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2015年2月17日 第126回労働政策審議会労働条件分科会 議事録

労働基準局労働条件政策課

○日時

平成27年2月17日(火)18:00〜20:00


○場所

共用第8会議室


○出席者

【公益代表委員】

岩村委員、権丈委員、田島委員、野崎委員、村中委員、守島委員、山川委員

【労働者代表委員】

神田委員、新谷委員、高松委員、冨田委員、八野委員、春木委員、宮本委員

【使用者代表委員】

池田委員、小林委員、鈴木委員、平岡委員、宮地委員

【事務局】

岡崎労働基準局長、大西審議官、鈴木総務課長、村山労働条件政策課長、古瀬調査官

○議題

1 報告事項
2 「労働基準法等の一部を改正する法律案要綱」について(諮問)
3 その他

○議事

○岩村分科会長 定刻より早いのですけれども、御出席予定の委員の皆様がおそろいでございますので、始めたいと思います。

 ただいまから「第126回労働政策審議会労働条件分科会」を開催することといたします。

 本日、御欠席と承っている委員は、使用者代表の秋田進委員、田中恭代委員でいらっしゃいます。

 それでは、事務局から定足数の報告をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○古瀬調査官 定足数について御報告いたします。

 労働政策審議会令第9条により、委員全体の3分の2以上の出席、又は公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされておりますが、定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 それでは、カメラ撮りはここまでとさせていただきたいと思います。

(報道関係者退室)

○岩村分科会長 早速、本日の議題に入りたいと思います。お手元の議事次第のとおり、最初の議題は報告事項でございます。現在「法制審議会民法(債権関係)部会」では、民法のうち債権関係の規定の見直しにつきまして調査審議が行われているところでございます。その状況等につきまして、事務局からの報告をいただくこととなっておりますので、よろしくお願いいたします。

○村山労働条件政策課長 それでは、資料No.1を御覧ください。法務省の法制審議会の状況についての報告資料、「民法(債権関係)の見直しについて」です。

 この資料は、法務省が公表している資料に点線で囲った部分を私どもで追記したものです。

 現在「法制審議会民法(債権関係)部会」では、民法のうち債権関係の規定の見直しについての調査審議を行っており、平成2110月に諮問が行われております。その内容は、「民事基本法典である民法のうち債権関係の規定について、同法制定以来の社会・経済の変化への対応を図り、国民一般に分かりやすいものとする等の観点から、国民の日常生活や経済活動にかかわりの深い契約に関する規定を中心に見直しを行う必要があると思われるので、その要綱を示されたい」ということです。

 そして、点線で囲った部分のとおり、今、読み上げました諮問に応じて「法制審議会民法(債権関係)部会」においては、既に99回の調査審議を行っており、平成27年2月10日の部会で民法改正要綱案がとりまとまったと伺っております。このテーマは、契約関係としての労働関係における権利義務の基本のルールを定めた労働契約法や、契約自由の原則を修正して、最低労働条件とその履行確保について定める労働基準法等々の在り方を調査審議していただいている本分科会の議論とも深いかかわりを持つ重要な動向と承知しております。

 したがいまして、法制審議会では現在、部会でおおむねとりまとまった段階ということで、今後、総会の決定や法務大臣への答申等の手続が予想されるところですが、本日現状を御報告申し上げたいということです。

 2ページから10ページの要綱案の目次のとおり、大変広範にわたる検討事項が並んでおります。時間の関係もありますので、2点に絞り御紹介いたします。

 まず、71ページです。第37に、民法の雇用の章に関する要綱案があり、「1 報酬に関する規律(労働に従事することができなくなった場合等の報酬請求権)」、72ページに「2 期間の定めのある雇用の解除(民法626条関係)」、「3 期間の定めのない雇用の解約の申入れ(民法627条関係)」となっております。

 大きな改正となる2の民法第626条関係の期間の定めのある雇用の解除について説明します。現行の民法第626条では、当事者の一方の終身の間継続するような雇用契約が想定されていることも含めて「雇用の期間が5年を超え、又は雇用が当事者の一方若しくは第三者の終身の間継続すべきときは、当事者の一方は、5年を経過した後、いつでも契約の解除をすることができる」と定められております。その上で、ただし書きで「この期間は、商工業の見習を目的とする雇用については、10年とする」と定められております。当時の時代背景もあって、このような規定になっているかと思いますが、法制審の御議論の経過として、当事者の一方の終身の間継続する雇用契約が、人身を拘束するかのように受け取られることから、その有効性を認める規定は削除するということが1点です。

 また、商工業の見習を目的とする雇用について、今日的に規定を置いておく必要が乏しいという御議論もあったということで、()のように「雇用の期間が5年を超え、又はその終期が不確定であるときは、当事者の一方は、5年を経過した後、いつでも契約の解除をすることができる」と、時宜に合わない点について削除ないし修正する改正案になっております。

 その他、雇用の章では、趣旨の明確化や、他との並びの改正、労働者保護の一層の強化の観点から、幾つかの修正がなされております。

 ここにある3つの項目以外にも、さまざまな御議論があったと承知しておりますが、同時に、こうした労働関係分野のルールについては公労使三者構成の場で議論し、ルールの在り方等について検討していくことが重要だという認識は、法制審議会の中でも共有されていたということについては付言しておく次第です。

 以上が、雇用の章の関係です。

 また、一般的なルールについても、様々な改正事項が掲げられておりますが、その中でとりわけ労働法に少なからぬ影響があるものとして、消滅時効の関係について御紹介いたします。16ページの「第7 消滅時効」です。債権の消滅時効における原則的な時効期間と起算点に関して、原則を統一するルールが掲げられている部分です。

 具体的には「民法第166条第1項及び第167条第1項の債権に関する規律を次のように改めるものとする」ということで、特に第167条第1項は、「債権は10年間行使しないときは消滅する」旨の規定ですが、これを以下のように改めるとしております。

 「債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する」として、「()債権者が権利を行使することができることを知ったときから5年間行使しないとき」「()権利を行使することができる時から10年間行使しないとき」ということで、いわゆる主観的起算点も含めた新しい統一的なルールを掲げております。

17ページの「3 職業別の短期消滅時効等の廃止」では、「民法第170条から第174条までを削除するものとする」とされております。第174条は、1年の短期消滅時効を定めているもので、この中には、月又はこれより短い時期によって定めた使用人の給料に係る債権も含まれておりますが、これについても削除すると明記されております。したがって、民法上は、先ほど述べた一般のルールに服する形になろうかと思います。この点については、現在、労働基準法第115条で労働者保護の観点から定められている賃金や退職手当等の時効と、どのように考え方を整合させていくか等の論点につき、今後整理していくことが課題になってくるものと考えております。

 現段階の御報告でした。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 それでは、ただいま御報告いただきました民法関係の法案要綱につきまして、御意見あるいは御質問がありましたら、お願いしたいと思います。

 新谷委員どうぞ。

○新谷委員 御説明ありがとうございました。

 民法(債権関係)の見直しについては、200911月より5年余にわたって法制審議会民法(債権関係)部会で論議が続けられてきたと思います。この間、山川委員におかれましてはずっとこの論議に参画いただき、大変お疲れ様でございました。私も、最初の2年間だけ論議に参画をさせていただきました。民事の基本法である民法の債権関係について、広範にわたる見直しが行われたわけですけれども、私どもとしては、「今ある労働者保護にマイナスの影響を与えないか」という点を一番懸念し、民法(債権関係)部会においてもいろいろと意見を申し上げてきました。

 この民法改正要綱案を基に、今通常国会に法案が提出され、審議されると思いますけれども、事務局にお聞きしたいのは、先ほどご説明いただいた2点目にありました「消滅時効の関係」です。ただいまも御説明がありましたように、現行法では職業別の短期消滅時効があり、第174条は、1年の短期消滅時効を定めています。これはご承知のとおり、特別法としての労基法第115条によって、労働者保護の観点から、賃金のうち退職手当を除く賃金債権は2年、退職金は5年ということになっています。今回、「()債権者が権利を行使することができることを知ったときから5年間行使しないとき」「()権利を行使することができる時から10年間行使しないとき」と、主観的起算点も含めた新しい統一的なルールに改正された場合、一般法である民法と特別法の労基法の関係でいくと、当然労基法第115条は影響を受けると思われます。もっとも、今回の民法改正の見直しの内容は多岐に渡りますので、相当な期間をもって施行時期を設定すると思いますが、いずれにしても、今ある労働関係に対しては、賃金債権の消滅時効だけではなくて、今回論議している年休の消滅時効との関係においても、実務的にかなり大きな影響があると考えます。民法の改正に伴い、特別法である労基法の時効ルールの枠組みが今後どのように改正するのか、もしくはしないのかも含めて、事務局に現時点でのお考えがあればお聞きしたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 では、事務局からお願いいたします。

○村山労働条件政策課長 労側から御提起があり、後ほど使側からもまた御意見があるかもしれませんが、御質問につき、現時点で事務局として考えているところを申し上げたいと思います。

 今後、民法の見直しが法案化されて成立し、施行されるとしても、これはさまざまな法規に非常に大きな影響を与える話ですので、施行までの期間は相当の期間とられるのだろうと思っております。私どもが承知しているところでは、それが何年ということは必ずしも示されておりませんが、法制審の事務局である法務省からも、繰り返し施行までの時間は相当期間確保したいという意向が表明されていると認識しております。

 その中で、委員の皆様からも問題提起があると思われる短期消滅時効の部分を今日はとり出して説明いたしましたが、そもそもこれだけの大改正ですので、労働法規のどこにどのような影響あるかというのは、学識的、専門的な目から見ていただき、よく課題を洗い出して慎重に議論を重ねていただくべきところと思います。

 併せて、法制審でも理解が得られた点ですが、労働法規にかかわる点については、最終的には公労使のこの場で、どうしていくのかという御議論を詰めていただくプロセスが必要だろうと思っております。

 改正法が成立しても施行までの期間がかなりあるということと、同時に、例えば主観的な起算点という考え方が、先ほどの部会の中で途中から浮上してきて最後にフィックスされた訳ですが、これを労働法の中でどういうふうに位置づけるのかといった、かなり専門的な論点もあります。さらに今後、民法の改正法案の国会審議等が行われる段階になれば、その状況や立法府の意思等もよく見極めながら、検討していくべきだろうと思っています。

 持って回った言い方になりましたが、私どもとしては、まずそのような状況を見ながら、労働法の先生、また、民法に学識の深い先生も含めて、様々な御知見をいただきながら、多面的な検証をした上で、労働基準法等の議論の必要があるということになれば、三者構成のこの場で議論を詰めていただくプロセスに入るものと、現段階では思っております。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

 では、鈴木委員どうぞ。

○鈴木委員 ただいま短期消滅時効について話がありましたので申し上げたいと思います。私どもとしては、民法改正に伴いまして労働基準法第115条の見直しの是非を検討することについては、異論は全くございません。ただ、労働基準法第115条が設定された当時、労働者の保護と取引の安全という、その両方の観点から現在の規定となったと承知しております。先ほど新谷委員からも少し御発言がございましたけれども、相当実務的には影響の大きい問題でございます。今後、本分科会で多角的な観点から議論を尽くす必要があるのではないかと思っております。

 その際、法技術的な論点等も含めて様々な角度から検討し、専門家の意見も踏まえておく必要もあるのではないかということを申し添えたいと思います。

 私からは以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、この件については、ここまでとさせていただきたいと思います。

 次の議題の2番目は「労働基準法等の一部を改正する法律案要綱について」でございます。前回の労働条件分科会におきまして、「今後の労働時間法制等の在り方について」の報告をとりまとめていただきました。そして、それをもちまして、厚生労働大臣宛てに建議がなされたところでございます。

 この建議を踏まえまして、本日、厚生労働大臣から「労働基準法等の一部を改正する法律案要綱」が諮問されております。そこで、まず、諮問の内容につきまして事務局から説明をいただきたいと思います。それでは、どうぞよろしくお願いいたします。

○古瀬調査官 それでは、資料No.2「労働基準法等の一部を改正する法律案要綱」について、説明いたします。

 これは2月13日の建議「今後の労働時間法制等の在り方について」を踏まえ、事務局において作成したものです。

 1枚目が諮問文の鑑で、次のページの縦書きの資料を御覧ください。

     労働基準法等の一部を改正する法律案要綱

  第一 労働基準法の一部改正

   一 中小事業主に対する一箇月について六十時間を超える時間外労働に対する割増

賃金率の適用

     中小事業主に対する一箇月について六十時間を超える時間外労働に対する通常

の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金の支払義務の適用

猶予に係る規定を廃止すること。

 これは、参考資料No.1の建議の2ページの()丸1に該当する部分です。

 法案要綱に戻ります。

   二 時間外労働

     時間外労働の限度基準を定めるに当たり考慮する事項として、労働者の健康を

追加するとともに、当該基準に関する行政官庁の助言及び指導に当たり、労働者

の健康が確保されるよう特に配慮しなければならないものとすること。

 これは、建議の2ページの()丸2に該当する部分です。

三 年次有給休暇

     使用者は、年次有給休暇の日数が十日以上の労働者に対し、年次有給休暇のう

ち五日については、年次有給休暇の付与後、一年以内の期間に時季を定めること

により与えなければならないものとすること。ただし、労働者の時季指定又は計

画的付与制度により年次有給休暇を与えた場合は当該与えた日数分については、

使用者は時季を定めることにより与えることを要しないものとすること。

 これは、建議の3ページの()に該当する部分です。

    注丸1使用者が時季を定めるに当たっては、労働者に対して時季に関する意見を

聴くものとすること及び時季に関する労働者の意思を尊重するよう努めなけ

ればならないものとすることを厚生労働省令で定めることとする。

注丸2各労働者の年次有給休暇の取得状況を確実に把握するため、使用者は、年

次有給休暇の管理簿を作成しなければならないものとすることを厚生労働省

令で定めることとする。

 この2つの注について、注丸1が建議の4ページの3つ目のポツ、注丸2が4つ目のポツに該当する部分です。

 次に、法案要綱の四です。

   四 フレックスタイム制

    1 フレックスタイム制の清算期間の上限を三箇月とするとともに、清算期間が

一箇月を超える場合においては、当該清算期間をその開始の日以後一箇月ごと

に区分した各期間ごとに当該各期間を平均し一週間当たりの労働時間が五十時

間を超えない範囲内において労働させることができるものとすること。

 これは建議の5ページの2 ()の1つ目と2つ目のポツです。

 法案要綱に戻ります。

     注 時間外労働に係る労使協定を届け出て、当該各期間を平均し一週間当たり

五十時間を超えて労働させた場合においては、その超えた時間について法定

割増賃金に係る規定の例により割増賃金を支払わなければならないこととす

る。

    2 一箇月を超える清算期間を定めるフレックスタイム制の労使協定については、

行政官庁への届出を要するものとすること。

 これは、建議の6ページの3行目からのポツです。

 次に、法案要綱の3です。

    3 完全週休二日制の事業場で、労使協定により、労働時間の限度について、当

該清算期間における所定労働日数に八時間を乗じて得た時間とする旨を定めた

ときは、清算期間を平均し一週間当たりの労働時間が当該清算期間における日

数を七で除して得た数をもってその時間を除して得た時間を超えない範囲内で

労働させることができるものとすること。

 これは、建議の6ページの()です。

 次に、法案要綱の4です。

    4 使用者は、清算期間が一箇月を超えるものであるときの労働させた期間が清

算期間より短い労働者について、当該労働者を労働させた期間を平均し一週間

当たり四十時間を超えて労働させたときは、その超えた時間について法定割増

賃金に係る規定の例により割増賃金を支払わなければならないものとすること。

五 企画業務型裁量労働制

    1 対象業務に次の業務を追加すること。

() 事業の運営に関する事項に関し、繰り返し、当該事業の実施を管理する

とともにその実施状況を評価し、当該評価の結果に基づき、当該事業の実

施についての企画、立案、調査及び分析を行う業務

(二) 法人である顧客の事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査

及び分析を行い、これらの成果を活用した商品の販売又は役務の提供に係

る当該顧客との契約の締結に向けた業務

これは、建議の7ページの()の1つ目のポツです。

 法案要綱に戻ります。

    2 対象業務に従事する労働者の労働時間の状況に応じた当該労働者の健康及び

福祉を確保するための措置であって、当該労働者に対する有給休暇(年次有給

休暇を除く。)の付与、健康診断の実施その他の厚生労働省令で定めるものを

企画業務型裁量労働制の委員会の決議で定めるところにより使用者が講ずるも

のとすること。

 これは、建議の7ページの()の3つ目のポツです。

    3 企画業務型裁量労働制において、使用者が具体的な指示をしない時間配分の

決定に始業及び終業の時刻の決定が含まれることを明確化すること。

     注 3については、専門業務型裁量労働制においても同様の改正を行うことと

する。

 これは、建議の8ページの()の1つ目のポツに該当する部分です。

   六 特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)

    1 賃金、労働時間その他の当該事業場における労働条件に関する事項を調査審

議し、事業主に対し当該事項について意見を述べることを目的とする委員会(使

用者及び当該事業場の労働者を代表とする者を構成員とするものに限る。)が

設置された事業場において、当該委員会が委員の五分の四以上の多数による議

決により()から()までに掲げる事項について決議をし、かつ、使用者が、

当該決議を行政官庁に届け出た場合において、()に掲げる労働者の範囲に属

する労働者(以下「対象労働者」という。)であって書面等の方法によりその

同意を得た者を当該事業場における()に掲げる業務に就かせたときは、労働

基準法第四章で定める労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定

は、対象労働者については適用しないものとすること。ただし、()及び()

の措置を使用者が講じていない場合は、この限りではないものとすること。

(一)高度の専門的知識等を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得

た成果との関連性が通常高くないと認められるものとして厚生労働省令で

定める業務のうち、労働者に就かせる業務(以下「対象業務」という。)

 この対象業務の部分は、建議の8ページの4 ()です。

(二)特定高度専門業務・成果型労働制の下で労働する期間において次のいず

れにも該当する労働者であって、対象業務に就かせようとするものの範囲

       イ 使用者との間の書面等の方法による合意に基づき職務が明確に定めら

れていること。

       ロ 労働契約により使用者から支払われると見込まれる賃金の額を一年間

当たりの賃金の額に換算した額が基準年間平均給与額(厚生労働省にお

いて作成する毎月勤労統計における毎月きまって支給する給与の額を基

礎として厚生労働省令で定めるところにより算定した労働者一人当たり

の給与の平均額をいう。)の三倍の額を相当程度上回る水準として厚生

労働省令で定める額以上であること。

 これは、建議の9ページの()です。

() 対象業務に従事する対象労働者の健康管理を行うために当該対象労働者

が事業場内にいた時間(1の委員会が厚生労働省令で定める時間の全部又

は一部を除くことを決議したときは、当該決議に係る時間を除いた時間)

と事業場外において労働した時間との合計の時間(以下「健康管理時間」

という。)を把握する措置(厚生労働省令で定める方法に限る。)を当該

決議で定めるところにより使用者が講ずること。

 これは、建議の9ページの()の健康管理時間の関係です。

(四) 対象業務に従事する対象労働者に対し、次のいずれかに該当する措置を

当該決議及び就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより使用

者が講ずること。

       イ 労働者ごとに始業から二十四時間を経過するまでに厚生労働省令で定

める時間以上の継続した休息時間を確保し、かつ、深夜業の回数を一箇

月について厚生労働省令で定める回数以内とすること。

       ロ 健康管理時間を一箇月又は三箇月についてそれぞれ厚生労働省令で定

める時間を超えない範囲内とすること。

       ハ 四週間を通じ四日以上かつ一年間を通じ百四日以上の休日を確保する

こと。

 これは、建議の9ページの()の選択的措置の関係です。

() 対象業務に従事する対象労働者の健康管理時間の状況に応じた当該対象

労働者の健康及び福祉を確保するための措置であって、当該対象労働者に

対する有給休暇(年次有給休暇を除く。)の付与、健康診断の実施その他

の厚生労働省令で定めるものを当該決議で定めるところにより使用者が講

ずること。

 これは、建議の10ページの()丸4の関係です。

() 対象業務に従事する対象労働者からの苦情の処理に関する措置を当該決

議で定めるところにより使用者が講ずること。

 これは、建議の1011ページにかけての()丸5です。

(七)   使用者は、同意をしなかった対象労働者に対して解雇その他不利益な取

扱いをしてはならないこと。

これは、建議の11ページの()丸6です。

() ()から()までに掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項

    2 1の届出をした使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、1の()

()の措置の実施状況を行政官庁に報告しなければならないものとすること。

これは、建議の11ページの()です。

    3 企画業務型裁量労働制の委員会に関する事項は、1の委員会に関する事項に

ついて準用するものとすること。

   七 罰則

     三及び四の2に違反した使用者については、所要の罰則を科すものとすること。

   八 その他

     その他所要の規定の整備を行うこと。

 次の第二の一〜四については、建議の10ページの「高度プロフェッショナル制度」の「面接指導の強化」の部分に該当します。

  第二 労働安全衛生法の一部改正

   一 事業者は、特定高度専門業務・成果型労働制の対象労働者であって、その健康

管理時間が厚生労働省令で定める時間を超えるものに対し、厚生労働省令で定め

るところにより、医師による面接指導を行わなければならないものとすること。

    注 健康管理時間について、一週間当たり四十時間を超えた場合のその超えた時

間が一月当たり百時間を超えた労働者について面接指導を実施すべき旨を厚生

労働省令で定めることとする。

   二 一の労働者は、一の面接指導を受けなければならないものとすること。

   三 事業者は、一の面接指導の結果の記録、当該面接指導の結果に基づく必要な措

置についての医師の意見の聴取、及びその必要があると認める場合の職務内容の

変更、有給休暇(年次有給休暇を除く。)の付与、健康管理時間が短縮されるた

めの配慮等の措置を講じなければならないものとすること。

   四 一に違反した事業者に対し、所要の罰則を科すことその他所要の整備を行うも

のとすること。

注 現行の面接指導制度に関し、全ての労働者を対象として、労働時間の把握に

ついて、客観的な方法その他適切な方法によらなければならないものとするこ

とを厚生労働省令で定めることとする。

 この注の部分は、建議の3ページの()の1つ目のポツです。

 次の第三は、建議の4ページの()の「労働時間等設定改善法」の部分です。

  第三 労働時間等の設定の改善に関する特別措置法の一部改正

   一 「労働時間等の設定」の定義に、深夜業の回数及び終業から始業までの時間を

追加すること。

   二 一定の要件を満たす衛生委員会を労働時間等設定改善委員会とみなす規定を廃

止すること。

   三 事業場ごとに、当該事業場における労働時間等の設定の改善に関する事項につ

いて、労使協定により、全部の事業場を通じて一つの委員会(事業運営上の重要

な決定が行われる一つの事業場に設置されるものに限る。)であって、1から3

までの要件に適合するもの(以下「労働時間等設定改善企業委員会」という。)

に調査審議させ、事業主に対して意見を述べさせることを定めた場合であって、

労働時間等設定改善企業委員会でその委員の五分の四以上の多数による議決によ

り、代替休暇、年次有給休暇の時間単位取得及び計画的付与制度に関する事項に

ついて決議が行われたときは、当該決議はこれらの事項に関する労使協定と同様

の効果を有するものとすること。

    1 全部の事業場を通じて一つの委員会の委員の半数については、当該事業運営

上の重要な決定が行われる一つの事業場に、労働者の過半数で組織する労働組

合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合が

ない場合においては労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名されてい

ること。

    2 全部の事業場を通じて一つの委員会の議事について、厚生労働省令で定める

ところにより、議事録が作成され、かつ、保存されていること。

    3 1及び2に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める要件

  第四 附則

   一 施行期日

     この法律は、平成二十八年四月一日から施行すること。ただし、第一の一につ

いては、平成三十一年四月一日から施行すること。

   二 経過措置等

     この法律の施行に関し必要な経過措置を定めるとともに、関係法律について

所要の整備を行うこと。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 それでは、ただいま事務局から説明をいただきました法案要綱につきまして、御意見あるいは御質問がありましたら、お願いしたいと思います。

 では、鈴木委員どうぞ。

○鈴木委員 別紙の1ページ目の後ろから3行目に、年次有給休暇の記述がございます。年次有給休暇のうち5日について、年次有給休暇の付与後1年以内の期間に時季を定めることにより与えなければならないとされている部分でございます。御案内のとおり、法定の年次有給休暇は勤続6か月で10日の年次有給休暇を付与し、勤続1年6か月目に11日の年次有給休暇を付与するわけでございますが、そうした法定どおりに毎年、年次有給休暇を付与する場合には、1年に5日以上年次有給休暇を付与する起算点と終点というのは、毎年10月1日と9月30日それぞれになろうかと思います。しかしながら、企業の運用として、例えば4月1日に入社いたしまして、6か月後の10月1日に10日を付与した後、翌年の4月1日を翌年以降の統一起算日として設定したうえ、11日を付与するという企業がございます。この場合、年間5日以上年次有給休暇をとってもらう期間の起算日と企業の年次有給休暇付与日を合わせないと、実務上大変管理が困難だという声を聞くところでございます。したがいまして、起算日や年次有給休暇消化の考え方につきましては、実務に即した仕組みとなるよう、ぜひ御検討いただきたいと思っております。

 私からは以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 事務局から何か今の点に関してありますか。村山課長、お願いします。

○村山労働条件政策課長 貴重な御指摘をいただきました。4月1日入社の場合、初回付与日を法律どおり10月1日として、年休年度を翌年の9月30日までとしている企業もあれば、年休年度と事業年度との乖離を解消するべく、前倒し付与を行い、年休年度を4月1日から翌年の3月31日までとしている企業等もあります。また、最初の年は10月1日に10日付与し、翌年4月1日で11日付与するとともに、2年目以降は4月1日から3月31日までを年休年度とする企業もあると思います。また、雇用形態によって起算日を使い分けている企業もあると思います。

 法律上は、雇入れ後6か月経過日から起算した継続勤務年数により加算される年休の日数が定まっていくのが労働基準法の年次有給休暇の仕組みですので、4月1日雇入れの場合の起算点のベースは10月1日であり、法案要綱はそれに即して策定しております。その上で、多様な実務の実態に即した運用をどのように考えていくのかということについて、法案要綱に即して説明すると、1ページの後ろから2行目「年次有給休暇の付与後、一年以内の期間に時季を定めるところにより」の「付与後1年以内」にどのように様々なパターンを読み込んでいくのかということになると思います。大変貴重であるとともに、難しい御指摘ですので、宿題とさせていただき、今後条文化していくときや法案成立後、解釈を示していくときなどに、どのように整理して対応していくのか、考えたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 よろしいでしょうか。

 ほかにはいかがでしょうか。新谷委員どうぞ。

○新谷委員 今、鈴木委員が年次有給休暇の項で質問されましたので、私もその項で先に質問させていただきます。

 今回示された要綱案の中に、使用者が年休の時季指定義務を履行すべきタイミングについて、初めて「一年以内の期間に」という文言が追加されました。もちろん年次有給休暇は1年単位ですから「一年以内の期間」という文言が追加されたのでしょうけれども、要綱案2ページに注丸1があって、これは報告書にも書かれておりますように、「使用者が時季を定めるに当たっては、労働者に対して時季に関する意見を聴くものとすること及び時季に関する労働者の意思を尊重するよう努めなければならないものとすることを厚生労働省令で定めることとする」ことが前提になっているわけです。

 当初、骨子案では、意見聴取のタイミングは、「年休権を有する労働者に対して時季に関する意見を『速やかに』聴くよう努めなければならないこと」と書かれてありました。骨子案において、労働者への意見聴取は努力義務とされていたと思いますけれども、労働者に対する意見聴取のタイミングは、この「一年以内の期間」との関係で、どのタイミングで聞かなければいけないのかという点を事務局にお聞きしたいと思います。先ほどの鈴木委員の御発言ですと、企業が仮に年休年度について4月1日を基準日として運用しているとすれば、10月1日で半年たち、3月末で1年となりますから、この年休年度の終わりに近くなった「どん詰まり」の時季である3月下旬くらいになって、意見聴取・時季指定をされたのでは、労働者の意向に沿った年休取得は難しくなってしまう。「一年以内の期間」に使用者が時季を指定するといったときに、意見を聴取するタイミングはどのように考えておけばいいのかということをお聞きしたいのが1点です。

 2点目は、今回要綱案に盛り込まれている時季指定義務との関係です。労働者の時季指定は、事業に影響を与えないように分散して指定するというのが通常の例だと思いますが、ある事業所で一斉に同一日に時季指定を行うということも今の法律では何も規定されていませんから、限界事例に近いかもしれませんけれども、使用者が、「経営不振による一時帰休」への対応として、事業場の全労働者に対して同一の日を年休として一斉に時季指定した場合の扱いはどうなるのでしょうか。助成金との関係もあるかもしれませんけれども、権利濫用の反対で義務濫用といいますか、法の趣旨を潜脱するような形でこの義務の履行を行ったときにはどのように防止するのか、防止することができるのかということをお聞きしたいと思います。

 3点目は、年次有給休暇の論議をする際に山川委員からも、時季指定をしたその日に労働者が労働してしまったときの扱いについては、現行法の計画的付与の扱いを参考に決めるということで御示唆いただいたと思います。それでは、5日という時季指定義務との関係で、この問題をどのように考えればいいのか、すなわち、使用者が時季指定を行ったにもかかわらず労働者が当該指定された日に労務を提供してしまった場合、使用者の時季指定義務については履行されたものと取扱われるのか否かという点についてお聞かせいただきたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 では、村山課長、お願いします。

○村山労働条件政策課長 まず、時季指定のタイミングについて、骨子案にさかのぼっての御指摘がありましたので、骨子案と法案要綱との性格の違いも含めて、説明いたします。

骨子案は、年次有給休暇を一定の高い取得率まで取らない限り、一定の日数を与えることをベースにした案であり、これを実現するには会社と労働者との様々な調整が必要だから、早めに調整に着手することが求められると考え、「速やかに」と入れておりました。

 建議の案は、分科会での議論と調整を経て、労働者の時季指定や計画的付与、新たに使用者に義務づけられる仕組みによる取得など、何らかの形で5日間を取得すれば、その方について使用者は時季指定の義務から解放されるという枠組みに変更する中で、「速やかに」を置く必要性が薄れたため、削除したという経緯です。

 ただ、年休年度の終わりに近くなった「どん詰まり」で時季指定することは避けるのが望ましいことは当然と思いますので、最後の時季になって指定しようと思ったけれども事業の運営上難しくなってしまうといったことを避けるよう、なるべく速やかに時季指定していただくよう誘導していくことが必要という思いは変わっていない旨、申し上げたいと思います。その点、法案要綱には記載しておりませんが、考え方としてはそういうことです。

 2点目は、具体的な事例にもよりますが、業務の繁閑によって計画的に付与することを労使で話し合ってできるということであれば、それも可能な選択肢になろうかと思います。年次有給休暇を取りやすい環境の整備や計画的付与の実施も含めて、使用者にはできるだけ、年休年度の終わりが近づく前に義務を履行いただくことが望ましいと思います。

 3点目については、前回の分科会でも申し上げましたが、計画的付与の場合と同様に、時季指定した日に労働者が出勤しても、使用者は就労を拒否できるという前提で考えていくべきものと思います。ただ、例えば、使用者が知らない状態の中で出勤して働いてしまった場合についてどのように考えるか等は、個別の判断になってくる面もあるのではないかと、現段階では考えております。

○岩村分科会長 いかがでしょうか。では、新谷委員どうぞ。

○新谷委員 その「速やかに」という文言を削除した経緯は、御説明いただいた面はあると思いますけれども、そもそも、年次有給休暇というのは、労働者の健康で文化的な生活の実現に資するために、労働者に対し、休日の他に毎年一定日数の休暇を有給で補償する制度です。例えば、時季指定に際して意見を聞かれたにもかかわらず、「明日が休暇なので休むように」と指定された場合には、当然労働者は家族も含めて何の準備もできませんので、相応の期間をおいた事前の意見聴取とそれに対する配慮というのはセットで運用されないといけないと思います。それは、もちろん法律に明記するか否かという問題は別途ありますけれども、年次有給休暇の趣旨に鑑みれば、時季指定のタイミングについては、労働者の意見聴取との関係で相応の期間が設定されるべきであるので、ぜひ検討いただきたいと思います。

 それと、先ほど申し上げた、「経営不振による一時帰休」への対応として、事業場の全労働者に対して同一の日を年休として一斉に時季指定した場合の扱いについては、「年次有給休暇を取りやすい環境の整備や計画的付与の実施も含めて、使用者にはできるだけ、年休年度の終わりが近づく前に義務を履行いただくことが望ましい」とご答弁いただきましたが、計画的付与は書面による労使協定という手続が必要となる一方で、使用者の時季指定義務では手続要件が何も入っていないため、手続要件の履行という煩雑な手続きを手続を踏むことなく一斉に休暇を指定するという、まさしく法の趣旨を悪用するような、潜脱するような形でこの義務の履行される可能性があるわけです。これに対して、どうやって法の悪用を防止するのかということも当然考えておかないといけないと思いますので、事務局としてぜひ、どういうロジックで防止策を構築するのかということをお考えいただきたいと思います。

 その上で、別件でもう一つよろしいですか。

○岩村分科会長 年次有給休暇から離れますか。それでは、今、鈴木委員のお手が挙がっていたので、鈴木委員からまずお願いします。

○鈴木委員 ありがとうございます。

 先ほど、新谷委員から、どん詰まりの使用者の時季指定は望ましくない、今日の明日というのは望ましくないとおっしゃられました。その点は同感でありまして、何らかの形で周知徹底することが大切だと思います。

 一方で、年次有給休暇がなかなか取れないという事情の一つに、小さな事業場で人数が少なくて、需要の変動も大きいことが揚げられます。その際、1か月先あるいは数週間後にようやく一段落しそうだというところで年休を取ってもらうこともあろうかと思いますので、そういった事情とのバランスについても考えて、今後、労側委員の皆さんとも議論を重ねてまいりたいと思っております。

 それだけでございます。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 年次有給休暇について、ほかにはよろしいでしょうか。それでは、新谷委員どうぞ。

○新谷委員 では、要綱案の第一の「二 時間外労働」における行政官庁の助言・指導の点で質問させていただきたいと思います。

 「時間外労働の限度基準に関する行政官庁の助言及び指導」に当たって、要綱案では「労働者の健康が確保されるよう特に配慮しなければならないものとする」と書かれており、配慮が義務である旨が明確にされています。この点、報告書は「労働者の健康が確保されるよう配慮する旨を労働基準法に規定する」ということでしたけれども、要綱案は「配慮しなければならないものとする」と行政に対してさらに踏み込んだ義務を課したものとなっています。しかし、これは報告書の時点からもそうなのですけれども、「配慮しなければならない」のはあくまで行政官庁の義務であって、労働者の健康の確保に向けた助言・指導ということについて使用者の義務はどこにも書かれていません。労働者の健康の確保ということについて労働基準法に規定することになると思いますが、行政が健康に配慮した助言指導を行うことによって、具体的には使用者に対してどのような効果、実効性を伴うのか。要綱案の内容ですと、あくまでも行政庁の義務でしかないので、どのようにして使用者の義務としての労働者の健康確保につながっていくのかを御説明いただきたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 では、村山課長お願いします。

○村山労働条件政策課長 お答えする前に、先ほどの計画的付与の御質問に対するお答えは、ルールの潜脱といったことではなく、一斉に取らせることができる場合であれば、労使で話し合いを尽くして、手続を経て対応いただくことも一つの選択肢ではないかという趣旨であることを付言いたします。

 その上で、ただいまの御質問ですが、具体的には労働基準法第36条の改正になります。そもそも労働基準法第36条の構造は、過半数労働組合又は過半数代表者との労使協定にはじまり、労働時間の延長を適正なものとするため大臣は、延長の限度等について基準を定めることができるという、いわゆる時間外限度基準告示の根拠規定があり、そして、行政官庁はその基準に関して労使に対して必要な助言及び指導を行うことができるという、指導の根拠規定を置く構成になっております。

 そして、今回の建議で追加する内容は、行政官庁の助言指導の基本的な精神として、労働者の健康が確保されるよう配慮するという旨ですので、法案要綱にもその内容で記載しております。

 その上で、御質問の点は、長時間労働を前提としている使用者に対する対応の根拠になっているのかということです。確かに、現行の労働基準法第36条に助言指導の際の基本精神が追加されるだけで、具体的に何がどうなるのかという疑問を持たれるのは、自然なことと思います。この点については、建議に至る審議において、労側委員から、現行の時間外労働の特別条項の在り方について、量的上限を設定すべしとの御意見とともに、特別条項により限度時間を超えて労働した場合の健康確保措置について労使で定め、様式の中に記入するよう規定すべきという御意見をいただいた経緯があり、その後の議論を踏まえ、建議にも明記されております。

 その内容については、労働基準法施行規則や限度基準告示に規定することになりますので、法律レベルでは法案要綱の内容が追加されるだけですが、この基本精神を具体化するために、時間外労働の特別条項を労使間で協定する場合の様式を定め、その中に、現行の限度基準告示の内容に加え、限度時間を超えて労働した労働者に講ずる健康確保措置を必須の協定事項として追加するということです。特別条項の労使協定を結ぶときには、必ず労使で健康確保措置についても話し合った上で、行政官庁に届け出ていただき、それが必要な助言指導にもつながっていく流れを考えております。仮に本件を法案としてまとめ、国会で成立させていただければ、その後に所要の政省令、告示等の改正を行うことになると思いますが、それにより必要な助言及び指導の趣旨が貫徹されるものと考えております。

 以上です。

○岩村分科会長 では、新谷委員どうぞ。

○新谷委員 今回の法案要綱の審議は、前回取りまとめられた横書きの報告書を「法律として縦書きにする際にどう表現するか」ということを議論することになります。労働基準法第36条の構造や今回の報告書で追加する内容は御説明いただいたとおりなのですけれども、ただ、今回の「行政指導の根拠規定を置いて、具体的な様式の改定で指導していく」というロジックは、非常に間接的な行政指導の仕組みではないかと私どもは再三申し上げているとおりです。繰り返しになりますけれども、労働者の健康の確保のためには、実効性、強制力ある法的規制を設けることが第一義的なものではないかということも申し上げておきたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。では、冨田委員どうぞ。

○冨田委員 フレックスタイム制につきまして2点確認をさせていただきたいと思います。

 法案要綱でいきますと3ページの4のところで、割増賃金の支払に関する記述がなされているのですが、先ほど御説明を受けたときにも、この部分が報告書のどの部分を受けて書かれたかという御説明がなかったかと思いますので、これは報告書のどの部分に該当しているのかを確認させていただきたいと思います。例えば、清算期間の途中で退職されるとか、定年を迎えられる、もしくは制度のないところに転勤を命じられるとか、いろいろなケースへの当然の対応措置としてとは思っておりますが、念のため確認させていただきたいと思います。

 それから、関連して2点目ですけれども、4の法案要綱の箇所では、「清算期間が1か月を超えるものであるときの労働させた期間が清算期間より短い労働者」について、平均して週40時間を超えて労働させたときは割増賃金の支払義務が生じると書かれているのですけれども、このことと2ページの1の注記には、「清算期間が1か月を超える場合においては、平均して週50時間を超えて労働させた場合においては割増賃金を支払わなければならない」とされておりまして、そのこととの関係はどういうふうに理解すべきかについても確認させていただきたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 それでは、村山課長お願いします。

○村山労働条件政策課長 お答えします。

1点目として、清算期間の途中での入社、退社等についての内容が、建議のどこに対応しているかという御質問です。これについては建議で対応している部分はありません。建議ではそこまで細かく書き切れていなかったということで、当時十分に御審議いただけなかった点があったらお詫びしたいと思います。

 その上で、この規定を置く必要性ですが、仮にこの規定を置いていないと、例えば、清算期間を3か月とする労使協定を結ばれた事業場において、1か月半で退職した労働者がいる場合、半月分をどのように処理するかがはっきりしないという問題が生じます。制度の趣旨から言って、仮に、その月在籍された方の日数をX日とすれば、「40時間掛ける7分のX日」をベースとして、それを超える労働時間については割増賃金の支払いの対象になることを明確化する必要があるという判断から、御指摘の内容を記載した上で、諮問したものです。

 なお、フレックスタイム制とは基本的な制度の性格の違いがありますが、1年単位の変形労働時間制の場合に全く同じ現象が起こり得ます。その対応として、労働基準法第32条の4で1年単位の変形労働時間制について規定した上で、第32条の4の2で期間途中での清算の規定を置いて、それによって必要な割増賃金が払われないという事態を防いでいることを御参照いただければと思います。

 2点目です。ただいま申し上げたように、例えば1か月半や2か月半お勤めで、3か月未満で退職された方の場合、そこまでの月について「50時間掛ける7分の30日又は31日」の計算をして、単月でその枠を超えた場合に処理をしていく規定は何ら適用を排除されているものではありませんので、その点は両立していると御理解いただければと思います。この点については、法案要綱を読んでいただいても、特に違和感なく理解いただけるところではないかと考えております。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 ほかにはいかがでしょうか。小林委員どうぞ。

○小林委員 先ほど新谷委員が時間外労働の件で1ページ目で御指摘されたのですが、読んでいて違和感を持ったところがあります。1行目の「時間外労働の限度基準を定めるに当たり考慮する事項として、労働者の健康を追加する」と書いてあるところです。建議を見ると「労働者の健康が確保されるよう配慮する旨」とか、後ろを見ると裁量労働制のところでは、「労働者の健康を確保するための措置」と言い切っています。建議段階での私の認識としては、労働者の健康を確保するための措置というのが規定されると思っていたのですが、いずれにしても「労働者の健康を追加する」というのは文章になっていないので、それが明確になるような記述で表していただければありがたいなと思います。健康を確保する措置なりをとった上で、当該基準に関する行政庁の助言云々ということで、両方で措置するということが規定できればと思っていますので、御配慮願いたいと思います。

 それと、もう一つ言葉の問題ですが、「三 年次有給休暇」で「使用者は、年次有給休暇の日数が」というのは「付与日数」が適切なのではと思うので、この辺も御検討いただければと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 では、村山課長、お願いします。

○村山労働条件政策課長 御指摘の1点目は、違和感を与える書き方になっていたとしたら申し訳ないと思うところです。労働基準法第36条、時間外及び休日の労働に関する条があります。今般ここに、労働者の健康が確保されるよう特に配慮しなければいけないということを行政指導の基本精神として入れようとしている訳ですが、それと別の話として、第2項、「厚生労働大臣は、労働時間の延長を適正なものとするため、前項の協定で定める労働時間の延長の限度、当該労働時間の延長に係る割増賃金の率その他の必要な事項について」の後に「労働者の福祉」があります。これは古い条文なので、当時の時代感覚では「福祉」という一言で健康も含めて読んでいたのだろうと思います。他方、後に追加された条文、例えば、労働基準法第38条の3第1項第四号に、「対象業務に従事する労働者の労働時間の状況に応じた当該労働者の健康及び福祉」と、長時間労働に対する健康問題への対応が独立したものとして意識されるに従って、健康と福祉を並列で追記するという流れもある訳です。今回、「労働者の健康が確保されるよう特に配慮」を追加することに併せて、第36条第2項の「福祉」を「健康及び福祉」に改めてはいかがかということです。この点、法案要綱にする段階でやや舌足らずな表現で申し訳なかったと思っております。

 2点目の付与日数の点に関しては、今後の説明等に当たり十分留意していきたいと考えております。

 貴重な御指摘ありがとうございました。

○岩村分科会長 要綱という形をとるものですから、表現に限界のある部分がどうしてもございますので、御理解を賜れればと思います。

 ほかにはいかがでしょうか。では、八野委員どうぞ。

○八野委員 企画業務型裁量労働制のところになります。報告書で言いますと7ページ、法案要綱では4ページになります。企画業務型裁量労働制の対象業務に追加される「法人顧客への課題解決型提案営業の業務」について、2点ほどお伺いしたいと思っております。

 まず1点、報告書の7ページでは「企画、立案、調査分析と一体的に行う営業業務」ということで、「一体的」という言葉がありました。法案要綱では「企画、立案、調査及び分析を行い、これらの成果を活用した」ということであって、「一体的」といった言葉が書かれていません。そこで「一体的」にと「これらの成果を活用した」が同義という趣旨で用いられているのか、また、このような文言にしたのはどういうことなのかを確認したいと思っています。これは、もう一つの追加業務のところでも同様のことが言えるかと思います。

 次に、2点目ですが、報告書では「商品やサービス内容に係る課題解決型提案営業の業務」と、対象業務に追加されるのは営業業務であるということが明確にここでは表現されています。しかし、法案要綱を見ていきますと「商品の販売又は役務の提供に係る当該顧客との契約の締結に向けた業務」となっておりまして、営業業務に限ることなく契約締結に向けた事務的業務なども含むような記載となっています。このように「契約の締結に向けた業務」とされてしまうと、契約締結を目的とする幅広い業務が読み込まれ、報告書よりも対象業務が拡大されかねないかという懸念があります。やはり、ここに記載については営業業務に限られるということが明確になるように、報告書でもあったように「商品の販売又は役務の提供を当該顧客に行う業務」といった形で規定すべきではないかと考えています。

 この2点についてお伺いしたいと思います。

○春木委員 関連してよろしいですか。

○岩村分科会長 どうぞ、春木委員。

○春木委員 今、八野委員からもありましたように、法人顧客への課題解決型提案営業の業務については、法案要綱の()の書きぶりを厳密に見たときに、報告書にあった「一体的に」という言葉が抜け落ちているがゆえに、前段の「法人顧客の事業運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析を行う業務」と、後段の「これらの成果を活用した商品の販売等に係る契約締結に向けた業務」、これがバラバラのものに読めてしまいます。前の報告書の書きぶりでは、「一体的に」とあったので、前段と後段が1つの業務というとらえ方だったと思うのですけれども、今回の法案要綱の書きぶりを見ると、2つの業務に区分されているようにも読めると思います。

 したがって確認ですけれども、これは別々の業務ではなくて、裁量労働制の対象となるのはこの2つを一体的に行っている労働者に限られるという理解なのかということについて確認をさせていただきたいと思います。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 それでは、村山課長、お願いします。

○村山労働条件政策課長 まず、「法人顧客の事業運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析を行う業務」と、「これらの成果を活用した商品の販売等に係る契約締結に向けた業務」はバラバラのものではないことを、御理解いただければと思います。

 その上で、「一体的」という言葉で建議いただいているので、法案要綱でもそれに即して規定すればよいのではないかという御趣旨だと思います。法令上「一体的」というときはAとBがまさに並列なもので、それを一体にすると使われている用例が非常に多いということがあります。ここで企画業務型裁量労働制の新たな枠組みについて、「企画、立案、調査、分析」が一つの核であること自体は変えていないことをより明確にする観点に立ちますと、その「企画、立案、調査、分析」ではない要素と「一体的」というと、他の要素に同等の重みを持たせてしまうことになりかねないことから、「成果を活用した」というつなぎ方にしてお示ししているということです。

 その上で、確かに「契約の締結に向けた業務」というのが八野委員から御指摘のあったような御疑念を生む面もあるということで、条文化するときには考えなくてはいけない点だと思います。顧客に行う業務については改めて検討したいと思いますが、「契約の締結に向けた業務」と言ってしまうと、今度成約しないときにはどうなのかという御意見もまたあろうかと思います。この点は実際に条文にするとき、どのようにしていくのか、引き続き検討させていただければと思っております。

 また、法案要綱にはある程度抽象化して書いているため、建議にもあるとおり、明らかにだめというものはきちんと法定指針等で示すなど付随的な方法によって、より趣旨がわかりやすく伝わり、ぶれのないようにしていく必要があると思っております。いずれにしても、御指摘の点についてはよく考えていきたいと思います。

○岩村分科会長 八野委員どうぞ。

○八野委員 御説明ありがとうございました。

 今いろいろな製造や化学、薬品の営業のかなり多くの労働者が、このような課題提案型営業業務を行っています。このような労働者はかなり多いと私は聞いておりますが、これまでの企画業務型裁量労働制の対象業務の範囲の議論の際に、使用者側のご意見は、その分野に対しても対象業務の範囲を広げていこうという趣旨であったととらえております。解釈の余地が広がらないようにするためにも、「販売又は」という表現であるとか、営業業務だということをもう少しきちんと明確にしていくということが重要なのではないかと思いますので、あわせて意見を言わせていただきたいと思います。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 私の感じでは、このところは「商品の販売又は役務の提供に係る当該顧客との契約の締結に向けた」ということで販売セールスを表現していると理解しているところでございます。ですから、「販売又は役務の提供」で切ってしまうと八野委員のような御理解もひょっとすると出てくるかもしれませんが、かかり方としては「販売又は役務の提供に係る契約の締結に向けた業務」ということでございますので、その意味での販売やセールスと理解をしているということだけ、つけ加えさせていただければと思います。

 新谷委員のお手が挙がりましたので、どうぞ。

○新谷委員 今のところですけれども、事務局より「条文化するときに改めて検討する」という答弁だったのですが、法案要綱の段階で確認をとっておかないと、条文化するときに、あのとき労側は了承したではないかと言われても困ります。そういった意味では先ほども申し上げたように、今回の法案要綱の審議は、前回取りまとめられた横書きの報告書を「法律として縦書きにする際にどう表現するか」という観点からチェックしますと、もともと報告書に書いてあった「一体的に行う」という言葉を入れることで、裁量労働制の対象となるのは、前段と後段の業務を自ら一体的に行っている労働者という限定をかけていたはずなのに、法案要綱では、「…契約の締結に向けた業務」と締めくくられており、どうも疑義が残るわけです。「契約の締結に向けた業務」となったら、営業の中にはバックオフィスで契約締結業務を専門に行う部隊もいるため、そこまで対象が広がっていくのかという懸念もあるわけです。やはり法案要綱は条文の完成形に近い形で示していただかないと、改めて条文化のときに考えるということになると、必ずしもここでの確認が意味のあるものとならないと思いますので、もう一度答弁をお願いします。

○岩村分科会長 では、村山課長、お願いします。

○村山労働条件政策課長 最後の部分は、趣旨としては、契約締結のバックオフィス的なことをやる人を想定しているわけではなく、「事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査、分析」という企画業務型裁量労働制にふさわしい核があって、それとあわせて一定のことを行っている方であることを、建議までの段階で、ホワイトカラーの方々の働き方の複合化の文脈で確認してまいりました。そこの軸になる企画、立案、調査、分析はぶらさないという前提に立った上、あくまで企画業務型裁量労働制の基本的性格は保った上での新たな枠組みということで提示していることを御理解いただければと思います。

○岩村分科会長 条文の読み方というか書き方ですけれども、「契約の締結に向けた業務」だけが切り離されるわけではなくて、業務にそこから上の全部がかかっているものですから、今、新谷委員がおっしゃったような契約の締結だけをやる人というのは、条文の構造、書き方からしても当然のことながらここには入ってこないと私は理解します。

 それから、「一体的」については、先ほど村山課長も説明されましたように、「一体的」という書き方だと場合によっては、たまたま機械的にくっついているというものも入りかねないので、そこは確かに建議の文面とはちょっと違うところはあるのですが、むしろ精密化した結果として、この表現になったと理解していただけるとありがたいかなと思います。

 ほかはいかがでございましょうか。では、宮本委員どうぞ。

○宮本委員 今、新谷委員も発言しましたけれども、報告から法案要綱に変わったときに解釈の見方がいかようにもとれるようなというのは、やはり困ると思います。

 その上で、高度プロフェッショナル制度について意見を申し上げたいと思います。5ページの1の5行目から「対象労働者であって書面等の方法によりその同意を得た者」云々という記載があります。これは何に関して同意を得るのかということが、この法案要綱には書かれていません。この点は、報告書の10ページの「(4)対象労働者の同意」の項を見ると、2〜3行目に「職務の内容及び制度適用についての同意を得なければならない」となっているわけですから、そのことを踏まえれば、同意すべき対象は当然ながら「職務の内容及び制度適用」であることを法案要綱に明記すべきと思います。

 もう一つ、これは極めて細かいことですけれども、同じく1の2行目に「使用者及び当該事業場の労働者を代表とする者を構成員とするものに限る」という記載ですが、「労働者を代表とする」の「と」を入れている意味が何かあるのか、細かいことですけれども「労働者を代表する」でいいのではないかと思います。何か理由があればお聞きしたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 では、村山課長、お願いします。

○村山労働条件政策課長 まず、宮本委員から御指摘のあった留意点については重く受け止めて対処していきたいと思います。

 その上で、御質問のうちの1点目、建議の10ページの「()対象労働者の同意」についてです。宮本委員の御指摘は、対象労働者が対象業務に就くことの同意という点が欠けているのではないかということですが、法案要綱の6ページのイに、「使用者との間の書面等の方法による合意に基づき職務が明確に定められていること」と記載しており、職務の点はここで押さえております。

 御指摘の2点目は、労働基準法第38条の4の柱書きで、企画業務型裁量労働制のいわゆる労使委員会についての規定ですが、「労働者を代表する」とされておりますので、この点は「代表する」という趣旨で書いたものです。ミスがあり申し訳ありませんでした。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。では、新谷委員どうぞ。

○新谷委員 何点か質問させていただきたいと思います。

1点目は、報告書の9ページに、「健康管理時間に基づく健康・福祉確保措置」についてです。報告書では、「いずれかの措置を労使委員会における5分の4以上の多数の決議で定めるところにより講じることとし、決議した措置を講じていなかったときは制度の適用要件を満たさないものとすることが適当である」と記載されていました。この内容が、法案要綱の5ページの1のただし書きにて、「(三)及び(四)の措置を使用者が講じていない場合」には制度の適用要件を満たさないと記載されています。この()は「健康管理時間の把握とその方法」を意味しており、また ()は選択的措置がその内容です。

 私どもとしては、健康・福祉確保措置ということであれば、7ページの()が「健康・福祉確保措置であって…厚生労働省で定めるものを…講じること」となっており、これはまさしく健康・福祉確保措置の履行そのものを指し示していることから、(五)を講じていないときも適用要件から外すと記載した方が、非常に論理的に一気通貫するのではないかと思います。そこで、ただし書きに(五)が入っていない理由がなぜなのかを確認させていただきたいというのが1点です。

 2点目は、6ページの()の「健康管理時間」についてです。ここでは、報告書になかったものが新たに追加されており、「事業場内にいた時間」の後に括弧がついておりまして「1の委員会が厚生労働省令で定める時間の全部又は一部を除くことを決議したときは、当該決議に係る時間を除いた時間」とあり、厚労省令によって「事業場内にいた時間」から控除される時間があることになります。この部分は報告書を読んでもどこにも書いていない内容ではないかと思います。厚労省令によって「事業場内にいた時間」から全て控除されてしまったら何も残らないのではないかということも懸念しておりますので、ここで言っている厚生労働省令の内容というのはどういうものを想定していて、「事業場内にいた時間」から控除される時間とは一体どういうものを想定しているのか、それぞれ確認をさせていただきたいと思います。

3点目は、選択的措置としての健康・福祉確保措置についてです。 ()で選択的措置としてイロハと書いてある中の、ハの部分です。ハでは「四週間を通じ四日以上かつ一年を通じ百四日以上の休日を確保すること」と書かれているのですけれども、労働基準法では第35条で休日を規定したうえで、第36条の労使協定を締結すればその日の労働を命ずることが可能となり、かつ、第37条が規定する割増賃金を支払いを要するというロジックになっているわけです。ここで言う「休日」とは必ず休ませなければならない絶対休日を意味するという理解でよいでしょうか。これは、以前の当分科会でも確認させていただいたように、35 %の割増賃金率を支払いさえすれば労働させることも可能となる休日を指すのではないということをお聞きしています。これはロジックの問題で、「高度プロフェッショナル制度」の適用労働者については、労基法第4章で定める労働時間、休憩、休日及深夜の割増賃金に関する規定が適用除外とされるので、労基法第36条も第37条も適用しないということです。もともと第36条に決めてある労使協定によって休日労働させるということ自体ができないというロジックからいくと、ここで言う「休日」とは必ず休ませなければならない絶対休日を意味するということになるのでしょうけれども、その点をもう一度確認させていただきたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 それでは、村山課長、お願いします。

○村山労働条件政策課長 御質問の1点目です。6〜7ページにかけての()()については、その「措置を使用者が講じていない場合は、この限りではないものとする」と5ページでしながら、()にについて同じ対応をしていないのは論理的な一貫性を欠いているのではないかという御指摘です。健康・福祉確保措置の重要性に照らしての御発言と理解いたしますが、一方で()の対象業務に従事する対象労働者の健康管理時間の状況に応じた健康・福祉確保措置に関しましては、規定にもあるように、当該対象労働者に対する年次有給休暇を上回る有給休暇の付与や法定を上回る健康診断の実施を頭出しはしているものの、その他の厚生労働省令で定めるものとしており、企画業務型裁量労働制について省令に格上げする内容同様、幅広な選択肢の中から選ぶことも含めて、今後の省令段階で詰めていく内容ということになろうかと思います。そのため、()()は狭い範囲での選択肢であるのに対して、(五)は幅広いものが想定されるため、それを講じていないときはと言うと、幅広いものであるがゆえに、不安定な規定になってしまうということで、 ()及び()の措置に限って書いているものと御理解いただければと思います。

 次に、6ページの()の「厚生労働省令で定める時間の全部又は一部」について、この点は建議の段階で必ずしも健康管理時間の内容について詳細に書いているわけではありません。他方で、健康管理時間の2つ目のポツで、把握方法については、「省令や指針において、客観的な方法によること」として例示しているのが「タイムカードやパソコンの起動時間等」です。事業場内に所在していた時間の客観的な把握方法については、企業により幅があるとは思いますが、一定の幅の中での共通の理解があるものと思います。建議の段階では健康管理時間の括弧の中について詰めるには至らなかったという点は御指摘のとおりですが、把握方法にある程度幅があるとすれば、例えば、完全に仕事から解放されて食事をしている時間や、レクリエーションをされている時間を除くことは否定されるものではないと思います。それは建議の段階でも必ずしも否定しなかったことを前提に、厚生労働省令で定める時間としては、例えばそういったものを念頭に法案要綱をお示ししているということです。

 最後の御確認の点ですが、そもそも労働基準法の第4章の適用除外ですので、いわゆる絶対休日の意味で規定していると御理解いただければと思います。

○岩村分科会長 よろしいでしょうか。

 ほかにはいかがでしょうか。鈴木委員どうぞ。

○鈴木委員 8ページの3「企画業務型裁量労働制の委員会に関する事項は、1の委員会に関する事項について準用するものとすること」ということで、ここだけを読むと趣旨がわかりにくいところでございますので、改めてこの趣旨、意味内容について事務局にお尋ねしたいと思います。

○岩村分科会長 では、事務局お願いします。

○村山労働条件政策課長 ここは確かに準用という形で、様々なことを読み込んでおります。具体的に御説明いたします。

 まず、建議との関係では、11ページの()の1つ目のポツの「対象労働者の適切な労働条件の確保を図るため、厚生労働大臣が指針を定める旨を法定することが適当である」という部分で、法定指針の根拠規定を読み込んでおります。

 あわせて企画業務型裁量労働制の労使委員会は、幅広い労使協定代替決議機能を持っておりますが、それと同様の委員会ですので同等の労使協定代替決議機能も読み込んでいるということで、御理解いただければと思っております。

 以上です。

○岩村分科会長 よろしいでしょうか。

 ほかにいかがでしょうか。では、高松委員どうぞ。

○高松委員 少し後戻りして恐縮なのですが、先ほどの4ページの()の「一体的に」というところで少し議論があったと思っていますが、労働条件政策課長の答弁も含めて、これは一体のものだということは理解していますが、切り離しても成立する文章なものですからどうしても心配が残っています。もし「一体的に」という表現が条文の記載として好ましくないということであれば、他の項目でも使われているような表現を用いて、「調査及び分析を行い、かつこれらの成果を活用した」と意味する文章とすることができないのかどうか検討していただきたいと御要望しておきたいと思います。

 その上で、プロフェッショナル制度について意見と質問を申し上げたいと思います。

 まず、5ページの()についてでございますが、この法案要綱では「高度の専門的知識等を必要とし」という表現になってございます。もともとの報告書では「高度の専門的知識」その後に「技術又は経験を要する」という形で記載があったわけでございますが、今回は「等」と記載することで、「技術又は経験」と読み取る趣旨になるのかどうかをまずお聞きしたいと思います。もし、そうだとすれば、報告書に書かれているとおり「技術又は経験を必要とし」というもともとの記載にするほうが、誤解を招かないのではないかというのが1つでございます。

 もう一つは、同じく後段のところで、報告書の方では「業務に従事した時間と成果との関連が強くない」という表現になっていたものが、法案要綱では「その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くない」という、新たに「通常」という言葉が使われています。この「通常」というのがどういった形で追加されたのかということをお聞きしたいと思っています。というのも「通常」という要件が加えられてしまいますと、実際には時間と成果との関連性が高くない業務、「高度プロフェッショナル制度」の対象にはならないといいますか、ふさわしくない業務であっても、厚生労働省で通常であれば関連性が高いというということが言えるとなれば、そういった判断が下されれば省令にそういった業務を書き込んでしまう。そうなれば全ての業務が対象業務にされてしまうということで、業務が安易に拡大されてしまう懸念を持っています。したがって、もし意図がないとすれば、この「通常」という言葉は削除いただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 以上です。

○岩村分科会長 では、村山課長、お願いします。

○村山労働条件政策課長 1点目です。「高度の専門的知識等を必要とし」については、「高度の専門的知識、技術又は経験を必要とし」という趣旨で書いていると御理解いただければと思います。

 2点目です。一般的には業務に従事した時間と成果との関連性が高くないということが、通常はそうではないという形で規定した方が、むしろ安定的にそういった性格のものを規定できるという整理で規定しているものと御理解いただければと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 高松委員どうぞ。

○高松委員 もともとの報告書の表現でいきますと、「業務に従事した時間と成果との関連性が強くない」とあり、ケース・バイ・ケースの書き方ではないと思っているんですよね。全体的に時間と成果との関連性が強くない、したがって、あるケース、あるケースと個別に判断するということは考えていないと思っていますから、今の労働条件政策課長の御答弁ですと、少し私の意図しているところと違うかなという気がしますので、よろしくお願いいたします。

○岩村分科会長 書いている趣旨は通常高くないということですので、つまり、ある一定のところではひょっとすると関連性が高いかもしれないけれども、全体として見ると実は非常に例外的で、基本的には時間と成果の関係性というのは高くないですよねというのを「通常」という表現で表そうとしたのかなとは思いますが、村山課長の趣旨はそういうことですよね。

 ですから、逆に「通常」という言葉がないと、例えば、半々というようなことになってしまっても入ってしまう可能性があるので、それを排除したいという趣旨だと私は理解していました。ですから、条文の読み方なり解釈の問題ではありますけれども、そういう趣旨でこれは入れているのかなと思います。逆に、そういう意味では厚生労働省令で定める範囲をむしろガチッと枠をかけているという意図で、この「通常」という言葉を入れていると私は理解して読んでいました。

 では、新谷委員どうぞ。

○新谷委員 今、分科会長から御説明いただいたのですけれども、私はそういうふうに読めません。もともとの建議の内容はカギ括弧つきで「業務に従事した時間と成果との関連性は強くない」とあり、報告書でもこのように書くと思っていたら、ここに「通常」という言葉が入ってきたわけです。「通常が」どこにかかるかにもよりますが、「通常」ではないときは時間と成果の関連性が強いものが入ってくるとなると、対象となる範囲が広がってくるのではないかという懸念があるわけです。立法技術的に「通常」をここは入れないといけないということなのかわかりませんけれども、もともとの建議の内容からは対象範囲が広くなるという懸念がありますので、その点はどのように考えたらいいのでしょうか。

○岩村分科会長 では、事務局、お願いします。

○村山労働条件政策課長 再々のお答えで恐縮ですが、あるときに強い、強くないということではなくて、通常強くないということによって、むしろ本来の趣旨が貫徹した形で表現できるのではないかということから、こうした規定の案でお示ししたと御理解いただければと思います。先ほど分科会長から御説明いただいたとおりです。

○岩村分科会長 新谷委員どうぞ。

○新谷委員 「業務に従事した時間と成果との関連性が強い」業務に携わる労働者が対象になる懸念は払拭できておらず、答弁いただいたその解釈の仕方には納得できません。今回の「高度プロフェッショナル制度」の対象労働者は基本的に四六時中どこにいてもその業務を行うことができるわけなので、要するに時間や空間とかは関係ない上に、労働時間に関する規定を全部外してしまうわけですから、そのような中で、「通常」以外のときには成果と時間が関連する場合があると読めてしまうんですよね。そうすると、「通常」ではないときは時間と成果の関連性が強いものが入ってくるがために、対象となる範囲が広がるのかということを懸念するわけです。分科会長の御示唆があった読み方で読むということなのでしょうけれども、私は対象となる範囲が広がる懸念がいまだ強いと思っています。

○岩村分科会長 通常高くないということで、私は基本的には、要するに全体としてずっと見ると時間と成果の関連性はないのだということを、とにかく法律用語として表現しようとした結果として、こういう書き方になっているかなとは思っております。

 ほかにいかがでございますか。では、神田委員どうぞ。

○神田委員 そうした懸念部分も含めて1つ、法案要綱の6ページにあります「年収要件」について質問しておきたいと思います。

 報告書では9ページの「()対象労働者」の2つ目のポツとの関係です。先ほどの議論経過と似たようなところですが、建議では「1年間に支払われることが確実に見込まれる賃金の額が」とあるのに対しまして、法案要綱では「労働契約により使用者から支払われると見込まれる賃金の額を」云々と書かれております。今ほどの報告書にありました「確実に」という言葉が盛り込まれておらず、これはどうして外されたのかという点についてが1点目です。

 それから、法案要綱では、「基準年間平均給与額の三倍の額を想定程度上回る水準」といった表現がされておりますが、法律の取扱いで「相当程度上回る」という言葉を用いる場合、通常どの程度上回るものなのか、ほかの用例における解釈がどうなっているのかという点も含めて教えてほしいと思います。この点は以前、たしか事務局から「3〜4割程度上回る」と御説明をいただいた記憶もあるのですが、そうした認識で間違いないのかどうか、この点もあわせてお願いします。

○岩村分科会長 では、村山課長、お願いします。

○村山労働条件政策課長 御質問の1点目です。

 確かに建議では確実に見込まれるということを書いておりますし、意味としてはそういったことで規定しているつもりです。これは、「確実に支払われる」という趣旨を条文上表すときに、「使用者から支払われる」と書けば確実に支払われることになるというのが立法上の先例です。最近携わっていたもので言えば、国家戦略特別区域法や有期雇用特措法の中でも同じように支払われるという言葉で同じような意味が規定されております。

 一方で、「確実に支払われる」と建議で書きましたのは、労働基準法第14条に基づく大臣告示は「確実に」と入っておりますが、政令以上のレベルの法令での用例がないので、この形としました。ひと言で言って、立法技術上の理由であると御理解いただければと考えております。

 2点目です。「相当程度上回る」とはどういう趣旨なのか、どの程度が相当程度ということなのか、また、用例はどうなっているのかという御質問です。3倍を相当程度上回るというのは、3倍にも4倍にも張りついていない状態を表すものと考えております。同じ労働基準法の体系の中で、年次有給休暇を規定している第39条の第3項第1号に「一週間の所定労働日数が通常の労働者の週所定労働日数に比し相当程度少ないものとして厚生労働省令で定める日数以下の労働者」という規定があります。現行の規定の前提になっているのは、通常の労働者の平均所定労働日数5.2日に対して、省令で定めているのは4日です。「5.2割る4は1.3」で、3割程度の距離感を表すのに、同じ法律の中で「相当程度」という言葉が使われているということは御確認いただけるかと思います。ほかの法律の「相当程度」という使われ方の中には、もう少しいろいろな幅のあるものもあろうかと思いますが、同じ法律の体系の中で御理解いただくという意味では、この用法は安定的なものではないかと考えております。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 1点補足しますと、確実に見込まれるという点ですが、私個人の見解では、6ページのロですと、「労働契約により使用者から支払われる」と書いてありますので、そういう意味では労働契約上、請求権を労働者が持っているという前提で書いてあると読めると思います。その意味で、契約上は確実に払われるということが表現されていると、私個人的には理解いたします。

 ほかにはいかがでしょうか。では、八野委員どうぞ。

○八野委員 法案要綱の先ほどの5ページの()の対象業務のところで、説明ではどうしても理解できないところがあります。例えば、法案要綱では「高度の専門的知識等」という表現になっており、報告書の中で「技術又は経験」と書かれていた部分を「等」に読み込んでいるとのことでした。建議の際の説明では、どういう仕事なのかということをある程度明確にするために「技術・経験」という文言が追加されたと記憶しています。ですので、これまでの経緯も含めて、法案要綱にはきちんと記載をすべきではないかということをもう一度言わせていただきたい。また、「高度プロフェッショナル制度の創設」については、もともとこれは時間と成果が関連していない働き方があるんだと、そういう働き方で生産性を高めるんだという趣旨の答弁があったと思います。その趣旨を含めて見ていくと、やはり「通常高くないと認められるもの」という表現は、もともとこの制度が目指していたものとの表現として私はちょっと違うと思います。ここのところは、「業務に従事した時間と成果と関連性が強くない」という趣旨が、ある程度の方たちが見てきちんと読みとれるものにしていくべきなのではないかということを意見として言わせていただきます。

 もう一つは、「高度プロフェッショナル制度」のところで、報告書と見比べると要綱案に記載のないものが幾つかあるので、少し確認させていただきたいと思います。

 具体的には、労働安全衛生法との関連で見ていきますと、報告書の10ページの面接指導のところで、「健康管理時間が1月当たり100時間以下の労働者であっても、その申出があれば面接指導を実施するように努めなければならない」と書いてあるわけですが、これが法案要綱では表現されていないということです。

 それから、先ほども少し触れられておりましたが、11ページの「()制度の履行確保」で、「対象労働者の適切な労働条件の確保を図るため、厚生労働大臣が指針を定める旨を法定する」という部分、それと、11ページの「()年少者への適用」ということで、「高度プロフェッショナル制度は年少者には適用しない」という部分について、それぞれ法案要綱には記載がないということがございます。これらについては、「八 その他」に書かれている「その他所要の規定整備を行う」というものの一環として措置することを考えているのかもしれませんが、改正法の中ではどのように取り扱うのか、念のためにお伺いしたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。それでは、村山課長、お願いします。

○村山労働条件政策課長 3点の御質問がありましたので、順次お答えいたします。

 まず、労働安全衛生法の関係ですが、法案要綱上、法律ごとに分けておりますので、8ページから始まる「第二 労働安全衛生法の一部改正」の中で、四の「所要の規定の整備」ないし下位法令等において、労働安全衛生法の体系を考えているということをまず申し上げておきたいと思います。この法案要綱が意味している全体の法案の姿は、労働時間法制に関する今回の建議を踏まえた改正について、労働基準法が中心ですが、それと関連性を持った労働安全衛生法や労働時間等設定改善法を束ねて改正するものになっており、そのうちの面接指導については労働安全衛生法に規定が入ってくると御理解いただければと思います。

 あとの2点は、労働基準法自体で、法定指針の根拠に関しては、企画業務型裁量労働制に類似の規定があるということで準用の中で読んでいるということが1つです。

 もう1点、年少者に関しては、8ページの「八 その他」で「その他所要の規定整備を行う」の中で読んでおりますが、建議を踏まえ年少者は適用除外とする形で改正したいということは改めてお答え申し上げたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 八野委員、よろしいでしょうか。ありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。新谷委員どうぞ。

○新谷委員 今、法案要綱の8ページの「第二 労働安全衛生法の一部改正」に言及がありましたので、八野委員が確認しました点に関連し、気になった点を申し上げておきます。労働時間の把握については、本当は労働基準法で行っていただきたかったのですが、これも安衛分科会の所管である労働安全衛生法で行うということですので、この場で意見を申し上げても仕方がないのですが、我々としては今回の改正案は残念な内容になっているということをまず申し上げたいと思います。

 その上で、労働基準法と労働安全衛生法の論理をどのように接合するのかということですが、建議の8ページの「高度プロフェッショナル制度の創設」のリード文で、これは閣議決定の内容がそのまま書かれているのですけれども、「職務の範囲が明確で」と書かれています。また、先ほど宮本委員も確認した箇所で、建議の10ページには「()対象労働者の同意」の項目があって、職務記述書等に署名する形で職務内容の同意を得るということが書かれています。これらの点は法案要綱では5ページに、「書面等の方法によりその同意を得たもの」とあり、かつ6ページのイで「書面等の方法による合意に基づき職務が明確に定められていること」との記載になっています。ところが、よくわからないのが、第二 労働安全衛生法の一部改正」の9ページの三です。三では、医師による面接指導を行った結果「必要があると認める場合には職務内容の変更」といった措置を事業者は講じければならない、とされているのですが、ここで言う「職務内容の変更」というのは、一体何を指すのでしょうか。先ほどのロジックからいくと、同制度の対象者の職務範囲は、使用者との書面による合意のもとに明確に定められているはずであり、それゆえ、たとえ面接指導の結果であるとしても、対象者の合意がない中で事業者が一方的に職務内容を変更することは許されないのではないでしょうか。この「職務内容の変更」となると、もともと職務記述書等を含めての契約のやり直しということも含まれるように解釈する余地があるのではないかと思われるわけです。この論理の整合性をどのように取るべきかを確認させていただきたいと思います。

○岩村分科会長 では、村山課長、お願いします。

○村山労働条件政策課長 まず、現行の面接指導の考え方として、一定の要件に該当する方、具体的には月100時間を超えて時間外又は休日労働し、疲労の蓄積を感じて自ら申し出た方に対しては、事業者は必ず面接指導を行わなければいけないことになっております。その際に、面接指導の結果に基づいて医師の意見を聞き、医師の意見を勘案して必要があると認めるときには、労働者の実情を考慮して、事後措置等の適切な措置を講じなければならないという一つの流れがあります。

その中で、面接指導自体の事後措置としては、就業場所の変更や作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置が掲げられております。

 その事後措置について、高度プロフェッショナル制度の対象者の方々にふさわしい措置として考えられるのではないかというのが、法案要綱9ページの三、「職務内容の変更、年次有給休暇の付与、健康管理時間が短縮されるための配慮等」となっているということです。

 その上で、職務内容の変更について、そもそも職務の範囲が明確で、制度の入り口での書面による同意が必要とされていることに照らせば、この場合も当然そうした手続を踏むのだろうと考えております。ここは労働安全衛生法にかかわる部分で、並行して安全衛生分科会での審議もあろうかとは思いますが、この職務内容の変更については、基本的には、事後措置で必要な方というのは職務を増やすのではなくて減らす、重くするのではなくて軽くするという変更だと思いますので、その変更に当たっては新谷委員がおっしゃるように、入り口と変更することについて、丁寧な同意をとっていくという手続が必要になるのではないかと、現時点では考えております。

○岩村分科会長 新谷委員どうぞ。

○新谷委員 医師による面接指導については労働安全衛生法の一部改正ですので、安全衛生分科会の所管ではありますが、再度意見を申し上げます。現行の労働安全衛生法第66条の8で、医師による面接指導の事後措置については「作業の転換」というのが書いてあるわけです。今回の要綱案は、この「作業の転換」を読みかえて「職務内容の変更」と書き換えたのではないかと思いますけれども、単純に置きかえるだけでは不十分だと考えます。もともとのロジックからいくと、同制度の対象者の職務範囲は、使用者との書面による合意のもとに明確に定められているはずであり、さらに対象労働者の同意については職務記述書等で署名するというロジックですから、単に「作業の転換」を「職務内容の変更」と置きかえただけでは、理論的にうまく収まらないのではないかと思いますので、よく検討いただきたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 では、村山課長、お願いします。

○村山労働条件政策課長 御指摘を踏まえ、他の分科会にもかかわることですので、一度持ち帰り、調整したいと思います。

○岩村分科会長 ほかにいかがでしょうか。池田委員どうぞ。

○池田委員 フレックスタイム制に戻るのですけれども、3ページの3と4ですが、特に3の後半の計算の仕方が条文だけを読むと非常に難しいので、もう少し簡単に書かれる方法はないのかなと思います。4についても、前文のところが趣旨と掛け離れている感じが相当するので、またよく御説明いただければと思います。後ほどで結構です。

○岩村分科会長 では、村山課長、お願いします。

○村山労働条件政策課長 個別に説明いたしたいと思いますが、フレックスタイム制は、1週間40時間に最後割り戻すという作業があるため、要するに、完全週休二日の事業場では、1か月の法定労働時間は8掛けるその月の所定労働日数にするということですが、条文にするときに、それを週40時間に割り戻す計算を書かなくては原則の規定と並べられない訳です。具体的には、割り戻した結果が、40時間ぴったりではなく、38時間になったり、41時間になったりし、その幅を容認することを規定しているのですが、技術的な理由で煩わせて申し訳なく思う次第です。

○岩村分科会長 法律の場合は数式が使えないものですから、それを日本語に書き下ろさなくてはいけない。そうしますと、こういう文章になってしまうということでございますので、その点はまた事務局から説明もお願いしたいと思いますし、実際上、施行に当たってはむしろ単純に数式で説明するほうがわかりやすいかと思いますので、その辺は事務局でも御配慮をいただければと思います。

 では、新谷委員どうぞ。

○新谷委員 時間が押している中、「第三 労働時間等の設定の改善に関する特別措置法の一部改正」について確認させていただきたいと思います。法案要綱の10ページの三の箇所で企業ごとの設定改善委員会を設けるというところが建議の内容と著しく変更されているのではないかと思います。何が変更されているのかというと、報告書の4ページでは、「企業単位で設置される労働時間等設定改善企業委員会を明確に位置づけ」と書かれているのですが、この企業委員会について法案要綱では、10ページの3行目「全部の事業場を通じて一つの委員会(事業運営上の重要な決定が行われる一つの事業場に設置されるものに限る。)」とされています。これは通常本社を指すのでしょうけれども、本社に限るという要件が追加されているわけです。このような変更は受け入れられないと思います。といいますのも、厚生労働省発足時に旧労働省の労政局がなくなったことも影響しているのかもしれませんけれども、労働組合の運営、現行の集団的労使関係のあり方に大きくかかわる問題だからです。私の知っている範囲でも、一部上場企業のケースで、営業の拠点としての登記上の本社があり、そこに社長もいるのですけれども、労働組合分会がおかれているだけで権限は余りないのに対し、主力工場に組合の本部があって、労働組合の機能としてはこの工場のほうに大部分が集中しているといったときに、法案要綱の書き振りだと「労働時間等設定改善企業委員会」の機能は、形上の本社に限られてしまうことになってしまいます。これは現在の労働組合の運営からすると、そこまで労働組合の運営に関して制約されるのか、まさしく労働基準法が労組関係の分野に入り込んできてしまっているように思われます。報告書にはなかったこのような整理を、要綱案をこのような形とした理由は何か確認したいと思います。

 また、第三の1に、「全部の事業場を通じて一つの委員会の委員の半数については、当該事業運営上の重要な決定が行われる一つの事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働組合の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名」ということになっています。このような規定にした場合、本社のある事業場に限っては過半数組合ではないが、企業全体としてみると当該組合が過半数組合となっているようなケースにおいては、「企業委員会」における労働側委員の構成と企業全体における集団的労使関係のあり方で齟齬が生じ、組合活動に影響を及ぼす事態も考えられます。いわゆる本社機能をこうした集団的な合意をとる企業単位の中に持ち込むときに、なぜ「事業運営上の重要な決定が行われる一つの事業場」に限定的にかからしめる必要があるのか、説明をいただきたいと思います。

○岩村分科会長 いかがですか。普通、企業単位と言った場合、私も単純に本社に置くだろうと理解していましたので、今の労側の御指摘をどう捉えるかについてですが、村山課長、お願いします。

○村山労働条件政策課長 重要な御指摘だと思いますので、一度検討させていただきたいと思います。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 ありがとうございました。今日は法案要綱につきましても、いろいろ御意見等もちょうだいいたしましたので、事務局でまたそれらについての御検討をいただきたいと思います。次回も引き続きまして、この法案要綱についての議論を続けたいと考えております。

 最後に、事務局から連絡事項がありましたら、お願いしたいと思います。

○古瀬調査官 次回の分科会の日程、場所につきましては、調整いたしまして、追って御連絡をさせていただきます。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 それでは、今日の分科会はここまでとさせていただきたいと思います。

 最後に、いつものことでございますけれども、議事録の署名についてでございます。労働者代表につきましては春木委員に、使用者代表につきましては平岡委員にそれぞれお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、これで終了とさせていただきます。本日は、遅くまでお忙しい中ありがとうございました。


(了)

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