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2012年5月24日 第3回雇用政策研究会(議事録)

職業安定局雇用政策課

○日時

平成24年5月24日(木)
18:00−20:00


○場所

厚生労働省省議室(9階)


○出席者

委員

伊藤委員、玄田委員、小杉委員、駒村委員、佐藤委員、白木委員、鶴委員、
橋本委員、樋口委員、宮本委員、森永委員、三菱商事藤田人事部長、文部科学省平林生涯学習推進課長

事務局

太田厚生労働審議官、森山職業安定局長、黒羽職業安定局次長、酒光労働政策担当参事官、土屋職業能力開発局総務課長、大西職業安定局総務課長、藤澤雇用政策課長、
久知良若年者雇用対策室長、宮本地域雇用対策室長、藤井雇用政策課労働市場分析官、武田雇用政策課長補佐  他

○議事

○樋口座長 ただいまより「第3回雇用政策研究会」を開催いたします。お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。今回は、前回に引き続き、若年者等の就労支援についてご議論いただきたいと考えています。前半は、本日お越しいただきました三菱商事株式会社人事部長の藤田潔様より、若者のキャリア形成、グローバル人材育成などの観点で、三菱商事の人材開発施策についてご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○藤田人事部長(三菱商事(株)) ご紹介いただきました三菱商事の藤田です。お配りしました資料に基づいて、簡単に三菱商事で、人材育成全般ではありますが、主として若手についてどのようなことをやっているかを説明させていただきたいと思います。頁をめくっていただきますと、簡単に三菱商事の事業概要が出ています。ここは何を言いたいかといいますと、右の上に単体の従業員が約6,000名弱に対して、私ども連結の従業員、50%以上の子会社、国内外合わせて、ざっくり言いますと6万人ぐらいの規模で、およそ単体の10倍になっているのが、1つの実態です。下に、現地法人、支店、連結対象会社数とあります。ご覧いただきましても、もはや、30年前は三菱商事も現地法人や駐在事務所での活動がメインだったのですが、今では、実際にジョイントベンチャー或いは子会社を設立して事業を展開しているのが実態です。これが、20年ぐらいのトレンドでいいますと、大きく変わったところです。
 次の頁をご覧いただきますと、従前1970年代、Middleman will dieと言われて、仲介の立場に立っている総合商社は冬の時代であると言われて随分久しいのですが、この間にビジネスモデルそのものはかなり変革をしています。実質的には、トレーディングといわれるものから得る収益が全体の2割を切っているような状況です。むしろ、ここに書いていますビジネスのバリューチェーンであったり、資源であったりという中で、投資をしたり金融サービスを提供したり、あるいは会社を経営したりという中で利益を上げているのが、三菱商事のいまの総合事業会社としての実態です。
 3頁は、1994年と2011年の比較で、連結の総資産が3兆円弱膨らんでいる実態を見ていただいても、このトレンドは変わらないという中で、三菱商事はどのようなことを人材育成の中でやっているかをお話させていただきたいと思います。5頁は、小林社長が就任時に3年間の中期経営計画です。地域・分野としては、ここに書いてありますとおり、中国・インド・ブラジルを攻めようと。戦略分野は、まだ儲かっていませんが、インフラ、地球環境にかなり人も投入し、事業も展開していこうと。それから、主たる中核の事業は、実は金属、エネルギー、並びに下に書いてありますとおり、産業金融・鉄鋼製品・炭素・船舶・自動車・化学品・リテイル・食料といった辺りが、安定的な収益源という中で、いま推移しているのが三菱商事の有り様です。
 6頁は、その中で求められる人材ということで、この辺りからだんだん人の話になってきます。上段に書いてありますとおり、事業投資を中心にグローバルに展開している中で、やはりビジネスを束ねて牽引していく強いリーダー人材、あるいは事業の経営・運営ができる人材が、日本人、ノン・ジャパニーズ関係なく必要であると。なかんずく日本人の社員については、特に毎年150名ぐらい新卒を中心に採っていますが、より計画的なキャリアデベロップメント、仕事の経験と、OFF-JTで節目で、On The Jobではなかなか身につかない部分を研修で、という両輪で人を育てていこうということです。
 本日は、大学の関係者の皆さんがいらっしゃるので、7頁を少し詳しく説明したいと思います。MC人材とヘッダーに書いてありますが、これは三菱コーポレーションの略です。要は、三菱商事の人材に求められる基本的な資質で、6年ぐらい前に定義をし直したものです。漢字で信・知・力と書いてあります。いちばん上の矢印に「世界に通用する人間としての高い倫理観」、その横に「入社前から、人物としての素地が必須」と書いてあります。「更に、ビジネス経験を経て深めていく」と。ここに小さい字で品性、誠実さ、哲学、謙虚さ、知的好奇心、フィジカル・タフネス、メンタル・タフネスという辺りが、まさに信の部分の要素を構成する表現かと思っています。一方、知の部分は、ビジネスをやっていますので、単に売り買いではなく、いろいろな専門的な知見並びに企画あるいはマネジメントを勉強してもらえるポテンシャルがあるかです。その中に、語学も入ってくるという整理です。必須科目と書いてある右下ですが、三菱商事では実はこの信と力を結構重視しています。忍耐力、相手への共感、ビジョン、巻き込み、変化への適応力、最後はエグゼキューションと英語では言いますが、最後までやり抜き結果を出すといった部分の要素を持っている人間が、基本的な資質として必要だと言っているものです。
 実は、右上に信・知・力に応じて採用・教育・実践経験ということで、◎、○、△を付けています。つまり、入社前からどうしてもこの要素は素養として持っていてほしいという意味で、信と力に◎が書いてあります。一方知は、教育を経て◎ということで、あとからでも修得が可能であると。したがって、新卒で求めている部分はこのような信と力のポテンシャルの高い人間ということを、採用の面接員に対してこういうところをよく見てくださいというようなことを言って、ガイダンスをしているのが実情です。この辺りが関係するかなと思い、少し説明をしました。
 8頁は、研修のプログラムの体系です。下から内定者、新人、若手のスタッフ、ミドル、シニアと書いてありますが、これは上のほうの部長クラスで、横軸には三菱商事が単体でやっている社員向けの研修です。若手の早期育成から知識・スキルの習得と分類をしています。その隣に、先ほど事業投資先で6万人と申し上げましたが、ここのコア人材に対しても、あるいは海外の拠点・事投先に対しても、研修のプログラムを拡充しているところです。特徴的なことを申し上げますと、特に内定者から新人の辺りは、ビジネスベーシックスキルプログラムという7科目の必須科目を設けていまして、英語や簿記、IT、管理会計などを3年以内に全部習得するようにということをやっています。英語については、スタッフの上にプロフェッショナル層というものがありまして、そこに上がるには最低限TOEIC730をバーにしています。ただ、現実には新入社員を170名ぐらい採っていますが、730を未達の人間は大体14、5名というのが今年の結果です。平均のTOEICのスコアは、870ぐらいということで、そういう意味で言うと海外志向が高い、留学あるいは親の関係で駐在していた経験が多い人間が入ってきているのが実態です。
 もう1つの特徴は、ノン・ジャパニーズの留学生が、去年ぐらいから10名を超える人数入ってきています。やはり多いのは中国の方ですが、英語もネイティブ並みですし、中国語は当然ネイティブですし、日本語で試験を受けても話しても、全く問題ないということで、3カ国語が自由に操れると。しかも、非常にハングリー精神溢れて、先ほどの信・知・力、いずれのレベルも高いということで、終身雇用の会社で60歳まで勤めるかどうかは定かではありませんが、去年あるいは今年、面接員にも、素材がいいと思ったら採用評価を高くしてくださいということで、結果そういった形になっているのが実態です。
 ちなみに、ここで特徴的なのが、若手の早期育成で、これはもう新聞等に何度も取り上げられています。8年以内に、全員若手は海外に一度行くことということで、それを、私どもではグローバル研修生と呼んでいます。三井物産さんは5年、伊藤忠さんは確か7年と、各商社同様のプログラムで半年から1年ぐらい早期に1回海外に出して、いわゆる海外できちんとビジネスができるメンタルブロックを外す、あるいは環境に慣れる、異文化に触れるといったいろいろな学びがあるということで、このようなプログラムを4年ぐらい前からやってきています。それが、いちばん特徴的なことかなと思います。ほかの研修については、時間の関係で割愛させていただきます。
 9頁が、いまのグローバル研修生の詳細です。入社8年目までに全員ということで、実は私どもは非常に歴史が長いのが、語学のグローバル研修生(地域)という名前にしています。年間20〜30名、例えばタイ語、インドネシア語、スペイン語、ポルトガル語、ロシア語といった辺りが、ビジネスとしてどうしてもその言語を使って中に入り込んでいくビジネスをやっている場合には必要ですので、そういう人間を意識的に育成をしているのが、このプログラムです。
 それから、1970年からビジネススクールにMBAを送り込んでいます。大体10名程度で、累積でいいますと、40年×10名で、400名ぐらいです。かなり辞めた人もいますが、引き続きこれはやっています。2008年から始めたのが実務研修です。人数がいちばん多いのですが、100名を世界各地の拠点、事業投資先に派遣しています。これが若手の教育という意味では特徴的なものかなと思います。
 10頁は、若手よりも少し上です。どんなキャリアパスかというコンセプトがここに書いてあります。これは、どこの組織でもそうだと思いますが、働く場という意味でいいますと、本店でBUというのが通常の部で、その中にチームがあります。そういう構成の中で、海外に行くのと事業会社、これは国内外問いません。例えば、事業会社に行く場合は、実務の担当から事業投資先の課長ポジションのようなところに就いて、もう1回戻ってくると。あるいは、中で部長に上がるというような形で、各事業グループごとに若手のキャリアを計画的にやっています。例えば、エネルギー事業グループなどの場合は、場所を変えるのみならず、例えば本店の中に本部が3つあります。3つの異なるビジネスモデルをやっている部隊を最低10年で2つを経験するといった形で、少し幅を広げていくことを意識的にキャリアパスでやっているのが特徴です。
 11頁は、上のクラスです。幹部人材で、BU長クラスというのは、早い人は45、46で昔でいう部長の資格に到達します。遅い人で48ぐらいという中で、このプログラムは大体45、46の人間が5年ぐらいかけて座学・ケーススタディをやり、短期のビジネススクールに出し、外部との他流試合を経験し、あるいは副社長、常務等別のグループの幹部と交流をするというものを計画的にアレンジして、そういう機械から気づきを得ていただこうというような研修をやっています。ちなみに、短期のビジネススクールは、このクラスで大体25名弱ぐらい、ハーバード、インシアード、スタンフォードいろいろありますが、これも他流試合という意味では非常に効果的で、大体2カ月ぐらいのプログラムです。
 それから、この層の少し下は、中堅、40歳前後で、大体40名強を短期のビジネススクールにも派遣していますので、合計しますと65名ぐらいを2、3カ月のプログラムで外にも出しています。それから、右下に点線でビジネスマネジメントプログラムと書いてありますが、これはかれこれ10年近く、ハーバードのビジネススクールから4名ほど毎年先生に来ていただきまして、これも大体40歳前後ですが、まさに日本でやる短期MBAのプログラムです。これに、大体60名投入して、Off-JTでトレーニングをやっているのが特徴です。
 12頁は、グローバルなHRDです。連結先を含めると6万人、海外に実は2万人ほどスタッフがいます。いわゆる駐在事務所、現地法人のみならず、少し大きなアンブレラの中で、いわゆる価値感を共有しようということをやっています。これは、実は100年ぐらい前に四代目三菱グループの社長岩崎小弥太の訓話を基に、私どもの企業理念、三綱領があります。「所期奉公、処事光明、立業貿易」の3つの漢字4文字で、これが世界中の拠点の支店長や現地法人の社長あるいは事業投資先の社長の部屋に飾っています。これを深く理解するというプログラムも、この3、4年展開をしているということで、実はこれが結構海外のスタッフには評判がいいです。単にスキルを勉強するのみならず、組織へのロイヤリティーも高めるという意味で、組織のオリジンを知ることは研修の中での1アイテムとして非常に大事かなと思う次第です。
 13頁は、この連結ベースの人材マネジメントの概念図です。先ほどから何度も申し上げていますが、6万人弱の従業員の中から、全員ではありませんが、コア人材といわれる人間を登録して、ある程度意識的に配置活用計画を考えて、各種の研修を充実させて、バラバラな人事・報酬制度も少しは整備の支援をするといったような形を、ずっといろいろ手がけてはいるのですが、本格的にもう1回やってみようということです。
 14頁は、少し趣が違います。研修、人材育成という意味で言いますと、2年ぐらい前からダイバーシティマネジメントということで、専任の組織も作りました。他社では、女性の活用がよくダイバーシティ推進室と言っているのですが、三菱商事の場合は連結先も含め、あるいは外国人も日本の本社に100人ぐらいいますし、いわゆるバックグラウンドの違う人間は既に混在している中で、そのようなダイバーシファイした組織の中で一体感のある組織運営をやっていくために外部のコンサルを入れまして、半年ぐらいかけて一体打手としてはどういうことが必要なのだろうと。単にダイバーシファイしただけでは意味がありません。やはり、異なる視点がある人間がある1つの方向感を向いていろいろな意見を出し合うことで、1+1が2.5になっていくという意味で、ここで大事なことは、右上に書いてありますが、ミッション・目標・価値感の共有であったり、上司・部下・同僚間の相互理解・信頼感の醸成、あるいは等しく情報が共有されるといったような安心感が、仕組として非常に大事だと。詰まるところは、コミュニケーションだということで、やはり三菱商事も単体で言いますと、新卒中心でずっとやってきていますので、阿吽の呼吸や察する文化のようなものがどうしてもあります。独特の言い回しやレポーティングのやり方や癖もあります。ただ、外から入ってきた人間には非常にそれが奇異に見えるようなこともあります。ただ、なかなかそこを壊すというよりは、むしろそういうものも含めて意識的なコミュニケーションのレベルをより上げましょうということで、いくつかの打手をやっているのが、この資料の説明です。
 実は、チームは大体10名ぐらいの組織で、BUの中にある内部組織ですが、これが400個ぐらいあります。このチームに、オフサイトミーティングでチーム合宿を合わせて奨励しています。これが、左下に書いてあります。その場合に、例えばグローバルの会社では結構使われていますが『MBTI』なる16タイプに人の感じ方、行動の特性がわかるということで、お互いの人間の思考の癖のようなものを理解するという意味で、グローバルカンパニーでは結構一般的です。この2年ぐらい、チーム合宿でこういうことをやって、あるいは外部の事業投資先でも、できればこういうことを捉えて、より意識的なコミュニケーションの場を作ってくださいというのも、1つの組織を強化する人材開発ということで、一応ご紹介をいたしました。資料の説明は以上です。本日の雇用政策研究会でいえば、おそらく7頁のここの部分に関連するようなところが、ご質問に関わってくるのかなと思う次第です。私からの説明は以上です。
○樋口座長 ありがとうございました。それでは、いくつか皆さんから質問を受けてよろしいですか。お願いします。口火を切らせていただきますが、採用して配属になって、そのあとミッドキャリアまでずっといくと思うのですが、配属された部署といいますか、三菱商事としてはどのような部門の分かれ方をし、そしてその部門の中で育っていくのか、それともクロスでいくのか、いかがでしょうか。
○藤田人事部長 それは、1頁に事業グループが8つあります。基本的には、大体ここの単体の人数比に合わせて新入社員が割り振られるという構造です。ちなみに、これは全然事業の仕組が違うものですから、この辺りから少し脱線しますが、総合商社を志望する学生さんたちの特徴は、例えば途上国でインフラ、でっかいこと、これは1つのグループです。わりと、体育会系の学生に多いです。それから、生活産業や新産業金融事業グループのように、投資先がたくさんある会社で、なるべく早く経営者になりたい、これがセカンドのグループです。3番目は、法務、リーガル、財務、経理。つまり、専門性を生かして少しグローバルな領域で自分なりのアイデンティティ、職業を構築したいと。4番目は、総合商社は人気も高いし格好よさそうだし、女の子にもてるのではと、受けにきた、好印象学生のグループで、それぞれの特性を見つつ、この事業グループに配属をしています。グループ間の異動は、大体年間交流も含めて100件ぐらいですので、基本的には縦の箱の中で育っていきます。
 ただ、機械グループといっても、自動車もあればプラントもあれば、船もあれば、宇宙航空機もあれば、いわゆる産業機械、製鉄機械もある中で、それぞれビジネスモデルも違いますし、お客さんも違います。いま私どもで奨励しているのは、このグループの中で本部を超えて交流というのが、大体全社で年間300人ぐらい毎年異動ということで、グループの中で本部を超えて、少し商品領域、事業の仕組も違うものですから、そこで育っていただくというのが基本的な人材育成の体系です。
○伊藤委員 新卒に非常に力を入れて教育されていることはよくわかったのですが、最後のほうにも少し出ていたのですが、従来の阿吽の呼吸や察して動くというのは通用しなくなりつつあるとおっしゃっていました。たぶん、ほかの多くの会社は、こういう手厚い人材育成ができなくなってきていて、だんだん余裕がなくなってきている状況だと思うのですが、三菱商事さんのグローバルに展開されている目から見て、例えばこのように日本で採用して育成されて新卒で入ってきた社員と、海外で採用している人は、たぶんこういうキャリアパスに載っていないと思うのですが、その2つのグループをどのように融合させていくのかというお話と、新卒で入ってきてキャリアを積んできている社員と、中途採用の関係を少しお願いします。
○藤田人事部長 わかりやすいところから言いますと、日本人の中途採用は、実は先ほど従業員が約6,000名弱と言いましたが、2000年から合計してもまだ250名ぐらいしか採用していません。ただ、昨年から60名ぐらいの規模で、これを5年ぐらい続けようとしています。ですので、キャリアの皆さんへの導入の仕方、研修は、やっと緒に就いた状況です。
 一方、これはどの日本の大企業も同じだと思うのですが、私どもは1995、6年から2004、5年まで非常に厳しい時代が続きまして、採用を絞っていました。それが、人口ピラミッドから言いますと、まさにチームリーダーの手前ぐらいがごっそり人がいないという状況です。ですので、そこの人員の量を充実させようということで、向こう4、5年は60名規模で何とか300名採用しようと。そうすると、全部合わせて500名を超えるという中で、やっと総人員の日本人に占める中で言うと、10%になると。ある種のサムシングなインパクトになるのかなと思っています。
 なるべく馴染めるように、1年間はアドバイザーを付けますし、新入社員で入ったら同期だという人間たちと意識的に交流を持つような機会をもちます。それから、アドバイザーあるいはBU長と人事部がコミュニケーションを取って、きちんと馴染んできているかというようなコーチングのようなセッションを入れて、普通の研修はやるのですが、そういうものをやりつつ、組織に馴染んでいただこうとしているのがキャリアの人たちです。
 それから、海外は、正直言いましてもう少しハードルが高いです。そういう意味で言うと、本体の中が大きくダイバーシファイしているわけではなく、先ほどノン・ジャパニーズは100名ぐらいで、多いのは中国、韓国、台湾で、やはり日本語の壁が大きいものですので、ある程度日本語の読み書きができる現地のスタッフということにどうしてもならざるを得ないのが現状です。ただ、少しずつ数が増えていますので、そういう人たちもキャリアの人たちと同様に、ここに来たらアドバイザーが付いて、皆で寄ってたかって育てていくというような、結構温かいアプローチをしています。ただ、いちばんチャレンジングなのは、日本語を読むことも書くことも話すこともできないノン・ジャパニーズな人たちが、東京本社でどれだけできるのかというのは、未だになかなか難しい問題で、あまりうまい解決策がないのが現状です。
○小杉委員 2つ質問があります。1つは、よく言われるのですが、日本企業は人材育成にお金をかけなくなったという言説があるのですが、それは本当だと思いますか。2つ目は、来る学生さんには4タイプあるという話と、採用で基本的に問うものは、この三角形の図ですよね。4タイプと三角形の図との関係は、どうなっているのでしょうか。
○藤田人事部長 最初のご質問ですが、2000年前後に日本企業はITバブルが弾けた辺り、いわゆるバブル崩壊から結構リストラ、リストラで、いちばん削りやすいのは研修の予算です。そういう意味でいいますと、三菱商事もここ数年非常に業績がいいので、研修にかなりお金をかけていますが、その時代はとにかく利益を上げるためにキチキチでやっているので、人を育てるのにある程度人の余裕も必要で手間もかかります。その中で言うと、正直お金をかけなくなったということよりは人の余裕がなくなっているというのが実態ではないでしょうか。各社ともに、人材育成そのもののプログラムは最近皆さん一生懸命やっていますが、結局は研修よりも実は現場で育てることの効果が7〜8割大きいのに対し、そこに余裕があるのかどうかという部分がいちばん大きいのかなという意味でいいますと、ここは昔に比べればかなりレベル的には下がっているのが実態ではないかという気がします。
 2番目の質問ですが、先ほどプロトタイプで4タイプと申し上げましたが、4タイプとも基本的には知のレベルはある程度のレベルを求めています。それから、三綱領という意味でいいますと、儲かれば何でもいいのだという意味での、インテグリティの部分を感じさせないような人は採用しないようにしています。あくまで学生さんは素材ですので、やはり一皮、二皮剥けていってもらうためには、ある種の最後までやり抜く要素は、タイプはいずれにせよ求めているのが実態で、そこはそれなりにできているのかなという気はしています。
○鶴委員 7頁ですが、採用の前に「信」と「力」とあって、いくつかのポイント、哲学、品性、謙虚さ、誠実さ、タフネス、忍耐力、共感力と書かれています。これは、前の段階でこういうものを身に付けているのは、非常に求められているということだと思います。こういった力は、私はなるほどと思うのですが、企業に入るまでの段階でこういうものが非常に重要だということが、教育の現場でどれぐらい意識されているのでしょうか。入ってこられる方で、逆にこういうものを持っていると思われるのは、一体どういう要因でそういうものを持つ人間になっているのか。たぶん、親から引き継いだもともとの潜在的なもの、それか家庭環境なのか、それとも学校教育、小、中、高、大学。そこは、お話の中で、海外に生活された方も多いということで、そういうものももしかしたら関係があるかもしれませんし、運動部というお話も出ていたので、実はそういうところでこういうものが養われて、昔からもそういうことは言われるわけですが、人間形成としては重要なものを持っているという、再評価できるのか、できないのかということもあるのですが、その辺りはどのような形でお感じになられているのかを教えていただけたらと思います。
○藤田人事部長 基本的には、いまおっしゃったように、家庭環境や育った学校で、勉強というよりはむしろクラブの活動や自分が所属する組織の中でしんどい思いをしたり、異文化に触れたり、その中で何とか自分なりのスタイルや考えを固めていくという成長のプロセスを経ている学生さんということを、面接員にはガイダンスをしています。ファクトという意味で言うと、大学時代の4年間の過ごし方に、こういう要素が入っているのかどうかを質問の中から見極めていただくようにしています。確かに、さまざまです。必ずしも、全員が体育会ということではないです。ただ、早いうちに挫折ではないですが、乗り越えなければいけない壁を何らかの形で越えてきたとか、失敗をしたと。しかし、何かを達成したというものを持っている人間は、我々から見るとこういう素養があるのではないかなという感じです。
○森永委員 全体で、グループ企業を入れると6万人近くの社員がいらっしゃって、その中で藤田さんがおっしゃっているコア人材は何人ぐらいを占めているのでしょうか。例えば、私の大学からは三菱商事にダイレクトに入るのはほとんど不可能に近いのですが、三菱商事の子会社は入れるのですね。その子会社に入った人は、こういったすばらしい教育訓練を受けるチャンスがあるのかどうかを教えていただきたいのですが。
○藤田人事部長 最初のご質問のコア人材は、いくつかのグループに分けています。海外の現地法人に3,000人ぐらいいます。それは、登録制にしていまして、要は本社で認知すべき人は、大体300人ぐらいで、10%ぐらいです。そういう意味で、国内、海外の事業投資先は、実は10%もいないです。もっと絞り込まれます。ですので、4万人いたら、たぶん数百人というレベル感だと思います。我々がコア人材と認定する意味は、本体のプロフェッショナル以上が6,000人中半分弱いますから、それに海外の300人、国内、海外、事投先の700〜800人ぐらいが、全体でみたコア人材のイメージではないでしょうか。
 それから、MCの子会社には、研修のプログラムは提供しています。これは、実はヒューマンリンクという人事部の子会社が、特に国内の事業投資先には、制度のコンサルや研修のプログラムを提供するということで、先ほどの研修の一覧の中にも国内事業投資先向けがあります。昔は、こういうものも充実してなかったのですが、結構そこは少し充実しつつあるかなという状況です。
○森永委員 そうすると、世界に打って出てグローバルに活躍したい場合は、やはり三菱商事本体に入らないと難しいということですか。
○藤田人事部長 ビジネスにもよりますが、基本的にはやはりそういうことだと思います。ただ、現実にいま起きているのは、トレーディングの比率が少しずつ減っている中で、例えば化学品を例に取りますと、プラスチックのビジネスは、三菱商事プラスチックという子会社でやっています。最初は、国内だけがメインでした。ところが、そのうち海外にも出て行ってやるということになって、現実には三菱商事プラスチックの社員が三菱商事の拠点に、全部合わせて10名ぐらいは海外で頑張ってもらっています。300人ぐらいの会社で10名ぐらいは出ているという例は出始めていますが、マジョリティはそうではないです。
○白木委員 9頁に、グローバル研修生が3種類あるということなのですが、1番目と3番目です。上の地域のグローバル研修生は1958年から非常に長い歴史を持っているのですが、下のトレイニーは2008年からで、これは事業投資先に行っているかどうかの違いが大きいと思うのですが、事業投資先が増えてきたことによって新しい概念を作られたということですか。
○藤田人事部長 1958年からのものは、語学の研修がメインなのです。特殊語学の学校に1年間通って、そのあと実務研修を付けて大体2年ぐらいのプログラムを、年間20〜30名やります。一方、いちばん下のトレーニーは語学などはあまり関係がありません。とにかく、いろいろな拠点あるいは事業投資先に若い人を早く出そうということですので、あまり語学にフォーカスを当てていないという意味で、期間も短いですし、数もたくさん出せます。
○白木委員 年齢的には、同じぐらいですか。
○藤田人事部長 年齢は同じぐらいです。
○白木委員 20代後半ですか。
○藤田人事部長 20代後半です。
○佐藤委員 7頁の右上の採用の「知」のところで、先ほど大学の教育をどう考えるかで、クラブ活動の話や、大学時代の挫折などの経験をどういうように乗り越えてきたかというお話がありました。地頭のところで、1つは大学では極端にいえば勉強しなくていいよと、いろいろ経験積めばというのか、もう1つ、勉強しなさいといったときに2つあって、1つはどういう専門をではなくて、例えば哲学でもいいですが、自分の頭で考えられるというようなことをやってくれば、哲学であろうが経済学であろうがというのと、もう1つは経営学をきちんと勉強してとか、勉強もやはりうちの事業に結びついた勉強を大学でしろと。たぶん、もっとあるのかもしれませんが、地頭で言ったときにどれが近いのですか。
○藤田人事部長 実態は、例えば経済学部、法学部、早稲田でいえば政経、商、この学部の学生さんたちでも9割ぐらいでしょうね。ですので、正直言えば成績は良いに越したことはないです。ただ、ここに少し書いてありますが、基本的には専門知識は会社に入って学ぶという整理にしていますので、そういうものに耐えられる地頭という意味ですから、ある程度知的訓練を経ているという意味で言うと、きちんと勉強してもらっていたほうがいいに越したことはありません。
○佐藤委員 きちんと勉強しているというのは、大学なので、Aがいくつというのではなく、やはり自分の頭になれるような人材を採りたいということがあるのかどうかでね。
○藤田人事部長 それは、例えば課題がどこにあるかというWhatを構築できる能力で、Howがその次にくると言われますが、問題・課題の論点を整理したり、いろいろな多角的な方向から解決策を考えていく知力が、正直言えば私どもにとってはすごく欲しい部分です。それから、ベースの知見としては、マクロの経済や世の中の動向については、ある程度知っておいて欲しいと思います。
○樋口座長 私も体育会の部長をやっていまして、毎年お世話になっているのですが、スター選手だから行くということよりは、むしろそういったものを育てる縁の下の力持ち、あるいはそれを戦略としてチーム全体を動かすような、ただ本人は必ずしもプレーするとは限らないというのが、どうも入っているのかなという印象を持っていますが、いかがでしょうか。
○藤田人事部長 全部が全部そうではありませんが、よくクラブでいう主務という人ですよね。折衝、渉外、先輩、OB、後輩、いろいろな面倒をみて、ある種の仕事を進めていくのが、学生時代の経験として、我々から見ると会社に入っての仕事のやり方に非常に近い部分があります。その中で、本人もいろいろな所で叩かれて磨かれていますから、スタープレーヤーよりはそちらのほうがチャーミングに見えるというのは、現実だと思います。必ずしも、全部が全部そうだということではありません。正直に言うと、そういう人間が多いです。ゼミでいうと、ゼミ幹、クラブでいうと主務とか多いです。
○樋口座長 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。非常に有益なお話をいただきまして、誠にありがとうございました。我々は、この雇用政策研究会で今後考えていくうえで、参考にさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
(藤田人事部長退室)
○樋口座長 それでは、これから後半の部分の所で、事務局から前回の積み残しの部分がありましたので、それも含めて、論点、資料等について説明をいただきたいと思います。お願いします。
○武田雇用政策課長補佐 それでは、事務局のほうから資料の説明をしたいと思います。資料2をご覧ください。資料3に「若者雇用戦略の骨子」というのがありますが、これは、政府のほうでは、政労使、それから、有識者の方々に入っていただいて、雇用戦略対話のワーキンググループの検討を行っています。その第4回の会合が5月15日に行われまして、そこで出てきた骨子が資料3です。こうした検討が行われていますので、今回はそれを踏まえた形で資料2の論点を提示したいと思います。
 まず、1点目の「総論」ですが、検討の方向性として、雇用情勢の影響を受けやすい若者の雇用機会の拡大を図るための方策としては、地方での起業・社会的企業の支援等の推進が考えられるが、どのように推進していくべきか。また、我が国経済が不透明な中で、若者の雇用機会の拡大を図るためには、政労使一体の取組みも必要であるが、採用活動の自由がある中で、企業に対してどのようなことを求めていくべきか。さらに、企業の若年者採用意欲を喚起し、良質な雇用を生み出すための具体的な支援策にはどのようなことが考えられるか、というものです。
 また、2点目として、「機会均等・キャリア教育の充実」です。1点目は、キャリア教育の充実として、学校から職場への円滑な移行を促す「キャリア教育」のさらなる充実を図るために、労働政策の観点でどのような支援が必要か。また、インターンシップ普及のためのガイドラインの見直しにあたっては、労働行政の観点でどのような点に留意が必要かといったことです。
 さらに、2頁目をご覧いただきます。大きな柱の3番目、「雇用のミスマッチ解消について」ということで、学校とハローワークの連携強化としまして、大学とハローワークは、これまでもジョブサポーターの大学への出張相談などで効果を上げてきたが、大学とハローワークのさらなる連携を図るために、どのような支援体制、支援策の充実が必要か。また、大学、学部ごとの就職率の格差を是正するため、労働行政にはどのような支援が求められるかといった点。また、中小企業とのマッチング支援ということで、学生の大企業志向により、中小企業とのミスマッチが指摘されているが、学生の目を中小企業に向けさせるための措置はどのようなものが考えられるか。また、中小企業には採用意欲はあるが、学生の認知度が低い企業も多い。そうした企業の採用活動を支援するにはどのようなものが考えられるか。企業とハローワーク、大学等の一体的な取組みとしてはどのような仕組みが考えられるか、というものです。
 さらに、学生と企業のマッチングを図る仕組みとして、どのようにジョブ・カードの活用を図るべきかといった問題です。
 また、既卒3年新卒扱いの標準化です。前回、企業の6割がこういった制度を持っていると紹介しましたが、この標準化、一般化、パーセンテージを高めていくためにはどのような手法が有効であるかです。
 また、その他の論点としまして、現状、大学で修得する学問と従事する職業には、特に文系においては関連していない場合が多いが、関係性を強めていくのか、また、その場合就業教育、人材育成の観点からどのような支援が求められるかという点。また、企業の求める人材像と未就職で卒業を余儀なくされる方の能力を接続するため、どのような就業支援が求められるかという点。
 また、最後の柱「キャリア・アップ支援」としまして、1点目は、新卒一括採用に乗れなかった非正規労働の方を含む若年労働者等のキャリア形成に対して、どのような支援が有効であるか。一方で、正規雇用で働く若者についても、様々な職業能力が求められる中で、本人のキャリア形成に関するニーズも踏まえつつ、どのように能力開発を支援するのが効果的であるか。こういった点につきまして、今回は積み残しということで、議論をいただけると有難いと思います。
 また、「日本の雇用環境等に関する参考資料」ということで、参考資料1をご覧下さい。これまで、過去2回の当研究会においてご発言があった中で、資料として用意できるものを用意致しましたので、簡単に説明したいと思います。1点目は、第1回に森永委員からご指摘があった未婚者、特に男性の未婚者、生涯未婚者が増えているという点。実線になるほど、最近ということですが、左側の水色の部分をご覧いただくとおり、生涯未婚である方が増えている状況です。
 2頁目が、これは初職の正規、非正規の別で結婚経験がある方の割合を示したものです。30代前半では、深い緑色が、初職が正規ですが、5割以上が結婚しているのに対し、非正規の方は30%強に留まっています。
 3頁目、男女別雇用者数と常用雇用者数の推移です。これは、阿部先生から男性と女性の雇用という意味で男性のほうが厳しいのではないかというご指摘をいただいたので、ご用意した資料です。実線が全体の雇用者、点線が常用となりますが、赤いほう、女性は常用も全体も増えているのに対して、男性はどちらも比較的低下傾向です。
 次の4頁ですが、これは正規と非正規、正規が青、非正規が赤で、全体の雇用者数の前年比を要因分解したものです。全体的に、男女ともに非正規が増えて、このところ特に正規が減っているのが大きな傾向です。男性の部分について、リーマンショック後、正規、それから、2009年には非正規も、両方とも減るという形で、雇用者数が前年比でかなり減少していますが、女性のほうは横ばいか増えている状況です。ただ、女性のほうは特に非正規が増えて全体が増えている状況になっています。
 また、右側、産業別で見ていますが、製造業は男性、女性ともに雇用者数が減っています。サービス業については、特に医療、福祉、真ん中から少し下ぐらいですが、女性が135万人増に対して男性は46万人増ということで、女性が大きく増えています。
 5頁、男女別の失業率の推移です。1998年以降、男性のほうが女性より失業率が高い状況でして、2010年、直近は男女差が広がっています。
 6頁です。阿部先生が、事前にご説明に行った際に、高年齢層において自営業主、それから家族従業者が減っているのはわかるが、若い層も減っているというご指摘をされましたので、その資料です。青いほうが2000年、赤が2010年ですが、確かに若年層においても自営業、家族従業者が減っています。
 7頁、男女別の大卒就職率の推移です。これは橋本先生のところに事前に説明に行った際にご指摘がありましたので、ご用意しています。バブル崩壊後、女性と男性で就職率にかなり差がありまして、その後、景気がいい時期は大体同じぐらいの傾向でしたが、今年は男性と女性でまた差が出ている状況です。
 8頁。前回、新卒一括採用について多くの先生方からご指摘がありましたので、これは再整理をした資料です。まず、上に定義を書いています。新卒一括採用は、新卒者を年度初めに一括して採用する慣行のことを指していますが、しばしば、職務を限定しない雇用契約による採用という意味も含めて用いられるということで、後段の部分を追加したものです。真ん中の「職務を限定しない雇用契約による採用慣行のメリット・デメリット」、これは新たに追加したわけです。これは日本的雇用慣行と同様のものだと思いますが、企業内で業務が縮小した仕事についていた者も、職務が固定されていないため企業内で移行がしやすいというものです。一方で、転職や離職が余儀なくされた際にはそれまでのキャリアが評価されないデメリットがあります。
 さらに9頁。学生が企業を選ぶときにもっとも重視した条件で、いちばん大きいのはいちばん上の「業界・業種」ですが、薄い黄緑色のほうが採用活動が一定程度進んだ時期で、採用活動が進むにしたがって減少しています。ただ、「勤務地」とか「職種」は「大学の専門分野」よりは高い割合であると。一方で、「一緒に働きたいと思える人がいるかどうか」というのが、採用活動が進むにしたがって増えています。
 それから、10、11頁。前回、玄田先生が、求職者支援訓練、それから、雇用促進税制についてご発言をされましたので、用意した資料です。求職者支援訓練の実績としましては、制度創設の去年10月から今年3月までに50,811人が受講して、こちらに書いてあるような対象者を対象にしています。11頁は、雇用促進税制です。昨年4月からスタートして、計画の届出を受けつけています。制度としては、雇用保険の一般被保険者数を5人(中小企業は2人)以上かつ10%以上増加させることが条件でして、その場合、?にあるとおり、雇用増加数1人あたり20万円を税額控除するという制度です。実績ですが、4月27日までに全国で28,000社です。それから、被保険者の増加目標としては、実績はまだ出ていませんが、20万人弱の労働者の採用を予定しています。
 さらに、最後の12頁です。前回、三菱UFJリサーチ&コンサルタント社に委託した調査について報告しましたが、一部新たにクロス集計を行ったものを追加で説明するものです。左に、「増加・横ばい」「海外なし」と書いてありますが、これは海外の従業者数を増やしたか、減らしたか、海外部門がないかという部分です。それで、真ん中のグラフ、赤、青、黄緑となっている所は、これは国内をどうしているかというものです。製造業の大企業、中小企業もですが、下のほう、過去3年、海外の従業者を増やした所は減らした所よりも増加が横ばいと、青と赤の割合が高くなっていまして、減少させた所は黄緑色が多くなっていますし、海外部門がない所も減らしたとするほうが多い。逆に言えば、海外を増やした所は、減らした所が、ないという所も少ない、そういう状況です。今後につきましても、特に中小企業については、増加・横ばいという所は、今後減らすという所はなくて、増加・横ばいであるという所がほとんどになっています。
 さらに、参考資料2ですが、インターンシップについての基本的な考え方で、最初に説明した論点の中で、インターンシップのガイドラインについてふれていますので、参考に配らせていただいたものです。以上でございます。
○樋口座長 ありがとうございました。質問をどうぞ。
○佐藤委員 8頁の、新卒一括採用の所で、今回、職務を限定しない雇用契約という意味があることをつけ加えた所です。職務を限定しない雇用契約だから、メリット・デメリットの所で、転職や離職が余儀なくされた際にはそれまでのキャリアが評価されづらいと、ここなのですが、職務を限定しないで採用していることと、企業に入った後、一定の業務なり職務なりを考えた育成をしていないか、活用していないかというのは別なのですね。ですから、例えば30代半ばぐらいまでに転職を考えると、私は営業畑ですとか、経理畑ですとか、あるいは、ずうっと購買をやっていましたと。多くの人は職能領域の中でいろいろな仕事を経験しているという実態がある。そして、採用の仕方と実際の企業内での能力の育成の仕方が全然無茶苦茶に、営業をやった後、経理の後、人事に行くみたいな、こんなことはやっていないので。ですから、ある範囲内で育てていく。だけど、いざ無くなったときに異動させ得る余地はあるわけですね。そこら辺の書き方を注意していただけたらいいかと思います。
○樋口座長 後でまたご議論をいただくことにしたいと思います。本日は文科省の平林生涯学習推進課長にお越しいただきまして、文科省の、若者の雇用というか、教育の取組みについて、少しお話をいただきたいと考えています。今日、中でも平林さんに来ていただいたのは、若者の就労支援に関して、社会人、特に正社員として働いているような方についても、学び直しというようなことについて、文科省は強く関心を持っていますし、また、我々も持っていますので、その点について特にお話をいただきたくて生涯学習推進課長にお出でいただいたので、ご説明のほどをよろしくお願いします。
○平林生涯学習推進課長(文部科学省) 本日は、時間を取っていただきましてありがとうございました。お手元に資料4と、机上配付資料として「成長分野等における中核的専門人材養成について」「専修学校における単位制・通信制の制度化」の3種類の資料をお配りしております。
 資料4でご説明します。1頁をご覧ください。大学・専門学校等においても、産業構造の変化や社会の成熟化等々から、社会人の学び直しは非常に重要であると思っており、私どもも生涯学習の観点からもその促進を進めることが重要な課題と認識しております。
 ただ、その際にいろいろと課題はあるだろうと認識しております。例えば、これはアンケートですが、資料4の9頁をご覧ください。左側ですが、学修する際に課題はないかと聞いた場合に、そこにあるように「勤務時間が長くて十分な時間がない」「費用が高すぎる」「職場の理解が得られない」「処遇の面で評価されない」といった、学修する側としての障害が認識されているということです。他方、右側ですが、学習した場合にその成果を活用するとか、あるいは学習活動の証明を得たいといったことによって、通用性を得たいというご要望もあり、資格なりを取って、それを職場などで処遇面などで評価してもらいたいといった課題かと思います。
 11頁では、業種、あるいは職種に応じてそこで求められている知識の内容がさまざまであるというデータが示されており、業種や職種に応じていろいろなニーズも踏まえる必要があるだろうと思っております。
 1頁に戻ります。そういった課題にきめ細かく対応していくことが必要だろうと思っており、アクセスの確保、あるいはプログラムの通用性を確保するといったことが必要かと思っております。文部科学省においても、これまでも施策を進めており、21頁ですが、社会人の特別入学者選抜をしたり、昼夜開講制、科目等履修生制度、大学院などに通信制を導入する等々の制度改正も進めてきたわけですが、より一層取組みが必要だろうと思っております。
 1頁に戻ります。いろいろな課題がある中では、地理的な、あるいは空間的な制約を除去したり、時間的な制約も除いていく努力が必要であろうということで、1つ考えられるのはICTの活用、通信教育を活用することによって時間的・地理的な制約を除いていこうということです。あるいは、最近では履修証明制度を導入したところですが、こちらについては22頁に簡単に概要を付けました。先ほども、アンケート等では学習の成果をちゃんと評価してもらいたいというご要望がありましたが、この履修証明制度は平成19年に制度化したもので、大学において一定の要件を満たした場合、総時間数120時間等々の要件を満たした者については、正式に「履修証明書」を交付して、短期のプログラムの開発を進めていこうということで、こういった制度化をしております。
 そういった試みで、取組みを今後進めていかなければいけないだろうと思っておりますが、特に社会人の学び直しの観点から、教育界だけでなく、産業界等のニーズもちゃんと踏まえる取組み、教育界と産業界が協働して取り組むことが重要であろうと思っております。大学院レベルで言うと、特に企業人材の高度化についてのご要望、例えば学び直しといった点ではそういったご要望があります。
 2頁ですが、今月7日に「産学協働人材育成円卓会議」において、産業界と大学それぞれリーディングのメーカー、企業、大学の関係者が円卓会議として、お互いに今後の日本をリードしていく人材をいかに育んでいくかを議論されました。その中のプランが5月7日に出されていまが、それぞれ企業や大学の取組みをアクションプランとしてまとめたものです。その中においては、企業人材では高度化についての要求があるけれども、大学においてそれに相応しい人材が養成できていないのではないかといったことで、産業界と大学が協働してイノベーション人材育成のための取組みが必要だということで、アクションプランにおいては社内の研究者の学位の取得を支援すること、あるいは共同研究に従事しながら学位を取得できるようなプログラムを開発していこうといった取組みを、お互い頑張っていこうという議論がなされました。
 一方、特に中間層の育成も大きな課題になっているかと思いますが、そういったいわゆる成長分野、医療、保育、観光、IT等々の分野においても、まだ見直しがあれば、在職者もあれば離職者ということもあろうかと思いますが、そういった分野に人材を異動、あるいはそこでのブラッシュアップも大きな課題であろうと思っております。こちらについては、参考の3頁ですが、「成長分野における中核的専門人材養成の戦略的推進」ということで、そういった分野において同じように、専門学校が中心になっておりますが、学校側とそれぞれの分野における企業とがお互いにコンソーシアムを組織し、そこでそれぞれの分野、具体的には4頁の医療等々の分野において必要とされるような人材、あるいはそれぞれどういった知識・技能・技術が必要かといったことを明確化し、具体的にモデル・カリキュラムを策定したり、それをどのように評価していくかという仕組みを検討していただき、産学連携してこういった分野における人材の育成を図っていこうということです。これは具体的な予算事業として現在取り組んでおります。樋口座長に私どもの会議でも座長を務めていただいております。
 この取組みも、先ほど専門学校を中心に取り組んでいるということがありましたが、参考資料の「単位制・通信制の制度化」で、ユニット単位で社会人が学びやすくしていくことが重要だろうということで、いままでは専修学校は単位制ではなくて、通信制もなかったわけですが、新たに単位制・通信制を今年度から制度化して、より社会人が学びやすい体制を作っております。
 この関連では、「成長分野等における中核的専門人材の養成について」という基本方針の38頁ですが、「復旧・復興を担う専門人材の育成について」という予算事業を専門学校等を中心に行っております。こちらも被災地において一体どのような雇用が要求されるかを踏まえ、特に被災地においては、40頁ですが、特に専門学校への進学がもともと高いということもありましたので、専門学校を中心に必要とされている職種、介護あるいは自動車の組込技術といった分野についての専門人材の育成を、産学連携で現在取り組んでおります。
 産学連携の点では、資料では触れておりませんが、先ほどアンケートの中で「勤務時間が長くて十分な時間がない」といったアンケート結果もご紹介しましたが、16頁で、大学における社会人の入学者の推移のデータがあります。いちばん多いのは公開講座の部分で、それ以外のいわゆる正規の部分は、公開講座には5万人ほどの学生がいるのですが、短期の公開講座には100万人の受講者がおります。もちろん社会人とかいろいろな属性もありますし、公開講座の内容もいろいろあるかと思いますが、こういった時間的な制約なども企業側でもご配慮いただければ、さらに社会人の受入れも進んでいくのではないかと思っております。
 もう1点、資料4の5頁ですが、若者の雇用を確保するといった点を考えた場合には、基本的には若者に経済状況にかかわりなく教育の機会を確保し、保障することが重要かと思っておりますので、奨学金の充実といったことを私どもも取組んできました。
 また、6頁ですが、本年度から特に家計が厳しい学生を想定し「所得連動返還型無利子奨学金制度」を設け、卒業後一定の収入を得るまでは返還を猶予する制度を設けて、できるだけ学ぶ機会を確保するといった施策も併せて推進しております。以上です。
○樋口座長 それでは、先ほどの厚労省の説明及びただいまの文科省の説明を踏まえて、ご質問、ご意見がありましたらお願いします。
○佐藤委員 資料2の論点で、インターンシップや中小企業のマッチング支援、学校とハローワークの連携強化はそれぞれ大事ですが、これがワークするためには、予算をつけて人を配置すればうまくいくわけではなくて、ソフトのところがすごく大事だと思っております。それぞれ詳しくお話できませんが、例えばインターンシップについて言うと、趣旨は在学中に就業経験、インターンシップすることによって働くことについての意識を高めたり、職業選択についての考え方をしっかり持ってもらうという趣旨だと思うのです。それをやるためには受入企業がなければいけないわけですが、一般的に企業にお願いするときに、1つは「社会貢献ですから、やってください」、もう1つは「インターンシップで受け入れた学生の中で、良い人材が採用できますよ」と、2つぐらいのことを言って大学の側がお願いするわけです。そうすると、本来の趣旨は就業意識も明確でないし、どんな所に勤めようかわからない学生に行ってもらうほうがいいのですが、大学としてはお願いして行ってもらうわけです。そうすると、「こんな学生送り込んできて」とか言われると困るわけです。全部の学校がそうだとは言いません。あるいは「インターンシップを受け入れているから、何か選んでもらっていいですよ」とか、そういうことも含めて手間暇かかるような学生を忙しいのに受け入れているのにとか、ひどいのばかりでと。でも、実際は就業意識がはっきりしていたり、どこへ行きたいという学生はインターンシップを受けなくてもいいわけです。
 そういう意味で、実際上どうなっているかというと、送り出している大学側が授業をやり、かつ選んで、企業に怒られないような学生を送り出す大学も少なくないのです。本来インターンシップを受けてほしい学生を出せないような大学は結構多いのです。そこをどうするかということで、1つは受入企業側のメリットを少し打ち出さないとなかなか広がらない。そのときに、確かに採用できるということもあるのですが、小杉さんと前にやったときの研究ではっきりしたのは、受入側のメリットは何かというと、インターンシップ学生を直接指導した、例えば2週間なり3週間受け入れた、これは受入方にもよりますが、企業の側も正社員採用に絞っているので、勤続3〜5年でも下に新人が入ってこないような人はたくさんいるのです。
 ですから、入社5年だけれど、毎年春になると花見のアレンジか何かをやらされるとか、そういうことばかりやっている人も結構いるのだけれど、インターンシップを受け入れると、2週間や3週間であっても教えなければいけなくなる。そうすると、実際いろいろな調査をやってみると、受け入れた社員の側のプラスはすごく大きいのです。それも実質的にわかっているわけなので、企業側に説明するときに、受入担当の若手社員にとってプラス、もちろん学生にとってプラスになるのです。そうすると、受入社員の側にプラスになることが打ち出せると、何が大事になるかというと、よく送り出す側の学生に行った経験を書かせたりするわけです。受入側の社員にどういう受入れプログラムを作り、どうやって教えて、どこがうまくいかなくてという受入れプログラムを受入学生に作らせ、その中で課題を出させて、どう教えたというものを書かせることはすごく大事になってくるわけです。そうなると、手間のかかる学生を送り込んだほうがいいわけです。出来のいい社員は採用してくるのですから、手間暇がかかる学生に来てもらったほうがいいのです。そのようにすると、本来インターンシップを受けてもらいたい学生も送り出せることになる。1つの例ですが、どのようにこれを回していくかというのは、すごく大事になるのかなということが1つです。
 文科省の方に伺いたいのですが、学び直しと言ったときにいろいろなバランスの話があって、高卒の人が大卒の資格を取ろうとか、中高年の方がパワーポイントの使い方を勉強するのに専門学校に行くのとか、いろいろなものがあって、これから大事なのは、大学を出た人が、10年や15年企業内で働いてきた人がもう一度きちんと、ハウ・ツーではなくて、理論的にいままで実務経験で学んだことを理論的に整理し、ですからすぐ役に立たなくいいのです。すぐに役立たないようなことをやれるような、そういう意味では大学院だと思うのです。ところが、社会人大学院は増えないのです。なぜ増えないのか。これは忙しいということなのか、すぐ役に立つ、評価してほしい、でもすぐ効果が出ないことをやることが実はすごく大事なのだと思うのですが、すぐ効果が出ないと困るみたいなアンケートの結果が出ている。
 何が言いたいかというと、学び直しを少し分けた上で、いろいろなものはそれぞれ大事なのですが、大学を出た人たちが少し高度な専門知識を付ける。それをやったからすぐ役に立つというわけではなくて、5年や10年の間役に立つようなことを勉強するのは大事だと思うのです。ただ、そこは広がっていかない。これをどう広げたらいいのかなということで、もし何かコメントを伺えればというのが2つ目です。
○樋口座長 インターンシップはいろいろあって、佐藤さんがおっしゃったのは、学校と企業がタイアップして考えていくようなインターンシップということだと思います。中には企業が独自にインターンシップという名前で応募を各個人にして、そこでインターンシップをするという両方あって、前者の大学とのタイアップでの問題点ということだと思います。
 後者のご質問は文科省にということで、資料4の9頁に関連するご質問でしょうか。
○佐藤委員 19頁ですね。人数が1万7,000人ぐらいでずっと変わらないと。
○樋口座長 これをどう考えていますかと、あるいはご提案はありますかということだと思いますが、いかがでしょうか。
○平林生涯学習推進課長 いろいろと社会人が学びやすいように制度改正を、先ほど冒頭にこれまでの制度改正という意味でご紹介しましたが、昼夜開講制とか、入試も社会人向けにも考えたり、説明はしませんでしたが、職業を持っている場合には修業年限もフルタイムで通う学生と同じようには修業できないだろうということで、長期にわたっても履修できるようにしようとか、直近ではそういう履修証明制度といったものは短期の部分でのプログラムの要求はあるだろうと。その内容も、産業界なりの意見を聞きながら、プログラムを組んでいくようなスキルアップを図っていくといったこと、22頁に履修証明制度の具体的な、どういった分野かということでいくつか、どちらかというとそれぞれの分野において求められている知識・技能等の獲得を目指すといったことをやってきたものです。
 大学院については、ご存じのように専門職大学院も導入して、高度専門職業人養成に特化して実務的な教育をやっていこうという形で導入しました。その際も、修業期間を短くしたり、長くすることも可能にしようという形での取組みをやってきていますから、制度的にはきめ細かくやってきたのではないかと思っております。
 ただ、その上でも一方では産業界なりのニーズを汲んでいく必要があるだろうということで、産学連携の取組みを促進するといったことは引き続き必要なのではないかと思っております。確かに、職業に直結する、今後のキャリアアップに直結する場合には、どちらかというと専門学校といった種別によって使い分けていくことも今後必要なのかなと思っております。なかなかずばりお答えするのは難しいのですが、以上です。
○小杉委員 4点お話します。いまの話にかかわるところで、また検討の方向性の中の「その他」の職業レリバンス(Relevance)の話にかかわるところですが、文系において関連していないという話です。先ほどの三菱商事の話でもわかるように、関連の仕方はかなり深いところでの関連と考えるべきで、そういう意味では今回文科省の高等教育局の方が来ていらっしゃらないので、高等教育がいま目指している答えのない課題に対する最善解という方向性と、この辺の話は一致するのではないかと思われます。ただ、大学院の話がありましたが、課題はむしろ学び直し、あるいは社会人が必要とする能力を最初の若い時代の大学ではなくて、もう一度学ぶための機会をちゃんと提供できているのか。文科省も一生懸命やっておられると思いますが、例えば先ほどの三菱商事は、ハーバードには年間100人も出しているのです。それが日本の、ここにいらしている大学のようなビジネススクールには出していない。そこをどう考えるのか、なぜ大学は市場はあるのにそれを取りに行こうとしないのかというところで、大学院レベルでのレリバンスを最も考えるべきではないかと思います。
 2点目はインターンシップの話です。在学中のインターンシップは、基本的に「インターンシップの推進にあたっての基本的の考え方」の1997年のものの線上にあると思うのですが、座長がおっしゃったような採用型のインターンシップがかなり広まっていることに対しては、インターンシップの基本的考え方からはかなり外れているところがあることが課題だと思います。特に新卒3年までという、既卒者に対しても新卒並みの枠組みと考えると、学校を離れたあとに採用型のインターンシップに応募することが十分考えられるわけです。その際、教育というところから離れたインターンシップのあり方はどうなのか。労働者性は基本的に否定するものなのですが、インターンシップはそもそもそういう位置づけで日本ではやっていて、学校から離れた若者たちが企業で採用を目標として就業体験をするときに、これが何の保護も得られない低賃金労働者、あるいは労働者でもないものとして扱われる可能性はないのか。実態を考えたときには、インターンシップのガイドラインを考えたときに改めてインターンシップ制というのはどういう位置づけかをきちんと示すべきだと思います。
 3点目は、前回も3つのレベルで考えるべきだというお話をして、教育の内容にかかわる話では先ほどの話なのですが、マッチングにかかわる話で、ここで厚生労働省がやるべきことがたくさんあると思っています。検討の方向性の中では、ハローワークとの連携強化とか中小企業とのマッチング支援などは一緒に考えるべきだと思いますが、大学在学中に教育機関を通じたキャリアセンターなり就職部なりの力を使ってマッチングするという、組織的なマッチングを強化することは中小企業に目を向けさせることに直結するだろうと思います。それぞれの大学がきちんとした情報を持って、ある意味ではブラックではない安心できる中小企業をきちんと提示できれば、変な不安感がなくなります。まず大手というのは、不安感が走らせていることでもあります。知らないということと不安と両方だと思いますが、その辺をきちんと解消できるのも組織の力だと思います。
 その蓄積が、大学がかつては非常に蓄積があったのですが、インターネットを通じた応募が主流になってしまう中で、大学の蓄積もかなり弱っているので、その蓄積の部分をハローワークがきちんとジョブ・サポーターなどを通じて情報を提示していく。いわゆる口コミレベルというか、この企業の特徴とか、この企業がどういう企業であるかについて、ハローワークを通じた情報提供は十分可能なのではないかと思います。そういう学校ごとの小さな市場をきちんと作っていく。そこには、たぶん大学内でのマッチングをするようなオン・キャンパス・リクルートのような仕組みも、ハローワークとして応援していっていいのではないかと思います。
 4点目ですが、企業に対して求めることは、採用してくれというよりは、情報開示を求めたいと思います。いまのブラックの話ではありませんが、高校の求人票などだと過去3年間の離職率などが出ていたり、実際に就業場所などについての詳しい情報がある求人票が高校では使われるわけですが、大学はそういう求人票が、自由応募の市場ですので、きちんとした情報が学生に伝わっているとは限らないところがあります。大学生は大人ですから、基本的には自由なマッチングでいいと思うのですが、どこかにきちんとした情報を提供しているサイトなり何なりを作れないか。いまの求人広告を集めたサイトではなくて、その企業の本当のところがわかる、企業側もそこに出すことによって企業のプレステージを上げることができる、確かな情報を出している企業で、安心できる企業、ある意味ではその企業にとってもその企業のプレステージを高めることができるようなサイトであり、学生にとってもあそこに書いてあった企業だから大丈夫だと、基本的にはちゃんとした情報を出してくれている企業だと安心できる、そういう情報をきちんと開示して、学生のほしい情報が提供される場所をできれば公的に作っていただいて、そこで企業が自由な採用活動のための基本情報を提供する仕組みが考えられないかと思います。
○樋口座長 4点ほどありましたが、その中で皆さんに、あるいは行政に質問というよりご意見と受け止めてよろしいですか。
○小杉委員 答えがないでしょうから。
○樋口座長 先ほほど三菱商事のお話を伺ってから、今度は行政にということで、たぶん棲み分けがあって、三菱商事のような所が人材育成、特にコア人材を育成するといったものは、おそらくそこは企業でやってくださいという話かなと。逆に、それができないようなところが多々あると。その人たちの学び直しといったことをどう考えていったらいいのか。しかも、それはいまの場合には、例えば職場の理解が得られないというのも大学院であるわけです。ということは、ある意味では大学院における教育を職場は必要と考えていないところがあって、実はそこが非常に重要になってくる。職場が必要となるようなものは、佐藤さんがおっしゃったように、大学側が考えているのはすぐに効果が出るものではないと。ところが、職場は折角行くのであれば効果が出るものを持って来いということになる。そこの難しさをどう考えたらいいのかということだと思うのです。
 たぶん、これは大学院というよりは、時には専修学校といった所で効果を期待していくこともあって、そこも棲み分けとか、まさに学び直しのダイバーシティを考えていかないといけないのかなということです。
○小杉委員 それがこの中核人材養成というプログラムだと、私も認識しています。そこで大事なのは、企業が認識してくれないという話と同時に、大学がちゃんと役に立つプログラムを提供していないという話があるので、たぶん相互に同じ土壌に立って、このコンソーシアム型が重要なのではないかということで、この方向性は支持します。
○白木委員 小さなコメントですが、社会人が大学なり大学院に行く場合に、企業負担しているかどうかによって、最初は論理的に分ける必要があると思うのです。企業がお金も出していないのに実利を求めるのは厚かましいというか、言いすぎだと思います。
 もう1つ、先ほど文科省の方から出していただいたデータで、職場の理解が得られないとか長時間でいけないというのは、職場の問題なのです。そういう風土で、24時間すべてを企業に捧げて初めて一人前のビジネスマンであるという考え方が、ここに表れていると思うのです。ですから、お金も出していないのに、本当は個人の時間にもかかわらず拘束しているというのがこの表に表れていると思うのです。それはビジネスマンの考え方でもあるかもしれないけれど、企業側のほうが色濃く出て、そこが非常に大きな課題ではないかという印象を持ちます。周りにそういう事例もありますので。自分の自由時間に、自分のお金で行っているのに、企業が行かなくてもいいと言ってくるということは結構多いのです。
○樋口座長 ただ、逆に学び直したあと、それが処遇に反映するとか、個人がコストを負担するのであれば、それに対して個人がリターンを得るような、まさにヒューマン・キャピタルの教科書通りのことが行われていないところに問題があるということですね。
○宮本委員 基本的には、こういう戦略はワーキンググループの骨子についての議論だと思います。実は私もワーキンググループに名を連ねているのですが、この2カ月間ぐらいいろいろ重なって、樋口先生がご苦労されているのに出られなかったので、あまりとやかく言う権利はないのですが、そうも言っていられないということで、3点だけお話します。
 1つは、この骨子を拝読して、ご存じのように2003年の「若者自立・挑戦プラン」辺りから若者支援は展開されてきたのですが、随分時間が経って、総括というか、何がどう役に立って役に立っていないのか、少し振り返ってみる必要がありはしないかと思うのです。特にそれ以後政権交代があって、各政権、各内閣が若者支援の方向に向かっているのはいいのですが、その分政権が変わる、内閣が変わるとそれぞれ独自色を出そうとして、次々に目新しい目玉政策を打ち出してくるわけです。若者自立・挑戦プランのときはジョブ・カフェができました。そのあと福田内閣のときはサポステがだいぶ強化されました。菅内閣のときはパーソナル・サポートが展開されて、野田内閣になってパーソナル・サポートは菅内閣色が強いということで、また新しいものを打ち出そうとしているわけです。それはそれでいいのですが、次々に新しいものが積み重なってきて、前のものが活かされるでもなく殺されるでもなく、ひたすらずらされていくということで、地域によってはジョブ・カフェとサポステをうまく使い分けている所もありますが、これはかなりよくできた地域で、通常はどうしていいかわからないということになっているように思います。したがって、この骨子も新味を出すだけではなくて、そろそろこれまでの蓄積を整理する段階なのかなと思います。
 2番目に、これは先ほどの小杉委員の意見に対する樋口座長のまとめにもかかわりますが、どういう政策の対象を念頭に置いているのか、そのマッピングみたいなものが問題だと思います。特に若者支援の場合は、通常雇用政策と言うと稼働能力がある人々ということになるのでしょうけれども、もう少し前提を変えたところに突っ込んでいかなければいけないということがあって、その辺りがこの骨子でもう少し整理されてもいいのかなと思います。つまり、雇用政策であると同時に、若者が大人になっていく移行期問題とかかわってきて、高卒の人々の中でも中途退学と卒業後も就労できていない人たちを合わせると、大体3割ぐらいになるのですが、そこをどこまで深く掘っていくのかが、必ずしもまだ絞られていないように思います。そのことの1つの反映が、総論の論点の社会的企業についての議論にも表れているような気がします。社会的企業は、これも2009年の「緊急雇用創出プラン」から特に内閣府の主導でスローガンとして掲げられるようになっていると思いますが、被災地などで内閣府のプロジェクトが展開していますが、基本は起業、業を起こすほうのプロジェクトなのです。もちろん、そう高度なことをやろうとしているわけではなくて、いわゆる月3万円ビジネスみたいな等身大の企業を目指しているのですが、それにしてもややハードルが高い。本来、社会的企業はヨーロッパなどでは中間的就労、つまりすぐに正規の就労に至るリテラシーを欠いた人たちにブリッジを提供するところが眼目だったと思うのですが、かなりずれてしまっているわけです。そういう意味では、全体としてターゲットをどう設定するか、ここはもう少し詰めていいと思います。
 3番目ですが、キャリア教育についてです。「キャリア教育」とは何なのかというと、わからないわけです。本来ならば、後期中等教育と高等教育が教えていることは全部キャリアにかかわるわけで、全部キャリア教育のはずなのです。それとは別にキャリア教育が論じられるところが、非常に日本的な風土になるわけですが、この議論が始まったのも2003年の「若者自立・挑戦プラン」辺りからで、あのプランは若者の抱えている困難を意欲の問題に還元しているところがあって、その影響でこれまでのキャリア教育は心構えの問題というところがあるのです。もちろんそれも非常に大切なのですが、広義のキャリア教育、それを考えれば、先ほど申し上げたようにほとんどキャリア教育です。また、いま申し上げた心構えというのは狭義のキャリア教育で、その間に職業の中身の紹介とか働くことの意味とか、いろいろな中間の問題がある。それをどのように腑分けしていくのかが非常に重要だと思います。
 これに1つかかわって、最近、被災地の専門学校・専修学校を訪問して話を伺う機会があって、これは樋口座長の問題意識だと思いますが、専修学校、専門学校をもう少し労働行政でも活用してもいいのかなと思います。特に被災地ではものづくりにかかわって、ただご存じのように公共職業訓練と専修学校・専門学校の領域はかなり恣意的にデマーケーションされているので、例えば私が伺った所は自動車産業の組込系で、IT制御の技術を教えているわけです。ところが、これはものづくりと言っては不自然なわけです。そういう意味では、1999年ぐらいに民でできるものは民へという文脈で、公共職業訓練の領域と専修学校・専門学校の領域が人為的に分けられてしまったのですが、今日も生涯学習政策局の方がお見えですが、そろそろもう少し統合を目指してというか、そういう意味で専修学校・専門学校はキャリアガイダンスを当然やっていますので、私が伺った所ももう少し地域にオープンに活用してほしいと言っていたので、これを活用していくのも方法だと思います。
 3つとも、何か伺いたいというよりもコメントです。
○樋口座長 最初の雇用戦略については雇用戦略のほうでやっていただいて、雇用政策研究会としてこれまでやってきたいろいろな施策をどう考えたらいいのか。これはまさにここで議論するべきことで、これについての評価なしには次の政策提言もできないだろうというのはご指摘のとおりだと思いますので、それについては考えていく必要があるかと思います。
○鶴委員 これまで出ていなかったポイントなのですが、論点3で雇用のミスマッチの解消の話が出ています。私のポイントは3つばかりあるのですが、新聞等もかなり大きく取り上げられて、大学にハローワークを設置しましょうという話なのです。これは、私は基本的にすごくいい取組みだと思いますし、出張相談等いろいろ効果を上げられているということで、たぶんいい効果が出るのだと思うのです。ただ、手放しでこれをそのままどんどんやればいいということなのかなと考えると、もう少し考えなければいけないという感じがします。私も、なるべく民のビジネスが大学と就業のところに入るべきという話をしていたのですが、これも誰がコストを負担するかは悩ましいのです。そうしたときに、ハローワークがこれをやってくれると、あまりそういうように悩まなくて、みんなハッピーだと普通は思うわけです。ただ、税金で負担されているということなので、何で公が地域ごとにあるハローワーク以上に大学に行かなければいけないのか、ちゃんと理屈を考えなければいけない。
 ミスマッチというのは、市場の構造的な問題とか、機能の問題と捉えなければいけないと思うのです。公がやる場合は、何か深刻な損傷の失敗や機能障害を起こしているということでないと、なかなかジャスティファイできないという問題があると思います。1つ気になるのは、これもここで何回も申し上げているように、そもそも論として大学が非常に増えて、大学生が増えて、供給過剰になっているという話がいちばん奥にある中で、こういった問題をどう考えるのかということがあると思います。
 もう1つ非常に重要なのは、どこの大学にハローワークを設置するのかという話になったときに、またいろいろな問題が出てくるのです。東大はハローワークを設置するのですかと。東大でも困っている人がいるかもしれないから、必要かもしれません。新聞では、地方の大学が非常に必要だということです。でも、地方というのはそこの地域に就職するのであれば、地方の国立大学はある意味名門で、それほど問題はないのかもしれない。むしろ、首都圏に増えすぎた大学に行っている人たちがいちばん問題ではないのかという部分もあるわけです。
 何が言いたいかというと、どこの大学を選ぶのかと言ったときに、最も必要としている大学を選ぶことが実はそんなに簡単な話ではないということが1点です。もう1点は、それを選んだとしても、シグナリングの問題があって、ハローワークを設置した大学と設置していない大学と、ハローワークは必要なのだと、いろいろ就職に苦労しているのだと、「ハローワーク大学」「マルハ大学」みたいに言われてしまうと。そうなると、東大とか有力12大学は全部ハローワークをやってください、そうするとその話はなくなりますからと、どうしてもそういう話になってくるわけです。そこをどのように考えていらっしゃるのか、お話を伺いたいのが1点目です。
 2点目は、既卒3年の新卒扱いですが、これはお願いするばかり、差別は駄目だと言うばかりではなくて、既卒でも新卒でないと、これもシグナリングの統計的差別で、あなたに何か問題があるんだよね、と心の中でずっと思うわけです。その人たちが、私は1年か2年か経験を積んで、すごく学んだところがあるんですよ、ということを積極的にアピールできるような支援をしてあげることをもっと考えるべきで、そちらの話をやらなければいけないのではないかと思うのです。
 3番目は、学部ごとの就職率の格差について、労働行政が何かできないのかということをお書きになっていますが、私はそういう話なのかなという感じを持っています。この前ご説明があったのを見ても、景気が悪いときにものすごく格差が広がるのです。景気が良いときはそれほど格差はないのです。要は安定的なマクロ政策をちゃんとやってほしいというのが1つあります。
 もう1つは、労働行政の問題よりも教育行政の問題として、最初に大学に入るときにどれぐらい就職しているのか、この学部だったらどうなのか、これは大学にいる人間にとって非常に頭の痛い問題で、みんなそういう情報は出したくない。その中で、逆に労働行政がそういうこともちゃんと学生にやっていただかないと、あとで自分たちに全部しわ寄せが来るのだと。そういうメッセージを労働行政として出していただくのも、教育の場にいる人間にとっては非常に辛い話かもしれませんが、前向きな話なのかなという感じがします。
○樋口座長 それでは、最初の学校とハローワークの関係についてご説明をお願いします。
○久知良若年者雇用対策室長 学校とハローワーク、特に大学の中にハローワークを設置するという記事が出たことがあって、非常に反響が大きいのですが、事実関係から言うと、前回の雇用戦略対話のワーキンググループでも津田政務官から申し上げておりますが、500の大学にハローワークを設置するというのは誤報です。ただ、雇用戦略対話の中で、確かに大学とハローワークの連携は非常に重要だという議論は非常に強くあって、それに基づいて何らかの具体的な対策が考えられる状況ではあるのだと思いますが、最終的に雇用戦略対話においてどのように盛り込まれるかについても、まだ現時点で明確ではありません。ただ、500の大学にハローワークを作ること自体は誤報ですので、これを前提とした議論はこの場で展開されることにならないようにお願いしたいと思います。
○森永委員 直接の話ではないかもしれませんが、私の経験をお話すると、私は大学で7年前から正教員として教えるようになったのですが、すごく大きなショックを受けたのは、ゼミ生でものすごく勉強のできる学生がいて、成績もAばかりで、学内でベスト10に入るぐらいの子だったのですが、就職が全くできないのです。あちこち行って落ちてくるのです。
 その一方で、チャラチャラしていてあまり勉強していないのだけれども、要領のいい子が次々に内定を取ってくる事実を見て、これは何かと思って、それ以降ゼミのあり方をガラッと変えて、2年生から4年生の春学期まで半期5回、2年半脳みその筋肉トレーニングだけをやっているのです。学問をすべて捨てました。それこそKJ法から、発想のトレーニングから始まって、ディベートをやったりディスカッションをやったり、最近ではモノボケとか謎かけとか川柳とか、そういうものまでやって、どんなに難しいことを言われても1秒以内に100%対応できるという、脳みその瞬発力を養成するように変えたのです。数年前からこれが一通り一巡した学生が採用面接に行くと、面白いように通るのです。記念受験だと言った超が付く一流企業も、ポンポン内定を取ってきてしまうのです。私は良いことをしているとは思わなくて、必要悪としてやっているのですが、ただはっきりしていることは、少なくとも文系の大学生にとっては学問をきっちりやっても、少なくとも就職のときには全く役に立たないというのはたぶん間違いない事実で、逆にこれが効果があるというのは、ほかではほとんどやっていないのだろうと思うのです。これが総需要を拡大するかどうかという問題はあるのかもしれませんが、あまり遠回しなことをやるよりも、要領のいい学生を作ったほうがうまくいくし、もしかすると企業がほしがっている、三菱商事のコア人材みたいな人を除けば、9割の普通の人材にとって企業が求めているのは、要領のいい人材なのではないかという気がしています。
○駒村委員 いまの森永先生の話を聞くと、教育をやっている人間にとってはショックな話で、文系はそういうことをずっとやっていればいいということになってしまうと、高等教育とは一体何なのかということで、本当に悩ましい話です。資料の専門人材養成のパワーポイント4を見ると、もしかしたらお話があったのかもしれませんが、25歳以上の入学差がいかに少ないか、日本の大学の位置づけが先進国の中では極端に違うと。だから、25歳に満たない18〜22歳の半分子どものような人たちに、いまの瞬間的な判断力を求めているぐらいの期待しかされていないとなると、大学の位置づけが全然違うのかという感じもするのです。
 それはそれで、かつてはよかったというか、それでも機能していた部分があったのかもしれませんが、これから大学の教育の位置づけをどうするのかということまで、労働市場との整合性があるような教育を大学で行っていくのかということも意識して考えていくのかどうなのか。その場合、いまの雇用システムから失うものもあるのだろうと思います。質問ですが、これを見て、北欧などは25歳以上が非常に多いわけですが、労働政策や労働雇用システムとの関係が密接に何かあると評価されているのか、たまたま学部の構成が実学系の構成が多いから、理工系が多いからそういう構成になっているのか、どのようにいままで議論されてきたのか、もしわかる方がいらっしゃれば教えていただきたいと思います。
 これは些細なことかもしれませんが、今日ももしかしたらお話があったかもしれません。文科省の方にお聞きしたいのですが、高校中退の話が出ていましたが、大学、短大、専門学校での中退は、いまどういう状態なのでしょうか。増えているのか減っているのか、それは経済的な要因なのか、ミスマッチなのか、意欲の問題なのか、進路変更なのか、あるいはフォローアップは何かやられているのか、もし実態とか政策が行われているのでしたら教えていただきたいと思いました。
○樋口座長 それでは、後者のドロップアウトはどうかというご質問からお願いします。
○平林生涯学習推進課長 すみません、担当ではないのでわかり兼ねます。
○樋口座長 調べて、次回でもお話いただくということで、よろしいですか。
 この間、大学関係の人と企業関係の人で集まって話す機会があったのですが、そのときに大学側から出された問題として、面接5分や10分で人を見られるのかという問題なのです。ところが、そこでの問題は企業からすれば、何万人も応募してくるのです。それに対して門前払いもせずに、みんなに機会均等を与えろと言われても、それで1時間も面接もやっていたらとてもできないと。要は、ちゃんと見ろと言うのであれば、機会の均等というところも、ある意味で絞った上で面接することがどうしても必要でしょうという言い方をするのです。まさに瞬発力でその人を判断していくことは、数分の間にその人ができるかできないかを見極めてといった方法でやっていると。それの限界がすごく顕在化してきているのではないかと。特に産業が高度化していったときに、そんな数分で見ることはできないということであれば、本来インターンシップとか何とかで人を見極めていくということなのでしょうけれども、そこで出される問題は機会の均等を達成しながら、なおかつじっくりと、ちゃんと適正を見極めてということが、往々にして相対立してしまうことがあって、政策的にそれをどう考えていくのかというのが、リソースをそこに割かなければ、どうしたってどちらを取るのかという議論になってしまうわけで、そこの重要性はかなりあるのかなと思います。
 実は大学の入学試験でも同じことを言って、20倍や30倍の競争を考えると、全員に面接して、そこでの入学許可を出すかどうかもすごく難しいですね。そうすると、どうしてもペーパー試験みたいな形で一発試験で、その中で上位から何人と。これは、ある意味で大学にとってはコストが少なくて済む、手間暇が少なくて済むやり方なのですが、これで本当に人材をキャリア・アップまで含めて見ることができるのかという、すごく重要な問題をいま突き付けられているのかなと。これは企業だけではなくて、大学の入試においても同じようなことが言えると思います。AO入試でちゃんとやろうと思うと、相当の手間暇をかけないとできない。そこで1,000人も採るなどという話になったら、これはという、ゾッとするようなことですが、そういうことになっているのかなと。スクリーニングのあり方のリソースの書き方が、まさに重要になってきているという感触を持ちました。
 そろそろ時間も来ていますが、これだけは言っておきたいということがありましたらお願いします。
○白木委員 いままでの議論の中で、文系には専門性がないという感じの議論があったかと思いますが、文系・理系に分けること自体が正しくないような分け方だと思うのです。一般的にはテクニカルとノンテクニカルに分けて、文系の中でも例えば会計学などをやっている人たちは、このままずばり実務に通じているわけです。ですから、その辺を文系という形で括っていたり、理工というのも括られていましたが、理工だって工学部と理学部では全く違って、理学部は明らかにノンテクニカルです。ですから、その辺の細かなところを分けて議論していかないと、文系が何の専門もないような人を作っていくような誤解を与え兼ねません。それぞれのディシプリンを追求していくべきだと思います。職業教育は横串で刺していくものであって、同じミスリーディングがあるかと思って一言申し上げました。
○鶴委員 統計の話で、大学の入学割合が、いちばん最初に日本が先進国に比べて48で、それでも少し低いほうだという図がありますが、そのあと25歳以上の入学者の割合を国際比較すると、日本はかなり低いということなので、全体の入学の割合のところで国際比較をしたときに、どれだけ若い人たちの割合なのか、それとも日本がそれでも低く見えるのは社会人の割合が低いのか、それを確認できるような資料をお願いできればと思います。
○樋口座長 それは文科省にお願いしたいと思います。
 時間も過ぎておりますので、議論は尽きないと思いますが、本日はここまでにさせていただきます。なお、次回は「労働力需給推計」について検討を進めたいと思っておりますので、よろしくお願いします。事務局からお願いします。
○武田雇用政策課長補佐 次回以降の日程をご紹介します。第4回雇用政策研究会は、5月30日です。5回目は6月8日、6回目は6月20日を予定しております。正式なご案内は後日お送りします。
 次回は、座長からもお話があったとおり需給推計に関する議論を行いますが、あらかじめ座長と相談した結果、次回の研究会は非公開としたいと思いますので、よろしくお願いします。
○樋口座長 まだ確定した数値ではありませんので、数値が独り歩きすると困るということで、次回は非公開で行いたいと思っております。本日はどうもありがとうございました。


(了)
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