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2013年3月13日 第3回 職場における腰痛予防対策指針の改訂及びその普及に関する検討会議事録

○日時

平成25年3月13日
14:00~16:00


○場所

厚生労働省16階労働基準局第1、2会議室(千代田区霞ヶ関1-2-2)


○議題

(1)改訂指針案について検討
(2)腰痛予防対策指針の普及方策について

○議事

○調査官
第3回職場における腰痛予防対策指針の改訂及びその普及に関する検討会を開催します。
本日は、浦野委員が交通事情のため遅れられるということですが、それ以外の皆様は全員ご参加です。オブザーバーとして、社会援護局、老健局からも来る予定です。
資料の確認です。資料2は、第1回に引き続き、第2回のあとにおいても、作業チームとして、甲田委員、岩切委員、北原委員のお三方に指針の改訂案の修正、加筆していただいたものです。四角で囲った中が、腰痛予防対策指針の本文、そのあとに続く部分が、その解説です。もともとの案からのものを一重線、二重線で示していますが、二重線のほうが前回以降の修正をした部分です。47ページから後ろが資料3「各委員からの意見と対応」です。対応欄については、本日お示ししている、たたき台での対応状況を書いています。
机上配布の資料ですが、第1回の資料に付けていますが、「介護作業者の腰痛予防対策チェックリスト」をお配りしています。資料は以上です。資料の不足、落丁等がありましたら、ご連絡をお願いします。以降の進行は座長にお願いします。
○甲田座長
安衛研の甲田です。よろしくお願いします。本日は3回目で、大分、形が見えてきたというか、資料も出てきていますので、引き続きの議論になると思いますが、よろしくお願いします。
腰痛予防指針の具体的改訂内容の検討についてですが、前回、そこまで出来た案をご提示しまして、委員からご意見を頂きました。それを踏まえて、前回宿題にしていた部分も、今回はある程度提案できると思いますので、よろしくお願いします。
今回も前回と同じように、検討時間は2時間で、非常に限られています。前回同様、提案者から変更点、骨子等を説明しまして、それに対して意見を頂く形で進行したいと思います。よろしくご協力のほど、お願いいたします。3ページ、1「はじめに」です。前回からの変更事項は二重線の所ですが、下のほうですが、皆様にご提案したように、重量物の取扱い等の5つの作業がありました。今回は、その作業を少し変えさせていただきまして、重量物の取扱いは変わらないのですが、2番目に「立ち作業」、3番目に「座り作業」、4番目に「福祉、医療等における介護、看護作業」ということで、広く前回いろいろと議論をして、ご意見を頂いたのですが、今回の指針案では「医療」という言葉を入れようということで、こういう形で書いています。
それと、解説にいきまして、「職場の腰痛」ということで、「本指針における腰痛」の最後の所で、「これらの部位の痛みやしびれ等も含むものとする」ということで、加筆しています。
次のページです。これも前回大分議論したところで、今回の我々の提案としては、重量物の取扱いに関して、この指針では人を含むのか含まないのかが、非常に問題になっていました。今回の提案は、人を含むものと分ける形で、重量物の取扱いというのは、そこに書いてあるように、切ってしまいます。ロとして、「人力による人を抱える作業」を独立させていただくということです。
この理由としては、人ですので、重量物とするには問題があるというのはもちろんあるのですが、一番大きな理由は、重量物と違って、重さを分けることができないということです。60?のものを半分にすることができないことです。それから、抱きかかえるという特殊な行動をすることです。さらに、人ですので、動くことによって重心が移動することです。重量物の取扱いはいろいろな形で工夫ができるのですが、荷物でしたら荷姿を変える、重さを表示する等ができるのですが、人の場合にはそれができないということで、ロとして独立させています。最終的にそれに対応する形で、別紙の「作業」の所も、分けて解説としています。ですから、そこがひとつ違うところです。
それから、下から5行目のホ「振動等に関して」です。これも表現として、車両系建設機械の操作、運転により、腰部及び全身に、著しく粗大な振動、あるいは長時間の車両運転により、腰部及び全身に振動を受けること」と書き改めました。
年齢等に関する記述も、括弧書きで、「年齢とともに、腰痛による欠勤、痛み持続が増加する職種と、若年者に腰痛の訴えが多い職種とがある。性差に関しても、一般に女性は男性よりも筋肉量が少なく、体重も軽いことから、作業負担が大きくなる」ということで、年齢と性別の違いを明記させていただきました。
それから、「労働衛生管理」の所ですが、基本的に余り変えていないのですが、主語が非常に分かりづらいということで、「事業者」という表現で、誰がすべきなのかを整理させていただきました。「はじめに」についての、前回からの変更点は以上です。
これに関して、何かご意見、ご質問はございますか。
○本村委員
4ページの重量物の取扱いで、人力による人の抱え上げ作業と分けていただいたのは、非常に嬉しいのですが、抱き抱えることは介護者の腰痛の原因にもなるし、介護される側も不安定になるということで、「利用者の安全、安心な介護を行う観点から」というような表現にしていただいたほうがよろしいかなと思いました。
○甲田座長
付け加えるという形でよろしいでしょうか。ここで表現したのは、飽くまでも取扱いの方法が全然違うということですので、もう少しいい言葉を選びたいと思います。
いかがでしょうか。ここは「はじめに」という前置きなので、また何かあればあとで言っていただければと思いますが、先に進めてよろしいでしょうか。
次に「作業管理」になります。ここは岩切委員からお願いいたします。
○岩切委員
6ページの上からいきますと、既存の指針では「機械化」と「省力化」という言葉が使われているのですが、今回は「省力化」に統一しています。
「福祉用具」という言葉については、前回まで「補助器具」と使っていたのですが、「福祉用具(機器や道具)」と書き換えています。これは本村委員からのご意見を参考にさせていただきました。
○本村委員
福祉用具法に定義がされています。
○岩切委員
(2)のロに「時間」と書いていますが、「不自然な姿勢をとる頻度と時間」というように、「時間」を加えています。次に7ページです。(6)の部分に「作業標準」と書いています。前回の提案では、(1)から(5)まで、つまり「自動化、省力化」から、「組織体制」までの内容を含めて、作業標準を作ることを提案させていただきましたが、実際にこの場所でいいのかという議論がありました。作業標準を作るには、もう少し前の段階で、例えば(3)のあとぐらいで、作業標準を作れるのではないかという議論もありまして、委員の皆様からご意見を頂ければと思います。
解説の部分に移ります。(1)「自動化・省力化」では、「省力化とは、機械化や軽量化を含むこと」を加えています。その下の「補助器具とは、機器や道具のことである」と書いてある部分は、「福祉用具」に置き換えましたので、削除して下さい。
次に8ページです。上のホの大部分を削って、短くまとめています。
9ページの(5)「組織体制」を大きく変えています。ロ「複数人での作業は加重が分散されるため1人当たりの加重は軽減されるが、作業をする者同士の身長差や取り扱う物の重心位置、作業姿勢等により、腰部負担が大きくなることもある。複数人で作業をする場合は、同様の体格の者同士を組ませ、取り扱う物の重心位置を考慮した人員配置とし、不自然な姿勢をとらせないようにする」。この部分を書き加えさせていただきました。以上です。
○甲田座長
いかがでしょうか。
○北原委員
岩切委員に伝え忘れていたところがありました。7ページの(5)のロの「人員配置」の所に、「体格」、健康状態」を加えてもらっているのですが、「労働者の腰痛の有無」が要ると思います。腰痛のある人を勘案しての人員配置という意味で、「人員配置は労働者の性別」の「性別」の前に、「腰痛の有無及び程度」が要るのではないでしょうか。
それと、障害がある人、何らかの疾患のある人、「健康状態」に含まれるのかもしれませんが、「障害」という言葉を追加してはどうかと思いました。それを言い忘れていました。
○甲田座長
今の点でいうと、「健康状態」を包括的に捉えると思いますが、障害は入っておりませんが。
○北原委員
腰痛の指針なので、腰痛のある人に対しての配慮をはっきり示すほうがいいのと思ったので。
○甲田座長
あとのほうでいうと、「健康管理」の所では出てくることは出てきます。
○岩切委員
腰痛の有無は「健康状態」に入れたつもりなのですが、強調したいのであれば、解説の部分で明確に書くという手もあるかと思います。
○北原委員
そうですね。
○甲田座長
萩尾委員にお伺いしますが、実際に施設等にいらっしゃると思うのですが、そういう人に対する配慮というか、組織体制、又はシフトの組み方についてはいかがでしょうか。理想は、みんな元気であればいいということなのですが。
○萩尾委員
一時的にでも腰痛を起こす職員が出た場合は、必ずシフトから外す、軽介助にするといった配慮はしなければなりません。その配慮は絶対に要るということです。
「健康状態」というと範囲が広いので、解説に入れたほうが使う側としては分かりやすいと思います。
○岩切委員
「作業標準」の位置はどういたしましょうか。
○甲田座長
いかにも取って付けたような位置なので、基本的にはもう少し上に上げたほうがいいと思います。上というのは、先ほどの岩切委員の話ですと、(3)の下ということだったのですが、(3)の上でもいいのかなという気もします。
○神代委員
私も作業標準の記載位置は上のほうが良いと思います。その場合に「組織」も一緒に上に記載したほうがいいと思います。「組織」「作業標準」と記載され、その後に「勤務形態」「服装」の順に。。
○甲田座長
そうすると、「保護具」などは最後のほうがいいということですね。
○神代委員
はい。
○甲田座長
いかがですか。
○岩切委員
つまり、(1)「自動化、省力化」、(2)「作業姿勢、動作」、(3)「組織体制」、(4)「作業標準」、(5)「休憩、勤務形態」ときて、最後に「靴や服装」という並びになりますか。
○甲田座長
そういう形で検討して下さい。
○岩切委員
分かりました。
○甲田座長
ほかに何かございますでしょうか。
○本村委員
(5)「組織体制」のロの「複数人での作業」についてですが、物を対象にした書き方のような気がするのですが、人を介護する場合には、少し工夫したほうがいいのではないかと思うのです。
○甲田座長
ここの最初の所でしょうか。
○本村委員
人の介護もこれで読むのでしょうか。
○岩切委員
おっしゃられたように、ここは基本的に物を対象とした書き方になっています。人のことも加味して、表現を考えて書いたほうがいいということですね。
○本村委員
はい。介護施設などでは、人が足りないから急いで人力でやって、腰痛になるという例が多いようです。ゆとりのある介護をするためには、ある程度の人員配置をしないと、リフトは動作がゆっくりしているわけですから、人の配置がないと使いにくいのです。だから、そういった点をここに書けないかどうかという気がしているのです。
○甲田座長
各論のほうではまずいですか。
○本村委員
どこかに書いていただければいいと思います。
○甲田座長
作業別の所で、介護、看護の所があるので、そこでは表現に配慮させていただいてと。言われればそうなのですが、複数で対応するのか、どういう表現がいいのか思い浮かばないのですが。
○北原委員
9ページの(6)「作業標準」のイですが、「作業標準の策定」の所に作業時間は入れなくてもいいのですか。すなわち、標準というのは標準作業方法と標準時間の2つの柱で構成されているので。
○岩切委員
入れなければいけないと思います。
○北原委員
作業標準に関して、ここでは入れるべきポイントを示して、具体的には各論で見てもらう形になると思います。この文章そのものはもう少し検討したほうがいいと思います。
○甲田座長
よろしいですか。また何かありましたら、付け加えてご発言を頂きたいと思います。
引き続き3番目の「作業環境管理」にいきます。余り多くのご意見は頂いていないのですが、1つあるのが5番目の振動の表現です。これは「はじめに」の振動の表現と、基本的には同じような表現にさせていただいています。ですから、「車両系建設機械の操作、運転等により、腰部全身に著しく粗大な振動、あるいは長時間の車両運転により、腰部及び全身に振動を受ける場合」と表記させていただいています。基本的に、この部分の変更点はそこだけということで、解説も、表現を統一させていただきました。
○北原委員
「腰部及び全身に振動」ということですが、細かくいうと、全身の中に腰部は入ると思うのです。「腰部及び全身」というと、腰部と全身が分かれているような感じがしました。全身の振動によって腰に負担がかかるという意味だと思うので、「全身」だけでもいいのではと思ったのですが。
○甲田座長
「腰部」を外して、「全身」だけにしてしまうと、全身振動という話になって、腰部が分かりづらくなるので、苦肉の策ではないですが、そのような形でこういう表現になっているのです。
○北原委員
確かに「全身振動」とだけ書くと、腰との関係がわかりにくくなるかもしれませんが。
○甲田座長
これは割と特殊な表現ではなくて、いろいろと出てくる表現なので、そのような表現にさせていただきました。
○北原委員
はい。
○甲田座長
提案としては、こういう形で提案させていただくことにしたいと思います。
それでは、健康管理についてもご意見を頂きたいので、そちらに移ります。健康管理に関しては12ページから本文があります。前回ご提案させていただいたように、健康診断等に関しては、腰部のX線と運動機能検査等の扱いに関しては、「医師が必要があった場合」という形にしています。
ハ「事後措置」に関してですが、基本的にはそこにあるように、「事業者が医師から意見を聴取して、健康保持する必要があると認めたときには、作業方法、作業時間の短縮等、就労上の措置」、メインとしては就労上の措置に関しての事後措置を行いましょうということです。
付けくわえたのは、労働者の日常生活等に関するところです。腰痛というのは、就労上の要因で発症するわけですが、それ以外の日常生活の要因でも、発症、悪化することがよく知られています。ですから、労働者に対しては、日常生活で腰痛にならない知恵が必要になってくるだろうということで、それを「事後措置」に書くかどうかです。ここは議論のあるところでしょうから、書くか書かないか迷ったのですが、ご意見を頂きたいということで、一応書かせていただきました。
読みますと、「睡眠改善、保温対策、運動習慣の獲得、禁煙、健康的なストレスコントロール等の、日常生活における腰痛予防に効果的であると考えられる内容を助言することも重要である」という書き方をさせていただいています。これを入れるかどうかです。前回の指針には入っておりません。
「腰痛予防体操」です。腰痛予防体操に関しては、基本的には前回お話をしたように、ストレッチングを行うことにしようということで、その時期も作業前ではなくて、「適宜できるような対応をしてください」という形に書き換えています。具体的なストレッチの内容に関しては、解説で書いています。
付け加えた項目としては、「復職支援」です。腰痛の場合は、ご存じのとおり再発の可能性がかなりあります。再発の可能性がある場合には、腰痛からリカバリーして、休業していた人が職場に戻ったときに、いろいろな腰痛になる原因が職場にあるときには、かなり配慮が必要だということがあります。ここでは、「腰痛は再発する可能性が高いため、休業者等が復職する場合には、事業者は産業医等の意見を十分に尊重し、腰痛の発生に関与する重労働の取扱いや作業方法等の改善、作業時間の短縮、就労上の必要な措置を講ずること」という形で、復職の支援も、「健診の事後措置」とは別に書かせていただいています。ただ、表現として「復職支援」が適切がどうかは、ご意見を頂きたいと思います。最近、メンタルヘルスでは復職支援は重要な行動になっているのですが、「復職支援」というのは表現としては強いかなとも思いますので、そこを「就労の復帰」とか、そのような形にしてもいいのかもしれません。基本的には、そのような形で考えています。
解説にいきます。「腰痛の健康診断の目的」ということで、これも前回よりはかなり簡素化しています。「健康診断の目的としては、腰痛の早期発見と適正な事後措置というものにおいて、もう一度書き直しております。この健康診断の結果というのは、「日頃の安全生活動とあいまって、腰痛予防対策に活用すること。具体的には、職場で腰痛の発生に大きく関与する要因を洗い出し、それらのリスク要因を軽減させ、腰痛の発生予防を防ぐことも重要である」、これはかなり原則的なことなのですが、このようなものを書かせていただいています。
対象者に関しては前回と同じなのですが、加わったのは、介護だけではなく「看護も加えています。
もう少し下にいきます。定期健康診断等の記述で、これも内容的には同じなのですが、「腰痛のX線検査、運動機能検査は、医師が必要と認めた場合に行いましょう」という書き方をしています。
次のページです。「腰痛予防体操」ですが、ここは解説ですので細かく記載しています。ここで基本的に提案しているのは、腰痛予防体操はストレッチの履行ということですので、ストレッチングです。表現は、「ストレッチ」「ストレッチ体操」など、いろいろあるのですが、いろいろ使われても具合が悪いということで、今回のここでは「ストレッチング」という表現にしています。「ストレッチングを主体とするものが望ましい」としています。それ以下は、ストレッチングはこのようにしてくださいという意味合いの記述をしています。
読みますと、「ストレッチングは筋肉を伸ばした状態で静止する静的ストレッチングと、反動や動きを伴う動的ストレッチングに分けられるが、一般的なストレッチングというのは静的ストレッチングを指し、静的なストレッチングは筋肉への負担が少なく、安全に筋疲労回復、柔軟性、リラクゼーションを高めることができるため、職場で行う腰痛予防体操としては推奨される」。
「効果的な静的ストレッチングを行うポイント」は6つ書いています。「息を止めずに、ゆっくりと吐きながら伸ばしていく」「反動、弾みは付けない」「伸ばす筋肉を意識する」「張りを感じるが痛みのない程度まで伸ばす」「20~30秒程度伸ばす」「筋肉を戻すときにはゆっくり、じわじわ戻っていることを意識する」「1度のストレッチングで1回から3回ほど伸ばす」としています。さらに、「ただし、急性の腰痛で痛みなどがある場合、又は回復期で痛みなどが残っている場合というのは、ストレッチングを実施するかどうかは、医師とよく相談してください」という形で、注意書きを付けています。過不足があるかご意見を頂きたいのですが、こういうものを基本として、ストレッチをしてくださいとしています。
これが一般的なストレッチングの意味合いになりますので、あとはどのようなストレッチングかという話になってくると思いますので、それに関しては、「職場で適宜ストレッチングを実施するには、床、地面に横になるのではなく、作業空間、机、椅子などを活用するなど、工夫をしてください」。「ここではその1例を紹介する」ということで、1回目に資料としてお配りしたものをコピーしたのですが、19ページから、介護のときのストレッチングの例として付けたものを使わせていただきました。この適否等もご意見を頂いて、最終的にはもう少し絞るのか、もう少し解説を付けるかして、いろいろなストレッチングがあるわけですから、職場で選べる形にできればなと考えています。
3「復職の支援」です。これは先ほどのことがありますので、一応こういう形で解説をしています。基本的には同じような内容になってきますが、ここでは再発の可能性の高い疾病であることを理由に、腰痛に対する日常生活等での、腰痛を悪化させない対応策を考えたらいいのではないかということで、健康管理の中に入れています。
それと、前回議論がありましたように、腰痛の健康診断表、個人表等に関して、少し手を入れています。15、16ページの健康診断の問診表に関しては、基本的には手を入れていないのですが、17、18ページの個人表に関しては、前回あったものに少し手を入れています。真ん中ですが、元の表では人の絵が前と後ろにあったのですが、あれと同じものを使おうと思っていますが、貼り忘れました。
基本的には、検査としては脊柱の検査、姿勢の異常、脊柱の可動性、疼痛、筋の緊張、圧痛という形で、筋肉も含めての脊柱等の検査をする。
2番目として、神経学的な検査です。緊張兆候、深部の腱反射、下部の知覚障害、筋力等筋萎縮という形で、これらは本文に載っているものですので、一応こういう形で記載しています。それから、脊柱機能検査、フラウス・ウェーバーテストの所見です。
4番目として、「その他、医師が必要と認める検査」の所見欄、さらには「「総合所見欄」という形で設けています。これは飽くまでも例示ですので、これを基に、当該の産業医ないし健診機関の医師等が、事業所と相談しながらオリジナルのものを作ってもらえればということで、余り落とすことなく載せたというのが実情です。長くなりましたが、「健康管理」の提案は以上です。いかがでしょうか。
○北原委員
12ページのレントゲン検査ですが最近、レントゲンを撮っても腰痛の原因は分からないので、いきなりMRIなどを行うドクターもいると聞いています。「レントゲン検査」ではなくて、「画像診断」「画像検査」という言葉のほうが、もう少し広く含まれると思います。
また、復職支援に関しても、私は書くべきだと思っているのですが、実際に産業医をしていて思うのは、腰痛から回復していくときに、やっていけるかという不安が大きく、いいところまで回復できているのだけれども、最後の1歩が踏み出せずに、ストレスで痛みが遷延することもよく見受けられるので、そういったストレスの対策として、復帰時の不安を和らげることもあったほうがいいと思います。介護・看護作業の各論では少し触れてはいるのですが。
○甲田座長
「復職時の不安の解消」とか、どこかに表現として挿入すればよろしいですか。
○北原委員
そうですね。
○神代委員
私も北原委員の意見を指示します。椎間板ヘルニアなどはX線での診断に困難が生じる場合も多いので、「画像」と書いたほうがいいと思います。
○甲田座長
そうですね、分かりました。
○神代委員
添付されている問診票に「参考」と書かれていますから、言わずもがなの世界かもしれませんが、こういう指針の中に示されると、皆さんはこれが絶対だと見てしまうので、「問診表の例」「個人表の例」と、しつこくても書いたほうがよいような気がします。
○甲田座長
確かにおっしゃるとおりです。実際に事業所からすると、何か例はないかということで、それを使ってしまうことが多いのかもしれません。
○萩尾委員
13ページの「対象者の目安」で、3ページの指針の最初の所に、「福祉、医療等における介護、看護作業」と換えたので、同じということでいいですか。
○甲田座長
そうですね。これは先ほどの話からいくと、整合性を持たせて変えろということですね。
○北原委員
腰痛予防体操は絵で見るほうが分かりやすくて、文章はなかなか読まないので、もう少し簡潔にして、絵をメインにしたほうが、使いやすいのではと思いました。ストレッチングの文章は、必要なことが全部書かれているとは思うのですが。
○甲田座長
工夫をさせていただければと思います。
○北原委員
絵の前に、「行うポイント」を書くのはどうでしょうか。
○甲田座長
そうですね。確かに、「効果的なストレッチングを行うポイントは」というのは、絵の前にしたほうがいいですね。よろしいでしょうか。
次にいきます。岩切委員にご説明をお願いします。
○岩切委員
23ページです。指針の本文では、?「腰痛の発生状況及び原因」、?「腰痛発生要因の特定及び見積方法」、?「腰痛発生要因の低減措置」、?「腰痛予防体操」という表現に変えています。前回は、「発症」「発生」という両方の言葉を用いていたのですが、疾病となる前の段階から、腰痛を予防するべきではないかという考えの下に、「発生」という言葉に置き換えています。
あと、前回は「同定」という言葉も使っていたのですが、「特定」に統一し、「評価」の部分を「評価または見積り」という言葉を使っています。
あと、「腰痛発生要因の低減策」「低減措置」という言葉を使っていたのですが、「低減措置」という言葉で統一しています。(2)「その他」と記載していたものを、「日常生活での留意点」と変えています。
解説では、「事業者が労働者の」という形で、しっかりと明記するようにしました。また、????の説明を加えています。
「なお」という下から4行目ですが、「なお、当該教育の実施に当たっては、十分な知識と経験のある産業グ医などに講師を依頼して講習会を開催し、事業所外部の専門家と連携して、研修会なども実施していく。教育時には」という言葉を加えています。
次に24ページです。(2)「日常生活での留意点」では、比較的具体的に書くようにしました。まず、「十分な睡眠、入浴などによる保温、自宅でのストレッチングなどは、全身及び腰部筋群の疲労回復に有効である。精神的なストレス対策には、個人的な対策に加え、上司や同僚のサポート、腰痛で休業することを受け入れる環境づくり、腰痛による休業からの職場復帰支援、相談窓口をつくるなどの、組織的な取組が有要となる。喫煙は末梢血管を収縮させ、特に腰椎椎間板の代謝を低下させることから、喫煙習慣の改善を図る。日頃からの運動習慣は腰痛の発生リスクを低減させることから、負担にならない程度の全身運動をすることが望ましい」と加えています。特に変更している点は、コーピングの部分です。心理・社会的要因によるストレス対策として、どのような対策をすればいいのか、どういう教育をすればいいのかを盛り込んでいます。
○甲田座長
用語の統一、解説を丁寧にしているということです。いかがでしょうか。
今回はマネジメントシステム、リスクアセスメントの項目が入っているので、教育の中でも、作業者がリスクを的確に理解して、それに対して適切な対応がとれるようにというか、そこまで設けているということでいうと、労働衛生教育の内容がかなり高くなっている、ハードルが高くなっている可能性はあるのですが、今回はそういう形で、発生の要因、状況の特定と、リスクの見積方法という表現になっています。従来の労働衛生教育の中からいうと、少し違ったような用語が使われているのだろうと思います。
○浦野委員
24ページの「日常生活での留意点」ですが、書かれている文言、文章全体としては、特に異議はないのですが、「日常生活での留意点」という見出し付けがどうなのか。というのは、自宅での個人的なこと、入浴の保温、十分な睡眠ということも含まれていながら、一方で、職場での組織的な取組も入っていて、「日常生活での留意点」というと、労働者の私的な生活空間でということになるので、見出しが。
○甲田座長
そういう形でいくと、最初は「その他」で。
○浦野委員
「その他」では、余りにも。
○甲田座長
そうすると、「ストレス対策及び日常生活での留意点」という形のほうがいいですかね。
○甲田座長
上司のサポートなどが入っていますから、日常生活から逸脱している部分があるというご指摘です。その辺でいうと、ストレス対策と切り離して上に持ってくるか、単純に日常生活、それともここはストレス対策と並べるか。
表現としてピンとこないのが、ジョウドウ症型のピンというのが分からなかったのです。
○岩切委員
説明が必要ですね。
○北原委員
「気分転換をする」ぐらいの書き方にしておいて、ほかの項目に「上司のサポート」と書いてあるので、ここは日常生活での留意点に絞りますか。
○甲田座長
労働衛生教育は、飽くまでも労働者に対するということだから、ここでは、事業所が対策としてやらなければいけない。
○岩切委員
既存のものには入っていましたか。
○甲田座長
確認させてください。
○岩切委員
「日常生活における健康の保持、増進が欠かせない」
○甲田座長
そこは言われるとおりに入れるかどうかですね。
○神代委員
2と3とを分けて、「組織の留意点」「日常生活での留意点」にしたほうがよいのではないですか。そこには項目が、睡眠、栄養、運動とあるから、きちんとそこで、この文言を入れ込んでいったらどうですか。
○甲田座長
確かに言われるとおりですね。指針のところで、労働衛生教育とは、ここでは「その他」だったのが、「日常生活での留意点」と。労働衛生教育と、先ほどいったストレス対策。「労働衛生教育等」なのですよね。「等」の中に何を読むかなのです。「等」があるから、組織の留意点が入ったのではないかという考え方もあるし、難しいですね。
○神代委員
いずれにしても、誤解を招かないように分けたほうがよいと思いますね。
○甲田座長
基本的に、この表現で、「日常生活での留意点」でまとめるのは、少し無理があるということですね。今のご意見を検討しまして、その部分だけを切り取って、項目を動かすのか、ほかの所にいくのかを検討して、これも宿題になってしまいますが、最後のときに提案させていただく形にしたいと思います。
○岩切委員
作業管理に精神的ストレスを持っていったほうがいいかもしれないですね。検討させてください。
○甲田座長
預らせていただいて、最終回に提案という形にさせていただきます。
それでは、先に進みます。次は「労働安全マネジメントシステム」です。本文自体は変えておりません。いろいろとご意見の出たところを解説に盛り込んだつもりなのですが、宿題がこなし切れなかったところもありますので、それも含めて提案したいと思います。
構成としては、「リスクアセスメント」と「マネジメントシステム」として、2番目は包括的に、リスクアセスメントは特別マネジメントと独立しているわけではないので、後半はマネジメントシステムを導入して定着させていくためにはという書き方にして、後半はリスクアセスメントの部分を残す書き方にしております。全て新規提案ですので、全部下線を引いてありますが、その中でも位置を変えたのは、前回ISOの人間工学に関する専門委員会からのリスクアセスメントの必要性に関する技術報告書を引用したのですが、それを上のほうに移動しております。「リスクアセスメントを実施していくためには」ということで、リスクアセスメントを行うときの基本的なスタンスみたいなものを後半に書いております。「リスクアセスメントを実施していくためには、事業主側のトップをはじめ、安全衛生管理者、職長それぞれの職務に応じた役割を行って、安全衛生委員会の活動等を通じて労働者を参加させるなど、全社的な実施体制の下、推進していただかなければなりません。更に、リスクアセスメントを実施するためには、作業標準……設備仕様書、安全データシートなどの情報を事前に入手しておく必要がある」。
具体的なリスクアセスメントは、4ステップを書いただけです。危険又は有害性の特定、特定された危険性又は有害性ごとのリスクの見積り、リスクの見積りに基づくリスクを低減させるための優先度の設定及びリスク低減措置の内容の検討、優先度に対応したリスク低減措置の実施という手順で行いましょうということです。リスクアセスメントを実施した場合には、洗い出した作業、特定した危険性・有害性、見積もったリスク、設定したリスク低減優先度、実施したリスク低減措置の内容は、記録して保管しておけば、次のリスクアセスメントを実施する際の参考になり、後述する労働安全衛生マネジメントシステムを職場に導入し、定着させる際の重要なポイントになるということです。
職場でリスクアセスメントを実施する際に有効なツールとされるのは、チェックリストです。作業現場では、様々なチェックリストがその目的に応じて使用されているが、今回の腰痛予防対策のリスクアセスメントでも、危険性又は有害性の特定にはうってつけのツールである。事実、厚生労働省もホームページでリスクアセスメント手法を踏まえた介護作業者の予防対策チェックリストを紹介しており、参考となる。職場で具体的な腰痛予防対策のためのチェックリストを作成するためには、まず腰痛の発生が危惧される、あるいは過去に腰痛が発生したとされる作業を対象にして、腰痛の発生に関与する要因がどの程度関与するかを評価し、リスクの見積りを行う。見積もられたリスクの大きさや緊急性などを考慮して、職場で腰痛予防対策の目的としたリスク低減措置の内容を決定する。最近は、職場遵守や同業多種からの職場改善事例を参考にして、効果的な予防対策をあらかじめ判断基準とする「アクションチェックリスト」なども提案されており、様々な産業保健の課題を抱える現場で用いられている。少し文字が多いのですが、このような形で書きました。代委員からご指摘のあったチェックリストを作成するときのフローチャートは、頭の中で書きづらかったのでここでは省いていますが、どう書いたらいいのかご意見を頂ければ、加味していきたいと思っております。
後半は、基本的には余り変えておりません。リスクアセスメントをするということが、今回取り上げている非常に重要な提案なので、くどいようですが、そこに関してリスクアセスメントをする意味を書いたということです。そのときに、ツールとして先ほど言ったようにチェックリストが非常に重要だということですので、それは介護に関するチェックリストもありますが、そのようなチェックリストも現場では使われ始めています。最終的には危険要因の洗出しをするだけではなく、対応策を考えなければいけないわけですから、対応策までセットになっているものが最近使われている「アクションチェックリスト」です。これは、例えばメンタルヘルスなどでもアクションチェックリストが最近非常に活用され始めているので、必要があればそういうものを例示することになるかと思いますが、そういう形でもチェックリストを紹介したということです。後半の2番目は、大体同じような形になります。以上です。
多分、これがどういう形で出回るかということになると思いますが、このチェックリスト等に関しては、先ほど例を出した介護作業のチェックリストはアクションチェックリストの形をしていないのです。そういうものをピックアップしていきたいということです。そういう意味で適当なものを探しているのですが、アクションチェックリストとして、他業種でも構わないので、腰痛等を予防したもの、神代委員がお示しになったような形のものを出すとか、そういう形のほうが、受け取るほうとしてはこういうものを作ればいいのかということが分かりやすいと思うのです。ただし、ゴールデンスタンダードのような定番のものがあるわけではないので、それぞれの作業に応じて作り直していかなければいけないところに手間が要る。その手間が安全衛生活動上非常に重要なのですが、そういうことになるので、どういう形で掲載をするかは、もう少し知恵を出さなければいけないと思っております。いかがでしょうか。
○本村委員
リスクアセスメントのところで、初めて事業所のトップとか事業者の責務、取組姿勢が書いてありますが、日本の場合、経営者が従業者の健康を守る、腰痛を出さないという責務が、北欧辺りに比べると少し薄いのではないかという気がしてならないのです。ここで書くのか、全体に係る問題ですが、経営者が従業者の健康を守る、腰痛を出さないという責務をもう少し強調してほしいという気がします。
○甲田座長
もし書くとすると、「はじめに」かもしれません。ただ、所々でその辺を意識して、主語を事業者にするとか、今の安全衛生の法律の基本的な建前から言うと、誰に責任があるのかといったときには事業者責任という形になるので、その辺は書くか、改めて普及するときにもう一度強調するか、考えていかなければいけない課題ではあると思っております。
○萩尾委員
このマネジメントシステムは非常に重要だと思うのですが、「具体的なリスクアセスメントは」以降は、危険性又は有害性の特定、特定された危険性又は有害性ごとのリスクの見積り、リスクの見積りに基づくリスクを低減させるための優先度の設定及びリスク低減措置の内容の検討と手順が書かれていますが、実際、リスクの見積りは簡単なものだったらできますが、非常に難しいと思っています。ケアマネジメントなどは、最初に出てきたときには、事例とか、こういう場合にはこういう手順でするのですよみたいなものが出たと思うのですが、そういうものが、本当に分かりやすい事例でいいのですが、どこかに入れば、こういうマネジメント方式でこのように解決していくのだということが分かりやすいものがあると、事業所は使えるし、普及していくかと思います。事例みたいなものがあるといいかと感じます。
○甲田座長
その辺は少し考えていて、各論でもう少し詳しくというか、事例を出そうかと思っています。リスクの見積りに関しても、一般的にはいろいろな方法がありますよという形なのですが、それをどこまで書くかが大分悩んだところです。これは全体に係る文書なので、今回そこまでは余り記載をしなかったのです。今言われたように、確かにそこが一番ポイントになってくるところなので、ほかの業種でこんな形でやっているということが分かったほうがいいと思っております。
○神代委員
先ほどのチェックリストですが、ここでは労働安全衛生マネジメントシステムを導入していますので、その活動の道具としてアクション型チェックリストを推奨した方が良いと思います。アクションチェックリストは最後の箇所で書かれていますが、ここはきちんと誘導するような文章表現が良いと思います。。
○甲田座長
紹介にとどめるのではなくて、もう少し前面に出した方が良いということですね。
○神代委員
先生方がお書きになっている「最近は,,,用いられている」という表現からスタートして、「職場で具体的な腰痛予防対策のためのチェックリストを作るには、アクション型チェックリストの作成を推奨いたします」とした方がわかりやすいと思います。
実施に関するフローチャートにも、既存のアクション型チェックリストを用いて、それに対して表現の修正とか内容の追加、削除等を加えてテーラーメイドのアクション型チェックリストを作り上げていくのがコツです、というような誘導の仕方ですね。
もう1つの強調点は、アクション型チェックリストの利点として、こうあるべきだというあるべき姿が描かれている点です。従って、このようにしてくださいというチェック項目を列挙してもらいます。それらの提案は、必ずグループで行いましょうということを加えればよいのではないかと思います。
○甲田座長
人間工学会とかILOも、非常にボリュームのある冊子で提案していますね。どの辺まで紹介したらいいでしょうか。
○神代委員
例えば、本当の基本項目だけを列挙したら如何でしょうか。例えば、腰痛を誘発するでろう不良作業姿勢等を7項目か8項目列挙してみます。これらにこの前私が提言したようなものをものを足したチェック項目を提案して、これら項目にどういう項目を追加したらよいでしょうか。あるいはあなたの職場に適した表現を修正してみましょうというような形での紹介にしたらいかがでしょうか。
○甲田座長
資料という形ですね。
○神代委員
その資料に関しては、私がリストにして先生にお送りします。
○甲田座長
お願いします。多分、先ほどの萩尾委員のご質問にも関連すると思いますが、そういう例が資料としてもある程度あるといいと思いますし、ここでは後半で社会福祉施設、介護と運輸と2つ挙げていますが、それ以外の業種でもひょっとしたら参考になるかもしれないので、可能な限り、余り細かくなるとあれですが、ヒントになるような例示を出したいと思います。
それでは、先に進みます。ここからが「作業対応胛の対策」です。前回ご提案したように、いろいろなものが入っています。今回まとめたのは、最初の3つは共通するものとして重量物取扱いの姿勢等に関して焦点を当てて、後半の2つは作業の内容、業種的なものも意識してまとめております。岩切委員からお願いします。
○岩切委員
28ページをご覧ください。本文です。(1)「自動化、省略化」の(3)に次の文章を入れました。「人力による人の抱え上げは、自動化、省略化が困難な場合、」とありますが、この「自動化、省略化が困難な場合」は削除してください。ですから、ここでは「人力による人の抱え上げは原則禁止とすること」。また、「人を対象とした抱え上げなどの人の取扱い作業については、福祉・医療等における介護・看護作業を参照すること」と変えてください。萩尾委員から参照はできるだけ避けてほしいというご提案を頂いているのですが、とりあえずここでは記載しております。
(2)「重量物の取扱い重量」ですが、こちらは前回と同じように、「満18歳以上の男子労働者が人力のみにより取り扱う重量は、体重のおおむね40%以下となるように努めること。満18歳以上の女子労働者では、更に男性が取り扱うことのできる重量の60%ぐらいまでとすること」。重量制限を30?とか25?と書き加えるかどうか悩んだのですが、以前の第2回検討会で必要はないということでしたので、加えておりません。
29ページの解説をご覧ください。(1)「自動化、省略化」の部分に、介護・看護に関するものを一文加えております。実際は、介護・看護の作業の別紙に具体的に書いてあるのですが、指針部分では参照とし、解説部分で詳しく記載するようにしております。「介護・看護作業等で見られる人を対象とした抱え上げは、リフトを使用するように努めるか、若しくは補助器具を利用して水平方向への移動に置き換える。それが困難な場合には、適切な姿勢による2名以上での作業とする」。
30ページの好ましい姿勢と好ましくない姿勢は、何パターンか提案させていただければと思っています。以上です。
○甲田座長
これの一番大きなところは、人による抱きかかえは切り離したというところです。最終的には、30ページの好ましい姿勢と好ましくない姿勢はもう少し加わるというイメージですね。
○岩切委員
はい。
○甲田座長
移乗の動作しか載っていないので、この辺はいろいろと加わるということです。配付け・配崩し等の作業もあるし、下から物を上げるだけではなくて、棚の上の物を取ったりといったものも、イラストを付けたほうが分かりやすくなるのではないかと思っています。
○神代委員
1つ細かいところですが、28ページの(2)「重量物の取扱い重量」の(2)で、私は前回から細かいところにこだわっていますが、自動化や適切な装置・器具等の使用で、それが困難な場合には、適切な姿勢にて2人以上で行わせるというところに、適切な姿勢で、身長差の少ない2人以上の組み作業で行わせると記述していただきたいです。身長差があると、本当に腰痛を起こすのです。だから、ここは明らかに明示したいと思うのです。
○甲田座長
ほかの所でも体格等の注意をしているということですね。
○神代委員
例えば、重量の70%は低い身長の人に掛かってくるのです。
○岩切委員
分かりました。身長差の少ない2人ですね。
○神代委員
身長差の少ない2人以上の組み作業で行わせるように努めること、といった表記が望ましいと思います。
○甲田座長
分かりました、加えます。
○本村委員
この重量物は、人の抱え上げは該当しないのでしょうか。
○北原委員
40%と60%のところですか。ここは物だけです。「介護・看護作業」のところでは同じ文章を入れていますが。
○甲田座長
基本的には、人をこれで読み込んでしまうと非常にややこしいので、そういう意味では、1番で言っているのは人以外の重量物です。
○安藤委員
(2)は「重量物の取扱い重量」ではなくて、「荷物の取扱い重量」と書いたほうがいいのではないかと思います。
○岩切委員
荷物とした場合、中小企業、製造業などで行われている作業に当てはまらなくなります。
○安藤委員
製品が入ってくる可能性があるので。
○岩切委員
それが当てはまらないと思い、今回敢えて、重量物にしています。
○北原委員
この前の会議で、重量物というとものすごく重い、何トンとかいう話だったので、重量物以外の言葉のほうがいいかもしれません。
○岩切委員
ただ、それだと、「荷物」は合わないものがあります。「荷物など」とか、要は人と違うということが分かれば良いと思います。
○神代委員
何か適当な言葉がありますか。
○北原委員
単純に「物」でもいいと思いますが。
○神代委員
そうすると、一番はどうなりますか。「重い物」になるのですか。
○北原委員
タイトルですね。そうすると、ここは人の話が少し入ってくるので、どうしましょうか。
○神代委員
この辺りは、重量物という表現が結構浸透しているのではないですか。
○岩切委員
ここで「重量物」と書いて、重量物の定義を先に示したほうが良い気がします。
○神代委員
いや、最初のほうからしていかないと。「はじめに」で重量物の取扱いと。最初から出使われている用語だから……。
○安藤委員
でも、最初の4ページで重量物の取扱いと人力による人の抱え上げ作業を区別しているから。
○神代委員
これはここで区別しています。そして、平成6年にこの指針が出されて以来使われてきた用語だから問題はないのではないでしょうか。
○安藤委員
4ページで区別していますからね。
○甲田座長
業界で通りの良いほうと言ったらおかしな話なのですが。
○安藤委員
いや、意味は分かります。
もう1つ、1の(3)の2行目の「人を対象とした抱え上げ等の人の取扱い作業」というのは、言葉が重複していませんか。
○甲田座長
「等の作業」で良いのではないですか。
○岩切委員
「人を対象とした抱え上げ等の作業については」という形で。
○安藤委員
そうですね、後半の「人の取扱い」は要らないですね。
○岩切委員
そうします。
○甲田座長
ありがとうございます。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、今日は普及のところも少し議論したいので、先を急ぎます。よろしくお願いします。
○岩切委員
立ち作業に移ります。31ページです。こちらは、余り加筆・修正点はありません。本文の椅子の配置の(2)ですが、「椅子は高さ、角度など」と書かれたものを、分かるように「座面の高さ、背もたれの角度など」と書き加えております。また、その他で「立ち作業において」という文章を加えております。
大きく変わった点は、本文と解説の部分にありますように、1「作業機器及び作業台配置」と書き換えております。既存の文章では「作業機器の配置」となっていたものに、「作業台」を加えました。
解説の1「作業機器及び作業台の配置」では、「作業台が高い場合は、滑りや転倒を配慮し、足台を使用する。作業台が低い場合は、作業台を高くするか、それができない場合は椅子などの腰掛け姿勢が取れるものを使用する」としております。以上です。
○甲田座長
いかがでしょうか。これはその他の解説は入っていましたっけ。
○北原委員
その他の解説は入っていません。
○岩切委員
もともと入っていませんでした。
○甲田座長
いかがでしょうか。
それでは、「座り作業」をお願いします。
○岩切委員
続きまして、座り作業に移ります。33ページです。本文の最初に「座り作業は、立位姿勢に比べて体全体の負担が軽いが、腰椎に掛かる加重は立位姿勢に比べて大きい」という文章を加えております。あとは細かな修正点で、本文は見ていただければと思います。
34ページの解説部分では、1の腰掛け作業(1)椅子の改善、1番の「背もたれが後方に傾斜」という部分で、110~130°と既存のものは書かれていますが、実際にこれが良いのかは疑問があり、削除する方向で現在は考えています。この点について、委員の皆様からご意見を頂ければと思います。3番では座面が大腿部を圧迫し過ぎないこと、4番では背もたれ角度、肘掛けの高さ、位置、座面の角度などについて書いております。
(2)では、「作業台の改善」と書いてあったものを、VDT作業などの腰掛け作業も含むことを考えて、「机」という言葉を入れております。
(3)作業姿勢等の部分では、下の6行の文章を割愛しております。その下に、また、座面に浅く座り、膝の位置が座面より低くなるように、大腿部を少し下げる座り方をすると、脊柱の生理的湾曲の減少が少なくなり、腰部の負担が軽減される」という文章を加えています。しかし、これを入れたほうが良いのかどうかというご意見を頂ければと思っております。以上です。
○甲田座長
ここは椅子を巡っての議論がありますので、前の指針の中では、椅子に関しては、先ほど少し紹介したように傾斜が110~130どと、解説に具体的な数値が入っていたのです。私の印象としては、少し後ろに反り過ぎるのかなという感じがあって、そういう意味で、後方に傾斜すると理学療法学的に良いことは分かっているのですが、少し反り過ぎなのかなということで、数値的に落として、このぐらいの数値のほうが良いというご提案があるのであれば、それは検討する材料になるかと思いますが、いかがでしょうか。
○北原委員
傾斜角度のことではないのですが、座り作業の1行目に加えていただいた「座り作業は立位姿勢に比べて」の「座り作業」というのは、比べるのだったら「立位作業」になるかと。あるいは「座位姿勢は立位姿勢と比べて」にするか。
○甲田座長
合わせるということですか。
○北原委員
「座り作業」だったら、「立位作業と比べて」かと思いました。
○甲田座長
姿勢のほうがいいのかな。
○北原委員
「座り姿勢」で統一するのだったらそういうことになるかもしれません。最初の「座り作業」を「座り姿勢」と変えてもいいかと思いました。
「OA機器」という言葉は、今時使いますか。Office Automationという用語としては分かるのですが、少し古いかなという気がします。
○甲田座長
順番に書いていきます。先ほどの角度については、削除してよろしいですね。いかがですか。
○神代委員
良いと思います。角度については、私は実際の数値的には把握していませんが、本来、作業中はそんなに後方にもたれかかる市制は取らないので。安楽姿勢のときには後方にもたれかかる姿勢になりますから、1と2を一緒にした形で、背もたれが傾斜することができる椅子を用い、かつ、また、背もたれに腰パックが備えられている椅子が望ましいと表現した方が良いかと思います。むしろ、腰パットが備えられているほうが重要なので、そちらをメインにしたほうがよいと思います。
○岩切委員
分かりました。そういう形でよければ、今のご意見のとおり修正します。
○北原委員
そうすると、最後の要検討のところですが、浅く座ってこういう姿勢を取ると、背もたれが使えない状況になりますね。
○神代委員
これは駄目な座り方ですね。本来は座面に深く座ることを指導しなければいけないので。
○北原委員
ここは姿勢を変えるというくだりで入っていると思います。
○神代委員
姿勢返換が自由にできるのが腰痛とか、背部・腰部の筋疲労を防ぐための一番大事なポイントですから。
○北原委員
では、「姿勢を変える必要がある」で止めておくということですね。
○甲田座長
よろしいですか。
○岩切委員
はい。一応、PTなどが腰部の湾曲を保つ姿勢としてこういうことを言う場合があります。しかし、姿勢を変えることを重視するという話であれば、この部分はあえて書かず、削除したいと思います。
○神代委員
ある意味では、これと上の話が一致するのです。脊柱のS字型カーブを保護する背もたれということになってくるのです。
○甲田座長
分かりました。今のご意見を参考にして、後ほど修正を書きましょう。
それでは、後半に2つ長いものが出ているので、先に進みます。北原先生からご提案をお願いします。
○北原委員
資料の35ページです。タイトルからですが、甲田先生がおっしゃったように「福祉・医療等における介護・看護作業」というタイトルにして、最初に「社会福祉施設をはじめ、医療機関、訪問介護、看護、特別支援学校での教育等」と、少し幅広く網羅できるような形に提案しました。
「同定」という言葉は「特定」に変更し、文章の中では「明らかにする」と、もう少し平易な言葉を使っています。私は「管理者」という言葉を使ったのですが、ほかの所は「事業者」になっているので、7行目の「それに」の部分は「事業者」で統一したいと思います。
この前の会議で、介護・看護される人に対して「対象者」という言葉を使い、他に用語はないでしょうかということで、「要看護・介護者」という提案を頂いたので書いてみました。ですが、「介護・看護者」と「要看護・介護者」という言葉がいっぱい出てきてしまって、読むとまどろっこしい感じがするのと、介護・看護だけではないということで、やはり「対象者」のほうがいいのかなと思い、ここでは「対象者」のままにしております。
「福祉機器」については、福祉用具法という法律に「福祉用具」と書かれているので、「福祉用具(機器や道具)」で統一しています。また、心理・社会的要因のことがここに加わっています。
リスクの見積りについては、リスクが高い、中等度、低いという定性的な評価で、実際にはチェックリストが提示できれば一番いいのですが、まだそこまで作業が至っていないので、こういう書き方をしております。
次のページです。抱え上げですが、ここにもう1度「原則として、人力による人の抱え上げは禁止すること」と書いてあります。本村委員から「リフト」という用語について「移動用リフト」というご提案があったのですが、「移動」に限定する印象を与えるのではと思い、ここでは「リフト等」にして、「リフト等を積極的に利用すること」としています。「人力による荷物の取扱い作業の要領については、「I 重量物取扱い作業」に準ずること」と、本文に書いて、解説の39ページで体重の40%、60%の話を書いています。本文の中に入れてもいいのですが、今のところ本文は「Iに準ずること」としています。不自然な姿勢を取る頻度については、頻度だけではなく時間も要るので「時間」を追加し、作業環境の整備では温湿度・照明が抜けていたので加えています。
37ページですが、組織体制のロ「協力体制」で、先ほど話があった休業から復帰する人へのサポート、お互いがサポートできるような職場作りと、この前の文章からもう少し具体的な形で書いております。
リスクの再評価・見直しですが、見直しをしていくときに新たな対策の実施を担当部署に提案する、特に問題なければ継続して実施する、ということを書き加えております。
解説は前回提示していませんでしたので、今回初めてということで議論があるかと思いますが、こういう形で提案させていただきます。多発している職場については、社会福祉施設等で多発していることと、その他の医療や訪問介護・看護、教育の部分でもリスクが高いということで、幅広く含むとしております。また、人材確保指針のことを盛り込むべきという話と、実際に腰痛を予防することで利用者の安全確保ができるということを書き込むべきだというご意見があったので、38ページの上から5行目に腰痛を発症しやすい方法で介護・看護を行うことや、看護者が腰痛を我慢しながら仕事を作けることは双方の安全確保を妨げ、更には質の低下につながる、また、人材確保の面からも組織的に対策に取り組むことが求められる、と書いています。腰痛の発生に関する要因の特定のところで、姿勢に関しては腰痛を発症しやすい作業姿勢をイラストで示したほうがわかりやすいと思い、イラスト挿入を提案しています。リスクの見積りですが、これも評価基準を示せればと思っています。
39ページの3(3)は、先ほど言った体重の40%、60%のことを書いてあります。不自然な姿勢を回避・改善する方策として、イ・ロ・ハ・ニ・ホと書いてあって、イラストが入れられればと思っております。
環境については、寒冷の問題、段差等の問題、空間の問題、休憩室の問題を解説しています。訪問介護に関しても少し補足していますが、多職種を含めるのであれば、解説で保育のことも含めて書いてもいいのかなと思っております。以上です。解説は全く新しい文章ですので、ご意見を頂ければと思います。
○甲田座長
ようやくできたもので、初めてこれだけの長文を見ていただいてどうかと言うのは、非常に困難で恐縮ですが、ここでご意見を頂いて、最終的にはもう1回持ち帰っていただいて、委員の方々にも厚生労働省にご意見を頂いて、もう一度我々が返答するという作業にしたいと思いますが、この場で今解説のあった点に関してご意見等をお伺いできればと思います。
ここから各論ですので、先ほど萩尾委員がご指摘のとおり、分かりやすいほうがいいということなので、北原委員からもあったように、イラストを入れたり、もう少し具体的な例を入れたりして補う形で、それだけで現場で勉強ができるようにしたいと思っております。先ほど、イラストだけではなくて、作業標準の話も幾つか出ていましたが、作業標準とは何かというところが分かったほうがいいのかもしれないということを、印象としては持っている。前回お配りした資料の中に作業標準の例などもあるので、そういうものを入れ込むことによって、作業標準作りをいろいろなシチュエーションでやっていただければと期待するのですが。
○北原委員
補足ですが、40ページの作業標準の策定の7番のところで、前回、「ケアプランとどう違うか」というご指摘がありまいsた。、ケアプランはケアする視点で作成されますが、職場の見直し・点検といったことも含めて、ケアプランの中に作業標準を入れることができれば、1つにつながるのではないかと思います。ケアプランなのか、個別支援計画のほうがいいのか、その辺りが分からなかったので、アドバイスを頂ければと思います。
○萩尾委員
ここで言う作業標準とは、アセスメントをして、対象者のAさんBさんの腰痛を起こさない個別の状況に合った介助方法を、全ての職員が統一して実施するという意味ですね。
○北原委員
そうです。利用者の状態より全面介助が要る、あるいは部分介助が要るという形で評価をされます。例えば「部分介助だからこの道具を使う」となっているのに、ある人は違う方法で丸抱えしていた、といったことのないように、適切なリスクアセスメントとその対応が示され、基本的に同じやり方で介助してもらう、という意味です。
○萩尾委員
作業標準とはどういうことかという解説があればいいのですが、正にそれは一人一人の個別援助計画に落とされるべきものなので、そういうことで意見を書いたのです。作業標準はそういうことですということであれば、それイコール一人一人の統一したやり方という理解でいいかと思いますが、このまま作業標準と書かれると、それぞれの取り方が、要は全体的な1つの全体の介護マニュアルみたいなものに捉えがちなので、そこで区別できるようなものがいいなと思ったのです。
○北原委員
個別だと思います。個別だし、場面別もあってもいいと思います。Aさんの入浴介助とか、そういったものがあったほうがいいと思います。
○岩切委員
作業標準の場所はここで良いですか。作業管理では上に持って行ったのですが、直したほうが良いと思います。
○北原委員
直したほうがいいですね。
○岩切委員
順番が全体的に違いますので、何処に持って行きますか。
○北原委員
6、7がセットで上にいけばいいのだと思います。
○岩切委員
3番の下ですか。6が4になるということですかね。4番の下。
○北原委員
そうですね。作業環境の下になりますね。
○岩切委員
5番を下に持ってくるだけでよいということですね。
○北原委員
そうですね、環境が入っている所ですね。6、7を上に上げて、5が下に来ると。
○甲田座長
ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
○萩尾委員
39ページの3の「リスクの回避・提言措置の検討及び実施」ですが、「要介護・看護者の状態確認」で良いのでしょうか。先ほど、それを「対象者」にすると。
○甲田座長
用語は直します。まだ統一していなかったので、文章中の「要介護・看護者」を「対象者」に直すようにします。基本的には、先ほど言ったように保育所なども入ってくるので、この表現は適切ではないということで、変えます。
○甲田座長
」時間が押していますが、内容的に全て新しいもので、しかも作っている最中ですので、最終的に宿題として最後の会での確認という形になるかと思いますが。
○北原委員
前回ご指摘があったように「介護」と「介助」の言葉の区別を意識したのですが、「介助技術」になるのか「介護技術」になるのかという点で迷いました。その辺はどう考えられますか。
○萩尾委員
一般的には「介護技術」と言います。
○北原委員
「介助」ではなく「介護」ですね。分かりました。
○甲田座長
それでは、最後の所に提案させていただきます。「長時間の車両運転等の作業」という所が最後に残っているのですが、全面的に書き換えたのですが、1つのポイントとしては、旧指針から加えたものとしては、車両系建設機械というのが入っていたのですが、例えばフォークリフトだとか、乗用型の農業機械というのが入っていませんでした。これも、やはり非常に身体に粗大な振動を与えるということで、入れています。それから、トラック等の貨物自動車が入っていたのですが、バス・タクシー等の旅客自動車というのも入っていなかったので、それも一応入れています。
いずれにしても、前半が粗大な振動に暴露する、後半が長時間の振動に暴露するという意味合いで入れています。ここも構成としては、先ほどの北原委員と同じような構成にしているのですが、腰痛の発症に関連するリスクと、2番目にリスクを見積もって低減の対策の実施です。それからもう1つ、最後に付け加えたのは、いわゆるマネージメントシステムをこの業種に入れなさいという意味合いで、4番目を少し付け加えています。
私のほうは、1番目の「発生の要因」は番号を振りませんでした。番号を振るのは解説のほうに任せて、ここでは一応こういう形で文書化させていただきました。基本的には、いわゆる長時間の座位姿勢を強いられるわけですので、そういう座席の問題から来る姿勢の拘束だとか、動作の拘束、制約の問題。それから全身の振動です。
そして次に、同様に出てくる荷物の積み卸し作業。そして重量だとか、いろいろな運搬だとかいう形。それから走行距離だとか、一連続の運転時間だとかいう、労働時間に関連したもの。それから求刑の話、夜間運転、仮眠が取れるか取れないか。それから作業場での、これは特に構内作業を考えているのですが、レイアウトの話、照明の話、温度の話。それからストレスの話として、よく伺うのは交通渋滞による、作業者への心理的なストレスだとか、非常に神経を使う荷物と聞いているのですが、そういう荷物の種類というのが、やはり腰痛に関係しているのではないかという形で、要因として挙げさせていただいております。
リスクの見積もりは、先ほどと同じような表記になっていますが、見積もりの仕方をここで解説させていただいております。回避策としては、1つ一番最初に挙げているのが、運転座席の改善等という形で、一応ここでは最初に載せさせていただいております。先ほど言ったように、座面、背もたれとも角度が調節できなかったりだとか、不便がありますので、調節可能。それから腰背部の安定した支持、運転に伴う振動の減衰効果が期待できるようなものに改善されるのがいいでしょうという形で、運転席の改善ができませんかと、最初に書いています。
それから、それに伴って調整可能かどうかということです。そして調整できない場合には、クッション等を用いて、背もたれの支持というものを改良できないかという形で提案させていただいています。
そして、その次が車両運転等の時間管理ということです。やはり総走行距離は、かなり長くなってきている。ないしは休憩までなかなか取れないということで、一連続の運転時間がかなり長くなるという形でのストレスが、腰痛に影響するのではないかということです。ですから、小休憩を取ることが非常に重要ですよ、ということです。
それと、これは余計だったかもしれませんが、基本的に時間管理は、腰痛管理だけではなくて安全運転という点から非常に重要なので、是非真剣に考えてくれという書き方をしています。
それから42ページの、荷物の積み卸し作業等に関して。これは構内作業です。リフター、昇降装置、自動運送装置だとか、そういうものを使ったり、それからローラーコンベア、台車、荷台、そういう通路を使いましょうということです。基本は重量取扱作業に準じるのですが、それから長時間運転をした場合に、要するに運転の後にすぐ荷物の積み卸しをするわけですから、動作が今までずっと座っていたのが、今度は静的な負担から動的な負担に変わるわけですので、小休止の入れ方だとか、ストレッチングを組み合わせましょうという形で書いてあります。
4番目は構内作業の環境の改善ということです。これはレイアウトの話、照明の話、床面の改善、慣例に絞って提案させていただいています。「そのほか」ということで服装、靴、保護具等に関して、ここでは提案しています。
最後の4番目は職場の中で、基本的には長時間の運転だとか、そういうところは腰痛の発症が非常に多い。もちろんそれだけではなくて、災害や怪我も多いのですが、そういうところでマネジメントシステムというのを入れることによって、全般的な安全性活動の中に腰痛対策を入れてくださいという書き方にしてあります。
あと、解説のほうは基本的に今言ったことを少し丁寧に書かせていただいたという形になります。時間的な制約があって、提案のほうは以上です。この件に関して何かありますか。
○安藤委員
解説のほうでかなり詳しく書いていただいたので解説のほうで全部分かるのですが、であればもう少し指針を。
○甲田座長
簡略化したほうがいい。
○安藤委員
ええ、簡略化してもいいのではないかと思います。特に1の所ですね。ここが重要だと思うのです。2のリスクの評価に、1が関連してきます。ここできちんと何をリスクマネージメントするのかという項目を、1で提案するのですね。ここの7行が1つの文章ですから、読みにくいと思ったのです。
それと3の(2)時間管理の所ですが、ここの本文は、指針は別にして、改正の所にもう少し、例えば貨物運送事業者ですと、連続運転時間は4時間が上限であるとか、タクシーなど旅客の場合は、総走行距離に上限があるとか、その辺りは厚生労働省の規定ですので、そこは解説の所に入れるほうがいいのではないかと思います。
○甲田座長
ありがとうございます。その辺を後でご相談させていただいて、具体的なところを。
○安藤委員
そうですね。それはまとめさせてもらいます。
○甲田座長
国交省も国交省で一応提案していたり、今いろいろと動いているみたいなので、この前の長距離運転の事故があったりだとか、いろいろあるので、その辺もにらみながら。ほかに先生はいかがでしょうか。
○安藤委員
だいぶ解説のほうがよく出来ていると思って、感心しています。
○甲田座長
今言われた所を、少し解説のほうに付け加えさせていただきます。いかがでしょうか。
○北原委員
このタイトルは、「長時間の」が頭にあったほうがいいのでしょうか。
○甲田甲田座長
分からないです。
○北原委員
タイトルは「車両」だけでいいのではないでしょうか。
○安藤委員
長時間と言うと、何時間から長時間なのだと必ずなるので。
○甲田座長
これは前回のを変えていないのですが、前回のもそういう明示はないのです。だから、そういう意味では分かりづらいという。「車両運転」という形で、もし調整がつくようでしたら、それは落とすという形で。
○安藤委員
ずるいですが、「等」を付ければいいのではないかと思います。もっと言えば、建設機械なんていうのは運転と言わず、操作と言いますしね。
○甲田甲田座長
だから、あれも長いですよね。
○安藤委員
長いです。あれは一日中。
○甲田座長
一日中、乗りっぱなしということになるので。
○安藤委員
分かりました。
○甲田座長
それでは、どうもありがとうございました。分かっていたのですが、分量がかなり多くて、詰めて議論して、しかも長いものを「さあ、どうだ」という形でお示しするような形で、かなり無理があるのは承知だったのですが、先ほども言いましたように長い文がありますので、持ち帰っていただいて、また事務局からご説明があると思いますが、先生方の意見をいただいて、それをまた踏まえて最終版にしたいと思っています。
それからもう1つ、今日は普及策等についてもご意見をいただきたい所があるので、時間は少なくなってしまったのですが、ご説明をお願いしたいと思います。
○調査官
今日の議題の2番目ということで、この指針の普及策について、少しフリーディスカッションをしていただきたいと思っています。次回に報告書(案)をお示しすることになりますが、普及についても含めて記述する必要があります。
それで、資料は52ページの「意見への対応表」の最後、81番、82番辺りがそういう内容になっているので、この対応表に簡単な文章で書かせていただいております。
今回、この指針の改定については、恐らく4月か5月に公表することになると思いますが、その普及についてはこのように考えています。まずパンフレットなどを作りまして、労働局、労働基準監督署を通じて、事業場に対して行政指導という形で、指導していくということが1つです。
それから、もう1つは来年度、平成25年度予算において、普及事業というものを予定しています。これは社会福祉施設に対して指導・援助を行う事業で、具体的には夏までにテキスト、あるいはDVDのような形で教材を作りまして、秋以降に各地域の社会福祉施設の管理者などを対象として集まっていただきまして、講習会をやるということで、全国で100回を超えるようなものを予算的には確保しているということです。
個別にも何100社か訪問するようなことも考えているということですので、行政としてはそのような普及方策を考えているということですので、それも含めて、この指針の普及方策についてご意見をいただければと思います。よろしくお願いします。
○甲田座長
ありがとうございます。今、ご説明がありましたように、これから作った指針を広めていかなければいけない、実質のあるものにしていかなければいけないというところで、少しご意見、お知恵をいただければということです。いかがでしょうか。
○本村委員
職業安定局と職業能力開発局が、介護労働懇談会を全国各県ごとに組織化していこうという話が、老健局から来ているのですが、それは何故やるかというと、介護労働者の確保とか、離職しないような方策といいますか、情報交換をしようということを、平成25年度から始めようということなので、腰痛予防対策も非常に関わりがあるので、それも含めた懇談会にしていただければいいかなと思っています。
○甲田座長
ほかに何かありますか。
○萩尾委員
ここに私も提案させていただきましたが、やはり事業所が取り組むという方向を、行政で確認をしていただくということだと思うのです。取り組み方はそれぞれ事業所によって、指針にも示されていくわけですので、ただ出しっぱなしだと、やはり取り組まない事業所も、取り組めないというか、どうやっていか分からないというのもありますので、テキスト、DVD、講習会を予算化しているというところが1つあるのですが、そういう行政指導がどういう形になるのか。
よく東京都の実地指導は2年に1回、施設に来ますが、その中で「やらないといけないことはやっていますか」という確認をされますが、そういった形であれば、事業所は取り組むかなと思います。それが身のある取り組みをしていくということの、まず第一歩かなと思うので、その辺だけは活用ができればいいかなと思います。
○甲田座長
今のことに関連してですが、「取り組みなさい」という形で、行政がいろいろと指導に入りますよね。そうした場合に、それを受けた事業所のほうで、例えば人的に誰がそういうことを具体的にやるのかという面はいかがでしょうか。
○萩尾委員
そうですね。施設も規模が小さいとか大きいとかありますし、従業員50人以上は産業医を置いて、衛生管理をやっていますが、小規模施設は、「代表者を置きなさい」程度で、なかなか取り組みにくいところも多いです。
全ての施設が取り組めるように、こういう指針の中に分かりやすく事例を入れ分かりやすくする必要があります。介護保険のケアマネジメントシステムもスタートの時はやるべきものの方法や参考になるものを事例で示して定着していきましたが、同じようにしていくと施設などは取り組みやすいかなと思います。
○甲田座長
今は活用のほうとして、社会福祉施設等を中心に語られていたのですが、安藤委員はいかがでしょうか。交通運輸だとか、貨物業という所での普及を考えるときには。
○安藤委員
先ほどの所で、例えばバス事業者の基準がだいぶ変わってきているという話がありましたが、運輸業界としては安全を確保するために、ドライバーの長時間労働を何とか改善しようというか、野放図にならないようにということを官民で推進しています、ここをきちんとやっていけば、結果的に安全を確保することが、ドライバーの健康状態を確保するということにつながると考えます。運輸業界にとって、安全とドライバーの健康は裏表というか同体になっていますので、それは普及できると私は思っています。
○甲田座長
ほかにいかがでしょうか。
○北原委員
現場の方々に普及というのも非常に大事なのですが、一方でこういう指導をする立場の労働衛生の専門家ですとか、あるいは対象に看護・医療というのを含めると看護師ですとか、そういった職能団体との連携ですね。看護師だと看護協会などが一番大きな職能団体ですので、そういった所と連携しながら一緒に取り組むことが必要でひゃないでしょうか。
また、、産業医や労働衛生スタッフがこれを正しく理解していないと指導もできないので、関連する学会等との連携とか。
○甲田座長
専門家ということですね。
○北原委員
必要かと思います。
○本村委員
過去の経験から見ると、寝たきり老人ゼロ作戦というのを厚生省で平成元年にやりましたし、平成13年に身体拘束ゼロ作戦というのを、省を挙げてやったのですよね。だから、この腰痛ゼロ作戦といった、全国的に展開していくようなことがいいのではないか、大事ではないかと思います。
○甲田座長
先ほど出たように、この仕事自体は基準局の仕事ということになりますが、いろいろ省の中で協力をという形でしょうね。
○本村委員
そうですね。省を挙げてやってもらいたいと思います。
○甲田座長
よろしいでしょうか。今のことに関しても、また何かご意見等があれば、事務局にお寄せいただければと思います。それでは時間になりました。大変短い時間でしたが、委員の方より意見をいただき、どうもありがとうございました。
○事務局
今日は非常に大量の確認事項を大変短い時間の中でありがとうございました。まだ追加のご意見等があろうかと思いますが、次回との都合もありますので、非常に期間は短くなりますが、遅くとも来週の月曜日、3月18日までに事務局宛でメールをいただけましたら、また展開させていただきますので、よろしくお願いします。
次回の検討会は、最終の予定ではありますが、事前にご予定を伺ったところ、年度末ぎりぎりになってしまいますが、3月27日の16時からが、一番ご都合がいい方が多かったので、このときに実施したいと思います。
○調査官
それでは、これで第3回職場における腰痛予防対策指針の改訂及び普及に関する検討会を終了します。長い時間、どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

労働基準局安全衛生部労働衛生課

調査官: 毛利 正
業務第4係長: 吉岡 生博
(代表)03(5253)1111(内線5498)

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