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2014年7月7日 第114回労働政策審議会労働条件分科会 議事録

労働基準局労働条件政策課

○日時

平成26年7月7日(月)15:00〜17:00


○場所

中央労働委員会 講堂(労働委員会会館7階)


○出席者

【公益代表委員】

岩村委員、権丈委員、田島委員、野崎委員、守島委員

【労働者代表委員】

工藤委員、新谷委員、高松委員、富田委員、八野委員、春木委員、宮本委員

【使用者代表委員】

秋田委員、池田委員、小林委員、鈴木委員、平岡委員、宮地委員

【事務局】

中野労働基準局長、大西審議官、鈴木総務課長、村山労働条件政策課長、古瀬調査官

○議題

1 報告事項
2 その他

○議事

○岩村分科会長 それでは、定刻でございますので、ただいまから「第114回労働政策審議会労働条件分科会」を開催することにいたします。

 本日、御欠席と伺っている委員の方は、公益代表につきましては、村中孝史委員、山川隆一委員、使用者代表につきまして、田中恭代委員となっております。

 それでは、議事に入ります前に、定足数の報告を事務局からいただきたいと思います。

 よろしくお願いいたします。

○古瀬調査官 定足数について御報告いたします。

 労働政策審議会令第9条により、委員全体の3分の2以上の出席、または公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされておりますが、定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 それでは、カメラ撮りはここまでとさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

(報道関係者退室)

○岩村分科会長 本日の議題でございますが、お手元の議事次第にございますように、1番目は「報告事項」となっております。これにつきまして、まず、事務局から、1番目に専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案の審議状況、2番目として、過労死等防止対策推進法について、説明をいただくということでございますので、よろしくお願いいたします。

○村山労働条件政策課長 それでは、ただいま分科会長からお話のありました2件につい御報告いたします。

まず資料No.1「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案 審議状況」です。

 昨年の臨時国会で成立した国家戦略特別区域法の検討規定等を踏まえ、本審議会の有期雇用特別部会等で短期集中的に御議論いただき、本年2月14日に労働政策審議会建議「有期労働契約の無期転換ルールの特例等について」をいただきました。その後、法案要綱の諮問・答申を経て、3月7日に政府として法案を国会に提出いたしました。

 その後、5月28日に衆議院厚生労働委員会に同法案が付託され、厚生労働委員会で2回の質疑を経て可決され、本会議でも6月5日に可決され、参議院に回付されました。

 しかしながら、国会会期等の関係で、6月20日に参議院本会議で継続審議となったところです。

 今後、国会が開会されれば、政府として、この法案の早期成立を目指してまいりたいと考えております。

 次に資料No.2「過労死等防止対策推進法」です。

 この法律は、過労死等防止対策基本法の制定を望まれる被災者遺族の方々や弁護団、有識者等の方々の活動などを背景に法案化されたものです。

 平成2512月4日に臨時国会に野党6会派による共同提案として、過労死等防止対策基本法案が提出され、同国会が閉会されるに伴い継続審議とされたところです。

 これと並行して、超党派の議連の御活動などもあり野党6会派の法案を与党で修正検討することとなりました。そして、「自民党 雇用問題調査会」に本件を担当するワーキング・チームが設けられ、経団連、日本商工会議所、中小企業団体中央会、連合、厚生労働省を初めとする各省庁・団体等からのヒアリング・検討などが行われました。そうした検討を踏まえ、与党で「過労死等防止対策推進法案」として、野党6会派提案を一部修正した法案の取りまとめが行われたところです。

 本年5月23日には、当初提出されていた過労死等防止基本法案は撤回され、衆議院厚生労働委員会において、過労死防止対策推進法案が提案の上、審議、採決の結果、可決され、5月27日の衆議院本会議でも全会一致で可決され、参議院に回付されました。

 参議院においては、6月19日、参議院厚生労働委員会で本件における審議が行われ、採決の結果、全会一致で可決され、6月20日の参議院本会議で採決、可決を経て成立したものです。

 6月27日の閣議を経て公布されておりますが、その概要を御説明いたします。

 「過労死等防止対策推進法」は、過労死等がなく、仕事と生活を調和させ、健康で充実して働き続けることができる社会の実現に寄与することを目的とするものです。

 そして、法律レベルで「過労死等」の定義がなされること、あるいは「過労死等」という言葉自体が使われることが初めてですが、その定義は、現行の労災認定基準に則して労使等関係者の間に定着している内容をそのまま足しも引きもせず「過労死等」と定義づけております。

 その上で「基本理念」として、過労死等の防止のための対策について、まずその実態を十分明らかにするための調査研究等を進めていくこと。また、過労死等の防止の重要性について、国民の自覚を促し、これに対する関心や理解を深めていくことが掲げられております。また、国が対策を推進することと併せて、地方公共団体、事業主その他関係する者の相互の密接な連携の下に行わなければならないと定められております。

 そして、今、御説明した対策の推進を敷衍するための責務規定が置かれております。

 さらに「過労死等防止啓発月間」として、勤労感謝の日がある11月を啓発月間とすることが規定されております。また「年次報告」として、政府は、毎年国会に我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況に関する報告書、いわゆる白書を提出しなければならないことが規定されております。

 また、政府は「過労死等の防止のための対策に関する大綱」を定めなければならないことが規定されており、大綱を定めるに際しては、厚生労働省に置かれる過労死等防止対策推進協議会の意見を聞くこととされております。

 協議会は、被災された方御本人や、その御家族、御遺族等の当事者と労使の代表者の方々及び専門的知識を有する方々で構成することが定められております。

 「過労死等の防止のための対策」ですが、先ほどの基本理念にも照らして「調査研究等」が第一の柱に掲げられ、続いて「啓発」、「相談体制の整備等」、「民間団体の活動に対する支援」の4つの柱が規定されております。

 このうち「調査研究等」に関しては、過労死等が生ずる背景等を総合的に把握する観点から、法律第2条の過労死等より幅広い定義の対象について調査研究を行うことが規定されております。

 また、最後に、そうした調査研究等の結果を踏まえ、必要があると認めるときは、過労死等の防止のために必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講ずるものとすることが規定されております。

 施行日に関しては「公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日」とされており、今後、施行日について政府で検討していくことになるものです。

 次ページ以降は条文ですが、説明は割愛させていただきます。

その上で、資料の最後のページです。

 参議院の厚生労働委員会では、この法案に関する実質的な質疑がなされ、その際に、全会一致で採択された附帯決議を示しております。6月19日、参議院厚生労働委員会として、政府は本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきであるとされており、3点の決議がなされております。

 1点目は、過労死等の防止に当たっては、その対策が国の責務であることを踏まえ、地方公共団体、事業主その他の関係者の強力、連携のもとで、その推進を着実に図ること。

 2点目は、過労死等の防止のための対策に関する大綱の策定に当たっては、過労死等防止対策推進協議会の意見を尊重し、当事者等の意見を十分反映したものとなるように努めること。

 3点目は、過労死等に関する調査研究等に当たっては、国民に対する啓発と正しい理解の普及を促すため、調査研究結果等について積極的な公表に努めること。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 それでは、ただいま説明いただきました2つの事項につきまして、御意見あるいは御質問がありましたら、お願いをいたしたいと思います。

 では、冨田委員、どうぞ。

○冨田委員 ありがとうございます。

 資料1にあります「専門的知識等を有する有期雇用労働者に関する特別措置法案」について、1点確認をさせていただきたいと思います。

 前回の分科会の中でも、本法案の審議の状況の御説明をいただいて、この通常国会で成立しなかった場合の施行期日の見直しの有無について確認をさせていただきましたが、現在、こういう形で継続審議となったわけですので、改めてこの施行期日の見直しの有無につきまして、厚生労働省の見解をお聞かせいただきたいと思っています。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 それでは、事務局でお願いいたします。

○村山労働条件政策課長 お答えいたします。

 先ほども御説明したとおり、今後の国会日程等が決まっておりませんので、現段階で、確定的なことは申し上げにくいというのが実情です。

 いずれにしても、開会されれば早期成立を目指したいということと、冨田委員の御質問に関しては、少なくとも現時点で施行期日、平成27年4月1日を直ちに変えることは考えておりませんが、今後の状況によっては、労使の皆さんともいろいろ御相談してまいりたいと考えております。

 以上です。

○岩村分科会長 冨田委員、どうぞ。

○冨田委員 ありがとうございます。

 今、「後々相談をしながら」とお伺いをしたわけなのですが、本法案が規定をする特例につきましては、この特例の対象者ですとか、その対象者の雇用管理に係る基本指針、もしくは事業の認定といったスキームなど、この根幹にかかわる事項が厚生労働省令等に委ねられるということですから、この施行に先立っては、こうした事項を労政審で議論するための時間が十分に確保されなければならないと考えてございます。

 まずは、今、「早期の成立を」とおっしゃっておられましたが、くれぐれも労政審での審議等に無理が生じることのないように施行日についてどうあるべきかということについては、しっかりと考えていただきたいということを要望として申し上げておきたいと思います。

○岩村分科会長 では、事務局、お願いします。

○村山労働条件政策課長 この法律の政省令あるいは基本指針についての冨田委員の御指摘は、そのとおりと考えています。

 併せてこの法律の前提となる2月14日の建議の内容としては、労働基準法施行規則を改正しての労働条件明示の内容の拡充なども含め、この法律に専ら依拠するもの以外を含めた下位法令の整備が必要とされております。いずれも大変重要なものですし、特に労基則の改正に当たっては、公聴会等の手続も必要です。

 一方では、法案の制定が急がれた背景には、平成30年4月1日に十分な余裕を持ってきちんとした周知が図られていることも必要というニーズもあります。

 これら双方の要素を十分に勘案した上で、よく労使とも御相談の上、今後の審議等について、検討していきたいと考えております。

 以上です。

○岩村分科会長 ほかにいかがでございましょうか。

 では、宮本委員。

○宮本委員 ありがとうございます。

 資料2の「過労死等防止対策推進法」についてもよろしいでしょうか。

○岩村分科会長 どうぞ。

○宮本委員 この趣旨について、一言御意見を申し上げたいと思います。

 当分科会で、今、さまざまな面から労働時間規制のあり方について議論を進めているところでございますけれども、そのさなかに、この過労死等防止対策推進法が成立をいたしました。

 この法律では、国、地方公共団体、事業主、さらには国民にもそれぞれの責務が定められております。特に、国と地方公共団体には、具体的な過労死防止について対策を講じるように努めるべきことなどが規定されています。こうした法律が成立したという点は評価できるものと思っております。

 ただし、これで過労死がゼロになるかどうかというのは、この法律が目的に沿ってしっかりと運用されるかどうか次第ということだと思っていますし、法律では、「過労死等に関する調査研究等の結果を踏まえて、必要があると認めるときは、必要な法制上の措置を講ずる」とされております。これまでも、厚労省が定めた過労死ガイドライン等もありますけれども、働き過ぎの基準のあり方の検討も含めて、迅速にその諸対策に取り組むようにぜひお願いをしたいと思います。

 そこで、この法律で問題なのは、過労死防止対策として最も必要である労働時間の量的上限規制が入っていないということだと思っています。過労死防止対策に対する国の責務が第4条に明記されておりますし、着実な推進については先ほど御説明がありましたけれども、附帯決議に書かれております。このように立法府から行政府に対して法の着実な実行が求められているわけでありますから、行政府の機能の1つであるこの労働政策審議会としても、このことを重く受けとめることが大事だろうと思っています。

 当分科会としても、そうしたことをしっかりと受けとめて、労働時間の量的上限規制の導入も含めて、具体的な法制上の措置について、ぜひスピード感を持って建議をしていくべきだと思いますので、よろしくお願いしたいと思います、

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 それでは、鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 ただいま宮本委員から過労死等防止対策推進法の件でコメントをいただきました。

 過労死をされた方が100人を超える状況にあるということは、大変痛ましいことであり、毎年、この労災認定の統計が公表されるたびに、国を挙げてこの過労死防止対策を進めなければいけないという思いを新たにするところでございます。

 過労死を防止するためには、過重労働対策や、健康対策といった統合的な対策が必要だと思っているところです。

 経団連といたしましても、会員企業に対しまして、過重労働防止に向けて、一層取り組む必要があるということをお願いしており、特に三六協定の設定上限は、労働時間の延長の限度に関する基準に適合させるということや、あるいは医師の面接指導の徹底を呼びかけているところであります。

 ただし、労側委員が御主張される上限規制の導入ということに関しましては、繰り返しになりますけれども、産業業種ごとに長時間労働の原因と有効な規制がさまざまであるという認識を持っており、一律画一的に義務化するということは、企業の事業運営を阻害するばかりでなく、取り組みの実効性を阻害しかねないと考える次第です。

 過重労働対策を進めていく上では、背景や実態を踏まえて行うことが重要と思っております。過労死等防止対策推進法の成立によりまして、こうした面の調査研究が一層進むということを期待しております。

 私から以上でございます。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 お手をお挙げになりましたので、それでは新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 今、鈴木委員から使用者側としての御意見が出たわけでありますけれども、おっしゃるとおりだと思うのです。「今、取組を総合的にされている」ということは確かに事実だと思うのですけれども、ただ、そうした取組をされたとしても結果として出てきていない。やはり過労死でお亡くなりになる方が毎年100名を超えているという実態があるということを重く受けとめるべきだと私は思います。

 三六協定での時間外労働時間についても、これは現実的には、もう青天井なわけでして、これも労働条件分科会の中で統計データが出てきましたように、1年間で800時間を超えるような時間外労働時間を協定しているところが15%もあって、1,000時間超えも存在するという実態にあるわけですね。過労死の認定基準では「2カ月から6カ月で平均80時間」となっていますが、これを12カ月やっても960時間ということですから、これを超えるような協定が現実に存在するということは重く受けとめないといけないと思います。

 それと、お話にあった医師の面接指導でありますけれども、これについても論議をさせていただきたい点があります。例えば、労基法41条2号の管理監督者については、面接指導を受けられる100時間という時間外労働の時間数自体が自己申告によるということになっているのですね。

 ですから、ベースとなる実労働時間の把握自体が本当に曖昧なまま、安衛法の運用がなされていると言えるわけです。

 こういったもっと地に足のついたといいますか、よく現状を見据えた上での対策を検討しなければ、この過労死がゼロに近づくという目的を達成できないのではないかと我々は危惧をしております。この労働時間法制の議論の中で、これは十分に論議をさせていただきたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 今日、ほかにも議題がございますのと、今、お話を伺っていますと、議論の焦点は、むしろこの分科会でこれから議論をする労働時間の問題というように思いますので、できればこのあたりで、この件については終わらせていただきたいと思うのですが。鈴木委員のお手が挙がりましたので、簡潔にお願いいたします。

○鈴木委員 ありがとうございます。

 簡潔に申し上げたいと思います。

 まず、三六協定が青天井ではないかということの御指摘でございますが、これは三点ほど留意しないといけないと思っております。第一に、平成17年に比べますと、年間800時間以上の三六協定締結事業所が減っているということが事実としてございます。

 二点目は、三六協定を締結していない事業所を含めた場合の全事業所をベースにカウントした場合には、この15%が6.1%になるということ。三点目は、実際に年間800時間以上を超えて時間外労働をした方は、1.5%しかいらっしゃらない。これは再三申し上げておりますが、突発事故やトラブル等、いざというときのためにとっておく保険的な性格があります。このことを繰り返し強調してお伝えをしたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 具体的な労働時間に関する法令の定め等のあり方につきましては、この後、引き続き御議論いただければと思います。

 それでは、報告事項の3件目に移らせていただきたいと思います。これにつきましては、事務局から「『多様な正社員』の普及・拡大のための有識者懇談会」における議論の状況について、報告をいただくということでございます。

 それでは、まず、事務局から説明をお願いしたいと思います。

 よろしくお願いします。

○村山労働条件政策課長 資料No.3「『多様な正社員』の普及・拡大のための有識者懇談会」についてです。

 昨年6月に決定された日本再興戦略、最初の成長戦略において、職務等に着目した多様な正社員のモデルの普及・促進を図るため、有識者懇談会を立ち上げ、労働条件の明示等、雇用管理上の留意点について、26年度のできるだけ早期に取りまとめることとされております。

 これを受けて、今野浩一郎教授を座長とする「『多様な正社員』の普及・拡大のための有識者懇談会」を設置して、これまで懇談会を13回開催し、制度導入企業や労使団体からのヒアリング、さまざまな雇用管理上の留意点について御議論を積み重ねていただいております。

 今週11日金曜日に14回目を予定しており、取りまとめに向けた御議論をお願いしておりますが、それに先立ち、本分科会において、その御議論の状況を公労使各側委員へ御説明したいというのがこの資料の趣旨です。

 以下、名簿と開催状況で、その次に通しページの1ページ目「多様な正社員の普及・拡大のための有識者懇談会報告書の骨子(案)」です。この文書は、前回6月13日に開催した懇談会に提出した骨子(案)に、懇談会委員の御意見等を踏まえて修正を加えたものです。

 本日、この労働条件分科会で御報告することに関しては、懇談会委員の方々の御了承をいただいております。

 3ページ目です。まず「はじめに」で、副題は「〜労働市場の現状と『多様な正社員』の普及の必要性〜」と記載しておりますが、働き方の二極化やあるいは就業意識の多様化の中で、多様な正社員というものを労使双方にとってよい形で普及させていくことが必要であるということについて、そのページから次のページにかけて、これまでの経緯を踏まえつつ記載しております。

 続いて、4ページ目からは「1 多様な正社員の現状」で、先行研究や企業ヒアリング等から現状について記載しております。4ページ目で、まず「多様な正社員の導入状況」、比較的多くの企業で、現在は勤務地限定の区分などを中心に導入されている状況やその導入理由について、企業側からは、優秀な人材の確保や従業員の定着、ワーク・ライフ・バランス支援等、あるいはものづくり技能の安定的な継承や地域のニーズに根ざした事業展開等が挙げられていると記載しております。

 5ページの3番「就業規則や労働契約における限定の内容の明示」の状況で、必ずしも明示のあり方がはっきりしていないところも少なくないという点も含めて、具体的なデータを示しております。

 さらに「4 処遇」で、賃金や昇進・昇格の状況について、現在、把握しているところをまとめております。

 6ページ目から7ページ目にかけて「5 転換制度」、「6 教育訓練」、「7 労使コミュニケーション」等について、先行研究等も含めて、現在の状況がどうなっているかを記載しております。

 さらに、この議論が始まったときに、社会的な関心が向けられたことも踏まえて「8 雇用保障」、「9 多様な正社員の解雇の裁判例分析」について、現状を記載しております。

 9番の「多様な正社員の解雇の裁判例分析」は、JILPTが行った多様な正社員に関する解雇権濫用法理確立以降の整理解雇及び能力不足解雇に関する裁判例の網羅的な分析です。これにれば、1点目として、整理解雇について、限定があることゆえに整理解雇法理の適用を否定する裁判例はないこと。

 2点目として、勤務地限定や高度な専門性を伴わない職務限定等については、任意の配置転換を打診することが比較的容易であることもあり、解雇回避努力の実践も含めて、整理解雇法理やこれに準拠した枠組みで判断する裁判例が多い傾向がみられること。

 一方で、高度な専門性を伴う職務限定などは、解雇回避努力の内容として、配置転換がなかなか難しい場合も当然ありますので、退職金の上乗せや再就職支援等のパッケージをもって解雇回避努力を尽くしたとされる場合もあり、そうした影響が見られること。同様に、人員削減の必要性や被解雇者選定の妥当性についても、一定の影響が見られること。

 他方、解雇手続の相当性の判断については限定の有無に影響されない傾向が見られることなどを記載しております。

 また、能力不足解雇については、職務限定の職務が高度な専門性を伴うものでは、他の職務への配置転換や降格、教育訓練が必要とされない場合もあるが、警告による改善の機会の付与は必要とされていることを指摘していただいております。

 さらになお書きで、職務や勤務地について労働契約書に明記されていても、それが当面のものなのか、将来にわたるものなのか不明であるため、実態判断をきちんと裁判所が行った上で、司法判断していることについて記載しております。

 そうした現状を把握した上で、2で、まず多様な正社員の円滑な活用のために、使用者に御留意いただきたい事項と、併せて多元的な働き方の1つとしての多様な正社員を促進するための政策的な対応について、まとめております。

 2つ目の○は、昨年12月に、連合及び経団連にヒアリングに対応していただいた際の御意見です。労働者団体からは、多様な正社員が非正規雇用からのステップアップのために労使の理解のもとで活用されるのは問題ないが、解雇しやすい正社員をつくりだす意図のもとで推奨されるのは問題であるとの意見が示されました。

 また、使用者団体からは、相互転換や処遇のあり方について、法律で画一的に方向づけられることは、労使の自由な取組を阻害するおそれがあるとの懸念が示されました。

 今後、多様な正社員の普及・拡大に取り組むに当たっては、こうした見解にも意を払いつつ、労使双方の理解と納得を得ながら進めていく必要があるとしております。

 その上で、勤務地限定、職務限定、勤務時間限定に分類し、多様な正社員の効果的な活用が期待できる具体的なケースについて、8ページから10ページにかけて記載しております。

 雇用管理上の留意点も含めて、ステージごとに10ページの2番以降で取りまとめております。10ページの2「労働者に対する限定の内容の明示」です。

 「(1)限定の内容についての明示の必要性」で、紛争の未然防止、予測可能性の向上の観点から明示していくことは重要であること。また、その副次的な効果として、労働者にとっては、キャリア形成の見通しがつきやすくなり仕事と生活の調査が図りやすくなること。企業にとっても優秀な人材を確保しやすくなること等について記載しております。

 (2)が具体的な明示の促進策についてです。これは、規制改革会議等から、労働基準法や労働契約法の中に、こうした多様な正社員について、特別な規定を設けることも検討をしてはどうかと御提案がありましたので、その点についても御議論いただきました。

 まず「労働基準法第15条等による明示の義務付け」については、強制力があるのは確かですが、一方で、限定についての明示の運用が定着していない中で義務づけを行うと、使用者の実務に混乱を与え、かえって活用を阻害するおそれがあるとの御意見が強かったので、そのようにまとめております。

 また、労働契約法による書面による確認に関しては、現在でも書面による確認の対象として職務や勤務地の限定も含まれるということについて、さまざまな形で周知を行うことが考えられること。そうした解釈を示した上で、将来的な課題と位置づけていくことについては、労働基準法に基づく義務化も含めて考えられるのではないかとまとめております。

 また、それを後押しする政策的な対応についても、具体的な御提案があったところについて記載しております。

 続いて、11ページから「事業所閉鎖や職務の廃止等の場合の対応」です。まず「(1)整理解雇」に関しては、先ほどの裁判例分析の内容をさらに敷衍して記載した上で、4つ目の○で、使用者には、配置転換を可能な範囲で行っていただくとともに、それが難しい場合には、代替可能な方策を講じることが、紛争の未然防止のために求められること等について、記載しております。

 また「(2) 能力不足解雇」についても、先ほどの内容を敷衍した上で、2つ目の○で、使用者には、改善の機会を与えるために警告を行うとともに、可能な範囲での配転等の対応をとっていただくことが紛争の未然防止に資するとまとめております。

 以下、12ページから14ページで「4 転換制度」の社内制度化の必要性や望ましい方向性、あるいは、政策として促進する上で、直ちに法律で対応するのは難しいものや、現行の法律の中でも対応できるものについても、将来的にはさまざまな可能性があるのではないかと記載しております。

 また「5 処遇」に関しては「(1)均衡処遇の必要性」を14ページで記載した上で、賃金、昇進・昇格等について、個別に御議論のあったところをまとめており、均衡処遇の促進策について、先ほどと同様の視点で記載しております。

 さらに、16ページで、こうした多様な正社員の議論の一方で、いわゆる正社員の比較的拘束度が強い働き方を見直していくことの必要性や、7番の「人材育成・職業能力評価」に当たっては、特に職務を限定するという場合に、能力評価の「ものさし」を整備することが、より重要になってくること、それに対する政策的な対応を求められていたこと。

 また、こうした制度を導入、あるいは、運用していくに当たっての労使コミュニケーションの重要性について、17ページで記載しております。

18ページ以降は、先ほどから御説明している内容のうち、特に御留意いただきたい点について「雇用管理上の留意事項」としてまとめているものです。

 また、26ページ以降には、ヒアリング等を通じて収集いたしました就業規則や労働契約書の規定について、専門家の御意見を踏まえて、やや抽象化した形でまとめており、今後も周知啓発のために使用してまいりたいと考えております。

 雑駁ですが、説明は以上です。 

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 それでは、ただいま説明いただきましたこの懇談会における議論の状況につきまして、御意見あるいは御質問がありましたら、いただきたいと思います。

 いかがでございましょうか。

 では、秋田委員、どうぞ。

○秋田委員 すみません。これは手続とか、論議の経過とかでなくて、内容についてもよろしいですか。

○岩村分科会長 どうぞ。

○秋田委員 事前に御説明いただいていますので、拝見いたしまして、4ページでこの多様な正社員というのが、既に47.9%のところで既に導入がされているという実態も参考になりました。現実には、既にいろいろな運用がなされている実態にありますが、もう50%のところで導入がされているものを、さらに議論していこうということだと思います。したがいまして、現実には、それぞれどういった過程で多様な正社員というのが導入をされてきたかというのは千差万別だろうと思っております。

 実際、ここでの調査の結果でも、いろいろなバリエーションが示されているという状況でございます。

 したがって、こういった多様な実態にある多様な正社員、多様だということで、当たり前なのかもしれませんが、この多様な実態をぜひ生かして、さらなる普及のほうにつなげていただければと思います。

 特に、まだ導入していないところに何らかの枠組みを示すというようなことではなくて、さまざまなバリエーションがあるという、そういったトーンで書かれておりますので、非常に内容的にはいいと思うのですが、そういうものを発表いただければいいと思います。

 例えば、この13ページで、転換制度については、定義をされて、規定されているのですが、13ページの一番下で「転換制度についての運用が定着していない中で義務付けを行うと、使用者の実務に混乱を与え、却って多様な正社員の活用を阻害する」というような、記述があるわけですが、これはまさしく転換制度を入れていない企業もあり、多様な正社員がどういうニーズで導入されたかは千差万別だと思いますので、そこに必ずそれを入れるというようなことではなくて、やはりこれを一つの参考にして、よりよい制度のほうに各企業が十分考えながら労使で話し込みをしていくということが必要なのだということだろうと思います。

 同じような趣旨で、14ページの真ん中より下ぐらいのところで、これは均衡処遇のところなのですが、これは均衡処遇に限らず当てはまると思うのですが「いかなる水準が均衡であるかは一律に判断することは難しいが、いずれにしても、企業ごとに労使で十分に話し合って納得性のある水準とすることが望ましい」ということも書かれています。何度も申し上げますが、既に労使で十分な話し込みをして、半分の企業で導入がされているという実態をぜひ尊重していただいて、さらなる活用に向けて報告書を出していただきたいと思います。

 以上でございます。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 御意見ということで承りたいと思います。

 ほかにいかがでしょうか。

 では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 ありがとうございます。

 今週の金曜日にまとめの論議をされるということでございますが、本当にたくさんの回数を重ねていただきまして、多岐にわたる内容についておまとめをいただいた委員の皆さんに敬意を表したいと思います。

 この多様な正社員というのは、もともと私の記憶ですと、2010年ごろに職業安定局の雇用政策研究会で最初に概念として出されたのではないかと思います。

 その後、ビジョン研とか、好事例の研究会が行われてきたのだと思います。

 先ほどの御説明にあったように、これが社会的な関心を集めたのはなぜかと言うと、これは政府の会議体のうちの1つであり規制改革会議の雇用ワーキング・グループ、この鶴座長のペーパーの中に、「正社員改革」というテーマの中で「解雇ルールのあり方」というタイトルのもとに、この勤務地とか職種の限定されている労働者の解雇ルールの整備を行うべきだという提起がなされたときから、まさしく社会的な関心が集まってきたと私は理解をしております。

 ですから、もともと厚労省が多様な正社員という概念をまとめていた段階では、雇用保険二事業による助成金を使って、こういったものを各企業に導入する、政策誘導するということであったのが、規制改革会議では解雇ルールのあり方という形で提起がなされてしまいました。はっきり言って厚労省は抱きつかれてしまったのではないかと思いますけれども、それによって急に生臭さが増してきたように理解をしております。

 先ほど秋田委員がお話されていましたように、多様な正社員については、既に47.9%の企業でこういった制度が導入されているということでございますし、私どもとしても、労使の理解のもとに、いわゆる非正規雇用労働者から正社員へのステップアップの中間地点としてこれを活用されるという意味では非常に重要な意味があると思っております。

 ただ、申し上げましたように、この多様な正社員が社会的な話題になったのは、解雇ルールのあり方、しかも正社員制度の見直しとして提案されたからということでありました。要するに、正社員からこういった多様な正社員にステップダウンをして、さらにそれを解雇しやすくするという形で提起がなされたものであり、何か衣の下によろいが丸見えのような状態での提起であったものですから、我々もこの有識者の懇談会の動向については非常に気になっていたところでございます。

 それ以外にも、使用者団体も立法提案として、「勤務地とか職種が消滅した事実をもって、労働契約が終了しても、解雇権濫用法理がそのまま当たらないことを法定すべき」といった政策提言を公表されたりしておりましたので、非常に気にしていたところでございます。

 今回、報告いただいた内容、骨子案を見ますと、整理解雇について、7ページからのところの8ポツ、9ポツのところ、特に裁判例の分析といったところで、最初の○のところですけれども「限定があることゆえに整理解雇法理の適用を否定する裁判例は無い」といった分析が書かれています。これは私どもから見ると至極当たり前の内容でございますけれども、ただ、これを明確にこうやって記述いただいたということは、労使関係の当事者にあらぬ誤解を生じさせないという意味では、大きな意味を持つものと思います。

 あと、10ページにありますように「労働者に対する限定の内容の明示」というところの3つ目の○にありますように「限定があれば解雇回避努力が不要となるわけではなく」と、こういうこれも至極当たり前のことでありますけれども、こういったことを改めて整理をしていただいたという意味では、意義は大きいと思っております。

 厚労省として、これを「雇用管理上の留意点」ということでまとめて、今後、周知を図っていくということでございますが、これまで社会的な関心を集める中で、ひょっとすると多様な正社員は解雇しやすい正社員であるといった誤解を与えたかもしれない懸念がございますので、そういった誤解を解く形でこの雇用管理上の留意事項というのが普及するように、ぜひ厚労省のほうの御努力をお願いしたいということを申し上げておきたいと思います。

 以上であります。

○岩村分科会長 春木委員、どうぞ。

○春木委員 今ほどの新谷委員の意見に関連して申しあげます。私も多様な正社員については解雇しやすい社員としないということは当然なのですけれども、骨子(案)には、「正社員から多様な正社員へ転換できることが望ましい」とも書かれております。これについては、いわゆる正社員から転換するに当たっては処遇を初めとするキャリアを低下させないようにすることが極めて重要なのだろうと思っています。いわゆる正社員からの多様な社員への転換がキャリアや処遇をダウングレードさせるためのものとされないように注意しなければならないということです。

 ついては、こうした転換制度を設ける際には、本人の意思に反するダウングレードが行われないようにするための施策も併せてしっかりと講じられる必要があると思います。また、「転換は重要な労働条件の変更となることから、本人の同意が必要である」とも骨子では触れられておりますけれども、例えば、会社から転換を強要されて同意せざるを得ない状況に追い込まれるといった事態も想定をされるわけですので、本人の真意に基づいて同意取得がなされるように十分な労働者保護策も検討していくべきではないかと考えています。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 では、高松委員、どうぞ。

○高松委員 すみません。内容に関する話ではなく、今後の取り扱い方、仕切り方について少しお尋ねしたいと思っています。

 本日は、論議状況ということで御報告をいただいたわけであります。

 今後、正式に取りまとめがなされることになるのですが、取りまとめをされた後の当分科会との関係といいますか、本日は、途中経過について意見交換をさせてもらっているわけですが、その後正式に取りまとめられた内容についても当分科会として議論する余地が残されているのかどうなのかということについて、お尋ねをしたいと思っています。

 今回、報告書骨子プラス別紙で留意事項等々も相当細目にわたって入ってございます。 したがって、多分、最終報告でも、この留意事項については同様の体裁で取りまとめられるのだろうと思っていますが、そのような懇談会の取りまとめの形でもって厚労省が定める留意事項として正式決定されるのかどうか、その辺についてお伺いをしたいということであります。

 もし懇談会での最終決定がそのまま通っていくのだとすれば、本日行われた当分科会の議論内容も十分に参酌された上で今後の懇談会運営に当たっていただきたいと思っております。

 以上です。

○岩村分科会長 では、御質問ですので、事務局でお願いします。

○村山労働条件政策課長 先ほどから使用者側、労働者側それぞれから大変貴重な御意見をいただいております。

 まず、高松委員の御質問について、当面の話で申し上げれば、7月11日の懇談会で労働条件分科会で報告を行い、労使から貴重な御意見があったことについてお伝えし、最終的な懇談会報告書を取りまとめに反映していただくことを考えております。

 それから、「『多様な正社員』の普及・拡大のための有識者懇談会」というシートの下の矢印の部分で、本年7月までにというのがまさにこの懇談会の報告書の取りまとめということです。

 さらにその下で、26年度事業として、本年度中にさまざまな好事例や就業規則の規定例を幅広く収集し、情報発信していくこと。セミナー、シンポジウム等によって、事業主の皆様に、先ほど決して押しつけではなくというお話もございましたが、御関心のある方々に情報提供していくことを徹底していきたいと考えております。

 その方法等については、労使ともよく御相談し、必要があれば、最終的な懇談会報告書と併せて本分科会でも改めて御報告申し上げたいと考えております。

 併せて、先ほど労側からこれまでも事業等で後押しする施策もあったと思うがというお話もございました。そうした点も含めて、雇用管理上の留意点を踏まえた新たな支援措置については、27年度に向けて、当然検討されていくことになると思いますので、また、司々でその内容等について御相談、御報告していきたいと考えております。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○岩村分科会長 それでは、この3番目の報告事項につきましては、ここまでとさせていただきたいと思います。

 次に、報告事項の4点目ということでございます。

 これにつきましては、事務局から産業競争力会議や規制改革会議等における労働時間法制や労働契約法制に係る議論を踏まえて閣議決定された「日本再興戦略」改訂版等についての報告をいただくということでございます。

 まず、事務局から説明をいただきたいと思います。

 よろしくお願いいたします。

○村山労働条件政策課長 資料No.4です。

 通しページの1ページ目「『日本再興戦略』改訂2014−未来への挑戦−(抄)」、これが閣議決定されたいわゆる改訂版成長戦略で、特に本分科会関係を中心に抜き書きで取りまとめている資料です。

 以下、2ページから6ページまでが目次で、7ページからが本文です。

 総論は全て省略しておりますが、7ページから9ページの基本的な考え方において、昨年以来の成長戦略推進に伴って、経済の好循環が動き出している旨を記述した上で、世界トップレベルの雇用環境、農業・農村の生産性拡大、医療・介護分野の成長市場化の3つが特に大きな課題として9ページに掲げられております。

 その上で、10ページです。

 「更なる成長の実現に向けた今後の対応」において、経済の好循環に向けた政労使の取組について、政労使会議の経緯等も含めて記述されております。

 昨年秋以降の動きを振り返った上で、そのページの真ん中あたりで「生産性の向上という共通課題に労使がどのように取り組んでいくべきか、労働者一人一人が、健康確保や仕事と生活の調和を図りつつ、やりがいをもって働ける環境をどう作っていくか、そして何よりも地域や中小・小規模企業で働く人々にどのようにして成長の果実を届けていくのかという課題が残されている」との認識の上で、引き続き政労使の取組は継続していくとされております。

 さらに、11ページの一番下で、この進化する成長戦略という観点から「人材と技術は我が国に残された最大の宝である。今後『世界でトップレベルの雇用環境』を実現していくためには、教育改革と労働分野の改革の連動が必要である」との認識が示されております。

 さらに12ページで「改革への集中的な取組」の(1)で「国家戦略特区の強化」に言及されております。14ページ、15ページは、改訂成長戦略の主要施策を例示的に抜粋しており、後でまた再掲されておりますので、説明は割愛いたします。具体的な各論は、17ページから「日本産業再興プラン」の中で、雇用制度改革、人材力の強化について書かれておりますので、ここで説明をいたします。

 (2)の「施策の主な進捗状況」として、多様な正社員の普及・拡大に向けた検討について、先ほどの状況に触れた上で、さらにこれは議員立法ですが、大学の研究者等を対象とした労働契約法の特例の成立などがなされたことが記述されております。

 その上で「新たに講ずべき具体的施策」から下が具体的に記述しているところです。

 「働き方改革の実現」として、まず「1働き過ぎ防止のための取組強化」ですが「世界トップレベルの雇用環境の実現」の大前提として働き過ぎ防止に全力で取り組むとされております。

 このため、企業等における長時間労働が是正されるよう、監督指導体制の充実強化を行い、労働基準法に定める手続や割増賃金の支払い等々に法違反の疑いのある企業等に対して、労働基準監督署による監督指導を徹底するなどの内容が記述されております。また、仕事と生活の調和のとれた働き方の推進の観点から、夕方以降の残業を原則禁止し、やむを得ない残業については、朝早く出社して対応する働き方の普及について記述されております。

 さらに本分科会でも御検討いただいておりますが、長時間労働抑制策、年次有給休暇取得促進策等の検討を労政審で引き続き進める旨が明記されております。

 2で「時間ではなく成果で評価される制度への改革」が明記されております。

 具体的には、そうした働き方を希望する働き手のニーズに応えるため、一定の年収要件、例えば、少なくとも年収1,000万円以上を満たし、職務の範囲が明確で、高度な職業能力を有する労働者を対象として、健康確保や仕事と生活の調和を図りつつ、労働時間の長さと賃金のリンクを切り離した「新たな労働時間制度」を創設することとし、労働政策審議会で検討して、結論を得た上で、次期通常国会を目途に所要の法的措置を講ずる旨が記述されているところです。

 また、3で「裁量労働制の新たな枠組みの構築」として、企業の中核部門・研究開発部門等で裁量的に働く労働者が、創造性を発揮し、企業の競争力強化につながるよう、生産性向上と仕事と生活の調和、健康確保の視点に立って、対象範囲や手続を見直し「裁量労働制の新たな枠組み」を構築することとするとされており、以下、手続面では先ほどと同様の記述がなされております。

 さらに4「フレックスタイム制の見直し」で、子育てや介護等の事情を抱える働き手のニーズを踏まえ、柔軟でめり張りのある働き方を一層可能にするため、月をまたいだ弾力的な労働時間の配分を可能とする清算期間の延長、決められた労働時間より早く仕事を終えた場合の年次有給休暇を活用し、報酬を減らすとことなく働くことができる仕組みなど、フレックスタイム制を見直すことが明記された上で、先ほどと同様の手続が決定されているところです。

 5で、先ほどNo.3の資料で御説明した「職務等を限定した『多様な正社員』の普及・拡大」について、今後の取組方針が記述されております。

 6は、現段階で中央最低賃金審議会等において検討されている内容です。

 2番「予見可能性の高い紛争解決システムの構築」の関係では、まず1として、現在、進めている「『あっせん』『労働審判』『和解』事例の分析」について、本年度中に可能な限りその結果を明らかにすること等が決定されています。

 また2「透明で客観的な労働紛争解決システムの構築」で、主要先進国において判決による金銭救済ができる仕組みが各国の雇用システムの実態に応じて整備されていることを踏まえ、今年度中に1の分析結果とともに、諸外国の関係制度・運用に関する調査研究を進め、その結果が出た後に、その結果を踏まえ、透明かつ公正・客観的でグローバルにも通用する紛争解決システム等のあり方について、具体化に向けた議論の場を速やかに立ち上げることが記述してあり、平成27年中に幅広く検討を進める旨が決定されております。

20ページでは、高齢者の関係で有期労働契約の無期転換申込権発生までの期間に特例を設ける、本日も御説明した継続審議になっている法案の経緯や、「女性の活躍推進」の文脈でも、フレックスタイム制の見直し、「朝型」の働き方、テレワークの推進等の記述がなされております。

21ページに、本分科会でも何度か御報告した「雇用指針」を活用した、国家戦略特区で希望されるところにおける雇用労働相談センター等の取組の方針が記述されております。

22ページ以降は「国家戦略特区の加速的推進」で、さらなる規制改革事項が政府全体としては幾つか掲げられておりますが、労働時間法制の関係は、既に先ほども全国的な規制改革措置で、時間ではなく、成果で評価される制度の改革が書かれておりますので、特区に限った措置は記述されておらず、全国的な措置の再掲という扱いになっております。

25ページ以降が、中短期工程表で、スケジュール感について、年乃至年度別の取組が、これまでも含めてどのように進んでいくか、ビジュアルにまとめられております。

26ページでは、本分科会での御検討を中心とした内容も記述されており、27ページでは、先ほどお話に出ました多様な正社員についての普及の取組などについても記述されております。

 以上が成長戦略改訂版の関係です。

 次に、31ページ「規制改革実施計画(抄)」で、関係部分を抜粋したものです。全体の構成は32ページ、33ページで、規制改革実施計画そのものの趣旨は34ページから36ページです。「分野別措置事項」の「雇用分野」は、38ページの「個別措置事項」の閣議決定内容の短冊です。

 このうち、労働者派遣制度と有料職業紹介制度は、別の分科会の関係ですので、割愛いたします。1〜3が「ジョブ型正社員の雇用ルールの整備」で、先ほどから、多様な正社員関係で御説明している内容について、改めて決定されております。

 また、6番「労使双方が納得する雇用終了の在り方」に関しては、先ほどの成長戦略の個別労働関係紛争に関する内容とオーバーラップする内容が改めて決定されております。

 さらに「経済財政運営と改革の基本方針2014」、いわゆる骨太の方針の関係です。

42ページで引用している「第2章 経済再生の進展と中長期の発展に向けた重点課題」の「女性の活躍、男女の働き方改革」の文脈の中で、ジョブ型正社員、短時間正社員など、多様な正社員の普及やテレワークの推進に取り組むとともに、労働時間に関する意識改革への取組や働いた成果が適正に評価されるような仕組みへの改善を支援するとされております。また、4という注がついており、その他長時間労働の是正のための監督指導の強化や制度見直しなど「働き過ぎ」の防止を強化、健康管理の強化等とされております。

 以上が閣議決定内容で、45ページ、46ページが、成長戦略でも敷衍されておりました国家戦略特区における雇用労働相談センター関係の動向についてです。

 現在、第1次の指定を受けた6区域において、順次区域会議が立ち上がり、担当大臣の新藤大臣が各区域に出向かれての区域会議が開催されておりますが、資料にあるとおり、6月段階までの間に、関西圏と福岡県福岡市において、雇用条件の明確化のための「雇用労働相談センター」の設置についての記述がなされており、具体的には、46ページですが、従前より本分科会で報告している内容について、各地域ベースで真摯な検討が進んでいるものと理解しております。

 雑駁ですが、説明は以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 ただいまの事務局からの説明に関連しまして、中野労働基準局長から一言御発言があるということでございます。

 中野局長、よろしくお願いいたします。

○中野労働基準局長 本分科会におきましては、昨年9月から、中小企業に適用猶予されております月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金の問題でありますとか、長時間労働の抑制や年次有給休暇の取得促進等の課題につきまして、また、裁量労働制やフレックスタイム制の見直しを含めまして、弾力的に労働時間制度に関する課題、これらを中心に総合的に御議論をいただいてきたところでございます。

 ただいま、村山から御説明したとおり、今般「『日本再興戦略』改訂2014」が閣議決定されたところでございます。そのうち、働き過ぎ防止のための取組強化、裁量労働制の新たな枠組みの構築、フレックスタイム制の見直しにつきましては、これまで本分科会で御議論していただいた内容とかなりの部分で重なるものがあると考えておりますが、新たな労働時間制度につきましては、これまで使用者側から何度か言及はありましたものの、新たに正面から課題として位置づけるテーマでありますし、また、改訂された日本再興戦略では、労働政策審議会で検討し、結論を得た上で、次期通常国会を目途に主要な法的措置を講ずるとされております。

 これにつきましては、閣議決定に至る過程でさまざまな御議論がありまして、また関係閣僚間での議論を経まして、一定の年収要件、例えば、少なくとも年収1,000万以上を満たし、職務の範囲が明確で、高度な職業能力を有する労働者を対象としつつ、年収水準などの対象者に関する要件や健康確保のための措置など、ある程度の具体的内容については公労使三者構成の労働政策審議会で調査・審議していただく必要があるということがこの閣議決定された日本再興戦略の本旨だと考えております。

 したがいまして、各委員におかれましては、これらの点につきまして、ぜひとも御理解をいただきまして、これまでの労働時間制度に関する総合的な検討に加えまして、新たな労働時間制度につきましても、御議論いただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたしたいと思っております。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの事務局からの説明、そして中野局長の御発言につきまして、御意見そしてまた御質問などを頂戴したいと思います。

今、中野局長からお話がありましたように、新たな検討事項も含めて、今後の検討課題についての政府決定が行われたということでございます。

 そういうこともありますので、今日、労使各側におかれましては、御意見を前広にお出しいただくようお願いしたいと思います。

 それでは、御意見あるいは御質問、いかがでございましょうか。

 それでは、順番で池田委員のお手が挙がって、それから平岡委員ということで、まず、お願いいたします。

○池田委員 ただいまの説明の中で、1718ページにございますけれども、私どもいろいろと何回も申し上げていますが、まず、働き過ぎの防止のための長時間労働抑制策として割増賃金率を上げても効果がないのではないかということです。現実問題として、現在、都心などでは飲食業などは大変人手不足でありますので、求人してもなかなか人が集まらないという状況もありますので、割増賃金率を引き上げても、抑制にはならないということが一点であります。

 それから、新たな労働時間制度の対象者を少なくとも年収1,000万円以上にするという点でありますけれども、1,000万円を超えている方はほとんど時間に関係なく働いているトップレベルの方が多いので、もう少し、中小企業を含めまして、多くの働き手が対象となるような制度設計がよろしいのではないかと思います。

 三点目としましては、この裁量労働制の問題でありますけれども、対象業務を労使の話し合いで決定できる仕組みとか、手続きの簡略化とか、中小企業でも十分活用できる制度にすることが必要ではないかと思っています。

 四点目として、フレックスタイム制に関する質問でありますけれども、年次有給休暇を活用して、報酬を減らすことなく働くことができる仕組みというものを具体的にどのような運用方法をイメージされているのかという点につきまして、お聞きしたいなと思っております。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 1点御質問がありましたので、先に事務局からお答えいただいて、それから平岡委員というほうがいいかと思いますので、では、事務局で、まず、お答えをお願いします。

○村山労働条件政策課長 池田委員からの3点の御指摘について、フレックスタイム制の見直しのうち、後段で書かれている決められた労働時間より早く仕事を終えた場合も年次有給休暇を活用し、報酬を減らすことなく働くことができる仕組みというのは、どういう内容を想定しているのかという御質問でした。

 清算期間の中で実際に子育てや介護等の事情を抱えて働かれている方の中には、突発的な事情等があって、実労働時間が所定労働時間まで達しない月が出るケースもあろうかと思います。

 そうした場合に、賃金の減額や、不足時間の持ち越しではなく、年次有給休暇が余っているならば、その分については年次有給休暇を活用して、報酬を減らすことなく働くことができる仕組みが、仕事と生活の調和のとれた働き方を、まさに池田委員がおっしゃった多様な働き方を支える一つの選択肢として考えられないかという議論が産業競争力会議の中で、おおむねの御理解も得たということもあり、一つの検討課題として掲げ、この場でその点も含めて御議論していただきたいということです。

 よろしくお願いします。

○岩村分科会長 池田委員、よろしいでしょうか。

○池田委員 はい。

○岩村分科会長 それでは、お待たせしました。平岡委員、どうぞ。

○平岡委員 ありがとうございます。

 二点申し上げたいと思います。

 まず、一点目なのですが、私ども企業の立場で考えてみますと、働き過ぎの防止という問題と、それから例えば裁量の拡大ですとか、今回の新たな労働時間制度、こういった勤務の柔軟化と申しますか、そういったものというのは、決して二律背反するものではなくて、いかに高い次元で両立させるか。そういう課題だと強く認識しております。

 ぜひ、そういう方向で議論をさせていただけたらと思います。

 それから、二点目でございますが、新たな労働時間制度についての私どもとして感じているニーズでございます。

 今の企業というのは、特に、今、グローバルに競争しているような企業ですと、どんどんビジネスそのものが変わってまいります。

 そういう中で、特に間接員に求められているものというのは、与えられた仕事を効率よく行うということも大切なのですが、みずから新しい仕事をつくり出していくとか、新しい価値を生んでいくとか、そういったことが強く求められます。

 そういった業務というのは、ある意味で時間ですとか、場所ですとか、そういった制約を離れて、考えていただくということが必要でありまして、例えば、今回の働き方の問題だけではなくて、ITのツールの問題ですとか、在宅勤務、サテライトオフィス、そういったもの全部合わせて、いかに間接員の方により高い価値を生んでいただくか、そういった取組を、今、企業は行っております。

 非常にわかりやすく申し上げますと、例えば、私の部下、人事の人間ですと、既存の制度の運用をしっかり行うというのも大切なのですが、いろいろな外部のものをベンチマークしてきて、新しい制度を提案してもらうとか、そういったこともぜひやってもらいたいと思っています。そういった働き方をしていただこうと思いますと、上長が実は部下の仕事を全部押さえて管理をしていくということではなくて、どんどん提案をして、それを話し合いの中で進めていただくという形になってまいります。時間管理だけの問題ではないのですが、そういう働き方そのもの、業務そのものが変わっているという時代背景がございますので、そういったことも含めますと、私どもとしてはこうした新しい労働時間制度というのをひとつの選択肢としてぜひ御検討を進めていただければと思っております。

 以上でございます。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。

 それでは、宮地委員、どうぞ。

○宮地委員 ありがとうございます。

 昨年からの議論を踏まえて、多様な働き方に関しての意見を述べさせていただきたいと思います。

 少子高齢化の中で、育児は幼児期のみならず、中学、高校に至るまでもかかわりがあり、また、介護は先が見えないということも多くあります。このような事情を抱えながら、長いスパンでワーク・ライフ・バランスをとって勤務を続けているという方々が多くいらっしゃると実感しています。

 フレックスタイム制の活用促進や裁量労働制の導入促進によって、仕事と生活の事情を両立した働き方がしやすくなると思っております。

 促進に関して、とりわけ、企画型裁量労働制は、働き方が多様化する中で、企業としてのニーズはありますが、十分に活用されていないという現状を存じております。

 以前にも発言させていただきましたが、ニーズはありますが、裁量労働制の導入に踏み込めていない企業の理由のひとつとして、業務の多様化に伴い、企画部門の業務幅がふえているため、裁量業務の常態化ができないということも要因にあると思われます。

 このほかの要因の検証も行いながら、普及につながる見直しを図る必要を感じております。

 今後も、引き続き、この議論を進めることの必要性を特に感じております。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 それでは、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 前回のこの分科会でも、今般まとめられた日本再興戦略改訂版に至る素案の段階で御意見を申し上げたところでございますが、本日も何点か質問と意見を申し上げたいと思っております。

 まず、質問ですけれども、17ページの1であります。

 事務局にお伺いしたいのは、これは厚労省で書いた文書ではないからこうなっているのだと思いますけれども、1の2行目から「企業等における長時間労働が是正されるよう、監督指導体制の充実強化を行い、法違反の疑いのある企業等に対して、労働基準監督署による監督指導を徹底する」と書いてあります。お聞きしたいのは、長時間労働だからといってどのように監督指導を行うつもりであるのか、という点です。具体的には、国家権力、まさしく司法警察権限を持った労働基準監督官が長時間労働是正のために事業所に入ってくるということですが、法に基づかずに監督指導することはできないわけですので、どのような根拠法にもとづいて長時間労働といった視点で監督指導をしようとしているのか、という点を知りたいと思っています。政府として、これは閣議決定されて、まとめられた文書でありますから、その点をどのようにお考えになっているか、教えていただきたいと思っております。

 この点については、私どもとしては常々申し上げておりますように、長時間労働を是正させるための法律上の根拠となる規定がないものですから、これを新たに設けるべきだと言っているわけであります。そうした観点から、政府のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

 それと、次のページの2のところであります。

 これは「時間ではなく成果で評価される制度への改革」と書いているのですけれども、今でも賃金の支払いと労働時間のリンクを切るなどというのはこんな制度を別に入れなくても現実には多くの企業でなされているわけであります。契約上の賃金と労働時間を分離した上で賃金を払っているところは当然にあるわけです。そうである以上、ここの問題はやはり37条の時間外割増賃金を払いたくないというのが、通底している考え方なのではないかと思わざるをえません。

 それで、この制度、よくわからないところがありますけれども、まさしく成果だけを追求するということでして、先ほども平岡委員から、新しい価値を生むためには時間を離れてやるのだとのご発言がありましたが、その点は私も全くそのとおりだと思うのです。私も同じ産業におりましたので、付加価値とかイノベーションはそういうところから生まれてくるという点は同感です。

 その一方で、使用者には労働契約上の付随義務としての安全配慮義務が当然にあるわけでして、それゆえ労働者の健康を確保するために実労働時間の把握がなされなければいけないと思っています。労働安全衛生法は、まさしくそうしたことを背景に医師の面接指導を義務づけているわけであります。このように労働時間規制を離れて仕事をしていただくという仕組みであっても、やはり労働時間をきちんと把握をして労働者の健康管理をするということは、当然について回る話でありますので、労働時間規制から離れて働くだけということはできないのではないかと思います。

 それと、これも平岡委員がおっしゃったことですが、働き過ぎの防止というものと柔軟な労働時間制度は二律背反しないのではないかという御指摘をいただきました。しかし、私たちが申し上げているのは、両者は全く別々の項目であって、これを関連づける意味は全くないと思っております。

 すなわち、労働時間規制の柔軟化を図った対象者のみに対して長時間労働の防止策を求めていくという論議が一時政府の方でありましたけれども、私たちは、柔軟化を図った対象者に限ることなく全ての労働者に対して長時間労働の防止策を導入するべきである、そういった主張をしております。ひょっとしたら思いは同じかもしれませんけれども、私たちとは考え方がちょっと違うのかもしれないと感じております。

 それと、この17ページの一番下に、働き過ぎの防止策の取組強化について労政審で検討せよということが書いてあります。長時間労働の抑制策や年次有給休暇の取得促進策等の検討も労政審で行えということも書いてあります。これらについては、通常国会を目途に所要の法的措置を行うという方針はここに書かれていないのですけれども、これは当然、もし2の論点が論議をされるということであれば、当然、今回の労働時間法制の見直しの中で、長時間労働の防止策についても来年の通常国会に向けて一定の結論を得るべきであると思います。

 これは、安倍総理も5月28日の産業競争力会議の中で、そうした指示を出されていると聞いております。私どもとしては、まずは長時間労働の防止策を検討するべきである、ということを改めて申し上げておきたいと思います。

 長くなりますけれども、質問というか、意見を申しあげます。この18ページの2に関連して、労働時間規制の適用除外について言いますと、今でも労基法41条2号の管理監督者については適用除外ということになっているわけでありますけれども、この実態がよくわからない。かなり緩やかな認定というか、使用者が勝手にと言ったら語弊があるかもしれませんが、使用者が任意に管理監督者であるという者を決めて適用除外にしてしまっているわけでありますが、ここの実態についていまだに正確なデータが出ていないのですね。

 確かに、基発として、3つの要件を満たせば管理監督者として認定するという、取り締まり上の基準があるわけでありますが、こうした41条の管理監督者が不適切に拡大されているという実態に対しての防止策についても、これは同時に考えておかないといけないのではないかという問題意識を持っております。併せて提起しておきたいと思います。

 以上であります。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 それでは、何点か御質問がありましたので、事務局でお答えをお願いいたします。

○村山労働条件政策課長 御質問は、17ページで、企業等における長時間労働が是正されるよう、法違反の疑いのある企業等に対して、監督指導を徹底するなどについて、どういう趣旨でこうした政府決定をしているのかということです。

 確かに、委員から御指摘がありましたように、一定の労働時間を超えていれば、直ちにそれが禁止される法制は、年少者などを除けば、基本的に現行とられておりません。ここで監督指導を行う法違反の疑いのある企業等とは、労働基準法に定める三六協定などの労使協定等の手続きがきちんとなされているか、時間外労働や深夜・休日労働に対し割増賃金が支払われているか、あるいは労働安全衛生法に定められている一定の規模以上の場合の衛生委員会の設置、また疲労の蓄積を感じた労働者から申し出があった場合、きちんと面接指導を行っているかといった点について、違反の疑いがある企業等に対して、監督指導を徹底していくということを記載しているものです。

 その上で、先ほどより、委員から繰り返し御指摘のある長時間労働抑制策のあり方については「さらに」で、長時間労働抑制策等の検討を労働政策審議会で進めると明記しております。

 さらに、この労働政策審議会で進めるという書き方は2以降の文末表現と違う形で閣議決定されているということですが、仮に例えば、今、委員から御指摘のありました弾力的な労働時間制度の対象者以外について、一般的な形で長時間労働抑制策に関して、一律の法制度の改正が必要であると御議論を通じてまとまれば、当然に一体的に措置されるということですし、それはまさに本審議会での検討に委ねられているものと理解しております。

 以上です。

○岩村分科会長 新谷委員、よろしいでしょうか。御質問の点については、一応、事務局で答えたということでよろしいでしょうか。

○新谷委員 はい。

○岩村分科会長 それでは、八野委員、どうぞ。

○八野委員 ありがとうございます。

 労働側として意見を言わせていただきたいと思います。

 日本再興戦略の中で、先ほどからも話題になっております労働時間の長さと賃金のリンクを完全に切り離した新たな労働時間制度、すなわちホワイトカラーエグゼンプションと報道では言われておりますが、そういうものを創設すると書かれています。また、実労働時間にかかわらずみなし労働時間だけで働いたものとみなされるという意味では、すでに賃金と労働時間の長さとのリンクがある程度切り離されているといえる裁量労働制についても、新しい枠組みを構築するということも明記されているわけです。

 しかし、政府が言うように、労働時間の規制の適用除外を広げる、または裁量労働制の枠組みを拡大するといったことが行われれば、長時間労働や過重労働が合法的な形で助長されてしまうことになるのは明らかであると思います。

 これまでも、労政審の場では、労働側から、そうした懸念を再三表明していたにもかかわらず、新たな労働時間制度または裁量労働制の枠組みの見直しという、労働時間の規制を緩和しようとする案件に限って、「労政審で結論を得た上で、次期通常国会に法案を提出する」といったスケジュール感までもが明記されるに至った点は、まことに遺憾であると表明しておきたいと思います。

 もう一点は、今、事務局からもお答えいただきましたが、働き方改革の最優先事項として捉えている「働き過ぎの防止」についてです。さまざまなことが日本再興戦略には記載されており、これらについて議論していくということでございますが、さきほど説明のあった過労死等防止対策推進法も成立したことでもありますし、長時間労働の抑制策の法制化についても、労政審の中で早期に結論を得ることができるよう、積極的に取り組むべきであると考えております。

 そもそもの前提として、労働時間規制については、全ての労働者、働く全ての者の安全と健康を守るものであることが非常に重要であろうと考えております。

 もう一点申しあげます。さきの通常国会では安衛法が改正されまして、メンタルヘルス対策が強化されました。安衛法では使用者に対して月100時間超えの時間外・休日労働を行って疲労の蓄積が認められる者へ産業医等の面接指導を行うべき義務を課しておりますが、その反面、労働時間の把握の仕方は極めて緩いものになっています。

 こうした問題点があるということにも十分に目を配りながら、積極的にこの場で議論をさせていただきたいと思っています。

 以上でございます。

○岩村分科会長 ありがとうございます。御意見ということで、承りたいと思います。

 では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 すみません。たびたび。

 分科会長のほうから言うべきことは全て言えという御指示がありましたので、気になるところを含めて申し上げておきたいと思います。

18ページの先ほどの2のところ、これは前回も申し上げたところでありますけれども、年収という要件で、なぜ労働時間規制を適用除外にしうるのかという理由が全くわかりません。職務でも何でもなく、年収だけを要件として労働時間規制を適用除外にするとなると、我が国で初めてこうした法制が入ってくるわけです。つまりは、単に高年収ということだけで適用除外にするということですね。これが許される合理的な説明が求められていると思うとともに、我々は理解できないということを申し上げておきたいと思います。

 それと、フレックスタイムの論議は、4に書かれています。これについてもよく見ると、この分科会で論議をしてきたかと思いますけれども、清算期間の延長等々が提起をされております。我々としては、これらについても非常に懸念があるところでございますので、労政審の場で十分に論議をしてまいりたいと思っております。

 それと、先ほど、小さな字でということで、課長のほうから説明のあった規制改革会議に関係する計画の箇所についてであります。

42ページの一番下のところに小さな字で書いてあって、これをわざわざ説明されたのでちょっと気になっているところでありますけれども、「テレワークの推進等に取り組む」ということの中で、いろいろな制度改革もやるのだということで書かれてあります。特にテレワークの関係で言いますと、政府のこれまでの論議の中で、テレワークとの関係で、深夜割増賃金とか休日の割増賃金の支払義務を外してしまったほうが、かえって女性の活躍促進につながる、などといった論議がされていたと記憶しているところです。

 わざわざここで小さな字で記載されている点に言及されたということは、先ほど申しあげたような事項を検討することも、今後、想定をされているのかどうか、これは質問ですけれども、確認をさせていただきたいと思っております。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 それでは、最後の点が御質問ということでしたので、事務局のほうでお願いいたします。

○村山労働条件政策課長 お答えいたします。

 先ほどの骨太の方針のテレワークの注の記述については、御説明を漏らすと申し訳ないと考え、御説明いたしました。

 それで、今お話のあった点についてです。確かに政府の諸会議の中のさまざまな議論の中で、新谷委員から御提起のあった御議論が民間の有識者の方からあったことは事実です。

 一方で、労働時間の問題として、現行の法制度で言えば、管理監督者も含めて、深夜業の取り扱いの問題については、十分専門的かつ慎重な検討が必要な問題であると考えており、別途一部労使の団体の皆様方にも御理解と御参画を得ながら進めているモデル実証等の議論の中で、そのようなニーズがあるかどうかについて、時間をかけて十分精査した上で、その後のことについて検討していきたいと考えています。

 今回の政府決定全体の中で、今、御懸念のあったような点について、少なくとも前面に立った議論はなされていないものと考えております。

 以上です。                       

○岩村分科会長 よろしいでしょうか。

 そのほかいかがでございましょう。

 では、先にお手が挙がったのは鈴木委員で、その後、秋田委員ということでお願いいたします。

○鈴木委員 ありがとうございます。

 長時間労働の見直しと、年次有給休暇等を初めとする休暇取得促進は、過重労働対策の2本柱だと思っております。

 これまでも議論してまいりました、めり張りのある働き方をどのように実現していくかが、重要となってくるわけでございます。取得率が5割を切っている年次有給休暇に政策のフォーカスをあて、計画年休の普及なども含め改善していくことが重要と考えます。

 これに関連して、比較的長時間労働の実態がある産業で、利用がされている代替休暇制度も、これは職場の実態によっては、休暇の増大に効果が期待できるのではないかと思っております。この点も含めて、引き続き議論をさせていただければ幸いです。

 それから、長時間労働対策につきましては、PDCAサイクルを回していくということが何よりも重要ではないか。繰り返しになりますけれども、各職場で長時間労働の原因は何かを確認して、労使で話し合い、まずは何らかの措置を実行する。その結果を検証した上で、施策を継続するあるいは別の対策をとっていくという一連の取り組みを促すことが重要ではないかと思っております。

 経団連としても、朝型勤務ですとか、ノー残業デーなどの企業事例を紹介しながら、横展開をしているところでございまして、そうした活動は継続してまいりたいと思っております。

 このPDCAを回しながら、労働時間を見直していくということでは、やはり個別企業労使の話し合いの場を設ける施策というのが重要な施策になるのではないかと思っておりますが、問題はどうするかであります。

 話し合いの場をつくってもらうよう促すツールの1つに、現在、労働時間等設定改善指針というものがございます。

 ただし、改善指針は2006年に施行され、その後、少し見直しがされたのですけれども、2010年以降は見直しがされておりません。

 例えば、一部企業で成果を上げている「朝型」勤務の例を盛り込むといったような現代化はあってもいいのではないかと思っております。

 また、現行の改善指針の内容がやや網羅的ではないかという印象、問題意識を持っております。

 すなわち、この改善指針は、時間外労働削減の話し合いの場が持たれていない約4割の事業場の労使に読んでいただいて、これならばうちでもやってみようというように思わせる工夫というのは、本来、必要だと思っておりますが、この点が足りないのではないかという意識でございます。

 まずは、どこに長時間労働の原因があるかという分析が必要でありますので、例えば、システムの導入を奨励しながら、そのための助成金があるということを紹介したり、また、比較的簡易に措置することができ、かつ効果の高いノー残業デーでありますとか、あるいは経営者からの意識啓発、例えば、朝礼などで取り組みを宣言するというようなものなど、まだ話し合いの場が設けられていない企業で取り組みやすく、効果的な施策を重点的に紹介することが取り組みのボトムアップにつながるのではないかと思っておるところでございます。

 それからもう一点。新たな労働時間制度について、発言をお許しいただければと存じます。

 今年2月に発表されました雇用政策研究会報告書の労働力需給推計によりますと、経済成長と労働参加が適切に進まない場合、2030年の就業者数が2012年と比べまして、821万人も減ってしまう。ただし、経済成長と労働参加が適切に進むケースでは、2012年比で167万人の減少にとどまるということの見通しが示されております。労働参加を促進する施策というのは、例えば、高齢法の見直しでありますとか、あるいは能力開発やマッチング機能を強化する施策など、手当てがされつつあるように思うところでございますが、経済成長を促す施策の実施というのは、まさにこれからの課題かと思っております。競争力の源泉は何といっても、働く方一人一人の社員、人材であります。この点は先ほど新谷委員からも御賛同いただけるような御意見をいただきましたが、新しい付加価値を生み出すということの必要性、そのための環境整備をしていくということが必要と思っております。

 そうした状況下で、専門的、技術的職業従事者の中には、クリエイティビティーの発揮が特に期待される方も含まれており、そうした方が十分に能力を発揮できる環境を整える観点から、新たな労働時間制度の創設を積極的に議論していくということが必要だということを改めて申し上げたいと思います。

 例えば、研究開発業務などの、いわゆる現行の専門業務型裁量労働制の対象業務ですとか、あるいは市場動向を調査する業務などの企画業務型裁量労働制の対象業務、それに加えて、いわゆるアクチュアリー試験合格者などの現行の5年有期は認められているような高度専門職、さらには会員企業から聞きますと、投資銀行業務ですとか、与信判断業務、それからM&A業務、複数の専門的知識を用いて顧客ニーズに最適な製品、サービスを組成して販売する業務というようなニーズがございます。

 それから、例えば、企業のセキュリティー対策を担当して、高い専門性を有するいわゆるホワイトハッカーでありますとか、あるいは大量のデータを分析して、技術的価値を生み出す役割を担う専門職種であるデータサイエンティストなど、IT分野を中心に、新たな専門職が生まれております。技術の進歩は激しいことから、新たな労働時間制度の対象となる対象業務というのは、基本的なことは法令でさだめつつ、個別企業労使に委ねて幅広く対象となるような配慮が重要ではないかと思っているところであります。それから、労働時間の問題を考えるときに、多様な働き方の選択肢という観点だけでなく、事業運営の弾力化を図るという観点も重要と考えておりまして、この観点からは、以前にも申し上げさせていただきましたが、変形労働時間制の見直しでありますとか、特段の事情があると行政が認定した場合に、特別条項付き三六協定の発動要件として、全体として1年の半分を超えないという点を柔軟に解釈できるような仕組みの導入についても、議論を深めてまいりたいと思っております。

 私からは以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 それでは、続きまして、秋田委員、どうぞ。

○秋田委員 すみません。ありがとうございます。

 他の方と重複する点もございますが、2点ばかりお話しをさせていただきたいと思います。

 まず、長時間労働の防止のところでございますが、これは多くの企業でさまざまな取り組みを全力を挙げてやるというのは、当然のことなのですが、やはり、どうしても、社会全体の長時間労働削減に対する理解が促進をされる必要があると思います。特に、政策的に取り組むのであれば、そういう面を強力に推し進めていく必要があるだろうと考えています。

 例えば、さまざまな顧客あるいは消費者、こういったところのさまざまな要請に基づいてビジネスというのは起きてくるわけですが、そういったことが遠因となって、長時間労働につながるという面もあります。この分科会でも、たびたび出ておりましたけれども、例えば、自動車運転者であれば、待機時間があるというような、これはなかなか企業の労使の自助努力では解決できないものでございますので、こういったことを社会全体として理解を促進していく必要があるだろうと考えております。

 それと、もう一点は、時間ではなく成果でという新たな労働時間制度のところですが、これについてもさまざまな、今、御意見がございました。

 ここで、「成果で評価される働き方を希望する働き手のニーズに応えるため」と、18ページの2の1行目に出ているのですが、確実にニーズはあるのだろうと考えております。

 例えば、同じ課題を解決するのに、時間をかけて解決した場合のほうが、現状の制度の中では総報酬は多くなるという問題があります。

 それについて、人事考課等で評価をしていけばいいだろうというようなお話もあるかと思いますが、例えば、そういうことに直接的に賃金を成果評価というような形で直接的にレスポンスができるというような制度で、優秀な能力を発揮するものをどんどん伸ばしていく。こういうことが、ひとつの側面としては、日本経済の発展のために必要なのだろうと考えております。

 以上でございます。

○岩村分科会長 そろそろ時間の都合もありますので、それほどもう多くの御発言をいただく時間、余裕がないのですが、今、新谷委員と工藤委員のお2人からお手が挙がっておりますが、そのお2人ということでよろしいでしょうか。

 それでは、順番はどうされますか。

 では、新谷委員からお願いします。

○新谷委員 今ほど、使用者側から御意見、御発言がありました。労働時間のあり方というのは、私としては、先ほど申し上げたように、確かに付加価値を生む源泉でもありますし、企業経営にとっても、そこから多くの価値を生み出していただくための仕組みをつくっていくということが、当然ではありますが、大事だと思っております。

 ただ、先ほども申し上げたように、働いているのは生身の人間なのです。ですから、労働時間というのは、付加価値を生む源泉であると同時に、労働者にとっての生活、生きていくための時間であるということも当然忘れてはいけないわけです。24時間働けということをおっしゃっているつもりはないのだと思いますけれども、先ほど来、使用者側の意見を聞いていますと、付加価値なり生産性ということばかりをおっしゃっているので、やはり私どもとしては、それだけでなく、労働者に健康に働いていただくための仕組みがどうあるべきかということも当然に考える必要があるということを、苦言として申し上げておきたいと思います。

 それと、先ほど来、話をお聞きしていますと、使用者側の発言の中には、いわゆる管理職としてのマネジメントという視点が全然出てこないですね。労働者個人の能力とか、資質などについては厳しく問われているのですけれども、一方で、マネジメントがどうあるべきかという視点は入っていないように思います。

 したがって、おそらく労働者の質はいいのだろうと思いますけれども、一方、経営の質はどうなのかといったところも経営者の中で一度自問されたらどうかな、とお聞きしていて思いました。

 それと、過労死で亡くなる方の3人に1人が実は管理監督者であったり、専門的技術者であるという、この現実ですね。ここをどう見るのかという点も議論されねばなりません。やはり我々がよく見ておかないと、政府がおっしゃるようなことばかり実現しますと本当に24時間働けということになりかねませんし、規制改革会議の資料に書いてある「無限定正社員」というような、わけのわからないものになりかねません。ここはやはり、我々は今存在している過重労働や過労死といった実態を踏まえた対策を考えるべきだ、ということを重ねて申し上げておきたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 それでは、工藤委員、どうぞ。

○工藤委員 労働時間のあり方について一言述べさせていただきたいのですが、私は、仕事というのは、いつまでに何を何時間で達成するかという視点が基本にあったと思っておりまして、企業の中でもそういう形でいろいろと仕事をしてきました。

 そうした中、今回、何時間という労働時間規制を外すということが検討すべき論点として出てきているわけですが、これが実現すると、どれだけの時間がかかっているのかということが使用者に明確に把握されないままに、いろいろなことが起きてくるものと思います。そういう事態が想定される中で、同時に長時間労働を削減するというのは本当に可能なのだろうか。これまでは労働時間規制がある中で、例えば8時間でやっていた作業を7時間45分で行うための努力を徹底的に行ってきました。それが、労働時間規制がなくなると、そういう努力がなされなくなるのではないかと思っております。こうした仕組みが本当に可能なのかどうか、長時間労働の削減を含めて本当に可能なのかどうか、という点を非常に危惧しております。

 また、19ページの2で「透明で客観的な労働紛争解決システムの構築」という項があるのですが、ここは「判決による金銭救済ができる仕組み」という表現で書かれております。

 しかし、ここでは、我々が懸念している「解雇の金銭解決制度」の導入を意図しているだと思うのですが、政府はわざと曖昧な表現を用いていることから、本来、「解雇の金銭解決制度」といった形できっちりと書くべきだと思っております。

 また、「救済」という文言も用いられておりますが、一体、救済される対象は誰であるのかという点にも、大いに疑念を抱くところでございます。

 労働紛争を解決するための仕組みである以上、救済対象は労働者以外にあり得ないと思っておりますが、不当解雇に当たって労働者本人がいくら原職復帰を望んだとしても金銭の支払いでもって雇用関係を終了させるという仕組みのどこをとれば救済制度といった表現ができるのか、私には全く理解できません。

 いずれにせよ、解雇の金銭解決制度を議論するおつもりであれば、真正面からそのことを明記した上で、労働者代表を交えた場で議論を行うべきだと考えておるところでございます。

 あと1点質問なのですが、国家戦略特区、最後の4546ページのところにありますが、過去にも質問させていただいたのですが、特区の定義についてです。「東京圏」とか書かれてありますが、これは、その地域にある事業場が対象になると理解していいのか、それとも、その地域に本社がある企業が対象になると理解していいのか、といった点が不明です。「東京圏」なり「関西圏」という特区の定義についての考え方を教えていただきたいと思います。

○岩村分科会長 では、最後の点、御質問でしたので、事務局のほうでお願いいたします。

○村山労働条件政策課長 最後の御質問にお答えいたします。

 国家戦略特別区域法自体は、雇用労働相談の関係について、排他的な管轄を設けるような考え方を必ずしもとっておりません。例えば、ここで御議論されている関西圏であれば、関西圏の中のしかるべきところに雇用労働相談センターを設置し、国会の附帯決議でグローバル企業やベンチャー企業等の使用者だけではなくて、労働者も利用できるという内容も求められておりますので、あとは窓口を開いて、そこにいらっしゃる方々に幅広く活用される形が想定されます。そうした趣旨にのっとって検討されているものと考えています。

 ただ、基本的にはそこに所在されるあるいは進出されようとしている企業の方々を第一義的には念頭に置かれて整理されているものと思っております。

 以上です。

○岩村分科会長 工藤委員、よろしいでしょうか。

○工藤委員 はい。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

 それでは、本日はここまでとさせていただきたいと思います。

 今日、事務局で報告をいただきました成長戦略の改訂におきましては、1つのいわば目標といったものが、個々の論点についてあらあら述べられているということであって、具体的な制度設計をどうするかということについては、今日の御報告いただいたことにもありますように、労働政策審議会で議論をして決めるようにとなっております。

 既に私からも前に述べたとおりでありますけれども、労働条件に関する具体的な制度設計というものは、公労使が入る労働政策審議会で検討して決めていくべきであるということがこの公労使委員の一致した意見であり、これが、今回、この成長戦略の改訂の中でも尊重され、具体的な制度設計が私どもの審議会のところでやるようにとなったということは、大変重要であると思っております。

 本日も各側からそれぞれ御意見がありましたし、ある程度同じ方向を向いているものがあると思えば、そうでないところもございますが、私としては、この分科会で現場の一番よく御存じの労使の御意見、とりわけ実態についての労使の御意見というものを踏まえて、議論を積み重ねていきたいと思っております。

 これは先ほど、中野局長からも御発言いただいたとおりだと思います。

 そこで、今後、委員の皆様におかれましては、この分科会でさらに詰めた議論を進めていきたいと思っておりますので、どうぞその点、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、事務局から次回の日程についての説明をお願いしたいと思います。

○古瀬調査官 次回の労働条件分科会の日程、場所につきましては、追って御連絡をさせていただきます。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

 それでは、本日の分科会はこれで終了とさせていただきたいと思います。

 いつものことでございますけれども、議事録の署名につきまして、労働者代表につきましては工藤委員、使用者代表につきましては平岡委員にお願いしたいと思います。

 本日は、お忙しい中どうもありがとうございました。

 これで終わります。


(了)

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