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2010年10月27日 第74回労働政策審議会職業安定分科会議事録

職業安定局総務課

○日時

平成22年10月27日(水)13:00~14:30


○場所

中央合同庁舎第5号館 厚生労働省省議室(9階)
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号)


○議題

1 最近の経済対策について
2 青少年の雇用機会の確保等に関して事業主が適切に対処するための指針の一部を改正する告示案について(諮問)
3 その他

○議事

第74回労働政策審議会職業安定分科会                     日時  平成22年10月27日(水)                         13:00~                     場所  厚生労働省9階省議室 ○大橋分科会長 まだ、ご出席でない委員の方がいらっしゃいますが、定刻になりましたの で、ただいまから第74回労働政策審議会職業安定分科会を開催いたします。議事に先立ち まして、職業安定分科会及び当分科会の下に置かれております部会に属する委員の交替があ りましたので、ご報告いたします。当分科会の使用者代表委員としまして市川委員に代わり まして、神奈川県中小企業団体中央会副会長の坂倉委員が就任されておられます。 ○坂倉委員 坂倉でございます。どうぞよろしくお願いします。 ○大橋分科会長 また、分科会に置かれる部会に属する臨時委員等については、労働政策審 議会令第7条第2項の規定により、分科会長である私が指名することになっております。ま ず雇用対策基本問題部会の使用者代表委員につきまして、市川委員に代わりまして、千葉県 中小企業団体中央会専務理事の佐藤委員に、また、労働力受給制度部会の労働者代表委員に つきまして、小山委員に代わりまして、日本サービス・流通労働組合連合事務局次長の石黒 委員に、使用者代表委員について市川委員に代わりまして、全国中小企業団体中央会労働政 策部長の小林委員にお願いしております。なお、本日の委員の出欠状況は、清家委員、宮本 委員、黒木委員、古市委員、石井委員、久保委員がご欠席でございます。また、石井委員代 理人には、日本・東京商工会議所の関口部長さまに出席していただいております。 本日の議題は2つです。最近の経済対策について、及び青少年の雇用機会の確保等に関し て事業主が適切に対処するための指針の一部を改正する告示案についての諮問です。  それでは議事に入ります。最初の議題は最近の経済対策についてです。事務局から説明を お願いします。また次の議題である、青少年の雇用機会の確保等に関して事業主が適切に対 処するための指針の一部を改正する告示案についても、経済対策に関連するものであるとい うことで、まとめて事務局からご説明いただき、一括してご質問ご意見を伺うことにいたし ます。それでは、よろしくお願いいたします。 ○雇用政策課長 最近の経済対策について、説明します。資料で申し上げます前に、初めに ごく簡単に足下の雇用情勢について口答で申し上げますと、直近の数字が8月まで出ており まして、完全失業率は5.1%で2か月連続の低下、また有効求人倍率も0.54倍で、こちらの ほうは4か月連続の上昇ということで、雇用情勢については、持ち直しの動きが見られるも のの依然として厳しいという判断をしておりますが、一方で制度全体で景気については、先 日の月例経済報告にありましたように、景気はこのところ足踏み状態になっているという判 断ですので、雇用の先行きについても注意をして見ていかなければならないというふうに認 識をしています。  そういった背景、状況の下で経済対策の中の雇用関係の部分について説明をしたいと思い ますが、お手元の資料1-3と資料1-4をご覧ください。  資料1-3の「新成長戦略実現に向けた3段構えの経済対策」ということで、9月10日に 閣議決定がなされています。秋以降、これらに基づきまして経済対策を進めているわけです が、まず、この9月10日の対策の中身について説明をします。1ページ目、初めに大きな ?Tとして「基本的な考え方」があります。「デフレ脱却」が当面の目標ということで、この 文章の中にもありますように、具体的には2011年度中には消費者物価上昇率をプラスにす るという目標が掲げられております。2ページの2.「経済対策の基本的視点」として3つあ ります。第1が「時間軸」を考慮した「3段構え」の対応ということで、文章にありますよ うに、まず緊急的な対応ステップ1に続き、今後の景気、雇用の動向を踏まえた機動的対応 がステップ2、更に平成23年度における新成長戦略の本格的実施がステップ3という位置 づけになっております。また、基本的視点の第2が「雇用」を基軸とした経済成長の実現、 3ページ目の第3が「財政」と「規制・制度改革」の両面の取組ということになっておりま す。この3段構えの対応ですが、4ページの枠の中をご覧ください。「時間軸」を考慮した 「3段構え」の対応ということで、まずステップ1が円高、デフレ状況に対する緊急的な対 応です。その3つ目の項目の経済危機対応・地域活性化予備費の活用は既に予備費で実施す るということで、現在行われているものです。次にステップ2が今後の動向を踏まえた機動 的対応です。文章には必要に応じて、補正予算の編成等機動的・弾力的に対応する、新成長 戦略の推進・加速とありますが、こちらのほうが昨日でしたか、補正予算に関する閣議決定 がなされまして、国会に補正予算を緊急に提出するという段取りになっております。ステッ プ3が平成23年度の対応ということで、新成長戦略の本格実施ということになっておりま す。この3段構えで対策を実施するということです。このうち、ステップ1につきましては、 この資料の6ページから簡単に説明をします。  ?V、緊急的な対応の具体策、これがステップ1の具体的な内容です。資料1-3の7ページ から9ページの、(1)新卒者雇用に関する緊急対策、喫緊に対応する必要があるものという ことで、まず第1に新卒者雇用対策を盛り込んでいます。(ア)既卒者採用企業への奨励金 の創設、具体的には卒業後3年以内の既卒者を正規雇用する事業者に対して奨励金を支給す るとか、(イ)にあるように、トライアル雇用を行う企業への奨励金の創設ということで、 有期で雇用し、その後正規雇用に移行させる事業主に対して奨励金を支給するというもので す。また、(ウ)にありますように、「新卒者就職応援本部」の設置で、これは各、全労働局 に設置が済んでいます。(エ)としまして、臨床心理士等による相談の導入、また次の○の (エ)にありますように大学等の就職支援担当者向けのメールマガジンの発行ですとか、8 ページの一番下のジョブサポーターによるきめ細かなマッチングの強化ということで、9ペ ージにありますように、既に大卒あるいは高卒の就職ジョブサポーターを置いておりました が、この9月10日の経済対策でジョブサポーターの倍増を行ったところです。9ページの 一番下の(イ)にありますように、「新卒応援ハローワーク」を拠点としたワン・ストップ・ サービスの推進ということで、これも全ての労働局に新卒者等が利用しやすい専門のハロー ワークの設置をしています。それから次の○の既卒者の新卒枠での採用促進の(イ)にあり ますが、「青少年雇用機会確保指針」の改正、こちらが後ほどご審議をいただくものです。  (2)「雇用創造・人材育成の支援」では、パーソナル・サポート・モデル事業の実施、あ るいは実践キャリア・アップ戦略などが盛り込まれております。11ページ、成長分野を中 心とした雇用創造・人材育成等という項目では、(ア)にもありますように、「重点分野雇用 創造事業」の拡充、(エ)発達障がい者に対する雇用支援の充実、更に(オ)として、企業 の人事労務担当者向けメールマガジンの発行なども既に行い始めつつあるところです。以上 がステップ1の概略です。  続きまして、資料1-4でステップ2の説明をします。先ほど申し上げましたように補正予 算の関連については、10月8日にこのステップ2の経済対策が閣議決定をなされていると ころです。具体的な内容ですが、4ページの枠にありますように、本対策の5つの柱としま して、第一の柱「雇用・人材育成」から第五の柱「規制・制度改革」まで、5つの柱が盛り 込まれています。内容ですが、6ページに具体的な内容があります。  6ページの(1)新卒者・若年者支援の強化ということで、最初の○が「新卒者就活応援プ ログラム」の実施等ですが、例えばステップ1のところで申し上げました、「3年以内既卒 者採用拡大奨励金」や、「3年以内既卒者トライアル雇用奨励金」を補正予算で更に拡充し、 また平成23年度末まで延長するといったような措置を盛り込んでいます。(イ)の「新卒 応援ハローワーク」も先ほどのステップ1にありましたが、これの更なる機能強化を図ると いったこと。それから次の○にありますように、若年者等正規雇用化特別奨励金の拡充とい うことで、年長フリーター等の正規雇用を支援する奨励金ですが、そのうちの「トライアル 雇用活用型」年齢の区分がありまして、25歳~39歳までという支給対象者になっていまし たが、この下限のほうを取り払いまして、25歳未満の方も対象に含める年齢枠の拡大をす るという内容になっています。  次に(2)としまして、雇用調整助成金等による雇用の下支えと生活支援ということで、7 ページをご覧ください。ステップ2では雇用調整助成金の要件も緩和をするということにし ています。雇用調整助成金の要件緩和は、既にこれまで緊急対応として行ってきております が、今回、更に急激な円高を受けまして、直近3か月の生産量が3年前の同時期に比べ15% 以上減少している赤字の企業も、この雇用調整助成金の対象とするといった要件緩和を予定 をしています。あわせて、不正受給の防止対策の強化にも取り組む予定です。次に、派遣労 働者の直接雇用を促進するための奨励金の拡充ということで、この奨励金の積み増しを行う 予定です。  7ページ(3)「雇用創造・人材育成」ということで、3点ほどご紹介したいと思いますが、 8ページの具体的な措置の最初の○にありますように、重点分野雇用創造事業、ステップ1 でも拡充をしていますが、これにつきましてはステップ2でも、介護をはじめとした成長分 野における雇用創出・人材育成の取組を促進するため、平成22年度末まで、今年度末まで の事業実施期間としていましたものを、平成23年度まで、一部24年度まで延長するとい う措置を講じる予定です。次の緊急人材育成支援事業の延長等ということで、これはいわゆ る基金訓練と呼んでいるものですが、求職者支援制度の制度化までの間、延長するというこ とを今回の補正予算で対応する予定です。3つ目の○で成長分野等人材育成支援事業という ことで、これは新規の対応策ですが、健康、環境分野及び関連するものづくり分野の生産性 向上を図るために、事業主の方が、職場以外での職業訓練を実施する場合を、支援しようと いう制度を創設する予定です。以上がステップ1、それからステップ2の内容を簡単にご説 明いたしました。  最後に資料の1-1にお戻りください。先ほど申し上げましたように、ステップ2につきま しては、補正予算を編成をしまして国会に提出する予定ということにしておりますが、いま ステップ1、2とご説明いたしましたものについて、それぞれ予算額でいかほどのものを準 備をしているかということを、この資料1-1の表にして記載をしています。また、ステップ 1とステップ2との対応関係、例えば新卒者対策をステップ1で始めて、更に今回の補正予 算ステップ2で拡充したり、あるいは期限の延長をするといったようなものを整理して記載 しておりますので、ご覧いただければと思います。補正予算につきましては、近日中に国会 に提出いたしますけれども、一部雇用保険特別会計の物がありますが、ほとんどの物が、い ま申し上げましたものは一般会計で予算を編成するということで現在準備をしているとこ ろです。経済対策関係の説明は、以上です。 ○企画課長 続きまして、青少年雇用機会確保指針の改正についてご説明します。派遣・有 期労働対策部企画課長の土屋といいます。どうぞよろしくお願いします。  資料は、資料2-1、資料2-2、資料2-3と、3点あります。資料2-1にありますとおり、 本日は青少年雇用機会確保指針の改正について、諮問という形でご審議をお願いするとのこ とです。それで、資料2-3のほうから説明したいと思います。参考資料となっているもので、 背景等を簡単に説明したいと思います。  資料2-3の3頁をご覧ください。既にご案内のとおりですが、学卒者の方々の雇用情勢、 就職環境は大変厳しい状況になっています。3頁にありますように、新規大学卒業者の方々 について、今年3月卒業の方について見ればその就職内定率が91.8%で、これまでの調査 の中では2番目に低い水準になっていますし、また、その右側の所に書いてありますように、 来年春の卒業生に関しても、ジョブサポーターによる大学訪問調査などによれば、昨年より も内々定率が低下しているという、さらに厳しい見込みが既に出ています。また、4頁にあ りますように、新規高校卒業者の方々についても、今年3月卒業の方については就職率が 93.9%で、これも7番目に低い水準ですが、近年の中ではいちばん低い水準になっています し、また、右下の所にありますように、来春卒業の方は7月の時点で求人倍率が0.67倍で、 前年を下回る状況になっている厳しさです。  次の5頁です。こういった中で、今年の春の卒業生の方々で見ると、就職が決まらないま ま卒業した方が全部で7万5,000人ほどいるという状況です。特に大卒の方々が6万6,000 人で、前年に比べてもかなりの増加になっている状況です。こういった状況を踏まえて、先 ほどの経済対策での説明にありましたように、9月10日の経済対策、それから、10月8日 の経済対策、既に2度にわたって対策を打っています。  12頁をご覧ください。経済対策の、新卒者の雇用に関する部分をまとめた資料です。先 ほどの説明と若干重複しますが、まず9月10日、予備費による経済対策の段階で、既に新 卒者についてはかなり重点的な対策を打っています。ジョブサポーターの倍増、新卒応援ハ ローワークの設置、それと、新卒者就職応援本部を各労働局に設置する。  次の頁では、新卒者扱いで既卒者の方を採用していただく企業への奨励金の創設、同じよ うに、既卒者を対象にトライアル雇用を行う企業への奨励金を創設といったような、新しい、 特に既卒者に着目をした奨励金の新設も行っています。既にこういった、9月10日の対策 を現在から打ってきていますが、さらに10月8日の緊急総合経済対策の中でも、12、13 頁の表の右側にありますように、ジョブサポーターのさらなる増員や、13頁にある、平成 23年度までの奨励金の延長、あるいは、さらなる拡充という対策を打ってきています。  次の頁にあるように、厚労大臣、文科大臣、経産大臣、3大臣の連名による、経済団体の 皆様への要請書もお願いしていまして、この中でも、採用枠の拡大、追加求人の提出をお願 いするとともに、卒業後3年以内の未就職卒業者の新卒枠での応募の受付についてもお願い している状況です。  このように、いろいろと既卒者対策を打っていますが、次の15頁にあるように、実際に 企業でどのような対応をとっていただいているかを見ますと、上のグラフにあるように、新 卒枠で既卒者の応募を受け付けていただいている企業は全体で53.2%で、半分程度に留ま っている状況です。こういった点につきまして、次の16頁にあるように、日本学術会議の 提言の中でも既卒者に対する応募の機会の確保のことがふれられていますし、また、その次 の17頁からある、大学側の、組織としての就職問題懇談会からも、経済団体への要請とい う形で、18頁の4.に、少なくとも卒業・修了後3年間は普通に新卒者として扱うなど、要 件緩和に努めていただきたいとふれられています。  19頁です。既卒者の方々、卒業後、就職できない状況の中でどうしているかを見ると、 数字の動きは若干ありますが、男性も女性も3年を超えると正社員に移行することは、数字 的な面で見るとなかなか厳しくなっている状況だと思います。こういったことを踏まえて、 今回は指針の改正の審議をお願いしているわけです。新卒の方々が、たまたま雇用情勢の厳 しい時期に卒業する場合、そういった方々にリスクが集中しているというような状況があろ うかと思います。そういったことを是正していく必要があり、既卒者の方々であっても新卒 求人に応募ができるような形で、スタートラインに立っていただけるように環境整備をして いくことが必要ではないかと考えています。  それで今回、改正をお願いしている内容としましては、資料2-2に概要をまとめているの でご覧ください。いま申し上げたような趣旨から、資料2-2、改正の内容の(2)とその?@の所 です。これまでも、指針におきましては、学校等の卒業者についても、新規卒業予定者の採 用枠に応募できるような募集条件を設定することと指針に記載がありましたが、その点をさ らに具体的に、企業にとっていただくべき対応を明確にするという観点から、いま申し上げ たような辺りに書いてあるような改正をお願いしたいとのことです。具体的には、(2)にあ りますように、「青少年の募集及び採用に当たり、学校等の卒業時期等にとらわれることな く人物本位による正当な評価を行われるよう、事業主が青少年の募集及び採用に当たって講 ずべき措置」ということで、?@のように、「事業主は、学校等の新規卒業予定者の採用枠に ついて、学校等の卒業者が学校等の卒業後少なくとも三年間は応募できるようにすべきもの とする」ということを新たに書き加えさせていただきます。  この改正に併せて、あと2点ほど改正をお願いしています。1つはジョブ・カードの関係 です。ジョブ・カードにつきましては、正社員経験の少ない青少年の方々がその能力を向上 させて正社員に移行する、そういった意味での有効な手段として、現在取り組んでいただい ていますが、これについては、6月10日に閣議決定された新成長戦略の中にもこの活用が 盛り込まれています。そういったことを踏まえまして、次の?Aにあるように、「事業主は、 青少年がジョブ・カード制度を活用して職業能力の開発及び向上を図る場合には、安定した 職業に就く機会を提供すべきものとする」という1項を加えさせていただきます。  さらに併せまして、職場においてのスキルアップの機会の確保という観点から、(3)にあ るような点も追加させていただきます。具体的には、「事業主は、青少年の希望等に応じて、 自ら能力開発及び向上に関する目的を定めるために必要な情報提供、生活設計及び職業訓練 受講等を容易にするための援助等を行うこと」で、「その際には青少年自らの取組を容易に するため、職業能力評価基準等を活用をすべきものとする」という点を追加させていただき ます。  今回の改正点は、以上の、既卒者の取扱い、ジョブ・カードの問題、職場でのスキルアッ プの3点です。現在、この審議と並行してパブリックコメントの手続きも行っています。11 月中旬には終了する予定ですので、本日の審議を踏まえた上で、パブリックコメントの手続 きの終了後、公布、同日施行すればと考えます。どうぞよろしくお願いします。 ○大橋分科会長 それでは、最近の経済対策及び青少年の雇用機会の確保等に関して事業主 が適切に対処するための方針の一部を改正する告示案について、ご質問、ご意見があればご 発言ください。 ○吉岡委員 では、冒頭に申し上げた、最近の経済対策について、私どもから意見を申し上 げます。特に新卒者、若年者の支援強化として、ジョブサポーターの増員や奨励金の拡充な どが補正予算関連の施策に盛り込まれたことについては、私たち連合が追加経済対策につい て要請してきたことでして、大変評価したいと考えています。引き続き政府には、新卒者、 若年者に関わる、様々な施策の着実な実行を是非お願います。ただし、奨励金はあくまでも 対症療法に過ぎないということもありますので、根本的な解決に向けては、是非とも雇用そ のものを生み出していく努力をお願いしたい、ということで意見を申し上げます。 ○斉藤委員 雇用調整助成金についてです。何らかの雇用調整を実施した事業所の割合が、 2009年度第2四半期に5割に迫り、特に製造業においては7割に達しました。その後は減 少傾向にあるわけですが、私どもが見ていても、まだ新規で雇用調整助成金等の申請をせざ るを得ないところがあります。特に中小規模の企業においてその傾向があるわけです。そう した中において、今回、この雇用調整助成金について、要件の緩和について入っていました が、この辺についてはこれまでも、それぞれの状況に合わせて、数次にわたって要件緩和が 行われてきたわけですが、冒頭でおっしゃられたように、雇用情勢はまだ安定していないと のこと、さらに、経済情勢そのものについても足踏み状態だというときに鑑みて、こういう 内容を緩和策として盛り込んだことについては評価を申し上げたい点もあります。さらに、 例えば受給期間の拡大とか、前にも申し上げましたが、受給の日額等の最高限度額の引上げ 等については俎上に載っているのかいないのか、さらに、こういう要件緩和をすることによ って、私どもとしては雇用の一時的な維持につながっていると思います。もしこれが無かり せば相当数の所で雇用の喪失が起きていただろうと思っていて、そういう面では雇用調整助 成金が果たしている役割は非常に大きいと思います。そういう意味で、受給要件の緩和等に ついてはさらに検討をお願いしたいわけですが、何だかんだいっても、やはり雇調金を受給 しなくても済むような経済状況にすべきだというのがいちばんだと思っており、特に中小企 業はそういう面において、景気がよくなってもその恩恵に預かるのは遅くて、景気が悪くな るといちばん最初にその中身にぶち当たるという形態ですので、そういう面では、雇用を安 定して維持するという意味から、経済的な状況をしっかり建て直していくのがまさしく急務 だと思いますので、意見として申し上げておきます。以上です。 ○澤田委員 成長分野を中心とした、雇用の創造、人材育成が盛り込まれたことについては、 いまの雇用情勢の悪化の回避や新たな雇用の創設に資するものであると評価しています。た だ、申し上げたいのは医療や介護分野についてです。この部分についても課題があるわけで して、介護も含めてですが、出産や育児などで現場を離れた潜在の看護職が55万~65万人 といわれています。このうちの95%は女性ですし、潜在介護職についても約28万人がいる と聞いています。こうした実態の中で、離職防止対策が不十分な現状があろうと考えていま す。例えば、処遇や賃金の部分も含めて、特に潜在介護職については男性の職の人がいるわ けですが、男性は賃金が低くて、職を辞めてからでないと結婚ができないという状況もあり ます。医療介護人材については、医療福祉人材が働き続けられる職場づくり、そして、処遇 改善の取組こそが最優先課題であると考えていますので、どうぞよろしくお願いします。 ○高橋委員 経済対策関係で質問させていただきます。雇用調整助成金の関係です。ご承知 のとおり、雇用保険二事業は大変な財政収支の状況が続いているわけですが、今回の要件見 直しによってどの程度の支出の増分が見込まれるとみているのか、その辺りを教えてくださ い。 ○雇用開発課長(代理) 雇用開発課です。今回の要件緩和ですが、その対象となる人数に ついて、来年度、月平均で最大2万7,000人程度と見ていて、今年度は既に7,300億円とい う予算をいただいていますので、これ以上の予算の積み増しは必要ないと見ています。 ○大橋分科会長 よろしいですか。それでは石井委員代理、お願いします。 ○石井委員代理 既卒者の件ですが、よろしいですか。既卒者の新卒採用枠での応募受付が ありますが、元々中小企業は新卒採用にこだわっているわけではありません。ちなみに、今 年8月から9月に、大阪商工会議所が関西経済連合会と共同で実施した、経営経済独法の調 査によると、採用に関する項目がありますが、中小企業については、新卒の正社員を募集し た企業が31.4%、一方、中途採用で募集を行った企業は38.5%という結果になっています。 また、東京商工会議所が今年2月から3月に、会員の中堅中小企業を対象に実施した、新卒 者等採用動向調査によりますと、毎年定期採用を行っている企業は29.7%に過ぎません。 また、最近1年間で中途採用を行った企業は54.4%に上ります。そういった意味で、中小 企業にとって新卒一括採用は多様な採用活動の一部でして、優秀な人材を確保するためには あまり採用形態にこだわっていないのが現実です。したがって、今回の改正案が成立した場 合には各地商工会議所の協力を得まして、卒業後3年間は新卒者扱いにすることについては、 会員事業主に対して措置を図っていきたいと考えています。  それから、今回の指針の改正案につきまして、ジョブ・カード制度について記載が盛り込 まれていますが、青少年への就職支援についてもジョブ・カードの活用が極めて重要である と考えています。日本商工会議所は先般、ハローワークにおいてジョブ・カード制度の有期 実習型訓練への誘導強化を要望しまして、厚生労働省には迅速に対応していただきました。 これと併せて、インターネット上による求人情報の提供、具体的には、ハローワーク、イン ターネットサービスや仕事情報ネットについても、いまのところ正規と非正規の分類しかあ りませんので、求職者が有期実習型訓練の一覧表などの情報を容易に見ることができるよう に工夫するなど、この辺は見直しをしていただきたいと思います。以上です。 ○新谷委員 指針の一部改正に関する告示案について諮問をいただきましたので、この件に ついて申し上げます。いま経団連の委員からの発言にもありましたように、今回の改正は、 少なくとも卒業後3年間は新卒扱いとして応募できるようにすることについては、私どもが 8月下旬に政府に要請した内容を盛り込んでいただいていますし、これは大変評価していま す。従来、日本の雇用システムの中で、新卒一括採用で採用した企業の中で育成していくシ ステムは非常に有効に機能してきたと思います。その入口の所をちょっと緩めて、少なくと も卒業後3年間は新卒扱いにしていただくということですが、これについては、いま経団連 の委員からお話いただいたように、経団連の理解をいただかないとなかなか進まないと思い ます。全国中小企業団体中央会、日商さん、それと、今日は経団連さんも出席していただい ていますので、経済界の皆さんに是非頑張っていただいて、この方針が実りのあるものとし て実現するように取り組んでいただきたいと思います。  その上で1点、質問というか、事務方のほうにお伺いします。今回の三段構えの経済対策 のうち、ステップ1、ステップ2の対策の中で、特に中小企業で採用意欲の高い会社に新卒 の方がうまく回っていないとのことで、需要と供給のギャップがあって、それを埋めるため にジョブサポーターを増員するという政策が出ています。数が非常に増えて、倍増させると のことです。いま別の所で事業仕分けをやられているわけですが、これだけ人員が増えたと きに政策効果をどう評価していくか、何年か経ったらまた事業仕分けの対象にならないとも 限りません。今回の説明の中ではジョブサポーターという言葉が出てきますが、どういう 方々を採用されて、どういうことを政策目的としているのか。需給のギャップを埋めるので あれば、例えば求人の開拓とか、求職者とのマッチングをどのようにされていくのか。ただ 頭数が増えただけではいけないと思いますので、どう活動されていくのか、きちっと整理さ れたものがあると思いますが、わかる範囲でお知らせいただきたいというのが1点です。  その背景にあるのは、高卒の方も非常に厳しいのですが、特に大卒の方に就職できない若 者がボリューム的に増えている現状があるわけです。それはよく考えてみると、世の中に出 て行く大卒の数が非常に増えているのではないかと思います。これはご承知のとおり、大学 進学率が5割を超えている状況の中で、少子化の中でも大卒として社会に出て行く方が非常 に増えていて、いまは多分30万人を超えていると思います。大卒者の絶対数が増えている 状況の中で求人の数がなかなか増えていない、そこにマッチングがうまくできないわけです から、構造的に大卒が増えてきている中で、特に大卒の就職対策をどうされていくのかがわ かれば教えていただきたいと思います。以上です。 ○派遣・有期労働対策部長 いま新谷委員からお話がありましたが、ジョブサポーターは、 マッチングを進める上でのキーになる仕事です。順番に申しますと、まず先ほどの、新卒で 未就職者の方については、7.5万人のうち6.6万人が大卒等でして、9,000人が高卒で、や はり大卒の問題が非常に重要です。従来ハローワークは、高卒については高校と一緒になっ て職業紹介をきちんとやるということで、完全に対応していたのですが、大卒については必 ずしも対応が十分ではなかったことがありました。今回の経済対策の中で、新卒応援ハロー ワークというのを設けましたが、これについては大卒のマッチングの拠点と位置づけます。 もちろん高卒もやるのですが、高卒は各ハローワークでもやっていますから、大卒のマッチ ングの拠点として位置づけて、そこに大卒就職ジョブサポーターを集中配置するという考え 方です。大卒就職ジョブサポーターの役割として、新谷委員からお話がありましたように、 まず求人がないと話にならないので、求人開拓をするのが大きな役割です。それから、大学 と連絡をとり合って、在学の方もいますし、それから、卒業した方についても、どんな方が いるのかをきちんと押さえないとマッチングができませんので、それをきちんと押さえると いう仕事をしなければいけません。それから、個別にカウンセリングをして、丁寧にやらな いとマッチングがなかなか進まない面がありますので、そういうカウンセリングなどをする。 やはり中小企業の求人はそれなりにあるのですが、それに対するマッチングが進んでいない ことが大きいですから、その過程で中小企業の求人についての十分な理解を進められるよう に、この企業はこういう特長があってこういう点がある、ということをきちんと説明できる ようにしていくのが重要だと思います。大卒就職ジョブサポーターあるいは高卒就職ジョブ サポーターで、採用する方のイメージというか、経歴のイメージですが、ハローワークの求 職者の中で企業の人事労務を担当されていた方を採用することが多いです。これは企業の人 事労務の担当者ですので、面接とか、あるいは、人物を見るとか、そういうときの勘所がわ かるので、そういう方を中心に採用するというやり方にしています。それから、こういうジ ョブサポーターの仕事については、対策の中で、求人開拓1.5万人とか就職2.5万人とかい う目標値を設定していまして、少なくともそういう目標値は達成しないといけないというこ とで、きちんとフォローしていきたいと思います。それから、ジョブサポーターの仕事を進 める上で貴重なツールになるのが、今回の既卒者向けの助成金制度2本です。トライアル雇 用的な助成措置と、最初から正社員で雇用する場合の措置の2つがありまして、そういった ものについては9月24日に求人の受付がスタートしたのですが、10月17日の段階で既に 全体で4.7万人の求人が集まっています。こういったペースをきちんと維持して、求人を確 保していって、きめ細かなマッチングにつなげていく努力をしていきたいと思います。  先ほどいろいろな委員の方からお話があった点について、コメントいたします。まず、雇 用の創出の関係です。これについて、厚生労働省でできることには限りがありますが、重点 分野の雇用創出事業ということで、緊急の雇用の場を確保する対策については今回の対策で も拡充しています。やはり関係省庁ともきちんと連携して、恒久的な雇用の場を作り出して いかなければいけないので、政府部内できちんと主張していきたいと思います。それから、 介護とか看護とか、そういった方々の処遇の問題がありますが、これは厚生労働省内に担当 部局があるので、きちんと伝えて、努力していきたいと考えています。以上でございます。 ○派遣・有期労働対策部長 すみません。間違えました。ジョブサポーターの就職の目標値 を2.5万人と申し上げましたが、2万人です。訂正いたします。申し訳ございません。 ○坂倉委員 全中から来た坂倉ですが、少々意見を申し上げます。議題2の、青少年の雇用 機会の確保等に関して事業主が適切に対処するための指針の一部を改正するという告示案 について意見を申し上げます。早期・長期化している採用選考活動の抑制についてです。イ ギリスやアメリカでは文化の違いがありますが、大学等を卒業してから就職活動しているの が現状です。早期・長期化している採用選考活動の現状については会社経営者としても大変 懸念していました。雇用する側として、在学中の生徒、学生にはしっかり勉強していただい て、その上で会社に入っていただきたいと考えていますので、新卒者の採用について、3年 という拡大した枠については大いに賛成します。また総理は、雇用ということで、経済対策 の中で雇用を大変重要視しています。したがって、新卒者を受け入れる採用意欲の沸くよう な万全の経済対策をつけていただくよう、特に中小企業者に対してお願いしたいと思います。  それともう1つ、これは私の個人的な考えです。実は私、建設業の中でも、家を建てたり ビルを建設したりというのではなく、いま流行のリフォーム、リニューアルの仕事をしてい る者なのですが、大学ではリフォームとかリニューアルの勉強を教える所はほとんどないの です。建築の学校を出ても、物を建てたり計画をしたりすることについては学校で教わりま すが、私どものように、改修工事をしたりリフォームしたりするのは、会社に入れてから教 えて、やっと使い者になるという状況です。採用の時点でマッチするかしないかは非常にわ かりにくいのです。やらせてみて初めてわかるという状況で、多分、他にもそういう産業が たくさんあると思います。従来のような雇用形態だけをイメージして、そして、マッチング 期間を制定していくことが、いまの時代に合わない産業も中にはあると思いますので、その 期間あるいはその間の支援策についてももう1度検討していただきたい。まして、いま仕分 けで、いろいろ問題になっていて、私は内容がよくわからないのですが、雇用対策が後退す るようなイメージの仕分け作業にならないよう是非お願いしたい。これを1つ意見として申 し上げたいと思います。以上です。 ○斉藤委員 「青少年の雇用機会の確保等に関する指針」の第二の2項の所、「安定した職 業に就く機会を提供すべきものとする」とありますが、安定した職業とはどういうものを指 すのですか。指針の中でこう書いたことによって、それは一般的に事業主もみんな、こうい うことだとわかっていると捉えてよろしいのですか。 ○企画課長 「安定した職業」という所ですが、この表現については既にいまの指針の中で も使っている所があります。参考資料2-3の1頁目の所に現行の指針の全体を掲載していま す。その第二の四、真ん中よりやや下の所です。ここに「トライアルを使った場合でも青少 年に安定した職業に就く機会を提供すること」と、現在も使っている表現で、今回の改正で お願いしているのは、さらに、「ジョブ・カードの制度を活用した場合でも安定した職業に 就く機会を提供すること」で、ここの部分に付け加えるという改正をお願いしています。そ ういった意味で、いままでも使っている表現ですが、安定した職業に就く機会というのは、 基本的には正規雇用の機会を確保していただきたい、という趣旨で使っているとご理解いた だければと思いますし、また、現場の指導の中でもそういった形で、私ども行政として指導 しています。 ○新谷委員 先ほどの坂倉委員のご発言で、私も同感の部分がありまして、確かに雇ってみ ないとわからないという産業や職種があろうかと思います。それがその後に正規雇用につな がっていけば望ましいと我々は思うのですが、国の助成金も、そういった場合にはトライア ル雇用事業というのが作られているので、是非それを活用していただければと思います。い ずれにしても、今回新しく増えた助成金もありますので、先ほど坂倉委員も言ったように、 どんな助成金や国の政策が展開されているのか、よくわからない部分があろうかと思います。 緊急対策とか追加対策でたくさんの経済対策を出していただいていますので、こういう場合 にはこういう助成金があるという事例対応で、助成金ありきで助成金があるのではなくて、 若者についてはこういうものがあるとか、新卒未就職者についてはこういうものがあるとか、 是非ユーザーサイドに立った周知をお願いします。 ○派遣・有期労働対策部長 私どもとしてもいろいろな支援策を打ち出してはいるのですが、 確かに使っていただかないと話になりませんので、周知の方法については、私どものホーム ページを活用して、それなりに工夫を重ねているところです。ただ、多分まだ不十分な所が あると思いますので、いまの委員の意見も踏まえて、さらに工夫をしていきたいと思います。 ○高橋委員 指針の改正に関連して、まず簡単な質問をして、その回答をいただいてから意 見を述べたいと思います。卒業後3年に関連する所ですが、少なくとも卒業後3年間は応募 できるということは、当然、在学中に就職活動するわけですから、4回の機会を付与すると いう意味なのかどうかが1点目です。  2点目は、大学生でも、就職して3年以内に3割程度の離職というものが統計的にも確認 されていますが、在学中に正社員の内定をもらって就職して、3年以内に離職した人も改め て新卒扱いという形なのかどうかです。  3点目に、卒業後3年ということで、何故3年なのかという、その根拠です。その3つの 質問をさせていただきます。 ○企画課長 いまの質問ですが、まず応募の機会という意味で申し上げれば、いま高橋委員 が言ったように、学生のとき、卒業時、それから、その後3年間となるので、4回というこ とで理解していただければと思います。  それから、1回就職した方をどう取り扱うかですが、この指針では「卒業後3年以内」と 書いてあるので、就職した方を除いてはいないのかと思います。ただ、この指針に基づいて どう企業の皆さん方に動いていただくか、ハローワークからどうお願いして、ご支援を申し 上げるかという点から考えると、経済対策の中で作った奨励金の対象という意味で見ると、 就職ができていない人、あるいは、就職はできたが1年以上の正社員経験がない方というの を奨励金の対象にするという整理をしています。その点を踏まえれば、そういう方々が応募 できるかどうかという観点から、ハローワークとしても重点的に見ていくように考えている とご理解ください。  それから、何故3年かという問題です。これは、3年ということにピタリと明確に示せる ものがあるわけではないのです。先ほど、途中の資料で申し上げましたように、3年ぐらい 経過すると正社員につながっていく可能性が段々薄れていくこともある中で、そこは3年以 内ぐらいに、卒業時点からそう離れない時期までの間に就職の機会が得られて、安定した職 業に就けるという状態が作れればということで、3年という区切りをお願い申し上げていま す。 ○大橋委員 では意見を申し上げますが、お聞き取りいただけるだけで結構です。今回の原 案を見させていただきまして、私が感じるところは、チャンスが4回あることが学生さんに 対してどのようなメッセージを与えるのかについて、私にはどう解釈していいかわかりませ んが、誤まったというか、そういうことにならないのではないかという不安感があります。 現状はご承知のとおり、就職活動が過熱化している部分があります。大企業に希望が殺到し て、数万を超えるエントリーといった形で大企業希望がますます高まっている中で、学生さ んと企業の間には明らかにミスマッチが生じていると思われます。政府もミスマッチ解消に 向けて、中小企業に対するマッチング等を強化していただいていますが、やはり在学中に内 定を得て、失業を経ずに安定した雇用に就いていただくことが何よりも重要なことだと思い ますので、政府におかれては是非、ミスマッチの解消に向けた対策に全力を傾注していただ くようお願いします。  あともう1点、「3年間は応募できるようにすべきものとする」という意味ですが、あく まで応募の機会を与えるように努めるという意味だと理解しています。機会を与えるという 意味を関係者の皆さんに十分に理解していただけるように、周知にあたっては十分な説明を お願いしたいと思います。私からは以上です。 ○企画課長 一言コメントさせていただければと思います。まず前者の点ですが、今回の指 針の改正は、私どもとしても、決して就職活動を先送りしてよいということを言っているつ もりではございません。また、新卒一括採用という、これまでの採用管理のあり方のいちば んのメリットは、学生の皆さんが卒業後に失業を経ることなく就職ができるというところに 何よりメリットがあるのだろうと思っております。そういった点からも、やはりミスマッチ の問題をきちんと卒業時点で取り組んでいくことに、我々としても最大の努力をしたいと思 っております。先ほど来申し上げているようなジョブサポーターの活用を通じまして、そこ の点をしっかり押さえていきたいと思います。また学生の皆さんの意識の問題としても、卒 業時点での就職をきちんと目指していただくというところをやっていきたいと思います。  後者のご意見の件ですが、おっしゃるとおり応募の機会の問題です。これは応募のスター トラインに立てるようにしていただきたいということです。そこから先、採用をするかどう かは、これも指針の中にすでに書かれておりますように、企業から見た人物本位での採用を 是非お願いしたいということです。そういう意味での今回の改正とご理解をいただければと 思います。 ○坂倉委員 ジョブ・カード制のことで意見を申し上げたいと思います。22頁にあるのが たぶんそうだと思いますが、ジョブ・カード制で職業訓練をして、半年なり経った上で、お 互いに働く者も、雇用がもうこの人は正社員として採用したいということで決まると、助成 金をいただくことになっています。その間の給料に対しても、現行では5分の4支給するこ とになっているのですが、ここには数字が書かれていないのです。  先日、来年度に向けては5分の4が2分の1以下になるかもわからないので、そういうつ もりで計画を立ててください的な話が実は来たのです。こういう時代に、なぜそうやって下 げるのかというのが、雇用雇用ということを政策の柱に入れながら、下げていくというのは 何となく納得がいかないなと思ったのです。そこの助成金を出すのが、いまいろいろ言われ ている特別会計の中から支出をするということで、この支出については厚労省は何にも意見 が言えない立場なのですか。一貫した形での政策として考えるということができないのか、 よくわからないのですが。 ○総務課長 所管局が来ておりませんので、総務課長の宮川から、わかる範囲でお答えさせ ていただきます。ジョブ・カード制度に基づく、おそらくはキャリア形成促進助成金関係だ と思います。これがどのような形で来年度予算を仕組むかというのは、まさにこれから予算 編成過程の中で、さまざまなご相談なりがあろうかとは思います。その過程の中の1過程だ とは承知しております。ただ、ご承知のように、特別会計は能力開発事業と雇用安定事業の 両事業で成り立っております。いずれも併せまして、いわゆる雇用調整助成金の支給等によ りまして、相当大幅な赤字が出ている所は現実のところです。その中である程度重点化を図 りつつ、必要な所については確保していく。今回の問題がどういうふうになるのか、それは 厚生労働省として責任を持ってやるべき立場だと私も思っております。その中で政策判断と して、ある意味での重点化や効率化も避け難いところはあります。今回のジョブ・カード絡 みの話について、ご意見があったということについては、私どものほうから能開局にお伝え したいと思います。 ○坂倉委員 ついでに申し上げると、2分の1になるのか、補助金がいくらになるのか、予 算が成立しなければわからないというのは、もう来年末の話なのです。企業側としては、来 年はどういうふうな人員を採用するかというのは、かなり前から考えなければいけないこと です。何となく当てにならないような話が印刷物になって、いろいろ出ていくというのは非 常に問題があるような気がするのです。しかも、5分の4がもしそういう事情でなかなか難 しいのであれば、本予算から出すとか、補正予算から補填するとか、何かいろいろな方法を 考えるべきではないかという感じを受けるのです。雇用する側も非常に戸惑いがあるという ことだけを申し上げたいと思います。 ○総務課長 予算の決め方については、12月末に政府案としての予算が決まるという形で す。おそらく、説明の仕方としては12月末までには、来年度の内容については固めたいと 考えております。よろしくお願いいたします。 ○大橋分科会長 その他、いかがですか。 ○荒委員 少しずれたことを申し上げるようですが、基本的にはこのような対策に対して反 対するものではありませんが、例えば、学卒で卒業して、基本的には4月1日付でどこかの 企業に入社する。それを逃がしてしまうと、何か勝ち組ではないような気がするといったよ うな意識を、学生にしても、親御さんにしても、世間全体が持ってしまうような風潮をこの 際打破したほうがいいのではないかと思うのです。それはちょうどいい機会ではないかと思 っています。先ほど高橋委員がおっしゃった、3年間までは新卒扱いというのは、学生さん にどういうふうに伝わるかというのは、すごく問題だと思うのです。私としては、やはり、 卒業してからすぐ職業に就かなければならない。または職業に就くというよりも、会社に入 らなければいけないと、もし日本人全体が思っているとしたら、私はそれはいま変えたほう がいいのではないかと思っております。 ○大橋分科会長 公益委員の4人は大学関係者ですが、何かご意見はありませんか。 ○岩村委員 私が発言するのは妥当かどうかはよくわからないのですが。1つは、今回の指 針でも就職協定というか、そういう申し合わせの話が出ていますが、現在の新卒者の採用過 程があまりにも早く始まり過ぎている。それがいろいろな点で弊害を及ぼしていることはた しかだろうと思います。先ほどどなたかがご指摘になりましたように、1つは学生が3年目 に入ると完全に浮き足立ってしまって、大学の勉強がかなりスッ飛んでしまう。企業は本当 にそれでいいのかと思っているのかというのが1つです。もともと大学で学んだことは役に 立たないというお立場であれば構わないのでしょうが、本当にそうなのかなと思います。  もう1つは、学生を見ていて思うのですが、仕事をするということについてあまり具体的 なイメージを持っていないのです。具体的なイメージを持たないままに内々定が出てしまっ て、よく考えないままに卒業して就職してしまう。それがたぶん1つは、3年以内に辞める 人が出てくるということの要因ではないかという気はしています。あまり実証データではな いので、それほど信用していただかなくても結構ですが、そのように思います。  卒後3年を新卒扱いということで、それで学生側にモラトリアム意識が起こるかというと、 私はあまりそういうことはないのではないかと、学生を見ていたら思います。いま荒委員が おっしゃったように、卒業して就職できないということに対する、ある意味での引け目とい うか、それは社会的にも非常に強いのではないか。もう1つは、さらに就職しないまま、そ のままもう1回というような、経済的余裕がある家庭というのは、いまの経済状況の中では それほど多くない。大学院へ行くのは別ですが。そういう状況の中で、モラトリアム的なこ とが起こるということはあまりないのではないかと思います。 ○白木委員 この3年間を新卒扱いにするということは、たまたま就職が決まらなかった人 にとっては、非常に大きな意味を持っていると思います。中途採用というやり方は、何らか の技能とか知識を持っている人という定義でやられますので、たまたま新卒で卒業と同時に 就職できなかった、あるいは1年以内に倒産があったりして、たまたま離職しなければいけ なかった人たちは、スキルを持っていると認定されないのです。ですから、中途採用のほう へ行っても門前払いされて、新卒でもないという形で、非常に大きな痛手を受けていたのが これまでだったと思います。そういう意味では、たまたま不幸な目に遭った人にとっては、 非常に大きな救いになると解釈しています。 ○新谷委員 荒委員に良い課題指摘をしていただきましたので、意見を申し上げたいと思い ます。資料2-3の15頁、既卒者の募集状況があります。一旦既卒扱いになると、大企業は もちろんそうですが、中小企業においてもなかなか応募が可能ではないというのが現状です。 大学を出てからゆっくり考えればいいではないかというご意見もたしかにあると思います。 自分の能力を試したいとか、いろいろな夢を追い駆けるというのはあると思うのですが、現 状はそこに追いついていないというのがありまして、入口のところを新卒一括から、少なく とも卒業後3年間に幅を広げるというのは、私どもとしてはいい政策だと思っております。  もう1つは、いまお話を伺っていて我々も運動を進めているのですが、職業教育として働 くことの意義なり、意味というものを大学を出てから考えるのではなくて、高校、大学を通 じてきちっとした職業観の確立をしないと、何をしたらいいのだろうとか、社会へ行ったら どうするのだろうかとか、それは卒業してから考えるのではなくて、卒業の前に自分の生き る道をきちんと確立させるということを、今日は公益側に大学の先生もおられますので、是 非その辺も、それは文科省なのか厚労省なのかわかりませんが、そういう職業観を確立する ための教育を是非行政としても進めていただければと思っております。以上です。 ○大橋分科会長 そのほかはいかがでしょうか。私も一言だけ言わせていただきます。大体 見ていますと、内定を取る人は早いのです。いくつも取ってくるのです。取れない人はなか なか取れないという二重構造があります。ただ、1つ言えるのは、就職活動を通して成長す るのです。大体自分の行きたい所というのが早い時期に出てくるのです。それに失敗したあ と、いろいろとチャレンジして、結構そのプロセスで成長していくプロセスがあるのです。 そういう意味では、3年という数字が理解できないのですが、新卒採用というチャンスがま た2年目にあり、3年目にあれば、そのプロセスでいろいろなことを学んでいくという意味 で、これは全体として非常にいいのではないかと思っております。 ○岩村委員 今回の若年者向けの政策の強化ということ自体は、非常に私はいいことだと思 います。また今回の指針の改正についても賛成です。先ほど労側の委員からご指摘があった ように、そうは言っても受け皿となる雇用そのものが増えないと、一生懸命こういう政策を やっても、やはり最終的に雇用には結び付かないのです。そういう意味では、経済政策をど うするかということが重要です。それはこの審議会の役割でもないし、厚労省そのものの役 割でもないということになると思います。  1点だけ、医療、介護というのが成長分野でと。そこが雇用の受け皿として期待されると いうのが、いまの政権の下ではよく出てくるのですが、私は医療保険も介護保険も審議会で やっていて、たしかに2025年以降にかけての傾向、動向として見たときには、どっちにし ろ高齢化が進んで、医療費にしても、介護保険についても増えていくという見通しがあるこ とは確かです。  しかし、今ではないのです。ですから、即座に医療とか介護の分野で、何かすぐに雇用が 創設されるかという話だといったとしたら、おそらく、それはノーなのです。それをやろう とすれば、医療保険なり、介護保険に新たに財源を注ぎ込んで規模を拡大しない限りはでき ない相談なのです。  ところが、新たな財源の見通しというのは、どちらについても大きく規模を拡大するよう な財源というのは全然見通しが立っていない中で、いまの問題として介護や医療というのが 成長分野だと言われても、それは政策の実現性なり、現実性という点では、どうも乏しいの ではないか。いずれにしろ、介護にしても医療にしても、公的な医療保険で支えているのは、 ある意味では公共部門ですから、そこのところは本当に政策のウエイトとして置くべきとこ ろなのかというのは、やや私は懐疑的に思っているというコメントだけさせていただきたい と思います。 ○大橋分科会長 日本の経済全体としてどういった職種が増えていくのか、ということは大 変大きな問題です。それと供給側の大学卒業生、あるいは高卒とのバランスはどうなるのか というのは大変大事な問題だと思います。本日は、この議論はこのくらいにさせていただき ます。特にないようですので、青少年の長期雇用機会の確保等に関して事業主が適切に対処 するための指針の一部を改正する告示(案)については、当分科会としましては、厚生労働 省(案)を妥当と認め、その旨私から労働政策審議会長にご報告申し上げたいと思いますが、 よろしいでしょうか。 (異議なし)  それでは事務局から報告文の案をお配りいただきます。 (報告文配付)  お手元に配付していただきました報告文案により、労働政策審議会長宛報告することとし て、よろしいでしょうか。 (異議なし)  それではそのように報告させていただきます。これをもって、厚生労働大臣に対する答申 となりますのでご了承ください。その他、引き続きまして、議題のその他として出先機関改 革関係資料が配付されておりますので、事務局よりご説明をお願いいたします。 ○総務課長(宮川) ただいまお話がありました出先機関改革については、これは地域主権 改革の課題の1つとして、政府として取り組んでいるものです。この現状について本日はご 報告をさせていただきます。資料??3を用いてご報告いたします。資料??3の13頁をお開 きください。地域主権戦略大綱(抄)が載っております。これに基づきまして、地域主権改 革、あるいはその中での国の出先機関改革の関係のポイントをご説明いたします。  13頁の第1の1に「地域主権改革」の理念と定義ということで、(1)国と地方公共団体の 関係を対等の立場で対話のできる新たなパートナーシップの関係へと根本的に転換すると いう意義を記載しております。2.地域主権改革が目指す国のかたち、(1)の4行目、社会経 済情勢の変化への課題に適切に対応し、発展し続けるためにも、地域主権改革を断行する必 要がある旨、記載されております。  (2)この地域主権改革が目指す国のかたちとは何かということについて、(2)の最初のとこ ろに、国のかたちは国が一方的に決めて地方に押し付けるのではなく、地域の自主的判断を 尊重しながら、国と地方が協働して作っていく旨、記載されております。一方、住民による 選択と責任も記載されております。  具体的な工程については、3.地域主権改革の工程にあるように、地域主権改革の意義や理 念などを踏まえまして、憲法や国際条約との整合性にも配しつつ、施策の総合的かつ計画的 な推進を図るため、当面講ずべき措置と、今後は概ね2、3年を見据えた改革の諸課題に関 する取組み方針を明らかにする。これが地域主権改革戦略大綱の趣旨です。  具体的に出先機関改革については、15頁をお開きください。第4の1、改革に取り組む 基本姿勢、「改革の理念」にもあるように、住民に身近な行政はできる限り地方自治体に委 ねるという、ここで言う「補完性の原則」の下、役割分担の最適化や、政策展開や行政運営 の最適化、効率化、ガバナンスの確保、この3つの観点を踏まえて、役割分担の見直しを行 っていこうというものです。その際には、(2)条件整備や新たな枠組み、ルールの検討、具 体化に早急に着手し、可能なものから逐次柔軟かつ段階的に実現していくという考え方です。  その改革の枠組みの中で、進め方の基本については(1)にあります。これにつきましては、 「原則廃止」の姿勢の下、ゼロベースを見直すこととし、地方自治体化をはじめ、制度の利 用者などを広く、関係各方面の意見等も踏まえつつ、国と地方の役割分担の見直しに伴う事 務・権限への地方自治体の移譲等を進めた上で、それに伴う組織の廃止整理、合理化等の結 論を得るということです。具体的には、役割分担の考え方、個々の事務・権限の取扱い、財 源・人員の取扱い、柔軟な取組みなどを記載されております。  (6)今後の改革の進め方については、?@各府省は、地方自治体側の意見・要望等も踏まえ つつ、自らが所管する出先機関の事務・権限仕分けの結果を、本年8月までに地域主権戦略 会議に報告する。後ほどこの内容はご説明申し上げます。  戦略会議のほうでは、この内容を精査して、事務・権限仕分けを行うという形になってお ります。17頁のいちばん下の「アクション・プラン」については、個々の出先機関の事務・ 権限の地方移譲等の取扱い方針、工程、スケジュール、組織の在り方について、「アクショ ン・プラン」(仮称)を年内目途に策定する。こういう段取りになっているわけです。  資料3の1頁、いまのスケジュールを簡単にまとめたものです。重複いたしますが、簡単 にもう一度ご説明いたします。8月末に自己仕分け結果を各省が提出しております。10月 15日に内閣府から出先機関改革の仕分け結果につきまして、再検討の指針が示されて、再 検討の要請があり、各省は10月中に再検討を終了して、11月1日に提出する状況になって おります。これが現状です。その後、議論が行われた上で、年末にアクション・プランの策 定という段取りになっております。  2頁は再検討の指針が示されております。その中で当審議会の所管事項であるハローワー ク、あるいは直轄国道、直轄河川などにつきましては、地方自治体が見直しを特に強く望ん でいるものについての例示として挙げられております。そのものについてはその方法で移譲 するという再検討の指針が示されております。また障害となっている理由について、解決す る方法として、3つの例示が「公域性」「統一性」「専門性」についてはそれぞれのやり方な どが記載されております。さらに3番では、必要性が乏しくなった事務については廃止また は縮小。4番、その他積極的に自己仕分けに上乗せの提案を盛り込む。この4つの指針が現 在再検討の指針として示されております。  そこで私どもの考え方、ないし対応については、すでに労働政策審議会の本審におきまし ては、8頁をお開きください。8頁は平成21年2月の労働政策審議会におきまして、地方 分権改革に移管する意見でした。11頁、平成22年4月の労働政策審議会における出先機関 改革に関する意見については、内容はほぼ同じです。直近の平成22年の意見を簡単にご紹 介いたします。ハローワーク関係に絞らせていただきます。  11頁の1番、ハローワークの地方移管については、平成21年の意見に記載された上で、 下から4行目、ハローワークの業務は以下の理由から都道府県に移管することは適当でなく、 国が責任を持って直接実施する必要があり、これは先進諸国における国際標準である。1番 目としては県域を超えた対応。12頁の2番目、迅速・機動的な対応。3番目、雇用保険と の関係で、保険制度が成り立たないおそれがある。4番目、地方移管は我が国の批准するILO 第88号条約に違反する。  結論として、したがって、国の様々な雇用対策の基盤であるハローワークは地方移管すべ きではなく、引き続き、国による全国ネットワークのサービス推進体制を堅持すべきである。 雇用対策については、国と地方自治体が一体となって、その地域における雇用対策を一層強 化する必要がある旨のご意見を賜ったところです。私ども厚生労働省といたしましては、政 務三役とも相談の上、まず8月末の自己仕分けにおきましては、この趣旨を踏まえた形で、 国がハローワークについて地方移管することはできない旨の回答をした上で、ご指摘の国と 地方自治体が一体となってどのような形で進めていくか。地方分権、地域主権の中でどのよ うな形でやっていくかについて提案したのが、3頁です。地域主権にかかる見直し検討案(ハ ローワーク)分についてご説明いたします。これは先ほど申しましたように、8月末の自己 仕分けの検討結果として提出させていただいたものです。その際には労働政策審議会にご説 明し、ご報告させていただいたものです。  ?@から?Cまであります。?@、自治体から国への要請権・国による対応義務の創設です。具 体的な内容をご説明いたします。4頁と併せて5頁をお読みください。この仕組みについて は、左側の枠組みの中にあるように、地域の実情に応じた効果的・効率的・機動的な対策を 実施するために、1つは自治体が希望する場合、名称は「雇用対策協定」ですが、自治体と 国の協働の内容を定め、共同の目標値なども設定する協定を国と自治体で結ぶ。自治体のほ うからは、協定の内容の実施に関して、自治体からの要請と、その要請に対して国が誠実に 対応する義務を創設したらどうかという提案です。  そのような協定の進捗状況を把握、あるいは全体調整の実施をするために、協定を結んだ 自治体と国で「運営協議会」を設置して、定期的にその実施状況をフォローするなり、随時 改定していくという内容をご提案しております。  具体的に参考とさせていただいた選考事例としては、5頁、北九州市と福岡労働局におき まして、北九州市雇用対策協定が平成22年3月に結ばれております。左側にある項目立て のような情勢分析などをした上で、左下にあるような、それぞれの施策についての目標値を 設定し、それを実現していくための具体的な対策として、市が実施する雇用創出、企業誘致、 U・Iターン対策、労働局で実施する法定雇用率達成、採用内定取消し回避の企業指導、あ るいは雇調金の迅速支給、そして市と労働局が一体となって実施する求人開拓、求人確保要 請、あるいは合同就職面接会、ふるさとハローワークの共同設置というような内容などを、 具体的な対策例として書き、これは協定での内容ですが、市から要請があった場合の対応努 力義務と運営協議会の設置という形での事例を参考にさせていただき、このような提案をい たしました。  あと3点提案をさせていただきました。6、7頁をお開けください。1点は、ハローワー クの職業紹介に関する事務の一部先行移管ということがありますが、これはもともとハロー ワークの一部と申しましょうか、ハローワークを丸ごと特区要望で自治体に移管できないか ということに対しての回答といたしましては、※にあるように、全国ネットワークによる紹 介、雇用保険、雇用対策は維持しなければならない。ここを阻害するような部分の移管は困 難であるけれども、その上乗せとなっているような事業。ここには具体例は書いてありませ んが、例えば、中高年齢者のホワイトカラーに対する職業紹介を行っている人材銀行などの 事業につきましては、具体的な要望を踏まえて特区で自治体への委託等を含めた支援を実施 できるよう提案しているところです。  ?Bは、地方分権改革推進委員会「第2次勧告」における見直し事項の対応の内容です。1 つは、現在、国の職業紹介と国以外の職業紹介という形で整理されている職業安定法を見直 して、自治体の無料職業紹介事業を、民間とは別の法的位置づけにするという提案です。そ れに併せて、自治体無料職業紹介事業におきまして、必要となる国の求人情報を地方の職員 がオンラインで利用できるような方法もご提案させていただいております。併せて、雇用保 険につきましては、先ほど申しましたように、全国ネットワークでの一体的な実施が必要で すが、それを阻害しない範囲である、例えば雇用保険受給資格決定に必要な書類の取り継ぎ などを、自治体の無料職業紹介窓口でも実施できるようにするという提案をさせていただき ました。  ?Cは、具体的なメリット、デメリットがなかなかわかりにくい地方移管の問題につきまし て、地方移管した場合、地方移管をしなかった場合の具体的なメリット、デメリットについ て利用者の視点に立って、詳細な議論を行う場としての円卓会議、あるいは国民的なアンケ ートを行い、そこで詳細な論点整理を行って、今後の政策決定に役立てたらどうかという提 案をさせていただいたところです。  現在、これに対して先ほど指示がありました自己仕分け結果についての再検討について、 現在政務三役とご相談の上、11月1日に新たな上乗せというものについて、検討している ところです。私からの報告は以上です。 ○大橋分科会長 それでは出先機関改革関係資料について、ご質問やご意見がありましたら ご発言ください。 ○住野委員 出先機関の関係ですが、地域主権改革を止めろと言う気はありませんが、今回 の緊急雇用対策の新卒の対策では、新卒応援ハローワークが迅速に全都道府県労働局で設置 できており、このような対応は国の同一組織だからこそできると思います。  そういった意味では、やはり雇用であるとか、社会保障という観点で国と出先機関が一体 でなければならないと思っています。先ほど労働政策審議会等々で、見直し案も含めて、い ろいろ議論をされておりますが、さらにはアンケートも取るということですから、すぐとい うことはないと思いますが、やはり、それぞれの都道府県で雇用情勢が違う、さらには雇用 保険を活用するだけで、認定業務だけは行うといったことになると、やはり、全体のワンス トップサービスという観点からは、少し地域に温度差が出るのかなと思っております。現場 で携わっている皆さんが、この時期に、よし、雇用対策を全体でやっていこうという中で、 志気が低下するのではないか。まさしくまた混乱するのではないかと懸念されると思ってい ます。この議論はそれぞれ円卓会議がありますから、それとしても、やはりいま近々の雇用 対策をどうやるのか、ということをまず全力でやっていただきたいと思います。何回も申し ますが、雇用であるとか、社会保障というのは、国と自治体が一体的な中で運用するという ことをやっていただきたいという意見ということで申し添えたいと思います。以上です。 ○吉岡委員 いま住野委員からも言われたのですが、地方自治体に移管した場合、特に雇用 保険や職業紹介という点でも不利益が我々に生じてくるのではないか。いま1つ言われまし たが、雇用保険はどうするのか。国に残したまま、認定だけ地方自治体へ行くとなると、や はり、認定だけやってしまえば、各都道府県において給付の乱発という問題もあります。ま た、雇用保険も併せて地方に持っていくという話になった際にも、地方ごとの雇用の情勢が 全然違う中で、雇用保険の料率の部分や特に給付の削減とか、いろいろな地方自治体の中で の差が、国民の負担に増大するということにつながっていくのではなかろうかということで す。  今回のさまざまな対応の中で、雇用対策の指揮命令が地方自治体という形になった際に、 全国一斉かつ即時緊急の対応がとれるのか、とれないのかということについては、自治体の 雇用情勢の状況において、さらに雇用情勢全体的には悪化させることにつながっていくので はなかろうかと懸念しております。  いまいちばん大切なことについては、国と各都道府県がハローワークの運営主体で対立す るということではなくて、何が求職者、求人者の利益になるのかという観点で、お互いに協 力をしていくことを前提に対応していただきたいと申し上げる所存です。 ○斉藤委員 再検討の指針の1番に「地方自治体が見直しを特に望んでいるものについては、 その方向で移譲する」と書いてあります。これが第1位であって、こういうことを強く望ん だものについては移管をするんだというのは、私はちょっと違うのではないかと思っており ます。先ほどご説明もありましたが、15頁に書いてあるように、一応、地方自治体側を始 めとなっておりますが、「制度の利用者など、広く関係各方面の検討も踏まえつつ」と書い てありますが、そちらのほうがまず最初ではないかと思うわけです。  例えば、ハローワーク等につきましても、利用者を代表するという意味合いにおいての労 使の意見を尊重するとか、いわゆる制度の利用者の意見を踏まえるということがまず前提に ありつつ、各都道府県が判断をしていくというプロセスでないと、どうも指針の1番がいち ばん前に来て、そこで言ったらもう決まりみたいな印象というのはいかがなものかなという ふうにも思った次第です。以上です。 ○高橋委員 時間を超過して申し訳ありません。労側の委員ばかり発言しておりますので、 使用側のほうも少し発言させていただきます。ご承知のように、ハローワークは労働市場に おける重要なセーフティネット機能になっているわけですので、地域ごとに提供されるサー ビスに差があってはならないと思います。今後とも無料の全国的な職業紹介組織として、安 定的な運営を維持して、一層のサービス向上に努めていただくということが基本であろうと 思っています。やはり、ハローワークの行う職業紹介は雇用保険の受給と密接に関連してい るわけです。雇用保険の財源を拠出する立場としてあえて申し上げますと、やはり財政の安 定の観点から、雇用保険の保険者である国が、職業紹介派遣者と失業認定業務を兼ねること が不可欠であると考えており、特定の業務だけ地方に移譲するといったことは認められない と考えております。以上です。 ○大橋分科会長 そのほか、いかがでしょうか。 ○岩村委員 時間が過ぎているのをあまり気が付いていなかったのですが、ちょっとコメン トをさせていただきたいと思います。先ほどどなたか委員がおっしゃいましたように、今回 の話で、特に都道府県知事会の側から要望があるから移すというのは、おかしいのです。本 来、職業安定行政なり、雇用保険行政の目的は何かというところから考えるべきであって、 先方が望んでいるからというのは、政策の立て方としてはいかにもおかしいと思います。  さらにユーザーである労使が入った労働政策審議会で、過去にもこの問題については意見 を表明しているにもかかわらず、再三に渡ってハローワークの移管が地方主権の話題になる こと自体が、極めて私は遺憾だと思っております。  さらに地方主権という形でハローワークを県に移すというのは、やはり政策としても非常 に疑問だと思います。これはすでに労使の方もおっしゃいましたが、もともと労働市場が県 単位で切断されているわけではなくて、すでにこの前のリーマンショックのときにありまし たように、現在でもそうですが、全国レベルで雇用政策、職業安定政策というのを展開する 必要があり、場合によってはそれを迅速にやらなければいけないということがあるわけです。 そういう意味で、地方に委ねてしまうというのは、そういったことがそもそもできなくなっ てしまうように思うのです。地方の実情に応じた雇用政策なり、職業安定政策をやりたいと いうのであれば、それは国の事業をベースにして地方との連携や独立事業ということでやれ ば、その目的は達成されることであって、地方にハローワークを移譲するというような大鉈 を振る必要は私は合理性がないと思います。  さらに技術的なことではありますが、もしハローワークの地方移管というのが自治義務化、 さらに交付金でそもそも財源を移譲するということであるとすると、結局、国の権限という のは、現在の地方自治法上は、いわゆる助言に留まってしまうことになります。通達を出し ても拘束力はないということになり、お願いベースという話になります。それをどうするか というのは、結局、県の判断に委ねられてしまうわけです。そうすると、いま議論してきた ような雇用政策やいろいろな問題について一生懸命やらなければいけないというときに、そ れを全部最終的には県の判断でやってくださいというのは、政策の一貫性が全然取れていな いという気がしております。  もし都道府県をそういう形で何かの方向で縛ろうとすると、それは全国レベルでやろうと いった場合には、個別に事業を組み立てて補助金を付けるしかないのです。そうすると、地 方交付税化してしまったあとに、その財源はどこから持ってくるのかという問題も出てくる ように思います。  今回のペーパーの2枚目の頁にあるように、広域性とか統一性というのは、こうやれば克 服できると書いてあるのですが、私に言わせると、そういうことがあるのだったら、そもそ も分権化するほうがおかしい。そういう論理に持っていくほうがおかしいのです。特に職業 安定行政については広域性、統一性があるので、そこは国でやるというのが本来の筋ではな いかと思います。基準などを作って縛るというのだったら、そもそも分権化する必要はない ではないかということだと思います。  もう1つの大きな問題点は、これはあまり気が付かれていないのですが、もし自治義務化 ということにしますと、例えばハローワークそのものを民間に委託してしまうとか、ハロー ワークの施設そのものを地方自治上の公の施設と位置づけて、それを指定管理者にやらせる ことが可能になる。つまり、全面的に民営化してしまうことが可能になってしまいます。も ちろん私も一般論として民営化そのものがいけないというわけではありませんが、ハローワ ークの事業そのものを民営化という方向に動くような、そういう可能性を開くというのは非 常に私は疑問に思っています。何よりも交付金化することによって、使い方が自由になるの で、民営化することによって節約をした結果として、ほかに財源が流れてしまうというよう な問題も起きます。  現にこれは、例えば、三身一体改革の中で行われた自治義務化と合わせた地方交付金化に よって公立の保育所については民営化することが、ある意味で全国でなだれを打って行われ たという例もあり、非常にそこは私は懸念を持つとともに、疑問だというふうに思っており ます。  もう1つ付け加えますと、従来地方分権、規制改革もそうですが、厚生労働省と別の所で やられたものの結果というのは、必ずしも芳しくないのです。地方分権関係で言いますと、 厚労省所管のもので自治義務化してしまったところはあるのですが、あとになって、しまっ たと思うことが多いので、これはよほど慎重に検討すべきだと思っております。すみません、 時間が超過している中で長くなりましたが、以上です。 ○征矢委員 いまいろいろお話が出ましたが、法律的にいま言ったご意見を集約すると、 ILO条約と憲法を出発した行政であると。特に憲法27条の勤労の権利というのは、基本的 人権の中でも非常に重要な国民の権利であります。  なおかつ、その権利というのは国が保障しているわけで、その権利の実現については国が 責任を持って対処しなければならない。具体的にはそれについて職業安定法と雇用保険法と 2つの大きな法律で担保している。個別具体的な保障はできませんが、制度的な保障として はそういう形でやっているわけです。  したがって、そういう国の責務というものを、全面的に地方自治体に委任できるかどうか となると、具体的に職業安定法と雇用保険法は、いずれもこれは厚生労働大臣の指揮監督下 に、全国統一的なネットワークで対策をとることになっています。なおかつ、そういう意味 では既存的な対処は可能であり、そこのところが崩れることになります。ですから、職業安 定法を改正して、いま言った指揮命令系をどうするかとか、そんな議論に仮に自治義務化に すればなっていく。それは絶対に避けるべきではないかと考えます。  そういう意味では、憲法上の27条を出発点とした議論をきちんと整理する。それと併せ てILO条約を基本とした議論をきちんと整理した上で、利用者がどう考えるか。そういう 観点で対処しなければならない課題ではないかと考えています。 ○総務課長 いくつかお話がございましたが、技術的な関係で補足させていただきます。岩 村先生がおっしゃいました自治義務化という問題もありますが、これはご承知のように、自 治体の事務は自治義務化、法定受託義務ということでしか整理できておりません。かつての ように、非解任義務という形で、国が知事を指揮監督できて、当時は知事が国の機関である 公共職業安定所を指揮監督するという形の整理だった時代は、一応、ILO条約の問題とか、 全国統一性という形のものが整理できていたところです。仮に法定受託義務にしろ、自治義 務にしろ、いわゆる指揮監督はできないという整理がいまの地方自治法上の整理です。そう いう観点からすれば、ILO88号条約の問題とか、全国統一性の問題とか、さまざまな問題 について多大な疑義が出てくる形になろうかと承知しているところです。以上です。 ○新谷委員 だいぶ言い尽くされておりますが、私からも一言申し上げたいと思います。岩 村先生にも言っていただいたのですが、すでにこの問題は労働政策審議会の本審でも2回に 渡って意見書を出しておりますので、もういい加減にしてほしいなという感じがするのは正 直なところです。我々はユーザーサイドとしてご意見を申し上げておりますので、これを是 非、汲み取っていただきたいということです。  ILO第88号条約の関係ですが、これは私も今年ILO総会に派遣していただいて、もし仮 にこれが国の指揮監督下から外れてしまうということになりますと、場合によっては、ILO の条約勧告適用専門家委員会に申し立てをしなければいけないという事態にもなりかねま せんので、国際条約をちゃんと遵守するという、国の姿勢にも関わってくると思いますので、 是非これはお願いしたいと思います。  労働行政の国と地方の役割分担でいくと、岩村先生からもおっしゃっていただいたのです が、先行するというか、ある事例でいきますと、地方労政行政という分野があります。労政 事務所などで労働者向けセミナーなどをやっていただいている分野があります。これは私ど もの中では自治労という組合がありまして、そこに組合員が現場におりますが、そこからも やはりクレームが来ておりまして、県の予算が逼迫する中で、最初に削られるのは労政行政 だと言われています。それを見ると、労政事務所の数もかつてに比べて3割近く減少し、半 減している状況になっている例もあります。これは地方に移されたときに、県内に7カ所あ ったハローワークが5カ所に集約されるとか、利用者にとってたぶんいいことはあまり考え られないと思いますので、そういった視点からも、これは是非全国ネットワークを維持する べきだと思っております。  最後に、ハローワークの定員が国の公務員の人員削減の方針の中で、同じように削減方向 と聞いております。最近は事務所の混雑が緩和してきたという面がありますが、まだ待ち時 間は解消されていない所もありますので、人員の増強についても是非頑張っていただきたい と思っております。以上です。 ○大橋分科会長 私の不手際で20分も時間を超過しております。ただいま公労使の各委員 の皆様から、非常に強いご意見がありましたので、本日このようなご意見があった旨、労働 政策審議会の諏訪会長にもご報告させていただくとともに、事務局に対してもこの場の意見 を政務三役に確実に伝えるようお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。 (異議なし) ○大橋分科会長 それではそのようにさせていただきます。なお、事務局におかれましては、 過去2回の労働政策審議会の意見を尊重し、適切に対処されるよう重ねてお願いいたします。  本日の分科会はこれで終了したいと思います。分科会の今後の日程につきましては、また 追って事務局よりご連絡させていただきます。本日の会議に関する議事録につきましては、 労働政策審議会運営規程第6条により、会長のほか2名の委員に署名をいただくことになっ ています。つきましては、労働者代表の吉岡委員、使用者代表の橋本委員にお願いいたしま す。本日はお忙しい中をどうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

職業安定局総務課総務係

(TEL)03-5253-1111(内線5711)

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