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2014年11月5日 第119回労働政策審議会労働条件分科会 議事録

労働基準局労働条件政策課

○日時

平成26年11月5日(水)10:00〜12:00


○場所

共用第8会議室


○出席者

【公益代表委員】

岩村委員、権丈委員、野崎委員、村中委員、守島委員、山川委員

【労働者代表委員】

神田委員、新谷委員、高松委員、冨田委員、八野委員、春木委員、宮本委員

【使用者代表委員】

池田委員、小林委員、鈴木委員、田中委員、平岡委員、宮地委員

【事務局】

大西審議官、鈴木総務課長、村山労働条件政策課長、古瀬調査官

○議題

1 今後の労働時間法制の在り方について
2 その他

○議事

○岩村分科会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから、「第119回労働政策審議会労働条件分科会」を開催することといたします。

 本日御欠席の委員でございますが、公益代表は田島優子委員、使用者代表は秋田進委員でございます。

 それでは、事務局から定足数の報告をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○古瀬調査官 まず、本日、国会の関係で事務局に欠席がございますことを一言お詫び申し上げます。

 続きまして、定足数について御報告いたします。労働政策審議会令第9条により、委員全体の3分の2以上の出席、または公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされておりますが、定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

それでは、カメラ撮りはここまでということでお願いいたします。

(カメラ退室)

○岩村分科会長 それでは、お手元の議事次第にありますように、本日の最初の議題は、「今後の労働時間法制の在り方について」となっております。前回の分科会の最後に私から申し上げましたが、長時間労働抑制政策や年次有給休暇の取得促進策などにつきまして、今日は御議論いただきたいと思っております。事務局で資料を用意していただいておりますので、まず、その説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○古瀬調査官 それでは、資料No.1です。本日は、黒枠で囲いました「1.長時間労働抑制策・年次有給休暇の取得促進策について」の御議論をお願いしたいと存じます。

 次に、資料No.2です。本日は、時間も限られておりますので、以前お示ししている資料は簡略に説明いたしますので、よろしくお願します。

 まず、1ページです。1つ目の論点は、「中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金の在り方について」です。この点については、「労働基準法上ダブルスタンダードとなっており解消すべき」、「割増賃金率は、そもそも長時間労働の抑止効果があるのか」といった御意見に加え、「『業種ごとの実情を踏まえ議論すべき』との御意見や、『業界慣行や取引関係の在り方も含め見直すことが必要』などの関係業界団体等の御意見を勘案しつつ、法律上の見直し時期の到来を踏まえ、中小企業への猶予措置を見直すことについて、どのように考えるか。」としております。

 2ページは、検討規定の条文ですので、説明は省略いたします。

 3ページから6ページは、「平成25年度労働時間等総合実態調査結果」のデータです。まず、3ページは、一般労働者の「1箇月の法定時間外労働の実績」で、最長の者で見て60時間超の労働者がいる事業場は、大企業が8.1%、中小企業が4.4%となっております。

4ページは、限度基準適用除外労働者のうち「工作物の建設等の事業」についてです。最長の者で見て、60時間超の労働者がいる事業場は、大企業が38.4%、中小企業が8.7%となっております。なお、大企業については、60時間超の割増賃金率50%については措置済となっております。

 5ページは、「自動車運転の業務」についてです。最長の者で見て、60時間超の労働者がいる事業場は、大企業が40.6%、中小企業が42.4%となっております。

 6ページが「新技術、新商品等の研究開発の業務」についてのデータです。

4ページから6ページを通じて、自動車運転の業務が一つの焦点となることがわかるデータとなっております。

 7ページは、36協定の限度基準が適用除外となっている自動車運転者に係る改善基準告示についての説明資料です。説明は省略いたします。

 8ページは、「トラック運送業界の現状」のデータです。「事業者数・車両数・輸送量の推移」のグラフで、青い線の物流量が増えない中で、赤い線の事業者数が増加しており、また、その右側のグラフでは、赤字企業割合が約6割を占める状況が示されています。

 9ページは「手待時間に関する実態について」です。「2.手待時間の内訳」で、「荷主の都合による」荷積・荷卸待ちの時間が多くなっております。

10ページは「脳・心臓疾患」、11ページは「精神障害」の労災支給決定件数です。それぞれの右側に、職種別に多い順から並べております。

12ページは、「若年正社員の転職希望理由」で、理由の2番目に「労働時間等の条件がよい会社にかわりたい」が挙がっております。これは、労働力確保・定着の観点からの議論のための資料です。

 次に2つ目の論点の、「時間外労働の限度基準の在り方について」です。「上限規制を行うことについて、どのように考えるか。」、「限度基準の適用除外となっている業務について、どのように考えるか。」、また、「現在、特別条項についての様式が定められていないため、運用において、監督署の窓口等で指導を行っているところである。『特別条項付き協定』の様式を定め、その記載事項を明確化することについて、どのように考えるか。」としております。

14ページは、36協定についての資料ですが、説明は省略いたします。

15ページは、時間外労働の限度に関する基準における特別条項についてで、特別条項は、限度基準告示第3条ただし書きに規定されております。

16ページは、パンフレットに記載されている特別条項付き協定の記載例や要件の抜粋です。

17ページから23ページは、36協定に関するデータです。17ページは、36協定の締結の有無とその理由についてのデータで、労使協定を締結している割合は、合計で55.2%となっております。

18ページは、36協定締結事業場55.2%のうちの特別条項の有無と対象業務等についてのデータで、特別条項がある割合は、40.5%となっており、事業場規模が大きくなるほど、特別条項がある割合も高くなる傾向となっております。

19ページは、特別条項付き協定のうち、1箇月の特別延長時間の分布のデータで、70時間超80時間以下が最も多く、36.2%となっております。

20ページは、特別条項付き協定のうち、1年の特別延長時間の分布のデータで、600時間超800時間以下が最も多く、42.9%となっております。

21ページと22ページは、特別条項で定める特別延長時間と、1年の法定時間外労働の実績のクロス集計です。21ページの最長の者について、特別延長時間が1,000時間超に対する実績で最も多いのが、400時間超500時間以下となっております。22ページは、特別延長時間と1年の法定時間外労働の実績についての、平均的な者のデータです。

23ページは、一般労働者に係る「1箇月の法定時間外労働の実績」です。45時間超の割合について、最長の者で見て全体が10.9%、大企業が17.0%、中小企業が9.0%となっております。

24ページは、36協定の様式と記入例です。

25ページは、3つ目の論点の「勤務間インターバル規制について」です。「『真摯に議論すべき』との御意見がある一方、『企業の事業運営に大きな影響を与えることになる』といった御意見もあるところ、現在の取組状況にかんがみ、勤務間インターバル規制を導入することについて、どのように考えるか。」としております。

26ページは、諸外国の労働時間の量的上限規制、勤務間インターバル規制の比較表です。EU諸国では、一定の業務において適用除外や休息期間の短縮等も可能ですが、原則として24時間につき連続11時間の休息期間が義務づけられております。

27ページから29ページは、実際に勤務間インターバル制を導入している企業からのヒアリング結果です。

30ページは、4つ目の論点の「休日規制について」です。現行は、「毎週少なくとも1回の休日又は4週間に4日以上の休日を与えなければならない」とされており、4週4休とする場合は、労働基準法施行規則第12条の2に基づき、「就業規則その他これに準ずるものにおいて、4週間の起算日を明らかにすること」とされております。なお、その際、どの4週間においても4日の休日が与えられなければならないということではなく、また就業規則等で休日を特定することまでは求められておりませんが、こうした「休日規制の在り方ついてどのように考えるか。」としております。

31ページは、5つ目の論点の「代替休暇について」です。月60時間超の時間外労働が行われた場合の代替休暇について、「使い勝手を良くすることについて、どのように考えるか。」としております。

32ページが代替休暇の仕組みについての資料です。

33ページは、代替休暇制度についての実態です。代替休暇制度を設けていない企業が99.2%となっており、設けていない理由として、「管理が煩雑」、「システム改変が必要になる」等が挙がっております。

34ページは、6つ目の論点の「確実に年次有給休暇の取得が進む仕組みについて」です。確実に年次有給休暇の取得が進む仕組みとして、「使用者に対し、一定日数の年次有給休暇の時季指定義務を課すこととしてはどうか。」、「仮に使用者に時季指定義務を課す場合、『時季指定義務の日数』、『労働者の希望聴取』、『計画的付与が行われている場合の取扱い』、『比例付与の対象者の取扱い』などの論点について、どう考えるか」としております。

35ページは、「年次有給休暇の法的構成について」の資料です。上の枠は「白石営林署事件最高裁判決」の抜粋です。この判決は、労働者の年次有給休暇に関する権利について、労働基準法第39条第1項、第2項の要件が充足されることにより、法律上当然に労働者に生ずる年休権と、時季指定権に分けて捉える2分説を採用しております。

その上で、2つ目の○の下線部のとおり、「労働者の時季指定によって年次有給休暇が成立し、当該労働日における就労義務が消滅する」ものであると判示されております。

36ページは、産業別の年次有給休暇の付与日数及び取得日数のグラフで、取得日数の上位3業種に赤丸、下位3業種に黒丸をつけております。

37ページは、「年次有給休暇と労働時間の関係について」のデータで、週当たり労働時間が長いほど年次有給休暇の取得率が低くなる傾向となっておりす。

38ページは、「年次有給休暇の計画的付与制度がある企業の割合の推移」です。直近で19.6%となっております。

39ページは、「諸外国の年次有給休暇」の比較表です。EU諸国やカナダでは、「労使合意が優先したり、労働者等の意見を聴く手続を要したりするが、基本的には使用者により付与時期が決定される。」こととなっております。

40ページは、比例付与関係の条文です。労働基準法施行規則第24条の3において、週所定労働日数が4日以下の労働者で、週の所定労働時間が30時間以上の者を除いた者の有給休暇の日数については、週所定労働日数と継続勤務期間等に応じて、表のとおり規定されております。

41ページは、「正社員とパート・アルバイトの年休取得状況の比較」です。取得日数は、正社員とパート・アルバイトに大きな違いはありませんが、取得率は、パート・アルバイトが、正社員に比べて高い傾向となっております。

42ページは、7つ目の論点の「労働時間等の設定の改善に向けた労使による話し合いの促進について」です。「企業全体での『話合いの枠組み』の設置を促す仕組みを設けることとしてはどうか。」また、「例えば『全部の事業場を通じて一の委員会』を活用することが考えられるが、この委員会に労使協定の代替決議機能を付与することについて、どう考えるか。」、その場合、「どういった事項について代替決議を認めるか。」、「労働安全衛生法上の衛生委員会が一定の要件を満たした場合に、労働時間等設定改善委員会とみなすこととされているが、このみなし制度を廃止することについて、どのように考えるか。」としております。

43ページは、「労働時間等の課題について労使が話し合いの機会を設けている割合」のグラフで、「設けている」が約6割となっております。

44ページは、「労働時間等設定改善法の概要」です。説明は省略いたします。

45ページは、「労働時間等設定改善法関係条文」です。第6条の2行目ですが、「全部の事業場を通じて一の又は事業場ごとの委員会を設置する等に努めなければならない」とされております。また、第7条第1項において、事業場ごとの委員会であって、一定の要件に適合するものについての代替決議が規定されております。また、同条第2項は、衛生委員会のみなし制度に係る規定です。

46ページは、衛生委員会についての根拠条文です。

47ページは、「労働時間等設定改善委員会における労使協定代替決議機能等の具体的な内容」です。労働時間等設定改善委員会の決議で労使協定等を代替できる事項が○印、代替できない事項が×印となっております。また、届出について、労働基準法第36条第1項の関係は、代替決議の場合でも届出は必要ですが、もともと届出が必要とされているほかの事項については、代替決議の場合は届出が不要になることとされております。

48ページは、8つ目の論点の、「労働時間の把握について」です。「労働時間の把握に関するいわゆる46通達について、労働基準法に位置づけることについてどう考えるか。」、「『管理監督者』、『みなし労働時間制が適用される対象者』について、その働き方の態様や制度趣旨を踏まえれば、厳密な労働時間の把握はなじまないと考えられるが、『在社時間等』といった、労働時間とは異なる時間の概念により把握・管理を行うこととすることについてどう考えるか。」等としております。

49ページは、46通達の概要です。説明は省略いたします。

50ページは、裁量労働制等に係る実労働時間の把握状況です。

51ページは、「労働時間制度ごとの労働時間の把握・健康確保等のための措置について」で、現行制度と過去に検討した制度、今回検討いただく制度について整理した表です。

52ページは、企画業務型裁量労働制における労働時間の状況についての根拠条文です。「いかなる時間帯にどの程度の時間在社したか等を明らかにし得る出退勤時刻又は入退室時刻の記録等」により、事業場の実態に応じて勤務状況を把握することが規定されております。

簡単ですが、説明は以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

ただいま、事務局から資料2につきまして説明をいただきました。今、説明をお聞きいただき、かつ、資料をごらんいただいておわかりのとおり、論点が非常に多岐にわたっております。したがいまして、今日の議論を進めるに当たりましては、全体を大まかに3つに区切って進めさせていただきたいと思っております。

まずは、資料2のうち、「1 中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金の在り方について」、「2 時間外労働の限度基準の在り方について」、「3 勤務間インターバル規制について」の3つを取り上げたいと思います。そこで、この大きな3つのポイントにつきまして御意見、あるいは御質問がございましたら頂戴したいと思います。

では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 今日から論点の2巡目の議論に入るということであり、まずは「長時間労働抑制策・年次有給休暇取得促進策等」について論議をするということであります。この論議の冒頭に当たりまして、私どもとしては、先週の土曜日、11月1日に過労死等防止対策推進法が施行されたということをまず申し上げておきます。この過労死等防止対策促進法は、御承知のとおり、国会で満場一致によって成立した法律でありまして、まさしく立法府が「国の責務として過労死等防止対策に取り組むべし」という意思を示したということでありますから、このことは重く受けとめなければいけないと思っています。まさしく労働時間法制を論議する本分科会においても、すでにこの法律が施行されているということを重く受けとめた上で、今日のテーマであります「長時間労働抑制策」について論議を進めなければならないと思っております。

 今後論議するに当たっては、「本分科会での検討を経て労働時間法制の見直しを行った場合、それが過労死等の防止にどれぐらい資するのか」という視点から論じなければならないと思っております。「実効性のあるどのような内容の法律を施行すれば毎年100人以上の方がお亡くなりになっているこの過労死の現実をゼロに近づけられるのか」、こういう視点から論議をしていくべきということを私どもとしては冒頭に重ねて申し上げておきたいと思います。

 それで、先ほど、分科会長から論議の進め方について仕切りをいただきましたので、第1点目の「中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金」の論点について申し上げたいと思っております。

60時間超の時間外労働に対する割増賃金について定めた労基法第37条の規定については、労基法第138条で中小企業については適用を猶予するという規定が今現在入っているわけでありますけれども、これも再々私ども主張しておりますように、もともと労働基準法は、第1条に定めるように、労働者が人たるに値する生活を営むために最低限の基準を定めるというのが根本原則になっているわけです。こうした中で、この労基法第138条の規定によって労基法第37条が中小企業については適用を猶予するというダブルスタンダード状態がもう既に3年以上も放置されたままになっているという点は、早急に解消しなければならないと思っております。

 今日いただいた資料の中でも、例えば3ページのところに「1箇月の法定時間労働の実績〈一般労働者〉」について記載がございます。この資料によりますと、一般労働者のうち

「平均的な者」の法定時間外労働の実績が60時間超であった事業場の比率は、大企業が0.5%であるのに対して中小企業では0.8%となっており、この数字からしても、中小企業においては60時間超の労働者が多いということが分かります。さらに、これは労働者の数からも言うことができます。第116回分科会で数字が示されましたように、日本では中小企業が非常に数多く、中小企業の企業数の割合は99.7%にのぼります。また、常用雇用者の割合から言っても中小企業に働く62.7%の労働者が適用猶予となっているわけです。これらに加えて、繰り返しになりますが、先ほど申し上げたように、一般労働者のうち「平均的な者」の法定時間外労働の実績が60時間超であった事業場の比率から見ても、中小企業の方が法定時間外労働の実績が60時間超である割合が非常に多いという現実があるわけです。

 一部では、「割増賃金を引き上げたとしても長時間労働の抑制効果は期待できない」という主張も聞かれますけれども、平均的な労働者の姿を見た時に、60時間超である事業場の割合は、大企業の方が適用猶予を受けている中小企業よりも小さくなっている以上、50%という特別割増賃金率は一定の長時間労働の抑制効果を発揮していると解すべきです。このような現状認識・考え方から、中小企業のおける長時間労働を抑制するためにはこの適用猶予は廃止すべきであるということを重ねて申し上げておきたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。ほかにはいかがでございましょうか。

 では、池田委員、どうぞ。

○池田委員 この月60時間超の時間外労働の割増賃金につきまして少し意見を申し上げたいと思います。今までも繰り返し申し上げておりますが、中小企業はいまだに経営が苦しい状況ですので、割増賃金率の一律的な引き上げには反対であります。前回の分科会の折にも、事務局のヒアリングの結果をご紹介いただきましたが、とりわけ運送業については自助努力で長時間労働を抑制することには限界があることを、公労使ともに認識を共有したのではないかと思っております。今回の資料を見ましても運送業の厳しい実態が明らかでありまして、8ページの営業利益率の推移も、トラック運送業は、平成19年度以降6年連続して赤字になっておりますし、赤字企業割合もおおむね6割で推移しているわけであります。また、9ページにおきましても、荷主先の手待時間が発生すると回答したドライバーが半数を占めている現状であります。

こうした実態に鑑みまして、単に割増賃金率を引き上げても長時間労働の抑制にはつながらないのは明らかでありますので、引き上げすることになれば、多くの事業者、特に小規模な事業者においては事業の存続さえ危ぶまれると思っておりますので、慎重な対応が必要です。改めて、一律的な引き上げには反対であるということを申し上げておきたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。

 では、高松委員、どうぞ。

○高松委員 ありがとうございます。

今回、業種別の実情を踏まえた議論を行うということですが、これまでもこの分科会では運送業界に関する資料なり特性についていろいろと発言もあったところでございます。確かに今の運送業界は規制が緩和されて以降、新規参入がどんどん増えております。そのほとんどは中小企業ですが、当初、4万くらいであった事業者数が今では約6万3,000社という状況となっており、事業者数は増える一方にあります。その一方で、輸送量は横ばいということになっていますけれども、規制緩和前の時点から見ると、3割ぐらい国内貨物総輸送量は落ちていますから、そういう意味では大変な過当競争に陥っているわけです。加えて、なかなか適正に運賃料金に転嫁できないという業界の特性もあることから、企業としても厳しい経営環境に置かれているということは事実その通りだと思っています。

 ただ、前回の分科会でも申し上げましたが、このような状況にあるからといってこのまま今の法規制を放置しておいたのでは、果たして今後運送業界に若い方が来てくれるだろうかという点に、私は極めて大きな疑問を持ってございます。いろいろ経営上の問題はあろうかと思いますが、そのことと労働時間規制の問題はある意味分けて議論しないと、この課題については解消できないのではないかなと思っています。

前回も小林委員から、「総合的な対策をとるべき」というご発言がありました。まさに今、運輸業界には総合的な対策が必要だと思っています。国土交通省では、既にトラック産業の将来ビジョンに関する検討会というものが持たれています。これまで規制緩和一辺倒だったものを、やはり安全規制なり社会的規制といった部分について少し制度を厳格化する、規制を強化するという方向での議論が、今なされているところです。

要は、何が言いたいかと申しますと、業界のみの取り組みでは難しいということはその通りではありますが、業界としても「守れない」ということだけで済ますのではなしに、やはり「守らない」という体質も一方では存在していたのではないか、ということです。現在、労働時間については、多少いろいろな規制がかかっていますけれども、それも告示によるということで罰則強化もされていません。あくまで大変緩やかな規制の中でやれているということでございますから、そういった意味では、これからは厚生労働省としても、国土交通省を初めとした関係省庁と共同した政策面での対応ということを、ひとつご検討いただくようお願いしたいと思っています。

その上で、このような業界実態を十分に承知した上で敢えて発言させていただきますが、やはり運送業だから、あるいは中小企業だからということでダブルスタンダードはあってはならないと思います。

それと、今回資料を出していただいている内容については、まさに資料のとおりだと思っています。具体的な数字が出ていませんけれども、例えば7ページの「自動車運転者の労働時間等の改善に関する基準」(改善基準告示)の関係でいくと、以前も申し上げたと思いますが、トラックのドライバーについては、 毎月の拘束時間の限度を定める書面による 労使協定 を締結した場合、1年のうち6箇月までは、1年間の拘束時間が3,516時間(293時間×12箇月)を超えない範囲内において1箇月の拘束時間を 320 時間まで 延長することができます。したがって、労働時間短縮、あるいは長時間労働に向けての議論をしようというときに、この1年間の最長拘束時間である 3,516時間すら守れないということであれば、これはもう論外ではないかなと思わざるをえません。

 それともう一つ、9ページに「手待時間に関する実態について」の表が載っています。荷主先での手待時間の状況から言えば、内訳として示されているように、荷主都合などの要因もあるのだろうとは思いますが、私は、この問題の根本的原因は、手待時間が適正に運賃料金に反映されていないことであって、これが適正に運賃料金に反映できていれば、人的配置やローテーションを含めて、さまざまな手を企業は打つことができるようになるだろうと思うところです。こういう業界の実態については、きちっと企業経営の立場、あるいは運賃料金に関する課題として整理をした上で対応していきませんと、全て一緒くたにされてしまうと労働時間規制についての議論が前に進まなくなってしまうということになるのではないかと思っております。その点、ご留意をお願いしたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 貴重な御意見、ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。

 小林委員、どうぞ。

○小林委員 今、高松委員からいろいろ業界の御指摘いただいたとおりだと思いますし、本来、手待時間というのが料金に反映されない、ここが大きな問題だと思っています。以前も申し上げましたけれども、業界ではなかなか解決できない、1社では解決できないという問題がこの根本にあると思うので、これはぜひとも、厚生労働省はじめ、運送業に限っては国土交通省が指導機関でございますので、十分な対応をお願いしたいというところであります。

 とはいえ、今まで、過去の経緯を見ても、ちょっと以前も申し上げましたけれども、なかなか中小企業では時間管理の側面というのはできないということで、労側ではダブルスタンダードという言い方をしていますけれども、中小企業全体に対して十分な時間管理ができない側面があって、今まで、この猶予の期間があったのだと思います。今まで、中小企業全体において、この60時間超の割増賃金率50%が適用除外されてきたというところ、労側の指摘では、全てこの中小企業という名のもとにおいて行われることはいかがなものかというのは十分承知しております。

実際のところ、労働時間全体を細かく見てみると、中小企業も総労働時間多くない業界もあります。ですから、しっかりした意味で、今まで厚生労働省にもお願いしていたとおり、いろんな業界、業態に合わせて実態もあるので、その上で、全ての中小企業というわけではないですけれども、業界で、例えば先ほど言っていた運送業とかIT産業とか医療関係とか、取り組むことのできない業界もあるというのも事実ですし、これも段階的にその全てを一遍に解決することはできないわけですから、ちょっと猶予する時間を頂きたい。また、先ほどの運送業でいけば、昔4万だったのが6万社に増えたわけです。全ての6万社に対して60時間超を割増賃金の適用をするということになると、理解できる業者もいれば知らない業者も出てくるというようなこともあるので、ちょっと猶予の時間が必要だと思います。業界全体での見直しを行っている、業界ビジョンを検討するというお話もあったと思いますけれども、その状況を見ながら十分検討していく必要があると感じているところです。一遍に全てを変えるというのが本当にいいのかどうなのか、もう一度根本に戻って考えていただきたい。

とはいえ、最初に新谷委員から11月1日に過労死等防止対策推進法が施行された話がありましたけれども、確かに長時間労働というのが過労死に与える影響は、大きいと思います。これは使用者団体3団体とも、経団連さんも商工会議所さんも中央会もその認識では共通して考えております。ですから、長時間労働の抑制策というのはとっていかなければいけないというのは十分承知しています。とはいえ、できないところもある。それをどうやって解決していくのかというのも含めて、本当に十分国民的な議論を加えた上で進めていくことが必要だというのが感じているところです。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 今、経営側の委員がおっしゃるように、中小企業の置かれた状況なり運送業といった業種別に置かれた状況というのも一定程度は理解するところでありますけれども、この適用猶予については、2008年に法律改正が行われ、2010年に施行されて今日に至っているわけですから、この間十分な猶予期間が設けられてきたと解すべきであります。確かにそういった中小企業の置かれた状況を理解しつつも、一方で、この長時間労働がもたらす結果が一体どういう事態を生み出しているのかということをしっかり見ないといけないと思うのです。

今日、資料を提示いただいていますけれども、10ページに「脳・心臓疾患の労災支給決定件数」が出されております。この10ページの左上の資料を見てもわかるように、平成26年度の支給決定件数の合計である306件のうち、実に3分の1が輸送・機械運転従事者、まさしくドライバーさんなのですね。労災認定を受けている3人に1人が自動車運転者であるというこの現実をどう見るのかということなのです。確かに中小企業の経営は厳しい。しかし、毎年過労死で亡くなる方の3人に1人がドライバーであるというのが現実なのです。こうした事実は、やはり重く受けとめなければいけないと私は思います。

特に自動車運転者については、「時間外労働限度基準告示」の適用除外業種ということでもあり、ここは労働時間の規制がかからない業種ということになります。かつ、中小企業でもあるということで、こういった労災補償状況の実態になっているのです。先ほど言われたような運送業界の実態・問題点が全て労働者にしわ寄せされていることから、このような過労死を誘発しているのではないかと思わざるを得ないわけです。毎年過労死で亡くなる方の3分の1が自動車運転者の方であるという現状をどうやって改善するのかと考えたときには、やはり割増賃金率の引き上げという経済的な抑止力によって過労死で亡くなる方を一人でも減らしていく、こうした対策をぜひ考えないといけないということを重ねて申し上げておきたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

よろしければ2に移りたいのですけれども、よろしいでしょうか。

 それでは、「2 時間外労働の限度基準の在り方について」に進みたいと思います。

では、鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 ありがとうございます。

 冒頭、新谷委員から言及がございました過労死等防止対策推進法について、過労死等に関する調査研究を進め、その防止に向けて効果的な対策のための取り組みに生かしていこうとする趣旨に使用者側としても賛成するところでございます。

論点に挙がっております36協定、とりわけ特別条項付き36協定というのはあくまでも例外的な位置づけであるということは使側としても十分承知しているところでございます。前回だったかと思いますが、労側委員から、長時間労働の抑制策として、ソフトローでは不十分ではないかという御指摘をいただきましたが、第一に、労働時間の削減などを話し合う場が設けられていない事業場、本日も資料としても掲げていただいておりますけれども、企業規模で30人以上に限っても4割もあるというような実態です。また、先ほど御議論がございました手待時間の長い運送業界、あるいは建設業界などでは人手不足がかなり顕在化しているというような実態がございます。

また、第二に事業活動の柔軟性が損なわれるのではないかという懸念を強く持っており、例えば災害復旧でありますとか事故があったときの対応。例えば顧客に納品した製品等に不具合が発生した場合等の突発事象に対応するというようなこと。それに加えまして、例えば航空機ですとか重機などの集中点検の年に当たるような場合ですとか、企業再編時の対応などの場合に、どうしても社員に御協力をいただかざるを得ないような状況がございます。さらに、新規事業の立ち上げなどにおいて、全員ではありませんけれども、例えば半年単位等で集中的な対応をお願いするような局面もあると聞いているところでございます。

 企業といたしましても、なるべく短くしたいという気持ちを持っているところではございますけれども、そういった突発的な対応が求められたときに、36協定の締結時間を超える違法な労働とならないように、あくまでも法令遵守の観点から特別条項付き36協定を締結しているということについては、ぜひとも労側の皆様にも御理解賜りたいと思っております。

 第三に、特別条項付きの36協定の発動ルールについてでございます。天災が発生したようなときには柔軟な解釈がされるべきものと思っておりますが、特別条項付き36協定の発動は、1年の半分、6カ月間は最大時間外労働が45時間に限られるというルールは今後とも堅持すべきものと思っております。企業としてもこのルールを守っているところでございますが、実際にはこのルールが相当厳しいという受けとめも一方であり、これ以上の規制というのはなかなか対応が難しいという声もあるところでございます。こうした実態を考慮せず、一律強制的に規制をかけた場合には、問題の解決につながらないばかりか、事業活動が阻害されるおそれが強いのではないかと思っているところでございます。

 それから、特別条項付き36協定の様式に関して申し上げたいと思います。労使の話し合いを促すという観点から、例えば、現在、厚生労働省のほうで作成されているパンフレットの内容をベースに統一フォーマットをつくるという方向性については理解するところでございます。

私からは以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

それでは、宮本委員、どうぞ。

○宮本委員 ありがとうございます。

 今、鈴木委員が御発言されたことは、「法令遵守はしたい、法律は守りたい、しかし、実際には守れない、結果的には守っていない」ということであろうと思います。長時間労働が改善されない原因というのは、私は幾つかあると思うのですけれども、そのうちの一つとして、EU指令に見られるような時間外労働を含めた労働時間の量的上限規制を設けるという政策を我が国が行ってきていない点が、やはり大きいのではないかと思っています。時間外労働を削減するためには強制力を持つ規制を整備することが効果的だと考えます。過労死防止対策の観点からも、時間外労働に関する上限規制は、今、最も整備しなければならない重要な労働政策であり早急に導入すべきであると思っております。

 以前の分科会資料にも出されていた「特別条項付き時間外労働に関する労使協定において定める特別延長時間別の法定時間外労働の実績」というデータについては、本日も同じような資料が出されておりますけれども、これらの資料を見ると、36協定で定める特別延長時間が長くなるほど実際の時間外労働も長くなっているという分析結果も出されているところです。以前の分科会でも、この「時間外労働限度基準告示」を法律へと格上げすることが必要だということを労側委員から発言しましたけれども、特別条項付き36協定を適用する場合における上限時間規制を法定化すべきだという点について、改めてこの際申し上げておきたいと思います。

 過労死防止の観点なども考慮すると、例えば年間750時間を上限にするということなども検討に値するのではないかとも思っておりますが、その際には全ての労働者が時間外労働の抑制を享受できることが重要でありますから、「時間外労働限度基準告示」の適用除外業務となっている自動車運転の業務などについても規制を強化する必要があると思います。

 そこで、特別条項付き36協定について、事務局に1点、見解をお伺いしたいと思います。資料19ページにある「特別条項付き労使協定における1カ月の特別延長時間の長さ」を見ると、過労死等認定基準である80時間を超えているケースが全体の21.5%を占めています。時間外労働が月80時間超といえば過労死等と認定される長さの時間外労働であるわけですが、労働基準監督署がこのような内容の労使協定を受理しているという現状について、監督当局としてどのように考えているかということであります。たとえ保険的に特別延長時間を長めに設定しているということだとしても、このような協定は極めて不適切ではないかと考えるところです。さらに、過労死を防止するためには長時間労働を直接的に取り締まりうる規制が必要であるというように事務局としては考えないか、この点についても見解をお伺いしたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 それでは、事務局にお尋ねですので、よろしくお願いいたします。

○村山労働条件政策課長 お答えします。

 まず、労働基準監督署における監督指導の運用です。特別条項付き36協定を締結している事業場が、いわゆる過労死等認定基準の単月100時間を超える時間外・休日労働を行わせている場合について、過重労働による健康障害を防止する観点から、まず1つには、時間外・休日労働時間を1か月当たり80時間以内にとどめるための具体的な方策を検討し実施するよう、専用文書により指導しております。

 また、どのように取り組めばよいのかわからないという事業場に対しては、具体的な取組事例の好事例が盛り込まれたパンフレットなどを使用しながら、具体的な取り組みを促しております。

 長時間労働に対する規制の基本的な考え方ですが、本日、新谷委員や鈴木委員から御指摘があったとおり、過重労働に伴う健康障害を防止する観点から、先ほどご説明したような日ごろの監督指導に努めております。また、そのベースとなる法制度の在り方等については、今後、本分科会で御議論を深めていただければと考えております。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。宮本委員、いかがでございましょうか。

○宮本委員 ありがとうございます。

確かにそのとおりだと思っていますし、この36協定の労働基準監督署への提出は義務づけられておりますけれども、そのときにあわせて労働者代表の意見書も添付することになっておりますけれども、36協定の当事者の一方でございますから、意見書の中にも、この長さは問題だとかいうのはなかなか書きづらい、また意見を申し上げづらいということもあるかもしれませんけれども、やはり36協定を受け付ける場合は、労働者代表の意見というものを尊重して対応してもらいたいと思っていますし、余りにも長い時間外労働の場合は、当該事業場への、先ほど御答弁ありましたけれども、適切な指導をぜひ強くお願いしたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。

 池田委員、どうぞ。

○池田委員 先ほどの労側の質問についてですけれども、脳・心臓疾患の問題がありましたが、次のページを見ますと、精神障害については運送関係は少なくて、専門的技術者のほうが多いのですね。ですから、一概に運送業界だけが過重労働に起因した過労死につながっているわけではなく、業種によってはものすごく、精神障害と脳・心臓疾患で、全く差がありますよね。私は、この辺の原因が何なのかということを分析してはどうかと思います。特に、今後は、人手不足の時代になりますから、若者の人材確保ができなくなってしまうと困るわけでありまして、これは総合的に考えていかなければならない問題ではないかと思います。

 それと同時に、問題は生産性だと思うのですが、確かに運送関係の人たちは労働時間が長いということはあると思います。しかし、時間当たりの生産性なり賃金の平均を見たら、私は決して運送関係の方たちの賃金というのは低くはないと思うのです。生産性の観点からも改善をはかっていかなければならないと思います。

質問は、脳・心臓疾患や精神障害について、業種による発症要因の違いがあるのかということと、もう一点は、時間外労働が多い業種と少ない業種での賃金格差がどれぐらいあるのかというデータがあるのかという2点です。

 以上です。

○岩村分科会長 質問のお相手先ですけれども、第1点と第2点、どちらも事務局ということでございましょうか。

 では、事務局でお願いいたします。

○村山労働条件政策課長 まず第1点の脳・心臓疾患及び精神障害の労災補償状況に関しての事務局の認識ですが、自動車運転従事者に関して、先ほど御指摘のあったとおり、脳・心臓疾患については、平成25年度で全体の決定件数の30.4%を占めており、中分類で見て群を抜いて多いことは事実です。この点の認識は一致しております。

11ページの精神障害の支給決定件数についても、自動車運転従事者は、商品販売従事者と並んで第2位の26件となっており、職業別の就業者の構成比から考えれば決して少なくない数字と考えております。初めに労使双方からお話いただいた問題意識である過重労働防止、過労死及び過労自殺の防止が何よりも重要であるという点にも十分目配りをしながら御議論をお願いできればと考えておりますし、また、今ほどの御発言も、そうした一定の共通理解の中での御発言と理解しております。

 その上で、2点目は、恐縮ですが、労側からお答えいただいた方がよろしいのかなとも思います。

○岩村分科会長 労側、いかがでしょうか。

 では、高松委員、どうぞ。

○高松委員 2点目ということで、トラック従事者の賃金に関する御発言だったと思います。後で厚生労働省のほうで調べていただき、もし間違っていれば御訂正いただければいいのですが、2013年の賃金構造基本統計調査をベースに私どもが調べている中身としては、全産業と営業用貨物自動車運転における従事者での差でいきますと、年収での格差が約1219,000円、時間当たり単価でいきますと560円低いというのが我々の実態であると考えております。

 だから、賃金が安い分、長く働いて何とか年収水準を引き上げているという実態にあるわけですが、それでもこれだけの格差があるということでございます。私どもの調べた資料でありますから、もし間違っていればまた次回にでも御訂正いただければと思います。

○岩村分科会長 では、労働条件政策課長、どうぞ。

○村山労働条件政策課長 賃金に関しては、必要があれば精査の上、お答えしたいと思います。加えて、先ほど生産性の御議論がありましたが、マンアワーベースの生産性と理解するならば、労働時間が長ければその分、生産性は低くなることにも留意すべきと考えております。

 客観的な数字では、平成25年毎月勤労統計調査の事業場規模5人以上の、産業中分類ベースで見て、年間総実労働時間が最も長いのが道路貨物運送業の2,452時間、続いて長いのが道路旅客運送業の2,318時間となっているという実態です。

 以上です。

○岩村分科会長 池田委員、よろしいでしょうか。

 一言つけ加えますと、前段の第一の質問の急性脳・心臓疾患と精神障害との関係は、やはり見ているところが違うと御理解いただけるといいかと思います。急性脳・心臓疾患のほうは、現在の労災認定基準ですと、基本的には労働時間の長さというのが一番最初に来るということになっていますが、他方で精神障害のほうについては、さまざまな精神的なストレスというものに着目して認定するとなっていますので、そこの違いというのが、結局、貨物関係の運転手についての過労死の状況、いわゆる急性脳・心臓疾患の場合と精神障害の場合での差にあらわれているということかと、あくまでも推測ではありますけれども、そういうことかなとは思います。

 それでは、先ほど八野委員、お手が挙がっていたのですが、もうよろしいですか。

○八野委員 はい。

○岩村分科会長 それでは、新谷委員、お手挙がっていますので、どうぞ。

○新谷委員 池田委員から先ほど御指摘のあった「脳・心臓疾患での労災認定の意味というのはどういうことなのか、精神障害の意味はどういうことなのか」という点については、分科会長が御指摘されたことを、私も申し上げようと思っていたところです。労働時間の長さ、長時間労働が関係するのが脳・心臓疾患の労災認定であるという御認識をまず持っていただかないといけないのではないかと思いましたので、その点を発言しようと思っておりました。

 それで、発言したかった点は他にも幾つかあるのですけれども、まず1点目は、先ほどの高松委員の質問に対して、事務局から、「時間外・休日労働時間を1か月当たり80時間以内にとどめるための具体的な方策を検討し実施するよう、専用文書により指導」することもあり得るという御発言がありましたけれども、80時間超えであった場合にはそういった文書指導が必ず入るのでしょうか。つまり、36協定の提出経路を考えたときに、労働基準監督署に必ず全ての使用者が書類を持ってくるものなのか、あるいは郵送での提出も可能なのか、その辺の扱いがどうなっているのかという点を含めてお聞きしたいということです。もう1点は、当該事業場で労働する労働者は自分の事業場における36協定で定められた労働時間の水準がわからないのではないか、ということです。これは労働組合があれば当然知ることができるのですけれども、現在労働組合がない職場が約8割にもなるわけですから、そのときに、過半数代表者がいったい誰で、その者によってどういった協定内容とされているのかというのがわからなかったときに、労働基準監督署に行けばその情報の開示というのはされるのかどうか。現状の行政手続についてお聞かせいただきたいと思います。

 それともう1点は、先ほど鈴木委員から、「一律の規制ではなくて、労使の話し合いなどのソフトロー的な対応で労働時間の抑制はできるのではないか」という御発言があったわけですけれども、私はちょっと違う認識を持っております。残念ながら、現状、過労死が毎年100人以上出ており、さらには労働組合があるところでも残念ながら過労死が出ているというのは否めない事実であります。このような反省も踏まえて、私ども連合としては、この過労死等防止対策推進法の施行に当たって、今月11月を特別行動月間として、自分たちの労働組合のある職場からは過労死を出させないと会社に強く申し入れをするという取組などを現在行っております。

 そこで、使用者側委員にお聞きしたいのは、特に鈴木委員所属の団体は日本を代表するような大手企業1,600社を組織する団体であり、労働組合がかなりの比率であると思うのですけれども、鈴木委員が所属する団体のようなまさしく労使協議ががっちりやられているところで本当に過労死が出ていないのかどうかという点について、おわかりになれば教えていただきたいと思います。

 それと、使用者側委員より、「突発事象やM&Aなど企業再編の業務などの対応が必要となる場合があるので、上限規制を設けるのは無理だ」との発言がありましたが、今日配られている資料26ページには、ヨーロッパを含めた諸外国の「労働時間の量的上限規制等」についての上限値が出ている表がありましたね。

これを見ていただいても、例えばフランスをはじめEU諸国は労働時間の絶対上限規制が入っており、時間外労働も含めて原則として週48時間の量的上限規制が設定されています。なおかつ、フランスの場合は法定労働時間(週35時間)超過勤務の上限は年間220時間とするという規制も入っています。こういった国がある一方で、我が国は青天井の中で労働させているという現状があるわけです。たしか安倍総理も、「世界トップレベルの労働時間、労働環境をつくる」とおっしゃっているのですけれども、こういった諸外国と比較した場合、我が国の労働時間法制というのは、時間外割増率を見てもそうなのですけれども、世界の中で非常に見劣りのする内容であると思います。絶対的上限規制も入っておりませんし、割増賃金率も世界で一番低いという状況下にあって、それでさらに労使協定で特別条項付き36協定を締結することができることになっているわけです。そうした見劣りのする規制の結果、過労死をはじめとする今日の状況を招いているわけでありますから、ここはやはり一律の法規制の強化というものを持ち込まない限り、現状を改善できないと私どもは考えております。この点について、この分科会で十分な論議をするべきであると考えております。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。鈴木委員に御質問があったと思いますので、もし今日可能であればという限度でということでお願いいたします。

○鈴木委員 経団連会員傘下で過労死の実態があるかどうかは、承知をしておりません。

○岩村分科会長 それでは、村山労働条件政策課長、お願いします。

○村山労働条件政策課長 先ほど新谷委員から事務局に御質問のあった何点かについてお答えいたします。

 まず、先ほど宮本委員の御質問に対しては、特別条項付きの36協定が提出された段階に着目されての御質問でしたので、その局面に即してお答えいたしました。専用指導文書等による指導については、通常の監督指導において長時間労働の実態を認めた場合の対応であり、月100時間を超える実態を認めた場合であれば一律の指導を行っております。

また、郵送による届出は現在も認めておりますが、例えば必要事項が記載されていない場合に返戻するなどの対応や必要な指導については、郵送と窓口への直接の届出で基準は変わらないことを御理解いただければと思います。

 最後に、一般的なお答えになって恐縮ですが、労働基準法第36条に基づく協定については、労働基準法第106条に基づき、使用者に労働者への周知義務がございます。したがって、周知が十分行われていない場合には、労働基準監督署としては、まずはきちんと周知すべきことを使用者に説明し、対応を求めることとなります。

 一方で、個人情報保護等の関係で、直ちに全てを開示することは難しいという窓口の実態も御理解いただければと思いますが、個別具体的なことについては個別に対応しているところです。

 以上です。

○岩村分科会長 よろしいでしょうか。

 ちょっと単純な質問を私からさせていただきたいのですが、資料2の16ページ、「時間外労働限度に関する基準」のパンフレットで、延長時間についていろいろ限度がこうなのですよということが書かれているのですが、他方で、今日御提出いただいた資料の19ページ、あるいは20ページを見ますと、現実にはこのパンフレットに書かれているその延長の時間をかなり超えたものが協定として定められているという実態があるのですが、ここの乖離というのはどういうことで生じているのでしょうか。

○村山労働条件政策課長 お答えします。

16ページのパンフレットはあくまで記入例として記載しているものです。月45時間、年360時間というのは時間外労働の限度基準告示で定められている数字ですが、特別延長時間については、1か月○時間まで、1年△時間までということをわかりやすくするために一つの例として一定の数字を入れております。つまり、特別条項の特別延長時間に限度があるわけではないため、分科会長御指摘の19ページ、20ページのような、例示より長い事例も存在するということです。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 では、冨田委員と鈴木委員ですので、先に冨田委員、それから鈴木委員ということでお願いいたします。

○冨田委員 すみません。ありがとうございます。

 今も御説明がありました特別条項付き36協定の様式につきましては、先ほど使側の委員からも御発言がありましたので、労側としての見解も一言述べておきたいと思います。

私どもも、この「特別条項付き36協定の様式を定め、その記載事項を明確化する」ことというのは、今ほどありましたさまざまな行政指導を行っていく関係からも、さらには関係規定の周知を図っていく上でも、そのこと自体には賛同したいと思ってございます。

 ただ、この様式化を行うことだけで長時間労働の抑制策につながるかと言うと、やはりさまざまな状況を考えると、今の行政指導の在り方も含め、実効性のある規制とセットでなければなし得ていかないのではないかと考えてございます。冒頭に宮本委員のほうからも、実効性ある法規制の必要性について申し上げたところではありますが、やはりこの特別条項付き36協定の様式を定め、しっかりとルールの周知をし、協定の内容について行政でしっかりと確認していくのと同時に、やはり特別条項付き36協定を適用する場合における上限規制についても法律でしっかりと規定することが必要ではないかということを申し上げておきたいと思います。

 以上でございます。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

それでは、鈴木委員、お待たせしました。

○鈴木委員 ありがとうございます。

 ソフトローで対応が不十分ではないかということの御指摘をいただきました。これは繰り返しで大変恐縮でございますが、多くの企業では、例えばノー残業デーの設定でありますとか、あるいは、会社によっては、月単位、年単位で個別の時間外管理をして、一定の目標におさまるような取り組みをしたり、あるいは最近注目を集めております朝型勤務、これは夜の一定の時刻以降は原則労働を禁止するという意味で、インターバル規制に近い制度でと言えるかと思うのですが、各社では実態に応じてさまざまな取り組みをしております。

 そうした中で、先ほど宮本委員から、年間750時間を上限にというような御提案もあったところでございますけれども、これに関しましては、事業運営上の対応が困難だというケースがあるという声を聞いております。また、そうした場合に、事業や組織体制の見直しで対応することが仮に可能だったとしても、その際には、海外への業務移管ですとか、あるいは管理監督者に対する業務量の増大で対応せざるを得ないという企業の声もございます。さらには、非常時の突発事故対応を回避するため、普段から従業員を増員するということは企業競争力の低下につながるという声も聞いているということは強調して、申し上げたいと思っています。

 以上でございます。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 重ねて、今、鈴木委員から「各企業において実態に応じた取り組みをしており、労使協議による対応に御理解いただきたい」という御発言があったわけですけれども、繰り返し申し上げておりますように、これまでに出ている結果が全てを表しているものと私は思っております。今までも、こうやって労使協議の中で十分な対応を図るべく取り組んできたわけであります。鈴木委員が先ほどおっしゃったような対応は、大手企業を中心に労使で話し合って取り組んでおられることなのだろうとは思います。私もそれは承知しているところでありますが、ところが、結果を見たときに、残念ながら、過労死の数は年々増えてきているわけですね。冒頭に申し上げたように、過労死で亡くなる方をどうやったら減らせるのかという点については、11月1日から施行されている過労死等防止対策推進法により国の責務として効果的な対策に取り組めと指示されている中、その問題を今、労働時間法制を議論する場である労働政策審議会労働条件分科会において審議しなければならない、我々はそういった重い責任を負っているわけです。だから、そういった意味からは、今までのような対応ではやはり限界があるのではないかということを重ねて申し上げておきたいと思います。

 それと、先ほどの宮本委員の発言の中にあった「年間750時間を上限」ということについて、誤解を生じたらいけませんのでちょっと説明をさせていただこうと思います。先ほどありましたように、現状、36協定については「時間外労働限度基準告示」にて、限度外労働の限度は1カ月45時間、1年間で360時間という一応の上限が定められています。ところが、特別条項付き36協定を締結すれば、この上限が全く外れてしまって、実際には何の上限規制も存在しないというのが現状です。そこに対しては何らかのリミットを設けない限り、先ほどもありましたように、脳・心臓疾患による過労死の方が出てしまうということになってしまう以上、物理的な量的上限をここに設けるべきというのは当然の帰結であると思います。

ではそのときに考えられる上限時間とは一体何なのかというと、先ほどの「年間750時間」というのが一つの指標になるということです。1カ月の限度時間は45時間とされていますが、12カ月のうち6カ月については特別条項が結べます。そこで、平常時の6カ月については、月45時間×6カ月で合計270時間となります。一方、特別条項を結んだ場合の残りの6カ月については、過労死認定基準の上限値である月80時間を最大での上限値と考えるべきですから、80時間×6カ月で合計480時間となります。この2つを合計すると、年間750時間という数字が算出されるわけです。このようにして算出された750時間という数字は、これを超えるような労働を行うことは許されないという意味での限界を示した値として認識すべきということです。私どもも、時間外労働の水準として「年間750時間」という数字は非常に高い水準だとは思っております。しかしながら、鈴木委員がおっしゃったように、経済活動が動いている中で、また、現状では全く青天井となっている中で何らかの規制を考えるとしたときに、まさしくこれ以上の時間外労働はあってはならないとという上限値として「年間750時間」という数値を捉えるべきと考えております。

 先ほども資料にありましたように、1年間で800時間超えの特別条項付き36協定の締結状況が2割近くあるという状況の中で、特別条項付き36協定の上限時間規制を設けることができれば、悲惨な過労死を防止していくための歯止めになると考えています。こうした規制を通じて私どもとしては年間の単位での上限値を設定する一方で、後ほど論議します勤務間インターバルについては反対側から日々単位での上限規制を設けようというものです。産業活動と個人の生身の人間の保護という2つの目的を、年間単位と日々単位の規制をうまく組み合わせることによって強化していくべきと私どもとしては考えております。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

それでは、山川委員、どうぞ。

○山川委員 事務局に質問ですけれども、16ページのパンフレットの関係で、努めることというのが幾つか出ていますが、ここに書いてあることについては行政指導の対象になるかどうかと、それが様式との関係で、現在の届出でパンフレットで書かれているような事項が必ずわかるようになっているかどうか。

それが1点と、あとは、先ほどの労働基準法第106条の関係で、労働基準法と、これに基づく命令、つまり、施行規則等、それから、36協定については周知させなければならないという、先ほど労働条件政策課長のおっしゃった規定で罰則もついていますけれども、ここで就業規則の周知は労働契約法の関係で調査があると思うのですけれども、調停、あるいは労働基準法の周知について何か調査があるのかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。

○岩村分科会長 大変興味深いところについての御質問ですが、事務局、今お答えできるかどうかも含めて、お願いいたします。

○村山労働条件政策課長 調査の関係は精査したいと考えております。

また、行政指導との関係ですが、専用指導文書等も活用して、基本的に先ほど御説明したように指導しております。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

それでは、先ほど新谷委員から勤務間インターバルのお話も出たので、もしよろしければ「3 勤務間インターバル規制について」に移りたいと思いますが、私から鈴木委員にちょっとお伺いしたい点が1点だけあったのですが、ちょっと失念していました。

 資料の21ページ、22ページのところで、特別条項付き時間外労働に関する労使協定における最長の時間で、左の縦軸が1年の特別延長時間で、右の横軸が法定外時間外労働の実績ということになっていまして、それの一番端っこのほうに行きますと網かけの部分があるわけですが、とりわけ、例えば横軸の800時間超1,000時間以下とか、あるいは1,000時間超というところ、それから800時間超1,000時間以下とか1,000時間超というようなところを見たときに、端的に言うと、割合、非常に低いのですね。

この割合が低いのは、やはり企業にとっては意味があるということなのか、それとも非常に特殊な例で必ずしも一般化できないというようにごらんになるのか、その辺の感触をもしわかれば教えていただければと思いますが、難しいということであれば難しいということでも結構でございます。

○鈴木委員 御質問の趣旨を十分理解してないのかもしれないですけれども、あくまでもこれは特別条項付き36協定ですので、ある事業場について、たとえば8割とか7割とかの方が対象になるとは思っておりません。あくまでも、先ほど申し上げたように、突発的な事故に対応する技術者などのイメージであります。当然、事業場総動員で対応しなければいけない場合は、一時的に大半の社員が対応するような形での時間外に働いていただくこともありうると理解しております。

○岩村分科会長 そうなのですが、ただ、例えば800時間超1,000時間以下という形で延長期間を定めていても、実際に800時間超1,000時間以下とか1,000時間超使っているところというのはごく少数なのですね。その少数であるというのはやはり重みがあるということなのか、例えば0.5という数字になってしまっているので、そこのところは重みがあると使用者側としてはごらんにならざるを得ないのか、それとも、0.5ということになると極めて例外的な話ですよねということになってしまうのか、そこのところの見方をちょっと聞かせていただければということでございます。

○鈴木委員 当然、なるべく最小限に抑えるということと、それから、発動する際には人数を抑えるべきというのは例外的な位置づけだと思っておりますけれども、とりわけ多くの企業では、1分でも協定時間を超えた場合には、当然、即違法状態になりますので、繰り返しですけれども、コンプライアンスの観点から、一定の時間数を確保しておきたいという意味では大変意味のある、重みのあるものだと理解しております。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 分科会長から御指摘いただいた21ページの資料も、これは見方によっては、特別条項付き36協定の定める1年の特別延長時間が1,000時間超である協定においては、時間外労働の実績が1,000時間超えとなった割合が3.9%、すなわち約4%近くあるということでありますから、これは非常に重い実績と見るべきではないかと感じます。時間外労働の実績が1,000時間といいますと、先ほどの過労死認定基準の上限値である月80時間×12カ月でも960時間となりますから、過労死水準を超えるような水準が毎月続くということを意味するわけです。そうした過労死として認定される水準を超えて長時間働いている方が実は100人のうち4人いるという現実があるということですよね。私は、この重みをやはり感じないといけないと思うのです。こういう過重労働をされる方がこのような比率で存在しているということです。特別条項付き36協定で定める特別延長時間長ければ長いほど、やはり時間外労働の実績も高くなっている状況が見て取れるのではないかなと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 では、鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 この3.9%の数字の確認をしたいと思うのですけれども、先ほども事務局から御指摘いただきましたとおり、これはあくまでも36協定を締結している事業場をベースに、さらに特別条項付きがある事業場をまたさらに分母にした3.9ということになりますので、全事業場をベースにした場合には単純計算では1%未満という数字になるという理解をしておりますが、事務局に確認をしたいと思います。

○岩村分科会長 では、事務局お願いします。

○村山労働条件政策課長 この数字ですが、鈴木委員御指摘のとおり、36協定を締結している事業場の55.2%に、特別条項を付けている事業場の40.5%を掛けて、さらに特別延長時間が1,000時間超の事業場の1.2%を掛け、最後に3.9%を掛けたものが、1,000時間超の特別条項付協定における、1,000時間超えの実績がある労働者の全労働者に対する割合となります。

また、実際に1,000時間超の法定時間外労働を行っている労働者の全労働者に対する割合は、55.2%×40.5%×1.3%となります。

数字の説明は以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

それでは、「3 勤務間のインターバル規制について」に移りたいと思いますけれども、そこについてはいかがでございましょうか。

 では、春木委員、どうぞ。

○春木委員 ありがとうございます。

種々論議を聞いておりますと、特別条項付き36協定で定める特別延長時間と時間外労働の実績について1,000時間超えとなっている率がどうであるかといったことをおっしゃっていますけれども、肝心なのは現実に過労死につながるような状況が存在しているということをどう捉えるかという問題であって、率がどうのこうのという話ではないと思います。過労死の人数についても、それが多いか少ないかということではなくて、現実に過労死が出てしまっていることをどう考えるかという視点で、労使ともに真摯に考えていかなければならないと思っている次第です。

その上で、勤務間インターバル規制について申し上げます。私どもの産業別労働組合でも、数年前からこの「勤務間インターバルを労使協定に取り込むように」という指導をしてきております。我々がこの勤務間インターバル規制の導入に取り組むことになった一番の大きな要因は、やはり心身の健康の確保が重要であるということです。そこに力点を置いて、働いた以上はしっかりと休む、休息をとると。そのことが心身の健康にも影響するし、またメリハリある働き方となり、さまざまな意味でいい成果にもつながっていくという判断に立って、産別の方針として勤務間インターバル規制の導入促進を各単組に指導してきているところです。

実際に勤務間インターバル規制を導入した企業では、終業時間を起点にして始業時間が決まるわけです。他には、必ず勤務時間の間を取った上で、始業時刻の繰り上げ、繰り下げも含めて対応している単組もございます。

勤務間インターバル規制については、やはり長時間労働の抑制という観点から極めて重要だと思っていますし、ヨーロッパの状況を見れば、ヨーロッパで長時間労働が抑制されていることの要因の一つにはこの勤務間インターバル規制が導入されているという点が極めて大きな役割を果たしているのではないか、と思っています。

ぜひとも、「働き過ぎを防止するためにはしっかりとした休息時間をとることが重要」という観点に立って、勤務間インターバル規制を導入し、さらには、働き方や働き方に対する意識改革なども行うべきと考えます。その上で、具体的な時間設定については、これもヨーロッパでは労使協定等によって休息時間を短縮できるといった柔軟な取扱が可能であるという仕組みが採られているわけですから、それを参考に、それぞれの労使の話し合いによってその運用などについては決められるような制度にすればよいのではないかと思います。

やはり大切なのは勤務間インターバル規制をしっかりと導入すること。当分科会としては、「長時間労働抑止および心身の健康確保のために勤務間インターバルを導入する」という結論を早々に出した上で、業務運営との調整という視点から柔軟に運用できる仕組みはどうあるべきかといった形での議論を補足的に行っていくようにすべきであると、申し上げておきたいと思います。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

では、鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 ありがとうございます。

 ただいま春木委員から御指摘がございました心身の健康が重要だという点は全くそのとおりだと思っております。ただ、インターバル規制に関して申し上げますと、今でも個別企業労使の判断で導入することが可能な仕組みでございます。例えば本日御用意いただきました資料28ページのD社では、バス運転手にはインターバルを設けているものの、他の職種への適用は考えていない、一律に規制することは効率的ではないと考えるという指摘がございます。

 また、インターバル規制を導入することについて、組合から要求が掲げられて議論を行った企業もございますけれども、例えば年間総実労働時間の削減に向けて、これまでも労使が取り組んできたというような経緯などから、インターバル規制を導入しなかったというケースがあると聞いておりますし、ほかの企業では、深夜労働の回数が多い場合に健康確保措置を実施することとしたケースなど、個別企業労使で心身の健康の確保を十分考えた上で、結果としてインターバルの規制は入れなかったという企業もあると聞いております。一律の法制化の議論ということではこうした実態を重く受けとめるべきではないかと考えております。

 さらに、繁忙期ですとか突発事故の際には誰かが対応しないといけない場合や、またグローバルな事業展開が進む中で、時差の関係で、インターバル規制が設けられると、定常業務でも事業運営に支障を来すことを心配する声がございます。もとより、各社では過重労働の防止策として、時間外労働が長い労働者に対しての個別対応ですとか、法定よりも手厚いレベルでの産業医による面接指導、それから原則的な退社時刻の設定ですとか、夜遅くなったら翌日は遅く来てもいいということを奨励する、あるいはメリハリのつく働き方ということで、年次有給休暇の取得促進を図るなど、実態に合った形で総合的に取り組んでいるような実態にあると理解しております。

1日単位の一律規制というのは、そうした実効性のある取り組みの多様性を阻害しかねないということで、インターバル規制の導入については明確に反対したいと思います。

以上でございます。

○岩村分科会長 では、春木委員、どうぞ。

○春木委員 勤務間インターバル規制を導入することについては、確かにさまざまな労使の論議の中でそういった御判断をされてきたところもあり、その中では組合から要求が掲げられて議論を行ったという企業もあったように思います。

その際、どこに着目すべきかということについては、突発的事象に対応するため時間外労働が必要になるという点に過度に着目した議論はすべきではないと考えます。仮にそのような状況に対応した場合であったとしても、その後はしっかりとした休息時間を取ることが必要です。しっかりと休息することが心身の健康につながっていくという観点から、やはり勤務間インターバル規制の導入について論議していくことが重要でないかということは再度申し上げておきたいと思います。

○岩村分科会長 多分、若干議論を整理しなければいけないのは、勤務間インターバル制の話と、今のような突発的に時間外労働を多くした場合の休息の問題というのはちょっと質が違うだろうと私自身は思いました。突発的に時間外労働が非常に多くなったときの問題というのは、むしろ休息という観点からすると、代償休日をどうするかという議論ではないかという気がいたします。

では、池田委員、お待たせしました。

○池田委員 インターバル規制について、鈴木委員が申し上げたことと重なると思いますけれども、やはり予測困難な緊急事態への対応に支障を来すということや、下請企業では取引先からの短納期要請への対応、これらに応えないことによってビジネスチャンスが失われるということもあります。また、地方における小規模な旅館や、医師などの勤務実態を考えれば、やはりインターバル規制を一律に導入することは、現実的には不可能ではないかと思っております。

 社員の健康管理というのは経営者、使用者の一番の責任であると思います。経営者側としても、よく労働者側とも相談して、自社の実態に合った自主的な取組を行うことが一番大事ではないかと思いますので、一律規制には無理があるのではないかと思っております。

 先ほどの労働災害の問題に戻りますけれども、現実的に脳・心臓疾患よりも精神障害のほうが、この2425年は増えているということですが、法制度などの違いもあると思いますけれども、日本と外国との比較がもしわかるのであれば、将来的に検討する必要もあるのではないでしょうか。

以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

最後の点につきましては、日本の制度、特に労災補償制度と、それから諸外国の労災補償制度というのが必ずしも同じでないということもあり、例えば急性脳・心臓疾患というものをどういう形で労災上補償するか、あるいは精神障害についてどういう形で補償するかということは各国によってある程度違いがございますので、それを単純に比較するというのは非常に難しいかなと思っております。

ただ、ものすごく大ざっぱな話をすると、諸外国の場合は基本的に、一般労働者というのはそれほど長く残業するということはございませんので、したがって、そういう点からすると、いわゆる過労死というのが外国語になってしまったということはそういうことに由来するのかなと思っています。他方で、精神障害などに由来する自殺というのは最近結構外国でも問題になっているところではございます。私の承知している限りではそういうことだと思います。

では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 今、また岩村分科会長から補足をいただいたところでありますけれども、先ほど来申し上げております資料10ページの脳・心臓疾患における過労死の認定の要因、すなわち一体なぜ過労死が発症するかという原因について、ぜひ池田委員には十分に御理解いただきたいと思うのです。先ほど来、池田委員より「脳・心臓疾患と精神障害との労災補償状況を比較した場合、精神障害の方が増えているではないか」という御発言があったのですけれども、この脳・心臓疾患が発症する要因というのは、まさに長時間労働が一番大きな要因と言われております。本日は労災管理課が来ておりませんけれども、もしできたら、ここの認定の基準を一体どのように考えておられるのか、医学的な見地から研究会がまとめられた数字がありますので、その点をご説明いただき、理解していただいた方がよいと思います。その上で議論を行わないとまた堂々めぐりの同じ論議になると思います。ぜひその点、御理解いただきたいと思っています。

その上で、この勤務間インターバル規制に関する論点に話を戻します。私どもは、先ほど年単位での労働時間は特別条項付き36協定に上限時間を設定することによって規制すべきと考えていると申し上げましたけれども、一方、勤務間インターバル規制は日々の単位での規制という観点から導入すべきであると考えております。実際に今回の資料に引用していただいておりますように、私どもの加盟組織で労使協議を経て現実に勤務間インターバルを導入する労働協約の改定に結びついた実績もあるわけでございますけれども、この勤務間インターバルの考え方は、やはりワーク・ライフ・バランスが重要だという点にあるのです。まさしくワークとライフのバランスをどうとるか。1日は誰に対しても24時間しかないという中で、勤務間インターバルによって発生する連続で11時間の休息時間を差し引くと残り13時間が労働可能時間ということになりますので、この規制は反対側から見れば日々の労働時間規制でもあるわけです。

先ほど鈴木委員も、「実際のところ、企業においては、夜遅くまで残業したら次の日は朝遅く来ることを推奨している」ということをおっしゃっていましたけれども、全くそのとおりなのです。これは、夜遅くまで残業すれば、次の日、働くまでに連続した11時間の休息を与えよという仕組みなわけです。

これはまさしくヨーロッパにおいてはもう既に、EU労働指令において各国が勤務間インターバル規制という取り組みをされているわけでありまして、ヨーロッパも日本も1日24時間という時間の長さについては万国共通である以上、政府が成長戦略の中で「競争条件を世界の中で合わせるのだ、イコール・フッティングが重要だ」ということを盛んにおっしゃっています。そうであれば、なぜ日本は長時間労働抑制策を世界の標準に近づけて世界トップレベルの労働時間法制をつくらないのかということが私は不思議でなりません。政府は世界標準を名目にして結果的には都合の良いところだけを「いいところ取り」しているのではないかという懸念をずっと申し上げているところです。ここはぜひ、ワーク・ライフ・バランスという観点から勤務間インターバルの導入を実現するべきだと思っています。

なお、国の成長とか競争力を考えたとき、現在の先進国経済における競争力の源泉はコストの問題でなくて創造性とかイノベーションにあるという御発言が、以前平岡委員からあったと記憶しております。しかし、そういった創造力とかイノベーションという競争力の源泉について、こんなくたくたになって働いている中でどうしたらそういったものが生まれてくるのかと思わざるを得ないわけです。やはり生身の人間が働くわけでありますから、十分な休息の中で英気を養って、そうした中から良い知恵を生み出していくということこそ我が国の競争力の源泉になるのではないかと考えているわけであります。

それと、先ほど下請企業の現実に関する御発言も池田委員からありましたけれども、確かに下請企業の置かれた環境には厳しいものがあるのだろうと思います。中小企業に対して「明日納品しろ」とか、あと、官僚の皆さんもそうでしょうけれども、国会議員の先生方から質問が来て「今晩中に答弁を書け」とかいったこともあるわけで、労働時間に関する規制が何も入ってない中で、そのようなことをやってもいいのだといった社会的風潮があるが現状です。規範的なものが何もない中で、こういった勤務間インターバル規制を導入することによって、しっかり休んでしっかり働くということを世の中の新たな規範にしていくということが重要ではないかと私は思っております。

「勤務間インターバルを導入すると生産性が下がってしまう」という懸念を表明する向きもありますが、この規制が与件となってくれば、当然下請企業に無理な要求をしないといった社会のルールもできてくるし、同時に、経営のマネジメントの質も高まってくると私は考えておりますので、その結果として、生産性も必ずや向上するものと考えております。このような視点から、勤務間インターバル規制について、ぜひ御検討いただきたいと思っています。

以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

今日の残された時間がそれほどございませんので、もしよろしければ次のパートに移らせていただきたいと思います。

 次が、今日の資料2で言いますと30ページからでございまして、「4 休日規制について」、「5 代替休暇について」、そして「6 確実に年次有給休暇の取得が進む仕組みについて」、最後、「7 労働時間等の設定の改善に向けた労使による話合いの促進について」でございます。ここにつきまして、御意見、御質問がありましたらと思います。

では、八野委員、どうぞ。

○八野委員 ありがとうございます。少しだけインターバル規制を含めて意見を言わせていただきたいと思います。私たちの組織の中で、インターバル規制を労使の協議によって進めているところがございます。先ほど、これは従業員の生活時間の確保、それと長時間労働の抑止という観点から労使で話し合いを行って導入しているわけですが、1つ重要だなと思うのは、インターバル規制を導入したからといってそれだけで長時間労働が解消できるというわけではないということです。勤務間インターバル規制と合わせて、これまで議論してきた適正な労働時間の把握や、また適正な人員の配置といったことも同時に議論を進めていかなくてはいけないということです。この点が1点です。

 また、インターバル規制を労使の協議によって進めているところでは、先ほどあった災害だとか緊急時の対応ということについては、インターバル規制の適用除外という形をとって、その際には時間外労働や代替休日などで対応するという形をとっていることがある点を先行事例として御報告しておきたいと思います。

 次に、休日規制のところでございます。これは今までも労側からは何回か発言させていただいたところと思いますが、先ほど春木委員からも発言があったように、私たちがこの場で話さなくてはいけないのは、過労死を防止というか、なくす、すなわち過労死が絶対出ない日本の労働社会にするということです。それともう一つは、労働人口が減少する中で、どういう働き方、労働人口を確保していくのかということがやはり重要なところであると思っています。そういう意味で、休日の在り方というのは非常に重要だと思います。

 その上で、休日規制のあり方について、2点ほど申し上げたいと思います。まず1点目は、「週のいずれの曜日に法定休日を付与するかを特定する義務を、労基法上新たに課すべき」ということです。これはもう前から言ってきているところでございます。私が聞いたところですと、ある労働時間に関する専門書の中に、月60時間超の特別割増率での賃金支払いを逃れること目的として、「1カ月の時間外労働が60時間を超えるに至るときには、使用者は労働者を働かせる日を『法定休日』としてしまうことで、50%という高率での割増発生を回避し、休日労働に対する割増率(35%)の支払いに留めることによって、差額の15%の支払いを免れることができる」というような記述をしているものもあると聞いております。こういう不適切な実態をなくさなければなりません。やはり労働者のワーク・ライフ・バランスを確保するという観点から、「週のいずれの曜日に法定休日を付与するかを特定する義務を、労基法上新たに課すべき」であると考えております。

これは先ほども言いましたように、労働人口が急減することが確実な現在においては、使用者側がよく言われるイノベーションということがこれから重要になってくると。現在議論しているのは休日ですので、休むことで、そのような休養と仕事とのメリハリをつけていくということがイノベーションの観点からも重要となってきます。それと、人材不足という話が出てきていますが、人材確保を企業としていかにするかという観点で見ていったときに、本日の資料の12ページの中にありますように、若年正社員の転職希望理由の中の2番目として、「労働時間、休日・休暇の条件のよい企業にかわりたい」ということがもう明らかに出ているわけです。企業の持続可能性という観点からしても、労働時間、休日・休暇というのは非常に重要なポイントであるということです。

それと、少人数の事業場などの要員管理の点からということで、今日も一部触れられておりましたが、労務管理の観点、要するに、ここで言う事前の休日をどのようにするかという点です。先ほどのような人材の確保とかそういう観点の中からも、今までのビジネスモデルをある程度変え、適切な要員を確保できるような形をとり、その中で休日をきちんととるというマネジメントの重要性が求められているのではないかということです。

 次に2点目は、「4週で4日以上の休日付与という変形週休制について、その実態要件の厳格化、すなわち労使協定化を行うべき」ということです。この変形週休制については、単位となる4週間の起算日を休業規則に定めることが求められているに留まっており、「どの週に何日の休日を与え、どの週に休日を与えないか」といったことの事前の特定は不要とされていることから、極端な話ですけれども、使用者が例えば月の冒頭に4日の休日を与えてしまえば、残りの24日連続して働いたとしても、違法とされない状況になっているという問題点があるわけです。

このように労側としては2点の法定休日の規制強化策を求めたいと考えておりますが、その背景にあるのは、「そもそも法定休日は何のためにあるのか」という問題意識です。当然のことながら、法定休日は労働から解放することで労働者の疲労回復を図って心身の健康を維持するとともに、ワーク・ライフ・バランスを充実させるものであるからです。

最後に言っておきたいのは、今までの労使協議の実態においては、現状のような問題点が出ているということを認識すべきということです。そのことを踏まえたうえで、新たな労働時間規制の枠組みをつくるためにはどうするのかということを議論していく必要があるのではないかと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

では、鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 ありがとうございました。

ただいま八野委員から御指摘のございました休日の重要性は全くそのとおりだと思っております。単に休みをとるということの位置づけではなく、休暇を過ごすことによって、そこでの多様な経験からアイデアも生まれやすくなるというようなことを一層周知していく必要があり、経団連もポジティブオフという運動にも参加しておるところでございます。それから、休暇の計画を立てる上でも、事前になるべく休暇を決められるようにしておくということは大変重要だと思っておりますし、各社でもいろいろと工夫されています。

 確か第116回分科会で新谷委員から、休日を特定するというときの支障について使用者側が述べたときに、その理由がよくわからないというご指摘、あるいは鈴木の職場では日曜日を休日にしているだろうというような御指摘もあったところでございます。

ただし、例えば公共交通機関ですとか病院、それから小売、飲食、宿泊などの業種では、365日、あるいはそれに近いような稼働日の営業を設けているようなところも多いと思います。当然、そういった職場ではシフト勤務の実態にあり、景気動向などさまざまな要因から、適切な人員配置というのが月単位で変動するということも一般的だと思います。したがって、そのため、翌月のシフトを決めるために、社員の方に休日や年休取得日の希望を聞いた上で、例えば前月末までシフトを決めるというようなことも実態としては多いと思っております。

 とりわけ社員の流動性の高い職場では、年初に勤務している方が、例えばですけれども、半年後にいらっしゃるかどうかもわからない。また、人数は半年後同じでも働ける時間帯が異なるということもあろうかと思いますので、年初に例えば休日を決めた後に振替休日などで対応すればいいのではないかというようなことについては現実的でない職場があるということについて御理解を賜りたいと思っております。

 それから、突然、明日法定休日なので休んでくれというようなこと、これは望ましくないということは十分承知しているところでございますが、前日指定の実態というのがどのぐらいあるのか、また、例えば1週間前指定があるようなケースでどのような問題が発生しているのかということについて、まずは実態の確認をしながら議論するということが重要ではないかと思っております。この点について何か情報を事務局のほうでお持ちであればお答えをいただきたいと思っております。

 それから、4週4日につきましても、例えば先ほど八野委員が御指摘の連続24日勤務ということは、健康確保の面からも望ましくないということは御指摘のとおりだと思っておりますけれども、この点も、連続勤務がどのぐらいの会社でどのぐらいの頻度でどのような問題が発生しているのかということの実態を踏まえた上で議論することが重要ではないかと思っております。この点も事務局から何か情報がございますれば御指摘いただきたいと思います。

 それから最後でございますけれども、八野委員から、月60時間超え50%の割増賃金率を脱法するような形での運用がされているのではないかという御指摘があったところでございます。対象としては、大企業であり、かつ、4週4日の変形労働時間制を採用して、なおかつ、そのような休日指定をして脱法的な対応をしている企業だと思っておりますが、こうした企業はどのぐらいあるのかということについても実態をお聞きしたいと思っております。

 私からは以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。事務局へのお尋ねの点もありましたが、時間の関係もありますので、先に御発言をいただいて、それで最後にまとめて事務局でお答えいただくということにしたいと思います。

 そうしますと、池田委員、宮地委員、そして新谷委員、その三方で今日のところは、申し訳ありませんが、時間でございますので、終わりということにさせていただきたいと思います。それではまず、池田委員からどうぞ。

○池田委員 私は、この有給休暇の問題というのは、多様性があっていいのではないかと思っているのです。といいますのも、有給休暇の取得目的というのは、疲労回復もある、それから、将来のために勉強したい、海外へ行って研修したい、それから介護のためもあります。それから緊急の病気もあります。そういう多様性ある取り方ができるのが有給休暇のよいところではないかと思っているのです。

ですから、使用者側に時季指定を業務づけるということは今の制度を大きく転換することになりますので、慎重な検討が必要であります。個々の労使でよく話し合いの上、取組を進めることが重要ではないかと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

それでは、宮地委員、どうぞ。

○宮地委員 ありがとうございます。

休日の重要性というのを十分に認識した上で、休日の特定について鈴木委員の補足で意見を述べさせていただきたいと思います。百貨店業のような定休日のない業界において、年度内に取得可能な連続休暇の制度とは別に、月々の休日の設定に関しては、個人の希望を確認した上で、顧客との対応や販売計画等を鑑みて、店頭の状況にフレキシブルに対応するため、前月末までに各部署ごとのシフトを作成し、翌月の休日を決定するということが多いのが現状です。また、急な顧客対応で、その月の決定していた休日をほかの日に振り替えるという現状も存在しております。ほかにも、年間を通じて定休日のない病院や宿泊業など、さまざまな業界の実態を、できましたら事務局に確認していただいた上で慎重に議論を進めていく必要性を感じております。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

それでは、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 今しがた、使用者側委員から御発言があって、ますますわからなくなったのは、「なぜ休日を特定できないのか」という点であります。鈴木委員も宮地委員も、「人員的に非常に流動的な職場も存在することから、事前に法定休日をいつとするのかを特定することは難しい」ということをおっしゃっています。たしか宮地委員は前回の分科会ではワーク・ライフ・バランスの観点にたった御主張をされていたように記憶していますが、今日の御主張を聞く限り、使用者側委員の皆さんは法定休日が事前に特定されなかったときに生じる弊害というのをどのようにお考えになっているのか、疑問を覚えます。なぜ法定休日を特定できないのかという理屈が、本当によく理解できないのです。

先ほど鈴木委員もおっしゃったように、仮に法定休日を特定していたとしても、急な業務が入った時などは、振替休日の仕組みを利用して、あらかじめかわりの日を指定した上で法定休日をその日に振り替えてしまえば対応可能となりますし、場合によっては事後に代休を与えるということでの対応も可能なわけでます。つまり、事前に法定休日を特定していたからといっても何も業務対応ができなくなるわけでないのですね。振替休日はそんなに難しい仕組みでもありません。このような対応が可能であるのに、法定休日を事前に特定することで業務にどのような弊害が出るというのか、私には全く理解できません。

それと、事務局に数点お聞きしたいのは、古い話ですが労働基準法の立法に際し、「労働基準法の休日の条項がなぜ法定休日の事前特定を求めなかったのか」、また「4週4日というものがどのような経緯で法制上できたのか」という点です。古い話になるのですけれども、立法当時の状況にさかのぼって立法趣旨を一回調べていただきたいと思います。それともう一つは、労働基準法第89条の就業規則の絶対的記載事項の中に休日というものが書いてあるのですけれども、「この条文と法定休日の特定の話との関係について、どのように理解すればいいのか」という点についても教えていただきたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 それでは、事務局でまとめてお答えいただいて、場合によっては次回にということでお願いしたいと思います。

○村山労働条件政策課長 お答えします。

まず、鈴木委員からの御質問の休日の指定の状況や連続勤務の実態等についてですが、これまでに調査・把握したのは、八野委員から御指摘のありました、時間外労働月60時間超の割増賃金率50%を避けるために休日労働35%としている旨の相談等が労働基準監督署に寄せられているか否かについてのものです。以前も御報告しましたが、今年の秋に、3つの労働局管下の労働基準監督署の相談票等を全て調べましたが、該当するものはなかったということでした。それ以外の実態については、調査している事実はありません。

 また、新谷委員からの御質問です。休日の規定に係る立法趣旨等については、精査したいと思いますが、休日の特定についての解釈例規では、「労働基準法第35条は必ずしも休日を特定すべきことを要求していないが、特定することがまた法の趣旨に沿うものであるから、就業規則の中で単に1週間につき1日といっただけでなく、具体的に一定の日を休日と定める方法を規定するよう指導されたい」とされており、これを踏まえて運用しております。

 以上です。

○岩村分科会長 では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 すみません。法定休日の特定の状況や連続勤務の実態等の話はまた調べていただくとして、私が気にしておりますのは、実はこの労働時間に関する専門書、これは多分、事務局として後ろに座られている方もごらんになっているはずの本なのですが、鈴木委員が所属されている組織の会員企業も幾つか契約をされている経営側が委任されるの有名な弁護士さんが書かれている定番としての専門書があります。実は、その専門書の中に、私どもが先ほど指摘したような「1カ月の時間外労働が60時間を超えるに至るときには、使用者は労働者を働かせる日を『法定休日』としてしまうことで、50%という高率での割増発生を回避し、休日労働に対する割増率(35%)の支払いに留めることによって、差額の15%の支払いを免れることができる」といったことが書かれてあるのですね。

休日の特定の状況や連続勤務の実態については、何か問題が起きた後に労働基準監督署に相談を寄せるという前の段階において、個々の企業でどのような形で運用されているかということこそが問題です。現在広く読まれている本の中に、そういう法のまさしく僭脱といいますか、そのようなことを指導するものがあって、しかもそれは経営側の重鎮の弁護士の方が書かれている本で、かなり影響力があるということであります。そういった法の僭脱が現場でなされているのではないかという懸念を私どもは持っているということです。こうした観点から懸念を指摘させていただいているということも重ねて申し上げておきたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

今日予定していたテーマはほかにもございますけれども、もう時間でございますので、残りました「代替休暇について」と「確実に年次有給休暇の取得が進む仕組みについて」、それから、「労働時間等の設定改善に向けた労使の話し合いの促進について」、さらに「労働時間の把握について」は次回にまた続けて御議論をいただきたいと思います。

 本日は、かなり御熱心にいろいろな御意見をお出しいただき議論いただいたと思いますので、充実した議論をしていただいたかなと思っているところでございます。

 それでも労使の双方、御意見等についてはまだ隔たりがありますけれども、なお取りまとめに向けて今後努力してまいりたいと思っております。

 次回でございますけれども、前回の分科会で申し上げましたが、今日積み残しになった論点に加えて、弾力的な労働時間制度で積み残した論点でもあります「新たな労働時間制度」、「裁量労働制の新たな枠組み」、「フレックスタイム制の見直し」等につきまして御議論をいただきたいと考えております。今日は、議論が積み残しになったということもあって、かなり厳しい時間の中で御議論いただくということになってしまいますけれども、御協力のほどよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、申し訳ありませんが、事務局から次回の日程につきまして説明をいただきたいと思います。

○古瀬調査官 次回の労働条件分科会の日程、場所につきましては追って御連絡させていただきます。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

それでは、本日の分科会はこれまでとさせていただきたいと思います。議事録の署名でございますけれども、労働者代表につきましては冨田委員に、使用者代表につきましては平岡委員にそれぞれお願いいたしたいと思います。

これで閉会といたします。本日はどうもお忙しい中ありがとうございました。

 


(了)

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