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2015年2月26日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

○日時

平成27年2月26日(木)10:00~


○場所

新橋会議室5A


○出席者

出席委員(13名)五十音順

○新 井 洋 由、 奥 田 真 弘、 川 崎 ナ ナ、 菊 池   嘉、
 関 水 和 久、 田 島 優 子、 田 村 友 秀、 中 島 恵 美、
 濱 口   功、 前 崎 繁 文、 増 井   徹、 森 田 満 樹、
◎吉 田 茂 昭

欠席委員(8名)

 庵 原 俊 昭、 大槻 マミ太郎、 川 上 純 一、 清 田   浩、
 鈴 木 邦 彦、 半 田   誠、 山 口 拓 洋、 山 本 一 彦

行政機関出席者

 神 田 裕 二 (医薬食品局長)
 成 田 昌 稔 (大臣官房審議官)
 森   和 彦 (審査管理課長)
 宇 津   忍 (安全対策課長)
 矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
 山 田 雅 信 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役 他)

○議事

○審査管理課長 おはようございます。定刻になりました、菊池先生が少し遅れておられるようですが、時間にもなりましたので、「薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会」を開催いたします。本日は足もとの悪い中、お忙しい中、先生方に御参集いただきまして誠にありがとうございます。また、会議室が手狭ですので御負担をおかけして申し訳ございません。
 最初に、薬事・食品衛生審議会の委員の改選が先日行われ、この部会についても新しく委員の任命が行われたところです。つきましては、お手元にあります医薬品第二部会の、この当部会の名簿を御参照ください。委員の先生方を御紹介申し上げたいと思います。新井洋由委員、奥田真弘委員、川崎ナナ委員、関水和久委員、田島優子委員、田村友秀委員、中島恵美委員、濱口功委員、前崎繁文委員、増井徹委員、森田満樹委員、吉田茂昭委員です。本日御欠席の委員として、庵原委員、大槻委員、川上委員、清田委員、鈴木委員、半田委員、山口拓洋委員、山本一彦委員です。お名前だけ御紹介させていただきました。
 それから、統計担当の佐藤俊哉委員と、福山委員が御退任なさっていますことを御紹介させていただきます。また、この部会の部会長ですが、去る1月26日に選任が行われており、この医薬品第二部会については、吉田茂昭委員に部会長をお願いすることとされていますので、御報告申し上げます。
 更に、薬事・食品衛生審議会令第7条第5項の規定に基づき、部会に属する委員のうちから、部会長が予め指名する方が、その職務を代理するとされていまして、部会長代理につきましては、部会長から御指名いただくこととなっています。吉田部会長、よろしくお願いいたします。
○吉田部会長 私としては、引き続き新井先生にお願いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。新井先生、よろしくお願いします。
○新井委員 はい。
○審査管理課長 それでは、部会長代理につきましては、新井先生にお願いしたいと思います。部会長代理席に御移動なさっておられます。
 現在のところ、当部会委員数21名のうち12名の委員の御出席をいただいているところです。定足数に達していますことを御報告いたします。
 今回は改選後、初めてこの部会が開催されるということですので、少し再確認をさせていただきたいことがいくつかあります。この薬事分科会において、審議事項・報告事項の切り分けについて、先日話題に挙がりました。改めて確認事項について、御説明をさせていただきたいと思います。ちょっと手狭な中で申し訳ありませんが、資料14「薬事分科会規程」資料15「薬事分科会における確認事項」をお配りしています。その資料15の薬事分科会における確認事項の5ページを御覧ください。表の右側の「部会」「分科会」の欄の中に、○・△・▲・×が付いています。○が審議、△が報告、▲が文書配布による報告、×は審議・報告なしという区分けになっています。一応、案件の重要度ということに基づいて、その区分をこのように基本は定めています。基本的には、これに基づいて部会や分科会において御審議をお願いしています。
 資料14「薬事分科会規程」の5ページで、第7条の「部会における決定事項のうち、比較的容易なものとして分科会が予め定める事項に該当するものについては、分科会長の同意を得て、当該部会の議決をもって分科会の議決とする。ただし、当該部会において、特に慎重な審議を必要とする事項であるとの決定がなされた場合はこの限りではない。」と定められています。したがいまして、分科会からこの部会の方に審議をするものを基本的には委任されているわけですが、当部会で慎重な審議を更にという総意がありました場合は、分科会においても審議の取扱いにする、このようにすることがここに定められています。したがいまして、資料15の表の記載にあります基本的な区分に、そこにも「ただし書き」として、「部会において特に慎重な審議を必要とする事項である」と決定された場合には、分科会で御審議をいただくというように決まっていますので、委員の先生方におかれましては、このような規定を御承知の上、御審議、御意見をいただく中で、これはやはり慎重に審議が必要だというようなことを感じられましたら、そのような御意見も必要に応じて言っていただければということです。説明は以上です。
○吉田部会長 よろしいでしょうか。それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から配付資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについての報告をお願いします。
○事務局 資料の確認をさせていただきます。本日、席上に議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配布しています。また、議事次第の資料1~10については予めお送りさせていただいているところです。このほか、資料11「審議品目の薬事分科会における取扱い等案」、資料12「専門委員リスト」、資料13「競合品目・競合企業リスト」、資料14「薬事分科会規定」、資料15「薬事分科会における確認事項」を配布しております。
 続きまして、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告いたします。資料13の1ページです。「ポマリストカプセル1mg他3規格」ですが、本品目は、再発又は難治性の多発性骨髄腫を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
 2ページの、「乳濁細胞培養インフルエンザHAワクチン(プロトタイプ)筋注用「化血研」ですが、本品目は、パンデミックインフルエンザの予防を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
 3ページの、「トリーメク配合錠」ですが、本品目は、HIV感染症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。以上です。
○吉田部会長 ただいまの事務局からの説明に、特段の御意見等はありますでしょうか。ないようですので、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆様の御了解を得たものといたします。
 それでは、委員からの申出状況についての報告をお願いします。
○事務局 各委員からの申出状況について御報告いたします。議題1ポマリストカプセルは退室委員:なし、議決には参加しない委員:なし。議題2乳濁細胞培養インフルエンザHAワクチンは退室委員:なし、議決には参加しない委員:田島委員。議題3トリーメク配合錠は退室委員:なし、議決には参加しない委員:奥田委員、前崎委員。以上です。
○吉田部会長 ただいまの事務局からの説明に、特段の御意見等はありますでしょうか。ないようですので、皆様に御確認いただいたものといたしまして、議題に入りたいと思います。
 本日は審議事項3議題、報告事項7議題となっています。それでは、審議事項の議題1について、医薬品機構からの概要の説明をお願いします。
○機構 議題1、資料番号1、ポマリストカプセル1mg他の製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。本剤の有効成分であるポマリドミドは、サリドマイドの誘導体であり、サイトカイン産性抑制、血管新生抑制等の作用により、骨髄腫細胞の増殖を抑制すると考えられています。今般、本剤は、再発又は難治性の多発性骨髄腫を効能・効果として承認申請されました。なお、本剤は、再発又は難治性の多発性骨髄腫を予定する効能・効果として、希少疾病用医薬品に指定されています。本剤は、平成26年11月時点において、多発性骨髄腫に係る効能・効果にて、36の国又は地域で承認されています。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料12のとおり8名の委員です。以下、臨床試験成績を中心に、承認審査の概要を御説明いたします。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、海外第III相試験の成績が提出されました。
 有効性については、審査報告書の44ページの下から4行目以降、及び77ページの上から14行目以降を御覧ください。再発又は難治性の多発性骨髄腫が対象とされた海外第III相試験において、対照群として設定された高用量のデキサメタゾン群と比較して、本剤と低用量のデキサメタゾンとの併用投与群で、主要評価項目とされた無増悪生存期間の優越性が示されたこと等から、本剤の有効性は示されたと判断いたしました。
 安全性については、本剤の使用において注意すべき有害事象としては、審査報告書47ページの下から15行目以降、及び77ページの下から8行目以降に示しますように、骨髄抑制、末梢性ニューロパチー、血栓塞栓症、感染症、不整脈、心不全、急性腎不全、間質性肺疾患、腫瘍崩壊症候群、傾眠・意識レベル低下・錯乱・疲労・めまい、過敏症及び二次発がんが認められています。これらの有害事象については、造血器悪性腫瘍の治療に対して、十分な知識と経験を持つ医師による慎重な観察と、適切な処置により、忍容は可能と判断し、本剤の投与に際しては、緊急時に十分対応できる医療施設において、十分な知識・経験を有する医師の下で、本剤の投与が適切と判断される症例のみを対象とする旨を承認条件とすることが適切と判断しています。加えまして、日本人における検討症例は極めて限られていることから、製造販売後には、本剤を使用した全例を対象とした使用成績調査の実施が必要であり、承認条件とすることが適切であると判断しています。
 また本剤はウサギ及びラットの生殖発生毒性試験で胎児に催奇形性が認められたこと等から、本剤の使用に際しては、胎児への薬剤曝露の防止を目的とした厳格な薬剤配布プログラムを構築し、製造販売後の安全管理を実施する必要があると判断いたしました。なお、この薬剤配布プログラムについては、別途、厚生労働省において現在検討が行われています。
 以上のような審査の結果、機構は「再発又は難治性の多発性骨髄腫」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、再審査期間は10年、原体及び製剤はいずれも毒薬に該当し、また、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○吉田部会長 委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。
○菊池委員 これは剤形が1、2、3、4とありますけれど、4mgでやるのが基本とされていて、減らすとしても3mgとかだと思いますので、この4mgの所に剤形が4種類ありますが、1と4があれば要は足りるような気がするのですが、そこら辺の御判断はいかがでしょうか。
○機構 各剤形間で生物学的同等性が認められることについては審査で確認しておりますが、申請された剤について、どの種類に絞るべきだといった議論は特段行ってきてはいない状況です。
○菊池委員 そのわりには、添付文書にも余り書かれていなくて、ドーズリダクションする際の使用根拠も、白血球が下がったときとか、そのような書き方しかしていないので、例えば2mgは必要なのかという議論がいるかというように感じたわけです。
○機構 御指摘のように、用法・用量に関連する使用上の注意の項において、重篤な副作用が起きた際の減量等の基準を示しておりまして、減量に際して2mg錠や3mg錠が用いられる可能性があると認識しています。
○吉田部会長 よろしいでしょうか。ほかにありますか。
○新井部会長代理 報告書にも記載されていますので、確認という意味に近いのですが、この化合物の作用機作の所に書いてあるように、IC50はマイクロモーラーということで、普通で考えたらターゲットではないだろうなと思われるのですが、それに対する説明も審査の概略に書いてあるかと思われますけれども、その辺について、もう1度御説明いただけますでしょうか。
 作用機作について、今どのように、このお薬の「セレブロン」がターゲットだとは普通は考えにくいと思うのですね。ここに記載もされているのですが、ちょっと御説明いただけたらと思います。
○機構 セレブロンが、本薬の有効性と関連するバイオマーカーなのではないかといったことが最近学会等でも報告されるようになってきていることは承知しておりますが、このセレブロンの発現と本薬の有効性との関連は現時点では明確ではないと考えております。最初に申し上げましたように、サイトカインの抑制、血管新生阻害等が本薬の主要な薬理作用であると認識しております。
○新井部会長代理 薬理作用は分かるのですが、標的ですね。
○機構 明確には分かっていないということかと思います。
○新井部会長代理 最新の情報でも、そこまではまだ進んでいないということですか。
○機構 はい、そのとおりだと思います。
○新井部会長代理 はい、どうもありがとうございます。
○吉田部会長 要するに、これは例えばサリドマイドとかレナリドミドとか、そういう薬を使って、難治だった患者に効いたという話。では、なぜ効くのかというところの質問だと思うのですが、同じようなデリバティブなのに、どうして違うのだという。
○機構 この剤に限らず、いわゆる再発・難治例で使用する抗がん剤でよく議論になることですが、前治療に用いられた薬剤と似たような構造をしているけれども、なぜ効くのかという点です。前治療薬に耐性を発現した細胞株を用いて、それに対して抑制効果が認められたといった非臨床での結果は示されるのですが、臨床における効果を裏付ける作用機序が明確に分かっている薬剤は限られるというのが現状かと思っています。
○吉田部会長 だそうです。ほかにありますでしょうか。厳格な管理をお願いするということはもちろん前提条件であるということで、よろしいでしょうか。御質問がないようですので、議決に入りたいと思います。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 御意見がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、議題2に移ります。議題2の概要の説明を機構からお願いします。
○機構 議題2、資料No.2、乳濁細胞培養インフルエンザHAワクチン(プロトタイプ)筋注用「化血研」の製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。本剤は、細胞培養で増殖させたインフルエンザウイルスをβ-プロピオラクトン処理及び紫外線照射処理により完全に不活化し、界面活性剤処理する製造工程を、モデルとなるインフルエンザウイルスを用いて設定した模擬ワクチンです。
 現在、ヒトの間で流行しているインフルエンザは、季節性インフルエンザと呼ばれていますが、抗原性が大きく変異することで、ヒトへの感染性を有する新たな亜型のウイルスとなり、世界的な大流行、すなわちパンデミックを起こすインフルエンザの出現が懸念されています。実際、パンデミック発生時にその流行株を用いたインフルエンザワクチン、いわゆるパンデミックインフルエンザワクチンの承認を迅速に行うため、モデルとなるインフルエンザウイルスを用いて製造したワクチンの試験成績をもとに、パンデミックワクチンの品質管理や製造方法について、あらかじめ模擬ワクチンとして設定しておくものが、プロトタイプワクチンとされており、本剤は、そのプロトタイプワクチンとして承認申請されたものです。
 本剤は、2012年5月に当部会にて希少疾病用医薬品の指定について御審議いただき、同年6月に希少疾病用医薬品として指定されています。本剤は、モデルウイルスとして、H5N1型のインフルエンザを用い、当該モデルウイルスから製造されたワクチンの国内臨床試験成績等に基づき、承認申請されました。このH5N1型ワクチンは、既に乳濁細胞培養インフルエンザHAワクチンH5N1筋注用「化血研」として、H5N1型の亜型に限定した製品が承認されています。本申請は、当該製品の製造方法を設定し、あらゆる亜型のパンデミックに対して亜型を限定しないものとなります。
 本剤の専門協議では、資料12にお示しした3人の委員を指名いたしました。審査の概略について、臨床試験成績を中心に御説明します。
 有効性については、審査報告書27ページの表4-7を御覧ください。国内第III相試験において、本剤を2回筋肉内接種した後の血中抗体価が、プロトタイプワクチンの臨床開発ガイドラインに定められた免疫原性評価基準を満たしていたことから、有効性は期待できるものと判断いたしました。
 安全性については、審査報告書29~30ページを御覧ください。臨床試験成績において、臨床上問題となるような副反応は認められず、本剤の安全性は認容可能と判断いたしました。なお、製造販売後の対応については、審査報告書37~38ページを御覧ください。本剤そのものは、平時において製造販売されるものではありません。しかし、パンデミックが発生した有事の際に、本剤と同様の製造方法で製造されるパンデミックワクチンの製造販売後調査及び製造販売後臨床試験について、機構は、国の動向を注視し、必要な対応策を講じた上で情報収集や試験を行う必要があると判断いたしました。
 以上の審査の結果、機構は、本剤をパンデミックワクチンの製造モデルとして承認して差し支えないと判断いたしました。また、本剤は、希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、生物由来製品に該当すると判断いたしました。なお、薬事分科会には報告を予定しています。以上、御審議の程よろしくお願い申し上げます。
○吉田部会長 委員の先生方から御質問、御意見をお願いします。
○濱口委員 少し教えていただきたいのですが、29ページの2)に「ナルコレプシーについて」という項目があります。この説明の中で、例えばスウェーデン、ノルウェーなど、北欧の国々ではナルコレプシーは認められたのだけれども、それ以外の所ではないという説明書きがあります。これについては、多分ヨーロッパの医薬品庁で全体的なチェックがなされていると聞いています。結論として、次のページに書いてあるように確立されておらず、まだよく分からないということなのか、それともナルコレプシーは非常に限局的なものであって、これが余り影響はないということで記載されているのか、この文章を読むだけでは機構の方がどうお考えになっているのかはよく見えないところがありますので、もう少し詳しく教えていただきたいと思います。
○機構 AS03を含む本剤とナルコレプシーの関連性について、結論は出ておりません。欧州のEMAにおいても、昨年末GSK社が非臨床試験成績や疫学調査の最終報告を行ったという情報は得ていますが、EMAの判断については不明です。
○濱口委員 その上で33ページの「製造販売後の検討事項」という項目ですが、「ナルコレプシーに関する観察期間が別途設定される予定である」と書いてありますが、これは具体的にはどのような形で行われることなのでしょうか。
○機構 具体的な設定は決まっておりません。
○濱口委員 添付文書ですが、1-8に添付文書があって、まだ白とも黒とも分からないということなので、ここに書きようがないとは思うのですが、ナルコレプシーに関する記載は3ページの「その他」の「注意」に一応書いてはあるのですね。書いてはあるのだけれども、これはここに書くのが機構としては妥当だとお考えでということなのでしょうか。私としては、添付文書の中に、まだよく分からないということを少し書いてもいいのかと思っているのですが、いかがでしょうか。
○機構 「その他の注意」に記載することが妥当と考えています。記載内容につきましては、海外の情報を簡潔に記載しており、適当と考えています。
○濱口委員 最後にコメントですが、一応、これはプロトタイプワクチンということなので、今後、緊急時においては、この承認をもって作ることは可能になることだろうと思います。そうしたときに、品質的に確立されたもの、安全性に関しても有効性についても、これで大丈夫というものをある程度準備しておく必要があると思います。その一方で、アンノーンの部分が残っていますよというのを、一応は認めながらやることについて、若干違和感を感じているところです。
 ですので、くどいようですが、もしヨーロッパでこういった臨床治験というか、臨床で使われたデータを基に、ある程度の結論が出された際には、場合によっては懸念材料として今後考えることも、検討しておいていただきたいと思います。
○機構 パンデミックワクチンの審査時には、最新の情報を踏まえて審査し、適切な注意喚起をする予定です。
○吉田部会長 30ページの二つ目のパラグラフにEMAの話があって、「現在、疫学研究を実施中との情報を得ている」とありますが、この結果はいつ頃分かるのですか。
○機構 速報結果の概要につきましては情報を得ています。非臨床試験成績からは、ヨーロッパの製剤とカナダの製剤の抗原性に差はなかったという結論が出ており、ナルコレプシーがヨーロッパでよく起こりカナダで少ないことの原因はよくわかっておりません。また、疫学研究では、AS03を含む製剤が投与された人と投与されなかった人の2群につきまして、2年間のフォローアップをしたところ、両群間のナルコレプシーの発症頻度に違いはなかったという結果が得られています。
○吉田部会長 ということは、現在、実施中との情報というより、最近ではもっと結論が見えているという話でいいのですか。
○機構 はい、おっしゃるとおりです。
○吉田部会長 そうすると、EMAの関わるいろいろな条件に関しては、一応不明ということで結論付けられたということでいいのですか。
○機構 まだEMAから公式な見解は出ていませんので、今申し上げましたのはメーカーからの報告内容になります。
○吉田部会長 逆に、濱口先生がおっしゃったように、後で明確に因果関係が出てきた場合は、イエローペーパーなり何なりを出して、注意喚起するということは当然考えておられるのですね。
○機構 今後のパンデミックワクチンの承認に合わせて考えていきたいと思います。
○吉田部会長 これはあくまでもプロトタイプなので、ここから出てくる子供たちには、とにかく全部そういうものとして扱っていくということですか。
○機構 はい、適切にアップデートさせていただきます。
○吉田部会長 あるいは添付書類の書き直しなども有り得るのですか。
○機構 本剤の添付文書はプロトタイプワクチンの添付文書ですので、パンデミックが起こったときには、パンデミックワクチンの添付文書を作成いたします。
○吉田部会長 作成するときに、もちろんこれと違った形で書くことは有り得ると。
○機構 はい。
○吉田部会長 ということなので、明確になった時点で、きちんと対応するそうです。
○菊池委員 プロトタイプにこだわってしまうのですが、添付文書にはH○N○と書いてあるということでいいのですね。
○機構 そうです。
○菊池委員 例えば、新しいものが出たときには、またここでも審議をするのですか。
○機構 パンデミックワクチンの添付文書では、例えば追加の安全性情報がある場合には、それを基にアップデートしていくのが基本的な考え方になります。
○菊池委員 これは本当に起きて、例えば鳥も感染していて、鳥はあれかもしれませんが、鳥の卵の安全性までは考えなくていいのですね。いや、言っている意味は、たくさん作るときに、日本の鳥の卵が汚染されたら、作れなくなりますね。そういうことなのですか。
○機構 本剤の製造には、細胞を用いていますので、御指摘の懸念はないかと思います。
○菊池委員 これはダックか何かを使ってなかったですか。
○機構 細胞培養です。
○菊池委員 そうですか。失礼しました。これは承認条件みたいなものが、今思い出したのですが、アビガンのときは、政府というか省庁が関係したと思うのですが、パンデミックが出るというのは、C型のウイルスのガイドラインとかに基づいて、そういったことから発令されてから動くということを承認要件の中に書かなくていいのですか。
○審査管理課長 一応、行政的な取扱いの所のお話ですので審査管理課から御説明しますが、パンデミックは大変な緊急事態ですので、政府としても緊急のパンデミックが起きたことを政府として宣言して、そういった事態に備えての行動計画を作られています。そうしたものの一連の対策の中の一つとして、パンデミック用ワクチンを緊急に準備していくことも計画の中には立てられています。そういったことをここの個別の品目の中に入念に書くという考え方もないわけではないのですが、そこは極めて明瞭に定められていますので、先生が御懸念の点については、まごまごすることはないかと考えています。
○菊池委員 余計な心配というか、アビガンのときにもそのようなことがあって、あのときに初めて自分の中で認識して、その承認条件の中でそういったことが書かれていたので、科学的に判断するのはこの部会であって、政治的なものはそちらにお任せしたいと言ったことを思い出したのですが、逆にフラッシュバックして、書いていないから、いかがなものでしょうとお話したまでです。
○審査管理課長 アビガンの場合は新しいタイプの薬だったということもあって、既存の計画の中にはまだ書かれていない製品だということなので、個別の製品の取扱いの中できちっと書いておかないということもあり、先生方にいろいろ御心配をおかけした次第です。こちらは、ワクチンでの対策が基本的にインフルエンザ対策の中で極めて重要な柱になっていて、世界的にもこういった形で、プロトタイプでも平時に備えをし、緊急時にパンデミックのワクチンを、それでもできる限りのスピードで開発をし、審査も行い、速やかに手続していくことを予定しています。
 その際において、この部会においても、こうしたものが今の時点でこういうデータで出て、あるいは準備するということで御確認いただくことがあると想定しています。そうしたことなので、濱口先生から御指摘いただいたように、いざというときに最新の情報できちんと情報提供されながら、使うべき所に使っていただくということを確実に履行していくということで計画していますので、また、その折々に御説明をし、御意見をいただきたいと考えています。
○関水委員 私の理解では、このワクチンは新しい亜型の予想されるワクチンに対する抗原を分子生物学的な方法で抗原を作って、それが入っているわけですね。それでよろしいですね。
それを使ったときにワクチンとして有効性が期待されるかどうかについて伺いたいのですが、目的としている抗原に対して抗体ができれば、インフルエンザの治療薬として有効性が期待できるという根拠はあるのですか。私の質問の意味は分かりますか。
○機構 もう一度ご質問をおねがいします。
○関水委員 作った抗原がワクチンとしてインフルエンザの治療に役に立つことを立証する、モデルシステムがあるのでしょうか。
○機構 フェレットを用いた攻撃試験がありまして、実際にウイルスをスパイクして、本剤でブロックできるかどうかを見た試験成績があります。本剤を投与することによってインフルエンザをブロックできることが示されています。
○関水委員 動物で亜型の、この対象となる抗原について、証明されているという意味ですか。
○機構 はい。
○関水委員 そのデータはどこにあるのですか。
○機構 17ページの2.「フェレット発症予防能試験」という項目になります。
H5N1ウイルスを動物にスパイクした攻撃試験で、生理的食塩液を投与した群では生存率は0%であったのに対して、本剤を投与した群の生存率は100%という結果が出ています。また、審査報告書の19ページの上の欄にH7N9ウイルスを使ったマウスでの発症予防能試験結果が示されており、本剤群の生存率は100%、アジュバントのみの群の生存率は20%という結果が得られています。
○関水委員 分かりました。本剤を人に投与したときに、先ほど御紹介ありましたが、有効性が、そのレベルの抗体価で治療効果が期待できると考えてよいのはどうしてですか。
○機構 実際には未知のウイルスですので、どれぐらい抗体価があれば予防できるかというのは、不明というのは現実だと思います。審査では、審査報告書の27ページの一番上にお示ししたプロトタイプワクチンガイドラインにおける三つの評価基準を用いました。この基準は、季節性インフルエンザのデータをもとにかなり保守的に設定されています。
○吉田部会長 そのガイドラインは、国際的なガイドラインですか。日本の場合はどうなるのですか。
○機構 日本とEUで共通の評価基準になっています。
○吉田部会長 そのガイドラインを作ったときの根拠は、かなり明確なのですか。それともこの辺りをやっておけばいいというようなものなのですか。
○機構 新型インフルエンザですので、まだ病気が存在していないというところで、誰にも基準は分からないという現状です。ただし、季節性インフルエンザの発症予防効果のデータから保守的な基準が設定されています。
○吉田部会長 ですから、明確な根拠と言われると困るということのようです、関水先生。
○菊池委員 2.5の20ページに、今の評価基準が書いてあるのですが、これは後学のためにですが、今一般に市販されているインフルエンザのワクチンは、この値はどのぐらいを基にしているのですか。
○機構 今、即答できません。
○吉田部会長 分かりました。後で調べておいていただいて、また教えてください。
○機構 はい、後で調べて、御連絡させていただきます。
○関水委員 生じた抗体が亜型のインフルエンザに対して特異的に結合し、亜型でないものについては反応しないことが、証明されているのですか。亜型のウイルスを認識する抗体は、ワイルドのウイルスを抗原としてある程度はできるようでしょうが、それが亜型ウイルス排除に役立たないから問題になるわけですね。そのような場合、亜型ウイルスに対して特異的な抗体が本剤でできたという証明はされているのですか。
○機構 実際にパンデミックを起こしたインフルエンザでワクチンを作ることになります。したがって、ワクチンを作った株と同じ株に対して効果が期待できるわけです。一方で、例えば、審査報告書の28ページの表4の10辺りを見ていただきますと、H5N1亜型のインドネシア株のワクチンが同じH5N1亜型のVietnam株、Shanghai株、Anhui株に対して、抗体保有率や陽転率が100%近くになっているという結果も得られています。
○関水委員 亜型に対する抗体はワイルドタイプに対しても効くということをおっしゃっていると思うのですが、今、ワイルドタイプが効くかどうかは問題ではありません。すでにワイルドタイプに対してはワクチンがあるわけですから。本剤を用いて得られた特異抗体が亜型ウイルスに対して効果があるという証明が必要なのではないですか。
○機構 先ほども述べましたが、ワクチンのために実際に使うのはパンデミックを起こしたインフルエンザ株です。パンデミックの状況を考慮すると1日でも早く国民の方々にワクチンを供給するということが第一の目標とされています。したがって、パンデミックワクチンを製造しながらということになりますが、動物での検討は事前に検討されますが、実際にパンデミックを起こした株に対しての人での免疫原性を見ることは製造販売後臨床試験として実施されることになっています。
○関水委員 それは今の時点で亜型に効くというからには、何らかの理由で亜型に特異的に出てきたものについて、従来の方法では抗体が得られないけれども、この方法でやると特異的な抗体が得られるという証明が必要なのだと思うのですが。
○機構 特異性の問題ですが、インフルエンザウイルスのHA蛋白を抗原としているので、いろいろな亜型によって少しずつ変化しています。交叉反応はあると思うので、例えばH5N1の亜型でH7が来たとしても、H5を打てばH7に効く可能性はあるのですが、やはりインフルエンザですので、抗原性の変化が問題になります。
 今回の場合は、製造工程を承認するわけです。実際のワクチンを作る場合は、発生したパンデミックのインフルエンザ株を用いて作るわけですので、HAに対して効果があることは連動しているのだろうと思っています。
○関水委員 私が伺っているのは、新しい亜型のインフルエンザウイルスにはワイルドタイプにはない抗原があるはずですね。その抗原に対する抗体をこの製剤で作ることが証明されているかということです。
○機構 本剤はモデル製剤であり、これまでに確認されているのは、H5N1のインドネシア株で作ったワクチンがインドネシア株と、それに類する株に抗原性を示すことです。今後、例えばH7N9の株でパンデミックが起こった場合には、同じ株のウイルスを使ってワクチンを製造することになります。そのときには、まず非臨床試験で、パンデミック株に対する抗原性があることを確認した後に、製販後臨床試験として免疫原性が上昇していることを確認するという計画になっています。
○関水委員 それでは、私が誤解しているのだと思います。新しい亜株に対して効くであろう製剤ではないのですか。
○機構 本剤は基本的には製造方法だけを承認するモデル製剤になります。審査報告書19ページには、H7N9の亜型のウイルスを使って新たにワクチンを製造して、そのワクチンがマウスで効果があるという結果が示されています。この結果が、ほかの亜型を同じ製造方法で作った場合にも効果があるということを示していると考えます。
○吉田部会長 要するに、プロトタイプの工程だけ作っておいて、そこにH5N1を入れてみたらこうなって、H7の何とかとやってみたら、また、それはそれで効いたと。ですから、この入れ物というかワクチンの作り方に関しては、問題がないのではないかということを言っているのです。とは言え、次々に別の亜型に対応したときに、どこまで大丈夫かと言われたら、今では二つしか持ち合わせていないけれども、恐らく三つ目も四つ目もうまくいくのではないかと、そういう想定で承認するかどうかということのようです。
○関水委員 時間を取って申し訳ないのですが、これは方法ではなくて製剤に対する承認ですね。そうすると、この製剤は何に効くのですか。
○機構 製造方法に対する承認という特別な承認になっています。
○関水委員 それは失礼しました。それでは、これは全く具体的な製剤に関して、こういう製剤があって、これは新しい亜型に効くのだというのではなくて、そういうものを実際に作る方法が開発されたということですか。
○機構 そういうことです。
○関水委員 分かりました。
○吉田部会長 よろしいですか。ほかにありますか。ところで、話は変わるのですが、アビガンはエボラ出血熱に適応が通るのですか。
○審査管理課長 時間を取って申し訳ないのですが、つい昨日、一昨日ぐらいに、アフリカでやっている臨床試験の内容は、まだ中間の段階ですが公表されています。一応、国境無き医師団、あるいはフランス政府のINSERMという研究機関、この辺りが実際には主体となってやっている臨床試験です。出てきた結果を見ますと、ウイルス量が多い、あるいは内臓障害が出ている状態の患者に使った場合は、全く効いていない。ただし、ウイルス量が少なくて臓器障害が少ない患者の場合は少し手応えというか、ヒストリーからのコントロールというレベルですが、それに対する治療群の生存率が改善しているように見えるということで、少し希望が持てるような結果も一部あるという格好になっていることは、公表されています。したがいまして、いわゆる特効薬ではないという評価を、国境無き医師団の臨床家はコメントしていることが報道されている状況です。
 このような状況ですので、今の時点でアビガンをエボラで申請するという段階にはまだまだなっていないと、私どもは見ています。しかし、こういった世界的にも非常に深刻で重要な疾患に対する治療の手立ては、どうしても可能性を追求せざるを得ないということでもあると思いますので、今後もその辺りの情報についてフォローしていくように考えています。
○吉田部会長 お伺いした理由は、要するにパンデミックになった時というのは、エボラの騒ぎのような状況になったり、SARSの時のような状況になったりするわけですので、ご指摘のような有害事象とか、いろいろな懸念材料があっても、使うか使わないかの判断は我々でなくて、基本的には政府とか行政の方でやるということですね。その結果、有効例とかが出てきて、将来使えるかもしれないということになったら、それはまた適応拡大などにフィードバックされるだろう、ということを確認したかったからです。
 それでは、議題2につきまして、特にコメントはありませんか。それでは、議決に入りたいと思います。なお、田島委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。お諮りします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 異議はないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、議題3に移ります。議題3について、医薬品機構からの概要説明をお願いします。
○機構 議題3、資料No.3、医薬品トリーメク配合錠の製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。
 本剤は、HIVインテグラーゼ阻害剤のドルテグラビルナトリウムと核酸系逆転写酵素阻害剤のアバカビル硫酸塩及びラミブジンの合計3成分を有効成分とする配合剤であり、HIVの複製を阻害する薬剤です。本邦では、各有効成分の単剤は、HIV感染症に対して既に承認されています。
 本剤は昨年8月に米国、9月に欧州で承認されています。
 本申請の専門委員としては、資料No.12に記載の5名の委員を指名しました。
 審査内容について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
 審査報告書6ページの表2を御覧ください。外国人健康成人を対象とした生物学的同等性試験において、ドルテグラビル単剤とアバカビル・ラミブジン配合剤の合計3成分を併用したレジメンと本剤との生物学的同等性が示されています。また、ドルテグラビルの単剤であるテビケイ錠50mgと、アバカビル/ラミブジンの配合剤を併用した海外第III相試験の試験成績を基に、「抗HIV薬の治療経験のないHIV感染症患者」及び「インテグラーゼ阻害薬以外の抗HIV薬の治療経験のあるHIV感染症患者」における本剤に配合されている3成分を併用したときの有効性は期待できると判断しました。
 次に、安全性について、11ページの表6を御覧ください。この表は、抗HIV薬の治療経験のないHIV-1感染症患者を対象とした海外第III相試験において、5%以上の発現が認められた有害事象を示しています。これらの試験成績より、ドルテグラビル群全体と、ドルテグラビル群のうち背景治療がアバカビル/ラミブジン配合剤であった被験者で安全性プロファイルに大きな差異はないと考えられることから、本剤の対象患者について、ドルテグラビル、アバカビル及びラミブジンを含有する既承認薬剤と同様の注意喚起を行うことで、安全性の新たな懸念はないと判断しました。
 以上の審査を踏まえ、機構は、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。
 本剤は新医療用配合剤に当たりますが、再審査期間は、昨年3月に承認された、ドルテグラビルを含有する「テビケイ錠50mg」の残余期間とし、製剤は劇薬に該当し、生物由来製品又は特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しています。
 なお、薬事分科会には「報告」を予定しています。
 以上、御審議の程よろしくお願いいたします。
○吉田部会長 ありがとうございました。委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。菊池先生、解説していただけますか。
○菊池委員 解説というほどでもないのですが、逆に教えていただきたいのは、HIVの薬のときだけ事前評価レポートというのが最初にあって、それから審査報告1になるのですけれども、これは何か特別なのでしたか。普通の(HIVの薬でない)薬剤の場合は審査報告1と2となっているのです。今日の審議事項の1と2もそうですけれども、これは何か特別なのですか。
○機構 審査報告書の冒頭のページの特記事項という所に、「本品目は、平成10年11月12日医薬審第1015号に基づく事前評価対象品目である」と記載しています。これは「HIV感染症治療薬の製造または輸入承認申請の取扱いについて」という通知を指しており、HIV感染症治療薬については、海外で承認された品目に関して海外の申請資料をもって日本での承認申請前の事前評価が可能であるとされています。この通知に基づき、承認申請前の事前評価に関して事前評価レポートを作成した後、承認申請がなされ、審査報告1を作成後に速やかに部会に諮るという手順を取っています。
○菊池委員 分かりました。でも、結局やっているのは、ここの段階は機構がその評価をしているわけですね。ですからその部分は同じことですけれども、そういう取扱いで過去の公開されている審査報告書を見たのですが、大体、事前評価レポートとなっていて、そういう意味合いなのですね。分かりました。
 テビケイ錠の方の添付文書の後ろに、それぞれの同種同効薬の所に書いてあるもので、注意事項といったところのものがあります。効果・効能はHIV感染症でもちろんいいのですが、効果・効能に関する使用上の注意の但し書の全般的な取扱いの意味は、前も聞いたかもしれませんが、これはどういう扱いになるのですか。効果・効能は絶対守らなければいけないですが、それについての関連事項とか、関連する使用上の注意の一般的な取扱い方は何ですか。
○機構 明確な答えは非常に難しいと思います。HIV感染症治療薬は、従来、効能・効果を「HIV感染症」、若しくは「HIV-1感染症」としています。したがって、効果・効能に関する使用上の注意においては、その医薬品の投与にあたり使用上守っていただくべき、細かい規定を記載させていただいています。
○菊池委員 テビケイ錠と並んで書いてある資料が1-7の所にあります。1-7の3ページに効能・効果に関する使用上の注意がありますが、ここが結局、テビケイ錠の方に書かれている内容とここのトリーメク配合錠中の内容が違っていて、審査している上で違う書き方はやめてくれというのは、この前もコムプレラ配合錠のときにエジェラント錠との比較の際に言ったと思いますが、これについては機構としてどういう御説明をいただけるのですか。
○機構 御質問の内容としては、テビケイ錠で注意喚起がなされていない事項に関して、どのような理由でトリーメク配合錠で注意喚起がなされたのかという趣旨で、よろしかったでしょうか。
○菊池委員 それは中を読めば私も知っている内容なので、本来、既に市販されているテビケイ錠に対して書かれてないことが、今回、合剤である方のトリーメク配合錠の方には書かれているわけですから、その取扱いをどうされるのですかということです。
○機構 以前ご審議いただいたコムプレラ配合錠に関しては、エジュラント錠と注意喚起の内容を合わせますと説明させていただいたと思いますが、トリーメク配合錠に関しては、基本的にテビケイ錠と合わせるべき注意喚起はないと考えています。
○菊池委員 そうでしょうか。そうでないと思います。ここに書かれているのは、ドルテグラビルの添付文書には例えばラルテグラビルで耐性であったときには、倍量で使えるというようなことが書かれていたりしていますけれども、トリーメク配合錠では駄目だ(インテグラーゼ阻害剤に耐性を有する患者については推奨されない)と書かれている、その根拠なり何なりが示されてないと思います。こちらの方を変える気がないというのであれば、合剤のときの判断として私は誤っているように思います。
○機構 事前評価レポートにも記載しておりますが、テビケイ錠の用法・用量については、投与量が患者さんの前治療によって異なっていますので、用法・用量に患者さんの前治療が明記されています。一方、今回は投与量が1つしかないものですから、用法・用量に患者さんの前治療を敢えて記載する必要はなかったため、効能・効果に関連する使用上の注意の項で幾つか適正使用に関する補足説明を行っているところです。
○菊池委員 今のはいいとして、ですから、INSTI(インテグラーゼ阻害剤)の使用歴があった人に対してのドルテグラビル、要するにラルテグラビルで使った人に対し、耐性が出た人に対してドルテグラビルを使うという発想は、当然、臨床家の中に出てくると思います。でも、そのことについては切替えも推奨されないということで、ここに書かれていますね。ところが、ドルテグラビルの方には書かれていないじゃないですか。そういうことについて、かなり違うのではないかということを言っているわけです。
○機構 テビケイ錠に関しては、インテグラーゼ阻害薬に耐性を有する患者に対する臨床試験を実施しており、テビケイ錠と種々の背景治療薬を併用投与した被験者において、テビケイ錠1日2回の投与で有効性が示されたという成績が得られています。トリーメク配合錠を用いた臨床試験成績はありませんので、先ほど述べたテビケイ錠の臨床試験成績に基づき評価を行っていますが、この臨床試験では、アバカビルとラミブジンを背景治療として使用したときの有効性データがありませんでした。トリーメク配合錠は背景治療薬がアバカビルとラミブジンで固定されておりますので、インテグラーゼ阻害薬に耐性を有する患者に対する有効性データは得られていないと判断し、今回このような注意喚起をしているところです。
○菊池委員 分かりました。説明としては間違ってないと思いますが、誤解を生むかというのが心配な部分で、今までは、ここに追加されている関連する使用上の注意というのも、結局、ドルテグラビルとアバカビルとラミブジンのそれぞれについて、危ない部分が全部引っ張り出されて注意喚起されているわけですが、逆にドルテグラビルでラミブジンとアバカビルを使う場合が出てくるわけですから、そのときに対しての注意喚起をこっちでもしなくていいのかという意味合いです。
○機構 従来、HIV感染症治療薬に関しては、組合せ相手となる薬剤の使用に関して言及はしておりません。ただ、今回は配合錠で、1剤のみで治療が可能になることから、アバカビルとラミブジンを併用したデータの有無に基づき今回のような注意喚起が必要と判断しました。単剤で使用される場合の背景治療ごとの注意喚起に関しては、併用相手の選択肢が多岐にわたるということもありますので、単成分の医薬品の添付文章において、このような注意喚起を盛り込んでいくのは限界があるのかと考えています。
○菊池委員 分かりました。逆に言うと、かつての時代と違って選択肢が非常に増えてきたので迅速な審査も有り難いのですが、今日、私が申し上げたいのは、日本人での安全性を検討するというのがこの審査の大事な部分だと思いますので、そろそろ治験をやっていただいていいのではないかと私は個人的に思っています。製薬会社も、「そら海外で出た、日本でも認定してもらおう」という流れでなく、これはテビケイのときも言ったかどうか覚えていませんが、出てきた薬によって、治験をそろそろ考えていただいて、審査管理課長に聞かなければいけないかもしれませんけれども、全く治験に参加出来ない患者さんに対してはexpanded accessとか、そういうものを使って治療する形でもいいと思いますし、この評価の仕方自体、この薬自体が先ほど冒頭に伺ったような事前評価レポートという形と、その後の審査となっていること自体、特別扱いされていることにもつながりますし、整合性を取るのが非常に難しいと思います。現在はガイドラインの推奨から外れたHIV薬剤の中で、添付文書を明らかに変えてほしい部分で放置されているものがHIVの薬の中であるわけです。そこら辺のことも含めて、書類の審査をするのであれば全ての部分をまとめていただいて統括していただきたい。HIVばかり診ている人は知っているからいいですが、この薬は何で使わないのですかと言われたときに、添付文書にはこう書いてありますと言われると非常に困る現状もあります。特に新しい薬ですから国語の問題的な解釈にもなりますが、あとスタディをやっていないからできないとか、そういうことはもちろん分かりますけれども、そこら辺の書き方です。事前審査に当たった先生たちも多分、苦労してこの使用上の注意を出されて、かつ、簡潔に書かれているとは思いますが、患者さんが見たらかなり難しい話で、誰もキャッチアップできないと思います。ここにいる中で多分、議論ができているのは数名で、何でそんな熱くなっているんだろうと皆さん思っていると思います。そういったことを文書で管理するなら、どう言われても大丈夫なようにしていただきたいと思ったところです。
○吉田部会長 結局、患者さんの利便性を考えると、配合剤がますます増えてくるだろうし、それがこれからの主流になるわけでしょう。けれども、単剤での有効薬剤がどんどん開発されると、組合せが膨大になりますし、そのたびに臨床試験をやるというのも大変ですから書類でやろうかというと、それもまた難しいですね。その辺は、むしろ学会とかが中心になって、リーダーシップというか、こういう治療の最前線はこうだよというような旗振りをしていただけると、逆にこちらも助かるのではないかと思いますが。
○菊池委員 医師主導治験とかで考えても、もちろんいいのですが、結構大変なのです。病気HIVの理解が十分にない患者さんに治験の説明をする事は、それなりに大変で結構難しい部分があります。あと既に抗HIV薬を使っている人は変更して使うとか、そういうことをやっていると遅くなってしまうのですが、せめて安全性の試験ぐらいは、日本でもやるべきだと思います。これは言い方は悪いですが現場で、海外の薬が、効いて安全かどうか、勝負しているだけなのです。日本人でファースト・イン・ジャパニーズをやっているわけです。本来であればフェーズI的にやらなければいけないところを、みんな冷汗をかきながらやっているわけです。それでうまくいっていて、日本人でもうまくいきました、よかったですという報告を学会でしていることの繰り返しで、それがもう十何年間です。15年ぶりぐらいにTAF治験(エルビテグラビルを含んだ合剤の治験)ができたわけですけど、それ以降はまた治験がなく、そのまま入ってきているので、どんなものかという思いです。もともとの症例数が少ないので、そのために私の所属施設ができているのだと言われると「そうですね」となってしまうのですが。今回、今日もハイテンションで言うのは。多分、うちの委員の先生方もこの書物をあまりお読みいただいてないと思うのです。そうなると責任が重いなという思いがあって、ペラペラめくっていると国語の解釈問題から何から、ちょっと気になる部分があって申し上げた次第です。しばらくHIVの新薬は出ないと思いますので、今日は思いの丈を申し上げたというところです。
○吉田部会長 ありがとうございました。ほかにコメントはございますか。
○新井部会長代理 ちょっと素人の質問で申し訳ないですが、効くものを何でも混ぜればいいというものでもないと思いますし、どのくらい理論的な根拠があるのか。インテグラーゼとリバーストランスクリプターゼのターゲットが違うというのは、明らかにいいかという気はしますけれども、後半の二つは同じターゲットなのでしょうか。それとも、同じターゲットだけど作用点が違うのでしょうか。どういうデータがあって混ぜるメリットがあるのか、パッと見て分からなかったのです。ターゲットでなくても、例えば薬物の代謝動態で最初のものは早く代謝されたけど、後半のものは代謝されないで体内に長く残る。両方合わせるとすごくいいとか、いろいろなことはあり得ると思います。特に後半の二つを混ぜるメリットは、もうちよっと論理的な言い訳がほしいのではないかと思ったのです。
○機構 キードラッグと背景治療として核酸系逆転写酵素阻害薬を2剤加えることと、ガイドラインで規定されているところです。キードラッグは、非核酸系逆転写酵素阻害薬、プロテアーゼ阻害薬、若しくはインテグラーゼ阻害薬という形で組み合わせていくものとされています。それが抗レトロウイルス療法の治療方法として推奨されているところです。これらの組み合わせが推奨されている理由に関してまで現時点で明確にお答えすることはできませんので、調べた上で御報告させていただくことで、よろしいでしょうか。
○吉田部会長 先生、何かコメントはありますか。
○菊池委員 本来、私が答える話ではないと思いますが、HIVの薬はこの分野がものすごく進みまして、ウイルスが感染していく順序から言うと、最初はウイルスの侵入を阻害する薬があって、それから進入したRNAウイルスがDNAに逆転写するところを阻害する逆転写酵素阻害薬がありますけれども、最初に世の中にできた薬は逆転写酵素阻害剤なのです。その逆転写酵素阻害剤には核酸系と非核酸系があって、それからインテグレーションするところに関わるインテグラーゼ阻害剤というのがあるのです。その後にプロテアーゼ阻害剤があって、大きく分けると四つぐらいの作用機序の薬剤が存在するわけです。
 ただし、合剤にできないものもありますし、そこら辺で合剤にでき得るものが合剤となってきて、その中で効果が上がっているという経験則なのです。昔、逆転写酵素阻害剤しかない時代は、当然そちらがキードラッグであって、その後に出てきた非核酸系の逆転写酵素阻害剤とか、プロテアーゼ阻害剤がおまけみたいに書かれていたガイドラインだったのが、ある時点から、そっちがキードラッグに替わってきたという流れがあります。
 そういう作り方があり、日本の中でも先ほどのコムプレラというのは会社も違う所の薬が3剤混ざっています。今回のトリーメクというのは、今回申請している会社が1社でやっているので、そこら辺は自分の所のものですから混ぜられるということもあるでしょうし、ただ、日本でも簡単に混ぜられたという経緯もあると思います。ですから学問でいく部分と、昔から言われているのは全てのものをガンと最初に使って、抗癌剤が出れば導入治療みたいなことをやり、いわゆるメガハートと言うのですが、メガハートをやってから落ち着いた部分で、一番忍容性の高いものを続けていくのがいいのではないかという理屈もあるのですが、それはまだ誰も手を出していないところです。答えになっていないかもしれませんが、そういうところです。
○新井部会長代理 アバカビルとラミブジンでは、ターゲットが違うのですか。
○菊池委員 違います。これは逆転写酵素阻害剤になりますが。
○新井部会長代理 両方ともそうだけど、ターゲットは違う。
○菊池委員 違います。
○新井部会長代理 なるほど、分かりました。
○菊池委員 日本人は合剤にしなくても勤勉というか、この発言はカットしていただきたいぐらいですが、国民性というかそういう何十錠と飲むような方がいますので、例えば合剤が出たと言っても、直ぐに合剤に飛びつくわけではなく、今までどおりに何錠か分けてでも飲みたいという人もいますから、そこは世界的な趨勢としては、飲み忘れとかありますので合剤が主流となりつつありますが、逆に1錠忘れたら全部忘れるということになるので、そこはまた裏腹の考え方にもなってきます。1日1回はいいですねというわけですが、1日1回抜けたら時間的には2日分抜けるということになりますので、そこも危険性ははらんでいます。
○吉田部会長 ありがとうございました。大変勉強になりました。ほかにございますか。ないようですので議決に入りたいと思います。なお、奥田委員、前崎委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加は御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、報告事項に移ります。報告事項につきまして事務局より説明をお願いします。
○事務局 資料No.4を御覧ください。議題1『医薬品ドプラム注射液400mgの製造販売承認事項一部変更承認について』説明いたします。
 本剤は呼吸促進作用を有するドキサプラム塩酸塩水和物を有効成分とし、現在は、「麻酔時・中枢神経系抑制剤による中毒時における呼吸抑制ならびに覚醒遅延、遷延性無呼吸の鑑別診断、急性ハイパーカプニアを伴う慢性肺疾患」に係る効能・効果で承認されております。
 今般、キッセイ薬品工業株式会社より、平成11年に厚生労働省の研究開発振興課と審査管理課より出されております通知「適応外使用に係る医療用医薬品の取扱いについて」に基づきまして、「早産・低出生体重児における原発性無呼吸」に係る効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされたものです。なお、審査報告書6ページ中程少し上辺りからも記載がありますけれども、本剤は、過去に重篤な胃腸障害による死亡例等の報告があったことを踏まえ、平成7年に「新生児、未熟児」に対する使用が禁忌とされておりますが、低用量の投与であれば有効かつ副作用も軽微である可能性が報告されていること、低用量投与の有効性及び安全性が確認されたとする厚生労働科学研究の報告が公表されたこと等を踏まえ、申請されたものです。
 機構における審査の結果、本剤の早産・低出生体重児における原発性無呼吸に対する申請用法・用量での有効性は示され、認められたベネフィットを踏まえると安全性は許容可能と判断し、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。
 ただし、審査報告書24ページにありますとおり、本剤については安全性上の理由により新生児及び未熟児に対する使用が禁忌とされてきたこと、申請用法・用量における未熟児無呼吸発作患児への投与経験は限られること等を踏まえると、製造販売後調査を実施し、重篤な胃腸障害の発現状況等をはじめとする使用実態下での本剤の安全性及び有効性について、更に検討する必要があると考えており、審査報告書27ページにありますけれども、承認条件として、「本剤の早産・低出生体重児における原発性無呼吸に対する使用により重篤な胃腸障害が発現するおそれがあることから、適切な調査を実施し、調査結果を速やかに報告すること」を付すことが適切と判断いたしました。
 なお、本品目につきましては、本日御欠席の庵原委員より事前にコメントを頂いています。以下、コメントを読み上げさせていただきます。
 近年、詳細は不明ですが、低出生体重児が増加しています。低出生体重児の合併症の一つとして無呼吸発作があります。NICUにおいては、未熟児の無呼吸発作に対する治療は大切な治療となっています。ドプラムは成人の無呼吸発作に使用されている薬剤です。以前、ドプラムは今回の投与量より多い投与量を未熟児に投与し、壊死性腸炎等の重篤な副作用、副反応を合併したため禁忌となっておりました。今般、以前の投与量よりも少ない投与量で無呼吸発作に対する有効性が認められたため、再度申請されたものと理解しております。NICU医療は医療従事者への負担が大きい医療分野であり、少しでも医療従事者の負担を減らすために有効な薬剤の承認は重要です。また、承認後は安全な投与量の遵守と市販後の安全性調査も大切です。ドプラムの適応拡大をよろしくお願いします。こういうコメントを頂いています。報告事項、議題1は以上となります。
 続きまして、資料No.5を御覧ください。議題2『医薬品エンクラッセ62.5μgエリプタ7吸入用及び同62.5μgエリプタ30吸入用の製造販売承認について』御説明いたします。
 本剤は長時間作用性抗コリン薬であるウメクリジニウム臭化物を有効成分とする吸入剤です。
 今般、グラクソ・スミスクライン株式会社より、慢性閉塞性肺疾患患者を対象とした臨床試験において、本剤の慢性閉塞性肺疾患に対する有効性及び安全性は確認されたとして、「慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎・肺気腫)の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解」を効能・効果とする製造販売承認申請がなされました。
 機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。
 続いて、議題の内容の関係で恐縮ですが、資料6は後ほど御説明いたしますので、先に資料No.7を御覧ください。議題4『医薬品エルプラット点滴静注液50mg、同点滴静注液100mg、同点滴静注液200mgの製造販売承認事項一部変更承認について』報告いたします。
 本剤は、oxalato基と1,2-diaminocyclohexane基を有する白金錯体であり、現在は、「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」「結腸癌における術後補助化学療法」及び「治癒切除不能な膵癌」を効能・効果として承認されております。
 本剤については、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成26年9月5日に開催された本部会における事前評価を踏まえて、今般、株式会社ヤクルト本社から、「治癒切除不能な進行再発の胃癌」の効能・効果及び用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。なお、同部会において、国内第III相試験の結果については慎重に審査する必要があると判断されたため、本申請において、当該試験成績についてあわせて評価を実施いたしました。
 機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。
 続きまして、資料番号8-1、8-2を御覧ください。議題5『医薬品ダクルインザ錠60mg及びスンベプラカプセル100mgの製造販売承認事項一部変更承認について』報告いたします。
 資料8-1のダクルインザ錠60mg、及び資料8-2のスンベプラカプセル100mgの有効成分であるダクラタスビル塩酸塩及びアスナプレビルは、C型肝炎ウイルスのNS5A複製複合体及びNS3/4Aセリンプロテアーゼを選択的に阻害する抗ウイルス剤です。本邦において、これら2剤の併用レジメンは、genotype1のC型慢性肝炎及びC型代償性肝硬変のうち、インターフェロンを含む治療法に不適格の未治療あるいは不耐容の患者、及びインターフェロンを含む治療法で無効となった患者におけるウイルス血症の改善を効能・効果として、昨年7月に承認されております。
 今般、genotype1のC型慢性肝炎のうち、インターフェロンを含む治療法に適格の未治療の患者及びインターフェロンを含む治療後に再燃した患者を対象とした国内第III相試験が実施され、2剤併用レジメンの有効性が示されたことから、製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。
 機構における審査の結果、資料番号8-1及び8-2に示しました効能・効果にて、承認して差し支えないと判断いたしましたので、御報告いたします。
 恐縮ですが、資料No.6にお戻りください。議題3『医薬品ロンサーフ配合錠T15及び同配合錠T20の製造販売承認事項一部変更承認について』報告いたします。
 本剤は、トリフルリジンとチピラシル塩酸塩を2:1のモル比で含有する配合剤であり、現在は、「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌(標準的な治療が困難な場合に限る)」の効能・効果で承認されております。初回承認の際に、申請者が実施中であった治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌に対する本剤の有効性及び安全性の検証を目的とした国際共同第III相試験について、その評価を行うために当該試験の終了後速やかにその結果を提出することが承認条件とされております。
 今般、承認条件とされた第III相試験の成績が得られたことから、大鵬薬品工業株式会社により、効能・効果から「(標準的な治療が困難な場合に限る)」を削除する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。
 機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断いたしました。
○事務局 続きまして、報告事項議題6、「医療用医薬品の承認条件の解除について」、事務局より御説明します。
 資料No.9を御用意ください。ロンサーフ配合錠T15及び同配合錠T20に係る「承認条件に係る審査報告書」1ページを御覧ください。
 承認条件が付与された経緯については先ほども御説明しましたが、1ページ下(1)に記載していますので再度御説明します。「トリフルリジン」及び「チピラシル塩酸塩」を有効成分とする医薬品「ロンサーフ配合錠T15」「同錠T20」は、治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌患者を対象とした国内第II相試験の成績に基づいて承認申請がなされましたが、有効性及び安全性の検証を目的とした試験の結果が得られていなかったことから、平成26年3月に標準的な治療が困難な場合に効能・効果を限定して承認され、また、承認時点で実施中であった国際共同第III相試験の速やかな結果の提出に関する承認条件が付されています。今般、承認取得者である大鵬薬品工業株式会社から、当該試験の結果の報告書が提出され、機構において審査されましたので、御報告いたします。
 試験の概要について、2ページの国際共同第III相試験の項を御覧ください。本試験は、「標準的化学療法に不応又は不耐な遠隔転移を有する結腸・直腸癌患者」を対象とした二重盲検無作為化比較試験を、本邦を含む13か国で実施され、本剤群534例、プラセボ群266例の計800例を有効性解析対象とした結果がまとめられております。
 有効性について、3ページ上部の表、「OSの解析結果」を御覧ください。主要評価項目とされた全生存期間の中央値は、本剤群で7.1ヵ月、プラセボ群で5.3ヵ月でした。
 安全性について、3ページの1段落目を御覧ください。治験薬投与期間中又は投与終了後30日以内の死亡は、本剤群で533例中17例、プラセボ群で265例中30例に認められました。
 3ページ、「(3)機構における審査の概要」を御覧ください。当該試験結果に基づき、現在の効能・効果から「(標準的な治療が困難な場合に限る)」を削除する承認事項一部変更承認申請(以下、「一変申請」と略させていただきます)が行われ、本剤の有効性、安全性等については、一変申請の審査において評価が行われました。
 以上を踏まえ、本剤の有効性及び安全性の検証を目的とした第III相試験の結果が提出されたこと。試験結果の評価を行うための一変申請がなされ、先の報告の通り効能・効果を「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」として承認されたことから、第III相試験の結果の提出に関する承認条件について、対応されたものと判断しております。説明は以上です。
○事務局 報告事項、最後になりますけれども、資料No.10を御覧ください。議題7『医療用医薬品の再審査結果について』報告いたします。
 こちらは、一般的な名称は『イトラコナゾール』、販売名『イトリゾール注1%』の医薬品再審査確認等結果通知書でございます。
 この品目につきまして、製造販売後の使用成績調査等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと。すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はない「カテゴリー1」と判定したものです。報告事項は以上です。
○吉田部会長 ありがとうございました。製造販売承認事項一部変更案件が4件、承認条件の解除が1件、カテゴリー1の再審査結果が1件、これは珍しいのですが、承認された配合剤の単体での承認が1件ということです。何か委員の先生方から御質問がありましたら、お願いします。よろしいでしょうか。
 それでは、報告事項については御確認いただいたものといたします。本日の議題は以上ですが、事務局から何か報告はありますか。
○事務局 次回の部会につきまして御報告させていただきます。次回の部会につきましては3月5日(木)、午後3時から開催とさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
○吉田部会長 それでは、本日はこれにて終了とさせていただきます。皆様、御苦労さまでした。ありがとうございました。


 


(了)

備  考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された

連絡先:医薬食品局 審査管理課 課長補佐 井本(内線2746)

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