ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 情報化担当参事官室が実施する検討会等> 医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会> 第1回医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会議事録(2014年5月30日)




2014年5月30日 第1回医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会議事録

政策統括官付情報政策担当参事官室

○日時

平成26年5月30日(金)16:00~18:00


○場所

全日通霞が関ビル 8F 大会議室 B


○出席者

構成員

飯山幸雄構成員 石川広己構成員 大道道大構成員
大山永昭構成員 貝谷伸構成員 金子郁容座長
佐藤慶浩構成員 霜鳥一彦構成員 土屋文人構成員
冨山雅史構成員 馬袋秀男構成員 樋口範雄構成員
南砂構成員 森田朗構成員 山口育子構成員
山本隆一構成員

事務局

唐澤剛 (政策統括官)
山沖義和 (政策評価審議官)
鯨井佳則 (政策統括官付情報政策担当参事官)
大場寛之 (政策統括官付情報政策担当参事官室政策企画官)

○議題

(1)これまでの議論の経緯、研究会の進め方等について
(2)マイナンバー制度の概要及び施行準備状況並びにIT戦略本部マイナンバー等分科会の検討状況について
(3)IT戦略本部パーソナルデータに関する検討会の検討状況について
(4)意見交換

○配布資料

資料1 「医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会」開催要綱
資料2 「医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会」構成員名簿
資料3 医療等分野における番号制度の活用等について(これまでの議論の経緯、研究会の検討事項等)
資料4 「医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会」 進め方(案)
資料5 マイナンバー制度の概要とマイナンバー等分科会の検討状況(内閣官房説明資料)
資料6-1 パーソナルデータに関する検討会について(内閣官房説明資料)
資料6-2 別添資料:個人情報の保護と利活用のバランスに係る考え方~医療分野の個人情報を例に~(事務局案)(第9回パーソナルデータに関する検討会資料)
参考資料1 医療等分野における情報の利活用と保護のための環境整備のあり方に関する報告書(要旨)
参考資料2 「医療等分野における情報の利活用と保護のための環境整備のあり方に関する報告書」(平成24 年9月12 日「社会保障分野サブワーキンググループ」及び「医療機関等における個人情報保護のあり方に関する検討会」)

○議事

○鯨井参事官 それでは、第1回「医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会」を開催いたします。

座長が選任されるまでの間、事務局で進行を務めさせていただきます。

私は、情報政策担当参事官の鯨井と申します。よろしくお願いします。

まず初めに、唐澤政策統括官より本研究会の開催に当たっての御挨拶を申し上げます。

○唐澤統括官 政策統括官の唐澤でございます。

本日は、「医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会」に御参集いただきまして、ありがとうございます。先生方の多くの方々には、昨年の研究会に引き続き御参加をお願いしておりますし、また新たな先生にもさらに御参加をいただきまして、今後、この研究会の活発な御議論をお願いしたいと考えております。

御承知のように、昨年5月にマイナンバー法が成立いたしまして、現在、システムの設計、法令の作成、このような施行に向けた準備を政府一丸となって進めているところでございます。その中で医療や介護分野のICT化の推進につきましては、政府の成長戦略の一つとなっておりますし、医療の質の向上、効果的な政策の企画・立案、そしてイノベーションの推進というような観点からも、今後ますます重要性が増していくと考えられております。

こうした中で、医療等分野における番号制度の利活用につきましても期待が高まっておりますが、あわせて同時に個人にとって非常に重要な情報でもありますので、その適切な保護も求められているところでございます。

今回の研究会では、一昨年に開催した研究会におきまして詳細な仕組みや利用場面を具体的なわかりやすい形で提示し、その必要性を含め検討する必要があると御指摘をいただいておりますので、こうした点を踏まえまして、番号のユースケースや具体的な仕組み、費用と効果の考え方等について御議論をお願いしたいと考えております。

本日は、内閣官房のほうからも御参加いただきまして御議論を進めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○鯨井参事官 では、報道陣の皆様の頭撮りはここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

(報道関係者退室)

○鯨井参事官 本日は第1回ですので、まず、本研究会の開催要綱を御説明いたします。お手元の資料1をお開きください。資料1として、本研究会の開催要綱でございます。

1番目として開催の趣旨でございますが、先ほど統括官から御説明ありましたとおり、この医療等分野における番号制度の活用につきましては、2つの検討会の合同開催という形で、2年前、平成24年4月から検討してまいりました。24年9月に報告書がまとめられております。

この中では、特に医療等IDや中継DBにつきましては、関係者と調整しつつ、詳細な仕組みや利用場面を具体的なわかりやすい形で提示し、その必要性を含め検討する必要があるとされたところでございます。

一方で、社会保障・税番号制度については、いわゆるマイナンバー法というものが平成25年5月に成立したところでございます。現在、施行に向けて制度の詳細設計が行われているところであります。こうした状況を踏まえまして、番号制度のマイナンバー制度の具体的な制度設計等を踏まえながら、医療等分野における番号の必要性や具体的な利用場面について検討を行うというのが趣旨でございます。

検討事項につきましては3点ございまして、医療等分野における番号の具体的な利用場面、ユースケースの分析、それから当該番号を活用した情報連携基盤、前回の中継DBと言われるものなど情報連携に必要なシステム基盤についての議論。それから、これらの技術検証ですとか費用と効果について検討を進めたいと思っています。

研究会の位置づけとしましては、社会保障担当政策統括官による私的な研究会という位置づけでございます。庶務は、我々、情報政策担当参事官室で行うということでございます。

説明は以上でございます。

また、本研究会につきましては、原則公開とさせていただきます。

引き続きまして、お集まりいただきました委員の皆様の御紹介をさせていただきます。

なお、本日は新保構成員が御欠席、それから、山口構成員がおくれて出席と伺っております。

○大場企画官 それでは、資料2に本研究会の構成員の名簿がございますけれども、この順番に沿いまして御紹介させていただきたいと思います。

まず、国民健康保険中央会常務理事、飯山構成員でございます。

日本医師会常任理事、石川構成員でございます。

日本病院会副会長、大道構成員でございます。

東京工業大学像情報光学研究所教授、大山構成員でございます。

全国健康保険協会理事、貝谷構成員でございます。

慶應義塾大学政策・メディア研究科教授、金子構成員でございます。

日本ヒューレット・パッカード(株)個人情報保護対策室室長、佐藤構成員でございます。

健康保険組合連合会理事、霜鳥構成員でございます。

日本薬剤師会副会長、土屋構成員でございます。

日本歯科医師会常務理事、冨山構成員でございます。

『民間事業者の質を高める』全国介護事業者協議会特別理事、馬袋構成員でございます。

東京大学大学院法学政治学研究科教授、樋口構成員でございます。

読売新聞東京本社編集局総務、南構成員でございます。

国立社会保障・人口問題研究所長、森田構成員でございます。

東京大学大学院医学系研究科医療経営政策学講座特任准教授、山本構成員でございます。

以上でございます。

○鯨井参事官 では次に、座長の選任に入らせていただきます。本研究会の座長につきましては、構成員の互選により選出することとさせていただきたく存じます。

事務局といたしましては、金子構成員にお願いしたいと考えておりますが、いかがでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○鯨井参事官 特段の御異議はなきものと存じますので、本研究会の座長を金子構成員にお願いしたいと思います。

続いて、座長代理の選任をお願いしたいと思います。事務局といたしましては、山本構成員にお願いしたいと考えておりますが、いかがでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○鯨井参事官 では、特段の異議なきものと存じますので、本研究会の座長代理を山本構成員にお願いしたいと思います。

これからの議事進行については、金子座長にお願いさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○金子座長 座長に選ばれましたので、よろしくお願いします。山本先生、よろしくお願いいたします。

きょうは、ちょっと場所がわからなくなりまして、遅れまして大変申しわけなく思っております。2年前ですか、樋口先生と「サブワーキング」と「検討会」共同の座長をやりまして、医療ID等について議論したときには議論がすごく活発になりまして、なかなか収拾がつかなくなりそうな場面もありました。きょう遅れたのは、私が来る前に、皆さんで議論してあらかじめ結論出しておいてもらえるかなと思って来ました。冗談はともかく、早速始めさせていただきたいと思います。

前回の検討会で、ある程度の結論が出ました。今回は、それを踏まえてまた新しい状況に照らして活発に御議論いただいて、いい結論を得たいなと思っていますので、よろしくお願いします。

それでは、1つ目の議題であります「これまでの議論の経緯、研究会の進め方等について」入りたいと思いますので、事務局より資料3及び4について、まずは御説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○鯨井参事官 では、資料3をお開きください。資料3に基づきまして、これまでの議論の経緯と研究会の検討事項等について御説明したいと思います。

1枚おめくりいただきまして、1ページでございます。「これまでの経緯」のところにございますが、社会保障・税番号制度は、行政機関を主な情報連携対象としまして、社会保障・税・災害対策の3分野でまず利用するという、いわゆるスモールスタートを切って、そこから徐々に範囲を拡大していこうという方針で進められております。

医療機関を情報連携の対象とする医療等分野の番号制度につきましては別途検討とされておりまして、平成24年4月に検討会を設置しまして検討を進めまして、9月に報告書をまとめたところでございます。

右の絵にありますとおり、今のマイナンバー法は、税と、それから社会保障につきましては、年金とか生活保護など現金情報を主な対象としており、診療情報につきましては別途検討ということでございます。民間利用につきましては、これはマイナンバー法の附則に検討規定がございまして、法施行後3年を目途に検討を加えて、必要な場合に所要の措置を講ずるという構造になっているところでございます。

下の(参考)にございますが、2つの検討会による9月の報告書の要旨でございます。このときの結論としましては、マイナンバーとは異なる、医療等分野で使える番号と、安全で分散的な情報連携基盤を設ける必要があるということでございます。

一方で、マイナンバー法に基づくインフラは、二重投資を避ける観点から、できる限り共用化しようということでございます。

ただ、残された論点は多くて、特に医療等IDと中継DBについては、関係者と調整しながら、詳細な仕組みや利用場面を具体的なわかりやすい形で早期に提示して、その必要性を含め検討する必要があるとされたところでございます。

2ページでございますが、こういった状況を踏まえまして今回の研究会を設けたいと思っております。1年半前の9月の報告書で、必要性を含め検討、それから、利用場面を示しながら検討ということで、この場では、まず社会保障・税番号制度の現在の制度設計の状況を踏まえながら、医療等分野における番号の必要性とか具体的な利用場面、ユースケース等について検討を行うということでございます。

検討事項につきましては、先ほど御説明したとおりでございます。

次に3ページでございます。番号制度の活用等についてでございますが、医療情報の番号制度、これは例えば医療介護のネットワーク、これは患者の情報を医療機関とか介護事業者で共有することによって、よりよい、質の高い医療介護を提供しようというネットワークを、これは全国規模で運用する場合とか、個人の医療健康情報を一元的・継続的に管理・活用していく場合とか、医学研究、特にコホート研究のようなものとか医療政策の推進などにおきまして重要な手段となり得るということが言われております。

さらに一方で、その前提としましては、1つはシステム環境の整備が必要でございます。マイナンバーの場合には、いわゆるLGWANとか霞が関WANと言われる行政機関同士とか地方自治体を結ぶネットワークが既にありますけれども、医療の場合にはそういったものはございませんので、医療情報を全国規模でやりとりできるようなシステム環境とかネットワーク環境をどうしていくのかということがございます。そのためにこういったネットワークの全国への普及展開とか医療機関ごとのシステム改修、整備を推進する必要があるということがございます。

それから、2点目に個人情報の保護でございまして、安心して情報を利活用する、特に番号をつけて情報を流通するということはこれまで以上に番号の流通範囲が拡大しますので、こういった個人情報のルール整備というものが重要になってくるということでございます。

3点目に国民理解が要るということで、番号を付した情報が全国規模でやりとりされますので、これに対する国民的な理解を得るということが必要になってきます。

このために、今後の対応としては、まず今のマイナンバー制度をしっかりと定着させる、それからネットワークの全国への展開、それから、個人情報保護法の見直しに向けた議論を進めるということが必要になってくると書いてあります。

次に4ページでございますが、ここでは日本再興戦略、いわゆる成長戦略の中でも番号制度についての記載がございます。医療情報の利活用の推進と番号制度の導入ということを書いています。この中では、ネットワークの普及とか、個人情報の利活用と保護するためのルール整備とか、そういった環境整備をまず行って、国民の理解を得た上で医療情報の番号制度の導入を図るという方針が記載されております。

それから、個人情報保護につきましては、1年半前の検討では医療個別法という議論もございましたけれども、当時は個人情報保護法の改正がないという前提で議論しましたが、現在、個人情報保護法の改正の議論というものが内閣官房で行われておりますので、これにつきましては後ほど別の資料で御説明いただきたいと思っております。

次に5ページ、医療分野の番号制度が効果を発揮するための条件整備についての考え方ということでございます。番号制度が有効に機能するためには幾つか条件が必要です。1つは、プライバシー保護とか個人情報の保護がしっかり図られて、安心して利用できるようなルールがあるということでございます。それから、番号を付した医療情報をやりとりできるシステム環境の整備。これらがあって、悉皆性と長期追跡性のある番号制度が医療の情報化の推進につながるという、これら3つを調和を図りながら進めていきたいと考えております。

これは特に費用対効果を考える上でも重要な視点でして、番号制度ができればすぐ情報化が進むということではありませんので、当然、ルール整備とかシステム環境の整備、これらも進めながら、6ページにあるような医療分野の情報化、こういった情報化が進展されるような効果を実現していきたいと考えているところでございます。

資料3の説明は以上でございます。

次に、資料4に基づきまして研究会の進め方について御説明したいと思います。第1回が本日、5月30日に開催しまして、研究会の趣旨、それから、マイナンバー制度の概要と施行準備状況、それから、パーソナルデータ検討会の検討状況について御説明したいと思います。

第2回は6月24日に予定しておりまして、ここでは有識者の方3名の方から御意見をいただきたいと思っております。番号と符号、いわゆる電子的符号につきまして、情報連携するときには、実際、マイナンバーではなくて電子的符号を用いますので、この符号の考え方について大山先生から御説明いただきたいと思います。それから、利活用方策につきましては森田先生と山本先生から御説明いただきたい。計3名の方から御説明いただいた上で意見交換したいと考えております。

第3回には、第2回の議論も踏まえまして、具体的な番号、符号の利活用のユースケースを例にしながら意見交換したいと思っています。あわせて、諸外国の状況を昨年度調査いたしました。これはイギリス、フランス、ドイツ等の医療の番号制度についての調査を行っていますので、その諸外国の状況についてもあわせて御説明したいと思います。

議論のイメージとしては、ユースケースとしてどんなものが考えられるのか、ユースケースの洗い出し。それから、安全性と利便性の観点からどういった情報連携の仕組みが想定できるのか。それから、マイナンバー制度によって構築されるシステムとの関係、二重投資を避ける観点からどういったインフラの活用ができるかという点。それから、必要なシステム環境として、国においてのシステム、医療機関のシステムにどんなものが必要かという議論。それから、費用と効果をどう考えるかという点について議論したいと思っています。

第4回は、第3回の議論をさらに深めるような議論をいただきまして、第5回以降で論点整理、中間まとめということで、年内には一定の方向性を出したいと思っております。

以上でございます。

○金子座長 ありがとうございました。

きょうのメニューを、今、鯨井さんのほうから簡単に御説明があったのですけれども、もう一度簡単におさらいしておきたいと思います。厚労省からのご説明の次に、マイナンバー制度について、内閣官房の方から簡単に御説明をいただきます。その後、別の内閣官房の方からパーソナルデータに関する検討会の検討状況について御説明いただきます。今の鯨井参事官の御説明、それから、続く内閣官房のお二人の御説明の後に、クエッション&アンサーというか、幾らか議論の時間を設けたいと思っております。それが終わりましたら、最後、多分時間がかなり残ると思いますので、フリーディスカッションというか、きょうの議題、また今後の議題について御議論いただければと思っております。ちょっと忙しいですけれども、しっかりと前提条件となるものを皆様方とシェアしつつ、ご議論をいただきたいと思います。

それでは、今の鯨井参事官の御説明について、何か御質問なり御意見なりございましたらここでお伺いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

それでは、霜鳥さん、お願いします。

○霜鳥構成員 資料要求になるかもしれないのですけれども、先ほどの平成26年5月の「番号制度の活用等について」という資料3の4ページに、番号制度の活用等があって、「JAPAN is BACK」の中に、「地域で行われている医療情報連携ネットワークの全国への普及・展開を進め」と書いてありますので、これからの議論の一つの素材として、地域で行われている医療情報連携ネットワークというのはどういうものか、私どももわからないので、今後のことで、もし資料提供いただければありがたいと思いますが、ちょっと要望でございます。

○金子座長 では、鯨井参事官、お願いします。

○鯨井参事官 全国のこのネットワークの状況につきましては、2年ほど前に内閣官房の調査もございますので、それを含めて資料をお渡ししたいと思います。

○金子座長 後で資料をいただけるということです。ほか、ございますか。

それでは、石川さん、お願いします。

○石川構成員 この後御説明いただけるのかもしれないのですけれども、ちょっとお聞きしたいのは、この議論と、それからパーソナルデータのところの延長で、これは6月に一つの中間的な結論が出るというお話を聞いております。その後、個人情報保護の法制化の問題だとかそういったものが進むということを聞いていますけれども、この我々の議論と具体的なユースケースを進めるに当たって、そこら辺の時間的なところはどのようになっているのでしょうか。

つまり、個人情報の新しい法律の枠組が出てきたところで、ユースケースも設定し直さなければいけなくなってくるわけですよ。ですから、そこら辺のところはどうお考えになっているのか、ちょっと教えていただきたいと思います。

○金子座長 今のは、大変重要な御質問ですね。では、鯨井さんのほうからお願いします。

○鯨井参事官 ありがとうございます。おっしゃるとおり、個人情報保護の法制、どうなるかというのは非常に重要な前提条件だと思いますので、後ほど御説明ございますが、現在、政府で、パーソナルデータ検討会というところで、まず法案の大綱をつくるということを6月中に行って、次期通常国会に個人情報保護法改正案を出すということでございますので、その検討状況も適宜踏まえながら、年内に結論を出しますが、ただ、当然、法案の状況を踏まえながら、ここでの議論を再度行うということだと思いますので、ある意味では留保条件をつけながら議論するということになるのかなと思っております。

○金子座長 その辺のタイミングが大変重要と思いますが、後でマイナンバーのほう、それからパーソナルデータの検討状況、これからのプロセスについて説明いただけると思いますので、その後で、また御質問ありましたら議論したいと思います。

今、この検討会ですごく大事なことをやっているのではないかと思います。共通番号制度についてはこれまでいろんなところでいろんな議論されてきましたが、はっきり言って、どうなるのがよいかよくわからないという感想があります。今、やっと関連の分野での議論が進んでいる。このタイミングでこの検討会をやることはいろんな意味で影響力が大きい、また期待も高いということでございます。今、霜鳥さん、それから石川構成員のほうから御質問になったようなことを十分にらみながら、ほかの検討会などの状況も踏まえながら我々のところでしっかりとやっていく。もちろん、ここで全部するのではなくて、ある程度同時多発的に進めながらということではないかと思います。

それでは、マイナンバーとパーソナルデータの検討状況の説明をいだいてから、また御議論いただけると思います。よろしいでしょうか。

それでは、まずマイナンバーについて、内閣官房の金崎参事官に資料5について御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○金崎参事官 それでは、資料5につきまして御説明させていただきます。

私、内閣官房でマイナンバーの担当をさせていただいております金崎と申します。よろしくお願いいたします。

まず1ページからは、昨年5月に成立いたしました、いわゆる社会保障・税番号制度、マイナンバー制度の概要について簡単にお示ししたものでございます。改めてでございますけれども、今回成立いたしました制度の概要を御説明させていただきます。

まず目的でありますけれども、社会保障の給付の効率・適正化、そして税負担の公平化、そういった効率性・透明性を高めながら、国民にとって利便性の高い公平・公正な社会を実現する。そのためのインフラとして、このマイナンバー制度を活用していくという趣旨で成立したものでございます。

今回、個人に対しては個人番号、そして法人に対しては法人番号という、いずれも唯一無二の番号が指定されます。まず個人番号についてでございますが、これは市町村長が住民票コードから変換して得られる個人番号、これは12桁でございます。12桁を指定して、ここの個人に対して通知カードというカードで通知するということになってございます。

さらに、この個人番号を付与された国民は、個人番号カードというものを申請で交付を受けることができます。この個人番号カードにつきましては顔写真が入ったものでございまして、申請により、これも市町村長が交付するということになってございます。

この個人番号カードにつきましては、主にその番号が本人のものであるかどうかといういわゆる本人確認、そして番号確認のために利用、それを主目的としております。

一方、法人番号につきましては、国税庁長官が法人等に対しまして13桁の番号を指定して通知いたします。この法人番号につきましては、個人番号と違いまして、個人情報保護といった配慮の必要性がございませんことから、原則、公開されまして、民間での自由な利用が可能ということになってございます。

一方、この個人番号につきましては、個人情報保護の観点から、強い規制がこの制度の中でかけられております。すなわち、法定される場合を除いては、特定個人情報、いわゆる番号が入った個人情報の収集・保管というのは一切禁じられております。さらに、この番号つきの特定個人情報について、各行政機関がインフラを通じてやりとりができるという制度になるわけでありますけれども、自分の情報がどのようにやりとりされたかということをマイ・ポータルという新しいポータルサイトで各国民が自分で確認することができるという仕組みを導入いたします。

さらに、この個人番号の取り扱いを監視・監督する特定個人情報保護委員会という独立した行政委員会が既に設置されております。この独立した行政委員会が監視・監督を行いながら、強い権限でもって監督していくという仕組みになってございます。

さらに、特定個人情報ファイル、いわゆる番号つきの情報ファイルを保有しようとする行政機関は、その保有前に特定個人情報保護評価という自己評価の仕組みを義務づけられておりまして、一定の手続に基づいて自己評価することが前提となってございます。

なお、情報連携につきましては、現在それぞれの機関がそれぞれのさまざまな個人情報というものを保有しておりますけれども、複数の機関間において、この番号をキーといたしまして同一人の情報を紐付けし、相互に活用する。いわゆる同一人の情報の確認を行うことができるインフラを整備し、そのインフラでしか情報連携ができないという法律の建てつけになってございます。

なお、個人情報保護の観点から、この個人番号の利用分野につきましては、その1ページの下段にございます社会保障・税・災害の分野に限定された利用となってございます。さらに、社会保障の分野、税分野それぞれに、利用する際の、どのような事務について利用できるかということが限定列挙されてございまして、これ以外の分野で番号を利用することは一切禁止されるという状況でございます。

一番下でございますけれども、なお、この社会保障・税・防災に関する事務、それらに類する事務で各市町村が条例で定める事務につきましては、この利用分野に掲げる事務以外のものについても地方公共団体の判断で利用できるということになってございます。

次に2ページでございますけれども、個人番号カードにつきまして、このイメージを御説明したものでございます。個人番号カードにつきましては写真入りの番号カードということになりますけれども、券面に住所、氏名、生年月日、性別といったいわゆる基本4情報が記載されまして、裏面に個人番号というものが記載され、写真が載っていくというイメージでございます。詳細は今後定められる省令で決まっていくということでございます。

なお、ICチップが入っておりますけれども、このICチップの中にはここに書いてある程度の情報が入っていくということで、この中には大きな個人情報は入らないという前提でございます。

さらに、本人確認の措置において利用するのが主目的でありますけれども、各市町村の判断で、地域住民の利便性の向上に資するものとして条例で定める事務には利用することができるということになってございまして、市町村の判断でさまざまな行政カード、そういったものを兼用することができるということになってございます。

なお、この個人番号カードには公的個人認証の電子利用者証明書というものが標準装備される予定でございまして、この個人認証に利用していくということになります。

3ページでございます。3ページは、この番号制度に基づいて、現在、関係機関で整備を進めております情報連携の基盤についてのイメージを御説明したものでございます。今回、各地方公共団体、そして年金機構やハローワークなど、地方公共団体以外の国の機関それぞれ保有しております個人情報と、そして各個人から申し出を受けました個人番号、これを紐付けて管理していただくということになりますけれども、実際、この個人番号をキーにして情報のやりとりをすると、個人情報保護の観点から、漏洩等の危惧があるという懸念から、この個人番号そのものをキーとして情報のやりとりをするのではなく、各保有機関別に別の符号というものを用いまして情報の連携をするということになってございます。

この実例を申し上げますと、上の地方公共団体以外の機関、緑のところです。そして、下の地方公共団体それぞれで保有している同一人の情報、つまり、個人番号というのは同一の人の仮に個人番号が入ってきたとしても、その個人番号に対してそれぞれ、この機関別符号というものを情報に対して付与いたします。つまり、上の機関では同じ人の情報が機関別符号Aという符号で管理され、そして、下の地方公共団体では、同じ人の情報が機関別符号Bという全く別の符号で保有される。そして、実際の情報のやりとりをこの上下の機関でやるときには、コアシステムという黄色のところを通じてやるわけですけれども、この機関別符号をもって同一人の情報かどうかという確認をし、そして、その上で情報のやりとりを行うということにしてございます。

この結果、機関別符号A=機関別符号Bであるという情報を持つのはこのコアシステムのみということになりますので、個人番号をキーにして、各機関から同一人の情報が芋づる式に漏洩する可能性がなくなるということでございます。

一方、一番左側でありますけれども、先ほどの特定個人情報保護委員会、これがこの全体でやりとり、保有に関するところをチェック、監視・監督してまいります。

さらに、この情報のやりとりについては、一番上に個人の絵がありますけれども、この番号カードで認証した上でログインをする、いわゆるマイ・ポータルという機能が装備される予定でありまして、インターネットで自分の情報がどのようにやりとりされたかという情報のログを個人が監視することができるという仕組みになってございます。

次の4ページに、そのマイ・ポータルというもののイメージがございます。マイ・ポータルにつきましては、この番号法の附則で、施行後1年を目途として設置するということが決まってございます。その中で、今申し上げました自分の特定個人情報、番号つきの情報がいつ、誰によって情報提供、情報照会されたのかを確認する機能、これをメインの機能といたしまして、各行政機関が持っている自分の個人情報をこのポータルサイトを通じて自ら見ることができる自己情報の表示。

そして、プッシュ型サービスといいますのは、逆に行政機関からお一人お一人に対してお知らせ機能を表示する、こういうプッシュでメッセージを送っていく機能を装備するということになります。

あと、ワンストップサービスについてもこの機会に整備を進めるということに法律上されてございます。

次に5ページでございますけれども、このマイナンバー制度の全体のロードマップであります。昨年5月に法律が施行されまして、ことしの3月末にそれに基づく政令が整備されました。現在まだ省令については最終的な公布まで至ってございませんで、現在、最終的にこの夏までに省令を公布すべく、関係省庁等も含めて整備を進めているところでございます。

なお、法律上、平成28年1月から個人番号を利用開始するということが決まっております。さらに、平成28年の1月から2カ月前、つまり、来年の10月からは、各個人に対してそれぞれの番号が通知されるということ、これも決まってございます。

さらに、情報提供ネットワークシステムという情報をやりとりする情報基盤につきましては、平成29年の1月から国の機関同士の情報連携が開始されます。そして、平成29年7月からは、地方公共団体と国の機関、あるいは地方公共団体同士の情報連携というものを開始されるという、これも法律で決まってございまして、現在、そのスケジュールから逆算して、それぞれ設計開発等のシステム基盤整備を進めているところでございます。

なお、個人情報保護につきましての先ほどの特定個人情報保護委員会は、ことしの1月1日に設置され、いわゆる個人情報保護評価の指針も4月に公布されてございます。

なお、26年度については内閣官房で、そして今後は地方公共団体等も含めて番号制度に対する周知・広報を行っていく予定にしてございます。

6ページ以降は、「IT戦略におけるマイナンバー制度の位置づけ」について御説明したものでございます。昨年の6月に閣議決定されました「世界最先端IT国家創造宣言」におきましては、いわゆる番号制度の導入を見据えて、さまざまな利便性の高いオンラインサービスを提供するとともに効率的な行政運営を実現すること。そして、先ほど御説明いたしましたマイ・ポータルを活用した個人向けサービスの展開とともに、いわゆる行政のコンシェルジュサービスとも言える、一人一人のニーズにあわせた利便性の高いオンラインサービスを提供できるマイガバメントなるものを実現するということがうたわれてございます。

このマイガバメントにつきましては、番号法にも何らの記載はございませんで、具体的にどのようなものを指すのかということが全く決まってない状況でございましたので、IT総合戦略本部のもとにマイナンバー等分科会というものを設置して検討を進めてまいったところでございます。これが7ページでございます。

このIT総合戦略本部のもとにマイナンバー等分科会という分科会を設置いたしまして、これは金子先生に座長としておまとめいただいたものでございますが、ここにありますマイ・ポータル/マイガバメントの内容、そして個人番号カードの利活用の推進、さらには、マイナンバーの利用ニーズ・効果という、法律以外の今後の利活用方策ということについても議論を進めてきたところでございます。これが6月にとりまとめを行ったので、その内容を御説明させていただきます。

9ページでございます。このマイナンバー等分科会では、現在の成立した法律に書いてあること、いわゆる法律によってできることできないことにかかわらず、今後の普及と利活用を図るために、国・地方・民間が連携して取り組むべき事項としてとりまとめたものでございます。

今後目指すべき社会として、誰もが安心・安全にインターネットを利用できる基盤を持つ社会であるとか、誰もが必要な時に自分の情報にアクセスして利活用ができる、そういう社会であるとか、国・地方・民間のさまざまな手続・サービスがシームレスかつ効率的に連携し、電子的に完結できる社会を目指すべき社会として掲げてございます。

そして、大きく今回のマイナンバーの機能として、個人番号カードの活用によって得られること、そして、マイ・ポータル、マイガバメントというオンラインサービスとして提供することによって利便性の高い社会に貢献していけるということ、そして最後に、個人番号、法人番号の名寄せ突合、情報の確認といった、番号そのものの利活用によって得られる効果、そういう3つの観点から議論を進めてまいりました。

10ページをちょっとごらんいただきたいと思いますが、今回導入されます個人番号カードをさらに普及・利活用を拡大することによって利便性の高いものにしていくべきではないかという趣旨から、ここにございますように、例えば国民誰もが持つ健康保険証、あるいは印鑑登録のカード、こういったカード類をこの個人番号カードに統合することによってカードそのものの利便性を高めていくべきではないかと、そういうことを盛り込んでございます。

さらに、このカードを利用しまして、例えばコンビニでいろんな証明書がとれるようにするとか、そういうサービスが展開できるのではないか。あるいは、公的個人認証サービスの証明書が標準装備されますので、この電子証明書というものを利用して、官のみならず、民間のさまざまな手続にも利用拡大できるのではないかということ。そして、身近な公的身分証としての本人確認、そういったところの利用というのが当然あるのではないか。こういったことを中間報告の中に盛り込んでおります。

次に、11ページでありますけれども、マイ・ポータル/マイガバメントにつきましては、法律に書いてある情報提供等記録開示システム、いわゆる自分のログを見るマイ・ポータルを拡張して、暮らしにかかわる官民の利便性の高いオンラインサービスを提供する、そういうものをマイガバメントと称して展開すべきではないかという方向性のとりまとめをしております。

今回、その自己情報の閲覧、プッシュ型サービス、ワンストップサービスという3つのサービスは、既に展開されることが決まってございますけれども、さらに、今検討が進められているもの以外にも、例えば利用者の医療・健康・介護等に係る自己情報をわかりやすく、タイムリーに閲覧が可能になれば大変便利なサービスとして展開できるのではないか。あるいは、プッシュ型サービスにつきましては、子育てサービスの情報とか給付金等の資格通知、そういった特定の個人の方に対するサービス関係の情報を提供するのに利用できるのではないか。ワンストップサービスにつきましては、引っ越しや死亡、あるいは転居といった官民のいろんなところに手続をしなければいけないライフイベントに対して、これをワンストップで提供するようなサービス基盤をつくっていくべきではないか、こういったことを盛り込んでございます。

さらに、一番下でありますけれども、情報弱者、あるいは高齢者といった方々への利用というものに配慮した代理人による利用、こういったものの環境整備、あるいはパソコンのみならず、スマートフォンやCATVなど、その利用チャンネルや認証手段そのものを拡大していくべきではないかということも盛り込んでございます。

最後に12ページでありますけれども、個人番号、法人番号の現行法には限定的に使うということになっているわけでありますけれども、さらにその利用範囲の拡大といったことに言及してございます。

まず、個人番号については、この利用する事務についてシステム整備を行いますけれども、当然のことながら、業務、システム全体の見直しを進めながら、対面・書面の必要性そのものを見直していこうということを盛り込んでございます。

さらに、個人番号の利用範囲の拡大ということで、現行法で利用可能なマイナンバーの取組に近接し、公共性が高く、情報連携等によりさらなるメリットが期待される事務として5つの事務を掲げてございます。

1つは戸籍でありますけれども、戸籍は、現行法ではマイナンバーの利用範囲には入ってございません。この戸籍に付番することによって、先ほどのワンストップといったサービスの提供対象は格段に広がるのではないかということです。

2つ目は旅券でございまして、今、国外に出たときには、住民票がなくなった段階でマイナンバーの利用が停止されるということになってございまして、その旅券の中にマイナンバーを使うことによって、国外にいらっしゃる日本人に対してさまざまな行政サービスが利用可能になるのではないかということです。

3つ目は預貯金の付番でございまして、これは口座名義人の特定、現況確認に係る事務に利用するということで、マネーロンダリングでありますとか、あるいは破綻法制における確認、そういったことにも利用できるのではないかという議論です。

そして4つ目が医療・介護・健康情報の管理・連携等に係る事務ということで、こういう医療・介護関係の情報の管理・連携にマイナンバーを付与することによってさまざまな利便性向上、そして給付効率化が図られるのではないかという趣旨でございます。

そして5つ目が自動車の登録ということで、これは現に国交省で今議論が進められてございます。

こういったことについて、制度の趣旨、個人情報保護等に配慮しながら、利用範囲の拡大や制度基盤の活用を検討するということを盛り込んでございます。

なお、法人番号につきましては、ここにありますとおり、法人ポータルの構築や既存の番号等の連携拡大等を中間報告案の内容として盛り込んだところでございます。

以上、簡単でございますけれども、御説明させていただきました。

○金子座長 ありがとうございました。かなり複雑な要素を持っているシステムでございますけれども、今、概要をお話しいただきました。ここで少し時間をとりまして、今のマイナンバー等につきまして御質問などございましたら。

では、最初に富山構成員、お願いします。

○冨山構成員 マイ・ポータルについて伺いたい。マイナンバー等分科会の中間報告ということで、11ページを見ますと、いわゆる特定個人情報や医療・健康・介護等にかかわる自己情報を入れるという形になっているわけですが、具体的な項目については今後どこで検討するのか。マイナンバー等分科会の最終報告に盛り込むのか、今後の方向性をお教えいただきたい。

もう一点、かなりの情報がこのポータルサイトに入るわけですから、管理責任については今度の個人情報保護法の改正の中でも出てくるのかということ、2点をお教えいただきたいと思います。

○金崎参事官 今後の検討方向でありますけれども、マイナンバー等分科会自体は今後も継続的に全体の進捗管理なり検討を進めていく予定でございますが、具体的に、ではどのような制度的基盤で、どのような形でどのような情報を出していくのか、どうやって出していくのかという話は、やはり関係省庁、関係機関とさまざまな御議論を経て、しっかりとした検討をしてからでないとこれは進めることがなかなか難しいということでございますので、厚生労働省さんとも十分に連携しながら今後進めていくことになろうかと思います。これは全てにおいてそういう前提でございます。

個人情報保護との関係では、これはどういう制度で、どういう形で見せていくかということに大きくかかわってくる問題であると思いますので、そういう制度の詳細が明らかになるにつれて、その辺の課題についても同時並行で検討していくことになると思います。現時点ではまだその辺が全く未定でございますので、今後の検討課題ということになろうかと思います。

○金子座長 ちょっと一言。マイ・ポータルとマイガバメント、これは両方ともまだ仮称でございますけれども、その違いをもう一回ちょっとご説明したい。マイ・ポータルは自分で個人番号を入れてアクセスして、自分の番号が行政機関でどう使われたかということがわかるところで、そこは民間企業等がどんどんアクセスしてということは想定してないと思います。

一方、マイガバメントというのは、ちょっと名前が紛らわしいのですけれども、これは民間のポータルサイトのような、比較的何でも出てくるサイトです。そこいらのセキュリティとか個人番号の入力の可否とか、もう少し説明していただくといいのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○金崎参事官 4ページをもう一度お開きいただきたいのですが、座長からもお話ありましたとおり、マイ・ポータルもマイガバメントもいずれも仮称でございまして、今後、名前については再検討すべきということはこの分科会でも議論があったのですけれども、まず法律上書いてある情報提供等記録開示システム、これをマイ・ポータルと呼んでおりまして、ここでは大きく4つの機能が書かれてございまして、そのうち一番上の情報提供等記録表示というものは、これはやるというふうに法律で書いてございます。そのほかの3つについては検討するということになってございます。

この情報提供等記録表示というのは、今回のマイナンバー法で情報連携が可能になり、各機関同士が自分の情報をやりとりするという場面が出てくるわけでございますが、それぞれの機関がいつどこでどのような情報、自分の情報をやりとりしたのかというアクセスログのようなものを自分で見ることができるという機能でございます。これについては必ずやらなければいけないということになってございます。

そして、次の自己情報表示というのは、今回、自分の特定個人情報、いわゆる番号つきの情報をそれぞれの機関が持つことになりますけれども、そのそれぞれの機関が持っている自分の特定個人情報を自分が見ることができるという機能になります。例えば市役所で持っている自分の所得情報を自分がパソコン上で見ることができる、あるいは年金機構が持っている自分の年金情報を自分がパソコンで見ることができる、そういった各機関が持っている自分の情報を自分が確認することができるのが自己情報表示。

そして、プッシュ型サービスは、特定の方に対して、今度は行政機関からお知らせすることができる機能。そして、ワンストップサービスについては、いわゆる行政機関への手続を一括して済ませる機能ということで、これも検討対象ということになっています。いわゆるマイ・ポータルと言われるのはこの4つの機能に限定したものとして現時点では捉えられております。

一方、マイガバメントというのは、全く法律上も何ら決まってございませんで、官民の連携も視野に入れて、さまざまなポータルサイトで、行政手続、あるいは民間の手続というものをシームレスに提供する仕組みを検討するとなっているだけでございます。その中では、当然、マイガバメントを通じて自分のいろんな、行政機関が持っているもの以外の情報でもこれは対象になると思いますけれども、そういったものを見られればいいなとか、ひいては、民間との連携によって、例えば民間のバンキングサービスでありますとか、さまざまなサービスと連携ができればいいなとか、さまざまな議論が出てきたところでございますが、そういったものを一定程度整理させていただいたのが今回の中間報告ということになります。

以上でございます。

○金子座長 特定個人情報につきましては特定の行政機関のみがやりとりをするということで、マイガバメントのところでは、特定個人情報自体は扱わないということできっちりとセキュリティができていると考えてよろしいですか。

○金崎参事官 そうですね。特定個人情報は、先ほどのセキュリティ基盤、セキュリティのしっかりした情報連携基盤を通じてやりとりをするということになりますので、そこは大丈夫です。

○金子座長 ありがとうございました。ほか、いかがでしょうか。

では、石川構成員、お願いします。

○石川構成員 ちょっと教えていただきたいのですけれども、先ほど冨山構成員のほうから御質問あったところですけれども、これに医療と介護だとか、それの情報というのが、12ページの「個人番号の利用範囲の拡大」のところにも「医療・介護・健康情報の管理・連携等に係る事務」と書いてあるのですね。この事務という文言と、それから11ページ目の、先ほど冨山構成員が指摘した「医療・健康・介護等に係る自己情報」のこの内容ですね。これはどこまで話されているのか。これは大体この検討会、意味がないのではないかと。もう決まってしまっていればですね。と思うので、ちょっと説明をお願いします。

○金崎参事官 マイナンバー等分科会で出てきているこの議論というのは、今後詳細を関係省庁とともに検討していくということになっていますので、一切、確定的に何かが決まっているというものではないということは大前提として御理解いただきたいと思いますが、分科会の中で出てきた議論としては、この11ページの自己情報のところで出てきている医療・健康・介護等といった自己情報を見るというのは、例えば自分の予防接種の履歴とか、自分の健康診断の情報結果とか、そういったものが自分の情報としてしっかり見られれば非常に便利なのではないかと、そういった議論がございました。

また、現在、現行法でもレセプトというのは医療給付に関する事務としてマイナンバー使えるということになってございますけれども、こういったものがもし実現すれば、例えば自分がどれだけ医療費を使ったか、今、組合から何カ月かに1回、葉書で通知が行きますけれども、ああいったものも自分でポータルサイトでチェックする可能性が出てくるのではないかとか、そういった議論の中で、自己情報としてそういうさまざまな情報を自分がオンラインで確認するという、そのイメージで、ここの自己情報というのは書かれてございます。

一方で12ページのほうは、現行法律ではできないところということで、この利用範囲の拡大として書かれたものでございまして、まさにこの委員会で御議論いただく医療分野、介護分野、健康分野といったところでどういう番号の利活用があるかといったことを、管理・連携等と書いてございますけれども、そういう医療分野、介護分野、健康情報としての情報連携、管理、そういったところをイメージして書かれてございますものですから、まさにこの委員会で御議論いただくのはこの12ページのところの御議論になっていくかと認識してございます。

○石川構成員 どうもありがとうございます。ではもうちょっと聞きますけれども、11ページ目のところは、関係省庁と議論の上いろいろというお話もありました。12ページのほうがより議論を深くしろということだと思うのですけれども、この11ページ目に記載していることは、先ほどマイ・ポータルのところはお年寄りの高齢の男の方が操作しているような形があったのですけれども、この下のところでは「サポートを受けながらの利用や代理人による利用」ということが書いてありますね。つまり、ここまでのところは、ほかの方も代理人の方とかそういったものは見えると。ポータルだとかそういったところにはかなりほかの方が見られるような情報として入ってくるということになりますね。

○金崎参事官 先ほど説明した4つの機能のところについては、基本的に自分が自分の番号カードで差し込まないと見られないということなりますので、見られる代理人というのは法定代理人、当然に見られる方か、そのポータルサイトで任意代理人という代理人設定をした者のみが見られるということで今考えてございますが、このマイガバメントというのはもっと広い、11ページの範囲をどのように見せるかというのは全くこれからの検討対象でございまして、その代理人の範囲、ここで言う環境整備といったこともこれからの議論でございます。

○石川構成員 そうしたら、私たちのこの場でこれからの議論でやっていけばいいということでよろしいですか。

○金崎参事官 もちろん、その代理人の話はこの健康・介護情報のみではありませんので、全体の話になろうかと思いますけれども、当然そういう御意見も入れながら今後検討していくという話です。

○石川構成員 この部分についてはここでの議論でよろしいということでよろしいですね。

○金崎参事官 全体の制度設計に関わるので。

○石川構成員 いや、医療・健康・介護等に係る自己情報ということについてはここでの議論でよろしいですね。

○金崎参事官 それはどういう組み立てでこれを見せていくかというそのつくりにもよってくると思いますので、そういう全体の御議論として受けとめさせていただきますが。

○金子座長 では、冨山構成員、お願いします。

○冨山構成員 マイ・ポータルの件ですけれども、今、民間でPHRサービスがかなり広がっています。マイ・ポータルの中には自分で入れる個人情報の部分と公の情報が混ざります。民間のPHRというのは個人の責任で管理するわけで、そこが混ざる部分は果たしてそれが国のシステムとしていいのか、整理できているのでしょうか。

○金崎参事官 これは全くマイガバメントの部分でありますけれども、マイガバメントについては民間サービスとの連携というものも視野に入れてやろうとしております。すなわち、今おっしゃったような民間サービスをこのマイガバメントというものと連携させて、例えば認証連携するとかで、民間サービスとつないでいくということも十分あり得る話だと思っています。ですから、全部政府が管理してこのサービスを提供していくということを前提に考えているのではなく、どういうサービスをこのポータルサイトとして集めていけば利便性が高いかという、まだそういう観点での議論ですので、その辺はこれからの話になってきます。

○冨山構成員 石川構成員のおっしゃるとおりで、これからそこの詳細を決めていくということでよろしいのですね。

○金子座長 樋口構成員、お願いします。

○樋口構成員 1つだけにしますけれども、資料の1ページのところで、しかも抽象的な質問で恐縮ですけれども、このマイナンバー法の建てつけの問題です。きょうの御説明でよくわかったのですけれども、個人番号の利用分野について、つまり、国レベルではこういう形で限定列挙であるということですね。だから、福祉利用などについても、その中でもまたここに書かれたものだけという話にとりあえずなっていますよと。その一番下に条例の話が出てきて、これはちょっと連想がよくないのかもしれないのだけれども、関連があるから申し上げますけれども、個人情報保護法制というのがケイオスになってしまったわけですね。つまり、国のレベルだって幾つかの法律があり、地方公共団体というのがたくさんありますのでね。日本には1,800以上の、あるいは1,9002,000なのかもしれないけれども、個人情報保護法制があるなんていうのは世界に多分類例を見ないという、ほかから見ても理解できないようなものになる可能性が、ここにはないと思っていいのでしょうか。

条例のほうで、つまり、上のほうだけ限定列挙という話できちっとしていて、もちろん条例で定めるのですけれども、条例のほうではまた各地方自治体でいろんなことが定められて使い方がという、そういう全部画一的にやるのがいいのかどうかというのが本当は問題なのだけれども、この共通番号制度というのは基本的には国一体という話で始まっているわけで、法律の建てつけの問題としていかがなものかというちょっと疑問を感じたものですから。

○金崎参事官 まず、個人番号の今回利用分野というのはこうやって限定的にやっておりまして、一方で、今おっしゃったとおり、各地方自治体では個人情報保護の条例をそれぞれで持ってございまして、その条例の内容は必ずしも画一的ではないという状況になってございます。

今回、法律で書いてあることについては各自治体でやはりやっていただけかなければいけないということもありますので、個人情報保護条例、各自治体の持つ条例をこの法律に沿ったものに改正していただくように今お願いをしております。これはですから、条例と法律の間でそごがないようにしていくという条例改正。

一方で、一番下のところについては、法律以外の事務で、各自治体が使う必要があると判断した場合に条例を、これは条例で具体的な事務を書かないとその番号が使えないということになりますので、番号を使うための条例ということになりますけれども、これはもちろん、社会保障・税・防災という大きな縛りはありますけれども、法律に書いてないような、例えば独自給付の福祉事務をされているとか、あるいは防災の具体的なこういったところに使いたいという御要望、御要請があれば自治体の判断でできるということになってございまして、そのときには、当然のことながら、個人情報保護条例、各自治体の持つ条例に反しないような形で整理していただく必要があると思います。

○金子座長 ありがとうございました。

それでは、関連の御質問ありましたらまた後で伺うことといたしまして、私の理解は樋口さんと同じで、全体のところは1ページに書いてある、特に限定してこれは国がやると。自治体のみでやることは条例でどんどん進めていってくださいということですね。それは1ページには影響しないようにするというのが私の理解でございます。そのように実際なるかどうかはこれからでございますけれども。

それでは次に、これも非常に重要な関連がありますパーソナルデータに関する検討会につきまして、かなりまとまったということでございますので、内閣官房の瓜生参事官から御説明をお願いします。

○瓜生参事官 内閣官房のIT総合戦略室の瓜生でございます。

私のほうから、資料6-1と6-2に基づきまして説明させていただきます。なお、限られた時間で20ページほどの説明をいたしますので、ちょっと飛ばし飛ばしになるのは御容赦いただければと思います。

まず、資料6-1でございますが、パーソナルデータに関する検討会の概要でございます。1枚めくっていただきまして、内閣官房においてこういう話をし始めたきっかけといいますものを書いておりますが、安倍政権のいわゆる3本目の矢の成長戦略の一つの大きな柱としましては、ビッグデータを活用して経済活性化していこうという話がございましたので、それを推進する立場としてIT総合戦略本部が今取り組んでいると。

ビックデータの中でも特にパーソナルデータというのが非常に価値が高く、いろいろ絵を書いていますけれども、今回、この会議でやります医療も含めまして、エネルギーとか交通ですとか防災等々に使えるということで、この辺のパーソナルデータをどういう形で扱っていくべきかというのを今検討しているところでございます。

その背景というか課題といいますか、そこが2ページ目に書いておりまして、現状、このビッグデータとかパーソナルデータがどのぐらい使われているかといいますと、なかなかうまくいってないなあという問題意識がございます。その点、2つあると思いまして、この1.と2.ですが、消費者側の視点という話と事業者側からの対応という話かと思いますが、一応保護法の制定から10年が過ぎまして、社会はどんどん変化していきますし、情報通信技術が非常に発達する中で、消費者の方はプライバシー保護についていろいろ考えるようになってきたというのがある一方で、2番目のほうですけれども、事業者からしますと、いろんな技術の発展によっていろんなデータの使い方ができているのですが、そうすると、右側にありますけれども、どこまで個人情報でどこまでどう扱わなければいけないかというのがなかなか不明確になっているというのがございまして、この辺の意識の違いなんかで、ネット上で炎上が起きるとかいろんなことが起きまして、なかなかうまく使えてないのかなと認識しております。

なお、3番目ですけれども、世界的に情報というのは、インターネット社会においてデータが動いていくわけですけれども、これについても、右側にありますけれども、欧州では非常に厳しい保護レベルをする一方で、書いていませんが、アメリカであれば、かなりインターネットの発祥国として自由に動いている。その中で日本としてどういう立場に行くべきかというのもあわせて考えるべきであろうということで検討しております。

3ページ目ですけれども、昨年から始めていますが、その前の段階から、総務省と経産省のほうで検討されていまして、それを踏まえて、昨年の6月に閣議決定されました「世界最先端IT国家創造宣言」において、こういうオープンデータ、ビッグデータの活用、さらにパーソナルデータの活用につきまして、第三者機関の設置を含む新たな法的措置も視野に入れた制度見直し方針をまずつくりなさいという指示が出たところでございます。

それで検討会を立ち上げたわけですが、4ページに構成メンバーを書いておりまして、この会議に御出席の委員の方とかぶる方いらっしゃいますけれども、実は昨年の段階では座長は堀部政男一橋大学名誉教授であったのですが、今年の1月に社会保障・税番号法に基づき特定個人保護委員会が立ち上がったところで委員長に御就任されましたので、今年に入ってからは宇賀克也東京大学教授に座長をお願いして動いているところでございます。

5ページ目でございますが、昨年の検討の経緯ですけれども、まず昨年はそういう制度見直しの方針を決めるということで、9月からスタートしまして5回程度行いました。それぞれ各委員の方から御説明をいただいて、制度見直し方針をまとめたということになっておりまして、中でも技術的な検討におきましては技術検討ワーキンググループを設置しまして、今ここに御参加の委員もいらっしゃいますが、その御協議を得ながらとりまとめたところです。

6ページ目でございますが、その中身です。個人情報保護法全般にわたる議論はさせていただいたのですが、ここの中ではトピック的な2点だけ挙げさせていただいています。

1つ目ですけれども、このビッグデータ時代における利活用の見直しということで、ちょっと象徴的ですけれども、いわゆる匿名化データというのがわかりやすいかもしれませんが、個人情報というもの、個人データというものを、いろんな情報を加工していって特定される可能性を低減された、匿名化されて流通に安全なデータかもしれませんが、そういうものをつくりまして、そうしておけば基本的に第三者提供で義務づけられている本人の同意を得るとか、オプトアウトするとか、そういうものについてそういう義務はかけない形で出せるようにする。

ただし、一方、出す側も受ける側も別の義務をかける形で、情報をなるべく流通させて、受け取った側で変なことをしないようにという法的な枠組をつくれないかというのを打ち出しています。

2つ目ですけれども、保護と利活用の全体のバランスを進めるために、今回、番号法におきましては特定保護法委員会ができましたけれども、それを拡大しまして、個人情報全般にわたる独立の第三者機関に発展していくべきではないかというのを打ち出させていただいたところでございます。

スケジュールですけれども、昨年12月に決めまして、今年6月に大綱というものを出し、パブリックコメントにかけた後、法案作成に入り、来年の通常国会に法案を提出するというスケジュール感を出させていただきました。

そういうことで、年明け以降再開したわけですけれども、7ページからですが、再開に当たりまして、いま一度事業者側と消費者側のニーズというか、困っているところを調査したのが7ページでございます。事業者側からすると、利活用に当たって不明確なところを明確化してほしいという話がありますし、3でありますけれども、医療等情報につきましては非常に利用価値が高いということで、この辺の明確化をしてほしいというのが非常に強い意見としてありました。

一方、消費者ですけれども、ビッグデータによるメリットがなかなか見えないのもありまして、ちょっと不安が大きいというのは先に書いていますけれども、一方で、4ですけれども、こういう診療情報につきまして、公益の利用といいますか、医療サービスの進展に活用するに当たりましては、8割程度が許してもいいだろうみたいな話をされていますので、この辺のちゃんとした公益といいますか、個人にもちゃんと返ってくるような利活用であれば、消費者の方もある一定の理解があるのかなと思っている状態でございます。

8ページ目でございますけれども、そういうのを、繰り返しになりますけれども、事業者、消費者それぞれどうするかということを基本的な考え方として挙げておりまして、1番目が事業者の視点ですけれども、ルールの明確化を行う。2番目、それに対して消費者がどう関与するかというと、権利利益が保全されているかちゃんと確認できるといいますか、そういう行使できる手段を用いる。3ですけれども、事業者、消費者に対して第三者機関がちゃんとした形で法執行を行うというのがありまして、それに当たって、4ですけれども、諸外国の制度とちゃんとバランスをとるというのがあります。

ちょっと特出しになっておりますけれども、公益の利活用という新たな視点があるとすれば、それにつきまして、医療等を参考にちょっと検討しましょうというのを掲げております。

9ページ目でございますけれども、3月以降、各論点につきまして、今、検討を進めております。3月に第三者機関を行い、4月に2回行いましたが、その中で個人情報の全体の定義ですとか、事業者をどうするかという話と、いわゆる開示等の在り方をどうするか、また海外との関係をどうするかという話をやりました。5月20日におきましては、技術的な検討の報告と、保護と利活用のバランスに係る考え方としまして、医療分野を例にしてちょっと検討しようというのをやりました。これは資料6-2でまた説明いたします。さらに、民間の自主的な取組ですとか紛争解決とか罰則の在り方も議論しました。

そういうことでいろいろ議論してきたわけですけれども、実は10回目は5月29日、昨日行っておりますが、うれしい悲鳴ではないですけれども、議論が相当紛糾いたしまして、昨日の段階では論点整理という形でまだやっているところでございまして、引き続き6月のところで大綱を上げていって、6月中に本部で決定したいと今思っているところでございます。

そういうことで、10ページの前に、資料6-2のほうに移っていただきまして、第9回で行った議論を簡単に紹介させていただきますが、1ページ目でございます。基本的な考え方の1つ目と2つ目の●でございますけれども、さっきから何度も繰り返しておりますが、個人情報は権利利益を保護しつつ適切に取り扱われることによって、個人の利益のみならず、当然社会全体の利益にも資するものであろうと。そういうことの典型例といたしまして、医療等の分野の個人情報はまさにそれに当たると考えておりまして、非常に秘匿性の高い情報を含みますから保護の必要性は厳重にやる一方で、医療サービスの質の向上ですとか効率化、医学研究の発展のために一層の利活用の推進が期待される情報であろうということで、こういうものを踏まえて、実際に個人情報保護法制の中でどのように取り組んでいくかというのを検討したわけでございます。

2ページ目でございますけれども、医療等の情報の現状の認識だと思うのですけれども、真ん中に医療機関がございまして、左側に患者様がいらっしゃいます。御家族様も関与しつつ医療機関がいろんな治療行為等行われているのでいろんな医療情報等が発生すると思うのですが、それにつきまして、下の茶色、地域医療連携とか地域のいろんな連携の中で、介護事業者さん等も含めながら、さまざまな情報を組み合わせながら患者様に対応していくというのも今広がっておりますし、上のほうに医療保険の分野も書いてありますけれども、医療保険制度に基づく情報の収集なりをして対応されているというのがあると思います。

さらに右に行きますけれども、国・地方自治体におきましては、金額の話もそうですし、こういう情報等の話も含めながら、公衆衛生とか医学研究等のお話を大学等も含めながらやっているというのがあると思いますし、最後、右下ですが、いろいろな情報そのものにつきましては事業者を委託した上で活用しているという、これまで、個人情報保護法の主務大臣、厚生労働大臣という範囲で考えていたところからさらにいろんなプレーヤーが入ってきて拡大しているというのが現状だと思っておりまして、そうすると、特別法というよりは個人法の一般法において対処するのが1つ考えられるのではないかという話かと思っております。

3ページ目からちょっと細かい話になってきますので進めていきますけれども、左側が先ほどから申し上げている、3月からの検討で我々が挙げているテーマがありまして、それに対して右側が医療分野で現状どうなっているか整理させていただいた紙でございます。3ページ目は目的の明示とか同意のあり方を提示していますが、右側の医療のところで、現行のガイドラインでありますと、皆さんよく御存じだと思いますけれども、真ん中にありますが、利用目的を院内掲示板に明示するなり、第三者提供の中で黙示の同意という形で対応されていると思うのですが、こういうものにつきまして、医療等におけるその状況を踏まえて保護法全般の中ではどう位置づけていくかという議論をする必要があると考えているところです。

4ページ目でございますが、機微情報を世界的な潮流とか現行のガイドラインで規定しておりますので、それを規定してはどうかと我々としては挙げたわけですが、右側が医療分野の考え方で、※印でありますが、なかなか類型化は困難ではないかとかいう問題意識もあるかと思っております。

下の※印の3つ目ですけれども、医療等情報でさまざまな情報ありますが、全て機微と言えるかとかそういう話もあるかと思いまして、この辺も踏まえて議論が必要かと思っております。

5ページ目でございますが、さっき申し上げた匿名化データのようなもの、個人特定性低減データと言っていますが、これが利活用推進の本丸としまして、こういうデータにすれば第三者提供を比較的楽にできるのではないかというのを挙げているところです。右側の医療のところのガイドラインが2つ示されておりますが、いずれにしても、現行でも氏名、生年月日、住所等を消去することでいろいろ利活用するという話があると思いますので、こういうのも踏まえながら制度設計が必要かと思っています。

6ページ目でございますが、取り扱う個人情報の規模が小さい模事業者の義務のところでございます。現行、6カ月未満で5,000件以下であれば適用除外となっているのですけれども、これは世界的に見て例のない制度でございまして、基本的には原則拡大する予定でいるのですけれども、これについて現行医療分野におきましてはガイドラインでそういう小規模の医療機関等も当然手当されていると思いますので、この辺については医療のほうに合っていくのかなと思っているところでございます。

第三者機関でございますけれども、繰り返しますが、主務大臣制からできるだけ第三者機関に全部権限を集中して対応するというのを考えておりますが、右側にありますけれども、医療分野も含めながら、ちゃんとした第三者機関が機能するのであればそれもいいであろうと思いますけれども、※でありますが、厚生労働大臣という、主務大臣というのをどう整理していくかというのがここの課題になるのかなと思っております。

7ページ目でございますが、これは越境・移転の話でございます。海外の他国の事業者に対する法の適用ですとか、保護が不十分な国への情報の移転をどう制限するかという話ですけれども、現行の右側のガイドラインにおきましては、真ん中に線が引いてありますが、生命に関わる情報につきましては国内法の施行の及ぶ範囲に置くというのがさきに決められていると思いますので、こういうのを導入する形で対応することが必要かなと思っているところでございます。

8ページ目、開示等の在り方でございますけれども、現行法におきまして、本人の求めに応じて事業者が開示するわけですが、1つ裁判例で、個人のそういう開示の権利がないという判決が出ましたので、それを改善する必要があるということで、左側の<議論の方向性>で書いていますけれども、こういうものに民事上の請求権を設けてはどうかと我々として考えているところでございます。

これにつきまして、右側の医療等におきまして、それぞれの団体におきまして開示等に対応されていると思いますけれども、請求権あったときの対応の影響につきましてはいろいろ今後検討の必要があるかと思っております。

以上をまとめましたのが下に書いていますが、現在我々が提示している論点につきまして、医療分野も同等の課題があると考えておりますので、それも含めながら今後検討する必要があると思っております。

一方で、法律でそう細かいところは決められないというのがあると思いますので、そうすると、運用の段階でガイドライン等で対応するというのもあるのではないかと考えているところでございます。

さらに、9ページ、10ページはその検討会で出ていなかった論点を書いておりまして、4つあります。1つ目は、公益利用という話をこれまで検討してないものですから、そういうものにつきましてしてはどうかということで、右側にありますけれども、法の目的の中で公益のための適切な利活用というものについて明示してはどうかというのを問題提起しているところです。

2つ目、研究の適用除外ですけれども、現行法は、個人情報保護法と行政機関法と独法と地方自治体とで適用される法律等が違っておりますので、研究に関しましては私立大学と旧国立大学、今の独法の国立大学法人について規定が違うというのが、医療等の研究分野で非常に問題が起きているのではないかという認識がありますので、右下にありますが、適用除外そのものの在り方についての議論を行って、最低限、安全管理措置というのは入れてはどうかというのが問題提起されています。

10ページ目でございますけれども、死者の情報の扱いということでございます。今、個人保護法では生存する個人が対象ということになっておりますが、医療分野におきましては当然死者の情報というのが、一瞬で生存者が死者になるということで、その扱いをどうするかということで問題提起されておりますが、今のところ、それについて検討しているところでございます。

あと「事業者間ルールの整合性」とありますが、先ほどの研究のところと重なりますけれども、民間事業者と国の行政機関等々、特に医療分野においては例で書いていますけれども、独法のがん研究センターから民間、県立、市立の病院がそれぞればらばらというので地域医療連携等ができない状態であるとすれば、右側にありますけれども、そういうものについて、なるべく地方自治の理念も考慮しつつ、各行政主体による取組を促進していくべきではないかということで、こういうことの改善に向けて動いたらどうかと言われているところでございます。

そういう議論を一応させていただいた結果、もう一回資料6-1の最後の10ページに戻っていただきまして、これについて各委員の意見を簡単に紹介させていただきますが、1番目がまさに一般法か特別法かという話が書いておりまして、繰り返しになりますので言いませんけれども、こういう医療等範囲が増えた結果、特別法に閉じず、一般法で医療情報を扱わざるを得ないことが見えてきたので、現在、一般法改正の案件として、それについて委ねましょうという御意見がありました。

あと死者の情報につきましては、出席した委員の中からは、拡大すべきではないという話をされましたし、ある委員からは、死者の情報が規制されてしまうと、すごく具体的な例ですけれども、葬祭業者の方が感染症の方に対応する場合に感染して死亡に至るような被害も発生する、それについてどう考えるかという問題提起をされております。

3番目でございますが、利活用の話でございます。第三者機関が基本的にチェックするのですけれども、一方で、そのチェックが余り頻繁に入っても困るので、共同利用という形でうまく活用していただく可能性もあるのではないかと言われております。

あと事業者間ルールの話でございますけれども、社会保障・税番号制度におきまして、特別法ということでルールの統合みたいな話が先ほどありましたけれども、今回、一般法ですのでそれができないとすれば、こういう改正法を見て自治体が見直すとか、情報発信してそういうのを慫慂するみたいな話をやっていくのがいいのではないかと言われているところでございます。

長々と済みませんけれども、以上でございます。

○金子座長 ありがとうございました。

ちょっと確認ですけれども、今、検討中だという事項がかなりたくさんあったように聞こえましたけれども、6月中にそれらのことを検討して公表し、パブリックコメントを求めるというスケジュールでよろしいでしょうか。

○瓜生参事官 はい。昨日論点整理させていただきましたので、それを踏まえて、6月の頭に大綱案を出せるような形で、今、作業しているところでございます。

○金子座長 ありがとうございました。山本先生、何か補足ございましたら、まず。

○山本座長代理 全体の方向性としては、フェアな利用をするのには、プライバシーの侵害を起こさないことが前提だけれども、個人情報を活用して、例えばイノベーションを起こす、あるいは公益目的で利用する、研究をするということでは、一定の条件はつきますけれども、より容易になるという方向で検討が進められていると思います。

さらに、今まで曖昧だったところ、つまり、匿名化はしたのだけれども、実はいろんなデータを照合するとわかってしまうようなところに対して、匿名化情報として全く制限がかからなかったのが一定の制限がかかるという意味では、いろんな意味での被害の防止にもつながるだろうと思います。

ただ、もう一つ、今、瓜生さんのほうからもお話がありましたけれども、自治体ごとに条例がある状態に対してどれくらい是正できるるのかという点がまだはっきり見えてきていないという問題点があり、もう一つは、では悪意を持って利用した場合にどういうことができるのかという点がまだ煮詰まった議論にはなっていないのではないかと私は思っています。

○金子座長 番号と符号の違いについて、ないし匿名性についてなど、次回以降、ご専門の構成員から詳しく発表いただけると思います。

この会合は6時までということでございます。今のパーソナルデータ検討会に関する質疑を少しやっていただき、あと時間が残りましたら、きょうの全体のことについて御議論、御質問いただきたいと思います。

では、冨山構成員。

○冨山構成員 まず言葉のことを教えていただきたい。資料6-17ページで、パーソナルデータという言葉と個人情報というのを使い分けているのですけれども、この定義を教えていただきたい。

もう一点、6ページ、なぜ医療等情報でなくセンシティブデータなのか。センシティブデータというのは、ほかにも何か含んだ言葉なのか、定義をまず教えていただきたいと思います。

○瓜生参事官 簡単に言いますと、パーソナルデータが広い概念でございまして、その一部は個人情報だと思っていただければいいと思います。パーソナルデータは個人に関する情報と、通称、日本語にすると言っておりますが、個人情報は、いわゆる個人情報保護法の中で定義がございまして、特定の個人を識別できる情報という形に限定されているのですけれども、一方で、パーソナルデータに入るものといたしましては、例えば、皆さん、スマホ持っている方いっぱいいらっしゃると思いますけれども、スマホを使うことによってGPSで位置がとられて、IDがとられて、それである個人がいろんなところに動き回ったという情報がどんどんたまっていきますが、そういうものは別に、個人情報とは言いませんけれども、個人から発生する関連する情報ということで、そういうものを含めてパーソナルデータという言い方をしているというのが1つ目でございます。

2つ目のセンシティブデータですけれども、これは資料入っていなくて恐縮ですけれども、我々としましては、センシティブデータというのはなるべく扱いを禁止するといいますか、扱いに当たっても利用の目的を明示して、その明示的な同意を得るぐらい厳密に扱う必要があるデータであろうという整理をいたしておりまして、そうすると、憲法なんかにもありますけれども、人種ですとか民族ですとか思想・信条ですとか、社会的身分、門地ですとか、そういうやや差別に直結するようなものに非常に限定した形でセンシティブデータという言い方を実はしておりまして、この中に医療情報というのを入れていいのか悪いのかということ自体も実はまだ議論中でございますが、我々の言っているセンシティブデータというのはそういうやや限られたものと認識していただければと思っております。

○冨山構成員 できるだけ国民にわかりやすいような言葉で、これからもお願いしたいと思います。

○金子座長 ほかに。

では、馬袋さん、お願いします。

○馬袋構成員 やはり国民にわかりやすいというところと、もう一つは、私たちは介護の仕事をしております関係で、個人の方がご高齢になられて、自分で判断されにくいという場合は、関係の者、ここで言うパーソナルデータを同意を得て確認する代理者が必要となります。そこで、今回検討している代理者にどういうものが閲覧されていくのかということを国民にわかりやすく説明しておかないと、場合によって私たちが代理者になることもあり、ある意味、その代理者はどこまでかかわる代理者なのか、例えばケアマネージャーと言われるケアプランをつくるような者の代理者の場合、サービスを提供する事業者の場合、また代理者となりうる関係者が複数関わって、これから地域包括ケアでやっていきます。そういう面では、代理者の範囲や、情報を共有してお互いがりかいするためのもので、自分の情報はここまでとか、これは誰に確認して、それはいつ、その代理者にもし何かがあれば誰に言えばいいのだというところまで、整理をしておかないといけないのではないかと思っています。

以上です。

○金子座長 これは、瓜生さんですか、金崎さんですか。代理人がどこまで見られるかという、さっきのマイ・ポータルの話にも関係しますが。

○瓜生参事官 現行法の個人情報保護法の中でも法律上は本人の同意と書いていますけれども、それは当然、民法上といいますか、代理行為というものがちゃんと存在していて、それが本人になりかわってやっていると理解していますので、それが特に今回法改正で変わるわけではなく、支障なくできる形だと思っておりますが。

○金子座長 金崎さん、マイ・ポータルのときに本人以外の者がのぞける、見られるというのは、今の説明の範囲内の代理人でよろしいでしょうか。

○金崎参事官 これもまさに民法上の代理権の授与というのをシステム上どこまで反映させるかという話ですので、誰が誰に代理権を授与したかというのを確認して代理権を設定すると。そこはきちっと見られるようにマイ・ポータルはしたいと思っています。

○馬袋構成員 その状況を常に、監視することもあるとおもいますけれども、第三者委員会的に、内容を確認することも必要です。私たちも個人情報の取り扱いに関しての確認の契約を締結しています。しかし、それは法人にとって課しているものと、扱うサービススタッフ、ケアマネージャー等の個人に課しているものと、双方を明確にしておかないといけません。そして、どのような状態で運用されているか、またはそういうものを扱う者がどう教育されているかということを確認することになっています。今後多職種の人たちが様々な情報を持ちながら連携する、それは非常に大切ですけれども、では誰が利用者の代理人なのかという点において様々な事業者が個人情報の契約を締結していますので、そのことの取り扱いについて、今後検討する必要があるということを現場の中からの声として報告しておきます。

○金子座長 特に介護現場ではそういうことが大変大事だと思いますので、この研究会でももし取り上げる機会があれば議論していきたい一つのテーマになるのではないかと思います。

それでは、石川さん、お願いします。

○石川構成員 まずちょっとお聞きしたいのですけれども、6-1の資料のほうの7ページ目です。パーソナルデータに関する検討会の先生方には本当に熱心な議論をされているということを聞いていますので、ちょっと確認なのですが、この「消費者の意識」のところで、例えば1はビッグデータにおけるということを書いてありますけれども、これでいくと、不安があるということについてとりまとめれば、8割の方が不安があると言っているのですね。これはそのようにとれますね。それと、4番目の診療情報を活用して医療サービスの進展に活用することについては、8割弱が許容できる・条件によっては許容できる。ここの1番と4番というのはかなり誘導しているようなことが考えられるのですね。ここのところで議論がどのようにされたのか、大変私は知りたいと思います。

それから、10ページ目の最後の結論のところでございますけれども、「一般法で扱う必要」ということで1のところで書かれておりますけれども、明確にここで出ていることは、私、ちょっと理解するのでは、特に医療等の個別法、あるいは医療等の個人情報については、別に扱わなくても、この一般法の中で扱えばよろしいというのが結論だということでしょうか。

○瓜生参事官 先ほどの7ページ目の話ですけれども、この消費者の意識について、下の※で書いてありますけれども、いろんな組織のところで調査されているのもあると思います。我々が発見できたのがこの2つの調査の結果でございまして、会議の中では、こういう意識でいらっしゃいますという御紹介をさせていただいただけでございまして、多分、1であれば、おっしゃるとおり、不安が非常に高いと。なぜ不安が高いかというと、よくわからないからだとありますので、そうすると、事業者の活動、なるべく透明化するといいますか、どういうことをやっているかちゃんとわかっていただいた上で、それをわかるような消費者の権利といいますか、仕組みを導入することでこういう不安は解消できるのだろうなという頭の整理を我々事務局としてはしておるところでございますし、診療情報につきましても、実は8割と書きましたが、2割の方が許容できる、6割ぐらいが条件つきと当然おっしゃっておりまして、おっしゃるとおりでございまして、センシティブ情報といいますか、機微情報といいますか、重要な情報でございますので、ちゃんとした安全管理措置ができて初めて提供するという話があるのだと思いますが、そういうことで、医療につきましてどういう形で考えていくかというようなきっかけにしたというふうに認識しております。これについて細かく検討会で議論があったわけではないと申し上げさせていただきます。

あと10ページ目でございますけれども、一般法と決まったかどうかという話なのですが、逆に特別法であれば厚生労働省さんが主担当になると思われますので、我々の認識としましては、一般法で対応できることはちゃんと対応するのが我々としての義務であろうと。ただし、一般法で対応できないものがもしあるとすれば、それについては所管の省庁様が法律を別途出すのは全く止めるものでもないということでございますので、その辺、ある委員が言った意見によって別に全体が全部決まったというわけではないと私は認識しております。

○金子座長 今のことについてはよろしいでしょうか。よろしいというのはこれで決まったということではなく、今後、我々が、この研究会でもきちんと議論していこうということだと思います。ほかの省庁の方とか、今のに御意見、何かございましたら。よろしいでしょうか。

それでは、そのほかの御意見、御質問など。

では、山本先生、お願いします。

○山本座長代理 この研究会は、医療分野での番号制度といいますか、IDを考えるということが目的だと思うのですね。前回の検討会の報告では、一応マイナンバーとは別のIDを考えるべきだということになってはいますが、この「別」という意味は、マイナンバーを直接使うわけではないということだったと記憶しています。最終的に、では何があってもマイナンバーと結びつかないのかというと、これもやはり非現実的だと思うのです。例えば災害とかいろんなことを考えると、医療にかかわる情報が最終的には、ハードルは高くてもマイナンバーと結びつくということのほうが利便性は高いこともある。ここは今から多分議論していくのだろうと思います。

しかし、今の番号法の建てつけで言いますと、マイナンバーと符号と、あるいはその符号から派生した番号などは、マイナンバーと最終的に結びつくものは特定個人情報に当たると整理されていると思うのです。したがって、医療にそういったIDを導入して、それがたとえ数段のハードルを超えてでもマイナンバーに結びつくとすると特定個人情報になる。ほとんどの医療情報、介護情報にそのIDがつくと思われるわけですから、医療・介護情報のほとんど全てが特定個人情報になるという理解でいいのでしょうか。

○金崎参事官 おっしゃったような建てつけであればそうなります。

○山本座長代理 そうなりますと、全ての医療機関は個人情報保護影響評価を受けなくてはいけなくなりますし、それをデータファイルとして持つためには、この番号法で定めないといけないということになり、当然ながら、その番号法は改正しないとできないので、そういう前提で議論してよろしいでしょうか。

○金崎参事官 まさにその前提も含めてこの議論をされるというふうに認識しておりますので。

○山本座長代理 そうすると、例えば自治体がマイナンバーを導入して住民情報を扱う際には特定個人情報保護評価を受けるというのは今進められていますが、これを全医療機関・全介護機関でするとなると、恐らく不可能だと思うのですね。そういう意味では、今、厚生労働省が出している「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に準拠しているということをもって、例えばこの評価に変えてもいいみたいな議論を我々がしていいのかをお聞きしたかったのです。

○金崎参事官 実際、地方自治体が今初めてPIAという評価を始めようとしていまして、先ほど御説明したとおり、4月にそのPIAの評価基準の自治体向けのやつが最初に出たところなのです。例えば1,000人以下であればもうこれは不要にするとか、さまざまな制度は設計されているのですけれども、恐らくいろんな議論がこれからもあるだろうと思います。当然、医療機関が仮にそういうことになればそういう御議論がいろいろ起こってくるかと思いますので、そういうものを踏まえて、多分、詳細設計がされるのだろうと思います。

○山本座長代理 ありがとうございます。細かいことですが、あれはPIAではなく、単に個人情報保護評価だと思いますけれども、そうすると、場合によっては、そういったこともここで議論するという前提で進めていくということでよろしいですね。

○金崎参事官 私がよろしいと言っていいのかわかりませんが。

○鯨井参事官 ありがとうございます。おっしゃるとおりで、そういった点も含めて議論したいと思いますが、ただ、この研究会では、具体的にはユースケースをまず議論したいと思っていまして、要するに、番号を実際どういう場合に使うのか。その場合のシステムはどうなのかということ。それを議論した上で、確かに前回の1年半前の検討会ではマイナンバーとは別の番号という整理を一応していますので、これについても含めて議論したいと思います。

ただ、いずれにしても、そういった番号と紐付くということであれば、当然規制の問題をどうするかということもございまして、今あるマイナンバー法の規制をどう考えるか。この問題は実は医療だけでなくて、例えば民間活動に広げた場合どうするかとか、普遍的な問題を含んでいますので、PIAの対象をどうするか、例えば今のPIAの代替措置をどう置くのかとかいうことも多分次の制度設計の段階で議論していくべきではないかと思います。

○山本座長代理 おっしゃることはよくわかるのですけれども、ユースケースを考えるときに最も大きな問題になるのは、こういう使い方をして大丈夫なのか、患者さんに迷惑がかからないのか、あるいはセキュリティ上問題を起こさないのかみたいなことが最も大きな観点になってきて、それでユースケースが決まってくると思うのですね。先ほど申し上げましたが、今の個人情報保護法の一般法の改正理論で言うと、それほど罰則は強化されないかと思います。民事請求権によって民事訴訟がやりやすくなるということはあると思いますが、行政罰としての罰則の大きさは恐らくそれほど大きく変わらないのかなという気がしています。

一方で、番号法は明らかに罰則が強化されていて、要するに不正利用に関しては相当厳しいので、そういう枠組を前提にするのか、そうではないのかでユースケースが変わってくるという可能性があると思い、ちょっとお聞きをした次第です。

○金子座長 では、大山構成員、お願いします。

○大山構成員 いろんな話を聞いていてちょっとわからなくなってきたことがあるので、前提で確認させていただきたいのですが、今の山本先生の話、非常に重要な点を言っていて、例えばマイナンバー、番号の使い方、現状というか、今後の状態を見ると、一番簡単なのは納税に使う話ですから、確定申告とか、支払いのときに相手の番号を確認する、こうなっていると。これはさすがに紙でやる例が当然あり得るわけで、というか、多くの場合そっちですから、紙の上に幾ら、例えば支払ったときに誰にというのが書いてある。ある意味、目に見えるものになっている。

この番号の議論と、たとえ番号の形の体系を変えたとしても、医療のID、医療等IDを同じように紙に書いて見せて回すということを考えているのかどうかで大きく違うだろうと。特に今みたいなユースケースがここで出てくるだろうと思うのですけれども、番号制度というのがきょうの資料の最初のほうにも出ているのですけれども、この番号制度というのは、見える番号、いわゆる紙に書いてでも渡せる、自由というか、目的範囲内で多くの人が見てしまう可能性がある番号の話を言っているのか、それとも、別の言い方をすると、住民基本台帳が使っている住民票コードというのは、本人は知っていますが、覚えている人はほとんどいないと思うのですけれども、それを書いて提供するのも相手方が限定されていると。そういう状態で行政機関なら行政機関との間でやる。これは通常、第三者が見るような状況ではなってないと。これも番号制度と言っているのかですね。

もう一回言いますと、ほかの人から見えるやつであるマイナンバーのようなものと、ほかの人が見ない前提で考えられてきた住民票コード、それから、もう一つあえて言うと、基礎年金番号のようなものもあるわけですけれども、これら3つが、例えば番号制度という意味で言うと、今回の医療の番号の話は、番号制度と言っているのはその3つに戻って議論、すなわち、見える見えないまで含めて議論していいのかどうかにもかかわってくる。

これは結構重要な点で、そもそも番号を入れることが本来の目的だったかどうかというのもありますので、本人を特定して、先ほどの生涯にわたるという一般的に言われているような話を実現していくさまざまな医療における重要な応用例は言われていますから、これをやるのはよくわかるところですけれども、その辺のところで、議論の範囲はそういう意味で広げて、ごめんなさい。広げるというのは私の勝手な解釈かもしれないですけれども、今までは見える番号で使うという前提から始めるのかなと思ったのですけれども、必ずしもユースケースからと言うとそうでもないのかなともとれるので、あえてちょっと確認させていただきたいのですが、そこは前広で広く考えろと判断してよろしいのでしょうかね。

○金子座長 では、鯨井参事官、お願いします。

○鯨井参事官 基本的な論点をありがとうございます。ある意味おっしゃるとおりで、そこも含めて議論したいと思っています。要するに、見える番号として何を使うのかで、マイナンバーは、御説明ありましたとおり、連携用番号として使わない。そこは電子的符号で行うということですから、そこの中でどうアクセス制御して安全確保していくのか。前回議論されたように、例えば税務情報と医療情報が勝手に紐付けられることはないようにするとかいうことをどうしていくのかということですので、まず見える番号としてどうするか。それから、連携用符号として電子的符号をどの範囲で使うのか。さらに、連携符号として見える番号、本当に要るのかどうかというところも含めて議論したいと思っています。

○金子座長 ありがとうございます。私は、今いろいろ出ている質問、疑問点について、全部細かくここで決めるということはできないと思いますが、それらを含めて議論していきたいなと思います。番号というのはたくさんの種類があります。今、鯨井参事官に整理していただいたこと、私もそのように思っておりますけれども、どこまで番号を書くのか。保険証の番号は見えるけれども、それとマイナンバーの関係をどのように紐付けるのか、紐付けの仕方などいろいろむずかしい点があり得ます。

以前に樋口さんと私で一緒に座長をやったときに、このように結論を出しました。医療・介護ではマイナンバーそのものは使わないけれども、医療IDはつくりたいと。そのときに、情報連携データベースというものをつくってマイナンバーシステムで使える部分は使おうというところまでは前提条件になっております。それらを実際どのように、どこまでやるかというのは多分我々の検討会でのかなり大きな論点だと思いますが、それは次回以降やりますが、次回はユースケースをいろいろと考えて、具体的なイメージを持っていこうと思っております。それらのことは、この検討会でしか多分議論できないと思いますので、大変大事な重要な論点が多いですがなんとか議論してゆきたいと思っております。

今の番号等について、そのほかでも、マイ・ポータルなどについて等、あと10分ぐらいございます。御意見あれば。

それでは、森田さん、お願いします。

○森田構成員 きょうの御議論を聞いておりまして、大変難しい問題に取り組まなければならないなと思っておりますけれども、私自身は公共政策とかそういうことを研究してきた人間なのですけれども、今、大山先生の御指摘のところもそうですけれども、ここで議論する場合、何をいわば狙いとして、どのレベルを、要するに大きな枠組を議論して、さらに細かい制度を議論していくか。今、座長がおっしゃいましたように、どこまで詰められるかわかりませんけれども、ちょっとその辺の確認をしていく必要があるかなと思っておりまして、きょうは印象だけ申し上げますと、番号制度というのは既に北欧諸国とかいろんな国で入っておりますけれども、これはコンピュータの技術が入る前に入っております。それは、あくまでも社会保障なり税もそうですけれども、それをやはり個人として紐付ける必要があるし、それが効率的で公正な行政の在り方だというところで入ったわけでございます。

それにコンピュータが入って番号の処理が非常に効率的になってからいろんな利用法が拡大してきたということでして、それも、今、大山先生おっしゃいましたように、番号だけ振っていて、国民が知らなくてもそれによって紐付けに使っているというやり方もあるわけでございまして、それを見える番号にしてカードにするというのはまたさらに利用の新しい形態だと思っております。議論を聞いておりますと、番号=カードの在り方みたいな、ちょっとそうした雰囲気もあるものですから、そこのところは基本的なところで整理しておかなければいけないのではないのかというのが1点目にちょっと気がついたところです。

もう一点目は、私自身、現在、中医協の公益委員も務めておりますけれども、やはり一番重要なのは、医療、健康については、これから高齢化が来る時代において、国民にとって一番いい形での医療をどうやって提供してくるかというのが最終的な在り方だと思っております。その場合に、正直申し上げまして、医療保険も含めて医療用に投入できる財源、資源量というのは非常に厳しくなってくると思います。それをいかに効率的に、しかもサービスの質を落とさずに、あるいは向上させて、なおかつ公正に、もっと言いますと、カスタマイズされた形で公正にどうやってサービスを提供していくか。今、そのための社会的なツールというものが必要とされていると。

その有力な手段として、ツールとして、私の知っている限りでは、北欧を初めとする欧米先進諸国ではこの制度を導入しているということでございますので、そうした前提で、我が国の固有の個人情報、プライバシーについての考え方もあろうかと思いますけれども、そうした必要性、そしてそれがもたらすメリットとの関係でこの制度の在り方というものを考えていく必要があるのではないかと思っております。

したがって、公共政策の観点から見ますと、必要であり、それが合理的であるならば、かなり重要な原則であったとしても、法改正を含む形で提言していくと。それぐらいの議論をしていく必要があると思っておりますし、ここはそういう場だと認識しているところでございます。

以上でございます。

○金子座長 ありがとうございました。時間が迫っておりますので、あとお一方、二方になると思います。

冨山構成員、まずお願いします。

○冨山構成員 医療情報保護と保険者機能の関係について御説明を伺いたいと思います。まず、最初に説明した資料3の1ページのところに、青と赤で個人番号と医療等分野における番号制度の図が出ています。これだと全然別々という形になるわけですけれども、実は日本のマイナンバー制度というのは欧米とは違っています。海外の場合は一つの番号でやるか、税と社会保障別々にする場合が多く、一方日本のマイナンバーでは税分や及び社会保障の現金給付の部分に食い込んでいる。

保険者では、当然番号は違っても、両方扱うということになります。今後医療介護分野で番号を活用することになれば、保険者の責任というのは今より重くなるわけです。

資料6-2の6ページ「小規模事業者の義務」で、「6カ月間で5,000件以下の事業者は適用除外」では、それに対して医療分野における考え方が、「小規模の医療機関、健保組合等にも、当該ガイドラインを遵守する努力を求めている」で終わっています。今、国のデータヘルス計画もありまして、保険者ではレセプト情報の活用をする場合に分析調査が必要です。そのときに外部の調査機関に委託する場合、小さい健保組合というのはいくつもの組合がまとまってやるわけで、それで数がふえてしまうわけです。

実際に数年前にも、いわゆる外部業者がそれを2次利用したという問題が出たわけです。そのときの責任の所在がグレーゾーンで、ガイドラインのみで法的な整備もない。そういう中で、このままガイドラインを遵守するだけでは話にならない。今後、電子化された医療情報を活用する場合保険者の部分のルールを決めていただきたい。

6-2の2ページの図右下に受託者(事業者)、外部保存というのがありますが、保険者においても、外部委託して分析調査しているわけですね。それは組合だけでなくて市町村等でも同じです。ここの部分が本当にガイドラインだけでいいのか。きちっとした法的整備をやはりする必要があるのではないかと思っています。

マイナンバー法ができた時、今後社会保障で活用するに当たっては医療情報の保護についての法整備をするという文章が出ていました。この部分が前提というか、並行で進まない限りは社会保障の活用というのは考えられないわけで、法的な整備はきちっとやっていただくことを改めてお願いしたいと思います。

○金子座長 ありがとうございました。何かございますか。大丈夫ですか。

 時間がほとんどなくなりましたが、どなたか御意見、御質問、よろしいでしょうか。

 ありがとうございました。きょうは私が5分おくれて到着し、大変失礼しました。期待どおりというか、予想どおり、大変活発な議論で、想像していたよりも結構大変だなと今思いつついますが、また次回以降、活発な議論を経て、しっかりとした、先ほど森田先生のおっしゃったような観点も含めてまとめていければなと思っております。

 それでは、事務局のほうから何かございますか。

○鯨井参事官 先ほどスケジュールでお示ししましたけれども、次回は6月24日を予定しております。よろしくお願いいたします。場所は追って御連絡いたします。

○金子座長 それでは、きょうはこれでおしまいにします。どうもありがとうございました。またよろしくお願いします。



(了)
<照会先>

政策統括官付情報政策担当参事官室
室長補佐 芝(7671)
主査 佐々木(7439)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 情報化担当参事官室が実施する検討会等> 医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会> 第1回医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会議事録(2014年5月30日)

ページの先頭へ戻る