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2010年9月30日 第64回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録

職業安定局雇用保険課

○日時

平成22年9月30日(木) 13:00〜15:00


○場所

中央合同庁舎第5号館(厚生労働省)12階 職業安定局第1会議室


○議題

・求職者支援制度について
・雇用保険制度について

○議事

○清家部会長 ただいまから第64回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会を開会します。本日の出欠状況は、橋本委員、林委員、小林委員が御欠席です。また、本日私は公務のために途中で退席させていただきますので、その後は岩村部会長代理に進行をお願いします。なお、本日は資料の関係で、職業能力開発局総務課の松本企画官、職業能力開発局能力開発課の渡部補佐に御出席いただいています。
 また、事務局に異動がありました。求職者支援制度創設の担当となる職業安定局派遣・有期労働対策部の方々が、今回より参加されます。職業安定局派遣・有期労働対策部長に生田部長、企画課に土屋課長、田中企画官、坂井補佐、小園補佐が就任しています。それでは、生田部長から御挨拶をしていただきます。
○生田部長 8月5日付けで派遣・有期労働対策部長を拝命しました生田と申します。求職者支援制度の担当になりまして、これから雇用保険部会の皆さんには大変お世話になるかと思いますけれども、何とぞよろしくお願い申し上げます。
○清家部会長 議事に移ります。最初に「求職者支援制度について」です。求職者支援制度については、前回の雇用保険部会において「求職者支援制度の創設に係る論点」を配付させていただき、今回からはこの論点に沿って2巡目の議論を行うこととなります。今後の議論を進めるに当たり、事務局から何かありますでしょうか。
○土屋派遣・有期労働対策部企画課長 いま部会長からお話がありましたように、夏におまとめいただいた論点整理を踏まえて2巡目の議論ということで、どうぞよろしくお願いします。
 本日は、趣旨・目的あるいは給付の資料を用意しています。まず総論の部分、そして給付の部分について御議論いただき、11月頃には就職支援あるいは訓練の関係についても、一通り御議論いただいた上、年内の取りまとめに向けて議論を深めていただければと思っています。よろしくお願いします。
○清家部会長 いま事務局からも説明がありましたが、本日は、このうち「制度の趣旨・目的について」及び「給付について」、これまでの議論を踏まえつつ、皆様方から御議論をいただきます。そこで、まず事務局から資料1について御説明をいただきます。
○坂井企画課長補佐 最初に資料の確認をします。資料1「求職者支援制度の創設に係る論点について」、資料1-1「制度の趣旨・目的について」、資料1-2「給付について」、資料1-3は求職者支援制度の「参考資料」です。雇用保険制度の話になりますが、資料2-1「失業等給付についての論点」、資料2-2は「マルチジョブホルダー関係資料」、資料2-3は「雇用保険の給付関係資料」です。過不足等がございましたら、事務局までお知らせください。
 続いて資料の説明をします。資料1-1「制度の趣旨・目的について」です。1頁は以前と同じもので、検討事項の求職者支援制度の趣旨・目的についてです。雇用保険を受給できない求職者を対象としたセーフティネットであることとなっています。具体的内容は、対象者が就職するために必要な能力を高めるための訓練の実施を行うこと。また、この訓練を実施する期間中ですが、訓練を実際に行っているときには、生活の安定を図るための給付金を支給することとなっています。併せて、これらの者が就職をする際には、就職をすることを促進するための制度であることとなっています。
 これまでの主な議論として、平成23年度以降は恒久的な制度とすべきであること。また、その制度に当たっては、持続可能性・公平性に留意することが必要となっています。また、実際に就職する際には、安定的な就職を実現するような制度にすべきであるとなっていまして、最後のポツで、生活保障にウェイトがあるのか、就職支援にウェイトがあるのかなど他の制度とも連携しながら、他の制度のことも考えながら、制度を形作っていくことが必要であるとなっています。おおむね論点の方向で議論が集約していたのではないかと思っています。
 次に給付について、資料1-2です。2頁で、まず「給付要件についてどのように考えるか」という点です。検討事項として、世帯の主たる生計者要件を設けることについて、こちらは基金事業では設けられています。年収要件は、基金事業では個人年収が200万円、世帯年収は300万円となっており、これについて、実際に求職者支援制度を設けるに当たってはどうするのか、またその年収要件について、水準をどの程度とするのか。金融資産要件は、基金事業は800万円となっているが、実際にこれを設けるのか、その金額の水準についてどう考えるのか。土地・建物の所有の要件は、基金事業は居住する土地・建物以外のものを持っている場合については給付を受けられません。これを求職者支援制度の創設に当たってはどうするのか。出席率の要件は、基金事業は8割以上の出席が必要となりますが、求職者支援制度の創設に当たってはどう考えるのか。このようなことが検討事項として挙がっています。
 これまでの主な議論としては、まず主たる生計者要件のあり方については、世帯年収要件との関係で十分に議論が必要とあります。その上で一方の意見として、世帯の主たる生計者要件は外してもよいのではないかということがあります。
 年収要件を設けた場合、場合によっては働く時間や日数の調整を行うことにより、収入が調整されるような、労働のインセンティブを阻害するおそれがあるのではないか。年収要件については、世帯年収の要件だけでいいのではないかという意見がありました。
 資産要件です。まず、800万円は高い数字ではないのか。厳密に行う必要があるのではないか。土地・建物要件については、価値がないような山林であったり、農地が想定されますが、そういったものをどう取り扱うのかの検討が必要。出席の要件は、出席率については、やむを得ない事情と考えられる出産、介護、病気等といったときに、一時的にストップしなければならない者への配慮も必要ではないのか。このような御意見をいただいています。
 次の頁です。今回は第2のセーフティネットということですので、雇用保険、生活保護、緊急人材育成支援事業ということで位置づけています。
 給付の目的です。まず雇用保険ですが、労働者が失業して所得の源泉を喪失した場合に備える保険制度であり、本人が適用要件、受給資格要件を満たせば、現行の基金事業であるような世帯主であったり、年収、金融資産要件ということは全く関係なく、雇用保険の受給をすることが可能となっています。
 生活保護は、資産・能力等あらゆるものを活用した上でもなお生活に困窮する方に対して、必要な給付を行うことにより、健康で文化的な最低限の生活水準を保障する。生活保護は、世帯を単位として、生活保護の要否、生活保護の程度が決定されています。
 緊急人材育成支援事業は、訓練期間中の生活を支援する手当を給付するということになっていて、対象者としては雇用保険を受給できない方です。取得要件として、主たる生計者であること、また個人収入が200万円以下、世帯でも300万円以下であることです。資産要件は、金融資産が800万円以下であること、居住する土地・建物以外に土地・建物を所有していないことです。
 財源です。雇用保険は雇用保険料です。緊急人材育成支援事業は一般会計です。生活保護は一般会計ですが、国が4分の3、地方自治体が4分の1を負担しています。
 次の頁です。こちらは雇用保険の対象者について、適用要件と受給資格要件を書いています。雇用保険は、週20時間以上働く方、かつ31日以上の雇用見込みがある方については適用されることになっています。また、65歳未満の方が適用で、その逆の場合をこちらに書いています。
 給付要件は、離職の日以前2年間に被保険者期間が12月以上あることが一般的な要件となりますが、倒産、解雇などによる場合については、離職の日以前1年間に被保険者期間が6月以上ある場合については給付されます。
 次の頁です。こちらは生活保護制度の概要を載せています。最低生活の保障ということで、資産・能力等すべてを活用してもなお生活に困窮する者に対し、困窮の程度に応じた保護を実施します。
 最低生活の保障の[1]で、資産であれば不動産、自動車、預貯金等です。収入であれば、年金、手当などの社会保障給付です。世帯で見れば、扶養義務者からの扶養です。これらを勘案した上、まず保護を開始する際に、こういったものを調査することになっています。実際に保護の適用後も、届出の義務づけをしています。支給される保護費は、最低生活費を国で決め、何らかの収入がある場合は、その差額分だけが生活保護から支給されます。
 次の頁です。緊急人材育成支援事業について御案内のとおりですが、基金訓練を受講することが適当と判断され、キャリア・コンサルティングを受けた上、受講勧奨を受けた者が、基金訓練を受けます。その基金訓練を受けている者のうち、年収要件などの一定条件を満たす方については、訓練・生活支援給付を受けることができます。
 2枚めくっていただきまして、給付額の御説明をします。検討事項として5点あります。1点目は給付額の水準についてです。基金事業は10万円、扶養家族を有する場合は12万円が支給されます。給付額に地域差を設けることが2点目です。3点目は、雇用保険の基本手当との関係についてです。
 給付の種類については、雇用保険は通所手当などが支給されていますが、求職者支援制度ではどのように位置づけるか。融資制度の必要性については、基金事業では5万円、扶養家族を有する場合は8万円を上限に行われていますが、求職者支援制度ではどのようにするか。このようなことが検討事項として挙げられています。
 これまでの主な議論としては、給付額の水準と地域差が一緒に書かれていることが多いのですが、雇用保険の失業給付の金額との関係を考えた上で、生計費概念を入れるかどうか。最低賃金の話は地域差があるので、そういったものを根拠とするか否かも含めて議論を深める必要がある。
 特に雇用保険の基本手当との関係においては、基本手当日額の最低額で、1か月雇用保険を受給するより、基金事業は10万円となっているのですが、仮に10万円を受給することのほうが魅力的であるとはならないかということで、雇用保険の給付額が低い者との関係を整理する必要がある。
 給付の種類ですが、雇用保険においては訓練を受ける際に通所手当、待機手当が支給されていますが、求職者支援制度創設に当たっては、その手当についてはどうするのか。待機手当については、必要ないのではないかという指摘もあります。
 次の頁です。訓練・生活支援給付について、趣旨、給付、貸付をまとめています。給付は月に10万円、扶養家族を有する者は月に12万円です。貸付は月に5万円、扶養家族を有する者は月に8万円です。簡単な概要をまとめています。
 次の頁からは、具体的な水準を他の制度で見た場合ということで、3つ付けています。1つ目は、公共職業訓練を受講する雇用保険受給者の場合、2つ目は生活保護の場合、3つ目は最低賃金制度で計算した場合の給付額です。
 最初の公共職業訓練を受講する雇用保険受給者の給付額は、1日当たり基本手当日額に受講手当を加えた額です。例として挙げているのは、最低賃金でフルタイム働いていた雇用保険受給者が公共職業訓練を受講した際に受ける1か月分の給付額です。最低賃金の地域別加重平均は、先日発表された730円ですので、こちらで計算をしています。この730円に1日8時間、それに5日間を掛けて、雇用保険の賃金日額の算出は1週間に均すとなっているので、7日で割って、4,171円になっています。基本手当の日額に直すに当たっては給付率を掛けることになっているので、およそ0.8で計算して、3,337円です。これが1日になるので、1か月分の30日を掛けた上、受講手当の500円、訓練日数の22日を掛けて、11万1,110円となります。雇用保険の場合、適用に関しては20時間以上ということで、20時間から40時間と幅があるところですが、フルタイムで働いた場合には、この程度の額になります。
 次の頁は生活保護制度です。これは、国が資産・能力等すべてを活用してもなお生活が困窮する者に対し、困窮の程度に応じた保護を実施する制度です。最低限度の生活を保障することになっているので、額は若干高く出るかと思います。
 最低生活保障水準の具体的事例です。まず、単身、2人、3人世帯と分かれていますが、単身世帯の東京都区部、地方郡部の2つの例を挙げています。生活保護は、地域6地区に分けた上、その給付の額が変わっているので、いちばん高いところと低いところを例として挙げています。
 生活扶助と住宅扶助を左に挙げていますが、今回の求職者支援事業の額の水準の比較に当たっては、この生活扶助と住宅扶助で比較してはどうかということで、2つを挙げています。生活扶助の第1類費・第2類費です。第1類費は個人に着目したもので、年齢区分に応じて額が変わっています。第2類費は世帯人員によって額が変わっていて、それに地区別の冬季加算などが重なった上で額が算出されます。
 住宅扶助も地域によって額が異なりますが、今回の試算では上限額を記載しています。これによると、東京都区部では、足して13万8,690円、地方郡部では9万2,070円です。地方郡部は9万2,070円と若干低めにはなるのですが、生活保護の特性上、実際の予算では半分程度が医療扶助ということもあるので、全体の額としては、もう少し高い額が普通の被保護世帯には出ているのではないかと考えられます。
 次の頁は、最低賃金制度についてまとめています。この制度は生活保護に係る施策との整合性に配慮すべきとされている労働者の生計費、それに労働者の賃金や通常の事業の賃金支払能力を総合的に勘案して定めるものとなっています。こちらについても、先日発表された加重平均時間額の730円で計算しています。
 最低賃金でフルタイム働いた者が得る1か月分の手取額として出していますが、730円で1週間に40時間働き、それが52.14週、1か月分にするので12か月で割り、税と社会保険料を控除する際に目安となる0.859を掛けると、10万8,985円程度になります。以上が給付額の御説明です。
 2頁めくって、給付期間についてです。検討事項は1点で、就職を促進するとの観点から、給付期間に限定を付すること及びその仕組みについてです。現行基金事業は、訓練を受ける者が要件を満たしている場合に給付を受けることができますが、その給付期間は原則1年までとしながら、1年を超える訓練を受講する場合は例外とすることも含めて検討すべきである。また、そもそも訓練にどのくらいの期間が必要かも考える必要がある。このようなことを主な議論として、意見をいただいています。
 次の頁は、実際の訓練・生活給付における給付期間のイメージです。19頁に「認められる複数受講の例」として書いています。現行の基金事業は、職業横断的スキル習得訓練コース、基礎演習コースを往復することはできませんが、両コースの場合に、必要な場合は実践演習コースまたは公共職業訓練を受けることが可能となっています。実践演習コースを受けた後に、更に必要な場合は、公共職業訓練を受けられるようになっていまして、最初に実践演習コースを受けた場合は、その後必要な場合に公共職業訓練しか受けられないとなります。
 これを踏まえての15頁の説明になります。例1は、職業横断的スキル習得コースの後に実践演習コースを受けた例です。訓練3か月を2回受けていますが、その場合は、給付は3か月、3か月で、6か月間の給付を受けることが可能となっています。緊急人材育成支援事業については3年間の暫定措置として作られた上で、最大で2年間の訓練・生活支援給付を受けることが可能となっています。
 次の頁の例2です。基礎演習コース6か月を受けた後に、実践演習コースを3か月、更に公共職業訓練を6か月受けた場合です。訓練は合計15か月、給付も合わせて15か月分が出る例です。
 例3です。こちらは基礎演習コース6か月を受けた後、公共職業訓練を24か月受けています。例えば介護福祉士の資格を取る場合などですが、そういった場合はこのようになります。訓練6か月、その後に訓練24か月ですが、訓練24か月の際の給付は、給付期間は最大24か月ですので、24から6を差し引いて、18か月しか出ないというのが、現行の基金事業の説明です。
 2頁めくって、適正な給付のための措置です。検討事項は2点挙げられています。1点目は、繰り返し受給を防止する観点から、給付を受けた者がその後一定期間は受給できない仕組みを導入することについて。2点目は、不正受給を防止する方策についてです。
 こちらについては、給付期間のインターバルは是非とも必要である。その上で、必要な場合については、求職活動を行わない求職者に対するペナルティとして、インターバルの部分を延長するなどの措置を検討してもいいのではないか。もう1点の不正受給を行った場合の給付金の返還などの仕組みが必要ではないか。このような意見をいただいています。
 次の頁です。こちらは先ほど説明させていただきましたが、現行の緊急人材育成支援事業における利用制限を記したものです。次の頁は、主に雇用保険受給者が公共職業訓練を受けている場合の受講制限です。公共職業訓練については、原則として受講修了後1年間は受講のあっせんを受けることができません。以上が求職者支援制度の説明です。
○清家部会長 今説明のあった制度の趣旨・目的についてと給付について、給付については更に細かく給付要件、給付額、給付期間、適正な給付のための措置と分けてご説明をいただきました。ただいまの説明に関して、委員から御自由に御意見、御質問をいただきます。
○新谷委員 まず、制度の目的・趣旨について発言します。これまでの論点整理の中でも申し上げましたが、この制度は長期の失業者、自営廃業者のように、雇用保険が受給できない方々に対して、意欲と能力をもって安定的な就労を目指す方、まさしく求職者を対象に、職業訓練を施すことによって労働市場に戻っていただく制度だと思います。そういう意味では、労働政策の一環としてこの制度の構築を図るべきだと考えます。また、この制度を就労に結び付けることが政策目的だと思いますので、訓練の受講前から受講後までを通じて、キャリア・コンサルティング等で就労に結び付けるような、トータルのパッケージとしての仕組みを備える必要があると思っています。
 あと、この制度の性格からいうと、保険制度というより国のセーフティネットとしての性格が強いこともあるので、財源的にはまた後ほど論議をするでしょうけれども、これは一般会計の財源を投入することを基本に、制度を設計すべきであると考えています。今後財政官庁との折衝が激しくなるでしょうけれども、この前提は是非守っていただければと思っています。
○清家部会長 制度の趣旨・目的について、何かございますか。よろしゅうございますか。給付についても含めて、御質問、御意見をお願いします。
○豊島委員 給付要件についてです。給付要件については、現行の基金事業の要件を基本としつつ、雇用失業情勢などに応じ柔軟に対応できる仕組みとすべきではないかということですが、ただし、対象年齢は雇用保険制度と同様に65歳未満の者として、現行の基金事業の世帯への主たる生計者要件は、世帯合計の年収要件は維持しつつですが、給付の位置づけを個人単位とするという趣旨から、廃止すべきではないかと思っています。
○遠藤委員 給付の要件について、まず基本的な考え方の概略を述べさせていただきます。これまで皆様方と御議論をしてきたこの制度は、長期的に安定した制度にしていくことが求められており、そのための財源をどう確保していくかが重要です。これについては異論がないかと思います。財政的に今大変厳しい状況下にあることを考えると、制度そのものの構築に当たっては、重点的あるいは限定的に捉えていく必要があると考えています。
 具体的に給付の要件をどう見ていくかということですが、今御指摘がありましたように、現行の基金訓練事業を基本としつつ検討していく。これもそのとおりだと思っています。ただし、世帯主要件について、これは従来から申し上げていますように、世帯主要件を裏返して言うと、世帯の中で受給者1人ということです。その世帯主要件が外れることによって、同時に複数人が受給するということになるわけですので、それは納得感が得られるものなのかどうか。新しい制度そのものは、みんなで支えていこうということで一般財源を基本に考えていくものですから、そうであれば、皆さんがこの制度を支えていこうという気持ちが起きるような制度にしていかなければいけないのであり、同時に複数人が受給できる仕組みにするということについては、違和感があります。
 基本的には世帯に対する支援給付という位置づけを維持しつつ、同時に複数人が受けるということは避けるべきではないでしょうか。そのときの基準として、世帯主要件にするかどうかは、今後考えていく必要があるかもしれませんが、複数人が同時に受けることについては、新制度の中では難しいのではないかと考えています。
○新谷委員 その点については、我々は先ほど豊島委員が言ったとおり、違う考えを持っております。最近共働き率が非常に増加しているということもありますし、一昨年のリーマン・ショック以降、共働きの方が御夫婦ともに職を失うケースもあったわけで、そういったケースを考えたときに、現行の基金事業には、まさしく主たる世帯の生計者の要件が入っていますので、個人への給付というより世帯への給付という形になっているわけです。
 この制度の狙いは、失業者の方に職業訓練を施すことにより、労働市場に戻っていただくことですから、そこの世帯に2人以上の働き手がいて、かつ就労を希望されているのであれば、その方それぞれに訓練を施して、その生活を支えるための給付を施すと我々は考えています。ただ、我々も同じ世帯で4人も5人も受給するということは考えていません。今回世帯の主たる生計者要件を外すという提案をしていますが、世帯年収合計300万円という現行の要件は、外すつもりはありません。これは給付額がいくらになるかにかかわってきますが、仮に現行の10万円ということですと、お1人で年間に120万円、お2人で240万円になるので、それは300万円の要件の範囲に入るということで考えれば、十分に整合性のある話ではないかと我々は理解しています。
○遠藤委員 そこのところですが、複数人の受給をどのように考えるか。世帯全体の年収要件の中で捉えるからいいのではないかという考えについては、私どもからすると理解が及びません。
 今の状況を考えると、実費は除いて、訓練を受けるときにかかる費用についても、国で見てもらえるのであり、その部分を支援することについては明確に打ち出せるわけです。それ以外の生活支援給付の部分を、世帯単位として見たときにどこまで対応するのかという議論をして、それは複数人ではなくて1人とする考え方のほうが、メッセージとしてはわかりやすいし、納得性があるのではないかと思います。
○清家部会長 ほかにいかがですか。
○新谷委員 給付についての8頁、給付額の下から4つ目のポツです。基本的にこの制度は雇用保険を受給できない方を対象に組み立てる制度で、それは異論のないところですが、以前のこの部会の資料の中で、現行の10万円の基金訓練の給付金を下回る雇用保険の失業給付を支給されている方が、たしか12.5%おられるとありました。
 そうすると、前回申し上げましたが、例えば隣近所に親しい方がおられて、ずっと専業主婦でやっていた方が、この制度の申込でハローワークに行かれた方と、ずっと雇用保険を掛けながらパートで安い賃金で働いておられた方がいて、同じようにハローワークに行って申込みをしたら、専業主婦の方は10万円の給付金がもらえて、雇用保険を掛け続けた方が、その12.5%の方はそれ以下の水準になってしまいます。現在の基金訓練は緊急避難的な運用でやられているのでいいのですが、恒久化に当たっては、制度間の整合を考えたときに、いかにもバランスに欠くのではないかと感じています。
 仮に雇用保険の受給資格がある場合は雇用保険から受給するとした場合に、90日後に雇用保険が切れた途端に、10万円にボンと水準が上がってきます。こういった矛盾もあるわけでして、ここの制度の整合性をどう考えるかについては、十分に論議が必要ではないかと思っています。
○遠藤委員 給付要件の1つである資産要件ですが、この額が高いことは前半の議論のときに指摘をさせていただきました。2巡目の議論ということで、この水準をどう見ていくのかと思っています。
 1つの提案として、過去に2年分の年収に相当する額と伺っていますので、これを1年分とすべきです。ただ、その年収の1年分をどうやって見るのか。例えば現行の世帯年収要件をかけて、その1年分を見るのか、あるいは先に報道されていますが、民間の給与平均である400万円で見るのか。そこはこれから御議論があって然るべきだと思っています。2年分では高すぎるということであります。
○新谷委員 8頁の給付の種類です。これも論点の中には記載いただいているのですが、交通費の支給をする通所手当です。これについて現行の基金訓練も、訓練機関の偏在というか、地方に行くと自宅から遠い所にあって、交通費がかなりかかるということで、自動車教習所のように、グルッと回って受講者を集めていくようなシステムは考えられないかという要望も、地方連合会からきています。それは無理としても、交通費に当たる通所手当については、制度の恒久化に当たっては、是非御検討いただきたいと思っています。
 もう1つです。かなりいろいろな層の方が受講されると思うのですが、仮に就労が決まって働き始めたときに、給料というのは大体後払いですから、もらうのは就労を始めてから1か月後になります。その間の生活の補填についても、何らかの検討が必要ではないかという声もあります。私どもは勝手に「就職安定奨励金」と名前を付けているのですが、最初の給料をもらうまでの生活の支援の部分も、検討しなくていいのかなと思っています。
○遠藤委員 検討ということですから、もう少し議論を深めたいと思います。繰返しで申し訳ないのですが、ここまでくると、どの程度まで財源を確保できるかを最優先で考えておく必要があると思います。そうなったときに、必要性の度合いがいろいろあると思います。必要な度合いが異なる中で、どのようなところから最初に当てはめていくのかを考えたときに、訓練・生活支援給付の枠をはじめどうするのかという議論もあると思います。
 まず財源がどこまで目処が立つのか、その中で、今回は制度をどのような形でスタートさせるのかという検討をしていきたいと思います。
○三木委員 今給付の話が出ていますが、いまの状況からすると、最低賃金あるいは生活保護の水準を含めて考えると、一定程度の生活最低保障を確保するための水準、あるいは地域の活性化を含めて考えると、現行の水準で、全国一律でいくべきではないかということを含めて、検討の前提条件にすべきではないかと思っています。その点も併せて議論いただければと思っています。
○清家部会長 ほかにいかがですか。
○遠藤委員 前半の議論で、貸付制度についても御検討くださいということは申し上げました。今回いただいた参考資料1-3に直近のデータも含まれる形で紹介されています。前半の議論のときには、例えば支援給付を受けている方の約1割程度が貸付を受けているという御説明をいただきましたが、資料1-3の最後の頁を見ると、平成21年度のトータルでもそうですし、平成22年度のこれまでの部分を見ても、借りている方の割合が13%まで引き上がってきています。おそらく最近の情勢からすると、申請にかかわる部分の対応にかなり時間を取られているので分析がすんでいないかもしれませんが、従来の1割程度から、この13%まで引き上がってきたことの背景、あるいは借主の属性がどう変わってきたのか。それから、訓練終了後は返済に入っていると思いますが、返済状況はどうなのか。いまの段階で分析されていることがあれば、教えていただきたいと思います。
○渡部職業能力開発局能力開発課長補佐 現状で細かいところまでの分析はしていません。何かお伝えできることがあれば、またお知らせします。
○遠藤委員 是非データが揃いましたらお願いします。今御指摘がありましたように、給付水準をどうするのか、地域性を入れるのかどうか、これから議論を深めていきますが、その際、貸付制度があることを前提にした議論をしていきたいと思います。是非貸付制度についても、議論を深めていただきたいと思います。
 それから、一部返済免除の仕組みが、再就職に向けてのインセンティブということで入っているわけですが、この部分がインセンティブの形で純粋に機能しているのかどうかも含めて、分析データが出てきたところで、また御議論させていただきたいと思います。
○清家部会長 ほかにございますか。
○古川委員 出席率のことでお伺いします。6頁に「8割以上の出席が必要」とあるのですが、これは訓練全体で8割なのかなと思っているのですが、これは病気、家族の介護、出産など、そのようなことを除いて、2か月連続で8割は出席できない人は給付を打ち切るべきだと考えます。
○栗田委員 2点あります。1つは14頁で、給付期間についてどのように考えるかです。これまでの主な論点の中でも、いたずらに給付を長くすることは適当ではないので、原則1年までとしつつ、1年を超えるものについては検討すべきではないかということですが、これについては、現行の基金事業と同様にするべきではないかと思います。その辺も含めて議論していただければと思います。
 もう1点です。適正な給付のための訓練についてということで、18頁にあります。これについても、給付については、あくまでも訓練の受講が前提なのではないかと思っていまして、訓練についてもインターバルがあるように、給付についてもインターバルができるということで、訓練に付随して考えていただければ、給付についてもそのようなインターバルを考えていただければと思います。論点の3ポツ目の「区別した上で、整理が必要ではないか」という部分に対する意見です。
○遠藤委員 給付の期間についてです。資料でいくつかの組合せを見ていくと、私どもから、原則最長でも1年とし、資格取得のためのコースを受講する場合は例外とする、というメッセージを出すことが必要ではないかと思っています。早期に就職に導くような形の仕組みをどう作っていくのかに注力していくほうが、新制度の理念という形では明確化するのではないかと思っています。
○岩村委員 いまいくつか出た意見の中で、気がついた部分についてコメントします。まず支給要件です。問題を整理すべきかと思ったのは、議論をしているのが支給を開始するための要件かどうかということと、支給を続けるための要件かどうか。少なくともその2つがあるので、そこを整理する必要があると思います。支給開始時に調べることができるものは、支給開始時点での要件なのでしょうけれども、支給を受け続けるための要件はどこかでコントロールがないと、実際にはわからないので、その辺を少し区別する必要があると思います。
 例えば年収要件のところでお話がありましたが、支給開始時点における年収というのは、給付を受ける前の時点での話で、そこに年収として何をカウントするかという問題があります。給付を受け始めて、その給付額を年収にカウントして考えるのかというのは、どちらかというと給付の存続要件の話になるので、それはまた別途の話だと思いました。そこは整理する必要があると思います。
 それと、受給要件としての世帯要件を外すかどうか。これは個人給付化したほうがいいのかどうかの話だと思います。前も申し上げましたが、この話は非常に難しいです。一方では、現在の失業の問題の実質をどう見るかという話と絡みます。他方では、これは給付の水準とも関係していて、給付水準をどう設計するかの問題とも関係します。
 直感的には、例えば世帯要件を外して、夫婦でともに訓練を受けて給付を受けることになると、20万円もらえて、生活保護水準と比べても高すぎると思います。その辺について、仮に個人給付化するという方向で考えるとすると、給付の制度設計をどうするのか、水準をどう設定するのかを詰めて考える必要があると思います。
 それから、雇用保険の給付とのバランスというのは、非常に大事な問題で、この制度の難しさというのは先ほどの御説明にもありましたように、10万円というのが、最賃で、フルタイムで、1か月というのを前提にして考えているのですが、実際の統計データなどを見ても、前の職業がパートとか、主たる生計維持者ではない人という方が、訓練のほうに入っています。そうすると、どうしてもそこにずれが生じていて、そのずれが雇用保険の給付との間のずれの問題に反映されている気がします。
 これのバランスを大きく失すると、先ほど新谷委員が指摘されたような問題が発生したり、モラルハザードの問題が起きるので、私も気になっているところです。結局のところは、給付水準がどのように設計されるかと関係すると思いますが、難しいと思います。
 つまり、前の就業形態に引き付けて給付を設計するとなると、場合によっては前の就業の状態はすごく前の話になってしまったりもします。あるいは例えば専業主婦の方の場合は、前の就業はないので、そこは難しいと思います。最終的には、給付水準をどう設計するかの問題にかかわっているように思います。
 給付期間については、先ほど申し上げた給付受給の存続要件と関係していて、もう1つは、真面目な人が損をしないようにするための仕組みとして、どこかでコントロールを仕組む必要があるのではないかと思います。そのことから考えると、給付期間は例えば原則1年としておいて、そこで1回コントロールを掛けて延長するほうがいいのかもしれません。
 その意味で、訓練と訓練はつながるけれども、その間にインターバルが開く場合には、そこでもコントロールを考えたり、モラルハザードの問題を考える場合には、給付についてもインターバルを設けることが適当かと思います。
 全体としては、この仕組みは設計が非常に難しくて、モラルハザードが起こりやすい制度です。逆に言えば、真面目な人が損をしないような仕組みにする必要があると思います。特に従来の議論であえば、財源は公費を使うということです。そういう意味では、適正に給付が使われることが必要だと思うので、そういったものをうまく考えながら、制度設計を考えなければいけません。あまり具体的なことは申し上げられないのですが、非常に難しい論点がいろいろあるので、そういう意味では、労使の先生方にいろいろと御検討いただいて、何かうまいところを見つけていただければと思います。
○野川委員 2点ほど申し上げます。1つは世帯主基準の話です。いまの時代になると、ある世帯にお父さん、お母さん、子どもがいるという、典型的な形ではなくて、いろいろな状況があります。例えば結婚していて、1世帯で両方が失業していて、どちらか1人が世帯主になっています。そうすると、その人にしか与えられません。それではと離婚をすると、1人ずつに与えられます。今は簡単にそのようなことをする方もおられますので、世帯主要件も、いままでの枠組みの中でどうするかと検討するだけでは、問題があると思います。
 類似の制度を持っているドイツではこれがいちばんの問題で、生活共同体という概念で、制度的に結婚していなくても、パートナー同士でいればそれを1つの共同体と見て、そのうちの1人に与えています。しかし、そうすると、実はパートナーではないという形をいろいろな形で作るのです。例えば一緒には住んでおらずに、同じアパートの3階と1階に住んでいるということもあるので、この世帯主要件は非常に難しくて、これを恒常化するとすれば、今までの世帯という概念自体も含めて、もう少し慎重に検討したほうがいいと思います。ここが不正受給のいちばんの温床になりやすいところの1つだと思うので、検討が必要かというのが1つです。
 もう1つは、最後に遠藤委員がおっしゃられたことです。訓練1年、資格取得を目的として就職していく。そういうメッセージを出すべきだということになると、その訓練がどのくらい効果的に就職に結び付く訓練であり、受けられる資格が本当に就職に直結するものであるかが、最初に制度的に担保されている、あるいは信頼性がないと、説得力がないと思います。
 そうすると、最初の段階でのキャリア・コンサルティング、要するに訓練に向けてのキャリア・コンサルティングだけではなく、途中と、訓練を終えてからです。これだけの訓練を受けたけれども、本当にすぐに就職できるかというと、そこは非常に難しいです。終わってからの就職に向けてのキャリア・コンサルティングが重要です。
 それと、訓練の種類、グレードの問題についてきちんと検討していって、さまざまなグレードかつ多様な種類の訓練から、それぞれの受給者ごとに当てはめていくことができるシステムがあって、初めて先ほど遠藤委員がおっしゃったようなことが、メッセージとして言えるのではないかと思います。この点の検討を深めていくことが必要かと思います。
○清家部会長 ほかによろしゅうございますか。そうしましたら、今御説明いただいたうちの「制度の趣旨・目的について」は、委員の皆様方からそれほど御異論はなかったと思います。つまり、これは雇用保険の適用外の方を対象にして、その中で就労意欲のある人、真面目な人の将来の就労に向けての訓練という努力を助けるという面では、所得の補償制度ではなくて、あくまでも再就職を助ける訓練を支援するという趣旨が第一義的であると。そして、それは保険の対象外でもあるし、基本的にはその財源は一般財源としていくべきである。これは労使双方も基本的には隔たりのないところだと思います。
 よろしければ、本日御説明いただいたうち、この「制度の趣旨・目的について」は、基本的には今日の御報告を了承していただいたとさせていただきまして、次回は論点をベースに一定の方向性を確認することとしてはどうかと思っています。
 その上で「給付について」は、今の御議論を伺っていましても、労使双方に少し温度差もございます。また、今岩村先生、野川先生からもありましたように、概念、物の考え方を詰めていく必要のある部分もありますので、「給付について」は本日の議論を踏まえまして、より一層この議論が深められるような資料を事務局に用意していただき、次回以降も議論を進めていくということでよろしゅうございますか。
(異議なし)
○清家部会長 そのようにさせていただきます。
 次の議題です。ここで職業能力開発局総務課の松本企画官、能力開発課の渡部補佐は退席をされます。どうもありがとうございました。またよろしくお願いします。
 事務局から資料2についてご説明をお願いします。
○篠崎雇用保険課長補佐 資料2-1「失業等給付についての論点」です。1枚めくっていただいて、具体的な論点です。本日は大きく3つありまして、1「マルチジョブホルダーへの対応」について、2「基本手当の水準」について、3「平成23年度末までの暫定措置の取扱い」についてです。1と2については、昨年度の部会報告書でも、引続きの検討課題になった項目で、昨年とほぼ同様の論点を記載しています。
 確認ですが、マルチジョブホルダーについては、同時に2つ以上の雇用関係にある労働者とはどのような雇用者かということ。それから、個々の雇用関係において適用対象とならない者について、一定の範囲で適用することができるのか。適用に当たり、事業主が労働者の他の事業所での労働時間を把握する必要があるが、そのようなことはできるのか。仮に適用する場合、給付のあり方をどう考えるか、何をもって失業と判断するのか。このようなことが論点です。
 2の基本手当の水準についてですが、これも去年と同様です。離職前賃金に基づき決定される給付額について、上限下限額及び給付率の水準について、どのように考えるのか。失業中の一時所得を通じて再就職を支援するという雇用保険制度において、給付額と再就職時賃金とのバランスをどのように考えるか。再就職の難易度を勘案し、年齢、被保険者であった期間などに応じて設置されている給付日数についてどのように考えるかということが論点です。
 3つ目の平成23年度末までの暫定措置、後ほど暫定措置はご説明しますが、個別延長給付などですが、これの取扱いについてです。1つ目は、個別延長給付などの暫定措置の効果についてどのように考えるかということで、平成21年度から実施している暫定措置も加味した制度の実施状況について、後ほど資料を説明したいと思っております。この平成23年度末までとされている暫定措置について、依然として厳しい雇用失業情勢の中で、今後の暫定措置の取扱いについてどのように考えるかということで論点を掲げております。
 それでは、1つ目のマルチジョブホルダーへの対応の関係をご説明いたします。資料No.2-2をお開きください。1頁です。マルチジョブホルダーについは、昨年も議論はしておりますが、現行の取扱いを簡単に確認させていただきます。1にありますように、同時に2以上の雇用関係にある労働者については、その2以上の雇用関係のうち、生計を維持するのに必要な主たる賃金を受ける、2つのうち1つの雇用関係についてのみ被保険者となる形になっております。それぞれで見まして、※にありますように、当然週所定労働時間20時間以上などの被保険者の要件を満たすことが必要であるということです。これが現行の取扱いです。
 2のマルチジョブホルダーの実態についてです。昨年の資料も添付しておりますが、その中で主な点だけ抜粋しております。まず全体像としましては、本業も副業も雇用者である労働者の推移は、1987年に55万人だったものが2007年は102万人と徐々に増えています。その内訳、雇用形態を見ますと、その下ですが、1番多いのは正規の方が副業しているものが25.4%ですが、続きましてパートの方が23.5%、会社などの役員が18.5%、アルバイトの方が16.8%という雇用形態になっています。一番下、副業者の性別は男女ほぼ同様ですが、副業1つの方が8,567名に対しまして、副業2つ以上の方が2,236名ですので、副業が1つという方のほうが多いというデータになっています。
 次頁です。これも全体像ですが、副業をしている理由を書いております。1番多いものが、一番上の「収入を増やしたいから」です。続きましては「自分が活躍できる場を広げたいから」です。それから「1つの仕事だけでは生活自体が営めないから」という方がいます。今のは収入とか生計費のためにというようなことなのですが、一方で「様々な分野の人とつながりができるから」、「時間のゆとりがあるから」という方もありました。
 ここまでは全体像ですが、今回、2頁の下段では、マルチジョブホルダーというのはどのような雇用者かということで、少し焦点を当てて分析をさせていただいています。(2)ですが、本業・副業の双方が月80時間未満の労働者の実態ということで整理しています。月80時間といいますのは、副業がそれぞれ週20時間未満の場合は月80時間になるのではないかということで、このJILPTの調査は月単位のものしかありませんので、月80時間未満という場合は、週の所定労働時間がそれぞれ20時間未満、いわば双方で雇用保険の適用にない方ということで集計をしています。下にA・B・Cとしてありますが、少し濃くしてあるCの部分、副業と本業それぞれが20時間未満の方は雇用保険の被保険者になっていない、いわば適用の対象に及んでいないということなので、こういう方をマルチジョブホルダーに加入することにして適用にするかしないかという議論だと思いますので、ここに焦点を当てて分析しています。
 まず[1]です。仕事を2つしている者のうち、本業・副業の双方が月に80時間未満の方は16.6%ですので、逆にいうと、副業をしている方のうち83%は雇用保険の適用があるであろう、16.6%の方は雇用保険の適用がない状態であろうということです。
 3頁、[2]本業・副業の双方が月80時間未満の労働者の世帯上の地位について集計しております。これによりますと「世帯主の配偶者」である割合が、最も多い52.1%となっております。これは「それ以外の者」は20%に対して、「月80時間未満の者」の場合は「世帯主の配偶者」が52%ということですので、倍ぐらいになっているということです。
 [3]は、この方々が副業をする理由についてです。先ほど全体像を見ていただきましたが「収入を増やしたいから」はこちらでも多いのですが48.7%、「時間にゆとりがあるから」が32.7%、「自分が活躍できる場を広げたいから」が22.7%となっております。表に網かけをしていますが、下段の「時間にゆとりがあるから」が32.7%なのですが、「それ以外」の方は17.6%ですので、こちらも「月80時間未満の者」のほうが「時間にゆとりがあるから」と回答した方が多いという結果になっております。
 次頁、副業していることを本業の勤め先に知らせているかです。これについては、月80時間未満の方は、「知らせている」が36.9%となっておりまして、「それ以外の者」よりは知らせている割合が多くなっております。
 続きまして次頁、本業の所得階層別でみた副業している者の数です。これによりますと、本業の年間所得が299万以下の階層で全体の約6割を占めていることが分かる形です。具体的には「100万以下」の方が24.8%、「100〜199万」が22.9%、「200〜299万」が15.6%となっています。
 次頁、先ほどは副業している方を所得階層別でみたのですが、所得階層別でみた雇用者の総数に対する副業している者の割合ということで、表は縦に見ていただきたいのですが、これによりますと、例えば「100万以下」の方のうち、副業ありの人の割合というのは6.8%、「100〜199万」の場合は4.7%ということです。一番右の「1,000万以上」のところは副業している方の割合は6%で、ほかの階層に比べますと、ここの階層の方のほうが副業者の割合が高いという形になっています。
 次頁以降は昨年の資料をそのまま添付しているものですので省略をさせていただきます。以上がマルチジョブホルダーの関係です。
 続きまして、資料No.2-3、雇用保険の給付関係資料をご覧ください。こちらで給付の論点、基本手当の水準と平成23年度末までの暫定措置の扱いの関係資料を合わせて作成させていただいています。1頁につきましては、失業給付の概要ですので省略させていただきます。
 2頁、平成21年改正法における暫定措置です。暫定措置はいくつかあります。まず基本手当についてです。給付日数につきましては雇止め等の方で、有期労働契約が更新されなかった等により離職した者について、給付日数を解雇等による離職者並みに充実をするということです。2つ目が、解雇や有期労働契約が更新されなかった方、いわゆる雇止めによる離職の方については、年齢や地域等を踏まえまして給付日数を60日分延長する、いわゆる個別延長給付を暫定措置としていま行っています。
 就業促進手当につきましては、1つ目が再就職手当の関係です。再就職手当は早期に安定した職業に就いた場合に一定の一時金を支給するものですが、この受給要件を緩和するとともに、給付率を引き上げております。具体的には、改正前につきましては、「現行」の所定給付日数の残日数が「1/3以上」かつ「45日以上」残して早期に再就職した場合に30%を支給するということでしたが、「暫定措置」期間につきましては45日以上という要件をなくした上で、残日数が「1/3以上」の場合は30%ではなく40%、それから残日数が「2/3以上」の場合は30%ではなく50%の給付を行うという形に充実させております。2つ目が常用就職支度手当です。これは障害者の方等、就職が困難な方に対して一時金を支給するものですが、これについては「40歳未満の者(年長フリーター層)」を支給対象に加え、残日数の30%という支給だったものを給付率を40%に引き上げるという暫定措置を講じております。
 大きな3つ目、受講手当です。これは公共職業訓練を受講したときの受講手当で、これは実際に受講した日に対して支給するものですが、日額が原則500円ですが、これを暫定期間中は700円に引き上げるという暫定措置を講じているところです。以上が平成21年における暫定措置の全体像です。
 3頁、これは基本手当の受給資格要件を整理したものですので省略させていただきます。4頁、受給資格決定の件数です。これは受給資格決定件数について、特定受給資格者、いわゆる解雇、倒産等による離職の方、それから特定理由離職者、これは雇止めの方、これが新しく平成21年に設けた区分です。それから、それ以外の方と分けておりますが、全体として平成20年度、平成21年度と受給資格決定件数が伸びている部分もありますが、新しく設けました雇止め等の離職による特定理由離職者という方が平成21年度に14万人いました。そのほか月別のデータを並べております。5頁、これは暫定措置というより全体像ですが、受給者実人員の推移を示しているものです。
 6頁は、基本手当日額について、上限や給付率を示しているものです。給付率だけ確認で説明させていただきますと、「60歳未満」の方で見ていただきますと、賃金日額に応じて給付率が変わっております。賃金日額が低い層「2,000円〜3,950円」の層の方は給付率が80%、賃金日額が高い層「11,410円〜15,010円」の方は給付率が50%、間については逓減していくという形になっておりますが、このような形で、賃金日額が低い方には手厚く、賃金日額が高い方には低めの給付率を設定しているものです。これを図示したものが7頁です。賃金日額が低い方には給付率80%で、高い方は50%、その間の方はこのように段階的に給付率が変わってくるというものです。
 8頁は、60歳以上65歳未満の方のグラフです。9頁、賃金日額については先ほど説明したように、下限と上限がありますが、その推移です。現行の法律は平成15年の改正法により、賃金日額は網かけにありますように、下限であれば2,140円、上限であれば年齢区分に応じてこのようになっているというものですが、これは法令上、賃金に応じてスライドすることになっております。注にありますが、毎年8月1日に前年度の「毎月勤労統計調査」を基にスライドをさせるということで、毎月勤労統計調査が上がったときは上がり、下がったときは下がるという形で、自動スライドをしています。具体的には、平成15年の下限は2,140円でしたが、一部上がったときはありましたが、基本的には低下傾向で、平成22年8月1日の改定におきましては賃金日額の下限は2,000円となっております。上限はここにあるような形になっています。
 10頁、これは基本手当日額と再就職時の賃金日額の状況を示したものです。これは論点の中でも、給付額と再就職賃金とのバランスをどのように考えるかというものがありますので、付けているものです。基本手当日額が仮に再就職賃金よりもあまりに高いと、就職のインセンティブを削ぐのではないかということです。現状はここにあるとおり、再就職賃金日額に比べまして基本手当日額を下にしておりますので、全体としては逆転現象が生じている状況にはないと考えております。
 次の頁、これは基本手当の給付日数を示しているものです。解雇、倒産等による離職か、いわゆる自己都合かによって大きく違いますが、[1]「解雇、倒産等による離職者」の場合は、年齢と被保険者であった期間に応じて給付日数が変わっておりますが、被保険者期間が長くなるほど基本的に給付は手厚くしております。[2]「有期労働契約が更新されなかったこと等による離職者」については、受給資格要件が6月以上に緩和されておりますので「6月以上1年未満」がありますが、基本的には[3]の「一般の離職者」、いわゆる自己都合の方等と同じ給付日数のテーブルになっております。ただし、※にありますように、現在は暫定措置で、基本的には[1]「倒産・解雇等による離職者」と同様の給付日数に充実をさせているところです。それから[4]の障害者等の「就職困難な者」についてはまた別のテーブルがある状況です。
 12頁、支給終了後に就職した者の就職時期です。これも例年付けさせていただいていますが、支給終了後に就職した方がいつどの時期に就職しているかを示しているものです。支給終了後「1か月以内」の方が45.6%、合計でも6か月以内に就職する方が75.7%となっております。なお、これは就職した方の中のデータです。注にありますように、就職者は調査対象者のうち63.3%になっておりまして、この調査時点では未就職者が36.7%となっています。
 13頁は個別延長給付の概要です。個別延長給付は所定給付日数を60日延長するということです。14頁が個別延長給付の支給状況です。これも従来ご説明した部分と重なりますが、平成21年度は合計で55万人の方が受けられています。また、受給者実人員、いわゆる月平均で見ましても、平成21年度は月平均で11万人の方が個別延長給付を受給しておられたというものです。月毎の推移を見ていただきますと、直近は少し落ち着いてきている部分もありますが、7月で初回の受給者が3万2,887人、月平均で見ましても8万3,000人の方が個別延長給付の対象になっています。
 15頁、再就職手当です。これは概要ですので省略させていただきます。16頁が再就職手当の支給状況です。先ほど申し上げましたように、残日数に応じて給付率を手厚くするということで、残日数2/3以上を残した場合には支給率50%、1/3以上残した場合は40%にしていますが、受給者数自体がトータルで平成21年度に39万人、前年度比12.6%増ということです。雇用情勢、就職状況が厳しい中でもこれを使って再就職していただいた方が39万人もいたということです。残日数で見ますと2/3以上残しての方は微減で27万9,704人ですが、残日数1/3以上残して再就職手当を受けた方は前年度比71.2%増の11万人ということですので、再就職手当はよく利用されているのではないかと考えております。
 17頁、常用就職支度手当の概要です。これは先ほどもご説明しましたように、障害者等就職困難な方が1年以上の安定した雇用に就職した場合に一時金を支給するものです。具体的には18頁、この暫定措置を講じております平成21年度は前年度比362%増の9,906人の方が受給されたということで、常用就職支度手当もよく使われているのではないかと考えております。
 19頁は、短期雇用特例被保険者の給付状況、20頁が日雇労働者の給付金の概要とその状況ですが、こちらは資料を付けておりますが説明は省略させていただきます。以上でございます。
○岩村委員 ありがとうございました。清家部会長が退席されましたので、ここからは私が進行させていただきます。よろしくお願いいたします。
 いま事務局からご説明いただきました雇用保険関係の給付について、ご意見、ご質問等がありましたらどなたからでも結構ですからお願いしたいと思います。
○古川委員 マルチジョブホルダーのところですが、昨年もたしか申し上げたと思いますが、育児や介護などで一旦会社を辞めてしまうとなかなか正社員に就けなくて非正規になっている人が多くて、それで離婚なんかしていると、やはりもっと生活が厳しくて、いくつも仕事を掛け持ちしたりしているという人が多いと思うのです。この論点を見ますと、いろいろとマルチジョブホルダーの対応は技術的に難しいところもあると思うのですけれども、やはり一番守ってあげなくてはいけない人のセーフティネットというものがまだ未整備だと思いますので、そういう人たちのことも念頭に入れてマルチジョブホルダー対応をしなければいけないのではないかと思います。
○岩村委員 ありがとうございます。
 1点だけ確認したいのですが、マルチジョブホルダーの資料No.2-2、5頁と6頁ですけれども、これはいずれも囲みのところで見ると、本業の所得階層別ということになっていて、かつデータの出所がその前までのJILLのデータではないので、これは読み方が全然違うという理解をしておいたほうがいいということで間違いないでしょうか。
○篠崎雇用保険課長補佐 おっしゃるとおり出所が違いますので、JILPTのほうはあくまでアンケート調査です。ですので、これをリンクして見るということには直ちにはならないということです。ただ「就業構造基本調査」については、一応JILPTよりは大規模な調査ということにはなっておりますので、こちらは全体像ということではあるのかなと思います。
○岩村委員 因みにこの「就業構造基本調査」では「本業」というのはどう定義しているのでしょうか。つまり、JILPTの資料で特に整理してもらった週20時間未満+週20時間未満という場合などについて、「本業」というのはどういう把握になっているのかということです。
○篠崎雇用保険課長補佐 ちょっといま手元に持ち合わせてございません。後で確認をさせていただきます。
○新谷委員 基本手当の水準についても詳細な資料をいただいております。前回も申し上げたのですけれども、まずこの水準自体について、これは平成15年の改正時に苦渋の決断でこの水準に引き下げた状態が、そのまま今まで継続をしているわけです。積立金の残高がかなり厳しい状況で、たしか45,000億円を切る状況の中でこの引下げを行ったと思いますが、この積立金の残高も回復をしてまいりまして、雇用保険二事業に貸付をするところまで回復してきておりますので、この水準のあり方については本来の水準はどうあるべきか、平成15年の改正前の水準に戻すことも検討の中に入れていくべきではないかと思っております。
 それと、連合として前々から申し上げておりますけれども、雇用保険のセーフティネットとしての機能を考えたときに、例えば上限額の設定があります。これは実は雇調金の上限額とも連動しておりますので、これの引上げにつきましては我々も強い要望を受けているのですけれども、この上限額の設定のあり方であるとか、逆に、いまは最低保障額というものが設定されておりませんけれども、最低保障額の創設についてはどう考えるか等々、やはりセーフティネットとして本来どうあるべきかということについても、抜本的な検討をする場があればいいのではないかと思っております。以上であります。
○三木委員 暫定措置の関係での発言です。いま資料をいろいろとご説明いただきまして、やはりこういう雇用情勢の厳しい状況の中で、生活補充も含めた一定の再就職までの役割というのは果たしているのではないかと思っているところです。今後も雇用情勢が果たして好転するかというと、必ずしもそこが明るい見通しが立っていないという状況の中で、一定の長期的な困難な未就職者もでてくるという状況の中で、暫定措置については当面の間は、もうしばらく状況を見ながら延長していくということも考えるべきではないかと思っております。
○岩村委員 そのほか、いかがでしょうか。
○遠藤委員 2点述べさせてください。まず、暫定措置の取扱いについてです。いまご指摘がありましたように、これまでの暫定措置に伴う効果がデータ上出てきているということ、次に、失業率が高止まりしている現状、それから先行きの不透明感がさらに増してきているような状況等々、そのとおりだと思っています。この暫定措置が切れるタイミングが迫ってきているということでありますが、先ほどお話がありましたように、全体をどう見ていくのかという中で判断をして参りたいと、いまの段階では思っています。
 全体をどう見ていくのかということについて、先ほど新谷委員からご指摘、ご提案がありましたけれども、やはり基本的な考え方としましては、本体そのものはある程度スリムな状態にしておいて、何か緊急時の対応が求められるような場合であれば、どう変えていくのか。例えば、今般の個別延長のような形で、そこは柔軟な仕組みをもう1つ横に置いておいて、それを組み合わせていくことが、むしろこの制度を将来にわたって維持していくことからすれば適当ではないかと考えております。以上であります。
○岩村委員 ありがとうございました。事務局から、何かいまの点についてはありますか。
○篠崎雇用保険課長補佐 補足ですけれども、先ほどのマルチジョブホルダーの就業構造基本調査の副業と本業の定義なのですけれども、いま詳細に確認したわけではないのですが、一応、調査票などを見ると、主な仕事かそれ以外かということなので、多分、調査回答者の主観的なところも入りながら、主な仕事かそれ以外かということで記載していただいているような感じだと思います。
○岩村委員 特段のご意見、ご質問等がないようですので、以上をもちまして本日は終了したいと存じます。本日の署名委員ですが、雇用主代表は藤原委員に、労働者代表は三木委員にそれぞれお願いしたいと思います。
 委員の皆様におかれましては、お忙しい中を今日はおいでいただきましてありがとうございました。次回の日程については、事務局から改めて各委員にご連絡をするということですので、どうぞよろしくお願いいたします。それでは今日はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省職業安定局雇用保険課企画係
(TEL)03-5253-1111(内線5763)

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