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2015年2月27日 第127回労働政策審議会労働条件分科会 議事録

労働基準局労働条件政策課

○日時

平成27年2月27日(金)18:00〜20:00


○場所

中央労働委員会講堂


○出席者

【公益代表委員】

岩村委員、権丈委員、野崎委員、守島委員

【労働者代表委員】

神田委員、新谷委員、高松委員、八野委員、春木委員、宮本委員

【使用者代表委員】

秋田委員、池田委員、鈴木委員、田中委員、平岡委員、宮地委員

【事務局】

岡崎労働基準局長、大西審議官、鈴木総務課長、村山労働条件政策課長、古瀬調査官

○議題

1 「労働基準法等の一部を改正する法律案要綱」について
2 その他

○議事

○岩村分科会長 それでは、定刻より早いのですけれども、今日御出席予定の皆様全員おそろいでございますので、ただいまから「第127回労働政策審議会労働条件分科会」を始めることにしたいと思います。

 本日、御欠席と伺っております委員の方々は、公益代表につきましては田島優子委員、村中孝史委員、山川隆一委員、労働者代表につきましては冨田珠代委員、使用者代表につきましては小林信委員でございます。

 それでは、まず事務局から定足数の報告をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○古瀬調査官 定足数について御報告いたします。労働政策審議会令第9条により、委員全体の3分の2以上の出席又は公労使各側の3分の1以上の出席が必要とされておりますが、定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 それでは、早速、本日の議題に入りたいと存じます。議事次第のとおり、本日の議題は「労働基準法等の一部を改正する法律案要綱について」でございます。

 前回の分科会におきまして、厚生労働大臣より労働政策審議会長宛てに法律案要綱の諮問がなされたところでございます。そして、その審議を行い、各委員の皆様から様々な御質問あるいは御意見を頂戴したところでございます。

 前回の分科会における審議を踏まえまして、事務局から説明がありましたら頂戴したいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○古瀬調査官 それでは、資料No.1に基づき御説明します。前回の御質問や御意見を踏まえ、法律案要綱を修正しております。修正点については、見え消しとしております。

 まず、4ページ、企画業務型裁量労働制の対象業務の追加の関係です。()()の表現について、「かつ」という文言を追加すべきとの御意見を踏まえ整理し、併せて()の最後の部分について、「契約の締結の勧誘又は締結を行う業務」と表現を明確化しております。

 5ページの3行目の下の方について、「当該事業場の労働者を代表する」と誤記の修正をしております。

 6ページの()の2行目、高度プロフェッショナル制度の健康管理時間に関する部分です。原案では「厚生労働省令で定める時間の全部又は一部を除くことを決議したとき」としておりましたが、全て除かれることもあるのかとの御質問の趣旨を踏まえ、懸念が生じないよう、「厚生労働省令で定める労働時間以外の時間を除くことを決議したとき」と表現を改めております。

 次に10ページです。まず、4行目、「労働時間等の設定の改善に関する事項について、労使協定により、全部の事業場を通じて一つの委員会」の括弧書きの部分です。委員会の設置を本社に限ることを念頭に置いた表現としておりましたが、この部分は適切でないとの御意見を踏まえ、削除しております。

 併せて、後ろから4行目の1の部分です。全部の事業場を通じて一つの委員会とする場合の労働者側委員の選出方法に係る部分について、「全部の事業場を通じて一つの委員会の委員の半数については、当該全部の事業場を通じて、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合」と修正しております。

 前回からの修正点については、以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 それでは、ただいま御説明をいただきました修正を加えた法案要綱につきまして、御意見あるいは御質問等がありましたら、お願いしたいと思います。いかがでございましょうか。

 では、八野委員どうぞ。

○八野委員 修正点以外のところでもよろしいでしょうか。

○岩村分科会長 どうぞ。

○八野委員 そうしましたら「三 年次有給休暇」について、1点ずつ意見と質問をさせていただきたいと思います。年次有給休暇については、労働条件分科会でも長い間議論されてきたということを前提の上で意見を述べさせていただきたいと思います。

 使用者による時季指定については、労働者の健康で文化的な生活の実現に資することを目的として付与されているかと思います。この年次有給休暇制度の本来の趣旨に沿った形で、使用者の時季指定について行われることが必要であるという考え方のもと、労働者への意見聴取やその後の時季指定が、労働者にとって有意義な年次有給休暇取得につながるものとなるように、それらを行うタイミングに関する明確な考え方または基準を省令や通達等できちんと提示されるべきだろうと思っています。これが意見です。

 また、1点質問ですが、使用者が一旦時季指定を行った後に業務運営上の都合等によってその時季を変更する場合、使用者はどのような手続を行うことが必要となるのか、また、当該労働者との関係の中でどのような手続が今後必要になってくるのか、事務局にお伺いしたいと思います。

○岩村分科会長 御意見の部分は御意見として承ることにしたいと思います。では、事務局より村山課長、質問についてお願いいたします。

○村山労働条件政策課長 使用者が確実に年次有給休暇を取得させる新たな仕組みに従って一度時季を指定した後に、事情が変わるなどして時季指定した日を変更するときの手続等についての御質問です。この点について、労働者の同意なしに時季指定した日を一方的に変えることは基本的に困難であると考えており、その場合の手続について、今後周知を図っていく必要があると考えております。

 以上です。

○岩村分科会長 八野委員どうぞ。

○八野委員 今、労働者の同意ということで1つ事例を挙げられましたが、そのような時季を変更する際の手続についても省令や通達等によって明確に示していくべきであろうと考えます。

 以上でございます。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでございましょうか。では、神田委員どうぞ。

○神田委員 3ページの「五 企画業務型裁量労働制」について、改めて意見を申し上げたいと思います。

 建議にも付した意見のとおり、非常に残念でありますが、今もって労側としては、この企画業務型裁量労働制の対象業務の追加については反対ということを申し上げておきたいと思います。ただ、我々の反対を押し切って、法案要綱にありますとおり対象業務の追加を行うということでしたら、運用段階において対象業務にかかわる規定が拡大解釈されることのないよう、いかなる業務が対象となるのかといった点について、誰が見てもわかるように、法定指針をしっかりとつくり込まなければならない、と思っております。したがって、法定指針の内容につきましては、今後十分な時間をかけて検討を行うよう、改めて意見として申し上げておきたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。御意見ということで承りたいと思います。

 ほかにはいかがでございましょうか。では、秋田委員どうぞ。

○秋田委員 意見という形になるのですが、1ページの「三 年次有給休暇」の2行目を見ていただくと、「年次有給休暇の付与後、一年以内の期間に時季を定めることにより与えなければならないものとする」ということで、付与後に与えるという表現になっています。これは法案要綱なので、これでもいいとは思うのですが、条文になりますと一般の実務担当者の目に触れる機会が頻繁になってまいりますので、そういった実務者に対して周知の徹底を図るという意味からは、付与後にまた付与するというわかりにくい表現ではなくて、これは取得させる義務、取得消化義務みたいなことだろうと思いますが、新たな付与義務とは別に義務が設定されるのだというのがわかりやすいような書きぶりにできたらいいのではないかと思います。これは、年休権の発生の部分と年休権の行使の部分をどちらも与えるという文言で表現していますのでこういったことになるわけですけれども、関連条項等の文言の整理もひょっとしたら出るかもしれませんが、ぜひ、そういう周知徹底のしやすい工夫をしていただければと思います。

○岩村分科会長 では、御意見ということで承りたいと思います。

 ほかにいかがでしょうか。では、鈴木委員どうぞ。

○鈴木委員 法案要綱の7ページの最初に、高度プロフェッショナル制度の選択的な健康・福祉確保措置について、「次のいずれかに該当する措置を当該決議及び就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより使用者が講ずること」とされております。他方、建議では、9ページの()の選択的措置という見出しのところで、「制度の導入に際しての要件として、以下のいずれかの措置を労使委員会における5分の4以上の多数の決議で定めるところにより講ずることとし」となっております。「就業規則その他これに準ずるもの」というのは、法案要綱で追加された要件ではないかと思っておりますが、この追加された理由についてお聞かせいただけますでしょうか。

○岩村分科会長 では、村山課長、お願いいたします。

○村山労働条件政策課長 お答えいたします。法案要綱7ページ()で、決議に加え「就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより」を追加した趣旨についてです。 ()の選択的な健康・福祉確保措置は、高度プロフェッショナル制度の対象労働者の方々の健康を確保していく上で非常に重要な措置です。そのため前回も御確認いただいたように、5ページの初めで、「()及び ()の措置を使用者が講じていない場合は、この限りではない」、すなわち、法律上の特例効果が失われるとされているほど重要なものです。したがって、労使委員会でしっかり決議していただくことが必要ですが、併せてそれを就業規則その他これに準ずるもので定めることで、確実に履行することをお願いしたいということでつけ加えたものです。

 なお、「その他これに準ずるもの」の部分は、労働者が10人未満の場合は、就業規則の義務づけがなされていないため、ほかの用例等の並びで規定しているものです。

 以上です。

○岩村分科会長 鈴木委員、いかがでございましょうか。

○鈴木委員 村山課長から御指摘のありましたとおり、高度プロフェッショナル制度の運用に関しましては、この健康・福祉確保措置の履行という点が大変重要なポイントになるものと十分理解しております。そういう意味から、選択的な健康・福祉確保措置を決議とするだけでなく、就業規則に記載するということについて理解をいたしました。ありがとうございます。

○岩村分科会長 ほかにはいかがでございましょうか。では、高松委員どうぞ。

○高松委員 私からは、5ページの「六 高度プロフェッショナル制度」について御意見申し上げたいと思っています。

 これまで労側として再三御意見を申し上げてまいりましたし、建議にも意見を付してきたとおり、今回新設される高度プロフェッショナル制度、労働時間規制と適用除外する新たな制度の創設については、労側として改めて反対であるということを申し上げておきたいと思います。

 その上で申し上げたいのですが、以前も私から発言させていただいたのですが、()に書かれている対象業務の定義についての項で、いまだに「通常」という言葉が使われております。以前も村山課長から御答弁いただいたのですが、その説明がなかなかストンと落ちないと思っています。やはり「通常」という言葉がついていますと、何が対象業務となるのかという判断において、客観的に見てその業務において関連性が高いか低いかという点を離れて、「通常」という言葉のもとに明確な基準もないまま行われることになってしまわないかという危惧を持っているところでございます。そういったことについては、特に使用者側の委員は、「建議に書かれた5業務だけでは不足だと、IT技術者等も対象にすべき」といった考えを既に新聞報道等を通じて表明されている状況の中では、余計にこの辺のところが大変危惧されているということでございます。対象業務が安易に拡大されてしまう懸念をぬぐい去れないというのが率直なところですから、改めてこの「通常」という言葉の削除を申し上げておきたいと思っております。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 村山課長、何か補足することはございますか。

○村山労働条件政策課長 お答えは繰り返しとなりますが、基本的な性格を表す観点から、「通常高くないと認められるものとして」としているものであり、一般的な法律の用例に従って、こうした書き方としていると御理解いただければと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ほかにはいかがでございましょうか。では、新谷委員どうぞ。

○新谷委員 今、村山課長から御説明いただいたところなのですけれども、「通常」という言葉については、どこにかかるのか、「通常高くない」と読むのか、「通常認められる」と読むのかがよくわからないのですね。「一般的な法律の用例に従って、こうした書き方としている」との御説明ですけれども、条文化された後は一般国民がユーザーとして読むことになります。例えば10の業務があって、そのうち8業務は時間との関連性がないのだけれども、残りの2業務は関連のある、要するに定型的な業務の部分が残っているというケースを考えた場合、「通常」関連性はないのだけれども、実はそのうちの2業務は「業務に従事した時間と成果との関連性が強い」定型的な業務が含まれるとも読めるのです。ですから、この点については後ほどお許しいただけるのであれば、公益の先生方に本当にそのように読むものなのか、一般的な法律の用例に従えばそういう解釈でよいということを、もしコメントいただけるのであれば頂戴したいということが1点です。

 もう一つは、6ページの(二)のところに対象労働者の要件が書かれています。これも前回指摘を申し上げた通り、建議の9ページには「支払われることが確実に見込まれる」ということで「確実に」という言葉があるのですけれども、法案要綱では「確実に」の文言が削除されてしまっているということと、代わりに「労働契約により」という言葉が入ってきています。この点は前回の分科会において、事務局より「『確実に支払われる』という趣旨を条文上表すときに、『使用者から支払われる』と書けば確実に支払われることになるというのが立法上の先例ある」と御説明いただきました。「確実に支払われる」という立法上の先例については、私どもも法律に先例がないかどうか確認したのですが、確かに余りないのが現状です。ただ、省令レベルでは「確実に見込まれる」という表現例が複数ありました。それでは、例えばこういうケースの場合はどう考えるのか教えていただきたいと思います。労働基準法第14条の解釈例規で見ると、「『支払われることが確実に見込まれる額』とは、個別の労働契約又は就業規則等において、名称の如何にかかわらず、あらかじめ具体的な額をもって支払われることが約束され、支払われることが確実に見込まれる賃金はすべて含まれるものであること。したがって、所定外労働に対する手当や労働者の勤務成績等に応じて支払われる賞与、業績給等その他支給額があらかじめ確定していないものは含まれないものであること。ただし、賞与や業績給でもいわゆる最低保障額が定められている部分については支払われることか確実に見込まれる場合には、その最低保障額は含まれるものであること」と書かれています。そうすると、労働契約によって支払いの算式が定められた業績給があったとします。例えば、売り上げが1億円あったら500万円払うとか、その条件が成熟すれば支払いが約束されている契約があったときに、確かに契約には書かれているのですけれども、その条件が成就するかどうかも非常に不安定であり確実性がないと言えます。このような成果給的一時金のように、契約上に支払の算式まで定められているものの不確実な条件が書かれているという場合には、法案要綱の「労働契約により」に該当するのかしないのかということを教えていただきたいと思います。

 この2点をお願いします。

○岩村分科会長 まず、村山課長、お願いいたします。

○村山労働条件政策課長 2点目の事務局への御質問についてお答えいたします。

 建議では確かに「1年間に支払われることが確実に見込まれる賃金の額が、平均給与額の3倍を相当程度上回る」と記載されており、一方で「といったことを法定した上で」と、実際に法文に移すときには技術的な含みも残している内容でおとりまとめいただいたという経緯が1点です。

 もう一つは、建議案の段階でも何度も御確認がありましたが、最も重要なポイントは、労働基準法第14条に基づく告示の考え方を参考にするという点です。新谷委員から大臣告示を一部引用して御解説と御質問をいただきましたが、その告示の考え方のとおりであると私どもとしても認識しております。

 したがって、年収要件については、厚生労働大臣が定める基準における労働契約の期間中に支払われることが確実に見込まれる賃金の額を1年当たりの額に換算した額が、省令で定める額を下回らないという考え方であり、この点について、建議から法案要綱に移す段階で考え方を変えてはおりません。

 一方で、法律や政令のレベルにおいて、「確実に」という用例がないことは事実です。そうした用例上の並びから、法案要綱において「確実に」は入っておりませんが、確実に支払われるという考え方は変わるものではないと御理解いただければと思います。

 その上で、解釈例規に書かれている、例えば何々手当や賞与といった名称がどうかということではなく、最低保障額等が定められているかなど、入り口で確実に支払われることが定まっているかによって個々について実態判断していくという考え方です。したがって、先ほどの例の不確実なものは含まれないという点は、今までの議論の中で御確認いただき、お答えしてきた内容とぶれるものではないと理解しております。

 また、こういった趣旨については、今後、具体的に立法し、仮に成立となれば、周知の段階等でしっかりとお伝えしていく必要があると認識しております。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 1点目ですけれども、公益委員にお尋ねということですが、ここの定めというのは「関連性が通常高くないと認められるものとして厚生労働省令で定める業務」ということで、厚生労働省令に委任しているわけです。したがって、その委任の幅をどう見るかというところにかかってくることになります。「通常」をとってしまうと、私などの理解では、むしろ委任している幅は広くなってしまうと考えております。ですから、「通常」という言葉入っていることによって委任の幅はそれだけ限定されていると読んで理解しているところです。いずれにしろ、ここの部分を具体的にどうするかというのは、この分科会でまた議論することになると思いますので、より具体的な議論はそのときに、ということでもよろしいのではないかと考えております。

 よろしいでしょうか。

 では、新谷委員どうぞ。

○新谷委員 ありがとうございました。先ほど村山課長から御説明をいただいたところは、労働基準法第14条に基づく告示の考え方を参考にするということで理解が進みました。しかし、私どもは労働時間規制を適用除外とする「高度プロフェッショナル制度」の創設には反対でありますが、世間的には新聞等を含めて、あたかもこの制度が導入されるようなことが書かれているうえ、そのときの書き方として「年収1,075万円」という表現がなされています。この書き方からは、業績給も含めてあたかも前年の年収合計が1,075万円を超えていれば対象になるという受け止め方をされておりますから、「解釈例規に書かれている、例えば何々手当や賞与といった名称がどうかということではなく、最低保障額等が定められているかなど、入り口で確実に支払われることが定まっているかによって個々について実態判断していくという考え方であり、不確実なものは含まれない」とご答弁いただいたように、不確実な業績給的な手当等は含まないということを早目にアナウンスしておかないと、仮に制度が導入された後に混乱を生じるのではないかという懸念がございますので、申し上げておきたいと思います。

 別件でもう一点意見を申し上げます。高度プロフェッショナル制度の7ページの()に書かれている選択的な健康・福祉確保措置について、先ほど鈴木委員も質問され、「選択的な健康・福祉確保措置を決議とするだけでなくて、就業規則に記載するということについては理解した」とお答えされていたように、これらの措置は本当に大事なところだと思っています。私どもとしては、建議の取りまとめの際にも申し上げたように、これは本来であればいずれかを講じるのではなくて、全てあるいはハとイ、ハとロという組み合わせで講じられるべきだと常々考えております。このイの項目では、いわゆる「休息時間(勤務間インターバル)規制」についての規定をしていただいているわけですが、「厚生労働省で定める時間以上の継続した休息時間を確保」するということで、省令委任という形が取られており、いまだに具体的な水準が決まっていません。よって、この「厚生労働省で定める時間以上の継続した休息時間」をどう設定するのかによって、実効性ある「休息時間(勤務間インターバル)規制」の正否が決まってくると思います。これがあまりに短い時間ですと、長時間労働を誘発するわけで、私どもとしては、この審議会の冒頭ではEU並みに「11時間」と主張をさせていただきました。これは何もEUにおける「休息時間(勤務間インターバル)規制」が11時間だから11時間と申し上げたわけではなくて、総務省による「社会生活基本調査」で生活時間に関する調査をとっておりまして、一番働き盛りの男性の3539歳の場合、いわゆる食事や睡眠、身の回りの用事といった第一次活動の時間が週平均1日あたり9時間54分と、ちょうど10時間です。これに、平日に雇用されている男性の平均的な通勤時間が週平均1日あたり1時間10分ということですので、生活に必要な時間と平均的な通勤時間とを足せば11時間ということになり、休息時間数とちょうど一致するのです。ここは省令委任という形になっており、それは法成立後に改めて労働政策審議会で決めることになりますが、「健康・福祉確保措置」に関する時間ですので、あまりも短い時間ですと、長時間労働を実効的に抑止しうるものとはなりません。私どもとしては少なくとも今申し上げたような時間数が設定されるべきであるということを重ねて申し上げておきたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。御意見ということで受け止めたいと思います。

 ほかにはいかがでございましょうか。では、宮本委員どうぞ。

○宮本委員 高度プロフェッショナル制度のところでございますけれども、7ページの()のイでございます。イをずっと読んでいくと「休息時間を確保し」という表現が出てきております。この「休息時間」という用語の定義について事務局に確認をしたいのですが、法律で「休息」というと、憲法第27条第2項で「休息」という表現が出てきます。加えて船舶関係で雇用される労働者が適用される船員法では、第64条で「休息時間」という表現が出てきています。現行法上、ごくわずかな用例しかありません。労働基準法で定めなければならない休憩時間と違って、私どもの所属するところは非常に中小企業が多いのですが、例えば中小企業の現場などでは就業規則で休息時間を定めずに、次の仕事を待っているちょっとした手の空いた時間、このようなイメージでも休息時間というようなことを使う、あるいは休息という言葉も使うことがあります。そこで、この法案要綱にある「休息時間」というのはどのような性格あるいは性質のものを指すのか、あるいはどう定義するのか。労働基準法第34条第3項に定める「休憩時間」との違いは何なのか、そこの確認をぜひお願いしたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 では、御質問ですので、村山課長お願いいたします。

○村山労働条件政策課長 お答えいたします。まず、端的に言うと、休息時間とは、労働から解放されている時間と考えております。具体的には、全体の時間から労働時間と休憩時間を差し引いた時間と考えております。これは、宮本委員の御指摘のとおり、船員法等を除けば法律レベルでの用例はありません。

一方で、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」、いわゆる改善基準告示において、使用者に拘束されない時間という意味で、全体の時間から労働時間と休憩時間を差し引いた時間が休息時間の概念として労使の間にも定着しておりますので、その理解に照らして誤解なきよう、説明を尽くしていきたいと考えております。

 以上です。

○岩村分科会長 よろしいでしょうか。

 ほかにはいかがでしょうか。新谷委員どうぞ。

○新谷委員 今、宮本委員から質問していただいて答弁をいただいたところで、労働基準法の中にも初めて「休息時間」が規定されることになるものの、その定義がどこにもありません。「休憩」であれば、労基法第34条で一斉付与の原則や自由利用の原則が定められ、既に判例等も通じてその考え方が定まっているのですけれども、「高度プロフェッショナル制度」での「休息時間」については、もちろん「休息時間」の一斉付与というのはあまり想定できないと思いますが、休憩の自由利用の原則の考え方と同様に、事業場の中に留まっておくように言われたりですとか、実際には帰宅というようなことであれば休息を与えたことにならないと思います。ですから、この点は今後もう少し議論を詰めて、真に健康・福祉確保措置として、労働から解放して心身の疲労の回復ができるようなものにしなければいけないと思いますので、これも意見として申し上げておきたいと思います。

 もう一点です。今日お示しいただいた10ページのところです。労働時間等設定改善委員会については、建議の4ページの「()労使の自主的取組の促進」の2つ目のポツに、「労働時間等設定改善法に、企業単位で設置される労働時間等設定改善企業委員会を明確に位置づけ」るということで、私どもとしてはこの企業委員会は別になくてもいいなと思っているのですけれども、いずれにせよ、法案要綱で「企業単位」という概念が初めて導入されました。もともと労働基準法の体系は事業場を単位とする法律の構成になっていますので、事業場から企業単位という概念が導入された場合に、企業単位での集団的な合意をどうするか、合意形成の仕組みをどうするかというところが新しい課題として入ってきたわけです。

 また、前回の分科会で、全部の事業場を通じて一つの委員会とする場合の労働者側委員の選出方法に係る部分についての問題点を指摘申し上げたところ、今回の法案要綱では、「全部の事業場を通じて一つの委員会の委員の半数については、当該全部の事業場を通じて、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合」と修正していただきました。その結果、私どもの危惧は大分払拭され、現状の労使関係における集団的な合意形成のプロセスと、現実の姿がかなり近づいてきたように思っております。その上で10ページの最後の4行から始まる箇所について質問です。「当該全部の事業場を通じて、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合」という部分はわかるのですが、その後に「労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名されていること」というのが出てきます。これは事業場単位におけるものを準用して書かれているのだと思いますけれども、「全事業場を通じての過半数代表」は労働法制に初めて導入されるものですので、この意味するところについて、現時点でお考えになっていることがあれば教えていただきたいと思います。

 私どもとしては、集団的な労使関係の現在の仕組み自体に大きな影響を与える部分であり、様々なパターンが想定されますので、この点は本当に混乱なきよう、慎重な検討をしないといけないと思っております。

 とりあえず以上でございます。

○岩村分科会長 それでは、村山課長、お願いいたします。

○村山労働条件政策課長 直接のお答えの前に、お手許の「労働総覧(平成25年版)」の306ページを御覧ください。労働時間等の設定の改善に関する特別措置法の第3章が、労働時間等の設定の改善の実施体制の基本的な考え方について規定している部分です。その第6条の、「事業主は、事業主を代表する者及び当該事業主の雇用する労働者を代表する者を構成員とし、労働時間等の設定の改善を図るための措置その他労働時間等の設定の改善に関する事項を調査審議し、事業主に対し意見を述べることを目的とする」の後に、委員会について2つのパターンが書かれております。1つ目は、「全部の事業場を通じて一の委員会」、もう一つは「事業場ごとの委員会」です。この法律は、労働基準法の体系の法律ではありますが、主語が事業主となっており、一つの選択肢として、全部の事業場を通じて一の委員会という形で企業労使全体で話し合うことも、立法段階から視野に入れた法律であると思います。その上で、第7条以降で与えている法律効果は、事業場ごとの委員会で一定の要件を満たすものについての労使協定代替決議機能ということです。

 他方、近年の労働時間や休日、年次有給休暇も含めた休暇の取得状況の改善に向けた取組について、企業のトップのリーダーシップや取締役会の意向、あるいは企業中央での労使の話し合いなどを通じて企業全体での改善の取組が重要性を増している中で、懸念される弊害は除く形で、この企業単位の委員会にも労使協定の代替決議機能を与えるということが、建議に至る共通の御理解だったと考えております。

 そうしたことから、「全部の事業場を通じて」という枠組みを入れている訳です。その際、企業全体での枠組みをつくろうというときに、本社事業場に企業全体の委員会を紐付けた案を前回お示ししたところ、労使の実情に合わないという御指摘をいただき、我々としても見直す必要があると考え、今回、修正した案でお示ししております。

 その上で、企業全体を通じて労働者の過半数で組織する労働組合がある場合において、その労働組合が、労側委員の推薦を行うことに関しては、現実の労使関係の実態からいっても、それほど違和感はないと思います。

 その上で、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合について、労働組合が全くない場合も含めて、例えば、全国展開しておりたくさんの事業場があり、多様な従業員の方がいる場合に、代表者の選出に当たりその意向をどう集約していくのかが課題となります。基本的な考え方として民主的である必要がありますが、全ての従業員がかかわるというのも必ずしも現実的でないということも含めて、様々な可能性があるという御指摘であります。

この部分は、確かに様々な方法が想定し得るところですが、今後この方向で法案化し、仮に成立した場合は、施行に向けてまた議論を詰める段階が来ると思いますので、この場で十分議論させていただき、あり得べきパターン、その中で、弊害を排除していく対応も含めて、よく詰めていく必要があると考えております。

 以上です。

○岩村分科会長 新谷委員、よろしいでしょうか。

 ほかにはいかがでございましょうか。特段ないということでよろしいでしょうか。

 そうしますと、次回は法律案要綱につきましてとりまとめに向けた御議論をお願いすることになろうかと思います。

 最後に、事務局から連絡事項はございますか。

○古瀬調査官 次回の労働条件分科会の日程は、3月2日、月曜日、1315時、場所は、本日と同じ中央労働委員会の講堂でございます。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 それでは、本日の分科会はここまでとさせていただきたいと思います。

 最後に、議事録の署名でございますけれども、労働者代表につきましては宮本委員に、それから使用者代表につきましては宮地委員に、それぞれお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 本日は、お忙しい中、夜遅くまでありがとうございました。これで閉会といたします。


(了)

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