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2011年3月8日 第86回労働政策審議会労働条件分科会 議事録

労働基準局労働条件政策課

○日時

平成23年3月8日(火)
10時00分〜12時00分


○場所

中央合同庁舎第5号館
厚生労働省共用第21会議室(17階)


○議題

平成23年3月8日 第86回労働政策審議会労働条件分科会 議事録

・日時
 平成23年3月8日(火)10時00分〜12時00分

・場所
 厚生労働省専用第21会議室(17階)

・出席者
【公益代表委員】
 荒木委員、岩村委員、田島委員、廣見委員、村中委員、守島委員

【労働者代表委員】
 工藤委員、島田委員、新谷委員、中島委員、八野委員、宮本委員、安永委員

【使用者代表委員】
 伊丹委員、芳野委員代理、田中委員、三浦委員、宮地委員、輪島委員、渡邊委員

【事務局】
 金子労働基準局長、渡延審議官、前田総務課長、田中労働条件政策課長、
青山労働条件政策課調査官

・議題
 1 有期労働契約について
 2 その他

○岩村分科会長 それでは、定刻でございますので、ただいまから第86回「労働政策審議会労働条件分科会」を開催いたします。
 本日は公益代表の大沢委員が御欠席でございます。
 また、使用者代表の高尾委員の代理としまして、芳野さんに御出席をいただいております。よろしくお願いいたします。
 議事に入ります前に、今日の定足数につきまして、事務局から報告をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○田中労働条件政策課長 定足数について御報告いたします。労働政策審議会令第9条により、委員全体の3分の2以上の出席、または公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされておりますが、本日はいずれの数も上回っております。定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。
 なお、渡延審議官については、所用により若干遅れて出席いたしますので、併せて御報告いたします。よろしくお願いいたします。
○岩村分科会長 ありがとうございました。
 それでは、議事に入りたいと存じます。
 お手元の議事次第に沿いつつということになりますが、本日の議題は「(1)有期労働契約について」でございます。本日も前回に引き続きまして、有期労働契約の締結及び終了に関する論点につきまして、御議論をいただきたいと思います。
 資料No.1及び資料No.2につきましては、前回の分科会で配付されました資料でございます。
 前回の分科会では、資料No.1のうち「(1)有期労働契約の機能や実態について」「(2)有期労働契約の締結事由や更新回数・利用可能期間について」を御議論いただく予定でありました。ただ、(1)と(2)のアの有期労働契約の締結事由の辺りまで御議論いただいたところで時間となってしまったところでございました。
 そこで、今日でございますけれども、私としましては「1 契約の締結及び終了に関する論点」というところは大変多くの内容を含んでおりますので、これまで御意見のあったとおり、弾力的に審議の回数を調整することにいたしまして、本日と次回、したがいまして、前回と合わせまして、都合3回をかけまして1の論点について議論を行っていただきたいと考えております。
 そこで、本日でございますけれども、前回の続きというか、その後ということになりまして、(2)のイの更新回数や利用可能期間、(3)の有期労働契約の雇い止め法理というものを中心に御議論をいただき、時間の許すところで(4)の労働条件明示等の契約締結時の手続に関連する課題以降を進めていきたいと考えておりますので、議事進行に御協力をいただければと思いますが、よろしいでございましょうか。
 輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 ありがとうございます。
 議事進行については、そのような形で結構だと思います。
 1つだけ御質問させていただきたいと思います。締結事由のところは前回労使で議論をして、深まってきたという気はしたのですが、時間が足りなかったという気もいたしております。そこで、締結事由についてはもう少ししたいという気がいたしますけれども、それはどういう取扱いになるのでしょうか。
○岩村分科会長 深まったことはたしかなんですが、更に今日それを引き続き長くやると時間的には非常に苦しいと思います。ただ、ごく限られた時間であれば少しやっていただくということでも結構でございます。
 輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 それでは、議論はその先で結構だと思いますが、労働側委員に1つだけお願いをしておきたいと思います。リクエストという意味ですけれども、私どもなりに前回の議事録を記録していて、よく見たつもりなんですけれども、締結事由規制の導入については労働側の委員から導入をすべきだという御発言があったと私どもは理解をしておりますが、具体的な中身についての言及がなかったように理解しております。そこで、いずれかの機会でその点についてお考えを御披露いただければと思っているところです。
 以上です。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 労働側の方で何かございますか。新谷委員、どうぞ。
○新谷委員 (ア)のところはお時間をいただきましたので、今、使用者側の委員からも御質問がありましたが、私どもとしては締結事由については合理的な理由が必要であると考えております。合理的な理由の内容については、今後この分科会の中で詳細に論議をさせていただきたいと思います。前回申し上げたとおり、入り口の規制が必要であり、合理的な理由が必要と考えていることを改めて申し上げておきたいと思います。
 また、合理的な理由なく締結された有期労働契約については、期間の定めのない労働契約とみなすという民事効についても必要であるという認識を持っておりますので、これについても改めて申し上げておきたいと思います。
 以上であります。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 輪島委員、よろしゅうございましょうか。
○輪島委員 はい。
○岩村分科会長 それでは、議事進行の件については御了承いただいたものとしまして、今日の議事に関連するということで、有期労働契約の雇い止めに関する裁判例の傾向について整理した資料を新たに事務局に御用意いただいておりますので、これにつきまして事務局から説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○田中労働条件政策課長 それでは、本日の資料No.2の「(3)有期労働契約の雇止め法理(解雇権濫用法理の類推適用の法理)について」に関連する資料として、本日、資料No.3を提出させていただいております。これは厚生労働省で平成12年に有期労働契約の反復更新に関する調査研究会というものを学識経験者に参集いただきまして行った結果として「有期労働契約の雇止めに関する裁判例の傾向」をとりまとめて御報告いただきましたが、それを基に関係者にこうした裁判例の傾向を周知させていただくために、現在、使わせていただいております印刷物、パンフレットの中から抜き出して資料化をしたものでございます。
 これに基づきまして、いわゆる雇い止め法理の状況、裁判例においてどのような判断がされているかという傾向について簡単に御説明をさせていただきます。
 この印刷物に書いてありますとおり、雇い止めについて争われました裁判例を見ますと、判断要素としてここでは6つの要素に分類してありますけれども、こうした判断要素を用いまして、契約関係の状況を総合的に判断している状況が見られます。
 具体的な要素は一番左のところに掲げてありますけれども、判断要素として、業務の客観的内容、計画上の地位の性格、当事者の主観的態様、更新の手続・実態、他の労働者の更新状況、その他ということで、業務の性質等客観的な要素のほかに当事者の言動等の主観的な要素も併せて総合判断がなされている状況でございます。
 こうした判断の下に雇い止めについての判断をしている裁判例を見ますと、これも一番上の行に書いてありますように、民法の原則どおり、契約期間の満了により当然に契約関係が終了すると判断した事案ばかりでなく、契約関係の終了に制約を加えて解雇に関する法理の類推適用などによって雇い止めの可否を判断し、結果として雇い止めが認められなかった事例も少なくないということでございます。
 こうした判断の事例の類型化をこの紙では試みております。類型化の状況については、真ん中のライン「契約関係の状況」のところに記載してあります。4つのタイプに分けることができるとされております。
 1つ目は純粋有期契約タイプとされるものです。これは契約期間の満了後も契約関係が継続するものと期待することに合理性は認められないものという性格づけがされておりまして、業務内容が臨時的な事案でありますとか、当事者が契約期間満了により契約関係が終了すると明確に認識している場合などがこういうタイプに分類されるということでございます。
 2以降が契約関係の終了に一定の制約があり、契約関係の終了が裁判で認められない場合があるという類型になります。
 2の類型は実質無期契約タイプと言われております。期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態に至っている契約と性格づけられておりまして、業務内容が恒常的であり、更新手続が形式的に繰り返されている事案が多い。あと、雇用継続を期待させる使用者の言動が認められる場合も多いとされています。
 次のタイプが期待保護(反復更新)タイプ、その次のタイプが期待保護(継続特約)タイプとされております。それぞれ契約期間満了時における雇用継続への合理的期待が認められるタイプとして分類されておりますが、両者の違いといたしましては、期待保護(反復更新)タイプにつきましては、業務内容が恒常的であり、更新回数が多いといったもので、契約当初は合理的期待はなかったわけですけれども、その後の業務内容や更新の状況に応じ合理的期待が発生してきたというタイプです。
 4番目の期待保護(継続特約)タイプというものは、更新回数は概して少ないわけですけれども、契約締結の当初に雇用継続への合理的期待を抱かせるような当事者の言動があったり、約束があったりということで、契約締結の経緯等が特殊な事例が多いとされております。
 判決として、最高裁判例がありますのは2と3のタイプでありまして、2が東芝柳町工場事件と言われる49年の判決でございます。3が日立メディコ事件と言われる昭和61年の判決でございます。
 これらの4つのタイプについて、雇い止めの判断を裁判所がどのようにしているのかというのが一番右端に書かれております。
 純粋有期契約タイプについては、原則どおり契約期間の満了によって当然に契約関係が終了するものとして、雇い止めの効力は認められるとされます。
 2の実質無期契約タイプにつきましては、ほとんどの事案で雇い止めは認められておりません。
 3の期待保護(反復更新)タイプにつきましては、経済的事情による雇い止めについて、正社員の整理解雇とは判断基準が異なるとの理由で、雇い止めを認めた事案がかなり見られます。
 4の期待保護(継続特約)タイプにつきましては、当該契約に特殊な事情等の存在を理由として雇い止めを認めない事案が多いとされております。
 以上、雇い止めの法理に関する状況について御説明を申し上げました。よろしくお願いいたします。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 本題に入る前に、今、御説明いただいた資料につきまして、何か御質問あるいは御意見等はございますでしょうか。
 輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 ありがとうございます。
 大変不勉強で恐縮ですけれども、このパンフレットをどういう人が読むのかというと、事業主とか労働者が読むんですか。どういうふうに配っているのかということをまずお願いします。
○岩村分科会長 事務局の方でお願いします。
○田中労働条件政策課長 このパンフレットは、雇い止めに関する告示なども併せて1冊のパンフレットにしておりまして、主に監督署の窓口などに備え付け来所者のニーズに応じてお配りするほか、監督指導に当たってもこのパンフレットなどを活用して監督指導ないし情報提供をさせていただいているという状況でございます。
○岩村分科会長 輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 できれば次回パンフレットそのものをお願いしたいと思います。
 それから、これまた不勉強で恐縮ですが、反復更新に関する調査研究会の報告書も見せていただければと思います。ホームページにあれば、また御紹介をいただければと思います。
 そこで、この資料ですけれども、上の説明を読むと「民法の原則のとおり契約期間の満了により当然に契約関係が終了するものと判断した事案ばかりではなく」といって「雇止めの可否を判断し、結果として雇止めが認められなかった事案も少なくありません」と書いてあって、使用者側、企業側から読むと、やはり雇い止めにもそれなりにルールがあるんだ、単純ではないということを考えると、そこについて非常に難しいものだと考える資料なのではないかと思います。その点でいうと、全体として正社員に対しての解雇というのが難しい中で、有期契約労働についても、雇い止めについても、こういうふうにハードルが高いのではないかと思うということが、現実に使用者側、企業側にはあるのではないかと思っているところです。
 とりあえずそういうことです。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 この資料について、労側で何かございますか。よろしいですか。
○新谷委員 意見については、後ほど述べます。
○岩村分科会長 それでは、本題の方に入ることにしまして、先ほど申し上げましたように、本日は資料No.2の2ページ目「イ 更新回数や利用可能期間について、どのように考えるか(例えば、次のような考え方についてどうか)」から入りたいと思います。いずれにしろ、この問題は次の(3)のアとも関係すると思いますので、その点も含めて御議論いただければと思います。
 新谷委員、どうぞ。
○新谷委員 入り口の規制の在り方、更新回数の規制の在り方、出口と言われる雇い止めの在り方について、本日から議論に入りますが、資料2の「(6)その他」にありますように、(1)〜(5)の各論点の相互関係についてどう考えるか、つまり、それぞれの論議の中身というのは、相互に非常に関連する部分があると思っております。最後にこの整理をする機会はありますので、とりあえず各論の論議については、それぞれの項目の内容について発言をさせていただきたいと思っておりますので、まずそれを冒頭に確認させていただきたいと思っております。
 その上で、各論の(2)の「イ 更新回数や利用可能期間について、どのように考えるか(例えば、次のような考え方についてどうか)」でございます。これについては、私ども労側といたしましては、更新回数なり利用可能期間については一定の限度の期間、更新回数の限度を設けるべきである。現在、何らの規制もされておりませんけれども、それが今日の有期労働契約のさまざまな課題を生んでいる原因の1つと考えておりますので、何らかの一定の期間を設けるべきであると考えております。
 また、一定の限度期間を超えた場合については、期間の定めのない労働契約に転化することを盛り込むべきだと考ええております。
 まず冒頭に当たっての、基本的な考え方を申し上げておきたいと思います。
 以上です。
○岩村分科会長 ありがとうございました。
 輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 ありがとうございます。
 先ほど変な言い方をしたのでもう一度繰り返しになりますけれども、雇い止め法理を中心に、そこから入りたいと思いますが、雇い止め法理は先ほどの資料にあるとおり、裁判所での判決の積み重ねではありますけれども、いわゆる判例ルールとして我が国において既に確立をされた出口ルールであると理解をしております。先ほど申し上げたかったのはそういう趣旨です。そういう観点からいうと、出口規制のルールというのは既存の出口ルールである雇い止め法理に関する理解、そういうことについての課題の共有が一番大事なのではないかと思っています。
 そこで、雇い止め法理の課題ですけれども、これは有期研の中でも指摘をされていると理解しておりますが、予測可能性が一番低い。結局は裁判所に行かないと雇い止めが適切なのか、適切でないのかがわからないということであります。
 もう一つ、私どもとして懸念をしているのは、これに基づいて雇い止めルールをルール化しても、結局は紛争の防止になるのかどうか、減少するのかどうかというところについて、どういうふうに考えるのかというのがあるのではないかと思います。
 もう一つ課題ですけれども、判例法理であるということで、具体的な場面の適用について予測可能性が低くて、法理の存在によって事業主にとって、いわゆる現状では2年11か月で雇い止めをするというような回避行動ということが結局起こると思っております。そのために何らかの方法で雇い止め法理の明確化をするということについて、一定程度の必要性ということについては理解をするつもりですけれども、この点を審議会の労使で十分に話し合いをすることが必要なのではないかと思っているところです。
 以上です。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 労側が先ほどおっしゃいましたが、いずれにしろ(2)のイの問題、(3)のアの問題はある意味で表裏一体のところがありますので、まとめてということでよろしいかと思います。
 渡邊委員、どうぞ。
○渡邊委員 更新回数と利用可能期間についてですけれども、有期労働契約の更新回数の条件を設けるとか、利用可能期間に条件を設けることについては、現実的ではないのではないかと考えております。企業の経営環境の変化によりましては、当初想定した期間を超えて更に働いてもらいたいケースもあるわけでございます。上限を設けるということですと、このようなことに対応できないと思いますし、雇用全体を縮小、不安定化させることは言うまでもなく、労働者が継続的な能力開発をする機会もなくなると考えております。更新回数、利用期間とも労使の自治の原則が重要ではないかと考えております。
 以上です。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 八野委員、どうぞ。
○八野委員 今、お話を聞いていて、更新回数等の話になったり、雇止め法理の話になったり、勿論関連はしているのですが、一つひとつがかなり重要なところなので、どちらかに絞っていただいて順番にご発言いただきたいところです。
 またこれに輪をかけて混乱させてしまうかもしれないのですが、(1)のイの中に出てくる一番最後の「労使当事者にとっての雇用継続等に係る予測可能性を高めていく必要があるとの考え方」というものがあります。この中には労働契約の締結事由、更新回数、利用可能期間及び労働契約の雇止め法理等にも関係してくる考え方が、含まれているのだと思います。
 例えば労使当事者とはどのようなことを指しているのか、雇用継続等となっているんですが、「等」は何を指しているのかということと、今、輪島委員からもあったように、予測可能性というものが低い、高いというのはどういうことを表しているのか。その辺をまず説明いただきたいと思っているんですけれども、よろしいでしょうか。
○岩村分科会長 まず全体のことについては御指摘もそのとおりなんですが、多分難しいのは労使がそれぞれ関心をお持ちのところが違うので、そういう意味で余り切ってやると議論が切れ切れになってしまって、全体像がやや見にくいということと、更新回数とか利用期間をどう考えるかということは、ある意味では出口規制と言われているような雇い止め法理のところとも関係しているところがありますので、そこは私の方で少し整理しつつやらせていただければと思います。
 それから、予測可能性のところについては、最初に事務局の方でこの点についてどういうお考えでお書きになったかということをもう一度明確化していただければと思います。
○田中労働条件政策課長 勿論多様な意味が入ってくるとは思っておりますけれども、基本的に労使当事者にとってという部分については、それぞれの労働契約の当事者というニュアンスで書かせていただいたということと、雇用継続等というものは雇用継続をする期待と雇用がどこで終了するかという予測可能性も含めて「等」と書かせていただきました。
○岩村分科会長 八野委員、よろしゅうございましょうか。
○八野委員 予測可能性を高めるということが具体的にどういうことを意味しているのかを教えていただきたいと思います。
○田中労働条件政策課長 例えば雇用契約期間を数か月と定めておいて、それを何回か繰り返しているような事例を見ますと、今の契約期間の次に雇用が継続されるのか、それともその時点で雇用が終了するのかというのが現状では不透明なことによって不安定性、あるいは不安と呼ばれるような状況が生じているのではないか。そういう意味では、雇用が継続するにしても、あるいは雇用が終了するにしても、どちらになるかという予測ができるだけ可能なようにすることが予測可能性を高めていくという意味ではないかと考えております。
○岩村分科会長 つけ加えると、多分もう一点別の側面もあって、事業主サイドから見ると紛争になるか、ならないかという意味での予測可能性という問題もあって、ある一定のルールに従ってやっていれば紛争にはなりませんという意味での予測可能性の問題もある。労働者側にとっての予測可能性の問題と事業主側にとっての予測可能性の問題、その両面が当然入ってくるんだと思います。これは私の考えです。
 八野委員、どうぞ。
○八野委員 どうもありがとうございました。厚労省の事務局側は労働者側に立った観点からだとちょっと喜んだわけですが、そういう観点もあるということかと思います。
 追加的に述べれば、有期労働契約の中でも、短期的な契約の場合と、ある程度長いタームでやっている場合、例えば、プロジェクト的なものに従事している場合と業務が恒常化していて有期の人たちが更新を繰り返している場合があります。そういうものを含めて、我々は労働組合ですから、労働者側からの観点で見ていきたいと思います。
 説明どうもありがとうございました。
○岩村分科会長 荒木委員、どうぞ。
○荒木委員 予測可能性についての(1)のイというのは、予測可能性を高めていく必要があるとの考え方についてどう考えるかということでありますので、予測可能性が高まって紛争が防止されるとか、労使の行為規範になるというプラスの面があるんですけれども、同時に更新回数規制や上限規制、これは基準として恐らく客観的に何回とか何年までという限りでは非常に予測可能性は高まります。しかし、同時にマイナスの面として、その前で雇い止めを誘発しないかという懸念も指摘されているところであります。
 先ほど雇い止め法理について少し議論がありましたけれども、雇い止め法理の場合は何年までとか何回という客観的な数値がありませんので、雇い止めを誘発するということは余りないようにも見えます。そういう意味ではマイナス効果はないようなんですが、その反面として、一体何回更新されら、あるいは何年更新されたら雇い止めの保護があるのかということについて予測可能性がないという問題点もあるわけであります。
 先ほど輪島委員が言われたよく製造業で行われている2年11か月で更新をしないというのは、企業として雇い止め法理による労働者の保護が生ずる、そのことによって紛争が生ずる、これを恐れるために事前に2年11か月で止めているのではないか。これはある意味では予測可能性が欠けているために予防的な行動を企業はとり、その結果として雇用縮小効果を生んでいるという問題点はある。予測可能性はプラスとマイナス両方に作用するんだということについてどう考えるべきかという論点提示かと思っております。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 もう一点、公益の先生に教えていただきたいと思いますが、先ほど私の方で申し上げた点ですが、雇い止め法理が我が国においては出口ルールとして定着をしている。先ほどの新谷委員の御発言は出口のところに規制がないという御発言があったんですけれども、判例法理でありますけれども、私どもしては出口ルールとして確立をされていて、しかも機能していると考えているのですが、その点についてどういうふうに整理して考えるべきなのかという点であります。
 もう一つ、今、御指摘の点で、最終的に私どもが思っているのは、締結事由規制ないし利用可能期間というものを入れた場合、やはり失業率が結局は高まるのではないか、失業が誘発をされるのではないかと思っているところですが、漠然と失業率が上がるからよくないというだけでも何となく理屈にならないので、その点をどういうふうに考えるのか。労働経済の観点かもしれませんが、どういうふうに考えるべきなのかということについて御示唆をいただければ大変ありがたいと思います。
○岩村分科会長 公益で、もしできれば荒木委員お願いします。
○荒木委員 雇い止め法理が出口規制かということについては評価があると思いますが、一種の出口規制であると私は考えております。ただ、これは判例法理でありますので、立法化されてはおりません。
 もう一つ、よく出口ルールとして諸外国でなされている規制は、一定更新回数あるいは一定利用期間を超えた場合には無期契約に転化するという効果を伴った規制であります。現在の雇い止め法理というのはどういう効果かというと、期間満了による雇用契約終了という主張を信義則上認めないという結果、同一期間で反復更新されたものと扱われております。すなわち無期限の転化というルールではないということであります。実は雇い止め法理が確立するまで、学説上は反復更新された有期契約は無期に転化するという転化説と無期には転化しないけれども、解雇権濫用法理を類推適用するという類推適用説、この2つの対立がありました。最高裁は転化説をとらずに解雇権濫用法理類推適用説をとったということですので、逆にいうと、現在の判例法理で転化は認めていないということで、諸外国で言われている出口規制、一定期間以上使ったり、一定回数以上有期契約を利用した場合には無期への転化を法律で定めるものとは効果が違っている。そういう違いはあろうかと思います。
 それから、失業率の問題は私がお答えすべきかどうかよくわかりませんけれども、前回もそうですが、入り口規制あるいは出口規制の規制を強化することによって失業が高まるのではないかという議論は常にあるところでありますけれども、他方で有期労働契約を濫用的に利用する現状をそのまま放置してよいのだろうかという議論も双方あるところだと思います。その両方を見ながらどういう規制が適切かを検討しなければいけない。そういう問題かと思っております。
○岩村分科会長 輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 済みません。もう一つ教えてください。今の点で最高裁が無期説をとらなかった大きな理由は何なのかを教えていただけませんか。
○荒木委員 これはそもそも立法がございませんので、諸外国でも上限規制等は立法によって一定回数以上更新したり、一定期間以上使った場合には無期契約に転化したものとみなす、立法措置をとって初めて導かれる効果でありますが、日本にはそのような立法がありませんので、その中の解釈でいくと、解雇権濫用法理の類推適用、実態として期間の定めのない契約と実質上変わらないような状態にある場合には類推適用というアプローチが法解釈としては無理がなかったということだと思います。
○岩村分科会長 もともと有期契約として締結されているので、多分その中身そのものが期間の定めのない契約に変わってしまうということについては、特に日本の裁判所としてはそこは受け入れにくい、そういう考え方はとりにくいということが背景にあったのではないかと推測されます。
 八野委員が先に挙がりましたので、お願いします。
○八野委員 今の点で教えていただきたいですが、今のところはある程度理解したつもりなんですが、判例を考えるときに、柳町も日立メディコも昭和のところでの判決ということで、そのときから比べると有期の実態がかなり変わってきている。または企業側の中でも有期の人たちが増えてきているという観点から、改めて見てみるという考え方はあるんでしょうか。
○岩村分科会長 それは裁判例の中にという意味ですか。
○八野委員 判決が出されたときと今の状況の差というものも、今後有期労働契約の雇止めなどを考えるときには、そういうものも加味して考えていくということなのでしょうか。
○岩村分科会長 まず私からお答えいたしまして、あとほかの委員から補足があればと思いますが、現在の裁判所も最高裁の判例が基本的に設定されたルールだと考えていて、その適用、あとはケース・バイ・ケース、事案の中身を見つつ判断をしていると思います。そういう意味では、ルールそのものは最高裁判例、特に1番目と2番目についてはルールそのものは今でも変わっていないと思います。ただ、あとは結局のところ、具体的事案においてそれをどういうふうに適用するかということだと思います。
 今、私も具体的に事例が頭に浮かんでいるわけではないんですが、以前だったら雇い止めが認められたかもしれないけれども、今日では認められないということが、場合によってはあるかもしれないということだと思います。
 荒木委員、どうぞ。
○荒木委員 今、分科会長がおっしゃったとおりだと思いますけれども、せっかく今日は資料No.3をお配りいだたいていますので、これに沿って少しお話させていただきます。
 資料No.3の真ん中のコラムに「契約関係の状況」という黒くなったところがあります。1は原則どおりに契約終了なんですけれども、2、3、4はいわゆる雇い止め法理についての判例が並んでおります。2、3、4は時系列の展開を示しております。
 まず2、東芝柳町工場判決が雇い止め法理を確立したと言われていますけれども、これは実質無期タイプと言われているように、有期労働契約が反復更新されて、実質的に無期契約と異なるということができないような状況に至っている場合なので、解雇権濫用法理を類推適用したという事案でありました。
 ところは時代は下りまして、下るというのは東芝柳町工場判決が出て、期間満了後しばらく経ってから更新をしたり、そういういい加減な更新をしていると、当事者間で本当に期間の設定をする意図があったのが疑わしい。そういうことだったら解雇権濫用法理の類推適用をしますということになりましたので、企業の方では更新手続を厳格にやるようになりました。
 ところが、そうなりますと、日立メディコ事件では、更新は形式上きちんとやっていたので解雇権濫用法理の類推適用はないのかが問題となりました。しかし、それでもなお雇用継続への合理的な期待が生じている場合には、解雇権濫用法理を類推適用するという判断がなされ、雇い止め法理の範囲が拡張されたということがございました。
 日立メディコ事件では、実質的に無期契約と異ならない状況に至っていない、だけれども、合理的な期待があればよろしいと言ったんです。そうすると、更に判例は展開しまして、それが4のところです。反復更新はしていない。だけれども、雇い入れのときに1年という期間がありますけれども、真面目に働いてくれれば雇用は継続しますから御安心くださいといったような、雇い入れのときに雇用継続契約への期待を抱かせるような説明をしていた場合には、問題なく働いた場合には当然更新されるだろうという労働者に合理的な期待が生ずる。その場合には初回の雇い止めであっても、なお解雇権濫用法理を類推適用する。反復更新がなくとも雇用継続への期待が合理的なものと言えれば、雇い止め法理を適用するということで、更に保護の範囲が広がった。こういう形で有期労働契約の反復更新あるいは雇い止め問題については、判例自身が発展を示してきたということが言えると思います。
○岩村分科会長 若干補足しますと、今の荒木委員の御説明にもありましたように、少なくともある程度人事管理をきちっとやっていて、場合によっては弁護士の助言等を受けている企業、要するに比較的規模の大きい企業の場合は、エポックメイキングな判例が出ると、結局それによって行動を変えるんです。ですから、そういう意味では判例ということで、比較的一般の人にはなかなかわかりにくいものではありますけれども、それなりに現実の企業の行動を変える効果が実際にはあります。すべてではありませんけれども、一定のところでは持っていることもたしかだと思います。
 新谷委員、どうぞ。
○新谷委員 もうちょっと回数制限のところの話をしたかったんですけれども、今、雇い止め法理の話になっていますので、こちらを先に申し上げます。
 今回の、事務局で用意していただいた資料の中に、雇い止め法理は既に定着しという表現が出ております。今、公益の先生方からも御説明をいただいたところでありますけれども、定着している判例というのは最高裁の判例が2つありますが、一体どちらの判例なのかということをまず確認させていただきたいと思います。
 確かにエポックメイキングだったのは東芝柳町事件、これはやはりインパクトが大きくて、今、分科会長からも御説明があったように、企業の労務管理にも大きな影響を与えた判例だと思っています。
 最高裁での裁判例の取扱いについて見てみますと、いわゆる判例として解説を最高裁としてきちっと書いているものと、事例判断、裁判例として扱っているものと2つあるとお聞きしております。最高裁で出されている2つの判例のうち、東芝柳町の事件については最高裁判所の民事判例集の中に掲載されているということなので、これはまさしくその後の裁判にかなり影響を与えるものとして扱われていると思いますけれども、日立メディコの事件は同じ最高裁の裁判例であっても、最高裁判所民事集という扱いになっておりまして、どうも最高裁での判例の扱いが違うのではないかと思っております。
 そういった意味で、定着している解雇権濫用法理の類推適用というのは、一体どちらの判例のことを指しているのかということを確認させていただきたいと思います。
○岩村分科会長 私がお答えした後、またどなたかから補足はお願いしたいと思いますが、定着しているという意味では、私どもとしては一般にはどちらもだと思います。ただ、現実に訴訟の過程においては、とりわけ労働者側からは東芝柳町事件と日立メディコ事件をそれぞれ引用して主張を展開してくるという形になり、実際、今、問題になるケースの多くというのは、タイプとしては日立メディコのタイプが多い。したがって裁判所の判断として比較的多いのは、東芝柳町事件のルールで主張してきたことについてはそれは認められないということになり、その上で日立メディコについて検討し、結論として認める、認めない、そういうふうになることが多いだろうと思います。それは多分先ほど申し上げたように、東芝柳町が出て非常にインパクトが大きくて、企業の行動が変わって、そういう意味では東芝柳町にフィットするようなケースが事件として挙がってくるということが現実問題としては、今、少なくなっているということによるのではないかと推測されます。
 おっしゃるように、判例上の扱いというのは、東芝柳町と日立メディコとでは違うことはたしかでございますけれども、実際の実務、特に下級審レベルにおいてはそこに何か本質的な差があるというところまでは考えていないのではないかと思います。
 遠慮なく、また前の回数、利用可能に戻っていただいて結構でございます。
○新谷委員 済みません。戻る前にもう一つ、今度は事務局の方にお聞かせいただきたいんですけれども、今日いただいている資料の調査研究会報告というのはたしか2000年にもたれた報告だと思うのですが、その後の判例研究、要するに雇い止め法理、反復更新に関する判例研究というのがどのようになされて、どのような分析をされているのか。もう10年近く経っておりますので、かなり裁判例の積み重ねがあったのではないかと思いますが、この辺がわかれば教えていただければと思っています。
○岩村分科会長 事務局、お願いします。
○田中労働条件政策課長 有識者に集まっていただいた形で雇い止めについての判例を研究したというのは、この12年の会が最後でございます。
 事務局としては、有期に関するいろいろな判例、新しい動きもないではないと思っておりますけれども、雇い止め法理の部分に関してはこの最高裁判例2本がかなり大きな位置をいまだに占めていると考えておりまして、その後の動きについて改めて状況が変わったということで整理し直すという考えは、現在は持っていないという状況でございます。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 新谷委員、どうぞ。
○新谷委員 先ほど荒木先生から御説明いただいた中に、現在の解雇権濫用法理の類推適用の扱いの効果の問題で、救済されるのは以前の労働契約がそのまま継続されるということになりますので、有期がもう一度更新をされるという扱いになるわけであります。
 やはり我々としては、訴える労働者の立場に立てば、これはEUのように無期契約に転化するという効果を求めるべきだと思っているんですけれども、ただ、それは解雇権濫用法理の類推適用という枠組みの中で論じますと、また違うものになってくると思いますので、回数の上限のところで改めて論議をさせていただければと思っているところです。
 回数制限のところにまた戻りますが、事務局の資料の中に、反復更新をするかについては、労使の話し合いに委ねるとすることが適当とする考え方と書かれておりまして、ここで言っている労使の話し合いというのは一体何を指すのかというところを教えていただければと思います。
○岩村分科会長 事務局お願いします。
○田中労働条件政策課長 (2)のイの2ポツ目の話でありますけれども、2ポツ目は1つ目のポツに対するもう一つの考え方ということで、対比するような形で考え方の例として書かせていただきました。
 1ポツ目は一定の反復継続をした場合には、無期とするルール、これは法的なルールを設けるという考え方であります。それに対比されるものとして考えますと、それぞれの労使、これは労働組合と使用者という関係、主に集団的な労使関係を想定しておりますけれども、これは企業の労使関係でありますとか、業界の労使関係双方があると思いますが、そういった労使関係の中で、その労使関係が取り扱う範囲の中で有期労働契約をどの程度利用するか、反復継続を認めるかということを決めて、それに従って有期労働契約を使用者が結ぶという考え方もあるのではないかと考え、こうした考え方を例として載せさせていただいたものでございます。
○岩村分科会長 新谷委員、どうぞ。
○新谷委員 ありがとうございます。そうすると、ここで言っている労使というのは、以前労働条件分科会でも論議になりました、例えば労使委員会のような労働組合ではない労働者の代表組織ではなくて、あくまでも労働組合を想定してここに記載いただいているということでよろしいのかという確認をさせていただきたいと思います。
○岩村分科会長 田中課長、お願いします。
○田中労働条件政策課長 今、わかりやすく申し上げましたけれども、主には労働組合と使用者という関係であると思いますが、考え方のバリエーションとしては、それ以外の労働者と使用者が話し合って労働条件に関することを決める形もあり得るとは思っております。
○岩村分科会長 輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 1つだけ確認というか、戻るわけではありませんが、雇い止め法理、つまり今日の資料でいうと、資料No.2の2ページ目の(3)の雇い止め法理の関係と(2)のイのところの関係ですけれども、先ほど新谷委員が冒頭でおっしゃった締結事由規制を入れるということと、それを超えてしまったときには無期にみなすというところの御主張の関係で、今も少し触れられたと理解をしましたけれども、私どもとしては(3)の雇い止め法理については、この法理の中の範囲、つまり類推適用の中の範囲で議論をするという整理で(3)の中から延長して無期をみなすという議論をするのかどうかというと非常に違和感があります。
 そうではなくて、イの更新回数や利用可能期間というのは、ある意味では非常に新しいルールをこの審議会で議論しているという位置づけと理解しておりますので、その中で御主張のある無期みなしというのは何となくそういう御議論なんだろう、御意見なんだろうと思うのですけれども、そこはイの中での範囲で御主張いただいて、分科会長に整理をしていただく方が私の方としてはわかりやすいと思っています。
 以上です。
○岩村分科会長 ちょっと御質問なんですが、仮に雇い止め法理について何らかの形で法制化すると考えたときに、解雇権濫用法の法理のような感じで考えたときに、その法律効果をどうするかということについては、勿論今までの判例法理をそのまま書き直すというのも1つございますでしょうし、法制化ということなので全くの仮定の話ですが、今まで以上の別途の効果を考えるということもあり得ると論理的にはそう思うんですが、その辺が今のお話だと全く新しい効果を考えるということについては違和感がおありである。そのところはなぜかということを御説明いただければと思います。
○輪島委員 私どもはすべてが嫌なんです。締結事由規制も利用可能期間もすべてが基本的には嫌なので、そのことについて仮の前提でお答えするというのは非常に違和感があるので何とも言えません。考え方としては、分科会長のとおり、ある意味で私どもとしての議論の延長線ではあり得ますけれども、その中で類推適用ということになったときには、結局は今の契約が更新をするのかどうかという範囲でしか物は考えられないということです。
○岩村分科会長 最初の一言でよく意味がわかりましたので、ありがとうございました。
 島田委員、どうぞ。
○島田委員 今の輪島委員の話もわかるんですが、最初に新谷委員が言ったように(6)のところでもう一度やるのかどうかは別にしても、更新回数にしても雇い止め法理にしても、労働側はいつも言っているように無期雇用が原則であるということが認められると、逆にいえばこの話は大分中身が変わってくるんです。ほとんどが無期しかなくて、有期は一部しか出てこないですという話になると、話が全然変わってしまうんです。
 ただ、今の現実からいったときにどうするかといったら、労働者からみれば有期の場合は処遇が低いのと身分が不安定ということがあるわけです。だから、そのうちの全部は取れないにしても、1つを取ろうとしたら何が一番大事かといったら、雇い止めされるかもしれないので、身分として無期雇用になることが精神的に一番大きいです。処遇は後から闘えばいいんだけれども、精神的な安心を求めるとしたら無期雇用が一番大きい。だから、労働側としてはそれを取りたいというのが大きな指針なんです。ですから、そこを明確にしないと、解雇権濫用法理にしても更新回数にしても、前提が崩れてきます。我々はそれを求めて、すべて引っかけてやらないといけないという話になると思っています。ですから、公益の先生方がそれをどう判断されるかによって、この議論というのは進み方が全部変わってくると思っています。
 もう一つ質問があるのですが、有期労働契約について、いろいろな規制をつくることによって失業率が高まるという話があります。私が思うのは多少は高まるかもしれないけれども、実際、今、有期労働契約の方を雇っているというのは必要があっておこなっているはずです。不必要な人を雇っている雇用というのは、多分今の企業ではないと思います。したがって、それがどうであろうと、規制されたとしたら、企業運営するためには何らかの対処をされると思います。それは現実にいらっしゃる社員さんに残業を課すのか、あるいは雇ってコストを再計算したときに処遇をどうするのかという世界になるか。失業率はちょっとは上がるかもしれないけれども、極端にすべてをやめてしまうという話ではないと思います。ただ、海外に出るという話になったら別ですけれども、日本国内だけを考えれば必要である雇用としてどうするかということです。そうしたら、雇用を守るため、労働者あるいは事業主がWin−Winになるためには無期の中でどうするかという話をした方がいいという意味で労働側は言っているということです。
 以上です。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 これは労側に御質問なんですが、労側のお考えは基本的には無期である。ただ、場合によっては有期で結ぶことも必要でしょうということは前にもおっしゃっていたような気がしますが、その前提にいきますと、やはり有期でいったときにも結局資料No.2の2ページのイにある更新回数あるいは利用可能期間という問題は出てくるんだろうと思うんですが、そこのところについて労側としてどうお考えなのか。具体的なことについて、現段階でお考えがあるのか。労側のお立場でもそこのところは検討の必要があるのではないかという気がするんですが、そこはいかがなんでしょうか。
○新谷委員 労側としての基本的な考え方については、まず入り口の規制については合理的な理由を必要とするということを考えております。ですから、全く有期をなくすということは考えておりません。合理的な理由があれば、入り口についてはパスを開けておくということはあると思います。
 ただ、現状のように有期労働契約が反復更新されて10年勤続とか20年勤続という方も中にはおられる。これについては何らかの歯止めをかけないといけない。そういった意味では、今回出ておりますように、更新回数であるとか利用可能期間については一定の限度を設けるべきだと思っております。
 また、1回当たりの契約期間についても、後に報告があるのかもしれませんけれども、今の延長された3年間という期間についても現実的にはほとんど利用されていないということからいっても、これはもう少し短縮する方向で考えるべきではないかということを考えているところでございます。
 それと、先ほどの雇い止め法理の更新の無効の効果についても、基本的には無期に転化をするということで考えております。それをどこで論議するかということは改めて分科会長の方で采配いただければと思いますけれども、基本的な考え方としては以上であります。
○岩村分科会長 余り分科会長が質問ばかりしているとよくないんですが、ちょっと違う観点から申し上げると、期間の定めについては、むしろ期間の定めがある方がある意味では雇用の安定にはつながるんです。期間の定があると、とりわけ期間の途中での解約は厳しく制限されますので、例えば最初から3年間の雇用の方が労働者側には保障されるという意味があると思うんですが、今、新谷委員がおっしゃったのは、それは長いので短くしろということでした。私の感じだと、むしろ短い期間の労働契約を結ぶ方が問題なのではないかという気がしたんですが、特に裁判例など出てきているものはそうですね。そこのところは労側はどうお考えなんでしょうか。
○新谷委員 基本的に我々が考えております雇用の基本というのは、期間の定めない雇用を考えておりますので、合理的な理由がある場合には有期を認めるということでありますけれども、パスは狭いと考えております。ですから、基本的に有期というのは例外的なものとして対処するということで考えているわけであります。
 期間についても、現実的に今3年というのはあるわけでありますけれども、ほとんど利用されていないということもありますし、今、有期の労働契約期間というのは相互に契約の解約というのがかなり制限されるということもあります。勿論労働者側については1年を超えれば解約できるということがありますけれども、例外的な雇用としては短縮をする形で今のところは考えているということでございます。
○岩村分科会長 どうもありがとうございました。
 荒木委員、どうぞ。
○荒木委員 労側の方で入り口規制を前回主張されており、今回更新回数と利用可能期間についても規制をすると言われております。そのときに、フランス型とドイツ型のどちらを主張されているのかを確認したいんです。すなわちフランスは入り口規制を行いますけれども、同時に更新回数、上限規制も行います。ですから、客観的な理由があっても更新回数、上限規制がかかってきます。そういうものとして御主張されているのか。
 ドイツはこれとは違いまして、2年間については客観的な理由は要らない。ですから、有期契約を自由に使っていいんですが、2年を超えた場合には無期に転化させるか、もしくは客観的な理由であれば2年を超えて更新したり、継続することができる。すなわち客観的な理由がある場合については、更新回数や上限規制をしないというのがドイツの在り方です。
 入り口規制と出口規制について両方主張されておりますが、フランス型とドイツ型どちらを想定されているのかということを確認させていただければと思います。
○岩村分科会長 新谷委員、お願いいたします。
○新谷委員 フランスなのかドイツなのかというのは、私も浅学でありまして、中身については詳細に承知していないところがありますけれども、私どもとしては入り口についての合理性を求めることとともに、回数、利用可能期間についても一定の上限を設けるべきだと考えております。
 ただ、更新回数と利用可能期間についても有期の方々も非常に多様性をもっていると思いますので、例えば定年後の60歳以降の再雇用の方々であるとか、高度専門職の方々もおられますので、勿論そういった方々の在り方をどうするか、それを例外的に扱うかどうかということについては論議をさせていただきたいと思いますけれども、基本的には入り口での合理性ということと、更新回数、利用可能期間についての一定の上限はセットで考えさせていただきたいと思っております。
○岩村分科会長 ありがとうございました。
 時間の関係もありますが、輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 更新回数と利用可能期間についてコメントしたいんですが、よろしいですか。
○岩村分科会長 どうぞ。
○輪島委員 先ほど申し上げましたとおり、雇い止め法理については日本独特のいわゆる出口の判例法理でのルールがあって、雇用形態の柔軟性の確保、労働者の保護を一体的に機能させるという点で機能していると思っておりますので、更新回数、利用可能期間についての制限は基本的に行うべきではないと思っております。これは先ほど渡邊委員がおっしゃったとおり、同じ趣旨でございます。雇い止め法理が機能しているからこそ、企業は有期労働契約の更新を重ねないようにするため、特に製造業での対応になっているのではないかと私どもとしては理解しているところです。
 そこで更新回数とか利用可能期間の制度を導入することになると、企業側の対応としては、その手前での雇い止めをむしろ誘発することに結果としてなるだろうと思っています。予測可能性が高まるがゆえにそういうパフォーマンスになる。予測可能性が高まれば高まるほど労働市場にとっては悪影響を及ぼすと考えております。そういう意味で単純な出口規制、更新回数や利用可能期間について、こういった副作用は必ず起こるということを心配している。むしろ労働者の保護に欠ける面が多いのではないかと思っております。また、ある意味で形式的かつ一律のルール化については、極めて慎重であるべきだと考えているところでございます。
 以上です。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 新谷委員、どうぞ。
○新谷委員 副作用の話は出ると思っておりましたけれども、せっかく働いていただいている労働者を短い契約期間でぶちぶち切ってしまうことの生産性の低下をどう考えるかということも併せて考えるべきではないかと思います。グローバル競争で、激しい競争の中で闘っている中で、3年経ったらまたリセット、2年11か月でリセット、また新しく教育をしてということの繰り返しがどれだけ生産性を落としているか。これは前回の論議のときにも技能の伝承の問題について申し上げたところでございますので、目先の紛争をおそれるがゆえに2年11か月の契約を更新するということのロスを経営側としてもよく考えていただければと思っております。
 もう一つ、大分戻りますけれども、先ほど使用者委員からの御発言の更新回数とか利用可能期間について反対するという趣旨の中で、訓練が低下するということをおっしゃったと思うんですが、現状では有期労働者に対して訓練が十分になされているのかということを改めて申し上げておきたいと思います。
 2月23日に能力開発局から能力開発基本調査の結果の概要というものがプレスで発表されておりまして、この中で正社員と正社員以外の方の教育投資の内容が出ておりました。過去3年間を追いかけて見ているんですけれども、いずれにしても正社員が6割近くOJTの訓練をされているのに対して、正社員以外については26%しか訓練されていない。OffJTも同じような結果になっておりまして、使用者側の委員がおっしゃるような更新回数の制限を入れれば訓練の機会が減るというのは、現状においても有期であるがゆえに投資をしないということになっておりますので、これについては私どもとしては見解が違うということをまず申し上げておきたいと思います。
 以上です。
○岩村分科会長 ありがとうございました。
 この問題は大きい話なので、今日また戻っていただいて結構ですが、差し当たり次の(4)に進ませていただきたいと思います。(4)のところでは、契約締結時の明示の在り方をどう考えるか、イのところでは書面明示がない場合の契約期間の有無の取扱いをどう考えるか、次のような考え方はどうかということで論点が提示されておりますけれども、こちらについてはいかがでございましょうか。
 輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 ありがとうございます。
 少し質問ですけれども、書面明示のない場合、ないというのはどういうふうにないのか。未来永劫ないのか、雇い入れ時にはないのか、その後は発行されるのかとか、そういうものによって大分考え方が違うのではないかと思いますが、イのところはばさっと書面明示がない場合と言うことになっておるんですけれども、その点についてどういうふうに考えるのか。時系列というかタイミングがあるんだと思いますが、その点はどういうふうに考えるべきなんでしょうか。
○岩村分科会長 事務局お願いします。
○田中労働条件政策課長 これもいろいろな考え方があると思います。仮に書面明示を契約期間について必要とする場合、労働契約の基本的な要素であるという前提に立ちますと、労働契約の締結時に書面明示をすべきだということになると思いますが、実はいろいろ実態をお聞きしておりますと、契約期間が労働契約締結後に決まるという実務もあるようであります。そういった実務も勘案しながら、仮に書面明示を求めるとしても、いつごろの時期までに求めるのかという明示の時期に関する論点も出てくると考えております。
○岩村分科会長 輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 そうすると、やはり手続上の問題で、勿論雇い入れ時に明示をするということが原則だろうと思いますけれども、例えば3日とか1週間以内に勤め始めて、あとは書類が整った段階で明示をするということのいわゆる単純な遅れということと、明示をしないということについての程度の違いというのはおのずとあるはずだと思いますので、その点での状況の違いを勘案する必要があるだろうと思っています。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 新谷委員、どうぞ。
○新谷委員 締結時の明示の内容については入り口規制の論議とも関連するわけでありますけれども、期間の定めのない雇用ではなくて、期間の定めのある雇用であるということを契約する際には具体的な理由、先ほどの入り口の論議とも関連しますが、トラブルの防止ということからいえば、まずは合理的な理由明示をすることを義務づけるべきだと考えております。
 また、期間満了のときのトラブルの防止の面からも、また、雇い止めの存在が労働者が正当な権利の行使もできないという状況を生んでいるわけでありますので、更新をしない場合にはその理由を書面できちっと明示することを法律で義務づけるべきだと考えております。
 以上です。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 ありがとうございます。
 更新をしないというよりは、期間を定めたことによって自動的に更新をしないという、その期間が有期の契約だと考えて、それが普通なのではないか。契約をしないという明示というのは、特段新たに必要なのかどうかということについては、私どもとしては非常に疑問があると思っております。
○岩村分科会長 渡邊委員、どうぞ。
○渡邊委員 雇い止めの明示とかその件ですけれども、現在、大臣告示で基準というのは既に労使で定着していると思います。そういうことで、内容についても追加の必要はないのではないか。雇い止めの明示の理由でも、使用者は労働者が更新しないことの理由について証明書を請求したときは遅滞なくこれを交付しなければならないという基準が既にありますので、それ以上のことは必要ではないと思います。
 以上です。
○岩村分科会長 宮本委員、どうぞ。
○宮本委員 今の大臣告示の件なんですけれども、本当に定着しているのかどうなのかというところで少し見解が違うのではないかと思っているわけです。
 昨年12月に大阪の労働局が「監督指導結果から見た非正規労働者の労働条件確保上の問題点」という報告書を出していますけれども、大阪府内に13の労働基準監督署があって、そこの1,860事業所を対象に監督指導をした。その結果がこの報告書に出ておりまして、63%の事業所で非正規の労働者を雇用していた。その中で非正規労働者に関わる何らかの労働基準法違反が認められた事業所というのは、全体で43%認められた、ということです。
 非正規労働者に賃金あるいはそれに類する非常に重要な労働条件を書面によって明示していない、これは労働基準法第15条違反になると思うんですけれども、あるいは適用する就業規則を作成していない、これは労働基準法第89条違反ですけれども、こういう労働条件が不明確なまま就労させている事案が多いと報告書に記載されています。
 それから、有期契約労働者に契約更新の有無、契約更新する場合またはしない場合の判断基準を明示していない等の問題も見られるという記述も報告書の中にあって、資料2には、大臣告示は既に定着しており、特段の手当は不要と記述もありましたが、大阪労働局の報告を見ると、そこのところは少し実態が違うのではないかと私は思うわけであります。まだまだ大臣告示は定着していないと思っています。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 新谷委員、どうぞ。
○新谷委員 今の件は私どもが申し上げているとおりでありまして、確かに大臣告示は出ているんですけれども、大臣告示は法的な裏づけがございません。
 また、実定法との関係でいっても、労働契約法の第4条には努力義務ではあるんですけれども、書面での条件の明示の義務づけがされていないという現状がございますので、現状から申し上げて、法律できちっとした義務づけを図るべきだということを改めて申し上げておきたいと思います。
 以上です。
○岩村分科会長 三浦委員、どうぞ。
○三浦委員 今の書面での明示の話で、それが十分にできていないという話は、大企業で労務担当の部署があるところでは、まず起こり得ない話だろうと思います。なかなか書面で明示ができていないというのは、ほかのケースを考えても小規模のところで多くなってくるということだと思います。
 今、大臣告示は定着しているということなんですけれども、これは定着に当然努力しているところでございまして、そこについていきなり法律で義務づける、小規模の企業に明確なものを義務づけるというのは、中小、小規模企業の立場としてはちょっと反対せざるを得ないと思います。もう少し告示というものを手段にして普及を図っていくべき段階ではないかと考えます。
 以上です。
○岩村分科会長 八野委員、どうぞ。
○八野委員 今のところは有期労働契約の人たちをどう考えていくのかということで、課題を投げかけていただいたところだと思います。これはすべての項目に関わってくると思うんですが、大企業で働かれている方たちがどうなのかという問題もありますが、中小企業で働かれている有期労働契約の人たちも多い。そういう中でトラブルがいろいろ発生してきているということが課題としてあるんだろうと思います。
 これは毎回発言させていただいているわけですが、例えば労働経済白書を見ていっても、年収が103万を超える部分が非常に多くなっており、主たる生計費の維持に関わっている人たちが増えてきているのではないか。そういう人たちが雇用でのトラブル、労働条件明示というところでの問題が起きてきているのではないでしょうか。
 今、確かに大臣告示はありますが、現在でもそういう問題が発生しています。ある一定の期間の中でそれができないのであれば、ここにある大臣告示というものを法文化し、民事的効力を定めるようにしていかなくてはいけないのではないかと思います。もしそれをやっていった場合、今の話でいえば大企業では問題ないということになりますから、ある一定の範囲の企業では事務等の手続、または面接等の手続が増えてくる可能性はあるということの問題です。この辺のところは、雇用をする責任と働く者が契約をした中で職務をきちんとやっていくという両方の関係が契約であると思っています。ですから、これは規制を強化するととらえられておりますが、こういうものをベースとしたものをつくっていくことが、今、重要なのではないかと思っています。これはきっと出口のところとの関係も出てくると思いますけれども、そういうふうに考えます。
 以上です。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 安永委員、どうぞ。
○安永委員 ありがとうございます。
 中小企業において守られていない理由として、物理的に手間がかかるとか担当者がいないということだけではなくて、書面で明示したくない理由があることがトラブルを生んでいるのではないかと思っています。中小企業であっても労働契約以外のさまざまな契約は、恐らく文書でいろいろな業者間でとり交していると理解していますので、物理的な問題以上に明示したくないという中身の方が問題ではないかと思っています。
 以上です。
○岩村分科会長 先ほど新谷委員のお手が挙がっていましたので、どうぞ。
○新谷委員 大企業、中小企業という話が出ているんですけれども、日本の法人数の98%以上は中小企業ですし、労働者の数もたしか9割近くが中小企業で働く方々だと思います。確かに今日この分科会に御列席の使用者側の委員の企業は当然労働条件の明示などはされていると思うんですけれども、問題になるのは大多数の中小企業で働く労働者にどのような手当ができるかという視点で考えていくべきだと思っております。中小企業の方々は管理部門になかなか人が割けないという事情もおありになるかと思いますけれども、やはりルールはルール、きちっと雇用の基本的な関係は守っていただく。そのためには大臣告示といった法的な裏づけのないものではなくて、きちっと義務化をするべきだと考えているところです。
 以上です。
○岩村分科会長 輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 今の点は法的な裏づけということですけれども、労働基準法上に基準を定めると書いてあるわけですから、法的な裏づけがないということではなくて、きちんと裏づけがあるだろう。それに基づいて監督署が指導に入っているだろうと思っておりますので、その点はそういうふうに考えております。
 それから、大企業、中小企業という整理は余りせずに、基本的には労働者の保護をどういうふうにするかのという点は重要だと思いますので、規模別に分けて大企業だからできるというのは適切ではないと思います。そこで何が欠けているのか、つまり一番最初に申し上げたように不合理、不適正な利用というのは何なのかというところは議論する必要があると思っておりまして、その点についての問題、課題があれば整理をするという視点で議論をすることが必要ではないかと思っております。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 もう一点、資料No.2の3ページの(5)で有期労働契約の終了、雇い止め等に関する課題ということで、雇い止めの予告あるいは雇い止めの理由の明示の在り方をどう考えるかということがございます。これもある意味では最後の出口のところの話だと思いますけれども、この論点についてはいかがでございましょうか。
 新谷委員、どうぞ。
○新谷委員 (4)のイのところ、書面の明示のない場合の取扱いについてどう考えるかということでありますけれども、労働契約というのは非常に重要な契約内容でございますので、契約内容の明示がないということであれば、期間の定めのない契約に転化することを盛り込むべきだと考えております。
 ちょっと戻って済みません。
○岩村分科会長 とんでもありません。ありがとうございます。
 輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 直接関係がないのかもしれませんが、先ほど労働側の御主張のところで1つ確認をさせていただきたいと思います。ずっと違和感を持っていたのは、正規社員と非正規、有期というところの用語としての整理みたいなものが必要なのではないかと思っていたのですけれども、島田委員、新谷委員がおっしゃった期間の定めがないというのは、今の統計上は常用非正規になるような、無期というところだけで、例えばパートタイマーでイメージをすると、期間の定めのない直接雇用で時間給となるわけです。それは正規なのか非正規なのかというのは、別に正社員をたくさんにしましょうというわけではなくて、無期であればいいということで理解をすればよろしいんでしょうか。
 ちょっと項目と外れてしまって申し訳ありません。
○岩村分科会長 常にその問題はあります。この場は有期なのか期間の定めのない契約なのかという議論をしているのか、それとも正規、非正規の議論をしているのかというのは、どうしてもそこは交錯するのでやむを得ないところはあるんですが、もし労側で現時点でのコメントがあればお願いできればと思います。
○新谷委員 正社員とか非正規ということは重要なテーマではあるんですけれども、過去の様々な研究会の中でも正社員についての定義というのは厳格になされていないと思います。よく言われるのが期間の定めのない雇用で、フルタイムで働いておられて、かつ長期雇用を前提とした処遇を受けている労働者という定義づけらしきものはあるんですけれども、それは普遍の定義なのかというと、そうでもないと思います。ですから、これからも正社員かどうかということが出てくるのかもしれませんが、ここでは雇用の期間が有期なのか無期なのかという切り口で今後の検討を進めていってはどうかと思います。
 以上です。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 例えばパート法の中の均等処遇というところになってきますと、正規という表現ではないので非常に難しい形での定義をしていることはございます。しかし、それはあくまでも均等処遇との関係で出てくる。ですので、ここでもその議論ということになってくればあるんでしょうけれども、少なくとも今のところは契約の形態としての有期か期間の定めのない契約かというところでの切り口で議論をしているということだと思います。
 今、論点としてお願いしている3ページの(5)、例えば雇い止めの予告とか理由の明示の在り方については、少なくとも現状では有期契約でありますので、期間の定めがない場合、到来すれば当然終了ということになって、あらかじめあなたの場合は期間がいつにきますという予告は予定されていませんし、また期間が満了すれば当然終了ですので、こういう理由で終了しますということも予定はされていないということになります。そこのところをどう考えますかというのが、ここでの論点になると思います。
 新谷委員、どうぞ。
○新谷委員 現在、大臣告示の中では労働者からの請求があれば雇い止めの理由について開示をする、交付をするということになっておりますけれども、これも先ほど来申し上げておりますように、あくまでも大臣告示という扱いでございますので、これについても法制化をしてきちっと義務化をするべきだというのが我々の考え方であります。
 以上であります。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 この項目について特段御発言がなければ、後でまた戻っていただいても結構です。先ほど途中で切らせていただいて、先に進行しました資料No.2の2ページの更新回数や利用可能期間、雇い止め法理のところにまた戻っていただいて御議論いただくということで結構でございますが、いかがでございましょうか。
 伊丹委員、どうぞ。
○伊丹委員 質問です。(4)のイになるんでしょうか、先ほど新谷委員がおっしゃっていましたが、書面明示を法制化することにこだわる意味というのは、基本的な事項がない場合には期間の定める意思のないものとして取り扱うという、ある種法的に振り子が振られるような措置につながるのか、例えば後からでも十分に合意形成できるものであれば、それはそれでいいということで、書面を明示する義務の強さ、規範の強さみたいなものをどう理解すべきなのかというのがよくわからないので、もし先生方の中でその辺の意味合いについて、幾つか解釈があるのであれば教えていただければと思います。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 荒木委員、どうぞ。
○荒木委員 労働契約の期間については、労基法の15条で書面明示が罰則付きで定められております。なぜこういう議論をしているかといいますと、これはあくまで取締法規として罰則により実効性を図るということでございまして、書面明示をしていないけれども、口頭で期間の定めがあるという合意をしていたら、民事上は期間の定めがあったものとすべきなのか、それとも口頭の合意であってはだめで、期間の定めについては書面明示をしないと民事上も期間の定めがない契約として扱うべきか、それが論点になってくるということです。ここでの最初のものは書面を明示していなかったら、期間を定める意思がないものとみなすということで、無期みなしとしてしまおうというのが1つの点です。
3ページの冒頭にあります労働契約は口頭でも成立するものでありというのは、書面明示の有無と期間の定めについての合意というものは直結せず、有期という合意さえあれば、書面がなくても有期契約と認めようという問題だと思います。後者の方は、もともと契約というものは日本の民法の大原則ですけれども、諾成契約、すなわち口頭でも合意があれば契約は有効に成立という大原則をそのままもってくると、合意があればそれは有期の契約として扱う。ですから、それを修正するとすれば、書面明示がなければ有期ではなくて無期とみなすという新たな立法をしなければ、そういう効果を直ちに導くことはできないので、それをどうするかという議論がなされているんだと思います。
○伊丹委員 その際に、基本的事項といってもいろいろ条件があるわけで、最終的に締結事由とか出口の問題を含めてこれから議論があるとは思うんですけれども、1つ、2つの不適格なものがあったときに、そういうものはどういうふうに扱われると考えたらいいのか。つまり有期だといっていても、実態としてどう有期であるかについての条件が必ずしも明確に提示されていなかった場合に、そのことがどの程度無期として解釈されることになるかがよくわからないんです。法制化されたときのきつさ、法制化されてしまったときにどういう問題が起き得るのかという意味です。
○岩村分科会長 仮に法制化したときに、ある意味で有期契約として成立するための書面の交付なり何かが必要であるといったときに、有期契約としての成立の要件として、何を書いておく必要があるか。そこの考え方に基本的には帰着するんだと思います。ですから、例えば有期契約だと書いてあれば有期契約なんだという定め方も論理的にはあり得るでしょう。期間の定めは別に口頭でもいいですというのもあるとは思いますが、それでは余り意味がないということになれば、やはり有期と書いた上で一体期間の定めはいつなのか、何なのかということについてまで書かないと、要するに有期契約成立の要件は満たしていないと考えるということもあるだろうと思います。
 先ほど荒木委員が説明されたように、原則的に我が国の場合は口頭の約束でもいいということであります。そうすると、逆にいえば口頭の約束だけでは成立しないということについて、法律上どこまで明確に定めるかによって、そこは基本的には決まってくるということだと私は思います。
○伊丹委員 そうすると、明示を法制化する、しないという議論だけではなくて、何を法制化するというところがやはり明示する意味でも問題になってくる。明示する、しないというのは、気持ち的には労働側が言っている予測可能性の議論として法制化して縛りをかけた方がよいように思うかもしれませんが、結果として何を明示することがいいのかという議論をしない限り、それがどういう作用を起こすかというのはなかなか想像しにくい。そういう意味で、単純に法制化するか、しないかという議論だけをしていても、必ずしも効果につながる議論にならないのではないかという意味で、これはもう少し慎重に考えてもいいと思います。
○岩村分科会長 おっしゃるところはそうなんだと思います。ただ、他方で、先ほどの例を仮の例として挙げたら、要するに有期契約ということだけ書面としてやっておけばいいという考え方をとったとすると、期間の定めのところは口頭での約束になって、そうしますと、これは労使双方にとって非常に不安定な状況になります。つまり紛争になったときに、そこは期間をいつに約束したかということを、それぞれが有利な方向に主張してということになり、法的安定性という観点からすると、非常に不安定なことになってしまうことがあると思います。
 八野委員、どうぞ。
○八野委員 明示の点ですが、今、御発言があったように、明示さえすればいいというだけの問題ではないと思っています。内容というものが非常に重要になってきます。そういう考え方からすると、例えば非常に短期間で有期を雇っている企業もあると思いますし、何回も更新しながらやっていく場合があります。そういったときに、例えば突然の雇い止めの問題だとかそういうものが発生することがトラブルになるわけです。そういうものは、今、分科会長も言われたように、労働側からしてみると有期ということで期間を切った雇用ということですから、それがどれだけの期間なのか、またはそのときの働き方がどうなのか、そういうものが実際はなければ有期労働契約というものが発生しない。それは非常にあいまいな雇用契約になってしまうと思っています。ですので、労働者の観点から見ても、またはその人たちを雇う観点からしても、こういう契約をきちんとしていくことはお互いにとってプラスになる。しかし、それが守られていないので、有期労働契約のところについてはこういう大臣告示というものが出てきて、紛争をなるべく防止していこうという課題があったのではないかと思っています。それでも紛争がなかなか防止し切れないということに対して、どうしていくのかということが問題になっています。定着しているということが文章で入っていますが、定着の意味というものの解釈の違いが出てくるんだろうと思います。
 また、この議論をするに当たっても、先ほど経営側はすべてに反対だと冒頭言われました。私はそこに対しては非常に問題意識を持ちますし、今の柔軟性と法制が一体化しているとは思っていません。そうでなければ、労働条件分科会というこれだけのメンバーが集まって重要な時間を使う必要はないとも私自身は考えます。ですので、すべてのものに反対なんでしょうけれども、一つひとつのところにどういう問題点が現状あるのか、それをもし解決するのであればどうあるべきなのかということも御意見として今後いただきたいと思います。
 以上です。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 新谷委員、どうぞ。
○新谷委員 また(5)のところに戻るんですけれども、先ほど予測可能性の話の論議があったんですが、企業にとっては雇い止めが適法になされるかどうかということでの予測可能性を注目されているということでありますけれども、労働者にとっては自分が次に雇ってもらえるのか、更新されるのかどうかということになるわけであります。そういった意味では、次の期間が近づいてきたときに、自分が雇い止めをされるのか、更新されるのかというのは労働者にとっては重大な問題でございます。現在でも大臣告示で一定の有期労働者に対しては事前の雇い止め予告をするということになっているんですけれども、これは法制化、義務化するとともに、労基法の予告手当と同じように、予告がなければ30日分の予告手当の支給をするべきだと我々は考えておりますので、この点についても申し上げておきたいと思います。
 それと(5)のイの部分で、契約終了に際しての経済的支援の必要性についてどう考えるかという論点をいただいているわけでありますが、これについても有期労働契約の在り方の際に、総論のときにも申し上げたと思いますけれども、今、雇用変動リスクというのはすべて労働者の側が負っている。期間を定める契約をされることによって需要変動リスクをすべて労働者が負って、そこで契約が切られてしまうということであります。ですから、リスクとリターンというのは本来であれば均衡させるべきだと思っておりますので、契約終了時に例えば終了期間満了手当のようなリターンをきちんと支払って、リスクとリターンをきちっと均衡させるべきだと考えておりますので、申し上げておきたいと思います。
 以上です。
○岩村分科会長 輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 ありがとうございます。
 確認ですけれども、今、新谷さんがおっしゃったのは、雇い止め予告手当と終了手当は別のものだということですか。そういうことなんですね。
○新谷委員 はい。
○輪島委員 わかりました。そのことについて私どもはもう少し具体的なイメージをつかんだ上で、内部でも検討したいと思っておりますので、今、どの方向性だと明確にお示しをすることができないので、近日中にお答えをしたいと思います。
○岩村分科会長 いずれにしろ(5)のイのところは、次回の予定でございます。
○輪島委員 今のところで、現行の制度ですけれども、新谷委員がおっしゃった雇い止めの直前のところで更新されるかどうか不安を持つということですが、今、制度上は現契約をするときの前に更新可能性について明示をするということになっていると理解をしておりますが、それでいいのかということと、実態はどういうふうになっているのかということだけ事務局にお答えをいただければと思います。
○岩村分科会長 田中課長、お願いします。
○田中労働条件政策課長 おっしゃるとおり、以前資料でも出させていただいておりますけれども、有期労働契約の締結更新及び雇い止めに関する基準という告示を出させていただいている中で、契約締結時については、使用者は期間の定めのある労働契約の締結に際し、労働者に対して当該契約の期間の満了後における当該契約に係る更新の有無を明示しなければならないと書いております。輪島委員がおっしゃるとおり、契約締結時に更新の有無を一旦しっかり明示させることになっておりまして、この旨、指導させていただいているという状況でございます。
○輪島委員 今、新谷委員がおっしゃったところは、実態はそういうふうになっていないから、労働者としては不安を感じるので、そこについてという御意見だと思えばいいんですか。
○岩村分科会長 新谷委員、お願いします。
○新谷委員 大臣告示での明示事項というのは、今、事務局から御説明があったように、更新の有無の明示と更新する際の判断基準の明示にとどまっていると思います。今の雇い止めの予告というのは、更新されていって、次に実際に自分が更新されるかどうかということに関する予告を言っていますので、締結時の更新がある、なしの明示の問題ではないということです。
○岩村分科会長 そうすると、告示でいう2条のところで、契約を3回以上更新しまたは雇い入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者で、あらかじめ更新しない旨を明示されている者を除く人についてということです。そういう場合は更新されるか、されないかというのはよくわからないという御趣旨ですね。
○新谷委員 そうです。
○輪島委員 一度チャートか何かを書いて、どこに問題があるのかという整理が必要ではないかと思います。
 あと、実態です。明示されているのかどうかというところは、やはり気になるところなので、その点は必要だろうと思います。それは事務局にお願いしたいと思います。
○岩村分科会長 事務局、お願いします。
○田中労働条件政策課長 済みません。そこら辺は有期労働研究会の調査でも1回御紹介した数字があるので、次回少しまとめて御紹介したいと思います。
○岩村分科会長 そのようにお願いいたします。
 大分時間が迫ってまいりましたけれども、御発言よろしゅうございましょうか。ありがとうございます。それでは、有期労働契約の議題について、本日は以上にさせていただきたいと思います。
 特にこちらとしては「(2)その他」というのは用意してございませんが、よろしゅうございましょうか。
 それでは、事務局の方で何かございますでしょうか。
○田中労働条件政策課長 次回の労働条件分科会の日程につきましては、調整の上、委員の皆様にお知らせしたいと考えております。よろしくお願いいたします。
○岩村分科会長 そういうことでございますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、議事録の署名委員でございますけれども、労働者代表につきましては工藤委員、使用者代表につきましては輪島委員にお願いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、本日はお忙しい中、どうもありがとうございました。

(了)

労働条件政策課
企画係(内線5353)

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