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OECD失職者レビュー日本報告書の公表について

平成27年3月5日 厚生労働省

【失職者レビューとは】

OECD( 経済協力開発機構 ) では、 2011 年から「失職者プロジェクト」として、景気悪化等により離職を余儀なくされた者(失職者)が直面する長期失業や所得減少、不本意な条件での再就職のリスクについて調査分析を行い、失職者を支援するための主要な積極的労働市場政策を特定するとともに、その妥当性や効果を評価する取組を実施している。 2013 年には統計分析報告書を公表。

・「失職者レビュー」とは、 OECD が本プロジェクト参加国 ( 現在、日本を含む 9 カ国 ) を対象に実施した調査報告。平成 27 1 19 日に日本報告書が公表( http://www.oecd.org/els/back-to-work-japan-9789264227200-en.htm )。韓国に次いで2国目の公表。

・日本報告書の公表にあわせ、同日、厚生労働省で公表イベントを開催。

・今後、各国のレビューがまとまった後、国際比較を踏まえた総合報告書がまとめられる予定。

 

OECD「失職者レビュー日本報告書」の概要、本報告書に盛り込まれたOECDの主要提言及び提言に対する厚生労働省の見解は以下のとおりである。

【日本における失職者の状況】

・失職率は20022008年の1.4%が、世界金融危機の影響で2009年には2.0%を超える水準まで上昇したが、比較可能なOECD諸国の中では低い ( 1)。なお、2012年には世界金融危機前の水準に低下した。

・高齢者や教育水準の低い者、小規模企業、非正規労働者等で失職のリスクは高い。

20022013年の失職者のうち1年以内に再就職した者の割合は半数以下(48%)で、比較可能なOECD諸国の中では中位(2)3分の1が失業、4分の1が非労働力人口となっている。

・高齢者や女性、教育水準の低い者の再就職率は低い。

・再就職の際に賃金水準の大幅低下や非正規雇用となることも多い。

【日本の失職者対策の現状】

失職の予防及び ( 再就職支援のための)早期介入政策は発達 しており、失職者数及び失職者が被る損失を低く抑えることに貢献。特に雇用調整助成金と雇用保護法制(失職予定の労働者への事前通告義務の他、特に重要なのが、大量雇用変動届の提出義務と再就職援助計画の作成提出義務)が重要な役割

2013 年の日本再興戦略で、行きすぎた雇用維持から労働者の安定への影響を最小限に抑えながら労働移動を高める政策にシフトしたことは歓迎すべき。雇用調整助成金や労働移動支援の奨励金の効果について注意深く見守る必要がある。

予防及び早期介入政策が発達した理由には、雇用主が正規雇用労働者の失職を最後の手段と考える傾向が広く浸透していることがある。失職が避けられない場合も、特に大企業では、出向や民間再就職支援サービスを活用。

・他方、特に非正規労働者等、こうした措置を受けない傾向がある者がおり、ギャップを埋める公共政策として、企業の解雇予防や再就職支援への公的支援や、労働者が前職にいるうちの労働市場政策による調整支援などがある。

・企業による(再就職の)調整支援は好ましいが、公的支援との協働は複雑化する可能性もある。企業が支援する者とそうでない者とで必要とする公的支援の相違や、公共と ( 企業が活用する)民間で類似した支援を行っている場合の効率的な役割分担の調整がある。

ハローワーク、産業雇用安定センター、民間再就職支援会社で紹介する仕事のタイプが違い、民間と公共に潜在的に相互の補完性があることを示している。

・失職中の主要な所得補助は雇用保険の失業手当である。雇用主からの退職手当を受ける者もおり、一部大企業では手厚いが、多くは少額 ( か受け取らない)。

日本の公的な失業給付全体の手厚さは OECD 平均よりやや低い 。勤続年数の長い失職者は給付日数が長いが、若年、女性、非正規労働者は手当ての支給額が少ない。給付妥当性や支援策等の効果を評価する十分な情報がない。手厚い退職手当てを受けた求職者への対応は公的雇用サービスの課題。

雇用保険が、転職が難しい勤続年数が長い層に手厚いのは道理に適っており、また世界金融危機の際、契約更新を断られた労働者等への緊急措置及び手当ての拡充は有効である。

日本の積極的労働市場政策への政府支出は OECD 平均より低いものの、公的雇用サービスと職業訓練制度は非常にコスト効率的 である。失職者の支援策についての情報は限定的だが、間接的な指標は高い効果を示している。

世界金融危機や東日本大震災の際には効果的な拡充も行われた。

・世界金融危機や東日本大震災への対応のように、全国規模のハローワークのネットワークを活用し迅速にニーズを把握し必要なサービスの提供を通じて、大量の労働者が失職した際に迅速に追加的な支援を構築している。

地域の大量解雇発生の際、 2012 年の奈良のシャープ関係離職者等支援本部 のように、国、自治体、民間等関係者が連携し、迅速な対応をした好事例がある。

【OECDの日本の失職者対策の評価への厚生労働省の全体的な見解】

報告書では、全体的には、日本の雇用政策について、効率的で特にリーマンショック後の世界金融危機や東日本大震災の際には、対策を拡充し、ハローワークの全国規模のネットワークを活かしながら、機動的に対応を進め、失職者の抑制につながった点を評価しており、また、現在の行きすぎた雇用維持から失業なき労働移動の支援という政策の方向性を評価している。このように、全体として高い評価が得られていると認識している。

【OECDの主要提言と厚生労働省の見解・対策の状況】

・提言には、対策の状況も含め日本の実情を踏まえる必要があるが、労働市場の環境整備を図る上で参考となるものもある。個別の提言に係る厚生労働省の見解や対策の現状は以下のとおり。

主要政策提言 厚生労働省の見解・対策の状況
・ 行きすぎた雇用維持から円滑な労働移動を促進するための取組について政策効果を評価すること。 ・PDCAサイクルに基づき、政策運営を進めているところであり、提言も参考としつつ、今後もより的確な政策効果の検証を進めていくこととしています。
・  中堅キャリア労働者の労働移動を高めるため、労働者がこれまでに得た技能の書面化を容易にすることや、不当解雇の定義が曖昧であることにより雇用主が高技能職への新規人材受入に用心深くなりすぎているかもしれないため、曖昧さを減少させることなど、の追加措置を考えること。 ・中堅労働者の円滑な労働移動支援については、キャリアコンサルティングによる支援、ジョブカード制度の活用、職業能力評価制度の整備等を図ってきており、これらの制度の見直し・拡充を進めていくこととしています。
・不当解雇の定義の曖昧さの指摘については、労働契約法で「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない解雇は、その権利を濫用したものとして無効とする」旨を定めています。個々の、解雇の効力は、最終的には個別に司法判断されるものですが、政府として労働関係の裁判例の分析・類型化による「雇用指針」を定めて、周知を行っています。なお、提言は実証検証が十分でなく留保が必要です。
・  大量解雇の影響を受ける地域や労働者を支援するための公的早期介入の提供に関して各都道府県労働局相互の情報共有を促進する措置を取ること。 ・各都道府県労働局間で雇用情勢や施策の状況等の情報共有を図っており、提言も参考としつつ、大量解雇への対応の好事例等も共有を図っていくこととしています。
・世界金融危機後に導入された、より広汎な失職者グループにより長い雇用保険受給期間を認める暫定措置を恒久化するべきかどうか評価すること。一般的には、雇用主からの支援が少ない失職者(若年者、女性、非正規労働者等)への給付の妥当性のギャップに対処が必要かどうかを評価すること。 ・雇用保険制度は、再就職が困難な者、就職支援の緊要度の高い者への給付の重点化、早期再就職の促進、多様な働き方への対応(非正規労働者への適用拡大等)等の見直しを図ってきたところです。今後の基本手当の在り方は、雇用情勢に応じ、失業リスクへの措置として基本手当のみでなく、失業等給付全体で考える必要があり、施策の効果の検証がまず必要と考えています。なお、若年者、女性、非正規労働者への雇用主の支援や雇用保険給付額は、失職の緊要度、再就職の容易さ等も考慮すべきであり、一概に低いとはいえないと考えています。
・  ハローワークによる支援と、企業が解雇する労働者に対して提供する(再就職の)調整支援との連携を強化すること。特に、高額の退職金を受け取った労働者に対し離職後すぐに効果的な求職活動をするよう支援・奨励を確実に実施すること。雇用主と契約する民間再就職支援事業者とハローワークの情報交換を増やすことで、重複を減らし相乗効果を高める可能性を探ること。 ・大量雇用変動届や再就職援助計画の提出により、ハローワークは企業の再就職支援の把握、適切な指導等の実施等、企業による失職者向けの支援との調整はある程度実施していますが、更なる連携の検討は有益だと考えています。
・高額の退職金を受け取った者への支援については、退職金の有無よりも失職者の緊要度に応じて適切な就職支援を行うことがより重要という観点から失職者への支援を行っています。
・雇用主と契約する民間再就職支援事業者との重複については、失職者にとっては多様な就職支援メニューが提供されることが再就職を容易にする面もあり、重複が問題とは一概に言えないと考えています。なお、ハローワークの求人情報の提供等官民連携して外部労働市場のマッチング機能の強化を図ることとしています。
・  ハローワークが失職者に提供している積極的労働市場プログラムが適切か評価すること。特定の求職者向けのプログラムが提供されている中で、失職者のニーズに合わせて設計されたサービスが必要とされる可能性もある。ハローワークによる職業紹介の実績は素晴らしいが、就職先のほとんどは小規模企業である。より大規模な企業への職業紹介の拡大が可能であれば、多くの失職者も恩恵を受けるだろう。失職者向けの対策は、積極的労働市場政策全体の支出を増やすことで措置されるべきである。 ・ハローワークの政策運営はPDCAサイクルに基づき実施しており、提言も参考としつつ、今後も適切な評価を行っていきます。失職者向けに設計されたサービスについては、雇用情勢の変化に応じ、失職者向けにも機動的に政策メニューを展開しています。
・ハローワークの就職先が小規模企業が多いことについては、ハローワークは大企業、中小企業を問わず職業紹介を実施していますが、日本は中小企業の割合が高く、また、大企業は様々な入職チャンネルを利用可能であること等が背景と考えています。
・提言のように、積極的労働市場政策の拡充は重要であり、今後も推進していくこととしています。
・  世界金融危機と東日本大震災への対応の成功を踏まえ、国家・地域レベルで経済が大きく下降した場合に備えた失職者への支援を強化すること。 ・経済ショックに対して、ハローワークの全国規模のネットワークを活かし、迅速な失職者対策を進めてきたところであり、今後も効果的な政策運営を進めていくこととしています。
・高齢者の雇用維持を促進する施策との関連で、キャリア中途での転職機会を改善することは早期希望退職制度への過度の依存を防ぐために重要である。 ・中年期の転職については、本人が自己啓発を行い、キャリアを見直し転職を行う、キャリア形成という観点から支援していくこととしています。



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