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2014年3月13日 第110回労働政策審議会労働条件分科会 議事録

労働基準局労働条件政策課

○日時

平成26年3月13日(木)17:00〜19:00


○場所

中央労働委員会 講堂
(東京都港区芝公園1−5−32労働委員会会館7階)


○出席者

【公益代表委員】

権丈委員、田島委員、野崎委員、村中委員、山川委員

【労働者代表委員】

新谷委員、高松委員、冨田委員、八野委員、宮本委員

【使用者代表委員】

池田委員、小林委員、鈴木委員、平岡委員、宮地委員

【事務局】

中野労働基準局長、大西審議官、土田総務課長、村山労働条件政策課長、里見参事官、岡労働条件確保改善対策室長、古瀬労働条件政策課調査官

○議題

1 報告事項
2 雇用指針(案)について
3 その他

○議事

○山川分科会長代理 それでは、ほぼ定刻になりましたので、ただいまから「第110回労働政策審議会 労働条件分科会」を開催いたします。

 本日は、岩村分科会長が御都合により御出席できないということでございますので、分科会長代理に指名されました私のほうで司会を代行することにさせていただきたいと思います。

 本日、御欠席の委員は、公益代表の岩村正彦委員、守島基博委員。権丈委員はまもなく来られると思います。それから、労働者代表の工藤智司委員、春木幸裕委員。使用者代表の秋田進委員、田中泰代委員でございます。

 それでは、議事に入る前に定足数の報告を事務局からお願いいたします。

○岡労働条件確保改善対策室長 定足数について御報告いたします。労働政策審議会令第9条により、委員全体の3分の2以上の出席又は公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされておりますが、定足数を満たしておりますので御報告申し上げます。

○山川分科会長代理 ありがとうございました。

 恐縮ですが、カメラ撮りのほうはここまでとさせていただきます。

(報道関係者退室)

○山川分科会長代理 それでは、本日は、議事次第にございますように、最初の議題は「報告事項」とありますけれども、事務局から、専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案につきまして報告があるということですので、御説明をお願いいたします。

○村山労働条件政策課長 ただいま分科会長代理からお話がございました件でございますが、前回2月25日の本分科会において御報告したとおり、国家戦略特別区域法の検討規定などを踏まえまして、短期集中的に特別部会を設け公労使委員で御議論いただいた上で、2月14日の労働政策審議会建議「有期労働契約の無期転換ルールの特例等について」として取りまとめられ、その後、法案要綱の諮問答申に至ったものでございます。

 さらにその後、政府部内での所要の調整、いわゆる各省協議等を経まして、本日お配りしております資料No.1の形で、去る3月7日金曜日、法案として閣議決定され、同日国会に提出されましたので、御報告申し上げます。

○山川分科会長代理 ありがとうございました。

 特段ございませんようでしたら、次の議題は「(2)雇用指針(案)について」でございます。

 事務局で資料を準備しておりますので、御説明をお願いいたします。

○岡労働条件確保改善対策室長 それでは、まず参考資料の方をごらんいただきたいと思います。

 まず表のページでございまして「国家戦略特区における規制改革事項等の検討方針(抄)」平成251018日の日本経済再生本部決定でございます。

 いわゆる特区内で新規開業直後の企業やグローバル企業等が優秀な人材を確保し、従業員が意欲と能力を発揮できるようにということで、いわゆる特区法の中に必要な規定が設けられることになりました。

 その中で「(1)雇用条件の明確化」ということで、新規開業直後の企業やグローバル企業等が我が国の雇用ルールを的確に理解し、予見可能性を高めることによって紛争を生じることなく事業展開することができるように「雇用労働相談センター(仮称)」を設置して助言などを行っていく。

 また、その際に裁判例の分析・類型化による「雇用ガイドライン」、後ほど「雇用指針」というふうに出てきますが、それを活用して個別労働関係紛争の未然防止、予見可能性の向上を図るということになりました。

 裏のページに、その国家戦略特別区域法の抜粋が載ってございます。

 第37条の第1項では、先ほど申し上げたような形で、個別労働関係紛争を未然に防止することによって、産業の国際競争力の強化や国際的な経済活動の拠点の形成に資する事業の円滑な展開を図るために、特区内において外国の会社その他の事業主に対して情報の提供、相談、助言等を行うということでございます。

 第2項で、その相談に当たっては、雇用指針を踏まえて行うものとするということになっておりまして、その雇用指針というのは、括弧内にございますが、

 (個別労働関係紛争を未然に防止するため、労働契約に係る判例を分析し、及び分類することにより作成する雇用管理及び労働契約の在り方に関する指針であって、会議の意見を聴いて作成するものをいう。)

ということでございまして、これまでの判例をわかりやすく分析し、分類するというもので、ここで新たな規範を作るというものではございません。あくまで、透明性を高めるというものでございます。

 また「会議の意見を聴いて作成する」となってございますが、ここでは前のほうの条文が引いていなくて恐縮でございますけれども、特区諮問会議というものがございます。そちらの方で意見をお聞きして作成するということになってございます。

 次に、資料No.2の方をごらんいただきたいと思います。

 非常にページ数も多いので、時間がかかりますが、御容赦いただければと思います。

 まず、上に四角で囲ってあるところは、先ほどのペーパーでご説明した趣旨が書いてございます。

 また、全体の構成がここの目次にございますように、まず「1 総論」ということで、裁判例の分析を述べておるところです。

 それから、「2 各論」で裁判例の分類。それから、それぞれの分析ということになってございます。

 各論のほうは、大きく分けまして「1 労働契約の成立」「2 労働契約の展開」「3 

労働契約の終了」となっていまして、それぞれの中で各項目が入ってございます。

 なお、この項目につきましては、外資系企業の特に関心が高い項目あるいはトラブルが起こりやすい項目、それから日本特有の項目で外資系企業には余りなじみのないもの、具体的に言いますと就業規則ですとか、あるいは配転・出向といったものを載せておるところでございます。

 2ページをごらんいただきたいと思います。

 まず「1 総論」ということで、全体的に日本の裁判例の傾向を分析したものでございます。

 まず、典型的な日本企業にみられる人事労務管理と、これに対しまして外資系企業や、あるいは長期雇用システムを前提としていないベンチャー企業初め、日本企業でもそういった長期雇用システムでない企業のそれぞれの人事労務管理の特徴をまず述べまして、それぞれの違いを考慮して裁判でも判断されることがあるということを述べております。

 具体的には、まず1つ目の丸でございますが「典型的な日本企業にみられる人事労務管理については、以下のような『内部労働市場型』の特徴が指摘されることが多い。」ということで、まず1でございますが、毎年、定期的に新卒を採用し、また、これは総合職などのことですが、職務や勤務地を限定せずに採用され、定年制の下で比較的長期間の勤続がみられ、仕事の習熟度などに考慮した人事・賃金制度の下で昇格あるいは昇給ということが行われる。

 あるいは、企業の幅広い人事権のもとで配置転換や出向が行われることも多い。

 それから、就業規則によって統一的に労働条件の設定を行うことが多い。

 また、景気後退等の場合においても、いきなり解雇するというわけではなくて、残業を減らしたり、あるいはその他の雇用調整の手段を尽くした上で、解雇に至らないようにする、また、解雇をする場合においても、まずは早期退職希望を募集したり、あるいは退職勧奨を行って、なるべくソフトな手法で解決をするということがよく言われてございます。

 これは、あくまで一般論でございますので、個々の企業によって実態も異なるところでございます。

 次の2が、外資系企業や、あるいは長期雇用システムを前提としない、いわゆる「外部労働市場型」の人事労務管理の特徴について述べております。

 先ほどの「内部労働市場型」とは異なりまして、1でございますが、定期採用ではなくて空きポストが発生したときに社内公募や中途採用で採用を行い、また、個々人の職務が明確になっておって、人事異動も内部労働市場型と比べるとそれほど広くない。また、労働条件も就業規則で一律というよりは、個々人ごとに労働契約書において労働条件を設定していることが多い。

 特定のポストのために雇用された場合については、そのポストが喪失した場合については、きちんと補償などを行った上で解雇が行われるということでございます。

 3つ目の丸でございますが、日本の雇用ルールをめぐる裁判などの個別判断においては、信義誠実の原則や権利濫用の禁止といった一般原則の下で、例えば解雇については客観的に合理的な理由があるか、あるいは社会通念上の相当性があるかといった価値判断基準、規範的要件によって判断されますけれども、その際に、先ほど申し上げましたような内部労働市場型あるいは外部労働市場型といった人事労務管理の相違を考慮した上で、判断がなされることがあるということでございます。

 次に、3ページをごらんいただきたいと思います。

 先ほど、そういった相違を考慮して判断されることがあると申し上げましたが、具体的には、1ですが、内部労働市場型の場合は、使用者の配置転換や出向というものは人事権の濫用に当たらないとされるケースが多いかわりに、解雇に当たっては幅広く配置転換等の回避努力というものが求められることが多い傾向にあるということでございます。

 他方、外部労働市場型につきましては、解雇に当たって退職パッケージ等を提供する場合には、先ほどの内部労働市場型と比べますと、幅広い配置転換等の努力が求められる程度は少ない傾向にあるということでございます。

 ただ、次の丸でございますが、今、申し上げたのは、あくまで一般論でございます。内部労働市場型といっても、それぞれの企業においていろいろな特徴の組み合わせが異なることもございますし、外資系企業の中でも長期雇用、内部労働市場型のところもありますし、両方のパターンの採用や雇用管理を行う場合もあるということで、必ずしもきれいに二者択一に分かれるわけではございませんが、上記のような特徴があるということでございます。

 また、先ほど申し上げましたように、個別判断の場合も異なる判断がなされることがあるということでございますが、それにつきましてもあくまで一般論でございまして、個々の事案ごとにいろいろな状況を考慮して判断がなされるということでございます。

 また、この裁判例を分析・類型化した本指針につきましても、なるべくわかりやすくということで書いてございますが、あくまでそれぞれの個別判断によるということでございます。

 次の丸でございますが、この指針につきましては、なるべくわかりやすくということで、内部労働市場型については、いわゆる長期雇用システムを前提とした記述が多くなってございますけれども、主として正規雇用の労働者をめぐる裁判例の分析・分類や、それに関連する制度を中心に記載しておるわけでございますが、もちろん非正規雇用の方につきましては、正規雇用の方とは異なる人事労務が行われることも多いでしょうし、また、適用される法令が異なったり、あるいは個別の判断に当たっては、正規雇用の労働者の方とは異なる判断がなされる場合もあるということございます。

 次の囲みでございますが、解雇のことについて書いてございます。

 日本は解雇がしづらいということがよく言われておるわけですが、中には解雇が全然できないと、そういったふうに思われている場合もあるわけですが、しかし、日本においては、行政機関への相談件数を見ましても、一定数の解雇が行われているということが確認されるということでございます。

 また、解雇について、紛争になってしまった場合であっても、訴訟で争われる事案は比較的少なく、例えば労働局の紛争調整委員会ですとか、あるいは労働審判制度などによって解決が行われている。

 また、訴訟になった場合であっても、判決までいく場合もありますが、多くは和解手続によって解決がなされておる。最終的に判決になった場合においても、認容判決と棄却・却下の判決の割合というのはほぼ同程度ということで、必ずしもその解雇ができないというわけではないということを述べております。

 以上が総論でございまして、5ページから各論に入ってまいります。

 ここから二重線の囲みと、それから一重線の囲みがございますが、二重線のほうは裁判例の分析あるいは参考となる裁判例を載せております。

 また、一重線のほうは、関連情報ですとか日本の雇用慣行といったことについて、裁判例以外のことについて記述をしてございます。

 まず「1 労働契約の成立」の「(1)採用の自由」についてでございます。

 判例では、企業には経済活動の一環として、どのような人を雇うかということについては、法律等によって特別の制限がない限り、原則として自由に行うことができるとされております。参考となる判例と、それから関連情報ということで、法律その他で特別な制限ということで、例えばですが、男女雇用機会均等法などを載せております。また、個人情報の保護についても載せておるところでございます。

 続きまして、6ページをごらんいただきたいと思います。

 「(2)採用内定の取消し」ということで、これは外資系企業には理解していただいたほうがいいということで載せております。

 日本では、上記の「長期雇用システム」の下で、新規学卒者の採用については定期採用が広く行われており、優秀な人材を確保するために、在学中に時間をかけて選考を行いまして、入社日より相当前の時期に採用内定を通知する場合が多いということを、まず書いてございます。

 判例では、採用内定につきましても、もちろん事案によっていろいろな性質が異なる場合もありますが、始期付の解約権を留保した労働契約が成立するとしてございます。

 これを解約する場合については、客観的に合理的な理由、それから社会通念上相当性というものがないとできないということでございます。

 上記の法理につきましては、新規学卒者の内定取り消しだけではなくて、外資系企業による中途採用の場合の内定取り消しについても適用した事例があるということでございます。

 参考となる判例といたしまして、取り消しといいますか、解雇が無効になったものと、それから次のページには、それが内定取り消しが認められた事例、それから外資系についての事例をそれぞれ載せておるところでございます。

 また、関連情報といたしまして、もし内定取り消しを使用する場合には、ハローワークの所長などに通知をする義務があるということを載せております。

 続きまして「(3)試用期間」でございます。

 日本では、新卒者の採用において、十分に選考して採用するということでございますので、その試用期間というものも、適格性があるかどうかというものを念のために判断するものだということで、実際にはその本採用拒否となることは少ないということを述べてございます。

 次のページでございますが、判例では、試用期間については、雇用契約の効力が確定し、ただ解約権が留保されているということでございます。

 また、通常の解雇よりは幅広く解雇の自由というものは認められますが、ただ、無制約にできるというものではなくて、これにつきましても、客観的に合理的な理由や社会通念上の相当性がないと許されないということになってございます。参考となる判例といたしまして、2つほど付けてございます。

 次の9ページでございますが「紛争を未然に防止するために」ということで、特に外部労働市場型の場合は労働契約でいろいろな条件などを定めている場合が多いわけですが、この試用期間についてトラブルを未然に防止するために、管理職や相当程度、高度な専門職であって相応の待遇を得て採用された人については、労働者の保護に欠けることがない場合については、労働契約書などについて次のようなことを定め、それに沿った運用をすることで紛争を未然に防止できます、という助言のようなことを書いてございます。

 具体的には、試用期間の期間ですとか、労働者が従事する職務とどのような業績を期待しているか。また、業績等を判断して、場合によっては解雇することがあるということをあらかじめ明記すること。それから、定期的にきちんと勤務評価を行って、もし問題があればそれを労働省に通知し、改善をしてもらうということ。

 そして、どうしても解雇せざるを得ない場合につきましては、きちんと予告期間を置き、また、いろいろな事情を考慮して一定の手当を払うこと、こういったことをあらかじめ定め、それを明確にすることで紛争を防止することができるのではないかということでございます。

 以上が「1 労働契約の成立」についてでございます。

 続きまして、10ページからが「2 労働契約の展開」でございます。

 まず「(1)労働条件の設定、変更」でございます。

 上の囲みでございますが「労働契約は、労働者と使用者が対等な立場での合意により成立し、労働条件が設定されるのが原則」でございます。

 また、労働契約で集団的に労働条件が定められることもありますけれども、労働契約に定める労働条件の基準に違反する労働契約はその部分が無効となって、契約の定めるところによるということでございます。

 次の囲みが日本特有のものということで、特に外資系企業には知っていただきたいということで載せておりますが、10人以上の労働者を使用する事業場においては就業規則を作成する必要がありまして、就業規則で定める基準に達しない労働契約というのは、その部分は無効となって就業規則で定める労働条件が労働条件になるということでございます。

 2つ目の丸でございますが、アメリカなどでは「エンプロイ−・ハンドブック」というものがあるということですが、そこでは、労働条件も定めることもできないわけではないのですが、一般的には職場規律などを定めていて、日本の就業規則とは異なりますよということを書いてございます。

 また、日本の場合は、その就業規則を労働者に周知させて、内容が合理的であればその就業規則に定める労働条件が労働条件になるということを書いてございます。

 次のページも引き続き就業規則のことが書いてございますが、こうした就業規則によって、日本においては多数の労働者を使用して効率的、合理的な事業経営が可能となるということを書いてございます。

 なお、労働契約で、その労働条件については、きちんと明示をしてくださいということも書いてございます。

 その下にも、先ほどと同じように「紛争を未然に防止するために」ということで、あらかじめ労働契約書できちんと定めてほしいということで、ここでは労働時間の関係を例示として挙げておるところでございます。

 続きまして、12ページをごらんいただきたいと思います。

 先ほどが労働条件の設定でございましたが、ここから変更でございます。

 変更につきましても、労使の合意によることが原則でありますけれども、個別合意の場合は、合意の認定が厳格に判断される傾向にあるということでございます。

 他方、日本の場合は就業規則で一律に労働条件を定めるということが先ほどありましたが、変更につきましても、不利益に変更することは原則としてできないわけですが、きちんと就業規則を周知させ、また、内容がきちんとしていれば変更後の就業規則に定めるところによるということを書いてございます。

 参考となる裁判例として、まず一つ目は、先ほどの個別合意による変更で、明確な同意がなかった場合に、その同意を認めなかったという事例でございます。

 それから、その下から就業規則の不利益変更の判例が3つほど並んでおりますが、有名な判例を載せてございます。

13ページをごらんいただきたいのですが、第四銀行事件と、それから先ほどの判例につきましては、不利益変更の内容が合理的だということで変更が認められた事例。それから一番下のみちのく銀行事件につきましては、一部の人にしわ寄せがいったということと、引き下げの幅が大きかったということで、不利益変更の合理性が認められなかった事案ということで、それぞれ載せておるところでございます。

 続きまして、14ページに「(2)配転」がございます。

 次に出てきます出向と、この配転につきましては、日本企業に特有といいますか、よく行われているということで載せておるところでございます。

 まず、「配転」につきましては、内部的な配置転換と、それから勤務地の変更の転勤というものがあるということと、日本でどういう場合に行われるかということで、能力の向上ですとかいろいろな目的で広く行われているということを述べてございます。

 その下の裁判例の分析といたしまして、就業規則に配転の根拠規定があり、勤務地や職種の限定の合意がない場合につきましては、企業は労働者の同意なしに配置転換を命じることができるけれども、それは無制約にできるわけではなくて、業務上の必要性がない、あるいは不当な目的がある場合、あるいは著しく不利益を負わせる場合につきましては、権利濫用となる場合がありますということを述べてございます。

 参考となる判例といたしまして、東亜ペイント事件では、配転を拒否した労働者に対する懲戒解雇が認められた事例を載せてございます。

 他方、15ページのネスレ日本事件につきましては、家族に病気を患っている人ですとか、あるいは親の介護が必要だということで、配転命令が権利濫用とされた事案も載せてございます。

 また、一番下のフジシール事件につきましては、やめさせることを目的として配置転換の命令をしたということで、権利の濫用とされた事例でございます。

 続きまして、16ページをごらんいただきたいと思います。

 「(3)出向」でございます。この出向につきましても、日本企業でよく行われているということで載せてございます。

 目的といたしましては、子会社等への経営や技術指導、それから従業員の能力開発、中高年のポスト不足や雇用調整など、いろいろな目的で広く行われておるということでございます。また、労働契約法の14条でも出向について規定をしておるところでございます。

 参考となる判例といたしまして、新日本製鐵事件を載せております。

 また、17ページでございますが「転籍」につきましても載せておりまして、こちらにつきましても、日本ではいろいろな目的で行われているところでございます。

 裁判例では、転籍につきましては、労働者の同意が必要とされているということでございます。

 参考となる判例といたしまして、2つほど載せておりまして、1つは転籍の命令を拒否した労働者の懲戒解雇を無効とした事例。もう一つは有効とした事例でございます。

 次に、18ページをごらんいただきたいと思います。

 「(4)懲戒」でございます。

 こちらにつきましても、外資系、外国の企業でも懲戒というのはあるということでございますが、日本においては、就業規則であらかじめ懲戒の種類ですとかそういったことを定め、それを労働者に周知させた場合には、まず効力があるということを述べております。また、契約法の15条でも濫用すると無効だということを述べてございます。

 参考となる裁判例といたしまして幾つか載せておりまして、1つ目が懲戒権の事例ということで関西電力事件。それから次のページにいきまして、就業規則に根拠規定がある必要があるのと、それを周知しないと効力が生じないということで、フジ興産事件を載せております。

 また、いろいろな懲戒事由の事例をいうことで、経歴詐称の関係の事例ですとか、あるいは私生活上の行為に対する懲戒権の事例を載せてございます。

20ページのネスレ日本事件につきましては、これは懲戒解雇の事由に当たるのですが、7年以上経過した後に処分をしたということで、社会通念上相当ではないとされた事例として載せてございます。

 それから「(5)懲戒解雇」でございますが、これは先ほどの懲戒処分の最も重い処分ということで、先ほどと同じような事由によって懲戒解雇が行われるということを述べてございます。

 以上が「2 労働契約の展開」でございまして、21ページからが「3 労働契約の終了」についてでございます。

 まず「(1)解雇」の総論ということで、解雇権濫用法理の話を書きまして、客観的に合理的な理由としては、おおむね5つぐらいの分類ができるということを述べてございます。

 次に「(2)普通解雇」で、まず「1労働者の労務提供の不能による解雇」ということで「裁判例では、私傷病による労働能力を喪失した場合には、合理的な解雇理由とされる。」ということでございますが、次のページでございますが、他方で、早期に回復する見込みがあるのに休職等の措置をとらずに解雇した場合は、権利濫用と評価される場合があるということを述べてございます。

 1つ目の東京電力事件は解雇権濫用に当たらないとされた事例でございますが、2つ目の事例につきましては、回復の見込みがあったのに解雇したということで無効とされた事案を載せてございます。

 この22ページの下にも、先ほども出てきたものと同じように、解雇が非常にトラブルが多いということで載せておりますが、外部労働市場型の人事労務管理を行う企業において管理職ですとか専門職の人を採用する場合に、労働契約書等にあらかじめこういったことを書いておくと紛争になりにくいということを書いてございます。

 具体的には、健康上の理由によって職責を果たせない場合には解雇することがあるということをあらかじめ書いて伝えておくと、紛争にならないということでございます。

 次に、23ページは能力不足や勤務態度不良による解雇についてでございます。

 まず、裁判例では、内部労働市場型で長期雇用システムの下で勤務する労働者については、単に能力不足や成績不良といっただけでは解雇がなかなか認められず、その程度が重大であるか、あるいは改善の機会を与えたか、改善の見込みがないかといったことについて慎重に判断される事例が多いということでございます。

 1つ飛ばしまして、他方、外部労働市場型によく見られることでございますが、管理者であったり、あるいは高度な能力を期待されて特定の職務のために中途採用されたけれども、そういった能力がなかったという場合には、比較的容易に解雇有効とした事例もあるということでございます。

 以下、たくさん事例を載せておりますが、例えば24ページをごらんいただきたいのですが、上のエース損害保険事件につきましては、これは外資系企業の事例でございますが、長期雇用システムの下で長期間勤務をしてきた労働者を、不適切な配置転換をした上に能力が不足しているということで解雇した事案でございます。これについては、改善の見込みがないとは言えないということで、解雇が無効となった事例でございます。

 一方、下の日本ストレージ・テクノロジー事件につきましては、英語ですとか、あるいは物流業務の高い能力を買われて中途採用された労働者について、能力が著しく低く、また、勤務態度が不良だったということで解雇した事案でございまして、これについては能力も見られておりますが、態度もよろしくなく、改善の見込みがないということで解雇が有効となった事案でございます。

25ページも同じような事案を載せてございます。25ページの下にも先ほどと同じように、そもそも紛争にならないためにということで、あらかじめ労働契約書などに次のようなことを定めて、それに沿った運用をすることが紛争の防止に役立つということを書いてございます。

 具体的には26ページに書いてございますが、その労働者の担う職務やそれに必要な能力をできるだけ具体的に契約書などに記載をし、記載されたその職責あるいは職務を相当程度に果たすことができない場合には解雇することがあるということをあらかじめ伝えること。また、きちんと定期的に業績評価を行って、もし問題があるのであれば改善するように促すということ。それから一定の手当を払うこと。こういったことをあらかじめ定めて、きちんと伝えることで未然に紛争を防止することができるということを書いてございます。

 3は「職場規律違反・職務懈怠による解雇」ということで、参考となる事例を載せてございます。

26ページの下から「(3)整理解雇」でございます。

 この整理解雇についても、労働契約法第16条が適用されるということを、まず述べております。

 また、次の27ページでございますが、冒頭にありましたように、日本の場合はいきなり解雇というわけではなくて、いろいろなソフトな手段を尽くすことが多いということを書いてございます。

 その下でございますが、裁判例では次の4つの事項に着目して判断が行われるということで「1人員削減の必要性」と「2解雇回避努力義務」「3被解雇者選定の妥当性」「4手続の妥当性」こういった関連から見られるということを書いてございます。

 それぞれについて、分析を書いてございますが、まず「1人員削減の必要性」については、企業の判断を尊重することが多い。ただし、その人員削減の後に大幅な賃上げや大量の新規採用を行っている場合は、そもそも人員削減の必要性がなかったのではないかとされる事例もあるということを述べてございます。

 「2解雇回避努力義務」につきましては、これも画一的にこういうことをしないといけないというわけではなくて、個々の具体的な状況の中で真摯に対応したかということが見られますよということが書いてございます。

 裁判例でも回避措置を一切行わなかった、あるいは他への配置転換などができたのに、それをやらなかったといった場合については、権利濫用とする事例が多いということを述べてございます。

 他方、外資系企業で、特定の部門で高い専門性を期待されて採用された人については、その特定の部門が廃止された場合に、他の部署もそれぞれの専門性がありますので、配置転換が困難ということで、きちんと補償をした上で解雇すれば解雇が有効とされる事例があるということを述べてございます。

 それから、次の28ページでございますが「3被解雇者選定の妥当性」ということで、外国のように法律で具体的な基準ということはありませんが、それぞれの会社ごとに客観的に合理的な基準を設定し、それに沿って公正に行われておれば妥当と認める場合が多いということを述べてございます。

 「4手続の妥当性」ということで、きちんと組合に協議をしたか、あるいは労働者に対して誠意を持って対応したかということで判断されるということが書いてございます。

 飛ばしまして、下の方に「参考となる裁判例」ということで、リーディング・ケースである東洋酸素事件を筆頭に幾つかの判例を載せてございます。

 今回、外資系企業を呼び込むということでございますので、外資系企業についての判例をなるべく多く集めておりまして、解雇が有効になった場合と無効になった場合を幾つか載せておるところでございます。

 飛びますが、32ページにも先ほどと同じように「紛争を未然に防止するために」ということで、あらかじめ契約にそういった経営上の理由や、組織の改編等によって人員削減やポストの廃止などで解雇する場合があるということをあらかじめきちんと伝えておくと紛争になることが少ないということを書いてございます。

 それから、33ページは「(4)特別な事由による解雇制限等」ということで、解雇が禁止されているものを列挙してございます。また、日本特有のものとして、定年制というものがございますので、定年制については60歳を下回ることができないということを書いてございます。

34ページ、これも契約の終了でございますが「(5)退職勧奨」ということで、日本の場合は解雇の前に退職勧奨が行われるということでございますが、それについても、自由な意思決定を妨げるような退職勧奨を行った場合は違法となるということを書いてございます。参考となる判例も付けてございます。

 それから、その下が「(6)雇止め」でございまして、これは労働契約法19条の雇止め法理のことを説明してございます。

 次のページは、その19条の基になりました2つの裁判例を載せております。関連情報として、労働契約法のことについて載せておるところでございます。

36ページは「(7)退職願の撤回」ということで、先ほどの解雇と違いまして、労働者と使用者の合意によって合意解約をすることがあるということを書いた上で、裁判例では、使用者の承諾の意思表示がなされるまでは撤回ができるという事例があるということを述べております。

 参考となる判例として2つ付けておりまして、上は任命権限を有する人にまだ届いていなかったということで撤回が認められた事例であり、下の方は撤回が認められなかった事例ということで、その2つを載せておるところでございます。

 最後、37ページから「(8)退職後の競業避止義務」について載せております。

 これにつきましても、外資系企業の関心が高いということで載せておるところでございます。

 裁判例では、その競業の制限が合理的かどうかというのは、制限の期間ですとか場所的範囲、それから職種の範囲、在職中にその代償を受けていたか、そういったことについて判断をすることが多いということでございます。

 裁判例では、もともとの会社の営業秘密を用いたり、あるいは信用をおとしめたりするような場合には、競業行為ということになるのですが、そうでない場合は、自由競争の範囲だというふうに判断する事例があるということでございます。

 また、同業他社に就職した場合に退職金の返還とことを定めている場合がございますが、退職金については、功労報償的な性格を有するということで、そうした取り扱いも合理性があるとした事例があるということを書いてございます。

 以下、今、申し上げたような参考となる裁判例を載せておるところでございます。

 非常に長くなりましたけれども、以上でございます。

○山川分科会長代理 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの説明につきまして、御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。

 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 ありがとうございます。

 中身の話ではないのですが、雇用労働相談センターの組織のイメージについて事務局にお尋ねしたいと思います。このセンターというのは新しい組織としてつくるものか、またどこかに委託をすることを想定しているかについて、お教えをいただきたいと思います。

 第2点目でございますが、雇用指針の活用の仕方についてお尋ねします。

 雇用指針は一義的に、特区内の企業に対し、雇用労働相談センターが情報提供する際のツールであると思いますが、内容自体は全ての企業にとって参考となり得るものではないかと考えています。

 以前、当分科会でも話が出たかと思うのですが、特区以外の企業に対する活用について、事務局としてどのように考えておられるのか、お尋ねしたいと思います。

 最後でございますが、仮に個別労働紛争が発生をした場合に、この個別的に具体的な事案を、ある企業が雇用労働相談センターに相談に行って必要な対応をとったこと自体や、あるいは逆にセンターに相談したにもかかわらず必要な対応をとらなかったこと自体が司法判断において何か影響を及ぼすものかどうかについて、お尋ねしたいと思います。

○山川分科会長代理 ありがとうございました。

 御質問でございますので、事務局からお願いします。

○村山労働条件政策課長 3点御質問いただきました。

 まず、1点目の組織の具体的なイメージということです。

 少なくとも、何か新しい国家行政組織として出先機関のようなものをつくるものではないという基本的な性格でございます。これは、国家戦略特別区域法を策定しました段階から、そうしたものとして考えておらず、予算措置により具体的な姿をつくっていくということです。

 では、具体的にどういうイメージかということに関しての御関心なのだと思いますが、この国家戦略特別区域という形での取組の進め方について、国家戦略特別区域法では、まず区域を指定するとともに、区域方針を特区ごとにつくった上で、その区域ごとに実際のどのような仕事のやり方をしていくかについては、特区担当大臣や関係者等も入る中で区域計画として具体的な計画をつくり、分担管理大臣としての内閣総理大臣の認定を受けて、その計画のもとで進めていくという今後の道行きになってまいります。

 そうした中で、そもそもこの雇用関係の規制改革措置として位置づけられている取組について、どのように具体化されるかは今後の道行きの中でまた個別に定まっていく面もあるとは思いますが、いずれにしても、先ほど鈴木委員から御指摘のありました委託という手法に関しては、事業の全てなのか、あるいはその一部なのかということはこれからそういう道行きの中で当然考えていくべきところとは思いますが、ものの性格からいって、当然高度の専門性を求められる相談対応等の業務が考えられる以上、委託という手法も当然にあり得るのだろうと考えているところでございます。

 次に、2点目でございます。

 以前の本分科会でも御質問いただきました、あるいは特区法の国会審議の中でも御確認のございました、この「雇用指針(案)」の(案)がとれて「雇用指針」となったときの活用のされ方についてでございます。

 先ほど室長のほうから御説明差し上げた本部決定ですとか、法律に基づきまして特区内の、とりわけ雇用労働相談センターにおける相談や援助の中で用いていくということが第一義としてあるわけでございますが、一方で、一般的な個別紛争の解決援助の中で、こうしたものを労使の御確認もいただいた上で活用できる局面もいろいろあるのではないかと考えております。そうした中で活用する道も含めて、今後よく考えていきたいというふうに考えているところでございます。

 3点目の、仮に紛争となった場合にということでございまして、仮定のお話でございますし、それがまた司法機関においてどのように判断されるかというのは、まさにケース・バイ・ケースなのであろうとは思いますが、先ほどの室長からの最初の説明の、特に留意して御説明差し上げたところにもございますように、何か新しい裁判規範をつくるものではないということを、よく司法関係の方にも御理解いただきながら御判断をいただければと考えているところでございます。

 なお、本分科会にお諮りするのと並行して政府部内でよく調整する必要があることから、この文案につきましては法務省民事局など関係の部局にも見ていただいておりますが、基本的に同様の理解でございます。

 以上です。

○山川分科会長代理 ありがとうございました。

 鈴木委員、よろしいでしょうか。

 ほかに、御意見、御質問等ございますか。

 新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 雇用指針の中身について何点か確認をさせていただきたいと思います。

 きょう、お示しいただいた雇用指針は、参考資料にもありますように、国家戦略特別区域法の規定を受けて設けられたもので、労働紛争を生じることなく事業展開できるように、労働関係の裁判例を分析・類型化したものだという整理の中でつくられたものだと理解しております。

 そういった意味で、この裁判例の分類・分析・類型化ということが非常に重要な中身としてなっておりますが、雇用指針では、項目ごとに「判例」と「裁判例」をきれいに書き分けられています。先例として下級審を拘束する判例と、事例判断とは言いませんが特定の裁判例が出ている中で、判例についてはもう確定しているのでいいのですが、裁判例についてはどのような基準で抜いてきたのか、選定基準といったものが、もしあるのであれば教えていただきたいと思います。

 もう一つは、雇用指針では、総論の部分の書き出しから、「内部労働市場型」というのが出てきて、また「外部労働市場型」と、いきなり二元論的に我が国の労働市場の分析がされています。3ページの上から2つ目の丸には、あくまで一般的な整理であって、個々企業の実態によって異なる、ということも書かれておりますが、実際の裁判では、こういった二者択一的な内部労働市場型だからこうだとか、外部労働市場型だからこういう判断をしたとかというのは余り出てこないように思います。

 敢えて、こういった二元論的な労働市場の型分けを最初に書いた意図なり、どういう意図を持ってこういう二元論的な書き分けをしたのかということをお聞かせいただきたいと思います。

 最後は、非正規労働者の扱いであります。

 これも3ページの上の囲みの最後の枠のところに、この指針は主として正規雇用の労働者をめぐる裁判例を分析して記載しているとあり、正規労働を中心とした記載であることが示されている。しかし、この指針を用いても、相談に来る企業というのは特区法にも例示列記されているように、外国から来る企業ということであれば、有期雇用等々の非正規雇用の労働者もかなりいる可能性があると思います。

 そういった意味でいくと、一部には非正規雇用、有期雇用に関する記述については、例えば解雇のところで労働契約法第17条、労働条件の設定のところで10ページ以降で、労働契約の基本原則である労働契約法第3条の扱いについては記述がありますが、労働契約法第20条の「期間の定めがあることを理由とする不合理な労働条件の禁止」といった重要な規定については記載がありません。確かまだ裁判例はないと思いますが、参考条文として記述することについては、紛争防止という意味ではかなり有意義ではないかと思われますが、それが入っていない理由についても教えていただきたいと思います。

 以上です。

○山川分科会長代理 それでは、こちらも御質問でしたので、事務局からどうぞ。

○村山労働条件政策課長 お答え申し上げます。

 まず、第1点目の判例、裁判例の点でございますが、判例、裁判例の言葉の使い分けの考え方については、まず、お答えの前提として新谷委員おっしゃるとおりでございます。

 その上で、特に裁判例の選定の考え方ですが、総じて申し上げれば総合的な判断ということですけれども、既にさまざまな学説等ある中で、さまざまなお立場が書かれている労働法の標準的なテキスト等で取り上げられているものを前提としつつ、さらに今回の政策上の狙いが特に外資系企業等、グローバル企業等であるというところも踏まえまして、また、特に濫用審査のようなものが行われた上で、ある使用者側の行為が有効となった場合と無効となった場合のバランスなどにも配意しながら、並行して公益委員の御指導もいただきながら、このような形で選定してきたという経緯でございまして、そうしたものを総合的に判断して記載しているということで御理解いただければと思っております。

 2点目の内部労働市場型、外部労働市場型は、御指摘のような点が確かに懸念されますので、まさに今、委員から御指摘のありました3ページ目の真ん中あたりの丸のところで、これはあくまで理念的な一般的な整理であって、個々の企業の実態により特徴の組み合わせが異なるし、また、1つの企業の中において異なる管理が行われている場合もあって、二者択一ではないということに併せて、さらに個々の事案ごとに判断も異なることは、裁判例を分析・類型化した本指針についても同様であると書いているという点を、まず押えていただければと思います。

 その上で、なお、やはり説明の仕方として、やや二分法のきらいがあるではないかということに関してですが、今回、求められているのは裁判例の分析と類型化です。類型化という意味では、各論が類型化したところになりますし、既にさまざまな形で裁判例集、判例集として出されているものに、さまざまに優れた類型化の事例もあるところでございますが、今回の雇用指針の性格といたしまして、特に相談の窓口で外資系の企業の方々、あるいはベンチャー企業等で今後の労務管理をいろいろ検討されている方々に、基本的な考え方のようなもののフレームワークをお示ししながら、具体的な説明を行う必要性も考えますと、極力決めつけ的なものにならないように配意しつつも、特に今回の特区ワーキンググループ等での議論の中でも取り上げた外資系企業や新規開業直後の企業の一部に見られる職務(ジョブ・ディスクリプション)が明確で、労働契約の契約ベースで細かい労働条件設定が行われる方々について、やや対比的に書いて説明しやすくしているということも、御理解をいただければと思います。

 もとより、御指摘にありましたように、個々の裁判例なりそういったものの中で、こうした何かレッテルを貼るようなことは行われていないというのは、まさに御指摘のとおりでして、今後これを相談、援助等の場面で使うに当たっては、御指摘のような御懸念を生まないように十分留意してまいりたいと考えているところでございます。

 3点目でございます。

 全体としての考え方は、先ほど室長からも御説明差し上げましたように、主としていわゆる正規雇用の労働者の方々に関する裁判例の分析・分類や関連する制度を出発点としつつも、3ページの2つ目の丸のところにございますように、非正規雇用労働者に関する法令の適用の例として、パートタイム労働法であるとか労働者派遣法に関する言及も行っておりますし、また、雇止め法理や無期転換ルール、あるいは労働基準法に基づく雇止め告示等も盛り込んでいるところです。

 その上で、労働契約法20条については、委員からもございましたように、現時点でその裁判例が具体的にまだない状況です。

 その上で、3ページの先ほど申し上げた、2つ目の丸のところに、パートタイム労働法と派遣法の後に「等」とさせていただいておりますが、この「等」の含意は、24年改正労働契約法の中で18条、19条については雇止め関連の記述で言及しておりますが、20条についてはここで労働契約法と書くとむしろ労働契約一般のルールである労働契約法が、何か非正規労働者に専ら焦点を当てた法律だと誤解されるおそれもあるかなということもございまして、公益委員とも御相談の上、この「等」のところで読ませていただいたということです。

 もとより、現時点で取りまとめている案、現時点の立法や、あるいは裁判の動向を踏まえて取りまとめた案ですので、今後また定期的にしかるべき見直しのタイミングが来て、そのときによりふさわしい裁判例等が出ているのであれば、位置づけ直すということの含みも否定されるものではないのではないかと考えておりますが、現時点のものとしては、これで御理解いただければありがたいと思っているところです。

○山川分科会長代理 ありがとうございました。

 新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 ありがとうございました。

 3ページについては、「等」で労基法の20条を読みこむことについては、どういったら読めるのかなとも思いましたが、御説明を聞いてそういうことなのかと思いました。

 もう一つ、これは意見ですが、21ページに解雇の説明が書いてあります。一番上の枠組みで、労働基準法第20条の解雇予告と民法第627条の期間の定めのない雇用契約の解約について書かれてあって、これが独立の項目として1個あります。そして、その下にまた二重線の囲みがあり、「しかしながら」と、最初の枠組の内容を打ち消す判例が書いてあって、3つ目の囲みで、今度は成文化された労働契約法第16条の記載が出てくる構成となっています。

 確かにこの構成から、2008年から施行されている労働契約法第16条が、判例法理に基づいて、労働基準法第18条の2から入ってきたという流れはわかりますけれども、ただ、我が国は制定法主義ですから、やはり判例よりも成文化された法律条文のほうが法源としては上位にあるということを考えると、本来であれば、一番上の囲みと3つ目の囲みは同じ囲みの中に入れておくべきと考えます。民法の大原則は確かに解約自由となっているけれども、それを受けた労働契約法理では、労働契約法第16条でこれは否定をされているのだという流れが最初の囲みで出てくるほうが紛争解決という意味からは、非常に自然で読みやすいと考えます。

 現在の構成では、最初の独立した囲みだけを読んでいると、日本では解雇が原則自由と読まれかねませんので、紛争防止という観点からすれば、ミスリードをしかねない現在の構成よりも、上の囲みと3つ目の囲みは同じ囲みの中に入れた方が良いのではないかと思いますので意見として申し上げておきます。

 以上です。

○山川分科会長代理 ありがとうございました。

 ただいま新谷委員から御意見が出されましたが、この点あるいはほかの点でも結構かもしれませんが、何か御意見、御質問等ありますでしょうか。

 野崎委員、どうぞ。ほかの点でも。

○野崎委員 先ほど、この雇用指針の活用についてというテーマでお話がありまして、その活用については、これから細かな点については検討されるということだったのですけれども、その場合に、この指針というものが雇用労働センターの職員がこれをお読みになって、それを外資系企業とか関係者に説明するということをイメージされているのか、それとも、この雇用指針というものを、当事者の方にも配付することを想定されているのかというようなことが一つ疑問で、それはどうしてかといいますと、そのことによって大分この雇用指針というものが流布するかどうかということにかかってくると思うのですね。

 そのことを一つお聞きしたいことと、その場合、細かなことなのですが、例えば裁判例について、非常に的確な御説明で要約して書かれているということはわかるのですが、その場合に、この雇用指針限りでこの裁判例の中身を見るか、あるいは原点にまで立ち帰って見たいという方がいるかもしれない。その場合に、この参考となる裁判例の特定の仕方だけでいいのかどうか、出典を書いたりという、あるいは事件番号を書いたりということがあってもよいのかということが気になります。

 それから、もう一つは、裁判例の要約なのですけれども、今まで御説明がるるありましたように、判例も判断基準を定立しているものと、単なる事例で個別判断をしているものとがあるということなのですが、大体が判例においては判断基準を示して、そしてそれに対してこの個別にその基準を適用した結果を書いて、それが結論に結びついていくというものだと思います。細かなところでその基準と、それからその事案の特性というものがよりはっきり出ているのかどうかということについては、再度御確認いただきたいと思います。

 以上です。

○山川分科会長代理 ありがとうございました。

 では、関連ということで、高松委員、どうぞ。

○高松委員 雇用指針の活用という点で2つほど要望を申し上げたいと思います。先ほど鈴木委員からご発言がありましたとおり、雇用指針の中身については私も特区内に限らず、全国的に広く参考事例という形で活用すべきではないかと思っております。

 ただ、これまでもいろいろなガイドラインや指針等が出されていますが、なかなかその存在が広く認知されていないという実例もあったかに思いますので、今回の雇用指針については、せっかくの機会ですので、今後、企業のみならず労働者に対しても、良い参考事例となるように、周知徹底の方向について十分御検討いただきたいと思います。また、今後の活用の仕方として、やはり目に触れやすい機会というものが必要だろうと思っておりますので、例えば厚生労働省のホームページ等の活用も視野に入れての検討などもいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

○山川分科会長代理 ありがとうございました。

 関連してほかに何かございますでしょうか。

 池田委員、どうぞ。

○池田委員 基本的な点について確認したいのですが、この雇用指針が周知された後に、裁判等において、事前に指針の内容を理解していたのではないかということで、企業にとって不利なものにはならないということでよろしいのでしょうか。

 また、最初のページに書いてあるように「新規開業直後の企業及びグローバル企業等」を想定したものということですが、開業前の企業などには周知しないのでしょうか。なぜ新規開業直後の企業としているのかが疑問です。また、なぜこの雇用指針が特区内の企業に資するものなのでしょうか。外国と日本の雇用ルールではこうした点が違うということをもう少し明確にして、それを事前に企業によく認知させた上で、特区ではこういう点で規制が緩やかであるとか、そういうものでないと。現状の雇用ルールを解説しているだけのものを、なぜ特区法で規定する必要があったのかと、このような単純な疑問を持ちました。

 以上です。

○山川分科会長代理 ありがとうございました。

 ここまで出されてまいりました点は、周知ないし活用の仕方にかかわってであったと思います。

 先ほど野崎委員からは一部御質問、活用の仕方、それから表記の仕方も含めて御質問、あと御要望もございました。今、池田委員からの御発言も御質問が含まれていたと思いますので、これは事務局からお答え、御説明いただけますか。

○村山労働条件政策課長 まず、野崎委員の御質問で、相談に当たる人が手持ちのような形で持つものなのか、広く国民一般に周知することを考えているのかということですが、後者ということです。

 次に、野崎委員からの第2の御質問で、出典や事件番号についてですが、下級審の裁判例や決定も多く、民集に所収されているものだけのものでもないので、例えば雇用指針をホームページ等に掲載するときに、少なくとも最高裁のホームページを見るとどういうものが見られるかとか、そういったことなども含めて、指針本体というよりはその掲載の仕方の中で、よくまた野崎委員初め詳しい先生方の御指導もいただきながら検討したいと考えているところでございます。

 それから、高松委員からございました「広く」活用すべきという考え方につきましては、先ほど野崎委員へのお答えと重なりますけれども、しっかり取り組んでいきたいということでございます。

 また、この雇用指針は、先ほど室長からの説明もございましたように、本日、公労使の皆様方から御意見や御質問をいただいた上で、最終的には国家戦略特別区域諮問会議という総理以下閣僚やあるいは有識者の方々が入った官邸で開催される会議の意見も聞いた上でオーソライズされていくプロセスになっております。

 政府全体でつくりあげていくという位置づけになっておりますので、既に内閣官房ともお話していますが、厚生労働省のホームページ等、いただいたアイデアも含めて対応していくとともに、政府全体でもしっかり対応していきたいという方向で既に相談をしているということも御報告を申し上げます。

 それから、池田委員から2点の御質問をいただきました。

「新規開業直後の」というのは、恐縮なのですが、最初に御説明した日本経済再生本部決定が「新規開業直後の企業及びグローバル企業等が」という書き方になっており、そこから来ておりますが、「新規開業直後の企業及びグローバル企業等が」の「等」は広く読むということが関係者の共通理解になっておりますので、あるいはまた、事前からの相談というようなことも同じ決定の中にも入っておりますので、趣旨としては、池田委員おっしゃるように、事前からの相談にも活用するということであり、特に開業直後の企業に限らず広く活用していきたいということです。

 最後に、どうして特区なのかということから始まりまして、外国との違いについてのお話もございました。典型的な事例等を幾つかヒアリングしましたが、例えば就業規則に関しては、基本的な性格や作成方法について進出予定企業から、いろいろ御相談があるそうですので、エンプロイー・ハンドブックなどとの違いなどについて、この「雇用指針」の案の中にも書いております。

 その上で、解雇等の民事上の紛争処理のあり方などご指摘の点については、なかなかこの指針の所期のスペースや、性格の中で我々もまだ力量不足でこなしきれていない部分がございますが、今後の宿題とさせていただくことも含めて、御指摘の趣旨も踏まえて、今後どのような形でより使いやすいものにすることができるか、現実の相談の状況を踏まえながら考えていきたいということで御了承いただければありがたいと考えております。

○山川分科会長代理 ありがとうございました。

 先ほどの御質問でもあったところですが、典型的な日本企業の労務管理の仕方あるいは日本の労働法に特有と見られる部分については、特に意識的に記載したというような御説明であったかと、先ほどの御説明でもそういうものであったかというふうに思います。

 池田委員、よろしいでしょうか。ほかに。

 では、新谷委員、お願いします。

○新谷委員 雇用指針を実際に使う現場となる雇用労働相談センターの内容について確認をさせていただきます。厚生労働省の26年度予算案の中に、センターの設置に5億円の予算が計上されております。これは諮問会議のほうで決められるのでしょうけれども、雇用労働相談センターについては、どれくらいの設置数を見込んでこの5億円の要求をされたのかをお伺いしたいと思います。また、センターのあり方については、国会でも論議され、また、我々もこの審議会の中で、二重行政になってはならないこと、準司法機関的な判断権限は与えてはならないことを申し上げてきたところです。また、労働局等既存の組織との関係については、厚労省予算で要請され、かつその特区で設置をされるが、何か新しい国家行政組織としての出先機関のようなものをつくるものではないという御説明だったのですが、行政のラインとして都道府県の労働局長との関係はどのようになるのかというのを確認させていただきたいと思います。

 それともう一つ、先ほど池田委員から、特区の中は解雇の規制が緩いというような御発言があったように私はお聞きをしたのですが、そういうことは当然ないという認識をしておりますので、ここについて確認させていただきたいと思います。もう一つは、原形になった国家戦略特区特別ワーキングの9月20日の資料の中では、新規開業、起業した企業と外国人の比率が30%以上の企業というのが対象になっており、外国人の呼び込みに、もともとの狙いがあったかと思います。要するに、我が国の事業、経済の活性化のために高度人材を中心とした外国人が我が国に来て、我が国の労働市場を活性化して、ビジネスチャンスを広げていって、雇用にもいい影響を与えるといった、そういう呼び込みをしたいということが、政府が狙っているところだったと思います。この場合、特に外国語を話せる相談員を置くことになるのではないかと思いますが、この雇用労働相談センターというのは、多分労働法のプロフェッショナルの方がいると思いますが、企業からの相談だけではなくて、そういった当該外国人労働者についても相談にのるのか否か、また、それは外国人に限らず特区内の日本人労働者からの相談について、どのような扱いにするのか、確認をさせていただきたいと思います。

 以上です。

○山川分科会長代理 ありがとうございました。

 センターの数、機能、役割等についての御質問でございましたけれども、こちらは事務局から。では、参事官。

○里見参事官 センターについて何点かお尋ねいただきましたので、お答えいたします。

 まず、26年度予算案において約5億、4億9千万余りをお願いしておりますけれども、これは予算を積算するために必要があり、仮に5つの特区ができた場合を想定してのものであります。

 これは御案内のとおり、今後、特区諮問会議等で御検討いただくということですので、それに備えてということで、具体的な数字はこれからということでございます。

 それから、二重行政ではないかという部分につきましては、やはり、こちらのセンターがグローバル企業等ということを主眼として設置するものでございますので、特に先ほど来、御説明しています雇用指針、こちらを英訳等しまして海外の方々にも対応できるようにと、そういう意味では通訳も配置いたしますし、あるいは司法等の高度な、専門的な相談についても英語等で対応できるようにするということで、そこは十分特徴、色分けをできるのではないかと考えております。

 それから、企業に対して以外に、外国人含め労働者に対してということでございますが、こちら法案の審議の中でも国会での附帯決議において労働者に対する相談もということで決議もいただいておりまして、私ども政府側としてもそれを配慮して、もちろん労働者からの相談にも応じていくという姿勢で臨んでまいります。

ただ、詳細等はまた今後詰めてまいりますので、御理解のほどよろしくお願いいたします。

○山川分会長代理 では、課長、どうぞ。

○村山労働条件政策課長 続きまして、新谷委員から確認いただいた、特区の内外で解雇権濫用法理等の解雇ルールに関する適用の在り方が、何か変わるものではないなということですが、変わることはないという理解ですし、先ほどの池田委員の御発言も、決して変えるべきといった趣旨で御発言されたものではないものと考えております。

 もう一つ、労働局との指揮命令の関係というお話もございましたが、参事官から申しましたように、これから詳細いろいろな制度設計をしていくものですから、いずれにしても国家行政組織、具体的にはハローワークや監督署のような組織の新しい種類のものができるわけではないということは前提としつつ、どのような具体的な運営の仕方にしていくのかということについては、政府全体で、とりわけ今回のやり方でいいますと、区域の方針に従った計画をつくって、その中で地域の特性も生かしながらという仕組になっていますし、また、特区に指定されても、雇用関係以外に、例えば歴史的建造物の活用とか農業で色を出そうという特区もあり得ますし、医療ですとか建築物容積率の特区もあり得るという中で、特に雇用がテーマになる場合、どのような持ち方がいいのかということについて、政府部内でよく調整していきたいと思います。

 先ほど参事官からも強調して御説明しましたが、先ほど申し上げた4.9億円強の積算根拠としては幾つかという数字が空白では予算化できないので仮置きでやっていますけれども、まさに指定等は政府全体あるいは政権としてこれからの話でありますので、その点は重ねて申し上げる次第です。

 以上でございます。

○山川分科会長代理 ありがとうございました。よろしいでしょうか。

 八野委員、どうぞ。

○八野委員 今の村山課長のお答え等々にも少し関連するところなのですが、今、新谷委員のほうから雇用労働センターの組織体制の質問があって、今お答えをいただきましたが、センターでの相談・助言というのは専門性を持って行われるというものと、特区法案の附帯決議の中にもありましたが、労使双方にとって公平・公正な形で行われることも非常に重要だと思っています。

 そうした観点から、センターで実際に相談・助言業務を担うということになると、相談員がどのように選定されるかということが非常に重要であると思います。

 現在、「総合労働相談コーナー」においても解決に向けた援助が行われていますが、相談員の構成を見ると、社会保険労務士の人が6割近く、それと人事労務管理の経験者が3割近くと、ある意味使用者側に近い人選に偏っているのではないかという印象があります。

 やはり、今回の「雇用労働相談センター」においては偏りのない中立的な人選がなされなければならないと考えています。そこで、センターでの相談員の、現時点での人選のあり方に関して事務局の考え方等を確認させていただければと思います。

 以上です。

○山川分科会長代理 ありがとうございました。

 では、御質問ですので、村山課長からお願いします。

○村山労働条件政策課長 先ほど来、何度も同じ回答で恐縮ですが、これから具体的な運営を詰めていくということの段階ですので、また、よく御指摘の点も踏まえて対応していきたいと考えております。

 今、八野委員からもお話がございましたように、国家戦略特別区域法案採決時の附帯決議におきまして、公平・公正ということがうたわれておりますので、一方では、現在の労働局等の相談コーナーの対応者についても御指摘の側面もありつつも、研修の充実等により公正な運営を図ってきている経緯もございますので、そうした点も含めて、また、よく御指摘の点を心に置いて考えてまいりたく存じます。

○山川分科会長代理 ありがとうございました。

 ほかに何か御意見、御質問ございますか。

 先ほど新谷委員から解雇に関して判例と民法等の条文の記載の並べ方についての御意見がありましたけれども、この点について何か特段御意見ございますか。

 どうぞ、新谷委員。

○新谷委員 先ほど池田委員も御指摘をされた点とも関連するのですが、我が国の解雇規制のルールと諸外国のルールの違いの一番大きなところは、やはり解雇を直接禁止する規定を設けているかどうかであると思います。我が国は解雇自由の中で権利濫用法理を絡めて体系をつくっているわけですが、そこの違いをうまくわかってもらわないと、特に外国から来られた方は、直接禁止規定がなくて解雇は自由なのだと読まれかねないという懸念が先ほど申し上げた点であります。その法制の違いを明確にするためには、原則解約自由という民法第627条の原則はあるものの、労働法制の中では労働契約法第16条で濫用法理をとっていると、こういうつながりが同じ囲みの中で見えることが、非常に自然ではないかと思いましたので、重ねてその点を申し上げたいと思います。

 以上です。

○山川分科会長代理 ありがとうございました。

 では、事務局から何かありますか。

○村山労働条件政策課長 池田委員の御提起を契機とした新谷委員から再度の御意見の表明もございました。事務局でも今、少し相談したところでございますが、今の新谷委員の御発言、まさにありましたように、その627条を出発点としつつ積み上げられてきた法理があり、そして制定法化されてきた流れ自体が、言い換えれば、案文の丸の並べ方の順番自体がおかしいものではないという御提起の一方で、この枠囲いがやや機械的に判例、裁判例のところと慣行や法律のところとで、記号を分けているところがあらぬ誤解を生むという点も含めての御指摘だったと思います。

 この枠囲いの点、ややテクニカルな点もございますので、御指摘を踏まえてよく分科会長代理とも御相談の上、今後の対応について考えさせていただき、また必要に応じて公労使各側にメール等で御相談したいと考えております。

○山川分科会長代理 ありがとうございました。

 内容的に、特に解雇自由とか書いてあるわけでもありませんので、いわばレイアウトとして誤解を招かないようにと、そういう御指摘ということですね。

 では、鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 ありがとうございます。

 要望、意見ということで2点ほど申し上げたいと思います。

 まず、第1点目ですが、2ページ目に先ほど事務局からも御説明ございましたように、外部労働市場型の人事労務管理を行っている企業の特徴ということで、るる記載がございます。

 ただ、外資系企業と申しましても、実際には日本的なよさと外資系のよさを組み合わせて人事労務管理を運用されているケースも少なくないというふうに聞いておるところでございます。外資系企業でも、解雇手続の前に退職勧奨による合意退職を促すようなケースもあると聞いております。

 3ページに十分書き込まれており、念のため申しあげるものですが、実態はかなり多様だという点については、活用の際くれぐれも御留意をいただき運用をお願いしたいと存じます。

 第2点目でございますが、司法判断というのは時代とともに変わり得るものだと思っております。先ほど村山課長から、しかるべきタイミングで見直しをされることの言及があったところでございますが、例えば、大きな判例変更があったような場合には適宜見直しを御検討いただきたいということの2点を要望として申し上げたいと思います。

○山川分科会長代理 ありがとうございました。

 こちら御要望ということで。何か村山課長からありましたらお願いします。

○村山労働条件政策課長 1点目は、労側、使側それぞれから御提起があった点で、くれぐれも留意して今後務めてまいりたいと考えております。

 2点目につきましても、よく判例の動向等を公益委員の先生にも御指導いただきながら、また労使ともよく御相談して適宜適切な対応をとってまいりたい、このように考えております。

 以上です。

○山川分科会長代理 ありがとうございました。

 ほかは、特によろしいでしょうか。

 それでは、この「雇用指針」(案)の内容自体につきましては、特に御異存がないというふうにお見受けしました。

 表記、レイアウトその他については御意見がございまして、その他若干表記的に直す誤字のようなものもあるかもしれませんので、その点も含めまして、分科会長代理としておあずかりさせていただいて、事務局とも御相談の上、案として取りまとめて、その過程でメール等で御確認をいただくということがあろうかと思います。

 その上で、事務局におきましては今後、内閣官房と連携して、政府として国家戦略特別区域諮問会議の意見を聞くという手続に入るよう、お願いいたします。

 それでは、ほかに特にございませんでしたら、この議題についてはそのようにさせていただきます。

 さて、次回の分科会では労働時間法制についての議論を再開いたしたいと思います。

 事務局から、次回の日程につきまして説明をお願いいたします。

○岡労働条件確保改善対策室長 次回でございますが、4月3日木曜日14時〜16時を予定しております。場所につきましては、また追って御連絡申し上げます。

○山川分科会長代理 ありがとうございます。

 それでは、ほかに特にございませんようでしたら、本日の分科会はこれで終了いたします。

 議事録の署名につきましては、労働者代表は八野委員、それから使用者代表は小林委員にお願いいたします。

 本日は、お忙しい中、大変ありがとうございました。


(了)

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