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2011年7月15日 独立行政法人評価委員会調査研究部会(第53回)議事録

○日時

平成23年7月15日(金)9:30~12:00


○場所

専用第17会議室


○出席者

   田村部会長、武見部会長代理、清水委員、田宮委員、酒井委員、馬場委員、政安委員


○議事

(以下、議事録)
 
○政策評価官
 定刻を過ぎておりまして、まだお見えでない先生もおられますけれども、ただいまから「第53回厚生労働省独立行政法人評価委員会調査研究部会」を開催させていただきます。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中をお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は新しい任期のもとでの第1回目の会合となりますので、後ほど委員の皆様方に部会長を選任していただきますが、それまでの間、私、政策評価官の篠原と申しますが、議事の進行をさせていただきます。よろしくお願いします。
 それでは、委員の皆様方をご紹介いたします。皆様方には先に辞令を郵送いたしましたが、厚生労働省独立行政法人評価委員会の委員又は臨時委員として、平成23年6月30日付で厚生労働大臣の任命が行われています。それから、今週の12日に開催されました本委員会の総会において、皆様方の調査研究部会への分属が正式に決定しております。
 それでは、お手元の資料1-1に沿ってご紹介します。欠席の委員もおられますが、まず、清水委員、留任。武見委員、留任。田宮委員、留任。田村委員、留任。
 続きまして、臨時委員の皆様です。酒井委員、留任。馬場委員、新任の先生です。政安委員、留任。金倉委員、岩渕委員、中村委員、このお三方は、本日は欠席です。
 続きまして、事務局をご紹介します。政策評価官室長補佐の田鍋です。
 それでは、議事に入ります。議事1、部会長、部会長代理の選出です。最初に、部会長の選出をお願いします。選出手続きをご説明いたします。お手元の資料集の48頁をご覧いただきますと、第5条第3項、「部会に部会長を置き、当該部会に属する委員の互選により選任する」ということですので、委員の皆様方の互選により選任いただくこととなっております。いかがでしょうか。

○田宮委員
 互選ということですのでご推薦させていただきたいと思いますが、調査研究部会でのこれまでのご経験、ご見識などを踏まえますと、田村委員に引き続き本部会長をお願いしたいと考えておりますが、いかがでしょうか。

○政策評価官
 よろしいですか。
(異議なし)

○政策評価官
 ありがとうございます。それでは、田村委員に部会長をお願いしたいと思います。以後の議事進行につきましては、田村部会長にお願いいたします。

○田村部会長
 それでは、ご指名ですので、大変僭越ではございますけれども、部会長の大役を何とか一生懸命務めてまいりたいと思います。どうぞ、ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
 引き続きまして、部会長代理を指名させていただきます。部会長代理は、同じく評価委員会令の第5条第5号において、「部会長に事故があるときは、当該部会に属する委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理する」と定められておりますので、私から指名させていただきます。
 部会長代理については、栄養学の分野に深いご見識をお持ちで、調査研究部会でのこれまでのご経験などを踏まえまして、是非武見委員にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
(異議なし)

○田村部会長
 ありがとうございました。それでは、部会長代理を武見委員にお願いしたいと思います。

○武見部会長代理
 よろしくお願いいたします。

○田村部会長
 これから皆様には、調査研究部会関係独立行政法人の評価をいただくことになります。そこで、各法人の概要とその課題について、事務局から説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 それでは、資料1-3に沿って、簡単にご説明します。まず1頁、国立健康・栄養研究所です。当研究所については、健康の保持、増進に関する調査や研究、また、国民の栄養・食生活に関する調査や研究を行うことにより、公衆衛生の向上及び増進を図ることを目的に、平成13年4月に設立されております。今年から第3期の中期目標、中期計画に入っております。職員数は、平成23年4月の時点で41名と比較的こじんまりした法人となっています。研究所は、新宿区戸山にあります。
 5.ですが、調査研究部会に属している各法人とも同様ですが、「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」が平成22年12月に閣議決定されており、それに基づいて独立行政法人の制度・組織の見直しの一環ということで、効率的・効果的な研究実施や業務運営の確保から、統合等も含めた組織のあり方を検討することを考えております。ただ、こちらについては、独立行政法人全体の大きな流れや、内閣府等で研究独法についても研究しておりますので、そういった考え方がきちんとまとまったものを受けて、それぞれの法人等で検討していくことになるかと思います。
 続きまして3頁、労働安全衛生総合研究所です。当研究所については、職場における労働者の安全及び健康の確保に資することを目的として、平成18年4月に産業安全研究所と産業医学総合研究所が統合した形で設立されております。こちらの法人については、今年から第2期の中期目標、中期計画期間に入っております。研究所は、清瀬市と川崎市にあります。
 続きまして4頁、医薬基盤研究所です。こちらは、医薬品・医療機器の開発に資する基盤技術を研究して、研究開発を進行することを通じて、医薬品等の創出に貢献することにより、国民保健の向上に資することを目的として、平成17年4月に設立されています。今年、第2期の中期計画期間の初めての評価をすることになっています。場所は、本部は大阪府にあります。そのほか施設として、北海道、茨木、和歌山、鹿児島と全国に関連施設を持っているということです。概要については以上です。

○田村部会長
 ありがとうございました。ただいまの事務局からの説明に対し、ご質問等はありますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、次の議題に移ります。議題(3)です。独立行政法人の実積評価にあたり、新任の委員の方もいらっしゃいますので、評価の流れや評価基準について、事務局から説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 それではご説明します。資料1-4-?をご覧ください。評価の進め方自体については、昨年と変わっておりません。まず、各法人の理事長から、法人全体の業務実績について一通り説明をいたします。その後、各法人の担当部長から業務の実績及び自己評価の説明になるのですが、そのときには、評価項目は各法人20ほどありますが、それを4つのパートに分けて、法人から説明があります。その説明を委員の方々に聞いていただいて、委員の方々に資料2-2にある「評定記入用紙」にそれぞれの評定を記入していただきます。法人に質疑等がありましたら、質疑応答をその際にしていただくことになります。それぞれのパートごとに繰り返し評価をしていただきます。
 また、評価については、資料1-4-?の中段やや下に「判定基準」がありますが、「S」「A」「B」「C」「D」と5段階になっており、基本的に、中期計画にほぼ合致してきちんとやっているが「B」、中期計画を上回っているが「A」、大幅に上回っていれば「S」、逆に、中期計画をやや下回っているが「C」、中期計画を下回っており大幅な、改善が必要が「D」となっています。「評価の際の留意点」の?にあるように、各委員の先生方には、評定を記載する際には、できるだけ判定をした理由を記載していただきたいと考えております。特に「S」とか「D」という判定を記載する場合には、判断をした根拠を具体的に書いていただければと考えております。
 また、法人の経営そのものではなく、それ以外で評価委員会が特に厳正に評価してほしいということで、前大臣のときに委員会のほうに要請がありました。中身的には、業務経費に冗費が生じていないか、人件費に無駄がないか、そういったものです。また、毎年度、総務省に設置している政策評価・独立行政法人評価委員会から示される二次評価について、こういった視点で見ますよというもので、それについても、大体人件費の話とか、内部統制の話が評価の視点として入ってきています。そういったものについても評価をしていただきたいということで、「業務実績評価別添資料」に法人がそういった実績を記載しています。それが本日お配りしている資料ですと、資料2-5になります。資料2-5の項目についての評価のチェックポイントを資料1-4-?に記載しておりますので、それを参考にしながら評価をしていただければと考えております。
 続きまして、法人の個別評価が終わりましたら、各委員の評価を踏まえた評価書案を起草委員に作成していただきます。起草委員については、資料1-4-?をご覧ください。こちらに起草委員の一覧をまとめていますので、それぞれの委員の方々にはお手数ですが、よろしくお願いいたします。
 評価書の作成については、各法人の所管課が叩き台を作り、起草委員との間で調整をしながら案文の作成を行っていただくことになっています。起草委員において作成した評価書案については、8月12日に総合評価の部会を開くことを予定していますので、そこで各委員にご審議いただくことになっています。
 続きまして、個別評価をご欠席された場合の取扱いですが、こちらは資料1-4-?の3.です。個別評価の部会を欠席した場合の取扱いですが、その法人が起草担当である法人である場合には、別途欠席された委員にレクをして評価をしていただきます。起草担当でない法人の場合には、評価というものは不要です。ただし、事前に資料を送付していたものをご覧いただき、評価をしていただいた際には、評価結果を反映いたしますので、開催日から3日以内となっておりますけれども、できるだけ早く、政策評価官室にご提出いただければ、評価結果を反映することとなっています。
 続きまして、資料1-5と資料1-6をご覧ください。こちらは、各委員の先生方に評価をする際に参考にしていただければということで、事務局で作成した資料です。資料1-5については、平成22年度実績の調査研究部会における3法人の自己評定の一覧となっています。参考にということで、平成21年度の評定結果を横に記載しております。資料1-6については、本部会以外の法人についても過去3年間の「S」から「D」の個数を表にしています。こちらについても、法人の自己評定と、それぞれの部会での最終的な評価結果を対比させた形でお示ししています。当然のことですが、法人の評定よりも部会の評定というのは、それなりにきちんと見ていただいているということがありまして、若干低目になっています。事務局からは以上です。

○田村部会長
 ありがとうございました。ただいまの事務局からの説明につきまして、何かご質問等ございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、ただいま事務局よりご説明がありました手順で、各法人の実績の評価を行っていただくようお願いいたします。
 続きまして、国立健康・栄養研究所の個別評価に入ります。法人、所管課は入室をお願いいたします。
(法人、所管課入室)


○田村部会長
 それでは、初めに徳留理事長から、ご挨拶と平成22年度における業務実績概要の説明をお願いします。よろしくお願いいたします。

○国立健康・栄養研究所理事長
 おはようございます。独立行政法人国立健康・栄養研究所の徳留でございます。評価委員の先生方におかれましては、当研究所の調査研究業務に対しまして、かねてから温かい評価と的確なご指摘をいただきまして誠にありがとうございます。
 私どもの栄養研究所は、平成13年に独法化されました。そして平成18年に非公務員化されております。この3月で第2期の中期目標、中期計画を終了いたしまして、4月から第3期の中期目標、中期計画がスタートしている状況です。本日は、独法評価委員会調査研究部会におきまして、第2期の最終年度である平成22年度の業務について報告をして、先生方の評価をお受けしたいと存じます。
 私どもの研究所は、第2期中期計画では3つの重点研究を掲げております。「生活習慣病予防のための運動と食事の併用効果に関する研究」「日本人の食生活の多様化と健康への影響に関する栄養疫学的研究」「『健康食品』を対象とした食品成分の有効性評価及び健康影響評価に関する調査研究」の3つです。
 業務としましては、健康増進法に基づきまして、国民健康・栄養調査、特別用途食品等の表示許可及び収去試験に関する業務等の法定業務、日本人の食事摂取基準、健康づくりのための運動基準及びガイドライン等、国の健康施策、公共施策に関わる業務についても担当してまいりました。加えて、研究成果の情報発進、講演会等の開催等による普及・啓発活動を行い、さらに国際協力等に向けた取組みを行ってまいりました。今後とも、管理・事務部門の簡素化、運営体制のスリム化、アウトソーシングによるコスト縮減を図る等業務運営の効率化を図ります。財務内容の改善に努め、競争的研究資金の獲得や受託研究の増加等による自己収入の拡大を図りたいと考えております。
 それでは、平成22年度の当研究所の調査研究業務、管理運営等の取組みについて、研究企画評価主幹の阿部よりご説明いたします。評価委員の先生方におかれましては、ご評価のほどをよろしくお願いいたします。

○田村部会長
 ありがとうございました。これからの進め方ですが、国立健康・栄養研究所の個別評価につきましては、評価シートの個別項目を4つのグループに分けまして、グループごとに評価を行ってまいります。まずグループ1ですが、「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項を達成するための措置」ということです。評価項目1~5に該当いたしますが、それについての評価を行います。所要時間は、法人からのご説明は15分、委員の評定と質疑15分の合計30分で行ってまいります。それでは、法人からのご説明をよろしくお願いいたします。

○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹
 それではご説明申し上げます。評価シートの頁と、委員の先生方にお示ししております資料2-5「実績概要資料」というのがあります。ポンチ絵の資料2-5で説明しますと、19頁までという大変なボリュームです。時間が15分ですので、内容につきまして、重要なところをかいつまんでご説明いたします。
 まず最初に、「国民に対して提供するサービスその他業務の質の向上に関する事項」ですが、私どもの研究所は、先ほど理事長が申し上げましたように、生活習慣病予防、日本人の食生活と健康への影響、「健康食品」を対象とした食品成分の安全性と有効性評価、これらを大きな3本柱と捉えて研究を推進しています。基本的にこちらのポンチ絵でご説明申し上げますので、随時評価シートの資料2-1をご参照いただきたいと思います。
 毎年ご説明申し上げておりますが、まず最初の運動・身体活動の策なのですが、総合病院の人間ドック受診者のコホートをやっております。2010年には1,500人のエントリーを新たに得まして、現在ではその数が約3,000人に増えております。昨年度はこの中で、特に一部の解析を行いまして、セルフレーティングディペーションスケールというのを使いまして、抑うつ要因と肥満、皮下脂肪、内臓脂肪との関連を調べております。
 ここに一部の解析が書いてありますが、女性では抑うつの高い群が、腹囲、内臓脂肪面積、中性脂肪などが高かったというようなことです。さらに今後、可能な限りコホートを続けていって、介入群や非介入群、あるいはこの抑うつ状態の方々がどうなるのかということを見ていく予定です。
 次に、「『エクササイズガイド2006』で示された身体活動量の妥当性に関する大規模介入研究」ですが、この「エクササイズガイド」は厚生労働省が示しておりまして、2011年、今年度が改定年に当たります。ここで、その改定のための基礎的なデータを得るために、平成22年度計画で1,000名のボランティアの被検者の方々を割り付けいたしまして、基礎的なデータを取っています。
 次の頁の上ですが、今年の改定に向けまして、昨年度から文献の検索、収集とレビューをずっと行ってまいりました。特に2010年については、環境と身体活動についてのレビューを行い、PubMed、医中誌、コクラン等264本の文献を精査しております。
 次に食事摂取基準に関連する運動身体レベルの評価です。こちらにありますのは、日本人を対象としたDLW法で得られた身体活動レベル(PAL)、フィジカルアクティビティレベルのグラフですが、21年度は中学生80名を対象に、身体活動量を測定してこのデータに加えたものです。「食事摂取基準」は2010年に改定が終わり、次の改定は2015年に入りますので、そのためのデータの蓄積を開始したところです。
 次に5頁の上ですが、フィジカルアクティビティレベルを合理的に推定する方法論はまだ確立していませんので、Japan Arteriosclerosis Lonqitudinal Study、動脈硬化予防研究基金、上島先生がやっておられるところの質問紙を使ったものと、DLW法との相関を見たということで、かなり正確に、海外のものよりも相関するという結果が出ているということです。
 5頁の下ですが、「個人の遺伝的背景に適したテーラーメイドヘルスケアの構築」というところでは、遺伝子多型と「体力、身体活動・運動」の環境因子、その他の関連を調べております。うちの若手研究者がやっているものですが、基本的には、動脈硬化のリスクが高いというMTHFR遺伝子のTT型というのは、体力が高いことでリスクが低くなるというような結果が出ておりまして、これらは学術誌に掲載されております。
 次は糖尿病とメタボリックシンドロームに関する部分です。高脂肪食が糖尿病・メタボリックシンドロームを発症するメカニズムについて、これは臨床栄養のグループが行っておりますが、肥満者と健常者について、IRS?の作用と、筋肉内の糖の取り込みの機序がかなり明らかになってきたという成果です。ここにありますように、「Cell Metabolism」に2011年、今年アクセプトされて掲載されることになっております。
 次は、運動をしますと脂肪代謝がどのような仕組みで亢進するかという研究です。これは基礎栄養のグループがやっております。20年にPGC-1αに3つのisoformがあることを発見しております。これはこちらのグループの成果です。昨年度は、その機序がどのように働いて脂肪燃焼が増えるのか、そのためのミトコンドリアの増加が確認されておりますので、その機序についてかなりの成果が出たということです。基本的には交感神経系を介するβ2-アドレナリン受容体の部分と、高強度の場合はいきなりexon-1a、PGC-1α-aが働いて、ミトコンドリアが増加して脂肪燃焼が増えるという2つのルートがあることが確認されました。これも去年の研究で本年度の「American Journal Physiology Endocrinology Metabology」に掲載されることになっています。 
 7頁です。肝臓の高脂肪食抑制に関する研究です。核内受容体であるPPARγ2の発現を抑制しますと、脂肪肝発症を予防できるということです。これについて、大豆タンパク質β-コングリシニンがかなりこれを抑制するという可能性が出てきたという成果です。ただし、いまのところ、大豆タンパク質β-コングリシニンを相当量入れないと抑制効果が出てこないというので、適正量はどうかということがこれからの研究課題になります。
 次に、「脳出血予防のための食事療法の考案」というところで、これは乳性タンパク質(ペプチド)で、これから乳性タンパクのカゼインを除いたものが乳清の部分ですが、これらを入れますと、これは動物実験ですが、脳卒中ラットにつきまして、脳卒中の発症率にかなり有意差があるということで、これからはそのペプチドのどの成分がこれに有効であるかというところを精査するというところです。
 次の頁です。これは昨年度も引き続き第2期でずっとやっている研究です。遺伝子多型と糖尿病等の関係についてです。UBE2E2がかなり日本人に特異的であるということと、東アジア人にかなり特異的な2型糖尿病の遺伝子だということを確認いたしました。これは「Nature Genetics」に掲載される論文になりました。東アジア人につきましては、シンガポール、香港、韓国、ヨーロッパ人につきましては、フランス、デンマークとの共同研究で出てきたものです。
 9頁の上は、リスクアリルの話です。昨年度はこの糖尿病遺伝子11個で掲載をさせていただきました。平成22年度はさらに2個追加しまして、13の2型糖尿病遺伝子のアリルでやってみたということです。これは確実になっています。かなりこの遺伝子多型とリスクアリルの保有数と糖尿病発症リスクの関連がより確実になってきたという結果です。
 ここの部分につきまして、昨年度は「S」の評価をいただいておりますが、同じように、これは相当立派な学術雑誌に論文が出ておりますので、私どもの評価としても「S」とさせていただきたいと思いまして、「S」にさせていただきました。
 次に、「食生活の多様化と健康への影響に関する栄養疫学的研究」の部分です。これは2010年に「日本人の食事摂取基準」を改定して提出いたしましたので、これについての講演、講師の派遣、普及啓発活動を22年度は一生懸命にやったということです。
 次の頁に、「ビタミンKの長期摂取」「ビタミンA結合たんぱく質」というのがありますが、ビタミンAの部分はプラセボやMK-4群とビタミンKの投与群といろいろやっているのですが、基本的に大腿骨の骨密度にはほとんど影響は与えないようです。カルボキシル化オステオカルシンについては若干の影響が出てきたかなというところです。RBPについても、インスリンの抵抗性が上がると血中濃度が上昇するということで、これについて遺伝子発現を制御する遺伝子系のサブユニットが関連していることがわかったのですが、これの評価はまだこれからということです。
 次の頁、技術支援につきましても、健康・栄養調査技術研修セミナー、これは後ほど述べますが、健康・栄養調査についての技術研修を正確にきちんとやっているということで、この部分については、昨年度「A」評価です。今年度も着実にこなしたということで、「A」評価とさせていただいております。
 次に「健康食品」の部分です。13頁の上段をご覧いただきますと、「抗酸化物質を含むいわゆる健康食品の抗酸化力」です。昨年度は、健康食品の1日の目安量を摂取した場合と、通常の野菜や果物を摂取した場合とで、どちらが抗酸化力として優れているのかという重要な比較をいたしました。基本的には、健康食品を目安量摂取したとしても、正しく野菜350g、果物200gを摂取した場合の抗酸化力の範囲内でしかない。中には、抗酸化力がほとんどないような健康食品等があったという重要な情報が得られています。これは、この後もう少し整理をした上で、情報発信をさせていただきたいと思います。
 下段のビタミンKの話は先ほどいたしました。
 それから、14頁の下ですが、油脂の有効性評価についてです。共役リノール酸とリノレン酸で、共役リノール酸のほうはストレス低下作用がかなりあるということです。リノール酸、ザクロの種の脂肪ですが、これを使いまして、脂質が蓄積する効果は、やはりリノール酸のほうに認められたというところです。
 それから、科学的根拠がある最新の健康食品情報、健康被害情報の収集・公開です。これは私どもの情報システム、ホームページのデータベースを通じて、しっかりと発信を続けているところです。実績としましては、総合的なアクセス件数は毎日8,000件以上で、平成21年度、22年度、現在もそのぐらい続いています。
 それから16頁、効果的な情報提供のあり方ですが、平成22年度は妊婦のサプリメント利用に関する調査を行い、その情報提供を行いました。以前は子どものサプリメント使用について調査と情報提供を行ったところですが、これも非常にマスコミ等が注目をいたしまして、ここにありますようにメジャーな新聞等に取り上げていただいたところです。
 「特別用途食品・栄養療法エビデンス情報」についても、栄養士会の会員部分で毎日500件程度のアクセスがありました。昨年度評価は「A」で、本年度も同じく「A」評価にさせていただいています。
 次の「重点調査研究以外の調査研究」ですが、創造的研究というのを若手を募集してやっておりました。予算の削減に伴いまして、非常に残念ですが、平成22年度は中止としまして、先ほどの重点的な研究項目に割り振りました。
 次に、食育推進計画についてです。バーガー仮説の検証、インタビュー等やっておりますが、プロジェクトリーダーがアメリカ人でございまして、地震と放射性物質の拡散でアメリカへ退避してしまい、最後のまとめができていないというところです。
 高齢者の健康長寿ですが、食介護等についての研究部門です。手嶋登志子先生がプロジェクトリーダーとして一生懸命やっておられました。かなりまとめていただきましたが、手嶋先生は本年3月23日にお亡くなりになられました。1カ月前までこの研究の取りまとめをやっておられました。以上、これらのところで、私どもは、これは平成22年度も「A」評価とさせていただいています。
 論文、学会等の発表につきましては、平成22年度計画は大幅に上回っております。インパクトファクター2.0以上は42報ありまして、平成22年度中の原著論文等のインパクトファクターは当研究所で全部を合計すると405.185という数字が出ておりますので、研究所の業績としてはかなり誇ってよいものではなかろうかと思っております。したがって、評価としては、21年度は「A」評価でしたが、私どもは、学会発表等の促進の部分につきましては、平成22年度は「S」評価という自己評価でお願いしたいと思っております。以上でございます。

○田村部会長
 ありがとうございました。委員の皆様におかれましては、評価シートへの評定等の記入をお願いしたいと思います。質問等がございましたら、適宜ご発言をしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○田宮委員
 たくさんの素晴らしい業績を出しておられることはよくわかりました。その業績の中の研究論文について伺いたいと思います。まず1点は、大変素晴らしいジャーナルに載っていることがこの資料にも記載されていますが、論文掲載されたもののみが記載されていて、引用が書いてないものは、まだ論文が未発表ということでよろしいかということを確認したいと思います。
 もう1点は、8頁の1-cのリスクアリルの頻度の研究です。これは非常に重要な研究であり、高いレベルのジャーナルに載っています。しかし、タイトルが「遺伝子多型と栄養素等摂取量・身体活動量等の諸因子との相互関係についての研究」のところに載っているのですが、これはアウトカムはまだリスクアリルの頻度とDMの2型の発症ということのように見えるのですが、いまはその段階ということであるのでしょうか。

○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹
 これは1-c全体が遺伝子多型と栄養素摂取量・身体活動量等の諸因子というところで、全部これに統括していますが、実態は、タイトルとこのリスクアリルのところは確かにずれがあります。1-cの3つの全部については、糖尿病と遺伝子多型との関連です。2型糖尿病との関連ですので、タイトルはちょっとふさわしくないかなと、ご指摘のとおりだと思います。失礼いたしました。
 それから、論文ですが、ここにありますのは、ここの研究者が上げてきた部分ですので、これが出ていない所でも論文が全然ないかというわけではなく、私どもはそこまで詳細に照合しておりません。基本的には、先生方のお手元に平成22年度研究報告第59号がありますが、これの業績一覧研究成果等の発表のところに、平成22年度にアクセプトされ、かつ掲載された原著論文、総説、著書等がすべてこちらに載っていますので、これが平成22年度の我が研究所の論文、総説等の全成果の修正であるとお考えいただいてよろしいかと思います。

○田宮委員
 わかりました。

○田村部会長
 ほかにいかがですか。

○馬場委員
 1つ確認したいのですが、例えば、「重点調査研究1」でご説明いただいたように、大変素晴らしい研究要請が出ているかと思います。自己評価するときに「S」判定という判定のクライテリアは、例えば重点研究1であれば、a. b. c.という領域があって、それぞれみんないい仕事をされています。特に例えば遺伝子多型のところで「Nature Genetics」とか、非常に際立った成果が出てきたということはよく理解しています。その判定をされる場合に、例えばa. b. c.というそれぞれの項目で、どれかに画期的な成果が出た場合に、全体でいいだろうという、その辺のことは難しいことではあるのですが、もし、どういう視点でされているかというのがあったら、お聞かせ願いたいと思います。

○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹
 基本的にこれは中期目標と中期計画があって、年度の目標と年度計画があります。その目標の中に、要するに目標を達成しているか、いないかというのが、まず第一にあります。先ほどの数値でいちばんわかりやすいところを申し上げますと、19頁の最後に、「平成22年度計画」というのがあって、原著論文で年間50報以上、学会発表150回以上というのがあって、基本的にはこれを全部満たしています。これは中期計画から年度計画全部落としてきた5年分の計画を年度計画に直したというものですので、基本的に私どもは、まずこれをクリアすることが研究所としての最低のデューティみたいなところだと考えております。これをきれいにクリアして、まず「A」評価をいただけるのではなかろうかと思います。
 それをクリアした上で、これに世間あるいは科学技術上の発見、NOIESとしてどれだけのものを出したのかを加味して、大幅にこれを上回って、なおかつ素晴らしい成果を出した所は、私どもとしては「S」を付けさせていただいていいのではないかと。あとでまた出てきますが、基本的にこの目標を達成できていない所はごく一部あります。それは私どもも「B」評価とさせていただいております。

○馬場委員
 「S」になる場合は、場合によっては質の面で非常に際立ったものがある、あるいは量的な面で、その両方を満たすというお考えですね。

○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹
 はい。目標を上回って、さらにプラスアルファということです。

○馬場委員
 非常に細かいことですが、いまの「論文・学会発表等の促進」で、年間50報以上、かなりアクティビティの高いパブリケーションを出されて、研究員1人当たり1.5報ですが、細かい話で例えば、全くこの1年間パブリケーションを持っておられない研究員もおられますか。

○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹
 おります。

○馬場委員
 それは毎年出るわけでもないでしょう。その辺はきちんと把握して、ずっと経時的にやっておられるわけですね。

○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹
 はい。

○清水委員
 この分野を専門的にやっていらっしゃる先生方には、すっと頭に入るのかもしれませんが、毎年お聞きしているにしても、常にそういうことに接しているわけではないので、もう少し一般国民にわかりやすい言葉でご説明いただきたいというのが希望です。
 これは確認ですが、概要説明の17頁にある「重点調査研究以外の調査研究」では、創造的研究が予算が配分されなかったので行わなかったということですが、これは、中期計画及び年度計画でも一応掲げられていた事項であるかと思いますので、達成しなかったという理解でよろしいのでしょうか。

○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹
 中期計画上掲げられていて、要するに予算処理上、ここに予算が割けなくなったということでは、中期計画上のものが最終年度になって達成できなくなったということになると思います。

○田村部会長
 1点目の件は、これからの説明では、是非ご配慮いただきたいと思います。

○酒井委員
 いくつかあります。清水委員の関係で「創造的研究」のところですが、予算配分できないと研究ができないというのは、我々民間にいる者にはあまり理解ができないのです。例えば、後ほど出てくるのでしょうが、科研費等は相当挑戦していますよね。そういう所との関連でこれを置き換えることはできないのですかというのが1つ目です。
 それと、清水委員が言われた、素人にわかりにくい言葉遣いだという面と、もう1つは、今回資料づくりで結論を赤表示で「こういう結果だった」ということが各項目に出ているというのは、読む者にとってはとても読みやすかったと思っております。その点、1-aとか、1-bの赤字はみんな最後が動詞形で書かれています。例えば、3頁の上では「発症増悪・要因の検討に役立った」と書かれていますが、2へ行くと、みんな名詞止まりなのです。それは結局どうだったかということが。例えば11頁の下のことでいきますと、「生体指標の利用性」と書いてありますが、利用性がどうしたのかというのが分かったほうが、要は結果が、皆さんたちが自己評価でどうされているのかということが分かっていいなと思いました。さらにその先へ行くと、「貢献」「貢献」「寄与」と書いてあるのですが、ちょっと雑だなという感じがしました。
 あと具体的な話で、3頁の1-aの行動変容理論に基づく介入試験の、しかも大規模コホートは大変期待しています。今回の結果で、例えば左側の折れ線グラフの体重変化で、A群男性、B群男性と書いてあるのですが、どちらが介入で、どちらが非介入なのかとか、右下で、内臓脂肪が抑うつ得点で、特に女性の場合に抑うつが高い群が内臓脂肪量が大きいという評価をいただいているわけですが、男性の場合は有意差は出ていないものの、この結果が逆になっています。この辺はどうやって読んで、しかも全体の傾向として行動変容理論に基づくというところからいったときに、この先、コホートはどこへ向かおうとしているのかが関心があるし、わかりにくかったのですが、説明いただけますか。

○武見部会長代理
 最後の質問に加えて、先ほど清水委員がおっしゃった分かりやすさということからいうと、何をやったらこのように変わるのかという、「何をやったら」というのを国民は知りたい部分だと思います。介入したと言われてもわからなくて「こういうことをやったら、例えば体重が減るのですよ」とか「メタボリックシンドロームが改善するのですよ」という表現が、国民としてはわかりやすさだと思うのです。そこをもっと分かりやすくしてくださると、こういう部分かなと思います。いまのことに関連したことです。

○田村部会長
 ありがとうございました。

○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹
 中身について、これは平成平成22年度に解析した結果、こうなったということで、その理由と原因、メカニズム等についてはこれからで、こういう現象を昨年度はつかまえたというところです。
 あと、ここの書き方は、清水先生や武見先生がご指摘の、何をどうやったらどうなる、どういうことだという分かりやすい書き方を、今後は工夫してもう少し考えて提出させていただきたいと思います。

○田村部会長
 是非よろしくお願いします。これからのご質問への回答の中でも、是非、そういうご配慮をいただきたいと思います。

○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹
 それから、先ほどの「創造的研究」についてですが、予算はこの中では配分をしておりませんが、これは元来、若手の研究者を育てるという意味もありまして、研究テーマを挙げて募集して、外部委員も入れた上で選別してやるということをやっておりました。それの継続中のものがありましたので、それについては各プログラムの交付金研究費の中でやっていただいたというところです。例えば、遺伝子多型と身体活動・運動行動のところ、5頁の下の遺伝的要因に関する研究については、創造的研究の中での研究を継続してやって、これもある程度の成果が出て、論文もいくつか出たというものです。

○田村部会長
 その辺りは重要なことなので、ご説明いただけると、皆さん非常に納得できると思いますので、よろしくお願いします。

○武見部会長代理
 もう一点、全体的なことですが、先ほどからご質問のあった研究の評価に関する、特に質的なということにもかかわるのかもしれませんが、いま、国の独立行政法人として何が求められているのかということを明確にすべきだと思います。そういう意味では、非常に素晴らしい研究がたくさんあることはよく分かったのですが、その中で、国の独法だからこそ重要であると言える研究はどれなのか。つまり、他大学でもできるようなものもなくはないと思います。もちろん、その研究一つひとつの質は重要だということはよく分かるのですが、そこのところをきちんと示していただくことが、国民に独法の意義を伝えるポイントだと思います。そのように考えたときに、どの辺なのかということ。これは毎年私がお願いしていることだとは思いますが、その点について補足があればお願いしたいと思います。

○国立健康・栄養研究所理事長
 まず、武見委員がご指摘のとおりです。創造性あるいはオリジナリティ・独創性だけを私ども狙うわけではなくて、やはり国民のためになるというか、国民の付託に応えるような優先性を視野に入れた研究調査を心掛けるように指導しております。それは先ほどディスカッョンがあったとおり、そういう面での質が大事です。そして、国民を視野に入れた研究をやるようにということを、いつも指導しています。
 創造的研究については、先ほど阿部主幹が申したとおりですが、予算枠としてはありませんでした。しかし、私どもの研究所としては、若手を育成することが非常に大事な任務だと認識しておりますので、予算枠としてはないわけですが、実質上は実行予算として配慮しております。

○政安委員
 少し細かいところになりますが、これからの研究のことも含めてお尋ねしたいと思います。10頁の食事摂取基準の普及・啓発についてですが、たぶん食事摂取基準は2005年版で大きく舵取りを変えたところがあります。それで現場がわりと混乱しているというのを5年間見させていただいて、普及啓発の舵取りの中で、どこがわからなくて、どこを理解できないのかとか、どのように使ったらいいのかを、もう少しわかるような調査等をされていたのでしょうか。
 もう1つは、ここは丁寧に普及・啓発事業をしておられるのですが、そのときに受講生というのはフィールドの理解者になり得ると思うのです。その辺のアピールはされているのでしょうか。
 それから、国民健康・栄養調査については、前回の委員会の中でも、データの集計・解析のところではなく、企画の段階から参画していただけるような方向づけになっているのか、ということをお尋ねしたいと思います。
 あとは重点研究以外で、18頁に高齢者の健康長寿を目指すということでスライドがあります。評価シートの8頁の?に「介護施設での食事提供のばらつきを是正し標準的食事提供を実現するために」という書きぶりがあるのですが、介護施設要介護高齢者は個人差がすごく大きいので、食事に関しては、自由度をもって個別にいろいろなことをされていると思うのです。
 そこで言いますと、食事提供のばらつきではなく、ここでは摂食嚥下状況に関する食形態と実際のばらつきとか、そういうことで食事提供全体を指していないので、もしかしたらここは誤解を生むのではないかと思います。この辺はどのようにお考えか、お聞かせ願えたらありがたいです。

○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹
 最初の食事摂取基準についてのご質問です。これを使う現場の方々が、どのような使い方をしてどうかというような調査は、実はしておりません。できたというところで、厚生労働省がこれを提示して、それを普及・啓発というので一生懸命やってまいりました。確かにご指摘のように、活用法に対して普及・啓発するのも大事なのですが、どのように実際はこれを理解して使われているのかを調査するのは必要かと思いますので、これを研究者に伝えて、その可能性についても検討させたいと思います。
 次に、国民健康・栄養調査です。これはもちろん企画の段階から当研究所のこのチームが参加しております。私どものほうが主体的に企画案を国に提示してやっているというところが実態ではなかろうかと思います。そのために、例えば食事調べ、説明資料なども随時改訂をして厚生労働省に提示し、調査の精度の確保等に頑張っているという状況です。
 最後の介護施設の食事の件ですが、これはまさにおっしゃるとおりで、私は手嶋先生がまだご存命のときに内容をお聞きしておりますが、基本的にこの中身については、摂食機能についての調査で、食事全体の話ではありません。ただ、この分野は今後、社会的に重要だと思いますので、現在、新しい室長が公募でまいりましたので、今後、また手嶋先生の遺産を継いで、ご期待に沿えるような調査研究ができるように頑張ってまいりたいと思います。

○田村部会長
 ありがとうございました。よろしいでしょうか。

○国立健康・栄養研究所理事長
 補足ですが、政安委員がご指摘になった、日本人食事摂取基準の使われ方に関して認識度がどうであるのか、本当に理解されているのか、あるいは活用がどうであるかということに関してですが、まだ論文になっておりませんので、先ほど阿部主幹が回答したとおりです。食事摂取基準に対しては、循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業という厚労省の科研費があります。その研究代表者を私がやっておりますが、分担研究者で吉池教授や佐々木教授が、政安委員がご指摘になった点について、つまり食事摂取基準が専門家の間でどのぐらい認識されているのか、そして集団で、個人でどのぐらい活用されているのか等々について調査を行っております。
 食事摂取基準を文書として公表するだけではなく、実際に栄養士・管理栄養士がどのように活用しているのかを調べ、そして、それを大いに活用していただくような方向性を示すことが必要ではないかと考えております。

○政安委員
 そうしますと、先ほどお話くださいました高齢者の食介護に関する研究もさながら、食事摂取基準で高齢者のPALなどが調査されていなくて、これからどんどん高齢者世代が増えていく中で、70歳以上が一括りになっているところが、これからは大きな問題になっていくと思われますので、是非そのような発展的な研究に重点を置いていただけたらありがたいと思います。

○田村部会長
 それでは、次の第2グループの「研究成果の還元、社会的行政ニーズ及び国際協力等に関する事項」です。これは評価項目の6~13になりますが、これについて評価を行いたいと思います。所要時間は、法人からのご説明は10分、委員の評定と質疑10分の合計20分ということで進めさせていただきたいと思います。それでは、法人からのご説明をお願いします。

○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹
 それでは、ご説明いたします。資料2-5の20頁の「知的財産権の活用」からです。平成22年度計画は中期計画を年度計画に落としますと、特許出願等について年間5件程度という目標が出ておりましたが、平成22年度については、これら知的財産に関わる申請は行っておりません。つまりゼロです。1つ、2つ取れるのではなかろうかというのがありましたが、知的財産でも特許辺りは申請費用が非常に高価になり、維持費用も高価ですので、この費用対効果を勘案して見送っております。
 民間企業との共同研究は8件、民間企業からの受託研究は5件ありました。実は両方とも平成21年度の実績よりも下がっているという状況です。10件程度という計画ですが、いずれも計画は満足できておりませんので、平成22年度の評価は「B」評価といたしました。
 次に講演会等開かれた研究所の内容です。こちらは毎年積極的に普及・啓発事業等を行っております。ここにありますように、平成21年と同じように食事摂取基準の普及・啓発を行いました。研究所主催の講演会は400名、自治体や栄養士会が主催する講演会に27回講師を派遣しております。一般向け公開セミナーは、毎年1回やっていますが、600名近い参加者が平成22年度もありました。
 専門家を対象とした研修で、平成22年度で特徴的だったのは「IUNS栄養学のリーダーシップ育成国際ワークショップ」「アジア栄養ネットワークシンポジウム」を主催して行ったということで、アジア太平洋地域の専門家について、このワークショップを開催いたしました。専門家向けセミナーとして、地方自治体の栄養士等を中心にして、技術研修を延べ6回、244名の参加を見ております。オープンハウスは毎年1回、9月25日に行い、総来場者数が282名という結果でした。また、総合的な学習の時間の中で、当研究所への見学者について、中学校6校27名、高等学校は9校134名の生徒を受け入れました。ここの部分については国際ワークショップやシンポジウムの主催等を勘案して、平成21年度は「A」評価でしたが、私どもとしては、お金もない忙しい中で一生懸命頑張ったというので「S」評価にさせていただきたいと思っております。
 次に「研究実施体制等の整備に関する事項」です。これは平成22年度も研究員、技術補助員を、特に国のミッション等の部分について重点配備しています。運営費交付金、外部研究資金の執行状況は定期的にモニタリングしておりますし、後々出てきますが、交付金等は非常に減額が厳しくなっておりますので、執行もかなり厳しい状態ですので、常に無駄がないかをモニタリングしながら行ってきたところです。
 大学、企業・団体等へ69名の研究者を派遣しています。連携大学院等で受け入れた流動研究員、客員研究員、研修生等は108名。そのうち若手が47名でした。平成21年度水準を大体そのまま継承しておりますので、平成21年度は「A」評価でしたが、私どもとしては、平成22年度も「A」評価でお願いしたいと思っているところです。
 次に「健康増進法に基づく業務に関する事項」です。国民健康・栄養調査の集計業務は、先ほど政安委員からご指摘がありましたように、私どもは企画段階からきちんとここに参画してやっております。必要な食事調べや国民健康・栄養調査説明のための資料はきちんと改訂を行っておりますし、集計についても法定というか、目標の7カ月以内に正確に厚生労働省に提出しているところです。
 それから「ホームページによる情報提供」は22頁の真ん中にある「災害時の健康・栄養について」のところを今年は申し上げたいと思っています。東日本大震災の後、栄養士会と協力して、避難所や避難の方々についての栄養・健康の注意事項等を書いた中身です。これはすぐ作成して栄養士会と協力して、うちはホームページにアップし、あらゆる手段を通じて被災者、その関係者に広報したところです。
 23頁の「特別用途食品等の分析業務」です。平成22年度は特定保健用食品の申請が7件来ました。これは申請する企業がこちらに申し込むもので、もちろん計7検体について遅滞なく報告を行っております。収去の食品については、消費者庁が平成22年度は収去を行っておりませんので、法定機関である私どもの所に消費者庁からの収去食品の検査依頼は来ておりません。
 24頁の「特別用途食品等の食品分析関連研究」です。先ほどの登録試験研究機関申請の特定保健用食品の申請検査機関について、5施設の精度管理をうちが中心になってやるべきだというご指摘等がありましたので、これを始めたところです。試験機関間の分析誤差の最小化を目指して、この登録試験機関の中心となって信頼性確保に動いております。ここの部分は国のミッションとしてきちんとこなしているかどうかということです。過不足なくこなしていると私ども考えておりますので、平成21年度は「S」評価でしたが、平成22年度も「S」評価でいかがかなというところです。
 次に「社会的・行政ニーズへの対応」です。これについては、関係団体との意見交換会、消費者庁及び厚生労働省との意見交換会等を平成21年度と同等の実績できちんと行っております。平成22年度はいろいろ大きな行事がありまして、省内事業仕分けとか、財団法人その他の整理合理化委員会等、かなり準備に忙殺されておりましたが、その中でも前年と同等のレベルで行っておりますので、平成21年度は「A」評価でしたが、平成22年度も「A」評価でお願いしたいと思っております。
 次に「国際協力、産学連携等対外的な業務」です。これについては平成22年度はかなり大きな変化がありました。1つは、WHOの指定研究協力センターにおいて、正式にその申請をして、一応受理されて、いまWHOの中で審査を受けているというところまできました。さらにWHOGEMS/Food Collaborating Institutionとしての認定を受けることができましたので、その認定を受けて、当研究所は食品の安全性向上に関して食品摂取量把握のためのデータをきちんと提供しているということです。
 先ほどの国際シンポジウムも開催しましたし、さらには、乏しい予算で毎年減っておりますが、「若手外国人研究者招聘事業」を頑張って続けております。半年近い滞在は今の予算状況ではできなくなっておりますが、人も減らしたくないということで、できる限りということで、3カ月とか4カ月ということになっておりますが、これも今後とも続けてまいりたいと思っております。それやこれやいろいろと変化がありましたし、一生懸命頑張っております。産学連携では宇宙航空研究開発機構の「宇宙食研究会」を束ねておりましたが、この中で私どもが応募した機能性宇宙食についてフィジビリティスタディの基本的な研究費が競争的に取れましたので、これらを評価して、平成21年度は「A」評価だったのですが、平成22年度は「S」評価ではいかがだろうかというので、私どもは自己評価では「S」にさせていただいております。
 次にNR制度です。私どもは試験実施機関でかつ認定機関ですので着々と認定は行いました。ただ、このNRについては、政・独委の方向性の話と省内事業仕分け等いろいろありまして、第三者機関への移管について、その筋道を示すということでしたので、これもきちんと国の指示等に従い、第三者機関への移管に関して協議等検討を始めたところです。これは平成21年度は「B」評価で、特に変化はありませんので、第三者機関への移管についての検討と協議を始めたところですが、平成22年度も自己評価では「B」とさせていただいております。
 次は情報発信です。先ほどからずっと申しておりますが、ホームページ等でいろいろな情報、データベースを公開しております。健康・栄養フォーラムで、「えいこみ」というのを試験的に立ち上げました。新しいfacebook型のシステムで、試験運用ですが、今年度中には一般公開をして、新たなコミュニティサイトとして定着を図りたいと思っています。これらの情報系については、私どものホームページのデータベースは常に変わっている、つまり、常に最新の情報を入れて、最新情報にリニューアルしております。毎日毎日情報をきちんと入れ替えていくという作業は大変なことです。そこの担当者はなかなか休めない状態で頑張っております。ここは私も、そのとおりの実態をご理解いただきたいと思いますので、そのことも勘案して、平成22年度は「S」評価という自己評価にさせていただいております。以上です。

○田村部会長
 ありがとうございました。確認させていただきたいのですが、先ほどの12番については口頭では「B」評価というお話がありましたが、書類のほうは「A」評価になっておりますが、どちらが正しいのでしょうか。

○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹
 自己評定で「A」評価です。私が間違えました、すみません。

○田村部会長
 それでは、委員の皆様におかれましては、評価シートの評定等の記入をお願いしたいと思います。併せて質問等がありましたら、適宜ご発言をいただければと思います。

○清水委員
 1点目ですが、20頁の「知的財産権の活用」について、目標を下回る実態・実績だったというご説明がありました。ただ、政・独委の意見書などを見ますと、必ずしも取得すること自体がいいということではなくて、やはりそれを活用すべきだということで、逆に、持っていることによるコストがどうなのかという費用対効果の部分はかなり指摘されているのが実態です。これは1つの独法としての成果を示すものではあるが、取っただけでは必ずしも成果の達成ではないということだと思います。
 そういった意味からしますと、御法人における知的財産権に対する方針というか、今後どのような方針で臨んでいらっしゃるのかということを確認させていただきたいと思います。併せて、今回取得件数はわかりましたが、実際に保有されているものがどうなのか。それについて何件あって、コスト、自己収入はどうなのか、その辺の実態を教えていただければと思います。

○田村部会長
 いかがでしょうか。

○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹
 いまのご質問ですが、知的財産に関する権利等取扱規定に基づいて出願した特許は、平成21年度実績で延べ4件です。これが中期計画中で4件。この中には商標登録と著作権等も知的財産権の中に入っておりまして、現在、整理されていないという状態ですので、整理した上で、またお示しさせていただきます。

○清水委員
 質問の趣旨は、まず、知的財産権に関する方針がどうなのかということと、具体的にはこの4件というのは今年出願された新規のものだと思いますが、現に保有されている所有件数と、ストックで持っているものについてのコスト、それから収入を教えていただきたいと思います。もし、今日間に合わなければ後日でも結構です。方針だけはお伺いできるかなと思うのですが。

○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹
 いま持っているものについては整理されておりませんので、後ほど整理した上で提出させていただきます。
 知的財産権に関する方針ですが、私どもの研究内容でいつも問題になるのです。特許や著作権、その他はかなり確保できます。ただし、私どもの内容として、著作権が基本的にお金になることはほとんどありません。知的財産権で、維持その他について、経済的に見合うものについては、今後とも積極的に取ってまいりたいと思いますが、経済的に利益を生む源泉になるものについては、私どものいまの研究内容と研究のテーマの中では極めて困難ではなかろうかと思っています。
 今後、方針としてどうするのかというお話ですが、方針としては、著作権等取れるものはどんどん取ってまいりたいと思っておりますが、先ほどのお話のように、費用対効果について、もう一度きちんと見回した上で、何を確保して、何を見送って、あるいはそれの活用について、どの程度経済的効果を求めていくのかということについて、私どもとしてはきちんと考え直す必要があると思います。どのようにするのかという明らかな方針を研究所全体として立てている状態ではありません。これは正直に申し上げます。お金が儲かるのかという話をしますと、お金は。

○清水委員
 経済的な意味というのは、政・独委の意味としては、産業育成ということを念頭に置いて言っているのだと思いますが、それだけではないと思います。研究所として守らなければいけない財産もあると思いますし、その辺は一概には言えないと思いますので、研究所としての方向性、方針を明確に打ち出していただければよろしいかと思います。

○田村部会長
 それでは、データ等も含めて、その方針についても資料をご提出いただくということでよろしいですか。

○国立健康・栄養研究所理事長
 追加です。いまディスカッションがあったとおりで、費用対効果についてはデータを揃えてご報告したいと思います。阿部主幹が申し上げたとおりですが、私どもの研究所がどちらを目指すのかというのは、先ほど武見委員からご指摘があったとおりです。新規性、あるいはオリジナリティ・独創性を狙うべきなのか。そうではなくて、私自身としては、国民的な視野を置いて、国民のためになる優先性の高い調査研究をやる。そういう視点に立つと、いわゆる特許、知的財産権というのは、必ずしも当研究所に馴染むものではないのではないか。つまり、大学等々一般研究所は新規性、オリジナリティ・創造性を目指すわけですが、国の独法、あるいは独法としては、優先性を目指し、国民に奉仕する、サービスする、貢献するという視野から、調査研究を実施すべきであると考えます。そういう点で所内でディスカッションしたいと思います。

○田村部会長
 よろしくお願いします。ほかに何かありますか。

○武見部会長代理
 資料の22頁の9.「健康増進法に基づく業務」の中の「ホームページによる情報提供」で、「災害時の健康・栄養について」というのが出てきて、非常にサラッと触れられたのですが、私は、平成22年度の実績としては、研究所がなさった仕事、いままさに理事長がおっしゃった、国民にとって何が必要かということへの対応から考えると、非常に大事な仕事だったと思います。しかも3月11日に起きた後、いつもすぐこのアップができたかということも言ってくださればいいと思いますが、実際にみんながどうしていいか分からないときに、責任ある立場で情報発信をしたことは、ものすごく大きな実績ではないかと思います。
 これはここでいいのか。もう少し違う所に位置づくものではないかということをちょっと思って見ていたのです。逆にいうと、中期計画にこういう事項があるわけではないのですが、そういう意味でもう少し位置づけを考えて、実績として出すことを考えてはいかがかと思いました。
 と同時に、これは平成22年度で終わるわけではなく、いま特に、いわゆる原発問題で、本当に国民は何をどう食べていいか不安に思っているわけです。実際にお子さんたちの調査を私たちもしているのですが、「普段だったら、もっといろいろ野菜などを食べさせているのですが、いまは子どもが心配で食べさせられない。だから、うちの状態は普通ではないのです。それなのに調査に協力するのですか」みたいな問合せが対象者からきます。そういう中で、当然、中期計画のどこかにこの文言があるわけではありませんが、研究所として、今後をどう考えているかということも聞かせていただければと思います。

○国立健康・栄養研究所理事長
 重要なご指摘ありがとうございます。私どもとしては、ニーズのある方に適切な情報を提供する、あるいは実際に現場に行って、私どもができることでコントリビューションする、奉仕することが大事ではないかと思い、まずは情報提供をしました。3月11日大震災・大津波があって、被災者の健康を支援する、食生活、身体活動を支援するという意味で一週間以内に情報をアップしました。災害時には医、職、住、育が大事だと言われます。最初は医療の医で、次に職業の職、そして住居はもちろん大事です。それと教育の育が大事ですが、医、職、食、住、育という観点、つまり、食が大事ではないかということを、いつも申し上げています。ですから、食と身体活動・運動に関する正確で的確な情報を提供するというのが、私どもの最初の取組みでした。
 2つ目は、栄養士会とタイアップし、現地のDMATないしPCATと連動するために、実際に貢献するように管理栄養士を派遣しました。
 3つ目は、厚生科学課あるいは生活習慣病対策室と相談しながら、目安としてどのぐらい栄養摂取すればいいか、参照量をどれくらいに設定すればいいか等々厚労省と相談しながら情報を流しました。
 そして、いま実際に動いている研究に厚労省の特別研究室の特研というのがあります。研究所内に震災プロジェクトチームを設置し、岩手県、宮城県、福島県の調査に私どもも参画させていただくことになっております。私どもの専門とする栄養、食生活、身体活動の面で、実際に被災者に貢献するものです。現在、避難所から仮設住宅に移っているのですが、仮設住宅に移ったから、即、栄養状態が良くなった、あるいは身体活動の側面が良くなったかというと、必ずしもそうではありません。ですから、そういう問題点を掘り下げながら被災者のために貢献したいと考えております。武見委員からご指摘があったとおり、そういう意味では大きく貢献し、サービスしたいと思います。そういう観点からも評価していただければありがたいと思います。

○酒井委員
 いま理事長の話を伺って、とてもうれしかったですし、安心しました。2つありますが、是非、個別評価というよりも、総論のところでいまの問題を、まとめのときに書いていただきたいというのが1つです。
 もう1つは、この問題というのはオールジャパンで取り組む課題です。例えば、先ほどのご紹介の中に、労働安全衛生総合研究所とか、統合の問題も議論されているということもありますが、かなり近い要素があると思います。私は用事があって一昨日も福島へ行っていたのですが、現地の方はいろいろな心配事があるので、健康・栄養のことで、いち早く情報公開していただくというのは、ものすごく大事だったと思います。併せて、現地のニーズに合わせて、例えば働いている方の安全とか健康ということと栄養研が見る視点、その辺は一度オールジャパンで議論していただくともっと良いアドバイスというか、助言ができるのではないかと思いますので、その辺も追求していただけたら、ありがたいと思いました。

○田村部会長
 貴重なコメントをありがとうございました。是非、お考えいただきたいと思います。

○政安委員
 国民栄養調査、災害時の調査の話が武見委員からも出てきまして、活躍もいろいろな所で見させていただいて、大変敬服しています。国民が栄養調査とか食事調査に少し疑念を抱いているとか、調査内容に対して不満を持っているということを、現地に行ったときに聞いたような気もします。そういう点も踏まえると、今後、国民が答え得る調査用紙の開発とか、そういうところを研究所に担っていただいて、私たち現場、フィールドが国民にお願いしやすい調査票を作っていくことはお考えではないでしょうか。
 もう1つはNR制度ですが、評価シートの21頁に「中期目標期間開始より3年以内にモニタリングを行う」と書かれていますが、これについてはどのように考えておられますか。

○田村部会長
 2点についてお願いします。

○国立健康・栄養研究所理事長
 健康・栄養調査に関してはおっしゃるとおりです。健康・栄養調査だけではなく、国勢調査とか国が実施する調査に、国民の協力率が必ずしも高くないものがあるという状況があります。それは根本的に、国が、それこそオールジャパンで国が実施する調査をどうするのかということを考える必要があるかと思います。
 国民健康・栄養調査に関しては、いま秤量記録法でやっていますが、その負担がちょっと大きい可能性があります。諸外国では24時間思い出し法でやっています。ですから、世界各国と調査法を合わせるというか、対比という点を考えて、24時間思い出し法に変えてはどうかというディスカッションがあります。そうすると、もっと協力率が上がるのではないかということも考えております。その辺りのことについては、厚労省生活習慣病対策室と相談しながら進めていきたいと思います。

○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹
 それでは、NRのモニタリングの件についてお話します。これは第2期中期計画の中に定まったことで、3年以内にNRの業務内容のモニタリングを行うということで、これは行っております。この結果に基づいて平成20年に検討を行っておりまして、それに従って結論をご報告したのではないかと思います。
 そのとき私はいませんでしたが、記録で私が覚えておりますのは、NRの機能や社会的な活動の状況、フィールド等について、国民にまだ十分知られていないという指摘があったと思います。いま思い出すと、それについて活動の領域、内容をもっと国民に知らしめるべきだという提言になっていたのではなかろうかと思います。そのあとにNRの第三者機関への移管という問題が出てまいりましたので、いまはそちらで協議、検討を行っているという状況です。

○馬場委員
 私は評価というテクニカルの面からコメントです。例えば、資料の20頁の7の講演会等の開催等について、自己評定では昨年は「A」ですが、今回は「S」にされています。これを見る限りでは、平成21年度と平成22年度は項目的にはほとんど変わっていない。例えば、26頁の「情報発信の推進に関する事項」も、「S」評価されていると。要は「S」という特段に上回ってというときに、例えば講演会であれば、これだけ実施して反響がどうであった、評価がどうであったという何かがあれば、さらに「S」ということがあると思います。我々、大学の評価などは本当に参加者のアンケートはどうだったということを求められるのです。いずれにしても「S」評価を自己評定する場合に、何か我々が納得するようなものを付け加えたら非常にやりやすいのではないか。
 特にそういう意味で、情報発信の13について、これを見るだけでは、なぜ「S」かと思うのですが、先ほど先生方が議論された災害時の情報発信などをやっているわけだから、そういったものをここに特記すれば、やはりそれは「S」という形になるので、「S」にする場合は何かきちんとしたものを提示したほうが理解しやすいように思います。

○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹
 わかりました。

○田村部会長
 貴重なコメントをありがとうございました。ほかにありますか。よろしいでしょうか。
(了承)

○田村部会長
 それでは、次にグループ3、評価項目14~19の「業務運営の改善及び効率化に関する事項」についての評価を行いたいと思います。所要時間は法人からのご説明は10分、委員の評定と質疑10分、合計20分で進めてまいりたいと思います。それでは、法人からのご説明をよろしくお願いします。

○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹
 資料2-5の28頁からですので、よろしくお願いします。まず、運営体制の改善に関する事項です。この運営体制については、平成22年度も中期計画の中できちんとこの体制に従って重要事項について、幹部による意思決定を運営会議で行います。構成員はここに記載のとおりですが、この運営会議を臨時等合わせて17回開催をして、研究所の基本的事項について協議を行っております。
 研究企画委員会は連携体制の強化と戦略的研究等の企画立案を行います。この研究企画委員会は11回行っております。COI委員会は平成21年度から始めております。審議対象はCOIに関連する講演等の報酬額です。国の基準は100万円になっていますが、我が研究所は10万円以上はすべて提出せよということで運営をしております。これは外部委員も入れて1回行いました。
 情報の共有化については、所内イントラネットで進捗状況や管理、予算の執行、その他、スケジュール管理からすべて行っておりますので、特にこの点で問題はなく動いているということです。研究所のセミナーですが、所内セミナーは月1回確実に開催しましたし、外部専門家を招聘して外来セミナーを年8回開催しているところです。これについての評価は通常の「A」評価でお願いしたいというところです。
 次は「研究・業務組織の最適化に関する事項」です。これは外部の競争的研究資金について平成22年は厳しくなったのですが、併任していた1センター長と1プロジェクトリーダーについて公募により採用した研究員を配置しました。それから、法定業務を実施するプロジェクトに対して必要な人材を雇用したというところで、必要な所には必要な資源を投資するという方針で、国のミッションをきちんと過不足なく遂行できる体制をとったということです。それやこれやで、ここも一応「A」評価とさせていただきたいと思っております。
 職員の人事の適正化ですが、資質の高い研究員を2名、1センター長及び1プロジェクトリーダーを採用しました。常勤研究員32名のうち、女性研究員が13名になっています。これは内閣府等の調査でも、当研究所は女性研究員が極めて多い研究所になっています。それから若手研究員2名を任期付きで採用しました。研修会への事務部の参加も積極的に行い、9回、延べ11名が行っておりますので、この部分についても「A」評価とさせていただけるかと思います。
 次に30頁の「事務等の効率化・合理化に関する事項」です。経費削減の取組みについて、経費削減以前に、既に経費は削減されてしまっていますので、非常に苦しい中で一生懸命頑張ってまいりました。合理化の結果、退職金を除きますと、対前年度比で5,000万円を削減したという結果になっています。ここも自己評価ではかなり頑張ったという意識を入れて、「A」評価という自己評価でお願いしたいと思いました。
 次に、評価の充実ですが、内部評価、外部評価をきちんとスケジュール化してやっております。11月に各プログラムの中間報告会を行い、これについて内部の研究部長と理事長、理事、私どもとお互いの投票による内部評価を行いました。さらには外部の評価委員会で評価をするという2段構えの体制をとっております。それは10月、11月の中間評価と3月の年度末に行う最終評価ということでやっておりますので、一応内部評価の仕組みもきちんとそのままこなしている状態です。ここも過不足なく平成22年度も行ってまいりました。
 「業務運営全体の効率化」ですが、平成22年度は経費節減策として、公用車を買却しました。それから、事務消耗品等の一括購入は平成21年度に引き続いて行っております。人件費自体も平成21年度は4億100万円が、平成22年度は3億6,700万円で、平成17年度比で14.6%以上の減になっておりますので、これも中期計画の毎年度2%以上、平成17年度を基準として10%以上の削減を達成しています。さらに、職員の補充は見送っておりますし、業務経費にしても、平成21年度1億4,900万円から、平成22年度は1億2,200万円、平成17年度比では27.6%の減になっています。実は業務経費等の目減りというか、交付金自体がかなり減少しております。学会発表の費用とか、いろいろなプレゼンテーション等にかなり差し支える状態になっておりますので、研究所としてはちょっと厳しいということは申し上げたいと思います。以上です。

○田村部会長
 ありがとうございました。それでは、委員の皆様におかれましては、評価シートへの評定等の記入をお願いします。また併せて、質問等がありましたら適宜ご発言いただきたいと思います。

○清水委員
 全般的な話で、評価主幹のおっしゃっている評価のランクです。先ほどもご発言がありましたが、過不足なく達成されているというのは「B」ではありませんか。中期目標どおりは「B」ですよね。中期目標とか年度計画を上回らなければ「A」ではないのです。そこが聞いていて違和感を感じたというのが1つあります。
 質問としては、昨年末に独法の事務・事業の見直し方針が出されております。これに対する対処方針がいくつか指摘されています。NRにしても収去試験にしても手数料の話にしても、その辺の対応策が全くこのシートには書かれていないと思います。確かに日は浅いので、まだ協議中というご説明もあり、具体策は決まっていないということかもしれませんが、我々としては、それが仮に年度計画なりを修正するものであったとしても、やはり行政ニーズへの対応ということで、それへの取組方は積極的に評価したいと思うのですが、その辺が明確ではないのです。ですから、その辺をもう少しご説明いただきたいと思います。それはもしかしたら次年度からになるのかもしれません。
 もう1つは、29頁の「人事の適正化」です。確かに御法人は研究法人ですから、研究職に関する計画なり実績なりは、いつもご報告いただくのですが、10何名いらっしゃる事務職の方についてはほとんど言及がないのです。これも大半が出向者からなっているということで、それ自体がいけないということではないのですが、法人としてはやはり自主性を持って人事計画を立てるべきだと思っております。したがって、それはそういう方針だからとか、昔からの慣例だとかということではなく、しっかり事務職についても示していただきたいということです。以上です。

○田村部部会長
 それでは、いまのご質問についてお願いします。

○国立健康・栄養研究所事務部長
 最後の事務職の出向の話ですが、確かに私ども法人は事務職については全員国から出向しております。これはそもそも国立健康・栄養研究所ということから独法に移ったということがあって、出向については厚生労働大臣からの命令で出向してきているという状況にありますので、私どもの法人からプロパーにするといった意思表示はできないのではないかと考えております。

○清水委員
 どうしてできないのかというのはよくわかりません。できないという話ではなく、出向者がいけないという話ではなく、この法人にとって何人、どういう方が必要でという人事計画があると思います。それを示していただきたいということなのです。その中で国民に対して、出向者がこれだけ必要なのだということがわかるような形での人事計画を示していただきたいということです。

○国立健康・栄養研究所事務部長
 それは出向ですので、厚労省全体の我々の人事グループの中での計画ということになろうかと思います。具体的に申し上げますと、例えば平成22年度から平成23年度にかけて、事務職は1人削減しております。今後も例えば統合が進めば、当然削減になりますし、そういったことも含めて、また検討されていくべきものだと思います。

○清水委員
 人数のことも含めて、それを明確にしていただきたいということです。

○国立健康・栄養研究所事務部長
 今後検討してまいりたいと思います。

○田村部会長
 よろしいですか。

○清水委員
 はい。

○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹
 事務・事業の見直しの件で、この方向性ですが、事務・事業の見直しでこちらで指摘を受けているのはNRの第三者機関への移管と、収去と申請時の検査料です。それと収去検査を民間の検査機関で行うようにせよという3つです。ただし、NRについては、この法人が自主的に対応できますので、これについては協議・検討を始めたと私どもは何度も申し上げました。
 検査料は政令で決まっているものですから、法人に言われても私どもはどうにもできるものではありませんし、収去対象の検査機関については、法律で決まっているものですので、独立行政法人がいかんともし難いものです。これは独立行政法人ではなくて、主管官庁である消費者庁に、その見直しの内容が行くべき話です。私どもは消費者庁に政令と法律を変えていただかなければ、これについては対処できないということを申し上げてきたわけです。

○清水委員
 そういうご説明を受けました。しかし、見直し方針のほうでは、例えば収去試験のプロセスにしても、標準化しろということで宿題が出ているわけです。それと手数料にしても、どこかの評価にコストをきちんと把握して効率化を図るという趣旨も書いてありましたから、収去試験にかかる実際のコストがいくらなのかといったことも、まず御法人のほうできちんと調査しなければいけないのです。それについてお聞きしているわけです。

○国立健康・栄養研究所事務部長
 それは全部調査して消費者庁に提出してあります。

○清水委員
 それはいただいたと思いますが、それはコストの原価計算的なものではなかったので、実際にかかったコストがいくらなのかということを、きちんと見せてくださいということで申し上げたのですが、それは出てこなかったということです。

○国立健康・栄養研究所事務部長
 実際にかかったのは極めて難しいとお答えしたのではなかろうかと思います。人件費分をどのように計算するのかということですので。

○清水委員
 それは難しくてもやらなくてはいけないことですよね。

○国立健康・栄養研究所事務部長
 もし消費者庁からその要請があれば、その人件費分もすべて含めてやらざるを得ないのかなと思います。

○清水委員
 消費者庁からの指示を受けるまで待つのか、そういった準備は法人としてできるのではないかと申し上げているのです。

○国立健康・栄養研究所事務部長
 基本的に政令と法律を変えるというのが前提になりますので、そのための資料の提出は、求められれば私どもはします。ですから、いままで求められたものについてはきちんと提出しておりますということです。

○清水委員
 求められるまで待つのか、そういったことは法人として自発的に取り組むのかというのは姿勢の問題だと思います。私どもの視点としては、そういったことも含めて、事務・事業の見直し方針に対する対応については、独法は評価しなければいけないと言われているわけです。それに対して法人としても、3法人の統合とかいろいろなことを書いておられるわけです。それに対して指示がなかったら、いつまでも何もやらないという話ではないと思います。

○田村部会長
 よろしいでしょうか。その辺りはまたご検討いただければと思います。

○国立健康・栄養研究所理事長
 NRのことについてお答えしたいと思います。一部は先ほど阿部主幹から申し上げましたが、NRについては、私ども独法として自主的に対応できる、そして私どもの基本的なスタンスとしては、栄養情報提供者として非常に大事なものであると考えていました。また、独法として私どもは是非これを維持したいというスタンスを省内事業仕分けでも申し上げました。しかし、省内事業仕分け、あるいは政・独委からは、NRは第三者機関に移管するようにという勧告がありました。第2期の中期目標・中期計画にはないのですが、勧告の方向で進めております。
 第3期の中期目標・中期計画においては、省内事業仕分けの勧告によれば、民間へ移管という話も一時あったのですが、そうではなくて、第三者機関に移管する、あるいは統合するという方向で話を進めております。相手方があることですので、そんなに簡単にはいきませんが、いま第三者機関へ統合していただく方向で折衝をしております。
 特に問題なのは、NRの資格を持っている方をどうするのか、NR養成校に対してどの期間まで私どもが責任を持ってやるのか、NRの資格を持っている方のフォローアップ・研修などをどの時点までやるのか等々について、いま中期目標・中期計画のなかで対応工程を盛って、鋭意検討している状況です。以上です。

○酒井委員
 皆さん方は非常に大変な状況の中で、今日、ご報告いただいているような成果を上げていただいているわけですが、運営体制のことを考えたときに、この5年間というか、第2期に当たるものはものすごく激動の時代でして、主幹がずっとおっしゃっているように、予算の削減が非常に厳しくなっています。だから、こういうやりたいこともあるのだけれどもやれない。
 ただ、私たち評価する側からいきますと、中期計画に書かれている目標なり計画なりとの対比しか手掛かりはないわけです。例えば、端的な話、知的財産権のことで理事長の方針はよくわかるのですが、この時点で昨年度の実績評価をしろと言われたときに、例えば毎年5件やりますというのが、今年はできませんでした。なぜできないかと言われると、その理由は明示されるわけで、そこは評価する側は、そういう説明があるかどうかを、「C」「D」と付けるのか、「B」と付けるのかというところでは、大変な判断の分かれ道になるのです。同じように予算が削減されています。だから、こういうことがということの中で、どうしようとしているのかという、少し大きな話ですが、方針なり考え方を提示していただくことが、評価が少しでもやりやすくなるというか、そんなことでご説明いただけるととても助かります。

○田村部会長
 貴重なコメント、どうもありがとうございました。ほかに何かご質問はございますか。よろしいでしょうか。
 次にグループ4、財務内容の改善に関する事項関係、評価項目の20~22になりますが、これについての評価を行います。所要時間は、法人からのご説明が10分、委員の評定が10分、合計20分で進めてまいりたいと思います。それでは、法人からのご説明、よろしくお願いします。

○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹
 33頁の20番から申し上げます。「外部研究資金その他の自己収入の増加に関する事項」です。平成22年度の実績として、競争的資金、これはほとんどが厚生労働科学研究費と文部科学研究費です。平成21年度は3億300万円でしたが、平成22年度の獲得競争的資金が2億1,000万円で、件数として52件から44件と、1件当たりの単価も下がりましたし、獲得の件数も下がってしまいました。内訳は、平成21年度が、厚生労働科研費が1億9,280万円、23件でしたが、平成22年度が1億6,340万円、19件の研究課題についてこれだけ確保しています。文部科研費については、平成21年度は8,936万円を24件の課題で獲得しましたが、平成22年度は大体4,400万円、23件でした。1件当たりの単価、件数ともに、平成22年度は平成21年度よりも大幅に下がっています。共同・受託研究につきましては、平成21年度が6,300万円の28件、平成22年度が4,700万円の23件でした。
 如何なる理由でこれだけ下がったのかといいますと、私どももいろいろ考えたのですが、1つには、基本的に厚生労働科学研究費並びに文部科学研究費の総予算が減少していることがあります。特に私どもの分野である、循環器疾患・糖尿病・生活習慣病対策総合研究費が25%近く落ち込んでいまして、その点で競争がかなり厳しくなったのかというところです。ここの所の評価は難しいです。平成21年度は「A」評価をいただいていますが、平成22年度は、公平な基準からすれば、単価の減少で「B」評価ぐらいになるかと思いますが、私どもとしては「A」評価で出させていただいています。
 「経費の抑制に関する事項」ですが、コスト管理の徹底について、各プログラム/センターごとに、予算執行状況を月別に集計・分析を行って、コスト意識を高揚させてきています。
 施設・設備の共同利用ですが、機器の共同メンテナンスを行っています。機器購入は、予算削減で大型機器が買えない状態が続いていて、昨今は全部修理でやってきています。その結果、平成21年、平成22年は大型機器の購入はありません。少しずつでも修理して長く使うようにして研究を継続しています。外部委託は、国民健康・栄養調査業務に伴うデータ入力作業ですが、コホート研究における検体検査等を外部委託しています。会計担当監事による定期的な月次監査、それから、契約内容のチェックを行っています。ここは平成21年度に「A」評価をいただいていますので、平成22年度も「A」評価とさせていただきました。
 「情報セキュリティの確保」についてですが、セキュリティ用ハードウェアのアップデートは必ず月1回行って、監視体制の強化を継続しています。それから、セキュリティ講習会を年6回、感染研と共同開催していますし、新人で当研究所に入った研究者、そのほかについては、必須としてセキュリティ講習会を行っています。さらに、感染研と共同でセキュリティ監査を実施していまして、政府が示している情報セキュリティの基準に従って着実に行っているので、ここも自己評価を「A」とさせていただいています。以上でございます。

○田村部会長
 ありがとうございました。委員の皆さんにおかれては、評価シートの評定等記入をお願いします。併せて、質問等があれば是非ご発言をいただきたいと思います。

○馬場委員
 33頁の20番、いまご説明いただいた所ですが、確かにご案内のように、競争的資金の獲得状況で評価するのは非常に難しいと思います。総額が下がったから駄目なのかという、必ずしも国の財政状況とか施策で変わります。その場合に、例えば、申請件数がどうなっているかというデータを取っていたら、やはり研究員として、審査はたくさん出しているが、総額が減ったとか。何らかの評価をする場合、額が増えた減っただけではなくて、今後、そういうパラメーターも出されたらいいのではないかと思います。

○国立健康・栄養研究所理事長
 大変貴重なご指摘をありがとうございます。競争的資金が、平成21年度は3億300万円あったのが平成22年度は2億1,000万円になって、1億も減っているのはどういうことかということで、私どもも検討しました。私ども研究者の陣容は32名です。それで、科研費の申請時期に私がチェックして、すべて申請するように指導しています。そして、科研費に関しては、平成21年度は24件獲得しています。もちろん1人で複数を獲得している者もいるわけですが、平成22年度は23件です。したがって、件数としてはそんなに減っていません。これは阿部主幹が申し上げたとおり、1件の枠として、文部科研に関しては補助金の額が少なくなっている状況があります。
 それから、厚労科研に関して言いますと、平成21年度は23件獲得しています。平成22年度が19件で、これは正直申し上げて、4件獲得件数が減っています。加えて、やはり1件当たりの研究費の枠が小さくなっている状況です。これは私どもの健康・栄養研究所だけではなくて、詳しく調べたわけではありませんが、ほかの研究所とか大学でもかなり似通った状況があるのではないかと思います。それで、厚労科研については、すべてアプライできるものではありません。文科研については、先ほど申し上げたとおり、すべてアプライするように指示しています。以上です。

○田村部会長
 ありがとうございました。ほかに何か。

○清水委員
 財務に関しては先だってヒアリングさせていただきましたので、詳細は省きたいと思いますが、1点だけ。33頁の「施設設備の共同利用の促進」という所があります。今年度の評価の視点は、保有資産の有効活用が非常に強調されています。御法人の場合は、土地、建物がないということは従来からご説明を受けていますが、それ以外の、例えば、研究機器とか、以前にプールの話とかもあったかと思います。そんな所を有効活用しているということで、何か努力の成果は見られないのでしょうか。

○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹
 共同利用できる大型の研究機器と申しますと、ヒューマンカロリメーターとプールです。うちの研究所で、共同利用というほどの機械とか設備はおそらくこの2つであろうと思います。それで、ヒューマンカロリメーターについては、もちろん共同利用と共同研究で使っています。プールについては、エクスサイズガイドのデータを取る被験者の方々に一応ご利用いただいて、それで、身体活動レベルの被験者の方々がやっているわけです。共同利用と申しますと、レジャー的な、あるいは、スポーツ的な使い方をするのではないかということがあって、純粋に研究利用というところで、研究以外の利用には供していません。

○清水委員
 限られた施設になるのかもしれませんし、研究という目的では利用で結構だと思いますが、それでどうなのかですね。利用が伸びたのかどうなのか、その辺はいかがですか。

○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹
 そこも、共同研究や共同利用できる大型のものについては、その内容についても評価をして記載するようにしたいと思います。

○清水委員
 そうですが、今年度はいかがなのですか。

○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹
 今年度というと、平成23年度ですか。

○清水委員
 平成22年度ですね。

○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹
 平成22年度ですか。共同利用の状況まではチェックして持って来ていませんので、ご必要であれば後ほど整理したもので提示させていただきます。

○清水委員
 そうですね。ほかの法人さんはそういうのを出していると思います。対応件数とか、金額とか、そういったことも是非入れていただきたいと思います。

○田村部会長
 よろしいでしょうか。これも1つの評価の資料になると思いますので、よろしくお願いします。ほかに何かご質問はございますか。

○酒井委員
 今年度の評価のことではないのですが、よろしいでしょうか。1つは、先ほど、災害の3・11のことで、平成23年度の栄養研の研究であるとか、研究以上に、皆さん方の、情報の蓄積されたものの教育普及のようなもので、特別の計画があるのかが1点です。
 この部屋はとても快適で、今日は特別に下げていただいているような気がします。節電ということを言われているわけですが、それがこの夏の皆さん方のアクティビティに関連することがあるのかどうかです。

○国立健康・栄養研究所理事長
 被災者の支援に関しましては、健康・栄養の観点から、酒井先生がおっしゃったオールジャパンの観点から、私どもとしては、岩手県、岩手医大、それから、岩手県医師会、保健師会、栄養士会等と相談しまして、9月に、釜石の平田地区をターゲットにして、被災者の健康・栄養に関する支援、調査、研究をさせていただこうと考えています。それの金銭的な枠は先ほど申し上げたのですが、厚生科学課の特別研究費、特研です。どんなスタッフで当たるのかですが、私どもは日常の業務があって、それにかかりっきりになることはできませんので、特別研究費をいただいたなかで、特別研究員をリクルートする、それから、もちろん現地の方、栄養士・管理栄養士の方、保健師の方、あるいは、大学のスタッフと共同して研究を実施する、というような体制を進めたいと考えています。
 私どものスタンスとしては、いま困っている、ニーズのある国民に、栄養・身体活動の点から、私たちがどんな貢献ができるか。それから、是非貢献したいという基本的スタンスを持ちながら、今後の、特に釜石の平田地区をモデルにして調査を行い、そこから得た情報を被災者の方々に情報発信したいと考えています。なお、節電に関しては事務部長からご説明いたします。

○国立健康・栄養研究所事務部長
 私たち独立行政法人ですが、節電については、やはり国と同様にやるようにという指導を受けています。調査そのものは感染研と一緒なものですから、国は15%削減、厚生労働省は25%削減を目指して計画を立てています。私どもの庁でも当然25%削減ということで計画を立てて、具体的には研究の先延ばしとか、先ほどもあった、プールなどもいま止めています。そういうことをやって、現在は25%削減の90%弱で稼動しています。できるだけ研究に支障が生じないようなことで取り組んでいます。以上です。

○田村部会長
 ありがとうございました。各委員の皆様におかれては、評定等の記入は終わりましたでしょうか。まだ終わっていない方もいらっしゃるかと思いますので、事務局のほうからその対応をご説明いただけますか。

○政策評価官室長補佐
 もし記入が終わっていない委員の方がいらっしゃいましたら、この部会の終了後に残ってご記入することも可能ですし、また、評定の記入用紙と評価シートをお持ち帰りになられて、後ほど記入していただいて、こちらに提出していただくことも可能です。その際、評定の記入シートについては、後ほど電子媒体で、各委員の方々にメールで送付しますので、それを活用していただければと思います。部会が終わって1週間後、来週の木曜日ぐらいまでに、事務局宛にメールで送信していただければと考えています。以上でございます。

○田村部会長
 ありがとうございました。それでは、国立健康・栄養研究所の個別評価に関する審議は以上とさせていただきたいと思います。法人・所管課はご退室をお願いします。
(法人・所管課退室)

○田村部会長
 それでは事務局から、法人の内部統制評価について提案があるとのことですので、ご説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 それでは、内部統制について1点ご提案があります。今年の3月に調査研究部会が開かれまして、そのときに政・独委の二次評価の結果を事務局よりご報告しました。その際、二次評価の結果の中で、内部統制の仕組みについて、実際に機能しているかどうかという検証を、さらに踏み込んで評価をしてほしいということがありました。その点についてご紹介したところ、委員の先生方から、いまの状況で、さらに踏み込んだ内部統制の評価はなかなか難しい、幹部の方からの説明を聞いただけではわからない、職員の方から何らかの形で聞けないか、という意見がありまして、その後、事務局の中で検討した結果、調査研究部会独自の取組みということで、まずは今回、法人の職員についてアンケートをやってみてはどうかという提案をさせていただきます。
 具体的には、先に事務局のほうからメールで各委員の方々にご提案をしているのですが、質問事項は事務局のほうで基本的なものを提案して、各委員の先生方からご意見をいただいて、それに肉づけをしたものをアンケートとして各法人宛に送付する。そのアンケートについては、例えば、年齢、階層別に、各法人ごとに、全職員の中から1割程度ということで、無記名でアンケートを書いていただき、それを事務局宛に返信していただいて、事務局のほうで集計して、後日、総合評価の前にそれを各委員の方に配付する。その結果を見て評価の参考にしていただければと考えています。これについて、本日、この場でご意見、ご要望などがあれば賜りたいと考えています。
 本日欠席されていますが、岩渕委員からは既にメールでご意見をいただいていまして、全職員の1割ではアンケートに答えた人が特定できるのではないかという話もあって、2割にしてほしいとのことです。また、具体的にこういった質問を入れてほしいというご意見もいただいていますので、事務局のほうで検討します。次回の個別評価が7月25日にありますので、具体的な質問事項ということで、今回全部集約したものを25日にご提示させていただければと考えています。以上でございます。

○田村部会長
 ありがとうございました。ただいまの事務局からのご説明について、何かご質問、あるいはご意見等はございますか。

○武見部会長代理
 いまの岩渕委員の意見と関係するのですが、誰が答えているのかを法人側のトップがわかってしまうのかどうかという辺りをどういうふうに。例えば、性別、年齢で抽出と言っても、誰が作業をするのか、そこら辺がすごく大事だと思います。つまり、研究員の方の本音を聞くためにやろうとしているのが、結果としては建前論しか出てこないのならばやる意味がなくなる。栄養研などは特に小さいのですが、これの2割といえば7人ですかみたいな感じなので、やはりその辺をどうやるのかは検討が必要かという気がします。

○田村部会長
 ほかにいかがですか。ご意見があれば、今日できるだけ聞かせていただいて、ご意見も踏まえて、また、事務局のほうでご検討いただいて、それを基に、次回に案をお示しいただくことにしたいと思います。

○政策評価官室長補佐
 抽出の仕方についても、いまのところ、法人のほうにお願いしようと考えていたのですが。

○武見部会長代理
 だったらやる意味がないのではないですか。

○政策評価官室長補佐
 そのやり方についても検討させていただきますので。

○田村部会長
 ほかにご意見はございませんか。

○酒井委員
 提出していないのですが、まだ意見は出せますか。

○田村部会長
 いつまでに出すようにしたらいいですか。25日に案を作られるので、その検討する時間を見なければいけませんね。

○政安委員
 研究所に調査用紙を送られてしまったら、研究所では、誰に来たというのが事務部でわかってしまいますね。

○武見部会長代理
 それも含めて。

○政安委員
 ですから、そこも含めて、わからないような対策を練らないといけないのではないかと思います。

○政策評価官室長補佐
 個人の自宅に送るとか、そういった。

○政安委員
 何か考えていただけると。

○田村部会長
 これはいつまでに出せばよろしいですか。

○政策評価官室長補佐
 22日までに。

○田村部会長
 それで大丈夫ですか。あと、検討して案を作らなければいけないのですが、時間はありますか。大丈夫ですか。
 では、ご意見がありましたら、是非22日までに出していただくようお願い致します。今日もお話が出ていますが、実質的な、実態がわかるような。なかなか難しいとは思いますが、うまく知恵を働かせていただければと思います。せっかく声を聞くということなので、よろしくお願いしたいと思います。ほかにはよろしいですか。

○武見部会長代理
 先ほど清水委員がおっしゃった、要するに、中期計画どおりにやれていれば「B」だという、あそこの件なのですが、そう聞いていると、少しは数字的によかったりとかしても、実際は計画どおりきちっとやったということです。「B」は決して悪い評価ではないのですが、各法人の評価はほとんど身びいきというか、「A」だったり、実際に先ほどの全体を見ても「A」が普通という感じなのです。そうすると、ものすごく頑張らなければいけなくて。だから、中期計画そのものが甘いのではないかというような話になりかねません。これは全体の話だと思います。といって、調査研究部会だけを厳しくするのもおかしなことなのですが、それはどうするのか、やはり本当に難しいことと思いました。

○清水委員
 次期中期目標の期間、その辺の所をもう少し是正してくれればと思います。

○武見部会長代理
 そうですね。だから、数からいえば、「B」はいちばん多くて当たり前というのが、本来、中期計画が妥当に立てられていることではないかと思います。

○田村部会長
 これは、「A」は少し努力したという説明もあったとは思いますが、今日はあまりその意識は強くなくて、目標どおりにやったのが「A」だというイメージが伝わってきましたね。だけど、書いてあることを見ると、それなりに努力はされている面もあるので、これからその辺りをうまくご説明いただかないと、我々としても評価がしにくくなりますね。

○馬場委員
 私、国立大学法人の年度評価を受けたり、ずうっとやっていたのですが、今日は初めて臨時委員で参加したのですが、自己判定の基準が非常に曖昧。全体を見ると、昨年も「A」があるので、おっしゃったように、大体「A」が普通どおりやっているという感じかと思います。そうなれば、やはり「S」というものの評価が際立ったことになる。それは明確な何かを持っていないとなかなか納得できないのではないかという感じがあります。それを、お話を聞いていると、何となくこういう感じで認めてくださいというような。これからその辺のことをブラッシュアップされたほうが、評価としてはいいかと思います。

○田村部会長
 特に今日のご説明はそういう雰囲気がありました。おっしゃるとおりだと思います。ですから、是非これは徹底していただいて、「S」は「S」、「A」は「A」、「B」は「B」と、きちっとご説明いただかないと、評価のほうも、「なんだ、これは「B」ではないの」というふうになりますので、よろしくお願いします。ほかに何かございますか。
 それでは、本日の議事は以上とします。事務局から連絡事項があればお願いします。

○政策評価官室長補佐
 本日お配りしている資料につきましては、ご希望があれば郵送しますので、事務局までご遠慮なくお申しつけください。次回の開催につきましては、7月25日の9時半から、場所については厚生労働省専用第22会議室となっています。議題につきましては、労働安全衛生総合研究所の個別評価、その他となっています。事務局からは以上でございます。

○田村部会長
 ありがとうございます。本日は以上といたします。長時間にわたって熱心なご審議をいただきまして、誠にありがとうございました。


(了)
<照会先>

政策統括官付政策評価官室

独立行政法人評価係: 03-5253-1111(内線7790)

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