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2014年4月22日 第112回労働政策審議会労働条件分科会 議事録

労働基準局労働条件政策課

○日時

平成26年4月22日(火)10:00〜12:00


○場所

共用第8会議室(19階)


○出席者

【公益代表委員】

岩村委員、田島委員、野崎委員、山川委員

【労働者代表委員】

工藤委員、新谷委員、富田委員、八野委員、春木委員、宮本委員

【使用者代表委員】

秋田委員、池田委員、小林委員、鈴木委員、田中委員、平岡委員、宮地委員

【事務局】

中野労働基準局長、土田総務課長、村山労働条件政策課長、古瀬調査官

○議題

1 報告事項
2 今後の労働時間法制の在り方について
3 その他

○議事

○岩村会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから「第112回労働政策審議会労働条件分科会」を始めることにいたします。

 本日は、公益代表の権丈英子委員、村中孝史委員、守島基博委員、労働者代表の高松伸幸委員がそれぞれ御欠席でございます。

 それでは、議事に入ります前に、定足数の報告を事務局からいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○古瀬調査官 定足数について御報告いたします。労働政策審議会令第9条により、委員全体の3分の2以上の出席、または公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされておりますが、定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。

○岩村会長 ありがとうございました。

 それでは、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。

(報道関係者退室)

○岩村会長 お手元の議事次第に沿って進めてまいります。

最初の議題は報告事項となっております。

事務局から、4月9日水曜日に産業競争力会議雇用・人材分科会が開催され、多様な正社員、紛争解決システムが議題になったことにつきまして報告がございます。

それでは、説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○村山労働条件政策課長 それでは、御報告申し上げます。

 ただいま分科会長からございましたように、4月9日18時から産業競争力会議雇用・人材分科会が開催されました。その際に佐藤副大臣が御説明した資料が本日の資料No.1です。

 分科会のテーマは、「多様な正社員」と「紛争解決システム」で、日本再興戦略や昨年末、雇用・人材分科会で取りまとめられた中間報告を踏まえた取組の現状について、副大臣から報告しました。その後、規制改革会議の意見書等につきまして、規制改革会議の大田議長代理から説明があり、さらにその後、民間議員と有識者からの発言を経て、自由討議という流れでした。

このうち、副大臣がプレゼンした内容につきまして、資料に沿って説明したいと思います。

 1ページ目と2ページ目が「『多様な正社員』の普及・拡大」に向けての取組です。

これに関しては、「『多様な正社員』の普及・拡大のための有識者懇談会」をこの時点で8回、その後さらに1回開催し、本日までに9回開催しております。制度を導入している企業8社や労使団体等からのヒアリングを経て、制度導入のメリット、処遇、転換制度、労働条件明示等のテーマについて議論を重ねていただいているところです。

現時点で共有されている「多様な正社員」導入のメリットとしては、「非正規雇用労働者のキャリアアップ」や「正社員のワーク・ライフ・バランスの実現」のほか、企業による「優秀な人材の確保」、「地域に密着した事業展開」、「ものづくり技能の安定的な継承」等です。

さらに、マクロ的には、少子高齢化やグローバル競争の激化のもと、我が国にとって働き方の二極化が問題となる中でこれを解消していくこと、女性や子育て・介護に直面されている方々の雇用継続や能力発揮等のメリットがあるということが共有されております。

 一方、課題としては、勤務地や職務の限定や、労働者による頻繁な転換は、企業にとって柔軟な人事配置とのバランスに課題を生じる面があること、あるいは労働者にとっては、企業からの拘束度は緩やかな反面、処遇等への不安について指摘もなされているところです。

こうしたメリットを伸ばし、一方で課題を払拭していくために、本年年央を目途にこの懇談会の議論をお取りまとめいただき、「労働契約の締結・変更時の労働条件明示の在り方」、「相互転換制度」、「処遇の在り方、いわゆる正社員との均衡の在り方」、「その他の雇用管理に関する事項」など、雇用管理上の留意点を取りまとめてまいりたいということです。

さらに、平成26年度中にこうした議論の成果も踏まえつつ、専門性の高い高度人材を含む多様な正社員のモデルとなる好事例や就業規則の規定例を幅広く収集し、情報発信し、徹底した周知を図っていく取組を進めたいこと、今後の新たな支援措置も検討したいことを報告したところです。

2ページ目は「『多様な正社員』を導入している企業の動き・事例」で、最近、マスコミ等で大きく報道されている事例も含めて、具体的に企業からヒアリングした結果についての報告です。

 3ページ目は「予見可能性の高い紛争解決システム」です。

昨年末の雇用・人材分科会の中間報告等におきまして、労働局におけるあっせん、労働審判、民事訴訟における和解事案等について事例の分析を進めることが定められております。

これを踏まえ、厚生労働省として、まず労働局におけるあっせんに関して、直近の状況について調査、分析・整理に既に着手しているところです。

また、労働審判や民事訴訟に関しても、法務省民事局を通じ裁判所と調査方法等を調整中ですが、基本的に御対応いただけるとのことで、具体的な方法について、現在、細かい詰めを進めているところです。

あわせて、諸外国、とりわけアメリカ等における仲裁合意等の関係制度、運用状況についても調査を実施しているところです。

 副大臣からは、「日本では、景気後退期に、新規採用の削減や休業、配置転換・出向等の手段を尽くしてもなお雇用を終了せざるを得ない場合、整理解雇に至る前に、労使協議の上で、退職金の割増等によります早期退職者の募集や退職勧奨が行われる傾向が、大企業を中心に見られる」ということで、直ちに整理解雇ではなく、労使関係の中でこうした取組がなされている実態や、そうした場合の割増退職金の水準等に企業規模間で相当な開きが見られる実態も報告し、こうした複雑な実態等にも十分配意しながら、諸外国との比較検討の議論を進める必要があるのではないかとの提起を行ったところです。

4ページ目、5ページ目は、雇用指針ですが、これは国家戦略特区諮問会議での審議を経て、4月1日に決定されましたので、その報告も行ったところでごす。これは一度本分科会でも御議論いただいた案件ですので、説明は割愛させていただきます。

4月9日の雇用・人材分科会は、副大臣のプレゼン等を経て、現状について状況が共有され、最終的には内閣府の担当副大臣からコメントを何点かいただいております。

第一点目は、多様で柔軟な働き方ができる社会を実現するために「多様な正社員」の普及・拡大が重要なので、よい形で広がるよう、実効性のある対策をとっていき、また、モニターもしっかりやってもらいたいということ。

第二点目は、紛争の未然防止に関して、雇用指針等の取組も進めているが、今後、特区の雇用労働相談センター等について、実効が上がるように、地域ともよく連携をしながら進めてもらいたいということ。

第三点目は、あっせん、労働審判、民事訴訟の和解等については、分析・整理とともに、中小企業労働者の保護等の観点も含めて、透明で客観的な労働紛争解決システムの構築に向けて制度的な検討についても検討いただきたいということ。

その三点のコメントをもって、同日の分科会は終了している状況でございます。

以上、雑駁ですが、報告申し上げます。

○岩村会長 ありがとうございました。

 それでは、ただいま御説明いただきました事項につきまして、御意見あるいは御質問がありましたらお願いしたいと思います。では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 今、御説明いただいた、産業競争力会議、雇用・人材分科会での厚労省提出資料について、何点か質問をさせていただきます。

 資料1の3ページ目「予見可能性の高い紛争解決システム」に関し、事例の分析や、諸外国、とりわけ仲裁合意に関する調査をされているという説明をいただきました。

仲裁合意は日本では余りなじみのない制度で、アメリカを中心にやられているとお聞きしていますが、この調査では、何をどのように調査されて、どのような情報を厚労省として把握されているのかについて、わかる範囲で教えていただきたいというのが一点です。

もう一点は、昨年末の「産業競争力会議(雇用・人材分科会)中間整理」では、解雇の金銭解決制度についても調査をするということが書かれてあったと思います。これは厚労省で直接調査されているのかどうかわかりませんが、解雇の金銭解決制度について、今、把握されている情報で開示いただけるものがあれば、教えていただきたいと思います。

次に、最後のページにあった雇用指針の扱いについてです。411日に開催された規制改革会議の雇用ワーキング・グループでは、は「労使双方が納得する雇用終了の在り方について(考え方の整理)」と題する資料が配付され、この「雇用指針をさらに発展させて、労働契約の合意解約に至る手続の規定や指針を整備すること」について検討するとされています。

特区に設けられます雇用労働相談センターや、雇用指針のあり方については、この分科会でも論議をさせていただきましたし、また国会でも論議を踏まえて、今回のような形となったものですが、この雇用指針をめぐっては、当初目指した方向とは違う方向へ動き出さないかということが懸念されるところでありますので、厚労省としての見解をお聞かせいただきたいと思っています。

以上です。

○岩村会長 それでは、お願いいたします。

○村山労働条件政策課長 何点か御指摘をいただきました。

 先ほど御説明した4月9日の資料は、産業競争力会議の雇用・人材分科会における資料であることを改めて繰り返させていただきたいと思います。

その上で、まず御質問の第一点目、個別労働関係紛争を対象とする仲裁合意の関係です。現在、仲裁法の附則第4条で、「当分の間、仲裁合意で将来において生ずる個別労働関係紛争を対象とするものは無効とする」と規定されております。これは司法制度改革の中でさまざまな御議論もありましたが、先ほど委員からの御指摘にもありましたように、我が国の実情等を前提としたときに、必ずしも直ちにはなじまない制度なのではないかということで、そのような取り扱いになっているところです。

その上で、今後、専門的な研究機関の力も借りながら諸外国の調査を進めていきたいと考えております。

なお、既に資料は公開されておりますので、補足的に御紹介申し上げると、4月9日の雇用・人材分科会には有識者として弁護士の先生が招かれ、先ほど御質問のありました解雇の金銭解決の関係も含め、諸外国の状況について、国際的な弁護士事務所のネットワークを活かされた調査結果について簡単な御報告がございました。

その中で、特に仲裁合意に関しては、先ほどもアメリカを除いてはそれほど幅広く使われていない制度なのではないかとの御指摘がありました。アメリカやデンマークでは一定の利用状況がある、あるいはかなり活用されているとの報告でしたが、それ以外の国では、そもそも制度がない国、原則禁止で一部のみ認められている国、制度上はあってもほとんど利用されていない国が多いと報告されているところです。

現在の厚労省あるいは研究機関と連携しながら実際にどのように調査を進めているのかとの御質問でございます。今申し上げたように、実際に広く使われているのはアメリカでございますので、アメリカの実態について、滞在されている労働法学者の先生や、さまざまなネットワークの中で仲裁事案に実際に関与されている方、そうした仲裁人の協会の関係者、司法関係者等からのヒアリングなど、基礎的な調査を重ねて、今後どのように本格的に調査していくのかという下地をつくっていっている状況です。

 解雇の金銭解決についての調査ですが、年末の中間整理等において、国内のあっせん、労働審判、民事訴訟の和解とあわせて、諸外国の制度についても、それぞれの国の雇用システムのあり方を含め調査研究をするようにとのお話もいただいているところです。着手はこれからになりますが、研究機関ともお話を進めさせていただいて、視点を定めながら諸外国の状況についても調査してまいりたいと考えているところです。

なお、4月9日の会議において、司法制度等の前提が違う面はありますけれども、解雇訴訟における復職にかわる金銭給付命令の仕組みに関して、ヨーロッパを中心にかなりの国で、導入されているという状況は、同日の分科会でも報告されているところです。

以上が1つ目の御質問への回答です。

2点目、雇用指針の関係です。

ただいま委員から御指摘のありました規制改革会議の雇用ワーキング・グループの御議論は、私どもが議論に参画している会議ではございませんので、直接コメントしづらい面もございますが、恐らく民間議員から御提起のあった内容を踏まえたペーパーの中に委員からの御指摘の記述もあったと理解しております。御懸念の点も承りました。一方で、規制改革会議の雇用ワーキング・グループとは、ヒアリングを求められれば、適宜我々もさまざまな取組について報告し、また議論もさせていただいている関係でございますので、今後、また議論する機会が出てくれば、ただいま御指摘のあったような点も踏まえつつ適切に対応してまいりたいと考えております。

現時点では具体的な議論が何かあるわけではないということを御理解いただければと思います。

以上でございます。

○岩村会長 ありがとうございました。

いかがでしょうか。では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 ありがとうございました。

 この項目でお聞きするか、「その他」の項でお聞きするか、迷ったのですけれども、たまたま今朝の新聞に出ておりました件について、産業競争力会議つながりですので、ここでお聞かせいただきたいと思いますが、よろしいですか。

○岩村会長 今日はまだ新聞報道の段階ということもあり、一応今後の予定としては、次回に産業競争力会議での議論について御報告をいただくつもりではいたのですが、新谷委員としては今、少し聞いておきたいことがあるということですね。

○新谷委員 よろしいですか。

○岩村会長 それでは、お願いします。

○新谷委員 すみません。

 本日の夕方、産業競争力会議が開催されることは周知の事実であり、その推測記事だと思いますが、有力な全国紙が2紙取り上げておりますので、わかる範囲で厚労省の見解をお聞かせいただきたいと思います。

新聞によっては「残業代ゼロ」というかなり際どい見出しがついておりますが、労働時間の規制について、本人同意と労使協定と年収要件を組み合わせることによって、新しい適用除外制度を設けるといった報道がなされております。

報道が事実かどうかわかりませんが、もし仮にこういう枠組みであった場合について、厚労省の見解をいくつかお聞かせいただきたいと思います。

1つは、労働者保護としての労働基準法が憲法27条を受けて、最低条件の法定を行い、監督官を配置して取り締まりの実効性を持たせるという仕組みがあるわけです。その中で労使協定だけでそういった強行法規としての最低基準の規定を外してしまうということについては、これが仮に事実であるとしたら、憲法の問題にも絡んでくるのではないかということを直感的に思いますし、仮にこういう仕組みが入りますと、本人同意をかませてあったとしても、真に本人の同意なのかどうか、今労使の力関係から見たときに非対称性ということが現実としてありますので、今、問題になっている過労死を含め、過重労働、長時間労働の誘発をしかねないという点が非常に危惧されるわけです。

そういった意味で、現在の取り締まり体系を中心とした仕組みと、こういった労使協定で規制を外すという枠組みとの関係について、今、お考えがあれば聞かせていただきたいと思います。

次に労政審との関係です。産業競争力会議は総理が議長の会議ですので、非常に重い会議だと思いますが、ILO条約に基づく、政労使による三者構成主義での審議との関係でこれをどのように捉えたらいいのか。非常にお答えしにくい問題だと思いますが、お考えを聞かせていただきたいと思います。

以上です。

○岩村会長 それでは、お答えできる範囲でお願いいたします。

○村山労働条件政策課長 ありがとうございます。

 分科会長からも先ほどお話がございましたように、本日の夕方に開催される会議のことでございますので、お答えしづらいというのが正直なところでございます。

1点御紹介申し上げます。本日の閣議後の記者会見で本件について記者から質問があり、田村大臣が次のようにコメントをされております。

まず、民間議員の御提言に関しては、本日の夕方の話であり、まだ出ているものではないので、どうコメントしていいかわからないということ。

ただ、子育て期の家庭、高齢者の方々がおられる介護が必要な家庭で、一定程度自由な働き方がないと仕事を続けられないという課題は以前から我々も感じていた。そのような要請がこの産業競争力会議の中にもあるということは我々も認識している。一方で、ワーク・ライフ・バランスを守りながら、労働者の健康をしっかりと確保していかなければならないのが厚生労働省の立場であるので、そういうものを踏まえた提案を今日、厚生労働省からもさせていただきたいと思う。

その提案を見ていただいて、産業競争力会議の皆様方にどういう理解をしていただけるのかというところである。

民間議員の御提言に関しましてはコメントを差し控えたいとのことでございます。

その上で、先ほどの件は一般論としてのお尋ねだと思いますけれども、憲法の要請に基づく最低労働基準について、労働基準法で罰則や行政監督をもって担保しているのは御指摘のとおりでございますが、一方で、さまざまな弾力化措置が一定の法定要件のもとでこれまでも講じられてきているということが事実だろうと思います。

 2点目の御質問とも絡みますけれども、過去にもこの労働政策審議会で議論された面もある課題だと思いますが、最終的にはこの場で公労使各側の皆様方に具体策を詰めていただくべき問題だと考えております。

また、本日夕方、仮に民間議員から具体的に御提言があれば、その場で厚生労働省を代表して田村大臣が臨まれるので、大臣としていろいろコメントされ、また、その議論の状況はいずれ公表されますので、それらの状況等については、先ほど分科会長からも御指示がありましたように、来るべきこの分科会で御報告を申し上げ、また皆様方の議論に付させていただきたいと考えているところでございます。

 以上です。

○岩村会長 ありがとうございます。

 新谷委員、よろしいでしょうか。

○新谷委員 はい。

○岩村会長 この件につきまして、ほかにいかがでございましょうか。よろしゅうございますか。ありがとうございます。

それでは、次の議題に移りたいと思います。議事次第にありますように、2番目の議題は「今後の労働時間法制の在り方について」です。

前回は、「弾力的な労働時間制度」について御議論をいただきました。そこで、今回は「長時間労働抑制・過重労働防止対策」について御議論をいただきたいと考えております。

事務局で今後の論点をまとめていただいておりますので、まずその説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○古瀬調査官 それでは、資料2「各側委員からの主な意見及び今後の論点(案)」をごらんいただきたいと思います。

資料の構成としましては、前回と同様に、左側の欄は第109回労働条件分科会の提出資料である「各側委員の主な御意見の整理」からの抜粋、右側の「今後の論点(案)」の欄は、それを踏まえ今後の論点として考えられる点と、※として論点に関連する現行の規定や調査結果等について、事務局からお示ししたものでございます。

以下、論点ごとに御説明させていただきます。

まず、(1)としましては、前回の労働条件分科会で、各論の議論に入る前に総論が必要ではないかとの御意見がございましたことを踏まえ、「総論」を置いております。

委員からの御意見としましては、労側委員からは、「過重労働、労災防止の観点からの議論が必要」、「睡眠・休息時間の確保や、実質青天井になっている時間外労働への歯止めについて議論すべき」との御意見がございました。

使側委員からは、「職種別、規模別に状況を確認した上での議論が必要」、「生産性向上の観点から労使協調することが重要」との御意見がありました。

論点としましては、「長時間労働等の課題に関し、業種・職種・規模ごとに状況や背景が異なること、生産性向上とのバランス等にも留意しつつ、労働者の心身の健康確保やワーク・ライフ・バランスの実現を図るための政策について、どう考えるか」と挙げてございます。

次に、2ページ「(2)中小企業に適用猶予されている月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率」についてでございます。

労側委員からは、「全雇用労働者の3分の2が割増賃金率引上げの適用対象外となっており、法目的が達成できているとは言い難い。適用猶予措置は速やかに廃止すべき」、「実態調査では、割増賃金率が高い事業場の方が時間外労働が長いという結果が出ているが、長時間労働への対応策や代償として割増賃金率を高く設定した結果を示すものとも捉えられる。この結果から、割増賃金率引上げが長時間労働の抑制という改正趣旨を果たしていないと結論づけるのは妥当ではない」、「中小企業の時間外労働は、これまでは減少傾向にあるが、今後の生産動向によっては労働負荷がさらに過重になるおそれがあり、最低基準を定める労働基準法のダブルスタンダードは早期に解消すべき」との御意見がありました。

また、使側委員からは、「割増賃金率の引き上げは、中小企業の経営に与える影響が大きく、『適用除外』とすべき」、「労働時間については、これまでも実態に合わせて柔軟に対応しており、ダブルスタンダードという批判は適当ではない」、「実態調査では、割増賃金率の引き上げには長時間労働を抑止する効果があるとは必ずしも言い切れない」、「特に運送業は手待ち時間が生じる等の事情がある。割増賃金率の引き上げは経営への打撃が大きい。業種別の事情に応じた対策が必要。建設業等では、人手不足により残業が生じている状況もあり、割増賃金率を引き上げても、長時間労働は抑制されない」との御意見がありました。

論点としましては、「月60時間超時間外労働の割増賃金率について、最低基準を定める労働基準法の性格、中小企業の経営や中小企業労働者の労働条件への影響、長時間労働抑制効果の観点から、見直すことについて、どう考えるか」、「その際、実態調査の結果や、これまでの審議を踏まえ、業種別の事情に応じた対応の必要性について、どう考えるか」とまとめてございます。

 次に、3ページ「代替休暇」についてでございます。

 労側委員からは、「実態調査の数字を見る限り、代替休暇制度については機能していない。まずは年次有給休暇の取得率が5割を下回っている現状を改善すべき」との御意見がありました。

使側委員からは、「相対的に労働時間が長い業種で利用されている。広まらない理由について議論をすべき」との御意見がありました。

論点としましては、「月60時間超の時間外労働を行った場合の代替休暇について、十分活用されていないことについてどう考えるか。更に活用を図るとすれば、要件・手続面で見直すべき点があるか」としております。

代替休暇制度を設けていない理由としては、※印の3つ目にございますように、「管理が煩雑」、「システム上、導入が困難」ということが挙げられているところでございます。

なお、※の4つ目、ドイツでは時間外労働分を貯蓄して、後日、労働時間や休暇で清算する仕組みの「労働時間貯蓄制度」というものが、法の枠内で労使合意により実務上行われている例もございます。

 次に、4ページ「(3)法定時間外労働の割増賃金率の水準」についてでございます。

労側委員からは、「月45時間超の時間外労働に係る努力義務について、実態調査の結果から見ても効果がない。時間外の割増賃金率25%を少なくとも均衡割増賃金率47.1%に見合う水準とすべき」、「法定割増賃金率は、時間外50%、休日100%とすべきだが、当面は時間外30%、月45時間超50%、休日50%への引き上げを早急に行うべき」、「韓国に比べて割増賃金率が低く、算定基礎も狭い」との御意見がありました。

使側委員からは、「均衡割増賃金率は、仮定を置いた数字であり、実務における実感から離れた数字である」、「EUのような総量規制と米国や韓国のような割増賃金率のいずれも求められるのは厳しい」、「算定基礎の範囲は今後も維持すべき」との御意見がありました。

論点としましては、「法定割増賃金率25%について、算定基礎も含めてどう考えるか」、「諸外国ではさまざまな枠組みがあり、一概に比較できないとの指摘もあるが、割増賃金そのものについてどう考えるか」とまとめさせていただいております。

 5ページは「(4)労働時間の量的上限規制、勤務間インターバル(休息)」についてでございます。

まず、量的上限規制につきましては、労側委員から、「限度基準は強制力に欠けており、上限規制を行うことにより、時間外労働に歯止めをかけるべき」、「実態調査の36協定の締結状況等を踏まえれば、36協定を締結しない、あるいは協定内容を超える時間外労働をさせた場合の罰則を強化すべき」、「保険的性格という側面もあろうが、実態調査では協定の延長時間が長いほど時間外労働の実績も長いという結果が出ている。協定の延長時間を長く設定すると、長時間労働を許容する意識へとつながり、時間外労働も長くなることがある」との御意見がありました。

使側委員からは、「上限規制やインターバル規制といった一律の規制は現場になじまず、事業活動の停滞や雇用機会の喪失を招きかねない」、「実態調査を見ると、特別条項付36協定の延長時間は、時間外労働の実績と比べて相当長目に設定されている。生産や物流等の分野で予測困難さが増大している中で、保険的性格を実務上担保する必要がある」との御意見がありました。

論点としましては、「36協定の特別条項について、36協定で定める延長時間の基本的性格や強制力を持たせた場合の影響を踏まえ、法的上限規制を行うことについて、どう考えるか」、「特別条項付36協定の締結は『特別な事情が予想される場合』との原則の徹底や、協定上の延長時間を超えた場合の罰則強化について、どう考えるか」とまとめさせていただいております。

次に、勤務間インターバルでございます。

労側委員からは、「十分な休息時間を確保するため、EU諸国と同様に、24時間につき11時間の『勤務間インターバル』を導入すべき」、「労使協定によって11時間より短い時間数を定めることも、当分の間、認められるべき」、「管理監督者やみなし労働時間制対象者も対象とすべき」との御意見がありました。

使側委員からは、「上限規制やインターバル規制といった一律の規制は現場になじまず、事業活動の停滞や雇用機会の喪失を招きかねない」、「多くの企業では一定期間の中で労働時間を調整しており、勤務間インターバルのような1日単位での一律規制は現在の職場の実態に合っていない。まだまだ導入している企業も少ない。現状でも法的規制があるわけではなく、個別企業のニーズに応じて労使交渉に委ねられるべき」との御意見がありました。

 論点としましては、「我が国の商慣行や労務管理の実態、我が国で労使の自主的取組により運用している実例等を踏まえ、どう考えるか」とまとめさせていただいております。

 次に、7ページ「(5)年次有給休暇の取得促進」でございます。

 まず、労側委員からは、「年次有給休暇の取得状況は深刻な問題。使用者が労働者の時季指定権を阻害しない範囲で、労働者の意見も踏まえて時季を決めることを義務づける仕組みも前向きに検討すべき」との御意見がありました。

使側委員から、「年休の取得促進が重要である点は同感だが、一律の規制強化は現在の労使の取組を減じてしまう」、「日本は国際的に見て祝日が多い。年休について、労働者としてはとりにくく、使用者としても買い取ることもできず、与えにくい点の改善が必要」との御意見がありました。

論点としましては、「年次有給休暇の取得率が5割を下回る水準で推移し、年間取得日数も2桁に届かないことについて、我が国の国民の祝日の数も踏まえ、どう考えるか」、「使用者に、労働者の時季指定権を阻害しない一定範囲内で、労働者の意見も踏まえて時季指定を義務づけることについて、どう考えるか」とまとめさせていただいております。

また、年次有給休暇のその他の論点としまして、労側委員から、「『中断されない2労働週』の年休付与を求めるILO132号条約の批准に向けた環境整備を図るべき」、「現在、労働基準法の附則に規定されている年休取得者に対する不利益取扱いに関する規定を本則に位置づけることについて議論すべき」、「退職時の未消化分の年休の清算、各種目的休暇の新設について議論すべき」との御意見がありました。

使側委員から、「タクシー業界などにおける不利益取扱いの見直しの実務への影響を考えることが必要」との御意見がありましたので、こうした点について、どう考えるかを論点とさせていただいております。

8ページは「法定労働時間に関する特例事業場」についてです。

労側委員から、「実態調査では、特例措置対象事業場のおよそ8割が所定労働時間40時間以内であったことから、一律に原則である週40時間にすべき」との御意見がありました。

使側委員から、「週44時間に設定している特例措置対象事業場の割合は、平成17年度と平成25年度でほぼ変化がなく、求人等に不利であっても、変えることができない現実を考えるべき。まだ特例措置の存続と政策的支援が必要」との御意見がありました。

こうした点を踏まえどう考えるかを、論点とさせていただいております。

9ページから17ページまでは関係条文等の抜粋でございますので、説明は割愛をさせていただきます。

18ページの表をごらんいただきたいと思います。18ページの表は、特例措置対象事業場の所定労働時間の状況です。

特例事業場全体のうち、上の左のほうにある太字の数字「79.7%」が週所定労働時間40時間以下となっております。

一番上が「特例事業場計」の数字ですが、その下が業種別で、上から5つ目の「理美容業」については、40時間以下の事業場が45%、また、「43時間超〜44時間以下」が36.1%、「44時間」が31.9%となっております。

19ページは、週48時間制から40時間制への移行の変遷を色分けしてお示ししたものでございます。現在の状況は一番右の縦列でございまして、この中で黄色の欄が、現在、まだ44時間の特例措置対象となっている部分でございます。

続きまして、資料3に移らせていただきます。

資料3「参考資料」の1ページから7ページまでは、これまでも御紹介したデータの再掲でございます。最新の数字を入れられるところは入れて新しくしてございますので、御確認いただければと思います。

1ページが「年間総実労働時間の推移」でございます。

2ページが「週労働時間別雇用者等の推移」でございます。

3ページが、「週60時間以上雇用者割合」を男女別、年代別に示したもの、4ページが従業員規模別に示したものでございます。

5ページが週労働時間を詳細に分けて示したものでございます。

6ページは、業種別に示した週労働時間60時間以上の雇用者割合でございます。

7ページは職業別に示したものでございます。

8ページは、前回の御議論で委員から脳・心臓疾患の件数につきまして、適用される労働時間制別に示せるかどうかとの御質問がございました。確認したところ、データはございませんでしたので、管理的職業従事者を含めた職種別のデータを掲載してございます。

まず、左側の下のグラフをごらんいただきたいと思います。グラフが2つございますが、右側の「支給決定件数」のグラフをごらんいただきたいと思います。

平成24年度の支給決定件数の構成比は、職業大分類別では、高いところが黒い帯の「輸送・機械運転従事者」の25%となっております。

その次が一番上「専門的・技術的職業従事者」の18%、その次が上から4つ目「販売従事者」の12%となっております。

また、「管理的職業従事者」は、8%でございます。

このグラフの右側の括弧つきの数字は、各種の人数が雇用者総数に占める割合で、7ページのデータから計算したものでございます。例えば「輸送・機械運転従事者」では4%となっております。

次に、右側の表をごらんいただきたいと思います。こちらは職業中分類で、1段細かく示したもので、支給決定件数の多い順に並べてございます。真ん中の欄をごらんいただきたいと思いますが、上から「自動車運転従事者」、「営業職業従事者」、「販売商品従事者」等となっております。

9ページは、脳・心臓疾患の件数を年齢別に示したものです。

下のグラフの右側「支給決定件数」の平成24年度をごらんいただきたいと思います。件数が最も多いのが斜線の部分「5059歳」の35%、その次が白い部分「4049歳」の33%となっております。

次に、右側です。ここからは精神障害について同様のデータをまとめたものでございます。

まず、下のグラフの右側「支給決定件数」の24年度のところをごらんいただきますと、構成比が高いのが「専門的・技術的職業従事者」、「事務従事者」でございます。

10ページ、職業中分類では、「一般事務従事者」、「情報処理・通信技術者」、「商品販売従事者」、「自動車運転従事者」等の順となっております。

年齢別では、「3039歳」、「4049歳」がともに31%で、「2029歳」が22%となっております。

11ページと12ページは、既にお示ししている資料ですので、詳細は割愛させていただきますが、労働時間の量的上限規制の現状と、諸外国との比較表でございます。

13ページは、年次有給休暇の問題と労働時間の問題の関係につきまして、グラフにしたものでございます。グラフの左端の棒が週労働時間「40時間以下」、右に行くに従いまして労働時間が長くなってまいりますけれども、週当たり労働時間が長いほど年次有給休暇の取得率は低いという相関関係があらわれております。

14ページは、資料No.2で諸外国の法定祝日日数について言及がございましたので、既にお示ししている資料ですが、今回もおつけしております。この紙の一番下に各国の年間の法定祝日日数を載せております。

 最後に、15ページでございます。前々回の労働条件分科会におきまして、特別休暇制度の導入状況について御質問がございました。何らかの特別休暇制度のある企業は57.9%。また、各休暇の導入割合はごらんの数字となっております。

以上、簡単ではございますが、資料の説明とさせていただきます。

○岩村会長 ありがとうございました。

 今日の資料2は、前回と同様、これまでそれぞれのテーマについて、各側の委員から頂戴した意見をまとめるとともに、「今後の論点(案)」をお示しする内容になっております。前回もお願いしましたけれども、それぞれの点につきまして、各側でこの点を自分たちは出したのだけれども入っていないということがありましたら、そこを御指摘いただきたいと思います。また、「今後の論点」で案をお示ししておりますが、この点も論点として加えるべきだということがございましたら、それも御指摘をいただきたいと思います。

また、今日事務局から資料についても御説明いただいたところでございますので、それについての御質問なども頂戴できればと思います。

中身本体の議論はこれからということで整理させていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

それでは、御質問あるいは御意見などをいただければと思いますが、いかがでございましょうか。では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 今、分科会長から今後の進め方の御指示がございましたので、私のほうから、まず総論について、全体的な意見も重ねて申し上げたいと思っています。

今回のテーマ「長時間労働の抑制・過重労働対策」については、私どもとしては、今後の労働時間法制の検討に当たっては非常に重要なテーマと捉えております。そもそも労働時間というのは付加価値を生む源泉であるということは当然でありますが、同時に、労働を担っているのは生身の人間ですので、労働者の健康や、ワーク・ライフ・バランスの確保が重要な視点であると思っております。

特に近年の国際競争によって、イノベーションや創造性、クリエイティブな発想が重要になってくるということでありますので、そういったものを担保するためにも労働時間のあり方というのは重要ではないかと思っております。

特に今回、各論で幾つか論点をまとめていただいておりますが、私どもとしては、その中でも特に2ページの月60時間超の時間外労働に関する割増賃金率の中小企業への適用猶予の廃止と、5ページの労働時間の量的上限規制、勤務間インターバル規制の導入という3つの論点は重要な論点項目と考えておりまして、特に先ほど資料3でも詳細に分析されておりましたが、過労死のような過重労働に伴う労働災害がこれだけ出ている中で、長時間労働をどのように抑制するかということは、今後の労働時間法制の検討に当たっては最重要項目として位置づけるべきだと考えております。

先ほどの新聞記事では「残業代ゼロ」というような見出しも躍っておりましたが、今、過労死ゼロをどうやって目指すのかというところを検討の中心に据えていくべきだと思っておりますので、今後の検討においても、この点を中心に積極的に論議を展開してまいりたいと思っております。

以上です。

○岩村会長 ありがとうございます。

 では、鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 ありがとうございます。

 新谷委員から労側委員の総論的な御発言がありましたが、それを受けて御発言を申し上げたいと思います。

 私どもは、過労死に見舞われるという方が毎年いらっしゃるということについては真摯に受けとめ、過重労働対策というのは重要なテーマであるということの認識を共有しておるところでございます。その上で3点ほど申し上げたいと思います。

まず、過重労働防止対策については、総合的な政策が必要と考えておりまして、長時間労働のための対策を個別企業労使、それから国が打っていくということ、また、健康確保のための政策を打っていくこと、大きな2つの観点から対策をとっていくことが重要ではないかと思っております。

2点目です。労働時間というのはどうしても売り上げとリンクいたします。したがって、事業活動への影響に十分配慮した議論をすることが大切と思っております。

3点目です。若干重複いたしますけれども、特に長時間労働の見直しというのは、各個別企業の取り組みがあってこそ実現できると考えますが、各職場で実態とか背景が違っているわけでございまして、その打ち手も効果的な施策ということも個別企業によって違うということを改めて強調したいと思います。そういう意味では、この労働時間政策を考える上で、個別企業労使の取組を支援する、バックアップするという視点を重視した議論をしてまいりたいと思っております。

以上でございます。

○岩村会長 ありがとうございます。

では、池田委員、どうぞ。

○池田委員 先ほど2ページの月60時間超の所定外労働の問題でお話が出ましたが、たまたまこのデータのように長時間労働の実態は業種や職種によって差がある、特に運輸業が問題になっているということでありますけれども、今年の2月に商工会議所が23区の中小企業の経営者から各業界、各企業が抱えている問題について意見交換を行いました。先回も労側委員から出ておりますが、中小企業、特に運送業の経営者の皆さんから深刻な業界の実情に関する声が寄せられましたので、少し紹介をさせていただきたいと思います。

 中小運送業の経営者の方は皆さんからは、異口同音にドライバーが高齢化している一方で、若手が業界に入ってこないということで、近い将来、人手不足がますます深刻になるであろうという声があがっています。

また、荷積み・荷おろしの待機時間が長く、その結果、長時間労働につながりやすい。

燃料費の上昇、高速料金の値上げに加えて、荷主からのコスト削減要請が強くて、人件費をふやせない。そのためにますます人が採用できない。

さらに都心では駐車場が足りない中で、駐車違反の取り締まりも厳しくなっており、1回の駐車違反の反則金で利益が吹っ飛んでしまう。そのため、1台に2人配置しており、ますます人件費がかさんでしまうといった切実な声が挙がっております。

このような個々の業界の実態を見ますと、単に時間外労働の割増率を上げれば長時間労働の抑制につながるということは到底考えられず、このことは運送業に限った話ではないということであります。

繰り返しになりますが、長時間労働の抑制のためには、業種別の実情を十分把握した上で、個別に対策を講じることが必要であるということで、昨今、実情ヒアリングをいたしましたので、御披露させていただきました。

○岩村会長 貴重なお話をありがとうございます。

 ほかにはいかがでございましょうか。では、小林委員、どうぞ。

○小林委員 同様に今の割増賃金率の引き上げの件なのですけれども、以前にも申し上げたのですが、池田委員が運送業を例に取り上げましたが、運送業に限った話ではなくて、建設業とかITの関係の産業とかも似たような状況にあるということを申し上げたいと思います。

 調査の結果でも、労側委員の主張とはちょっと違うのですけれども、割増賃金率の引き上げが長時間労働の抑制につながらないというようなデータもあります。このようなことを考えると、適用猶予というのではなくて、恒久的な措置をお願いしたいということです。

運送業、建設業、IT産業、そういう業種別、職種別の特性というのを個別の企業だけで対応するということは到底無理な状況でして、なおかつこれを労働規制で解決するというのもちょっと違うのではないか。社会全体で商取引とか商慣行とかいう側面から解決していかないと、この労働問題を含めて解決できない問題があるということだけは申し上げておきたいと思います。

○岩村会長 ありがとうございます。

 では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 今の池田委員と小林委員の御発言は共感する部分が多いと思います。特に自動車運転者の方については、労働規制でできる部分と、国土交通省を含めていろいろな規制がかかっている部分、これは商慣行、あるいは安全衛生、荷主と荷受人との関係であるとかいうことも含めて、トータルな対策を打たなければならないと思います。

先ほど説明いただいた資料3の8ページにありますように、脳・心臓疾患の支給決定件数のうち、4人に1人が運送に従事される運転者の方となっています。雇用者に占める総数が4%しかないのに、労災の支給決定件数が25%も占めるという、異常に突出している状況にあるわけです。今、自動車運転者については、時間外労働の限度基準の適用除外にもなっていて、ここは本当に労働行政部分も、国交省を含めての業界対策も遅れています。しかし、今、池田委員がおっしゃったような現実もありますので、毎年、過労死で亡くなる運転者の方が非常に多いという実態を捉えて、トータルで対策を打たないといけないのではないかと思います。

今の実態がこうだから何もできないということではなくて、どうするかが重要というのは、両委員ともその認識は同じだと思いますし、私も特に重要な点だと思っております。

以上です。

○岩村会長 では、鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 ありがとうございます。

 長時間労働の防止ということにちょっと触れさせていただきますと、先ほど職場ごとに有効な打ち手が違うということを申し上げましたけれども、打ち手が違う以上は、当然職場ごとに話し合うことが必要だということが前提になろうかと思います。しかしながら、労働時間等の課題について労使が話し合いをする場を設けている割合は、2012年に約6割で、逆を申し上げますと、まだ4割のところが話し合いの場を持てていないという状況にございますので、こうした状況の解決も課題と考えます。

 なお、資料3の8ページで御指摘をいただきました「輸送・機械運転従事者」が雇用者割合に比べて支給決定件数が多いというのは事実でございますが、就業構造基本調査によりますと、40歳以上雇用者割合が最も高い職業というのが「管理的職業従事者」で、次いで「輸送・機械運転従事者」でありまして、高齢化が進んでいる職業であるということは言えると思います。

これは誤解のないようお願いしたいのですが、過労死と長時間労働の関連性を否定する趣旨で申し上げるわけではなく、長時間労働の見直しの取り組みもさることながら、健康確保のための取り組みもあわせて行うことが重要と考えます。

平成24年の労働者健康状況調査によりますと、面接指導制度を実施した事業場のうち約8割が時間外労働の制限とか、あるいは仕事内容の変更、深夜業の回数変更など、いわゆる事後措置を実施しているということで、健康確保措置に一定の効果があるというふうに言えると思いますが、面接指導制度の認知度については、制度を知らない事業所が約4割ということで、まだ周知が十分ではないと思っているところでございます。

以上でございます。

○岩村会長 ありがとうございます。

 今の過労死についての御発言のところは、御注意はされていますけれども、やはり誤解を招く可能性が非常に高いと思います。現在の急性脳・心臓疾患の認定基準というのは、加齢に伴う基礎疾患というものがあり得るということを前提としつつ、にもかかわらず業務上と言える場合はどういう場合かということでつくられています。したがって、確かに4059歳の年齢層のところが脳・心臓疾患については多いのですけれども、こうした加齢に伴う基礎疾患の増加というのがあり得るとしても、なおそれにまさる業務上の要因があるということで、業務上だというふうに認定しているということでありますので、そこのところは非常に気をつけて理解しておく必要があるだろうと思います。

他方で、今日の資料の中でも紹介がありましたが、精神障害について見ると年齢層は随分違ってくるわけであります。ですから、一概に年齢が業務上の脳・心臓疾患あるいは精神障害の発症に結びついているということではないと私としては思います。

ほかにはいかがでしょうか。では、宮本委員。

○宮本委員 ありがとうございます。

 中小企業に対する適用猶予の問題について申し上げます。先ほど新谷委員、小林委員、その前の鈴木委員より、長時間労働の抑制については総合的に議論していかなければならないというご発言があり、これはそのとおりだと思っています。

しかし一方で、既に中小企業に適用猶予されている60時間超の問題は、既に3年を超しておりまして、労働基準法という法律の性格、あるいは公正競争のルールの確保という観点から見ても、企業規模あるいは業種という違いで労働基準法で定める労働条件の最低基準に差をつけるということについては早期に解消すべきだと思いますので、適用猶予の部分については速やかに廃止をするという議論をぜひ進めてもらいたいと思います。

したがって、2ページの論点(案)の前半部分については、書かれている観点で議論を尽くすべきであり、後半部分に書かれている「業種別の事情に応じた対応の必要性」という部分についても、軽視はしませんけれども、ぜひ前半部分の論点を十分進めていただきたいと思っております。

以上です。

○岩村会長 ありがとうございます。

 その他、3ページ以降、代替休暇、割増賃金率の問題、量的上限規制、勤務間インターバル等、まだほかにも論点がございますが、そちらについてはいかがでございましょうか。では、鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 ありがとうございます。

代替休暇について申し述べさせていただきたいと思います。資料2の3ページでございます。個別企業労使の長時間労働の見直しの取組はさまざまあるところでございますが、めり張りをつけるために、働いたら休むというアプローチがあって、企業の取組の選択肢をふやすという観点から、代替休暇制度の見直しを検討することは有益だと思っております。

110回の会合におきまして新谷委員から代替休暇をとるには、月の時間外が60時間を超えて、さらに16時間の時間外が必要で、合計76時間に達しないと使えないのではないかという御趣旨から、制度上の問題点の御指摘がございました。

しかしながら、代替休暇の場合に、割増賃金と異なりまして、ちょっと言い方が悪いかもしれないですけれども、あと16時間働けば休みがもらえるから残業を続けようということは、通常考えないのではないか。また、結果として76時間に達した場合に代替休暇をとれば、単純に労働者の健康確保にプラスになろうかと思っております。

ただ、月の時間外、60時間を超えるというのが制度普及のネックになっていることは事実だと思っております。

そこで、時間外労働を1時間から積算して16時間で代替休暇を使えるようにすれば、月60時間超の割増率50%が適用されていない中小企業でも代替休暇制度を利用することが可能となり、多くの企業で健康確保にプラスの制度が広がっていくきっかけになるのではないかと思っております。

労働者の健康確保の観点からは、割増賃金より実際の休暇付与のほうが我が社の実態に合っていると考える、そういう企業もあろうかと思っております。

割増賃金による法律規制であるか、それとも代替休暇の付与規制であるかというのは、規制の手法の違いだけであって、最低基準を法律によって担保することには違いがない点は強調したいと思います。

また、比較的長時間の産業で代替休暇が使われているという事実は、長時間労働対策を検討するに当たって大きな示唆になると考えるところでありまして、対象となる時間外の範囲ですとか、代替休暇がとれる範囲の延長なども含め、幅広く検討していくことが必要ではないかと思っております。

以上でございます。

○岩村会長 ありがとうございます。

 新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 今、鈴木委員から御発言があって、私の前回の発言の引用もあったわけですけれども、60時間超えで代替休暇がとれるのは16時間加算したときというのは、取れる休暇は4時間分しか、半日分しかとれないのです。8時間フルに休暇をとるためにはさらに16時間必要ということになりますので、トータルで92時間以上働かないと1日分の代替休暇がとれない設計になっていると思います。

そういった意味でいくと、代替休暇は、もともと制度の設計上、長時間労働と引きかえに休暇がとれるという仕組みになっていますので、制度的な面からいってもかなり問題があるのではないかと思う次第です。

その一方で、先ほどの御発言にもありましたが、もともと年次有給休暇の取得すら進んでいない中で、18.6日付与されているのに、47%、取得が5割を切った状態で休暇がとれておらず、また、参考資料の13頁にもありますように、週の労働時間との関係で見ても、忙しい人ほど休暇がとれていないという状況を見れば、幾ら代替休暇の制度をつくったとしても、現実にとれないものを与えても仕方ないのではないかという現実論の課題もあるわけでしすので、そういった面からの検討も必要ではないかと思います。

以上です。

○岩村会長 ありがとうございます。

 今、代替休暇のお話をいただきましたが、それ以降、割増賃金率の水準等についてはいかがでございましょうか。では、秋田委員、どうぞ。

○秋田委員 割増賃金率のほうではないのですが、精神疾患の関連で決定件数等のデータを出していただきまして、ありがとうございました。

考えて見ますと、今、社会的にかなりストレスが強くなって来ております。全体的な精神疾患患者数というのもかなり増大しております。厚生労働省等の調査で見ますと、1999年には204万人、2011年には320万人に増大しております。そもそもの精神疾患というのがかなり増大している中で考えますと、仕事面でもそうですが、家庭面あるいは社会面でさまざまなストレスがかなり増大しているという背景があるということが考えられます。それらの要素を正していく、そういったものについて全体的に対策を打つことも重要であろうと思います。

以上です。

○岩村会長 ありがとうございます。

 これも非常に誤解を招きやすいのですが、秋田委員がおっしゃるように、確かに精神疾患そのものが一般的に見て増加傾向にあるということはおっしゃるとおりだと思います。ただ、精神障害についての業務上外認定という話になると、精神疾患そのものがふえているという中で、あくまでも業務との関係があるものを拾い出して認定しているということでございます。つまり、一般的に精神疾患がふえているということと業務上外認定の問題というのは切り離して考えていかないと、非常に誤解を招くと思いますので、その点だけ私のほうでコメントさせていただきたいと思います。

 それでは、八野委員、お願いします。

○八野委員 先ほどから続いた使用者側の御意見については、今、分科会長に言っていただきましたように、我々の中で長時間労働というものがかなり大きく起因しているという認識もこの場でしておく必要があるのではないかということを前提として申し上げておきたいと思います。

 冒頭で新谷委員が発言したように、労側委員が重視している規制として、労働時間の量的上限規制というものがあります。

先ほどいろいろな業種・業態でというお話がありましたが、これについてはいわゆる業種・業態での産業政策的な課題も大きく含まれているということを前提とした上で、ただ、一般的な労働者にとって、ここで出ている過労死の問題やさまざまな長時間労働ということが、ワーク・ライフ・バランス等にも障害を与えていることは事実だと認識をしています。

今までも労使で努力をしていなかったというわけではなく、自主的な努力をしながら進めてきているわけですが、現状、今回の分科会で出していただいているさまざまなデータの中でも、長時間労働が是正されていないという結果が出ているということも事実だと思います。

そういう意味で、さらなる改善を図るために、「今後の論点」のところにも記載されておりますが、上限規制というものの強化をしていく必要があるだろうと思います。

今、規制改革会議等でも労働時間の上限規制についての課題認識も出ているということ等も含めた中で、健康確保措置の視点から長時間労働に対する施策としての量的規制ということについて、この場で真剣に、または積極的に労側委員としては議論を進めていきたいと考えております。

以上です。

○岩村会長 ありがとうございます。

 量的規制などについてもお話が出ておりますが、そのほか、いかがでしょうか。年休の取得促進、法定時間の特例事業場といったものもありますけれども。では、春木委員、どうぞ。

○春木委員 ありがとうございます。

 年次有給休暇の取得促進について若干御意見を申し上げたいと思います。年次有給休暇の取得促進については、当分科会においても取得促進に向けた取組、何らかの対策が重要だということについての認識は共有だと思います。

 その背景には、取得率が5割を下回るような状況が10年以上も続いているという状況なり、今日の参考資料の13ページを見て驚いたのですけれども、週当たりの労働時間が長ければ長いほど取得率が悪いということ、さらには60時間以上で見てみると、年休取得率ゼロというのが3割近くもあるという驚くべき数字にあることがあります。こういった状況を見れば、取得促進の対策についてはこの場でも積極的に論議が必要であると思います。

また、同時に、休日なり休暇をどのようにしっかりと休むのかという観点も重要なのだろうと思っています。

したがいまして、休日・休暇の取得促進策については、単に年次有給休暇だけを捉えるのでなくて、労働者の疲労回復・健康確保、ワーク・ライフ・バランスの充実を図るといった観点から、幅広い論議も行うことが重要ではないかということについて申し上げておきたいと思っています。

○岩村会長 ありがとうございました。

 年休の促進の話も出ましたが、ほかの論点についてはいかがでございましょうか。では、宮地委員、どうぞ。

○宮地委員 年次有給休暇の取得促進に関して意見を申し上げさせていただきたいと思います。

 年次有給休暇取得促進のためには、引き続き労使で工夫して取組を続けるということがとても重要であるという実感を抱いております。

取組についての一例を挙げさせていただきますと、定休日がほとんどない百貨店業界におきましては、年次有給休暇の計画的取得の制度を取り入れている企業が大半です。年次有給休暇の計画的取得制度の具体的取組は、有給休暇と休日を組み合わせて計画的に連続して休暇を取得する連続休暇制度の設置や、個人のイベント日に有給休暇を取得するイベント休暇制度の設置などがあります。これによって、年次有給休暇は取得しにくいという心理的一面が軽減され、有給休暇の取得促進につながっていると実感しております。

○岩村会長 ありがとうございます。

 ほかの論点についてはいかがでしょうか。では、池田委員、どうぞ。

○池田委員 質問なのですけれども、参考資料の15ページのところに特別休暇制度のある企業が57.9%とありますが、これは年次有給休暇とは別の特別休暇ですね。そうすると、私は、特別休暇制度のある企業というのは、年次有給休暇の取得率が良いのではないかという感じがするのですが、この辺のデータというのは調べられたらどうかなと思うのです。恐らく年次有給休暇をちゃんととった上に、こういう特別休暇制度をとっている会社というのは結構多いのではないかと思うのですけれども、年次有給休暇をとれないところというのは、特別休暇という制度があまりないところが多いのかなという感じがするのです。

特別休暇制度の中でも、特に病気の休暇とボランティアなどというのは無給がすごく多い。病気をしても無給のところが45%もありますから、こういうところは有給休暇を有効に利用されているのかなという観点も調べられて。

ボランティアというのは、無給が33%となっていますが、これから特にオリンピックなどもありますから相当なボランティアが必要な時期になってくるのです。ですから、大企業を含めて、ボランティア休暇をそういう国家的事業のときに有給でとれるような方法論を考えていく。それと年次有給休暇をどう有効に使っていくかとか、その辺の観点でやっていくと、年次有給休暇の取得率が少しよくなるのではないかという感じがしています。

もう一つ質問なのですけれども、資料2の7ページにILOの批准の問題が出ていますが、批准をしている国というのはどれぐらいあるのかわかりませんが、これから特区の問題が出てきたときに、外国人の労働者を受け入れたりする場合に、ILOの批准をしていないことが1つの障害になるのでしょうか。また、特区においてはこういうものはある程度問題ないということなのでしょうか。日本が批准していないのは、ほかにそれなりの休暇なり法定祝日が多いということもあるのではないかと思うのですが、批准を急がなければならない理由、それからほかの国と比べてどうなのか。特区における批准の重要さというもの、その辺はどうなのでしょうか。

○岩村会長 では、事務局からお答えをお願いします。

○村山労働条件政策課長 2点の御質問がありました。2点目は労側委員から後で補足があるのかもしれませんが、事実関係等について御説明します。

まず、参考資料の15ページの調査は、いわゆる制度調査として、企業において制度が導入されているかどうかについての調査結果です。年次有給休暇は、法律上、一定の要件を満たす労働者には必ず付与されるものですが、一方で、これらの制度を導入しているかどうかと、どの程度消化されているかということは直結しない面があることを御留意いただければと思います。

その上で、池田委員から前回ボランティア休暇の導入比率に関する御質問も頂戴して、本日こういう資料をお示しした経緯であるわけですが、先ほどの御趣旨は、たいへん前向きな形で年次有給休暇の効果的な取得促進と、一方で、まだ取得できていない部分の積極的利用、あるいは特別休暇制度を導入している企業の実態としてどの程度利活用されているかとの関係なども含めて、より深めていくべきという御示唆だと思います。この調査自体は制度が入っているかどうかの調査で、取得状況がどこまでわかるのかという点はあるのですけれども、既存のほかの統計などもありますので、問題関心にかなったような形で、年次有給休暇と特別休暇制度を導入している企業ですと、労使の取組も年休の取得も進んでいて好循環になっているのか、あるいは必ずしもそうでない面もあるのか等も含めて、少し宿題にさせていただければありがたいと考えております。それが1点目です。

2点目、ILO132号条約に関しては、7ページにもございますように、労側委員からの御提起があったので、それを示しているという経過ですが、先ほど池田委員から御質問がありました国家戦略特別区域の議論とILO条約の批准との関係が直結するものでは必ずしもないと思っております。労側委員からの御指摘も、そもそも年次有給休暇は、制度趣旨として連続して心身を休めるためのものという条約趣旨からの御指摘だったと記憶しているところでございます。

さらに御質問があればと思いますし、労側委員から補足があればと思います。

○岩村会長 では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 今、池田委員から、私どもの発言内容について御質問をいただきました。ILOは重要な国際機関だと私どもも考えていますし、それは労側委員も使側委員も同じだと思います。釈迦に説法ですけれども、1919年に創設された国際機関でありますし、今、加盟国はたしか185カ国だと思います。そういった意味でいくと、国連の専門機関、労働に関する唯一の国際機関であります。そこで採択された条約というのは、世界標準として、加盟国がその批准に向けて努力をする目標であると考えております。

ILOの条約は何本もありますが、残念ながら労働時間の1号条約をはじめ、我が国は労働時間に関する条約が1本も批准できていないという状況にあります。2020年のオリンピック開始に向けて日本は国際的に注目されることになりますが、では、労働についてはどうなのかというところを見ると、ILO132号条約については、今、ヨーロッパを中心に35カ国が批准をしておりまして、この条約に近づける努力、国内法の整備をいかに進めるのかということは、これから世界の各国からいろいろな人を迎えるに当たって、我が国の立ち位置というのを明確にする意味でも重要だと思っております。

この条約は、「3労働週」と書いてあるのですけれども、もともと年次有給休暇の発生における勤続期間の要件が6カ月からスタートしているのです。我が国は、もともと労基法では勤続要件は1年からのスタートだったのですが、たしか94年の改正で1年を半年に短縮して、その部分では1つクリアできたのです。あと、日数の問題が大きな課題としてありますが、今、労基法は最低限の10日ということになっていますが、現実的な付与日数が18.6日となっており、もう既に2.5週付与されている現実もありますので、そういった現実を踏まえて、ILO132号条約に近づけていく努力をするべきではないかということを私どもとしては申し上げております。

以上です。

○岩村会長 ありがとうございます。

 ついでに申し上げますと、条約というのは批准しますと、法律よりは上ということを加えさせていただきたいと思います。

 それでは、鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 ILO132号条約の話が出ましたので、発言させていただきたいと思います。ILO条約について、批准に努めるというスタンスといいますか、姿勢というのは大変重要だと思っているところでございますが、我が国がこの条約を批准していない最大の理由は、2週間連続の年休取得ということを求めている点だと思っております。

我が国ではバカンスのような連続休暇の慣行がないということでありますとか、あるいは先ほど宮地委員からも少しお話がありましたとおり、実態として第三次産業を中心に営業時間を延長する傾向にあるということ、それから先ほど来労側委員の皆様からも御指摘がございます年休取得率がまだ5割近傍だというような実態を踏まえますと、連続の年休の義務化を図ることによって、労働者の自由な年休取得を妨げ、かえって年休取得率が下がるおそれがあるのではないか。そのことも十分考えないといけないのではないかと思っております。

また、連続休暇が強制されるということになりますと、どうしても事業の正常な運営を妨げるという可能性も考えざるを得ませんので、現時点では批准に向けた取組というのは相当程度ハードルが高いなという印象を持っているということを申し上げたいと思います。

以上です。

○岩村会長 ありがとうございます。

 ほかの点についてはいかがでございましょう。では、冨田委員、どうぞ。

○冨田委員 ありがとうございます。

 私のほうからも年休の取得率について発言いたします。「今後の論点案」の1つ目の○を見ると、年休の取得率が5割を割っている水準の中で、「年休の取得率・取得日数が低位であることを、我が国の国民の祝日の数も踏まえてどう考えるか」と記載されています。しかし、もともと年休は労働者の健康確保の観点から権利として認められているものであり、その権利行使が十分に行えていないという問題と、祝日日数の多寡の問題というのは余り関連性がないのではないかと考えます。

 したがいまして、年休の取得促進策を検討していくに当たって、国民の祝日の数の問題を考慮していくということについては、労側委員としては非常に疑問があって、必要ないのではないかということを意見として申し述べさせていただきます。

○岩村会長 ありがとうございます。

 そのほかいかがでございましょうか。

 ひととおり御意見は頂戴したということでよろしゅうございましょうか。では、山川委員、どうぞ。

○山川委員 ちょっと早目に出ないといけないものですから、質問と、あと、資料がもしありましたら、事務局への要望ということになります。

 今日、規制内容に関する論点のほかに、場合によって独立して考えられることがどういう取組を進めるかといった幅広のお話で、先ほど宮地委員、鈴木委員等から、労使も含めて職場での話し合いというお話がありまして、4割は話し合いの場がないという御指摘もありましたので、今後で結構ですけれども、もしそのあたりのデータがありましたら御紹介いただければと思います。

もう一点は、職場内の話し合いのほかに、規制手法を考えるに当たって、外部労働市場というものをどう考慮するかということも、次元が異なる論点としてあると思いますが、その点で、新聞等で見た記憶がある程度なのですが、若者応援企業ということで、一定の情報を労働市場において開示するような取組をする、しないというようなお話を昔、聞いたような感じがするので、その辺について情報があれば、お教えいただきたいということであります。

○岩村会長 では、事務局のほうから今、わかる範囲で結構ですので、お願いします。

○村山労働条件政策課長 1点目の数字は、先ほど御指摘のあった数字でございますが、以前は毎年データをとる体制になかったのですが、政労使で行っておりますワーク・ライフ・バランス憲章に関する取組として、労働時間についての話し合いの場設置率を100%に持っていこうという目標が掲げられ、それを毎年リボルビングするPDCAサイクルでチェックするために毎年一定のアンケート調査を行うようになっております。

その最新のデータが先ほど御紹介のあった数字で、これまでの経年の状況ですとか、その目標の性格、あるいはまたどこが課題になっているか等につきましては宿題とさせていただき、今後このテーマを議論するときに御紹介を申し上げたいと思っております。

2点目の若者応援企業、あるいはそもそも求人票自体のあり方も含めてでございますが、これの所管は職業安定局、分科会で言えば職業安定分科会でございますが、先生から御指摘のあったような御意見も踏まえ、また、労使、特に使用者側、求人者側の御協力も得ながら、一定の希望される企業の情報を積極的に開示する仕組みが現在広まっているところでございます。少し省内で連携をとらせていただいて、どのような形で各側に御説明を申し上げるか、よく検討してまいりたいと思います。

2点とも重要な御指摘だと思いますので、預からせていただきたいと思います。

○岩村会長 ありがとうございました。

では、田中委員、どうぞ。

○田中委員 ありがとうございます。

 先ほど宮本委員からの御指摘にもありました今回の13ページの資料の労働時間と年休取得の関係について、7ページの資料の職業別のくくりで、年休の取得率というのはわかるものなのでしょうか。

なぜこういうことを申し上げるかと申しますと、確かに全体的に60時間超の非常に労働時間の長い方と年休の取得率というのは相関性があるのだと思うのですが、一方で、法律で上限規制あるいは年休の取得促進について法的な規制をかけた場合、法律は全ての職種、全ての雇用者に関して係ってくることになります。したがって慎重に職種別の傾向とか打つべき有効な手が何かを見きわめつつ、議論すべきではないかと考えておりまして、もし長時間労働の方と年休取得率に明確な関係性があり、その中の業種別、あるいは職種別の関係性が明らかになれば一律の法的手段だけではなく、個別に有効な手だてがないか議論することもできるのではないかと思います。いろんな議論の選択肢をふやして、結果として年休取得率を上げ、長時間労働を減らすというのが労側委員の先生方も我々も目指している方向だと思いますので、論点をクリアにするためにも、そういった資料があれば、御議論させていただければと思います。もしかしたら過去にあったような記憶もあるのですが、すみません、よろしくお願いします。

○岩村会長 事務局、いかがでしょうか。

○村山労働条件政策課長 データの存否自体についてのみお答え申し上げて、また工夫した上で、資料は後日お示ししたいと思います。

今、田中委員からもお話しいただきましたように、年次有給休暇に関しましては、大分類では既にこの分科会にも業種別ではお示しをしているところです。一番高かったところは、電気、ガスとか水道の供給等の産業で、一番低かったのが宿泊等の産業だったかと記憶しております。

同じような調査で職種別も大分類であれば示せるのですが、今、御指摘のありました7ページは就業構造基本調査で、5年に1回しか実施しないかなり精度の高い調査ですから、職業別でかなり詳細までデータが出てきます。この資料自体、以前、田中委員からここまでよく見ないといけない、慎重な議論が必要だとの御指摘でお示しした資料ですが、こうした中分類、小分類での年次有給休暇の産業別、職業別の取得率は、少なくとも今までの制度調査では出てこないと思います。どのような調査があるかを調べた上で、どのようなクロスの見方になるか。具体的には、長時間の個人別の労働時間を把握している調査と、年次有給休暇の細かい業種、職業を区分けした調査は、同じ調査でなくなるものですから、どのように整合的に見ていくかということも含めて、宿題とさせていただければありがたいと思います。

ただ、本日いろいろ御指摘がありましたように、産業や職業の実態に即した背景事情も含めて考え、それに対する支援策を考える上で貴重な御指摘だと思いますので、しっかり対応させていただきたいと思っています。

以上でございます。

○岩村会長 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 計画年休制度は、個別企業労使の実態を踏まえて、かなりワークしているところが多いということは、先ほど宮地委員からも御指摘があったところでございます。

 ただ、以前のこの分科会におきまして計画年休制度を導入している企業割合か、事業所割合か、失念をいたしましたが、ちょっと落ちているというようなデータがございました。これがなぜ落ちているのかについて、御教示いただけると議論のアイデアになるのではないかと思っております。御検討いただければ幸いです。

○岩村会長 では、事務局、お願いします。

○村山労働条件政策課長 御指摘のとおり、一時期は20%近傍まで行った比率が最近、15%近傍前後になっているのは、以前資料で御確認いただいたとおりでございます。

 1つには、これは答えになっていないかもしれませんが、産業構造の変化に伴って従来比較的導入されている企業が多かった産業のウエートが下がっている面もあろうかと思いますが、今の御示唆は、さらに踏み込んだ分析ということだと思いますので、どのようなものがあるか、よく勉強させていただきたいと思っております。

以上です。

○岩村会長 よろしゅうございますか。ありがとうございました。

 それでは、今日の議論はここまでにさせていただきたいと思います。

 次回以降は、前回と今回御議論いただきましたさまざまな論点について議論を深めていきたいと考えておりますが、先ほど冒頭でも申し上げましたように、本日の夕方に産業競争力会議が開催され、労働時間法制についても議題になると伺っております。ですので、次回以降の進め方につきましては、その状況も踏まえて検討させていただきたいと思います。

 それでは、事務局から次回の日程について御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○古瀬調査官 次回の労働条件分科会は、5月21日水曜日10時から12時を予定しております。場所は追って御連絡をさせていただきます。

○岩村会長 それでは、最後に議事録の署名でございますが、本日につきましては、労働者代表は春木委員に、使用者代表は田中委員にそれぞれお願いをしたいと思います。

これで閉会といたします。本日はお忙しい中ありがとうございました。

 


(了)

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