自然毒のリスクプロファイル:シロタマゴテング(Amanita verna ) テングタケ科テングタケ属

シロタマゴテング(Amanita verna ) テングタケ科テングタケ属

特徴:
傘の大きさ
5 ~10 cmの小型~中型
形と色 傘 :白色、なめらか。
ひだ:白色
柄 :白色で袋状のつば、基部につぼがある。
発生時期 夏から秋
発生場所 針葉樹、広葉樹林の地上に発生する。
その他

ドクツルタケに似ているが柄にささくれがなく、小型である。
同じテングタケ属で白いキノコにシロテングタケがある。

間違いやすい
食用キノコ
 
症状

タマゴテングタケ様の中毒症状を示す。
食後6時間から24時間程度でコレラ様の下痢、嘔吐、腹痛
数日後から肝臓肥大、黄胆、胃や腸からの出血、その他、内臓細胞破壊が起こり死に至る場合がある。

毒性成分

トファロトキシン類、アマトキシン類、溶血性のレクチン

 
シロタマゴテングタケの写真1

シロタマゴテングタケ(上)は、ドクツルタケよりも小型で、柄にささくれがない。

シロタマゴテングタケの写真2

シロテングタケは、比較的中から大型で、傘は白く粉で覆われているようである。
傘の縁にはつばの崩れた物が垂れ下がっている。成菌になると落ちてなくなる。
は白く綿くず状である。うすい黄土色のつぼの名残りがあるものもある。
1-1 毒性成分

ファロトキシン類
アマトキシン類
溶血性タンパク

1-2 食中毒の型 胃腸消化器系
1-3 中毒症状

毒成分としてアマニタトキシンを含むため、 タマゴテングタケ様の中毒症状を示す。
食後6時間から24時間程度でコレラ様の下痢、嘔吐、腹痛を示す。さらに、数日後から肝臓肥大、黄胆、胃や腸からの出血、
その他、内臓細胞破壊が起こり死に至る場合がある。

2-1 発症事例

(症例1)
     平成 4 年 (1992) 夫婦 ( 男性 53 歳、女性 52 歳 ) がきのこ狩りで採った約 30 本のきのこを加熱調理し摂食。摂食 12 時間後に嘔吐、腹痛、血液の混じった水様性下痢、手指のつっぱり感を発症し、近くの病院に入院した。大量輸液、強制利尿などが行なわれたが摂食 36 時間後にはビリルビン、 GOT の上昇をきたし、摂食 43 時間後救命救急センターへ転院。入院後 GOT、GPT、LDH、T-Bil、CPK の上昇、 PT の延長、血小板の減少などを認め、血中毒素除去の目的も兼ねて血漿交換、血液透析を行った。その他、強制利尿、グルタチオン製剤、 GGI 療法、肝・腎血流増加を期待した DOA、DOB 持続点滴、 DIC 対策としてメシル酸ナファモスタッドを使用。これらの治療により第 5 病日には、検査値は正常化に向かい、第 25 病日軽快退院となった。妻も夫と同様の結果であったが、摂食したきのこ量は夫よりも少なかったためか自覚症状、肝機能障害はより軽度であった。治療は夫とほぼ同様、検査値もより早く正常に向かい第 15 病日に軽快退院となった。 → [ 考察 ] アマニタトキシンは摂食 24 時間以内に血中から消失するとされ、細胞内に取り込まれたアマニタトキシンによる肝・腎臓機能障害が発現する以前に適切な処置により助かった症例と考えます。
(症例2)
     平成 10 年( 1998 ) 10 月 29 日、栃木県芳賀郡茂木町で 5 人がシロマツタケと誤って、きのこの煮物にして摂食。摂食後全員嘔吐、下痢などの中毒症状を発症。肝機能低下を認め、うち男性 1 人が死亡した。栃木県保健環境センターでシロタマゴテングタケと同定された。

2-2 患者数
※厚生労働省発表

 

シロタマゴテングタケ

年度

発生件数

摂食者総数

患者数

死者数

2015

0

0

0

0

2014

0

0

0

0

2013

0

0

0

0

2012

0

0

0

0

2011

0

0

0

0

2010

0

0

0

0

2009

0

0

0

0

2008

0

0

0

0

2007

1

1

1

0

2006

0

0

0

0

2005

0

0

0

0

2004

0

0

0

0

2003

0

0

0

0

2002

0

0

0

0

2001

0

0

0

0

2000

0

0

0

0

2-3 中毒対策  
3 毒性成分の
分析法
 
4 諸外国での
状況
 
5 その他の参考
になる情報
 
6 間違いやすい
キノコ

ドクツルタケ(毒)と似ているが、ドクツルタケと比べると「小型である」、「柄にささくれが無い」、「試薬による呈色反応が異なる」といった点から、別種であると考えられる。また、タマゴテングタケの一変種であると考える研究者も少なくない。 しかし、いずれにしてもシロタマゴテングタケやドクツルタケのような外部形態をもつ白色のテングタケ属のキノコは世界的に見ても数多く存在しており、それぞれの区別が困難な場合が少なくない。

 
一般名 学名 区別できる特徴
シロツルタケ Amanita vaginata ( Bull.:Fr)Vitt.var.alba Gill つばなし。
ツルタケの白い変種と考えられている。
シロオオハラタケ Agaricus arvensis 若いときはヒダは白色、成長するにつれて灰紅色 → 黒褐色と変化する。
傘、柄に触れると黄変する。
引用・
参考文献
1)長沢栄史「フィールドベスト図鑑 14 日本の毒きのこ」 ( 株 ) 学習研究社 
2)編著者・奥沢康正、久世幸吾、奥沢淳治「毒きのこ今昔-中毒症例を中心にして-」(株)思文閣出版