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2013年7月31日 第92回労働政策審議会職業安定分科会 議事録

職業安定局

○日時

平成25年7月31日(水) 10:00〜12:00


○場所

厚生労働省職業安定局第1・2会議室(12階)


○議題

(1)日本再興戦略(職業安定行政関係)について
(2)国と地方の連携について
(3)2012年度の評価及び2013年度の目標設定について

○議事

○総務課長 お揃いでございますので、ただいまから第92回労働政策審議会職業安定分科会を開催いたします。職業安定分科会長につきましては、労働政策審議会令第6条第6項によりまして、労働政策審議会の本審に所属する公益委員の中から本審に属する委員により選出することとなっております。事前に阿部委員が分科会長に選出をされておりますので、御報告を申し上げたいと思います。以降の議事進行は阿部分科会長にお願いをいたします。よろしくお願いします。
○阿部分科会長 皆さんおはようございます。分科会長を指名されました阿部でございます、どうぞよろしくお願いいたします。議事進行がスムーズに進みますように、皆様どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、労働政策審議会令第6条第8項により、分科会長代理を公益委員の中から分科会長である私が指名することになっております。こちらは岩村委員に事前にお願いしてあります。どうぞよろしくお願いいたします。議事に先立ちまして、職業安定分科会の委員に新たに就任された方を御紹介させていただきますので、一言御挨拶をお願いいたします。
 まず、公益代表として慶應義塾大学経済学部教授の太田委員。
○太田委員 太田でございます。よろしくお願いいたします。
○阿部分科会長 東洋大学法学部教授の鎌田委員。
○鎌田委員 鎌田です。よろしくお願いいたします。
○阿部分科会長 東京大学社会科学研究所教授の玄田委員。
○玄田委員 玄田です。よろしくお願いします。
○阿部分科会長 次に使用者代表委員として、株式会社上組代表取締役社長の深井委員。
○深井委員 深井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○阿部分科会長 東日本旅客鉄道株式会社代表取締役副社長の深澤委員。
○深澤委員 深澤でございます。よろしくお願いします。
○阿部分科会長 以上です。また、当分科会の下に置かれております各部会に所属する臨時委員については、労働政策審議会令第7条第2項の規定により、分科会長である私が指名することになっています。配布している名簿のとおり事前に指名させていただいておりますので、新しい名簿について席上配布しています。本日の委員の出欠状況は、公益代表、労働者代表の欠席はありません。使用者代表は、河本委員、高橋委員、田沼委員が御欠席です。
 それでは、議事に入ります。本日の議題は、「日本再興戦略について」、「国と地方の連携について」及び「2012年度の評価及び2013年度の目標設定について」です。最初の議題は、「日本再興戦略」についてです。それでは事務局から説明をお願いいたします。
○総務課長 お手元の資料1です。日本再興戦略の職業安定行政関係部分につきまして、御説明を申し上げたいと存じます。去る6月14日ですが、日本再興戦略が閣議決定をされております。そのうちの職業安定行政に関する部分の抜粋とそれを御理解いただくためのポンチ絵等の資料です。今回の日本再興戦略ですが、成長と雇用というものがその車の両輪ということで、雇用部分につきましても雇用制度改革・人材力の強化ということで、多くの事項が盛り込まれています。
 はじめに、資料の1、2頁の部分が1つ目の柱です。行き過ぎた雇用維持型から労働移動支援型への政策転換(失業なき労働移動の実現)ということでして、その内訳として3つのことが掲げられております。1つ目が労働移動支援助成金の抜本的拡充等ということ。それから、2つ目が若者等の学び直し支援のための雇用保険制度の見直し、3つ目が産業雇用安定センターの出向・移籍あっせん機能の強化ということです。3頁以降に個別の資料を付けておりますので、そちらで説明をさせていただきたいと思います。
 まず、3頁が雇用調整助成金と労働移動支援助成金の現状と推移を掲げたものです。御覧のとおり雇用調整助成金はピーク時6,500億円余、平成24年度におきましても、1,100億円余ということです。一方で労働移動支援助成金のほうが数億円の規模というのが現在の状況です。今回の日本再興戦略におきましては、平成27年度までにこの予算規模を逆転させるということが記載されているということです。4頁に、労働移動支援助成金の今後の拡充についての資料を付けております。4つの拡充の内容というのをここに書かせていただいておりますが、いずれも再興戦略のほうに記載をされている内容です。現在は、中小企業が対象、再就職支援につきまして民間の職業紹介事業者に委託をして再就職が実現した場合にその一部を助成するというものですが、今後につきましては対象を大企業にも拡大する。それから、現在は再就職が実現した場合の一段階の助成ということでありますが、2段階の助成という形にするというのが2つ目です。それから、再就職の過程におきます紹介事業者の行う訓練も助成の対象にするということ。それから受入れ企業の行う訓練につきましても、助成の対象にするということです。これらにつきましては、今後具体的な要件変更ということが必要になってまいります。これにつきましては改めて審議会にお諮り申し上げるということになるものです。
 それから、5頁、6頁が雇用保険制度の見直しに向けた検討ということです。日本再興戦略におきましては、この5頁の趣旨の2つ目の社会人の学び直しを促進するために、雇用保険制度を見直すということで書かれています。一方で雇用保険制度につきましては、今年度までの暫定措置等がございます。そういったことを含めまして、既に雇用保険部会で検討が開始されています。
 続きまして、7頁ですが、産業雇用安定センターの出向・移籍あっせん機能の強化ということです。産業雇用安定センターは、公益財団法人ということで産業界の拠出によりまして、昭和62年に設立をされています。出向・移籍のあっせん業務を行っておりまして、3の実績にございますように、平成24年度に入りまして一部のリストラの動きを受けまして、取扱い件数も増加をしてきているところです。今後さらに対象者に対するきめ細かな支援ができるように、産業雇用安定センターに対する支援の強化を行っていくという内容です。8頁以降が2つ目の柱でございます。民間人材ビジネスの活用によるマッチング機能の強化ということです。ここでは内訳といたしまして、3つのことが掲げられています。1つ目がハローワークの求人・求職情報の開放等ということです。2つ目が9頁ですが、トライアル雇用奨励金等の改革・拡充。3つ目が民間人材ビジネスの更なる活用ということです。以下10頁以下に資料を付けておりますので、そちらで御説明を申し上げます。
 まず、10頁がハローワークの求人情報のオンライン提供の関係です。ハローワークの保有する求人情報をオンラインの形で来年度中のできるだけ早期に民間人材ビジネスや地方自治体に対して提供していくという内容です。この下の図にございますように具体的には2つの方法を検討したいと考えております。1つは、ハローワークに現在求人情報の提供端末が置かれておるところですが、これと同様の端末を自治体等も置けるようにするという方法が1つ。それから、民間人材ビジネスや地方自治体が加工可能な形式でデータをダウンロードできるような方法です。こういった2つの方法での提供を検討したいということであります。なお、今回の日本再興戦略におきましては、求職情報の開放ということも言及をされております。これは、本文のほうになりますが、8頁です。まずは、求職者あるいは民間人材ビジネスに対するニーズ調査を行いまして本年末を目途に結論を得るということで書かれています。この求職情報の提供というのは、個々人の個人情報に大きく関わる問題ですので、こちらについてはニーズ調査を行った上で、本分科会の御意見もお聞きしながら判断をしてまいりたいと考えています。
 続きまして、資料の11頁です。トライアル雇用奨励金の拡充というところです。現在のトライアル雇用奨励金ですが、1つはハローワーク経由の紹介に限られているということがあります。対象者につきましては、ハローワーク経由の紹介ということもございまして、ハローワークの所長が特に就職困難と認める者ということになっております。今後ですが、対象の明確化を図る必要があるということで、併せて学卒の未就職者、あるいは育児等でキャリアブランクがある者なども対象に加えるという、対象者の拡大を図りたいということが1つです。それから、ハローワーク経由の紹介に限られている部分につきまして、現在既に特定求職者雇用開発助成金等の雇入助成金につきましては、民間人材ビジネスの紹介も可としておるところです。それと同様に民間人材ビジネスあるいは自治体経由で就職した場合も助成対象に加えていきたいという内容です。12頁が民間人材ビジネスの更なる活用ということです。1つが学卒未就職者について紹介予定派遣を活用した正社員就職支援のスキームが考えられないかということです。これは、いわば職業意識ですとか、スキル等の面で即戦力としての採用がなかなか見込まれない方について、この紹介予定派遣の仕組みで正社員就職に繋げていくということが考えられないかという話であります。それから、右側が育児・介護等で仕事の現場を離れていた人に対する研修と紹介の一体的実施ということです。こちらのほうは、いわば一定のスキルを既にもっておりながらブランクによってそれが錆び付いているような方、そういった方に対してブラッシュアップした上で紹介に繋げていくということでして、こういったスキームについて今後検討していく必要があるということです。
 続きまして、13頁以下ですが、3つ目の柱ということで、多様な働き方の実現ということが取り上げられております。1つが労働者派遣制度の見直しということでございまして、こちらについては労働者派遣のあり方研究会で検討なされておるところです。今後8月中に研究会報告を取りまとめ、さらに、それを受けて労働政策審議会で御議論いただくということです。2つ目が多元的で安心できる働き方の導入促進ということです。こちらは、14頁に資料を付け足しております。ここにございますように、これは、労働基準局あるいは職業能力開発局と連携した取組ということですが、職務型の働き方について成功事例の収集、周知・啓発。中ほどにございますが、雇用管理上の留意点について有識者の懇談会等で取りまとめ、そういったことを踏まえまして今後の働き方の選択肢として、その普及促進を図っていくという内容です。懇談会等につきましては、労働基準局の関係になります。右の職業能力の「見える化」促進というのは、職業能力開発局の関係になるわけですが、それら連携を図りつつ、こういった働き方の導入促進を図っていくという趣旨です。
 15頁以下は、4つ目の柱ということで、女性、若者・高齢者等の活躍促進ということです。
 まず、16頁が女性の活躍促進ということです。これも省内またがる話ですが、職業安定行政関係ですと、右側にございます子育て女性の再就職の総合的な支援ということで、マザーズハローワークの拡大、ブランクのある女性のスキルアップ・活躍支援ということで、ここでも社会人の学び直し支援といったことが指摘をされておるところです。
 続きまして、17、18頁が若者・高齢者等の関係です。非常に多くのことが書いてありますが、これは若者関係で既に多様な取組を行ってきておるところでして、基本的にはそういった取組を、さらにきちんと進めていくという内容になっております。具体的には、19、20頁で、1つは、今年度から開始しております若者応援企業です。若者応援企業と申しますのは中小中堅企業に若者応援という宣言をしていただき、それからその企業に関する情報を皆さんに提供していただくといったことによりまして、中小企業の魅力を発信していく。それから、若者の就職促進あるいは定着促進を図っていくという事業ですが、その普及拡大、それからハローワークと大学等の連携強化、中ほどにございます既卒3年新卒扱いあるいは通年(秋季)採用の拡大、それから下のほうにございます、早期離職防止のための取組の強化ということで先ほどの若者応援企業を活用した就職関連状況の公開促進と、いわゆる若者の使い捨てが疑われるような企業への対応策の強化といったようなことが盛り込まれております。
 それから、20頁がフリーター等の正規雇用化ということです。わかものハローワークの充実といったところが書かれているところです。
以上が日本再興戦略のうちの職業安定行政関係部分ということです。これらの多くが予算措置を必要とするものとなっておりまして、1つは、予算計上の作業をしていく必要があるということです。それから、助成金などにつきましては、省令改正が必要となってくるということになります。また、求人情報の提供の問題、あるいは求職情報の問題等につきましては、これはハローワークの運営にも関わりますし、あるいは企業、個人のことにも大きく影響してくるということですので、これらにつきましては、今後分科会にお諮りする、あるいは御相談をさせていただきながら進めてまいりたいと考えております。以上でございます。
○阿部分科会長 ありがとうございました。それでは、御質問、御意見等がありましたらどうぞ御発言ください。
○新谷委員 ただいま日本再興戦略について、中でも職業安定行政についての御説明を頂いたわけです。日本再興戦略の策定に当たっては、政府として様々な会議体が設置されていたかと思います。産業競争力会議や規制改革会議、又は若者・女性活躍推進フォーラムといった会議が設置されまして、その中での検討内容の積み重ねが日本再興戦略ではないかと思っております。ただ、これらの会議体については、いずれも労働者の代表が入っておりませんが、ただいま御説明いただいた内容については、職業安定行政にとって重要な内容が記載されているわけです。例えば労働移動支援助成金の拡充をはじめ、行き過ぎた雇用維持型から労働移動支援型への政策シフトといった大きな政策変更の内容についても言及されているわけです。
 そこでお聞きしたいのは、ILOの88号条約等々の中で、労働行政、労働政策については社会的パートナーである労使の参画の下で進めるという規定があります、我が国は、当然、この条約を批准しているわけですが。こういったILOの三者構成主義等の関係の中で、この政策策定プロセスについて厚労省としてはどのように捉えているのかということについて、何回もお聞きしておりますが、改めてこの分科会の中で考え方をお聞かせいただきたいというのが1点目です。
 それともう1つは、3ページに「行き過ぎた雇用維持型から労働移動支援型への政策シフト」と書いてありますが、雇用調整助成金と労働移動支援助成金の予算規模を逆転させるという内容が書かれているわけです。雇用調整助成金は、思い出してみますと、リーマンショックの際にそれまでの要件を緩和してほしいという要望が経済界からずっと出されておりまして、雇用調整助成金があのリーマンショックの際に失業率を抑えたという政策的な効果は非常に大きかったと思っております。喉元過ぎれば何とかということになるのかもしれませんが、今回はそこの部分を減らして、労働移動のほうにお金を投入する、労働移動に向けて背中を押すという政策転換をされるわけです。ここに「行き過ぎた雇用維持型」という記載があるわけですが、これは、先ほど言いましたように、雇用調整助成金の要件の緩和をした際にどなたも発言されなかった内容が、今、ここにきて「行き過ぎた雇用維持型」ということで書かれているのかもしれません。お聞きしたいのは、この「行き過ぎた雇用維持型」と言っているのは一体何を指しているのかということです。
 それともう1つ、労働移動を政策の前面に出されていますが、労働者を移動させるという政策ですが、これは、移動先の産業に非常に成長性があって、かつ労働条件も魅力があるという産業であれば、政府が背中を押さなくても労働者は自主的に移動していくわけです。今回は労働移動助成金の内容についての変更を行うということですが、これは、現在は中小企業を対象に支給されているという助成金です。非常に多額の助成金で、リストラの計画を立てて、それに従ってアウトプレースメント会社を通じて労働者を移動させるといった際に、1人最大40万円の助成がある。それと、同一計画の上限人員が300人ということですから、これを単純に掛け算すると、1社当たり最大1億2,000万円の助成を行うということです。これは従来、資力の乏しい中小企業に対する助成金でしたが、これを大企業にまで拡大するということになりますと、正しくリストラの背中を押すということが政策目的にあるのかなと考えてしまいますが、そのときに労働力をどこに移動させるのかということです。
 私ども労働側が申し上げておりますように、成長戦略を描くのであれば、受け皿となる魅力のある産業の創出がまず先にあって、それから労働移動を考えるということであればうまくはまると思うのですが、成長産業の育成がまだ途上という中で、先に背中を押すという政策を行うということについて疑問があるわけです。特に今、政府が成長産業と言っている医療や介護分野については、御承知のとおり、労働条件が相対的に低い、あるいは、労働現場が非常に厳しいということから離職率が非常に高い産業になっております。また、移動していく労働者の側面で捉えても、厚労省が平成18年に行った転職者実態調査があるわけですが、40代後半から50代にかけて転職後の収入が下がる人が半数近くに達する。要するに、中高年の方は移動すると年収が大きく下がるという実態があるわけです。こういった中で労働移動を促進していくということですが、我々としては、労働条件が相対的に低い労働者を大量に生み出すのではないかという懸念があるわけです。これについての厚労省の見解についてお伺いしたいと思います。
○阿部分科会長 では3点。
○総務課長 まず、最初の関係です。競争力会議等の会議体の委員の内訳は御指摘のようなことだったと思いますが、その人選につきましては、我々としてもいかんともし難いところですので、その点はコメントがなかなか難しいところです。
 その上で、冒頭でも少し言及いたしましたが、今回の成長戦略は、成長と雇用は車の両輪だというのが基本的なコンセプトでした。これはどういう意味かと申しますと、1つは、成長を担うのが正に働く人材だという意味と、それから、成長の果実が確実に労働者に還元されなければそれは経済の、好循環というか、持続的発展につながらないだろうということです。このコンセプトは我々も理解できるところでした。その上で、いろいろ政策が今までとはちょっと違うような話も出ているというのは御指摘のとおりですが、そういった中で働く人の雇用の安定、生活の安定が確保されるようにしなければいけないということを第一義に置いて我々は、大臣を筆頭に、申し上げるべきことは申し上げてきたということです。
 御指摘のように、ILO88号条約におきまして職業安定行政政策あるいは職業安定行政機関に関わることについては、公、労、使、三者構成の下で意見を聞きながら進めていかなければならないと。これは条約にも書かれているところで、これを批准しているわけです。そういうことを踏まえて、先ほど概略を申し上げましたが、これからの制度設計の在り方等については、この分科会にきちんと御相談し、お諮りしながら進めてまいりたいと思っております。
○雇用開発課長 2つ目の「行き過ぎた雇用維持」の関係です。労働政策上、行き過ぎた雇用維持から労働移動政策のほうに転換していくという話ですが、その中の「行き過ぎた」という言葉の意味です。
 まず冒頭に申し上げておかないといけないのは、雇用維持政策については、私どもはこれを放棄するということではなくて、依然として一定の意味がありますし、急激な雇用悪化の際には大きな効果を上げる、雇用維持効果は決して無視はできないと考えております。ただ、リーマンショックの後にいろいろな要件を緩和して、相当膨らんだ形になっています。一方、その後、景気が好転しているわけですが、その好転の状況に照らして見ると、リーマンショックの後に緩めた雇用のその支給の状況がまだまだ高い水準にあるのではないかと、雇用の状況がリーマンショックの前に戻ったという報道もありますので、こういう中では、やはり雇用の維持のための雇用調整助成金も平時のレベルに戻すべきであると。そういった意味で、そのギャップがまだまだあるので戻さないといけないという意味を込めて「行き過ぎた」ということですので、決して雇用維持そのものを否定しているという話ではないということを御理解賜りたいと思います。
 もう1つ、産業間の労働移動を図るに当たって移動先の産業がまだまだ伸びていないではないか、そういう中で労働移動を図ればその労働者はどこに行くのかという話です。これについては、労働政策で労働移動の仕組みを整備するとともに経産省を中心として産業政策を向上させていく、正に産業競争力会議の中でいろいろな議論がある中で産業をどうやって成長させていくのかという議論が、正にこれも車の両輪のようにやっていかないといけないということで、それは分担して両方でやっていかないといけないという状況ではないかと思います。その際に、労働移動をした中で賃金が低下するかもしれないという懸念がございます。それについては、私どもの労働移動支援助成金の中で送出し側の企業においては一定のスキルアップを図るための訓練措置を充実させたい、受入れ側でも、受け入れるに当たって不十分な能力があるとするならばそれについて補うような訓練を図る、そのキャリアアップを図ることによってできるだけ賃金の下がらないような労働移動を実現する、そういったことを目指しているということで御理解賜りたいと思います。
○新谷委員 御説明いただきましたが、政府といっても、首相官邸なり内閣府あるいは経産省といった他省庁との関係もあるかと思いますが、やはり労働者のことを考える省庁は厚生労働省しかないわけで、他省庁でいろいろなことをお考えになっているのでしょうけれども、厚労省には是非、労働者保護を中心に頑張っていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
○阿部分科会長 ではほかに御意見、御質問等があれば。
○中島委員 13ページの多様な働き方についてお聞かせいただきたいと思います。2つ目に「多元的で安心できる働き方」の導入・促進ということで、「多様な正社員モデルの普及、促進を図るため有識者懇談会を立ち上げる」とされております。また、その中で「労働条件の明示等、雇用管理上の留意点について取りまとめる」とされております。多様な正社員には、いわゆる限定正社員も含まれると思いますが、規制改革会議の議論では、限定された勤務地、職務が消失した場合を解雇事由に加えるなどの雇用ルールの整備を行うべきといった意見が出されていたと記憶しております。限定正社員という考え方は厚労省の望ましい働き方ビジョンの中でも示されているわけですが、勤務地や職種が限定されると、なぜ限定されない正社員に比べて処遇が低くてもよいということになるのか、また、規制改革会議の資料には「無限定正社員は何でも屋」という記載もありますが、そもそも無限定な働き方というのが存在するのか、この点について厚労省の見解をお聞かせいただきたいと思っております。
 さらに、私どもとしましては「多様な正社員」という美名を隠れ蓑に「解雇しやすい正社員」といった新たなカテゴリーを作ることにならないかという大きな懸念を持っているわけでして、この有識者懇談会の目的についてお伺いしたいと思います。有識者懇談会は、「労働条件の明示等、雇用管理上の留意点を取りまとめる」ということですが、何らかの法令改正までを視野に入れているのかどうか、また、有識者会議には労使の委員を参加させるべきと思いますが、これも先ほどの話に通じますが、参画させないのであれば、ILO条約の三者構成主義との関係でどのように整理されるのかについてお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
○総務課長 まず多元的な働き方のところですが、ここにありますように、非常に拘束性の高いいわゆる正社員と、雇用が不安定あるいは処遇が不十分な非正規雇用の労働者との二極化が非常に著しいというのが現状だと思います。そういう中で1つは、職務型の働き方ですが、非常に拘束度の高い働き方がゆえに仕事の継続を図れないという方にとってはワークライフバランスに資する部分があるのではないか、あるいは処遇の不十分な非正規雇用の方については、もちろん正規雇用にすぐに移行できればそれが一番望ましいわけですが、1つのステップアップという意味があるのではないかということです。我々としてはこういう働き方を強要していくということではなくて、働き方の1つの希望を持てる選択肢として提示していくということがあるのではないかというのが基本的なコンセプトです。
 そういった基本的な考え方に立ってこの雇用管理上の留意点についての有識者懇談会の取りまとめも行われていくのだと思いますが、恐縮ですが、この懇談会につきましては、労働基準局のほうで人選等を含めてこれから検討していくということになっております。この懇談会では恐らく、労使協議の在り方、あるいは規定等の在り方、あるいは均衡処遇の在り方のようなことが議論になっていくと思いますが、そこは、すみません、今日、こういった御意見が出たことはきちんと担当部局のほうに伝えたいと思っております。
○新谷委員 今の関連です。我々の懸念は、この有識者懇談会の検討の範囲が労働条件の明示等の雇用管理上の留意点という範囲でとどまればいいのですが、この原案が出てきたときの規制改革会議の雇用WGでの検討の状況を見ると、限定正社員については、解雇ルールの見直しの範疇の中でずっと論議をされてきた経過があります。そういった意味でいくと、法改正にまで踏み込んでいくのではないかという懸念が私どもとしては強くありまして、先ほど述べましたように、法改正は視野に入れない、雇用管理上の留意点に限るということで理解をしておいていいのかということの確認を改めてさせていただきたいと思います。
○総務課長 まず、私どもが聞いている範囲でお答えいたします。先ほど申し上げました1つの働き方の選択肢を良好な選択肢として提示し、それの普及、促進を図る上でメルクマールのようなものをこの懇談会で示すというのが主たる目的だと聞いております。したがって基本的なコンセプトはそういうことで、その一部、おっしゃったような別の見方でこれを捉えるという立場には我々は立っておりませんので、これが解雇規制の緩和のような法改正につながっていくとは思っておりませんが、そういった御懸念のお話が出たことにつきましてはきちんと伝えておきたいと思います。
○阿部分科会長 時間もまいりましたが、使用者側からは特にございませんか。なければ次の案件にいきたいと思います。次の議題は「国と地方の連携について」です。事務局から説明をお願いします。
○公共職業安定所運営企画室長 公共職業安定所運営企画室長でございます。議題2について御説明いたします。これまで地方分権をめぐるハローワークの関係の動きは、随時、この分科会で御説明してきたところです。本日は最新の状況について御説明いたします。資料2を御覧いただけますでしょうか。
 1ページ目です。これは、雇用対策における国と地方の連携の考え方について改めて整理したものです。左側に「国」とありますが、国は飽くまでも全国ネットワークを通じたセーフティネットの役割ということで、職業紹介、雇用保険、雇用対策を担っているところです。それに対して地方自治体は、右のほうですが、地域ごとの様々な雇用をめぐる問題がありますので、それに対応するということです。そういう役割分担ですが、両者がよく連携していくことが非常に重要と考えております。真ん中の所にありますが、その連携策として今、一体的実施、雇用対策協定をやっております。それから、新たな取組として、ハローワークの求人情報のオンライン提供を進めていきたいと考えているところです。
 2ページ目がその具体的方策の3つです。まず1つ目の一体的実施ですが、これは、希望する自治体において国の職業紹介と自治体の福祉等の業務をワンストップで一体的に実施する取組です。平成24年度途中から始まって、24自治体でしたが、平成24年度は56自治体、本年度は、更に多くの自治体で開始に向けて調整中です。特に生活保護受給者を対象とする組合につきましては、平成25年度中に100か所の設置を目指して調整中です。あと、一体的実施の中で2か所だけ、埼玉県、佐賀県につきましては、ハローワーク特区という少し上乗せの形の仕組みを昨年10月からスタートしているところです。2つ目の国と自治体の雇用対策協定は、同じ場所でワンストップで実施すること以外の連携策も含めて、国と自治体が協定を結ぶというものです。これは8自治体で協定を締結済みです。それから、これから取り組もうとしている求人情報オンライン提供があります。
 3ページを御覧いただけますでしょうか。1つ目の連携策の一体的実施とハローワーク特区についての仕組みの図です。左側の下のほうに一体的実施があります。これにつきましては平成25年7月1日現在で、30道府県、60市区町という形で展開しております。右側のハローワーク特区は、知事と大臣が協定を結ぶという点と、知事から労働局長への指示ができるという点に特徴があります。これにつきましては、平成24年10月から埼玉県・佐賀県でスタートしているところです。
 4ページです。一体的実施、実際にどこの自治体でやっているかという資料です。四角で囲んだ30道府県、60市区町が既に開始済みです。それ以外の2県12市区で協議中です。これも近いうちにスタートするということです。
 5ページです。一体的実施につきまして平成24年度の取組をまとめた資料です。左側1番目、「実施自治体は大幅に増加」ということです。先ほど申し上げたとおり、平成23年度末で24だったところが、平成24年度末では80自治体まで増えてきております。2つ目の所はこの80自治体についての就職実績ですが、4万4,000人余りです。80自治体につきまして、それぞれ、年度の就職目標などを立てておりますが、71自治体で目標を達成しているところです。3番目は利用者あるいは関係者からの評価です。利用者からは、アンケートによれば、非常に満足度の高いという結果が出ております。自治体からも取組を評価されておりまして、事業の継続を求められているという状況です。各取組について、それぞれの地域ごとの労使に地方労働審議会あるいは運営協議会で御意見も伺っておりますが、これも評価する声を頂いております。以上のようなことが平成24年度のまとめです。
 6ページです。ハローワーク特区について、同様に平成24年度のまとめをしたものです。こちらは、10月スタートですので半年間になります。まず埼玉県につきましては、左側にあります、国側は、ハローワークコーナー、マザーズコーナーという形で職業紹介を実施する。埼玉県側は、中高年コーナー、生活・住宅相談コーナー、福祉人材就職コーナーということで、委託であったりさいたま市と一緒になってやったりという形ですが、ワンストップで窓口を設けて支援をやっております。利用者数の目標は、達成、就職者数は、少し届かなかったという状況です。佐賀県につきましては、これも県の希望を踏まえて、「若年者、障害者、福祉から就労」という形で取組をしております。これについても、主な目標、利用者数などは目標を達成しておりますが、福祉から就労で一部未達成という状況です。
 下の箱の所にまとめがあります。埼玉県、佐賀県ともに主な目標は達成しましたし、利用者サービス強化あるいは国と県の連携強化などの効果はあったと思っております。平成25年度につきまして、また新たな目標を立ててスタートしております。いずれにしましても、ハローワーク特区がスタートしてまだ半年ほどという段階ですので、平成25年度の取組の実施状況も踏まえながら、これは3年程度、事業を実施して成果と課題を検証していくことが必要ではないかと考えております。
 7ページです。これは一体的実施あるいは特区と別のスタイルですが、国と地方自治体の雇用対策協定です。先ほど8自治体で協定締結済みと申し上げましたが、具体的にはそこに記載のある自治体です。特に最近の事例として、北海道あるいは奈良県と締結した協定の例があります。北海道につきましては、若者対策、ものづくり産業への人材確保支援。奈良県につきましても若者、あるいは女性の就業支援など、それぞれ、県の希望される内容についてハローワークとの連携を定めた協定を結んで、それぞれ、知事さんとの協定締結ということで今スタートしているというところです。
 8ページです。連携策の3つ目ということで、これから取り組もうとしていることです。これは先ほど議題1の中で御説明申し上げたとおり、今、そこにあります2つの方式につきまして、地方自治体あるいは民間人材ビジネスの意見も聞きながら仕組みを組み立てているところです。また、具体的な検討が進んだところで改めて御説明したいと考えております。
 9ページです。ハローワークの地方移管をめぐる議論の経過です。平成19年4月の欄にありますが、この当時の中央分権改革推進委員会の議論を経て、その下にあります出先機関改革に係る工程表というのが一部決定されております。この中で地方自治体が行う無料職業紹介の位置づけなどが決められておりますが、その中の2つ目、「国のシステム・端末を地方の職員が利用できるようにする」というのが一度決定されておりました。その後、平成21年9月の所ですが、アクションプランという形で閣議決定がなされまして、先ほど申し上げた一体的実施あるいはハローワーク特区という取組をスタートさせて、成果と課題を検証するということになっております。平成24年12月からという所で、現在の政権ですが、まず一体的実施です。ハローワーク特区は継続して取り組むということになっておりますので、現在も続けているということです。それに加えまして、3月に地方分権改革推進本部が設置されております。さらに、4月にその会議の下に地方分権改革有識者会議が設置され、更にその下にハローワークの無料職業紹介等について議論する雇用対策部会が設置されたということです。これについては次のページです。
 地方分権改革有識者会議の雇用対策部会での議論についてです。○の2つ目にありますとおり、今、厚生労働省が検討中のハローワークの求人情報の自治体へのオンライン提供を中心に議論するということになっておりまして、ハローワークの地方移管の是非そのものを直接議論するという形にはなっておりません。雇用対策部会の構成員につきましては左側です。これは内閣府事務局の会議ですが、当安定分科会からは岩村委員が構成員として選任されてございます。議論の経過として、1回目が6月21日、2回目は7月1日に開催されております。平成25年夏ということで、恐らく8月中には報告書が取りまとめられるのではないかと考えております。第1回につきましては、厚生労働省もヒアリングとして呼ばれております。それと、連合からは新谷委員、経団連からは高橋委員がヒアリングということで御対応いただいているというところです。
 最後、11ページです。これは先ほど申し上げたような、地方移管、地方分権の議論の中でこれまで労働政策審議会におまとめいただいた意見書ですので、改めて資料として付けております。
 最後、参考資料です。資料がたくさんありますので説明は割愛させていただきますが、参考資料NO.1ということで、先ほど申し上げた一体的実施の実施状況についての更に詳細な資料はこちらに付けておりますので、後ほど御参照いただければと思います。説明は以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございます。御質問、御意見等がありましたら御発言ください。
○新谷委員 国と地方の連携について、特にハローワークの地方移管をめぐる論議経過については資料の9、10、11に記載されておりまして、御説明いただいたとおりです。私ども労働側としては、労働者が不幸にして失業した際に、安心して失業給付を受けながら求職活動を行うためには、国による無料の職業サービスを、地方であろうが都会であろうがどこでもユニバーサルサービスとして受けられる、この体制を維持するべきであるという考えはずっと持っております。9、10にありますように、その実施主体が、窓口が国なのか県、市町村なのかといった、いわば組織の縄張りといった中で論議をされていましたが、私どもとしては、やはり利用者目線で、求職者がどのような体制であれば一番利便性が向上するのかという視点で今まで主張をしてまいりました。そういった面では、ただいま御報告を頂きましたように、国による一元的な組織体制の下で国と地方自治体、特に基礎自治体が連携することによって就労支援、生活支援を含めた一体的なワンストップのサービスをしていく、そのときにその運営に際して地域での労使が参画して、よりよいものにしていくという体制が望ましいと思っております。地方自治体の中でも特に基礎自治体においては生活保護等の相談窓口を担っておりますし、ハローワークの職業相談、就労支援の窓口が非常に近接した所にあるということについては、福祉から就労までの一貫した支援が実現できるという面からはこれを支持していきたいと思っております。
 ただ、先ほども御紹介いただいたように、10ページにあります地方分権改革有識者会議の雇用対策部会でのヒアリングの際にも申し上げましたが、基礎自治体以外の都道府県の窓口については、県が運営しているというものの、実態として運営の窓口に座っておられる方が人材会社の方で、いわゆる委託、丸投げ状態です。県が、県がとおっしゃった知事さんもおられたのですが、実態としては県にノウハウが残らない運営になっているのではないか非常に懸念するということをヒアリングの中でも申し上げてきたところです。本当に県のほうでも雇用対策、就労支援に対してシナジー効果を得られるような職員の配置等々になるよう、更に工夫をしていただきたいと思っているところです。
 さて、今回御報告いただいた中で、先ほどもありましたが、ハローワークの求人情報の活用が今回、取り上げられているわけです。ハローワークの求人情報を地方自治体なり民間人材サービスに提供していって、よりよいマッチングが行われていくという政策目的は理解するところです。ただ、民間に情報を開示していくことについては、やはりセキュリティの問題と、これは無料職業紹介ですが、職業紹介会社は有料職業紹介を当然やっているわけですので、無料の求人情報が有料の職業紹介事業に流れていかないか、それが商売のネタにされてしまうことをどう防止していくのかということが重要です。個人のセキュリティについては、求職者情報も今後検討されるということでありますので、セキュリティの管理について十分に御留意を頂きたいと思っております。また、民間人材サービス会社が行う職業紹介の求人・求職者の層とハローワークの求人・求職者の層にかなりずれがあるのではないかという懸念もありますので、民間人材サービスにおいてうまく活用できるように、是非厚労省としても御指導をお願いしたいと思っております。
○阿部分科会長 厚労省から何かないですか。
○公共職業安定所運営企画室長 求人情報のオンライン提供につきましては、正に今、具体的な仕組みの御意見もお伺いしながら検討しているところです。その中で、情報のセキュリティの部分は必ず担保しなければいけない部分だと思います。それから、無料職業紹介の求人としてハローワークで受け取っているものですので、それを仮に有料として使うという場合であれば、しっかり求人事業主に御説明いただくとか、そういう形でトラブルなどが起こらないような、うまくマッチングに活用できるような仕組みにしていく必要はあると思っていますので、今の御意見も踏まえながら仕組みを作っていきたいと考えております。
○阿部分科会長 ほかに御意見、御質問はございますか。
○岩村委員 先ほど紹介がありましたように、この雇用対策部会の構成員ということで入らせていただいているのですが、まだ報告書の取りまとめになっていないので発言できる範囲が非常に限られているのですが、若干のコメントだけ申し上げます。
 今回、部分的であれ、地方分権の話のこういったところに出させていただいて感じた感想としては、やはり地方分権改革の会議というのは非常に多くの行政分野について地方分権という観点から横断的に考えるという、そういういわば議論をするところであるために、個々の政策分野についての個別的なところの議論を深掘りするという性格の会議ではないような感じを私は持ちました。したがって、個別の分野の議論ということになると、やはり何らかの形で労使を中心としたそれぞれの政策分野で実際に関わっている関係当事者の人たちの意見なりというようなものをうまくこうした会議につなげていって、抽象的なレベルでの分権という議論をするのではなく、個々の政策分野においてどういう国と地方公共団体なりの役割分担の在り方というのがあるべきなのかと、そういう方向での議論ができるようになるといいと、そういう感想を持ちました。
○阿部分科会長 では、国と地方の連携についてはここまでとさせていただいて、次の議題の「2012年度の評価及び2013年度の目標設定について」事務局から説明をお願いします。
○雇用政策課長 雇用政策課です。2012年度の評価及び2013年度の目標設定について説明いたします。資料3-1〜3-4を御用意ください。
 労働分野の各施策の運用・実績の点検評価については、従来、労政審の点検評価部会において行われてまいりました。今年度からは点検評価部会を廃止しまして、各分科会でそれぞれの所掌事務に応じた施策運用実績の点検評価を行うことになりました。安定行政についてはこの安定分科会で御議論いただくことになりました。目標設定は従来から各分科会で行われてきています。今回は、2012年度の年度評価と2013年度の目標設定を行っていただくことになります。
 まず、2012年度の年度評価です。飽くまでも評価をしていただくのは分科会ですが、そのためのたたき台として、事務局で資料3-1を作成しています。これに対して各委員から御意見を頂いて、それを踏まえて、分科会としての年度評価といたします。
 なお、お手元の資料の一番最後に「意見記入用紙」をお配りしています。御意見がある場合には、本日御発言いただくのはもちろんですが、こちらの用紙で御提出いただくことも可能です。用紙に御意見を御記入いただきまして、席に残していただく又は8月7日までに事務局宛に御提出をお願いいたします。委員の皆様から頂いた御意見は、資料3-2「評価シート」の中の「分科会委員の意見」の所に記載いたします。そのように取りまとめた年度評価については、事務局から労働政策審議会の本審に報告するとともに、厚生労働省のホームページにも掲載して広く一般の方々からの意見を募集することとしています。以上のスケジュールは参考資料2-1にも付けていますので、そちらも御参照ください。
 資料3-2は「評価シート」で、各項目ごとの目標、目標設定における考え方、2012年度における施策の実施状況、施策の実施状況に係る分析、施策の達成状況を踏まえた評価及び今後の方針という構成になっています。本日は、主に資料3-1に沿って説明いたします。資料3-2は適宜御参照ください。
 まず、ハローワークにおける職業紹介についてです。就職率については目標を上回りました。これは、積極的な求人開拓、公的職業訓練への適切な誘導、訓練終了者に対するきめ細かな就職支援などにより目標を達成しています。
 次の、雇用保険受給者の早期再就職割合について、こちらも目標を上回っています。こちらは、就職支援プログラムなどのきめ細かな就職支援に取り組んだ結果、目標が達成できました。
 次の、求人充足率については目標を下回っています。求人充足件数はほぼ前年度並みの水準を維持していますが、新規求人数が前年から約10%増加したことにより充足率が低下し、目標を達成することができませんでした。
 正社員求人開拓数は目標を上回っています。こちらは、求人開拓推進員の配置の見直しをしたり、また、効果的な求人開拓を行うよう指示するとともに、実績が低調な局に対しては重点的に業務指導を行い、その結果、目標を達成しています。
 次の、就職支援プログラム事業については、開始者数・就職率ともに目標を上回りました。就職支援ナビゲーター1人当たりのプログラム開始者数は前年度より増加しました。開始者数・就職率ともに目標を上回る実績となっています。
 マザーズハローワーク事業については、重点支援対象者数、就職率ともに目標を上回りました。積極的かつきめ細かい就職支援に取り組んだ結果、目標を達成できています。
 次の、求職者支援制度は、基礎コース・実践コースともに終了3か月時点での就職率が目標を上回っています。
 以上を踏まえ、2ページまでの全体的な評価です。「ハローワークにおける職業紹介等の目標についてはほぼ全て達成したが、求人充足率については目標を下回っています。この結果を踏まえ、引き続き求職者に対するきめ細かな就職支援を行うとともに、新規求人の増加や一部業種・職種における人手不足の状況等を踏まえ、求人充足支援の取組を強化する必要がある。このため、求人票の記載内容の充実に向けた相談、助言の実施や求職者ニーズを基にした求人開拓を行うなど、より積極的・能動的なマッチングを実施することで、求人者・求職者サービスの充実を図り、目標の確実な達成を目指すべきである」という評価を案として提示しています。
 続いて、3ページは、若者の就労促進についてです。ハローワークの職業紹介により、正規雇用に結び付いたフリーターの数については目標を上回りました。これは、昨年4月から全国に設置した「わかもの支援コーナー」「支援窓口」、昨年10月から設置した「わかものハローワーク」などのきめ細かな個別支援により目標を達成できました。学卒ジョブサポーターによる支援についても目標を上回っています。
 正社員就職者数については、年度前半の未就職卒業者に対する集中的な支援、また、卒業する学生への「未内定就活生への集中支援2013」の実施などにより目標を達成しています。開拓求人数については、地域の関係機関と連携しまして、年度当初から積極的な求人開拓・要請、特に高卒予定者を対象とした求人が見込まれる事業所に対する働き掛けなどにより目標を達成しています。
 次に、新卒応援ハローワークについても、利用者数、正社員就職者数ともに目標を上回りました。利用者については、大学等との連携を強化し、出張相談、大学からの勧奨による来所などにより目標を達成しました。正社員就職者数については、年度前半の集中支援、未内定就活生への集中支援の実施等で目標を達成しています。
 以上を踏まえ、若年関係の全体的な評価としては、目標については全て達成し、各種の取組により一定の成果が見られたところであるが、学卒者・若年者の雇用を取り巻く環境は依然として厳しい状況にある。このため、わかものハローワーク等の支援拠点を活用し、個別支援を一層徹底するとともに、トライアル雇用・求職者支援制度等の各種支援策の活用や、ジョブカフェ・地域若者サポートステーション等関係機関との連携を実施することにより、フリーター等の正規雇用化に取り組むべきである。また、学卒者についても、今後も関係省庁の連携等により就職支援をより強化していく必要がある、という評価案をお示ししています。
 5ページです。高齢者就労促進については、希望者全員が65歳まで働ける企業の割合と、70歳まで働ける企業の割合の目標を掲げています。両方とも、2012年度の実績は2013年の高齢者雇用状況報告で把握することになっておりまして、まだ把握できておりません。実績が出た時点で改めて評価をお願いしたいと思います。
 続いて、中高年齢者試行雇用事業についてです。開始者数は目標を下回りましたが、常用雇用移行率については目標を達成しています。開始者数は、求職者数自体の減少、また、トライアル求人以外の選択肢が増えたことなどによって目標を下回ったものと考えています。常用雇用移行率については、トライアルの活用でマッチングに効果的であると認められる求人や求職を適切に見極める努力をしたことにより、目標が達成できたと考えています。なお、中高年のトライアルについては、本年度からは若年・中高年を一本化したトライアル雇用奨励金事業として運営しています。
 以上を踏まえ、全体的な評価としては、「高齢者の就労促進については、希望者全員が65歳まで働ける企業の割合、70歳まで働ける企業の割合の実績が出た時点で改めて評価を行う」としています。なお、昨年7月25日に開催された点検評価部会においては、高齢者の就労促進の2011年度の年度評価について、65歳、70歳それぞれの2011年度の実績が出た時点で改めて評価を行うこととなっていました。その後、点検評価部会が開催されませんでしたので、本分科会で改めて評価していただきたいと思っています。
 2011年度の実績については、65歳まで働ける企業の割合、70歳まで働ける企業の割合ともに、目標を達成しておりません。このため、評価としては、2011年度実績を踏まえ、改正高齢法の円滑な施行に向けた積極的な周知・啓発を行うほか、高年齢者雇用アドバイザーと連携した技術的支援などを推進していく必要があると考えています。以上が2012年度の評価です。
 続いて、今後の目標設定についてです。まず、中長期目標について説明いたします。目標設定については、日本再興戦略が策定されたことも踏まえ、中長期目標の見直しを行うとともに、2013年度の単年度目標を設定することとしています。目標を定めていただいた後は、それを踏まえて1月頃に2013年度の中間評価を行い、事務局から労政審の本審に報告するとともに、厚生労働省のホームページに掲載して一般の方々からの意見を募集することとしています。
 資料3-3を御覧ください。日本再興戦略に盛り込まれているKPIを盛り込んでいます。項目のうち、1、4、5、6については、2012年度に掲げた中長期目標と同じものです。新たに追加したものは2と3です。この2つの指標は、日本再興戦略で成熟分野から成長分野への失業なき労働移動を進めることとされた、その成果目標として、今後5年間で失業期間6か月以上の者を2割減少させ、一般労働者の転職・入職率を9%とすることを目指すとされていますので、それを踏まえたものです。
 2失業期間6か月以上の者の数については、総務省の労働力調査詳細集計で公表されています。当該年の実績が通常翌年2月頃に公表されています。定義は下にありますとおり、完全失業者のうち仕事を探し始めたり、事業の開始の準備を始めてからの期間が6か月以上の者で、2012年は151万人でした。これを2割減少させることとしており、減少した後の水準はリーマンショック前の2007年の122万人と同程度となります。
 3一般労働者の転職・入職率については、厚生労働省で実施している雇用動向調査で把握されています。こちらは公表が遅れて、翌年7〜9月頃に公表されます。※2にあるとおり、転職入職者率は1月1日現在の在籍者に対してその1年間で入職されてきた方となっています。これは2011年に7.4%でした。これを今後5年間で9%を目指すこととしています。1975年以降の最高値が2005年の9.2%でしたので、この水準はそれと同程度を目指すことになります。これらの目標により、求職者の早期の再就職を実現することを目指しています。
 そのほか、就業率やフリーターの関係の数字です。就業率については、前回までの目標と同様か、あるいは、足下の実績を踏まえて、若干上げた目標設定としています。
 続いて、年度目標についてです。これは、以上の中期目標を踏まえ、それを実現するために必要な年度単位の業務上の目標を設定しています。年度目標の項目については、新たな目標として入れているものが、7、8、13、14です。それ以外はこれまでも指標とされていたものです。
 1.ハローワーク求職者の就職率・求人充足率は、2013年度の目標を、それぞれ、30%以上、24.5%以上としています。これらについては、景気の動きと一定の関係がありますので、政府経済見通し、雇用・失業情勢の見通しなどを踏まえて設定しています。
 3.正社員求人数も同様に、雇用・失業情勢の見通しなどを踏まえ、2013年度は新規求人数の延びが見込まれることから対前年度比4%増として設定しています。
 4.マザーズハローワーク事業です。重点支援対象者数に関しては、本年度、幾つか拠点を新設していますが、従来からある拠点については実績とほぼ同水準を見込んでいます。拡充した拠点に関しては、2012年度に新規に設置した拠点の1か所当たりの実績見込みを上方修正して設定しています。就職率に関しても同様の考え方で設定しています。以上の結果、重点支援対象者数は5万8,000人以上、就職率は87%以上としています。
 雇用保険受給者の早期再就職割合については、目標を28.0%以上としています。こちらも、雇用・失業情勢の見通しなどを踏まえて設定しています。
 6.就職支援プログラム事業です。これは、担当者制により雇用保険受給者等に対して早期再就職支援を行う事業です。開始件数は、2013年度は新規求職者数の減少が見込まれることから、前年度の実績を下回る水準としています。就職率については、就職率の向上も重要な課題であり、前年度の目標の75%以上は上回る目標としていますが、事業の性格を考えますと、目標値を余りに高く設定してしまいますと、就職が困難である方への支援が届きづらくなるおそれもあるといったことも踏まえ、前年度実績よりは下回る水準としています。
 次に、7.労働移動支援助成金の対象となった方のうち、早期再就職を果たした方の割合についてです。平成24年度実績は61%です。平成25年3月から、この制度対象者の中で手厚く助成を行う方の年齢を55歳以上から45歳以上に拡大しています。そういったことも踏まえ、2013年度の年度目標は前年度の実績以上としています。
 8.産業雇用安定センターによる出向・移籍の成立率です。2012年度の後半の実績を見ますと、電機関係メーカーを中心とする雇用情勢に伴い、送出し件数が増加した一方で、これまで受入先となってきた自動車メーカーなどの受入数が鈍化しておりまして、昨年度後半は成立率が低下しています。その状況を踏まえて前年度目標と同じ水準としています。
 続いて、9〜11は学卒・若年者関係の目標です。この各種指標は前年度目標よりも高い目標としています。ただ、2013年度につきましては、未就職卒業者数の減少なども見込まれることから、全体的な就職支援対象者の減少が見込まれることも踏まえ、前年度実績を下回る水準として設定しています。
 12.求職者支援制度についてです。就職率は前年度と同じ目標設定としています。就職率の向上も重要な課題ですが、就職支援プログラムと同様に、就職が困難である方への支援を重視する必要があるということで、年度目標は前年度目標と同じ水準としています。
 13、14は、高齢者関係の目標です。13については、高年齢者総合相談窓口での担当者制による就職率です。これは新しい事業ですが、目標設定の考え方としては、60代前半の方の2011年度の就職率が23.6%でしたので、それに対して担当者制支援等できめ細かい支援を行う効果を加味して、35%という目標設定をしています。
 シルバー人材センターの関係では、2013年度はシルバー人材センター事業の機能強化を図っています。それを踏まえ、前年度の契約件数の実績以上を目標と設定しています。
○阿部分科会長 御質問、御意見がありましたら御発言ください。
○澤田委員 2012年度の実績については、おおむね目標を上回っておりますし、一定の評価はできるのではないかと考えています。評価シートの3-2の3ページを御覧ください。中ほどの「政策実施状況」の就職率と求人充足率の所で、1.に「労働市場の分析を踏まえた職業紹介及び求人情報、労働市場情報等の提供」を行ったと記載されています。具体的にはどのような取組を行って、成果がどうだったのかをお伺いしたいと思います。
○首席職業指導官 労働市場の分析といいますと、求人者のほうの雇用ニーズがどのようになっているかと求職者側の応募条件がどのようになっているかを、個別的・全体的に分析します。それで、例えば求人者の方に求職者の応募条件としてはこういう状況になっているので、もう少し求人の内容を改善していただけないかというような話をする、また、職業選択の中でも、職種について、この地域ではこういうニーズが高いので、そういうところに目を向けていただけないかなど、職業相談・紹介で活用しています。
○澤田委員 ペーパーで自治体などに配付しているわけではないのですか。
○首席職業指導官 雇用情勢につきましては、全体を取りまとめて、自治体ごとの状況を集計することができるようになっていますので、それで情報提供を行っています。
○澤田委員 これからもニーズに応じてよろしくお願いいたします。
○玄田委員 2点ほど、質問ではなく、意見若しくは要望です。1点目は、資料3-2「目標設定における考え方」についてです。目標を上回る実績を得られたことは大変喜ばしいことだと思いますが、この「目標設定における考え方」の大部分の表現を見ておりますと、「何々を踏まえて設定」と書いてあります。それでは私には分かりません。何を踏まえて設定されていると言われても説得力がない。この件に限りませんが、政府が設定する目標が何を根拠に設定されているのか、多くの国民は理解できないまま官処理すれば、それは余り望ましいことではない。だとすれば、ここで詳細に説明していただく必要はないかもしれませんが、どこどこを見ればこういう根拠があって、このように踏まえて設定したということをもう少し説明すべきではないか、ということが強い要望です。
 2点目は、資料3-3及び3-4に関連することです。勘違いなことを申し上げていると恐縮ですが、資料3-3の中長期目標を設定したのはどなたかということを聞き逃しましたので、質問すべきことではないかもしれません。3の転職・入職率という中長期目標はとても気になります。入職率を目標にすることはそれなりに理解できる気がします。どんな組織であれ、一定の新陳代謝が促されるのは組織の活性化の上では重要でしょうし、過去の経緯を見ますと、経済が好況である、労働市場の需給が逼迫すると入職が増えるという傾向がありますので、入職を目標にすることは1つの方向性として理解できます。気になるのは、転職・入職率です。そうなりますと、うがった考え方をすると、ここにあるように、入職前1年間に就業経験のない人の転職よりは、1年前に就業経験のある転職のほうを優先すべきだと取られかねない。そうなりますと、非労働力として育児・家事をした人が働くとか1年以上長期失業の人が働くという就職よりは、転職のほうを優遇するというような誤解を与えかねないのではないか。これは、冒頭で新谷委員の御発言にあったような、行き過ぎた雇用維持といった考え方に対する誤解を助長するものであって、この目標は果たして妥当であるかどうか要検討だと思います。雇用維持と労働移動を促すというのは、多分、両方大事なのであって、そこを特定のほうの考え方だけを優先するように取られるような目標というのは、言い方はやや強いですが、危険な目標設定である可能性が大きいと思います。ただ、その点で若干安心なのは、資料3-4の2013年度の年度目標と照らし合わせて考えますに、資料3-3にあるような転職・入職率に直接対応するような目標設定にはなっていないように感じましたので、それは齟齬があるというよりは、個人的な印象ですが、適切な対応ではないかと感じている次第です。是非、転職・入職率の目標ということを果たしてどう考えるのかについては、詳細な議論をした上で今後の具体的な目標設定で御検討いただきたいと思います。
○中村委員 今の玄田委員とほぼ同様の見解です。この目標設定についてはかなり妥当性を欠くのではないか、慎重な検討が必要だと思っています。そもそも、いわゆる成長分野の人材については、成長分野が成長するために人材が入らない、移動しないことがネックになっているのか、それがどうなのかを検証することが必要なのだろうと思っています。なぜそれがこの入職率という指標になるのか、詳しい説明が必要だろうと思います。
 それから、これは経済学的に専門家の先生の方にお伺いすればいいのですが、離転職率の高さと、例えば経済の成長や新成長分野との関係について、これを政策目標として置くような考え方、根拠があるのかどうか。それについても検討していただきたいと思います。そもそも成長分野であれば、成長しているので、移る人にとってハッピーなことが多いはずで、それに伴う処遇・賃金等についても、賃金が上昇しているといったことが通例であると思います。これは素人考えです。逆に、高齢者等では移動すると処遇が下がるという実態もあります。この数字が高いことがどういう意味を持つのかについては、きちんと検証していく必要があると思います。仮に成長分野の人材育成を促すのであれば、雇用動向調査では賃金等のデータも抑えていると思いますので、そういうことから、成長分野に移った率が高いことを示す成長目標等を考えるようなことも1つの考え方だと思っています。
 最後に、玄田委員の懸念の話ですが、先ほどの説明で、2005年の最高値が9.2%だという話がありました。私はUAゼンセンという流通関係の産別をしていますが、確か2005年は、その前に高齢法の改正などいろいろな議論があって、世の中はリストラでとんでもないと言っていて、一律に年金引き上げができないというような状況の中で一定の結果が出されました。私の組織の関係では、代表的なものでは鐘紡とダイエーが産業再生支援機構の支援の下に入ったというのが2004〜2006年です。その間、産業再生支援機構が雇用維持のために転籍等の措置をさんざん取って、何とか立ち直るきっかけをつかみ始めたのが2005年です。1つの産業だけで言ったらいけませんが、世の中全体が大体そんな感じだったと思っています。そうすると、このときの9%の目標という意味は何なのかということも含めて、きちんと説明していただきたいと思います。
○雇用政策課長 まず、玄田委員からの1点目の、目標設定の考え方についてです。口頭で説明した部分がかなりありましたので、資料を御覧いただいただけでも国民の方に分かっていただけるように、次回以降、資料の作り方も検討させていただきたいと思います。
 転職・入職率の関係では、この数字の性格については、我々も更によく分析をして、御指摘がありました雇用動向調査では確かに賃金の動きも取れますので、転職・入職率に限らず、労働条件がどう動いたかということも併せて見ながら、転職・入職の内実も検証していきたいと思っています。それから、御理解いただきたいと思いますのは、転職・入職率を取り上げて御指摘がありましたが、この中長期目標は1〜6がありまして、1つだけを特に重視するということではなく、全て等しく目指すものです。ほかの目標としては、年齢別の就業率なども掲げています。施策の内容は雇用均等関係や能力開発関係にもわたりますので、この分科会で説明した施策に限らず、ほかの施策にもかかるものがあります。転職者だけにリソースを割くということではなく、全体として、いろいろな方の全員が参加できる社会を目指した目標設定になっていることについて、御理解いただきたいと思っています。
○岩村委員 先ほどの玄田委員の指摘は非常に重要です。つまり、他の1、2、4、5、6などは、こういう目標を掲げること自体について一定のポジティブな意味が考えられるのですが、玄田委員の指摘は、この転職・入職率というものを目標に掲げること自体がそもそも妥当なのかという、そういう御指摘だったと思うのです。ですから、ほかの1、2、4、5、6があるので3もいいのだという議論ではないと思います。3自体がそもそも問題なのではないかという指摘だと思います。そこについて、そもそもこれを目標に入れること自体が妥当なのか、この問題だと思います。そこをきちんとお答えいただきたいと思います。
○総務課長 私から冒頭に資料1を説明いたしました。資料1の1ページの「日本再興戦略」を御覧ください。1ですが、失業なき労働移動をこれから進めていきましょうという文脈の中で、今後5年間で失業期間6か月以上の者を2割減少させ、転職・入職率を9%とすることを目標とするとして、実は政府の閣議決定の目標に入っています。これは、それぞれバラバラにあるのではなくて、1つは、失業期間6か月以上の者を2割減少させることで、できるだけ円滑な労働移動をしましょうという話です。その上で、行き先については、パートを除く一般労働者という、比較的良好な形で転職・入職率を目標値にしています。これは抱き合わせでここの目標値になっているということです。今回、1〜6の中期目標を単純に羅列してしまって関係性が見えにくくなっていますが、ここに書かれていますように、中長期の目標の2と3はワンセットのものという意味合いです。その上で、これが適切かどうかについて御意見を頂きたいと思っています。
○新谷委員 今の説明は、9%という閣議決定を併せてしているのだから、という説明に聞こえて仕方がありません。冒頭に申し上げたように、こういう重要な職業安定行政の指標を、社会的パートナーの労使が入らないところで一方的に決めて政府が下ろしてきて、今また労政審のこの分科会で、この設定についていかがなものかということを、労働側からも申し上げたし、公益側からも意見が出ているわけです。冒頭に申し上げたように、これに対して政府としてILOの三者構成主義との関係をどう考えるのか。それから、この設定が本当にいかがなものかということです。職業の安定を図る中で、転職・入職の率を9%まで上げていくというのは、政策的な調和が全く取れていないと私どもも考えています。
○阿部分科会長 今すぐにこの目標値をどうするかという結論は出ないと思います。評価シートの後ろの「分科会委員の意見」としてこの辺りを御記入いただいて、転職・入職率の設定に関してどのようにしていくのかについては、またいつか議論できればと思いますが、それでよろしいでしょうか。多分ここでは決まらないでしょう。閣議決定だということもありますので、分科会の意見として記入するということでよろしいでしょうか。
○事務局 はい。
○玄田委員 一言だけよろしいですか。繰り返しになりますが、私はこの9%目標を取り下げろと言っているのではありません。先ほど課長がおっしゃったように、9%に至る道筋のほうが重要です。その道筋を決定するのは労働政策に極めて重要なところでありますから、是非、この9%という結果だけではなく、道筋を重要にする労働政策について更なる御検討をお願いしたいということです。
○阿部分科会長 その他、御意見ございますか。
○住野委員 時間がありませんので簡潔に質問させていただきます。若者の就労促進について2点ほど質問させてください。昨年6月にまとめました政府の「若者雇用戦略」において、地域の若者サポートステーションの全国展開並びにわかものハローワークにおける職業訓練等の一元管理などが挙げられています。1つは、2012年度において、若者雇用戦略を反映した具体的な取組があればお聞かせください。また、2013年度に向けて新たな取組があれば、これについてもお聞きしたいと思います。
 2点目は、「若者雇用戦略」にある、成長分野において産学官が参加する地域単位のコンソーシアムの設置状況と厚生労働省の関わり方について、考え方があればお聞きしたいと思います。
○若年者雇用対策室長 7月2日付けで若年者雇用対策室長になりました牛島と申します。どうぞよろしくお願いいたします。住野委員からの御質問の件についてです。「若者雇用戦略」の関係もいろいろと反映していると思います。主には、サポステの場所の拡充や、ジョブサポーターを引き続き頑張っていくという話、それから、いろいろと御指摘いただいた、良い中小企業の人材確保を支援していくという意味での「若者応援企業宣言事業」など、少し地道な事業ですが、延ばしてやっているところなどが中心になってくるのではないかと思っています。
 それから、コンソーシアムの事業については、これは局が違っていまして、能開局や他省庁の経済産業省、文部科学省が中心になってやっているものですが、当然のことながら、労使とのつなぎなどについては、文部科学省、経済産業省も不得手な部分があろうかと思いますので、厚生労働省としては陰日向になって、うまく回っていくようにサポートしているという状況で頑張っています。
 今後、再興戦略等々で、今後は定着支援などに目を向けるべきということが若者関係では多くなっています。また、学び直しの支援ということで、雇用保険の見直し等でやっています。そういった若い方々がもう一度学び直しができる拠点としての「わかものハローワーク」を充実することが再興戦略の中でも打ち出されています。具体的には予算が絡む話なので、これから局内でも精査をして、できるだけ目に見える形で充実していきたいと考えています。
○林委員 私から、要望事項として申し上げたいと思います。高齢者就労促進についてです。希望者全員が65歳又は70歳まで働ける企業の割合については、資料の5ページにありますように、調査結果の集計を待たなければなりませんが、1点懸念されるのが、実績を算定する調査の対象です。31人以上の企業ということなので、全ての企業ではないということです。総務省が2009年に行った基礎調査を引き合いに出させていただきますと、2009年時点で従業員が30人以下の企業は国内の企業全体の9割を超えています。全従業員数の約3割を占めているという実態が出ています。こういった実態を踏まえた上で、4月に施行されました改正高齢法によって全ての事業主に対して希望者全員の65歳までの継続雇用が義務付けられましたが、まずは、この法の着実な施行に向けまして、最低限、雇用と年金の接続を着実に実行することが大変重要なことであり、特に取組が遅れている中小企業にこそ、こういった取組の強化をしていただくべきだと思っています。厚生労働省の皆さんには、改正高齢法の趣旨に沿った適切な指導を、中小の企業を中心に引き続きお願いしたいと思います。要望としての発言とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○高齢者雇用事業室長 改正高齢法が4月から施行され、原則として、65歳までの雇用確保措置が義務化されましたので、ハローワークと高年齢者雇用アドバイザーが連携して30人以下の企業を中心にした周知、啓発、指導、相談に取り組んでいきたいと考えています。
○阿部分科会長 時間もまいりました。ほかに御意見、御質問がなければ、当分科会の年度評価については、資料3-2の各項目について、委員の皆様からの御意見を分科会委員の意見欄に記載して年度評価としたいと思います。ただ、各委員におかれては本日御指摘の点以外にも御意見があると思いますので、来週の8月7日(水)までに、追加があれば事務局に御提出をお願いしたいと思います。それらの御意見も踏まえて、私と事務局で相談して、当分科会の年度評価として取りまとめたいと考えています。また、中期的な目標についてはいろいろと御意見がありましたが、2013年度の目標については、当分科会としては了承したいと思います。よろしいでしょうか。
                  (異議なし)
○阿部分科会長 ほかになければ、本日の分科会はこれで終了にいたします。本日の会議の議事録につきましては、労働政策審議会運営規定第6条により、分科会長のほか2人の委員に署名を頂くことになっています。つきましては、労働者代表の澤田委員、使用者代表の上野委員にお願いしたく思います。本日はどうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省職業安定局総務課

(電話): 03−5253−1111(内線5711)

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