ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(労働条件分科会)> 第93回労働政策審議会労働条件分科会議事録




2011年11月8日 第93回労働政策審議会労働条件分科会 議事録

労働基準局労働条件政策課

○日時

平成23年11月8日(火)
13:00~15:00


○場所

中央合同庁舎5号館12階 専用第12会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○出席者

【公益代表委員】

荒木委員、岩村委員、田島委員、山川委員

【労働者代表委員】

工藤委員、新谷委員、?松委員、中島委員、宮本委員、安永委員

【使用者代表委員】

池田委員(※)、伊藤委員、三浦委員、宮地委員、輪島委員 (※会議途中から松本委員代理が出席)

【事務局】

金子労働基準局長、熊谷審議官、前田総務課長、田中労働条件政策課長、青山労働条件政策課調査官

○議題

1 有期労働契約について
2 その他

○議事

○岩村分科会長 それでは定刻となりましたので、ただいまから第93回「労働政策審議会労働条件分科会」を開催いたします。
 本日は公益代表の権丈委員、村中委員、守島委員、そして、労働者代表の島田委員、使用者代表の伊丹委員、田中委員が御欠席ということでございます。
 また、使用者代表の池田委員は所用により途中で退席され、その後は東京商工会議所の松本部長が代理で御出席ということでございます。
 議事に入ります前に、定足数につきまして事務局から御報告をいただきたいと思います。お願いいたします。
○青山調査官 定足数について御報告いたします。
 労働政策審議会令第9条により、委員全体の3分の2以上の出席、または公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされていますが、定足数は満たされておりますことをご報告申し上げます。
 以上です。
○岩村分科会長 ありがとうございました。
○輪島委員 済みません、定足数の関係で1点だけちょっとお聞きしたいことがあるのですが。
 いつも冒頭、定足数の御説明があるので、確認ですが、委員全体の3分の2ということは14人以上出席をしていれば成り立つということですか。
 それから、公労使各側3分の1ということは3人ずつ入れば。つまり、1だと14人いればいいのですけれども、各側だと9人で成立をするということですか。
○岩村分科会長 事務局の方でお答え下さい。
○青山調査官 そのとおりです。
○輪島委員 それから、冒頭で成立をしていれば、途中で退席をするということになったときには、審議会は成立するのですか。
○岩村分科会長 そこはちょっと審議会令との関係があろうかと思いますので、事務局の方で正確に確認していただこうと思います。ありがとうございます。
 よろしゅうございますか。それでは議事に入りたいと存じます。お手元の議事次第に沿って進めてまいります。
 本日の議題でございますが、議事次第にございますように「有期労働契約について」ということでございます。
 本日はまず、有期労働契約の機能や実態につきまして御議論をいただきたいと考えております。
 この議論の材料ということで、資料1と資料2を事務局の方で用意していただいております。まず、これについて簡単に御説明をいただき、その上で議論をしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○青山調査官 それでは御説明いたします。
 資料1をお開きください。「有期労働契約の不合理・不適正な利用と認められうるものの例(案)」を議論の材料として提示させていただいております。実態、法令、裁判例等から認められ得ると考えられるものを挙げました。
 順に御説明します。
 1つ目の○「必要以上に短い契約期間を定め、反復更新を続けること」。
 これは労働契約法17条2項においても必要以上に短い契約を定めて反復更新をすることのないよう、配慮すべき定めがなされていることなどを参考に掲げております。
 2つ目が「更新手続が形骸化している等により期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態に至りながら、有期労働契約で使用し続けること」でございます。
 これは、雇止め法理の1つのパターンであります、期間の定めない契約と実質的に異ならない状態に至っている契約であると認められた場合には、更新拒否について解雇権濫用法理が類推適用をされているものを参考にしているものでございます。
 3つ目が「長期間または多数回にわたり反復更新を続けた上で、単に期間の満了を理由に雇止め(更新拒否)すること」でございます。
 これは、先ほども話しました雇止め法理の別のパターンであります、反復更新の実態等から雇用継続への合理的な期待が求められる場合に、同様に更新拒否に解雇権濫用法理が類推適用されるものを参考にしております。
 回数、年数の実態につきましても、調査から引いて掲げております。
 4つ目が「期間の定めがあることのみを理由として、処遇について差別的取扱いをすること」でございます。
 これは1つの例としては、通勤手当について有期に出している割合が81.1%、正社員については87.3%、あくまでも御参考ですが掲げております。
 5つ目が「使用者が、就業規則の変更により、個々の労働者の合意を得ることなく、労働契約を期間の定めのない契約から有期労働契約に変更すること」ということで、無期から有期を、合意を得ることなく就業規則だけ変更するといった例を挙げております。
 一方、最後の【※ 不合理・不適正な利用とは言えないと考えられるものの例】として、更新しないことを明示して有期労働契約を新たに締結し、期間満了により更新しないで雇用を終了することを挙げております。
 ?1は以上でございます。
 ?2、3ページは雇止め法理、一定の有期労働契約雇止め法理に関する判例の整理表でございます。
 何回か前に分科会でもお話しましたとおり、平成12年の有期労働契約の反復更新に関する調査研究会報告におきまして、雇止めに関する裁判例を幾つかのパターンに分けて整理をしておりますので、そのときに整理した資料から抜粋してつくっております。
 パターン1つ目が「期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態に至っていると認められたもの-実質無期契約タイプ-」とあります。
 今後、この表ではその中の代表的な裁判例の事案を御説明していきます。
 今のタイプの代表的な裁判例が、昭和49年7月の最高裁判決「東芝柳町工場事件」でございます。
 簡単に事案を申します。表になっていたり、文章になっていたりしますので、併せ読んでいただければ幸いですが、2か月の契約を人により5回ないし23回更新した後、雇止めした事例です。
 仕事の内容は本工と差異ない、雇止めされた例がない。あと、継続雇用を期待させる言動あること、期間満了の都度、直ちに新契約の締結の手続をとっていたわけではないという手続の状況などを踏まえて、これは期間の定めのない契約と実質的に異ならない状況に至っていると認定されまして、そうした場合には、雇止めについて解雇に対する法理を類推適用すべきだということで判断されております。
 この事案では、この結果、雇止めについて認められないという判断がされているものでございます。
 2つ目のパターンでございます。
 今、言ったような「期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態とは認められないものの、雇用継続への合理的な期待は認められる契約であるとされ、その理由の一つとして相当程度の反復更新の実態が挙げているもの」でございまして、期待保護の中でも反復更新タイプと整理されているものでございます。
 これは代表的な裁判例が昭和61年12月の最高裁判決「日立メディコ事件」でございます。これは2か月の契約を5回更新した後、雇止めした事例であります。
 業務の内容としては単純作業でありますけれども、更新のときに本人の意思確認はしている。一方で契約書の雇用期間欄に順次期間を記入しているという手続の状態。その一方で、下の方の資料2行目になりますけれども、「季節的労務や特定物の製作のように臨時的作業のために雇用されるものではないこと」ということなどから、ある程度の雇用継続の期待は認められるということと、5回にわたる反復更新という事実が認定されておりまして、こうした場合には雇止めについて解雇の法理を類推適用すべきだと判断されております。
 ただし、この事案は、人員整理の事案でありましたけれども、最終的な雇止めの効力としては正社員の希望退職募集に先立って雇止めをすることについてはやむを得ないということで、雇止め自体は可とされた事例でございます。
 3番目が、先ほど同様に「期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態とは認められないものの、雇用継続への合理的な期待が、当初の契約締結時から生じていると認められる契約」であるとされたパターンでございまして、期待保護の中でも継続特約タイプと整理されております。
 代表裁判例が、平成3年の大阪高裁判決「龍神タクシー事件」でございます。これは「当初の」と先ほど言いましたように、1年契約でしたが、全く更新していないまま雇止めされた例であります。
 しかしながら、事実認定において、自己都合退職以外は例外なく更新されてきたこと、期間満了の都度直ちに契約の手続をとっていたわけではないこと、本雇の運転手の欠員には必ず臨時雇から登用し補充しているという実態等から、実質は期間の定めない雇用契約に類似するものとして、本人に雇用継続の期待があることに合理性があるとされた事案でございまして、これについては信義則違反の有無などを理由に、そういう場合の雇止めについては認められないという判断がなされたパターンでございます。
 ということで、反復更新の事実はなくても、当初の事情から期待が生じているというパターンとして整理されております。
 以上が雇止め法理の3つですが、表の下の4は解雇権濫用法理を類推適用するとされていない、有期労働契約の雇止めのパターンでございまして、雇用継続期待の合理性が認められないタイプということで、純粋有期タイプと名づけております。
 代表例が昭和63年の東京地裁判決「亜細亜大学事件」でございます。
 これは、1年契約を20回続けて雇止めされた非常勤講師の例ですが、下の文章にありますのを抜粋すれば、専任教員との処遇の相違、特に大学からの拘束性の違いや、賃金等の雇用条件が異なっていること、大学は裁量に基づき適任者をいつでも選任するといった状況と、そうした契約の性質を労働者が十分に知り得たことなどの事実を認定し、これは実質的に無期と異ならない状況とは言えないのはもとより、雇用継続の期待の合理性も認めなかった事案でございまして、雇止めについては認められた事案でございます。
 以上が分類の御説明でございます。
 5ページ以降は今、挙げました裁判例の事案の概要と判決の要旨を抜粋しておりますので、時間の都合上、詳細の御説明はしませんが、御参照いただければと思います。
 ただ、1点だけ9ページ開いていただければと思います。
 今まで上げた4つとは別の事案と判決要旨がございます。
これは平成21年の最高裁判決で「パナソニックプラズマディスプレイ事件」というものでございます。
これは請負の形式で業務していた人の、派遣労働との関係が主に争点となった事案ではありますけれども、雇用契約となった後の雇止めについての判断もされていますので、そこが少し関係してきますので紹介させていただきます。
と言いますのは、判決要旨、9ページ下のパラグラフに契約期間が平成18年1月31日をもって満了すると合意があるというのを前提として、満了の効果を論じている部分ですが、そこで先ほどから御説明しています判例法理について記述しております。
すなわち、あたかも期間の定めのない契約と実質的に異ならない状況で存在している場合、または、期間満了後も雇用関係が継続されるものと期待することに合理性が求められる場合には、雇止めは客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上、相当であると認められないときには許されないとなっていまして、括弧で最高裁の事件名がありますが、これは先ほどの1つ目の東芝柳町工場事件と2つ目の日立メディコ事件の事件名でございます。
 ということで2つの最高裁判例、具体的には東芝柳町工場事件をリーディングケースとする実質無期タイプと、日立メディコ事件を代表例とする雇用継続期待保護タイプというものを整理して書いたものでございまして、最高裁判決自らが記述しているという点では初めてですので、最高裁で認められた判例法理の整理ということで紹介させていただくものでございます。
 資料15ページは、今、言いました判例法理のパターンを図式化したものでございますので、御参考にごらんいただければと思います。
 あと、資料の説明だけ先にしますと、17ページ以降は参考?1とありますように、御参考でございまして、夏までの議論でまとめていただきました本分科会における議論の中間的整理について、特に各項目の「ウ 今後の検討における留意点」だけを抜粋させていただきまして、今後の本分科会での御議論の参考に参照いただくものとして付けておりますので、適宜、見ていただければ結構でございます。
 以上でございます。
○岩村分科会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいま、御説明いただきました資料1、資料2につきまして、御意見などがありましたらお願いをしたいと思います。
 では、中島委員、輪島委員ということでお願いいたします。
○中島委員 ありがとうございます。
 それでは資料1の1つ目の○「必要以上に短い契約期間を定め、反復更新を続けること」というところについて発言したいと思います。
 ここについては、臨時的、一時的な業務に対応するという有期契約の利用というのは実態としては非常に少なくて、むしろ、これまで正社員が行ってきたような恒常的に存在しているような業務にまで今は反復更新しながら濫用的に拡大し続けているのではないかというのが実態ではないかと思っており、不合理、不適正な理由に当たると考えております。
 これは数字にも表れていまして、有期労働契約に関する実態調査、事業所調査では、1回あたりの契約期間が1年以内の人を合わせてみますと、合計が89.3%という数字を占めており、一方、勤務年数で見てみますと、勤務年数が実際1年以内というのは、わずか7.8%しかいらっしゃいません。ということは、残りの9割が1年以上継続勤務をしているということになりますので、やはり有期契約が反復更新された結果、勤続期間が延長されていることではないか、と読み取っております。
突き詰めていけば、有期である合理性、必要性がないケースがかなりの部分を占めているのではないかというのが率直な実感でございます。
これは労働契約法17条2項にも反するような事態となっているのではないかと考えられるのではないかと、思っているところでございます。
○岩村分科会長 ありがとうございました。それでは、輪島委員。
○輪島委員 ぼうっとした意見を言おうかと思ったのですが、非常に中島委員が本質的な議論だったので、先にそちらの方の質問をさせていただきます。
 これは日曜日に私の家に入る求人広告ですけれども、自動車メーカーが期間従業員の募集をしています。中島委員の御指摘であれば、臨時従業員はとりあえず3か月という期間でまず雇用すると。日給が900円で、11月18日までに入職するには11月13日までに面接を受けていただく必要がありますということで、非常に業務の波動性があって求人広告をだしているようです。
 11月18日までに入職が確定すると、特別赴任手当が10万円ついて、3か月満了すると満期慰労金が21万円つくと大きく書いてあります。
 必要以上に短いというのは確かに御指摘の点もあると思うのですが、ただ、この広告にあるように最初は3か月で契約をする。必要以上に短くしているということではなくて、この仕事ができるのかどうかということも含めて、恐らくこれは2年11か月までの期間の入口として3ヶ月を決めている、よければ継続するというパターンですよね。
ということは最初の入り口というのは、その先のことはわからないので短くしているのではないかというのが実態で、反復継続するのかというのは、その先にまた判断をしている話なので、入り口のところではやはり実態としてはこういうふうに雇用契約を結ぶというのは仕方がないことではないことではないのかなと思っています。その点労側はどうお考えでしょうか。
○岩村分科会長 では、新谷さん。
○新谷委員 輪島委員は事例をお示しになって御質問されたわけでありますけれども、ここの問題点は、本来継続した業務があるにもかかわらず、契約自体を短くしてしまって、それを反復更新で使っていくということが問題だということであります。先ほど中島委員が指摘したように、統計的に見ても更新回数が15回とか、10年も同じ業務で契約を更新されているということでありますので、業務の継続性に反して契約自体が細切れでどんどんつながっているということをここは指摘しているのではないかと思っています。
○岩村分科会長 はい、輪島委員。
○輪島委員 でも、最初はやはりわからない。最初から長く契約ができるというところはないと思います。ここにあるように3か月の契約をまずする。その後で、反復更新をしていくというのが実態なのではないか。
 中島委員の自動車産業はどういう実態なのですか。3か月でやっているというのは、どういう御判断で最初は3か月と設定をされたのですか。
○中島委員 自動車の場合は、最初は、臨時的な業務、増産という生産調整がございます。
 輪島委員がおっしゃっている側面も勿論ありまして、やはり、勤務の体系も違ったりしますので、合わないという方、新入社員の場合は、なれる期間もありますので、研修や、スキルを高めていくための3か月という考えもあります。けれども、先ほど私が申し上げた部分については、やはり普通の事務的業務なところも含めて、本当だったら、一般の正社員がずっと継続してやっていらっしゃるところを、正社員と同じだけの働き方をしているのに、あえて反復更新して、有期で使っている所もあるのではないかという御指摘をさせていただいております。
○岩村分科会長 何となく同じ議論が回っている感じがします。
○輪島委員 ただ、期間工は業務の波動性があって、少なくても2年11か月で雇止めしている。しかし、累積でみれば、期間工がゼロにはならないですよね。業務の波動性で増えたり減ったりはしますけれども、例えば1万人いるときもあれば100人いるときもあると。それは波動があるでしょうし、これは11月18日から働くわけですから、3年後の11月17日で切れるわけですね。
 そういうふうにするけれども、必ずゼロにはならず残って100人は仕事をしているということがあるわけですよね。つまり、業務はなくならない。
 その仕事はどうなるのかというと、この人とこの仕事をこれで契約できるかどうかがわからないので、3か月の契約をまずしましょうとしているわけですね。ということは、反復継続することを前提に、または業務があるということが絶対なくならないということが前提に募集しているわけで、そのことについては、それが実態なのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○岩村分科会長 一通り、今のやり取りがあったと思いますので、もし、よろしけれ他の論点があればと思います。
 では、新谷委員、どうぞ。
○新谷委員 では、別の論点で、資料1の2つ目の○です。
 「期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態に至りながら」、これは先ほど判例の御説明をいただいた資料2の最初のタイプで、実質無期契約タイプの不合理、不適正な利用についての論点だと思うのですけれども、気になっているのは、これの書き出しの「更新手続が形骸化している等により」という部分です。
 確かに先ほども、これの典型的なタイプとしての東芝柳町工場の事件について説明をいただいたのですけれども、実質無期というときに、どうも手続面だけが独り歩きしていて、その後に出てきた日立メディコ事件が更新手続をきちんと踏まえたということの対比において、東芝柳町工場事件は更新手続が形骸化しているから、無期なのだという単純な結びつきが見えてしまうのです。
 先ほど御説明いただいた資料2、3ページのところに東芝柳町工場事件で認定された事実が出ておりまして、この上の表の・が幾つかありますけれども、実質無期と判断された事実は、例えば従事する仕事の種類、内容が本工と差異がないであるとか、基幹臨時工が期間満了により雇止めをされた例がないであるとか、採用に際して、本工への登用を期待させる言動があったという事実が示されており、手続についてはその1つにしかすぎないわけです。にもかかわらず、その後のいろいろな判例の解説とかを見てみますと、手続の形骸化だけがクローズアップされてしまっているところがあり、そこが気になるところです。
 本日、資料がこのような形で出てきているのですけれども、更新手続さえきちんとしていれば、実質無期とならないと逆に解釈されかねない懸念がありますので、更新手続の形骸化だけが実質無期のときの判断材料ではないということを、ここで確認させていただきたいと思います。
 以上です。
○岩村分科会長 ありがとうございました。
 ただ、今日のペーパーにもありますように、更新手続が形骸化している等によりということなので、法律家的には等のところで、その他の事情も入っているということに考えていると思います。
 おっしゃるように通常は使用者側の契約締結時、あるいは更新時における言動というものも1つ大きな重要な要素として考慮しますが、あとやはり、もう一つ重視しているのは、基本的に更新手続がほとんど行われていないというところが実際問題としては、最高裁の判例を受けた従来の下級審裁判例などでは着目していることが多いところがあると思っております。
 はい、池田委員、どうぞ。
○池田委員 今の形骸化の問題で、もう少し具体的な例があれば示していただいた方が。どうしても合意の上でやっている場合も多いでしょうし、文章上のことでやっている場合もあるでしょうし、もう少し具体的な例があったら何点が示していただいた方がいいと思います。
○岩村分科会長 それはまた次回にでも追加的に資料で用意するように、事務局の方にお願いしたいと思います。
 そのほか、いかがでしょうか。それでは、伊藤委員。
○伊藤委員 ありがとうございます。
 それでは、昭和49年ということで、大分古い判例でございますけれども、先般の有期契約の実態調査でも、契約時に更新の有無の明示の有無、あるいは明示の手段というところで、9割に近い方々がしっかりと明示をされているというのが実情であります。
 先ほど新谷委員もおっしゃったように、正社員との同一性と言いますか、通常の労働者と変わらない仕事を短期間の契約で繰り返して、業績の変動なり、あるいは減産なりでそれが終わってしまうというところが一番の問題であろうと思いますから、恐らくこの方々はほとんどフルタイマーで、正社員と同じラインで働いていらっしゃる方たちではないかなという感じがするのですけれども、その辺の中身は、大体そんなところなのですか。
○岩村分科会長 では、事務局の方、お願いします。
○青山調査官 期間工の例ですが、恐らくそうかと思いますけれども、改めてよく判決を読んで、事実確認をしておきます。申し訳ございません。
○岩村分科会長 ごく一般的な印象としては、昭和49年のこの判決で問題になったときというのは、基本的に正社員と非常に近い地位の現場で働く工員さんであったと思います。
 では、先に輪島委員が手が挙がったので、その後、新谷委員ということでお願いします。
○輪島委員 先ほど発言しようと思った点です。
 資料1、不合理、不適正なものであれば、それについて何か制度的に直していくということは必要だと考えておりますので、いわゆる第2ラウンドが今日から始まるわけで、その冒頭で不合理、不適正な利用ということで議論をさせていただくということになったことを大変感謝しております。
 先ほど、伊藤委員または池田委員がおっしゃったように、具体的に何が不合理、不適正なのかということを労側に指摘をしていただきたいと思っているところであります。
 とりあえず、以上です。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 新谷委員は、先ほどお手が上がっていましたが。
○新谷委員 先ほど部会長がまとめていただいた更新手続の問題なのですけれども、やはり東芝柳町工場の事件というのは、ステレオタイプ的に更新手続のところだけが着目されているのが気になっております。
 先ほど見ていただいたのは、事実認定としていろいろな要素が認定される中で、いずれかから申し出がない限り、これは契約が更新するのだというタイプの契約であったはずなのに、それが外形的な更新手続の有無だけが着目された事案として、世の中に喧伝されておりまして、そこが気になっております。
 ですから、今日の審議会資料として、「更新手続が形骸化している等により」と、「等」がついていると言われると、確かにそういうことなのですけれども、更新手続きの問題が最初に出てくるということに対しては、少し違和感を覚えた次第であります。
 それと、輪島委員から具体的な事例を示してほしい、ということがありましたけれども、一回の契約自体は短くても、実際、利用可能期間を全部見ると長いとか、また先ほど申し上げた更新手続の問題など、具体的な事例を申し上げているわけですが、これから、まだ論点が幾つかありますので、具体的な内容はこれ以降も申し上げていきたいと思っております。
○岩村分科会長 そのほかいかがでしょうか。では、宮地委員。
○宮地委員 先ほど問題とありました、反復更新を繰り返すことについてですが、私ども百貨店業界では従来、大半の有期の方が1年契約を反復更新しております。
 反復更新の内容につきまして、同じ方と契約はしておりますが、個別契約になりますから、労働条件の変更をすることもあります。労働条件の中に労働時間、職務についてなどが明示されたものを契約しています。
 更新において前年の契約の条件、1年経過した時点での御本人の働き方、成果に合わせて次の契約を結ぶことが大半です。それによって契約者本人からの時間の変更の申し出を可能にしたり、職務も限定されている中で本人がチャレンジしたいということで、例えば定型的業務のレジから、補助的事務で企画部門に移りたいといった内容への変更も、反復更新時に有効とされてきています。その人と契約の内容は変更しつつも、安定的な雇用が保たれているというのが実態の中にあるのです。
 すべての反復更新が不合理ということに対して、そうではなく、反復更新によりモチベーションが上がっているということも実態としてあると認識しているのです。
○岩村分科会長 はい、新谷委員。
○新谷委員 百貨店の事情はそういうことでお聞きいたしました。
 ただ、お聞きしていてよくわからなかったのは、それが1年の有期契約でないとモチベーションの向上ができないのか、あるいは1年の契約期間の区切りがないと業務の指示なり、本人のチャレンジができないのか、という点です。そうするといわゆる正社員の無期の方は、どういう形でモチベーションの維持をされているのか。そんなに有期契約が有用なのであれば、契約形態は、みな有期契約なのか。
 やはり、そうではないだろうと思うのです。百貨店というのはゴーイングコンサーンで、長期の社業の発展のために事業をやられているわけですから、やはり長期にわたって、安定的に事業を遂行するのに、なぜ契約期間だけ、1年ごとに切っていくのかというのがよくわからなかったという印象を申し上げておきます。
○岩村分科会長 では、宮地委員。
○宮地委員 先ほど来、最初に申し上げましたように個別契約になりますので、業務内容というのは契約期間中では決定しています。今、多様な働き方がある中で、有期の方の契約で業務の限定や労働時間を短くされたいという希望があり、それに合わせその中ででき得る仕事が限定されてくることは生じます。
 それと同時に、無期の方というのは職務の限定がなくフルタイムが基本ですので、業務の幅は違ってくると思います。有期の方の中で採用時の募集で地域の限定が起きているときはその地域の中で働ける業務というのが必然的に起きてきます。有期の方は、自身のライフワークバランスがとれる業務の中で、次のステップを考えられているというのが自然な形です。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 次の議題もあるのですが、今、お2人手が挙がっていますので、この議論のところは一応、このお2人で切らせていただいて、またもしありましたら、後で取り上げさせていただくということにさせていただきたいと思います。
 先に輪島さんにお願いします。
○輪島委員 先でなくて。
○岩村分科会長 そうですか。では、まず伊藤委員、それから安永委員ということでお願いいたします。
○伊藤委員 私は宮地委員と同じような業界でございます。
 あくまでも40~50歳から勤務を始められる方がほとんどで、平均年齢が50に近いということで、長期ということを目的にその仕事を選ぶという姿勢ではないということですね。
 希望の理由からも、自分の都合のいい時間に働けるとか、勤務時間、日数に非常に柔軟性があるということが就業の発生になっていますから、もともと無期を希望していないということがまず前提としてあろうかと思います。
 あとは、年度の契約というものをこの段階でしっかりしていれば、現状の法律をより充実する形で対応していけば、その方々の法的な問題も雇用の問題も含めて、安心感が高まってくるというようなことではないかと私は思っております。
○岩村分科会長 ありがとうございます。では、安永委員、どうぞ。
○安永委員 多様な働き方を希望する方が多いという実態や、勤務時間の問題、勤務地の問題については、実態的にそうだと思っています。しかし、だから有期だということの理由にはならず、そういう働き方のままの無期ということも考えられると思っております。
○岩村分科会長 それでは輪島委員、お待たせしました。
○輪島委員 別件でいいのですか。
○岩村分科会長 どうぞ。今の安永委員の御希望に対して、後でもしお答えがあればと思いますが。
○輪島委員 わかりました。
 不合理、不適正というものが全体で、有期契約でやるということがそもそも不合理ということではないと思っています。不合理、不適正なものというものが何なのかということを再度お話しをいただきたい、御指摘をいただきたいと思っています。
 そこと、雇止め法理等々に少し話が資料1の中にもありますので、その点で分科会長にお願いでございますけれども、私なりに第1ラウンドの議事録をさっともう一回読み直してみて、労働側委員から適切に回答いただいていないところが幾つかあるので、今後の議論のために是非、明確にお答えをいただきたいと思っているところであります。
 1つ目が今の雇止め法理についての労側の認識であります。
 中間的整理で、突然ではないのかもしれませんが、そういうふうには聞いていなかったのですが、中間的整理のところで書かれているのは、東芝柳町工場事件を基礎に、日立メディコを広範な形でと雇止め法理を考えるという記述になっておりまして、その点についてはもう、まとめの時期でありましたので印象と言いますか、感想だけ申し上げて議論はしませんでしたけれども、改めて、ここの雇止め法理を議論する場合の労側がおっしゃっている論点というものが、どういうものなのかということをお示しいただきたいと思っています。
2つ目ですけれども、これも議事録上はおいおい御説明しますと回答があって、その後ありませんが、いわゆる締結事由規制でありますが、それの何が事由に該当するのかということについて、全く議論が行われておりません。
であるがゆえに、無期原則というようなことばかりを御主張になって具体的な議論ができなかったと、私も反省をしておりますけれども、その点についても是非、労側から御説明をいただきたいと思っています。
その関連で言うと、もう一つ、締結事由規制の関係で、これは連合のパンフレットで勉強させていただきましたが、議事録の中にも連合が考えている、労働側が考えている締結事由規制がいわゆるドイツ型なのか、フランス型なのかということも公益の先生から問いかけがありましたけれども、それについても御回答をいただきたいと思っているところです。
以上です。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 今、御質問のあった点については、この後、個別の論点について議論をしていくということでもございますので、その中でまた、改めて労側からお答えいただきたくなりという形で適切に御対応いただければと思います。
○輪島委員 個別の論点の前に是非。そこがわからないと、どうして個別に入るのかということがあるので、是非、入り口論なので、入り口のことについて明確にしていただきたいなとは思います。
○岩村分科会長 労側の場合、いかがですか。
 今、お答えいただけることがあればという気もしますが、すぐなければ、輪島委員はそうおっしゃっていますが、個別のところでということかと思うのです。
○新谷委員 2つ御質問いただいていますので、1つは雇止め法理に対する考え方であります。私どもとしては、この東芝柳町工場事件の判旨をベースにして、日立メディコ事件の合理的期待も含めた、広範な雇止め法理を制定法化するべきだと思っております。
 この点、東芝柳町工場事件はいろいろな読み方があると思うのですけれども、例えば、今日いただいている資料の6頁に東芝柳町工場事件の判旨が抜いてある部分があり、下の段落の「期間の満了ごとに更新を重ねて」というところから、事務局によるアンダーラインが引いてあります。ここの読み方は実質無期というものを説明してあるのですが、前回も申し上げたとおり、「当事者、双方ともいずれかから格別の意思表示がなければ、当然更新されるべき労働契約を締結する意思があったものと解するのが相当である」という部分が非常に重要ではないかと思っています。これについては労働法学者の中でも、そこの重要性を指摘する評釈もあるわけでありまして、私どもとしては、ここは更新について黙示の合意があった場合と読み取れると思っております。東芝柳町工場事件判決は、単なる更新手続の杜撰さだけが問題になるわけではなく、やはり、いずれかからの格別な意志表示がなければ、当然更新されるという種類の労働契約であったということが重要な判断基準になるのではないかと考えます。
 日立メディコ事件については、使用者の言動等を含めての更新に対する合理的な期待を保護するということでありますので、私どもとしては東芝柳町工場事件の先ほど述べた読み方を前提に、日立メディコ事件の合理的な期待権保護というのを合わせて制定法化するべきではないかと考えます。ただその際に、使用者側が御質問になった背景にあるのは、多分、予測可能性の点でこれを明確にするべきではないか、という点かと思いますけれども、ここは余り厳格な要件をつけると、逆に潜脱なり脱法が起こりかねない懸念がありますので、条文化をするに当たっては十分な検討をさせていただきたいと思っております。
1点目については以上です。
 2点目は個別論点でやりますか。それとも、今、お答えしましょうか。
○岩村分科会長 お答えいただけるのでしたら、結局のところ個別論点の問題を先取りしてということにはなりますけれども、お答えいただければ、それで結構です。
○安永委員 私どももすべての有期労働契約を認めないということではなくて、認める場合というのも申し上げておきたいと思います。
 7点ほどございます。
 1点は、一定の事業の完了に必要な期間を定める場合。
 2点目として、満60歳以上の労働者を新規に雇用する場合。または定年制を採用している企業において、定年後も引き続き雇用する場合。
 3点目として専門的な知識、技能であって、高度なものとして厚生労働大臣が定める基準に合致する専門的な知識、技能を有する労働者との労働契約の場合。
 4点目として、休業中の労働者の業務を補充するために雇用する場合。
 5点目に業務の一時的な増大に対応するために雇用する場合。
 6点目として、業務の性質上、一時的な労働のために雇用する場合。
 7点目として、これらに準じる合理的理由がある場合。
 というような形で、こういう場合については、有期労働契約も許容するという立場をとっていきたいと思っています。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 論点が大きいので、雇止め法理と締結事由規制を分けていただきたいと思います。
 確認ですが、今、おっしゃった1~7というのは、1月20日の連合の中央執行委員会で今もホームページに出ていますけれども、全部書き取れませんでしたけれども、あれと同じと考えてよろしいのでしょうか。
○岩村分科会長 いかがでございましょうか。
○安永委員 はい。
○岩村分科会長 そういうことです。
○輪島委員 であれば、第1ラウンドで御披露いただければよかったなと思います。
 まず、雇止め法理で、広範な雇止め法理というイメージがわかないということと、その点で今日の資料の9ページ、13ページのパナソニックプラズマディスプレイ事件との関係との関係がよくわからないので教えていただきたいと思うのですが。
○岩村分科会長 できれば、ここの不合理、不適正の議論については、今、議論の焦点が実際には雇止めの規制の問題とか、締結事由規制のところの中身がどういうものかというところに焦点が移っているように思います。
 輪島委員がおっしゃるように、経営側としては不合理、不適正なところを詰めたいということもわかるのですが、他方で分科会長としては、この議論、実際には各論の議論に入ってしまっているということもありますので、詳しいより突っ込んだ議論は、できればそれぞれの項目のところでさせていただきたいと議事進行上は思いますが、いかがでしょうか。
 そうしませんと実際上、今、伺っていても、それぞれの各論の項目のところを先取りして議論をしている形になってしまっているので、むしろそれであれば、各論の項目をこれから御提案しようと思いますけれども、そちらで議論をより深めるという方向に持っていきたいと思います。
 あるいは、より一般的に不合理、不適正な利用というものに関わる論点というので、今、議論している雇止めの問題とか締結事由規制の問題と違う部分がまだあるということであれば、勿論、議論するということはやぶさかではありません。
○輪島委員 いいですか。
○岩村分科会長 どうぞ。
○輪島委員 まだ何も不合理、不適正なものという意味での問題点、課題があぶり出されているわけではなくて、雇止め法理と締結事由規制の具体的な課題かもしれませんが、いわゆる、本当に何が問題なのかというところが、契約を更新している、長くなっているということなのか。それとも、手続上に問題があるということなのかというところの立証責任は、労働側の委員にむしろあるのではないかと思うのですね。
 何と何と何が問題なのか。それに伴って、では雇止め法理はどうするのか、締結事由規制は入れるのかということになると、私どもとしては頭の整理をしているのですが、いかがでしょうか。
○岩村分科会長 おっしゃっていることはわかります。
 ただ、今日の今のやり取りでも、使用者側の委員が納得されているかどうかはともかくとして、少なくとも労働側の方では短期で契約を反復継続するというような形での具体例といったものも挙げられておりましたし、その後のやり取りの中でも、継続的な業務についてなぜ有期契約を使うということの合理性があるのかという議論もなされていたので、労働側のそういう意味での問題意識というのは、一応は示されているのではないかと思ってはおります。
 では、新谷委員。
○新谷委員 雇止めの問題とか、入り口の締結事由の規制の点は多分、個別論点でやるとしても、今日、お示しをいただいている資料の不合理、不適正なところは経営側から何度も指摘をいただいていますので、もし、分科会長の方で仕切りがよろしければ、残ったところで私どもは不合理、不適正と考えている事例もまだ準備してございますので、論点以外のところで、お話をさせていただきたいと思っております。
○岩村分科会長 それではよろしいですか。はい、池田委員どうぞ。
○池田委員 先ほどの更新の範囲ですけれども、やはり先ほど、私どもの方も皆さんにとっては客観的な合理的な理由と、社会通念上正当であるということで回数を決めたり、反復をしていると思うのですね。
 ですから、ここで言う長期間、多数決というのは、具体的にどういう範囲なのかと一方的に決めるのは、ケースバイケースでなかなか難しいのではないかと思って。仮に決めるのであればどういう範囲なのかということを今、議論されておりますけれども、やはり教えていただきたいと思います。
 それから、逆にこれから出るのでしょうけれども、客観的な、合理的な理由に限りというのは不合理な理由の方をもう少し具体的に出された方が。判例ではあるのでしょうけれども、世の中、不合理な方が圧倒的に少ないのかもしれません。
 それでやはり社会通念上、こういう形式を今、それぞれの企業は取られているのだと思うので、客観的な不合理な理由を、また社会通念上、相当でないというところをもっと出されて、だから、こういう期間を決める必要があるのだということをもう少し議論される必要があるのではないかと思うのです。
 もう少し先の方にいって申し訳ないのですが、4番目の調査の結果です。
 これは事業者単位ではこういう結果になっているのですが、個人の方は有期も無期も97.1%と同じになっているということですが、先の方にいって申し訳ないのですけれども、この違いについて教えていただきたい。
 退席するのでもう1点。
 5つ目の問題で、個々の労働者の合意を得ることなく、労働契約を期間の定めのない契約から有期契約に変更するということがありますが、非常に極めてまれな例だと思うのですが、このような事案があるのかということがあれば、後ほど教えていただきたいという点でございます。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 それでは今、池田委員からの御要望の点については、ちょっとなかなかすぐにお答えできない部分もあります。例えば、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上、相当であると認められないときの具体例ということになりますと、要領よくまとめようとするとちょっとなかなか大変な作業かなという気もいたしますので、また改めて事務局の方で必要な資料を用意してもらうということにさせていただければと思います。
 それから、個々の労働者の同意を得ることなく、就業規則で有期契約に変更するということについては事例はあるので、確かに前半の資料でも出ていたと思います。
○青山調査官 裁判例を出したことがあります。
○岩村分科会長 裁判例が出ておりますので、後ほど、またそれは事務局の方から御案内をさしあげるということにさせていただきたいと思います。
 それでは、新谷委員。
○新谷委員 池田委員の御質問で、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上、相当であると認められないときの具体例については、前回の資料にも確か出ていたと思いますけれども、東武スポーツ事件という、キャディーの正規職員を1年契約の有期社員に全員切り替えてしまったという事案で、東京高裁の判決があります。
 次に、資料1の最後のところに、「不合理・不適正な利用とは言えないと考えられるものの例」つまり、例外的に適正な利用ではないかとされている中に、いわゆる不更新条項のことが書いてあります。
 しかし、不更新条項については、真の合意に基づくかどうかという問題の他に、契約更新の意図を持ちながら、予防的、予備的に不更新条項を盛り込むという濫用的なケースもありますので、そこは注意が必要ではないかと申し上げておきたいと思います。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 済みませんが、先ほど輪島委員の問いかけで、不合理、不適正と考えている例というのはほかにも幾つかあるというお話だったので、それを労側の方で御披露いただければと思います。
 では、高松委員、お願いします。
○高松委員 長期間又は多数回にわたり反復更新を続けた上で、単に期間の満了を理由に雇止めすることも不合理不適正な理由にあたると考えております。
 有期契約労働を長期にわたって、当然のように反復更新をしていけば、労働者本人も、期間の定めはあってもないようなものと言いますか、雇用は継続されるものと期待するのが自然であろうと思います。
 しかし、企業側の状況によっては必ずしもそうならないということがやはり大きな課題だろうと思っています。そのことは、すべてが反復更新された有期雇用労働者かどうかは別にしても、やはりリーマンショック時の大量雇止めも社会問題化したわけでありますが、これは、使用者が、雇用調整したいがため、経営が悪化したという理由さえあれば、それまで何回更新していようと有期契約は切りたいときには切れるのだ、というような理解のもと、雇い止めを行ったということなのではないか、と思っています。
 これは、まさに雇用調整リスク、一方的に有期労働者が負わせられた、まさに不合理、不適切と言わざるを得ない実例ではないかなと考えております。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 では、輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 ありがとうございます。
 3番のところ、私どもは近いと言うか、それは思うのです。
 ただ、これがストレートにそうなのかと思っていると、長期間にわたって何度も契約を更新して、その後も雇用が継続されるということが双方で了解をしているということが、まず条件だと思います。そこで突然、雇止めが行われてしまうというのは3番と同じなのですけれども、意味合いは少し違うのではないかと思っています。
 なので、その点で言うと一番下の、先ほど新谷さんが御指摘になった不合理、不適正な利用とは言えないということですが、ここも少し確認ですけれども、これの意味は不更新で1回の契約と読むのだと思いますが、労基法14条の告示のところの運用もどう考えるのかというのを事務局に教えていただきたいと思います。
 例えば、1年の契約で今年4月1日~来年の3月31日までの契約です。今、経営状況が悪くなったので、途中で雇止めをしますということで、現契約を結ぶときには、次の契約が更新されているかどうかは明示をされているわけですから、双方は次の契約がある、1年の契約があるということを了解して、現契約もあるということにおいて、今の時点で年度末をもって雇止めにするということではなくて、その次の契約更新をして、その契約で満了するという雇止めになるということについては不適正と言えないものと考えられる中に入ると思うのですけれども、その点はいかがでしょう。
○岩村分科会長 では、荒木委員。
○荒木委員 お話を伺っておりますと、今、御提示された論点をどの場面で議論するのかを整理した方がよいように思います。
すなわち、そもそも有期契約を客観的な理由なく結んではいけないという問題として議論するのか、それとも有期契約を反復するという濫用的な利用のところで議論するのか。どのステージで議論をするのかによって、多分、議論は変わってき得ると思います。
一般に我々も有期契約についてお話するときも、入口規制、出口規制、均等待遇の中身の規制と、大きくは3つの論点があるのではないかと議論しておりますが、今日のお話の中でも資料?1を見ますと、大体において出口規制に関わるものが多いのですけれども、先ほど安永委員の方からは入口規制に関わる論点についてもお出しいただきました。
それから、下から2番目のところは均等待遇のような話でもあります。
そこで、少し論点を整理した上で具体的な議論をした方が、より建設的な議論になるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○岩村分科会長 私が先ほどから申し上げているように、不適正、不合理のところは確かに重要な問題なのですが、できればこの辺でこの議論は、差し当たり1回打ち止めにして。勿論、後で議論するということはあるでしょうし、むしろ、それぞれの論点についての中で議論した方がより深まる部分があろうかと思いますので、今、荒木委員の御示唆もありましたから、この辺で1回交通整理をするという意味で、この不合理、不適正な利用というところの議論についてはこのあたりで一回とめさせていただき、次のところに移らせていただければと思います。
よろしゅうございましょうか。いろいろ御不満はあろうかと思いますけれども、そのようにさせていただければと思っています。
実際にはこの後、お示しするペーパーとの関係で言うと、それを先取りした形の議論ということになっておりますので、そのような形で進めさせていただければと思います。
今後の議論を進めるということで今、申し上げたわけですが、1つ、私の方から御提案させていただきたいと思います。
皆様、既に当分科会で有期労働契約の議論をずっと検討してきていただいて、御承知のように8月に議論の中間的な整理というものをとりまとめたところでございます。
それ以降は、有期労働契約実態調査の結果についての報告をいただいたり、あるいは均等均衡処遇に関する報告書の内容を伺ったりということをしてきたところでありますし、本日は今、大変活発に御議論いただきましたように、不合理、不適正な利用についての具体例、あるいは雇止め法理、その他について議論をしてきたところでございます。
それを伺ってもわかるわけでありますが、労使それぞれ御意見があるわけですけれども、この後、年末に向けまして議論を進めていかなければならないということもございますので、分科会長といたしましては、有期労働契約の在り方につきまして、これからこの分科会で議論する項目というものを改めて明確にさせていただく。その上で、それについて順次御議論をいただくということが適当ではないかと考えております。
そういうことから事務局の方にお願いをしまして、資料を作成していただきましたので、これを皆様にお配りしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
(資料配付及び池田委員退席)
○岩村分科会長 それでは、まずこの資料につきまして事務局の方から説明をいただきたいと思います。
○田中労働条件政策課長 資料、読み上げさせていただきます。
有期労働契約の在り方に関する論点(案)
  労働契約の期間の定めは、パート労働、派遣労働を含むほとんどの非正規労働形態に関わる労働契約の要素であるが、労働市場における非正規労働者の割合が増大している中で、有期労働契約の利用に関する明確なルールがないため、雇止めの「不安」や不公正な処遇に対する「不満」が拡大している。
  また、有期労働契約の利用の態様如何によっては、労働者の継続的な能力形成や処遇の改善への大きな支障が生じ、その将来的な人生設計にまで悪影響を与える場合があるなどの問題も存在しています。
  こうした有期労働契約の現状を改善するためには、有期労働契約の適正な利用のためのルールを明確化していく必要性が高まっていると考えられる。
  今後の議論においては、こうした観点を踏まえ、次の項目についてどのように考えるか。
 1 有期労働契約の締結への対応
   有期労働契約は合理的な理由がない場合には締結できないような仕組みについて、どのように考えるか。
 2 有期労働契約の長期にわたる反復・継続への対応
   有期労働契約が長期にわたり反復更新された場合においては、期間の定めのない労働契約への円滑な転換が図られるような仕組みについて、どのように考えるか。
 3 不合理な「雇止め」への対応
   確立した判例ルールである「雇止め法理」は、有期労働契約の更新に関して広く労使で認識を頬数すべきルールとして、その内容を制定法化し、明確化を図ることについて、どのように考えるか。
 4 「期間の定め」を理由とする不合理な処遇の解消
   有期契約労働者に対する処遇について、「期間の定め」のみを理由とする不合理な処遇(不利益取扱い)を禁止することについて、どのように考えるか。
 5 そのほか必要な手続的ルールの明確化
   労働契約の契約期間の設定及び変更については、労使の個別合意によるべきことを明確化するとともに、契約更新の判断基準を労働契約の内容として明確化するよう使用者に求めることについて、どのように考えるか。
以上です。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 今、お配りしましたこの資料は、こうした主な論点をこれから順次御議論いただきたいという趣旨でございまして、あくまでも論点の案ということでございます。
それぞれ項目が挙がっておりますけれども、それにつきまして検討の方向性を示すという性格のものではございません。その点を御留意いただきたいと思います。
これまでのこの分科会でなされてきた御議論というものを踏まえて項目を挙げさせていただいているつもりではございますが、これにつきまして特段、御意見のある方はお願いしたいと思います。
では、伊藤委員どうぞ。
○伊藤委員 ありがとうございます。
 実は中間報告の内容でも、先ほども議論あり、御指摘もございましたが、不合理、不適正な利用の実態について認識の一致を見ていないという表現がございました。
 その中で、ペーパーの冒頭のところでございますが、まず、有期労働契約の利用に関する明確なルールがない。今、法律はちゃんとございます。
 それから、雇止めへの「不安」や公正な職に関する「不満」が拡大をしているということですが、先般の調査においても拡大はしておりませんで、満足をしてみえる方は21年度、23年度を比較すると、ほとんど同じ比率になっているわけでございます。
 それから、継続的な能力形成や処遇の改善に支障があるということですが、これはさまざまな有期契約の形態がございますので、ある意味、細切れにすればいけないわけであって、それを安定的に継続していく。契約更新、反復で継続していくということが大変重要なことであろうと思います。
また、人生設計ということに関しましても多様な働き方がございまして、先ほどリーマンショックの話がございましたけれども、生計の中心として正社員と同等の働き方をしている方々に関しては甚大なことであろうと思います。短時間で家計の補助的に時間を有効活用して働いていらっしゃる方にとっては、そこまでのことがあるのかどうかということも当然ございましょうし、いろいろな観点があろうかと思いますので、その辺の冒頭の認識という点では、若干、表現上の課題があるのではないかと思っております。
 以上でございます。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 新谷委員、どうぞ。
○新谷委員 伊藤委員が今、前文のところの御指摘をいただいたのですけれども、私どもは全くその逆でありまして、これまで1年近くにわたって論議をしてきて、有期労働契約で働いておられる労働者の方々が、雇用の不安定であるとか処遇の格差であるといった現状について、随分データに基づく論議をさせていただきましたし、また、私どもからも労働相談に来ている事案についても御紹介しました。
それは労働局で行っている事例もこの中で御紹介があったわけでありまして、やはりここのリードに書かれているように、非正規の方々、有期の方々がその中心になるわけでありますけれども、有期の方々が働いておられる中での雇止めの不安であるとか、不公正な処遇に対する不満は、まさしくここの分析のとおりだと私どもは見ております。
 それと有期の利用に関する明確なルールがないということも事実でありまして、御承知のとおり、基準法14条の1回の契約期間の上限や、契約法の17条1項が今あるルールなわけで、それ以外であれば、基本的に契約自由の原則が適用され、全く自由放任の中で今、有期契約が利用されていて、そこから生まれる弊害がたくさんあるわけであります。
 そういった意味でいくと、今回、これを機にルールを明確化していく必要性が高まっているというのは、これはやはり今後の労働条件分科会の審議を進めるに当たって共通認識としてやはり持っていただかないと、なかなかこれからの論議は難しいのではないかなと思います。
 有期がいつまでも反復更新されているのだから、これは安定的な雇用であるという認識にお立ちになる限り、なかなか論議は進まないのではないか。やはり現実に起こっている問題を直視していただきたいと思います。
 日本の雇用の質の劣化については、労働経済白書でも分析がされていて、ワーキングプアの実態も、そのほとんどが非正規、有期契約労働者であり、そういう方々が実は雇用が安定していないから結婚できないという実情も報告されているわけであります。
 ですから、今後の有期の法制の在り方を考えるに当たっては、今後の日本の雇用社会の風景を10年先、20年先、30年先、一体どういう風景にしていくのか。まさしく私たちの子どもの世代、孫の世代が10年先、20年先に社会に出たときに有期労働契約というものがどういう保護の下であるのかという視点で是非考えるべきだと思います。
 現実に今、若者が大学を出て、社会に出て行くときに1年契約の更新で3年が上限ですというのが新人の求人が来ている現実があるわけです。
やはり、日本の長期雇用の中でスキルを高めていって労働力の質を高めていくという、従来、日本が持っていた強みが今、どんどん弱くなっている。そこはきちんとしたルールをつくるべきではないかと私どもは考えております。そういった意味では前文のまとめについては、私どもは、異論はないわけであります。
 各論を今回、5つの視点で論点として挙げていただいておりますけれども、私どもとしては、基本的には私どもはすべて検討すべき内容であると。これだけでは足りないのかもしれないという意味で、ここに挙げていただいた論点を、今後、深掘りをしていく検討を進めさせていただきたいと思っております。
 そういう基本的な認識を申し上げて、私どもとしては基本的には、雇用の原則というのは期間の定めのない無期雇用であり、かつ、それは直接雇用であるという原則に立って論議を進めさせていただきたいと思います。
 その上で事務局にお聞きしたい点がございます。
 これを読んでいくと、最初の2行目のところに労働契約の要素という言葉が出てきますし、下から4行目のところにも有期労働契約の適正な利用のためのルールの明確化という表現が出ております。
 これは1巡目の論議のときに有期労働契約法制の法体系をどういう体系でつくり上げていくのかというのが論議になったと思います。要するに雇用管理法のような、行政指導法のような形でつくり上げていくのか、私どもが主張しているような労働契約法のような、労働者の権利義務を確定させるような法体系とするのかいうのは論議になったと思うのですけれども、これはどう読んだらいいのか。お考えがあればお聞かせいただきたいと思っています。
○岩村分科会長 では、事務局でお願いします。
○田中労働条件政策課長 ここのところはまだ、抽象的な言葉の表現ですので、是非、労使に御議論いただきたいという思いで書かせていただきました。
 有期契約についてはこれまで統計数字等でもごらんいただいているように、非正規労働者の中で大きな数字を占めているということでございまして、冒頭にも書きましたようにパートとか派遣を含む、ほとんどの非正規形態に関わる問題であるという認識がまずは分科会の議論を進める上で留意しないといけないことだろうと思います。
 その上で、細かなワーディングについては事務局の責任でございますけれども、労働契約法については、有期労働契約に関する第17条の規定はございますが、労働契約法をこの分科会で審議した際、今後の有期労働契約の在り方について議論することとされたという流れもございます。
 そういった意味で有期労働契約の適正な利用のためのルールを明確化していくということについては、労働契約法を基本として考えていくということも十分御議論いただく必要があるのかなと思っております。
○岩村分科会長 今、御議論のありました、今日のペーパーの冒頭部分のところですが、これにつきましては、使用者側は使用者側の御意見があり、労側は労側の御意見というものがあって、いずれにしろ、最終的にここの部分、どういう書きぶりにするかというのは、個別論点のところでどういう形で最後まとめるかということとも関係しますので、今日のところは冒頭部分についてはこの程度にとどめさせていただいて、具体的な議論に進めたいと考えています。
 輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 いや、その前に。
○岩村分科会長 松本代理、気づかずにすみません、どうぞ。
○松本委員代理 個別論点の話に入る前に、論点に入る前の行のところに、今後の議論においては、以上の観点を踏まえ、と書いてあるところが非常に重要なところでありまして、上のような前提でもって下の論点に入っていくことについて、使用者側は必ずしも同じ認識に立っていないということは先ほど、伊藤委員が言われたことと同じでございます。
 特に企業は有期雇用の方々でも、満足な方々もかなりいらっしゃると。企業もリーマンショックやら震災みたいな状況の中で、ゴーイングコンサーンとして維持していかなければいけないという状況の中で、やはり有期雇用の両面があると思いますので、是非、そこら辺も勘案した上で下の議論を進めていくということであれば、我々も議論できると思っております。
○岩村分科会長 そういうことで使用者側も議論していただくということでよろしいかと思います。
 輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 確認ですけれども、この論点(案)という御説明でしたけれども、資料で提出されて、これでいいよということになると、(案)がとれて論点となるのですか。それとも、論点(案)というペーパーなのかということがよくわからないということ。
 新谷さんがおっしゃったように、中間的整理の中でも多様な正社員とか、契約終了手当とか、私どもとしては論点としては大事なものがあると思っていますけれども、それについては排除されていないということなのかどうか。そこが先ほどの分科会長の説明、クリアではないので、その点をお示しいただきたいと。
○岩村分科会長 (案)を外してということは、現在のところはそういうものではないと考えております。あくまでもこういう項目について、今後、御議論をいただきたいという趣旨で出させていただいている。
 あと、今、おっしゃった、ここに書かれていないものというのも、実は実際にはそれぞれの論点を議論していく中で、例えば多様な正社員の問題も当然、絡めて議論しないといけないと考えられますので、それはそれぞれの論点を議論していく中で、また議論を深めていけばいいかなと考えております。
 はい、輪島委員どうぞ。
○輪島委員 済みません、もう一点。
 これの資料の取り扱いですけれども、今日、こういう形で傍聴の方にも配られていますが、資料としてはどういう扱いになるのかということ。
 このペーパーで(案)ということではとても承服できないので、審議会の資料として前文の説明を全部とっていただきたい。論点として1、2、3、4、5というのがあるということはわからないわけではないですし、今後の議論ということであれば、それについて議論を深めることということは重要だと思っています。
 全体にこう書いてあって、こうした観点を踏まえてということは、明らかに法制化を前提にして書いてあるということで、新谷さんが違和感がないとおっしゃるので、私どもには大変違和感がある前文でありますから、この前文についてはとっていただいて、審議会の資料の案としていただきたいと思います。
○岩村分科会長 では、事務局の方、お願いします。
○田中労働条件政策課長 あくまでこの中身について、ここで冒頭の部分について御議論いただくということは余り生産的ではないのかなと思っております。
 議論を促進するために分科会長の指示でおつくりをさせていただいた資料でございます。そういう意味で、1~5の項目について御議論をいただく資料ということで御理解いただければと思います。
○岩村分科会長 私の意向というのは先ほど御説明したとおりで、この冒頭の部分について、まず、最初にここから入るということは考えておりませんで、最終的には今日、お示ししている1~5の部分の個別の論点について順次御議論をいただいて、その中にはここには書いていないけれども関連するような多様な正社員といったものも含めて、関係する項目の中では御議論いただく。
 その上で最後、どういう形で、一番冒頭のところに関わる部分をまとめましょうかということで考えております。
 ですから、労側はお気に召さないかもしれませんが、これが何か固定的なものであって動かせないものではないと考えているものではないということは御理解いただきたいと思います。
○輪島委員 余り生産的な議論ではないことは十分にわかるのですけれども、人生設計にまで悪影響を与える場合があるという問題も存在しているとは思っていないのですね。
 不合理、不適正についても全くよくわからないまま議論がされていくということが、やはり法制化を前提とした、事務局の意図なのかよくわかりませんけれども、そういう感想を持ってしまって、最終的なまとめのところもこういう形で書いているわけですから、こういう認識でまとめられるということについて、今後、深めていくといってもこういう認識の中で深められるのかどうかということに大変危惧を持っているということです。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 ここで議論し出すと、先に進まないということもあり、使側の御懸念もわかるのですが、先ほども申し上げたように、これで固定的なものとして考えているわけではありません。
確かにこうした観点を踏まえということはここに書いてありますけれども、この筋に沿って1~5を議論しましょうと考えているわけではないので、そこは使側としては先ほどおっしゃったような観点も含めて御議論をいただくということで全く構わないし、そういう議論を封殺しようという意図では全然ございません。その点は誤解のなきよう、お願いをしたいと思います。
 はい、三浦委員どうぞ。
○三浦委員 分科会長のおっしゃる意図というのは、ここにないというのはよくわかるのですけれども、これをそのまま私も見た感想です。
 有期だけに解決できない問題まで、例えば人生設計、これは労働市場そのものの問題も含めて考えなければ解決しないような問題を有期の中だけで解決できるという形に捉えられてしまう。
 一方で有期という働き方の部分を選択して、その中で満足した働き方ができている、あるいは雇用の場として、あるいは就業の場として活用できているといったものも含まれていないことがそのまま残ってしまうというのは、これからの議論はそれにとらわれずやるということはわかりますけれども、ペーパーとしてここに残るというのは強い懸念を持たざるを得ないと、私としては考えます。
○岩村分科会長 そういう懸念が表明されたということは、議事録に勿論、残りますし、先ほど私が申し上げましたように、この文章をそのまま今後、残していってということではございませんので、それについては今後の議論の中で出た御意見等も踏まえつつ、最終的なとりまとめができれば、そこのところでまた御議論させていただきたいと思っているところでございます。
 使側におかれては、いろいろそういう御懸念があるということは重々わかりますが、他方で具体的な中身の議論に入らないと、先ほど来おっしゃっているようなこともクリアには浮かんでこないところもあるので、そういう意味で今日のところは、そういう使側の非常に強い御懸念が示されたということについては議事録には残りますということも御理解いただいた上で、先ほど私が御説明した趣旨もおくみとりいただいて、個別の議論について順次検討させていただくということにさせていただければと思うのですけれどもね。
 はい、輪島委員どうぞ。
○輪島委員 議事録に載っているということで、今後の議事進行について分科会長に特段の御配慮をいただきたいと思っております。
 その観点で議論を深めるというところで、この5つ、取っかかりにするということだと理解をして、議事については協力をしたいと思っています。
 追加項目について、いつどう出せばいいのかということは改めて別途、御指示をいただきたいと思います。
○岩村分科会長 承知いたしました。
 それでは早速、個別の論点を順に追って御意見を伺っていきたいと思います。
 まず、1番目としまして、有期労働契約の適正への対応ということでございます。これについて御意見あるいは御質問などがいただければと思います。
 輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 先ほどの1~7、締結事由規制ですが、どういう範囲なのかということがよくわからないので、具体的に派遣法をイメージすると業務指定というような気がしますけれども、どういうことを考えていらっしゃるのかをお示しをいただきたい。
○岩村分科会長 労側は今の御質問についていかがでしょうか。
○新谷委員 後でお答えします。
○岩村分科会長 承知しました。工藤委員。
○工藤委員 ありがとうございます。
 これまでもずっと申し上げてきておりますが、やはり雇用の原則というのは、期間の定めのない直接雇用であるという立場でありますので、ここから考えますとやはり有期労働契約というものの利用というのは、合理的な理由がある場合に限るべきだと考えております。
 合理的な理由がない場合には、やはり原則として期間の定めの労働契約となるものとして、雇用の安定、雇用の質の向上を図るべきだと考えております。
労働側としても、先ほど出しております7点について有期雇用を許容すべきとしておりますが、やはり原理原則として、今の日本の状況を考えたときに少子高齢化が進んでいるとか、低所得者層が増えているような状況、それから、雇用が不安定だとやはり購買意欲もなかなかわかないとなってくると、経済全体が回ってこないのではないかという観点も含めて、やはり国全体として閉塞感が出てきているというところにもつながってきていると考えています。
私は製造業の出身なのですが、製造業で見たら、やはり先輩方からいろいろなことを教えられながら、それをまた後輩に伝えていくという文化がやはり大事であると思いますし、それは日本のものづくりなり、いろいろな企業の中における競争力を支える原点だと思っております。
こういうところが崩壊してしまうようなことになると非常に問題であると考えております。
こういう点で考えますと、現在、非正規労働者というのが我が国の労働力の約3分の1を超えて増加し続けています。このような実態を、今後20年、30年、もっと長いスパンで考えたときに、本当にこのままでいいのかというところに対しては、非常に危機感を持っております。やはり社会の安定、企業の発展もそうですし、これのベースになるのは、やはり雇用の安定だと考えております。
これを改善するための政策を打ち出す必要があると考えておりまして、有期雇用という形を、これ以上増やすべきではないと考えております。このための歯止めが必要であると考えておりまして、そのためにはやはり合理的ではない有期契約の利用を制限することを第一に検討するべきだと考えています。特に主たる生計者の部分に対しては十分議論すべきだと考えています。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 ありがとうございます。
 工藤委員のものづくりの現場で有期労働者はどういう仕事をされているのか。そういう人たちに技能伝承させるようなことで教育訓練をやっていらっしゃる有期労働者がいらっしゃるという意味ですか。
 それから、主たる生計者は有期労働契約については除くということなのかもしれませんが、先ほどの1~7の中のどの部分に該当するのか教えていただきたいと思います。
○岩村分科会長 どうぞ、工藤委員。
○工藤委員 まず、ものづくりの現場で有期雇用の方々にどんな教育をやっているのかという観点。
○輪島委員 ものづくりの現場で有期の労働者はどういう仕事をしているのですか。技能伝承が必要なわけですよね。
○工藤委員 はい。
○輪島委員 ですから、有期の人に技能伝承が必要な雇用の安定を。ですから、どういう仕事を有期の人に任されているのかを教えていただきたい。
○工藤委員 ものづくりの現場すべてを私も把握しているわけではないですけれども、基本的には単純労働に近いようなところですとか、時間的な制約のある方々に対してやってもらっているような現状もあります。
○岩村分科会長 もう一つ、家計の担い手という御質問もございましたが、それが先ほどの輪島委員の御質問だと、家計の主たる担い手というのは7つ、先ほど労働側が挙げていただいた中のどれに入るのですかという御質問なのですが、いかがですか。
○新谷委員 先ほどの御質問とも関連しますので、私の方からお答えいたします。
 先ほど2つ質問をいただいて、工藤委員からものづくりの現場の話をさせていただきましたけれども、ものづくりの現場で有期の方々が働いている場面というのは勿論、産業の実態によって大分違いますので、単純技能をやっておられるところもあれば、業務ごと請負という形で非常に高度な仕事を有期という形で間接的にやっておられる方もおられますので、これは一概にどういうパターンだと類型化するというのは、申し上げにくいのですけれども、かなりの方が有期労働契約で製造現場に入っておられるという実態は御紹介しておきたいと思います。
 それと、主たる生計者に関する質問について。これは従来、非正規とか有期の労働者の類型を語るとき、数が少なかった時代もそうなのですけれども、家計補助的に働いている方がその中心に、おられたわけであります。
 ところが近年、労働者の3分の1が非正規ということになってきますと、必ずしも家計補助的な方々だけではなくて、やはり自分の稼ぎで生計を維持しなくてはいけない方々が非正規、有期の方の中に非常に増えてきている。しかも、その方々の中の処遇の格差というのが非常にある。今、規制が何もないものですから、まさしく契約自由で企業の方で、締結事由の規制がありませんから、有期の方で採用ができる。
 それから、これは実情を1年にわたって話をしてきていますように、かなり処遇格差があるにもかかわらず、いわゆる従来の正社員の方々と近い仕事もやっておられる実態もある。処遇格差について何らの規制もない。やはり入り口から規制をかけないといけないという意味で、主たる生計者の方々が増えてきているという背景を申し上げたわけであります。
 それで、最初の御質問で、先ほど安永委員から申し上げた7つの締結事由について、私どもの考え方を申し上げましたけれども、これは業種をコントロールするやり方なのかということなのですが。
○輪島委員 業務。
○新谷委員 業務でやるのかということなのですけれども、これは申し上げたとおり、今の14条に記載されている要件を幾つか盛り込んでおります。
 1つは有期事業。一定の事業の完了というのは最初に7つ申し上げたと思いますけれども、第1点目は一定の事業の完了に必要な期間を定める場合。これは有期事業の場合です。
 もう一つは、60歳以上の労働者を新規に雇用する場合も業務ではありません。
 専門的な知識、技能で高度なものとして厚生労働大臣の基準に合致する、高度専門労働者ということでありますので、これは業務に近いことですね。
 あと、休業中の労働者の補充ということですから、育児・介護の代替要員の部分であります。
 5番目と6番目が業務に近く、これは臨時的、一時的な業務の増大に対応する度合いであります。
 6番目が業務の性質上、一時的な労働のための雇用ということで、季節労働です。例えば年末年始、クリスマス、お中元セールスとか、いわゆる季節的業務で非常に負荷が高まり、かつ、それが非常に短期間で終わるといったケースを想定しております。
 最後の7はこれらに準じる場合ということでありまして、今の14条の要件も幾つか盛り込んで、新たに加えたのが業務の一時的な増大と業務の性質上、一時的な労働といったところが中心になると思っております。
 以上です。
○岩村分科会長 ありがとうございました。
 伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 ありがとうございます。
 私の所属している会社は、実は有期のフルタイマーの方がいらっしゃいません。すべてパートタイマーでございます。
 したがいまして、労働契約法とパート労働法によって契約事由の原則で契約を取り交わさせていただいて、処遇格差ということもパートに基づいて均衡という考え方を入れて1年に1回、契約をさせていただいているというような状況でございます。
 ですので、無期を前提とした有期労働契約の合理的な理由ということではなく、私どもパートがすべて有期ですので、合理的な理由に基づいた有期契約を今、させていただいていると認識をしております。
 ですので、なかなかお答えにくい。
 雇用の安定ということがあります。雇用の場をまず確保しなくてはいけないだろうということで、経済がどうなるかわかりませんが、今後、恐らくサービス系の業種の就労人口がどんどん増えていくのだろうと思いますから、ある意味、多様性というものを担保しないと雇用の場が果たして確保できるのだろうか。
 当然ながら、大学を出たらきちんとした世帯の主たる生計者となるべく、安定的な仕事について、当然、フルタイマーで働くことは当然、必要だと思います。
 有期をひとくくりで語ることは大変難しいですということを申し述べたいと思います。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 今後、締結規制の問題は少し理論的な問題もあるので、公益委員でどなたか少しお話いただければと思うのですが。
では、荒木委員、お願いします。
○荒木委員 入口規制について、労働側から御提案がございました。
 私どもは、有期労働契約研究会においてもヨーロッパ諸国で入口規制を行っている国、あるいは行っていたけれども現在やめている国、いろいろな調査をしました。
 例えばフランスは入口規制を行っております。
そこで問題はないかと見ましたところ、1つは今回の御提案の5番目の業務の一時的な増大とか、7番目のこれに準ずる事由。これは極めて抽象的なのです。使用者は有期労働契約を利用したいと思いますと、こういった一般的な条項を根拠に、合法的な有期なのだという形で使います。しかしその要件が抽象的なため、それが合法的な有期であるのかないのかないのを巡って、紛争を惹起しているという問題がございます。
 実はスウェーデンはもともと入口規制を行っておりましたが、いろいろな有期の必要があるということで、どんどん有期契約を結んでよい事由を追加しました。その結果、リストが非常に長くなりまして、一体どれを使っているのか、どれに該当しているのかをめぐる紛争を惹起するということになりました。そこで方針を転換しまして、入口規制をやめて出口規制に規制の比重を移したということがありました。
 フランスについて申しますと、フランスは入口規制は行い、更新も1回しか認めないということで、非常に厳格に有期契約を規制しています。そうしますと、諸外国に比べて有期はほとんどいなくて、皆さん、無期で雇われているかといいますと、OECDの統計を見ますと、ドイツや日本と変わらないぐらい、10数%の有期労働者がいるわけです。
 ということは、「業務の一時的な増大」のような一般的な条項を使って、相当程度は有期で雇われている実態があるのではないか。そしてそれがまさに先ほど言ったように非常に紛争を惹起することになって問題ではないか、ということが一つございました。
 もう一つは、少し雇用政策的な観点で、むしろ皆さんの御意見をお聞きしたいのですけれども、客観的に合理的な事由がある場合にしか有期労働契約は使ってはならないと言いますと、現在は事由を限定せず使っているのですが、その一部しか有期は使えない。残りの方は最初から無期契約あるいは正社員で雇ってくださいということになりますと、それによって期待したように無期契約、正社員になられる方が増えればそれはそれで非常によろしいのですけれども、簡易な形で有期契約であれば雇用に結びついている方はどうなるのか。有期の利用可能性を狭めますと、その結果、雇用に結びつかない方が増えることになりはしないかということが、諸外国においてもまた懸念されていました。
 実はドイツはそういったことが現実化いたしまして、1960年以来、有期労働契約には客観的な理由が必要だという判例法理がありましたが、ドイツはオイルショックの後、高失業問題、とりわけ若年失業問題に直面しましたので、1985年以来、有期契約の締結に当初は1年半、1996年からは、2年間は客観的な理由は要らないという形で客観的理由のない有期契約を認めることとしました。入口規制を原則として最初の2年は適用しない、それを超えて更に有期契約を使う場合には客観的な理由を要求する、という規制にシフトしました。
この問題を雇用政策全体で考えると、現在、有期で雇われている方の処遇改善も重要ですが、無業・失業状態にある方をどうやって雇用の場に引き入れるかということが更に我々の考えるべき重大な課題ではないかと思いますので、その点も含めて、有期契約の入口規制についてはお考えいただくとありがたいです。
○岩村分科会長 若干、追加しますと、私もフランスをやっていることの関係で言うと、今日の労側でお示しいただいた7つの項目のうち、先ほど新谷委員がおっしゃったように労規法の14条をとり入れている部分もあるのですが、他方で例えば業務の一時的な増大、その他については、ドイツやフランスの例を参考にされているのだと思うのです。
 ただ、ちょっとドイツについてはむしろ荒木委員の方が詳しいので触れませんけれども、フランスについて言いますと、実は無期契約の場合、例えば日本で言う整理解雇に相当するものというのは、日本よりはるかに広いのですね。
そういう意味でもともと正規か非正規かという発想が余りないので、したがって、無期契約で雇われている場合についても、量的な雇用量の調整というのは制約はありますけれども、日本ほどリジッドではない。それを前提とした上での有期の締結制限にあるということを考える必要があるということです。
それからもう一つは、今、荒木さんがおっしゃったことと全く同じなのですが、フランスの場合にも結局、若年者の失業が非常に深刻化して、そのために何をやったのかというと、結局有期契約を使って、若年者を職場にまず入れる、そこから始めるという形に実はなっているのです。
そうしますと、有期契約の使える場合を規制するということによって、では、若年の人たちのスキルの向上とか生活状況その他の向上を図れるのかということは、少なくともフランスなどの面を見ているとどうもそうではないと私には思えます。
ドイツについてはどうかということは、私もよくわからないので、もし荒木さんの方で補完していただければと思います。
○荒木委員 EU諸国では、まさに若年失業問題が労働政策最大の課題です。
 フランスも今言われたように、実は福祉目的の雇用というのが有期契約を使っていい事由として挙げられていますが、それも実態は若年者を職場に引き入れるために、有期は使ってよろしいということのようであります。
 ドイツも同様でありまして、先ほど申しましたように85年以来、当初1年半、現在では2年、更に新規立ち上げ事業の場合には4年間、客観的な理由なく有期契約を使ってよろしい。これもやはり若年失業問題に何とか有期契約を使って対応したいということがあります。
 問題は有期を禁止することというよりは、有期でもとにかく雇用に引き入れて、そして一定間以上使う場合には、もはや濫用的な雇用とみなして、安定雇用に移していく。ヨーロッパの雇用政策は、入口で規制するというよりも、出口の方にシフトして、とにかく失業状態から雇用に結びつけ、それから安定雇用に移行させるという方向に展開した。これもやはり若年者の雇用問題を一番の課題と考えたためではないかと観察しております。
○岩村分科会長 はい、では新谷委員。
○新谷委員 ありがとうございました。
 私どももこの7つの要件を考える際に、構成組織の労働の実態であるとか、勿論、比較法の研究もさせていただいて、今、7つ提起をさせていただいております。
 非常に詳細な御指摘いただいたのですけれども、特に業務の一時的な増大という事由については、全く私ども論議段階ではやはり懸念があって。要するに、これもやはり予測可能性の問題があって、かなり要件に適用するのかどうかについては、非常に問題があるということも考えました。
 雇用政策の中で業務量の変動というのを見た場合に、客観的な指標として何かとれるものがあるのかというと、例えばですけれども、今、雇用調整助成金の申請において、販売量や生産量についての指標があって、それをもとに助成金を支給するという仕組みもあるわけであります。例えば、そういうものを客観的な指標として使うという手も1つあるかなということも御紹介をさせていただきたいと思います。
 若年失業者、無業からの就業につなげるというところも確かに重要な視点で、これらに準ずる合理的な理由という中に、例えば、学生が職場に入っていく入職のときの問題ということも、これらに準ずる合理的な理由として考えられないかという論議も実はして参りました。
 もう一つ、私ども検討した際の重要な視点としては、現在これだけたくさんの方が有期で規制のない中で有期で雇用されておりますので、もし、これが法律として成立して施行されるといったときに、現在有期の方々への経過措置についても十分考えないといけない。
やはり、現在の雇用に対する影響も考えておかないといけないということも論議をしてきております。
 先生方にいただいた内容について、私どもの提案をもう少し、これを今後の深掘りの中に入れていただくという前提の中で御示唆いただければありがたいと思っております。
 以上です。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 それでは、輪島委員。
○輪島委員 まだ具体的な話がよくわからないのですけれども、端的に中島委員と高松委員にお伺いします。
 中島委員の業界の期間工が1~7に該当するのか、該当しないのか。
 高松委員には、年度末は引っ越しがたくさんあるので、これは認められるか認められないかということ。
 業界では契約社員とか店舗社員で1年契約の方が数千人単位でいらっしゃると思いますけれども、その方々はこれの対象になるのかならないのかというのを教えていただきたいのです。
○岩村分科会長 お尋ねなのですが、いかがでしょうか。
 では、高松委員。
○高松委員 引っ越しの事例が今、ありましたが、基本的には下請業者を使うケースが多いと思っています。
 あと、私どもの業界では、繁忙期を含めて、日々の繁忙を含めての対応は、アルバイト、パートのごく一部ということになろうと思っています。
 ただ、ついでに申し上げますと、業務の閑繁というものが昔と今とで比較しますと、平常時をプラス・マイナス・ゼロで見るならいいのですが、だんだん厳しい状況があるものですから、閑繁期の一番暇なときをプラス・マイナス・ゼロにおきながら、そこから上の部分はすべて固定戦力以外の下請業者を含めて、外部戦力で対応している傾向が強くなってきているように思っています。
○岩村分科会長 はい、中島委員、もしお答えがあれば。
○中島委員 製造現場でやはり業務の増大、やはり生産変動がありますので、そういうことを理由に入れるということでしたら、業務の一時的なというところには該当するものではないかと思うのです。
○岩村分科会長 該当する。
○中島委員 一時的な業務の。
○輪島委員 認められるということですね。
○中島委員 認められるというか。
○輪島委員 有期雇用として認められるというスタンスだと。
○中島委員 業務の増大という意味ならです。
○岩村分科会長 輪島委員、どうですか。
○輪島委員 求人票によると、パートタイマー募集で惣菜製造、陳列、製造で、朝の7時~10時で950円なのですけれども、恐らく、お店の開店は10時なのですね。なので、要は事前の準備ですね。そういうのは業務の性質上、一時的な労働、つまり準備で非常に繁忙なので、3時間だけ惣菜をつくってほしいというのが、○の6に該当すると考えていいのでしょうか。
○岩村分科会長 新谷委員、どうぞ。
○新谷委員 興味を持っていただいてありがたいのですが、ここで言っている業務の性質上、一時的な労働はその業務自体が本当に季節的に、例えば1か月、2か月、3か月ぐらいしか続かない業務でして、今、御指摘があったような例えばサンドイッチというものは、例えば3か月しか売れない商品ではなくて通年的に売っている商品ですから、仕事自体はずっと通年的にあると思います。
 ですから、そういった場合には基本的にはこの要件に合致しませんし、多分、先ほど伊藤委員がおっしゃっていたような流通系で働いておられる有期の方々というのは、業務の負荷の繁閑は余りないと思うのです。店舗によって売り上げが半減したり、10分の1になったり、10倍になったりというのは余り考えられない業界だと思います。
 要するに、固定的にずっと仕事があるというところについては、基本的に無期で雇用するべきではないかというのが私どもの考え方です。
○岩村分科会長 山川委員、どうぞ。
○山川委員 細かい話ですけれども、先ほどの輪島委員の質問の中で出てきたのは、一時的な業務というよりも、業務の一時的な増大という事由に該当するかどうかで、多分、中島委員もそういうことでおっしゃったのではないかと思います。
 ということは、業務の一時的増大という事由のかなり、先ほど荒木委員のおっしゃったようにかなり解釈の余地が広いということが示されているかなという感じがして、それをどう考えていくか。
 ある意味では、紛争を惹起する可能性もありますし、逆に言えば、実は使える範囲は広いかもしれない。その辺りを更に議論する必要があるのかなと思います。
○岩村分科会長 恐らく、一番紛争になるのは、業務の一時的増大だと思って有期を雇ったところ、そのまま好景気が続いてずっと行っている。これをどうするかというのが、恐らく一番紛争の種になるのだと思うのです。
 経済の先行きがすべて見通せればいいのですけれども、やはり一時的だと思って始めたところ、そうでないといったときにどうするのかという問題は出てくるだろうと思います。
 議論は尽きないのですがそろそろ、ちょうど面白いというか、法学者としては非常に解釈論として興味を引かれる論点ではありますけれども、ちょうど予定していた時間に達しますし、まだ、もう少し詰めなければいけない論点が、締結事由の規制のところについてもまたあろうと思います。
 先ほども輪島委員がお手を挙げかけて、私がしゃべったのでやめられたものですから、次回、もう少しこの議論を続けた上で、2、3と議論を進めていきたいと思います。
 それでは、次回以降につきまして、事務局の方から何かございますか。
○青山調査官 次回の日程につきまいては、調整の上、委員の皆様にお知らせしたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 それでは、本日の分科会はこれで終了とさせていただきたいと思います。
 議事録の署名でございますけれども、労働者代表につきましては工藤委員に、それから、使用者代表については宮地委員にそれぞれお願いをしたいと思います。
 本日はお忙しい中、ありがとうございました。
これで終了といたします。


(了)

労働条件政策課
企画係(内線5353)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(労働条件分科会)> 第93回労働政策審議会労働条件分科会議事録

ページの先頭へ戻る