ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 障害保健福祉部が実施する検討会等> 障害福祉サービス等報酬改定検討チーム(平成27年度報酬改定)> 第13回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」 議事録(2014年11月27日)




2014年11月27日 第13回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」 議事録

○日時

平成26年11月27日(木)10:00~12:00


○場所

厚生労働省 専用第22会議室(18階)


○出席者

井出教授 沖倉教授 野沢論説委員
萩原部長 平野教授 藤井障害保健福祉部長
川又企画課長 田中障害福祉課長 冨澤精神・障害保健課長
竹林障害児・発達障害者支援室長 落合課長補佐 小泉課長補佐
菅自立支援給付専門官

○議題

(1)障害福祉サービス等従事者の人材確保・処遇改善について
(2)横断的な事項について
(3)その他

○議事

○田中障害福祉課長 定刻となりましたので、ただいまから「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」の第 13 回会合を開催いたします。御出席いただきましたアドバイザーの皆様におかれましては御多用のところをお集まりいただき、誠にありがとうございます。

 本日のアドバイザーの方の出席状況ですが全員出席です。なお、沖倉先生は 11 時半頃退席の御予定と伺っております。また、橋本政務官は本日は欠席をさせていただいております。撮影はここまででお願いいたします。

 本日の資料の確認をいたします。お手元の資料 1 、障害福祉サービス等従事者の処遇改善について、資料 2 、横断的事項についての 2 種類です。過不足等ありましたら事務局にお申し付けください。

 議事に入らせていただきます。まず、資料 1 について事務局から説明をお願いします。

○菅自立支援給付専門官 障害福祉課の菅です。よろしくお願いします。

 資料 1 、障害福祉サービス等従事者の処遇改善についてですが、これにつきましては、第 7 回の検討チームで一度御議論をいただいているところです。資料の最後、 13 ページを御覧ください。第 7 回の検討チームの際、論点として提示させていただいたものです。○が四つあり、三つ目、四つ目の○です。現在の福祉・介護職員処遇改善加算は、事業者に職位・職責・職務内容等に応じた任用要件、賃金体系の整備等を求めているものの、必ずしも加算取得の必須要件となっておらず、この点は改善の余地があると考えるがどうか。仮に各サービスの基本サービス費において評価を行うとした場合、処遇改善の取組が後退しないようにするためにはどのような方策が考えられるか。最後の○ですが、「福祉専門職員配置等加算」ですけれども、こちらについて事業所による職員の早期離職防止・定着促進について一層の取組が求められる中、障害福祉サービス等報酬における対応としてどのようなことが考えられるのかというような点を論点として挙げ、御議論をいただいたところです。先般の議論の中では、基本的にはアドバイザーの皆様方からは現在の処遇改善の取組については引き続き継続をする、更にその際にはやはり処遇改善加算という形で引き続き続けていくことについて、一定の意見集約がされたものと理解しております。

 前回の議論を踏まえ、今回具体的に論点として 1 ページに掲げております。処遇改善加算について、処遇改善が後退しないよう現行の加算の仕組みは維持しつつ、更なる資質向上の取組、雇用管理の改善、労働環境の改善の取組を進める事業所を対象とし、更なる上乗せ評価を行うことについてどう考えるか。

 具体的な対応案としてその下に掲げております。現行の処遇改善加算を維持しつつ、更なる取組を進める事業所を手厚く評価を行うための区分を新設してはどうかということです。具体的な要件としては現在、処遇改善加算では加算を取得するためのキャリアパス要件として以下の1・2のいずれかを満たす、合わせて「定量的要件」として賃金改善以外の処遇改善への取組の実施、大きくこの 2 点を求めております。

 これにつきまして、現行のキャリアパス要件1・2の両方を満たすということを求めるとしてはどうか。また、新設する区分の定量的要件につきましては近年新たに実施した取組を求めてはどうかということです。

 現在の加算の算定要件としての定量的要件については、処遇改善交付金が平成 21 10 月から始まっておりますが、その時点における取組がなされているということが要件になっています。これについて近年、新たに取組がされている事業所を評価することにしてはどうかという案です。具体的なイメージ図ですが、現行の処遇改善加算が青い箱の部分、加算 ( ) がキャリアパス要件と定量的要件の両方を満たしている場合の 100 %加算です。

 以下、加算 ( )( ) が要件の一部が満たせない場合に掛ける 9 、掛ける 8 ということで、青の部分が現在の加算の仕組みです。イメージとしてはこれに更にオレンジの部分、現行の加算 ( ) より更に加算率を上げる形で新たに区分を設けてはどうかということです。

 資料の 4 ページを御覧ください、これが現在の処遇改善加算の概要です。真ん中の 3 、加算の算定要件、前回説明の繰返しにはなりますが、加算の算定のための要件として 1 から 5 までに掲げられた要件があります。このうち 4 がキャリアパス要件、 5 が定量的要件です。

4 (1)(2) についてはいずれかを満たすということで、現在は算定ができることになっています。

 また、定量的要件については資料の 6 ページをお開きください。これも前回御説明させていただいた内容です。処遇全般から教育・研修、職場環境、それぞれについて掲げられたような取組がいずれか一つ以上なされていることが定量的要件ということになっております。今回の提案では更に、近年においてこういった取組がまた新たに実施されているというところを定量的要件としての要件、新設する加算についての要件としてはどうかという提案です。

 資料が前後して恐縮ですが、 2 ページ目に処遇改善を取り巻く状況とあります。真ん中の○、今年春に成立した処遇改善に関する法律が今回の処遇改善の見直しについての取組を進める法律であります。介護・障害福祉従事者、介護従事者と障害福祉従事者を並列で、介護・障害それぞれの分野でこれまでも同様の取組を行ってきていますが、更に両者の処遇の改善を進めていくことになっています。本日の対応案として提案させていただいている内容は、先の介護給付費分科会で介護保険サイドにおいて具体的な提案がなされておりますので、その内容に沿った形で本日挙げさせていただいております。

 以下、加算の算定状況等ですが、前回の資料をそのまま添付しております。処遇改善加算については以上です。

 次に資料の 8 ページを御覧ください。もう一つ、個々の賃金に当てていただく処遇改善加算とは別に、事業所の体制を評価する加算として福祉専門職員配置等加算というものがあります。これについても合わせて論点として提示させていただいております。論点ですが、良質な人材の確保と障害福祉サービスの質の向上を促す観点から、福祉専門職の配置割合が高い事業所をより評価できるよう加算の要件を見直すことについてどう考えるか。下に現在の要件があります。福祉専門職員配置等加算 ( ) においては、常勤の有資格者、社会福祉士、介護福祉士等の資格保有者が一定割合雇用されている事業所が提供するサービスについて評価を行っております。障害福祉サービス全体における常勤の生活支援員のうち、これら有資格者の占める割合というのはこの 3 年間ほぼ横ばいということがデータから出ております。今後、更に専門職の配置を推進するために、より配置割合が高い事業所を評価する観点から見直しを行ってはどうかという御提案です。

 資料 9 ページに現在の加算の概要を挙げております。大きく加算 ( ) ( ) があります。本日の御提案は加算 ( ) の中身の見直し、常勤の生活支援員のうち社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士の資格保有者が 25 %以上雇用されている事業所において、現行の加算ではそれぞれ評価を行っております。資格保有者の割合について、更に高い事業所に、より評価を行うということについて御検討いただければと思います。なお介護のほうにも同様の加算があり、やはり先の介護給付費分科会において同様の観点から見直しの提案がなされております。本日、これに沿った形で挙げさせていただいております。

 以下、加算の算定状況等については前回と同じ資料を添付しております。資料 1 についての御説明は以上です。

○田中障害福祉課長 それでは、資料 1 に関するただいまの説明につきまして御質問や御意見等がありましたらお願いいたします。

○野沢論説委員  3 ページにある賃金のところです。黄色い部分がかなり、一般の産業に比べても同じような医療福祉全体に比べても低い。ざっくりした感じでいいのですが、どのぐらい上がりそうなのかというのは分かりますか。

○菅自立支援給付専門官 現行の加算の取組は、前身の処遇改善交付金として平成 21 年秋に始まり継続して取組がされているところです。基本的に、直接処遇職員の方の給料を平均で月に 1.5 万円引き上げるということでの財政規模で設計されています。更に今回処遇改善の法律が成立し、それを受ける形で加算の見直しを予定していますので、どれだけというのはもちろん介護の状況、障害の報酬改定全体の中で決まってくることですが、 1.5 万円に更に上乗せして処遇改善を進めるということで考えています。

○野沢論説委員 そうすると、上がるけれどもまだまだ差は大きいという感じですか。

○菅自立支援給付専門官 処遇改善交付金の取組が始まって以降、処遇状況の調査について、厚生労働省でこれまでに計 4 回調査を行っております。その中でも、確実に事業所における賃金改善、それから給与以外での処遇改善の取組は全体としては進んできておりますので、この加算が処遇改善の取組全体を推進することの起爆剤になっているということは間違いないと思います。更にこの取組を進めていく、ということでの本日の御提案です。

○野沢論説委員 恐らくここ数年、利用者も増えているし事業所も増えている、新規の職員は相当増えているはずなのです。若い方が結構増えてきているので、処遇は実際には上がってきているけれども平均すると若い人の分だけ低いわけで、それほど平均値は上がらないということかと思っています。そういう意味では先ほど言った、この 3 年間で全職員に占める有資格者の割合が横ばいだというのも、そのような理解でいいのかなと思います。各事業所を見るとそれなりに採っているけれども、それでも全体から見ると割合がそれほど上がっていないというのは新規の転入組を含めて、やはり新卒者、まだ資格を持っていない人たちが次々に来ているという理解でしょうか。

○菅自立支援給付専門官 御指摘のとおりと考えています。 3 ページの賃金の表でも産業全体では勤続年数が男女平均で約 12 年、一方でホームヘルパー、施設の職員ですと 5.5 年から 6 年、約半分となってしまいます。やはり、勤続年数の差が大きく影響しているところはあるかと思っています。

○野沢論説委員 今の社会に涌出されている賃上げの要請から見ても処遇改善は必要だと思います。特に、これから人材確保が非常に難しくなってくるだろうと言われている中で、今のこの水準だとなかなか良い人材が入ってきて定着していくというのは難しいのかなと考えると、今回の報酬改定の優先事項としては働いている方の処遇改善というのはかなり高いと私は思っています。 1 ページの新設の加算、これは基本的に賛成したいと思います。

6 ページの新たな定量的要件を見ると、ここに一つも当てはまらない事業所というのはほとんど考えにくい。果たしてあるのだろうかという感じがします。この辺、もうちょっと厳しくてもいいのかなと思いました。公費を使って処遇を改善するわけで、やはり質も上がっていくというところを国民に示さないと申し訳ないなという気持があります。利用者の立場からするともっと職員は欲しいわけで、専門性も高めていただきたいということを考えると、もう少し絞り込んだ要件でもいいのではないか。漠然とそのような思いがしています。

 これも非常に難しく前から議論があって、資格者や事業所のところでもそうですけれども、よく現場で言われるのは専門性よりも当事者性の方が大事だと。いくら資格を持っていても使いものにならない職員はいっぱいいる。それよりも、資格がなくても障害のある子どもを育てた経験のあるお母さんや障害当事者、そういう方たちの方がはるかにいいということを聞きます。ただ、これをどういうように評価していったらいいのかというのは、またなかなか答えが出てこないところで、これも評価しつつ、世間一般的に説明をしていくということではある程度の資格というものを求めていく。そういう段階に入っているのではないかと漠然と思っています、以上です。

○田中障害福祉課長 ほかにございますか。

○萩原部長 基本的には今、野沢委員から御発言いただいたことと共通なのですが、一つちょっと申し上げておきたかったのが資料 1 の現行の加算 ( )( )( ) は、かい摘んで私の理解で言いますと、現状がどうなっているかを評価するということで、新たに御提案いただいた新設の加算は当然現状の評価をするのですが、それに含めて対応案の三つ目の○、定量的要件にどう取り組んだか。平成 20 10 月以降、直近でどう取り組んだかという観点ですので、より良い方向に変わっていく変化、現状と変化の両方を見ていくという発想だろうと思います。御提示いただいた資料の 7 ページを見ますと、加算 ( ) の算定率がこういう数字で挙がってきているということで、大分伸びているのだろうと思っています。現状を評価する加算については、その加算を算定する事業所が相当数出てきている。その上で、新たな方向に、より取り組む変化を見ようということですので、仮に現状の事業所で現行の加算 ( ) にあるキャリアパス要件 ( ) 又はキャリアパス要件 ( ) が加算の条件ですが、既に ( ) ( ) もやっている事業所も、もしかしたらあるのではないか。だから、加算の条件以上の対応をしているところもあるのではないか。そうなると、既にやっているところは新たな加算の対象になるには近年の中で何らか新しい対応をした事実がないと、加算の対象にならない可能性もあるなと思いました。

 今の野沢委員と一部ちょっとニュアンスが違うところなのですが、 6 ページにお示しいただいたようなこういう方向で取り組みなさい、法人として変化をしていってくださいというように方向性を導いていくような意味で言うと比較的広い選択があって、その中からそれぞれの法人の事情ごとに、新しい取組をどんどん進めてくださいという方向性を示すようなこともあり得るのかなと思って今説明を伺いました。以上です。

○田中障害福祉課長 ありがとうございます。

○平野教授 一つ質問なのですが、前回の報酬改定の時には障害独自領域ということで、多分 7 ページの「特別加算」だと思いますけれども、ちょっと条件を緩くして作りました。今回、この特別加算はどういう形になりますか。

○菅自立支援給付専門官 御指摘の加算は資料 4 ページ、加算の概要の 1 、目的の 2 つ目の○です。前回、平成 24 年度改定の際に処遇改善加算を創設し、合わせて処遇改善特別加算というものを創設しております。これについては一番下、加算の対象となる職種として 1.5 万円のほうはいわゆる直接処遇職員、それ以外の方の処遇改善も当然ながら必要ということで、こちらについては特別加算ということで 3 分の 1 、月 5,000 円の加算として、障害独自に創設されております。

7 ページの算定状況を見ていただきますと、算定率は他の加算 ( )( ) と同様に決して高くありませんが、現行、この特別加算をもって処遇改善に取り組んでいる事業所も少なからずありますので、今回の見直しの中ではこの特別加算については引き続き継続することでいかがかと考えております。

○平野教授 前回、設定してもらっているのも高く評価しているのですが、一方で今回、新しくよりハードルの高いものを作った。そういう意味では底上げを図るのか、上に引っ張っていくのかを考えてくると、そろそろ上に引っ張っていく、全体の質のアップを図ることも必要があると思っていました。そういった意味では、現行 ( ) より高い加算を設定するというのはいいと思います。

 これは全く個人的意見なのですが、現行 ( ) ( ) など、減額率を 0.9 から 0.8 0.8 0.7 ぐらいにして、もっと強力に引き上げるぐらいやってもいいのではないかという気も個人的には持っています。それぞれ全体として引き上げていかないと上がっていかないという。

 先ほど野沢委員からあったのですが、これは社会福祉教育に携わっている者の立場として、一番理想を言えば専門的知識や資格を持っていて当事者性を持っているのが一番ベストだろうというのが私たちの考え方です。そういった意味では、一定の人間を増やしていくためにはむしろ厚生労働省はもっと、高い方に持っていくというメッセージを発信してもいいのかなというぐらいの気持を持っています。今回の新設の加算はより高いものを目指してほしいという、アピールを出した意味では非常にいいなと思っています。以上です。

○田中障害福祉課長 ほかにはいかがでしょうか。

○沖倉教授 今日、御提案いただいた新設の加算については基本的には賛成です。その理由は今、平野委員からありましたけれども質を高めていき、よりハードルが高い条件で加算を求めるために努力してもらうことは重要なことだと思うからです。

 ただ、前の時に申し上げたか申し上げ損ねたか忘れましたが、今皆さんがおっしゃっている 6 ページの定量的要件についてはどうも気になっています。この中からどれでもいいから一つ以上という、それをしていないところが多数あるのだとすれば、それは平野委員もおっしゃったと思いますが、もしかすると加算の減算率を高くしてでも底上げを図らなければいけない。例えばせめて、数の問題ではないですけれども、便宜上この三つの処遇全般、教育研修、職場環境と分けているのであれば、その一つずつ取り組めというのかよく分かりませんが、もう少し何か取り組んでもらうことはできないか。インセンティブを高められないか、条件を整えられないかという気がしています。

 これを私が言うのは余りあれかなとは思うのですが、御案内のように 11 25 日に虐待の実態調査が出ています。これについては毎年気になって見ていて、初めて一年分が出たということですぐ報告書を見せていただきました。単純に多い少ない、増えた減ったの問題ではなくて、職員や福祉従事者が起こしてしまった事件というのがあって、被害者数がある。その中で家族の割合が多いことが指摘されていましたけれども、施設の中で行われていることが外部にきちんと開かれていて、チェックしていただいているかを考えれば、今数字は申し上げませんが、おそらくこの数字は決して多くないというか、本来もっと出てきて然るべきなのだろうという残念な数字が出たと思っています。

 そう考えた時に今回加算をして、職員の励みになるような金額を提示できることも、もちろん大事なことなのですが、一方でそういった事実があるということも重く受け止めて、処遇改善だけでこのことはきちんと改善できるという単純なことではないと思います。職員の研修も含めて、きちんと考えていく必要があると思いましたので申し上げました。以上です。

○田中障害福祉課長 ほかはよろしゅうございますか。○平野教授  8 ページ、福祉専門職職員配置加算についてですが、 25 %以上付けろというのが足かせになっているといえます。大体、公的世界では基準ができるとそれが上限値になってしまうことがあります。今、 4 分の 1 ですから仮にこれを 3 分の 1 35 %とかに上げていかないと、結局 4 分の 1 でいいやという形の足かせになっているともいえます。

 もう一つ、これは御検討いただければと思います。この間、強度行動障害についての評価を随分していますので、例えばこの福祉専門職配置に社会福祉士や介護福祉士の資格は持っていないけれども、強度行度障害の研修者がいればそれもカウントするなど、そういう形でインセンティブを付けてあげるというところを御検討いただければと思います。

○田中障害福祉課長 それでは、資料 2 の説明に移らせていただきます。事務局から資料 2 についての説明をお願いいたします。

○菅自立支援給付専門官 資料 2 、横断的事項についてです。資料 2 につきましては内容が多岐にわたりますので、説明者を途中で交代しながら説明をさせていただきたいと思います。まず、 1 ページ目が地域区分に係る論点についてです。背景ですが、障害福祉サービス等報酬は、人件費・物件費等を勘案していますけれども、地域ごとの人件費の地域差を調整するために、地域区分を設定し、地域別・人件費割合別に 1 単位当たりの単価を割増しをしています。これはサービス別に設定をされています。障害者総合支援法に基づく障害者サービス、大人のほうの報酬に係る地域区分については、前回、平成 24 年度の改定において、それまで準拠していました国家公務員の調整手当が地域手当に完全に移行したことを踏まえ、地域手当に準拠するという見直しを行っています。これにより、従前 5 区分であったものが 7 区分に見直しが行われています。

 一方で、障害児の報酬につきましては、違う足跡をたどっていまして、先に申しました国家公務員の調整手当から地域手当の見直しが平成 18 22 年の間に段階的に行われていますが、この見直しの当初平成 18 年度から段階的に地域手当の区分への見直しを行っています。これは他の児童福祉施設、いわゆる措置費グループと並ぶ形で行われており、平成 22 年度で既に障害児のほうは地域手当に準拠する形の見直しが行われているところです。いずれにしても、現在は障害者も児も国家公務員の地域手当に準拠した形での地域区分が設定されています。今回ですが、本年 8 月の人事院勧告において、国家公務員の地域手当の見直しが示されています。これについては、今回についても激変緩和ということで、経過措置が設定される予定です。なお、地域区分の考え方ですが、地域間における人件費の差を勘案して、地域間のサービス費用の配分方法を調整するということですので、財政的には増減を生じさせないようにする、つまり財政中立が原則となっています。このような背景を踏まえ、論点ですが、今般の国家公務員の地域手当の見直しを受け、障害サービスに係る地域区分について、介護、保育等の対応も踏まえつつ、見直すことについてどう考えるか。また、見直す際には、施行における経過措置についてどう考えるか、ということです。

 資料の 2 ページが前回の平成 24 年度の改定の際の、これは障害者のほうですが、地域区分の見直しの考え方です。平成 23 年以前は、国家公務員の調整手当の区分に準じていまして、東京特別区の 12 %から設定なしの 0 %までの 5 区分でした。また、国家公務員の地域手当は、国家公務員ですので国の官署が所在する市町村について設定がされています。一方で、障害サービスについては、全国で行われていますので、官署が所在しない地域の取扱いについても一定のルールの下に区分を設定されており、それが官署が所在しない地域等というところの考え方でした。このようなところが平成 24 年度の改定において、見直し後の形になっています。 1 級地は東京 23 区ですが、 1 級地の 18 %から 6 級地、それからその他、設定なしが 0 %までの計 7 区分ということで、国家公務員の地域手当の支給地域に準拠した形での設定です。合わせまして官署が所在しない地域については、対象地域に四方を囲まれているか、対象地域というのは国の官署があって、 1 級地から 6 級地までの設定がされている市町村ということですが、対象地域に四方を囲まれているか、若しくは複数の対象地域に隣接しているこういった市町村については、隣接する市町村の区分の低い区分に設定をするという形での対応が行われています。

 また、下の点線の部分ですが、見直しにより区分が変更となる地域について、毎年 4 分の 1 ずつ段階的に引き上げ若しくは引き下げということで、激変緩和としての措置が経過措置として取られていまして、実は前回の見直しの内容については、来年春平成 27 年度において、完全に移行するというのが現在の状況です。このような前回の見直しを経ていますけれども、今回、国家公務員の見直しがまた行われるという状況で、この取扱いについて、どうするかということです。

 資料 3 4 ページが現行の障害者と障害児のそれぞれのサービスの地域区分と単価です。一番右の「その他」地域というのが、 1 単位 10 円で報酬が算定される。 1 級地から 6 級地までそれぞれ割合が設定されていますので、その割合に応じた形で、 1 単位当たりの単価が上乗せをされるということです。

 資料の 5 6 ページは、今年 8 月に出されました人事院勧告の中身、概要です。 5 ページの真ん中ほどの「地域手当の見直し」として、1級地区分・支給割合について見直す。今回の見直しについては、従来の 1 から 6 級地までに、更にもう 1 つ級地区分を増やして 1 から 7 級地になるということです。また、 1 級地 18 %の所が 20 %、 2 級地以下もそれぞれ支給割合が上がっています。2支給地域です。具体的にどの市町村が何級地という設定ですが、これについては従来同様に賃金構造基本統計のデータに基づいて、直近のデータで見直しが行われるという内容となっています。その下の 3 、実施時期等です。俸給表は平成 27 4 1 日に切り替わる。地域手当ての支給割合については、段階的に引き上げる経過措置ということです。

6 ページが、今回の地域手当の見直しのイメージですが、左側が現行ということで、見直し前の俸給水準の所で真ん中に線が引かれています。民間との格差、それから賃金の低い地域と例えば東京都特別区との差を勘案し、右側の見直し後ですが、全体で 2 %、給与の水準の引き下げを行いまして、これを財源として、例えば東京都特別区など賃金水準の高い地域に地域手当を更に上乗せを行うというようなイメージです。地域区分の説明については以上です。

○落合課長補佐 続きまして、 7 ページの視覚・聴覚言語障害者支援体制加算に係る論点です。背景ですが、現状、コミュニケーションに支障があります視覚・聴覚言語障害者の方が多数利用しています日中活動系のサービス事業所におきましては、コミュニケーション等の支援について、専門的知識を有する職員を加配した場合に、この「視覚・聴覚言語障害者支援体制加算」によって報酬上の評価を行っているところです。その一方で、障害者支援施設、グループホーム等の居住系サービスについては、加算による評価がないため、重度の視覚・聴覚障害がある方が、生活の場において、コミュニケーションが困難になっているという状況がある。そうしたことを踏まえ、意思疎通が困難な方に対する支援について、生活の場において、コミュニケーションの支援を行うことについてどう考えるかということです。

8 ページに具体的な論点を挙げています。 2 つ目の○、施設入所支援やグループホーム等、これらの居住系サービスについては、活動の場ではなくて、生活の場であるということから、従来報酬上の評価を行っていなかったところですが、障害者の重度化・高齢化を踏まえますと、地域で生活をしておられた視覚・聴覚障害のある方がグループホーム等に入居するというようなことも想定されますことから、生活の場における職員や他の利用者これらの方々のコミュニケーション支援についても検討が必要なのではないかということです。そういったことで施設入所支援、宿泊型自立訓練及び共同生活援助、これらの居住系サービスについて、意思疎通に関し、専門性を有する者を配置することについてどう考えるかということを論点として挙げています。

9 ページは現行の加算の算定要件について示しています。具体的に現行では、利用者数の視覚・聴覚等に重度の障害のある方が利用者数の 100 分の 30 3 割以上であることが要件となっています。重度の障害とは、下の1~3のこれらの障害等級の方であって、コミュニケーションに支障がある方ということです。専門性を有するという点においては、その下の1・2のとおり、視覚障害であれば、点字指導、点訳、歩行支援等、聴覚障害、言語機能障害であれば手話通訳等を行うことができる者ということです。

10 ページは、障害程度の等級表を参考にお示しさせていただいています。 11 ページについては、加算の算定状況、 12 ページにおいては、視覚・聴覚言語障害者の状況、 13 ページは、関係団体からの要望をお示しております。視覚・聴覚言語障害者支援体制加算については以上です。

 続いて 14 ページの送迎加算に係る論点です。送迎加算については、障害者自立支援対策臨時特例交付金による基金事業として、平成 23 年まで、各都道府県により実施されていた助成事業について、平成 24 年度の報酬改定の際に加算として導入したものです。その基金事業として実施をしていた経緯から、基金事業の中で都道府県が認めていた基準において、加算を算定できるものとしています。そういったことから、地域によって現行の算定基準が異なる状況にあります。論点としては、現行の都道府県ごとに算定基準が異なっているという現状を踏まえて、現行の送迎加算の算定要件について、どう考えるかということで挙げています。

15 ページの具体的な論点ですが、現行の送迎加算の要件です。送迎を行った当該月において、以下の条件を満たす場合に算定ということで、 3 つあります。居宅から事業所までの送迎。 1 回の送迎につき、平均 10 人以上。週 3 回以上の送迎を実施。この 3 つの要件が現行の要件です。その上で、従来基金事業で都道府県独自の基準を認めていた場合には、その基準の範囲で適用が可能としているところです。独自基準の状況ですが、独自基準を認めている都道府県は 28 です。独自基準の内容については、複数の要件緩和をしている所もありますので、複数にまたがっているものもありますが、最も多いのが 1 回の送迎の平均人数の要件緩和ということで、 21 です。その中でも自治体にもよりまして、人数の制限がなかったり、平均 5 人以上ということで、一部 5 人以上としていたり、状況はまちまちです。その他、居宅以外の送迎で最寄り駅等の居宅以外の送迎も含めるというような所が 9 。送迎頻度の要件緩和というのが 4 自治体。あとは直近 1 か月の実績や、そのような形で評価をしている所もあります。

16 ページ、送迎については基本報酬の中で一定の評価をしているものですが、送迎加算については、基本報酬で評価している以上の送迎実態を評価するということを目的としています。その一方で、基金事業で独自の基準を認めていた場合には、その基準の適用が可能となっている現状を踏まえて今後の取扱いとしてどう考えるかということです。考えられる対応例として、 3 つ挙げています。国基準を一律に適用するというもの。基金事業からの独自基準を継続して認めるというもの。あとは国基準の要件を緩和する一方で、現行の国基準の要件を満たす事業所と、緩和した要件を適用する事業所で単価に差を設けること。こういった対応例を挙げています。

17 ページは送迎加算の現行の概要、算定要件等です。 18 ページについては、現行送迎加算の取得率をお示しています。放課後等デイサービスが 74.7 %ということで最も多く、就労継続支援 B 型、生活介護といったところがそれに続く高い取得率を示しています。

19 ページは送迎加算に関する団体からの要望をお示しております。

20 ページは、栄養マネジメント加算に関する論点です。この栄養マネジメント加算については、障害者 ( ) の栄養状態、栄養健康状態に着目した、栄養ケア・マネジメントの実施を評価するということで、平成 21 年度の報酬改定の際に創設されているものです。この中の算定要件の 1 つとして、常勤の管理栄養士の配置を求めているところです。平成 27 3 31 日までの経過措置として、「栄養管理業務に関し、 5 年以上の実務経験を有する栄養士」の配置も認めている現状にあります。この経過措置については当初、平成 23 年までということでしたが、 24 年の報酬改定の際に管理栄養士の配置が進んでいなかったというようなことを踏まえて、延長を行っているところです。論点としては、こうした管理栄養士の配置状況を踏まえ、経過措置の延長の必要性について検討すべきではないかということです。

21 ページの栄養ケア・マネジメントの状況として、施設入所支援・福祉型障害児入所施設における栄養マネジメント加算の取得率については、前回の報酬改定時は 37.8 %でしたが、現状は施設入所支援においては 37.4 %、福祉型障害児入所施設については 21.6 %です。また、施設入所支援で栄養マネジメント加算を算定しています事業所のうち、経過措置の適用を受けている施設数は前回の報酬時には 45.7 %でしたが、現状では 22.1 %と半減しております。

22 ページの具体的な論点ですが、経過措置延長の必要性について、この栄養ケア・マネジメントは本来、管理栄養士の業務であるということです。その上で、前回の経過措置の延長などにより、栄養ケア・マネジメントの実施は、栄養士から管理栄養士へと確実に移行しているのではないかと考えています。その一方で、施設における栄養マネジメント加算の取得率は従前と同程度となっています。これらの状況を踏まえ、入所施設における栄養ケア・マネジメントを進めていくという観点から、経過措置の延長や管理栄養士の評価についてどう考えるかということです。

23 ページは管理栄養士と栄養士の違いです。 24 ページについては栄養ケア・マネジメントの必要性ということで参考資料をお付けしています。 25 ページについても参考資料として、栄養ケア・マネジメントの実施及び実務についてです。

26 ページの食事提供体制加算について、背景としまして、支援費制度時代のデイサービス、短期入所については、食費のうち、食材料費のみを自己負担としていたところですが、障害者自立支援法の施行の際に、食費を原則として全額自己負担としたところです。このため引き続き利用者の食費負担が食材料費のみになるように、所得の低い方について、施行後の 3 年間の期限付きで、食費のうちの人件費相当分を食事提供体制加算ということで、給付する措置を講じたものです。その後、取得率が高いことなどを理由として、その後の 2 回の報酬改定においても経過措置が延長され、現在、来年度 27 3 月末までの時限措置となっているところです。論点として、そうした経過措置の期限が到来することを踏まえ、今後の加算の取扱いについてどう考えるかということです。

27 ページは食事提供体制加算の現行の算定要件等です。算定要件としては、収入が一定額以下の利用者に対して、事業所が原則として当該施設の調理室を利用して、調理員による食事の提供を行った場合に算定可能としています。ただし、一定の要件の下で外部委託も可能ということです。

28 ページは食事提供体制加算の取得率です。このような形で加算の取得率は高い状況です。

29 ページは加算対象となる所得区分等についての現状ですが、障害者については生活保護、低所得世帯、そして一般 1 世帯まで含めて対象となっているところです。障害児においても、生活保護、低所得世帯、一般 1 世帯。通所の場合は一般 1 ということで対象としているところです。

30 ページは所得区分ごとのサービス利用状況、利用者負担額についてです。障害者の場合は 87 %が低所得ということで、生活保護も合わせると 95 %強がそういう状況にあるということです。一方で、障害児については、一般 1 世帯の割合が最も多く 75 %を占めています。その下の段ですが、利用契約上の食事提供に要する費用です。サービス提供実態調査の中で、生活介護についてですが、利用契約で利用料をお支払いいただいている部分の実績についての数値がありますが、これによると食事の提供に要する費用としては、 1 人当たり月額 5,566 円という状況にあるということです。

31 ページは食費負担の変遷について、障害、介護・高齢、医療保険のそれぞれの費用の変遷をまとめたものです。障害者福祉においては、措置制度、支援費制度は施設については全額公費負担、食費の利用者負担はなしということで、基本的には食費は措置費、あるいは支援費に含まれているという整理をしています。デイ・ショートについては食材料費を自己負担ということです。これが平成 18 4 月の障害者自立支援法の施行に伴い、入所については食費・光熱水費は自己負担としているところです。通所については、食費は自己負担ということでしています。その上で、食事提供体制加算による負担軽減をしているというような状況です。

32 ページは食事提供体制加算に関する団体からの要望をお示しております。食事提供体制加算に関する説明は以上です。

○小泉課長補佐 続いて補足給付について、 33 ページからになります。施設入所者の食費・光熱水費については、利用者が自ら負担することとなっていますけれども、低所得者に係る負担を軽減するため、食費・光熱水費に係る平均的な費用の額、いわゆる基準費用額から所得に応じた負担限度額を控除した差額を補足給付として支給することとしています。この基準費用額については、現在、食費 4 8,000 円、光熱水費 1 万円の計 5 8,000 円としているところです。この点について論点の 1 つ目が、この基準費用額の水準についてどう考えるのか。論点の 2 つ目が補足給付の算定における負担限度額に関して経過措置があるのですが、これについてどう考えるのかという点になります。まず、補足給付の説明を簡単に御説明させていただきます。

35 ページの下に図でモデルケースを示しているのですが、仮に認定収入月額が 6 4,000 円の場合、生活費として必要と考えられるその他生活費 2 5,000 円が手元に残るようにした上で、食費・光熱水費がその収入額を超えないように基準費用額との差額が補足給付として支給されます。ですから、このケースの場合、オレンジ色の 1 9,000 円が補足給付として支給されるこういった仕組になっています。

 その上で、 34 ページに戻りまして、補足給付は平成 18 年度からスタートしているわけですが、その際の基準費用額の設定に当たっては、障害独自の調査が行われていなかったことから、平成 14 年の介護施設経営実態調査を基に、基準費用額を 5 8,000 円としたところです。介護保険制度にも補足給付があるわけですが、こちらのほうはこれまで見直しを行っていますけれども、障害のほうは制度創設以降、基準費用額の見直しは行われておりませんで、平成 26 年の消費税引き上げの際も、障害福祉の経営実態調査の直近のデータがなかったことなどから、基準費用額について据え置くこととしています。この補足給付の基準費用額の水準についてどう考えるのかというところですけれども、基本的な考え方として提示させていただいていますのは、基準費用額については、障害福祉サービス等経営実態調査で、食材料費等に関する調査を行っているので、それらのデータなどを踏まえて検討する方向ではどうかという点になります。

 続いて 36 ページの論点2です。 20 歳未満の者の補足給付については、本人がまだ障害年金を受給しておらず、実際には保護者が食費などの費用を負担することとなると想定されることから、こうした事情を踏まえ、 20 歳以上の者の補足給付とは異なる算定方法を取っています。具体的には 37 ページの、平均的な家計における 1 人当たりの支出額から食費・光熱水費以外に要する費用、その他生活費などを控除して得た額を食費等の負担限度額としているところです。具体的には、生活保護世帯とか、住民税非課税世帯の負担限度額は、真ん中の表の※の、平均的な支出額 5 万円からその他生活費の額、福祉部分利用者負担相当額を引いた額が負担限度額となっています。

 一方、一般 2 の世帯は、住民税課税世帯であって、所得割が 28 万円未満の世帯以外の世帯については、 7 9,000 円からその他生活費の額から福祉部分利用者負担相当額を引いたもので、負担限度額を算定することとなっています。経過措置としては、一般 1 の世帯、課税世帯であって、所得割 28 万円未満の世帯については、ここにある一般 2 世帯の負担限度額の算定方法ではなくて、生活保護世帯や住民税非課税世帯と同様の算定方法を使うという経過措置になっています。それを具体的に図で示した下のモデルケースで考えた場合、現行の一般 1 世帯の利用者負担は現在 1,000 円になっていますけれども、経過措置を単純に廃止した場合、利用者負担が月額で 2 1,000 円に増加するという形になります。この経過措置が平成 27 3 31 日までとなっているわけですが、これについてどう考えるのかという点です。私からは以上です。

○田中障害福祉課長 それでは、資料 2 に関する議論に移りたいと思います。資料をまとめて説明させていただきましたが、かなり内容的に異なりますので、最初の地域区分の関係から 1 つずつ御質問、御意見等を頂戴します。まず、地域区分の関係ですが、御質問、御意見等がありましたら頂戴します。

○野沢論説委員 この 2 ページの見直し後というのは、平成 24 年のときにこういうふうに見直しをしたということですね。今回は、 5 ページの真ん中辺りにある 1 級地は 20 %になっていくということですよね。そうすると、すごく地域によって格差が出てくるのです。人事院勧告を基にやっているので、こうなるのかということですが、一般論として考えたときに、今、政府をあげて地方再生をやっている中で、こんなに地方を傷めつけてしまっていいのだろうかというのは素朴な意見です。

 市場原理に従っていけば、当然物価は相当違ってくるわけで、それを働く人の給料に反映させるというのはそういうことなのかもしれませんが、やはり、今取り組んでいる地方があまりにも衰退していって、あと数十年後には 800 以上の自治体が自治体機能が消えてしまうのではないかみたいなことを言われている中で、やはり、市場原理の修正や、地域間の再分配をやっていこうという中で、果たしてそれを人事院勧告をそのままこういうものに適用してしまっていいのだろうか、というのは素朴に感じます。

 ものづくりというのは、外から持ってきたり、つまり、輸入したり、あるいはコストの安い所に製造拠点を移すということはできますが、「人」へのサービスというのは人がいる所でやらないといけないわけです。特に障害者やお年寄りというのは基本的に動けないわけです。地方へ行けば障害者、お年寄りは動けずにいます。そういうことを考えるときに、だからといって、人勧のまま障害者福祉で働く人についてもそんなふうな地域間格差を作ってしまっていいのだろうかと思ったりもします。

 介護はどんな状況ですかね。介護と保育は人勧に倣ってやって、障害だけが頑なにそれをやめることは、理屈的に、あるいは政治的に可能なのかどうなのか。こういうところで言いにくいかもしれませんが、その辺の感触は知りたいなと思います。

 これは萩原部長に怒られるかもしれませんが、都市部は財政も結構豊かなので、それは都市部でやってくださいよという思いがしないでもないのですが、その辺の自治体の状況というのは、現場で働いている方に是非反論して、あるいは教えていただきたいと思います。以上です。

○田中障害福祉課長 ありがとうございます。

○菅自立支援給付専門官 介護など、他のサービスのこれまでの見直し、国家公務員の地域手当に準拠した形での設定、その見直しの経緯は介護と障害については、前回の改定ということで時期を同じにしております。

 一方で、保育や措置費、障害児の報酬については、また介護などとは違う形です。そういう意味では見直しは医療保険のほうの診療報酬の地域加算も同様の考え方で設定されております。それぞれ見直しの時期等は必ずしもイコールではないということはあります。介護の場合については、介護給付費分科会での議論としては、今回の報酬改定において、 8 月の人勧に基づく見直しを行う方向性での提案がされており、まだ決まったわけではないのですが、見直しの提案がされている状況です。

 保育や措置費についての取扱いはどうなるかというのは現時点では分かりませんが、措置費の場合は、これまでの見直しとしては国家公務員のほうが段階的に見直しが行われてきている中にあって、段階的に見直しが行われておりますので、基本的には今回もそうなるのではないかと思いますが、状況はつぶさには把握しておりません。

○野沢論説委員 障害だけがそれに抗って、別の構成を出すというのは可能ですか。部長の立場でどうですか。やはり、省内に波乱を呼びますかね。

○藤井障害保健福祉部長 それはもちろんかなり議論を呼ぶというか、逆によほどの理由付けをしないと、なかなか難しい面はあるとは思います。当然こういった動かし方をすれば財政的な影響もあります。そういったことも含めて、私どもも何か決めたということではありませんので、まず今日は先生方の率直な意見をお伺いできれば有り難いです。

○野沢論説委員 もう 1 つ付け加えて言わせていただくと、人材確保ということを考えると、都市部は人はいるわけですよね。産業間、あるいは法人間で努力しながらいい人材を確保していくことは、そういう余地はあると思うのですが、地方はそもそも確保しようにも人材そのものがいない。努力してもいないという地方もあるわけです。そうすると、ますますそういうものを進めてしまいかねないのではないかと思います。介護も保育もそれに倣って、障害だけが違う方向性を出すのは、一見するとマスコミ的には非常に面白いのですが、政府内は相当波乱というか、何を考えているのかと多分言われると思うのですが、あえてそういう話題を作って地方から喝采を浴びるとか、あるいは障害の分野というのはおもしろいなと若い人に見せるという、アクロバティックなことを我々は外部のアドバイザーなのでそういうしがらみなしで言わせていただくと、やっても面白いのではないかと率直に思います。

○萩原部長 野沢委員のお話に引き続いて、確かに人材を確保したりという意味でいくと、クリエイティブさというのでしょうか、論理とか理屈以外の魅力を感じていただくような取組は確かに必要だろうと思います。それは制度としては難しいかと思いますが、事業者としての御努力みたいなものを含めてあってもいいかなと思います。

 自治体の現状を私が代表してお話するわけには、なかなかいかないかと思うのですが、私が所属している自治体でも、例えば、総合支援法に移行する段階で附帯決議もあったかと思いますが、都市部で関連する施設を整備していく等についても、なかなか用地が確保できなかったりとか、事業者としては既存の建物を借りてグループホームとして作っていったりとか、都市部は都市部としての課題があるのかなとは思います。

 ただ、一方で野沢委員がおっしゃったように、本当に過疎の地域で、障害のサービスもやりつつ、同じ事業所なり、同じ担当の人が地域の高齢の方たちへのサービスもやっているような、多角的なと言うのでしょうか、より柔軟な小回りの利いた取組で地域を支えていらっしゃるのだろうなというのは伺っております。この場で、私どもの自治体の財政状況をお話するわけにはいかないので、印象としてはそう思っております。

○田中障害福祉課長 平野先生、お願いします。

○平野教授  2 ページのところですが、前回の平成 24 年に級地の見直しをして、そのときに激変緩和措置ということで、 4 年間かけて是正するという話を頂きました。ここは制度論の問題ですが、暫定緩和措置が終わらない前にまた変えてしまうというのは、ひとつは制度論としておかしいのではないかと思います。東日本大震災のような非常事態があれば別ですが、激変緩和の期間が終わる前になぜいきなりこうなってしまうのかというのでは納得できないと思います。これは個人の意見ですが、もし可能であれば平成 27 年に前回の報酬改定の移行が終わって、そこで次に移る形のほうが制度としては馴染みやすいのではないかというのが 1 点です。

 もう 1 点目は、資料の 6 ページ、当然、今回の東京 23 区などの大都市部で大幅に上がるわけです。その財源をどうするかと言えば、財政中立ですので、全体のパイを下げる。単純にこれを見れば地方分を下げて都市部に回すということですから、野沢委員のお話にもあったように地方にとっても大きな話ですので、 1 年間きちんと説明して、論議していかないと納得を得られるのかなというのがあります。これも含めて経過措置が完成するところまでちゃんと移すと。その後もう 1 回どうしましょうかということで、見直しに移せるほうが道理ではないのかという感じがします。以上です。

○田中障害福祉課長 ほかにいかがですか。

○平野教授 障害児ですが、これは特殊事情だと私も思っています。特に障害児施設の場合は、半分近くが契約ではなく措置制度で入所している。そこは現実問題として、措置制度に合わせざるを得ないだろうというのが現場の声だと思っています。大人の場合も措置はごく僅かですから、ある程度収れんできると思いますが、子供の場合、特に入所施設などは半分以上が措置で入っていると、同じサービスを受けていて違うという話では説明がつかないので、子供に関しては特殊事情で実態に合わせて、措置に合わせたほうが現場としてはやりやすいという気はします。以上です。

○田中障害福祉課長 よろしいですか。それでは時間もありますので、次の 7 ページからの「視覚・聴覚言語障害者支援体制加算」の関係で何か御意見、御質問はありますか。

○平野教授 ここは是非進めていただきたいの一言に尽きるところです。 1 つは、これまでは重複障害者は谷間の障害者だったのです。自立支援法の前までは障害種別でしたから、肢体不自由施設、視覚障害者施設、聴覚障害者施設ということで、結局、重複障害者の方たちがどこに行くかはっきりしなかったのですが、自立支援法になってから障害全部を取り上げるということで、この人たちがクローズアップされてきたということがあります。そういった中で、受け入れることができるようになってきたのですが、処遇困難は大きいのですが、それが報酬上は評価されないままでした。今回、 3 年後の見直しでも重複、意思疎通の困難が取り上げられていますが、やはり現場でもすごく大変だという声が出ています。特にこの人たちは家庭で預かることが難しい。親が高齢化するとどうしても施設でお預かりせざるを得ないということで、何としてもこの人たちを受け止めていきたい。やはり家庭でも、残念ながらこの人たちはずっと家にいて外へ出られない方が多いのです。それで施設に来て初めて社会参加するということもあり、是非この人たちに手厚い援護をしていただきたいです。

 単純に言いますと、 1 1 2 ではなく、障害に関しては 1 1 3 ぐらいの感じです。私はろう重複、盲重複の施設と親しくお付き合いさせてもらっていますが、コミュニケーションも 1 1 人違う方法でやって、ほとんどマンツーマンで、トイレへ行ったりするのも全部やっている状態ですので、ここは特に生活だけでなく、安全のことも含めて是非お願いしたいと思います。

 これは 1 つの個人的意見ですが、 9 ページで言いますと、要件のところを、今、算定要件が 100 分の 30 ですが、現場に言わせると 3 割重複障害がいると、通常の職員配置ではとてもではないが持ち堪えられないと。正直言って、 100 分の 10 でもいいくらい、という声です。

 視覚のほうは 1 2 級になっていますが、聴覚のほうは 2 級になっていて、できれば 2 級・ 3 級ぐらい幅を持たせてほしいと。 3 級の人もほとんど聞こえないという現状があるので、そういう緩和をしてほしいというのがあります。特に一番谷間にいるこういう人たちのことを手厚くするという意味で、ここは生活の場面も広げてもらうことと、要件のほうも御検討いただければというのがお願いです。

○田中障害福祉課長 ほかはありますか。

○平野教授 これは聴覚障害の施設からも言われたのですが、最近は中途の重複障害者が増えているとのことです。例えば、聴覚障害者で糖尿病になって目が見えなくなってしまったとか。どうも重複障害の場合、先天的に多いというイメージがあったのですが、最近は中途の重複障害者が増えています。これは視覚障害者の施設も言っていました。もともと視覚障害を持っていて、途中で脳卒中で半身まひになるとか、そういう方が相当増えてきており、これからますます増えるだろうと言われています。そういった意味でも是非お願いしたいと思います。

○田中障害福祉課長 よろしいですか。野沢先生、お願いします。

○野沢論説委員 私も全く同じ意見です。これまで自宅から通うのがモデルだったと思いますが、やはり親の高齢化やグループホームや施設へ入居する方が増えていることを考えると、この辺りは最優先でやっていただきたいと思います。盲ろうの方と知り合う機会が結構あるのですが、やはり、コミュニケーションの支援があると本当に希望ですよね。一般の人に対してものすごく希望が持てる。こういうものをもっと世の中に発信していくことを考えたときに、ここは重点的にやっていただきたいと思います。以上です。

○田中障害福祉課長 よろしいですか。萩原先生、お願いします。

○萩原部長 私も同意見です。

○田中障害福祉課長 御異論がないと思いますので、 14 ページの送迎加算に係る論点について御質問、御意見等を頂戴したいと思います。

○井出教授  1 つ聞きたいのは、 15 ページのところで、独自の基準を認めている都道府県が 28 あるということは国の基準でやっている所がそれ以外にあるという認識でよろしいですか。

○落合課長補佐 独自基準を認めている都道府県が 28 ということですから、その裏返しでほかの所は国基準で、上段の要件と同一の要件で実施をしているという整理です。

○井出教授 送迎加算は経済状況とかいろいろあって必要だと思っていて、そうでない所が裏返しあるということは、 16 ページでいくと、送迎加算についてどうするかと言えば、国の基準はある 1 つのスタンダードですが、いわゆる認めているような都道府県からすると、もう少し要件が緩和されて、事情に応えているような印象が私にはあります。そうすると、一番近いのは 3 番目です。やはり国としてはある程度のスタンダードを示す一方で、これまで独自でやってきた所のある部分、要望も随分あって、要望は置いておくとしても、ある程度要件を緩和するのがいいかどうか分からないですが、スタンダードを示しながらも幅広に単価に差を設けるではないですが、いろいろなパターンを少し考えていただいてもいいかなと思います。これは意見です。

○田中障害福祉課長 平野先生、お願いします。

○平野教授  17 ページの算定要件のところで、1・2・3とありますが、送迎は特に地方の場合は町村合併もあって、かなり市の面積が広くなって、かなり長い移動距離も運ばなければならず、方向も別になっていると。ですから、よく現場から出てくるのは、算定基準の2のところで、 1 回の送迎につき平均 10 人以上が高い壁になっているのです。単純に考えれば 10 人以上で、通常は運転手と介護者が付くわけですから 12 人乗るわけです。そうすると、普通車ではなくマイクロバスになって大型免許が必要になるということで、免許を持っている人がいないとできないという形になるわけです。都市部のように巡回できる所はいいのですが、地方は北と南に車を走らせなければならない場合には、これがすごくネックになっているというのがあります。そうなってくると、小さい 8 人乗りのワゴンに普通免許の職員が出掛ける。それがあって、多分 15 ページのところで、利用が 5 人以上という形が 21 のところに来ていると思うのです。そういった意味では、先ほど発言がありましたように、私も 16 ページの3の国基準でスタンダードを示していて、一方で今言ったような現状に合わせて、地域の特性に合わせて緩和していったほうが現実的という感じを持っています。

○田中障害福祉課長 野沢先生、お願いします。

○野沢論説委員 送迎はいろいろな考え方があると思います。私は移動のニーズというのは個人によって相当違うと思っているのです。身体的な事情で送迎が必要な場合もあれば、行動障害があって、身体的には体力があって自力で動けても、いろいろな刺激によって何らかのトラブルを起こしがちな方もいる。

 また、常時身体介護付きの移動が必要な人もいれば、状況の良くないときに必要な人もいる。あるいは見守り程度で済む人もいる。本当に個々によって違うと思うのです。

 本来であれば、移動というのは個別給付にしたほうがいいと私は前から思っているのです。しかし、なかなか財政的な事情等もあり、市町村の事業になっているわけですが、それをやり繰りしながら送迎に対してのニーズは高いのです。余り送迎の基準を厳しくしてしまうと、やはり家族の負担が重くなる。あるいは利用そのものができなくなる人が出てくることを私は恐れます。どれがいいのか、なかなか一概に言えないのですが、できるだけ個々の事情に応じたニーズに応えられるような加算にしていただきたいと思います。以上です。

○田中障害福祉課長 よろしいですか。続きまして、 20 ページ、栄養マネジメント加算の関係について、御質問、御意見等ありましたら頂戴したいと思います。

○沖倉教授 すみません、そろそろ失礼しなければいけないので。栄養マネジメント加算のところと、もう 1 つ意見を申し上げたいと思います。次の食事提供加算についてもお話しようと思っていて、私は食いしん坊で、きちんと食は守りたいと思うので申し上げます。

1 つ目の「栄養マネジメント加算」については、私自身の経験もあって、幾つかの施設を回らせていただいたり、被後見人を施設にお願いしたりしているので、その関係で見ていますと、管理栄養士さんが付いて、きちんとマネジメント、計画をもって行っていることで、非常に健康的にも良好で、日中の活動にも積極的に取り組むようになったという事例をたくさん見ています。是非、管理栄養士さんの配置というのは、今後も、御検討いただきたいと思います。

 それは特に医療を必要とする利用者の場合には、健康の維持であるとか、あるいは退院後の療養食、栄養のコントロールが必要になってきますので、そのためにも管理栄養士さんは必要かと考えています。

 食事提供体制加算については、どうしても収入の状況など、現代の状況を考えますと、低所得層というのはある一定程度存在するというのは、しばらく続くことかと考えております。これも経過措置になっており、関係団体からもお話がありますが、恒久化も含めて御検討いただきたいと思います。

 これも私は幾つか施設を回らせていただいている中で、通所施設だったのですが、その地域が生活保護世帯であるとか、家族が高齢化して、自宅での食事だけでは質を担保し切れなくなっている現状があって、その中で通所ですから、例えば、昼食ですが、 1 日に 1 回でもきちんと栄養バランスの摂れた食事を提供することに非常に力を入れておりまして、それをできるだけ地域にも還元していきたいというお話を幾つかの所で聞いたことがあります。やはり、食生活はいろいろな面に影響してくる基本的なところなので、是非ここはお守りいただきたいと思いまして申し上げておきます。

○田中障害福祉課長 ほかにありますか。野沢先生、お願いします。

○野沢論説委員  23 ページの管理栄養士と栄養士では、こんなに違うのだと不覚にもよく知らなかったのですが。これは入所施設ですから、管理栄養士さんはきちんと置いていただきたいと思います。個別の栄養ケア計画の作成に至っていない施設が半数というのはどうかなと思ったりします。

 今、医療刑務所へ行くと、非常に個別のメニューを作って、糖尿病とか慢性疾患に応じた個々のメニューを作られている。刑務所ですらという表現はどうかと思いますが、障害者施設はもっとそれ以上にきめ細かい栄養、特に彼らにとって食べることは、我々以上に大きな価値観と言いますか、生活上で占める割合は大きいと思いますので、ここはきちんとやっていただきたいと、そういうふうに導くような報酬体系にしていただきたいと思います。

○田中障害福祉課長 ほかはよろしいですか。それでは、 26 ページの「食事提供体制加算」については、沖倉先生からは御意見を頂戴しております。この部分について御意見、御質問等ありましたらお願いします。

○野沢論説委員 私の立場から言うとすごく申し上げにくいところで、支援費から自立支援法になるときに、これまで食事が無料だったのをなぜお金を払わなければいけないのだという声が吹き出てきたところです。やはり食べることに対する感度というのは、家族も含めて強いなと思っています。

 そういう声の中にいる側からはなかなか申し上げにくくて、一般の人から見るとどういうふうに見えるのか、是非、井出先生辺りに御意見を聞きたいところです。

29 ページのところで、収入がおおむね 600 万円以下の世帯、障害児のほうは 890 万円以下の世帯まで対象になっているということは、世間から言うとどうなのだろうと。正直言うと思われると思います。

 今、高齢者のほうでも、ただ単に高齢者だからと言って、いろいろな自己負担を低くしたりするのではなく、やはり所得に応じた負担を求めていこうではないかという流れの中で、当然、障害者だから、あるいは障害児がいる家庭だからということだけで、いろいろな負担を軽くすることはそろそろ世間からは厳しい目で見られるのではないかと思います。

 しかし、現場のいろいろな意見、感情も尊重しなければいけないところだとも思うのです。単位数で言うと、昼食は 42 単位ということは 420 円です。 30 ページ、特に利用料を取っている所は 1 人当たり月額 5,566 円と言うと、大体 1 日当たり 300 円ぐらいになりますが、この差は少し是正したほうがいいのではないかという気がします。利用料を取っている所が 300 円でやっているのに、加算で 420 円という辺りは若干ならすことを考えたらどうかと思います。当然、経済的に見合わない貧困の世帯、あるいは当事者については、食べることは最低限保障しなければいけないこととは思いますが、少し余裕のあるところは検討に値するというのは、私の立場でぎりぎり言えるところかと思います。以上です。

○田中障害福祉課長 よろしいですか。井出先生、お願いします。

○井出教授 今、野沢先生から名前を頂いたので。怒られてしまうかもしれませんが、私は所得に応じた負担感がこういう世界でも必要ではないかと思います。所得が低い方については、負担感を軽減することはもちろんだと思いますが、所得に応じた応分負担は今後考えていくべきだろうと。そういう中で、別の所でこういうサービスにとって必要なところを考えていくこともあるかと思います。ですから、一度ここは御議論していただいてもいいのではないかと思います。

○田中障害福祉課長 平野先生、お願いします。

○平野教授  1 つは、経過措置は継続していただきたいという考え方は持っています。利用者負担に関して言えば、昭和 59 年の身障法の改正のときに、利用者負担が障害領域に全面的に導入されたのですが、そのときの根拠が、障害基礎年金が始まって、所得保障があるからということで始まったという経緯があります。当事者からすると、極端な話をすると、障害基礎年金の 6 3,000 円と、授産工賃は当時 1 2,000 円ぐらいですが、足して 7 5,000 円ぐらいだと。利用者負担がなくて、通所だから食事が 1 食出ると。これで何とかやっていけたのが、自立支援法になって、年金の額も変わらず、授産工賃も 1 2,000 円で、今度逆に 1 割負担と食事負担が出たと。これでもうやっていけないというので、ものすごい声になったというのがありますから、所得保障の状況とか、授産工賃が大きく伸びたということがない中で、これをなくすというのは、現実的に無理があるというのが 1 点目です。そういった意味で、所得保障やいろいろな政策の要素を踏まえないと、なかなか厳しいというのが 1 つです。

 もう 1 つは、 29 ページ、一般 1 の部分の利用者負担をどうするかという問題と、もう 1 つは 1 2 の差が大きいのです。 1 から 2 に年収が上がったときにガーンと上がってしまうので、この辺のところをもう少しなだらかに何とかできないのか御検討いただく必要があるかと思います。特に年収が少し動いただけで負担が大きく、極端に言うと 3 倍ぐらいの開きになっていますので、この辺をもう少しなだらかにするというのは考えてもらってもいいかと思います。以上です。

○田中障害福祉課長 それでは、時間もありますので、最後の 33 ページ、「補足給付」の関係です。この部分に御質問、御意見等がありましたら頂戴したいと思います。井出先生、お願いします。

○井出教授  37 ページのところで教えていただきたいのですが。図が上下に 2 つあって、先ほどの御説明で、基本負担の限度額は 1,000 円だと。特に経過措置がこれで切れるので、それを切ってしまうと 2 1,000 円というお話でしたが、仮にこの経過措置が終わったときに、これに対する別の方法というのは何か考えられたり、あるいは別の所でケアできたりするのですか。それとも、単純にこういう結果になってしまうだけですか。

○小泉課長補佐 ここでお示ししているのは、経過措置を単純に廃止した場合は、こういう負担額が増えるということで、別の所得補償とか、そういった部分については、どういったものがあるのかという点も含めてここで御議論いただければと思います。

○井出教授 はい、分かりました。ありがとうございました。

○田中障害福祉課長 野沢先生、お願いします。

○野沢論説委員 ずっとこの報酬改定でいろいろ議論をしてきて、最後の最後のところで厳しいテーマが待っていて、なかなか言いにくいのですが、補足給付で 35 ページの図を見ると、入所施設にいる方が、全部必要な経費を利用者負担でやると手元に残らなくなってしまう。むしろ足りなくなってしまうということで、補足給付があるという理解です。

 これはやはり地域で暮らしている障害者や、その家族にとってみると、だから入所のほうが安心なのだという、入所から地域への流れを阻んでいる要因ということは私は否定できないと思います。必ずこの議論は地域でやっている人たちから出るのです。それではなぜ地域で暮らしている人は、親元から通っている人、あるいはグループホームに入っていても、親が仕送りしなければ暮らしていけない。実際にそうしている人たちはいるわけです。

もし親が亡くなったらどうなるのか。やはり入所に行くしかないのではないかみたいなインセンティブを与えてしまっていると思います。

 本来であれば、地域で暮らしている人にも補足給付が必要だと思うのです。グループホームの 1 万円の住居補償は、それに当たりますが、それでも格差があります。ここをなくしてしまったら、施設を経営する側からすれば、やはり御本人に利用者負担を求めることになるのでしょうから、非常に切ない話で言いにくいのですが。ただ、この問題は、そろそろ地域で暮らしていくという流れを本当に作っていくために、補足給付を今すぐなくせということを言っているわけではないのですが、地域で暮らす人の利用者負担も含めて、全体的に地域への移行を加速していくような制度設計、報酬体系が必要だろうと思います。以上です。

○田中障害福祉課長 よろしいですか。それでは、以上で一通り終了しましたが、言い忘れられたことなどありましたらお願いします。よろしいですか。それでは、以上をもちまして、本日予定している議事は全て終了となります。次回の検討チームについては、追って御連絡をさせていただきます。本日はお忙しい中をどうもありがとうございました。これをもちまして第 13 回の会合を閉会いたします。


(了)
<照会先>

障害保健福祉部障害福祉課

評価・基準係: 03-5253-1111(内線3036)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 障害保健福祉部が実施する検討会等> 障害福祉サービス等報酬改定検討チーム(平成27年度報酬改定)> 第13回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」 議事録(2014年11月27日)

ページの先頭へ戻る