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2011年7月21日 第90回労働政策審議会労働条件分科会 議事録

労働基準局労働条件政策課

○日時

平成23年7月21日(木)
10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎5号館12階 専用第15、16会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○議題

平成23年7月21日 第90回労働政策審議会労働条件分科会 議事録

・日時
平成23年7月21日(木)10時00分~12時00分

・場所
厚生労働省専用第15、16会議室(12階)

・出席者
【公益代表委員】
 荒木委員、岩村委員、権丈委員、田島委員、守島委員、山川委員

【労働者代表委員】
 工藤委員、島田委員、新谷委員、?松委員、中島委員、宮本委員

【使用者代表委員】
 池田委員、伊丹委員、伊藤委員、田中委員、三浦委員、宮地委員、輪島委員

【事務局】
 金子労働基準局長、渡延審議官、前田総務課長、田中労働条件政策課長、
青山労働条件政策課調査官

・議題
 1 有期労働契約について
 2 その他


○岩村分科会長 それでは、ただいまから第90回「労働政策審議会労働条件分科会」を開催させていただきます。
 本日は公益代表の村中委員、労働者代表の安永委員が御欠席でございます。
 まず議事に入ります前に、定足数につきまして、事務局から御報告をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○田中課長 御報告いたします。労働施策審議会令第9条により、委員全体の3分の2以上の出席または公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされておりますが、本日はいずれの数も上回っております。定足数は満たされております。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 それでは、議事に入りたいと思います。お手元の議事次第に沿って進めてまいります。
 まず議題の1番目でございますが「(1)有期労働契約に関する議論の中間的な整理について」でございます。この分科会では、昨年10月から有期労働契約の在り方につきまして検討を始め、前回で各論の議論を一巡したところでございます。この夏以降の議論を充実させていくために、議論の中間的な整理に向けて議論することにつきまして、前回、御了承をいただいたところでございます。本日はこの点について御議論をいただきたいと考えております。
 前回、事務局に中間的整理の原案の作成をお願いしているところでございまして、本日その案がお手元に配付されております。そこで、冒頭、事務局からこの案についての説明をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○田中課長 それでは、御説明させていただきます。
 資料としては、資料No.1でございます。
 参考資料としてNo.1~3を付けさせていただいております。それについては、既に過去の分科会において提出させていただいた論点に関する資料を再度提出させていただいているものでございます。
 それでは、資料No.1を御説明させていただきます。分科会長の指示によりまして「有期労働契約に関する議論の中間的な整理について」という表題を付して、事務局案を作成いたしました。
 冒頭ですけれども、柱書きとして、昨年10月26日から検討を開始し、震災の中断を挟んで議論を行ってきたこと。検討に当たっては、先ほどの参考資料でもありましたような各論点項目を設定し、論点ごとに取り得べき考え方をある程度網羅的に認識しながら議論を行い、各側委員からさまざまな意見が述べられたこと。当分科会としては、各論点についての一通りの検討を終えた現時点において、なお労使の意見の対立はあるものの、これまでの議論を一旦整理した上で、更に検討を進めることが適当であるとの観点から、この中間的な整理をとりまとめ公表することとしたことを記述させていただいております。このとりまとめを公表するというところまで、書かせていただいております。
記については、各論点につきまして、記載をさせていただいているところでございます。参考資料1から参考資料3までにお示しした論点項目にできるだけ沿っておりますけれども、実際の議論において、ひとくくりで議論されたような論点については、1つにまとめて記述させていただいた部分もございます。
 例えば「1 有期労働契約の機能や実態」につきましては、第85回の分科会の議論では、有期労働契約が増えている実態とその影響という部分と、有期労働契約の機能、課題の在り方をどう考えるかという部分は2つに事務局として分けさせていただいたんですけれども、結果としては一体的に議論をいただいたということもありまして、この案では、1つにまとめているという形です。ほかにも幾つかまとめさせていただいている事項もございます。
 次に、各論の中の記述の構成について御説明いたしますと、1のところにありますように、ア~ウに分かれております。
 「ア 検討の背景、問題所在等」は、各論点について関係する制度の状況とか、有期契約労働をめぐる実態などを客観的に記述させていただいておりまして、その上でどういうポイントについて議論がなされたかということを大くくりに示しております。
 「イ 労使の意見」は、労働者側委員の意見、使用者側委員の意見の順番で、その論点に係る議論を、できるだけコンパクトにまとめるようにはしましたけれども、これまでのさまざまな議論を整理させていただいたということでございます。
 その上でウですけれども、そういった議論の内容を踏まえて「ウ 今後の検討における留意点」として考えられるべき事項を事務局でまとめさせていただいた部分でございます。
 そういう構造で各論点について、記述をさせていただいているということでございます。
 それでは、中身について御説明をいたします。
 「1 有期労働契約の機能や実態」についてでございます。
 「ア 検討の背景、問題の所在等」でございますが、1つ目の○は比較的一般常識的な話でございますけれども、有期労働契約が期間の満了時において契約を終了する場合と、更新により反復継続する場合があるということ。
 それから、有期労働契約の契約期間の途中とか、あるいは契約期間の満了時において、労使合意によって期間の定めのない労働契約となる場合もあるということでございます。
 2番目の○は、有期契約労働者の実態でございまして、数自体は近年増加傾向にありますけれども、平成21年の厚労省実態調査で見ると、半数を超える事業所が雇い止めを行ったことがないとしているなど、特段の支障のない限り、更新を繰り返すことを前提として有期労働契約を利用する企業も少なくないこと。契約更新回数が11回以上とする事業所とか、勤続年数が10年超とする事業所も見られるなど、結果として一時的・臨時的ではない仕事について有期労働契約の反復更新で対応している例も見られることを述べさせていただいております。
 その上で、企業、労働者それぞれの側から有期契約を活用する理由というものも実態調査で取っておりまして、その割合の高いものについて幾つか提示させていただいているというものでございます。
 3番目の○は、いわゆるリーマン・ショックのときに有期契約労働者の雇止めあるいは期間途中の解雇の問題が増加しまして、雇用不安の増大につながったという事実と、また、その後においても、有期契約労働者について解雇・雇止めに関する不安、賃金水準が低いことに対する不満、頑張ってもステップアップが見込まれないことへの不満、こういったことが実態調査から見られるところでございますので、記述をしている。
 一方で、有期労働契約というものは、厳しい経済情勢下にあってもさまざまな労働需要を現実の雇用に結び付け、労働者の就業やキャリア形成の機会を確保する役割を果たしてきていることも事実でございますので、ここで書かせていただいているということでございます。
 そういった現状認識の下で、ルールということになりますと、有期労働契約は期間満了時に自動的に終了することが原則ですが、反復更新された後などの雇止めに関しては、いわゆる雇止め法理が判例法理として形成されております。この部分については、後で詳しく述べさせていただいている部分がございます。
 こうしたルールの下で、有期労働契約はリーマンなどの大規模経済変動の際における市場全体の雇用量の調整、あるいは通常時においても、個々の企業の生産変動などの際の雇用量の調整に利用されている面がございます。
 こうした多様な有期労働契約の機能や実態をどのようにとらえるかに関する議論がなされたと理解しております。
 「イ 労使の意見」でございますが、労側の意見につきましては、まず有期労働契約の問題点について総括的に述べられている部分がございます。雇用の不安定さ、労働条件の格差、キャリア形成が困難等の問題を抱えた雇用形態であること。雇い止めを背景に、労働条件の切り下げが行われたり、年休取得の権利行使が阻まれたりするトラブルもあるということ。
 近年では若者や家計の担い手で有期労働契約で働く方が増えている。人材育成の観点からも期間の定めのない雇用を原則とすべきということ。
 3番目は、労働者が有期労働契約を選択している理由として、時間などの働き方の柔軟性を選択しているのであって、有期であることを選択している場合ばかりではないということ。
 4番目として、3分の1を超える非正規比率になっていく中で、有期労働者となっていることが日本の雇用社会のありように大きな影響を与えているということで、今後の20年、30年の雇用社会を展望して、期間の定めのない雇用を基本に、有期労働契約を考えるべきだというという考え方。
 次に有期契約労働者の増加に加えて、労働者でない雇用以外の契約も増加しているという問題。
 更に有期労働契約の性質を用いて、企業が契約を打ち切るフリーハンドを確保している。更には処遇格差を正当化しているということで、そういう観点の指摘。雇用の原則は期間の定めのない直接雇用が基本であって、その観点から有期契約の利用は合理的な理由がある場合に限る。そのような理由がない場合には、原則として期間の定めのない労働契約となるという御意見であります。
 それから、今後有期に関する新たなルールについては、行政の指導・監督を履行確保の手段とする法律では不十分で、民事的なルールとして労働契約法に規定すべきだという御意見。
 こういったことが総論的な御意見だと思われます。
 それに対しまして、使用者側の御意見でございます。
 1つ目は、労働市場で有期の果たす雇用維持、創出などの役割は重視すべきだということ。それから、大きな就業構造の問題についても、労働契約の規制という手段ではなくて、労働市場の機能強化のアプローチによって対応するべきだという御意見であります。
 2番目が、今後の雇用環境の悪化の中で、有期契約によって雇用を確保していくことが重要だ。したがって、多様な実態の中で不合理・不適正な運用がどのような部分に存在するのかを具体的に明らかにしながら議論をすべきだという御意見。
 3番目は、多様な雇用の場を有期労働契約は提供している機能を有している。それから、業務量の変動に対応するための雇用量の調整は必要だという意見。したがって、有期労働契約を例外とするのではなく、どのように生かしていくかを考えることが必要だという御意見であります。
 実態面で見ても、事業主の7割は雇い止めの経験がないということから、特段の支障のない限り更新を繰り返すことを前提としているので、結果として多くの有期契約労働者の雇用は安定的に運用されているという御意見でございます。
 更に大規模な経済変動の下では、有期契約労働者の雇用のみが不安定であるわけではないということ。
 それから、労働法上の権利が守られないという事例が指摘されているけれども、それが有期労働契約の在り方に起因する問題なのか、あるいは労働者一般の問題なのかを峻別して議論する必要があるという御意見がありました。
 さらに、例えばジョブ・カード制度の下で有期契約を結んで訓練をし、正社員として採用されるという制度ができているということで、有期契約は正社員採用の拡大という面で重要な役割を果たしているという御指摘がございました。
 このように労使の意見、有期労働契約の機能、あるいは契約期間の定めが有する機能についての基本的な御理解は労使で異なっているという状況でございますので「ウ 今後の検討における留意点」におきましては、そのことをまず指摘させていただくとともに、一部に有期労働契約の不合理・不適正な理由が見られること、あるいは過去の著しい経済後退局面などで、こうした不合理・不適正な理由の弊害の顕在化が見られたことについては、認識の共有が可能と考えられると書かせていただきました。ここの部分については、不合理・不適正な利用について具体的に更に議論する必要があるということは、ある程度共通の認識になっていると思いますが、その内容は具体的にまだ議論されていない部分もございますので、ここでは一旦、「認識の共有が可能と考えられる」という表現を使わせていただいております。これを踏まえて今後検討していくということでございます。
 2パラ目で、検討に当たっては、有期労働契約の多様性への考慮、留意という観点を書かせていただいております。すなわち有期契約労働者については、パート・アルバイト、派遣、契約社員・嘱託など多様な類型に分けられます。また、いわゆる実態調査で4分類をしましたけれども、職務の内容や責任の程度も正社員と同等以上の者もいますが、限定的な職務内容や責任の範囲で働かれる方もいて、こうした多様性を十分に考慮すべきこと。職務内容や責任の限定については、労働者の就労ニーズに合致する面もございますが、その一方で、新卒者などの場合にあっては人材育成の幅が狭まるということもありまして、中長期的な人材育成等の課題との関連にも留意する必要があるという点を記述させていただきました。
 「2 有期労働契約の締結及び終了」の論点でございます。ここでは括弧で幾つかに論点を区分させていただいておりまして、1つ目は「(1)締結事由」の部分でございます。
 アの部分ですけれども、我が国の現行法制は、当事者が合意して労働契約に期間の定めをすることは、労基法上の上限規制はありますが、その範囲内では自由に行うことができまして、目的、理由によって制限するルールは存在いたしておりません。こうした中で、締結事由の制限の要否に関する議論がなされたということでございます。
 なお、フランスが締結事由の規制を導入しておりますので、その例を紹介したという事実を記載させていただいております。
 「イ 労使の意見」でございます。
 まず労働者側意見ですけれども、第1番目に、雇用の原則は期間の定めのない直接雇用を基本として、有期労働契約は例外と位置づけるべき。その上で合理的な理由があれば、有期労働契約の締結を認める。それがなければ、期間の定めがない雇用とすべきという御意見でございます。
 2番目は、企業活動は継続的に行われる中で、雇用を有期とする必要がある部分というものを労使で理解し合うべきという御意見。
 3番目が、締結事由の制限をしても、現に業務がある中では、雇用が減少することはないという御理解。
 4番目が、短い雇用期間が反復更新されることなどの有期のデメリットの解消、不安の払拭については、期間の定めのない雇用となることによって行っていくべきだという意見でございます。
 ?の使用者側ですけれども、有期労働契約は雇用調整に備えるために必要であるということを述べた上で、例外的な場合以外で合理的期待に反する雇い止めは大量には発生していない。したがって、締結事由の制限を行う必要はないという基本的な御意見。
 それから、締結事由の制限の導入というのは、そもそも民法の原則である契約自由の原則、あるいは労働契約法にもあります合意原則、こういった原則から乖離するものであり、有期労働契約を弊害があるものと決めつけるべきではないという御意見。
 雇用機会の問題については、有期は多様な雇用の場を確保するという機能を有しており、締結事由の制限はかえって良好な雇用機会を失わせるという御意見であります。
 諸外国の事例との関係では、締結事由の制限がない国も多く、制限をしている国においても、締約事由に該当するか否かをめぐる紛争が生じたり、労働市場の硬直化を招くなどの問題が起きていて、締結事由の制限を緩和・廃止する動きが見られるという御指摘がございました。
 こうした議論の状況を踏まえまして、留意点としては、締約事由の制限については、その要否につき意見の隔たりがあること。今後の議論については、有期の実態・機能を踏まえながら、締結事由の制限の要否について引き続き検討していくことが必要と記載させていただきました。
 「(2)更新回数・利用可能期間、雇止め法理(解雇権濫用法理の類推適用の法理)」でございます。この点につきましては、分科会の議論では、更新回数・利用可能期間と雇止め法理が論点としては2つに分けて記載させていただきましたが、この点も非常に関連するものとして議論されましたので、1つにまとめてここでは記述をさせていただいております。
 「ア 検討の背景、問題の所在等」でございます。
 1つ目、2つ目は、ルールの内容でございますが、我が国では更新回数・利用可能期間の制限は法律上ございません。期間満了の際に当事者が合意すれば更新をすることは可能であります。
 一方、雇止めについては、労働者保護の観点から、判例法理、雇止め法理が形成されておりまして、一定の場合に解雇権濫用法理が適用されることになっております。
 こうしたルールについては、判例法理であるがゆえにというところもあるのですが、どのような場合に適用されるかがはっきりしていないという予測可能性の低さが指摘されておりますけれども、職場の労使関係における一定の規範として定着してきているという現状はあるということで、これは労使からそういった御意見があったと思っておりますので、その趣旨を書かせていただいております。その上でルールの在り方について検討がなされたということでございます。
 ここでもイギリス、ドイツ、韓国、スウェーデンの例について紹介した内容を記載させていただいております。
 「イ 労使の意見」の労働者側意見ですけれども、更新回数・利用可能期間についての上限を設けて、上限を超えた場合は期間の定めのない労働契約に転換する。ただし、一定の例外、定年後の再雇用とか高度専門職の者については、例外として取り扱うことは考え得るという御意見です。
 それから、締結事由の合理性とセットで考えるべきだという御意見。
 有期の契約では、いつ更新が拒絶されるかもわからないということが雇止めの問題だという御指摘。
 雇止め法理については、法制化の方向で検討すべきだという御意見。その内容については、東芝柳町工場事件最高裁判決を基礎にしつつ、日立メディコ事件最高裁判決も考慮しながら法制化すべきという御意見。その中で、事実の証明責任は使用者側が負うものとすべき。雇止め法理により雇止めが認められなかった後の労働契約の期間は、期間の定めのない労働契約に転化するものとすべきという御意見であります。
 実態の問題として、雇止めを背景に労働条件の引き下げを迫られるケースが多いということの御指摘もございます。
 ?の使用者側の御意見ですが、更新回数・利用可能期間の上限については、両当事者が当初の想定を超えて更に働いてもらいたいケースに対応できないということ。それから、一定の上限を決めるということは、上限手前での雇止めが増加することは避けられないということで、雇用が縮小して、継続的な能力開発の機会もなくなる。予測可能性は確かに高まるけれども、失業率が上昇するなど労働市場にとっては悪影響であって、規制には慎重であるべき。とりわけ形式的かつ一律のルール化については、極めて慎重であるべきという御意見であります。
 それから、雇止め法理についての評価でありますけれども、現状では雇用形態の柔軟性の確保と労働者の保護を一体的に機能させる判例ルールとして確立し、的確に機能しているとの理解であります。ただし、これを明確化したとしても、予測可能性は低いということで、法制化によってその機能が高まることになるのかは疑問という御見解であります。
 契約更新時の労働条件の見直しについては、両当事者のニーズに応じて行われるものであるから、雇用の安定が確保されるように機能しているのではないか。むしろそういう場合が多いのではないかという御指摘であります。
 こういう御議論を踏まえた留意点ですが、雇止め法理は期間満了により契約が終了するという有期労働契約の性質について、労働者保護の観点から一定の場合に雇用を継続させるルールとして形成され、企業実務においても一定の定着を見ているものの、その適用における予測可能性が低いということについては、認識が共有されていると書かせていただきました。
 このため、今後の議論については(1)締約事由の制限を始めとする有期労働契約の締結をめぐるルールの在り方に関する議論との関連にも留意しながら、有期労働契約の雇用継続の見通しを改善する方策として、具体的な議論が必要だということでございます。その際の留意事項として、下の2行ですが、上限手前での雇止めの増加が予想されることなどへの留意が必要であると書かせていただきました。
 先ほど使側の意見の中にもありましたけれども、上限を決めますと、その前での雇い止めは必ず起こってくるという問題がございます。それをどう考えて処理していくかということ。
 それから「など」ということになりますと、例えばこういったルールを入れる場合に上限を切って、一定の上限に達したけれども、その後に雇用されない期間が一定期間存在したときに、上限のカウントについてはクリアーされるのか、されないのかというクーリング期間の問題がございまして、そういう技術的な問題を含めて考える必要があるという意味で書かせていただいております。
 「(3)契約締結時及び終了時の手続」でございます。この部分についても、告示などで一括して定められている部分がございますので、締結時、終了時の手続に関して1つにまとめて記述しております。
 「ア 検討の背景、問題の所在等」ですが、1つ目の○、2つ目の○、3つ目の○は、労働基準法あるいは大臣告示におきまして、定められている現行ルールを改正している部分でございます。
 一番下の○につきましては、これらのルールについては、一定程度定着しているとの共通認識の下に、これらの履行を使用者に法的に義務づけることの要否などに関する議論が行われたと整理をさせていただきました。
 それを受けての「イ 労使の意見」でございますが、労働者側意見は、更新の有無や判断基準の明示といった告示に記載されている事項については、さらなる定着のために法律上書面明示を義務づけるべき。その場合、罰則で担保する部分と私法上の効力で規律すべき部分を分けて検討すべきということでございます。
 契約締結に際して、有期労働契約で雇い入れる合理的な理由の明示を義務づけるとともに、明示がない場合の私法上の効果についても検討すべき。新たにこうした事項を明示させるべきという意見でございます。
 期間の定めについての書面明示がない場合には、期間の定めのない契約に転化すべきということと、黙示の更新をされた場合の効果については、期間の定めのない労働契約に転化させるべきという御意見です。
 それから、雇止め予告と解雇予告手当についても、法制化あるいは義務づけが必要だということでありますし、雇止め予告の必要な範囲についても議論を深めるべきだという御意見であります。
 一方で、使用者側の御意見ですけれども、書面明示につきましては、定着しているか、定着に努力をしているので、罰則を伴う法規制には反対。
 それから、新たに明示をすべき事項はない。
 更に有期労働契約で雇い入れる理由の明示というものは、入り口規制として締約事由を制限することと同義であると考えられるが、そうであれば反対という御意見です。
 期間の定めについて、口頭でも合意があれば有期の労働契約として有効に成立するはずなので、書面明示がなければ期間の定めのない労働契約に転化することについては反対。
 有期労働契約の黙示の更新をされた場合の取扱いについては、議論でも御紹介されましたけれども、学説も分かれているという状況なので、取扱いは慎重にすべきだという御意見でございます。
 その上で留意点につきましては、締結時、終了時の明示事項として追加すべきものがあるか、大臣告示で記載されている事項についてどの程度の具体性を求めるのかなど、(1)(2)いわゆる実態的なルールの検討との関連にも留意しながら、選択肢の要否を含め引き続き検討する必要があります。
 それから、書面明示がない場合に一定の法律効果を与えることについても実務への影響なども含めて、要否を更に検討する必要がある。
 なお書きですが、現在、法制審議会民法債権関係部会において民法の見直しが進められているけれども、民法629条の規定等も検討課題となっているところでございますが、この課題は労働政策上の課題であって、労働政策審議会で議論すべき課題であることについての認識は共有されているということを記載させていただいております。
 「(4)契約終了時に際しての経済的支援等」でございますけれども「ア 検討の背景、問題の所在等」につきましては、有期労働契約の終了に際し、一定の手当を使用者が支払うこととすることの要否でございます。
実際、こうした手当を支払うことを労使で合意することはもとより自由なわけですけれども、またその実例も現に存在しておりますが、このような手当の支払いを使用者に義務づけるような法制が現在我が国に存在しないということでございます。
 フランスなどでは、契約終了手当というものが支払われるという法律的な措置が定められておりまして、その趣旨は期間の定めのない労働契約へのステップとならないような有期労働契約を締結する使用者に対しまして、雇用の不安定さの代償として費用負担を課すものということで紹介しました。
 「イ 労使の意見」でございますけれども、労働者側意見は需要変動に伴う経営リスクを有期労働契約の利用よって労働者に雇用の不安定さとして負わせていることから、手当の支給によってその負担の均衡を図るべきだという御意見。
 ただし、雇止めに関する労使紛争を金銭的に解決する手段としての手当の制度化には反対という御意見でございました。
 それに対して使用者側意見は、紛争を予防する観点から契約終了時に一定の金銭を支払う制度は検討すべき論点だという御認識でございました。
 こうしたことを踏まえまして、留意点としては(2)の更新回数・利用可能期間、雇止め法理の検討の方向も踏まえ、有期労働契約終了時の手当について更に検討を深める必要があるとさせていただきました。
 「3 契約期間中の処遇や雇用管理等」でございます。
 これについては「(1)均等・均衡待遇」の問題と「(2)正社員への転換の推進」の問題に分けて論点設定させていただきました。
 (1)のアですけれども、労契法3条の2項で均衡を考慮しつつ、労働契約を締結して変更するという原則が宣言されていること。
 短時間労働者については、パートタイム労働法におきまして、均等待遇あるいは均衡待遇についての規定あるいは説明責任に関しての規定が設けられているということでございます。
 こういったことを踏まえて、有期契約労働者と期間の定めのない労働契約で雇用される労働者との間の均等・均衡待遇について議論がなされたということで整理させていただいております。
 「イ 労使の意見」でございますが、労働者側の御意見については、有期契約労働者について契約期間の定めを理由として、合理的な理由のない差別的取扱いまたは不利益取扱いを禁止する旨の規定を行政指導・監督の履行確保の手段とする法律ではなく、私法上の効果を持つ労働契約法に規定すべきだ。かつ立証責任は使用者側が負うものとすべきという御意見であります。
 均等取扱いを定めたパート法8条でございますが、8条に関する行政の是正指導件数が3件、紛争解決援助件数が2件であって、実効性の点から問題がある。それから、同条は私法上の効果がないと解され、労働者の救済につながっていないのではないかという御認識。更に同条のような精緻に設計された要件を設けると、要件に該当しないように回避する企業の行動がとられ、結果として実効性のない規定となる。したがって、法の規定は原則的なものにとどめて、何が合理的な理由に該当するかなどにつきましては、司法判断に委ねるべきだ。判例法理の形成には時間がかかるので、労使のよりどころとなる労使によるガイドラインなどを示すことも考えられるという御意見でした。
 これに対して使用者側意見は、合理的な理由のない差別的取扱いを禁止する旨の規定を設けることにつきましては、だれと何を比較して差別的取扱いに当たるか否かを明らかにするのは困難であるという御意見。
 それから、有期契約労働者の納得性を高め紛争を減らす観点からは、賃金等の均等・均衡待遇だけではなく、情報の共有といったものも考えられるのではないかということでありまして、納得性を高める観点から議論をすべきだという視点です。
 ウの留意点は、こうした御議論を踏まえて、有期契約労働者について公正な待遇を実現することは重要であること。このことは共通認識ではないかということで書かせていただいておりますが、その上で、有期契約労働者の均等・均衡待遇を考慮する際の比較対象となる労働者はどのような労働者を想定する必要があるのか。更にどのような方法で均等待遇、均衡待遇を推進するのかなどについて、2の各論点に係る検討も踏まえながら議論を深めることが必要ではないかとさせていただきました。
 「(2)正社員への転換の推進」でございます。
 アですけれども、正社員、ここでは使用者から直接雇用されて、契約期間の定めがなく、フルタイムで長期雇用を前提とした待遇を受ける者などのいわゆる正規型の労働者をいうということで使わせていただきますが、正社員としての就職を希望しながらそれがかなわない、やむを得ず有期契約労働者として働いている者が一定程度存在しているという認識であります。特に若者などの層においては、そういう事情があるのではないかと考えております。
 その上でパートについては、パート法で通常の労働者への転換、推進の措置を講じなければならないものとされておりまして、また、国としても正社員に転換する際の助成制度を設けております。
 正社員の転換実態につきましては、転換制度を有する事業所は全体の5割弱で、そのうち転換実績のある事業所も5割強ありますけれども、事業所内で有期労働契約から期間の定めのない労働契約に切り替えられたものの数を統計的に推計しますと、過去5年間において、それぞれ各年男女ともおおむね6~7万人で推移しております。
 それから、正社員への転換による人材活用に取り組む企業の事例も御紹介させていただきましたが、そうした企業の事例につきましては、勤務地限定あるいは職種限定の期間の定めのない労働契約などのパターンをつくり、多様な雇用形態を用意している事例も見られております。
 こうした中で、正社員転換に関する法的な対応方向について議論がなされたということでございます。
 「イ 労使の意見」ですが、正社員転換制度が事業場に設けられていても、転換実績が少ないので、より積極的に取り組むべき。
 それから、正社員の概念を多様化することについては、そのような中間的な労働者区分をつくる必要性は理解できず、また正規、非正規、有期、無期の区別を固定化するものとなるために疑問だという御意見。
 一方で使用者側意見は、正規・非正規の二者択一論でなく、勤務地限定などいろいろな契約内容を労使で検討してみることは有意義だという御意見。
 更に有期労働契約の規制の在り方の議論と表裏一体の問題として、正社員を含む期間の定めのない労働契約の雇用保障の在り方、特に整理解雇などの局面における問題も考慮してバランスを考えることが重要という御意見がございました。
 今後の留意点でございますが、期間の定めのない雇用へ転換すること、正社員へ転換することとの異同を考慮しつつ、その対応方策について、2の各論点との関係も踏まえながら議論を深めることが必要であるとさせていただきました。有期からどういうところへ転換をすることを推進するのかということで、期間の定めのない雇用という枠組みで考える場合と正社員という枠組みで考える場合があり、そこを区別しながら議論をする必要があると考えられることから、このように記述させていただいております。
 「4 1回の契約期間の上限等」でございます。
 アの部分は、参考資料3で事務局として書かせていただきました制度の内容等をベースにして、ほぼ書かせていただいている部分が○の1つ目と2つ目でございます。
 3番目が実態で、1年を超える労働契約につきましては、有期契約全体の1割強存在する。
 それから、実態調査で見ると、契約期間の途中で退職申し出があったとする事業主のうち、労働者に損害賠償請求をしたことがあるのは0.7%。一方、労働者側から見ると、事業主から損害賠償請求を求められたことがある方は4%となっているということ。
 そういう実態を踏まえて、労働契約の期間については、その上限を制限することによって、主として人身拘束の弊害から労働者を保護する機能と、逆に契約期間中の雇用を保障する機能との両面があるわけですけれども、この論点に関しては人身拘束の弊害を排除する趣旨で規制されている部分について議論がなされたと整理させていただきました。
 「イ 労使の意見」ですけれども、労側は雇用の原則は期間の定めのない直接雇用を基本とすべきで、原則に対する例外である有期労働契約については、1回の契約期間の上限を現在よりも短くすべき。
 ただし、上限が1年となるのでなければ、人身拘束のおそれがあるので、暫定措置は残すべきだという御意見です。
 ?の使用者側意見は、1回の契約期間、現在、原則3年でございますが、契約期間の上限の引き上げも論点とすべき。
 人身拘束の弊害が現実に生じていないのであれば、暫定措置は不要であり廃止すべき。
 更に、より長期の契約期間を定められるようにすることは、雇用の安定に資するものであって、契約の両当事者にとってメリットではないかという御意見でございます。
 留意点としましては、15年の改正によって選択肢として新たに認められたものも含めて、1回の契約期間が1年を超える契約が1割強存在する現状を踏まえまして、人身拘束の問題が実際に生じているか等、更に議論を深めることが必要であると整理させていただきました。
 最後の4つのパラグラフは、記の中ではなくて、冒頭の柱書きに続く文として書かせていただいております。この中間とりまとめ全体に係るものだと考えていただければと思います。
 1~4までの各論点を議論していくに当たっての留意点を幾つか掲げさせていただいております。
 ルールを設ける場合に、その履行をどのような形で担保するか。例えば民事効とするのか、罰則にするのか、行政指導を中心にするのか等、法整備の基本的な方向性とか履行確保の手段等について留意していく必要がある。それから、手続的なルールとするのか、実体的な規制ルールとするのかについても留意の必要があると考えます。その際、各論点の相互の関係、組み合わせにも更に留意が必要だということでございます。
 それから、法制度面では、短時間労働者についてはパートタイム労働法、派遣労働者については労働者派遣法が既に制定されておりますし、パート法については19年の改正附則で検討の時期が到来している。派遣法につきましては、改正法案が国会で継続審議となっているという状況でございまして、有期のルールを設けていく場合には、これらのパート法、派遣法の適用対象と重複する部分が少なくないということも踏まえまして、ルールの整合性、運用のしやすさなども考慮する必要があるという視点でございます。
 最後にまとめとしまして、当分科会は労働契約が労使双方にとっての価値を実現するものとして適切に運用されて、職業生活の充実及び産業の発展に結び付くよう、有期労働契約についての適切な政策的方向性を具体化すべく、引き続き議論を進めていくこととするという記述を入れさせていただいております。
 以上でございます。
○岩村分科会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただきました中間的な整理の案について、以下、御意見あるいは御質問等をいただきたいと思います。一応議論の整理ということもありますので、今日の案の算用数字の順番で進めていくことにさせていただければと思います。
 1ページ目の前書きと「1 有期労働契約の機能や実態」でございまして、それが4ページの真ん中のちょっと上まで続くということになりますが、この部分につきましては、御質問あるいは御意見等はございますでしょうか。
 輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 具体的な中身に入る前に、確認をさせていただきたい点があります。
○岩村分科会長 わかりました。それでは、そういうことでどうぞ。
○輪島委員 今日示された事務局案というのは、どういう位置づけのものなのでしょうか。前回の分科会の最後と冒頭の御説明では、原案の作成ということになりますが、原案の作成とそれを公表すると書いてある中間整理なるものとの扱い、事務局案なので、今日議論をしたら、事務局案がとれると、そのまま分科会の中間整理に上がってしまうのかどうかということをお伺いしたいと思います。
○岩村分科会長 事務局の方でお願いします。
○田中課長 これにつきましては、前回、議論が一巡をしたということで、この分科会として当初から予定として入っていたことでございますけれども、夏ごろに中間的な整理をするということになっていたわけで、分科会長からそういう時期が来たのではないかという御提案があったということでございます。今回その議論をするということの御提案があり、それは当分科会で御了承いただいたということと理解しております。
 その上で、議論の素材として、これも分科会長から事務局に分科会としてのとりまとめ、中間整理のたたき台となる案を作成すべしとの指示がございましたので、本日その指示に基づき、事務局の責任でこの案を作成し提出させていただいたということでございます。
○岩村分科会長 輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 事務局の責任で、事務局の範囲でつくったと理解すればよろしいですか。
○岩村分科会長 原案そのものについては事務局につくっていただいていますけれども、今日提出するに当たっては、私も目を通させていただいているということで御理解いただければと思います。
○輪島委員 私の勝手なイメージだったのかもしれませんが、今日の資料の参考にあるように、これまで各論点について項目ごとにどういう意見があったのかということが並べられておりましたので、よく読むと、それは労側の意見なのか、使側の意見なのかというのはわかるんですが、それをはっきりさせて、単純に並べるだけのものだと思っていたんですが、非常に大論文でありまして、もう少しシンプルでいいのではないかというのが基本的な感想です。
 もう一つ伺いたいのは、構成であります。1~4と書いてあって、それぞれア~ウということになっていますけれども、1のアの最初の方のできが非常に悪いように思えます。そもそもアというのは、つまり検討の背景とか問題の所在というアの記述のすべての項目ですけれども、本当に要るのかどうかということに非常に疑問を持つわけです。
 もう一つ、イのところは労使の意見となっているんですけれども、私の記憶では雇い止め法理であるとか、民法のところであるとか、その点については公益側の先生も解説なのか、意見なのかは微妙に違うのかもしれませんが、御意見、御発言があったわけなので、イのところは公益の先生の解説ないし発言を入れるということは考えられないのかと思うのですが、その点についていかがでしょうか。
○岩村分科会長 まず事務局の方でお願いします。
○田中課長 この構成につきましては、先ほど御説明をしたとおりでございますけれども、更に申し上げますと、やはり論点というのは非常に多岐にわたっておりますし、また法的にも技術的にも非常に専門性の高い部分も含まれております。ただ、有期労働契約のルールに関しての議論、その結果については、非常に多くの国民の方々に影響を及ぼすものでございまして、議論の経過については、できるだけわかりやすく国民あるいは関係者の方々に明らかにしていくことも1つの要請ではないかと思っております。
 先ほどアの記述のできばえの問題について御指摘いただきました。その部分は事務局として力が足りていない部分もあるかと思いますけれども、できるだけ現状を踏まえて、客観的、中立的に制度あるいは実態を記述するように努めたつもりでございます。しかも、国民にわかりやすく解説する趣旨も含めてつくらせていただいたところでございまして、そういった趣旨も踏まえて御議論、御指摘をいただければと考えております。
 また、公益の先生の意見や御見解についてもいただいたところでございますけれども、この点については、議論の補足的な説明なり解説だと考えておりまして、今回の中間的整理において、公益側の意見ということで記載させていただく状況にはまだ至っていないのではないかと事務局としては考えて、このように整理させていただいたところでございます。
○岩村分科会長 今、事務局から説明があったのと私もほぼ同じ考えでございまして、アの部分についてはいろいろ御意見もございましょうけれども、今回、取り扱っている有期契約に関する問題の背景であるとか、そこに含まれている論点をきちっと最初にお示しした上で、労使がどういう御議論をされたかということの組み立ての方がよろしいと私としても考えたところでございます。
 公益の委員の方々の御意見等については、中間的整理の段階においては、まだ記載するまでのところではないと私自身も考えておりまして、こういう体裁になったと御理解いただければと思います。
 輪島委員に一通り終えていただきます。
○輪島委員 済みません。もう一つだけございます。そういうことになると、全体を読んでみての印象ですけれども、少なくとも使用者側で申し上げた点について入っていない点が幾つかあると思っております。申し上げているはずなのに入っていない点などは、今日申し上げれば追加的に入るものなのかどうなのかということを確認しておきたいと思います。
○岩村分科会長 事務局の方でお願いします。
○田中課長 これはあくまでたたき台ですので、もしこれまでの議論の中で、重要な点で落ちていているということがあれば、是非御指摘いただきたいと思いますし、これまでの議論との関連で重要な点について今日更にということも場合によってはあろうかと思っておりまして、そういった議論も含めて、最終的に当分科会の中間的な整理としておまとめいただければと思っております。
○岩村分科会長 おっしゃっていただいたことすべてを取り上げるという確約はできませんが、検討はさせていただきます。場合によって必要であれば、後でまたとりまとめの御相談だろうと思っております。よろしいでしょうか。
 新谷委員、どうぞ。
○新谷委員 先ほど輪島委員が中間整理についての位置づけなり今後の取扱いについて質問されて、それに対する答弁がありましたので、大分位置づけははっきりしたと思います。
 その際に、中間整理のボリュームについてもっとシンプルにという御意見もあったのですが、私どもとしては、事務局に先ほど御答弁いただきましたように、非正規労働者、特にその中でも有期契約労働者がたくさんおられて、労働条件分科会の論議は非常に注目されていると思います。それぞれでどのような課題があって、今、労使がどんな主張していて、今後秋に向けて何が論点となるのかということについてまとめられた内容ですから、ボリュームとしてはこれくらいで適量ではないかと思っております。
 前回、確か伊丹委員が御発言の中で、国費を使って公労使、三者構成の委員会で議論しているので、一致したものは一致したものとして、きちっとまとめ上げていくという御趣旨の発言をされたと思います。中身についてはこれから論議をするわけでありますが、これぐらいのボリュームであれば、適量ではないかと労働側としては考えております。
 以上です。
○岩村分科会長 ありがとうございました。
 輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 ボリュームの問題ではないんですが、ただ、今、使用者側の方として抜けている論点が幾つかあって、全部取り上げていただけるかどうかわからないということですけれども、そうであれば、要はシンプルな記述でないということであれば、フルスペックというか、もっと書いてほしいと思っております。その意味で今日発言をさせていただきたいと思っています。
○岩村分科会長 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
 池田委員、どうぞ。お願いします。
○池田委員 私どもは輪島さんと同じ意見でありまして、アの背景というのは、いろいろ読みますと、どうも労側の意見寄りに見られるということでありますので、十分に輪島委員などの意見を聞いて検討していただきたい。むしろ要らないのではないかという意見も多いようであります。よろしくお願いいたします。
○岩村分科会長 ちょっとよろしいでしょうか。アについては、私も見せていただいて検討させていただいていますが、特にこれを労側寄りに書いているとか、そういうことでは全くございません。恐らく有期契約という問題の性質上、いろいろ論点を取り上げていくと、こういうことになったということでありまして、あくまでも先ほど田中課長が説明したとおり、事務局として、アの部分については中立的に記述をしたということだと私も思っております。
 新谷委員、どうぞ。
○新谷委員 今の分科会長の御発言のとおりでございます。中立的な記述であるということを申し上げたかったということであります。
 以上です。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 入り口というと変ですが、入り口、出口規制みたいになってしまいますが、入り口のところというか、総論のところはこれでひとまずよろしいでしょうか。勿論また後でということも結構でございます。
 それでは、順を追いながら進めてまいりたいと思います。
 先ほど申し上げましたように、1ページ目「1 有期労働契約の機能や実態」でございまして、4ページの真ん中辺りまでの部分でありますが、ここについては御意見、御質問等はいかがでございましょうか。
 池田委員のお手が挙がりましたので、どうぞ。
○池田委員 第82回の労働条件分科会でありますけれども、有期労働契約の議論に当たりまして、私の前任の渡邊委員が申し上げた内容が中間整理から漏れているということでございます。発言の趣旨の内容を改めて申し上げますので、追記をいただきたいと思っております。
 労働法制を強化して、かえって雇用を減らしてしまったという例が少なからずあります。企業や雇用の実態を十分に踏まえないまま拙速に規制強化を行えば、結果として雇用に悪影響をもたらすということが考えられますので、十分な実態調査を行っていただきまして、慎重な論議をお願いしたいということであります。特に足元の我が国の経済は停滞感が非常に強く、中小企業や地域経済には東日本大震災の深刻な影響も出ておりますので、この点を十分に踏まえていただきたいと思います。
 以上です。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 私の感じでは、今の御意見というのは、3ページの使用者側の御意見の1番目と2番目の○のところに趣旨としては含まれているのではないかとも思うんですが、いかがでございましょうか。今、述べられたことは、おおむね入っているのではないかと思います。
 いずれにしろ、今、そういう御要望がございましたので、検討させていただきたいと思います。
 伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 ありがとうございます。
 アのところで、過去の論議も含めての再確認ということで、蒸し返しで恐縮でございますけれども、なお書き以降の「有期労働契約の契約期間の途中又は契約期間の満了時において、労使の合意により期間の定めのない労働契約となる場合もある」という表現なんですが、これはどういうことなのか。
 私どもの場合ですと、雇用ごとに就業規則があり、雇用の定義というものが当然なされているわけでございまして、同じ雇用の中で無期、期間の定めのないということと有期が併存することは普通はあり得ません。違う規則に適用されることが本来であります。どのような例をもってこういう表現をされているのかに疑問を持ちましたので、質問をさせていただきました。
○岩村分科会長 事務局の方でお願いします。
○田中課長 この部分は、いわゆる有期労働契約とか期間の定めのない労働契約という概念自体が十分におわかりでない方もいらっしゃるということで、有期労働契約については柱書きの方では契約期間の満了時において終了する場合もあるし、あるいは更新ということで反復継続することもあるというふうに、有期労働契約が1回で終わる形態と、更新されて続く形態を記述しております。
 更に有期労働契約がさまざまな事情で無期に変わることもあるということを、こういう形で表現させていただいております。典型的なのは、いわゆるトライアル雇用などで有期として雇用されて、その結果、一定の評価をされて正社員などに採用されるということであります。
 伊藤委員がおっしゃったのは、1つの雇用の中で有期から無期になるということはなくて、そういう場合は雇用を一旦切って、新たに正社員として雇うことが一般である。そうでない、同じ雇用の中で有期から無期に転換する場合があるような記述ではないかという御指摘だと思いますけれども、ちょっとわかりにくければ修正しないといけないと思うんですが、年次有給休暇でありますとか、さまざまな被保険者期間の取扱いでありますとか、そういうことを考えますと、一旦切って更に採用という取扱いも実務上あるかもしれませんけれども、法的観点からは雇用は継続していると見て、その中で初め有期だったものが無期になったという見方をすることもできますので、そういう視点からここは記述させていただいております。伊藤委員のおっしゃっていることと視点が違う、人事労務管理の観点からではなくて、そういった法的な意味から書いていると御理解いただければと思うんですが、ちょっとわかりにくかったかもしれません。
○伊藤委員 わかりづらいです。一般的な労務管理をやっている立場からすると、わかりづらいです。今、おっしゃった正社員になるケースでない限り、余りないような気がします。
○岩村分科会長 今の田中課長の説明のとおりなんですが、非正規から正規という切り替えの問題と、有期契約から無期に変わるという問題とがそこで混在している。法的には非正規、正規というのは取り上げにくいところがあって、法的に見たときには、先ほど田中課長が説明したとおりで、有期契約から無期契約という移行としてとらえることになるので、こういう書き方になるということだと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、たくさんお手が挙がっているので、まず伊丹委員、その後に輪島委員ということでお願いできればと思います。
○伊丹委員 「ア 検討の背景、問題の所在等」の○の2番目「有期契約労働者の数は近年増加傾向にあるが」ということで始まって、あとは中身をやや否定的な問題点の明確化ということで表現しているように思うんですが、記述でいうと、2ページのアの中の下から4つ目の○「一方で、有期労働契約は、厳しい経済情勢下にあっても様々な労働需要を現実の雇用に結びつけ」云々かんぬんとあります。これが実は先にあって、有期労働契約法制が出来たときの期待があり、労使で一定のニーズに基づいて進めてきたけれども、実態としてこういう問題があったと表現しないと、経緯も含めて検討の背景なり問題の所在の認識の仕方がややずれてしまうのではないかという気がしますが、この辺はどうなんでしょうか。
○岩村分科会長 事務局、お願いします。
○田中課長 有期労働契約法制という意味での法制というのは、今はまだなかなかなくて、労働契約法の中に17条というのが1つ入っている状況。それを有期労働契約法制ととらえればそういうことになりますが、まだ労働契約法自体ができて日が浅いということで、世の中に労働契約のルールが浸透していない状況もみられます。
 例えば労働契約法の17条でありますと、無期の労働契約よりも途中の解雇の要件は厳しいということがあったり、あるいは雇止め法理が形成されているということがあったりして、そういったルールがあるわけですけれども、そういったルールの下でリーマン・ショックなどが起こり、そのルールが十分に周知されていなかったという部分も含めて、ルールの問題がクローズアップされたということは1つ言えると思います。
 一方で、有期労働契約が現に存在し、機能しているということも言えるということで、そういう順番でここの部分は記述したつもりでして、伊丹委員のおっしゃるように、有期労働法制があってという状況では必ずしもなかったと思っておりまして、こういう順番になっております。
○岩村分科会長 伊丹委員、どうぞ。
○伊丹委員 間違って法制と言ってしまったので誤解を与えましたが、有期研の報告書で書かれている現状と課題の記述の方が、すんなり頭に入ってくるんです。フルスペック型で書いていただくのであれば、もうちょっと言葉を足していただいた方がいいのではないかという気がします。具体的には有期研の報告書の2ページ、第1の総論的事項の現状と課題というところで書かれた表現型の方がいいのではないかと思いました。御検討いただければと思います。
 要するに有期契約労働者の数が近年増加傾向にある理由を書いた上で、問題点を記述した方がいいのではないかという意味です。
○岩村分科会長 田中課長、お願いします。
○田中課長 有期契約労働者が増加傾向にあるという部分は、有期研においては研究者の見解ということで、ある程度有期研報告書の総論的事項の部分で書かれているような表現がなされているわけですけれども、増えてきている事実についても、今回分科会では肯定的な意見、否定的な意見、さまざまな要因が議論されてきたと思います。そういった意味で、事務局として、先ほど申し上げたように、中立的、客観的に記述する上でやや困難を伴う部分であったということは否めません。そういうことで、今の表現となっているということを御理解いただければと思います。
○岩村分科会長 輪島委員、お願いします。
○輪島委員 1ページ目の1のアの1つ目の○ですけれども、最初の2行は余りにも当たり前だというところと、なお書きのところがすごく難しくてわかりにくいということについては、修正を検討していただきたいと思います。
 2点目は今の点です。つまり2つ目の○の記述ですけれども、そもそも「近年増加傾向にあるが」と書いてありますが、増加傾向にあるとしても、現在、有期契約で働いている人が統計上何人いるのかというのはわからないわけです。推計で1,200万人から1,700万人と言っているわけで、そのことは書いていなくて、すぐに実態調査について書いてある。実態調査についてはサンプル調査ですから、その中から抜いているものをここに書いているのは、中立ではないのではないかと思えるわけです。
 また「一時的・臨時的ではない仕事について」という記述がありますが、現状では有期契約についての理由を附すとか、期間についての制約がないわけですから、そもそも一時的・臨時的でない仕事という記述の仕方は、派遣法のネガティブリスト化されている業務の概念を引っ張ってきて、そういうふうに反復更新で対応している例も見られる。明らかに否定はできないが、ある意図を持って何かを誘引するような書き方が2つ目の○にもあるような気がします。ニュートラルだと御説明をいただいたんですけれども、読んでいてそういうふうに読めないというのが私の感想です。
○岩村分科会長 事務局の方でお願いします。
○田中課長 近年増加傾向のところについては、この分科会で御議論があり、どの程度の人数があるかについては、有期研の報告では一定の推計を出しているということでございますけれども、ここについてもやはり御議論がある部分もありますので、記述をこの程度にとどめているということでございます。
 実態調査については、どの部分を取り上げるかというのは勿論取捨選択の余地がありまして、そこは一定の判断が入らざるを得ない部分もありますけれども、実態の調査ということで、ある程度客観的に、また、あくまでもサンプル調査ですので、傾向値として記述できる事実について記載させていただいたということでございます。
 一時的・臨時的ではない仕事と記述させていただいておりますけれども、その前にありますように、更新回数が11回とか、勤続年数が10年というように、有期で多数回反復更新している事例については、あくまで結果としてでございますけれども、一時的・臨時的でない仕事を反復更新したとみられる例もあるのではないかということで、できるだけ評価が入らないような形でワーディングを選びながら、記述したつもりでございます。
○岩村分科会長 とりあえず輪島委員お願いします。その後、工藤委員、お願いします。
○輪島委員 11回もそうですし、10年超もそうですが、実態として11回は全体の中で何パーセントなのかということについては、記載はされていなくて、事業所も見られるなどということについては、1例でもあれば、「見られる」と書かれるわけですから、ニュートラルな書き方ではないともう一度申し上げておきます。
○岩村分科会長 工藤委員、どうぞ。
○工藤委員 今の部分について、労側の委員はこの辺の点についてもずっと申し上げてきたと思いますが、一時的・臨時的ではない仕事について、有期労働契約の反復更新で対応している例も見られるというところですが、これは紛れもない事実だと認識しております。
 例えば3ページの下から4つ目の○で、使用者側委員も言われているとおり、2行目のところに「特段の支障のない限り更新を繰り返すことを前提としているので、結果として多くの有期契約労働者の雇用は安定的に運用されている」とあります。こういう点もありますので、この記述で支障はないかと考えております。
○岩村分科会長 伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 ありがとうございます。
 後段の方で労組側の方は、有期労働契約は例外と位置付け有期の仕事はどういう仕事が合理的なのか理解をし合うべきという表現もございますが、11回、10年というと非常に安定的ですということをアで肯定して表現をされているのか、どういうことを伝えようとしているのかということにもなるので、非常に安定的に雇用が反復更新なされているということであれば、何ら問題はないのではないかと思います。何か付け加えていただければ本当はありがたいと思います。
○岩村分科会長 田中課長、どうぞ。
○田中課長 おっしゃるとおり、10年、11回というものをどう理解するかというのは、肯定的評価、否定的評価がこの分科会でもかなり議論をされてきたと思います。事実としてはそういうことを書かせていただいて、それをどのように雇用の安定とか労働政策の観点から評価すべきかは、今回の中間整理においては、使側、労側のそれぞれの意見の中で評価が述べられていると思いますし、それ以上の整理は今の段階では難しいという感じは事務局としては受けております。
○岩村分科会長 新谷委員、どうぞ。
○新谷委員 幾つかあるんですけれども、伊藤委員は先ほど11回とか10年を労働側委員が云々とおっしゃったんですが、これは労側委員が言っているわけではなくて、これは調査の結果ですね。
○伊藤委員 私は労組側は有期は不安定、有期であれば一時的・臨時的な仕事ということですので申し上げました。
○新谷委員 そうですか。10年、11回というのは、実質無期みたいなものではないかと思います。これは評価になりますので、別途の議論となりますが、この部分の調査の内容を抜いてきただけですので、私どもは全然違和感はないと思っております。
 ただ、先ほど輪島委員がここの論述に対して、一番肝心かなめの有期の人数が書いてなくて、意図的ではないかという指摘がありました。確かに人数は書いていないという気がいたします。有期労働契約の議論が始まったときにあれだけ論議をして、一体何人いるのかということを論議した覚えがありますので、人数がどれぐらいかというのは、論述があってもいいのではないかと思います。
 抽出調査で、事業所を見られるという書きぶりについての御指摘もあったんですけれども、これは同様な書きぶりが正社員の転換のところであります。要するに1つの事例でもあればそれで件数が上がってくるということに対して、何割あるというカウントの仕方について、労側として、その数え方についてはいかがなものかという発言をさせていただいたことがあるんですけれども、それにもつながることなので、ここの書きぶりに違和感があるようなところは私どもはありませんので、このとおりでいいのではないかと考えております。
 以上です。
○岩村分科会長 今の数字の問題ですが、そのときの議論で、労側の人数の考え方、使側の人数の考え方は、それぞれかなり開きがあったところでございます。アの部分は先ほど申し上げたとおり、なるべく客観的、中立的に書くということを旨としていますので、そういう意味で労使双方で開きのあった数字をここで書くというのは、適切ではない。書くとすれば、労側の御意見としては何人ある、使側の御意見としては何人あるというような書き方をせざるを得ないのではないかと思います。ただ、そう書くことがどれだけの意味があるのかは疑問に思うので、ここはこのままでいいのではないかと思っております。
 いずれにしても、先ほど申し上げたように、ここは決して特定の方向に誘導しようとか、そういう意図で書いたものではございませんので、いろいろ御指摘はございますけれども、一部今日の御意見も踏まえて精査する可能性はあるかとは思いますが、基本的にはここのところはこれでよいのではないかと考えております。
 後でまた戻っていただいてもいいんですが、ほかもあるので、進みたいと思います。
 輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 その御対応であれば、それはいかがなものかということで了承はできません。率直に言って、新谷さんが違和感がなく読めるのであれば、使用者側は違和感があって読むのは当然なわけで、それをそのままにすることについては、了承することはできません。
 実はアの1つ目の○とか、2つ目の○は、あまり1の中ではこだわるべき問題ではないと私どもは思っています。もっと1の中でも論点がたくさんあるので、あまりこれについてやるのは、分科会長がおっしゃるように、早目に次にいきたいと思うのですけれども、そういうわけにはいかないという状況です。
○岩村分科会長 わかりました。いずれにしろ、ここは何回も申し上げますけれども、書く趣旨としてはあくまでも中立的に書いているということでございまして、そこのところはもう一度強調しておきたいと思います。
 今、申し上げたように、まだ先があるので、いかがでしょうか。
 池田委員、どうぞ。
○池田委員 今のお話の中で私も思うんですけれども、書き方の問題です。下の企業が活用する理由の実態調査というところで、人件費を安く抑えられるが一番最初にきているんです。これは業務量の中期的な変動というのが人件費も含まれているので業績に含まれて、やはり企業側からいくと、こちらが一番に来ないと、間接的な理由で人件費が低くというのはあれです。労働者側からすれば、正社員としての働き口がなかったというのは次の順番でいいのかもしれませんが、企業側からすると、業務量の中期的な変動に対応するためというのが一番に来ないと、ぱっと見たときに、人件費を低く抑えるためにしているのかという観点から見ると、そういうものから見ても、そういうところが多少見られるのではないかと思います。
○岩村分科会長 これは多分人件費を抑える率が一番高かったからではないんですか。
○田中課長 順番的にはほぼ同じで、業務量の中期的な変動に対応するが38.9%、人件費を安く抑えるためというのが37.7%ということになっておりまして、若干ですが、人件費の方が低くなっております。申し訳ありません。
○岩村分科会長 そこは、今、御指摘がありましたので、直しましょう。ありがとうございます。
 1のほかのところはいかがでございましょうか。中島委員、どうぞ。
○中島委員 ありがとうございます。
 2ページの1つ目○のところで、少し指摘をさせていただければと思っています。2つ目の○「一方で」以降の文章の後半の部分なんですが「労働者の就業やキャリア形成の機会を確保する役割を果たしてきている」とあります。確かに有期契約労働者の方が仕事を通じて能力を向上させて、その結果、正社員などに転換していくという面が存在するとは思うんですけれども、これまでの分科会でも繰り返し指摘をしてまいりましたが、有期契約労働者に対する能力開発という部分につきましては、厚労省の能力開発基本調査の結果を見ても、やはり実施状況というのは低調だと思っています。
 数字を挙げるならば、平成22年度の能力開発基本調査結果の中でも、過去3年間に正社員以外に対するOffJTの費用をかけているかという設問への回答としては、「その実績がない」という企業の割合が54.9%ということで、低迷をしている数字もあります。
 ここにつきましては、今の「キャリア形成の機会を確保する役割を果たしてきている」という表現は、少し過大な評価ではないかという受け止めをしております。よって、「労働者の就業やキャリア形成の機会を確保する面もある」とか「確保する例もある」などの表現が適切ではないかと思いますので、修文を御検討いただきたいと思います。
○岩村分科会長 事務局、お願いします。
○田中課長 有期労働契約については、現在、約3割ぐらいの非正規の中でもかなりの部分を占めるだろうと思われます。先ほどのニーズの問題にもなるんですけれども、そういった部分で厳しい経済情勢の中にあっては、非常に貴重な雇用の機会を確保している面が確実にあると考えております。そういった意味で、就業の機会を確保する役割は確かにあるのではないかと思います。
 御指摘のキャリア形成の機会ということになりますと、勿論企業は長期的に雇う方と、短期的にしか雇わない方については、人材投資を選別することが合理的な行動だと言えると思いますし、その結果が先ほどの厚生労働省の調査にも表れていると思っております。ただ、少なくともこうした厳しい情勢の中で、雇用をつなげていくという意味では、安定雇用と安定雇用の間を有期でつなぐという形態は有意義なものと考えるべきですし、そういったつなぎ方をするという局面では、キャリアの断絶を防ぐ意味で、仕事の継続の面で有期雇用の存在意義は大きいと考え、キャリア形成の機会の確保という言葉をつけ加えさせていただいております。
 なお、間を埋めるだけではなくて、失業状態を早期に解消して、キャリア形成を継続させるという意味での受け皿の機能も重要だと考えております。
 上の○でステップアップが見込まれないとした部分とどう関係するのか、矛盾するのではないかという指摘もあると思います。確かに一旦有期として就職したけれども、それが長く継続し過ぎてしまいますと、先ほどの人材投資の差とか、そういったものが出てきまして、キャリア形成の上限が頭打ちになるという傾向はJILPTの調査でも出ております。
 あと、もう一つ、上のステップアップが見込まれないという不満は、実態調査で見ると結構高いのですが、一方で能力開発への期待というのは低い。そういうことを考えますと、ステップアップの中には能力などのステップアップという意味に加えて、おそらくそれに対応した賃金のアップも含まれていて、それがないということがステップアップの不満につながっていると分析をしております。これもJILPTなどの調査では、有期労働契約で就業している状態が比較的長く続くような場合は、キャリア形成の効果は比較的ある。場合によっては正社員と同じぐらいの内容になっているということなんですけれども、実はそれに対応する賃金の上昇がなかなか見られないという指摘もありまして、そういった意味で、有期については、キャリア形成の機会を確保することが十分になされている部分もあるのですが、ステップアップとの違いとして、賃金の問題があると考えまして、こういうワーディングを使わせていただいております。
○岩村分科会長 新谷委員、どうぞ。
○新谷委員 今の答弁でよくわからないところは、無業状態、失業状態からのつなぎということで有期の話が出てきたのですけれども、今、ここで論議をしているのは、期間の定めのない雇用と有期との比較において話をしているわけです。無業状態ではキャリア形成という意味ではゼロ、そこから有期になればキャリア形成の役割があるんだという論議は、理解できないところであります。
 先ほど中島委員が申し上げたように、能開局の能力開発基本調査によると、やはり正規雇用と非正規の方々のキャリア形成に対する使用者からの教育投資は、非常に格差があるということは歴然と出ているわけであります。そこのところを置いておいて、無業から比べるということで、キャリア形成の役割を果たしているんだというのは、ちょっと理解できないので、先ほど私どもが申し上げたような修文は是非お願いしたいと思っております。
○岩村分科会長 無業から比べるのかという議論はちょっとどうかとは思います。特に有期契約の場合については、例えば昨今も新給付その他を入れてやっていくときに、やはり企業の側として直ちに正規雇用というよりは、期間の定めのない契約で採用することが非常に難しいケースがある。そうだとすると、有期契約でまず雇ってという形で始める。そういう形で始めることによって、特に若年者の場合は、例えば仕事についての姿勢をその期間に身につけるであるとか、そういった意味をそこに見出すことができ、そこから更に今度は無期雇用あるいは正規雇用というところに結び付ていくという構造を見ることができるわけで、そこのところの意義を余り過小評価したくないと思っております。そういったこともあって、ここは確保する役割ということで書かせていただきたいと思っております。
 新谷委員、どうぞ。
○新谷委員 私もそこは余り異論がないので、先ほど申し上げたように「キャリア形成の機会を確保する役割」まではいいんです。「果たしてきている」というところは「役割もある」とか「そういった例もある」などにする。つなぎ雇用もすべてが正規に転換できるわけではありませんので「そういった面もある」とか「例もある」といった締めの言葉で修文をされたらどうかということの提案であります。
○岩村分科会長 それを言うと、先ほどの1段目の議論と同じことの繰り返しになってしまうんですが、果たしているということ自体は事実ではないかと思っております。
 ほかにいかがでございましょうか。輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 今のことですけれども、3ページ目の一番下に、ジョブ・カード制度についての記述があります。使用者側としては、これに足していただきたいと思いますけれども、トライアル雇用というのがあると思います。3か月の期間の定めのある契約を結んで、それをした後に常用雇用になるという制度で、今も余り変わっていないとは思いますけれども、8割ぐらいが常用雇用へ移行しているのではないか。何年かやっていて、何万人というような実績があるのではないかと思います。企業側から見ると、やはり3か月見てみると、この人と一緒に仕事をやっていっていいかどうかという判断がつく。一生懸命やっているということであれば、常用雇用へ移行しているがゆえに8割がそういう結果を得ているわけです。
 もう一つは、期間満了で終わると、解雇ではなくて、契約の満了になるということも、ソフトとして企業側はメリットを感じているわけですから、そういう意義があるとすれば、2ページ目についても、そのような趣旨から役割を果たしてきているのではないかと思っているところです。
○岩村分科会長 今の御意見については、検討させていただきたいと思います。
 そのほかに1については、いかがでございましょうか。田中委員、どうぞ。
○田中委員 ありがとうございます。2点ございます。
 使用者側の意見をきちんとまとめていただいておりまして、ありがとうございます。ただ、まず1点目ですが、3ページの?の使用者側の3つ目の○の文言について意見を申し上げます。ここの最後の部分で、「有期労働契約を例外とするのではなく、どのように活かしていくか」という言葉を使われていますが、使用者側委員からは、今ある有期労働契約に問題や今後更に改善するべき点があるのであれば、それを是非前向きに議論していきましょうということを再三申し上げていると認識しております。
 個人的に余り「活かす」という言葉が好きではないというのはあるんですが、ここで言いたいのは、つまり、例外とするのではなくて、より良質な雇用の場、雇用形態として有期労働契約というものを今後どう位置づけていくかを考えるべきである。ということだと思います。「良質な雇用の場」という言葉を、特に伊丹委員が今まで何度か使われていたと認識しているんですが、この言葉に示される姿勢を是非入れていただきたいと考えます。    
2点目は、4ページ目です。労側の御意見、使用者側の意見をまとめた上で、「ウ 今後の検討における留意点」という形で、次への議論の方向性を示唆されているのだと思いますが、ここで二度ほど「不合理・不適正」という言葉が使われております。ここのまとめでは、不合理・不適正があって、それについて認識の共通が可能と考えられると書かれています。しかし、不合理・不適正とは何かというところがまだクリアーにはなっていなくて、特に不適正というのは違法とか違反というもので割とわかりやすいんですが、不合理とは何かというところは、労側、使用者側でかなり意見がずれているところではないかと認識しております。
 3ページ目の使用者側の意見の中でも、上から2番目の○の中で、不合理・不適正な運用が実際にどのような部分にどのような形で存在するのかを明らかにして、その対策を議論すべきと発言させていただいております。
 したがって、このまとめのところで、不合理・不適正が認識の共有化のポイントとして書かれますと誤解を生むのではないかと正直考えております。
 対案としては最初の2行目、「役割に関する基本的な理解が労使で異なっている」というのは事実ですし、次の「今般の議論において、労使で有効かつ適切な対応の選択肢を具体的に明らかにしつつ」というのも事実であると思うので、間の3行、不合理・不適正という言葉を削除いただいた方が、もう一回課題整理も含めて、今後議論しやすいのではないかと考えております。
 以上2点を申し上げさせていただきました。
○岩村分科会長 事務局の方でお願いします。
○田中課長 使用者側の意見の部分については、少し調整をさせていただきたいと思っております。
 留意点のところについては、おっしゃるとおり、不合理・不適正な具体的な部分についての認識まではまだ一致していない、その議論はまだ済んでいないと、先ほど申し上げたとおり認識しておりますので、そういう前提の下で御議論いただければと思っております。
○岩村分科会長 工藤委員、どうぞ。
○工藤委員 ありがとうございます。
 不合理・不適正の部分なんですが、この分科会においてもずっと労側の委員はいろんな場面で申し上げてきたところでありまして、やはり業務が恒常的にある中において、労働期間の定めをなぜ設けなければならないのかという疑問があります。更には先ほども人件費の話がありましたが、低く抑えることを目的としているような場合においては、不合理・不適正な利用と言わざるを得ないのではないかと思っております。具体的な御議論が今後行われるという話なので、それはそこで今後も行っていきたいと思いますが、労側としてはこの表現で問題ないのではないかと考えております。
○岩村分科会長 留意点のところについては、労使の御意見に隔たりがあるものですから、ここをどうするかということについては、引き取って検討させていただければと思います。
 輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 先ほどの3ページのどのように生かしていくかということについて修正をしていただけるということでしたが、私の方で発言をしたのは、平成18年12月27日の労働条件分科会の答申の中に、有期契約労働者については云々かんぬんで、就業構造全体に及ぼす影響も考慮し、有期労働契約が良好な雇用形態として活用されるようにするという視点も踏まえつつとポジティブな見方についても、こういうふうに発言しているはずなんですけれども、それが正確に書かれていないということなので、この表現を使って修正をしていただきたいと思っております。
 2点目ですが、これは大問題です。4ページのウのところですが、明らかに労側と使側の認識の違いがあるわけです。そこは1のところにさんざん書いてあるわけで、結局不合理・不適正なものが何なのかということをクリアーにしましょうという話と、労側は無期原則です。それに違いがあるということで「労使で異なっているが」ということはさらっと書いてあるんですけれども、その後の「共有が可能」というのは、とても可能とは思えない状況の中で、こういうふうに書くというのは、明らかに恣意的なリードに感じるということでありますので、全く理解できないと思っています。
○岩村分科会長 今の御意見も踏まえながら、先ほど田中委員の御意見もありましたし、工藤委員の御意見もありましたので、それを基にそこは考えさせていただきたいと思います。
 新谷委員、どうぞ。
○新谷委員 今の輪島委員の御発言の中で、平成18年の分科会の答申の引用があったんですけれども、先ほどの田中委員の御発言と微妙に内容が違うのではないかと思いました。先ほど田中委員は「良質な雇用の場」とおっしゃったと思います。今の輪島委員の御発言ですと「良好な雇用形態」とおっしゃいました。私は先ほど田中委員の御発言を聞いて、使用者側委員もいいことを言うと感じておりまして、それを記述されるのであれば非常にいいと思ったんですけれども、一体どちらのことをおっしゃっているのかはっきりさせていただきたいと思います。
○岩村分科会長 輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 新谷委員が田中委員を支持していただけるのであれば、田中委員の表現にしていただければと思います。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 それでは、時間の関係もありますので、1はとりあえずここまでにしたいと思います。
○輪島委員 済みません。
○岩村分科会長 どうぞ。
○輪島委員 3ページ目の使用者委員のところにつけ加えていただきたいと思っている点があります。今日の『日経新聞』の一面で、内需企業も海外シフトということが出ています。その点で私どもの今の経済認識という点でありますが、経営上、今、かなりの阻害要因というものが顕在化してきているのではないかと認識をしております。
 1つ目が円高、高い法人税の実効税率、行き過ぎた温暖化対策、経済連携協定の遅れ、震災後の問題ですけれども、更に関西まで及ぶという状況の中で、電力供給の関係、更に有期も含めて労働規制をするということについていうと、やはり企業の存続、雇用の維持、創出を考えた場合、今、このような労働規制について一律的な規制をするべきではないと思っています。そういうことをすると、内需型企業でさえ海外シフトということが起こり得るのではないか。そうなると、明らかに雇用の空洞化が起きて、20年、30年後の記述がありますけれども、将来に禍根を残すのではないか。不合理・不適正なことについては議論をすることは全く別の問題だと思っておりますので、その点を強調しておきたいと思っています。
 以上です。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 どうしましょうか。輪島委員からそういう発言があると、新谷委員も一言ということでしょうから、どうぞ。お願いします。
○新谷委員 ありがとうございます。
 今、輪島委員から『日経新聞』の記事に絡めて御発言がありました。『日経新聞』をどう読むかというのは、いろいろと読み方もあると思いますけれども、労働法制の規制論議をすると、必ず使用者側の委員は空洞化の問題を持ち出されると思います。空洞化とか生産拠点の海外移転というのは、いみじくも輪島委員がおっしゃったように、企業はいろんな複合要因の中で合理的な判断をされると思っています。その中で労働規制の問題がどの程度影響を与えるのかというのは、実証的な検証も何らされていないわけでありますから、ムードなり雰囲気で、労働規制をやると空洞化をするんだという論議はこの場に安易に持ち出すべきではないと私どもは思っております。
 以上です。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 申し訳ありません。時間が大分限られていますが、4ページから始まる2のところはいかがでございましょうか。これが9ページの下段のところまで続きます。
 伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 ありがとうございます。
 2の2つ目の○にフランスの例が載っておりますが、例として出されたので、載せられていると思いますが、今も空洞化の話がありましたが、我々も外へ出ればその国の法律に従って、現地の方を雇用しております。日本人の雇用は増えません。ですから、日本として内需と雇用を拡大するものをどうつくっていくかということが大事です。
 卑近な例ですが、私が毎日乗り降りする駅に、メーカーの送迎バスが行き来し、従業員の方を乗せていくわけですが、大手もあれば中小もあれば下請もあります。中小メーカーでは大体6割ぐらいは、外国人が占めています。日本人の雇用をどうしていくかということを本当に考えなくてはいけないということです。
 たまたま外国の例を載せられており、そういうことを感じましたので、コメントさせていただきました。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 ほかにいかがですか。池田委員、どうぞ。
○池田委員 今、フランスの問題が出たので、同時にフランスの締結事由を制限しているという例が記載されております。83回の分科会でNo.2でフランスの規制例と併せて、規制がないアメリカやイギリス、韓国の例、資料が示されたようでありますので、規制のない国の例も併記をお願いしたいということであります。
○岩村分科会長 ちょっと検討させていただきたいと思います。
 ほかはいかがでしょうか。宮本委員、どうぞ。
○宮本委員 ありがとうございます。
 7ページの「ウ 今後の検討における留意点」のところで、事務局の田中課長から、一番最後の行の「上限手前での雇止めの増加が予想されることなどへの留意が必要である」の「など」のところで、ここには記載をされていませんけれども、クーリング期間のことについて口頭で発言があったわけであります。これまでこの分科会の中でも事務局からクーリング期間に関する資料は出ていない、特段示されていないと思っております。ただ、86回の分科会では、輪島委員から有期研の議論の論点から、クーリング期間が漏れているのではないかという趣旨の発言があったと記憶していますし、一方で、労側の安永委員からは、クーリング期間は設けるべきではないんだという発言があったと認識をしております。
 クーリング期間の議論というのは、例えば更新回数規制だとか、あるいは利用可能期間の上限を定める規制を設けようとした場合であれば、その要否というのは議論すべきものなんだろうと思うわけでありますけれども、今後の検討における留意点にクーリング期間を入れるのはいかがかと思います。ここに書いていないので、あえて発言するべきではなかったのかもしれませんけれども、仮に今後クーリング期間を検討における留意点の中に記述されるということであれば、少し異論があるところであります。 
今後の検討における留意点としては、このまま「など」という表現はいいんですけれども、ここでクーリング期間という明記をすることは適当ではないと思っているわけであります。今後の検討における留意点にクーリング期間というものを入れるべきではないと重ねて申し上げたいと思います。
 以上です。
○岩村分科会長 輪島委員からお手が挙がっているんですが、ちょっと御説明しますと、今、宮本委員もおっしゃいましたように、今後の議論がどうなるかによって、場合によってはクーリング期間の議論もあり得るでしょう。そういう意味では、先ほど田中課長が説明されたように、クーリング期間の議論は別に閉ざしてはいない。しかし、当然に留意点になるわけでもないということから「など」という言葉の中で表現させていただいていると御理解いただければということで、考えているところでございます。
 輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 どういう議論があったのかということを国民の皆さんにわかりやすく公表する、最初にそういうスタンスがあるということでした。
 宮本委員が御指摘になったように、審議会で使用者側が必要だ、労働側の委員からそうではないと発言があったという事実さえも、このままではこの文章の中からは見てとれないわけです。少なくとも、前段のイのところに使用者委員が必要だと言った、労働側の委員からそうではないという意見があったということもここに書かれないというのは、不思議で仕方ありません。配慮があるというのであれば、それをウのところに書けばいい話なので、現在の表現には違和感を感じます。この事務局案が非常に違和感を感じるというのは、そういう点だと申し上げておきたいと思います。
○岩村分科会長 新谷委員、どうぞ。
○新谷委員 先ほど分科会長が引き取ってまとめていただいたことでいいと思ったのですが、今、輪島委員が御発言されたので申し上げます。入り口の規制の在り方とか、回数制限とか、出口規制などの論点を議論してきて、先ほど分科会長にまとめていただいたように、仮に回数制限なり上限規制を入れるとすれば、クーリング期間がありますという整理だと思います。今、輪島委員はクーリング期間を入れろという御趣旨の発言をされたと思います。ということは、使用者側としては、回数制限なり利用可能期間の在り方について前向きに入れるべきだというお考えの下で、御発言されたのかどうかということを確認させていただきたいと思います。
○岩村分科会長 輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 そういう誘導尋問にのるつもりはありません。今、申し上げたのは、審議会で議論があったという事実が「イ 労使の意見」というところに書かれないのはおかしいということを申し上げているのです。
○岩村分科会長 労使それぞれ、宮本委員の御発言もあり、また輪島委員の御発言もありましたので、そこはこちらで引き取らせていただいて、どう修文するかということは考えさせていただきたいと思います。
 輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 どんどん言っていいんですか。時間も気になります。
○岩村分科会長 皆様方の御都合なんですが、もしよろしければ、15分ぐらいの延長が差し支えなければ、今日まとめてしまいたいとは思っております。
○輪島委員 とても15分では収拾がつかない状況なので、また新しい論点を申し上げると、労側からいろいろな論点が出るということですが、よろしゅうございますか。
○岩村分科会長 どうぞ。
○輪島委員 もう一つ、今の項ですが、雇い止め法理の関係で、これも発言をさせていただいているはずなのに、全く抜けているという点ですけれども、雇い止め法理がいわゆる出口規制として立派に機能しているのではないかという点について指摘をして、その答えとして、公益の先生からは出口規制かということについては、それをそう言うかどうかはわからないけれども、一種の出口規制だという御発言があった。そのことで解雇権濫用法理については、転化説と類推適用説などの解説があったはずですが、その件についても全く落ちてしまっているということについて異議を申し上げておきたいと思います。
○岩村分科会長 事務局の田中課長、お願いします。
○田中課長 出口規制として的確に機能しているという部分については、出口規制という言葉のワーディングについては多義的なもので省略をさせていただいておりますけれども、7ページの一番上の○の中で、その趣旨を表現しているつもりでございます。その部分でまだ言い足りない部分がありましたら、御指摘いただきたいと思います。
○岩村分科会長 全体としては、多分出口規制という言葉を使っていないんです。
○田中課長 ここのパートが言わば出口、終了の部分のパートですので、その中の御意見として、7ページの一番上の○の中で、判例ルールとして雇止め法理が確立しているということと併せて、それが的確に機能しているという文言を入れさせていただいています。そこが、今、輪島委員のおっしゃった発言の部分をこのレポートに取り入れた部分でございます。
○輪島委員 はっきりわかるように書き直していただきたいと思っています。
○岩村分科会長 出口規制という言葉を使ってということですか。
○輪島委員 出口規制という言葉が出てこないというのは、認識不足で申し訳ありませんが、とりあえず落ち着いて修正について案を提出したいと思います。
○岩村分科会長 わかりました。そのような形で、ここの部分は考えることにさせていただきたいと思います。
○輪島委員 そこについて、公益の先生がそういう解説をしたということもここからは読み取れません。最初に戻るんですけれども、それはいかがですか。
○岩村分科会長 それは冒頭で申し上げたように、現段階で公益の一定の見解が示されたとは私は理解していないので、そういうものとして御理解いただければと思います。
 そのほかにいかがでございましょうか。三浦委員、どうぞ。
○三浦委員 ありがとうございます。
 6ページの「イ 労使の意見」の上のところで、イギリス、ドイツ、韓国、スウェーデンで利用期間を導入しているということで、期間の定めのない労働契約を締結したものとみなすこととしたということで、そういった制限していることの紹介がされていますが、制限した結果、どういったことがそれぞれの国で起こったかということも多分紹介されたんだろうと思います。その辺のことについても、記述しておいた方がいいのではないかと思います。
○岩村分科会長 私も記憶が今ないので、どうでしょうか。
○田中課長 明確な形で制度の評価をこちらから御説明したことはないと思いますが、議論の中ではややあったように思いますので、できれば評価について御議論のあった点については、各側の意見の中で少し盛り込んでもらうとか、そういうことが適当だと思っておりますが、よろしくお願いします。
○岩村分科会長 そこは検討させてください。
 2の部分はいかがでしょうか。?松委員、どうぞ。
○?松委員 ありがとうございます。
 9ページの(4)経済的支援の関係なんですが、今後の検討における留意点ということで、事務局の方でおまとめをいただいているんですが、これまで労働側意見にも記載されていますとおり、労働側としては、労使負担の不均衡の是正という観点から、契約終了時に使用者側に対して手当を支払わせる。こういったことの検討を申し上げてきたところでございますし、加えてその点については、出口規制の在り方とは関係なく、むしろ関係させない方が適切ではないかという立場で御意見を申し上げてきたと思っています。したがって、これまでの論議経過からしますと、この留意点の書き方等々の検討を踏まえた上で、更に検討を深めることについては、少しニュアンスが違うのではないかという思いがしますので、慎重な対応をお願いしたいと思っています。
 以上です。
○岩村分科会長 御趣旨がよく把握できなかったんですが、慎重な記述というのはどういうことでしょうか。
○新谷委員 後ほど申し上げます。
○岩村分科会長 わかりました。それでは、後ほどということですが、よろしいですか。
○新谷委員 別件です。
○岩村分科会長 2のところですか。
○新谷委員 はい。
○岩村分科会長 新谷委員、お願いいたします。
○新谷委員 先ほど事務局がペーパーの説明をされるときに、客観的、中立的におっしゃっていただいたかどうかというのが気になっています。
 6ページの雇い止め法理の労働側の意見の御説明の際に、上から4つ目の○のところで、実は最高裁判例を2つ引用させていただいて、東芝柳町事件の判例と日立メディコの事件を引用させていただいております。労働側としては、この審議会でも申し上げたように、東芝柳町の判決を基礎に置いて、日立メディコについても参照すべき判例として入れてあるということで、主は東芝柳町の判決、補充的に日立メディコの判決と考えおります。そういった意味で、ここの書きぶりも基礎に考えるべきと書いてあります。日立メディコ判決の合理的期待については、あえて法制化するべきと書かなかったのは、ここだけ抜いたときに、日立メディコ判決だけを法制化すると受けとられかねないので、類推適用という言葉にしました。
 先ほどの田中課長の説明の際には、解雇権濫用法理を法制化するべきであるとだけ御発言されたので、そのところについては、議事録を修正していただきたいと思っております。
 以上です。
○岩村分科会長 よく記憶がありませんが、田中課長、お願いします。
○田中課長 私の理解なんですが、柳町事件と日立メディコ事件を踏まえて法制化をするんだけれども、主に東芝柳町事件判決を基礎に法制化をすべきという御意見のように受け止めておりまして、日立メディコ事件判決も法制化という範疇の中に入っていると理解して、これを説明させていただいておりますが、理解が違っていれば修正いただきたいと思います。
○岩村分科会長 よろしいでしょうか。新谷委員、どうぞ。
○新谷委員 いずれも我々は法制化の方向で考えているんですけれども、ここの記述ぶりについては、柳町を基礎に置いて、メディコを補充的にと考えております。
 先ほど口頭で説明されるときに、メディコの方を法制化するべきと発言をされたので、そこの議事録の部分を修正してほしいということです。
○岩村分科会長 田中課長、どうぞ。
○田中課長 もしそういう発言であれば、間違っていますので、修正いたします。
○岩村分科会長 よろしいでしょうか。
 輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 今の点は労働側の委員の記述の部分なので、変えろという話ではないんですが、そういう趣旨なんですか。一般的な理解とはひねったお考えなのかという気がしないでもないんですけれども、そういうふうに理解するということなのでしょうかという質問です。
○岩村分科会長 この問題にしても、余りここで論争をしてもあれですね。
○輪島委員 中身について触れないということですか。
○岩村分科会長 はい。
○輪島委員 済みません。議事録から抹消していただきたいと思います。
○岩村分科会長 もし追加的に新谷委員なりから御説明があれば承りたいと思います。
○新谷委員 東芝柳町の事件は、私も学生時代にちょっとかじったときに、これは非常に画期的な判例が出たということで、世の中に受け止められました。ただ、どうしても更新の手続の杜撰さだけが世の中にクローズアップされて、特に昭和61年に日立メディコの判決が出たときに、東芝柳町のような反復更新の手続が杜撰な事例との対比で日立メディコが理解されて、合理的期待という説明をされているのが一般的だと思います。
 輪島委員が、何か違和感を覚えるとか、一般的な理解と違うのではないかと言われているところは、そこだと思うんですが、6ページのところで、東芝柳町の判旨の中から引用しております。柳町の判決は単に手続の杜撰さだけをクローズアップしたものではないと我々は理解しております。
 日立メディコの判決だけでは、証明責任の分配の点で労働者側に不利ではないかと考えているところもあります。また、日立メディコの判決だけでは、合理的期待を回避するために、手続だけを形式的にきちっとやっていれば、何回でも反復更新できるのではないかとか、あるいは不更新条項のようなものがあった場合に、合理的な期待というのは否定されるのではないか、などいろんな懸念もあって、ここは東芝柳町の判決をベースに置いて、日立メディコの判決ついては補充的に組み立てていくべきではないかというのが我々の考え方です。
○岩村分科会長 ありがとうございました。
 余りこの問題で論争する必要はないかと思うんですが、輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 第2ラウンドを楽しみにいたします。
 もう一つ、労働側の意見ということで、余り干渉しようとは思わないんですけれども、労働側の委員からは期間の定めのないものにするという御発言があったかと思いますが、それもどこにも記述がありません。その点はどうなんですか。
○岩村分科会長 この後です。「証明責任は使用者側が負うものとすべき」というところの一文の後に「期間の定めのない労働契約に転化する」という一文が入っているので、それではないかと思います。
○輪島委員 そうではなくて、今の入り口規制、出口規制の議論のところで、単純に無期にすることが大事だ、そこが優先されるべきだという御発言があったかと思いますけれども、それはどこで読み取るんですか。書いていないと思います。書いてありますか。広く一般の国民にわかるようにお願いします。
○岩村分科会長 無期が原則だということを書いてあるので、そこに入っているということだと思います。
○輪島委員 そんな大きなところに全部含まれるんですか。
○岩村分科会長 そこは労側の御意見だと思います。
 時間がございませんので、3、9ページから12ページの頭までですが、いかがでございましょうか。
 伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 今の輪島委員の話に関連しますが、労側の見解は、無期、直接雇用が原則で、有期は例外的であって、例外的な有期契約に関して入口、出口ということになっているわけですが、使用者側は有期契約は必要かつ有効である、無期は必要ないんだという立場ですが、だんだんと各論に進んでいくと、わからなくなってくる部分があります。私も途中から入りましたので、各論においても、大原則の労使の違いを記述し、読み手が解かるようにまとめていただければ、ありがたいと思います。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 多分労側の御意見は、一番最初の出発点があって、その後、更に何層かのレベルで構築されているものですから、そこのところがおっしゃるような形で出てきているとは思いますが、うまく整理できるかどうか考えてみたいとは思います。
 ほかはいかがでございましょうか。中島委員、どうぞ。
○中島委員 ありがとうございます。
 11ページなんですけれども「イ 労使の意見」の労側の委員の発言ということで、正社員転換制度の話で、私が第88回の分科会の中で発言させていただいたものを取り上げていただいています。ここに追記をいただきたいのですが、そもそも労側が課題と思っているところは、有期を希望していないにもかかわらず、そのまま固定化されて、そこから抜け出せないという課題があるので、やはりこういうところは積極的に正社員登用制度を積極的に活用してほしいということを申し上げたと思います。そのため、有期契約労働者として固定化されることを防ぐためにもというような問題意識も入れていただけたらと思いますので、御検討をお願いしたいと思います。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 ほかはいかがでございましょうか。お手が挙がったのは、田中委員、池田委員ですので、レディーファーストで田中委員からお願いします。
○田中委員 ありがとうございます。
 今の11ページのアのところで、検討の背景、問題の所在をおまとめいただいていますが、上から3つ目の○のところ、3行目に「過去5年間において男女ともおおむね6~7万人台で推移している」とあります。ここで初めて人数が出てまいります。
 この点について、確認と意見2点あります。まず、これを読むと、過去5年間毎年男性、女性、それぞれ6万人ということは、ミニマム12万人が毎年転換している。イコール5年間だったら、60万人が転換したと読めるんですけれども、それで正しいのかどうか。
次に、もしいまの理解が正しいのであれば、本来であれば人数を出してこういうことを論じる場合は、それがどういう規模の母集団におけるどういうものかというのがないと、60万人が多いのか、少ないのか、これは多分労側と使用者側では見るところも意見も違うところだと思います。
 冒頭に議論がありましたように、母集団が、どのぐらいの規模の人数かというのは、今回このレポートの中には出てきていません。その中で、突然ここで具体的な数字が出ることに、私自身は違和感を感じました。60万人というのが正しいのであれば、それでは足りないと言われる側と、随分たくさん正社員になられているのではないかという意見が当然あります。60万人がどの中の60万人なのか。そこがまだ議論がつくせないのであれば、この数字はあえて出す必要があるのかというところが疑問に感じたので、意見を述べさせていただきました。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 そこは精査させていただきたいと思います。
 池田委員、どうぞ。
○池田委員 均等・均衡処遇につきまして、申し上げます。現在の経営環境を考えますと、人件費の財源を大きく変動させることは難しいというのが経営者の立場でありますので、仮に均等処遇を実現されようとすると、有期雇用の処遇改善、当然これは引き上げを想定していると思いますが、併せて正社員の処遇の見直し、引き下げも同時に行うことは不可避であると思います。中間整理には含まれておりませんが、重要な論点の1つとして考えますので、私からの意見としてこの場で申し上げたいと思います。
 また、均衡処遇につきましては、ここに書いてありますが、労働契約法第3条、現在の法体系の下では労使自身に委ねるべきと考えております。
 以上です。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 まず輪島委員、その後に?松委員お願いします。
○輪島委員 11ページですが、イの使用者委員のところの指摘ですけれども、正社員とは何か、非正社員とは何か、その中の有期は何か、そういうことを書いていただきたいと思います。それはそもそも論に書くのかどうかわかりませんが、この項目でその点について発言をさせていただいて、そこについての整理は必要だということで、分科会長が整理されたと思いますので、その点についての記述をお願いしたいと思っています。
○岩村分科会長 わかりました。
 ?松委員、どうぞ。
○?松委員 先ほどの発言の趣旨ですが、前段申し上げたとおりです。9ページの(4)の「ウ 今後の検討における留意点」の項目ですが、ここではあくまで労使の負担の不均衡の是正という観点から労働側は申し上げている。加えて、出口規制の在り方とは関係なく、別立てで議論すべきだということを申し上げてきたつもりですが、今回の留意点の中には、雇い止め法理の検討の方向も踏まえという書きぶりになっていますから、そこは独立して別立てで記載をしてもらう方が労側としてありがたいという意味で申し上げていますので、よろしくお願いをしたいと思います。
○岩村分科会長 切り離して議論できるかどうかは考えさせていただきたいと思いますが、難しいと思います。
 ほかにいかがでしょうか。4のところまで含めてでございます。
 伊丹委員、どうぞ。
○伊丹委員 済みません。3番に戻ってしまいます。
○岩村分科会長 3番でも結構でございます。
○伊丹委員 3の10ページのイの使用者側委員のところです。これは私が発言したものを書いていただいているとは思うのですが、○の2つ目の紛争を減らす観点からは、情報の共有といったものが考えられるのではないかと書かれているところについて意見があります。私の申し上げた趣旨は、均衡・均等を考えるときに、包括的にとらえて納得性というものを議論すべきだということで、これだと条件の1つに加えるようなイメージになって、その辺が伝わるだろうかというのが気になります。ちょっと表現を考えた方がいいと思います。
○岩村分科会長 わかりました。
 輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 13ページですが、最後のまとめのところで、派遣法とパートタイム労働法についての記述がありますけれども、もう一方で、職業安定分科会で議論される高年齢者雇用安定法の議論も秋には開始されるはずだと認識しております。60歳から65歳までの雇用形態からすると、いわゆる有期での雇用形態についてが大きいのでないかと考えるとすると、ここに高齢法の見直しについての記述がないのはバランスが悪いのではないかと思っています。
 それと、4ページの1のウのところの最後の記述ですが「新規学卒者等の場合であっては」というフレーズですが、これはまさに今ずっとスルーしてしまったように、余り議論がないまま、しかし、記述が残っているということについて、どういうふうに考えるのかということ、どうしてこういうことがここに書かれているのか。論点としては非常に大事な論点だと思っているのですが、直接的に締結事由規制等々の議論とはストレートには結び付かないものですけれども、どういうふうに今後の論点に結び付ようとしているのかということをお伺いしておきたいと思います。
○岩村分科会長 まず後者の点について、事務局からお願いします。
○田中課長 職務内容の責任の限定性というのは、有期で特徴的なんですが、それがニーズに合う部分もあれば、そうでない部分もあるということを表現をしたいと思いまして、その部分で特に若い方、新規学卒を含めた若い方のキャリア形成とか正社員のポストの獲得の問題、後ろの均等・均衡の部分以降で議論するところも含めて、そういう大きな政策的視点にも留意するという意味で書かせていただいております。新規学卒とか若年問題を労働契約の問題だけで処理するという趣旨ではありませんので、そういう位置づけだということで理解いただきたいと思います。
○岩村分科会長 よろしいでしょうか。
 高齢法の件について、労側から何か御意見ございますか。
○新谷委員 輪島委員から御指摘のあった高齢法は、秋から論議が始まる予定と聞いております。それも関連しますので、記述することについては、異論ございません。
○岩村分科会長 労使双方がそういう御意見ですので、文案をどうするかということも踏まえて、また検討させていただきたいと思います。修正をそこは入れるという方向で考えさせていただきたいと思います。
 大分時間が過ぎていますが、新谷委員、どうぞ。
○新谷委員 まとめのところで、今、輪島委員が発言されたので、私も気になるところというか、今後の論議に当たって、13ページの2つ目のパラグラフに、今後の法整備の基本的な方向性について、履行確保をどういう形でするかということで、何点か記述をしていただいているわけであります。
 秋口から本格論議が始まると思うのですけれども、私どもとしては、この審議会で何回も申し上げておりますように、今後の有期労働契約の法制の在り方については、単なる行政指導であるとか、助成金であるといったようなものではなくて、労働者の権利、請求権として、きちっと確保されるような私法上の効果を持った法律にするべきであり、具体的には労働契約法の中に有期労働契約の規制を盛り込むべきだと考えております。そのことを前提に、秋口の論議を展開させていただきたいと思います。それがないということであれば、ちょっと論議の仕方も違うのではないかと思っておりますので、あらかじめ申し上げておきたいと思います。
 以上です。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 大分時間は過ぎていますが、ほかにいかがでございましょうか。工藤委員、どうぞ。
○工藤委員 ありがとうございます。
 13ページの最後の3行です。これは質問なんですが「当分科会は」と始まって「労働契約が、労使双方にとって価値を実現するものとして」とあるんですが、労働契約における労なり使なりの価値をどのようにお考えでここを書かれているのかというのが、いまひとつわからなかったので、教えてください。
○岩村分科会長 田中課長、お願いします。
○田中課長 この分科会においては、有期の問題を中心に取り上げておりますけれども、そのベースとなるのは、所管の範囲ということもあるんですが、労働契約がいかに適正に結ばれて、労働者と使用者がそれぞれの目的を達成するかということ、そのための仕組みをつくるというのが当分科会の大きな役割だと思っております。そういう意味で、言葉足らずの部分はあるかもしれませんが、私たちやらなければならない大きな土俵を表現させていただいたつもりであります。その土俵の上で、今、有期労働契約について、どのような方向性が妥当かということを労使で探っているんだということを言わせていただいているところでございます。
○岩村分科会長 工藤委員、どうぞ。
○工藤委員 要は2行目の初めの方に書かれている「職業生活の充実」と「産業の発展」が労から見た価値であり、使側から見た価値なんだ。これを実現するために労働契約を良きものにしていこうという思いだと受け止めてよろしいですか。
○岩村分科会長 そういうことでございますね。
○田中課長 はい。
○工藤委員 わかりました。
○岩村分科会長 荒木委員、どうぞ。
○荒木委員 一番最後の3行についてでありますけれども、読み方によっては労使の価値を反映するために議論しているととらえかねないんですが、勿論国全体の経済、産業政策といったことも踏まえて、我々は公益を代表しておりますけれども、国全体の労働市場の健全な発展といった価値も踏まえつつ議論するということでないと、労使当事者のみの価値で議論していると誤解されかねません。とりわけ有期労働契約の場合は、無業、失業状態で雇用環境に結び付いていない方をどう考えるかという視点も大事だと思いますので、そういった公益といいますか、国全体の労働市場の観点も踏まえつつということで、お考えいただけるとありがたいと思います。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 今の御意見も踏まえて、検討させていただきたいと思います。
 今日は座長の不手際で議事進行が余りうまくいかず、予定した時間を大幅に超過してしまいまして、大変申し訳ございませんでした。しかしながら、おかげさまで今日の中間的な整理の案につきまして、非常に充実した御意見を各側からお伺いすることができたと思っております。
 私としましては、今日いただいた御意見を踏まえまして、必要な文言の追加ないし修正を行い、それを基に今日の議論の中間的整理という形で公表させていただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
 勿論公表の前に、委員の皆様のところに最終案をお持ちして、その上で確認をさせていただくというのは当然のことでございますが、その前提で私の方に御一任いただければと思っておりますが、いかがでしょうか。
 輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 冒頭、事務局案なるものがどういう位置づけなのかと伺ったのは、今、たくさん議論がありましたように、事務局案についてのさまざまな労使の意見があるわけで、それをそのまま中間整理として公表するのは、かなり違和感があります。今後、文章の確認はするとしても、非常に大きな隔たりがあり、調整をすることが難しいのではないかと思うと、次回の審議会で中間整理案というふうに提示をしていただきたいと思います。今は事務局案ですけれども、次回は中間整理案として修文したものを出していただくのが、手続的には穏当なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○岩村分科会長 労側の御意見はいかがでしょうか。
○新谷委員 使用者側の委員から御発言がありましたけれども、今日の論議を聞いていても、かなり論議の隔たりが大きい部分がありますし、座長預かりということで意見を聞いていただくとおっしゃっていただいたんですが、我々としては、使用者側がそういう発言であれば、次回にもう一度確認するということについては、異論はございません。
○岩村分科会長 田中課長、どうぞ。
○田中課長 事務局の考えを申し述べさせていただきますが、今回、夏ごろに中間とりまとめをするということで作業をさせていただいております。今回の議論については、冒頭申し上げましたように、国民の皆様に非常に大きな影響のある議論の内容をわかりやすくお伝えすることも1つの大きな使命ではないかと思っております。
 事務局の不手際で、いろいろ御異論のある部分もありまして、それは誠心誠意修正をさせていただきたいと思っております。その意味で、各側の皆様方にはしっかりと御意見を伺わせていただきたいと思いますけれども、できるだけ早く分科会の議論を御説明できる状態にするということも非常に大事なことではないかと思っておりますので、もう一度、労使の皆様には御再考をお願いしたいと思います。
○岩村分科会長 局長、お願いします。
○金子局長 今、田中からお話をさせていただきましたけれども、事務局としては、今後のいろいろなスケジュールもございますし、この中で、今、具体的な方向性をリジットに決めるということよりは、それぞれ労使各側からどういう意見が出てきたかということをきちんと整理することが主眼だろうと思いますので、分科会長の御指導の下、事務局が走りますので、労使各側の皆さんと本日の議論を受けた内容につきまして、調整をさせていただければありがたいと思っております。
○岩村分科会長 確かに輪島委員がおっしゃるように、もう一回ということもあるかとは思うんですが、今後のスケジュール、その他時期の問題等を考えると、やはり今日私に御一任いただいた上で、事務局に汗をかいていただき、今日の段階で一応まとめさせていただくということにしていただけると大変ありがたいと思っております。
 いかがでございますか。輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 何回か申し上げたように、これまでの審議会で申し上げたものが漏れてしまっている点が多々あって、それが事務局案という形で出てきている。今日、こんなに意見が出たのに、分科会長に預けて大丈夫なのかというのが自信がない。汗をかいていただくといっても、どれぐらい担保されているのか。
中間的整理には有期が多様な実態にあるということと、それぞれの労使がそれぞれの検討項目について、こんなに違っていますということが明らかになれば、つまり一番最初に戻りますが、もっとシンプルなものでもいいような気がするんですけれども、そのことがきちんとわかって、かつ次についてはそれなりに現実的な議論をするということが文章の中でわかるようにしていただきたいと思っております。
 そういう限りにおいて、分科会長にお預けをしたいと思います。
○岩村分科会長 私としても、今日、中間的な整理についての事務局案をお出しして、いろいろ御意見が出ましたし、修正あるいは付加の御意見も出ましたが、これを見ていただけば、この問題について実は労使の間での隔たりというのはかなり大きなものがある。その中で、検討すべき課題というのがどういうものなのかということで、第2ラウンドと俗に言っている秋以降の議論の言わば出発点がどういうものであるかということは示されているのではないかと思います。勿論、今日いろいろ御指摘をいただいたので、冒頭にも申し上げたように、これは特に労側、使側に寄ってどちらかにということでつくったペーパーではございませんので、そこの線は維持しつつ、まとめさせていただければと思っております。
 分科会長が頼りないと言われれば、それまでなんですが、今、申し上げたような趣旨でお任せいただいた上で、できるだけ労使の御意見を可能な限り反映させつつ、今日一任という形でお預けいただいて、まとめさせていただきたいと思います。
 よろしゅうございましょうか。輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 1点だけ、事務局からの今後のスケジュールもありというのが気になっています。私どもも勿論スケジュール感については、冒頭に申し上げたように、よくわかっておりますけれども、そうであれば、慎重な議論で、かつ回数を増やすということも含めて、スケジュールに乗った議論をするつもりは全くないので、そのことで今日分科会長にお預けするという趣旨ではないので、その点は御留意をいただきたいと思います。
○岩村分科会長 そこは既にレールが引かれているという趣旨ではないと理解しております。
 労側はいかがでしょうか。新谷委員、どうぞ。
○新谷委員 輪島委員からの御発議でそういう意見があって、私どもも特に異論はなかったのですけれども、今の分科会長の御答弁をお聞きして、十分に労使の意見を反映していただけるという御発言もありましたので、我々としてはその方向で検討させていただきたいと思います。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 今日の段階では、そういうことで、中間的な議論のまとめにつきましては、最終的なとりまとめについては私に御一任いただいて、労使との間で事務局を挟んで調整させていただくことにさせていただきたいと存じます。
 本日はこれで終了させていただきたいと存じますが、事務局から何かございますでしょうか。
○青山調査官 次回の分科会の日程につきましては、改めて調整の上、お知らせいたしますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。
○岩村分科会長 議事進行の不手際で、時間を要してしまって、大変申し訳ございませんでした。
 今日の分科会はこれで終了させていただきたいと思います。
 議事録の署名でございますが、労働者代表につきましては中島委員、使用者代表については伊藤委員にそれぞれお願いをしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 今日はお忙しいところ、どうもありがとうございました。

(了)

労働条件政策課
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