになってくるわけですが、その中で、新しいシステムの中では、先ほどの研究報告で頂いた御提言を踏まえまして、日本においても、しっかりと添付文書理解度調査等を、いわゆる申請前の段階で、新たな評価手法として、一般消費者の方が医薬品の有効性・安全性について正しく理解して行動できるかということを事前に検証して調査をし、その結果を申請資料として提出いただき、承認の可否ということで御議論を頂く。PMDAでも審査をし、また、本部会で最終的に承認の可否について御議論いただくという新しいシステムを構築して、今回、研究班でおまとめいただいたものに対応していきたいと考えております。説明は以上です。

○橋田部会長 これまでの本部会におけるいろいろな御議論や、先ほど御報告いただいた厚生労働科学研究費補助金による研究の報告、調査結果の内容等を踏まえまして、新しい仕組みとして、スイッチ成分の評価システムを事務方では御検討いただいているということで、今、説明を頂きました。これについて御質問、御意見等ありましたらお願いいたします。

○鈴木委員 これを見させていただきますと、報告書を踏まえてということだとは思うのですが、先ほども言いましたように、医療制度は国によって違い、大きく分けると、社会保険制度の国、公営医療の国、自由診療の国になります。我が国の場合は、通常、ほかの分野では、同じ社会保険制度の国であるフランスやドイツが非常に参考になっています。

 今回の資料を見ますと、先ほど神田委員もいみじくもおっしゃいましたが、我が国の医療制度と正反対の位置にあるアメリカの仕組みをかなり入れた形になっています。誰でも申請できますし、パブリックコメントやヒアリングはほかの国でもないわけではないのですが、この新しい評価検討会議は、アメリカ型に近い仕組みです。そこが、どのように運用されるのかが重要となります。先ほどのアンケートの調査にもありましたように、多くの国民は現状の仕組みで満足されているのです。海外と比較しても、我が国の医療制度は非常に良くできており、非常に平等で、一般の国民にとって、アクセスも良くて、質が良いのにコストは安いという非常に優れた制度であることは間違いないので、国民もそれをきちんと理解されているのだろうと思うのです。よりによってアメリカのような、お金のある、なしでアクセスが非常に違っていて、保険に入れない方もたくさんいらっしゃるために、自分で薬を買って治さざるを得ないような国の仕組みと一緒にするのは理解できません。イギリスのような公営医療の国でも、ゲートキーパー制ですから、アクセスが良くないので、自分で薬を買わざるを得ません。我々はアクセスの良い社会保険制度の国なので、それらの国とは基本的に違うのです。

 ドイツなどを見ましても、専門家だけでやっています。私は先日の連休にフランスに行って、保健省の薬事担当の方や調剤薬局の方の話を聞いてまいりました。そこで生活習慣病の治療薬について、スイッチOTCは考えているのかという話をしたら、とんでもないという答えで、保健省でも、薬局でも、生活習慣病は医師の下で治療されるべきだというお話でした。やはりその国の医療制度によって一般用医薬品のあり方はかなり違ってきますし、逆に同じ制度だと考え方も似てくるということを、前提に考える必要があると思います。その上で、今回新しいスキームが出てきたわけですが、我々としては大いに違和感があるということです。

 消費者庁からも、最近、一般用医薬品による死亡例がかなり出ているという報告がなされていますが、我々日本医師会としては、国民の安全・安心を確保するという大きな使命がありますので、この仕組みの慎重な運用が求められます。

 何点か確認の質問をさせていただきたいと思います。ここに新しく「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議(仮称)」とあります。この会議を公開で行うという話もありますが、ここには書かれていないようです。一つはそれはどうなのかということです。それと、議決です。私は、合意形成が多様な人が入れば入るほど非常に重要になってくると思うのですが、議決をどのようにするのか。全会一致なのか、違うのか。それを確認する質問です。

 従来の、この要指導・一般用医薬品部会における審議は、それを受けて行うということですが、それは公開なのか、非公開なのか。そして、議決は全会一致なのか、違うのか。それについても事務局よりの回答をお願いします。

○審査管理課長 ありがとうございます。一応、この仕組みについて透明性の高い形で、誰から見ても、どのような議論をされているのかが分かるような形でということを旨として運営するのがよろしいかと考えています。したがって、公開で会議は開催させていただきたいと考えております。

 ただ今鈴木委員がおっしゃいましたように、多様な意見をきちんと集約して、適切な姿でスイッチ化が進むためには、全会一致という考え方でいくのが当然だと考えております。公開の場で議論されたものの結果を報告するという形になりますので、この件について、当部会に報告する際に、それを非公開とする理由はあまりないのではないかとは考えております。当部会が審議内容を公開にするか、非公開にするかというのは、部会としての判断があってのことだと思いますが、事柄の性格からしますと、公開で議論していただくのが適当ではないかと事務局としては考えております。

 あと、この部会における、その際の取り扱いは、部会では基本的には全会一致で物事は決めていただいていると理解していますので、そのような形になるかと考えております。これは、事務局が部会に代わってそういうことを言うのは僭越ですので、部会でお決めいただければとは思っております。

○鈴木委員 この上の方の評価検討会議は公開で全会一致だということです。この要指導・一般用医薬品部会をどうするかということですが、以前、強行採決もあったので、その影響は無視できないのではないかと思います。それを避けるためにも、その前に公開の場が十分確保されたわけですから、私はこの場は非公開でいいのではないかと思いますし、当然、全会一致にすべきだと思います。

○多田委員 こちらの新評価システムの方では、より多様なニーズを引き上げるということで、これまでは医薬品関係学会、医薬についての知識がある人が呼ばれる。今度からは、それ以外の人たちがかなりたくさん入ってくるということで、要望の段階で、かなり医学的なところとは違う思惑のものが挙がってくる、雑多になってくる可能性はどうしても否定できないのではないかと思います。そうしますと、リストを作って、それで、そういった検討会議を組み立ててという段階で、どういった人たちが検討会議に入ってくるかというところも非常に重要になってくる。医学的な知識は、早めにこのスキームの中に入れていってあげた方が、安全対策の強化というところでは重要なのではないかと思います。今見ると、この学会、産業界、消費者とのコメントのやり取りというのが、この評価検討会議とのやり取りという形になっているのですが、安全性というものを考えると、リストを作成する段階からそういった専門的な知識を持っている人たちを入れていっていいのではないかというところが、まず1点です。

 もう一つは、評価検討会議というのが、どの程度の規模のもので、どういった有識者が入ってくるのかというのが、ちょっとイメージとして涌きづらいので、もし何かそういったイメージがあるのでしたら教えていただきたいのです。

○審査管理課長 2点重要な御指摘を頂いていると理解しております。新しい仕組みでは、いろいろな方の御提案を受けようとしているところですが、望月班でアンケートを取った内容で、鈴木先生からも御指摘がありましたが、あまり関心がないというか、そんなに希望するものがないのだという答えが、かなりマジョリティだったというところを拝見しますと、一般的な方々からの「これ」というものが、たくさん出てくるということがさほどあるのかとも思います。ただ、少し変わったものが出てくるというようなことはあるかもしれません。そこも前さばきをするという点は、私ども事務局側で取扱いを整理させていただいて、どういうものが来て、それをどういうふうな格好で整理したかということも含めて御説明をして進めたいと考えております。

 PMDAと厚生労働省審査管理課のスタッフで、そういった素養のある人間が、事前の整理をするところについては携わることになりますので、ある程度そういった専門的知識を持っている人間が対応させていただくことを想定しております。現段階では、細部にわたる詰めはまだまだありますが、今の考えはそのような格好です。

 一応、中心となる評価検討会議ですが、これはやはり主にメンバー構成的には、薬そのものについての候補をどうかというふうに考えるという点では、医学、薬学というそれぞれの側の専門的知識をお持ちになる方に相当数入っていただく必要があるのではないか。ただし、領域がものすごく幅が広いので、全部の診療科の先生を並べるのはちょっと無理ということですので、主に内科系の先生方、それと、一般診療的なところ、総合診療的なところに御造詣のある方、あるいは感覚器官、外皮用というのが比較的多いことからしますと、皮膚科の先生、眼科系、耳鼻科などの先生に加わっていただく必要があるのかと考えております。ここはまだ、細部の人選の検討をこれからしていかなければいけないところですので、あまり今の段階では確定的なことは申しませんが、そういった方々。それと、薬学、あるいは薬剤師といったところの実態が分かっているという、現場が分かっている方には是非加わっていただきたいと考えているところです。

 ですから、いわゆるアカデミア、学術的なことだけではなくて、臨床現場の実際をよくお分かりになっている方にインプットいただければというところが大事ではないかと思っています。その意味では、一般消費者と出ているのですが、一般消費者の方の考え方や行動が、どういうことがよくあるのかということについて造詣のある方に加わっていただくのがよいのではないか。やはり本日の部会の前半の議論でも、一般消費者の方はどんなことに関心があるのか、どういうところで間違いを、あるいは誤解をするのか。そういったことを分かって議論をしていくことが、スイッチ化をする際の想定されるリスクをどう予測するのかという点では大事ではないかと考えておりますので、そういった方々に、是非、この評価検討会議に加わっていただきたいと考えているところです。人選については、それぞれ、関係する学会、職能団体の御意見をよく伺って検討を進めたいと考えております。

○多田委員 検討会の会議のメンバーを決める段階から、既に専門的な知識を持った各学会の医療関係者が入っていると考えてよろしいのでしょうか。リスト作成の段階で、そもそもこれをリストに挙げていいのかどうかというところから、是非、学会の方がそういった知識を供与できる場を提供していただければと思います。

○神田委員 今の御説明の中でよく分からないところがあったのでお聞きしようと思いました。まだこの議論は始まったばかりで固まっていないということですから結構なのですが、今回の新評価システムにすることの大きな変化は、消費者を加えていこうというところにあると受け止めました。その場合に、随時、募集もしようというようなことも書かれて、要望を取りまとめると書かれています。そのときに、質問に対して、調査のところで消費者からあまり意見が出なかったと。要望意見が出ていないということで報告書の中では出ていないので、あまり意見は出てこないのではないかと受け止めたのですが、やはり、こういったシステムを作る場合には、出てくるような手立て、消費者には知識がないと思いますので、こういった判断ができるレベルまでの情報提供なり、消費者教育なりをしっかりやっていくのだということが、このシステムを作っていく上でのセットで考えられて、出るような手立てをきちんと取っていくようにする。混乱しないように、出てこない方がいいなということではなくて、意地悪な言い方かもしれませんが、そんなふうに聞こえてしまったので、その辺りを確認させていただきたいと思います。

 もう1点、別の話なのですが、消費者の意見を取り入れるということは、どんな分野でも必要なことだろうとは思うのですが、仮にいろいろな意見が出てくる、あれもこれもということで利便性ということであれば出てくる可能性はたくさんあると思います。そうしたときに、やはり安全性の確保をどうするのかという辺りの体制の在り方をしっかりやっていかないと、出す方は素人ですから、ただ利便性だけで出すということが出てくるのだろうと思います。その際、本日頂いた一番上の枠の所に「スイッチOTCの促進」となっています。ですので、スイッチOTCの促進をしていく方向で、そして消費者の意見を入れて進めていくのだということになると、ちょっと心配してしまうのは、消費者から意見が出ている、要望が出ているのだからということで、安全性の面の評価などがちょっとハードルが低くなっていく可能性がありはしないかというところで、そういった心配も同時に、今お話を聞きながら、感想的ですが感じました。

○審査管理課長 安全性の部分が疎かになるのは絶対にあってはいけない話だと、私どもも考えています。ここでの検討は、実は開発をする段階の対象となる候補としてどういうものを見ていくのかという議論の部分ですので、そこの段階から、やはり安全性に十分に配慮してほしいということは注文として十分、付ける必要があると思います。要望を出される方は、いろいろなものをいろいろなふうに使いたいという要望を出される。ここに制限を掛けることはなかなかできないのですが、それが候補として適当であるかどうかということの検討を、専門的立場からきっちり御議論いただく中で、正しく安全性について、こういう懸念がある、こういう危険がある、こういう使い方をすると危ないということがあるものはきっちり指摘を頂いて、そういうものだから候補としてはどうかという判断を示していくことができるのではないかと思います。

 そうしたことをした上でも、その後、それが候補として、本当にやり得る、スイッチ化になり得るとしたとして、それを実際に手掛けて開発する企業が、実際にその後開発をして、申請をしてくるのが、その下のステップになります。このステップの段階でも、現在この部会でも、本日も前半に御審議いただきましたが、きっちり審査をしていくわけですので、その審査自体は何ら変わることなく、有効性と安全性をしっかりPMDAでも評価をし、当然、申請するに当たって、企業側にきちんとした立証責任がありますので、そうしたデータを作るということも求めていくわけです。その際に、今回は、理解度調査ということも、つまりOTCは使い方次第で危険なシチュエーションも出てくる。あるいは本当に役に立つ使い方もできる。そういったところもありますので、正しく理解をしてもらって使えるようになっているかどうかも含めて、開発をしっかりやっていただいて、それを実際に消費者の方が理解できるような添付文書になっているかということについても、調査の結果を添えて申請をしていただくようなことになっていくように、望月先生の研究報告で御提案いただいているところだと思いますので、それも折り込んでいくことが今回の仕組みの中で考えていることです。

 そういった点で、神田先生が御懸念の点について、私どもも、そういったことがないように、安全性が疎かになることがないように。しかし一方で、やはりスイッチ化された製品で、消費者の方にとって使いやすくて役に立つものがこれからも一定程度必要であるという前提で、それが見通しをはっきり持った形で開発が進められ、正しく審査されるような仕組みとして新システムを作っていきたいという考えです。

 先ほど、アンケート調査で、関心があまりないというのが多数というところに関して申し上げたのは、一応、現状のものにある程度満足されている方が割と多いのだとすると、こんなのが欲しいという提案がたくさん出てくるかどうかということについては、どうかなと。ただ、一方で、こういったものがスイッチ化されることについて、心配だという御意見や、こういうものはどういう使い方になるのだろうかとか、いろいろと社会的関心は十分高い案件ですので、むしろパブリックコメントというふうに、この新しいシステムの真ん中の左の方にありますが、ここの段階で、いろいろな御意見が出てき得るのではないかと思います。ただ、パブリックコメント自体が今は、こう言っては何ですが、いろいろな場合によく行われてきて、そのこと自体についてあまり新味がないみたいに言われることが間々ありますので、こうした場合のパブリックコメントのやり方は、なるべく認知していただけるようなやり方を工夫することも必要なのではないかと、先生からの御指摘を頂いて考えたところです。

○新保委員 新評価システムなのですが、添付文書理解度調査等が非常に重要なことなのではないかと思っています。こういった調査の信頼性なり、質を確保する手立ても御検討いただければ有り難いと思います。

○福島委員 先ほどから、このインターネットモニター生活者の調査を元に話が進んでいますが、こういう調査をするときには、どういうデータを、どういう所から取ってくるかというのがとても問題になっています。これはネットで取っている調査なので、ネットを使えない人の意見は一切入っていないということになります。もしかしたら、ネット販売をやって、ネットの中で疑問を解決してしまうような人が答えているかもしれないし、そういう疑問が出てしまうので、やはりこういう調査をやるときには、全国民の声を反映できるような形でやっていただかないと、違った方向に行ってしまうのではないかというのが少し懸念されました。いろいろな調査も今後やられると思いますが、きちんと国民の声を代表できるような形のプロトコールを考えていかないといけないのではないかと思いました。

○藤原委員 先ほどお話いただきましたように、消費者がどんなOTCを望んでいるかということに対しての、これは調査は非常に難しいと思います。ただ、ここで出ていますように、なかなか病院にかかりづらい状況があるなどといった理由があって、実際には薬局に相談に来ている事例が非常にあるわけですから、本来、この検討会では、現場で本当に相談を受けて、しっかりと受け取って受診勧奨したり、適切なOTC販売をしている代表者を入れていただくことが、多分、消費者の要望が現場ではかなりありますので、そこは是非お願いしたいと考えております。

○鈴木委員 先ほどの望月先生からの御報告には含まれておりませんでしたが、我々は別に医師向けの意識調査も担当させていただいております。それによりますと、かかりつけ医の有無によるクロス集計では、かかりつけ医の有無と健康意識の間に相関が見られたとのことです。すなわち、かかりつけ医がある方の方が健康意識が高いということは、かかりつけ医を持つ方が多くなることが、その地域での人々の健康意識を高める一つの動機になるのではないかと思います。

 一方、こういった一般用医薬品を販売する薬局、薬剤師の方々には、そうした一般用医薬品で対処すべきでない人や、副作用の疑いがある人が出た場合には、遅滞なくかかりつけ医を受診できるように、購入者への適切な情報提供と、地域の医療機関との連携に取り組むとともに、購入者に対して、是非、かかりつけ医を持つように働き掛けていただきたいと思います。

○望月委員 一つの回答をしようと思っている間に5人ぐらいの御質問者が入ったので、ちょっと、当初のより少し加えた形で御説明を追加させていただきたいと思います。

 まず、先ほど福島委員から御指摘いただいたWeb調査の限界ですが、確かにWeb調査ですので限界があるということで、本当に生活者の方の意識が全て反映されているかという点には、これは限界ということです。そうしたこともありますので、今回の御提案いただいている仕組みはいろいろな意味での社会からの要望を受け止めることができる仕組みということですので、調査をするのとは別な意味で、そうした限界を克服できるのではないかと考えております。

 その上で、先ほどから御懸念の件ですが、端的に言うと、何でもかんでも要望してくるのではないかという御心配に関しましては、私どもの調査の中で、ニュージーランドの例でしたが、確かに専門家でない方からの御申請も御提案も受け付けていると。その際に、この当日配布資料5で、新評価システムの所の「学会・団体・消費者」という四角の横に点々で「要望に当たって」という所があります。ここがとても重要です。ここを何を求めるかはまだまだ御議論を頂くところなのかもしれませんが、ここには医療用としての使用実績、副作用の発生状況うんぬんが書いてあります。こうした資料を添えて要望をしていくという形を取りますので、先ほど神田委員が、そういう意味では消費者の方だけでここができるかどうかも、まだ分からないところもあると思います。もしかしたら、消費者の要望を受け止めた、比較的専門性の高い人たちと協力した形で、何らかの形の資料等が提案されるようなこともあるのではないか。ニュージーランドでは実際にそういう例もあったと聞いておりますので、そういう形を取ることもあり得る。その提案を受けた中で、また更に恐らくリストの作成や整理の段階でも専門家が関わり、もう一回、更に公開の議論の場でも、消費者も含めた形で、専門家が中心になって評価をするという、かなりしっかりと流れるようなスキームになっているのではないかと、この御提案については評価をさせていただきました。

 その上で、先ほど新保委員が御指摘されていたのですが、消費者がきちんと適正使用できるような行動を取れるかというところのデータは、今までは全くスイッチ化の承認審査の段階では取り入れられていませんでしたので、やはり、どうしてもここの議論で心配されるのはそこの点になります。そこをある程度きちんと確保できる根拠を、この議論の場に出していただくということは非常に重要なことではないかと思っております。

○橋田部会長 ありがとうございました。今回御提案を頂きましたスキームを具体化するということになりましたら、先ほど来、御議論いただいていますように、やはり会議体の構成や運用の問題、中身の問題、特にこの部会はプロセスの全体を見る立場ですので、部会でもいろいろ意見をいただいて実行していくという形で、是非、運用していただけたらと思っております。

○鈴木委員 まだ御回答をいただいていないと思います。評価検討会議を公開でかつ全会一致でやることはそれでいいと思います。この要指導・一般用医薬品部会を全会一致でやることはいいと思うのですが、公開か非公開かがまだ決まっていません。課長は先ほど、公開がいいのではないかとおっしゃいましたが、では先ほどの前半のこの部会の非公開案件の個別審議事項も今度は公開にするということですか。

○審査管理課長 いいえ。個別品目の承認審査に関する議論については非公開ということが、この部会に限らず原則になっていると理解しています。こちらの候補についての議論をしたものをこちらに報告する際、その元になった会議体が既に公開で議論されていたということからして、こちらに報告するときも公開になるのではないかと思いましたということなのです。ただ、部会の公開、非公開は、一応、部会において決めていただくことが基本になっているということも併せて申し上げた次第です。ですから、事務局で「こっちにします」、「あっちにします」と言って勝手に決めるわけにはいかないということを先ほど申し上げたということなのです。

○鈴木委員 そうであれば、新たな評価検討会議で、全会一致の結論が出るわけで、それを報告するだけですから、別に非公開でそのまま個別審議に入ってもいいのではないかと思います。

○橋田部会長 ありがとうございました。だいぶ時間も経ってまいりましたが、よろしいですか。そうしましたら、ただ今事務局から報告という形でスキームの御提案を頂いたわけですが、それを部会として了承するということでよろしいですか。

○鈴木委員 いや、その結論は出さないのですか。部会における報告を公開にするか、非公開にするかということはいつ、どこで決めるのですか。

○審査管理課長 一応、ここの検討会で、スイッチ化の候補はこういうふうにまとまりましたというものをまとめた段階で、こちらの部会に報告をする具体的な案件が出てくるということになると思います。その際に、部会長に御相談をして、これを公開にするか、非公開でやるのかということについて、その時点で判断していただくことがタイミング的には適当ではないかと考えております。

○鈴木委員 一つ一つ、公開か非公開かを決めるということですね。

○橋田部会長 制度的にもそういうことですか。

○審査管理課長 はい。丹念にやると、これについて公開にしますか、どうですかということについて御相談するということがあると思います。ただ、実際に1個1個の議題全部、公開か非公開かを、その都度、確認をしている実態は今はありません。一般的に、個別の品目の審査に関わる話は、いわゆる知的所有権といった事柄に関する案件があるので、それは非公開としてやっているのが実際に実績がありますので、これについてはあまりいちいち御判断を仰がなくても取扱いが決められていると思います。

 ただ、それ以外の案件について、内容の性質、性格によって個別に判断しなければいけないようなケースが出てくることがあると思いますので、そうした場合には、よく御相談して判断することになるのではないかと思っています。

○鈴木委員 お話の意味がよく分からないのですが、公開か非公開か、どのようにするのかをここで決めておいた方がいいのではないでしょうか。すぐに具体的に動き出すのかどうか知りませんが、この場でということが大事だと思います。

○審査管理課長 本日のこの時点で無理矢理決めなくてもよろしいかと思いますし、審議会の規定等でどういうふうになっているのかということも、もう一度きちんと御紹介し、御確認いただいた上で、取扱いはこの部会でもって、また決めていただくということでよろしいかと思います。

 まだこの検討会のメンバーも決まっていない、検討も実際にまだ動いていない、この段階ですので、それは少し時間の余裕はあるかと思いますが、いかがでしょうか。

○生出委員 本日のこの部会では、取りあえずこの新評価システムに移行することを、皆さんで合意したことが決まればよろしいのではないでしょうか。

○鈴木委員 その中に含まれるということなので、そこはきちんと話し合っておいた方がいいと思って発言しております。今後詰めていくということであれば、それも含めて全会一致ということでよろしいですね。それであれば了承します。よろしいですか。

○橋田部会長 よろしいですか。いろいろ御意見を頂きましたが、そういう御意見を踏まえてということで、事務局から報告いただいたこのスキームについては御了承いただいたということにしてよろしいでしょうか。どうもありがとうございました。それでは、薬事分科会にその旨を報告させていただきます。

 私の方では、本日の議事は、だいぶ超過しましたが、以上で終わりました。事務局から何かありますか。

○事務局 次回の当部会の開催日程については、また追って先生方の御予定を伺い、調整させていただきます。よろしくお願いいたします。

○橋田部会長 それでは、本日の要指導・一般用医薬品部会をこれにて終了し、閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 審査管理課 課長補佐 井上(内線2737)

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