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2013年9月6日 2013年9月6日 第93回労働政策審議会職業安定分科会 議事録

職業安定局

○日時

平成25年9月6日(金)10:00〜12:00


○場所

中央合同庁舎第5号館共用第8会議室(19階)
(東京都千代田区霞が関1−1−2)


○議題

(1)雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について
(2)その他

○議事

○阿部分科会長 ただいまから第 93 回労働政策審議会職業安定分科会を開催します。本日の委員の出欠状況は、公益代表の太田委員、労働者代表の勝野委員と住野委員、使用者代表の河本委員、坂倉委員、田沼委員、深澤委員が御欠席です。公益代表の宮本委員は遅れていらっしゃいます。

 議事に入ります。本日の議題は、「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について」及び「その他」です。

 最初の議題、「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について」です。本件については、本日付けで厚生労働大臣から労働政策審議会会長あて諮問を受けております。事務局から説明をお願いします。

○雇用開発課長 雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案について説明いたします。資料 1-1 に、今回お諮りする省令改正案の要綱をお示ししています。 1 枚おめくりいただいた裏側が、諮問文の本文になります。その内容については、左のページの第 1 にお示しした「雇用調整助成金の要件の改正」、もう 1 枚おめくりいただいた第 2 の「被災者雇用開発助成金の要件の改正」の 2 点が内容です。この要綱による省令改正について、資料 1-2 によって、その趣旨の御説明をいたします。

 まず、資料 1-2 1(1) 「雇用調整助成金の改正」です。御承知のとおり雇用調整助成金については、「事業主が、景気変動など経済上の理由によって、事業活動の縮小を余儀なくされる状況の中で、一時的に休業、教育訓練、出向によって、労働者の雇用の維持を図った場合に、賃金等の一部を助成する」といった内容の助成金です。

 この助成金については、平成 20 年のリーマン・ショック後の急激な雇用情勢悪化に対応するため、数回にわたり大幅な支給要件の緩和を行ってきました。その後、景気も回復してきていることから、支給要件を平時に戻すべく、昨年来少しずつ支給要件の改正をしてきたところです。

 このような中で、本年 6 月に閣議決定された日本再興戦略において、行きすぎた雇用維持型政策から労働移動支援型の政策への転換が示されたことを背景として、支給要件を平時に戻すために残された幾つかの要件について、今回改正をしていきたいということです。今回の改正により、支給要件はほぼリーマン・ショック前の平時に戻るということになります。

 次に、 (2) 「被災者雇用開発助成金の改正」です。被災者雇用開発助成金は、東日本大震災によって離職を余儀なくされた被災離職者及び直接震災により離職を余儀なくされたわけではないものの、震災の時点で被災区域に住んでおられた被災地域求職者の方について、ハローワークの紹介で雇い入れた事業主に対して支給される助成金です。

 本人に対する給付ということではなく、雇い入れた側に対する助成金ということです。

 この助成金については、既に昨年秋の時点で一部支給要件の見直しを図ったところで、今度の 3 月で震災から 3 年目を迎えようとする中で、限られた雇用保険二事業の財源を重点的に活用していくという観点から、更に一定の見直しを図っていきたいという内容です。以上が改正の趣旨です。具体的な改正の内容については、資料 1-3 をお開きください。

1 ページは雇調金の制度の概要について記載しています。最近 3 か月の生産指標が、対前年比で 10 %以上減少している事業主に対して、休業等の手段で労働者の解雇を避け、雇用維持を図る努力をしていただいた場合に、支払った休業手当等の 2 分の 1 ないし 3 分の 2 の相当額を支給するといった内容の助成金です。そういった趣旨のことが記載されています。

 この助成金の支給実績について、 2 ページをお開きください。このグラフを見ていただければ分かるわけですが、平成 20 年度には延べ 25 万人分、 68 億円の支給実績でした。その年の秋のリーマン・ショックの影響を受けて、大幅な支給要件緩和を行い、その効果があり、平成 21 年度に、延べ 2,130 万人分、 6,535 億円ということで、約 100 倍近くの増加が見られたところです。その後、大震災があったこともあり、すぐに元に戻るという状況ではありませんでしたが、景気の回復傾向に従って、徐々に支給実績が落ち着いてきまして、平成 24 年度には 1,134 億円の実績というところまできております。

 そこで、要件改正の具体的な内容です。 3 ページをお願いします。まず、これまで既にリーマン・ショック前に戻してきた要件の概要を示しています。 1 点目の「生産量要件の改正」が、最も大きな項目で、本来事業所の生産指標が対前年比で 10 %減の場合に、助成対象とすることを原則としてきました。それが、リーマン・ショックの際に 5 %減でもよろしかろうということで、要件緩和をしていました。

 これについて、昨年 10 月の時点で審議会にもお諮りし、既に 10 %減のレベルに戻しておりまして、現在その効果が少しずつ表れてきているという状況です。

 そのほか、雇用量が増えてないということ、この要件がありまして、これを復活させました。それから、「雇用保険の被保険者期間が 2 か月未満の労働者は助成対象外とする」という要件がありましたので、これも復活しました。助成率を戻すこともしました。それから、仕事をしていない間に教育訓練を行った場合の上乗せ助成額を、一部まで戻してきています。支給限度日数の上限を戻しました。これまでに、この 6 点をやってきました。

 そして、今回の改正の内容を 4 ページに掲げています。上のほうの 4 点が、今回お諮りする省令改正事項です。下の 2 点は、通達ベースで対応していこうと思っている改正事項です。

 第 1 点目の「クーリング期間」です。もともと雇調金は利用の長期化を防ぐという観点から、支給対象としての要件が確認された後、 1 年間に限って支給の対象期間とするという考え方があり、 2 年目はクーリング期間ということで考えていました。リーマン・ショックの後に、このクーリング期間を撤廃し、長期の支給を実質的に可能とするような取扱いになっていましたが、これは元に戻したいということです。これが 1 点目です。

2 点目は、「休業規模要件」です。もともとは限られた財源で雇用維持効果を狙うという観点から、所定労働日数に占める休業の日数が、大企業の場合は 15 分の 1 、中小企業の場合に 20 分の 1 と、一定規模以上の休業の場合に助成にしましょうという考え方でやってきました。これが、リーマン・ショックの後に撤廃されており、僅か 1 時間の休業でも助成対象となるという取扱いをしてきましたが、これは元の考え方に戻したいということです。

3 点目の「特例短時間休業」です。本来、雇調金の助成対象とする休業は、 1 日単位ということが基本的な考え方でした。事業所単位、事業所全体で一斉休業して生産量を落とそうという場合は、雇用調整の手段としての休業であることが明確ですし、休業規模も事業所全体として見ると相当のボリュームになるので、ここについては 1 日単位でなくてもよかろうということで、特例的に認めてきたという経緯があります。この取扱いについては、リーマン・ショックの後に、労働者単位で認めるという取扱いに変更していました。個人ごとに、 1 時間単位で細々とした休業を助成対象とするという取扱いになりますが、この取扱いについては、 2 点目で申し上げたように、助成金の効果の観点から、一定規模の休業を助成対象とするという、基本方針に戻すという考え方からすると、これも元に戻して、事業所単位で一斉の休業の場合に限ることが適当だろうと考えております。

 第 4 点目は、「業務日の訓練対象外」です。本来、雇調金は事業所の生産量が落ちて、業務が少なくなってきた状況の中で、休業や教育訓練という手段で雇用を維持する、それをやっていただくことを目的とする助成金ですので、教育訓練を数時間で切り上げて、また業務に戻るという状態の場合は、助成の対象としては優先順位が低いのではないかということで、対象外としておりました。これについてリーマン・ショックの後に、業務があった日に実施された数時間の訓練でも助成対象としていいのではないかと緩和しておりましたので、これについても、元の考え方に戻すのが適当だろうと考えています。

 第 5 点目の「教育訓練費の 1 1 日当たりの上乗せ助成単価」です。既に、単階的に落としてきましたが、最終段階として、リーマン・ショック前の 1,200 円の原則まで戻すことが適当だと考えています。

 第 6 点目の「教育訓練の基準」です。もともとは仕事を休んでいる間に、技能を高め生産性向上が図られるといった訓練を行うのであれば、単に休業するだけの場合よりも有意義だという観点で、助成の上乗せの措置を取ってきました。リーマン・ショック前には、助成対象となる訓練の具体的な内容について、ポジティブリストでお示ししてきました。これがリーマン・ショックの後に、ネガティブリスト化し、分かりやすくすると同時に、ネガティブリストの範囲を相当薄くし、職業に関連する技能取得等であれば、幅広く対象としようではないかという取扱いをしてきました。これについても、やはり本来の趣旨に戻って、生産性向上に資する訓練を対象とするとしたいと思います。ネガティブリスト化したこと自体は、利用者にとって分かりやすいという評価を頂いておりますので、ネガティブリストの範囲を追加するということで、実質的にかつてのポジティブリストの範囲とほぼ合わせるような対応をしていきたいと考えております。以上が、雇用調整助成金の支給要件の改正関係で、本年 12 1 日付けで施行していきたいと考えております。

 続いて、「被災者雇用開発助成金の見直し」です。被災者雇用開発助成金の改正の趣旨については、先ほど申し上げたとおりですが、その具体的な改正の内容については、資料 1-4 をお開きください。この 1 ページですが、被災者雇用開発助成金の制度の概要が示されております。この助成金は、東日本大震災により離職を余儀なくされた被災離職者及び被災地求職者をハローワークの紹介で雇い入れた事業主に対して、下の表に示されているような、 30 万円から 90 万円の額を 6 か月ごとに 2 回に分けて支給するといった中身の助成金です。

 この助成金の見直し内容は、裏面の 2 ページです。震災により離職を余儀なくされた被災離職者の方については、現状として支給対象となっておりますが、震災から 3 年を迎えようとする状況を踏まえると、本年度末までにハローワークで求職活動を開始していただいた方を対象とし、来年度末までに雇い入れられた場合を支給対象にしていきたいということです。ただし、原発の避難指示に係る地域に居住していた方で、現在ほかの地域に避難している方については、避難先で就職するのか、それとも元の地域に戻れるようになったら就職するのかを決めかねていらっしゃる方も多いという特殊事情がありますので、こういった方々については継続して支給対象としていきたいと考えています。

 また、被災を理由とした離職者ではないけれども、震災時点で被災地に居住していた被災地求職者の方々については、実は昨年の 9 30 日までにハローワーク等で求職活動を開始した方に限るとしております。既に、入口を絞っています。そこから 1 年半を経過しようとしていることを踏まえまして、本年度末までに雇い入れられた場合に、支給対象としたいと考えております。

 こちらの被災地求職者の類型に該当する方についても、被災離職者と同様に、原発に係る避難地域から他の地域に避難していらっしゃる方については、継続して支給対象とするという考えでおります。この被災者雇用開発助成金の見直しについては、平成 26 4 1 日付けで施行していきたいと考えています。私の説明は以上です。よろしくお願いいたします。

○阿部分科会長 本件について、御質問、御意見がございましたら、御発言ください。

○林委員 雇用調整助成金について、意見を申し上げさせていただきます。資料の 3 ページにあるように、雇用調整助成金については、既に段階的に見直しが行われていますが、今年 3 月に開催された第 91 回の職業安定分科会においても、その際の見直しが諮問された際にも、私たち労働側から、数字データをお示しした上で、雇用調整助成金によって、リーマン・ショックのような 100 年に 1 度と言われている未曾有の経済危機下でも、多くの雇用を守ることができたという雇用調整助成金の政策的重要性を申し上げさせていただいております。

 まず、申し上げさせていただきたいのは、雇用調整助成金を活用している企業の多くは、経営努力もせずに座して景気回復を待っているということではなく、雇用をどうやって維持していくかに関して、労使が真剣に知恵を絞り合って、技術水準を維持して、なおかつ熟練技能者が持つ技能を継承しようということで、最大限の努力を払っているということです。

 今回、支給要件の見直しを行い、基本的に全てリーマン・ショックの前に戻すということですが、リーマン・ショックに対応する緊急対応ということを考えれば、平常時に戻すことについては、私どもとしても一定の理解は示していかなければいけないとは思っています。ただ、今はリーマン・ショックのときよりも経済状況は持ち直したと言いながらも、依然として厳しい状況が続いているのが実態です。

私は、主に中小、主に金属機械で働いている産業で組織されている産業別の労働組合に所属しておりますが、その中の多くの仲間たちは、高度な技術を有している、日本のものづくりの基盤を支えている中小零細の企業が非常に多く加盟しています。ただ、その中においても、一時休業が経営者側から提案され、それを労使で何とか乗り越えていこうということで、先ほども申し上げましたが、知恵を絞って企業の存続、また雇用の維持について努力している企業が、まだまだ減っていないのが実態です。

 今後も景気動向が悪化する可能性も考えられますので、その際にもしっかりとした雇用調整助成金を活用して、多くの雇用を守ることができるように、雇用調整助成金という制度は維持すると同時に、今後も機動的かつ柔軟な対応をしていただきたいということを強く申し述べさせていただきます。

 その上で、更に申し上げさせていただきたいのは、資料 1-2 にもありますが、「日本再興戦略」というところで、行き過ぎた雇用維持型から労働移動支援型への政策シフトが掲げられています。その具体策として、この雇用調整助成金を縮小し、労働移動支援助成金へ拡充するということが述べられておりますが、これは日本のものづくりについて、今後どのように考えていくのか、日本の在り方をどう考えていくのかという、非常に重要なバランスの考え方だと思います。

 日本のものづくり産業においては、技術を守るという観点から、しっかりと雇用を守り、技術を伝承していくことが必要不可欠であり、まず雇用を守って、それから守らせるために最大限の支援を行うべきではないかと私たちは考えています。ですから、労働移動がまずありきという考えの上に立ったということであれば、到底この策は受け入れることはできないと思っています。

 そもそも、受け皿となる成長産業が整備されていない状況での労働移動というものは、失業者の増加を招くだけではないかと考えております。また、雇用を守るということにおいては、「行き過ぎた」ということはないと思います。労働移動を支援するのであれば、最大限に雇用を守って、その上でやむを得ず離職された方に対して、失業を経ることなく、なるべく早く次の職に就くことができるという意味での、失業なき労働移動にこそ、注力すべきであると考えております。

 また、先立ってもお話をさせていただきましたが、失業なき労働移動とは言っても、転職する度に労働条件が下がっていくという状況も起こりかねないと思っておりますので、失業なき労働移動プラス、前回の分科会でも申し上げましたとおり、雇用の質にも注視していただきながら、こういった制度を運用していただきたいということを、併せて申し上げさせていただきます。

○阿部分科会長 林委員の意見について、何か厚生労働省からございますか。

○雇用開発課長 成長戦略においては、「行き過ぎた雇用維持型政策から労働移動型政策」という転換がうたわれているわけですが、これも前回申し上げましたが、雇調金についてはリーマン・ショックという何十年に 1 度の厳しい雇用の悪化に対応するために、緊急避難的に相当大きな要件の緩和を図ったわけです。そこの部分を平常に戻すという意味で、行き過ぎたことについては元に戻そうではないかという意味で、申し上げております。雇用維持型政策そのものを否定するつもりは全くありません。

 むしろ、雇用維持型政策というのは、雇用対策の基本的な政策として維持しなければいけないし、大切にしなければいけないと。今、話しがあったように、日本の技術の伝承を守って、雇用の安定を図るという意味では、大変重要な施策なのだという認識を持っています。

 そういった意味で、例えば今後また景気の悪化があるのかないのか、そういったときには、この雇用調整助成金の在り方についても、皆様方のお知恵を拝借して、どういった形にすれば雇用の維持を図りやすい制度になるのか、臨機応変に、そこは対応していくことを考えていまして、これで元に戻したから終わりという話とは考えてはおりません。

○阿部分科会長 ほかに御意見、御質問はございますか。

○澤田委員 今、林委員から、雇用調整助成金に関しての要望を述べさせていただいたわけです。今回、同時に諮問案件にされている被災者雇用開発助成金について、意見を述べさせていただきます。

 連合は、 7 月に被災 3 県の地方連合会と、今後の被災者雇用開発助成金の在り方について、意見交換を行いました。その結果、地方連合会からは、助成金の見直しを行うことについて、どのような影響を予想したらいいのかは非常に難しいけれども、見直し時期をもう少し延ばしてほしいという意見もありました。

 その一方では、復興は震災直後の緊急事態から、次のステージに入っている。雇用に係る助成金に全て頼るのはよくないという、企業の自立や再生を進めていく安定的な雇用を作り上げていかなければならないという意見も出ていました。

 今、お願いしたいのは、厚生労働省としては被災 3 県の雇用を守るということです。これは人権を守ることであったり、私たちが生きていくことそのものであり、そういう雇用の情勢を引き続き注視した上で、必要に応じて適切な対応を取っていただきたいということです。よろしくお願いします。

○雇用開発課長 被災地対策ですが、基本的には、例えば「日本はひとつ」しごと協議会ということで関係者にお集まりいただいて、いろいろな知恵を出し合って、被災者の雇用対策を進めると。

 そこを基盤に、例えば職業紹介や職業訓練、雇用の創出、いろいろな分野にわたって、様々な特別対策を講じています。

 被災者雇用開発助成金はそのうちの 1 つなのですが、雇い入れた側に対する助成措置です。今回、震災から 3 年たつということで、だんだん終息に向かったらどうだという話を申し上げているわけです。

3 年間でまだ求職活動を始めていない状況の方ですので、それはそれなりに特殊事情を抱えていらっしゃる方なのだろうなと。その方に一律に助成金を付けて、企業でお雇いいただければ助成金を差し上げるという段階ではなくて、それぞれの皆様方の個別の事情に寄り添って、その事情を解きほぐして、次の再就職にどのように向かったらいいのかという相談をきめ細かくやっていくという段階にきているのかなと。

 そういった意味で、例えばハローワークの個別担当者制の指導といったところをより充実させるということで、決して被災者のための支援策を低下させるという意味でやっているわけではなく、ステージが変わってきたので、そちらにシフトしていこうということで考えていることを、まず御理解いただきたいと思います。

 被災地の離職者対策については、 1 年、 2 年で解決する話ではありませんので、これは皆様方のお知恵をお借りしながら、じっくり取り組んでいきたいと思っています。

○高橋委員 意見を申し上げます。私は、そもそもリーマン・ショックから 3 年を経る頃から、雇調金については要件を平時に戻していただきたいと、事あるごとに求めてまいりましたので、その意味で、今回の見直しは極めて妥当であると思います。

 しかしながら、これまでを振り返りまして、私としては 2 つほど残念なことがあります。 1 つは、雇用調整助成金制度そのものは、極めて大切な、重要な制度であるにもかかわらず、行き過ぎた雇用維持型政策の象徴といった形で、批判を招いてしまったことがあります。

 もう 1 点は、この間、多くの不正受給が生じてしまいました。この 2 つは、大変残念であると感じています。

 そうしたことも踏まえまして、今後の対応として、現在は経済全体は極めてよい方向に向かっておりますので、大変好ましいわけですが、景気変動というのは世の常でございまして、また、いつ何時に大幅な景気後退が生じるとも限りません。

 その際には、また雇調金の要件緩和が必要になる場合もあるかと思いますが、今回の反省を踏まえて、必ず要件を緩和する際には時限措置としていただくということで、その期限が到来したときには、そのときどきの経済状況等を踏まえて、柔軟に対応していくという方向で、是非この制度を運用していただきたいというお願いをさせていただきます。

○雇用開発課長 まず不正受給のことですが、要件を急激に、大幅に緩和することの中で、その処理体制、チェック体制がなかなか追い付かなかったという、これは言い訳になってしまうわけですが、そういった事情があり、不正受給が出てきていると。それに対しては、ハローワーク、労働局に厳しく指導している最中でして、不正受給の防止、未然に防ぐためのいろいろな施策を、現場の知恵もお借りしながら、どうやったら防げるだろうかということを、やっている最中で、今後ともこれは一生懸命頑張っていかなければいけないと思っております。

 批判を浴びたということの御指摘がありました。行き過ぎた雇用維持型政策の象徴となってしまったと。これについては、リーマン・ショックの後に緩めた要件、景気の好転に伴って、すぐに元に戻しつつあるという形を取ればよかったわけですが、その後に震災がありまして、なかなか元に戻すタイミングを失ってしまったこともありました。それから、雇用調整助成金が、企業の経営の中で相当大きな影響を与えるような、意味のある助成金になってしまったものですから、それを逆にやめてしまうと経営も急に悪化するような問題も出てきかねない、そういう危険性もありましたので、徐々に、激変緩和的にやらざるを得なかったという部分もあり、元に戻すタイミングとしては、遅かった部分もあろうかという反省はしているわけです。

 今後、また景気が悪くなった場合は、また臨機応変に、要件についてどうするのかを考えていかないといけないわけですが、御提案がありましたように、今回ずるずると要件を元に戻せなかったという反省もあり、 1 つの期限を決めて要件を定め、また、その時点で見直して、それを継続するかどうかという形を取るという御提案があったと思いますので、それについては真摯に受け止めて、検討していきたいと思います。

○阿部分科会長 ほかに御意見はございますか。

○新谷委員 今、高橋委員から御意見もありましたし、我々も似たような意見を持っておりますので、申し上げたいと思っています。

 特に、「行き過ぎた雇用維持」という言葉ですが、どういう意味で、誰が言い出したのか分かりませんが、例えば雇用調整助成金の持っている雇用維持のシステム自体を言っているのか、あるいは課長がおっしゃっていたような出口戦略のタイミングのことを言っているのか、よく分からないところがあるのですが、雇用調整助成金の果たした役割というのは、前々回にも我々から資料をお示しして申し上げましたが、ドイツの操業短縮制度と並んで、我が国の雇調金が雇用維持に果たした役割というのは、非常に大きなものがあるというのは、どなたも認めることだと思います。

5 年前に 7,000 億円近く、緊急に、柔軟に対応した結果、雇用を維持する事業者の多くの申請が殺到しハローワークで処理しきれなくて、早く処理しろということが新聞でも報道されるような状況にあったわけですので、そうした状況を踏まえても、「行き過ぎた雇用維持」ではないのと思います。

 出口戦略をどうするかというのは、非常に難しい判断になるとは思いますが、どなたが言い出した話か分かりませんが、私たちは「行き過ぎた雇用維持」という言葉は、今回のケースについては当てはまらないのではないかと思っております。

 それと、高橋委員がおっしゃった重要な点が、残念ながら不正受給が非常に出たということで、これも事実です。その不正受給に際しては、これも残念なことに、これは使用者側が不正をされるわけなので、労働側が不正をするわけではないのですが、社会保険労務士が主導的な役割を果たしているというのも事実です。社会保険労務士については、基準局が監督されていると思うのですが、悪徳社労士というのは出ておりまして、例えば若者チャレンジ制度の助成金についてもネット上でいろいろな PR をしていて、不正を誘うような広告も出ております。ついては、是非監督行政としても、社会保険労務士のコンプライアンスの徹底を図っていただきたいということを、これに関連して申し上げたいところです。

 今回、諮問案件ですので、先ほど私ども労働側として意見を申し上げましたように、いつまた大規模な景気の悪化が来るかもしれない、雇用の悪化が来るかもしれないということで、雇調金の持っている柔軟性を損うことなく、臨機応変に対応していただくことをお願いして、この 1 点目については、改正省令案要綱についての了承を申し上げたいと思っています。

 また、 2 点目の被災者雇用開発助成金ですが、これも課長からもありましたように、私どもは被災 3 県の地方連合会並びにハローワークにも実際に行かせていただいて、状況を見てまいりましたが、様々な御事情をお抱えになっている方がたくさんおられると思うのです。

 今回、そうはいっても出口戦略を考えるということですので、是非周知を図っていただきたいと思います。特に、中小企業が雇用の中心になると思いますので、中小企業に対する周知を是非お願いすることを申し上げて、この 2 点目の改正要綱についても、了承を申し上げたいと思っています。

○雇用開発課長 「行き過ぎた雇用維持型政策」という言葉の御指摘がありましたが、この表現について、いろいろと御意見を承っております。ただ、この「行き過ぎた」という形容詞がなかったとすると、「雇用維持型から労働移動支援型へ転換」ということになって、雇用維持型政策を否定するかのような、またそちらはそちらで誤解を招いてしまうので、あえて、リーマン・ショックの後の 6,000 億まで膨らんでしまった部分が行き過ぎていて、なかなか出口戦略にいけなかったということを、それは遅かったという意味で捉えていただいて、雇用維持政策自体を否定しているものではないということを、改めて申し上げたいと思います。

 社労士の関係についても、助成金の申請に当たって、社労士の方にお願いする事業主の方はいるわけですが、そこでいろいろな不正が出てきているという話も耳にしております。その点については、私どもの労働基準局の監督課で社労士の取扱いをしておりますので、そこと十分に連携を取って対応していきたいと思います。

 それから、今回の助成金の改正について、雇調金については 12 1 日、被災者雇用開発助成金については 4 1 日です。時間があるようで、余りありませんので、ここら辺は十分に周知して、混乱のないようにやってまいりたいと思っています。

○阿部分科会長 ほかに御意見、御質問はございますか。特にないようでしたら、当分科会は厚生労働省案を妥当と認め、その旨を私から労働政策審議会長に御報告申し上げたいと思います。よろしいでしょうか。

                                  ( 異議なし )

○阿部分科会長 それでは報告文案の配布をお願いいたします。

                               ( 報告書文案配布 )

○阿部分科会長 お手元に配布していただいた報告文案により、労働政策審議会会長あて、に報告することとして、よろしいでしょうか。

                                  ( 異議なし )

○阿部分科会長 それでは、そのように報告させていただきます。ありがとうございました。

 「その他」に移ります。まず、資料 2 について、事務局から説明をお願いします。

○総務課長 それでは、資料 2 に基づきまして御説明をさせていただきます。平成 26 年度概算要求の概要です。 8 月末にお手元のような形で要求をさせていただいております。まだあくまで要求の段階ということですので、本日はポイントのみ御報告申し上げたいと存じます。

 今回、先ほども話題となりました「日本再興戦略の実現」が 1 つの大きな柱になっております。それから、後ほどの資料の中に「推進枠」という表現が出てまいります。一般会計の裁量的経費は 1 割以上の削減になりました。その一方で、削減額に応じまして日本再興戦略に関わるものを別枠で要求できるという形になっております。それを「推進枠」と呼んでいるところです。

 今回の全体を貫くコンセプトは「全員参加の社会の実現に向けた雇用改革・人材力の強化」です。その観点から幾つかの新しい取組を盛り込んでいるということです。以下、新しいものを中心に御説明申し上げたいと思います。まず、 1 つ目の柱が「失業なき労働移動の実現」です。

(1) が「労働移動支援助成金の抜本的拡充」です。これは、先ほどもお話がございましたが、今後、産業の新陳代謝が進んでいくという中で生じてくるでありましょう労働移動をできる限り円滑に行えるような支援を行おうという趣旨です。現行、労働移動支援助成金があります。これは、中小企業を対象に再就職が実現した場合に支給するという内容です。これにつきまして、 1 つは対象企業を大企業にまで拡大する。助成も 2 段階化する、受入先企業に対しても助成を行うことにより、現在は 1.9 億円ということですが、来年度、 301 億円を計上しているという内容になっております。

2 点目が「若者等の学び直しの支援」です。これは制度要求という形になっています。これは、雇用保険制度の見直しにつきまして、現在、雇用保険部会で御議論いただいているということです。したがいまして制度の内容につきましては、今後、雇用保険部会の議論を踏まえた形になっていくということが 1 つです。したがいまして今の時点では金額も入らないということで、今後、審議会の御議論を踏まえつつ、年末までの予算編成過程の中で制度の内容あるいは金額について精査をしていくということです。

 続きまして、 (3) 「産業雇用安定センターの出向・移籍あっせん機能の強化」です。産業雇用安定センターの出向・移籍あっせん機能が、今後、失業なき円滑な労働移動の上で非常に重要になるということで、そのあっせん機能の強化に対する支援を充実していこうということで 28 億円を計上しているということです。

 以下、成長分野の関係で 4 5 がありますが、これは現状の内容と重なる部分が多いので省略させていただきまして、 2 つ目の柱が「民間人材ビジネスの活用によるマッチング機能の強化」です。

(1) が「ハローワークの求人情報の開放」です。これは、後ほど地方分権のところでも御説明申し上げますが、今後、ハローワークの保有いたします求人情報を民間人材ビジネスあるいは地方自治体に提供していく、そのための情報基盤の整備です。

(2) が「トライアル雇用奨励金等の改革・拡充」です。トライアル雇用奨励金につきましては、現在、ハローワーク紹介に限るということになっております。これを今後、民間人材ビジネス等の紹介により雇い入れた場合にも支給対象にするということが 1 つです。それから、学卒未就職者あるいは育児等でキャリアにブランクがある人など、トライアル雇用を受けなければ正社員就職が難しいと認められる者にも対象を拡大するということです。これらを踏まえまして、 71 億円が今年度の予算ですが、 121 億円へと大幅に拡充するということです。

 なお、本トライアル雇用奨励金等の改革・拡充につきましては本年度の規定の予算の枠内で対応できる部分もありますので、この部分につきましては、今後、前倒し実施も検討したいと考えております。これにつきましては、また改めて御相談申し上げたいと考えております。

(3) が「民間人材ビジネスの更なる活用」です。ここに推進枠という先ほど申し上げました一般会計の特別枠の活用という話が出てまいります。具体的にはここにありますように、 1 つは、紹介予定派遣の仕組みを活用して学卒未就職者等に対する正社員就職の支援を図るといったスキームが考えられないかということと、それから、育児、介護等でブランクのある方に対して研修と紹介が一体となったスキームが考えられないかということです。これら、新たなスキームを行う事業者に対してモデル的に支援を行うことを考えておりまして、そのための予算を計上しているものです。

 続きまして、 3 つ目の柱「多様な働き方の実現・非正規雇用対策の総合的な推進」です。

(1) は「労働者派遣制度の見直し」です。それに関わる事務的な経費、派遣労働者のキャリア形成を支援するモデル的な取組を推進するということで、 3,300 万円ほどの要求となっております。

(2) が「多元的で安心できる働き方の導入促進」で、多様な正社員モデルの普及・促進を図ろうという内容です。これは労働基準局との共同での要求という形になっております。この本文の中にありますが、「有識者による懇談会において労働条件の明示等の雇用管理上の留意点を取りまとめる」ということです。これにつきましては労働基準局のほうで取り組むということで、それを受けまして、普及・促進を職業安定局のほうで受け持つ形で取り組んでいきたいということです。安定局としましては、これも推進枠を活用して 7,300 万円ほどの金額を計上しているということです。 (3) は、いわゆるキャリアアップ助成金の拡充です。

4 つ目の柱が「女性・若者・高齢者・障害者の活躍促進」です。

 まず女性の関係ですが、今回はマザーズハローワークの箇所数の増というようなことを盛り込みまして、女性の活躍促進の支援を充実してまいりたいと考えております。

(2) の「若者の活躍促進」ですが、2の「フリーターなどの正規雇用化の促進」というところで大きな増になっております。これは、いわゆるリーマン・ショック後にいわゆる派遣切りが行われた際に、非正規労働者対策ということでキャリアアップハローワークというものを設置してきたという経緯があります。一方で、最近のフリーター支援ということでわかものハローワークというものも設置しているという状況があります。現在の状況におきまして、非正規労働者対策が事実上、フリーター問題と非常に近い内容になっているということがありまして、これまでのキャリアアップハローワークにつきましては廃止いたしまして、わかものハローワークのほうに重点化を図るという形にしたいと考えております。その関係でフリーターの支援の経費が増になっているということです。

6 ページの (3) 、高齢者の関係です。高齢者の関係は、3,4が特に新しい内容あるいは金額が増えている内容になっております。御案内のとおり、平成 26 年度以降は、いわゆる団塊の世代の方々が 65 歳以降という形で地域で御活躍するという、場面が変わるということになるわけです。そういった中で地域における多様な活躍の場づくりが大きな課題になっているわけです。3につきましては、シルバー人材センターの活用促進ということで拡充を図りたいということです。4が推進枠という形になっております。これは、高齢者につきましては、職業安定局のシルバー人材センターのほか、老健局における生きがい就労の関係、あるいは社会援護局におけるボランティア活動の支援といった関係、いろいろな方面からの取組をしているところですが、先ほど申し上げました地域における多様な活躍の場づくりという観点からこれら全体のネットワークをしっかり作り上げていこうということで、この関係について、この推進枠を活用して要求をしているということです。

7 ページにまいりまして障害者の関係です。平成 26 年度につきましては、精神障害者の雇用に対する支援の充実を図りたいということが 1 つです。これは2等ということになります。4の所に推進枠がありまして、関係機関が連携しての「チーム支援」の強化、「障害者トライアル雇用事業」の改革・拡充といった形で障害者雇用の更なる促進のための環境整備を図ろうと、これらの推進枠という形で計上要求しているところです。

8 ページ、大きな 5 番「重層的なセーフティネットの構築」です。

 まず、 (1) の「生活保護受給者等就労自立促進事業の拡充」です。これは、福祉事務所にハローワークが直接拠点を置く、あるいは巡回相談に回るというような形で生活困窮者の就職促進に努めているところです。これのハローワークの拠点の更なる拡充を図ってまいりたいと考えております。

2 つ目が「刑務所出所者等に対する就労支援の強化」です。ハローワークと刑務所、あるいは保護観察所等が連携いたしまして就労支援の事業を実施しておりますが、その充実・強化を更に図ってまいりたいということです。

(2) が「雇用保険制度・求職者支援制度によるセーフティネットの確保」です。御案内のとおり、国庫負担につきましては、本来の率が暫定的に引き下げられているという形になっております。これにつきましては、引き続き本則に復帰するように働きかけをしてまいりたいと思っております。

9 ページ、 6 番「国際問題への対応」です。外国人の適正な就業の促進等につきまして、引き続き取組をしてまいりたいと考えております。平成 26 年度につきましては、新卒応援ハローワークに新たに留学生コーナーを設けるといったことにも取り組んでまいりたいと考えております。

 最後になりますが、 7 番「震災復興のための雇用対策」ということで、非常に額が膨らんでおります。これは復興特別会計 ( 復興特会 ) のほうになるわけですが、 (1) にあります事業復興型雇用創出事業は、都道府県に基金を積み増して、産業政策と一体となって雇用面からの支援を行うというものです。平成 23 年度の補正で 1,500 億円ほど積んだ経緯がありますが、これが今年度末までということになっておりますので、この期限の延長を図るとともに、対象県を限定して基金の積み増しを行うということで 560 億円を計上しているということです。

 以上が平成 26 年度の概算要求です。今後、年末に向けて編成作業が進んでいくことになりますので、また改めて状況は御報告申し上げたいと思います。

○阿部分科会長 それでは、資料 2 について御質問、御意見がございましたら御発言ください。

○中島委員 ただいま説明いただきました概算要求事項の冒頭に「失業なき労働移動の実現」があります。その具体的な項目の第 1 番目に労働移動支援助成金の抜本拡充が挙げられているわけですが、この点に関しまして確認をさせていただきたいと思います。

 雇用調整助成金の 2012 年度の実績は 1,134 億円だと認識していますが、 6 月に閣議決定されました日本再興戦略の中では雇用調整助成金と労働移動支援助成金の予算規模を 2015 年度までに逆転させることを前提に 2014 年度の概算要求などに反映させるという記載があります。先ほど説明いただきました 2014 年度概算要求では、労働移動支援助成金、 301 億円となっているわけですが、雇用調整助成金の要求額はどの程度か、まずお伺いしたいと思います。

○総務課長 雇用調整助成金ですが、平成 25 年度は 1,175 億円です。それに対しまして、平成 26 年度は 545 億円を計上しております。

○中島委員  545 億円ということで、先ほどありました労働移動支援助成金が 301 億円ですのでそれを再来年度に逆転させるということだと思いますが、従来から申し上げておりますように、そもそも雇用調整助成金と労働移動支援助成金は目的が全く異なる助成金だと認識しており、単純に逆転させることを目標として掲げるのは目標設定の考え方としてはいかがなものかという点を改めて指摘させていただきたいと思います。雇用が安定して、労働者が安心して仕事に打ち込める社会を目指すことこそ雇用・労働政策の基本に捉えるべきで、労働移動支援助成金を増額することが本当に労働者にとって望ましい失業なき労働移動を実現することになるのか、つまり、単に民間人材ビジネスに多額の資金を流すことだけにならないかという点に強い懸念を覚えております。

 先日、朝日新聞に掲載されており、見られた方もいらっしゃると思いますが、再就職支援を担う人材ビジネス会社が長年エンジニアとして勤めていた男性に介護の仕事を一方的に紹介するなど、本人の経験やキャリアを全く無視した紹介を行ったということで、実態としては退職を指南しているに過ぎないとの報道もなされたところです。そうした中で、労働移動支援助成金の予算を増額することにつきまして厚生労働省としてどのように考えているかお聞きしたいと思います。

○総務課長 今、お話がございましたが、確かに再興戦略には逆転させるという形で書かれておりますが、我々は予算を逆転させることが目的だとは思っておりません。雇用維持に必要な額はきちんと計上する必要があると思いますし、円滑な再就職に必要な額はきちんと計上する必要がある、それが結果として逆転しているということがあるのかなと、そんな受け止めでおります。

 そういう中で労働移動支援助成金につきましては、先ほど申し上げましたように、大企業への支援の拡大、助成の段階化あるいは受入企業への助成の拡充ということで、かなりの額が計上される形になっております。これは今後、産業の新陳代謝を加速していくという状況の中で、労働移動という場面は恐らく今よりも必然的に増えてくるであろうと。そのときにそれを円滑に行うためにどういう支援をしていく必要があるのかと。今のこの助成金は民間のビジネスも活用しながら、あるいはもう 1 つ、産業雇用安定センターの話も申し上げましたが、そういったいろいろな手段を活用しながらそれをできる限りスムーズに行っていく、そのための必要な予算はきちんと計上していくべきだと、そういう考え方で進めたいと思っております。

○中島委員 いずれにしても、予算を増額するにしましても、先ほど申し上げましたとおりの実態を踏まえまして有効に活用できますよう、今後、しっかり詳細設計をしていただきますよう要望させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

○阿部分科会長 ほかにいかがですか。

○林委員 「失業なき労働移動の実現」の 1 項目としまして (2) に「若者等の学び直しの支援」ということが掲げられておりますが、この件につきまして質問も兼ねて御意見を述べさせていただきたいと思います。

 雇用保険制度を見直して学び直し支援を実施するとされておりまして、既に雇用保険部会と職業能力開発分科会において具体的な議論が始まっていると聞いております。もちろん、学び直しをしたいという労働者の主体的なニーズに応えるということは、労働者本人の雇用の安定や労働者の処遇改善につながるものですからそのものを否定するものでは決してありませんが、学び直し支援という考え方そのものが、労使の代表が参画していない規制改革会議とか産業競争力会議での議論を踏まえて閣議決定された日本再興戦略で掲げられたものであり、そもそも、これまでの労政審の議論において取り上げられてきたものではないということを 1 点指摘させていただきたいと思います。

 そして、雇用保険制度の見直しに当たっては、まずは基本手当の水準を回復させて、雇用保険制度が持つ本来のセーフティネット機能の強化を優先させるべきと考えています。そもそも、今日、積立金残高が 6 兆円近くに達しておりますが、これは、雇用保険財政が危機に陥った 2000 年代の前半に、当時の苦渋の選択ということで給付水準を引き下げた一方で、その後の景気回復などによって支出に対して収入が超過する状況が続いているにもかかわらずこの給付水準の引上げがなされてこなかったことによるものです。この財政状況が回復した状況を踏まえたのであれば、まずはこの給付水準を引き上げて離職者が安心して求職活動を行えるように雇用保険の生活安定機能を充実させる、その見直しを行うことが先決であり、それを行った上で改めてこういった新しい制度の要求というものに入るべきではないかと考えております。厚生労働省としての見解をお聞きしたいと思います。

○職業安定局次長 雇用保険の見直しの関係ですが、今お話がありましたように、 5 月から雇用保険部会で検討を始めさせていただいております。ここで学び直しの支援等について特出しをしております。いずれにしても、今お話があったような給付の問題あるいは財源の問題等々を含めて、秋から具体的に本格的な検討、制度、どこをどう見直すのかというようなことについて検討いただきたいと思っております。いずれにしても、部会の場で公労使、十分御議論をいただいた上で正案を得られればと考えております。

○高橋委員 予算関連の資料では新谷委員がよく御指摘されて、私もいつもそのとおりだと思うのですが。やはり、総額だけを記載するのではなくて一般会計分と特別会計分が、それぞれ、どのようになっているのかということについて金額の内訳を明示していただくように是非徹底をしていただきたいというお願いをさせていただきたいと思います。

 もう 1 点は意見です。「失業なき労働移動の実現」は大変重要な施策として位置付けられているわけですが、やはり私は、 1 (3) の産雇センターのあっせん機能の強化が極めて重要ではないかと考えております。やはり、単に助成金を支給するというよりは、実際に職員の方々が間に立ってあっせんを行うという形が「失業なき労働移動の実現」には極めて重要であると思っております。その意味で、これはちょっとテクニカルな話かもしれません、 (1) とか (2) は特に意味はないのかもしれませんが、 (1) の次に「若者等の学び直しの支援」が来て (3) が来るのは何かすごく違和感があります。少なくとも労働移動支援助成金と産雇センターのあっせん機能の強化をパッケージで記すべきではないかと思いますし、労働移動支援助成金の予算額と比べて産雇センターの予算額は余りにも少な過ぎる、これも非常に気になるところです。是非、これを概算要求したからには減額で決まるというようなことのないようにしっかりとしていただきたいと思います。できれば増額を目指していただきたいと思います。

○総務課長 御指摘を踏まえまして努力してまいります。よろしくお願いいたします。

○新谷委員 今、高橋委員が御発言されたことに、私も全く同感です。以前にも申し上げたと思うのですが、厚労省予算のうち一般会計からどれぐらいの金額が政策経費で投入されているのか、 2 事業の使用者負担の部分が一体どれぐらいあるのかという区分けをしていただきたい。財源に色は付いていないというものの、やはり出所が政策のあり方に関連すると思いますので、是非区分けをして表示をいただきたいと思っております。

 その上で今、これも高橋委員がおっしゃったことに同感で、やはり、「失業なき労働移動の実現」の際に既存の産雇センターの活用がもっとあってしかるべきだと思っています。産雇センターは全国に展開されていて、そこで従事されている方、企業から派遣された、非常に企業の実態をよくお分かりになった方が従事されています。先ほども私どもが指摘させていただいたように、例えば労働移動支援助成金は 1 40 万円で 300 人までですが、民間人材ビジネスに巨額のお金を流し込むというのが今回、予算計上されているのです。その他、今回の予算を見ると、何か民間人材ビジネスに、ハローワークの情報の提供もするとか、本当に民間人材ビジネスにお金が随分流れる予算だと思っております。もともとある、既存の産雇センターの活用をもう少し充実させる方向で考えるべきではないかということは、労働側としても申し上げておきたいと思います。

 加えて予算の関連で申し上げますと、これは先ほどの一般会計と 2 事業のお金の区分けの問題とも関連するのですが、 8 ページの下に雇用保険と求職者制度によるセーフティネットの確保ということで 2,200 億円予算が出ているのです。これの 1 行目は、「労政審での議論を踏まえ、必要な措置を講ずる」とあります。これは一般会計を取ってくるという宣言だと思うのです。その下の雇用保険の国庫負担の本則原則復帰については、「雇用保険法附則の規定に基づき検討する」と、いきなり 2 つも 3 つもトーンが下がっている中身になっています。雇用保険の国庫負担本則戻しというのは、労政審の公労使の総意であり、これは、使用者側も労働者側も声を大にして厚労省にお願いして、財務省と戦ってほしいということを申し上げてきたところですが、ここの記載ぶりだと、戦う前からもう負けているのではないかという気もいたします。本当にここは、厚労省は財務省に対してもう少し頑張っていただきたいということを併せて要望申し上げておきたいと思います。

○阿部分科会長 何か御発言はありますか。

○総務課長 最大限、努力いたします。

○阿部分科会長 ほかに御質問、御意見はございますか。

○玄田委員 高橋委員と新谷委員のおっしゃったことで私も、特に 1 3 の産業雇用安定センターについては、もう少し社会的な評価が高まるような、それを支援するような施策は絶対に必要だと思っております。ただ、これは 30 年近くの実績のある本当に大きなものですが、事実上は、中高年の従業員の方の支援ということで実績があるわけです。

 以前、産雇センターの「かけはし」という広報誌に書かせていただいたことがありますが、これの作られてきた実績などを考えますと、もう少し若い従業員の方の移動にも当然使えます。もっと言えば、現状の制度の中では、いろいろな問題もあるかもしれませんが、産雇センターを作ってきたいろいろなパッケージは本来は新規学卒者の支援にも活用できるのではないかと私は思っています。すぐさま、現状のままでできるとは思いませんが、この実績のある部分を大いに活用いただくということは、「失業なき労働移動の実現」というテーマの中で古くて、かつ新しい重要な政策になるのではないかと思います。

2 番目の「若者等の学び直しの支援」に関しても皆さんのおっしゃるとおりですが、若干気になるのは、この文言だけを拝見すると、少し対象者に大事な部分が落ちていないかという懸念を感じます。例えば非正規雇用者。もちろん重要であるし、社会人。恐らくこれは文言としては雇用保険の非加入者とか従業員。一方で、今、非常に学び直しが重要なのは無業者の部分であって。なおかつ、後半で生活保護の受給者が出てきますが、生活保護には至っていない無業者で学び直しをする機会が、今、すごくあるようでない。もちろん、若者であれば「地域若者サポートステーション」というものがありますが、就業訓練という段階にまだ至らない段階での学び直し、もっとはっきり言えば、社会参加のための学び直しが必要な部分が今、喫緊の課題であると思っています。その意味で 2 番目の対象に関しては、制度要求をする段階で、一体必要とされている方々は誰なのかということを是非精査いただきたいと思います。

4 番目の「成長分野の人材育成・推進」はもちろん重要だと思いますが、若干気になるのはやはり、「建設専門支援審査の確保・育成支援」というところが入ってきまして。もちろん今、いろいろな建設関係の労働者が不足していることも分かりますが、一般的に考えると、建設人材は OJT による育成・確保は重要だというようなことになって。そうなったことが結果的に公共事業の安易な拡大につながるようなことになってはならないと思いますので、建設人材の確保・育成を一体どの分野で、どういう内容が必要かということを重々精査しながら進めていっていただきたいということを改めて繰り返したいと思います。

5 番目の「成長分野の雇用促進・推進」もそのとおりだと思うのですが、これは今、デフレ克服対策とも関係しているのですが、賃金が上昇することの必要性が今、社会的には全体的な認識になっています。ただ、歴史的に考えると、賃金の上昇は、通常は成長分野の労働者賃金が上がることが徐々にその他の分野へ拡大、波及するというのが歴史認識からすれば、今、日本で最大の成長分野は医療・福祉分野だと思われます。ただ、この医療・福祉分野が成長産業となって賃金とか就業状況の改善を引っ張っているかというと、賃金精算等々を拝見する限り、決してそのようにはなっていない。そう考えると、ここの最後の「事業主に対する支援を推進する」というのももちろん重要ではありますが、将来的には医療・福祉分野で働く就業者の賃金を含めた就業状況の改善に資するような、場合によっては事業所に対する支援ということを考えないと、やはりこれは、賃金、デフレ克服、将来の成長につながる重要な戦略だと思いますので、就業状況の改善、特に賃金面の改善につながるような雇用創出であるかどうかということは是非とも御検討いただきたいと思います。

 最後に 1 点、簡単に。 5 ページ目の (2) の2「フリーター等の正規雇用化の促進」という所です。これももちろん極めて重要だと思うのですが、あえて若者ハローワーク等の「在職者向け相談窓口」というのも。やれればもちろん望ましいと思うのですが、こちらもやはり、これまでの労働政策の中で非常に高い評価を得ている総合労働相談コーナーとの住み分けとか機能をどのように考えるのかと。総合労働相談コーナーが非常によかったのは、ワンストップでありとあらゆる相談をありとあらゆる方から受けられるということで非常に多くの実績を果たしているわけです。その中で今話題となっているような、使い捨てとかブラック企業等々の問題をそこで集中的に状況把握し、そこで労働監督行政につなげるということがあるわけですから新しい取組をすることを全く否定はしませんが、やはりこちらも先ほどの産雇センター同様、総合労働相談コーナーの実績を適宜アピールしつつ、その機能を高めるようなことも実は考えるべきではないかというようなことを思いましたので、それだけ申し上げさせていただきます。

○総務課長 たくさん御指摘をいただきましたが、まず学び直しにつきましては、雇用保険部会で御議論いただくということが 1 つあります。それから、社会に出るための基礎的な訓練を含めての重要性は全く御指摘のとおりだと思います。それにつきましてはここの場面以外の、例えば、生活保護受給者等就労自立促進事業といったような生活困窮者のところでもう少し基礎的な訓練をやりましょうと、更にその先には求職者支援制度がありますので、そういった多様な取組をしてまいりたいと思っております。

 それから、建設人材あるいは福祉人材の確保、それに向けての処遇の改善は非常に重要な課題だと思っております。状況をきちんと分析するということと、そのための効果的な支援策を多面的に考えていくということは、これからどんどん進めてまいりたいと思っております。

 「フリーター等の正規雇用化の促進」の在職者向け相談窓口は、ハローワークの敷居が低い部分があるだろうということで、ハローワークとしてもこういった取組をしようということです。全体としては先ほど御指摘いただいた総合労働相談センターみたいなワンストップの取組。それから、主たる取組は、先日もブラック企業の相談みたいなことをやっておりますが、労働基準局を主体にやっておりまして、ハローワークとしても、それに協力していろいろ間口を広げていこうということです。いずれにしても、連携とかワンストップということを特に利用してやってまいりたいと思っています。

○阿部分科会長 ほかに御質問、御意見はございますか。

○鎌田委員  1 点だけお聞きしたいのですが、 3 ページの (2) 「民間人材ビジネスの更なる活用」の (1) 「ハローワークの求人情報の開放」についてです。

 「民間人材ビジネスに対し、ハローワークの保有する求人情報を提供するための情報基盤を整備する」ということですが、現在、民間人材ビジネスとハローワークの求人情報については「しごと情報ネット」という、利用者合意の上で相互に様々な工夫をして求人情報を提供するシステムがあります。これは、民間人材ビジネスとハローワークは相互に協働して補完し合うという関係もありながら、同時に競争関係もあるわけです。したがって「しごと情報ネット」においても、競争関係にありながら相互に協力し合って求人情報をどう求職者に提供するかというような大きな課題となって現在進んでいって、一定の役割を果たしていると思うわけです。今、ここで、ハローワークの求人情報を民間人材ビジネスに提供するということですが、「しごと情報ネット」との関わり合いでこれをどう位置付けておられるのか、それから、先ほど言いましたように、「しごと情報ネット」では相互に競争的関係にもあることから、一方が一方に一方的に情報を提供するという関係ではなくて、相互に競争的にポータルサイトで提供するというような理念で出来上がっていますが、これがハローワークの保有する求人情報を民間人材ビジネスに一方的に提供するということは、どのような理念に基づいてこういうことを行っているのか、それを教えていただきたいと思います。

○総務課長 「しごと情報ネット」においては、御案内のとおり、ハローワークと民間の求人情報が提供されている形になっておりますが、今回、 1 つの議論として、「しごと情報ネット」のほうでの情報量が、ハローワークの窓口における端末に比べて情報量が一定制約されているということがありまして、もう少し詳細な情報が欲しいという話が 1 つありました。

 それから、先ほどの競争関係と協力関係ということですが、これから労働移動が増えていくというような状況を含めてそれのマッチングをいかに効果的にやっていくかということを考えたときに、官民が、それぞれその強みをいかしながら、補完し合いながら民間の力も行政目的の推進にうまく使っていくことが効果的であろうという考え方が 1 つ打ち出されたことがあります。そういう考え方にのっとって協力をいただける民間人材ビジネスに対しては、個々の求人を民間人材ビジネスにも提供するかどうかは飽くまでももう 1 回事業主の御了解を取った上での話になるのですが、事業主の御了解が取れる求人情報につきましては、より詳細な情報を民間事業者あるいは自治体にも提供する、それらがあいまって社会全体としてのマッチング効率を高めていく、そういう考え方に立って進めていこうということです。

○阿部分科会長 よろしいですか。

○中島委員 今、ちょうどハローワークの話がありましたので、ハローワークの求人情報に関連して 1 点確認させていただきたいと思っています。

 これも報道の話になるわけですが、先般の NHK ニュースで「ハローワークに偽りの求人票」ということで、求人票に記載されていた労働条件と採用時の労働条件が違うといった苦情が全国で約 6,000 件、 6,641 件に上ったという報道があったということです。求職者が職を求めて職業紹介を受けるよりどころとなるべきハローワークで提示された労働条件が求人票に記載されたものと採用時に提示されたものとで大きく異なるということでは大変由々しき問題であり、国が運営する職業紹介制度の根幹を揺るがしかねない事態ではないかと思っています。連合の地方連合会にも同様の相談が寄せられており、例えば、正社員と思って働いていたところ、上司から「あなたは正社員ではない」と言われたとか、また、求人票には「月給 26 万円」と記載されていたが実際は 15 万円だった、といった労働者の声が寄せられております。 1 枚の求人票が人の人生を変えてしまうと言っても過言ではないと思っておりますし、まず、こうした事例に対して厚労省としてどのように対応しているのかお伺いしたいというところと、また、求人票記載の内容と実際の労働条件が違っていた場合に求人者 ( 事業主 ) に罰金などのペナルティを課すことができるのかどうかということを確認させていただきたいと思います。

○首席職業指導官 ハローワークの求人条件につきましては、求職者の方の職業選択を大きく左右するものですので、職業紹介業務を進める上でその正確性を確保するのは必須のことと考えております。したがいまして、まず求人受理の段階で、原則、対面で事業主と話合いをしながら求人条件の確認をきちんとやるということで対応しております。併せて求職者の皆さんに対しては、求人条件と実際が異なる場合については、どんどん苦情申立てをしていただければ積極的に対応するという周知をしております。それで、担当窓口を決めて苦情の対応に当たっております。苦情があれば、迅速に事実確認をして、求人内容と実際の採用条件が異なる場合については、求人内容の是正について厳正に指導するという対応を取っているところです。

 もう 1 点につきましては、求人内容につきましては、ハローワークに申込みをするときに労働条件を明示することが義務付けられているということですが、それについて罰則等は現在設けられていないという状況です。ハローワークの求人受理については、「労働条件の明示をしない場合には受理しないことができる」となっておりますので、問題が確認された場合については、 1 つは、是正指導の最中あるいは改善ができるまでは紹介の保留をするとか、あるいは、法令違反関係であれば、求人自体を取り消すというような対応を取っております。併せまして、繰り返しそういう苦情がある事業所等につきましては、労働基準監督署とも情報共有をして、連携して指導に当たるというようにやっておりますし、問題が生じた事業所については、システムに指導状況などを全部蓄積しておりますので、それで予防に努めているという状況です。

○中島委員 求職者は、こういった厳しい雇用情勢を考えますと、不本意ながら労働条件を受け入れざるを得ないというような弱い立場にあると思っていますので、求人票と実際の労働条件に際があった場合も、ほとんどのケースで求職者は泣き寝入りをせざるを得ないのが実態だろうと思っています。先ほど厚労省としての対応ということで説明をいただきましたが、こういった弱い立場にある求職者が安心して就職活動ができる環境整備に引き続き当たっていただきたいと考えていますので、よろしくお願いします。

○阿部分科会長 ほかに御意見、御質問はございますか。なければ、次の資料に移りたいと思います。資料 3 について事務局から説明をお願いします。

○公共職業安定所運営企画室長 資料 3 、「地方分権改革有識者会議雇用対策部会の報告書等」について御説明いたします。表紙の次のページです。前回の 7 31 日の職業安定分科会でもその時点の状況を御報告申し上げておりました。今年 5 月に内閣府の地方分権有識者会議の下に雇用対策部会が設置され、この部会で「ハローワークの求人情報の自治体へのオンライン提供」を中心に議論するということでスタートをしています。ハローワークの地方移管そのものについては直接の議論の対象とはされていなかったところです。構成員はそこにありますとおり、岩村委員にも加わっていただいています。議論としては 6 月に第 1 回があり、厚労省のほか、連合・経団連それぞれヒアリングにご対応頂きました。 7 月に報告書の検討がありまして、その後 8 29 日に報告書が取りまとめられ、公表されています。

 次のページが報告書の要旨です。経緯として、地方公共団体が行う無料職業紹介は、平成 16 3 月に、それまでの許可制から届出制になり、無料職業紹介を行っている地方公共団体は増加傾向であったということが 1 つです。それから平成 21 年に工程表が定められて、この時点で無料職業紹介事業において必要となる国のシステム・端末を地方の職員が利用できるようにすること、というのが定められていましたが、未実施であったというのが前提です。この雇用対策部会の報告書の内容がその下です。 1) の、ハローワークの求人情報を地方公共団体に提供する取組を地方分権の観点から積極的に推進すべきであるということがポイントです。

 その他の留意事項としては、地方が求人情報をどのように活用してどのような成果を目指すのかについては、ビジョンを明確にして取り組むことを期待すること、情報提供のためのシステムの検討に当たっては、情報セキュリティーを念頭に置きつつ、地方公共団体側の導入費用が過大にならないように配慮すべきと定められています。それから 2 番目に、地方公共団体はハローワークの求人情報を適切に活用できるように、職員の専門性向上に積極的に取り組むとともに、国がこれを支援すべきこと、 3 番目に、これらの取組を着実に推進するために、国と地方公共団体が協議して連携を図るべきこと、という以上の内容が報告書としてまとめられて公表されています。

 これを受けた対応ですが、次のページです。日本再興戦略でも求められていますし、今の地方分権の報告書でも求められていますので、民間人材ビジネスと地方自治体へのオンライン提供をこれから進めてまいります。考え方として、労働市場全体としての求人・求職のマッチング機能を強化するために、職業紹介を行う民間人材ビジネスや地方自治体が希望する場合に、求人情報をオンラインで提供するということです。実施時期ですが、これも日本再興戦略で平成 26 年度中のできるだけ早期の開始を求められていますので、それで調整をしております。予算は、先ほどの概算要求の資料の中にもありましたが、 26 年度要求として、約 13 億円を要求させていただいています。

 実施方向のイメージとして大きく 2 つありますが、左側が端末方式で、ハローワークに実際に置いてある端末と同等の機能をもつ端末を民間ビジネス、あるいは自治体に自らの経費で用意していただいて、ハローワークとオンラインで繋ぐというのが 1 つです。もう 1 つはデータ提供方式という、データをダウンロードできるような形式で送って、これも民間ビジネス、あるいは自治体でダウンロードして編集して使っていただく。この 2 つを前提に要求をしています。

 次のページは少し細かくなりますけれども、具体的な内容になります。両方式が書いてありますが、開始時期については平成 26 年度のできるだけ早期、現在夏から秋にスタートできるように調整をしています。提供対象となる団体は、有料職業紹介あるいは無料職業紹介を行う職業紹介事業者で、これが民間ビジネスであったり地方自治体であったりします。ただ、地方自治体においては、職業紹介を直営でやっている場合も、民間の職業紹介事業者へ委託している場合など、自らが職業紹介をやっていない場合もありますが、そういう場合も含めて対象にするように考えています。提供する求人の範囲は、ハローワーク内で求職者に公開している全国の求人を考えていますが、これはハローワークで求人を受理するときに、求人事業主に確認をして、求人事業主が提供を希望しない場合を除いて、それ以外の求人を提供することを考えています。一方、受け入れる側の対象団体に必要な機器等ですが、端末方式の場合、費用負担として 3 年間 10 台の場合、 1,000 万〜 1,500 万円という見積を書いています。これが情報を受け取る側で必要な経費になります。ただこれは、既に必要な機器等があれば、新たに用意する必要はありませんので、もっと金額的には下がることになります。

 次のページは実際の業務運用の話ですが、オンライン提供をするに当たって、それを受け取る側で守っていただきたい利用要件・規約です。ハローワークの求人はあくまでも求人事業主がハローワークの職業紹介を受けることを希望して提出いただいているものですので、求人事業主との関係で最低限守っていただきたいことを定めてルール化して運用したいというように思っています。その下に利用要件・規約として、今考えている主なものを書いています。例えば、職業紹介以外の目的での利用、あるいは第三者とか不特定多数の者への提供をしないこと。実際に職業紹介を行う場合は、職業紹介事業者が自ら再度求人事業主に労働条件を確認して、職業紹介を行うことについて同意を得た上で行ってくださいということ。あるいは、有料職業紹介として行う場合は手数料が発生するということを改めて十分に説明をして、同意を得た上で職業紹介を行っていただきたいということ。求人事業主に対して、求職者にとって不利益になるような雇用形態あるいは労働条件の変更を働きかけないこと。求人事業主の意向に反して営業活動を行わないこと。発生した苦情については情報を提供された事業者においてきちんと対応していただきたいということ。こうした利用要件・規約に違反した場合などについては、情報の提供を中止する場合もあるということ。その他、損害が発生した場合の規定、ハローワークとの連絡に当たる責任者を置いてほしいというようなことを定めています。これについては、これだけで全部ということではありませんので、またこれから御関係の方々の御意見を聞きながら、実際に円滑にこの仕組みが回るように調整を進めていきたいと考えています。以上です。

○阿部分科会長 資料 3 について、御質問、御意見がありましたら御発言ください。

○新谷委員 新しい試みとしてハローワークの求人情報を民間人材ビジネスに開放するということですが、地方自治体は全て無料職業紹介だからいいと思いますけれども、民間人材ビジネスの場合、有料職業紹介を行う事業者に対しても開放すると、そのときのルールが、利用要件・規約を先ほど御説明いただいたのですが、有料職業紹介をやっていて無料の情報が提供されたときに、その無料の情報を使って商売をするということも可能ということですね。それは求人事業主に十分に説明をして同意を得て、職業紹介を行うということですけれども、これはお金取るときに求人側の紹介手数料は分かるのですが、求職者についての言及がないですけれども、求職者の手数料については、もし有料でやるとなればこれはどういう扱いになるのか、というのが質問の 1 点目です。

 もう 1 つは、苦情は全て職業紹介事業者が処理をすること、つまりは情報を受領した事業者本人が苦情処理を受け付けるということですけれども、これはハローワークの関与なり一方的な関与、苦情処理としてはどのように考えているのか、お聞かせいただきたいと思います。

○公共職業安定所運営企画室長 有料職業紹介の場合の求人者側の手数料は、それぞれ求人事業主の同意を得て行うということです。求職者からの手数料についても、そういうことが発生するケースは少ないかもしれませんが、結局、求職者の同意をきちんととった上でないとそういうマッチングはできませんので、まだそこはここに明示して書いていませんが、きちんと利用要件・規約でおさえていきたいと思います。

 苦情処理についてもここは基本的なことだけ書いていますが、ハローワークで受理した求人を職業紹介事業者に流すというところで、どこに起因して起こった苦情なのかをもう少しきめ細かく整理した上で、こういう苦情の場合はこちらが責任をもって対応するというのを、もう少しきめ細かく定めてルール化した上でスタートさせたいと思っています。

○新谷委員 初めての試みになりますので心配ばかりしていたらいけないですけれども、特に苦情処理のところなどは、多分、運営し始めていろいろなことが起こる可能性があるので、是非国の関与を残しておいていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

○企画課長 先ほど求職者の手数料の話が出ましたけれども、有料職業紹介の場合は、通常は求人者からの手数料が発生しまして、原則は求職者から手数料はもらっていません。例外的に発生するのは求職受付手数料というのがあって、これはレアケースとして一部の事業者で認められています。その場合も受付の際ですから、このケースは求職を受け付けた上でマッチングするときに国の情報を使うということです。その中で多分既に受付手数料は発生して、支払っていて、どこでマッチングするかは関係ないかと思いますけれども、先ほど申しましたようにその辺については最終的にまた整理してお示ししたいと思いますので、よろしくお願いします。

○阿部分科会長 ほかにありませんか、特にないようでしたら、次に移りたいと思います。資料 4 について、事務局から説明をお願いします。

○雇用政策課長 私のほうから資料 4-1 4-2 に基づいて、目標と評価の関係で御説明をさせていただきます。前回の職業安定分科会で 2012 年度の評価、中長期的な目標設定、 2013 年度の目標設定について御議論をいただきました。本日はその中長期的な目標設定について、各委員の御意見を踏まえて参考指標を追加しているという点が 1 つ。もう 1 つ、 2012 年度の評価について、評価シートに各委員からいただいた意見を追加していることについて説明をいたします。まず、資料 4-1 の中長期的な目標設定について、前回の分科会において御議論のあった点ですが、転職入職率について、転職者の入職をそれ以外の入職よりも優先しているように受け取られかねないという御指摘とか、あるいは、離転職によって賃金が下がったりする場合もあると、そういった点についても考慮すべきという御指摘をいただきました。こうした御意見を踏まえ、※ 2 の転職入職率のほかに、転職者以外の方の入職も含めた全体の入職率についても着目していくということです。あと、転職入職者の賃金変動についても転職後の労働条件の動きを把握して、いわば転職の質の面について着目をしていきたいとしております。加えて、 3 の転職入職率と、 2 の失業期間 6 か月以上の長期失業者の数を一体として注視していくことで、双方が合わさって実現して初めて円滑な失業なき労働移動が実現したことを記載しています。

 もう 1 つの資料 4-2 2012 年度の評価は、前回お諮りしたものですが、評価シートの中の分科会委員の意見欄に、前回の分科会後に御提出いただいた御意見などを事務方で記載させていただいています。各委員からいただいた御意見もこのように十分に踏まえ、今後の施策の実施に取り組んでまいりたいと考えています。今後のスケジュールとしては、近日中に 2012 年度の評価をパブリックコメントにかける予定となっています。以上です。

○阿部分科会長 資料 4 について、御質問、御意見がありましたら御発言ください。

○中村委員 前回の部会で、転職入職率の目標を掲げることについて、議論がありましたし、また 8 22 日に開催された労働政策審議会の本審でも同様の是非について意見があったと理解をしています。今の御提案では、今回の見直しについて、転職入職率に加えて、失業期間 6 か月以上の者の数、あるいは入職率、転職入職者の賃金変動、この様子を注視することの御説明のようですが、具体的にこの要素を、この 3 つをどのように注視して、どのように年度目標に反映させて、どのような効果測定を考えるのかについて、具体的にお伺いしたいと思います。

 それから前回の部会で、目標の 9 %の数字の意味合いは今までの最高値であった 2005 年の 9.2 %を参考にしたというお話だったのですが、私から当時の状況等も含めて、賃金がダウングレードするとか、そういう状況なども含めて、この数値としての 9 %についての考え方や根拠を明確にしていただきたいと改めてお願いしたと思いますが、この点についてもしありましたら併せて教えていただきたいと思います。

○雇用政策課長 御指摘いただきありがとうございます。参考指標を掲げた意味合いですけれども、この点について転職入職率の中身が今の後半でお話がありましたように、基本的には転職入職率は景気と概ね連動するのですが、景気情勢が悪化して離職が、離転職が増えた場合にも押し上げる方向に作用します。ですので、いい面と悪い面が併せて入ってくる指標だと思っています。そういう意味でその中身を細かく見て、質の下がった労働移動が増えていないかどうかをこの賃金変動でチェックすることができますし、また転職者以外の方がちゃんと就職できているかどうか、入職率をチェックできると思っています。

 年度目標については、今年度分の年度目標は前回の分科会で御承諾をいただいております。来年度については先ほど予算の説明でもありましたように、来年度から新規に始まる施策もいろ いろとありますので、来年度の施策を見ながら、それに相応しい目標を設定していきたいと思っております。

○阿部分科会長 ほかに御意見、御質問はありますか。今、御意見が出ましたので、それを踏まえ、施策の実施に取り組んでいただく思いますが、よろしいでしょうか。

 それでは、資料 4 については、指標のとおり進めていただきたいと思います。

 ほかに何かありますか、なければ本日の分科会はこれで終了したいと思います。本日の会議に関する議事録については、労働政策審議会運営規定第 6 条により、分科会長のほか、お二人の委員に署名を頂くことになっています。つきましては、労働者代表の新谷委員、使用者代表の高橋委員にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 これで終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)
<<照会先>>

厚生労働省職業安定局総務課
(電話): 03−5253−1111(内線5711)

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