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2011年2月23日 第85回労働政策審議会労働条件分科会 議事録

労働基準局労働条件政策課

○日時

平成23年2月23日(水)
16時00分〜18時00分


○場所

中央合同庁舎第5号館
厚生労働省共用第21会議室(17階)


○議題

2011年2月23日 第85回労働政策審議会労働条件分科会 議事録

・日時
 平成23年2月23日(水)16時00分〜18時00分

・場所
 厚生労働省専用第21会議室(17階)

・出席者
【公益代表委員】
 荒木委員、岩村委員、田島委員、廣見委員、村中委員、守島委員

【労働者代表委員】
 工藤委員、島田委員、新谷委員、中島委員、八野委員、宮本委員、安永委員

【使用者代表委員】
 伊丹委員、芳野委員代理、田中委員、三浦委員、宮地委員、輪島委員、渡邊委員

【事務局】
 金子労働基準局長、渡延審議官、前田総務課長、田中労働条件政策課長、
青山労働条件政策課調査官

・議題
 1 有期労働契約について
 2 その他

○岩村会長 それでは、定刻でございますので、ただいまから「第85回労働政策審議会労働条件分科会」を開催させていただきます。
 今日は、公益代表の大沢委員が御欠席でございます。
 また、使用者代表の高尾委員の代理としまして芳野さんに御出席をいただいております。よろしくお願いいたします。
 まず、議事に入ります前に、定足数につきまして、事務局から御報告をいただきたいと思います。
○労働条件政策課長 定足数について御報告いたします。労働政策審議会令第9条により、委員全体の3分の2以上の出席、または公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされておりますが、本日はいずれの数も上回っております。定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。
○岩村会長 ありがとうございます。
 それでは、早速、議事に入りたいと思います。お手元の議事次第に従って進めることといたします。今日予定しております議題は「有期労働契約について」でございます。前回の分科会でおおむね御了承をちょうだいしました各論の検討項目につきまして、本日から順次御検討をいただきたいと存じます。今日は、有期労働契約の締結、そして終了に関する論点につきまして御議論をいただきたいと考えております。事務局で資料を用意していただいておりますので、まず、それにつきまして説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○労働条件政策課長 それでは、私からは、資料1〜資料3まで御説明いたします。
 まず、資料1は、前回、第84回の本分科会で御説明し、おおむね御了解いただいた各論の論点項目のうち、今回及び次回の2回程度で御議論いただく予定の部分につき、四角囲みをしたものです。
 この囲みの部分、契約の締結及び終了に関する論点につきまして、今回及び次回の御議論の参考資料として、資料2を事務局で用意させていただいております。資料2の1〜3ページには、あくまで例示でありますが、各論点項目に関する考え方の例を整理させていただいております。また、その次の別紙1、別紙2については、今後における議論を効率的に進める観点から、事務局で作成させていただいたものであります。
 その次の資料3は、前回の資料提出の御指示があったもののうち、今回の議論に関わる部分についての追加提出資料でございます。
 それでは、資料2、資料3につきまして、若干の時間をいただき、事務局から説明をさせていただきます。
 資料2の(1)〜(5)のそれぞれの四角囲みの部分は、資料1の四角囲み内の論点項目に対応するものでございます。資料2では、それぞれの論点項目につきまして、整理の便宜上、ア及びイという形で更に項目分けをした上で、幾つかの考え方を掲げさせていただいております。ごく簡単に内容説明をさせていただきます。
 (1)のアは、有期労働契約が増えている実態と、その影響に対する理解についての考え方の例でございます。1つ目は、雇用の不安定化や待遇格差などの問題側面を指摘する考え方であり、ポツの2つ目は、多様な雇用機会の提供や失業の抑制といった側面を強調する考え方であります。
 (1)のイは、有期労働契約の機能、課題や、在り方についての考え方の例であります。1つ目のポツは、有期労働契約の問題解決のために、有期労働契約を例外的な場合にのみ認める考え方でありまして、2つ目は、有期労働契約をそうした例外的なものではなく、労使双方の合意で選択される働き方として位置づける考え方であります。
 なお、ここで労使双方という場合、個別の労働者と使用者を念頭に置いております。
 3つ目は、我が国において中長期的に見込まれる労働力供給制約の下での労働力の有効活用の観点から、有期労働契約の適正な利用が必要だという考え方であります。
 4つ目は、有期労働契約における雇用契約の期間の短さや、その反復継続の実態から生じる課題でありますが、雇用継続などの予測可能性が低くなっているという指摘があり、これを高めていく必要があるとの考え方であります。
 次に、(2)でございます。この論点項目につきましては、アの締結事由の問題と、次のページになりますが、イの更新回数、利用可能期間についての問題等に項目分けをしております。これらは相互に関連するものではありますが、一旦分けて考え方を例示してみております。
 まず、1ページの(2)のアの締結事由の問題でございます。1つ目は、有期労働契約の締結には、契約期間の定めをする合理的な理由を必要とするという考え方でありまして、2つ目は、そうした合理的な理由の必要性の有無を含めて、締結事由については、労使自治に委ねることが適当とする考え方でございます。ここでの労使自治は、個別企業の労働組合と使用者の関係のような労使関係に基づく話し合いといったことを念頭に置いております。
 3つ目と、次のページの4つ目は、仮に締結事由を何らかの形で限定するとした場合の影響についての考え方であります。3つ目では、契約期間の定めのない契約による雇用機会が増加し、雇用の安定化などにつながるという考え方であるのに対し、4つ目は、これとは逆に、締結事由の限定によって、経営者が雇用に慎重になって、雇用機会の減少、失業増加につながるという考え方であります。
 次に、(2)のイの更新回数、利用可能期間の問題です。1つ目は、更新回数利用可能期間について、一定の限度を定め、これを超えて有期労働契約を反復継続した場合には、期間の定めのない雇用とするルールを設けるべきとの考え方でありまして、2つ目は、こうしたルール化するのではなく、労使の話し合いに委ねることが適当であるとの考え方です。
 3つ目と4つ目は、仮に更新回数、利用可能期間についての上限がルール化された場合の影響についての考え方でありまして、3つ目では、期間の定めのない労働契約への転換が促進され、雇用の安定化などにつながるという考え方であるのに対し、4つ目は、これとは逆に、更新回数、利用可能期間についての上限手前での雇い止めの増加などの問題が生じることで、雇用の不安定化や能力開発、処遇改善面でも悪い影響があるとの考え方でございます。
 次に、(3)は、判例法理である有期労働契約の雇い止め法理の問題です。同法理の明確化についての考え方を示しています。事務局としては、これまでの議論で雇い止め法理は既に定着をし、有期契約労働者の保護に一定の役割を果たしているという認識は共通の認識として受け止めさせていただいておりまして、その上で、その明確化に向けた今後の取扱いについての考え方を例示させていただいております。1つ目が、更なる定着を図るため、同法理の内容を法制化すべきとの考え方であり、2つ目が、一層の周知は必要であるが、法制化は不要との考え方であります。
 次に、(4)は、労働条件明示などの有期労働契約締結時の手続に関する課題についてです。前々回にも御説明したとおり、労働基準法上書面明示が義務づけられている労働契約の期間に関する事項のほか、大臣告示において、有期労働契約の締結時には、契約更新の有無や、更新の判断基準などにつき、使用者が明示するよう定められています。
 (4)のアは、こうした大臣告示に示された事項につき、今後どのように取り扱うかに関する考え方の例でございまして、1つ目は、契約締結時の明示事項の追加や、明示義務を法律に規定することなどの強化を図る考え方でありまして、2つ目は、現行の大臣告示が既に定着しており、特段の手当は不要とする考え方です。
 (4)のイは、契約期間についての書面明示がない場合の取扱いについてです。現在は、書面明示がない場合でも、契約期間がこれによって変更されるような法的効果は定められていませんけれども、この点につき、1つ目は、書面明示がない場合には、使用者に期間を定める意思がないものとして取り扱うべきとの考え方であり、2つ目は、特別の法的効果を発生させることとするのは実務の混乱を招くとの考え方でございます。
 次に、(5)は、有期労働契約の終了時に関する課題です。(5)のアは、有期労働契約の終了時における明示事項についてです。有期労働契約の終了時についても、現在、大臣告示において、雇い止めの予告の必要性や、予告すべき時期、雇い止めの理由などを明示する必要性を定めています。この点に関する今後の取扱いにつきまして、1つ目は、これらを法律に規定することなどの強化を図る考え方でありまして、2つ目は、現行の大臣告示が既に定着しており、特段の対応は不要とする考え方であります。
 (5)のイは、雇い止めの予告などの手続に加え、契約終了に際しての経済的支援などの必要性についてであります。1つ目は、有期労働契約者の雇用の不安定さを踏まえ、使用者が経済的支援などの措置を講ずべきとする考え方であり、これに対して、2つ目は、一般制度である雇用保険のほかに特別な制度を設ける必要はないとの考え方です。
 (6)のその他は、念のための記載でありますが、以上の(1)〜(5)の各論点は相互に関連するものであり、その点に留意しつつ議論を進める必要があるということ。
 また、以上のほかにも検討を要する論点などが存在し得るということを書かせていただいております。
 別紙1でございますが、各論の検討に当たっての参考資料であります。この1の部分は、今回の論点を図にしてイメージ化したものでございますので、ごらんいただきたいと思います。
 2の部分は、各論の検討を通じて考えられる共通の視点を念のため3点ほど示させていただいております。
 ?は、有期労働契約者の多様性を踏まえますと、今後の議論においても有期契約労働者の全般に着目した議論か、特定の属性に着目した議論かを明確にしながら進めていく視点が必要ではないかということ。
 ?は、契約の実態面、すなわち契約内容自体に変更を加えるようなルール整備を念頭に置いた議論なのか、あるいは手続面、すなわち契約内容を明確化することなどを目的とした明示などの手続の改善を念頭に置いた議論なのかを明確にしながら進めていく視点が必要ではないかということ。
 ?は、仮に一定のルールを設ける場合に、その履行をどのような形で担保するかという点も併せて念頭に置いておく必要があるのではないかという視点でございます。
 次の別紙2は、今の?の視点については、更に今後順次検討する論点ごとに峻別しながら議論を整理していく必要があるのではないかということ。また、実態面や手続面の双方に関係したり、あるいは両者の枠組みに当てはまらない視点もあり得るのではないかということから、事務局として試みに作成したものでございます。今後の議論にお役立ていただければと思っております。
 次に、資料3にまいります。前回に指示された追加資料のうち、今回の論点に関わるものとして、無期労働契約から有期労働契約への契約切り替えに関する裁判例を資料化しております。4件ほどの裁判例を取り上げておりますが、前の2例は無期から有期への切り替えを有効とした裁判例でありまして、あとの2例は、これを無効とした裁判例でございます。詳細な説明は省略させていただきますが、いずれも個別の切り替えの必要性、あるいは当事者の言動等に関する事実認定を踏まえ、判断がなされた形となっております。議論の参照としていただければと思います。
 私からの説明は以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございました。
 それでは、これから意見の交換に入りたいと存じます。今日、議論をお願いする論点につきましては、次回も引き続き議題とすることを予定しております。ですので、今日はとりわけ前半の項目、すなわち(1)の有期労働契約の機能や実態、それから、(2)として有期労働契約の締結事由や更新回数・利用可能期間、この2つについて重点的に御議論をいただきたいと考えております。それでは、御質問、あるいは御意見などありましたら、お願いをしたいと思います。
 まず、新谷委員、どうぞ。
○新谷委員 各論の論議に入ります前に、前回の分科会で輪島委員から、私どもから提出いたしましたアンケート結果の内容などにつきまして詳細な御質問をいただきました。時間の関係で前回お答えし切れておりませんので、今回、簡潔にお答えしてから各論に入らせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○岩村会長 よろしくお願いいたします。
○新谷委員 前回、輪島委員から何点か御質問いただきまして、特に、「公務直接雇用の部分で不払残業が多い」とか、賃金の変化について、「公務部門ではとりわけ処遇が上がっていないのではないか」という御質問をいただきました。これについて、前回も冒頭に御説明いたしましたように、私どもが実施したこのアンケートについては、雇用形態として公務直接雇用の方も含まれているということをお断り申し上げたと思います。結果の分析に当たっても、雇用形態別にそれぞれ記載しています。公務直接雇用を除いた部分も雇用形態別に出ておりますので、そちらを見ていただければと思っております。
 また、働き方の選好度として何を一番望んでいるかということで、なぜ非正規で働くことを選んだのかという設問では、「正社員としての働き口がなかったと」いう回答が一番多かったわけですが、充実を希望する制度としては、賃金・一時金の充実を求める声が多くて、正社員になりたいという声が一番多いわけではなかったということをどのように見るのかという御質問をいただいております。
 これについては、働き方を選んだ理由の中でも、労働時間や労働日が自由に選べるからという回答も多く、労働時間や労働日を自由に選べるという働き方は現状では正規雇用では実現しないという現実もあり、正社員になれる制度を望む声が一番ではなかったのではないかと推測をしているところでございます。
 賃金についても、賃金への不満は、正社員との関係で分析をしたのかという御質問をいただいたわけですが、これについては、別の項目で、自らの賃金について、正社員との比較においてどのように感じているかという項目もございますので、そちらをごらんいただければと思っております。
 いずれにしましても、これは中間報告という形で資料を提供させていただきましたが、今月末に正式な報告書として、冊子としてまとまる予定でございます。必要であれば改めてお渡ししたいと思っております。
 もう一点、伊丹委員から非常に貴重な御指摘をいただいたわけでございまして、非正規労働者の組織率、労働組合の組合員になっている率について御質問いただきました。集団的な労使関係を構築することが大事ではないかという趣旨の中でいただいたと思っております。細かな数字がそのときになかったわけでございますが、調べましたところ、有期労働契約の方に絞ったということではございませんけれども、厚労省の労働組合基礎調査の中に、パートタイム労働者の推定組織率が出ておりまして、2005年に3.3%だったものが、2010年には5.6%へと増えております。また、私ども連合への加盟組合員の中では、パート組合員は、2005年に26万3,000人だったものが、2010年には62万4,000人と把握しております。これは今後の論議の中で重要なポイントになるかと思っておりますので、改めて正確な数字をお示ししたいと思っております。
 以上であります。
○岩村会長 ありがとうございました。
 では、輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 ありがとうございました。 
資料を提出いただいた趣旨として、総論を議論している中で、労使で共通認識をつくるということがあり、それの事例として御提供いただいたと理解しております。私どもも関心を持って拝見したところですが、事実関係としてそういうことがあったのだろうとは思いますが、使用者側の考え方が記述には入っていないので、それが事実なのかどうかということについては、もう少し検証してみる必要があると思います。
 しかしながら、読ませていただく限り、現行法制で対応できるものがかなり含まれているのではないかと思っています。この点に関して、前回、厚生労働省事務局に、今のところ企業に対する指導等でカバーができるのではないかという点で整理をお願いしておいたかと思いますけれども、その点も含めて、事務局から御回答いただければありがたいと思います。
○岩村会長 では、事務局、お願いいたします。
○労働条件政策課長 今、輪島委員から御指摘あったように、この項目については、労働者の申立ての内容から項目立てしているということで、実際の事実関係がどうかというのは、なかなか詳しくわかりません。それぞれの事案がどのルールで、あるいはどういう形で解決されるのかということは、勿論、当事者がどのような解決を望むかによっても随分異なってきますので、個々に選り分けて、事務局なりに判断するような作業はなかなか難しいだろうと思いまして、個別には申し上げられない部分が多いんです。
 全体の中身を見ますと、我々もいろんな労働基準関係法規のルールを的確に周知して、労使の方々に、いわば高位規範として機能するように努力しているんですけれども、現行法制の下におけるルールの周知などをしっかりやって、労働者の保護の観点を進めていかなければならないような部分もあるんではないかと思う一方で、例えば、雇用終了に関する予測可能性が必ずしも十分でないために紛争が生じてしまっているように感じるような事例など、そういったものもあるように思います。後者の場合は、ある程度新しいルールといいますか、そういった整備によって、紛争予防とか早期解決が可能となる面もあるのではないかと感じております。
○岩村会長 ありがとうございました。
 輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 ありがとうございました。
 今日の資料2の別紙1ですけれども、2の「各論の検討を通じて考える共通の視点」で、八野委員からも御指摘をいただきましたが、有期で働いている労働者全体のことを考えるのか、または事例でいただいている労働者保護に欠ける部分、不合理、不適性という位置づけなのかどうかわかりませんが、特定の属性に着目した議論という整理の中で理解をして議論をしてまいりたいと思っています。
 以上です。
○岩村会長 ありがとうございます。
 では、八野委員、どうぞ。
○八野委員 この問題は、使用者側も労働組合側も、本当に実態というものをつかんでいるのかというところは課題としてあるんだろうと思っています。私どもで言えば、前も言いましたように、パートの組織率が50%を超えているという状況の中で、制度を整えているところと、そうではないところでの労働条件の格差というのはかなりあるように思われます。また、先日、総務省が発表した労働力調査も、有期というとらえ方ではないですが、非正規の労働者が増えているという結果でした。加えて、1年以上失業している人たちも多く、若年層も多いという課題があることは、今の実態としてきちんととらえていかなくてはいけないだろうと思います。
 もう一点、有期労働契約の機能、実態をどのようにとらえるのかというところでございます。私自身は、今まで厚生労働省が調べたものや労働政策研究研修機構が出されたものを詳しく見れば、もっと多くの実態が明らかになるだろうと思っています。ここの部分をお互いにどのように理解するかによって、今後の話し合いはかなり違ってくるだろうと思っています。
 今回の労働条件分科会が始まりまして、有期労働契約に関する実態調査の報告書が説明されました。事業所調査では、有期契約労働者を雇用している理由として、「業務の中期的な変動に対するため」というものが38.9%、「人件費を低く抑えるため」というものが37.7%、「業務量の急激な変動に際して雇用調整ができるため」というものが24.3%となっています。労働政策研究研修機構の調査でも同様な報告がなされています。有期労働契約の労働者がかなり恒常的に働いているということ、そしてかなり広い範囲で働いているという実態が示されているということでございます。
 それを働く側から見た場合、どういう問題点があるのかということを押さえておかなくてはいけないと思っています。これには5つあります。まず、不安定な雇用であり、2つ目に、低い賃金、労働条件と処遇格差。3つ目に、容易な労働条件の切り下げ。例えば、雇用契約を更新するときに、雇用を継続するのか、労働条件を下げるのかという選択を迫られるという場合があります。さらに、権利行使の問題です。有期契約労働者の立場は、使用者との間で力関係にかなり違いがあると思います。加えて、困難なキャリア形成という問題が5つ目にあると思っています。
 例えば、処遇の格差ということでは、仕事を主としている非正規労働者は、63%以上が年収200万円未満です。また、非正規労働者で主な家計の担い手となっている方は42.6%です。若者の非正規労働者が増加していることが課題として挙げられるのではないかと思っています。
 このように、有期労働契約の機能、実態をどのようにとらえるのかということで見ていくと、もう少し詳細に整理をして次の議論に入っていく必要があるのだろうと思っています。
 以上です。
○岩村会長 ありがとうございます。
 輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 ありがとうございました。
 八野委員に御質問を1点だけ。最初のお話の恒常的に働いている実態という御指摘と、問題点を5つ挙げられた中の最初の不安定な雇用という御指摘について、我々の見方として、安定的な雇用形態で運用されているのではないかという認識があり、そこの違いが出てきてしまうのですが、どう考えればよろしいでしょうか。
○八野委員 自分も詳細に見てきているというわけではないのですが、業種、業態ごとに有期労働契約の位置づけが、かなり違っているのではないかと思っています。ただし、事業所調査の結果に出ていたと思いますが、契約を煩雑にしたくないために、6か月とか1年の有期契約期間を設けているということもあったと思います。ですから、経営側の方々も、自分たちの企業ではどうであろうかということを見る必要もあるのではないかと思います。
 以上です。
○岩村会長 新谷委員、どうぞ。
○新谷委員 前回も輪島委員がおっしゃっていて、非常に違和感を覚えたところなのですが、有期の方々の雇用が安定しているという認識が使用者側におありになるんではないかと思っていまして、これは世の中の認識とちょっと違うんではないかという気がいたします。職業安定局でデータを取っていると思うのですけれども、例えば、離職者の前職が正規と非正規で失業率がどれくらい違うのかとか、客観的なデータで一度はっきりさせておかないといけないのではないかと思います。
 また、この資料について申し上げたいのですけれども、(1)のアの2つ目のポツのところで、安定的な雇用に向けたステップとしての雇用という考え方が示されています。前回も、非正規から正規へというルートが一体どれくらいあるのかというデータを示してほしいということを申し上げたと思います。OECD諸国との比較では、日本はとても低い数字になっています。
 八野委員も触れられた、総務省の労働力調査の詳細集計のデータが一昨日、公表されています。22年度の離職者の状況を見てみますと、前職が非正規で正規に移った方の割合が本当に少ないです。147万人のうち30万人しか正規に移っておらず、非正規から非正規へというのが、147万人のうち116万人というデータになっております。ですから、安定雇用に向けたステップということを、何を根拠に書かれているのか、何かデータがあればお示しいただきたいと思っております。
 以上です。
○岩村会長 では、輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 統計数字をどう評価をするのかというのが共通認識だと思いますので、整理をする必要があると思います。
 私の意見ですけれども、多くの有期労働契約は安定的に運用されていると私は思っております。先ほど八野委員が引用した事業所調査も、事業主の7割が雇い止めの経験がないというのが事実です。労働者の方も、有期の特徴ですけれども、長く働くことを望んでいる。使用者側も実は長く働くことを望んでいる。
 ただし、そこで引っ掛かるのが、有期労働契約という雇用形態をどうして使っているのかということに尽きるのだと思います。例外的な事態、つまり、リーマンショックのことは100年に一度と言われましたが、100年に一度ではなくても、事業の変動に対応するときのための例外的な事態のために、雇用調整ができる、そういうことに備えるために活用している側面があるわけで、正社員の解雇ルールが極めて厳しく規制されている中、無期労働契約を終了する際の紛争のリスクを回避することが合理的な使用者の行動とならざるを得ないと考えています。ゆえに、100年に一度の例外的な事態以外の、いわゆる普通のときは、合理的期待に反する有期の雇い止めは大量には発生していないと思っています。今日の議題の締結事由規制を入れることによって、かえって良好な雇用機会が失われるのではないかと思っています。
 前回の資料4のような事例で、いろいろな事例があるのかもしれませんけれども、多くの問題は現行法制で十分カバーができると考えているので、そういう意味で締結事由規制という新たな規制を入れる必要はないと私どもは思っています。
○岩村会長 ありがとうございます。
 今、(1)の話から(2)の話も踏み込んでいるということでございますが、順番は特にこだわりませんので、適宜お願いしたいと思います。
 では、工藤委員、どうぞ。
○工藤委員 今の問題ですが、我々は安定的に運用されているかどうかを論じているんではなくて、安定的に雇用されているかどうか、要は、雇用形態として安定した雇用かどうかということを問題にしています。7割が雇い止めがないということですが、逆に言えば3割が雇い止めがあるわけです。そういう見方から、雇用形態として安定していないのではなかろうかと考えているということを御理解いただきたいと思います。
 そもそもなぜこの問題が議論されているのかというとことに尽きると思うのですが、有期契約労働者がかなりおられて、社会的にいろいろな問題が起きているという実態があります。企業側から見ても、企業の成長というのは人、人材にかかっているはずです。安定的な成長の中に置いて人を育てて、企業も発展させていかなくてはいけないだろうということを考えると、今、いろいろと起こっているような問題は解決していかなくてはならないと考えております。雇用の原則は期間の定めのない雇用であるというところを起点としてものを考えていかなくては、安定した成長や企業の発展は起こらないのではなかろうかと思っております。この辺、いかがでしょうか。
○岩村会長 三浦委員のお手が挙がりました。どうぞ。
○三浦委員 今の有期雇用が不安定かどうかという問題ですけれども、中小企業の立場から1つだけ申し上げておきますと、リーマンショックの後の雇用調整をせざるを得ない、人員削減をせざるを得ないとき、特に30人未満の小規模企業の場合には、雇用調整として有期契約の人たちだけが行われたということではなくて、むしろ小規模層だと正規雇用の人たちを辞めてもらわざるを得なかったという実態があるわけです。規模の違いがあるかどうかということもありますけれども、少なくとも有期のみが不安定雇用であってという認識は違うんではないかと考えております。
○岩村会長 ありがとうございます。
 それでは、お願いいたします。
○安永委員 使用者側の委員の皆さんのお話を伺っておりますと、10月の分科会では使用者側委員から、新興国との競争の話が出されておりましたし、何度も繰り返して更新を重ねるケースのお話など、その理由として、有期労働契約の活用によって例外的な雇用調整をしたいということだけではなくて、処遇の差を納得させるために契約期間を有期としているというふうにも聞こえてしかたありません。また、雇用調整するときには正社員を先にするという話は、正社員の方が処遇がいいので、コストカットのために先に雇用調整するのだというふうにも聞こえます。
○岩村会長 では、新谷委員、お手が挙がっていました。
○新谷委員 今、三浦委員から雇用調整の実態のお話がございまして、確かにそういう面もあったかと思います。ただ、厚生労働省の労働経済動向調査によると、リーマンショック後に雇用調整を実施した事業所の中で、どのような手法で雇用調整を実施したかということでは、一番多かったのが、派遣労働者の削減という手法を使った事業所が20%近くあります。その次に多かったのが、臨時、季節、パートタイム労働者の再契約の停止、解雇で、その次が、今、お話にあった希望退職等の募集、あるいは解雇です。このような傾向が、世の中を全体的に見たときに現われているものかと思っております。やはり、派遣であるとか、パートタイマーのような有期の方から先に職を失っていくという実態があるのではないかと思っております。
 また、今回の論点ペーパーの中では、有期労働契約の機能とか課題をどう見るかという項目がありますが、なぜ増加したのかという視点を共通認識として持つ必要があるのではないかと思います。今、結果として非正規の方が34%を超えていて、我々の認識ではそのほとんどの方が有期契約だろうと思っておりますけれども、なぜ非正規なり有期契約の方々が増えてきたのかというところの分析をしておかないといけないのではないかと思います。
 経営側は異論があるかもしれませんけれども、トレンドで見ていくと、90年代の半ば以降、非常に増えてきたと考えています。90年代の半ばといいますと、御承知のとおり、当時の日経連が「新時代の日本的経営」の中で、例の雇用ポートフォリオを発表された時期と重なります。企業内の労働力を3つのカテゴリーに分けて、いわゆる雇用柔軟型というグループでは有期契約の労働者をどんどん入れ換えていくということが書かれ、現実もそのように動いていたと思います。これは我々の認識だけではなくて、その原因の1つがそこにあるのではないかとおっしゃる研究者もおられます。なぜ有期契約労働者が増えたのかということも一緒に考えていただけないかなという感じがいたします。
 以上です。
○岩村会長 ありがとうございます。
 それでは、宮本委員、どうぞ。
○宮本委員 先ほど三浦委員がおっしゃったとおりだと私も考えています。しかし、一方で、今度、正社員の立場で非正規の方々のことを見てみると、今、正規社員は、長時間労働でメンタルヘルスの不調者もどんどん増えています。こういう人たちに、なぜそこまでしてその会社に雇用されようとするのかという話をすると、今ここでワーク・ライフ・バランスも考えない長時間労働を嫌がって退職すると、次に正社員の道がないんだという回答が返ってきます。つまり、非正規に対して、先ほどから言われるように、雇用の不安定さだとか、労働条件が正社員と相当の格差があるという認識がある。だから、自分の人生設計の中で、正社員から離れたら、もう後はないんだと、まさにがけっぷちのところで長労働時間に耐えて、メンタルヘルス不調になっても休まずに働いている。こういう労働者が極めて、多くなっているのではないかと思うわけであります。
 それから、2ページの(2)の最後のポツですけれども、締結事由の限定により、経営者が雇用に慎重になって、雇用機会の減少等があるという考え方が書いてあります。確かに100年に一度のリーマンショックのようなことがあれば別ですけれども、通常、特にものづくりの現場から言うと、人への投資、それも長期的に一人ひとりの労働者に対する投資を考えると、やはり有期ではなくて無期契約でしっかりとスキルアップの機会を与える、あるいは職業訓練をしていく、そういうことが中小企業の経営に今、求められている最大の課題です。大田区の中小企業の経営者、あるいは東大阪の経営者の方々に聞いても、そういうような回答が返ってくるのではないかと思っています。私も実際に多くの中小企業を歩いていますが、非正規、あるいは有期雇用の方々は極めて少ない。それはなぜかというと、ハローワークに対しても、あるいは学校に対しても、正規の求人を出しています。即戦力ではなくて、10年後、20年後に我が社の基幹社員になってもらいたい、そういう中小企業の経営者がたくさんいるということを私も聞いております。
 それから、前回の分科会で裁判事例を出してもらいたいと申し上げたのは私なものですから、このことについてコメントさせていただきたいと思います。事務局の方々には無理な注文を聞いていただいて感謝を申し上げたいと思います。
 しかし、この裁判例を見ても、全体のトラブル件数からすると極めて少ないと思います。このような裁判は、結審まで行くというより、むしろ途中で和解が多くあるようなことなのだろうと推察をしています。無期契約から有期契約への切り替えや、あるいは有期契約の更新時に、そもそも事業主が当該労働者に対して説明が不十分であるということ、加えて、事業主が当該労働者に対して、実情に合わないような説明をしたりして、当事者間で労働契約の切り替え、あるいは契約方針に対する認識のギャップがあるのではないかと思っています。そのことがトラブルの原因になっていて、裁判に至ったり、あるいは労働相談に至ったりしているのではないかと思っています。このような現在の状況は有期労働契約に関するトラブルを未然に防止するという観点からすると、やはり問題が多いのではないかと私は思っております。
 以上です。
○岩村会長 ありがとうございます。
 輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 共通認識になるかどうかですが、リーマンショックのときもそうですが、非常事態での業務量の劇的な変動に対応するため、企業活動の維持、継続のために、一定の雇用調整は必ず必要になるという点について、労働者側には御理解いただけるものなのでしょうか。
○岩村会長 島田委員。
○島田委員 多分、一部としてそれは存在するかとは思うのですけれども、先ほど申し上げたように有期契約の全体なのか、部分なのかというと、多分、部分だと思うのです。製造業と小売業とはまた違うわけです。もともと小売業は正社員でやっていたものが、正直申し上げて、コストを下げるがためにパートに置き換えていって、もうパートが8割、9割、正社員が2割の世界です。国内産業ですから、人がいれば潰すことはなく、そういう意味では長期雇用です。ただ、問題は、人がその中で変わっていく可能性があります。中年の方がアルバイトでやっていたのが、お子さんが育ったときに正社員になれるか、あるいは逆にお子さんができるので辞めますという世界があるために、その方がよかったし、賃金も安くて済んだ。それで処遇格差をつけるというのがあると思います。
 一方、製造業においても、3時間、4時間の方を雇って、ピークのときの対応をしたいがために、有期契約でやりましょうというケースもあるのだろうと思います。本当の生産現場の場合には、繁閑期の調整弁という面は多分あるのでしょう。ですから、それを分けて考えていくべきでしょう。
 今の非正規と言われる方の、特にパートのほとんどは小売やサービス業がメインです。リーマンショックのときに製造業の期間従業員が目立ったのですけれども、実際は小売りやサービス業でほぼ安定雇用に近い世界での有期雇用、有期契約が多いのではないかと思います。それを見ると、無期契約にしてしまっても実態は余り変わらないではないかと思います。ですから、概念的な雇用のバッファというものは存在するのかもしれないけれども、多分、今、何千万人と言われる中の一部しか該当しない部分ではないかという気がしています。
○岩村会長 輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 非常に本質的な御指摘だと思います。そこを分けて議論する必要があるのだろうと思います。ただ、経営の本質的なところでの業務量の急激な変動については、製造業であれ、サービス業であれ、例えば、地主側が店舗を閉鎖してマンションを建てるからと言えば事業所閉鎖になるので、そういう意味での事業の変動に対するリスク回避について御理解をいただけるのかどうか。それを出発点にして、島田委員おっしゃったような業種、業態によって、それから、サービス業の実態のところで、議論を深めなければいけないと思いますけれども、そこも本質的に少し分けた議論になるのではないかと思いますが、いかがですか。
○岩村会長 まさに本質に関わるところで、なかなか即答と言っても難しい部分はあろうかと思いますが、今の論点は、この問題を考える上では非常に重要なポイントだろうと思います。また、業種、業態によってもそれぞれ違うというのも、今、御議論いただいている中では、ある程度共通に御認識はあるのかなと思います。その上で、労側の方で、今の輪島委員の投げかけに対して、お答えがあれば。
 では、新谷委員、どうぞ。
○新谷委員 答えということではないのですけれども、確かに今後、有期労働契約を論議していく際に重要な指摘だと思っております。ただ、今も島田委員が発言しましたように、有期労働契約の方の中にも非常に勤続年数が長い方もおられて、この方々の解雇なり、雇用の権利をどのように守っていくかといったときに、今回の論点ペーパーの中にもありましたけれども、雇止め法理との関係でどのように考えるか。同じ労働者として雇用されている労働者がいて、一方で長期の勤続になっている方々もいる。この方々について、あくまでも有期なのか、実質的には期間の定めがないのかという点をどのように判断していくかというのは、次の雇止め法理のときも出てまいりますので、ここで一緒に論議をしていただいたらどうかなと思います。
○岩村会長 若干議論を整理できればと思うんですが、今日、事務局でつくっていただいた資料の別紙2で視点を整理していただいていますけれども、有期契約の機能、あるいは実態をどう見るかという議論の中で、今、島田委員や輪島委員から出てきた議論としては、例えば、小売業の場合だと、有期契約である意味では安定的な部分がある。しかし、他方で給料のところはどうかということになると、今日お配りいただいた別紙2で言うとA−2のところに関わる問題であろうということになるでしょうし、輪島委員がおっしゃっていた経営上のいろんな変動に対するリスクというものの回避行動ということからすると、これはA−1のところに関わる論点であるとか、あとはそれぞれ業態によって、そこのところが安定的なのかどうかというところは、A−1のところに関係してくる、業態ごとにそういうところが違うんでしょうというような議論の形式になっていて、そこである程度、労使双方の認識が一致するところもあれば、なかなか双方の意見が寄っていかない部分もあるということかなと思っております。
 今、どちらかというと、1番目の実態とか機能というところについてかなり御議論をいただいているわけで、それは続けていただいていいんですが、他方で、もう一つ、今日の論点としては、締結事由、あるいは更新回数・利用可能期間ということもありますので、適宜そちらの方にも話を持っていっていただければという気もいたします。先ほど少し議論が出ていましたけれども。別に機能、実態のところの議論をやめろという趣旨では全然ありませんが、今日はそちらの方もありますのでということでございます。
 田中委員、どうぞ。
○田中委員 多少、機能、実態の議論に近いところかもしれませんが、有期労働契約という雇用形態の果たしてきた役割をどう評価するのかという点につき、認識を共有化させていただきたいと思っております。雇う側の一方的な理由で有期労働契約というものが増え続けこういう実態ができてきたというお考えも確かにあるとは思いますが、一方で、働く側のニーズをとらえて、それにあう雇用の場を創出してきた結果、有期労働契約という雇用形態が確立してきた局面もあるのではないかと思います。
 例えば、事業には盛衰や繁閑があります。有期労働契約がこういった事業のバッファとして使われてきたという議論が先ほどより、ずっとされてきましたけれども、世の中の流れ、例えば、労働マーケットの構成の変化や法律の変化に対応するために、有期労働契約という雇用形態が「入口」として機能してきた面もあると思います。60歳超雇用の議論がされたときを考えても、法律ができたら、すぐにすべての会社で正社員で全員定年延長かというと、雇用側もなかなかそうは準備が行きませんし、働く側も、御健康のことを考えたり、人生設計を考えて、まずは1年、そして次の年も。というようにステップを踏んでいく選択肢もほしい。というニーズもおありになると思います。これらの結果として、有期労働契約による再雇用という形でのスタートを切られている会社もかなりあると思います。
 また以前には、一旦家庭に入られた女性が、次の仕事に就かれる際の「入口」として、有期労働契約という雇用形態は、雇用側にとっても、雇われる側にとっても、ひとつの選択肢として機能したのではないでしょうか。先ほど来、女性の方が多いというお話をいただいていますけれども、やはり、家庭に入られた女性が久しぶりに仕事に復帰されるにあたっては、最初は家族の都合で働ける時間や業務の内容を選んだ結果、パートタイムや派遣者員からスタートされたという局面もあると思うのです。
 事業だけではなくて、労働マーケットの構成や、人口構成、時には法律が大きく変化していく流れの中で、有期労働契約が担ってきた役割や意義というものを再認識する必要があると思います。先ほど工藤委員が原則全部無期から議論すべきではないですかという御意見をおっしゃっていたのですが、いまは事業も労働マーケットも法律もかなりのスピードの中で変化しています。今後またどういう変化が起きるか、わからない点も多くあります。こういったことを考えると有期労働契約という今日形態が、役目を終えてしまったという視点で、議論させていただくのか、あるいはやはり、変化への対応という視点で、フレキシビリティといってもいいかもしれませんが、ひとつの選択肢として意義を持つ雇用形態として認識をして議論を進めるのか、労働側委員の御意見を伺わせていただきたいと思っております。
○岩村会長 それでは、今、お2人お手が挙がっておりますので、八野委員からお願いをいたします。
○八野委員 今のところをどのような時間のタームでとらえるかということもすごく重要なところだと思っています。1つは、例えば、私たちのような小売業では、ある程度の限られた時間働くということであったり、ある程度補助的な業務であったりというところで、働く機会を増やしていったということはあると思うのですが、先ほど島田委員が言ったように、その根底には、やはり人件費削減という問題があったと思っています。
 もう一つは、今の雇用情勢を考えたときに、皆さんも御承知のように、今年の新規学卒者の内定率は相当低いという状況にあります。今、若年労働者の失業や、若年労働者の非正規労働の増加という問題点が生まれてきているのだと思います。そのときに、問題なのは、有期労働契約から正社員にステップアップしようという道筋が余りにも狭過ぎることです。正規社員への登用制度がある企業もありますが、実績はかなり低いのが実態です。そういう意味で、ある機能を果たしてきた時代と、これからの機能を考える上では違いが出てきているのだろうと思っています。
 加えて、雇用労働者の3分の1が非正規労働者であるという実態はこのままでいいのだろうかとも思います。働くことは、「社会の窓口」という言葉もあるように、ある意味、社会を知ることでもあります。安定した雇用の中で働ける、そして処遇の格差がないということも重要なのだと思います。非正規労働者は、本当に公平、公正な考え方の中で処遇がされているところは少ないと私は思っています。そういう面を有期労働契約の中でどのように考えていくのかという視点も必要なのではないかと思っています。
 また、企業の経営のいろいろな状況の中での判断というときに、経営の判断が雇用に及ぼす影響もケース・バイ・ケースでしょう。
 実態として、有期を先に切っていくということがやはり行われることについては、業務の繁閑の差や、経営戦略的なことがあったとしても、やはり労働組合ですから、雇用についてはこだわるところがあります。それがなぜ行われるのかということは一つひとつ問うていかなくてはいけないと思います。
 以上です。
○岩村会長 島田委員、どうぞ。
○島田委員 ほとんど八野委員が言われたとおりだと思います。今までの有期労働契約の役割というのはあったと思いますし、それは僕らも認めているところです。要するに、雇用は守れたという側面があるのは事実だと思います。
 ただ、有期契約労働者、非正規と言われている部分と正規の違いは何かといったら、僕らはなるべく非正規などと言いたくないわけです。みんな労働者であって、何が違うかといえば、有期契約というのは、結局、経営者の皆さんに更新を拒否できる自由が与えられていることだけだと思うのです。要は経営側から辞めさせる自由があるか、ないかだけだと思うのです。正社員というのは、無期雇用ですから、何かの理由がないと自由には辞めさせられない。有期の場合との違いといったら、それだけなのです。処遇は後で考えればいい話で、実態として違うのはそこだけしか多分ないと思います。それが雇いやすい理由、それが輪島さんの言われる繁閑の差になる部分だろうとは思うのです。だから、それはある程度認めざるを得ない部分もあるかもしれないけれども、本当にそれが今の日本においてあるかといったら、それほどではない。そうであれば、有期契約は一部にしかないようにする方法を考えるべきではないかというのが僕らの考えです。
 要するに、無期雇用にしても余り変わらないのではないですか、処遇のやり方を変えればいいではないですかということです。働く時間が短いのだから、転勤できないから、仕事の内容が違うから、このぐらいの賃金の差があるし、退職金も差がある。処遇をやり直せばいいわけです。無期であるかどうかは、労働者側の安心感になるわけです。何かあったときには先に解雇されるかなという感覚はあるけれども、いつでも自由に辞めさせられるということに関しては、ストップをかけるということで、労働者としては安定した働き方になっていくと思います。
 だから、この時代になってきたら、そろそろ変えていかなければいけないのではないか。「非」という言葉を使うような働き方は多分ない方がいいのだろうなという考えです。
○岩村会長 たくさん手が挙がっているので、労側にもう一方発言いただいて、それで輪島委員とさせていただきます。
 では、中島委員でよろしいですか。お願いします。
○中島委員 今、田中委員が、女性が育児を終えて、パートで出られる方が増えているので有期雇用も意義あるということをおっしゃっていましたけれども、正社員が時短制度で働ければ、皆さん、そのまま継続して働けるということもあります。それが有期か無期かという話ではなくて、たまたま自分の生活に沿った働き方が有期のパートしかなかったから、それを選んだということが実態としてあると思います。正社員でそういう働き方ができれば、それがいいということがあると思います。逆に、今後、女性の労働力をしっかり定着させていかなければいけませんし、また、60歳以降の方も、日本としてしっかりそれを労働力として生かしていくことも必要です。そのためには、もう少し働くということの魅力を高めるためにも、有期労働契約に対する不安とか、やりがいのないというところを一緒になって考えていかなければいけないのではないかと思っております。
 その点で、もう一つ、有期契約の方を受け入れている職場の実態についてもお伝えしておきたいと思っています。職場全体、そして企業の競争力というところへの影響もあるのではないかと思っています。特に製造現場の職場には、正社員の方、有期の方、女性の方、60歳以降の方、皆さん一緒になって働いています。生産活動において高付加価値のある仕事を生み出していくためには、いろいろな方が一緒になってやっていかなければいけないという仕事をしておりますので、チームワークが重要なキーワードです。でも、今、有期契約の方と一緒に働いていると、やはり処遇の違いとか、不安を持って働いていらっしゃるという背景もあるために、職場の中で少し壁ができたり、お互いの協力関係がうまく得られなかったりするような状況が生まれていたりします。職場全体のモチベーションというところで、かなり影響が出ているというのが職場の実態でございます。
 このような懸念に対して、企業としては、今のやり方がなかなか安定的にうまくいっているのではないかという御発言もあったかと思うのですが、職場実態を見ると、やはり少しひずみも出てきていますし、そこを変えていくことが必要だと思っています。職場の中のひずみを解決していかないと、経営の競争力、世界に対する競争力の強化にもならないのではないかと私は思っております。
○岩村会長 ありがとうございました。
 それでは、輪島委員。
○輪島委員 ありがとうございます。
 幾つか御意見を伺って、感想なのですが、島田委員がおっしゃっている御意見と、これまで伺った労働側委員の御意見のニュアンスが違うように聞こえるのですが、島田委員がおっしゃるのはむしろ私もよくわかるような気がします。何が違うのかよく考えてみたいと思っています。
 そこで、締結事由規制の件で、先ほど工藤委員がおっしゃった点なのですが、それはすべてを正規労働者にすることにつながると思うのですけれども、そういうことを狙っていると理解してよろしいのですか。有期契約労働者は例外の扱いでということと、島田委員がおっしゃっている、有期契約で長くなっている人たちを無期契約にしようというところとはニュアンスが違うのか、よくわからないのですが、期間の定めのない直接雇用が原則だと言って、ゆえに有期契約は例外だから、締結事由を入れましょうという御主張をされていると理解していいのですか。
○岩村会長 それでは、お尋ねなので、工藤委員、お願いいたします。
○工藤委員 やはり雇用の原則は期間の定めのないものが基本であろうと考えています。その前提の下に、有期労働契約については、それなりの理由なり、働き方の特徴なり、そういうことを定めていくことが必要なのかなと考えております。
 有期の人たちが主たる生計者であったり、若者が多くなってきているということで、本当にこの国を支えていけるのだろうかというところが一番大きなところです。これから先、どんどんグローバル競争の中で戦っていかなくてはいけない中で、技術の研さんをしていく上においては、安定した雇用の中できちっとして、技術を蓄えながら、人との関係も含めて能力を向上させていくのが基本であろうと思っております。ですから、そこをまずは前提とした上で、有期での雇用をしなくてはならないときには、どのような条件なのだというところをやっていくべきであろうと考えています。
○岩村会長 ありがとうございました。
 では、輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 そこでよく私どもの考え方と整理をしなければいけないと思っています。主たる生計者と若者の問題はあると思います。ただ、主たる生計者で、正社員になりたいと思っている人と、今のまま仕事をしていきたいと思っている2人がいるときに、締結事由規制を入れることによって、1人はハッピーになるけれども、1人は不幸な目に遭うような一律の規制、締結事由規制を入れることによって、本当におっしゃっているような目的が達成されるのかどうかがよくわからない。今の基本的な法律の立てつけは契約事由でありますし、労働契約の合意原則をどう考えるのかと思うと、どうしても締結事由規制を入れることに違和感を持たざるを得ないと思っています。
○岩村会長 新谷委員、どうぞ。
○新谷委員 輪島委員の御指摘は、また元に戻ってしまうのですけれども、有期労働契約の実態をどう見るか、これを一体どのように評価するかに関わってくると思います。先ほども機能なり意義なりという話が出てきたのですけれども、多様な有期の方々がおられると思いまして、退職されて再雇用されている方もおられれば、育児のために辞められて、また職に就く方もおられる。若者の方もおられる。これらをどのように評価するか、という1点では、例えば、女性の労働者のうち、半数以上が有期労働契約になっています。そして、女性労働者の正規と非正規の割合を年齢別にプロットしてみると、35歳以上の方は非正規の方が多くなっています。そういう実態をどのように見るのかということがあると思います。
 実は、入口の問題も最近増えてきていて、例えば、ある女子大の場合には、新卒の求人がほとんど有期でしか来ないといいます。要するに、入口ですら既に有期化が起こり始めているという現実があると思います。
 日本の社会は、今まで20年間停滞していると言われていますけれども、今日この審議会におられる方々がまだ若者の時代、我々も若者の時代は、日本は本当に中流社会といいますか、本当に厚みのある中間層が日本のまさしく国内消費を支えて、日本が豊かになってきた時代だと思います。しかし、今、非正規の方がこれほど増えてきていて、雇用の不安定があって、かつ、どのような機能を果たしてきたのか。例えば、契約が同じ契約であったらどうだったのか。同じように無期だったときに、こんなに処遇格差ができたのだろうかという問題があると思うのです。現実は、男性で、同じ年齢で正規雇用と非正規では、賃金は半分以下です。これが同じ契約類型だった場合に、こんな格差は認められるのだろうか。それを考えたときに、有期契約が果たしてきた社会的な機能というのは、格差の合理化を進めるための機能があったのではないかということを考えておく必要があると思います。ですから、本当にこのままでいいのかということが、立ち返って考えるべき原点ではないかと思います。
 そういった意味は、入口規制の話になってきますけれども、我々は、あるべき雇用の姿というのは期間の定めのない直接雇用と考えておりまして、合理的な理由がない限り、有期については締結の規制を入れるべきだというのが我々の考え方です。
 なぜ期間の定めのない雇用なのだという御指摘もあったのですけれども、例えば、企業の経営を考えていただきたいのです。企業の経営というのは1年ごとに経営しますか。企業の経営というのは、1年で区切って、1年で清算するわけではありません。反復更新をするわけではありません。企業というのは永続的な発展を願って事業活動をやるわけです。その中で労働力の構成がなぜ1年単位なのか、あるいはなぜ半年単位なんだというところとの整合性が全然取れないのではないか。永続的な発展を願うのであれば、そこに働く労働者も当然、期間の定めのない雇用が中心になるべきではないかと考えております。全部を無期にしろなどと言っているわけではないのです。ですから、合理的な理由があれば有期を認める、合理的な理由がなければ無期が基本である、これが我々としての考え方ということです。
 以上です。
○岩村会長 ありがとうございます。
 では、輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 半分ぐらい理解をして、最後、結論のところの、どうして締結事由規制なのかがわからないのですが、締結事由規制を入れるということは、少なくとも、ある一定程度の有期契約は認めるということでいいわけですね。そこのところで言うと、求職者支援制度ですか、今度、国会に出ていく、そういう制度によって、一つひとつ雇用政策で上げていくということは重要だと思うのですが、一律に締結事由規制を入れることが本当にメリットがあるとは到底思えない。そういう意味では、島田委員がおっしゃったような、産業、企業ごとの事情によって対応するということを別途考える必要があるのではないかと思っています。
 それから、余り議論になっていないのですけれども、締結事由規制については、ヨーロッパの経験があると思うので、そこの検証をもう一度する必要があるのではないかと思っています。結論から言うと、どうも成功した事例はないのではないか。締結事由規制を入れて労働市場が混乱したという事例は聞きますけれども、労働側委員が意図するような結果にはなっていないのではないかと理解をしています。
 もう少し戻りますけれども、そもそも有期契約という働き方を悪いと決めつけているところがどうしても違和感を持つところで、労働者側のニーズも一方ではあるのではないかと思っています。締結事由規制という非常に副作用が大きいものを入れて、実際にワークするのだろうかと思っておりまして、労使が智恵を出して、他の方法によって問題を解決する仕組みを模索するべきではないかと考えているところです。
○岩村会長 ありがとうございます。
 それでは、八野委員。
○八野委員 今の議論のところは、有期を考える上で非常に重要なところだと思っています。例えば、今、更新回数が何回もあって、何年も働いている方がいらっしゃる産業の話だとか、そういうのも出てきましたけれども、そういう中で、業種や産業で分けて考えていくという発言もありましたが、我々がここでやっていくのはそういうことではないだろうと思います。やはり雇用全般、有期労働契約全般を見て、どのような条件をつくっていくのかということが重要だと思っています。というのは、これから先を見ていったときに、今の業種、業態がそのまま続くのかということはクエスチョンマークがつくでしょう。大きく、例えば、製造業とか、サービス業とかということで分けることはできるかもしれませんが、その間の産業や、間の業態も今後出てくるだろうと思っています。
 基本的には、雇用の原則は無期であるということがここで確認ができるかどうかということは非常に重要なことだと思っています。今日の冒頭でも、雇止めの問題だとか、実態がよくわからないというような話がありましたが、要するに、6か月や1年単位という雇用がある限り、そこでのトラブルは必ず発生するでしょう。例えば、労働条件の引き下げの問題や、雇止めの問題です。それが大きいか、小さいか、または本人の確認が取れるのかどうかというところで課題が出てくるのだと思っています。
 無期を原則としたとしても、働き方の中で短時間で働く者が出てきたり、ある程度専門職種で短い時間で働く者があったりします。これは、有期契約が存在するからそれができるのではなくて、無期の雇用の中で働き方を考えていくことも非常に重要ではないかと思っています。
 先ほどから何度も言っているように、非正規の人たちが主たる生計維持者になって、年収200万円以下の人たちがこれだけ増えてきているという実態をどうとらえていくのか。例えば、非正規と非正規の人たちが世帯を組むということも考えられます。200万、200万で400万。それで子どもを育てていく。更新がその都度あって、次の更新がどうなるのかわからないという不安を抱えている。このような実態をどう考えるのか。企業経営という観点もあると思いますし、私たちの労働組合という観点もあると思いますけれども、社会という観点からも我々は見ていかなくてはいけないのではないかと思います。そういう意味での雇用の安定、働きやすさ、そういうものを考えていかなくてはいけないのではないかと思います。
 以上です。
○岩村会長 では、芳野委員代理、お願いします。
○高尾委員(代理:芳野氏) 今、八野委員からお話ありましたが、その前に、賃金の低い人たちが結婚した後の生活をどうするのか、これは社会的に重要な問題ですけれども、そのために締結事由の規制をすべきかどうかというのは、冷静に考える必要があると私は思っていて、社内でも国の法律でも一緒だと思いますが、ルールを決めてしまいますと、どちらかの方向へ自然に流れていきます。
 ちょっと気になったのが、輪島委員が言われた、締結事由の規制に踏み切ったヨーロッパで失敗しているという言葉が引っ掛かっておりまして、それがいかなる事例なのかというのは全員でシェアしておくべきではないか。できたら、こちらサイドからの御説明ではなくて、公益委員の方々から、ヨーロッパの事例というのは、輪島さんがちらっと言いましたけれども、どういった事例があるのかという御説明をいただいてみるというのはいかがでしょうかと御提案差し上げます。
○岩村会長 八野委員、どうぞ。
○八野委員 ヨーロッパの事例を我々で認識するということはいいと思うのですが、そのときに、有期労働契約のことだけではなくて、それに伴うセーフティーネット、社会保障がどうなっているのかというものを見ることが必要だと思います。例えば、入口規制がなくても、不安定な部分を社会的なセーフティーネットが支えているという場合もあると思います。また、失業状態になったときの所得保障やキャリアを積む職業訓練のために、社会保障として国の費用の中からお金が出て、次の雇用の場へとステップさせるという国もあります。有期労働契約の規制については、1つの国の例を単に失敗と見るのか、あるいは、こういう社会的な基盤があるので、このような形を取っても大丈夫だったというふうに見るのか両面がありますので、そこはきちんと併せて共通認識としておくべきだと思います。
 以上です。
○岩村会長 ありがとうございます。
 多分、EUの事例については、前の有期労働契約の研究会でも扱われたんではないかと思うんですが、その点、事務局で御紹介いただけますか。
○労働条件政策課長 ファイルの中に82回の資料として有期労働契約研究会報告書、資料4−2ということで綴らせていただいておりまして、それの11〜12ページにかけて、締結事由の規制に関する記述がございます。12ページの真ん中から下の辺りに、締結事由の部分について、ドイツとか、フランスとか、スウェーデンのことが紹介されております。
 少し読み上げますと、12ページの1段落目の下から6行目の半ば辺りからドイツの紹介がされておりまして、ドイツは判例において有期労働契約の締結に客観的事由が必要という判断がされたということでございます。その状況の下で、労働市場の硬直化による雇用、失業問題が深刻化し、その後、高失業率に対する雇用促進策として、立法で、一定期間内であれば客観的事由を要しないとして締結事由規制が緩和されたとされております。
 それから、フランスでも、法律上限定列挙されている締結事由が失業対策のため拡大されたという経験もあります。
 なお、フランスについては、別途御報告しましたとおり、法律で雇用契約の無期の原則が規定されている国でございます。
 その次の段落で、やや法律的、技術的な問題ですけれども、上から3行目、フランスにおいては、実態としては、従事する業務が法律で規定された締結事由に該当するものであるかをめぐって争いが生じており、その解決のためには最終的に司法の判断を仰ぐこととなるとの報告があったというような記述がございます。
 それから、もう一国、スウェーデンのことですけれども、これは12ページの下から5行目の半ば、なお書きですが、なお、スウェーデンにおいても締結事由規制を設けていたものの、事由の拡大と、それに伴う規制の複雑化、実効性が問題となり、制度改正が行われ、一般的には事由を問わずに有期労働契約の締結理由を認めた上、その濫用行的利用を制限すべく、利用可能期間に上限を設ける規制に移行しているところであると、このような形で3国ほどの紹介がなされているということでございます。
○岩村会長 ありがとうございます。
 新谷委員、どうぞ。
○新谷委員 今、事務局から有期労働契約研究会の報告について説明をいただいたんですけれども、ドイツの取り上げ方について、この報告が出された直後に、有力な労働法学者から、この取り上げ方が非常に偏っているのではないかという御指摘もされているところでございます。研究会の報告に書かれているからといって、これがすべての評価だということではないということを申し上げておきたいと思います。
○岩村会長 ありがとうございます。
 それでは、芳野代理人。
○高尾委員(代理:芳野氏) ドイツの事例の評価は確かによく勉強しないといけないですけれども、ただ、これを聞きますと、簡単に締結事由の規制を決めるというのは逆の結果になってしまわないか。我々、雇用を考えなければいけないサイドも、雇用できなくなってしまうとなると、これは大変なことになってしまいますので、よくよく慎重に海外の事例を踏まえた上で議論すべきではないかと、そういう認識はシェアすべきではないかというふうに御提案をします。
○岩村会長 ありがとうございます。
 では、新谷委員。
○新谷委員 よく勉強することについて全然異論はないのですが、ただ、契約形態が無期なのか、有期なのかによって雇用ができないというご主張がよくわかりません。今回の論点ペーパーの中にも、2ページ目の一番上に出ていますが、締結事由の限定によって、経営者は雇用に慎重になって、雇用の機会の減少、失業の増加につながると書いてあるのですけれども、仕事が目の前にあって、企業が活動するに当たって労働力が必要だということであれば、どんな雇用形態であっても、人を雇わないと事業が遂行できないわけです。有期の規制があるから雇用が減少するというロジックが客観的に立証されたものかどうかというのは慎重に見極める必要があると思っております。
 以上です。
○岩村会長 たくさん手が挙がっていますので、順番に、まず渡邊委員に御発言いただいて、それから、島田委員、芳野委員、そういう順番でお願いしたいと思います。
○渡邊委員 私は事務局に質問なんですけれども、欧米の場合、特にヨーロッパの場合、外国人労働者の問題が結構あると思うんです。私、観光、あるいは業務などで行っていると、特にイギリスのホテルなどはほとんど全員外国人みたいな感じで、雇用形態はよくわからないですけれども、ほぼ有期ではないかと思うんです。自国民と外国人労働者の問題はどうなっているのか、その辺のところをお聞かせ願えればと思います。
○岩村会長 事務局、どうでしょうか。
○労働条件政策課長 外国人労働担当ではないんですが、ヨーロッパの中で外国人というのはどういう定義をするかがちょっとわからないんですが。
○渡邊委員 イギリスの場合ですと、イギリス人以外は外国人だと思う。全部EUですよね。今、EUになった東欧圏の人たちが結構多いですね。そういうのが働いてきているというのが実態だと思うんで、それを外国人労働者と言うかどうか。ドイツの場合ですと、トルコの人が多いですね。
○岩村会長 どうぞ。
○労働条件政策課長 EU圏内の問題は複雑で、一言で答えられないんではないかと思います。例えば、EU圏外から入ってくるとか、あるいは日本の場合だと、日本国外から入ってくる場合は、当然、在留資格というものがあって、中には無期の資格があるかもわかりませんけれども、在留自体が制限されている方も多いんではないか。そうすると、雇用契約もそれを前提にした雇用契約になることが多い。すなわち有期契約になることが多いように思います。
○岩村会長 そこはちょっと難しくて、例えば、私はフランスに行くことが多いんですが、これは余り適切な表現ではないかもしれませんけれども、出身国によって、出身地域と言った方がいいのかもしれないですが、仕事の分離があるんですが、多分、契約形態を変えるということになると、これは直に平等原則に引っかかるので、だめなんではないかと思います。
 ただ、イギリスの場合は私もよく知らないので、何とも申し上げられないんですが、いずれにしろ、今、田中課長がおっしゃったように、EUの場合は非常に複雑なので、EU域内の人とEU域外の人と、更にEU域外の場合も、協定を結んでいる場合と、結んでいない場合があるので、とりわけ有期契約との関係は一概には言えないかなと思います。
 お待たせしました。それでは、島田委員、どうぞ。
○島田委員 また蒸し返すのかもしれないけれども、経営側の皆さんが、今、有期労働契約にこだわり、企業が成り立たないなどとおっしゃっていますね。それは、処遇を含めての話なのですか。要するに、その契約をしない限り企業がもたないのかという部分があると思うのです。先ほど申し上げたように、無期と有期の違いは、企業に辞めさせる自由があるか、ないかだけの世界だと思うのです。処遇は別に考えるとしたら、今、日本の経営者の方々が本当に有期で雇わなければいけない事由が本当にあるのかどうかです。3年がかりとか5年がかりのプロジェクトでは、プロジェクトが終わってしまえば仕事もなくなるので有期契約にするというのはわかります。でも、通常の企業活動をしている中で、これだけの人数の人たちを本当に有期契約としなければいけないかどうかというところです。そこが僕らにはわからないのです。
 ですから、我々は、無期原則が普通であって、その中で処遇なり、いろいろ考えればよいのではないですかと思うわけです。そうしないと、有期にしておけばいつでも辞めさせていいんだよということであれば、それで企業が正常に動くと仮定したら、正社員などは要らないという話になってしまうわけです。有期で雇うけれども、結局は15年選手にします、教育します、ただ、何かのリスクのために辞めさせる自由だけ持っていようという考えでやられるのだったら、オール有期となりかねません。でも、実際は違います。労働者にとっては安定感が要ります。今まで、認められていたからそのまま保っておきたいという話はわかりますよ。人間ですから、保守本能があることはわかるけれども、実際に、今の社会において、どれだけの部分、有期でなければいけないのということを、もう一度みんなで考え直すというか、理解し合うべきだと思います。それが本当にそれほど広くないのだったら、もうちょっと縮めましょうということを言うべきでしょう。そうであれば、入口規制は絶対要るのではないですか。
○岩村会長 ありがとうございます。
 それでは、芳野代理、どうぞ。
○高尾委員(代理:芳野氏) 私が申し上げたかったのは、12ページのドイツ、フランス、スウェーデンの例は、改めて読み直してみても、締結事由規制というのは既に導入してみて、いろいろ問題があって、ヨーロッパでは緩和の方向に向かっているという解釈をシェアできるのではないですかということを申し上げたかった。それは共通認識として持てないのでしょうかという御提案です。
○岩村会長 ありがとうございます。
 それでは、輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 ありがとうございます。
 私どもも、短時間正社員というものを、もう5〜6年前ですか、提案いたしました。それは短時間の正社員なので、期間の定めのない雇用を定義してもう何年もたつのですが、うまくいかなかった。それはなぜなのかということを問われているのかなと思って、答えは先ほど申し上げたとおりです。
 もう一つ、逆な質問なのかもしれませんが、今の非正規の人たち、有期契約の人たちを期間の定めのない雇用にしたときに、先ほど申し上げた雇用調整の場面で行くと、既存の正社員の方と、新たに期間の定めのない雇用になった人たちと一緒の土俵で雇用調整をすることについても御了解がいただけるのかどうかがポイントになるのだろうと思います。そこが実質的に難しいのではないか。先ほど申し上げた事業の維持、継続のためにどう考えるのかというパフォーマンスに、結局は帰着している、そういう現実があるのではないかと申し上げたいと思っております。
○岩村会長 ありがとうございます。
 島田委員、どうぞ。
○島田委員 そのリスクを受けられるかと言えば、労働組合のある事業所においては、まず受けられます。有期雇用の方も無期の方も全員組合員ですから、ということは、一斉に希望退職をやるしかないわけです。ただし、その中に、事業所限定で入っている方は、動けないとか、転勤先があっても、子育てや保育所の関係で、片道2時間かかる事業所への転勤とか、住居を移すとか、単身赴任などできない方もいて、その方々は自ら辞められます。それは皆さん自覚されているし、会社も組合員も自覚している世界ですから、そういう制度をちゃんとしておけばいけるでしょう。もちろん何の手続も協議もなくがちゃんとやっている場合は別ですけれども。
 だから、日本のいいところは、非正規であろうが、正規であろうが、結局、働き出したらみんな仲間ですから、一緒に、その中で分かち合う世界というのは持っているわけです。痛みは分かち合うよねと。ただし、本当の優先順位はどうなるのかというのは、個々人では皆わかっているという世界がもうできている。ただ、労働組合がないところで本当にやってくれているかというのは、僕らもはっきりわからないです。労働組合があるところでは全部、一緒くたの組合員としてやりますから、それを分けてやることはもともとできないのです。
 逆にそういう意識がないところは、そういうふうに意識を変えていかなければいけないわけです。働いている企業全体でどう考えるかということを、従業員が責任を分担しなければいけないというふうに意識を変えていかないと、これは変わらないでしょう。それはやるべきだと思うし、僕らもそういう意識の変革をやっていかなければいけないと思います。
 以上です。
○岩村会長 それでは、宮本委員、どうぞ。
○宮本委員 今の島田委員のお話を補足させていただくと、JAMはものづくりの労働組合ですけれども、2003年に緊急避難型ワークシェアリングというものを労使で協定する指針を出しました。これは今、島田委員がおっしゃった内容を目的としたものです。労使が緊急避難型ワークシェアリング、要は、正規であろうが、有期契約であろうが、企業を存続させる、そして、そこに働く者も雇用をつなげていく、そのためには、一時的に、緊急避難的に、例えば、1日8時間の労働を6時間にする、あるいは4時間にする、そして雇用を守っていくという内容の指針です。これは経営側とも合意を得て労使協定を結んだり、そういう指針を提案し、多くのところで賛同を得ました。ただ、たまたまそこから景気が回復してきたので、その実績が多くは残っていませんけれども、考え方として、労使はその合意を得たと認識しています。
 以上です。
○岩村会長 ありがとうございます。
 工藤委員、どうぞ。
○工藤委員 先ほどの有期が悪いものだととらえているんではないかという輪島委員の御指摘ですが、いい、悪いというか、いろいろなところに問題があるというふうに感じております。それも前提となる条件がどうなるのかで大分変わってくるような気がしております。要は、雇用の原則が期間の定めのないものというふうに考えるならば、その中で有期契約の役割とか、機能とか、よさというのも議論するべきだろうと考えております。ですから、基本的には、先ほどからずっと申し上げているのですが、社会の状況や、日本の将来のこととか、少子・高齢化とか、いろいろなことを考えたときに、やはり雇用の原則は期間の定めのないものであるというのを前提に置き、その上で有期の役割だとか、機能とか、よさというのもきちっと議論するべきだと思います。
○岩村会長 ありがとうございます。
 それでは、伊丹委員、どうぞ。
○伊丹委員 問題の立て方が若干ずれている感じがします。企業としては、当然従業員のことを十分考えて経営をしなければ発展はない。私も経営側の立場で今、発言させていただいておりますが、自分も含め、身内の雇用が不安定で年収の少ない非正規従業員ばかりであれば大変問題だと思いますし、こういう感覚は我々使用者側も当然持っているわけです。
 締結事由の問題や先ほどの工藤委員の話に繋がるのですが、全ての働く人たちを尊重しなければいけないとすると、また企業は永続的に続けていくべきものであるとしても、正規雇用が主であることは認めますが、それが原則であり価値として正しい働き方なんだというふうに持っていくこと自体が、高度成長時代の残滓に引きずられ過ぎるという気がします。
 先ほど田中さんもおっしゃっていましたし、多くの方も認めていますけれども、これからの時代、いろいろ労働力をいろいろ形で活用できる社会にしなければいけないと思います。その場合、期間の定めのない雇用が主であり続けることは良いのですが、そうでない雇用に従事する労働力にもっと日の目を当てながら活用していく方法を社会保障制度や職業安定事業などともセットで幅広く考えなければならないと思います。
 そう考えたときに、締結事由規制を法的に決めていくことは反動も大きいのではないか。私は前から申し上げていますが、基本的には、産業もわかっているし、労働者の実態もわかっている当該労使でよく議論しながら決めていくというものであった方がいいのではないか。それが広義の意味での労使で決めるということではないか。しかし、前も申し上げましたけれども、有期契約労働者は個々人が分断されて、なかなか労働者の立場でものが言えない。例えば、組合員であれば、同じ仲間として対応するんだとおっしゃっていましたが、往々にして非正規の方は既存の組合の中に入りにくいということが、結果としていろいろな問題も起こしているのではないかと思います。
 何を言いたいかというと、期限のない雇用が原則で、有期雇用は限定すべきだという方向に行くのではなくて、有期雇用を、どのようにより人間的でやりがいのある働き方にさせていくかということに社会として智恵を絞るようにしないといけない。
 もっと言えば、僣越ながら、これは労労問題にもなっているのではないかと思っています。先ほどワークシェアリングの話がありましたけれども、正規の立場で守られているものを、もう少し全体で受け止めながら、非正規の問題も考えて対応するという関係にならないと、単純にはこの問題も解決できないと思います。繰り返しますが、法的に締結事由規制を行うと、結果としていろいろな弊害を起こすのではないか。もっと労使の関係をいろいろな形でつくって、自由度の高い、自己規制的なものにしていく方が良いのではないかと思います。
○岩村会長 ありがとうございます。
 そろそろ時間が近づいておりまして、今日は議論の中身の核心に触れるところが多々あり、非常に重要だったと思います。たくさんお手が挙がったんですが、申し訳ないんですが、あと労使お一方ずつということでお願いできればと思います。今、使側が御発言になったので、労側からお一人お願いできれば。
 では、新谷委員、お願いいたします。
○新谷委員 もう時間がなくなってしまって、たくさん申し上げたいのですが、今、伊丹委員から御意見を表明いただいたのですが、私はそれをお聞きして、やはり経営の論理ではないかと感じました。確かに有期労働契約というのは企業の経営にとっては使いやすい雇用形態だったと思います。先ほど申し上げたように、処遇の格差においても合理性を与えるような、契約形態が違うのだから処遇が違うんですと説明もつけやすかっただろうし、非常に雇用調整をしやすい雇用形態だったのだと思います。本当は、雇用変動のリスクがある場合は、リスクとリターンはうまくマッチングをさせるべきで、安定した、雇用変動リスクがない正規よりも、リスクの高い非正規はリターンが高くて、処遇が1.5倍とか、2倍ぐらいあれば、いい働き方だということになったでしょう。しかし、現状はどうなっているのかというと、雇用変動のリスクは全部労働者が持って、しかも処遇が低いというダブルで効いているのではないかと思っているところです。これは次のテーマにもなりますけれども、処遇の格差をどう考えるかということも本当に真剣に論議をしないといけない問題だと思っております。
 それと、先ほどの御意見の中で、労労問題にも関わるというご発言があったのですが、さっきからこちらの委員が申し上げているように、同じ働く仲間ですので、労働者として同じ立ち位置に立って考えていきたいと思います。解雇の問題で、同じリスクを負うのかということを経営側の委員が言われていましたけれども、経営上の必要性があって雇用問題に踏み込まざるを得ないということになれば、今、整理解雇の4要件もあるわけですから、これは経営の責任としてきちっと手続を踏んでやっていただくことになろうと思っております。
 もう一点、気になるのが、このペーパーにもあるのですけれども、労使自身に委ねると書かれています。労使自身と言っている、ここの労使というのは一体だれなのかということをよく考えないといけないと思っています。8割以上の職場で労働組合がないという現状の中で、労使の労というのはだれなのかということです。一方で、これが、8割の職場に労働組合があって対応できるというのであれば、法的な規制も要らないでしょうけれども。今のような現状の中で行くと、何らかのルールを法的につくっていく必要性があるのではないかと考えております。この辺も含めて、今後論議をさせていただきたいと思っています。
 以上です。
○岩村会長 ありがとうございます。
 それでは、輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 非常に衝撃を受けました。私は正規と有期の関係をコインの表と裏というふうに思っていて、有期契約の規制を強くすると、コインの裏側の正社員の規制の在り方、雇用保証の在り方をどうするのか。むしろ有期契約の規制だけが強くなって、正社員の規制はそのままなのではないか。それはなかなか辛いのではないかと思っていたのですけれども、先ほど来の議論は、正社員の雇用調整についての解雇ルールのところまで行くのかどうか。どう整理するのかは洗ってみなければいけないのかと思うのですが、今日のペーパーの各論の検討項目の3のその他なのかもしれませんが、有期契約から見た正社員の雇用の保障の在り方、特に整理解雇等々の局面の議論をこの中に、資料も含めてつけ加えていただいて、バランスの取れた議論をするということをお願いをしたいと思っております。
 それ以外について、短く申し上げますと、最初の権利行使の話で、ここも整理をしていただきたいと思いますが、有期契約の中の、例えば年休について、期間の中でどう年休を取得するのかというところの兼ね合いみたいなものを、例えば、10日発生しているのに、2月末まで10日もないという場合にどうするのかという、権利行使の局面の整理は行われていないと思うので、法的にどう救うことができるのか整理する必要があると思います。
 もう一つ、年収200万円以下のという話があって、そこもよくわかるのですけれども、もう一方で、パートタイム労働全体の3割弱ぐらいは就業調整をしていると思っています。103万円とか130万円の範囲内で仕事をするという、働き方にニュートラルでない制度だと思っていて、全体で200万円以下の方々の中に、就業調整をしている人たちがかなりの程度含まれているので、それを整理した議論をする必要があるのではないかと思っています。
 イの更新回数や利用可能期間は次回という整理でよろしゅうございますか。
○岩村会長 今日、触れることができませんでしたので、まさかそれを飛ばすわけにはいきませんから、勿論、次回以降ということで考えたいと思っております。
 それから、先ほど輪島委員から御指摘のあった正社員の方をどうするのかということについては、私と事務局で相談しつつ、労使の御意見も伺いながら、どういう扱いにするかということは検討させていただきたいと思います。
 八野委員。
○八野委員 今の輪島委員のお考えは、正規の解雇の問題だとか、雇用の問題まで及ぼうということなのですが、それは輪島委員の考え方であって、我々は今、有期のことを考えているわけです。それを、その他の中に入れるかどうかということはきちんと議論をして考えていただきたいと思います。今の入口の議論の中で正規のところまで触れるという点については、私は非常に疑問を感じます。これは意見として言わせていただきます。
○岩村会長 ありがとうございます。
 今日、いろいろ御意見をいただいて、この問題の核心に触れるところについても労使それぞれの意見が表明されたのではないかと思っております。ありがとうございました。
 それでは、このほかということで、事務局から参考資料が出ておりまして、「民法(債権法)の見直しについて」という資料でございます。これについて御報告いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○調査官 では、手短に御報告いたします。資料4をごらんください。
 「経緯・スケジュール」をごらんください。民法、特に契約などの債権関係に関する規定につきましては、昨年10月に法務大臣から法制審に検討するよう諮問がなされました。それを受けて、法制審の下に民法部会が設置されまして、ここには労働界、経済界、労働法を含む学識経験者の方が参加されていまして、当省の労働基準局からも関係官として出席しております。これまで論点について検討しておりましたが、恐らく3月末ごろに中間的な論点整理が成される予定となっており、今、その整理をしているところでございまして、その後のパブリックコメントを経て、更に議論し、その後、中間試案というスケジュールが予定されております。
 内容につきましては、契約についてのルール全般の見直しですから、労働契約に多々影響があるわけですが、今日は、現在この分科会で有期労働契約について検討しているということもありまして、有期労働契約に影響のありそうな検討事項について御紹介いたします。これはちょうど昨日の部会で取り上げられた論点でございまして、そこでの資料を提示しますが、昨日の部会でもさらに意見を出されましたので、更にこれは修正されるかと思いますので、御留意ください。
 有期労働契約という話の前に、総論として、1ページの下の方に掲げていますが、民法と労働契約法は民法の特別法、民法が一般法なわけですけれども、契約法との関係は将来検討課題になり得るけれども、当面は現状を維持して、雇用に関する民法の規定は引き続き民法に置くという前提で議論がされております。
 その前提で、民法に関する雇用の規定につきましては、特に有期に関係のある規定につきまして、2ページに4で紹介しております。明朝体の字で条文を掲げていますけれども、有期雇用契約につきましては、黙示の更新という仕組みがありまして、期間満了後、引き続き労働に従事され、使用者が知りながら異議を述べないときには、更に雇用したものとして推定する、いわば黙示に更新されたものと推定するという規律があります。
 4の(1)のゴシックで書いておりますことは、要は、現在、黙示の更新後の契約の性格として、それが無期なのか、有期なのかということについては、裁判例、学説とも分かれております。これについては、無期であることを明確にする規律の改正を民法で行うべきだという提案も一旦、ありましたけれども、これはまさに有期雇用契約の性格をこの黙示の更新を機に変えるという大きな論点でございますし、有期雇用契約という労働法制上の、政策上の問題でありますので、労働関係法規の法形成プロセス、具体的には労政審を指しますけれども、そこで検討すべき問題ではないかということを、民法部会においても労働の関係者から多々発言しまして、このような整理をされております。
 ?の「継続的契約」でございます。これは、今、民法にない概念ですけれども、長期的に取引が続くような契約を継続的契約というふうに定義づけまして、特にそれの解消の場面について、独特の規律を設けようという議論がされております。有期労働契約に影響がありそうな観点としては、3ページに行っていただきまして、これは継続的契約ということですので、賃貸借とか、労働契約も含めて念頭に置かれて、幅広いものとして想定されているんですが、2の(2)の期間の定めのある契約の終了というところをごらんいただきますと、信義則上相当でないと認められるときには、更新の申出を拒絶できない、要は、更新拒絶について制約がかかるような記述を設けるという議論がされております。
 ただ、これにつきましては、労働契約にとってみますと、雇止め法理などに非常に関わる話でございまして、既に確立している雇止め法理への影響を懸念する声も労働関係者から多々出ました。昨日の民法部会でも出ましたけれども、労働契約との関係につきましては慎重に議論するという形で意見交換が行われているということでございます。
 民法改正はこのほかにも、契約全般にわたる、成立から終了にわたるルール、また、時効の問題なども見直される議論がされておりまして、いろいろな場面で今後影響があると思いますけれども、今日は、有期労働契約に関係する事項を御紹介いたしました。
 以上です。
○岩村会長 ありがとうございました。
 今、報告いただいたように、民法(債権法)の見直しというものにつましては、私どものこの分科会での議論にも関わる部分もございますので、やはり引き続き事務局から、法制審の検討状況についてはフォローしていただく、適宜、私の方にも御報告をいただいて、その上で必要に応じてこの分科会に報告をして、必要な対応を図るという扱いにさせていただきたいと思います。よろしくお願いをいたします。
 最後に、何か事務局でございますでしょうか。
○労働条件政策課長 次回の労働条件分科会の日程につきましては、調整の上、委員の皆様にお知らせしたいと考えていますので、よろしくお願いいたします。
○岩村会長 それでは、本日の分科会はこれで終了したいと思います。大変熱心な御議論をいただきまして、ありがとうございました。
 議事録の署名でございますけれども、労働者側は安永委員にお願いいたします。それから、使用者側は宮地委員にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
 それでは、今日は、お忙しいところをどうもありがとうございました。

(了)

労働条件政策課
企画係(内線5353)

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