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2014年1月30日 第2回厚生科学審議会感染症部会議事録

健康局結核感染症課

○日時

平成26年1月30日(木) 10:00〜12:30


○場所

イイノホール4階 RoomB1・B2・B3


○議題

(1)感染症法の見直しについて
(2)風しんに関する特定感染症予防指針(案)について
(3)その他

○議事

○齋藤結核感染症課長補佐 それでは定刻となりましたので、ただいまより「第 2 回厚生科学審議会感染症部会」を開催いたします。開会にあたりまして、佐藤健康局長より御挨拶申し上げます。

○健康局長 健康局長の佐藤敏信でございます。どうかよろしくお願いします。

 本日はお忙しいところ、会議のためにお集まりいただきまして本当にありがとうございます。また、平素より感染症対策全般について、始終、御至言、御助言、御指導を賜っておりますことに、この場をかりて厚く御礼を申し上げます。

 さて、本日のこの会議から数回に分けまして御議論いただくことになるのは、感染症法に規定する感染症の範囲、その取扱い、類型、こういったことについて感染症法上は 5 年ごとに見直すこととなっております。そういうことで、これを議題にしていただいて御議論いただくことになります。

 今日の具体的な議題としましては、新聞等で話題になっております、中国におきます鳥インフルエンザ A(H7N9) についてです。昨年 4 月の感染症部会での御議論を踏まえまして、現在は、指定感染症ということで二類感染症に相当するような取扱いということでやっておりますが、この指定の延長についてまず御議論いただきます。

 このほかに侵襲性髄膜炎菌感染症、麻しん等の感染法上の取扱い、地方公共団体における感染症対策における検査の実施の確保、こういったことについて御議論いただきたいと考えております。

 何回かに分けまして、「風しんに関する小委員会」においても御議論いただきました「風疹に関する特定感染症指針 ( ) 」の策定についても、御審議、御検討を賜りたいと思います。

 限られた時間ではございますが、どうか活発に御議論いただきますようお願いをいたしまして、簡単ではございますが、冒頭の挨拶にかえさせていただきます。どうかよろしくお願いします。

○齋藤結核感染症課長補佐 それでははじめに、今回より新任の委員の先生がいらっしゃいますので、御紹介申し上げます。白阪委員の後任として、東京医療保健大学大学院医療保健学研究科感染制御学准教授の菅原えりさ委員。古木委員の後任として、兵庫県多可町健康福祉課副課長兼地域包活支援センター所長の桑村安佳美委員。皆川委員の後任として、山口県環境保健センター長の調恒明委員。山川委員の後任として、霞ヶ関総合法律事務所弁護士の中山ひとみ委員。以上の先生に新しく御参画いただいております。

 続きまして、委員の出欠状況を御報告いたします。本日は、磯部委員、小野寺委員、廣田委員より御欠席の連絡を頂いております。現時点で、定足数以上の委員に御出席いただいておりますので、会議が成立しますことを御報告いたします。

 ここからは渡邉部会長に議事をお願いいたします。

○渡邉部会長 おはようございます。まず議事に先立ちまして、事務局より資料等の確認をお願いいたします。

○齋藤結核感染症課長補佐 資料の確認をさせていただきます。議事次第、配布資料一覧のほかに、資料 1 から 8 まで、参考資料 1 から 9 まで御用意しております。そのほかに追加配布資料として、一部 2 枚紙を机上に御用意しております。配布資料一覧と照らして、不足の資料がございましたら事務局にお申し付けください。よろしいでしょうか。

 冒頭のカメラ撮りについては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。

○渡邉部会長 先ほど佐藤局長からお話がありましたように、今日は幾つかの議題について、これから活発なる討論をしていただくわけですが、まず、議題 (1) として、感染症法の見直し、議題 (2) として、風しんに関する特定感染症予防指針について、議題 (3) の「その他」として、薬剤耐性菌の国内発生動向調査体制の強化について議論していきたいと思います。皆さんの活発なる御議論と円滑なる進行に御協力をよろしくお願いいたします。

 それでは議題 (1) について、事務局から資料に基づいて説明をお願いいたします。

○齋藤結核感染症課長補佐 事務局より資料 1 「感染症法の見直しについて」、御説明申し上げます。

2 ページの「感染症法の見直しについて」、この経緯を申し上げます。感染症法第 6 条に規定する感染症の範囲及びその類型は、少なくとも 5 年ごとに、医学医療の進歩の推移、国際交流の進展等を勘案しつつ検討するとされております。

 前回、感染症の範囲及びその類型を見直したのは、平成 20 年に新型インフルエンザ等感染症という類型が設けられたときであり、それ以来、感染症の範囲及びその類型は見直されておりません。また、平成 20 年改正時の附則においても、改正後の規定の施行状況に関し 5 年後の検討規定というものがあります。

 今般、前回の見直しから 5 年が経過していることから、医学医療の進歩の推移、国際交流の進展等を勘案しつつ感染症の範囲及びその類型の見直し等について検討する必要がございます。また、併せて、その他所要の検討を行いたいと考えております。

 検討の必要な事項として、大きく感染症・病原体の感染症法上の位置付け、感染症サーベイランス体制の整備・強化等を考えております。併せて、追加資料の 2 、感染症の分類と考え方、感染症法の対象となる感染症について、現在の状況をまとめておりますので御参照ください。

○渡邉部会長 今、事務局から説明がありましたように、 5 年ごとに感染症法の見直しを行うことになっております。今般、それに基づいて幾つかの点をこれから議論していただくわけですが、この 5 年後の見直しについては、皆さん、よろしいでしょうか。確認というか、この見直しについて、何か御意見がありましたら。

 特にないようでしたら、資料 2 に基づいて次の説明をお願いします。

○齋藤結核感染症課長補佐 資料 2 「平成 20 年改正法の施行状況について」を御覧ください。平成 20 年時の改正法の概要ですが、新型インフルエンザについては、既存の感染症対策を超えた対応が必要であり、従前の一類感染症から五類感染症の類型のいずれかに位置付けるだけでは十分な対応がとれないことから、新型インフルエンザ、再興型インフルエンザの類型を新たに設け、新型インフルエンザ等感染症に対し講ずべき措置というものを規定しております。

 施行状況ですが、平成 21 年のインフルエンザ (H1N1)2009 ウイルスの世界的流行があり、日本においては、当初、平成 20 年改正法により設けられた類型である「新型インフルエンザ等感染症」に該当するとされ、感染者は入院勧告等の対象となりました。平成 23 3 31 日、「新型インフルエンザ」と呼ばれていたこのウイルスについては、通常の季節性インフルエンザとして取り扱うこととし、対応も通常のインフルエンザ対策に移行しております。

 その後、平成 24 年、平成 21 年の新型インフルエンザ流行時の教訓を踏まえ、対策の実効性をより高めるための法制の検討を重ね、新型インフルエンザ等対策特別措置法が制定されました。

 平成 25 年、新型インフルエンザ等対策の実施に関する基本的な方針や国が実施する措置、病原性の高い新型インフルエンザ等のみならず、病原性が低い場合等様々な状況で対応できるよう、対策の選択肢を示した新型インフルエンザ等対策政府行動計画及び同行動計画を踏まえた新型インフルエンザ等対策ガイドラインが策定されております。

 論点としては、平成 20 年の感染症法の改正規定、予防接種法、新型インフルエンザ等対策特別措置法等の法的枠組みにのっとり、平成 25 年策定の新型インフルエンザ等政府行動計画、新型インフルエンザ等対策ガイドラインを踏まえた対策の具体化が進められているところです。よって、現時点において、新型インフルエンザ等対策における法的枠組みに関しましては、特段の見直しの必要はないと考えられますが、いかがでしょうか。

 以上、御議論、御審議をお願いしたいと思います。

○渡邉部会長 今の事務局からの説明のように、平成 20 年度から新型インフルエンザについて幾つかの取組を厚労省としては行ってきているわけです。特に H1N1 2009 のウイルスについては、今年も今、流行しているということで、新聞等で問題にされておりますけれども、これについては通常のインフルエンザ対策ということで行っているわけです。

 そのほかに、新しいインフルエンザが出た場合に対する対応として特措法を作りまして、それに対してのいろいろな取組を現在までに行ってきているわけであります。そういうことを踏まえて、さらに、この新型インフルエンザ対策等に関して何か取り組むことがあるのか、それとも今のような進行状況でよろしいのか、その辺の御意見を伺えればと思います。よろしくお願いいたします。

 特にないようでしたら、今の取組を続けていくということで御了承いただくことでよろしいですか。

                                    ( 異議なし )

○渡邉部会長 ありがとうございます。続いて資料 3 の説明をお願いします。

○齋藤結核感染症課長補佐 資料 3 「鳥インフルエンザ A(H7N9) の感染症法上の取扱い等について」の説明をさせていただきます。

2 ページですが、感染症法上の位置付けについて、現状を申し上げますと、感染症法では、感染症を1.罹患した場合の重篤性、2.感染力、3.感染経路等を総合的に勘案して一類感染症から五類感染症に分類し、それぞれの分類に応じて可能な措置を決定しております。また、それ以外に、緊急時等への対応として、指定感染症、新型インフルエンザ等感染症、新感染症の分類を設定しております。

 鳥インフルエンザについては、感染症法上、四類感染症に位置付けられておりますが、その病原性や感染力、新型インフルエンザへの変異の恐れを考慮し、 H5N1 型に限り、二類感染症に位置付けております。

 鳥インフルエンザ A(H7N9) については四類感染症ですが、政令で指定感染症としても指定しており、 H5N1 型並の対応が現在可能となっております。ただ、この政令については、今年の 5 6 日に効力を失います。なお、この指定感染症については、 1 年以内に限り政令で延長が可能となっております。

 本日の御審議いただきたい点は、この鳥インフルエンザ A(H7N9) について、四類感染症かつ指定感染症として、鳥インフルエンザ A(H5N1) と同等の措置 ( 二類感染症相当 ) を継続して行ってはいかがかという点についてお願いしたいと考えております。

 続いて 3 ページの参考資料ですが、鳥インフルエンザ A(H7N9) のヒトへの感染の対応について。こちらに現在の状況がまとめられております。現在、感染確定患者については、 WHO 1 27 日発表等に基づくと、 238 名の患者、うち死亡者 56 名が報告されております。発生地域は中国・台湾・香港。平成 25 10 月以降に限れば患者 103 名、うち死亡者 9 名の報告がございます。

4 ページですが、鳥インフルエンザ A(H7N9) 2013 4 月、指定感染症に指定した際の状況です。昨年 3 31 日に中国政府が 3 名の感染を公表し、その後、感染症部会が開催される前の 4 17 日時点で患者数 77 名、うち死亡者 16 名の発症事例が報告されている状況です。また、重症事例も多く、感染者の急速な増加をみせているところでした。

 また、トリからヒトへ感染しやすくなっている可能性があるとの報告があり、また、ヒトからヒトへの感染の変異の恐れがあるということが示唆されておりました。

 さらに、日本と中国間ではヒトの往来も頻繁であり、 H5N1 と比べ、国内で患者が発見される可能性は同程度以上と想定されました。

 こうした状況を踏まえ、 2013 4 月に感染症分科会を開催し、 H7N9 を指定感染症及び検疫感染症に指定することについて議論いただき、了承を得ました。その後、 2013 5 月に政令公布をしております。

 次に、資料に一部訂正があります。「 2013 12 ( 現在 ) の状況」を、「 2014 1 ( 現在 ) の状況」と訂正をお願いします。大変失礼いたしました。

 こちらの状況については、後ほど大石委員より、感染研のリスクアセスメントについて御説明いただくかとは思いますが、そこで詳しく情報を提供いただければと思います。

5 ページに指定感染症というものについてまとめておりますので、簡単に説明します。指定感染症というのは、既知の感染症の中で一類、二類、三類及び新型インフルエンザ等感染症に分類されない感染症であって、一類感染症から三類感染症 ( 必要に応じて新型インフルエンザ等感染症 ) に準じた対応等をとらなければ、当該疾病のまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与える恐れがあるものとして、政令で 1 年以内 ( 延長した場合 2 年以内 ) の期間に限定して指定される感染症です。

 指定感染症は、法律によらず法律に規定するレベルの強権的措置 ( 入院勧告の措置等 ) をとることを可能とするものであるため、現時点では法的な対応は必要ないと判断される感染症が集団発生等し、緊急に強権的な措置を講じなければならなくなった場合等に限って指定されるべきものという位置付けになっております。

 なお、これまでに指定感染症に指定した例は 3 件あります。 1 つ目は、平成 15 7 月に重症急性呼吸器症候群 (SARS) を指定した例があります。これについては後ほど法改正の際に、一類感染症に位置付けられ、最終的には二類感染症に現在位置付けられております。

2 つ目、平成 18 6 月にインフルエンザ (H5N1) を指定した例があります。これについては、平成 19 年に 1 年間延長し、その後、二類感染症に位置付けられております。そして今回のインフルエンザ (H7N9) を昨年指定した例があり、その延長について、この部会で御審議いただくことになっております。資料 3 については以上です。

○渡邉部会長 事務局からの論点としては、鳥インフルエンザ A(H7N9) が現在指定感染症であるけれども、同等の措置を継続してよいかどうかということでありますので、その前に、もう少し参考資料を提供していただくことで、国立感染症研究所のほうで、このウイルス感染症に関係するリスクアセスメントを行っておりますので、参考資料 1 に基づいて大石委員のほうから説明をお願いします。

○大石委員 感染研の大石です。よろしくお願いします。

 感染研では、鳥インフルエンザ A(H7N9) による感染事例に関するリスクアセスメントを継続して更新しております。これは、昨日新しく更新した内容を示しております。

1 ページの事例の概要、「 WHO などからの報告によると」という所で、現在までに中国・台湾・香港から 238 例の症例が報告され、 56 例が死亡しております。

 主に昨年の 2 月から 4 月中旬頃まで症例が発生し、一時、症例の発生は沈静化しておりましたが、昨年 10 月から再び散発的に、 12 月下旬から症例数が継続して発生しております。浙江省、広東省、地域的には中国東部から南部のほうに広がってきているところであります。

1 21 日公表の WHO のリスク評価によると、昨年 2 月から 5 月までの症例を第一波、昨年 10 月から今年 1 月にかけての症例を第二波と呼んでおります。その中では、第一波での年齢中央値が 58 歳、第二波では 52 歳と、やや若い傾向があります。第二波の症例の詳細は、まだ十分に解析されていない状況であります。基本的には、第一波で観察されたように、症例の大半は重症肺炎であり、第二波の症例も同様の状態であるということが確認されております。

2 ページに臨床情報が書かれております。これは第一波のときの臨床情報で、一番目のポツを見ると、入院患者のほとんどの症例が肺炎を呈し、その 7 割の患者が ARDS と呼ばれる重症の呼吸不全を呈していることが分かっております。

3 ページに入りまして、第一波の観察では A(H7N9) はトリ - ヒトの感染事例が主体でした。特に生鳥市場に出入りした人が感染する事例が多く、 7 割の症例でトリとヒトの接触歴が確認されています。中国本土における生鳥市場における交易が、この H7N9 感染症の発生に関わっており、冬期になり症例数が増加していると考えられます。

 環境調査の所を説明します。上海市、抗州市、浙江省の金華市といった所では、春節の前後の家禽市場での交易を中止したとされています。しかし家禽市場の大半では、交易が続けられていると考えられます。

 次にウイルス学的所見ですが、 5 ページで下線が引いてあります。第二波のウイルスが第一波のウイルスと違いがあるかということですが、下線の引いてある「 WHO 及び中国の CDC によると、 2013 10 月以降の第二波において、ヒト・動物・環境から分離されたウイルスの HA NA の遺伝子の性状は第一波のウイルスとほぼ同一です。抗原性は均一で、ワクチン株である A/Anhui/1/2013 と類似です。また、ヒトからヒトへの伝播性の増強を規定する遺伝子変異や、病原性の増強を示唆する遺伝子変異は新たに生じておらず、 2013 年春に流行したウイルスとは基本的には変わっていない」ということです。

 また、「第二波のウイルスは、第一波のウイルスと同様に、依然、弱毒型 ( 低病原性 ) の鳥型ウイルスである」。これは鳥の中で感染が起こっても鳥は死なないということを意味しております。

 また、「ヒトへの感染性とヒト呼吸器上皮での増殖性は、第一波のウイルスと同様に、本来の鳥のウイルスに比較して高いが、ウイルス解析からは、第二波のウイルスにはパンデミックを起こすような新たな変化や病原性を高めるような変化は起こっていない。したがって、現時点での情報に基づけば、第一波のウイルスに比べて、第二波のウイルスでは、今後想定される被害リスク及びパンデミックの発生リスクには大きな変化はないと判断されます。なお、検査された最近の H7N9 ウイルスにおいては、ノイラミダーゼ阻害薬耐性に関連する既知のアミノ酸変異は見つかっていない」。

6 ページの、「リスクアセスメントと今後の対応」です。基本的に大きな変化はありません。こういった状況から、今後も国内への患者の流入の可能性を注視していく必要があります。家禽が主な感染源であるというエビデンスが幾つか報告されています。そこは間違いないと思いますが、詳細な伝播メカニズムなどについての結論は出ていないという現状はあります。

 「限定的なヒト - ヒト感染が起こっていると指摘されていることから、国内に入国した感染者から家族内などで二次感染が起こりえることを考慮する」。これも以前のリスクアセスメントとは変わっておりません。

 今後、パンデミックに移行するようなウイルス変異が、また新たに加わってくるとリスクが高まりますが、パンデミックを起こす可能性は否定できないので、厚生労働省・感染研は適時のリスク評価に基づいて、パンデミックへの対応強化を行っていくと結論しております。以上です。

○渡邉部会長 ありがとうございます。今、大石先生から発表がありましたようなリスクアセスメントの結果です。総合すると、流行地域は中国と香港、あと台湾の一部に限定されていて、そのほかの国にはまだ入り込んでいないという状況です。ただ、感染して発病すると、重症肺炎、 ARDS を起こすということですが、軽症事例がどのぐらいあるかという把握は、まだ十分にされていないので、感染すると全てが重症化するかどうかというのは、まだデータとしては出ていないところです。ただ、中国等で限定的なヒト - ヒト感染と考えられる例が出てきているということでは、注意しなくてはいけないのかなと思います。

 今後の動向としては、まだよく分からないところもありますが、これから中国で旧正月が迎えられるということで、そこで中国内に更なる流行が起こる、加速される可能性はある。そうなったときに、日本にも入る可能性があるということを考慮したときに、先ほど厚労省から論点として挙げられましたこの対応に関して、現在の指定感染症という取組でよいのか、それともほかの、過去の SARS H5N1 への対応と同じように、二類感染症という形で、もうやっておいたほうがいいのか。その辺のことに対しての皆さんのお考えをお聞かせいただければと思います。

○小森委員  1 点教えていただきたいのは、我々は臨床家なので、 M 遺伝子の問題はともかくとして、現場で今回の第二波の治療の実態、特にノイラミダーゼ阻害剤に対する反応とか、そういったことについてのデータは、まだないという状況でしょうか。ただ、 M 遺伝子からは前と同じような反応だろうと予測されるという。

○大石委員 今、小森委員から御指摘があったとおりで、まだ第二波の臨床的な情報については得られていないという現状です。ただ、 WHO 等から得られているウイルスの遺伝子の情報については、そのノイラミダーゼ阻害剤に対する感受性はあると理解されています。

○渡邉部会長 ほかに全体的な流れ等に関しても、全て含めた形での御質問がありました。これは二類にする場合には法令ですので、もし、現在の時点で二類にしておかなかった場合の法的な手続が何か必要であると聞いていますが、その辺の時期的な問題等に関して、厚労省から何かほかに、皆さんに伝えるべき情報がありましたらお願いします。

○齋藤結核感染症課長補佐 現在、指定感染症に指定されていますが、これがまず平成 26 5 6 日で切れてしまうということで、ただし、これの指定感染症という位置付けについては、もう 1 年延長が可能ですが、それは来年の 5 月まで、それが最長となります。その後も継続して同様の措置をとるということであれば、二類感染症への位置付けというものが必要ですので、それについては法改正が必要となります。

○渡邉部会長 法改正のためには、国会に提出しなくてはいけないということで、その時期的な問題等に関しては、いつぐらいまでが二類を決めるデッドラインみたいになるのでしょうか。

○齋藤結核感染症課長補佐 来年の 5 月から途切れることなく継続してということであれば、その前の国会には提出しなければいけないことになります。ですので、今後の部会の中で継続的に議論ができればと考えています。

○渡邉部会長 という状況ですので、特に今日、今すぐに決めなくてはいけない状況ではないということですが、方向性として、これをどのように考えていけばいいのかというのを、更に御意見を伺えればと思います。

○小森委員 検疫感染症としての扱いは、現在、 2 2 号に規定するのか、 3 号に規定する状況になっているのでしょうか。 2 号は新型インフルエンザ等感染症に、 2 3 号は鳥インフルエンザ H5N1 と理解しているのですが、確認していただいて、お答えいただければいいです。

○渡邉部会長 事務局、今すぐ答えられますか。

○企画法令係長 企画法令係長です。感染症法上の位置付けとしましては、現在、第 6 条に「定義」というのがありまして、その第 6 5 項の「四類感染症」というので、「鳥インフルエンザ」というのが規定されていまして、その中に H7N9 というのも含まれます。

 それに加えて第 7 条の「指定感染症」ということで、二類感染症相当の措置がとれるということになっています。以上です。

○小森委員 去年の 4 月、この前の部会のときに、検疫感染症としての検疫法上の位置付けについての御説明があったと思うので、そのときの議論がありましたので、確認をさせていただきたい。

○企画法令係長 失礼しました。検疫感染症上の位置付けとしては、検疫法施行令のほうで、「政令に定める検疫感染症」ということで H7N9 というのが規定されています。ですので、検疫感染症の対象感染症にはなっているという状況にあります。

○小森委員  2 2 号に規定するものなのか、 2 3 号に規定される H5N1 と同等なのか。

○企画法令係長  2 3 号で H5N1 と同等ということです。

○渡邉部会長 ほかに御意見はありますか。特にないようでしたら、今後の経過というのも重要で、この 2 月辺りが中国でどうなるのか、その辺の流行状況も踏まえて、また次回か何かの感染症部会で議論していただくということでよろしいでしょうか。

                                   ( 異議なし )

○渡邉部会長 皆さんの合意が得られましたので、この件についてはそのような形にさせていただきたいと思います。

 続きまして、資料 4 の説明をお願いします。

○齋藤結核感染症課長補佐 資料 4 「侵襲性髄膜炎菌感染症及び麻しん等の感染症法上の取扱いについて」を御覧ください。 2 ページ、これらの患者の「届出方法・届出事項の変更」という資料を御覧ください。現状と課題ですが、侵襲性髄膜炎菌感染症及び麻しんは五類感染症に位置付けられていますが、国際的時流や国内流行状況等を踏まえた対応の強化が求められているところです。これらの疾病については、届出方法について、法令上は週ごとの報告ですが、報告様式上 ( 通知上 ) 24 時間以内目途の届出を求めていますが、法令上の義務と通知上求める対応が一致せず齟齬が生じており、発生時にはあまねく迅速な対応をとることができない恐れがあります。

 また、届出事項については、年齢性別等に限られており、氏名住所の届出は求められておらず、患者の接触者等に対し行政として対策をとることができない恐れがあると考えられます。

 参考資料 2 を御覧いただきますと、この麻しん、侵襲性髄膜炎菌感染症の報告様式を付けています。まず 1 ページは「麻しん発生届」が付いていますが、この発生届の一番上の所に、「麻しんについては、診断を行った医師は 7 日以内に届出をしていただくことになっていますが、麻しんに対するより迅速な行政対応に資するため、麻しんを診断した医師は 24 時間以内を目処に最寄りの保健所への届出を行っていただくようお願いします」という記載を行って、現在運用しているところです。

 資料 4 に戻りまして、それぞれの感染症の特徴ですが、侵襲性髄膜炎菌感染症については、1.国際保健規則に基づく報告の検討対象とされていること、2.濃厚接触による二次感染が生じ得、発症した場合の重症度が高く、発生時には予防内服による流行の拡大防止のため、迅速に積極的疫学調査を実施する必要があることから、即時かつ氏名・住所等の個人情報を含む報告が望ましいのではないかと考えています。

 麻しんについては、感染力が非常に強く、死亡する場合もあるなど重篤性も認められる一方、発生時にはワクチンによる流行の拡大防止が可能であることから、「麻しんに関する特定感染症予防指針」において、麻しんの排除及び排除状態の維持に向け、一例でも患者が発生した場合の積極的疫学調査の実施や周囲の感受性者への予防接種の推奨等の対応について規定されており、即時かつ氏名・住所等の個人情報を含む報告が望ましいと考えられます。

 論点としまして、これらの侵襲性髄膜炎菌感染症及び麻しんについて、法令上、即時 (24 時間以内 ) かつ氏名・住所等の個人情報の届出を求めることとしてはどうかというのが、御審議いただきたい点です。

3 ページの参考資料ですが、「感染症法に基づく主な措置の概要」というのが書いてあります。赤枠の五類感染症ですと、医師の届出は 7 日以内ということに現在なっています。

4 ページ、 5 ページには、侵襲性髄膜炎菌感染症について、菌感染経路や症状、報告数の推移等をまとめています。現在の報告数について申し上げますと、 1999 年以降、 2013 3 月を見ますと、発生数としては毎年 7 21 例程度という状況になっているところです。

7 ページには、麻しん ( はしか ) について、感染力、症状等についてまとめています。 8 ページには、「週別麻しん報告数の推移」というものを示しています。 2008 年以降、非常に患者数は減っているという状況で、 2013 年は報告数が 232 例まで減ってきている状況です。

 そして 9 ページですが、「麻しんの排除目標について」。我が国の目標は、平成 27 年度までに麻しんの排除を達成し、世界保健機関による麻しんの排除の認定を受け、かつ、その後も麻しんの排除の状態を維持することとしています。そして、「今後の重要な対策」の中の 2 つ目、麻しん患者が一例でも発生した際の対応を強化していくということが位置付けられているところです。

 また、参考資料 4 に「麻しんに関する特定感染症予防指針」、参考資料 5 に「麻しん発生時対応ガイドライン」というものが付いていますので、併せて御参照いただければと思います。資料 4 については以上です。

○渡邉部会長 五類感染症の中で、特に侵襲性髄膜炎菌感染症と麻しんについて、これから御議論いただくわけですが、特に侵襲性髄膜炎菌感染症については内服予防を推奨するという規定があるわけで、その場合には、これを迅速にやらないと効果がないということで、五類感染症だと 1 週間以内に報告ということですが、現在は 24 時間以内の届出と、かつ、そういう内服等をやるためには、もう少し詳しい情報がないと、なかなか効果的な対応ができないということで、氏名・住所等の個人情報も、求めてはどうかというのが 1 つです。

 もう 1 つは麻しん排除に関して、日本も最終段階に入ったということで、そこまで持っていくためには、この対応を強化して、一例でも見つけたらすぐ対応できるような体制をとっていかなければいけないだろうということにおいては、同じように氏名・住所等の個人情報が必要ではないかということで、今回の厚労省の皆さんへの諮問事項としては、侵襲性髄膜炎菌感染症及び麻しんについて、法令上、 24 時間以内での報告と、かつ氏名・住所等の個人情報の届出をしていただいてはどうかということで、この提案がなされているわけです。皆様の御質問等がありましたら。

○岡部委員 両方とも異論はないのですが、 1 つは侵襲性髄膜炎菌感染症です。文部科学省の学校保健安全法では、侵襲性髄膜炎菌感染症ではなくて、依然、細菌性髄膜炎のままになっていると思います。ここは文科省ではないので、そのことは議論はいらないとは思うのですが、何らかの形で文科省に働きかけていただいて、両方とも侵襲性髄膜炎菌感染症がウォッチングをしなければいけない、あるいは渡邉先生がおっしゃったような、予防投与の対象になる疾患であるというようなことを明確にしておいたほうがいいのではないかと思います。

 もう 1 点は、はしかのほうです。実質上、本来ならば四類でやるのがいいのではないかと、ずっと言っていたのですが、そこはテクニカルに、いろいろハードルもあるということですので、今回の住所・氏名等の個人情報というのは、対策上は歓迎すべきことだと思います。今までもそれがあるために、なかなか対策の本質に迫れないというところがあったので、この点はいいと思うのですが、ただ、やはりこれは、飽くまで公衆衛生上に必要なことであって、言わずもがなですが、発生例がだんだん少なくなってくると、特定の患者さんをポイントアウトしたり、あるいは場合によっては、興味本位と言うと少し言いすぎかもしれませんが、そういったような追いかけがあったり、あるいは学校において、社会においてですが、いじめだとか、差別だとか、そういうことは珍しい感染症になるとしばしば起こってくる可能性があるので、それに対してどの分野の方でも配慮が必要だということは、強調しておいていただきたいと思います。以上です。

○渡邉部会長 ありがとうございます。重要な指摘だと思います。文科省と厚労省のすり合わせということは、今後、事務局のほうでやっていただけるものと思います。これはいかがでしょうか。

○齋藤結核感染症課長補佐 事務局のほうで検討したいと思います。

○渡邉部会長 ありがとうございます。もう 1 つ、患者の数が少なくなってくると、名前等は公表しないにしても、ピンポイントですと分かってしまう可能性があると思います。そういう意味では、人権上の配慮を十分すべきであるというのが御意見だと思いますが、この辺に関して厚労省はいかがでしょうか。

○感染症情報管理室長 今後、この取扱いについて検討を進める中で、そういった人権のことについても重く受け止めるべきとして、対応を検討していきたいと思います。

○渡邉部会長 ありがとうございます。ほかに御質問はどうですか。

○澁谷委員 この 2 つの疾患について、年齢・性別以外にも氏名・住所等があると、大変対策は立てやすいですし、積極的疫学調査もやりやすいということは、賛成をいたします。ただ、麻しんの場合は臨床診断でお届けを頂いたときに、ここにも書いてありますが、「取下げができる」とあるのですが、この取下げができるというのは、そのまま生かしていくことになるのでしょうかという、 1 つ質問です。

○渡邉部会長 ありがとうございます。事務局、いかがですか。

○齋藤結核感染症課長補佐 同様の対応が可能なように配慮したいと思います。

○渡邉部会長 ありがとうございます。

○小森委員 趣旨はよく理解できますし、方向としては賛成なのですが、責任者として、いろいろな御質問が寄せられることが多いという立場から御質問させていただきますが、今のように 7 日間ということであるけれども、できるだけ 24 時間以内というお願いをして、その結果どうだったのかということを、分かれば是非教えていただきたいと思います。

 それから、いよいよエリミネーションという段階に入ってきた麻しん等について、速やかにということは理解できると思います。 24 時間ということで、現場では、それではそれに応じなかった、あるいは遅れた場合の罰則はどうなのだという質問が必ずあるのです。そういうことについて、少し明確にお答えを頂いておかないと、現場は、協力するけれども遅れてしまったと、つまり様々な事情で、あるいは 32 時間、 48 時間になってしまった、さあ、どうしたらいいのだろうと、本当に恐縮ですが、そういった御質問が我々の所によく寄せられることがあるわけですので、その辺りのことについて是非教えていただきたい。

○渡邉部会長 まず 1 つは、 24 時間に変えてからの効果というか、そういうものはどうなっているのかということと、 24 時間以内にしたとき、そこで対応できなかった場合の罰則等に関してはどのように考えるのか。その 2 点について、お願いします。

○難波江結核感染症課長補佐  1 点目については、任意という形で 24 時間以内の届出をお願いしていますが、実際、このお願いをして、どのぐらいの時間で届け出ていただいているかという情報は、今は手元にない状況です。

 それから罰則ですが、四類感染症までは直ちに、五類感染症は7日以内の届出を求めていまして、罰則としては 50 万円以下の罰金を科すことができるという形になっています。

○渡邉部会長 そうすると、これもそれと同じ、準じるようになるのですか。

○感染症情報管理室長 この感染症 2 つを四類感染症にするということで御審議いただいているところではまだなくて、この五類感染症に今ある中のものを、 24 時間、それから個人情報も含めてというものに類型をできるようにしたらいいのではないかというところですので、それに基づいて、どのような義務付けをしていくかというのも、今後の検討課題だと考えています。

○小森委員 そこは、やはり現場では非常に重要な問題で、刑法によって罰せられるということになるわけですね。良心的に行うけれども、 24 時間というと様々な事情で、正に急患が突然飛び込んできた、受け持ちの患者さんが非常に重篤な状況になっている、それで 24 時間過ぎてしまったということはあるわけで、そのときに刑法上の罰則の対象になるというのは、やはり極めて問題ですので、 24 時間ということについては、私は同意しますが、四類感染症に準じて罰則を付けるということには、反対をしておきますので、是非よろしくお願いします。

○渡邉部会長 という御意見ですが、今日これを即決めるというわけではなくて、もう 1 回ぐらい議論の時間があるわけですね。ということで、それまでに厚労省のお考えを、決められれば決めていただくというところで対応できればと思います。

○岡部委員 感染症法の一類、四類でも、今までそれで罰則を出されたということは、確か、ないと思います。ただ、感染症法策定のときに私も関与していたのですが、飽くまでそれは求めるというところであって、意図的に隠したような場合には問題が出てくるけれども、そこの事情はいろいろなものがあるので、先ほど先生がおっしゃったような、法律上正しく」とは急患でやってられないなんていうのは、法律の適用ではないということを、感染症法の制定のときにそんな説明があったと思います。

○渡邉部会長 それを繰り返していただくということも 1 つですね。法律ということになると、どうしても臨床の現場の先生は、すごくそれによるプレッシャーというのが多分あるのだと思うので、その辺は臨床の現場の先生に分かりやすい形で、法律を破っても大丈夫ですというようなことは、なかなか言いにくいかもしれないですが、補足的なことで何か情報が臨床の現場の先生に伝われば、安心材料にはなるかなと思います。また、より協力しやすい体制にもなるかと思います。ほかに御質問等はありますか。

○味澤委員 麻しんの届け出で住所と名前を提出するということですが、今は風しんもかなり多くて、両方を臨床的に区別するというのは非常に難しいです。抗体検査をしても、風しんの影響で麻疹の IgM が軽度上がってしまうということもあって。風しんの流行がもう少しコントロールされないと、麻しんの差戻しが多くなってしまうのではないかという懸念はあるような気がします。私たちが見ても、麻しんなのか、風しんなのか判定できない例がかなりあります。麻しんも、ワクチンを 1 回接種していて麻しんになりますと、コプリック斑とか出ません。そうすると臨床では区別ができないということを時に経験しますので、その辺はよろしくお願いします。

○渡邉部会長 確かに臨床の現場では、なかなか分かりにくい例もあるし、実際に調べてみると、麻しんではないという例も結構出てきているのだと思うので、その辺も考慮した上で、実際の運用を考えていただいたほうが、今のお二人の現場の先生の話を聞いていると、そういう印象ですが、その辺も事務局が考慮して、最終的な対応を決めていただければと思います。

○蒔田委員 確認させていただきたいのですが、確か四類感染症というのは、動物から感染してくる可能性が高いものとして位置付けられていたかと思うのですが、今回の議論は四類感染症のほうに移すのか、それとも届出の時間を 24 時間以内でお願いしていくという形の、何か定めを作るというところの議論で、三類のほうに移行するということではない形でよろしいでしょうか。

○渡邉部会長 その辺をクリアにしていただけますか。

○齋藤結核感染症課長補佐 御指摘のとおり、四類感染症というのは、直ちに届出ということですと、考えられるわけですが、四類感染症については、「動物又はその死体、飲食物、衣類、寝具その他の物件を介して人に感染し」というものを対象とすることになっています。そうしますと、この麻しん等は類型的にはそぐわないということになるかと思います。

 そうしますと、これはまだ決まっていませんが、四類という考え方を変えることもあるかもしれませんし、五類の中での位置付けというのを作るかもしれませんし、その辺りについては御意見を頂きながら検討していきたいと考えています。

○渡邉部会長 今のところ五類で対応したいという意向だと思うのですが、もう 1 つの考えとしては、四類の定義を変えるということも可能性があると。この辺をどうしたらよろしいかということも、委員の先生にお伺いしたいということもあるわけですね。いかがでしょうか。五類の中に A B とするとか、いろいろな案はあるのかなと思うのですが、余りそういう形にすると、逆になかなか分かりにくくなるという点もあるかもしれませんが、何かいいアイディアは。

○小森委員 これは、これからの皆さんの議論にということなのでしょうけれど、安易に四類にしたときに、直ちに届け出るというのが法律によって規定されると。それまでの疾患は、いわゆる一類、二類、三類、あるいは四類でも、比較的症例も少ないですし、既にそういう分類というのは医学生のときから叩き込まれていますので、身体が反応するのです。

 やはり、これまで五類だったものを突然四類にされたときに、先ほど先生が言われた麻しんなどを、本当に 24 時間以内に確定診断というのは、なかなか難しい例があって、しかも患者さんの状況によっては、更に重篤な患者さんの所に身体が行ってしまうのです。それで、後で、ここに書いてあるから罰則だというふうに、これまでなくても、やはり法上の罰則が付いていると、極めて重いので、私は五類感染症のままで、ただ 24 時間以内という、まずそういうステップを踏んで、現実的にやっていただきたいなと、そういうお願いでもあります。

○渡邉部会長 ありがとうございます。法的に縛るのがいいのか、それともサーベイランスということで強化するという意味で、届出をちゃんとしてもらうという方針でやるのがいいのか。余りギチギチに縛ってうんぬんというのでは、多分、厚労省の判断も、そういう意図ではないのではないかなと思うのですが、やはりちゃんとしたサーベイランス体制をとりたいということがメインで、法律でギチギチやりたいという意図ではないですよね。その辺はいかがですか。

○感染症情報管理室長 渡邉先生がおっしゃるとおりでして、特にこのような侵襲性髄膜炎菌感染症などは、若い集団の中で起きた場合に、ほかの方に伝播していく可能性がありまして、近年もそういった事例が起きて、報告されています。お亡くなりの方の発生もありまして、やはりそちらのほうも我々は重く受け止めなくてはいけないなというところで、確実にそういった発生を捕捉できるようにすべきというのが根本です。決して過剰に、現場の医師に御負担をおかけするようなことはないようにしつつ、確実に捕捉できるような道をとれればと考えている次第です。

○賀来委員 今言われたとおり、侵襲性髄膜炎菌感染症は私自身も経験したのですが、初期には出血疹というか、本当に小さな発疹と、発熱、髄膜刺激症状などが認められ、脳血管障害も含めた鑑別が必要となり、早期診断が必ずしも容易ではない場合があります。ただ、この症例では髄液から髄膜炎菌が検出されたので確定診断にいったという経緯がありました。 CDC のガイドラインでは、接触者への予防投薬も必要であるとされており、接触者である医師、看護師へ予防投薬を実施したのですが、やはり今言われたとおり、劇症型の経緯をとるケースも報告例されていますので、多くの先生方に、こういった重篤な感染症があるのだということを、是非知っていただくためにも、サーベイランス体制、報告体制をぜひとも構築していただきたいと思います。

○渡邉部会長 ありがとうございます。

○大石委員 侵襲性髄膜炎菌感染症と麻しんは、少し意味合いが違うかと思うのですが、感染性という意味では、どちらも高くて問題だと思うのです。侵襲性髄膜炎菌感染症について言いますと、今年度から感染症法上のサーベイランス体制が、髄膜炎菌性髄膜炎というものから侵襲性髄膜炎菌感染症になっていますが、この調査の中で明確になってきたのは、いわゆる敗血症性ショックで亡くなっているケースが 3 例あって、非常に劇的に進む、このウォーターハウス・フリードリヒセン症候群を考えるケースが発生しております。このような感染事例が、接触者に伝播しないよう予防内服が必要であるという、一般の医師の認識を高めるためにも、これまでの五類全数の中で、早めに届出を依頼するよりは、四類感染症などに感染症法上の位置付けを変えるということが望ましいと、私は考えています。以上です。

○渡邉部会長 ありがとうございます。この疾患は非常に重要である。やはり早期に対応しないと、死者が出てくる可能性も十分あるし、かつ、周りにそれが移ってしまう可能性もあるので、早急に対応しなければいけないという、これは皆さん一致した考えだと思います。

 それに対応するための、こういうサーベイランスシステムの在り方をどうするかということで、 1 つはやはり早くやるに越したことはないけれど、それを法的な形で制限されてしまうと、なかなか臨床家も動きにくいというのが、皆さんの御意見だと思います。

 それを四類という対応でやるのか、五類という対応でやるのか、この辺は少し法律とのマターに関係するので、是非、厚労省のほうでそこは十分考えていただいて、皆さんに余り負担なく、かつ、適切なサーベイランスができる体制にするにはどうしたらいいかということで、次回、もう一回提案していただくということでよろしいでしょうか。更に何か御意見があるようでしたら。

○岡部委員 最初に事務局から伺ったのでは、今回は四類か五類かという議論ではなくて、五類感染症の中での対応がどうかということを聞かれているのではないかと伺ったのですが、四類感染症にするかしないかの議論も、今回は入っていくのでしょうか。

○齋藤結核感染症課長補佐 法的な位置付けについては、まだいろいろな選択肢があるかと思いますので、特に五類の中でということに決めているわけではありません。

○小森委員 私は五類の中でと考えて、基本的な方向性は理解できます。ただ、四類で縛るというのは、問題が大きいと思います。

○感染症情報管理室長 四類の中に入れ込んでいくというところで、最初から御提案させていただいていたわけではなくて、少なくとも今は五類で 7 日以内、それから個人情報はないという届出を、枠を何とか 24 時間以内、それから個人情報もありというところに新たなポケットを作れないか、という趣旨で御提案をさせていただいています。

○岡部委員 つまり今、四類にするかどうかということについて、検討してくださいと事務局のほうに返してしまうと、この五類の中であって、個人情報を含む報告が望ましいのかどうかということが、また先送りになってしまうのではないかということを少し心配したのですが。

○渡邉部会長 分かりました。では、もう 1 回確認で、事務局としては五類感染症の中で処理したいと。そのとき、先ほど医師会側からも臨床の先生からもありましたように、そこに 24 時間以内うんぬんということでの縛りを、法的な縛りを付けない方向でやっていただきたいという御意見だと思うのですが、その辺の検討はこれからするということでよろしいでしょうか。

○齋藤結核感染症課長補佐 はい、今後検討してまいります。

○渡邉部会長 ということで、よろしいでしょうか。五類感染症の中でと。

○難波江結核感染症課長補佐 四類感染症の趣旨だけ、改めて御説明させていただきますと、確かに定義ということもあるのですが、それ以上に対策上、対物処理がとれるという形で四類感染症は位置付けられていますので、この麻しんと侵襲性髄膜炎菌感染症は対策上、対物処理をする必要があるかどうかという点が重要になってくるかと思います。

 もし、そういった御意見がないのであれば、先ほどの座長の御提案の方向で整理させていただければと考えています。

○渡邉部会長 この疾患に対して、対物的な対応をする必要というのはありますか。専門家の先生、いかがですか。

○岡部委員 四類感染症の場合には対物処理等々もありますが、最初に感染症が出来たときは、必ずしも動物由来だけをまとめてあるわけではないので、この中にも、動物由来感染症ではないものも入っていると思います。しかし、動物由来を中心にという形で、四類感染症が出来たという経緯があったと思います。したがって、麻しんが四類になるかならないかという別の議論の所で、今日はきちんとした届出ができるかどうかという所に議論を集中したほうがいいのではないかと思います。将来的にはステップアップしていく可能性があると思いますが。

○渡邉部会長 最初は五類がなくて、みんな四類にあって、それで全数と定点把握でというような議論から五類も出てきたという経緯があると思います。ですので、その辺が少し混乱している部分が、法律上にもあるのかなという気もしないでもないのですが、今後、大改定をやるというときには、その辺の議論も必要ですが、先ほど小森先生がおっしゃったように、こういうのが医療の現場、又は学生の指導等である程度定着してしまっているので、余りいじられると混乱が生じるということもありますので、その辺も考慮していただいて、今回は五類の中でどのように対応できるかということでの整理を、これからしていくということでよろしいですね。ほかに何か御意見がありますか。

○感染症情報管理室長 少し法律的な説明も、もしかすると必要になるのかもしれない部分で、今は五類感染症は、省令で改正できる部分があるのですが、こういった枠組みの中で、医師に少し強い規制を課すとか、個人情報を取っていくというのが法令上許されるかどうかとか、そういった検討なども、これは必要になってくるかと考えます。

 ですので、四類だとか五類だとか、何か決めてというよりも、そういったポケットを作ることを、これは検討させていただいたほうがいいのではないかという御提案でして、もしよろしければ、そういったところで検討を始めさせていただきたいと考えている次第です。

○渡邉部会長 分かりました。という趣旨で、先ほどの話に戻りますが、サーベイランスの強化というのが第 1 ポイントであるということで対応すると。よろしいでしょうか。

○大石委員 今の話はよく理解しましたが、問題はやはり五類の中でとなると、ほかの五類との対比がしっかりできるように、医師だけでなくて自治体の方々も、しっかりこの 2 疾患の位置付けが分かるような位置づけを作っていただきたい。よろしくお願いします。

○渡邉部会長 ありがとうございます。ほかに何か御意見はありますか。特段ないようでしたら、今の皆さんの意見を踏まえて、次回、更なる提案をしていただければと思います。

 続きまして、資料 5 の説明をお願いします。

○齋藤結核感染症課長補佐 資料 5 「感染症対策における地方公共団体による検査の実施の確保等について」の資料を御覧ください。

2 ページです。感染症対策における地方公共団体の役割ですが、新興感染症対策においては各地方公共団体に設置されている地衛研の検査対応なしでは成り立たないという現状があります。

 特に、新たに発生した新型インフルエンザ、 H7N9,H5N1,MERS,SFTS 等については、地方公共団体において、疑い患者に対する検査業務を実施していただいています。

 また、麻しん等のワクチンによる予防が可能な疾患への検査対応等においても地衛研の協力が不可欠です。

 なお、多くの地方公共団体では、保健所は検査機能を有しておらず、地衛研に検査機能が集約されている状況です。

 課題ですが、現行法上、病原体等の検査の実施等について地方公共団体の責務とされておらず、また、国が都道府県に対し検査を指示する法的根拠もないという状況です。

 また、検査業務に係る予算・定員の削減、熟練技術者の減少や検査技術の高度化に技術者の技能習得が追い付かないこと等により、今後、法律上の枠組みが十分でない中、地方公共団体により適確な検査が実施されるかどうかの懸念があります。

 御審議いただきたい論点ですが、感染症法上、病原体等の検査の実施等を地方公共団体の責務とし、その実施方法等について厚生労働大臣が定めることとして、地方公共団体による適確な検査の実施・検査水準の向上を図ってはどうか。また、必要に応じ、国が地方公共団体に検査を指示できる規定や検査結果の報告を求める規定を設けてはどうかということが 1 点です。

2 点目として、全国レベルでの検査の効率化等のため、各都道府県で一律の検査機能を維持するのではなく地域ごとにブロック化すること等について、どのように考えるべきかという点を御審議いただきたいと考えております。

3 ページです。参考として、地方衛生研究所 ( 地衛研 ) についての沿革、目的、業務等について整理しています。沿革の中に、「昭和 39 年に厚生事務次官通知により地方衛生研究所設置要綱が定められ」とありますが、この設置要綱については、参考資料 6 にありますので、併せて御参照ください。資料 5 については以上です。

○渡邉部会長 地方衛生研究所を法的に位置付けていただきたいというのが、地衛研からの悲願ということだと伺っていますし、感染研としても、そうしてほしいという要望は持っていたのですが、なかなか法的な位置付けをすることが難しい状況にあるので、今回のこのような提案がなされていると思います。今までは、厚生労働事務次官通知等で要綱が定められていますが、今回はそれをもう一段上というか、厚生労働大臣が定めるというところで、もう少しこの検査体制の強化を図れるのではないかということです。そして、国が地方公共団体に検査を指示できるというような規定を設けることになります。まず、それが 1 番目です。

2 番目の所の、一律の検査機能を維持するのではなく、ブロック化することについてどのように考えるべきかというのを説明していただかないと、地研と感染研以外の先生は分かりにくいかもしれませんので、補足が何かありますか。

○齋藤結核感染症課長補佐 この点についての考えとしては、各都道府県で一律の高度な検査機能を維持するのではなく、という意味で考えていただければと思います。そういった高度な機能について、地域ごとにブロック化する等という形で考えていただければと思います。具体的には病原体のタイピングなどで高度なものについて、リファレンスセンターなどといった形で、一部の地方衛生研究所などで担当していただいているような仕組みを想定しております。

○渡邉部会長 感染研の立場として説明を加えさせていただくと、今の地方衛生研究所は、都道府県と政令都市も全部入れると 79 あります。そこが現場での、先ほど感染症法に決められた疾患に対しての第一次的な検査を行うということで、非常に重要な位置付けになっています。そこで検査上の困難が起こり、また、確認検査をする必要があるというときには、感染症研究所へその検体が来て、更なる確認をするというのが大きな流れです。その中で検査体制をきちんとするために、地方衛生研究所と感染研の間で病原体検査マニュアルというものを、感染症法に挙げられている約 105 の疾患に関して作成しています。それに基づいて共通なプラットフォームで検査することにより、その検査の質を確保することの体制ができています。ただ、地方衛生研究所の小さい所では、細菌担当の方が 2 人しかいないとか、ウイルス担当も 2 人しかいないという所もあり、全ての感染症法に挙げられている 100 幾つの疾患をそこで全部やるというのは、人的にも不可能に近いところがあります。そうすると、地方衛生研究所同士で互いに助け合ってできないかということで、感染研を中央リファレンスセンターとして、各地方衛生研究所を大きく 6 ブロックぐらいに分けて、そのブロックに支部リファレンスセンターを置いて、そこで今のような補完をして、全体をオーガナイズするというような仕組みが今できています。そこをこのような形で文書化していただくことが流れだと思います。調先生はその地研のリファレンスセンターの対応をなさっていますので。

○調委員 高度な検査を代表で行うというのは、ちょっと我々のイメージとは少し違うのですが、例えば、インフルエンザ、ノロ、麻しん、風しんなど、各自治体で常に起こっている感染症については、全ての自治体において、かなり高度な検査体制がとられており、しかも、自治体本庁、県庁などと緊密な連携の下に素早く検査対応をするという、そういう体制を敷いているところですが、既症の疾患についてはなかなかそういうことができないので、例えば、ボツリヌスなどという 10 年に 1 回起こるか起こらないかのそういったものについては、各ブロックごとに代表となるような地衛研を置いて、ある地衛研はボツリヌスをやる、別の所は別の疾患をやるという形で、ある程度役割分担をしておこうというのがリファレンスセンターの基本的な考え方だと思っていただければよいかと思います。そういう意味で、リファレンスセンターはずっと地衛研と感染研で連携して作ってきましたが、自治体での認知度がほとんどないので、このような機会に文書化していただけると非常に有り難いと思います。

○渡邉部会長 というようなことで、地研が各自治体に説明するときにも、根拠となるものがどこにあるのだと聞かれることがよくあるということで、そういうときには文書化されたものがあると、地方衛生研究所も各都道府県の長の方に説明しやすいということだと思います。

 こういう形で、日本の中の病原体サーベイランスシステムの強化をすることを、今回、感染症課で文書化する提案をしていただいており、感染研にとっても非常にウエルカムなことだと思っています。皆さんから御意見等頂けますか。

○賀来委員 本当に是非お願いします。これだけ新たな病原体が出現してきており、大学病院の微生物検査室では対応できないような病原体の診断につきましては、感染研を中心とした地方衛研の強力なネットワークを作っていただいて、迅速にいろいろな病原体を検出同定できるようなシステムを構築していただきたいと思います。全国でのブロック化も含めて是非強化していただきたいと思います。

○岡部委員 国と地域における感染症対策という意味では、私も今、地衛研にいるのですが、地衛研の役割は強くあるべきだと思いますが、座長がおっしゃられたように、実際には法律的な位置付けが地衛研にはほとんどないというようなところの欠点を補っていただくことは、非常にいい考えではないかと思います。

 ただ、 2 点目のブロック化も、これのやり方は、地衛研側と感染研側にどのようにやるかということは、そこで相談して決めたほうがいいことであって、余りリジッドにやってしまうと、例えば、ダブルチェックが必要なときに、ある A という地衛研でやったものをブロックの所のリファレンスセンターでやって、それをまた感染研に持っていくとか、非常に煩雑なことも起きますので、そこのやり方の運用は、飽くまで対策を中心にしていくということでやっていったほうがいいのではないかと思います。

○渡邉部会長 ありがとうございます。他の先生いかがですか。

○澁谷委員 ちょっと分かりにくい所があるので幾つか質問したいのですが、課題の所の現行法上、責務とされていないというのは、感染症法上ということでしょうか。衛生研究所の強化をするというのは大賛成なのですが、感染症だけではなくて食品衛生法とか、水道法とか、食中毒やあるいは牛乳や食品の関係の検査も、当然衛生研究所はされておりますし、そういったところとの関係がどうなるのかということ。それから、先ほど座長は、 6 ブロックで現在リファレンスセンターのようなものが稼働しているという御説明だったのですが、例えば、都道府県の責任でやらなければいけない検査の結果を、リファレンスセンターで都道府県を越えてやられた検査は、これは法的にその都道府県の検査結果として有効な扱いができるのかどうかという法律上の問題とか、あるいはブロックの考え方が地方厚生局とどのような連動があるのかというあたりについて、幾つか教えていただきたいと思います。事務局でも結構です。

○渡邉部会長 事務局、分かりますか。

○企画法令係長 病原体の検査の実施等について、地方公共団体の義務となっていないということですが、これは感染症法上ということです。

○渡邉部会長 あと、対象自治体以外の所で検査したデータを、当該自治体の検査として出して法的に問題ないのかということですが。

○企画法令係長 そちらについては、今後検討させていただきたいと思っております。

○渡邉部会長 ブロックというのは、各厚生局の管轄との関係はどうなっているのか。感染研と地研との間の話合いで作っているもので、少なくとも厚生局は、絡んでないです。今後、絡ます必要があるのかどうか、ちょっと分からないのですが、どうなのでしょうか。厚労省として何かありますか。

○齋藤結核感染症課長補佐 その点についても、今後検討していきたいと思っております。

○感染症情報管理室長 地方厚生局で、今、現行の感染症対策の検査等に依頼している部分は実際ありません。

 我々、ここに書かせていただいた所というのは、渡邉先生が先ほどお話の感染研、それから自治体の検査を担当するセクションとの有機的な連携の中で、この部分はある程度ブロック的なところで補うような形の検査のそういったグループを作っていくことは実際どうなのだろうかというのが今回の御提案です。事実上やっていることがあれば、もしかすると、そういったもののブロック化を少し明確に残すことも検討の俎上かもしれないと考えています。

○山田委員 私も地衛研の強化は非常に重要なことだと思っていますし、感染症法の中に自治体の責務を書き込むことは非常にいいことだと思うのですが、基本的に機能強化というと検査はお金が掛かります。ファンディングとか、そういった問題というのは必ず出てくるので、そこの部分で、例えば、国の責務としてそういったものを支えるとか、そういったことを書き込む必要がないのかとか、感染研そのものをいってみても、機能強化、機能強化といわれながらも、毎年予算が減らされて、実際問題として、そういうことが本当に可能なのかどうかと、私は OB としても非常に心配しているのです。自治体についても、自治体の財政がおかしくなれば、そういうところに対する自治体の力の入れ方にも温度差が出てくる。そうなったときに、国全体の感染症対策に非常に重要な影響が出てくると思うので、是非、仏を作るなら心まで入れていただきたいと思います。

○渡邉部会長 山田先生、私の口からなかなか言えないことを言っていただきまして、どうもありがとうございます。その点はどうなのでしょうか。何か財政的基盤も確保するとか、何か書けるのでしょうか。なかなか難しい。

○齋藤結核感染症課長補佐 その点も含めて、今後の検討対象に。

○渡邉部会長 是非、よろしく検討していただければと思います。

○前田委員 衛生部局としては非常に賛成ではあるのですが、自治体内でこの話を通すためには幾つか課題があるかと思っておりまして、今、山田委員がおっしゃられた予算措置の問題は必要と思っています。

 確認したいのですが、そもそもこの検査は、恐らく感染症法の第 15 条の積極疫学調査に基づかないで、ただ検査というのはなかなかできないと思いますので、積極疫学調査に基づいた結果の検査だと思うのですが、確か第 15 条というのは自治事務だったのではないかという気がするのですが、いかがでしょうか。

○渡邉部会長 分かりますか。

○前田委員  検査の前提である積極疫学調査については、自治事務ではないかと記憶しているのですが、そうなると、それについて国が指示をすることが、これは法令担当に言ったときに法解釈がどうなのだと言われないかというところを懸念しています。当然、その際に、そうした指示があるのであれば、今、山田委員がおっしゃられたように、ではそれについての予算措置はどうなっているのかと。要するに、交付税の中での措置ではないだろうということになってしまうのではないかというところはあります。

 それからブロック化についても、現在はリファレンス事業等の研究事業的な位置づけで一部の地衛研間で実施されているわけですが、これが法定化されるとなると、自治体間の費用負担についてはどうなるのかというお話が出てくるかと思います。この点についても、ある程度明らかにして頂きたいと思います、つまり、今回ご提案のような形で、ある意味日の目を見てしまうと、そういう意見が財政サイドから出てくると思いますので、その点について何らかの対応があるかお聞きしたいということです。

3 点目ですが、地衛研にいた立場から申しますと、ブロック化が、現状でも弱体な地衛研を更に弱体化させ、本当に基礎的な検査しかできない検査センター程度にしてしまうという懸念もあります。一方で、受入側の大規模な自治体側の立場でいくと、財政サイドに相談すれば、当然、国が必要と認めた検査であれば別にブロック内の大規模な地衛研ではなく、直接感染研に持ち込めばいいのであり、なぜ自治体で受けなければならないのかという、そういう議論も出てくるということで、その点に対する考え方も少し整理していただければと思います。

○渡邉部会長 ありがとうございます。非常に重要なポイントを指摘されたと思います。このブロック化については、我々も地研と話合うときに、今のような危惧も考えていた点はあります。そこでできるのだったら、地研はできる所に全部出せばいいのではないかとか、また、先ほどから話が出ている資金の負担の問題です。その辺をクリアしなければいけないような問題が、この裏には幾つか隠れていると思うので、皆さんの意見では方向性として、こういうことを打ち出してくださるのは非常に結構であると。ただ、それを支えるための基盤となる資金の問題とか、各自治体の認識の問題や、こういうことをやったときに逆に弱体化につながるという、今の逆説的な御意見、これもやはり、心配と言えば心配な点はあるのですが、そこをそのようにならないような何か文面を書けるのか、その辺も考慮していただいたほうがよろしいのではないかと、確かに私もそう思いますが。ほかの委員の先生方もウエルカムだけど、考えなければいけない点はあるというようなことだと思います。ほかに御意見がありますか。よろしいですか。

 そのような御意見を踏まえた上で、次回、これに対して、更なる提案をしていただければと思います。よろしくお願いいたします。

 続いて資料 6 の説明等をお願いいたします。

○福島結核感染症課長補佐 それでは「感染症法第 13 条第 1 項に基づく意図的に感染させた動物の獣医師届出について」、資料 6 に基づいて御説明します。

 まず、現状の説明です。感染症法では第 13 条第 1 項の規定に基づき、人に感染させる恐れが高い動物由来感染症と、その宿主動物の組合せを政令で定めております。具体的には、資料の中ほどに「参考」として一覧表で示しております。例えば、エボラ出血熱やマールブルグ病とサルであるとか、ペストとプレーリードッグ、このように感染症と動物の組合せを幾つか政令で定めております。そして、獣医師がこれらの感染症にかかっている、又はかかっている疑いがある動物を診断した場合には、直ちに保健所を経由して、都道府県知事に届け出ることになっております。

 しかしながら、この法第 13 条第 1 項には、これら感染症の発生要因に関する規定がないため、動物が自然感染した、若しくは実験で意図的に感染させた、これらの発生要因の別にかかわらず、全て届出を行う必要があるという形になっております。ただし、この発生要因が違う 2 つの届出の報告が混同されないように、都道府県に対しては、実験感染させた動物が届出された場合には、感染症発生動向調査システムに入力せずに、別途、直接結核感染症課宛にファックスで報告していただくよう通知でお願いしております。

 以上のような現状を踏まえて、資料の最後の部分ですが、感染症法第 13 条第 1 項に基づく獣医師の届出については、動物での感染症の発生状況から、我が国の動物由来感染症の発生動向を把握することを目的としていることから、法の趣旨に鑑みると、試験・研究を目的として意図的に感染させた動物での発生については、この法第 13 条第 1 項に基づく獣医師の届出対象から除外して差し支えないと考えられますが、この点について先生方に御審議いただきたいと思います。お願いいたします。

○渡邉部会長 今のような事務局の説明ですが、これは獣医の専門家である山田先生、いかがですか。

○山田委員 おっしゃるとおり実験感染の場合には、それなりに環境省の作った動物実験規定などに従って、各研究機関で行われているはずですので、その動物が公衆衛生上の何らかの問題を起こすというようなことは考えにくい。もともと最初のころからこういう規定から外れていればいいなと思っていましたので、こういうのは研究者からはウエルカムだと思います。

○渡邉部会長 ほかの先生方、御意見がありましたらお願いいたします。当然、実験室内で、それがほかに逃走したりということがない上でのことだと思うので、その辺りはきちんと管理されているというのが条件ですよね。何か御意見がありましたらどうぞ。よろしいですか。

 特段ないようでしたら、今回これも決めるということでなく、今のような御意見で、皆さんこの方向での賛成と解釈いたしましたので、この方向で進めていただくことでお願いします。

 続いて資料 7 に基づいて、風しんに関する問題です。よろしくお願いします。

○氏家結核感染症課長補佐 お手元の資料 7 と参考資料 8 です。参考資料 8 から御説明いたします。

 まず、風しんに関する小委員会の設置についてですが、昨年度に流行があった風しんに関して、今後の流行の有無にかかわらず、中長期的な視点に立って風しん対策を進める必要があることから、「風しんに関する特定感染症予防指針」の策定に資する検討を行うため、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会及び本部会の厚生科学審議会感染症部会の下に、「風しんに関する小委員会」が 9 月に設置されました。

2 ページですが、この小委員会の委員として、本部会の委員である大石委員、小森委員、澁谷委員、調委員にも御参加いただいております。五十嵐委員を委員長として委員会を立ち上がり、これまでの感染症に関連する審議会では新たな観点として、風しんの特性を踏まえ、事業者団体や産業医の方にも委員会に参画していただいております。

3 ページは、「風しんに関する特定感染症予防指針」の構成です。法律上、項目が規定されており、 1. 目標、 2. 原因の究明、 3. 発生の予防及びまん延の防止、 4. 医療等の提供、 5. 研究開発の推進、 6. 国際的な連携、 7. はその他として、評価及び推進体制と普及啓発の充実について項目立てて、指針の策定が進められてまいりました。

9 30 日に第 1 回の小委員会が開催して、本年 1 22 日まで計 5 回の小委員会で審議を行ったところ、指針案が策定されましたので、本日開催される感染症部会並びに明日開催が予定されています第 8 回予防接種基本方針部会で、作成した案を御報告した上で、内容について審議いただきたいと思います。今後の予定ですが、 2 月にパブリックコメントを実施して、今年度中の指針の公布、また、来年度からの指針の適用を予定しております。

 資料 7 に戻ります。 1 ページに「風しんに関する特定感染症予防指針 ( ) 」の概要について記載がありますが、資料は数日前に委員に配布しております。指針 ( ) 12 ページまでと長いことから、要点を中心に全体の説明をいたしたいと思います。

 まず、 1 ページ、「風しんに関する特定感染症予防指針」を御覧ください。 5 8 行目に関しては、まず、風しんの特徴について記載されております。 9 26 行目のパラグラフは予防接種の施策の変遷。現在は年齢によって、小児期の定期接種の体制は異なり、接種の状況が違っていることを記載しております。

27 行目から 2 ページの 43 行目に関しては、近年における風しんの流行の状況とその特徴について記載があり、 38 行目では、近年の流行に関して、「患者の中心が生産年齢層及び子育て世代であることから、職場等での感染事例が相次ぎ、先天性風しん症候群が増加する等、社会的に与える影響が大きかった」ということが記載されております。続いて 44 54 行目にかけては、海外における風しんの現状についての記載です。

 最後 54 60 行目に関しては、指針の位置付けが記載されており、「本指針は、風しんの発生の予防及びまん延の防止並びに先天性風しん症候群の発生の予防及び先天性風しん症候群の児への適切な医療等の提供等を目的に、国、地方公共団体、医療関係者、教育関係者、保育関係者、事業者等が連携して取り組むべき施策の方向性を示したものである」と定義付けられております。

 続いて 62 行目、第一の所、「目標」として次のように記載があります。まず、第 1 に「早期に先天性風しん症候群の発生をなくす」ことをうたっております。続いて平成 32 年度、これは東京オリンピックが開催される 2020 年になりますが、「平成三十二年度までに風しんの排除を達成することを目標とする」と記載があります。この目標に関しては、最後に行われた第 5 回の小委員会において、全ての委員から御賛同を頂いております。

66 行目からは「原因の究明」ということで、サーベイランス制度、そして発生時の対応について記載があります。項目立てとしては、一「基本的な考え方」、二「風しん及び先天性風しん症候群 (CRS と呼称 ) の発生動向の調査及び対策の実施」、三「風しん及び CRS の届出」、四「日本医師会との協力」、五「風しん及び CRS の発生時の対応」、六「ウイルス遺伝子検査等の実施」について記載があります。

 これまでの対策と異なる部分を中心に御説明します。まず、 77 行目、届出に関してです。先ほど議論されていましたような観点で 79 行目、「迅速な行政対応を行う必要性に鑑み、可能な限り二十四時間以内に届出を行うことを求めるものとする」と記載があります。また 82 行目には「地域で風しんの流行がない状態において、風しん患者が集団発生した場合等の感染対策の必要性に応じて、ウイルス遺伝子検査等の実施のための検体の提出を求めるもの」と記載があります。さらには 85 行目、「風しん患者の発生数が一定数以下になった場合には」、 87 行目、「原則として全例にウイルス遺伝子検査の実施を求めるものとする」という記載があります。

 また 107 行目、発生時の対応について御説明します。 108 行目の記載で「地域で風しんの流行がない状態において、風しん患者が同一施設で集団発生した場合等」に積極的疫学調査に準ずる調査を迅速に実施することを求めております。さらに 115 行目、「先天性風しん症候群の児から一定期間ウイルスの排出が認められることから、必要に応じて PCR 検査により先天性風しん症候群と診断された児のウイルス排出の有無について評価を行う」という記載があります。

 続いて 131 行目の第三、「発生の予防及びまん延の防止」について御説明します。この項目については風しん対策について記載があり、特に重要な項として、全体のボリュームが一番大きい部分です。まず一に「流行の原因分析」があり、 134 行目、「渡航者等を通じ海外の流行地域から風しんウイルスが我が国に流入したことが、今般の流行のきっかけとなった」と考えられております。 136 行目、「二十代から四十代の年齢層の男性を中心に風しんが流行した主な原因」として、 139 行目、「幼少期に自然感染しておらず、かつ、風しんの定期の予防接種を受ける機会がなかった者や接種を受けていなかった者が一定程度いたため」と考えられております。

 次が 148 行目、「基本的な考え方」です。 149 行目に「風しんの対策として最も有効なのは、その発生の予防である」と規定しております。 151 行目、「予防に最も有効な対策は、予防接種により感受性者が風しんへの免疫を獲得すること」と定義付けております。続いて 153 行目、「国民の八割から九割程度が既に抗体を保有している状態に鑑み、積極的に抗体検査を実施することで、より効果的かつ効率的な予防接種の実施が期待される」と記載があります。具体的な対策としては、 157 行目以降に記載があり、「風しんの罹患歴又は予防接種歴を確認できない者に対して、風しんの抗体検査や風しんの予防接種を受けるよう働きかけることが必要である」と定義付けております。

 次に三の 166 行目、「予防接種法に基づく予防接種の一層の充実」です。定期接種に関連したその重要性と取組み方についての記載です。 1 に関しては、定期接種が今、 1 期と 2 期と 2 回、接種の機会が設けられていますが、「それぞれの接種率が九十五パーセント以上となることを目標とする」という記載があります。 174 行目の 2 は、市町村の接種勧奨の在り方について記載があります。

6 ページ 184 行目の 3 については、学校での取組について記載をしたものです。 190 行目の 4 については、関係団体、関係学会との取組の在り方を記載したものです。

194 行目からは「予防接種法に基づかない予防接種の推奨」で、任意接種に関する対策の在り方の記載があります。 1 から 9 までありますが、 1 から 4 に関しては、特に予防接種を含めた対策が求められるものと、その理由について特出しがされているような記載ぶりになっております。理由については割愛いたしますが、 1 に関しては、妊娠を希望する女性と妊婦の家族等、 2 番の 202 行目に関しては、現在、昭和三十七年度から平成元年度に出生した男性、現在 26 歳から 52 歳の方になりますが、また、昭和五十四年度から平成元年度に出生した女性、同様に現在 26 歳から 34 歳になる方となっておりますが、その方に関して特出ししている状況です。 3 番の 210 行目は、医療関係者、児童福祉施設等の職員、学校等の職員に対して特出ししております。 4 番の 219 行目は、海外に渡航する者について記載をして、「風しんの抗体検査や予防接種の推奨を行う必要がある」と。 4 つのグループでこういった推奨を行っております。

5 番以降で具体的な対策を記載していますが、基本的な記載方法としては、関係団体や関係学会に対して、厚生労働省が協力を求めつつ、対策が必要な対象者に、罹患歴や予防接種歴を確認し、いずれも確認できない場合に、風しんの抗体検査や予防接種を推奨するという構造になっております。

8 ページの五「その他必要な措置」です。予防接種以外の予防対策について記載があり、主に風しんに関する情報を定義付けて、こういった情報の提供を積極的に行うことが記載されています。この項目についても、先ほど 4 の所で定義付けた情報の必要な対象者に対して、それぞれの観点から、厚生労働省が情報の提供等を依頼する構造になっております。

 続いて 9 ページの第四は「医療等の提供」についてです。これは一が「基本的考え方」、二が「医療関係者に対する普及啓発」、三が「先天性風しん症候群の児への医療等の提供」の 3 つの項から構成されていますが、特に三については、「先天性風しん症候群の児への医療等の提供」が重要であることから項目立てがあり、内容については、関連する多くの学会等に対し、先天性風しん症候群と診断された児の症状に応じ、適切な医療を受けることができるよう、専門医療機関の紹介等の対応を依頼しております。また、地方自治体に対しては、先天性風しん症候群の児に対する医療及び保育等が適切に行われるよう、必要な情報提供を行うものとし、さらには、症状に応じた支援制度を利用できるよう、積極的な情報提供及び制度のより適切な運用を依頼しております。

339 行目、第五「研究開発の推進」です。一「基本的考え方」、二「臨床における研究開発の推進」の 2 つの項目から構成されており、定期の予防接種歴の確認を容易にするシステムの整備の推進や、ワクチンの研究開発について記載がされています。

355 行目、第六「国際的な連携」については、一「基本的考え方」、二「国際機関で定める目標の達成」、三「国際機関への協力」の 3 つの項目から記載があり、全体として国際機関との連携を強化していくことが重要という観点から記載がされております。

 第七は 376 行目、「評価及び推進体制と普及啓発の充実」については、一「基本的考え方」、二「風しん対策推進会議の設置」、三「都道府県における風しん対策の会議」、四「関係機関との連携」、五「普及啓発の充実」の 5 つの項目から構成されています。特に二と三に関しては、国レベルまた都道府県レベルで、対策推進会議や風しん対策の会議が、麻しんに対して行われている会議について、風しんについても同様に会議の設置を求めていくとともに、既にもう実施している「麻しん対策会議と合同で開催することも可能であるものとする」という記載ぶりがあります。以降の項目についても、既に策定が施行されている麻しんの指針等を参考にしながら、麻しん同様の対策を風しんに対して求めていく、というような内容になっております。指針の概要については簡単ですが、以上になります。

○渡邉部会長 昨年度の風しんの大きな流行によって、 CRS の患者が依然として続いています。この 1 月、 2 月辺りが多分ピークになるのではないかと思われますが、そういうことをもう二度と繰り返さないようにするためにも、体系的に対策をどのようにするかを決めて、そしてその目標に向かってやっていくことが非常に重要なことであります。その第一歩がこの予防指針 ( ) になるわけです。ここに書かれていることに関して、更にこういうことを考えたほうがいいなど、提案、コメント等がありましたら。北村先生お願いします。

○北村委員 ここまで指針を御準備いただいたことに対し敬意を表したいと思います。ただ御存じのように、 CDC のサイトにトラベルノーティスレベルという表示がありまして、風しん流行地域である日本は恥ずべきかなアラートレベル 2 との位置付けになっております。ではアラートレベル 2 という警告を発せられている国はどこかというと、ポーランド、日本、エチオピア、ケニア、ソマリア、カメルーン、シリアというような国々に、正に科学立国日本が並んでいるわけです。こういう恥ずべき状況が現実にある以上、私はこの機会にもっともっと踏み込んだ指針づくりをして、世界に誇るべき風しん対策を示す必要があるのではないかと思います。実は WHO の「麻しん対策」には、排除宣言というのは患者がゼロになってから最低1年が経過した段階と書いてあります。そういう意味では、東京オリンピック開催ということになりましたら、これは平成 32 年度までにではなくて開催最低 1 年前まで、即ち平成 31 年度とか、平成 30 年度とかまでに風しんゼロを目指す覚悟が必要ではないかと考えます。私はこの平成 32 年度を世界に向けて、「東京オリンピックにどうぞ安心してお越しください」という、開催 1 年前までにはゼロにするという意気込みが日本政府から発せられることがとても重要だろうと思っております。まだ幾つかあるのですが、ひとまずは、その平成 32 年度を変えてほしいという、この願いをさせていただきますが、いかがでしょうか。

○渡邉部会長 今のような御提案で、東京オリンピック前までには世界に、風しんが日本から排除されたということを示すべきだという御意見ですが、事務局、いかがですか。

○氏家結核感染症課長補佐 御指摘ありがとうございます。 2020 年という文言について、どのような経緯で設定されたのか簡単に説明いたします。第 5 回まで開催された小委員会の資料、委員限りになっていますが、お手元に準備しております。一番後ろのページですが、現在日本において、推定ですが、風しんに免疫がない感受性者と呼ばれる方がどのぐらいいらっしゃるのかを、 2010 年の流行予測調査の結果と人口動態統計により算出した数字があります。各年齢、これはかなり粗い数字になっておりますが、 50 歳まで、 1 歳から 49 歳までの感受性者数の推計としては、約 750 万人の感受性者が残されている状況です。こういった感受性者の方々に免疫を効率的に、かつ効果的に保有していただくための中長期的な対策を示したものが本指針です。これを実行していくに当たって、どれくらいの期間が必要になってくるのかが議論になっておりました。今は 2013 年度ですが、残りの期間でなかなか成人の方々に予防接種を受けていただくことの難しさも、各自治体や過去にそういった 2004 年の流行時に対策に当たられた委員の方々から指摘があり、忙しい仕事がある中で、また、自分のこととして接種を受けていただく難しさがある中で、実際に対策を進めていくに当たっては、相当の期間も必要になってくるだろうという議論がありました。また、麻しんの指針で 2008 年に制定されておりますが、 2012 年の目標が設定されております。 2012 年については、 WHO の日本が所属する西太平洋事務局から 2012 年という目標設定が既にあった状況でして、それに合わせて 2012 年の排除を目標とし、現時点で排除の認定は 2015 年までの排除の目標を定めて、対策を進めております。

 現時点で西太平洋事務局による目標設定がまだされていない中ではありますが、世界保健総会では 6 地域中 5 地域の中で、 2020 年という目標を立てているということに鑑み、また東京オリンピックの観点も含め、 2020 年という数字が委員から提示されました。そういう様々な議論の中で 2020 年という数字が設定されておりますが、いろいろな観点での御意見があるかと思いますので、頂いた御指摘を踏まえて、引き続き検討させていただきたいと思います。

○北村委員 いずれにせよ、恥ずべきレベル 2 というものを踏まえて、安心して東京オリンピックにお越しくださいという、この意思表示をすることで一気に攻めるという姿勢は、

私はとても重要ではないかなと思っております。そういう意味では、高々 1 年とはいえ、その目標値を少し高めて取り組むという、これが世界に向けて、レベル 2 から安心できる国へという道筋を作るのにはとても重要だろうと思っております。

○渡邉部会長 確かに麻しんのときにも CDC から、日本は輸出国だと指摘されたのが理由かどうかは定かではありませんが、それも 1 つの引き金となって、徹底した麻しん対策がなされて、今のような状況になっていることを踏まえると、今の北村先生の御意見も一理あるかなと考えますが、ほかの先生、御意見はいかがでしょうか。

○小森委員 小委員会の委員として議論に参加してまいりました。北村先生がおっしゃることは正にそのとおりでございます。したがって、 2020 年という言葉が出てきたわけで、これは、それ以降は許さないということですし、東京オリンピックに安心して来てくださいと世界中に発信をしましょうということで、 2020 年という時期を設定した。北村先生は、であれば 2019 年だろうと。では 2018 年ではどうなのだろうということですが、全ての委員が意図する意味は、可能な限りとか、努力するとかということではなくて、明確な設定を置きましょう、それは 2020 年であると。そのときにはもう安心して来ていただくというメッセージですと。そういう趣旨ですので、先生の御趣旨、いやいやまだ足りないということですが、全ての委員の一致した気持ちで、今、北村先生がおっしゃったことを目標とするという意味でしたので、まだ少し物足りないということですが、趣旨は同じ気持ちであるということで議論したことをお伝えしたいと思います。

○渡邉部会長 ありがとうございます。大石先生どうぞ。

○大石委員 私も委員の 1 人として指摘しておきたいと思います。 49 行目の所に、風しんの排除の定義が、「麻しんの排除の定義に準じて」ということで、「 1 年以上確認されないこと」ということを記載しておりまして、 2020 年より前にもう確認がされているということを目標としているわけですので、ここを読み込んでいただければ、もっと早い段階で排除がされているのだという理解をしていただけると思います。

○岡部委員 私は風しん小委員会は参考人でしたが、少し補足しますと、 2020 年までに風しんを排除して、安心して来てくださいという一方、世界ではまだ風しんに対してコントロールされていない国は、実は多々あるので、その場合に、今回の流行が海外から来た可能性があるわけなので、自らを守るためにもきちんと免疫をつけておいて、外に向けては余り言えませんが、外からの侵入を防ぐという大きい意味も 1 つあることを付け加えておきたいと思います。

○渡邉部会長 ほかの先生は。前田先生、どうぞ。

○前田委員 この 2020 年の設定が理念的な目標でないというように願っているわけです。であるためには、かなり具体的で緻密な工程表が必要になってくると思っています。つまり、特にこの流行予測調査の結果で分かりますように、 30 代のマスとなっている未感染者の群にどう対処していくかということで、では、この 5 年なり 6 年の中で、どこがどういう役割を持ってどういう施策をとって、こうした未感染者群を減らしていくのかというところは、やはり明確でないと。この指針では、自治体ごとに対策会議を開催してということになりますが、そこで具体的な対策はなかなか検討し難いと思っています。非常に対策がとりにくい世代、あるいはそういう立場にいらっしゃる方々でありますので、そこの点を明らかにしない限り、この 2020 年ということが、ただそのまま自治体側に下ろされても、なかなか対応し難いということがあります。その点、必要な財源の措置も含めて、是非、国から指針に基づいた具体案をお示しいただきたいと思っております。

○北村委員 平成 32 2020 年はそれなりにいろいろ理解させていただきますが、その前にも何とかゼロを目指すという意味で、幾つか提案をさせていただきたいと思っております。ひょっとしたら事前にお渡しいただいた資料と行番号が異なるかもしれませんが、例えば 184 、「厚生労働省は、文部科学省に協力を求め、就学時健診の機会を利用し、定期の予防接種の対象者の」云々という記述があります。私は思春期学の世界でいろいろ仕事をしている者として、就学時健診の機会だけではなくて、それに加えて中学とか高校とか、あるいは専門学校とか大学とか、そういう進学の際に、その機会を利用して履歴を確認するというような、こういう文言を入れて取組を積極的に行えないだろうかと願っております。

 それと、今回いろいろ問題になる中でも、何らかの事情で定期接種のチャンスを逸してしまった若者たち、取り分け若者たちなのですが、そういう人たちが自治体などを通じて公費で接種できるような体制を整えることはできないだろうか。いろいろ、東京都なり区のいわゆる健診情報を見ますと、そういうことをしている区もあるようです。そういう意味では、定期接種の機会を逸した人たちに対して、任意の接種の年齢ではあるが費用負担ができないだろうかと考えております。

 加えて、 235 行で、企業にいろいろ接種チャンスの情報提供をされようとしております。これは特に男性の従業員のことが強調されておりますが、今般の風疹の大流行は、患者の 80 %が男性であることはよく知られております。この辺り、男性というものがいかに重要な感染源であったかということを、もう少し強調するような文言を入れられないだろうかと思っております。

 長くなりますが、例えば、今回の HPV ワクチン接種の問題もそうですが、「私は絶対に子供にワクチンを打たない」と言う親がいるわけです、いかに定期接種であろうと。しかし、その子供たちが成長して自己決定権を有したときに、そういう親の下で育てられたがためにそのチャンスを行使できなかった。こういう人たちが実は身近な所にも出てきております。そのときにどうするのか。どうもその辺りの文言がこの中には含まれていないように思うのです。是非、そういう自己決定ができるような時期になったときの子供たちへのサポートも、どこかに盛ることができないだろうかということを願っております。長くなりました。失礼しました。

○渡邉部会長 ありがとうございます。今の 3 点について。

○氏家結核感染症課長補佐 御指摘、ありがとうございます。まず 1 点目、 184 行目の学校での取組についての御指摘です。これは、第三の予防の所の三「予防接種法に基づく予防接種の一層の充実」の中に記載があります。つまり、現在行われている定期接種に関しての記載内容となっております。定期接種が現在、 1 歳から 2 歳に 1 期、就学前の 1 年間で 2 期ということで政令に定められております。こういった観点から、就学時の機会を利用してということで就学前の 1 年間、これが 2 期の接種対象となりますので、特に記載をしているものです。

 先ほど御指摘いただいた事項につきましては、定期接種ではない措置になりますので、 273 行目になりますでしょうか、「厚生労働省は、文部科学省に協力を求め、学校の管理者に対し」という所で、「児童生徒等の健康診断の機会を利用して、学校の児童生徒等の罹患歴及び予防接種歴を確認し、いずれも確認できない場合、風しんに関する情報の提供を行うよう依頼するものとする」ということで情報提供を行っているところです。実際に麻しんの指針の中にも同様の文言の記載があります。文部科学省と厚生労働省で作成してございますガイドライン等の中でも、就学前健診のみならず就学後の対策としても、毎年のように接種歴などを確認して、必要な対策に対して情報提供を行っていただいているところと、委員の発表からもお聞きしております。

2 点目の男性が多かったというような観点ですが、前段に記載があります。申し上げませんでしたが、まず、現在の流行について記載のある 36 行目になります。「平成二十四年から平成二十五年の風しんの流行は、かつての流行と異なり、患者の多くは主に定期の予防接種の機会がなかった成人男性又は定期の予防接種の接種率が低かった成人の男女であり、患者報告はこれらの風しんに対する免疫を持たない者が多く生活する大都市を中心に見られた」というような記載ぶりがあります。

 先ほども申し上げましたが、流行の原因の所に関しましても、こういった 20 代から 40 代の男性が多く感染されていて、そういったことの対策につながる記載が原因の究明というところでありますので、そういった所で読み込んでいただければと考えております。

3 点目は、学校等での必要な予防接種法が既に対象外になってしまった就学後の対策ですが、 2008 年から 2012 年にかけて、これは主に麻しんの対策の観点ですが、 5 年間にわたり時限措置による 2 期接種、これは麻しんウイルスと風しんウイルスを含有した MR 混合ワクチンを使っておりましたので、風しん対策としましても、 13 歳に相当する者又は 18 歳に相当する者に対して接種を行ってきたという経緯がありまして、今年度時点で 23 歳になる者までは、少なくても 2 回の接種の機会があったという状況になっているところです。

○渡邉部会長 あと、先生がおっしゃったワクチンを逃した人というのは、もっと成人のことですか。公費でできるような体制を作ったほうがいいというのは。

○北村委員 逃した人。そういう、成人も含めてです。それと、先ほどの定期接種の年齢では、自己決定ができない。要するに、親によって接種、未接種ということが起こりかねない事態が、日本のようなワクチン制度の中ではあるものですから、子供がそれを意識したときに、そのチャンスを逃さずに公的に費用負担ができるような体制は、とても大事ではないだろうかと思っております。

○氏家結核感染症課長補佐 御指摘、ありがとうございます。接種の在り方につきましては、 1994 年までは予防接種法に基づいて義務接種が行われていたわけですが、これまで、ワクチン接種によって不可避的に生じ得る副反応の懸念等もありまして、現在のところ、努力義務というものを課して、できるだけ多くの方に適切な時期に接種を行っていただくよう施策を行っているところです。そういった観点からも、今後の課題として、副反応の観点と合わせた議論が、必要になってくるかと存じます。

○渡邉部会長 ありがとうございます。ほかに。

○前田委員 今の関連で、北村委員が言われた予防接種を逃した方ですが、実務的な問題ですが、今回の指針でいくと、基本、まず抗体検査を行ってから接種というような方向になっているかと思うのですが、実際に言えば、昨年度の 4 期の予防接種を逃した方が今回受けたいと言ったときに、あえて抗体検査等を課す必要があるのか。今回の 5 年間の麻しんのキャッチアップの中で逃した方に接種を受けていただく際に、ある程度勧奨することも含めて、あえて抗体検査を受けてから接種をしてくださいという話になるのか、非常に直近のことですので。当然、この中にも、 2 回受けなければというようなお話もある中では、あえて抗体検査をせずに直接接種を受けてくださいという接種の仕方もあるのではないか。というのは、 1 回打って受けてくださいということであれば勧奨しやすいのですが、抗体検査を受けて、結果を聞いて、更に医療機関に行って接種を受けるという 3 回のステップを踏ませる勧奨の仕方というのは、実務的にもなかなか受け入れられ難いところがあります。その点はいかがでしょうか。

○氏家結核感染症課長補佐 御指摘、ありがとうございます。予防の観点につきましては第 3 の項目について記載があります。もちろん、予防接種を受けていただくことが感受性者の方に免疫を持っていただく唯一の対策になりますので、予防接種が重要であるということは「基本的考え方」、 148 行目以降に明記してあります。

 今、御指摘いただきました抗体検査を併せて実施することについてですが、先ほど申し上げませんでしたが、これも、必ず抗体検査を実施ということの記載ではありません。 154 行目を見ていただきますと、「必要があると認められる場合には積極的に抗体検査を実施する」という記載になっております。その観点としましては、風しんという感染力の非常に高いウイルス、これが数十年前には風しんは数十万人、数百万人という規模で毎年流行していましたが、予防接種の施策の進展とともに流行の規模が縮小化し、患者の報告数としましては、昨年度が約 1 4,350 人の流行があったところです。社会全体の免疫としては、国民の 8 割から 9 割程度の方が既に免疫をお持ちであるというようなことから、直ちに予防接種を実施することは効率的でないというような意見もございまして、必要に応じて抗体検査を実施することにより予防接種による副反応を回避することができる、又は費用負担を軽減していただくことができる、というようなことで抗体検査を併用した対策についても記載させていただいた次第です。

○渡邉部会長 ほかに御意見はありますか。

○蒔田委員 先ほどの北村先生の御意見、ありがとうございました。それも踏まえてですが、自治体では、 1 6 か月健診、 3 歳児健診等で予防接種の記録を確認させていただきますと、全く予防接種をされていないという方がそれなりのパーセンテージでいらっしゃるというのが実情で、北村先生がおっしゃるように、その子供が自己決定権を得てきた中では、先般相談があった中でも、妊娠中で風しんの抗体がないということが医師から伝えられて、自分の母子手帳を確認したところ、やはり受けていなかったということが妊娠をした段階で分かったというお母様からの御相談もございました。予防接種を受けていく必要性を御本人が学んでいくという過程をとっていただけたらというところはございますので、文科省などと小学校、中学校で、感染症の自分がかかるリスクと予防方法という部分に関しては、是非学ぶ機会も設けていただきたいですし、それを学んだ上で、自分が成人になった段階では、保護者の影響を受けない環境下で予防接種を受けていくというようなことを選ぶことができるようなチャンスも、是非設けていただきたいと思います。どうぞ、その辺も踏まえた御検討をお願いしたいと思います。

 先ほどの議論に戻るのですが、麻しんに関して届出の制度を 24 時間以内に変えていくというようなところに関しては、今回、五類の感染症を踏まえてみると、子供さんがかかる感染症、流行性の耳下腺炎とか風しんというようなところも、今後、撲滅していくことを目指すものに関しては、別途、その括りという中で 24 時間の届出を課していく。この風しんなどももしあれだったら、そういった住所などが明らかになっていく中では、地域で風しんが発生していますという中で、「妊娠中のお母さん、気を付けてください」というようなことがもう少し PR できるのではないかというところもありますので、五類の位置付けの中で、届出の在り方を五類全体の中で見直してみても、もしかしたらいいのかなということも思いましたので述べさせていただきました。よろしくお願いいたします。

○氏家結核感染症課長補佐 御指摘いただき、ありがとうございます。御発言いただきました内容は、定期接種の重要性という観点で非常に大事なところです。文科省等の関係機関による普及啓発、情報提供が重要だという観点におきましては、最後、 415 行目「普及啓発の充実」の所に、多少ですが記載されているところです。「文部科学省や報道機関等の関係機関との連携を強化し、国民に対し、風しん及び先天性風しん症候群とその予防に関する適切な情報提供を行うよう努める」という記載がありますので、そういった所で読み込んでいただきたいと考えております。

24 時間以内の届出に関しましては、発生届が 77 行目の項です。昨年の発生数が 1 4,000 を超える発生という中で、現時点においてすぐに 24 時間以内の対応というのは、現実的に難しいというような委員からの御指摘もございました。

 麻しんに関しましても、これまで麻しんの対策が段階的に、流行の規模や診断の感度などの特性を踏まえて、全数把握、そして 24 時間以内の対応を段階的に進めてきたという経緯もあります。現段階においては、 24 時間以内に届出を行うことを求めるとしていますが、実際に遺伝子検査を実施するとか、積極的疫学調査を実施するという件に関しては、流行状況を踏まえた段階的な対応を記載しているところです。

○渡邉部会長 ほかに御意見はありますか。

○桑村委員 現場で若い年代の任意の予防接種を勧めているのですが、先ほどお話がありましたように、財源の確保がありましたら、若い世代、なかなか受けにくい世代に、こういう補助があるからということで勧めていけるかと思うのです。私たちのような小さな町でも、今、県の補助事業を受けながら、ただ、それも縛りがきついですので、少し町単独の事業も踏まえながら、今、若い世代に PR をしております。その年代を予防接種に持っていこうとすると、やはり何らかの補助事業が、今後の継続も必要かなと思っておりますので、少しガイドラインからは外れるかもしれませんが、そういったところも是非継続して取り組んでいただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

○氏家結核感染症課長補佐 先ほど前田委員にも御指摘いただきました施策としましては、資料 1 1 に関しまして、簡単ですが注意の記載があります。現在、平成 25 年度補正予算 ( ) について検査費用の助成を計上しているところです。これは主として、先天性風しん症候群の予防を目的とした妊娠を希望する女性が主な対象になっているところですが、実施可能な対応を随時実施しているところです。

 また、本指針につきましては、多分野にわたる専門家の先生方に委員として御参画いただいております。これまでも 2004 年の流行、 2013 年の流行もあったわけですが、国だけで風しんの排除を短期間に達成することはなかなか困難を伴うことですので、こういった施策を社会全体の取組として進めていきたいという観点で指針を作成しているところです。

○渡邉部会長 ほかに御意見はございますか。これは 2020 年が目標ですが、実質的には 2019 年にほぼゼロに持っていって、 1 年をゼロの持続期間にして 2020 年に排除とするためには、今は 2014 年ですから、実質的にはあと 4 年か 5 年しかないという中で、先ほど出ていました、感受性者が 740 万人ですか、そのうち男性が 30 50 代で約 300 万人以上もいる。このうちの 95 %にワクチンを接種し抗体が出るようにしておかないと、周りの妊娠可能な女性に移る機会も当然出てくるというようなことだと思うのです。そのためには、もちろんこういう形で指針を作っていただいて、それに基づいてやっていただくことが重要なわけですが、そのときには、先ほどから何回も、前田先生も含めて出ていますように、綿密なる計画を立てて、そこにどういう予算を注ぎ込んで、何年度までにどうするかということの計画をきちんとやっていかないと。多分、 4 5 年というのはあっという間に過ぎてしまうので、気が付いてみたら、なかなか達成できなかったということにもなりかねないのです。多分、厚生労働省はその辺の計画を綿密に立てることを頭に入れた上での提案だと思いますので、その辺は十分、関係者共々、計画を立てて、それを予防接種部会又は感染症部会に提示していただければ、皆さんも納得して、ああ、これだったら 2019 年までにほぼゼロになるということを確信なさるのではないかと思うのです。その辺、よろしくお願いしたいと思います。

 これに関しては明日の予防接種部会でも話し合われるということですので、この感染症部会では、今のような意見があったということを予防接種部会にも伝えていただいて、そこでもう 1 回議論していただくということでよろしいですか。それとも、もうこれで OK だというのを皆さんが合意すると。

○南委員 是非いろいろな場でこのことを議論していただきたいと思います。明日また関係の会議があるのでしたら、ぜひそこでも議論していただきたいと思うのです。

 一方でやはり啓発が必要だということが何度となく言われていますが、報道やポスターももちろん手を緩めずやらなくてはいけないでしょうが、それだけではもう限界にきているかなと。どんな問題でもそうですが、情報がいかに目に触れやすいようにいろいろな努力をしても、結局、見ていない人、聞いていない人が漏れていくわけで、しかもこの桁の人数の感受性者がいる。何日か前に新聞にも、実は原因は男性でしたという大きい記事が出ていました。あれもやはり、見なければとそれきりで話題にもならない。具体的なアイディアがあるわけではないので手を挙げなかったのですが、メディアやポスターだけでなく、あらゆる手を考えないとちょっと難しい感じがしております。何か心もとないことで申し訳ないのですが。

○渡邉部会長 ありがとうございます。今までやっていた方法と同じことを繰り返してもなかなか難しいのではないか、という御意見かなと思うのですが。

○大石委員 今日、余り議論されなかったのですが、感染研では風しんに関する対策の中で複数のガイドラインを準備しています。今回の流行の中で一番重要な所見は、成人の風しん患者の 70 %近くが職場での感染であったということです。このため、現在、職場での対策を進めるために、感染研では職場における風しん対策ガイドラインを作成しております。これを冊子体にして、事業所に配布したいと考えております。このように、一歩踏み出た対策を進めております。

○南委員 もちろん、職域とか教育の場とか、あらゆることをしておられるということは重々承知しております。メディアも報道は手を緩めず続けます。後は、国民全体の意識に、それをいかに拡げるか、そういうことが問われていると思います。

○渡邉部会長 一生懸命にやっているということは、多分、皆さんお分かりで、報道等でも、非常に頻繁に報道されているわけです。ただ、一つの新聞に出た場合、その読者は限られた数で、ほかの人は見ていない。テレビでやっても、なかなかほかは見ていない。そういう方がいると、その人には十分伝わっていないということもあるのかもしれません。そういう意味では、今の職場でもっと効果的な方法が、パンフレットを配って職場集会をやるとか、いろいろなことが考えられると思います。そういうものを全て総動員でやっていただくというのも 1 つです。

 今の皆さんの御意見を踏まえた形で、明日の予防接種部会にこれを言っていただいて、感染症部会ではこういう意見があったということを是非伝えていただいて、明日の予防接種部会でもう一度議論していただくということで、この場はよろしいでしょうか。

 では、そういう形で明日の予防接種部会に、感染症部会からはこういう意見もあったと、そういうものも踏まえた形で討議してくださいということをお伝え願えればと思います。よろしくお願いいたします。

 時間もちょっと過ぎてきましたので、最後に、資料 8 に基づいて、耐性菌の問題をよろしくお願いします。

○齋藤結核感染症課長補佐 「その他」の事項です。まず、資料 8 「薬剤耐性菌の国内発生動向調査体制の強化について」を御説明いたします。これにつきましては 2 点、 2 つの感染症について提案させていただきます。

 まず、薬剤耐性アシネトバクター感染症です。これは、広域ベータ - ラクタム剤、アミノ配糖体、フルオロキノロンの 3 系統の薬剤に対して耐性を示すアシネトバクター属による感染症です。平成 23 年に定点報告の報告対象疾患として位置付けられております。当時、「既にある程度の医療機関で検出されており、今後の傾向を把握することが必要」であることから、五類の定点把握の対象疾病となりました。ですが、その後、定点からの報告数は、 2011 年は 5 例、 2012 年は 7 例と、報告としては非常に少ない状況です。また、補完的に厚生労働省院内感染対策サーベイランス (JANIS) の全入院患者部門というデータを見ても、 2011 年、 2012 年に患者報告はなく、 2013 年は、 9 月までの集計ですが 3 名あるのみという状態で、患者数としては非常に少ないという状況が見られております。このような現状では、定点報告では実態が十分に把握できないではないかということで、御審議いただきたいのは、薬剤耐性アシネトバクター感染症について全数把握としてはどうかというのが 1 つ目の提案です。

 続きまして、 3 ページですが、腸内細菌科カルバペネム耐性菌感染症です。これについては現在、感染症法の位置付けがありませんが、このカルバペネム耐性菌感染症は、抗菌薬の切り札とされるカルバペネム系抗生剤に耐性を持つ腸内細菌科の細菌による感染症で、これの世界的な増加が問題視されつつあるところです。また、新たな種類のカルバペネマーゼ ( カルバペネムを分解する酵素 ) を産生する菌が報告されているところです。日本でも、 2010 9 月から 12 月に実態調査を実施し、 IMP 型、 NDM 型及び KPC 型といったタイプのカルバペネマーゼを産生する菌を確認しております。その後も研究班で調査を継続しております。

 これらの結果につきましては、参考資料 9 「我が国における新たな多剤耐性菌の実態調査」の結果等にまとめてございます。いずれのものも国内で分離が確認されているところですが、研究班で調査を継続しているところで、今のところ、輸入症例であるということが確認されております。厚生労働省では、平成 25 3 月に情報提供と適切な院内感染対策の実施を呼び掛けたところです。

 御審議いただきたいのは、継続的に実態を把握するため、腸内細菌科カルバペネム耐性菌感染症を、報告対象疾患に位置付けるとともに、全数把握としてはどうかという点です。

 また、その他の事項ですが、委員の先生方から法改正事項に係るその他の御提案などがありましたら、頂ければと思います。

○渡邉部会長 この薬剤耐性の問題は、去年、米国 CDC が、米国内ではカルバペネム耐性の割合が、特にクレブシエラ等が約 10 %というような報告で、非常に驚異の細菌であるということをアナウンスしたところです。その後、 G8 サミット及び WHO 等もこの問題を強く取り上げて、それに対する専門家委員会などを開いて、今年の 5 月の総会にこの事項が提出されるというような状況で、世界が非常に注目していることです。幸い我が国は、カルバペネムとか NDM-1 はそれほど高くない1パーセント未満ですか。ということで、この状況が今後も続いていくことを願っているわけです。そのためにはやはり、サーベイランス体制と、それに基づく対応を十分にやっていかないと、その状況が保てないということです。今回、この提案はそういう趣旨も踏まえて、全数把握にすることによって、これらの状況を正しく把握し、そして対応に結び付けたいというのが事務局の意向だと思います。いかがでしょうか。

○賀来委員 是非お願いしたいと思います。我が国の感染症学会、環境感染学会、臨床微生物学会、化学療法学会などの感染症に関わる専門学会でも、これらの耐性菌については特に注目しているところで、多剤耐性アシネトバクターに対しては4学会合同で提言をおこなっています。また、カルバペネム耐性の腸内細菌は、現在、ヨーロッパ、アメリカを中心にかなり問題になっていますが、現在の状況では、本当に我が国でどれだけの感染症症例があるのか、ほとんど把握できていない状況です。先日も東北大学で多剤耐性アシネトバクターの検出例を 1 例経験しましたが、報告を上げていません。多剤耐性アシネトバクター、カルバペネム耐性腸内細菌のこの 2 つの耐性菌については、今、御提案いただいたような形でのサーベイランス強化を是非お願いしたいと思います。

○渡邉部会長 ありがとうございます。ほかにコメント等がありましたら。

○調委員 感染症発生動向調査事業実施要綱が、感染症法に基づいて作られていまして、患者の発生のデータと、もう 1 つは、病原体サーベイランスがその中で位置付けられています。病原体サーベイランスの中で薬剤耐性菌の病原体サーベイランス対象になっている菌は、今のところ VRE VRSA 2 つだけなのです。 VRE に関しては、御存じのとおり、除菌ができない状態で患者さんが地域を転院していくことから、 1 つの病院だけではなくて、地域全体でどのようなタイプの VRE があるのかということを把握していくという意味で、自治体におけるサーベイランスは非常に重要だろうと思っています。アシネトバクターに関してもそのようなことがあると聞いておりますので、アシネトバクターに関しても、病原体サーベイランス対象に入れていただけると、自治体が行政依頼検査として病原体を確保する法的な裏付けができると思いますので、その辺を御検討いただければと思いますが、いかがでしょうか。

○渡邉部会長 カルバペネムのほうは、これは大変ですか、これまで入れてしまうと。

○調委員 対応できるかということと、必要性があるかどうかということを、私自身ですと余りありませんので、もし必要であればこれも入れていただければと思いますが。とにかく今のところ、薬剤耐性菌において病原体サーベイランス対象になっているのは非常に少ないということがありますので、御検討いただいて、少し幅を広げていただければと思います。

○渡邉部会長 事務局、いかがですか。

○齋藤結核感染症課長補佐 御意見、どうもありがとうございます。病原体サーベイランスの観点のほうも、併せて検討したいと思います。

○渡邉部会長 ありがとうございます。

○味澤委員  MDRA のほうは、患者の報告ですからそんなに多くないので、全例把握も特に問題ありません。保菌者は結構いますが、患者さんはそんなにいませんから。ただ、カルバペネム耐性は、これを全例報告するとどのぐらいの数になるか分かりません。駒込病院でも、カルバペネムを含んで 2 剤耐性の緑膿菌とかは結構います。そういうものが出ると監視の対象にはしています。大病院だと、多分、カルバペネム耐性菌はうじゃうじゃいるような気がするのです。そうすると、最初から全例でやるのか、定点で見るのがいいのか検討が必要ではないでしょうか。 JANIS ではカルバペネム耐性菌はどのぐらい出ているのでしょうか。

○渡邉部会長 先ほど言いましたように、日本の感染源調査で、例えば NDM-1 の調査を行ったところでは今のところ数は少ないですね。

○賀来委員 確かに多くないのですが、世界各国では増えていますので、今後、輸入例も含めて早くからサーベイランス体制を構築し、我が国に流入してきていないか、増加傾向にないかということを把握していく必要があると思われます。

○菅原委員 多剤耐性アシネトバクター菌の感染症の全数把握は、私もとても賛成ですが、やはり現場は、今、先生がおっしゃいましたように、感染者よりも保菌者のほうが圧倒的に多い。そういう意味でも、病原体サーベイランスのほうを強化していただくと全体像が把握しやすい。それと、 JANIS のほうで感染症が報告され、病原体のほうで保菌者、病原体がどのぐらい出ているのかを把握すれば、全体像が分かりやすくなるのではないかと、臨床的な感覚なのですが思いました。

○渡邉部会長 カルバペネムは、今のところ少ないのですが、米国とか、ほかの状況を見ると、大腸菌なら大腸菌の 10 %以上になっているとなると、確かにかなりの数になると思うのです、報告は。これは、初めはそういう全数で、多くなってきたら、インフルエンザ H1N1pdm の例みたいに定点とかにする、これも可能なのですか。

○齋藤結核感染症課長補佐 御意見、ありがとうございます。このカルバペネム耐性のところの報告基準については、現在、検討を進めておりまして、 JANIS のデータなども活用しながら、どういった基準で行うのが一番適切か。特に JANIS は、頻度が低いものについては取れませんので、その辺りを全数報告でしっかり見ていくという形になるかと思われます。

○渡邉部会長 そうすると、随時、増加傾向にあったときには、全数にするのか定点にするのか、またそれは考えるというような理解でよろしいのですか。

○齋藤結核感染症課長補佐 そこは発生状況に応じて、また御意見を頂きながら決めていくことになると思います。

○渡邉部会長 当面は全数でやってみようという提案ですが、よろしいでしょうか。現場が大変だということも多分あるかなと思うのですが。特に御意見がなければ、実態把握という意味で、まず全数把握をして、その後、数が増えてきて、なかなか負担が大きいというようになれば定点把握というようなことも考えられる、ということでよろしいでしょうか。先生、よろしいですか。

○味澤委員 結局、最終的には菌がどのタイプかということが大事なので、どっちかというと菌自体のサーベイランスも並行してやっていただかないと意味がないのではないでしょうか。臨床における患者例での耐性菌というだけで片手落ちだと思います。その耐性菌が一体どこから来たかというのが分かりませんので、そちらのほうもお願いしたいと思います。

○渡邉部会長 これは、厚生科学研究のほうの薬剤耐性研究班がありますので、そこでアクティブなそういうサーベイランスをやって、どのぐらいの率で、実際、どういう型のものがあるのかというデータを出していただいて、そのデータを感染症部会等にも報告又は各臨床家等にもその情報が行くようにするということで処理していただければいいかなと思うのですが、よろしいでしょうか。ほかに「その他」に関して、何かここで議論すべきことがありましたらお願いいたします。

 もしないようでしたら、時間も過ぎましたので、本日はこれで終了させていただきます。皆さん、お忙しいところを御出席いただき、会の進行に御協力いただきまして、どうもありがとうございます。

 その他、事務局から何かありますか。

○齋藤結核感染症課長補佐 様々な御意見を頂き、ありがとうございました。次回の開催につきましては、日程調整の上、御連絡を差し上げます。

 本日はこれで終了いたします。長時間にわたり、ありがとうございました。

(注)

小森委員の任期が、平成25 10 18 日に満了していましたが、再任命の手続をとらないまま、同委員出席の上、審議会を開催しました。

議事の定足数については、当該委員を除いても、委員及び臨時委員の過半数が出席していたため議事は成立しています。議決については、全会一致により決定していることから、審議会の決定に影響はありません。

また、今回の会議においては、当該委員は、参考人として取り扱われます。

詳細については、以下のリンク先を御覧ください。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000040328.html




(了)

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