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2014年9月11日 第8回社会保障審議会企業年金部会議事録

年金局

○日時

平成26年9月11日(木)16:00~18:00


○場所

全国都市会館 3階 第1会議室
(東京都千代田区平河町2-4-2)


○出席者

山崎部会長、森戸部会長代理、井戸委員、臼杵委員、小林委員、鈴木委員、高崎委員、半沢委員、平川委員、山本委員(大井川代理人)、村瀬オブザーバー

○議題

(1)企業年金部会の今後の進め方について
(2)柔軟で弾力的な給付設計について
(3)中小企業向けの取組について

○議事

○山崎部会長

 まだ定刻前でございますが、委員全員集まっておりますので、これより第8回「社会保障審議会企業年金部会」を開催いたし、す。

 お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。

 まず、企業年金部会の委員の異動について御報告いたします。9月10日付で冨高委員にかわり半沢委員に御就任いただきましたので御紹介させていただきます。所属と役職はお手元の部会委員名簿に記載されておりますので、お名前のみ紹介させていただきます。半沢委員でございます。

 

○半沢委員

半沢でございます。

 

○山崎部会長

 また、本日の委員の出欠状況ですが、白波瀬委員、山本委員から御欠席の連絡をいただいております。御欠席の委員のかわりに出席いただいている方ということで、山本委員の代理として、日本商工会議所の大井川代理人に御出席をいただいております。大井川代理人の御出席につき、部会の承認をいただければと思いますが、いかがでしょうか。

 

(「異議なし」の声あり)

 

○山崎部会長

 ありがとうございます。

 御出席いただきました委員の方が3分の1を超えていますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。

 それでは、議事に入らせていただきます。カメラの方はここで退室をお願いいたします。

 

(カメラ退室)

○山崎部会長

議事に入る前に、事務局から資料の確認等をお願いいたします。

 

○内山課長

 8月1日付で企業年金・国民年金基金課長になりました内山でございます。今後ともよろしくお願いいたします。

 それでは、座らせていただいて、資料の確認をさせていただきます。

 本日配付の資料といたしましては、

  資料1 社会保障審議会企業年金部会委員名簿

  資料2 企業年金部会における検討課題

  資料3 企業年金部会の今後の進め方(案)
  資料4 柔軟で弾力的な給付設計
  資料5 中小企業向けの取組
   参考資料1 企業年金制度の現状等について

  参考資料2 日本再興戦略 改訂2014、経済財政運営と改革の基本方針2014(企業年金関連部分抜粋)

  参考資料3 今後の検討の進め方(第23回社会保障審議会年金部会資料)

 参考資料4 社会保障審議会企業年金部会運営規則

以上を配付させていただいております。

資料の不備等はございませんでしょうか。

 

○山崎部会長

 ありがとうございます。

 前回の部会において、事務局より提示されました「企業年金部会における検討課題(案)」につきましては、修正の内容について、私に御一任いただきました。各委員からの御指摘を踏まえて、資料2のとおり、必要な加筆訂正を行いましたので、御確認いただければと存じます。

本日は「企業年金部会の今後の進め方について」、「柔軟で弾力的な給付設計について」、「中小企業向けの取組について」を主な議題といたします。

それでは、まず議題「(1)企業年金部会の今後の進め方について」、入りたいと思います。事務局より資料の説明をお願いします。

 

○内山課長

 それでは、資料3「企業年金部会の今後の進め方(案)」という横の紙をお出しいただければと思います。

まず企業年金部会でございますけれども、本日911日を皮切りに、左側でございますが、9月~11月にかけて、月2回程度開催をさせていただきたいと思っています。議論の順番につきましては、まず、これまでの部会で中小企業向け対策は急務といったような御意見をいただいたこと。あるいは例年秋の深まるころから税制改正の議論が本格化することなどから、税制が絡む課題を中心に早目に9月~10月のこの部会で御議論いただければと思ってございます。

そういう意味で、上の右側で幾つか順序を書いてございます。まずは「柔軟で弾力的な制度設計」、課題ではDBDCの双方の特徴をあわせ持つ制度ということで整理をいただきましたけれども、そうしたもの。

また「中小企業向けの取組」、「一般企業向けの取組」、これはDBDCのイコールフッティングなどが主な課題になるかと思いますが、そうしたもの。

「ライフコースの多様化への対応」、「現行制度の改善」、「公的年金制度や税制等との関係」、「ガバナンスの確保」といったような順で御議論いただければと思ってございます。

12月以降、そうした早目の課題とともに、残った議題について御議論いただき、また点線の枠で書いていますが、公的年金のかかわりなど必要に応じて年金部会との合同部会を開催させていただければと思ってございます。

年内ないし年明け早々を目途に部会における議論を整理していただければと思ってございます。

最後に下の「」でございますが、年内の部会におきましては、法改正が必要な事項等を優先的に御議論すべきものを中心に御議論いただきまして、政省令・通知等で対応可能な事項については、大枠のみを整理した上で、詳細は年を改めて別途部会において御議論いただければと思ってございます。

1枚めくっていただきまして、本日の第8回企業年金部会について御議論いただく事項でございますけれども、先ほど部会長から御説明いただきました、資料2の検討課題では、そこに書いてありますように、ローマ数字で4つの課題に整理をしていただいてございます。1 企業年金の普及・拡大、2 ニーズの多様化への対応、3 ガバナンスの確保、4 その他ということでございます。

本日、第8回で御議論いただくのは、1の「中小企業向けの取組」、2の「柔軟で弾力的な制度設計」、このあたりを本日御議論いただければと思ってございます。

もう一枚めくっていただきますと、次回は1の1「一般企業向けの取組」、イコールフッティングなどを中心に御議論いただければと思ってございます。

その後、ライフコース、ガバナンスの確保などについて、順次御議論いただければと思ってございます。

以上でございます。

 

○山崎部会長

 ありがとうございます。

 今後の本部会の進め方といたしましては、ただいまの説明のありました資料のとおりとさせていただきたいと存じますが、委員の皆様から御意見等ございましたら、お願いいたします。よろしいでしょうか。

 

(「はい」と声あり)

 

○山崎部会長

 それでは、続きまして「柔軟で弾力的な給付設計について」、事務局より資料の説明をお願いいたします。

 

○内山課長

 それでは、資料4「柔軟で弾力的な給付設計」について御説明をいたします。

ページをおめくりいただきまして1ページでございますが、1ページにつきましては、これから御説明いたします資料の大枠を整理したものでございます。我が国の企業年金制度は、DB法とDC法の2法に基づき、基本的には「給付と拠出のどちらを先に決めるか」という考え方に基づいて運営をされております。

こうしたことから、DB制度では、運用のリスクが事業主に偏る。その一方で、DC制度では、運用のリスクが加入者に偏ることになり、DBDCの二者択一では、労使のどちらかにリスクが偏る構造となってございます。

こうしたリスクへの偏りへの対応として、平成14年度にキャッシュバランスプランが導入され、普及が進んでいて、事業主と加入者の間でリスクを分け合う考え方が広がり始めています。

以下、2ページ以降、今の流れを説明した資料でございますが、2ページは「確定給付企業年金(DB)と確定拠出年金(DC)の基本的な枠組みでございます。

先ほど御説明しましたように、我が国の企業年金はDB法とDC法に基づき運営されています。確定給付企業年金(DB)では、あらかじめ加入者が将来受け取る年金給付の算定方法が決まっている制度でございまして、資産は企業が運用します。

右側の確定拠出年金(DC)では、あらかじめ事業主が拠出する掛金の額が決まっている制度で、資産は加入者個人が運用することになります。

ページをおめくりいただいて3ページですが、「DB制度の基本的な仕組み」でございます。DB制度では、あらかじめ定めた給付が賄えるように掛金額を計算し、事業主が拠出をするということでございますので、資産の運用状況等により、あらかじめ定めた給付に対して積立不足が発生した場合には、事業主が追加で掛金を拠出することにより、不足額を埋め合わせる必要がございます。

4ページにまいりまして、「DC制度」でございますけれども、DC制度は、あらかじめ定められた拠出額とその運用収益との合計額をもとに年金給付額が決定される仕組みですので、給付された掛金は、個人ごとに明確に区分された勘定で管理をされています。

資産の運用が仮に低調であっても、事業主の追加拠出はない。そういう意味では加入者の自己責任ということになってございます。

そうしたことから、4ページの図の右下の「」でございますが、運用結果は、加入者の自己責任となるため、事業主は、資産運用に関する基礎的な資料の提供等(いわゆる「投資教育」)を行うように努めなければならない、とされてございます。

5ページに進みまして、今のDB制度とDC制度のリスクにつきましてまとめたものでございます。

DB制度では、運用等のリスクが事業主に偏る一方、DC制度では、運用のリスクが加入者に偏ることとなり、そういう意味ではDBDCの二者択一では、労使のどちらかにリスクが偏る構造となってございます。

そこで、こうしたリスクの偏りをなくし、労使でリスクを柔軟に分け合うことができる仕組みとして、DB法の施行(平成14年)の時点から「キャッシュバランスプラン」による設計が導入されています。

6ページにまいりまして、「キャッシュバランスプラン」の説明ですが、キャッシュバランスプランは、平成14年、DB法の施行時による導入されたものですが、あらかじめ定められた拠出額と、国債の利回りなどの指標による利息額との合計額をもとに、年金給付額が決定される仕組みでございます。

仮に運用が低調で、指標を下回った場合には、右の図にありますように、事業主が追加で拠出をする仕組みになってございます。

一定の拠出額をもとに、指標に連動して給付が決定されるという意味ではDC制度、指標に対する不足額を事業主が追加拠出するという意味ではDB制度の特徴を持つということでございますので、事業主と加入者でリスクを分け合うといった構造になってございます。

またページをおめくりいただいて7ページでございますが、平成26年4月からは、キャッシュバランスプランの指標として、国債の利回り等のほかに「積立金の運用実績」も認めることとしてございます。ただし、拠出元本は保証しなければならない。これは運用実績が指標となりますため、基本的には、事業主の追加拠出の可能性は低いのですが、元本割れをした場合には、事業主が追加拠出をすることになります。

この仕組みにより、DB制度において、DC制度の特徴をより強く持つ、すなわち事業主の追加拠出の可能性が小さい給付設計も可能となってございます。

8ページは、今まで御説明したものを表にまとめ直したものでございます。

現行のDB制度・DC制度の中で、伝統的なDB制度・DC制度を両端に置き、事業者と加入者との間のリスクの分け合い方という意味では、キャッシュバランスプランはその中間的な位置づけということになってございます。

9ページにまいりまして「キャッシュバランスプランの導入状況」でございます。

キャッシュバランスプランは、運用のリスクを事業主と加入者で分け合うことができる仕組みですので、平成14年の導入から約10年たってございますが、上の棒グラフを見ていただきますと、企業の全体では16.0%と6.7%の合計22.7%ですけれども、既に4分の1ほどがこのキャッシュバランスプラン、あるいはその類似系を導入しておるということでございます。

下の棒グラフでございますが、特に1,000人以上の大きな規模の企業では、5割を超える導入率でございます。そうした意味でリスクを分け合うという考え方が広がっているということが言えます。

1ページ飛ばしていただきまして、11ページ以降は、こうしたことも踏まえ「諸外国における事例等」、諸外国ではどういうことをしているかということでございます。

11ページでございますけれども、諸外国においても、「事業主と加入者で柔軟にリスクを分け合う」という視点に立って、現在DBDC双方の特徴を持つ新たな給付設計が導入又は検討され始めております。そうした意味で企業年金制度における設計の多様化は世界的な流れと言えます。

具体的には12ページの下側の表をごらんいただきたいのですが、諸外国の例として、4カ国ほどの取り組みを挙げさせていただいています。各国の詳細につきましては、13ページ以下に資料を作成していますので、後でごらんいただきたいのですけれども、まず12ページのオランダでございますが、Collective DC(集団型DC)といった工夫をしてございます。これはDC制度の要素を取り入れたDB制度ということで、掛金水準を一定期間固定し、その間は、年金債務に対する積立水準に応じて年金額のスライド等を調整する仕組みでございます。企業会計上は、確定拠出制度(DC)として取り扱われております。

2つ目のカナダは、Target Benefit Plan(目標給付プラン)というもので、あらかじめ労使で定めた計画に基づき、積立状況に応じて掛金・給付の直接を行う仕組みです。給付は、受給権の保護レベルに応じて差がある二層の構造で設定されております。掛金については、事業主負担を固定しても変動させてもよいということで、これはまだ制度の検討の段階と聞いてございます。

3つ目のイギリスでございますけれども、Defined Ambition DE制度と言われているものでございます。労使で柔軟にリスクシェアを図るための設計として提案されているもので、内容的には3つのものが含まれています。1は平均余命の延びに応じて支給開始年齢を変化させるといったように、DB制度を柔軟化させる仕組み。2はDC制度の中で保証要素を加えている仕組み。3はオランダを参考とした集団型DC制度、そういった3つのものから成り立っています。まだ検討の段階であるようですが、3につきましては、法案を提出していると聞いてございます。

4つ目の米国でございますけれども、Floor Offset Planなどの仕組みがございます。これはDB制度とDC制度を組み合わせた仕組みで、あらかじめ最低保証額(フロア)を設定し、DC制度からの給付がその額を上回った場合にはDC制度からのみ支給をするのですが、仮に下回った場合にはその差額をDB制度から補填(オフセット)をする仕組みということでございます。これは既に米国で行われている仕組みでございます。

13ページ~16ページは各国の少し詳細な資料でございますが、きょうは時間の関係から省かせていただきまして、17ページは企業年金部会で、630日の第5回のヒアリングにおきまして、企業年金連絡協議会から提案されたものの概要でございます。「協働運用型DC制度の創設」、「元本保証付協働運用型DC制度の創設」という御提案をいただいていまして、これも諸外国に類したといいますか、諸外国と同様にリスクを分け合う仕組みとして御提案されたものと受けとめています。

以上、現状の説明ですが、18ページは本日御議論いただきたい「柔軟で弾力的な給付設計」、いわゆるハイブリット制度についての論点でございます。

19ページをお開きください。19ページはこれまで御説明したもののある意味、おさらい的な整理でございますけれども、DB法とDC法の2法に基づき、我が国の制度は基本的には「給付と拠出のどちらを先に決めるか」といった考え方に基づいて運営をされてございます。最近の企業の動きとしましては、DBはリスクが大きいとしてDCに移行する動きが進む傾向にありますが、一方でDCは従業員個人のリスクが大きいという意見もあるところでございます。

こうした意見への対応として、平成14年にキャッシュバランスプランが導入されて普及が進むといったように、事業主と加入者との間でリスクを分け合う考え方が広がり始めております。企業年金のさらなる普及、すなわち企業年金によってカバーされる方々をふやしていく。そのためにもさらなる柔軟な制度設計、労使が取り組みやすい仕組みや、取り組みやすい選択肢を拡大することが重要かと思っておりまして、そういう意味でさらなる柔軟な制度設計が求められているのではないかということでございます。これは先ほど見ていただきましたように、諸外国の動向を見ても同様な傾向にあると言えるのではないかと思ってございます。

20ページで具体的な【論点】でございますけれども、大きく2つの方向がございます。DB制度のほうから柔軟にするものと、DC制度のほうから柔軟にするものでございます。

1つ目の「○」でございますが、DB制度については、労使の判断のもと、あらかじめ約束した給付に積立状況に応じた柔軟性を持つ給付を組み合わせるといったように、積立水準(剰余・不足)の状況を一定程度給付にも反映させるようなことができる弾力的な給付設計の導入について、検討してみてはどうかということでございます。

2つ目の「○」でございますけれども、DC制度側からの工夫ということで、DC制度については、「投資教育」を必要に応じて実施することは前提でございますけれども、労使の判断のもとで、資産を集団で運用する仕組みや、これにDB制度等からの保証を組み合わせる仕組みの導入について、検討してみてはどうかということでございます。

最後の「」に書かせていだたいていますが、こうした仕組みを導入した場合にどのようなガバナンスにするか。そうしたガバナンスのあり方、労使の関与の仕方など具体的なガバナンスのあり方については、別途、11月以降になるかと思いますが「ガバナンスの確保」について御議論する際に検討させていただければと思ってございます。

説明は以上でございます。

 

○山崎部会長

 ありがとうございます。それでは、ただいまの説明のありました資料について、委員の皆様から御意見等をいただきたいと思います。いかがでしょうか。半沢委員。

 

○半沢委員

 新たに委員になりました半沢でございます。よろしくお願いいたします。こちらの部会の委員にならせていただきまして、企業年金がテーマということで、従業員の立場、企業の立場、いずれの発展も念頭に、企業年金のよりよい形、そして発展に向けた議論をさせていただきたいと思っております。

基本的な考え方と幾つかの質問がございまして、初めて議論に参加するものですから、皆さん既に御存じの内容もあるかもしれませんけれども、御容赦いただければと思います。

私どもの考えとしましては、企業年金が従業員である私どもにとっては退職給付の一部をなすものでございまして、賃金の後払いとしての性格、老後の生活保障としての機能を有するものであると思っております。老後の生活という意味では、生活設計、一定の保障が必要でありまして、そのような意味では一定の予見性も重要であると考えてございます。そのような意味では、今、DBDCというお話がありましたけれども、このDBという制度が、今私が申し上げた基本的な理念にはフィットするわけでして、そちらが基本的に考えられるべきではないかと思っているわけでございます。

いただいた資料の8ページに「現行制度で可能な給付設計について」というところがございます。リスクの分担について、右側矢印で示されていまして、事業主と加入者と、リスクの分担についていろいろな工夫がされてきたことが見てわかると思っております。今回の柔軟な制度というのが、今の可能な給付設計をなくして新たな制度にするのか、あるいは、その間で、リスクの負担割合が変わってくるような議論を目指しているのか、そこが1つわからないところではあります。また、このような中において、事業主、加入者のリスクの負担が制度によってある程度が違っているとすれば、事業主という立場からすれば、リスクとしては余り大きいものについては厳しいと思う気持ちもあるのだろうと思う一方で、私たちとしては、きちんと給付がもらえるという安心な、望ましい制度はDBということになります。そのため、DB制度がより広く実施されるという観点で、何らかのインセンティブが取り入れられれば、企業でも取り組みやすくなるのではないかと、この図を見て思った次第です。

あと、少し質問が2点ほどございますけれども、20ページに【論点】があるのですけれども、1つ目の論点ですが、先ほどの7ページのように、キャッシュバランスプランとか、その中でもさらに弾力化が図られた制度とか、このような制度が既にあるわけです。「積立水準の状況を一定程度給付にも反映させることのできる、より弾力的な」とありますが、既存の制度との違いについて少し教えていただければと思います。

それから、DC制度について、2つ目の論点でありますけれども「資産を集団で運用する仕組み」というのは新たな視点ではないかと思いますが、現行でもDBDCの併用が可能ですので、集団で運用する仕組み以外の部分で既存のものと何がどう違って、また、なぜこれを議論することが今後の企業年金の発展に資するのかということについて、もう少し詳しく説明していただけるとありがたいと思っています。

 

○山崎部会長

 どうぞ、事務局から。

 

○内山課長

 本日から御参加いただきまして、また初めに御意見いただきまして、ありがとうございました。

 まず、1点目の8ページの図についてですけれども、先ほど申しましたように、今、企業年金を持たれているというか、加入されている方、これは実はなかなか正確にはわからないのですけれども、事業所の数で大体25%ぐらい、人口で正確なところがわかりませんけれども、大体4割~5割ぐらいと言われてございます。

そうした意味で、今回は先ほど申しましたように、企業年金に入られる方を極力ふやす、カバーされる方を極力ふやすというのが1つの大きな課題と思ってございます。そういう意味で、伝統的なDBDC、キャッシュバランスプランといった制度がございますけれども、先ほど申し上げましたように、こうした仕組みでまだなかなか取り組んでおられない事業主の方もいらっしゃるわけでございますので、こうした仕組みでは取り組みにくいということであれば、もう少し取り組みやすい仕組みができないかということでございます。

そういう意味で、この4つの仕組みをなくして新たな制度をつくるということではなくて、この4つの仕組みのほかに、さらに労使で相談をして取り組みやすい仕組みがつくれないかというのが今回の問題意識でございます。

2つ目の20ページになりますでしょうか、キャッシュバランスプランと、今、御提案を差し上げていますDB制度の弾力化との違いでございますが、キャッシュバランスプランはあくまでも国債利回りなり運用実績なりといった指標が定められてございまして、それに従って給付をしていくということです。20ページの仕組みは、その労使の判断のもとでございますが、例えば先ほど御紹介しましたように、カナダのような仕組み、例えば労使で計画を定めて、運用の状況を反映させるといったように、指標のような機械的な数値のほかにも選択肢をつくったほうがいいのではないかという問題意識でございます。

それから、3つ目でございますけれども、DC制度につきましては、基本的には個々の加入者が御自分で運用されることを基本にされてございます。20ページの下の仕組みは、基本的には、DC制度の仕組み、個々の方が判断されるという仕組み、お気持ちを大事にしながら、さはさりながら、個々ではなくて、その方々が何十人か集まって、集団で運用する仕組みも加えてはどうかということでございますので、そういう意味ではそもそも企業全体で運用などをしているDB制度とは異なるものではないかと思ってございます。

 

○山崎部会長

 よろしいでしょうか。

 

○半沢委員

ありがとうございました。今お話いただきましたのは、現行制度で取り組んでいない事業者にも取り組みやすくし、新たな参入を促すと。そのような意味では、従業員の多くが企業年金でカバーされることが望ましいという考え方が念頭にあるという御説明だったと理解しました。当然ながら、老後の給付という意味での考え方を、ぜひその中に盛り込んでいただければありがたいと思っております。

また、DB制度の論点については、労使の判断のもと、指標の部分についての柔軟性のあたりが議論のポイントのような御説明をいただいたと思いました。そのような理解でよろしかったでしょうか。

 

○内山課長

 具体的な仕組みについては、また年が改まってからになるかと思いますが、御議論していただきたいと思いますけれども、今、想定をしていますのは、今、御指摘のあったような労使の判断もかませながら、柔軟な仕組みができないかという方向で考えてございます。

 

○半沢委員

ありがとうございます。

○山崎部会長

 臼杵委員、お願いします。

 

○臼杵委員

今、半沢委員からお話のあった件で、少しお伺いしたいのですけれども、ちょうどいい機会なので、以前から労働組合の方は、DBのほうがDCよりもいいというようなお考えをお持ちだと伺っていて、きょうもそういうお話だったのかと思うのですが、半沢委員にお伺いしたいのは、DBは予測可能性が高くて、DCは予測可能性が低いとお考えだとしたら、その理由は何なのか。会社がつぶれてしまい、給付が十分に受け取れないというようなこともあるわけですね。そういうことについてどのようにお考えかということ。

2つ目として、中小企業で全く積立がない場合、つまり退職金について全く社内の引き当てだけで年金制度も持っていない場合と、DCがある場合とで、どちらがよりよいとお考えなのか、その2点なのですけれども。

 

○半沢委員

DBが確定給付という名前であることから、この制度の性格としては、一定の給付が約束されているという意味において、労働者としては、そのような安心感は、制度の名前にもあらわれていると思っております。

DCの場合は、運用という部分が自己責任になるという意味において、運用にそれほどたけている従業員ばかりでは決してございませんので、そのような意味での不安感が残るのは事実だろうと思っているところでございます。

全く企業年金がないというところとの比較については、どういったらいいかと思いますけれども、ただ、退職した後の生活設計という意味において、働いてきた中で企業年金が大変大事な部分を占めていることは間違いないだろうと思っています。その中にDBDCがあるということです。

 

○臼杵委員

1つ目は、どう言ったらいいのかわかりませんが、DBでも企業がつぶれて年金が削減されることもあります。結局、DBというのは、逆に事業主のリスクを非常に負っているわけですね。特に中小企業などは、しょっちゅう倒産するということでもないでしょうけれども、倒産してしまえば減額されるのは確実ですし、倒産でなくても、給付減額という例は、事業主の経営リスクを非常に負っているということになります。もちろんDCのリスクもあります。DCについては投資のリスクはおっしゃるようにあるし、ただ、投資のリスクも、今、おっしゃったように慣れてなれていなくてなかなか難しいというところを、どうやって改善していったらいいかという話をこれから部会でも話すのだと思います。けれども、両方ともリスクがあって、一方が100点で、一方が0点だということは、私はないと思います。だから余りDBDBと言われると、全く個人ですけれども、若干違和感があるということです。

それから、2番目については、賃金等の支払いの確保に関する法律で、退職金についての社外積立をするのが望ましいということになっているわけですから、中小企業で仮にDBがなかなか大変だということであれば、全く積立がないよりは、DCる方が望ましい。仮におっしゃるように、DBよりもDCが望ましくないとしても、でも全くないよりはDCがあったほうがいいのだというような考え方も当然あり得ると思うのですね。

済みません、揚げ足をとる気は全然ないのですけれども、DCだからといって、これはよくない制度だと言われてしまうと若干違和感がある。以上です、済みません。

 

○山崎部会長

平川委員

 

○平川委員

ありがとうございます。この問題は大変難しくて、絶対的にDBがいいかと言えば、御指摘のとおり、リスクもあり完璧な制度ではないということは言えるかと思います。ただ、基本的には相対的な問題として、将来的な給付の予測ができるといった意味合いで言うと、より安定した制度という意味ではDBがより望ましいと考えているところです。ただ、一方で、現実問題として、実務上リスクを含めてやりづらいという企業も実際に存在することがあり、その折り合いをどうやってつけていくのかというのが、企業年金部会での議論だと思っていますので、その辺の御理解をお願いしたいと思っています。一応「連合」のプレゼンの中でも、DCについてちゃんと触れておりますので、よろしくお願いいたします。

 

○山崎部会長

 半沢委員、よろしいですか。

 

○半沢委員

ありがとうございました。

 

○山崎部会長

また、今後とも議論していくことになるのだろうと思います。ほかにいかがでしょうか。鈴木委員。

○鈴木委員

2点質問なのですけれども、19ページの【背景】のところで「最近の企業の動きとして、DBは企業リスクが大きいとしてDCに移行する動きが進む傾向にあるが」ということなのですけれども、これはDCに移行する動きが進むというのは、1つの企業がDBをやめてしまってDCにやるというのか、それとも1つの企業の中のDBの割合を減らしてDCの割合をふやしているのか。私は基本的には後者ではないかと思うのですけれども、つまりどんどんDC化が進んでいっているというのは、DBが切りかわってDCに行って、DBがなくなっているという例はむしろ少ないのではないかと、私は感覚的に思っているのですが、最近は違うのかもしれません、自分がやっていた当時と。

何でそんなこと言うかというと、先ほどからDBDCは両極端で、リスクを負うのは事業主と従業員に偏っている。偏っているのを、何とか従業員と会社でシェアしようというときに、一つの制度としてシェアをするということをここは考えているわけですけれども、それ以外にDBDCを組み合わせるというシェアの仕方もあるわけですね。私が危惧しますのは、この中間的な制度になればなるほど一般の加入者にわかりにくい、難しい制度になるような気がします。制度として中間的な制度を目指す、これはもちろん労使が合意して、やりたければやればいいのですけれども、そうではなくて、DBDCを組み合わせてシェアしていくというのも1つの非常に望ましい姿ではないかと思っています。だから、ここでDCに動いているというのはDCの割合をふやしているということではないかと思っているので、それを確かめたいということが1点。

それから、2点目は全然違うのですけれども、20ページのDB制度の、先ほどの「労使判断のもと」で云々という1つ目の「○」。下にあるように、オランダやカナダのような仕組み、あらかじめ積立水準によって給付の変動も組み込んでおくというのは、それはそれであると思うのですけれども、この文章だけを読むと、今のキャッシュバランスの実績連動型で、今は拠出元本を保証というバーがついていますが、それを取り払うのも可能だというふうにもこれは読めますね。つまり運用の結果次第で元本の保証もなしに減るのもオーケーと。それも労使で合意したらオーケーというふうにも読めるのですけれども、それはそんなことはないということでしょうか。この2点です。

 

○山崎部会長

いかがでしょうか。

 

○内山課長

 まず最初の質問でございますけれども、1つは単純にDB制度に取り組んでいる企業なり事業所の数、DC制度に取り組んでいる企業の数といった意味で、DC制度に取り組んでいった数のほうがふえてきているといったようなものがございます。そうした意味と、あと、御質問の中で、企業内でDBDCをやられていて、DBのほうで同じ企業の中でシフトされているのではないかということなのですが、また次回以降の宿題とさせていただきたいと思いますが、世界的な潮流では、例えば資金量もDBからDCに移行しているといったような状況もありますので、そうしたものもまた資料を整理させていただきたいと思っています。

それから、キャッシュバランスプランとの関係ですけれども、ここはまた具体的な制度設計にもよりますが、今のキャッシュバランスプランでは元本が保証されているわけですけれども、それぞれの仕組みの中で、労使の合意の中でどのようにしていくかは、具体的な仕組みの御提案とともに御議論させていただければと思います。

 

○山崎部会長

 ほかにいかがでしょうか。小林委員。

 

○小林委員

この部会の議論でも、これまで何度か整理されてきたように、企業年金は労使の合意に基づき実施するものであり、よりよい制度を各労使がおのおののニーズに応じて柔軟に選択できる環境整備が非常に重要だと考えます。それぞれの企業の労使が置かれた状況は、個々に異なると認識しております。例えば制度設計の前提になる従業員の属性や労務構成、あるいは制度のステージや成熟度は会社により違います。さらに、業種・業態が置かれた競争環境の違い等々も踏まえて考えると、それぞれの労使が個々に異なる事情を抱えていると思います。

こうした観点で言うと、企業年金に対するニーズも一律ではないと認識していまして、選択肢をむやみに増やすということではなく、できるだけ柔軟な形で多くの選択肢が揃っている状況が望ましいと思います。

個別の企業の労使がそれぞれの状況を踏まえて、ニーズに合ったものを選択できるという枠組みを作る観点からは、時間はかかるかもしれませんが、DBDC双方の観点から選択肢を広げるというアプローチは望ましいと考えております。

 

○山崎部会長

ほかにいかがでしょうか。井戸委員、よろしいですか。

 

○井戸委員

はい。

○山崎部会長

高崎委員、よろしいですか。

 

○高崎委員

はい。

 

○山崎部会長

平川委員。

 

○平川委員

先ほど鈴木委員からの御指摘がありました、【論点】の1つ目の「○」のDB制度の「弾力的な給付設計」の導入のところですが、労使の判断ということで入ってはいますけれども、余りにも柔軟性を持つといった組み合わせになりますと、事業主が努力してぎりぎりやってきたものが、給付抑制というか、そういう方向に行ってしまうのではないか、企業努力がなしくずし的に失われてしまうという懸念を持っているところであります。安易な妥協は認めないという観点で、一定の歯どめが必要ではないかと思っているところです。

あとDCのほうですけれども、この間「投資教育」とすごく強調されているところですけれども、残念ながら、何回か前に私も指摘しましたけれども、結果として元本確保型の方がかなり多い。一番多いのは元本確保型ですし、加入している方の相当数は元本割れしているといった結果になっている。それをどう見るのかということを率直に考えなければならないのではないかと思っています。確かに投資教育が足りないからそうなっているのだという意見もありますけれども、日常的にDCの運用に関して、加入者で関心を持っていてそれなりの成果を上げている方もおりますけれども、現実問題としてはそうではないといった状況もありますので、それをどう考えるのかということがあるのではないかと思っているところであります。

以上です。

 

○山崎部会長

 森戸部会長代理。

 

○森戸部会長代理

2点あります。1つは、DBDCの違いの御説明が最初ありましたが、日本の場合、DBでももちろん厳格な要件はありますが、給付減額ができることに法律上きちんとなっていますので、そのことは一応頭に置いておく必要があると思います。つまり事業主の積立不足は事業主の責任、それはそうなのですが、給付減額という対応もできることになっているわけなので、そのことは頭に置いておく必要がありますというのが1点目。

もう一点は、まさに「柔軟で弾力的な給付設計」の論点ですが、20ページ、DBについて、DCについてまとめてあります。先ほどから出ていますように、労使の選択肢がふえることは別に悪いことではないと思いますが、ただ、それによって導入された制度が、先ほど鈴木委員でしたか、わかりにくい制度になってしまうのではないかという話とも似ていますが、資産の運用、もしくは制度の運営の責任が何だか不明確になってしまうとすれば、それはよくないと思います。

そうするとDCについてのところ、「労使の判断のもと、資産を集団で運用する」という、まさにこの意味、これがどういう制度になるか。これだけではわからないですけれども、結局運用のリスクはどこにあって、だれが負うのか。DCだから労働者が負うのでしょうけれども、これは読みようによっては「労使の判断のもと」という、ガバナンスのあり方ということかもしれませんが、ガバナンスという何か格好いい話というより、法的な責任、受託者責任そのものの議論かと思うのですけれども、例えば労働側も資産運用の責任を負うのかとか、そういうことを想定しているのかとか、いろいろ考えてしまうのですね。集団で運用するというのも、オランダとか、そういうのをモデルにしているのかもしれませんが、DBで柔軟な制度設計を今でもできるし、いろいろできるようにするのと、何が違うのか。DBでキャッシュバランスの柔軟なものでいいのではないか。もしくはDCでライフサイクルファンドみたいなもののファンドを選べるというのと何が違うのかということは明確にしていかないといけないと思います。

鈴木委員がおっしゃったように、DBは事業主が運用責任を負います。DCは労働者側が負います。それを企業の中で組み合わせることはできますと、そういう弾力的な両方のリスクをあわせ持った、結果的に退職給付制度のパッケージをつくることはできると思いますので、これからの議論でしょうけれども、わかりにくい制度になってしまわないか。責任があいまいに、運用のリスクは、労働者なら労働者にある、事業主側なら事業主にあるというのが前提だと思うので、そこのところが何か変なふうにあいまいになってしまい、あるいは逆に法的な責任は結局だれが負うのかみたいなことにならないような、そういうことに注意した議論は必要かなというふうに、とりあえず今のところは思いました。

以上です。

 

○山崎部会長

 村瀬理事長

 

○村瀬理事長

少しお願いがあるのですが、20ページの論点整理で、1つ目の「○」につきましては、具体的な例として、海外の参考事例、検討中のものも含めて入っているわけです。一方、2つ目の「○」のDC制度については、具体的な事例が入ってないということで、同じ標準でまとめていただけたらよろしいのではないか。

それから、企業年金連絡協議会から御提案されています「協働運用型DC」について、きょう表が出ているということは、それなりのことを想定しておまとめになっているのではなかろうかと思いますので、その点も踏まえて、検討の中に入れるのであれば、例としてお入れいただくようにお願いしたいと思います。

 

○山崎部会長

 いかがですか、事務局のほうから。

 

○内山課長

 まず森戸委員から御指摘いただいたところですけれども、確かに集団運用ということになりますと、当然集団は多ければ多いほど運用という意味ではメリットもあるのかもしれませんが、確かに、今、各加入者が持っている責任、その責任が不明確になる、人任せになってしまうようなことも十分に想定されると思いますので、そこのところは集団で運用する場合にどのようにガバナンスと申しますか、どのようにかかわっていくかというところはもう少し検討させていただければと思っています。

それから、村瀬オブザーバーからありましたように、参考資料で出しましたように、この企業年金連絡協議会さんからの御提案も踏まえて、こうしたものを参考にしながら今後具体的な仕組みをさらに進めさせていただければと思っています。

 

○山崎部会長

半沢委員。

 

○半沢委員

申しわけございません。1点だけ細かいところなのですけれども、20ページの【論点】の2番目の「DC制度について」のところですが、「いわゆる『投資教育』を必要に応じて実施することを前提に」という記述になっています。例えば集団運用の仕組みにしたとしても、DCの備える特徴として、ある程度自己責任は出てくるのだろうと思います。そのような意味において、「必要に応じて」というのではなく、「投資教育」はやはり免れないものなのではないかと感じています。したがいまして、この表現について、今の段階で「必要に応じて」という書き方はするのはいかがなものかと思っております。

 

○山崎部会長

よろしいですか。意見として承っておきましょうか。あと、村瀬理事長から少し質問のようなことがありましたが。

○内山課長

繰り返しになりますけれども、DB制度については4カ国の例を出させていただいていまして、DC制度についても、例えば企業年金連絡協議会さんの、きょう御紹介しました御提案も、提案の例として、今後具体的な仕組みを検討させていただきたいと思っています。

 

○山崎部会長

小林委員。

 

○小林委員

 具体的な仕組みの検討に関して1点お願いですが、事業主としては、企業年金の制度設計を考える際には、年金法の枠組みだけではなく、企業会計の影響も重要な判断要素にならざるを得ない実情があります。会計上の取扱についても、初期の段階から関係機関との調整を含めて十分目配りをしていただいて御提案をいただきたいと思います。

 

○山崎部会長

臼杵委員。

 

○臼杵委員

今、会計の話が出ました。コレクティブDCの話は先ほどからいろいろ出ているので、会計との関係で1点だけ補足ですけれども、13ページの資料にあるように、これは事業主が全くほったらかしにするということではなくて、債務に対して一定以上の積立を持つようにして、さらに例えば株で運用して、20%ぐらい損が出そうだと思えば、その損についてもバッファーをきちんと事業主が出す、ただ、それが最初の時点で出してしまい、その後、継続的な債務を負わないという意味で会計基準から外れると、そういうねらいで多分これはできているのだろうと思います。

以上です。

 

○山崎部会長

 大井川代理人、よろしいですか。

 

○大井川代理人

 1点だけよろしいでしょうか。次の「中小企業向けの取組」のところにかかわるのかもしれませんが、中小企業の現状から言いますと、先ほどもお話に出ていましたけれども、退職一時金だけという企業が一定程度あるわけです。そもそも論の話になってしまうのですが、考え方といたしまして、そもそも企業年金をさらに普及させていく理念をどこにどう置くのかということを、もう一度整理していただけないかと思っております。

厚年基金の解散が相次いでいるという中、その受け皿の問題として、適年のような状況を避けるということだけではなく、かつて企業年金制度を持っていたけれども、やめてしまい、今は一般的な退職一時金だけという企業も相当数ありますので、彼らが新しい柔軟な企業年金制度に対して魅力を感じて、そちらに移行していくというインセンティブを、柔軟性という面だけではなくて、税制面も含めていろいろ考えていかなくてはならない。その際に一時金だけであるよりも、企業が企業年金制度の整備に取り組んだほうがいいというメリットは一体何なのかというところを、少し整理したほうがよろしいのかなという感じはいたしました。

以上でございます。

 

○山崎部会長

よろしいでしょうか。一通り御発言いただきましたので、続きまして「中小企業向けの取組について」、事務局で資料の説明をお願いいたします。

 

○内山課長

それでは、資料5「中小企業向けの取組」であります。

1ページでございますが、これも全体の資料の概要になっていますが、中小企業の企業年金実施割合は低下傾向にあります。厚年基金制度の見直し等を踏まえると、今後中小企業の企業年金実施率はさらに低下する可能性があると考えられます。そうした意味から、中小企業向けの支援策が急務ではないかということでございます。

DBは負担が重くて、中小企業にとっての実施のハードルが高い。DCは負担は比較的軽いが、中小企業にとって設立手続や運営コストが課題ということでございます。

このため、DBについては、これまでも簡易基準DBや受託保証型DBといった対策を行ってきてございます。ただ、DCについては、もともと中小企業の利用を想定して創設されたこともあり、これまで中小企業に特化した制度的な対応は行っていないところでございます。

2ページでございますが「中小企業の企業年金の実施割合」でございます。右グラフの一番下の棒でございますが、中小企業の企業年金実施割合は大企業に比べ低く、一番下の棒ですが、3099人の企業規模では18.6%ということになってございます。

左右のグラフを見比べていただきますと、2008年と2013年のグラフでございます。2008年以降の傾向を見ますと、中小企業の企業年金実施割合は100299人のところで51.8%~36.8%、3099人のところで30.2%~18.6%といったように、中小企業の企業年金実施割合は減少してきてございます。

3ページにまいりまして「中小企業における制度種類別の企業年金実施割合」でございます。中小企業の企業年金の実施割合を制度種類別に見ますと、下の表の一番下の横列になりますが、例えば3099人の企業規模では確定給付型が14.9%、確定拠出型が5.7%となってございます。

上が2008年で下が2013年ですけれども、2008年以降の傾向を見ますと、適年廃止の影響等で確定給付型の実施割合は減少しております。その一方で、確定拠出型の実施割合は3.95.7%と上昇していることがわかります。

4ページでございますが、「DC新規設立における中小企業の割合」ということで、DCは制度創設から順調に実施事業主の数が増加してきてございます。ここ数年はDC増加の多くを新規設立が占めてございます。右の棒グラフは、新規設立の8割以上は中小企業になっています。

5ページにまいりまして、2013年時点の中小企業の企業年金実施割合は、先ほど見ていただいたように、3099人のところで18.6%と低い状態になってございます。中小企業のDCの新規設立は比較的堅調と言えますけれども、適年廃止などの影響により確定給付型が減少したことが企業年金実施率全体の低下の要因になっていると思われます。

今後、中小企業が主体の総合型基金が8割以上を占める厚年基金の見直しが進むことによりまして、中小企業の企業年金実質率はさらに低下する可能性がございます。そうしたら意味でさらなる受け皿の拡充、新規設立の支援等が必要といった指摘がございます。

6ページは「適年からの移行状況」を示したものですが、DBに2割、DCに1割、中退協に3割移行してございますが、残りの4割は制度を廃止したということでございます。

7ページに進みまして「中小企業におけるDB導入に係る問題点」でございます。適年から移行する形でDBを導入した中小企業については、適年からの移行過程における受給要件や予定利率の変更などに伴うトータルコストの上昇や、移行手続の煩雑さ、こうしたものがDBの課題と考える事業主の方が多いことがわかります。

8ページ、今度は「中小企業におけるDC導入に係る問題点」でございますが、適年から移行する形でDCを導入した中小企業について、従業員の投資経験が少ないという課題、投資教育・継続教育、制度導入までの手続、運営コストといった事務負担が課題ということで考えられる事業主の方が多いということでございます。

9ページですが、適年から「DBDCに移行した場合の費用負担」についてお聞きした資料でございます。中小企業にとって、まず下のグラフでございますけれども、DCは費用負担が適年のときよりも減少したといった意見が多い一方で、上のグラフ、DBは費用が増加したといった意見が多くなってございます。

10ページは以前の審議会で生命保険協会さんから中小企業が抱える課題をまとめたものでございます。大きく4点ございますが、制度設計が難解である。積立不足償却のための掛金負担、あるいは資産運用・投資に関する知識・経験、そうした教育の不足。あるいは地方厚生局あての手続の負担といったものが出されてございます。

11ページは具体的な「DCにおける投資教育の実施者」でございますけれども、基本的には事業主の努力義務となってございますが、中小企業の事業主においては金融機関などの運営管理機関に委託している場合が多いということでございます。

1214ページは事務フローや手続でございます。

14ページは、DCを設立する際に提出していただいている書類が相当数あるものをお示ししたものでございます。

15ページにまいりまして「これまでに実施されたDBに関する中小企業向けの対策」でございます。加入者が500人に満たないDBについては、表の左側にありますように、簡易な基準に基づく掛金計算等が認められてございます。また、右側は生命保険の一般勘定などで運用することで積立不足が発生しにくい受託保証型DBが、先般の厚年基金の改正と同時に適用対象が拡大されていまして、現実にはことしの夏口から生命保険の各社により提案が開始されているところでございます。このように簡易基準DB、受託保証型でDBといったような中小企業を想定された負担の軽いDB制度が導入をされてきてございます。

16ページ、「これまでの中小企業に関するDCの議論」でございます。制度創設当時の諸説でございますけれども、DCは負担の軽い中小企業にも導入しやすい制度として導入された経緯がございます。そうしたことから、上のDBとは違い、中小企業に特化したような制度の導入は現在行われていないところでございます。

17ページ以降は英国と米国の中小企業向けの取組でございます。

個別の説明は省かせていただきますが、例えば18ページでは、英国において、自動加入制度、あるいはそれと組み合わせたNEST(National Employment Savings Trust)といった工夫がなされてございます。

また、19ページですが、米国においては、通常の401kTraditional401kのほかに、中小企業を想定したようなSIMPLE401kといったようなものがございます。

また、米国ではIRA(Individual Retirement Accounts)というものがあるわけですが、21ページですが、IRA についても、中小企業を想定したSIMPLE IRASEP IRAといったものがございます。21ページに書かせていただいていますけれども、所定の様式に記入すれば簡単に立ち上げることができることや事務処理を金融機関が行うといったような簡便な方法として、こうした制度が米国で普及しているということでございます。

22ページ以降が「『中小企業向けの取組』の論点」でございます。

23ページですけれども、中小企業がDBDCを導入しようとする場合、手続などに係る事務費用の問題など、重い費用負担が困難な中小企業特有の課題がございます。

これまでDBについては受託保証型DBのどになど、中小企業が実施しやすい制度を導入してきましたが、DCについては、そもそも中小企業の活用を想定して導入された制度ということもあり、中小企業に特化した対策はとってきていないところです。

適年が廃止され、また中小企業が多く占める厚生年金基金の見直しが決定したことにより、今後さらに中小企業の企業年金実施率が低下する可能性があると思われます。こうしたことから、DBDCともに中小企業向けの取り組みを強化する必要があるのではないか。

24ページは、DB25ページ以下でDC向けの論点でございますけれども、24ページは「中小企業向けのDBのあり方」ということでございます。

DBについては、先般の厚年基金制度の見直しの際に、中小企業が導入しやすい制度として受託保証型DBの適用拡大を行ったところであります。先ほど申しましたように、生命保険会社におきまして、今、事業主への提案が開始されているところでございます。まだ制度、仕組みが始まったばかりですが、この受託保証型DBの普及状況を見据えながら、この受託保証型をさらに普及させるため、関係金融機関と相談しながらでございますけれども、例えば手続の緩和といったようなことを検討すべきではないかと思ってございます。

また、受託保証型DBの実施金融機関については、今、生命保険会社ができることになっていますが、ニーズを踏まえつつ、他の金融機関でも行うことができることにしてはどうかということでございます。

25ページですが、今度は「中小企業向けのDCのあり方」でございます。

DCにつきましては、制度導入に係るさまざまな課題を考慮いたしまして、以下のような、主に3点挙げさせていただいていますけれども、中小企業向けの制度を導入してはどうかということでございます。

1つ目は「投資教育の共同実施」ということでございます。投資教育を行う場合に、中小企業の事業主の方が教育内容の企画立案、説明会等の開催に負担感を感じられていると思いますので、そうした中小の事業主につきまして、DCの投資教育について、知見のある企業年金連合会等への委託により共同して実施をすることができるようにしてはどうかということです。

27ページにイメージでございますが、共同実施のイメージを掲げさせていただいてございます。

25ページにもう一回戻りまして、2つ目は「簡易型DC(仮称)の創設」でございます。簡易型DCの創設は、DCを成立する際の事務手続、運営コストが高いという課題がございますので、米国のSIMPLE 401kなどを参考にして、制度の導入手続が簡便で運営も容易なシンプルな中小企業向けDC制度(簡易型DC)の導入を検討してはどうかということです。

30ページに、これもまだイメージでございますけれども、簡易型DC制度のイメージを掲げさせていただいています。簡易型DC制度は拠出額、対象者、商品提供数といったものを少なくする、あるいは固定することによって、パッケージ化することによって設立時に必要な書類等を削減して手続を緩和する。あるいは運営についても負担の少ないものにするといったような、シンプルな制度設計にすることを想定してございます。

ページがあちこちへ行って恐縮ですけれども、26ページにお戻りいただきまして「個人型DCへの小規模事業主掛金納付制度の創設」でございます。

企業規模が小規模でDCを新規設立する際の事務手続や運営コストの負担が難しく、企業年金の実施自体が困難な事業主の方もいらっしゃるということですので、やむを得ず企業年金を実施ができない小規模の事業主等につきましては、制度の導入・運営に係る負担を大幅に軽減するために、米国の制度も参考にしながら、個人DCへの小規模事業主が掛金の納付を追加でするといった制度の導入を検討してはどうかということです。

」で書いていますけれども、個人型DCは企業年金に加入していない従業員について、加入することが可能になってございます。個人型DCは、各個人が当然掛金を納めるわけですが、個人の掛金に加えて事業主が追加で拠出を可能とする仕組みとしてはどうかということでございます。

少し後ろをおめくりいただきまして、33ページをお開きください。

現行制度におきましても、個人型DCの加入者が、基本的には御自分で掛金を納められるわけですが、一部の事業者におきましては、個人型のDCの加入者の給与から掛金を天引きして、かわりに掛金を納めるといったような仕組みをとっている事業主の方がいらっしゃいます。こうした流れがございますので、前の32ページでございますが、事業主が給与天引きをして個人にかわって納める仕組みができてございますので、そこに加入者掛金に追加をして事業主掛金を拠出することができるようにしてはどうかという御提案でございます。

もう一度、済みません、26ページに戻っていただきますけれども、26ページの下の「」でございますが、先ほど御議論いただいた資産の集団運用といった仕組みも1つの中小企業向けのインセンティブになるのではないかと思われますのと、また、中小企業がDCを導入する際に課題となっております中途脱退の要件、運用資産の選択のあり方、DCの事務手続コストについても、別途、次回以降の部会で御議論していただければと思ってございます。

御説明は以上でございます。

 

○山崎部会長

ありがとうございました。ただいま説明のありました資料について、委員の皆様から御意見等をいただきたいと思います。井戸委員からお願いします。

 

○井戸委員

御説明ありがとうございました。「『中小企業向けの取組』の論点」のところで、受託保証型DBを参考にというふうになっていたので、15ページの受託保証型DBについて教えていただきたいと思います。生命保険会社が企業で一括で受け取るのができるということなのですが、これをお聞きすると1.25%の保証とお聞きしたのですが、例えば国債だと2%ぐらい回りますし、想定利率は今2%~2.5%運用設計しているところが多いです。例えば1.25にしておいて、あと、例えば5%とかになるとストックできるわけですね。その部分が従業員の方にはわからないわけですから、利益分の配分がどういうふうにわかるようにしてあるのかというのが疑問に思いました。

それから、今、一括受託で信託銀行がしていると思うのですが、それの生保版ということなのでしょうか

あと、2つよろしいですか。済みません。25ページの「簡易型DC(仮称)の創設」のところなのですが、事務手続や運営コストが高いということなのですが、これは従業員のためにもなるものですから、制度をつくるときに従業員も一緒にかかわって考えていかないといけないので、私はある程度従業員の方にも少しコストを払っていただくとか、あるいは30ページにありますように、投資教育が絶対欠かせないわけですから、御自分のためにも事務費は、今、大手では全部企業が負担していると思うのですが、中小はそこが難しいところがあるから、ある程度負担するという考えもあるのかなと思いました。

あと最後1点ですが、32ページのところの「『個人型DCの小規模事業主掛金納付制度』イメージ」というところです。きれいに個人型で掛金をしているのですが、逆マッチングみたいな形で事業主が掛金を上乗せするというイメージだと思うのですが、今、個人が事務費や管理費を持っているわけですね。そこにマッチングで事業主が掛金を出したときに、どのぐらい管理費を払ってくれるのかというところも議論していくべきだと思いました。

ありがとうございます、よろしくお願いします。

 

○山崎部会長

事務局から。

 

○山本室長

 1点目の受託保証型DBについてお答え申し上げます。予定利率1.25%ということでございまして、国債2%ということでございますが、今ですと10年国債では大体0.5%ぐらいですし、もう少し年限が長い20年国債、30年国債ですと、もう少し高いものもございますが、そういう意味で一部返ってないのではないか、そういう問題意識ではないと受けとめましたけれども、1.25%しか返さないということではなくて、会社が提案しているパンフレットのようなものを私のほうで確認させていただきましたところ、ある程度配当のような形で還元をするというようなことになっていますし、そこの会社のものを見ましたら、配当のルールのようなものもきちんと計算式のような形で書いて提案をされておりましたので、そういう意味ではある程度透明化が進んだ運営も可能なのかと見ておりました。

それから、予定利率については、長期にわたり保証するものでございますので、ある程度バッファーを積み立てるというのも必要だと、提案のところでは書いてあって、リスクバッファーを積み立てていき、ある程度超えたらすべてを還元するような、そのような形でやっているようですので、そういう意味で、従業員にとって透明化するのは運営上の工夫で何とかできる部分もあるのではないかと考えているところでございます。

 

○山崎部会長

 井戸委員、よろしいですか。

 

○井戸委員

今、御説明いただいてよくわかったのですけれども、とにかく従業員の方にわからないというのか、任せっきりというのだったら意味がありませんので、わかりやすく明確にしていただければと思います。

 

○山崎部会長

 ほかにございますでしょうか。高崎委員。

 

○高崎委員

 資料の30ページの「簡易型DC制度(仮称)のイメージ」のところで、中小企業の方にとってDCを活用しやすくする工夫ということで、必要な手続などコストの負担を軽減するという措置ということで提案されていると思うのですけれども、拠出額を低額に固定するとか、商品提供数を法定の例えば最低提供数である「3」に制限するといったイメージで提案がされていると思うのですが、拠出額を低額に固定して、商品提供数を最低の「3」に制限するといったことが、結果的に中小企業さんでDC制度を持つ上で、それが、今、どのようにネックになり、だからこういうふうに拠出額を低くすべきだとお考えなのか、商品提供数を最低にすべきとお考えになったのか、その辺の事情がわからなかったものですから説明いただければと思います。

 

○内山課長

 先ほどの御説明の中でも、制度が難しいですとか、あとはコストがかかるといったような課題が挙げられていました。そういった意味で拠出額を固定して、商品提供数を固定することによって、まず極力シンプルな制度にして、ある意味パッケージング化されたシンプルな制度にして、それによってそうした制度が難しいといったこと、あるいは運営コストなど負担がかかるといったところを提言できれば取り組みやすい仕組みになるのではないかと考えたような次第であります。

 

○山崎部会長

鈴木委員。

 

○鈴木委員

32ページの例の「個人型DCへの小規模事業主掛金納付制度」、これは発想がよくわからないのですけれども、これは、まず加入者が拠出した、その人についてのみ事業主がマッチングをするという意味なのでしょうね、個人型なので。それはもともとアメリカの401kの発想で、貯蓄奨励策みたいな話ですね。それがここの中小企業の企業年金の普及の策として出てくるのがよくわからないという話が1つ。

それから、もう一つ、ここでがっかりしたのですけれども「個人型DCの拠出限度額を上限とする」となっていますが、これはむしろ個人型の上限額を企業型に上げるという方向で話を持っていくべきではないかと思うのですが、その2点です。

 

○内山課長

31ページにありますように、個人型DCというのは、御案内のように企業年金を実施していないところで加入することができるわけでございますので、そうした企業型のDCに取り組みにくい企業、それは中小企業が多いのだと思いますけれども、そうしたところで何らかの工夫ができないかということで、加入者に対する掛金の追加の拠出を今考えているようなことでございます。

もう一つ、拠出限度額につきましては、もちろんこれまでの部会でも、ほかの部分の拠出限度額の議論などもございますので、基本的には次回以降のところで拠出限度額自体についての御議論はしていただきたいと思ってございます。

 

○森戸部会長代理

1点です。

 

○山崎部会長

 どうぞ。

 

○森戸部会長代理 

1点だけ、鈴木委員おっしゃるように、個人型DC、この話は中小企業の企業年金奨励策では恐らくないのですけれども、ただ、私は、これはこれで別にいいかなと思っています。中小企業の従業員の方の老後所得保障をどうやって用意するかという意味では悪い話ではないと個人的には思ったので。中小企業が企業年金を実施してもらえるようにというテーマ設定になっていますけれども、本来は中小企業の従業員の人の老後もきちんと制度がなければいけないという話なのだから、むしろこれはこれでいいかなと思いました。今でいうと財形とかにもありますね、会社が拠出を上乗せするような、そういうイメージかなと思って聞いていました。

1点だけ、済みません、それだけです。

 

○山崎部会長

臼杵委員、お願いします。

 

○臼杵委員

 2点、意見なのですけれども、1つは、3ページの中小企業の制度種類別の企業年金というところで、ここに書いてないけれども、少し考えておかなければいけないのは中小企業退職金共済という制度で、適年からかなりの部分がそこに行っているわけですね。先ほどなぜ中小企業の企業年金を普及させなければいけないのか、そういう理念が必要だというお話もあったと思うのですけれども、個人的には2つあると思っていて、1つは退職金の支払い準備、これは先ほども少し申し上げましたけれども、賃確法(賃金等の支払いの確保に関する法律)の努力義務になっているわけで、そういう意味では中退(中小企業退職金共済)は少なくとも退職金の支払い準備という機能は果たしているということなので、それはここにあってもいいのではないか。もう一つは、年金部会で議論されているように、公的年金とあわせて老後の所得保障をこれからより確実なものにしていこうということであって、その点は、若干中退は劣るのかもしれませんけれども、全くそういう機能がないこともないのではないかと思います。

2つ目は、25ページのところで「中小企業向けDCのあり方」ということで、2つ御提案をいただいていて、その後により細かな説明が出ているわけですけれども、先ほど高崎委員からも商品数のお話がありまして、次回以降のこととも関係するので若干フライングぎみではあるのですけれども、私はむしろ商品数は少なくてもいいのかなと思っています。それは例えば最近の世界的な傾向を見ても、もちろん選択肢をふやすということも大事なのですが、投資教育の負担とか実際に理解できるかどうかというようなところを考えていくと、例えば先ほどお話があったイギリスのNESTなどでも6つにしていますし、同じイギリスで「ペンション・クォリティー・マーク」という仕組みがあって、NPOみたいなNAPFというところがいいDCの基準をつくっているのですけれども、そこも商品は10個までのほうが望ましいというようなことが出ていて、理解できる能力の範囲と投資教育の負担を考えると少ないほうがいいのかなと思います。

法律で今書いてあるから3つということなのですけれども、むしろ元本確保と場合によってはライフプランに合わせた商品があればそれでいいのかなというふうにも思います。

それと関係するということでいくと、投資教育の共同実施するようなときにも、こういう簡易型のほうが、そういう意味ではやりやすいと思うので、場合によっては投資教育の共同実施とこの簡易型をセットにするというようなことも考えてもいいのかと思う次第です。

以上です。

 

○山崎部会長

平川委員。

 

○平川委員

ありがとうございます。「『中小企業向けの取組』の論点」の【背景】のところはこのとおりではないかと考えております。いずれにしても、この間、厚生年金基金においてはガバナンスの問題が大きな課題となっていますので、その教訓を踏まえて労使ともにきちんとガバナンスを効かせるような仕組みが重要ではないかと思っているところであります。

また、先ほど鈴木委員が指摘されました、「個人型DCへの小規模事業主掛金納付制度」の関係ですけれども、まさに鈴木委員が言われたとおりでございますし、また、先ほど逆マッチング拠出という意見がありましたけれども、企業型DCにおけるマッチング拠出の精神から見ても、この考え方は課題があるのではないかと思っています。これについては慎重な検討が必要ではないかと考えているところであります。

以上です。

 

○山崎部会長

お待たせしました、村瀬理事長。

 

○村瀬理事長

済みません、中小企業における企業年金の問題というのは喫緊の課題だということで連合会として御提案申し上げましたけれども、今回いろんな形でデータが出てきている中で少し疑問に思うのは、30人以上99人、100人以上299人を対象に検討されていますけれども、実は第5回目のときに連合会として発表させていただきましたように、現在、厚生年金基金で加入されている平均人数、これが幾らかということからいきますと、例えば平均ですが、30名未満の基金数が209ありまして、企業数で約5万8,000社ある。この部分についてどうするのですかという検討が欠けているのではないか。特に生保会社に対する受託保証型ですか、これについてはいろいろ御苦労されて、多分厚生労働省としても生保会社に対してプレッシャーかけたのだろうと思いますけれども、私が聞いている限りにおいては、20名未満はコスト的にできないと聞いていまして、受け皿にはなり得ないと。関係金融機関に対してさらにプレッシャーをかけるように書いてありますけれども、逆に言えば、この部分について、極論すれば、5名でも6名でもやれるという答えを持ってこない限り受け皿にはなり得ないのではないか。

一方、いろんな形で、DCについても検討されていますけれども、人数の少ないところで本当にDC制度をやれるのですか。この受け皿もはっきりしない。ここをもう少しお詰めいただきたいと思います。

そういう点で、ぜひお願いをしたいのは、今回の厚生年金基金から、解散なり代行返上すると、今いろいろ検討されている厚生年金基金も多いのですけれども、実は積立水準が2013年度平均で103%まで改善しておりまして、このスキームを使うことによって中小企業の企業年金が維持できるという、あとはガバナンスの問題であり、チェックの問題なり、運用基準の問題なりをどう管理していくのかということをお考えいただければ、受け皿ということについてはすばらしい受け皿がまだ私は残っているのではないかと思います。その部分について、もちろん移行するに当たってはさまざまな障害もあると思いますけれども、そこへ知恵を絞ることによって、少し新しい視点も見えてくるのではないか、これが1点です。

2点目に、中小企業の皆さん方について言えば、どちらかといったらDBは苦労があってDCがいいのだということを前提に考えられていますが、それは事業主の立場であって、まさに受託保障型で一定の利回りを保証してくれる商品があるのであれば、それこそ小さい中小企業が一番そこへ行くのがいいのではないかということから言えば、もう少し何か知恵の出し方がそういう対象に対してあるのではないか、この2点をお願いしたいと思います。

 

○山崎部会長

事務局から。

 

○内山課長

ありがとうございました。済みません、御説明の中で、3099人というような御説明をしましたけれども、これは調査自体が30人以上でしかとってないということでございますので、全体としては、もちろんこの30人以下のところも想定してつくっているつもりでございます。そういう意味で、先ほどの繰り返しになりますけれども、なかなか企業として難しいところは、例えば個人型DCを活用していただくといったような御提案もできるのではないかと思ってございます。

 

○山崎部会長

どうぞ。

 

○村瀬理事長

多分厚生労働省さんとしては、各基金がどういう企業が入っているかという人数構成の部分がわかるのだろうと思います。そうしますと、その部分でこの人数のところはこういう受け皿がDBである、こういうところについては中小企業用のDCはこういう形でできると。それをずっと整理していくと、何が抜けるのか。そういう相関図みたいなものが私はできるのではないかと思っているのですね。そうしますとより議論がしやすい形になろうかと思いますので、そこまで手間がかかるかもわかりませんが、もし全部が無理であれば、特定のところだけ引っ張りだしてきて、厚生年金基金の了解をとった上でシミュレーションする手もあるのだろうと思うのですね。そこはぜひ御検討をしていただけたらと思います。

 

○山崎部会長

参考になる御意見ありがとうございました。ほかにございますか、半沢委員。

 

○半沢委員

25ページにあります「中小企業向けDCのあり方」の11のところで気になった点で意見を申し上げたいと思います。「投資教育の共同実施」ということが論点に挙げられています。DCという制度におきましては、事業主として責任を持って投資教育を行い、そして、本人が納得して商品選択を行うという、これが大変重要な点だと思っております。そのような観点から考えて、例えば共同実施であるとか、企業年金連合会への委託といった工夫はあってもよいのではないかと感じているところです。

この内容についてはこういうところに委託するとしても、ただし、企業としては企業の責任において従業員全員にきちんとそれを受けさせる、そして、受けられる環境をつくるといった部分についてはやはり必要であろうと思っております。従業員に受けさせるということと教育の内容について、事業主の責任をきちんと分けて考える仕組みの検討も必要ではないかと思っています。

 

○山崎部会長

 ほかにございますか。大井川代理人。

 

○大井川代理人

もし可能であれば、事務局からコメントをいただければと思うのですが、団体ヒアリングのときに、当方から、中退協には拠出金に対する助成があるのと同様に、中小企業の仕組みづくりという点では、中退共以外の拠出金に対しても何らかの形で国が助成をするということを申し上げましたが、こういった考え方について、特段今回の資料には触れてございませんけれども、何かお考えがあるのか、一切ないということなのか、その辺、もしお考えがあればお伺いしたいのですが。

 

○内山課長

基本的には今も事業主の拠出で成り立っておりますし、また個人型DCは個人の拠出ということですので、当然マッチングや、今、御提案したような両者ということがあると思いますけれども、現在のところはそうした補助のようなものは考えにくいかと思っております。

 

○山崎部会長

 よろしいでしょうか。

 

○大井川代理人

 はい。

 

○山崎部会長

どうぞ。

 

○村瀬理事長

 連合会の名前が投資教育の共同実施の中には入っておりますので、一言コメントだけさせていただきたいと思います。前回のときに御提案で検討中であるということで多分お書きいただいたのだろうと思いますけれども、今、実施しておりますのは、会員に対してサービスの一環として投資教育のマニュアルをつくろうということを前提に考えておりまして、根本的に従業員教育に対してまでどう具体的に入っていくかということはまだ詰めきっておりません。これをサービスの一環とするのか、委託型でやるのかということについては今後検討する必要はあろうかと思いますけれども、この部分については連合会としては前向きに考えていきたいということについて第1点目でございます。

2点目に「中小企業向けDCのあり方」の中の個人型DCということですけれども、これも企業年金連絡協議会が提案された「協働運用型DC制度」、これをこういうところに使うスキームというのも1つ検討の余地はあるのではないか。もちろん協働運用型になりますと、責任が運用者のほうにかかるのですけれども、そこは商品の選択の余地をリスクがない形にすれば手だてはあるのではないか。あえて個人型DCということの受け皿でなくてもいけるのではないか。ここも1つ、検討材料に入れていただけたらと思います。

以上です。

 

○山崎部会長

 事務局から。

 

○内山課長

まず投資教育ですけれども、これは事業主の方に、今、投資教育の努力義務がかかっておりますので、その努力義務をどういうふうに扱うか。現状の制度では運営機関等に委託をすることにより、その努力義務が排除されるというか、外されたことになっていますので、そのあたりのところはもう少し整理する必要があると思っています。

協働運用は、先ほどの件でも出ましたけれども、やはりそこのガバナンスといいますか、そこの関与の仕方が1つ課題ではないかと思っていますので、そうしたことも含めて検討する必要があるかと思ってございます。

 

○山崎部会長

いかがでしょうか。森戸部会長代理

○森戸部会長代理

幾つかありますが、まず一番最初の中小企業の企業年金実施割合のグラフ、現状を把握するのは非常に大事なことですが、これも左のグラフを見て、中小企業ほど企業年金がないのだと、そういうふうにも言えますが、ただ、一時金等を足すと、そこそこ、みんな8割、9割の企業には何かあるのだというグラフだとも言えるわけです。もちろんそれは年金と一時金違うでしょうという話ですが、年金がある企業の意味も、就労条件総合調査の細かいチェックをすればいいのでしょうが、年金があるといっても、ただ、5年の有期年金があるだけということも多いでしょうし、あるいは、企業年金はやっているけれども、みんなが一時金でほとんどもらっている制度かもしれないしとか、いろいろ現状把握において、既に意見が皆さんからも出ていましたけれども、退職金と企業年金との区別とか、さらに言えば、ここで議論する意義はどこにあるのかとか、全部それにつながるのですが、その辺は注意深く企業年金、退職金とか、そういう用語とか、そういうものも使わなければいけないし、現状把握のために数字、企業年金どのぐらいの人がカバーされているか、そういうものもより正確なデータを、これは事務局にお願いかもしれませんが、きちんと出していただきたいと思います。

DCについても、事業主がDCを導入していますといっても、例えば選択性だったりしてやってない従業員もいるというのも、恐らく事業主は実施しているといふうになると思いますので、細かいややこしい話になりますけれども、より現状をきちんと把握するのが大事だろうと表を見て思いました。これが1点です。

それから、先ほどから出ている投資教育を共同でという連合会さんの名前が出ている話ですが、これは質問ですが、27ページとか25ページ、まさに投資教育の共同実施、これは今はできないのですかというのが質問なのですけれども、私の理解が不足しているのかもしれません。連合会さんがやってないというのはわかりましたけれども、今、別にどこかがまとめて委託してやるということはできないのでしょうかというのが1つ質問です。

それから、3つ目は、中小企業向けにシンプルなSIMPLE DCみたいなものはどうだという、簡易型DCですか、30ページにイメージがあります。先ほども高崎委員なども質問されていたのも、多分私と同じことを思っていらしたのかなと思って聞いていたのですが、結局簡易型DC、こういうパッケージですよと。これだとどうなるかというと、横にあるようにいろんな書類の提出が大幅に簡素化されますと。そこに意味があるわけですね。つまり書類をつくるのは中小企業は大変だから、それをぐっとシンプルにしましたと。中小企業はそういうのを負担に感じているのだから、それはそれでわかるのですが、理屈として、左のようなパッケージの要件を満たしたら、こちらの書類が普通より少なく、右側のしか要求しませんというのは、本当に理論上リンクしているのかどうかというのが、にわかに私はわからないのですけれど。つまり、商品の数を少なくするから、拠出を低額にするから書面少なくていいと、本当にそのように理論的につながるのだろうかというのが実ははっきりわからないところがあります。

ついでに、逆に言えば、100人以下の企業でなくても、こういうパッケージの制度だったら、書類は簡素でいいということですかというふうにも思えるし、せっかく中小企業向けに考えているのに何かけちつけるようで申しわけないのですけれども、今、中小企業の現場で何が障壁になってDCを導入できなくて、だから、それを少し国の政策としてサポートして導入しやすくしましょうという流れに本当に合った仕組みになっているかどうかというのが、別にこれに限らず、議論する上では意識しなければいけないのと思います。

それから、あと、これは既に先ほども出た話ですが、個人型DCで逆マッチング、もともと日本のマッチングは、アメリカのマッチングと逆だけれども、マッチングと呼ぶことにして、それの逆マッチングは今度アメリカのマッチングですね、何かよくわからない話になっているのですが、個人型と企業型がある意味、だんだん区別がなくなってきているようなイメージも少ししています。これは繰り返しになりますけれども、中小企業への企業年金の普及を考えよう、受け皿をどうやって用意しようということですが、あくまでも目標は、別に中小企業に無理して企業年金を持っていただくことが目標なのではなくて、中小企業に勤めている労働者なり従業員の老後に、きちんとした老後所得が、公的年金以外の所得が、もしそういう余裕があるのであれば確保できるかどうか、そちらが最終目標なので、そこは忘れてはいけないのだろうと思っております。

以上です。

 

○山崎部会長

どうぞ。

 

○内山課長

まず御質問の投資教育ですけれども、現在でも投資教育をまとめてすることはできます。ただ、企業年金連合会さんが何ができるかということは、これはまた企業年金連合会、法律に基づいている法人ですので、そこの業務の関係で、現在では法令上はこうしたものはできないのではないかと考えてございます。

また、手続につきましては、現在のところ、中小企業等に限りまして、シンプルにすることを考えてございますけれども、当然ほかの手続も今後必要に応じて検証していかなければいけないと思っています。

また、現状、数字なのですが、ここのところ、例えば先ほども申しましたけれども、企業年金の実施事業者数ということでは2ページを見ていただきましたが、現状で25.8%となっておりますが、これもこの統計上は30人未満のところが入っていないといった課題がございますし、また、先ほど申し上げた、例えばどのぐらいの人数が企業年金でカバーされているかということですが、それぞれDCDB、あるいは厚年基金の加入者数はわかるわけでございます。またDCとほかの制度の重複加入というのはわかるわけでございまして、そうしたものを見ますと、今現在およそ1,373万人ほどですので、24年度末の数字でございますけれども、厚年被保険者数3,470万人の中で言えば、40%弱、39.5%をカバーするのではないかと思われますが、ここの中では少し厚年基金とDBの重複加入といったものがわかりませんので、そうしたところも正確に把握できるような工夫が今後必要ではないかと思ってございます。

 

○山崎部会長

 ほかにいかがでしょうか。

 それでは、少々まだ時間の余裕がございますが、本日の審議につきましてはそろそろ終了させていただきます。次回の開催につきまして、事務局より連絡がございますでしょうか。

 

○内山課長

 次回の部会の開催日時につきましては、また事務局から改めて各委員の御都合をお伺いした上で正式に御案内をお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。

 

○山崎部会長

 どうもありがとうございました。お疲れさまでした。


(了)

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