ホーム > 政策について > 審議会・研究会等 > 労働政策審議会(労働条件分科会) > 第117回労働政策審議会労働条件分科会 議事録(2014年10月8日)




2014年10月8日 第117回労働政策審議会労働条件分科会 議事録

労働基準局労働条件政策課

○日時

平成26年10月8日(水)15:00〜17:00


○場所

共用第8会議室


○出席者

【公益代表委員】

岩村委員、田島委員、野崎委員、山川委員

【労働者代表委員】

神田委員、新谷委員、高松委員、八野委員、春木委員、宮本委員

【使用者代表委員】

秋田委員、池田委員、小林委員、鈴木委員、田中委員、平岡委員、宮地委員

【事務局】

岡崎労働基準局長、大西審議官、鈴木総務課長、村山労働条件政策課長、古瀬調査官

○議題

1 報告事項
2 今後の労働時間法制の在り方について
3 その他

○議事

○岩村分科会長 定刻になりましたので、ただいまから「第117回労働政策審議会労働条件分科会」を始めることにいたします。

 本日、御欠席と承っている委員は、公益代表につきまして、権丈英子委員、村中孝史委員、守島基博委員、労働者代表につきまして、冨田珠代委員でございます。

 また、秋田委員は間もなくみえられることと思います。

 それでは、委員の異動があったということでございますので、議事に入ります前に、定足数とあわせて事務局から報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○古瀬調査官 それでは、まず、新たに就任された委員を御紹介いたします。

 なお、資料1として、委員名簿をお配りしておりますので御参照ください。

 労働者代表委員が新たに1名御就任されました。工藤委員にかわり、日本基幹産業労働組合連合会事務局長の神田健一委員が就任されました。

○神田委員 神田でございます。よろしくお願いします。

○古瀬調査官 次に、定足数について御報告いたします。労働政策審議会令第9条により、委員全体の3分の2以上の出席、または公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされておりますが、定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 それでは、カメラ撮りはここまでということでお願いいたします。

(カメラ退室)

○岩村分科会長 それでは、お手元の議事次第に沿って進めてまいりたいと思います。

 本日の議題の1番目は、報告事項となっております。事務局から、厚生労働省に設置されました「長時間労働削減推進本部」につきまして報告があるということでございますので、まず、説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○鈴木総務課長 総務課長の鈴木です。

 資料No.2を御覧ください。9月30日付で厚生労働省に「長時間労働削減推進本部」が設置され、10月1日に第1回の会合が開催されましたので、御報告いたします。

 趣旨ですが、「『日本再興戦略』改訂2014」において「働き過ぎ防止のための取組強化」が盛り込まれたこと、また、本年6月の通常国会で「過労死等防止対策推進法」が成立し、間もなく施行予定ということもあり、長時間労働対策の強化が喫緊の課題となっております。

 こうした状況の中で、長時間労働対策の取組を強化するに当たって、塩崎大臣から、「自分を本部長とする本部を設置して強力に推進すべき」という御意見があり、厚生労働大臣を本部長、労働担当の厚生労働副大臣及び政務官を本部長代理とする「長時間労働削減推進本部」を設置いたしました。

 本部の下には、3つのチームがあり、当初は「過重労働等撲滅チーム」と「働き方改革・休暇取得促進チーム」の2つでしたが、第1回の会議において、政務の方から、「このような取組を行うなら厚生労働省も自らを顧みてしっかり長時間労働を削減すべき」と御指摘があり、第1回の会議後、直ちに「省内長時間労働削減推進チーム」を設け、この3つのチームにより対策を推進していくことといたしました。

 一番下の*の2つ目に、「過重労働等撲滅チームの下に、若手職員からなる推進チームを設置」と記載されております。これは大臣から、「若手の斬新なアイデアをもとにこの対策を講じるべき」との御意見がありましたので、若手職員のチームを設置することを考えております。

 同じく3番目の*について、省内長時間労働削減推進チームにおいても、若手職員をメンバーに加えるものです。

 2ページ目は、「過重労働等撲滅チーム」の具体的な取組です。

 過労死等防止対策推進法に基づく「過労死等防止啓発月間」である11月の重点的な取組が4点あります。

 1つ目は、相当の時間外労働時間が認められる事業場等に対する重点監督の実施です。

 2つ目は、9月1日から実施している「労働条件相談ほっとライン」という、働く方が相談しやすい平日の夜間や休日の無料電話相談を積極的にPRし利用を促進することと、11月1日に職員が無料で電話相談を受け付ける「過重労働解消相談ダイヤル」を実施することの2点です。

 3つ目は、11月の過労死等防止啓発月間に先立ち、厚生労働大臣以下、当省幹部が労使団体を訪問し、長時間労働の抑制の取組について要請をさせていただくものです。

 4つ目は、過労死等防止啓発月間中の1114日に、過労死等防止のためのシンポジウムを中央合同庁舎第5号館講堂で開催するとともに、11月から12月に、各地で事業主向けの過重労働解消のためのセミナーを開催するものです。

 3ページ目は、「働き方改革・休暇取得促進チーム」の具体的な取組です。

 これは「働き方」の見直しを各企業で考えていただき、長時間労働削減に向けた取組を進めていくものです。

1つ目は、労働基準局幹部が業界のリーディングカンパニーを訪問し、所定外労働時間の削減や年次有給休暇の取得促進等に係る取組や課題について意見交換をした上で、先進的な取組を他の企業にも御紹介し、広めていくものです。

 2つ目は、年次有給休暇の取得促進で、これは地方自治体と連携し、地域のお祭り等の機会に合わせた地域の休暇取得促進運動を行うものです。

3つ目は、来年度の年次有給休暇の計画をつくる前段階の10月を「年次有給休暇取得促進期間」として、集中的な広報活動を進めていくものです。

 当面の取組として、これらを年内実施し、また、各チームで対策を検討した上で、年内に再度会議を開催し、来年以降の取組についての議論をすることとしております。

 報告は以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの報告につきまして、御意見あるいは御質問がありましたら伺いたいと思いますが、いかがでございましょうか。

 では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 今、御報告いただいた内容について、私どもとしても、従来からこの「長時間労働の削減」、「過重労働の防止」に向けた取組が非常に重要であるということは再々申し上げてきた内容ですので、そういった意味では、今回、この長時間労働削減推進本部が設置され、こうした取組がなされるということについては評価をしたいと思います。

 ただ、この資料の2ページの一番上に「1長時間労働削減の徹底に向けた重点監督の実施」との記載があり、赤字で「相当の時間外労働時間が認められる事業場等」に対して重点監督を実施すると書かれています。そして、その下には矢印で「法違反を是正しない事業場は」と書いてあるのですけれども、ここでの「法違反」というのは、一体どの法律に違反することをいっているのか、私には理解できません。

 これまでも申し上げておりますように、現行の法規制では、長時間労働をさせたことを直接に規制する規定も、それについての強制力を伴う罰則の規定もありません。現行の法律の枠組みでは、長時間労働については、法定労働時間について規定した労働基準法第32条違反の場合、労働基準法第36条が規定する36協定締結手続に瑕疵がある場合、または、「36協定を締結することなく時間外労働を命じた」、あるいは労働基準法第37条が規定する「時間外労働に対して割増賃金を支払わなかった」という場合の取り締まりしか行えません。このように見てみると、現在の法規制のもとでは長時間労働を是正するための効果的な監督は行いえない、という点こそ問題であると申し上げなければなりません。

 もちろん、長時間労働削減推進本部による取組は、長時間労働の抑制のために非常に役立つだろうと思います。しかし、取り締まりを強化するための根拠となる規定がない中では、先ほど申し上げたような「時間外労働に対して割増賃金を支払わなかった」ことに対する取り締まりを行うくらいのことしか行えません。まさしくこれから論議をする「時間外労働にかかる上限時間規制」や「勤務間インターバル規制」をしっかりと法律に組み込むようにしない限り、長時間労働を取り締まろうにも実効性の乏しいものになってしまうのではないかという感じがしております。

 労働基準監督官が一生懸命職務を行っていただいているのは承知しておりますけれども、取り締まりを強化する際の根拠規定がないというところが我々としては非常に問題であると思っております。この点を改めて申し上げておきたいと思います。

 もう一点であります。これの2で書かれている内容です。

 これはこの分科会でも御報告をいただいた内容ですけれども、9月1日から「労働条件相談ほっとライン」が開設され、来年3月まで設置されるとお聞きしております。

 これは特に平日の夜間であるとか休日といった、労働者が一日の労働を終えて相談しやすい時間帯にこの「ほっとライン」を設けるということですので、意義があることだと思います。そして、この「ほっとライン」は既にスタートしている取組であるところ、この「ほっとライン」に寄せられた問題・課題、あるいは労働者の相談内容というのは、この分科会での論議にとって非常に有益な情報だと考えております。

 この「ほっとライン」の取組はまだ始まったばかりではありますが、相談の中には、特に違法な長時間労働であるとか、過重労働による健康障害、あるいは脳・心臓疾患のような過労死につながるような疾患の発症であるとか、そういった重大な内容が寄せられているのではないかということを危惧しているところです。ですから、ある程度相談内容がまとまった段階でこの分科会にご報告をいただければ、今後の検討にあたって参考となる貴重な知見になると思いますので、その点のご対応についてもぜひ事務局にお願いしたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 では、事務局でお願いします。

○鈴木総務課長 2点、御意見と御質問をいただきました。

 まず、1点目です。労働時間制度の見直しについては、当分科会で御議論をいただいている最中ですが、「労働時間制度の見直しの議論を待っているだけではなく、今できることはとにかくやらないといけない」という塩崎大臣の御発言を契機として、現行の法制下でできることを100%、120%やろうということで、長時間労働削減推進本部を設置しました。

 したがって、この法違反とは御指摘の条文の違反となりますが、このような取組により、各事業場における長時間労働に対する意識が変わればということで実施しております。

 2点目の「労働条件相談ほっとライン」は委託事業ですが、9月の速報値が出ております。相談件数が1,480件です。詳細な分析等の結果は、また詳細な報告を受けてから必要に応じて当分科会に御報告することを検討いたします。

○岩村分科会長 よろしいでしょうか。

 それでは、労側に続けていただいて、その後、鈴木委員ということで、八野委員、どうぞ。

○八野委員 すみません。ありがとうございます。

 このたび長時間労働削減推進本部が設置されました。この取組を有益な取組として実行していかなくてはいけないと、まず考えているところです。

 1点は質問です。具体的取組1の4として「過重労働解消のためのセミナーを事業者向けに実施する」ということでご説明がございましたが、各地でこのセミナーを行う場合、どのような内容のセミナーをどの程度の回数で行うつもりであるのかを教えていただきたい。

 続きまして、3に「労使団体への要請」とありますけれども、労働側、すなわち連合としては、何も政府からの要請を受けてこの問題に取り組んでいくというわけではありません。連合としましては、過労死の撲滅に向け、本年11月を連合の「過労死等防止啓発特別行動月間」と位置づけて、構成組織と本部だけでなく、現場に最も近い単組、企業単位労働組合まで一体となって、36協定の遵守状況の点検やそれを踏まえた労使協議の実施、あるいは組織内から過労死等を出させない旨の宣言採択の実施といった各種の取組を積極的に行っていくこととしており、現在構成組織等を通じてその取組指示を発信しているところです。

 よく経営者の方、または使用者の皆さんは、「労使自治に任せてほしい」ということをさまざまなところで発言されています。この11月の「過労死等防止啓発月間」の取組を進める中で、長時間労働対策、賃金不払い残業対策、年次有給休暇の取得促進や、課題になっておりました労働時間管理に関する管理監督者のマネジメント等の課題であるとか、過労死等を出さないまたは出させない施策等について、ぜひ企業・事業所の労使間で胸襟を開いた実りある話し合いをさせていただきたいと思っております。

 これが今、私たち労使の中でできる最善のことであり、「量的上限規制」等々が設けられていない中では、この話し合いによる取組は非常に重要だと思いますので、ぜひ使用者側にはこうした話し合いをお願いしたいと思います。これは要望です。

 以上です。

○岩村分科会長 では、御要望と御質問でしたので、御質問を事務局でお願いします。

○鈴木総務課長 「過重労働解消のためのセミナー」は、8都市10会場でそれぞれ事業主を集め、労働関係法の概要や36協定の限度基準や過重労働に対する取組の方法等について、講習形式で行うセミナーを考えております。

○岩村分科会長 よろしいでしょうか。

○八野委員 はい。

○岩村分科会長 それでは、お待たせしました。鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 ありがとうございます。

 このたび厚生労働省が長時間労働削減推進本部を立ち上げ過重労働防止等に取り組まれるということに関しましては、使用者側として大いに期待を申し上げているところでございます。

 長時間労働の削減は、個別企業労使が話し合いの場を設けて、課題を探りながら継続的にPDCAサイクルを回していくことが基本ではありますけれども、その前提というのは労働基準法を始めとした法令遵守にあると思っております。

 かねてから経団連では、企業行動憲章や、さまざまな会合を通じまして、法令遵守、あるいは長時間労働の抑制や年次有給休暇の取得促進について会員企業に呼びかけをしております。

 春季労使交渉の使用者側の指針として、毎年「経営労働政策委員会報告」をまとめております。今年1月に公表した2014年版におきましては、「三六協定」の設定上限は労働時間の延長の限度に関する基準に適合させるということ、また、医師の面接指導を徹底すべきということを強調して、改めて法令遵守等をお願いしているところでございます。

 また、過重労働防止・撲滅のためには、風土の見直しでありますとか、あるいは仕事のやり方を効率化するというようなことも必要かと思っております。そういう意味で、過重労働防止と、働き方改革・休み方改革は、相互に関連するテーマだと思っております。監督・指導の強化も大切でありますけれども、あわせてこういった働き方改革・休み方改革の企業の取組の支援についても、厚生労働省には御尽力をいただきたいと思っております。

 以上でございます。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 ほかにはいかがでございましょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、次の議題に移ることにいたします。議事次第にもございますように「今後の労働時間法制の在り方について」になっております。

 議論の進め方につきましては、前回までの分科会におきまして、労働者側の委員からは、弾力的労働時間制度の議論は、長時間労働抑制策について結論が出てからすべきであるという趣旨の御意見も頂戴しておりますが、分科会長といたしましては、まずは各論を一通り御議論いただきたいと考えております。その上で、全体としての議論を深めていくということを考えております。

 したがいまして、今回は、今、申し上げた考え方に立ちまして、前回の分科会の最後にも申し上げましたが「裁量労働制の新たな枠組み」「フレックスタイム制の見直し」について御議論をいただきたいと考えております。

 まず最初に、事務局から、今日御用意いただいている資料の説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○古瀬調査官 それでは、資料のNo.3とNo.4について御説明いたします。

 まず、資料3は、論点の一覧です。このうち、本日は、「2.フレックスタイム制について」と「3.裁量労働制の新たな枠組みについて」ということで御議論をお願いしたいと思います。

 次に、資料4です。

 1ページは、改訂成長戦略の抜粋です。「裁量労働制の新たな枠組み」及び「フレックスタイム制の見直し」は、3、4のとおり盛り込まれております。

 2ページは、本日の論点についての総論です。

 まず「裁量労働制の新たな枠組みの構築」です。「企業の中核部門・研究開発部門等で裁量的に働く労働者が、創造性を一層発揮できるよう、生産性向上と仕事と生活の調和、健康確保の視点に立って、裁量労働制の新たな枠組みを構築することが求められているが、ホワイトカラーの働き方の変化やこれまでの審議会での議論を踏まえ、以下の点についてどのように考えるか。1対象業務・対象労働者、2健康確保等のための措置、3手続」としております。

 次に「フレックスタイム制の見直し」です。「フレックスタイム制について、育児と仕事の両立支援やメリハリのある働き方の実現等の観点から、一層の活用を求める意見があるが、これまでの審議会での議論を踏まえ、以下の点についてどのように考えるか。11か月を超える期間を清算期間とするフレックスタイム制の創設、2所定労働時間に達しない場合に年次有給休暇を取得したものとみなす特例の創設、3完全週休2日制の下での法定労働時間の計算方法」としております。

 3ページからは、裁量労働制の導入状況に関するデータです。

 まず、3ページは、企業割合でみると、導入率は、専門業務型で2.2%、企画業務型で0.8%となっており、導入率は企業規模に概ね比例しております。

 その下は、業種別の導入率です。専門業務型は、「情報通信業」や「学術研究・専門・技術サービス業」、企画業務型は、「金融業、保険業」で導入率が高くなっております。

 4ページは、労働者割合でみた導入率です。傾向は企業割合でみた場合と同じですが、数値は小さくなっております。

 5ページは、「裁量労働制を導入していないが、裁量労働制を『知っている』とする事業場」に対して、導入していない理由を聞いた調査結果です。一番多いのが「対象となりうる業務がない」の62.6%で、そのほか「対象業務に常態として従事している労働者がいない」、「法的効果、メリットが少ない」、「法令上の要件が煩雑」等の回答が続いております。

 6ページは、「裁量労働制の新たな枠組みについて」の論点の1つ目、「対象業務・対象労働者」についてまとめたもので、「裁量労働制について、『対象者の安易な拡大等は認められない』との意見や『働き方が多様化する中、重要な制度であるにもかかわらず十分に活用されていない』との意見があり、また、組織内の権限委譲促進や組織のフラット化を背景とした働き方の変化により、仕事のやり方や時間配分について、相当程度自らの裁量で遂行しているケースもあると考えられるところ、『裁量労働制の新たな枠組み』の対象業務・対象労働者については、どのように考えるか。」としております。

 次に、右下の枠ですが、専門業務型については、対象業務は、「業務の性質上その遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があるため、使用者が具体的な指示をすることが困難なもの」となっております。

 また、左下の枠ですが、企画業務型については、対象業務は、「事業の運営に関する企画、立案、調査、分析の業務であって、当該業務の性質上これを適切に遂行するには大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があるため、使用者が具体的な指示をしないこととする業務」となっております。

 これを踏まえ、点線の枠内ですが、「裁量労働制の新たな枠組み」について、「組織内で権限委譲が促進されていること、労働者の創造性の発揮が求められていること等を背景とした働き方の変化により、仕事のやり方や時間配分について相当程度自らの裁量で遂行しているケースに適合する裁量労働制の対象として、どのように考えるか。」を論点としております。

 すなわち、対象に関する問題意識として、「働き方」や「働かせ方」が変化する中で、既存の類型と異なる新たな枠組みが必要ではないかという「改訂成長戦略」の提起に対し、どう応えていくか、御議論をいただきたいということでございます。

 7ページは、2007年の「権限委譲促進」や「組織フラット化」についての上場企業に対するアンケート結果です。「組織フラット化で意思決定スピード向上」や「権限委譲促進で意思決定スピード向上」の項目において、取り組んでいる企業割合が上昇しております。

 8ページは、現行の企画業務型裁量労働制の対象業務について、まとめたものです。

 労働基準法上の定義は、「事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務であって、当該業務の性質上これを適切に遂行するにはその遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があるため、使用者が具体的な指示をしないこととする業務」とされており、その上で、指針において、「対象業務となり得る業務の例」と「対象業務となり得ない業務の例」が示されておりますので、その抜粋を載せております。

 「対象となり得ない業務の例」の中で、「個別の営業活動の業務」などが示されております。

 また、次のページとも関連しますが、「対象業務に常態として従事していることが原則」とされております。

 9ページは、企画業務型裁量労働制に係るアンケートの中から、対象業務の範囲に関する部分を抜粋したものです。

 まず、導入事業場の回答ですが、対象業務の範囲について「現行制度のままでよい」が40.6%、「狭い」が21.7%、また「狭い」という回答のうち、どうすべきかが右側のグラフですが、「労使委員会で合意できれば対象業務として認めるべき」、「対象業務の要件を拡大すべき」、「『主として』従事していればよいこととすべき」等となっております。

10ページは、同じ質問について適用労働者の回答です。対象業務の範囲について、「現行制度のままでよい」が67.1%、「狭い」が7.2%となっております。また、「狭い」という回答のうち、どうすべきかが右側のグラフですが、「対象業務の限定は不要」、「対象業務の範囲は労使に委ねるべき」等となっております。

 次に、11ページです。左のグラフは、「日々の出退勤管理」で、水色が「一律の出退勤時刻がある」、ピンク色が「決められた時間帯に職場にいれば出退勤時刻は自由」、緑色が「出退勤の時刻は自由だが、出勤の必要はある」です。

 右のグラフは、「仕事の目標等の決定方法」で、水色が「会社または上司が設定」、ピンク色が「自分の意見を踏まえて上司が設定」、緑色が「上司と相談しつつ自ら決定」です。

12ページは、「裁量労働制の新たな枠組みについて」の2つ目の論点は、「健康確保等のための措置」についてです。「『裁量労働制の新たな枠組み』の対象労働者に対する労働時間管理の在り方について、どのように考えるか。また、対象労働者の健康確保等のための措置について、どのように考えるか。既存の裁量労働制についてはどうか。」としております。

 下の表は、現行の「労働時間の把握」と「健康確保等のための措置」についてまとめたものです。「通常の労働時間制度」では、いわゆる「適正把握指針」において、現認による確認、またはタイムカード等客観的な記録を基礎とする確認が原則とされております。

 「裁量労働制」の適用対象者については、「適正把握指針」は適用外ですが、対象者の労働時間の状況に応じた健康・福祉確保措置の実施を、専門業務型では協定、企画業務型では決議することが要件となっております。

13ページは、実労働時間の把握方法についての調査結果です。水色が「タイムカード・ICカード」、ピンク色が「PCのログイン・ログアウト」、緑色が「自己申告制」、紫色が「管理監督者の視認」等となっております。

14ページは、企画業務型裁量労働制の導入事業場が実際に実施した健康・福祉確保措置で、「産業医等による助言・指導または保健指導」や「心と体の健康相談窓口の設置」等が約4割となっております。

15ページは、企画業務型裁量労働制の適用労働者に対して、健康・福祉確保措置について聞いた回答です。健康・福祉確保措置が十分と思う方が80.5%、思わない方が17.2%となっております。また、具体的な要望内容としては、「年次有給休暇の連続取得を含む取得促進措置」等、休暇に関する項目において割合が高くなっております。

16ページは、1か月の実労働時間別の健康・福祉確保措置の要望内容です。要望内容に大きな差はありませんが、150時間以上では、「年次有給休暇の連続取得を含む取得促進措置」が最も高く、緑色の「定期的な特別休暇付与」等の項目で2〜3割の回答があります。

17ページは、「裁量労働制のみなし労働時間・実労働時間・休日労働日数」の実績です。「みなし労働時間」の時間数については、平成17年度の前回調査と比較して、平成25年度の調査で微増、また、実労働時間については、横ばいないし微減となっております。

18ページは、「裁量労働制の新たな枠組みについて」の3つ目の論点は、「手続」についてです。「現行の企画業務型裁量労働制について手続が煩雑であるとの意見がある中、同制度や『裁量労働制の新たな枠組み』の手続について、どのように考えるか。」としております。

19ページは、「裁量労働制の決議届・定期報告に係る根拠条文」ですが、説明は省略いたします。

20ページは、「企画業務型裁量労働制の決議届」の様式と記入例、21ページは、「企画業務型裁量労働制に関する報告」の様式と記入例です。

22ページは、手続についての調査結果です。

 まず、企画業務型裁量労働制の導入事業場の回答で、「現行制度でよい」が38.1%、「有用でない手続があり、煩雑である」が29.2%となっております。また「煩雑」と回答した事業場のうち、51.3%が「決議届の作成及び労働基準監督署長への届出」、66.9%が「定期報告の作成及び労働基準監督署長への届出」を挙げております。

23ページは、具体的に現行制度をどのように変えるべきかについての回答で、決議届については、「本社で一括届出できるようにする」、定期報告については、「届出を廃止する」や「本社で一括届出できるようにする」の割合が高くなっております。

24ページは、「フレックスタイム制の見直しについて」です。

 1つ目の論点は「清算期間」についてで、「労働者の働き方の柔軟性を高める選択肢を広げるよう、労働者の健康確保を前提として、1か月を超える期間を清算期間とするフレックスタイム制を創設することについて、どのように考えるか。その場合の清算期間の上限について、どのように考えるか。」としております。

 また、その下に、「変形労働時間制の期間の単位に関する見直しの経緯」を参考で付しております。

25ページはフレックスタイム制の導入状況に関するデータです。

 まず、企業数で割合をみると、導入率は5.0%で企業規模が大きくなるほど導入率が高くなっており、1,000人以上では28.2%となっております。

 また、産業別では、「情報通信業」、「電気・ガス・熱供給・水道業」、「学術研究・専門・技術サービス業」、「金融業・保険業」を初めとして、広く各産業で導入をされております。

26ページは、労働者数で割合をみると、企業数で割合をみた場合と同様の傾向ですが、数値は高くなっております。

27ページは、フレックスタイム制のニーズに関する調査結果です。職場の子育て支援について、赤が「利用した制度」、緑が「利用したかった制度」です。男女問わず「フレックスタイム制」に一定の回答が集まっております。

28ページは、「フレックスタイム制に関するアンケート結果」です。まず、導入事業場については、不便を感じたことが「ある」と「ない」はおおむね半々となっており、「ある」のうち94.2%が「清算期間が短い」を挙げております。

 また、29ページは、フレックスタイム制適用労働者については、81.9%が「このままでよい」としておりますが、「見直すべき」とした15.1%のうち、30.2%が「コアタイムをなくすべき」、21.2%が「出退勤管理を緩やかにすべき」、20.4%が「清算期間を長くすべき」と回答しております。

30ページは、フレックスタイム制の課題で、「特に問題ない」が最も多くなっておりますが、「従業員の時間意識がルーズになること」が28.5%となっております。

31ページは、フレックスタイム制を導入していない事業場にその理由を聞いたもので、「適した業務・職種がなく、必要性がないから」が最も多くなっております。

32ページは、フレックスタイム制の労働時間の過不足の繰越に関する現行の取り扱いについて、まとめたものです。

 「清算期間における実際の労働時間に過剰があった場合」は、労働基準法第24条との関係で、その過剰分を繰り越すことはできませんが、「清算期間内における実際の労働時間に不足があった場合」は、その不足分を次の清算期間に繰り越すことは可能となっております。

33ページは、「フレックスタイム制の見直しについて」の2つ目の論点、「年休の取得みなしの特例」で、「例えば、育児・介護中の労働者の利用を念頭に置いて、清算期間における所定労働時間に達しない労働時間の分は、年次有給休暇を取得したものとみなすことができる特例を創設することについて、どのように考えるか。」としております。

34ページは、関連データとして、フレックスタイム制導入事業場に限ったものではありませんが、欠勤によって賃金が減額される割合は、企業数割合でみて58.6%、労働者数割合でみて65.1%となっております。

35ページは、「フレックスタイム制の見直しについて」の3つ目の論点は、「完全週休2日制における不都合の解消」です。「完全週休2日制の下でフレックスタイム制を実施する場合、曜日のめぐりによっては、1日8時間の労働でも法定労働時間の総枠を超える場合がある。このとき、運用によって一定の要件下で特例的な計算方法を認めているが、労働者の働き方次第では特例要件を満たせない場合が生じる。このため、特例的な計算方法によらなくても、こうした不都合を解消するための特例を法定することについて、どのように考えるか。」としております。

 なお、完全週休2日制を導入している企業数割合は、フレックスタイム制が導入された昭和63年当時は7.4%でしたが、平成25年は46.0%となっております。

 最後に、36ページです。現行では、通達により、一定の要件を満たす場合に特例的な計算方法を認めて総枠を超える労働でも時間外労働と扱わないことができるとされておりますが、フレックスタイム制適用労働者の働き方次第で、その特例の要件を満たさない場合があるという御指摘があるところです。

 以上で説明を終わらせていただきます。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 ただいま「裁量労働制の新たな枠組み」と「フレックスタイム制の見直し」について、事務局から資料の御説明をいただいたところでございます。

 これから、この2つのテーマについて御議論をいただきたいと思っておりますけれども、整理をさせていただきまして、議論は前半と後半で分けて行いたいと思います。

 そこで、最初に「裁量労働制の新たな枠組み」について、今、説明いただいた資料の2ページの「総論」の1に関する部分でありますが、これについて、まず御議論をいただきたいと思います。

 それでは、御意見あるいは御質問などがありましたら、お願いしたいと思います。

 それでは、まず、宮本委員からどうぞ。

○宮本委員 ありがとうございます。

 議論の中身に入る前に、一言だけ先に労働側の考え方を述べたいと思います。

 先ほど分科会長からは、「長時間労働の抑制策以外にも議論すべき論点があるので、まずは各論を一通り御議論いただき、その上で、全体としての議論を深めていくということを考えている。今回は『裁量労働制の新たな枠組み』『フレックスタイム制の見直し」について御議論をいただきたい」という旨の御発言がありました。そのことは労働側としても重く受けとめておりますし、一定の理解もしたいと思っております。

 しかし、前回の分科会でも労働側委員から申し上げたとおり、「長時間労働の抑制や年次有給休暇の取得促進こそが最優先されるべき課題でありまして、まずはそのための議論に集中をして一定の結論を得るべき」と考えております。そのため、「長時間労働抑制や年休の取得促進以外の論点については、その後に議論すべきだろう」という趣旨の意見も前回申し上げたところです。

 労働側としては、前回申し上げたような議論の進め方に関する考え方は、今でも変わっておりません。労働側としては、本年6月に成立した「過労死等防止対策推進法」を一日も早く実効力のあるものとするためにも、長時間労働抑制策を最優先に考えつつ、今後の議論に臨みたいと思っております。長時間労働抑制に向けた具体策のあり方について、引き続き一層深まった議論をぜひ行えることを期待したいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 御意見ということで承っておきたいと思います。

 それでは、平岡委員、どうぞ。

○平岡委員 先ほどの宮本委員の御発言に関連してでございます。前々回の委員会等でも申し上げておりますように、やはり長時間労働の抑制ですとか、そういったものと働き方の改革、柔軟性の向上ですとかというのは、企業としてはセットだと思ってございます。

 例えば裁量労働制ですとか、フレックスタイムですとか、そうした自分で時間をコントロールして働くという働き方というのが、ある意味で従業員の自律ですとか、時間に対する意識を向上させていくという効果があると思っております。そうしたことが中長期的には、例えば年次有給休暇のとりやすさですとか、なかなか周りに気を使って年次有給休暇をとれないとの指摘もございますが、そうではなくて、自分で働く時間をコントロールしていくという意識を高めていく上でも、非常に有効だと思っております。こうした働き方の柔軟化と長時間労働の抑制というのは、背反するものではないということを繰り返し申し上げておきたいと思います。

 以上でございます。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 これも御意見ということで承りたいと思います。

 ほかにはいかがでございましょう。

 それでは、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 労働側の検討のスタンスは、今、宮本委員が申し上げたとおりでありまして、我々としては、たびたび申し上げているように、「この労働時間法制の見直しに当たっては、まず論議するべきことがあるのではないか」ということは、やはり今後の議論の場においても再三申し上げていきたいと思っております。

 その上で、今日は柔軟な働き方、すなわち「裁量労働制の新たな枠組み」について議論するということであります。前回、分科会長より議論の進め方をまとめていただき、その御発言は重いと私どもも受けとめておりますので、「長時間労働を抑制する」という前提のもと、本日の各論点について議論を深めさせていただきたいと思っております。

 その上で、今日示されている内容について、何点か事務局にお尋ねをしたい点がございます。

 まず、第1点は、資料4の2ページにございます「総論」で示された内容です。総論の記載内容をよく見ると、1の3行目に「裁量労働制の新たな枠組みを構築することが求められている」と、さらっと書かれているのですが、一体誰が「裁量労働制の新たな枠組み」を求めているのか、と思っております。

 先ほど、対象業務の範囲についての調査結果のご説明がありましたが、導入事業場でも適用労働者でも、一番多かった回答は「現行制度のままでよい」というものでした。そうなると、総論に書かれている「裁量労働制の新たな枠組みを構築することが求められている」というのは、一体何に基づいて言われているのでしょうか。2ページの総論の2の「フレックスタイム制の見直し」のところでは、「一層の活用を求める意見があるが」と、代理的な書きぶりになっているのに対し、この総論1では「新たな枠組みを構築することが求められている」という直接的な書きぶりだということです。そこで、まず、事務局にお聞きしたいのは、一体誰が「裁量労働制の新たな枠組み」を求めているのか、ということを明確にお答えいただきたいと思います。

 同じくこの資料4の1ページに「『日本再興戦略』改訂2014」で閣議決定された内容が記載されており、この3のところに裁量労働制についての記述があるわけです。

 この3を見ますと段落が2つに分かれておりまして、前半の段落については、「『裁量労働制の新たな枠組み』を構築することとし、労働政策審議会で検討し、結論を得た上で、次期通常国会を目処に必要な法制度を講じる。」と書かれているわけであります。

 その下の後半の段落はまた別のことが書かれておりまして「裁量労働制の本来の趣旨に沿って、労働者が真に裁量を持って働くことができるよう、見直しを行う」とされています。後半の段落では、労政審のかかわりとか、いつまでに結論を得て法制度を講じるといったことが書かれていないわけであります。

 そこで、お聞きしたかったのは、閣議決定されている改訂成長戦略の中で裁量労働制について記載された後段の部分は、先ほどの資料4の2ページ記載の「総論」の中には書かれていないわけでありますけれども、「裁量労働制の本来の趣旨に沿って、労働者が真に裁量を持って働くことができるよう、見直しを行う」という点は労政審では議論をしないのかということ、つまりは、この論点は当分科会において一体どういう扱いにするのかということを、確認させていただきたいと思います。

 もう一点お聞きしたいのは、「『裁量労働制の新たな枠組み』を構築する」ということの意味です。

 それは資料6ページのところに絵が描かれておりまして、閣議決定の文章を引用する形で抜かれているのですが、ご承知のように、現行の裁量労働制には2つの類型があります。まず、昭和62年の改正で専門業務型裁量労働制が導入され、平成11年改正・12年施行で企画業務型裁量労働制が導入されました。後者については、平成16年に、制度がより有効に機能するよう、労使の十分な話合いを必要とすること等の基本的な枠組みは維持しつつ、同制度の導入・運用についての要件・手続を緩和がなされました。このように既に2つの類型の裁量労働制が既に導入されているわけですね。

 このように2つの裁量労働制がある中で「裁量労働制の新たな枠組みを構築する」と言われることの意味は、「現在2つある類型のほかに第3のカテゴリーを別個に創設していく」という意味でのご提起なのか、それとも「現行制度の骨格は変えないものの対象範囲や手続きについて何らかの緩和を行う」という意味でのご提起なのか、事務局のお考えを聞かせていただきたいと思います。

 なお、前回も申し上げたところですが、先ほどの資料1ページの2では「労働時間の長さと賃金のリンクを切り離した『新たな労働時間制度』を創設すること」も提起をされているわけでありますけれども、御承知のように、既に裁量労働制によるみなし労働時間の効果によって、創造性豊かな人材がその能力を存分に発揮しうるよう自律的で自由度の高いフレキシブルな働き方の実現のため、実際の労働時間に関係なく、みなしというものを使うことによって労働時間の長さと成果を切り離す制度がもう既にできているわけであります。

 お聞きしたいのは、改定成長戦略2で提起されていた「新たな労働時間制度」の創設ということと、3にある裁量労働制における「新たな裁量労働制の枠組み」というのは、どのように区別をすればいいのか。多分、対象者が非常に似通ってくると思いますけれども、両者はどう分けて考えていけばいいのかということを教えていただきたいと思います。

 これは論議に当たっての最初の質問ということです。

 以上であります。

○岩村分科会長 それでは、大きく3点にわたる御質問だと思いますので事務局からお答えをお願いします。

○村山労働条件政策課長 お答えします。

 まず、御質問の1点目ですが、2ページ目の「総論」の1で書いている「裁量労働制の新たな枠組みを構築することが求められているが」とは、誰から求められているのかという御質問です。

 今年6月に閣議決定された「改訂成長戦略」において、「裁量労働制の新たな枠組みの構築」が1つの課題として、「『裁量労働制の新たな枠組み』を構築することとし、労働政策審議会で検討し、結論を得た上で、法制上の措置を講ずる。」とされております。政府の決定を受けて、政府に置かれている本審議会において、この点について御議論をいただきたいということで「求められているが」としております。

 次に、2点目は、資料1ページの閣議決定の「その際」の部分についてです。まず、裁量労働制の普及状況について、先ほどデータも説明いたしましたが、何をもって十分とするかというのはさまざまな見方があるとは思いますが、特に企画業務型裁量労働制等に関しては、必ずしも十分に活用されていない状況が、産業競争力会議の議論で取り上げられておりました。

 その上で、先ほど御説明した資料の中で、出退勤管理や業務の指示などに関するデータがありました。本分科会でも御指摘をいただいておりますが、自律的・裁量的に創造性を発揮していただくという裁量労働制の本来の趣旨に沿わない運用も見られるのではないかという問題意識での議論が産業競争力会議の過程であり、それを踏まえて閣議決定もなされております。労働者が真に裁量を持って働くことができるような視点から、この裁量労働制の議論を改めて労働政策審議会でお願いしたいということです。

 先ほど新谷委員から、この部分は「労働政策審議会」という言葉が入っていないが、どこで検討するのかとの御質問がありましたが、政府としては、当然、本分科会であわせて検討していただきたいという趣旨で、こういう表現としていると御理解いただければと考えております。

 御質問の3点目は、この「裁量労働制の新たな枠組み」が持つ意味です。

 委員御指摘のとおり、昭和62年改正でできたもともとの裁量労働制、現在の専門業務型裁量労働制と、平成10年改正でできて平成12年から施行されている企画業務型裁量労働制の2つの類型があります。

 その上で、組織内での権限委譲の進展や労働者の一層の創造性の発揮の必要性、働き方・働かせ方の変化といったものの中で、一層の制度の活用も含め、現在、新たな枠組みということで提起されております。

 この点について、現在の裁量労働制と別類型になるのか、現行類型の再編になるのか等については、本日からの議論の中で御検討を深めていただければと考えております。

 最後の4点目で、「時間ではなく成果で評価される制度」と「裁量労働制の新たな枠組み」について、趣旨・目的、あるいは切り口において重なる部分があるのではないかとの御指摘をいただきました。

 明確に違う点は、「時間ではなく成果で評価される制度」は、職務の範囲が明確で、高度な職業能力を有する方に絞り込んで労働時間と賃金のリンクを切り離すという考え方が、安倍総理の産業競争力会議課題別会合での御発言や国会答弁、この閣議決定からうかがわれます。

 一方、「裁量労働制の枠組み」は、最終的にどういう形になるかは今後の御議論次第ですが、あくまで裁量労働制という枠組み、つまり、労働基準法の第4章の労働時間規制の基本的な考え方の中で、現在の働き方等の変化に即した新たな切り口で制度を構築することができないかという提起です。労働時間規制の基本的な枠組みでは、裁量労働制でも、例えば、みなし時間が1日9時間であれば「三六協定」の締結や1時間分の時間外割増賃金の支払いも必要になります。また、深夜・休日等の規制は、一般の労働者と同じようにかかります。そのような中で労使双方にとってよりよい形で裁量労働制を活用していくことをお願いしたいというのが、本日の議題の趣旨と御理解をいただければと考えております。

 以上です。

○岩村分科会長 それでは、今、御質問されたのが新谷委員なので、まず、新谷委員のほうから御発言いただいて、その後、池田委員ということでお願いします。

○新谷委員 ご説明、ありがとうございました。

 特に最初に質問いたしました「一体誰が『裁量労働制の新たな枠組み』を求めているのか」という点について、その背景が閣議決定された「改訂成長戦略」であるということが明らかになりました。そうであるとすれば、前回も申し上げたように、閣議決定された内容には4つのものがあって、その中でも最初に掲げられている1の「長時間労働の抑制」ということがその他の論点の大前提として当然にあるわけです。

 先ほど平岡委員から、「この長時間労働の抑制ということと柔軟な働き方をセットで論議すべきである。柔軟な働き方が実現すれば、労働者個人にとっても年次有給休暇等がとりやすくなるのではないか」との御意見を頂戴したところでありますけれども、必ずしも現状では、柔軟な働き方をしているからといって年次有給休暇が取得しやすいということにはなっていないということも申し上げておきたいと思います。このことは資料も出ておりますけれども、裁量労働制の適用者については、通常の労働者よりも休日労働の出勤日数も多いということですし、もし事務局に、裁量労働適用者と通常の労働者の年次有給休暇取得の状況等のデータについてもお持ちであれば、ぜひ出していただきたいと思っております。

 本当に「柔軟な働き方を実現すれば、労働者にとって労働時間が短縮し、働きやすくなる」というのであれば私どもとしても論議に乗れますが、ただ、現状から見ると決してそういうことにはなっていないと思います。

 特にこの裁量労働制については、かつて過労死の悲惨な事件があったわけです。御承知のように、平成12年の最高裁判決でシステムコンサルタント事件という、まさしく専門業務型裁量労働制が適用されていた労働者が過労死でお亡くなりになり、当該事件は最高裁まで争われました。また、同じく平成12年には有名な電通過労自殺事件についても最高裁の判決が出ているわけでありまして、いずれも裁量労働制の労働者が働き過ぎによってお亡くなりになっていた事件でありました。

 ですから、今後の裁量労働制の検討に当たっては、事務局の御説明にあったように、「裁量労働制の新たな枠組みの導入」が求められていることの根拠が「『日本再興戦略』改訂2014」ということなのであれば、1に記載されている「働き過ぎ防止のための取組強化」という他の論点の大前提となる論点について、この分科会の中で論議をしていかないといけないということも重ねて申し上げておきたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 それでは、池田委員、どうぞ。

○池田委員 内容的には今までもお話ししていることが多いと思うのですが、この資料の6ページの中にも記載されているように、この裁量労働制が重要な制度であるにもかかわらず、十分に活用されていないということが問題点であります。

 仕事の意思決定が非常に早くなっている時代でありますけれども、ここに書いてあるように、仕事のやり方や時間配分を、自らの裁量で遂行する働き方が増えているということで、私ども商工会議所の委員会でも、この制度の在り方について検討いたしました。

 いろいろな意見がありましたが、以前の資料でもお示しいただきましたように、企画業務型裁量労働制の採用企業は0.8%、適用労働者は0.3%ということで、十分に活用されていないのが実情であると思います。この理由としては、再三出ておりますが、やはり対象業務、対象労働者の範囲が狭過ぎるということが1つ目の問題点でありまして、2つ目は、非常に事業所ごとの決議・定期報告などの手続が煩雑であるという問題でありまして、3つ目は、本人同意の要件があるために同じ部署の中で、適用する人と適用しない人が生じ、管理が複雑であるということであります。商工会議所の委員会では、本人同意ではなくて、過半数労働者の代表との協定で適用すべきという意見が多く上がっておりました。

 前にも申し上げましたが、対象業務、対象労働者の範囲につきましては、職場の実態を十分に踏まえていただいて、個々の労使の話し合いで決めるような仕組みにしていただくことで、この重要な制度がもっと活用されるものになるのではないかという意見が多く出されております。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 それでは鈴木委員、お願いします。

○鈴木委員 ありがとうございます。

 先ほど新たな裁量労働制の枠組み、あるいは裁量労働制の見直しのニーズが本当にあるのかというお話がありました。労使のニーズや、企業実態に合ったものとなるよう選択肢を増やしてもらいたいということが使用者側の共通の思いでございます。

 先ほど事務局よりお示しをいただきました裁量労働制の対象者の制度評価を見ましても、満足されている方が大半であります。繰り返しですが、企画業務型裁量労働制の労働者割合は0.3%にすぎません。活用されていない原因は、ただいま池田委員もおっしゃったように、対象業務が狭いということ、さらには手続が厳格な点にあると理解しております。

 本日の資料の5ページの裁量労働制を導入していない理由では、断トツに「対象となりうる業務がない」という回答になっておるところでございます。この点は労働側の委員の皆様とは評価が分かれるところかとは思いますが、私どもとしては、本来、裁量制が高くて、裁量労働制の適用がふさわしい業務が自社の中にあるにもかかわらず、法律上対象外となっているために使えないという実態にあり、そのため、ここに回答したケースも相当数あるのではないかと思っております。

 会員企業からは、特に対象業務、対象労働者が狭いという声が大きく、ぜひ見直しを図るべきものと思っているところでございます。

 例えば、営業の業務というのは、現行、裁量労働制の対象になっておりません。前にも申し上げましたけれども、金融商品の営業等の場合には、専門的知識を駆使しながら、顧客のニーズに対応した高い付加価値の製品・サービスを提供するようなソリューション型のビジネスが最近増えております。ルートセールスのように時間配分が固定をされておりません。かつ、何を提供するかについても、顧客のニーズに応じて毎回異なりますので、仕事のやり方についても裁量があると思っております。

 また、素材業界では、単に自社の製品を売るという発想では、もはやコスト競争力にまさる台湾ですとか韓国の企業に太刀打ちできないということで、自分たちが持っている技術を生かした付加価値を素材だけでなく商品ごとに提案をしているような実態にございます。営業担当は、市場のニーズを常に意識して、どういう商品が求められているのか、また、そのためにはどのような素材が必要で、どのような協業体制で生産をすればいいのかということを常に頭の中で模索をしていると聞いております。

 そうした中で、営業担当と研究・開発技術者が協力をして、顧客会社からの要望に応え、新たな機能を有する素材を提供することなどによって、市場で評価を受けているというような話も聞きます。そうしたソリューション型ビジネスの担当者というのは、単純に足で稼ぐような営業と全く違うということは御理解をいただきたいと思います。

 先ほど事務局から、企画業務型裁量労働制の要件についての御紹介があったところでございますけれども、その要件の肝というのは、業務の遂行の手段及び時間配分の決定などに関して、使用者が具体的に指示をしないという点にあると理解しています。

 しかしながら、現行法令は個別の営業活動の業務が一律に対象外とされており、また、対象労働者につきましては、企画、立案、調査及び分析の業務を常態として行うということが条件とされております。入り口で対象外と決めつけるのではなしに、本当に裁量性があるかどうか、これを実際に判断することができる個別企業労使に対象の範囲の判断を委ねるべきだと考えております。

 なお、裁量労働制の導入が長時間労働を助長するのではないかという御懸念、御指摘もいただいておるところでございます。上司が部下の日々の業務遂行状況を確認して、必要に応じてアドバイスをしたり、場合によっては同僚に手伝ってもらうようなマネジメントが長時間労働の抑制につながるということは、これまでも労働側の委員の皆様からも御指摘を受け、私どもも承知をしているところでございます。

 裁量労働制のもとでも、例えば、評価期間の初めに目標設定を行い、都度、適宜その遂行状況を話し合うということで適切なマネジメントを行っていると思っておりますけれども、ただ、毎日の業務遂行ということに関しては、裁量労働制の場合、個々の仕事のやり方と時間配分というのは自ら判断するということになっておりますので、通常の労働時間制度が適用になるケースとは分けて考えていくことも大切だと思っております。

 御参考ですが、早稲田大学の小倉先生の調査によりますと、仕事の性格に関し、自分で仕事のペースや手順を変えることができるということが労働時間の短縮に影響するということだそうでございます。健康確保に十分留意しながら裁量労働制の対象を増やすことにより、効率的に仕事を行う労働者が増えるという効果も期待できると思います。

 また、先ほど平岡委員からも御指摘のあった点に関連してでありますけれども、こういったさまざまな取組をしていく中で、長時間会社にいることをよしとする職場風土が変わり、対象とならない社員への波及効果もあるのではないか。労働時間の弾力化がワーク・ライフ・バランス実現に寄与する面があるということは、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

 私からは以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 それでは、お待たせしました。八野委員、どうぞ。

○八野委員 ありがとうございます。

 今、実態ということでさまざまなお話をいただきましたが、私も加盟組合を何組か回らせていただいて、使用者側の皆様のところに加盟している企業だと思いますが、やはりきちんと労使の中で話し合いを行った結果、例えば、研究職のところに裁量労働制の導入を決定したり、反対に、自分たちの企業には裁量労働制を導入する必要がないということを決められたりしているようです。それが今の実態としてあるわけです。今、使用者側から出されていました「対象業務、対象労働者が狭い」というような意見は一切出ておりませんでした。

 もう一つ、この弾力的な労働時間制度が効率的な仕事、または能力を引き上げるのかという視点で見ていきますと、今までの労働条件分科会の中で出された資料によりますと、すでに弾力的な労働時間制度はさまざまな形で設けられており、5割強の労働者がその対象となっているというデータもございました。

 ですから、「弾力的な労働時間制度を使うことによっていかに仕事の効率を上げていくか」ということをもう少しマネジメントの問題としてきちんと捉え、PDCAサイクルを企業の中で組み入れていくということが求められているのではないでしょうか。何ゆえ労働者だけが、「弾力的な労働時間制度の範囲の拡大」という規制緩和の中で働かされなければならないのか。実は、仕事の成果というものは、そこでマネジメントする人の力量にも大きくかかわっているわけです。現行の裁量労働制の実態を見ると、使用者が企業内で適切に制度運営を行えているようには思えず、労働時間を管理するというマネジメントの中にも大きな課題があるのではないかと思っております。このことは、労働側からも何度か指摘をさせていただいているところかと思います。

 先ほども政府の閣議決定によって「『裁量労働制の新たな枠組み』を構築する」ことが求められているということですが、今回の資料によりますと、対象労働者の範囲について「現行制度のままでよい」を回答した事業所が4割を超えています。そういう中で、現行制度を変えていくという必要性をなかなか理解することができません。

 資料の6ページに、裁量労働制の新たな枠組みを考えるべき背景にあるものとして、「組織内の権限委譲促進」と「組織のフラット化」が挙げられております。これは現状としてあるものだと思いますが、「権限委譲促進」と「組織フラット化」について資料の7ページであげていただいているデータは、2007年の内閣府のアンケートというかなり古いものであって、さらにそれをその当時の5年前と比較しているものでありますので、これからの政策を考える際の基礎データとして用いるにはあまりに古すぎるものだと考えます。

 また、このグラフを見ましても、どの業務分野のどのようなレベルの従業員に対して権限委譲等が行われているのかという点は全く読み取ることができません。それと、ここには「意思決定」という言葉が出ていますが、企業の中で行われる意思決定にはさまざまなレベルがあるのではないかと思います。ですので、仕事の進め方等について裁量を与えられるに至ったと言える従業員を具体的にイメージすることができない以上、「裁量労働制の新たな枠組み」における対象業務や対象労働者についても、ここからは何ら具体的な像を描き出すことはできません。ある意味、この7ページのグラフは全く現段階では使えないものではないか。それゆえ、もし新たなアンケート結果があるのであれば、それを提示していただき、この場の議論の中に付していくということが必要なのではないかと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 それでは、平岡委員、どうぞ。

○平岡委員 2点申し上げさせていただきたいと思います。

 まず、第1点目でございますが、先ほどの新谷委員の御指摘の内容についてでございます。データをもってきちんと語るべきだと、評価すべきだという御指摘でございますが、全くそのとおりだと思います。

 ただ、私の観点からいたしますと、例えば、裁量労働に従事している者と、同等の業務についている、裁量労働についてない者の労働時間ですとか、休日出勤ですとか、そういったものを比較したデータというのはこれまで見たことはないと思っています。

 裁量労働に従事しております者は、企業の中の中核業務を担っている者でございまして、正直申しまして職責も重いですし忙しいです。そうした者と補助的な業務まで含めた一般の労働者の労働時間を比べても「Apple to Apple」ではないと思います。そこにつきましては、これまでデータできちんと評価ができていないということは御指摘のとおりだと思います。ただ、随分以前のこの分科会でも申し上げましたが、例えば、私どもの企業ですと、裁量労働制を採用しておりまして、裁量労働で働いている者と、同じような業務に従事しながら裁量労働の適用を受けていない者というのが実際に混在しております。

 そうした中では、時間管理をとってみますと、裁量労働制の者が長いということは一切ございません。もちろんこれも個別企業の話でありますから、全体の論議ということには供しないと思いますけれども、企業の工夫によってうまく運用ができているという例はあるということかと思います。

 2点目でございます。八野委員の御指摘に関連してでございます。9ページ、10ページのところで「対象業務の範囲等」とございますが、これはあくまでも裁量労働が実際に運営されている事業所並びに裁量労働が適用となっている方々が答えている。既に何らかの工夫をして制度が運営できている。したがって、これでもやれるという回答だと思っています。

 一方で、今、問題になっていますのは、裁量労働制を入れたいのだけれども、現在の枠組みでは入れるのが難しい。先ほど八野委員からも、労使できちんと議論をして意思判断をされているようだという御指摘がございましたが、そういった中で、もう少し枠組みを広げてあげれば使える部分が出てくるのではないかと思っています。もちろんマネジメントの責任というのは非常に大きいのですが、そのマネジメントを補佐する意味でも、できるだけいろいろな選択肢が広がっていくということが重要ではないかと思っております。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 それでは、山川委員のお手が挙がりましたので、山川委員、どうぞ。

○山川委員 だんだんと議論がやや具体的になりつつある感じがありまして、さらに詰めた議論ができないかと思って、御質問も兼ねまして少し発言したいと思います。

 資料No.4の6ページで条文が書いてあります。先ほど鈴木委員が言われたように、企画業務型裁量労働制は、実は対象業務という場合に2つの要件に分かれる。つまり「事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査、分析の業務であって」で切れる。その後、理由づけの「ため」というのが続いて、第2の要件が「業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしないこと」という2つの要件があります。

 使用者側の御主張で1について緩和というような御意見がありますが、そうすると、2のいわゆる業務内容というよりも、その裁量性の要件の比重が重くなると思います。

11ページのほう、先ほど事務局からも御紹介がありましたけれども、例えば「一律の出退勤時刻がある」という回答が企画業務型裁量労働制ですと50.9%で、これが「時間配分の決定等に関し具体的な指示をしない」という要件から見てどうなのかというようなことが問題になりそうな感じがするわけです。

 また、現実にも時々聞く話は、ある仕事を早く終わったとしても、例えば、退勤時刻が決まっているということとも関係あると思いますが、すぐに早く帰れるわけではない。次の仕事がやって来るとか、そういうことも起きるかもしれないということがあります。

 そこで成長戦略の話に戻りますと「裁量労働制の新たな枠組みの構築」のところで、対象範囲を見直すという方向性が前段の3で出てくる。「その際」ということで、後段で「真に裁量を持って働くことができるよう、見直しを行う」という、この方向性も出てきて、先ほどの労働条件政策課長の御説明によると、これも労働政策審議会で議論する。つまり、真に裁量を持って働くことができるような見直しも労働政策審議会で議論をすべきだと。このあたりも含めて、さらに詰めた議論ができないかなということであります。

 また、先ほどの早く仕事が終わったら早く帰れるというのは、仕事と生活の調和にも資するということで、結局、個人的には、この問題は、先ほど双方から出たかと思いますが、仕事のさせ方と仕方の問題にかかわるときが大きいので、恐らく双方から有益な御議論ができるのではないかという感じがするのですけれども、とりあえずこの資料の11ページ、あるいは先ほどの6ページの具体的な指示をしないという要件との関係で、例えば、裁量性の確保ためにどういうことが考えられるのか、使用者側から何か御意見、御感触があればお伺いしたいですし、また、労働側からもいいアイデアがあればお伺いしたいと思います。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 何か使側のほうで、今の山川委員の質問について、お答えいただけるようなことがありましたらお願いします。

 それでは、鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 ありがとうございます。

 まず、11ページの出退勤管理の件でございますが、私どもの会員企業で裁量労働制を導入されている企業の実態を、伺う限り、裁量労働制の指針に沿った形で相当厳格に運用をしているというような実態にございます。

 その中では、再三申し上げておりますように、実効性のある健康・福祉確保措置を手当てしており、また、仕事のボリュームコントロールということに関しましては、目標管理制度を適切に運用して、過重労働にならないよう最大限配慮していると聞いております。

 山川先生からご指摘のございました2つの要件に関しては、労働時間の配分について裁量があるということが、私どもも大前提だと理解をしております。 一律に出退勤せよということが本当にあるとすれば、我々が把握している会員企業の実態とは違うところでありまして、当然、指導等の対象となるものだと理解をしております。この点については、逆に、行政指導等の実態等があれば、後で事務局にお伺いをしたいと思っております。

 あと、もう一点、本当に出退勤がずさんな状況にあるかどうかということについては、疑問を持っているところがございます。と申しますのは、ちょっと細かいのですが、厚生労働省では裁量労働制についてのパンフレットを作成してウエブ上で公開をされております。その中で就業規則規定例というものが載っておりまして、このうち4項の規定を読みますと「始業・終業時刻及び休憩時間は、第○条に定める所定就業時刻・所定休憩時間を基本とするが、業務遂行の必要に応じ、裁量労働対象者の裁量により具体的な時間配分を決定するもの」とされております。

 この就業規則例に基づいて運用している企業というのはあると思うのですけれども、そうした会社では、アンケートの選択肢の中に適切な回答がないために、この「一律の出退勤時刻がある」と回答した可能性もあるのではないかと考えておりますので、調査結果について、ある程度幅を持って見ていく必要があるのではないかという問題意識を持っているところでございます。その点は、事務局にお考えがあればお尋ねをしたいと思っております。

 たとえば目標管理の適切な運用については、目標が適正なものに設定できるかどうかが一つの課題になりうるところであり、例えば目標が明確である、目標が後で確認できる、達成可能である、期限あるなどいろいろな基準を設けて運用していると聞いております。

 また、四半期あるいは半期ごとに目標の達成状況を上司と都度確認し、過剰になれば都度修正を図る企業もございます。したがって、業務をコントロールすることが十分可能な仕組みの中で、各社取り組まれていると思っております。

 ちょっとお答えになっていないかもしれないのですけれども、以上でございます。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 先ほど来、春木委員のお手が挙がっていますが、あと、事務局への御質問もありましたので、では、まず、春木委員からお願いします。

○春木委員 ありがとうございます。

 今ほどの裁量労働制の運用実態に関する意見が山川委員と鈴木委員からございました。裁量労働制に関する実態調査の結果を見たときに、やはりどうしても疑念を持たざるを得ないのは、現状の裁量労働制でさえ使用者は適切に運用できていないのではないかという点です。

 すなわち先程のご説明にもありましたように、「日々の出退勤管理のあり方」を見ますと、専門業務型・企画業務型ともに「一律の出退勤時刻がある」との回答が半数前後を占めています。こうした出退勤管理は「どこで、何時間、どのように業務を遂行するかという点を労働者に委ねる」という裁量労働制の本旨に照らすと不適切な運用なのではないのかなという疑念を持っているところです。このことについては、9月22日の東京新聞に、「裁量労働なのに…4割が定時出勤」という記事も掲載されたところです。

 加えまして、「実労働時間の把握の仕方」、これは資料13ページにあるわけですが、企画型業務に関して42.6%もの事業所が「どうやって実労働時間を把握しているかわからない」と回答している状況や、さらに、資料の14ページにあります「企画業務型で実施した健康・福祉確保措置の内容」についても、48.9%の事業所が「不明」と回答している状況を見ますと、実際に導入しているにもかかわらず使用者はまともに認知できていない状況にある、と言わざるをえません。この結果からは、裁量労働制がいかなる制度であり、どのように運営されるべきかを十分理解できていないのではないのかと疑わざるをえないのではないかと思っています。

 したがいまして、この新たな裁量労働制の枠組みをつくるという以前の問題として、現行の枠組みの中で本旨に沿った運用が適切にきちんとされているのかという観点にたって、まずは使用者自身がこの現行制度に対する理解を深めるべきだと思っています。しっかりとした制度運営をすることがこの見直し論議の以前にやるべきことではないかということを申し上げておきたいと思います。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 それでは、先ほど鈴木委員から御質問がございましたので、事務局でお願いします。

○村山労働条件政策課長 鈴木委員からの御質問について、春木委員からの御提起も含めてお答えいたします。

 まず、企画業務型裁量労働制における労働時間の状況等は、21ページの「企画業務型裁量労働制に関する報告」により、「労働時間の把握方法」や把握した「労働時間の状況」として平均の時間と最長の時間を定期的に報告いただいております。なお、企画業務型裁量労働制については、平成10年の労働基準法改正での国会審議の経緯を踏まえて、この報告を6か月ごとに行うという制度となっております。

 一方、そもそも、仕事のやり方、時間配分について労働者に委ねる裁量的な働き方からすれば、出退勤時間管理あるいは勤怠管理等について、鈴木委員の御指摘は確かにごもっともです。

 また、厚生労働省作成の企画業務型裁量労働制のパンフレットの就業規則の所定就業時刻の記載内容については、鈴木委員の御指摘のとおりの記載です。これは、国民、労使の皆様が御覧になる当省のホームページにも掲載しており、また、労働基準監督署等の窓口での指導等に際しても一つの例として用いております。

 パンフレットでは、始業・終業時刻等について、「就業規則のほかの条に定める所定の終業時刻や所定休憩時間を基本とするが」とした上で、「業務遂行の必要に応じ、裁量労働従事者の裁量により、具体的な時間配分を決定するものとする」ということで、一定の裁量性にも配慮したものにはなっております。私どもとしては、通達等にもございますように、対象労働者の所定就業時刻等については、各事業場の実情を十分に踏まえ、また、この制度の本旨を十分に踏まえた上で、労使委員会において協議の上で定められるべきものと考えております。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 山川先生から本当に大事な御指摘をいただきましたし、労使のやりとりもあったわけでありますけれども、やはりこの11ページに掲載されている全労働者に対する「日々の出退勤管理の在り方等」という資料が全てを物語っているのではないかと私は思うのです。

 先ほど鈴木委員から、「加盟企業の状況とは違う、アンケートの仕方がおかしいのではないか」というような御発言もあったわけですが、このアンケート結果は大量観察にもとづくデータであり、結構な数、ボリュームサイズがありますので、かなり信憑性の高いデータではないかと思われます。これを「所属団体の加盟企業の状況とは違う」、あるいは「アンケートの仕方がおかしいのではないか」と言うのであれば、やはり反証のデータを示すべきだと思います。

 我々はやはりこの大量観察のデータに基づいて「日々の出退勤管理の在り方がどうであるか」について判断せざるを得ないと思っております。そうすると、このデータを見たとき、「一律の出退勤時刻がある」という回答が多いことに気がつきます。労働基準法第38条の4に企画業務型裁量労働制の条文があるわけですけれども、同条1項第1号は「当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしない」と規定しており、要するに、具体的な出退勤時刻の指定をしないというのが適用の要件になっています。そうであるならば、裁量労働制が適用されているにもかかわらず「一律の出退勤時刻がある」ことは法違反ではないのかという疑いもあるわけでして、仮に「出退勤の時刻を決めたから、きちっと出社してこい」という指示があるのであれば、労働基準法第38条の4に適合しないのではないかという疑いがあると思うのです。監督行政の側の事務局にこの状況をどう見ればいいのかということをお聞かせいただきたい。これが1点です。

 もう一つ、先ほどから使用者側の委員が何人も「裁量」ということをおっしゃっているのですけれども、再三申し上げているように、「手順の裁量、プロセスの裁量」ということと「仕事のボリュームの裁量」は違うということを明確にやはりきちんと考えないといけないと思うのです。

 それを端的にあらわしているのが11ページの右側にある「仕事の目標等の決定方法」という資料です。このデータでは、仕事の目標等の決定方法は「会社または上司が設定」するという回答結果が2割近くあるわけです。まさしく、「おまえはこの仕事をやれ」というように、仕事が上から降ってくるということです。裁量労働制適用労働者の2割近くの人に対して、会社または上司が仕事の目標等を設定しているということになると、いかに裁量労働制適用労働者自身がそのプロセスを改良して、例えば、今まで100かかっていた仕事を80でうまく裁量をもって効率化を進めたとしても、1.5倍の仕事が降ってくれば総労働時間は増えるわけでありますから、幾らプロセス裁量を持っていたって、ボリュームの裁量がない限りどんどん仕事が降ってくるわけです。11ページの右の資料がこの現実を表しているわけであります。先ほど来、使用者が「裁量、裁量」とおっしゃっているわけでありますけれども、こうした現実をどう見ていくのかということについても、ぜひお考えがあればお聞かせをいただきたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 それでは、事務局にお尋ねがありましたので、事務局でお願いします。

○村山労働条件政策課長 企画業務型裁量労働制に関する監督・指導の基本的な観点ですが、まず、労使委員会の設置・運営状況、また、決議という手続にこの制度の構成が委ねられておりますので、その決議の具体的な状況、さらに、先ほど紹介した定期報告の3つを中心に確認しております。

 決議については、法律に具体的に書いてある内容について個々に確認しておりますが、先ほど新谷委員から御提起のあった点については、労働時間、勤務状況の把握等の観点から、どのように見られるかという問題なのだろうと思います。具体的な事例については、本日は準備がありませんので、また機会がありましたら御説明をしたいと考えております。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 では、平岡委員、どうぞ。

○平岡委員 裁量労働を考えるときに、彼らは請負で働いているわけではありませんので、あくまで組織の中に属して組織の中で働いておるわけです。例えば、出退勤の自由というのはもちろんございますけれども、通常、例えば、何かの都合がない限り、多くの方は、当然、皆さんが出てくる時間に出てくるということが想定されますし、それから、先ほどの新谷委員から御指摘のあった、どんなに働いて効率を上げたってどんどん仕事がふえるではないかと。そういうことももちろんあるかもしれませんが、では、裁量労働で効率を上げた者がそうではない者よりも仕事がどんどんふえて、その人だけが長時間労働になるのですかというと、そうではないのですね。組織の中で全体で効率を上げてみんなでやっていくということです。

 そういう中で、効率の上がっている者というのは、当然、大きな成果を上げていきますし、会社の中でも高く評価をされていくということになっているわけです。ですから、組織全体としてどうやって効率が上がっていくかということでありまして、先ほど冒頭に申し上げたように、請負で働いている方々ではありませんので、そこのところはきっちり整理をして論議をする必要があると思っています。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 ちょっと待ってください。議論をちょっと整理させていただきたいのですが、実はもう一つ、今日はフレックスタイムも議題として用意されております。今日、かなり立ち入った議論が行われているのですが、若干時間の延長をお許しいただけるようであれば、あと10分程度この問題についての議論の時間をとって、フレックスタイムの議題に移りたいと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。

 特に御異存がないということでしたら、では、そのように議事進行を整理させていただきたいと思います。

 そこで、今、お手が挙がっていたのが秋田委員と神田委員でございますので、まず神田委員、それから秋田委員ということでお願いいたします。

○神田委員 ありがとうございます。

 今ほどのかかわりで資料17ページに「裁量労働制のみなし労働時間」と「実労働時間」とを比較した表が掲載されているのですが、専門業務型・企画業務型のいずれにおいても「みなし労働時間」より「実労働時間」のほうが長くなっております。

 これは事務局にお伺いしたいのですが、このギャップをどのように理解したら良いのでしょうか。以前、本件に関しては一定の議論がされたと伺っておりますけれども、特別手当等々の支払いがなされているとしても、ただ働きをさせられている格好になっているのではないでしょうか。

 また、「法定休日労働の平均日数」もデータとして上げていただいておりますけれども、通常の労働時間制度で働いている方々との比較においてこの数値は多いのではないかと思います。この点についても少し見解をお伺いしておきたいと思います。いずれにしても、高い成果目標を設定される等によって、「みなし労働時間」よりも長時間の労働に従事せざるを得ず、また休日も働かざるを得ない状況に追い込まれているのだとすれば、裁量労働制は長時間労働を生み出す温床以外の何ものでもありません。成果目標を設定されることによってどうしても長時間労働に従事をせざるを得ないとなりますと、これはまさに長時間労働をいかに是正していくかという労働側としてこだわっております冒頭の第一義の主張に関係してくるところであります。こうした現状を無視して裁量労働制をさらに拡大させることなどは容認できない、ということを主張したいと思います。

○岩村分科会長 それでは、御質問の点について事務局からお願いします。

○村山労働条件政策課長 まず、客観的なデータについてお答えいたします。

 みなし労働時間と実労働時間に関して、最長の方と平均の方の数字は、資料17ページのとおりです。

 法定休日労働に関して、裁量労働制全体の平均と専門業務型、企画業務型それぞれがどうかという御質問についてです。

 まず、平均の方について平成25年の調査において、裁量労働制全体の平均は3.9日、専門業務型は4.0日で、全体の平均より0.1日多いですがほぼ同じ水準です。企画業務型は3.1日で、全体の平均より少なくなっております。

 一方、最長の方については、専門業務型の8.5日は裁量労働制全体の5.4日を上回っており、企画業務型の5.8日も、全体より0.4日上回っているという状況です。

 また、神田委員から御指摘のあったみなし時間と実労働時間の乖離と、その手当の関係については、本分科会において議論を重ねてまいりましたが、一定の手当、それも10万円以上という毎月まとまった手当を払っている事例がかなりあるということです。

 ただ、山川委員から御提起のあった点に即すと、クロス集計を行ったものの、十分な共通理解にならなかったのは、8時間以内でみなした事業場において特別の手当が多額に払われていて、8時間を超える長い時間のみなしだと時間外割増もあるので手当は少なくなるといった比例関係が、きれいに出ていないからだと思います。

 先ほど鈴木委員からの御指摘のような、処遇の点も含めて労使でよく話し合っている企業もあるので、みなし時間と手当の関係性がきれいに出る部分もありますが、必ずしもそういう整理に収まらない部分もあります。

 この制度全体が労働者保護にもとりかねないということではなく、処遇の点も含めて労使で話し合って、所定労働時間でみなすが、一定の手当は払っている事業場もあり、他方で、必ずしもそうでない事業場もあるのかもしれず、そうでない事業場もあるとしたら、そこにどのように対応していくべきか検討を要するというのが、山川委員の御提起なのではないかと感じた次第です。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 それでは、秋田委員、お待たせしました。

○秋田委員 時間も限られているので手短に申し上げますけれども、今、いろいろ具体的な御意見等が出てきているところでございます。そういうことをどんどん突き詰めていくと、かなり現場実態によって区々の問題があるのだろうと考えておりますので、以前、論議の中でも出ておりましたが、やはり現場労使の権限を強化して、それぞれ実態に合った活用のしやすい制度というのをつくっていくのが必要なのではないかなと考えております。

 それと、先ほど会社が目標を設定するとどんどん目標が増えていくというようなお話がありましたけれども、会社は一方的にそうやって増やしていくということではなくて、あくまで目標を会社が設定した場合も、本人のキャパシティを考慮してやっているというのが基本だと思います。このデータからではそれの中身までは読み取れませんので、あくまでそういうことではないかと考えております。

 ただ、このデータが示すように、今の各企業では目標面談等々を活用して、本人の意見も入れながらそういう制度をつくっている企業がかなり多いという実態もあります。それがまた一定の効果を上げているというのも事実だろうと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 それでは、鈴木委員と高松委員がお手をお挙げになっておりますので、大変恐縮ですけれども、簡潔にお願いしたいと思います。

○鈴木委員 ありがとうございます。

 まず、データとして8割の労働者が健康・福祉確保措置が十分であると回答されている点は、十分共通の認識としないといけないと思っております。そういう意味で、既存の裁量労働制についての健康・福祉確保措置のスキームは、基本的には維持すべきものと思っています。

 他方で、新たに対象業務等を広げるということについては、過重労働を助長するのではないかという御懸念を払拭していくということは必要だと思っています。

 そのため例えば、現行の指針では例示をされていまして、何らか措置することが望ましいという位置づけでありますが、対象等を拡大する場合には、企業実態を十分に考慮した上で、明確に法令上の要件とするということも検討に値すると考えます。

 その際、措置の例に関しましては、法令を超える医師の面接指導、あるいは深夜業務の制限、あるいは健康確保のために把握した時間が一定を超えた場合には、一旦その対象から外れて通常労働時間規制を適用するというように、実際に企業が利活用している措置内容を盛り込み、実効性の高い選択肢の幅をふやすということが重要ではないかと思っております。

 みなし時間と実時間のギャップの件で簡単に申し上げます。処遇のあり方というのは、制度移行時に労使が十分話し合った上で決めていると理解をしております。前にも申し上げましたが、裁量労働制の手当の支給のほかに、賞与の個人業績加算ですとか基本給のベースアップなど、さまざまな対応の仕方があります。また、制度の導入をきっかけに、休日を増やすこともあろうかと思います。こうした労働条件を総合的に検討されているというのが一般的だと思っております。そういう意味で、処遇をどうするかというのは、基本的には労使の話し合いに委ねられるべきテーマであり、何か手当だけにフォーカスをした議論というのは、労使の自由な発想による制度設計を阻害しかねないと思っております。

 私からは以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 それでは、高松委員、どうぞ。

○高松委員 ありがとうございます。簡潔に申し上げたいと思います。

 私のほうからは、労働時間と安全配慮義務とのかかわりについて少し御意見を申し上げたいと思っています。

 使用者は、裁量労働制のもとで働いている者を含め、すべての労働者に対して労働契約に付随する義務として安全配慮義務を負っています。そして、それぞれの労働者の労働時間をしっかりと把握することがその大きな要素の一つになっているのではないかと思っています。

 ただ、現行、裁量労働制の適用労働者については、資料の12ページにもありますとおり「適用把握指針」の適用外ということになってございます。こういった労働者の方は、なかなか厳格な労働時間管理になじまない特性があるということは十分理解をするのですが、やはり使用者には安全配慮義務があり、当該労働者についても心身の健康を確保する、過労死を防止するという大きな課題があるわけでございますから、そういう意味では、こういった労働者の方についても、「健康管理時間」として実労総時間の把握義務を使用者に課すようにすべきではないかと思っておりますし、可能であれば一定の把握義務について法文化を図るべきではないかと、このように申し上げたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 時間のない中、すみません。

 ぜひ事務局に教えていただきたいのですけれども、企画業務型裁量労働制を導入する際には、対象となる事業場において労使委員会を設置する必要があります。この労使委員会といっても、労使委員会の労側委員の指名が過半数組合による場合とそうではない場合がありまして、過半数労働組合がない事業場においては過半数代表者が労働者代表委員を決めることになります。しかし、この過半数代表者に関しては、JILPTの調査にありますように、その選出手続において不適切な事案が4割ぐらいあるという実態にあるわけです。この問題がございます。

 また、この労使委員会で決議をすれば「みなし時間」の設定ができるわけですが、現在「裁量労働制のみなし労働時間」と「実労働時間」の間にギャップが出ていまして、実労働時間の平均時間が12時間であるのに対して、みなし労働時間は8時間強というような調査結果が出ています。限界事例を考えてみたいのですが、例えば、法定労働時間でみなし労働時間を設定したにもかかわらず、実際の労働時間が1日12時間、13時間、14時間となっていて、しかも一切手当が払われてないというような事例については、監督行政としてはどういう指導をされているのでしょうか。教えていただきたいと思います。

 使用者には労使委員会で決議が行われた日から起算して6ヶ月以内ごとに1回、所定の様式で所轄労働基準監督署に、対象となる労働者の労働時間の状況を報告することが求められているわけですよね。選出手続きに問題があるままに過半数代表を選んでみなし労働時間を決定し、しかも、特別手当も何も払われていないというのであれば、これはブラック企業ではないですけれども、もう残業代を全然払わなくて処遇できてしまうというような、悪い事例を我々はいっぱい見ています。今日来られている事業者の方にはそんな方はいないと思いますけれども、そのような事例があったときにどのような監督指導をしているのかを教えてほしいと思います。

 鈴木委員より、企画業務型裁量労働制における手続きについては「煩雑だ」というご意見があり、また資料22ページのアンケートにおいても「手続きが煩雑である」とする事業場が一定割合存在しているとのことでした。この手続きについても、ぜひ事務局でデータをいただきたいと思います。定期報告が煩雑だということが一番多い意見だと思いますけれども、現状どんな実態にあるのかを把握する必要があると思います。使用者から労働基準監督署へきちんと報告がされているものなのか、また、手続き違反がなく、きちんと法令が遵守されているという状況にあるのかどうか。その辺りの実態を踏まえた上でないと、単に「煩雑であるとの意見が多い」という理由があるからといって拙速に手続規制の緩和を行うようなことはできません。関連するデータを提示いただきたいと思います。

 先ほども申し上げたように、労使委員会の決議をする主体である労使委員会の労働者代表委員は、任期を定めて選ばれる労働側の代表でありますけれども、「過半数労働組合がない事業場においては過半数代表者が指名する」とされています。

 この点については、平成16年の労働基準法改正により、それまであった労働者代表委員の選出手続きが変更となり、信任手続が外されてしまいました。もともと不適切な選出をされた過半数代表がいて、それが指名をする委員によって構成される委員会というものも考えられる訳です。そうしたケースを考えると、先ほどの信任手続が外されていることによって、「労働者代表委員は本当に労働者の正当な代表として決議の場に臨んでいると言えるのか」という疑念があるわけです。ですから、労働者代表委員の選出については平成16年の労働基準法改正前の手続きに戻すことを原則とし、各事業場において労働者の本当の民意を反映された決議が行われるということを担保していただきたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 幾つか事務局に対する要望や質問がありましたけれども、今、お答えいただける限度でお願いします。

○村山労働条件政策課長 みなし時間の設定に関する行政としての考え方については、集団指導等に用いている厚生労働省のパンフレットにおけるみなし時間についての記載の説明をもって、お答えにかえさせていただきます。

 「実際のみなし時間の水準などについては、法令で規定されておりませんが、割増賃金の節約だけのために短かめのみなし時間を定めることは制度の趣旨に反しております。このため、決議する際に、労使委員会の委員は、使用者側から評価制度、賃金制度に関する説明を十分に受けて対象業務の内容を理解した上で、みなし労働時間が適切な水準のものとなるよう留意して決議してください」ということです。行政としては、こうした姿勢で指導等を行っていることは御理解いただければと思います。

 また、具体的な事例等に関しては、持ち帰らせていただきたいと思います。

 以上でございます。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 それでは、山川委員、どうぞ。

○山川委員 先ほどの質問の趣旨は、資料No.4の1ページの「改訂成長戦略」を踏まえたものでして、これの3は、要するに「生産性向上と仕事と生活の調和、健康確保の視点に立って、対象範囲や手続きを見直し」、「その際、労働者が真に裁量を持って働くことができるよう、見直しを行う」と、2つの見直しをセットで議論する。先ほど鈴木委員から選択性といったような具体的な提案もございましたので、労使で知恵を出し合ってウイン・ウインのような議論がこの3についてできないかなという思いでの質問でした。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 すみません。議事の進行を自分で決めておいて、これだけ議論が活発になるとやはり誘惑を抑え切れないので、私もちょっとだけ質問させていただきたいのですが、先ほど具体的に、御社で裁量労働制をやっておられるとおっしゃっていた平岡委員にお伺いしたいのですが、企画裁量型の場合のいわば裁量というものの肝というか、要するに、ここが核だというのは、どこの点にあると見ればいいのか。

 すなわち、法令の要件ですと「業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしない」という業務だというのですけれども、それは当然のこととした上で、御社のいわば実務の観点から見たときに、裁量性というのは、まとめて一言で言えばこういうところだよというようなものがあれば、ぜひ教えていただきたいと思います。

○平岡委員 非常に難しい御質問をいただいたなと思うのですが、今、御指摘があったように、この法令に定められている使用者が具体的な指示をしないこととする業務というところが一番大切なところだと思っています。私どもの会社の例で申し上げますと、採用して何年かたつうちに、個別具体的な業務の指示を得ながら仕事をしていた者が、包括的な指示を受けて、その中で自分で企画・立案をして自分で仕事をしていく。上位上長のチェックを受けながらということになってきます。ただ、やはり会社に入りまして数年たちますと、ある程度そういったことができるようになる。あるいは後輩の指導をしながら、後輩と業務分担をしながら全体として業務を遂行できるようになる。そういう業務遂行としての自律性と申しますか、そういったことができる者については、基本的には業務の種類がどういうことであっても、ある程度裁量性を持っているとみなしたいと、我々としてはそのように思っています。

 お答えになりましたでしょうか。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 裁量労働制につきましては、今日はかなりいろいろ議論を深めることができたように思っております。

 なお、今日、いろいろ資料の御要望等もありましたので、それはまた事務局にお願いをしたいと思いますが、やはり一番のポイントは、裁量性というのをどうやって確保するのか、そこに今日の議論のポイントがあったと思いますので、今日のところは時間の関係もありますので、この辺でこのテーマについての議論は終わりとさせていただきたいと思いますが、なお議論を深めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、次の議題であります「フレックスタイム制の見直しについて」に移りたいと思います。

 これにつきまして、御意見あるいは御質問がありましたらお願いしたいと思います。

 それでは、まず、宮本委員、どうぞ。

○宮本委員 ありがとうございます。

 時間のない中で、簡潔に御意見を申し上げたいと思います。

 フレックスタイム制の清算期間についてでありますが、現行の「1カ月以内」となっている清算期間を延長した場合、現行の時間外割増賃金の支払い範囲を狭める可能性もあるのではないかという問題がありますし、それに加えて、業種にもよりますけれども、業務量の多い時期になると、その期間に集中的に労働時間が長くなるという危険性もあるのではないかと思っております。連合の中でもそのような意見が多く出されています。

 したがって、清算期間は現行の「1カ月以内」を維持することが妥当ではないかと思っております。資料の24ページに記載された論点を見ますと「労働者の働き方の柔軟性を高める選択肢を広げるよう」云々とされており、あたかも清算期間を延長することは労働者のニーズに応えるために検討するのだといった建付けになっているように感じられます。しかし、本当に労働者からそのようなニーズが出ているのでしょうか。

 この資料の29ページにあるフレックスタイム制適用労働者の制度に対する評価に関する調査結果では、実に81.9%の労働者が「このままでよい」と回答をしております。「見直すべき」と回答した15.1%の労働者においても、「清算期間を長くすべき」と答えた割合は、この資料から見ると約2割程度しかありません。このような調査結果から見ても、清算期間を延長する必要はないと私は考えております。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 それでは、鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 ありがとうございます。

 ニーズということに関して以前にも申し上げたところでございますが、同じ会社で共働きしているような夫婦が、担当を決めてお子さんの保育園の送り迎えなど育児を行っているケースが少なくありません。ある月は奥様が集中して仕事をしたいので、夫婦で話し合って旦那さんが主に育児を行って、翌月は今度は奥様が主に育児を行うというような、柔軟な対応が可能となるように、清算期間の延長が必要だというような声を聞いておるところでございます。

 資料4の27ページに両立に関する労働者の調査の御紹介がございました。その中で、利用したかった制度として「フレックスタイム制」を挙げる方が多くなっております。

 また、フレックスタイム制は、労働者御本人の御都合で始業・終業を変えられる仕組みであります。すなわち、ここにも書いてあります所定外労働の免除ですとか、始業・終業時刻の繰り上げ繰り下げは、この制度と同じ機能を持つわけであります。労働者一人一人のニーズに合った使い方ができるということが、このフレックスタイム制のニーズの高い一つの理由ではないかと思っております。

 また、フレックスタイム制の項目の右側4つ目に「子供の学期に合わせた勤務制度」というのがございますが、学校が春休み、夏休みあるいは冬休みには、保育所等の受け入れ体制の関係で勤務時間を短くしたいというようなニーズもあるのではないかと思っております。

 フレックスタイム制については、このままでよいする回答が8割ということでございますが、ただいま申し上げた潜在的なニーズがあるということを考えれば、この清算期間の延長は重要な課題だと思っております。

 それが1点でございます。

 先ほど労側から幾つか御懸念があがったところでございますが、まず、残業代ということで申し上げますと、毎月平均週40時間を超えるような残業がある働き方をされている方については、フレックスタイム制の清算期間が延長されたとしても、理論的には残業代は変わらないと理解しています。理解が違えば、後で事務局から御指摘をいただきたいと思っております。

 私どもが、メリハリのある働き方の選択肢を広げるために、この見直しの提案を申し上げていのは、月によっては実際の労働時間が週平均40時間を割るけれども、その前後の月で週40時間を超えて働くケースを想定しております。

 資料4の34ページに欠勤等による差し引きがある、なしのデータがございました。ここでこうした欠勤による差し引きがある企業は6割、労働者割合で7割となっております。こうした欠勤等の差し引きがある企業において現行の清算期間が1カ月の場合には、実際の労働時間が週平均40時間を下回る場合でも、会社に出てこないと賃金カットになってしまいますので、労働者としては、早く労働が終わっても作業のペースを落とすなどして、週平均40時間まで残ろうというようなインセンティブが働くおそれがあると思っております。

 ただ、清算期間が延長されれば、ある月は週平均40時間を割ったとしても賃金カットがなく、翌月に多少の時間外労働をした部分と相殺できるために、帰るときには帰り、働くときには働くという選択がより容易になるのではないかと思っております。

 繰り返して申し上げますが、重要なことは、実際に労働時間が週平均40時間を割るような月があったとしても、労働者がこれまでどおり平均週40時間まで働くのか、それとも早く帰ることを優先するのかというのは、本人の判断に委ねられているという点にあると思っております。

 例えば、1月は本当は週平均40時間よりも10時間短く帰れたのに、賃金カットを避けるために所定どおり勤務した。他方、2月は所定よりプラス10時間だったとします。仮に清算期間が2カ月になれば、1月と2月で相殺をして1月は早く帰ることを選択するというのが第1の選択。また、賃金カットを避けるために、従来どおり1月も所定労働時間まで働いた上で、2月に10時間分の残業代を得るというのが第2の選択ということであります。いずれを選択するのは本人の選択の問題ではないかと思っております。

 もちろん清算期間が余り長いと、ずっと短時間で勤務していたところ、仕事がたまりやすくなる弊害がでてくるかもしれません。労側委員からご指摘のございました点は傾聴に値するものであり、十分注意しないといけない点だと思っております。

そういう意味で、清算期間の長さを検討する際には、そういったことにも十分注意をする必要があると考えておりますが、私どもとしては、例えば、清算期間を1年延長するというようなことまでは求めていないという点は御理解をいただきたいと思っています。

 私からは以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 では、春木委員、どうぞ。

○春木委員 今ほどフレックスタイム制に対するニーズの話がありましたが、そのニーズに応えるということと清算期間の延長とがどのようにリンクをするのか、私自身いまいち理解することができません。資料27ページを見ていただくと、男女ともに、職場の子育て支援策として「フレックスタイム制度」に強いニーズを持っているにもかかわらず、実際にはそれほど利用できていない、という実態にあることが分かります。

 つまりは、フレックスタイム制度を利用したかったのだけれども、制度が導入されていないがゆえに利用できなかった、という状態にあるのかなと思います。

 こうした点は、資料の2526ページのデータのとおり、フレックスタイム制の導入状況が企業割合で5.0%、労働者割合でも7.9%という状況であるように、いまだフレックスタイム制の導入が十分には進んでいないということからも見えるところと思っています。

 加えて、資料の31ページにはフレックスタイム制を導入しない理由が書かれており、そこでは「適した業務・職種がなく、必要性がないから」という理由が最多であるものの、「取引先・顧客に迷惑をかけるおそれがあるから」や「業務遂行の効率性、生産性が低下するおそれがあるから」といった理由も相当に多く挙げられているところです。

 私も、このフレックスタイム制というのは、仕事と育児の両立の面からも極めて有効な制度だと思っていますし、こういったものを子育て世代の方々も積極的に活用できるような状況はこれからの社会にふさわしいのだろうと思っています。

 そうであるならば、やはり政府・行政として、まずはこのフレックスタイム制に関する好事例を積極的に紹介したり、あるいは、各企業が制度の導入に当たってさまざまな疑念や問題点を持っているのであれば、それを具体的に払拭できるような指導を行ったりするなど、フレックスタイム制の活用を積極的に後押ししていくような手だてを行うことこそが必要であると考えます。先ほどの裁量労働制ではないですけれども、制度見直し論議を行うのではなく、制度を適切に導入し、適切に運用されるような手立てを講じることを先行して進めていくべきではないか、と思います。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 では、池田委員、どうぞ。

○池田委員 今までも同じような意見が出ておりますが、31ページにあるように、「適した業務・職種がなく、必要性がないから」という回答が約6割と多いのですが、反対に残りの4割は、必要性はあっても運用面に問題があり、導入していないという見方もできます。

 商工会議所の委員会でも、清算期間を3カ月から6カ月ぐらいにという意見が多く出ています。いろいろなプロジェクトや経理部門等でも繁閑のバランスがとれますし、育児・介護を抱えている方にとっても、清算期間を延長することによって、清算期間全体の労働時間を削減できるだろうということであります。

 また、年休の取得みなしの特例でありますけれども、商工会議所の意見としては、管理が煩雑になるということで導入する必要がないという意見が大勢であります。この特例は年次有給休暇の時間単位付与制度を導入していることが前提になると思われますが、現状では導入企業は1割程度と少ないわけでありまして、特例の創設については、慎重な検討と、企業の負担を増やすようなことがないようにしていただきたいというのが大勢の意見であります。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 フレックスタイム制でありますけれども、これは今まで論議してきた労働時間の柔軟化に関する論点の中では少し性格が違っているのではないかという理解をしております。

 フレックスタイム制は1967年に西ドイツで導入されたのが最初だと言われており、我が国には20年遅れて1987年の労働基準法改正で導入された制度です。もともと発祥のドイツでは既に企業の50%ぐらいが導入しているということも聞いております。さらに、使用者側がおっしゃっているように、この制度は労働者が自ら始終業の時刻を選べるということでありますので、ワーク・ライフ・バランスにとっても有益な働き方だと思いますし、始終業を自分で選ぶということは、必然的に始終業の時間を必ず把握しないと使用者側も賃金の清算ができないので、いわゆる不払い残業が発生しにくいという副作用もあると私は思っております。そういった意味で、非常に今まで論議してきた「新たな労働時間制度の創設」や「裁量労働制の新たな枠組み」とは少し違う立ち位置で私どもとしてはこれを捉えた上で議論をさせていただきたいと思っております。

 さて、使用者側からフレックスタイム制のメリットを本当にたくさんおっしゃっていただいたのですけれども、そのようなメリットを持っている制度が、なぜこんなに低い適用率なのだろうという疑問があります。今ほど春木委員が主張した点と同じですけれども、これだけメリットのある良い制度であれば、経済団体が自ら率先して会員企業にもっと積極的に紹介して導入を進めたらどうかと思います。現在、清算期間の延長の論議が出ておりますが、その前にもっとやるべきことがあるのではないかなと私は思います。

 年休の取得みなしの特例の論点においては「『清算期間における実際の労働時間に不足があった場合』にどうするのか、そのような事態に対応するには清算期間を延ばせ」という論議があったわけです。今回の資料32ページに、まさしくフレックスタイムを導入した昭和63年の行政通達が記載されております。

これはフレックスタイム制において、実際に労働した時間が清算期間において総労働時間として定められた時間に比べて過不足が生じた場合、それを次の清算期間に繰り越すことの可否について書いてありまして、1.に書いてあるのが清算期間における実際の労働時間に過剰があった場合であり、この場合にはその期間の賃金支払日に過剰分も含めて支払う必要があります。これは労働基準法第24条が規定する賃金支払いの原則に従って払えということですが、一方、2.に書いてあるように清算期間における実際の労働時間に不足があった場合には、総労働時間として定められた時間分の賃金はその期間の賃金支払日に支払った上で、それに達しない時間分については次の清算期間中の総労働時間に上積みして労働させたとしても労働基準法第24条の違反には問わない、ということになっております。

 不足した分については、例えば10時間不足すれば、翌月10時間余分に働けば、その不足分の清算は可能という制度が現状でもあるわけですから、なぜわざわざ清算期間を延ばす必要があるのだろうと思います。つまり、この通達を活用すれば、現状でもうまく運用ができるのではないかと推測されます。残念ながら、この通達自体が余りPRされていないと私は思いますので、厚生労働省としてもぜひ指導も含めて、こういう運用もあるのだということをまずは徹底していただいてから論議をするべきではないかなと思います。

 このように考えると、今回「年次有給休暇の取得みなしの特例」ということも論点として挙げられているのですけれども、そもそも「年次有給休暇というのは一体何なのか」ということをやはりよく押さえないといけないのではないかなと思います。年次有給休暇というのは、労働者の健康で文化的な生活の実現に資することを目的としていますので、労働時間が不足した場合の穴埋めに自分の持っている年次有給休暇を充てて賃金の清算として使うということは、本来の年次有給休暇の目的からはやや逸脱するのではないかなと思っております。したがって、年休の取得みなしの特例については慎重な検討が必要ではないかと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 それでは、鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 ありがとうございます。

 ただいま、通達の活用をすればいいのではないかというご指摘を受けました。通達を使って対応できる企業はごく一部あると思うのですが、通達による対応では、賃金が過払状態で翌月に清算という形にならない場合、つまり、総枠よりも労働時間が過剰で翌月は不足しているという場合には使えないという点でございます。しかも、これは翌月までという理解だと思いますので、例えば、3カ月というようなタームではやはり扱えないということで、この通達を活用した利用が広がらない理由になっているのではないか。そういう意味では、制度そのものの見直しも含めて検討することが必要ではないかという問題意識を持っております。

○岩村分科会長 それでは、宮地委員、どうぞ。

○宮地委員 ありがとうございます。

 フレックスタイム制を導入している企業として、意見を述べさせていただきたいと思います。

 先ほど、御意見があったように、業務の繁忙期間が一時期に集中し、一部の月の労働時間が長くなってしまうという現状は存在しております。業務の繁忙期間は、各企業においても、各企業の部門によっても異なると思いますが、フレックスタイム制の勤務において、1カ月の中で繁忙をコントロールできない業務に従事する場合があることを実感しております。

 フレックスタイム制の実態を一例として述べさせていただきましたが、フレックスタイム制の清算期間を数カ月にすることで、長時間となった月の前だけでなく、後ろでも短縮勤務が可能となり、それにより繁閑にフレキシブルに対応した労働時間を設定し直すということにつながると思われます。清算期間に幅を持つことで、年間の労働時間を抑制するということも可能になり、長時間の労働の抑制にもつながっていくと、感じます。

 あわせてワーク・ライフ・バランスの観点から先ほど鈴木委員からのご意見もございましたが、子供の学期に合わせた勤務制度のニーズがあります。例えば夏休みや冬休みの期間は約1カ月ぐらいの単位です。フレックスタイム制の清算期間が数ヶ月であれば、その期間に短く勤務し、前後の月の勤務を長くして調整することで、育児期間に合わせた勤務も可能になってくるのではないかと思われます。ワークライフバランスの観点からもフレックスタイム制の清算期間を長くするというのは有益であると感じております。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 それでは、田中委員、どうぞ。

○田中委員 ありがとうございます。

 今、フレックスタイム制の清算期間の話が出ていますけれども、清算期間を長くすることがフレキシビリティーにつながるかどうかというのが一つの論点だと思います。

 先ほど来、育児とのワーク・ライフ・バランスの話が出ていますが、今後、我々がよく見ていかなければいけないのは介護との両立でして、育児の場合はある一定の学校や保育園にいっている時間がありますけれども、介護の場合はデイサービスが毎日あるわけではない。日によって、抜けなければならない時間帯に違いがあったり、あるいは要介護の方の体調によっても同様の時間帯の違い等が、育児よりもかなり幅が広くあると私自身は思っております。

 そのときに、今のフレックスタイム制度の1カ月の清算期間を何かしらで延ばすことによって、適用できる人の幅がふえるのであれば、これは十分に検討の余地のある制度ではないかと私自身は考えております。それが1つです。

 有給休暇への振りかえについては、先ほど新谷委員からも池田委員からも慎重にという御意見がありましたが、私自身もこれは慎重に検討すべきと考えております。実際に育児・介護に当たっている人たちが有給休暇を振替られる分だけ残しているのか。残しているには残している理由が大体おありになりますので、それをフレックスの足りないところに入れていくのがよいのか。報酬を減らさずに働くということと本当に同義になるのか。

 ちょっと短絡的と言ったら申しわけないのですけれども、有給休暇の振りかえというのは、もう少しよく実態を把握した上で、あるいはそれの及ぼす効果を把握した上で議論すべきではないか。と思います。特に御自身の疾病によってフレックスタイムがマイナスになる方とのバランスなど、従業員の中の公平、不公平を考えた上でも、実務的な部分も含めまして議論をすべきではないかなと考えております。

 一点だけ質問なのですけれども、4月に資料ご提示いただいたときにも疑問に思ったのですが、フレックスタイムのアンケートをとられている中で、先ほど来、皆さんが御指摘いただいている29ページの表の「見直すべき」と回答されたケースの3番の「出退勤管理を緩やかにすべき」というのはどういう趣旨でしょうか。

 出退勤管理は、自己申告プラス現認か、客観的な労働時間管理というのが法律で義務づけられているわけでして、その上で労使ともに健康管理について議論を重ねているところだと思うのですけれども、このアンケートで「出退勤管理を緩やかにすべき」というのが「清算期間を長くすべき」よりも高いポイントで回答されていることがどういう意味なのかずっと気になっていました。今日でなくても結構ですので、お答えいただければありがたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 いろいろ貴重な御指摘をありがとうございました。

 それでは、事務局でお願いします。

○村山労働条件政策課長 手短にお答えいたします。

11ページのグラフの調査も含む一連の調査結果については、マスコミでも報道がなされました。通常の労働時間制度等と裁量労働制やフレックスタイム制の出退勤管理を比較するための調査でしたが、「一律の出退勤時刻がある」とした労働者は、フレックスタイム制が一番低いながらも、39.3%となり、その上で29ページの「出退勤管理を緩やかにすべき」の21.2%という数字になっております。本日、御議論になった2つの制度は、いずれも、自律的に働けるという点が共通のキーワードと思いますが、それが実態としてどうなのかは、山川委員が御指摘になったように、今後の大きな論点につながるところと思います。貴重な御指摘をありがとうございました。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 ほかにはよろしいでしょうか。 それでは、本日は大変充実した議論をしていただきまして、裁量労働制とフレックスタイム制の2つにつきまして、非常に議論を深めることができたと思います。

 そこで、本分科会におきましては、資料3とあわせて御覧いただければと思うのですが、9月以降「新たな労働時間制度について」が資料3の4、「長時間労働抑制策・年次有給休暇の取得促進策について」というのが資料3の1、今日御議論いただきましたけれども「裁量労働制の新たな枠組みについて」、「フレックスタイム制の見直し」が資料3の2と3ということになりますが、それについて御議論をいただいてまいりました。

 この間、委員の皆様から御質問、あるいは資料等の御要望が多々ございました。既に事務局のほうでお答えいただいたものもありますけれども、後日ということになったものもございますので、事務局で、御要望のあった資料、あるいは御質問について調査を進めていただいて、可能なものについては、次回、お出しいただければと思います。

 また、次回でございますけれども、資料3で「その他」ということで項目を置いております。これまで御意見がありました事項で、まだこの分科会で御議論いただいていないものにつきまして、議題としたいと考えております。

 それでは、最後に、事務局から次回の日程についての説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○古瀬調査官 次回の労働条件分科会の日程、場所につきましては、追って御連絡させていただきます。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 議事録の署名でございますけれども、労働者代表につきましては八野委員に、使用者代表につきましては鈴木委員に、それぞれお願いいたします。

 本日の分科会はこれで終了とさせていただきます。ありがとうございました。


(了)

ホーム > 政策について > 審議会・研究会等 > 労働政策審議会(労働条件分科会) > 第117回労働政策審議会労働条件分科会 議事録(2014年10月8日)

ページの先頭へ戻る