第158回先進医療技術審査部会 議事録

日時

令和6年2月16日(金)16:00~18:00

場所

日比谷国際ビルコンファレンススクエア「8ABC」(オンライン)

出席者

北川座長代理、天野構成員、伊藤構成員、掛江構成員、後藤構成員、坂井構成員、真田構成員、戸高構成員、飛田構成員、平田構成員、松山構成員、山本構成員、渡辺構成員、近藤技術専門委員


(事務局)
医政局研究開発政策課長
医政局研究開発政策課 治験推進室長
医政局研究開発政策課 課長補佐
医政局研究開発政策課 治験推進室長補佐
保険局医療課 先進・再生医療開発戦略専門官
医薬・生活衛生局医薬品審査管理課 審査調整官

議題

  1. 1.新規申請技術の評価結果について
  2. 2.試験実施計画の変更について
  3. 3.協力医療機関の追加について
  4. 4.その他

議事

 

○北川座長代理
 定刻となりましたので、「第158回先進医療技術審査部会」を始めます。御多用の中、委員の皆様におかれましてはお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日はオンラインでの開催となります。本日の構成員の出席状況ですが、一家構成員、上村尚人構成員、上村夕香理構成員、竹内座長、平川構成員より、御欠席の御連絡を頂いています。また、戸高構成員におかれましては、途中で御退席ということで伺っております。また、本日は技術専門委員として、近藤幸尋委員に御出席を頂いております。どうもありがとうございます。
 定足数を満たしておりますので、本会議が成立していることを申し添えさせていただきます。また、欠席の構成員のうち、議事決定について一任いただくことにつきましては、御了承いただいた構成員からは委任状が提出されております。
 それでは、配布資料と本日の審査案件の確認を、事務局からお願いいたします。

医政局研究開発政策課長補佐
 傍聴者の方の撮影は、ここまでとさせていただきます。御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
 配布資料について確認させていただきます。議事次第から、座席表、開催要綱及び運営細則、構成員及び技術専門委員名簿と続きます。続きまして、新規申請技術の評価結果について、資料1~資料3-4、試験実施計画の変更について、資料4~資料5、協力医療機関の追加について、資料6-1~資料6-2、会議資料の最終ページは70ページです。お手元の資料に乱丁、落丁等がございましたら、事務局までお知らせください。
 続きまして、利益相反の確認です。申請医療機関との関係、対象となる企業又は競合企業について、事務局から事前に確認させていただいておりますが、今回、利益相反に該当する構成員の先生はいらっしゃいませんでした、事前の届出以外に、もし何らかの利益相反がございましたら、この場で御報告をお願いいたします。
 それでは、該当なしということで承知いたしました。
 また、今回は資料を事前にメールでお送りしております。会議資料と区別して、構成員・事務局限りの届出書類等を「タブレット資料」と御案内します。なお、会議資料とタブレット資料の内容は異なっておりますので、発言者は「会議資料の何ページ」 若しくは「タブレット資料の何ページ」と、あらかじめ御発言いただけますと、議事の進行上助かります。
 本日はオンラインでの開催となり、構成員の先生方には大変御不便をお掛けいたします。御発言いただく際には、初めにお名前をおっしゃっていただくようにお願いいたします。また、Web会議ソフトには手挙げ機能が付いておりますので、こちらも適宜御活用ください。以上でございます。

北川座長代理
 それでは、議事に入ります。新規申請技術の評価結果について、事務局から御説明をお願いします。

医政局研究開発政策課長補佐
 資料1の15ページを御覧ください。先進医療Bとして新規に御評価いただく技術は、整理番号138、マイクロ波凝固による経皮的前立腺癌病巣標的化焼灼術です。申請医療機関は、京都府立医科大学附属病院です。審査担当構成員は、主担当が真田構成員、副担当が一家構成員、伊藤構成員、技術専門委員が近藤委員となっています。
 資料2-4の37ページを御覧ください。審議に先立ち、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について、事務局より御説明いたします。まず、1番目の実施責任医師の要件ですが、診療科は泌尿器科、資格は日本泌尿器科学会専門医が必要となっています。当該診療科の経験年数は5年以上、当該技術の経験年数は、MRI撮影及び超音波検査融合画像による前立腺針生検の実施30例以上(うち経会陰的前立腺針生検の経験5例以上)の経験を有すること。当該技術の経験症例数は不要となっております。
 2番目の医療機関の要件です。診療科は泌尿器科が必要、実施診療科の医師数は、常勤医1名以上、かつ術者若しくはプロクターとして認められた日本泌尿器科学会専門医1名以上が必要です。他診療科の医師数は、放射線科において、前立腺MRI撮影・読影に関し4年以上の経験を有する放射線科医師が配置されていることが必要です。その他医療従事者の配置は不要です。病床数は20床以上が必要、看護配置は必要で、配置比率は問いません。当直体制は、泌尿器科医師のオンコール体制又は泌尿器科医当直が必要です。緊急手術の実施体制は必要、院内検査の24時間実施体制は必要、他の医療機関との連携体制は必要、ただし、自施設において消化器外科の医師が常勤又はオンコールで24時間緊急手術に呼応できる体制がある場合は不要です。医療機器の保守管理体制は必要、医療安全管理委員会の設置は必要、医療機関としての当該技術の実施症例数は不要です。その他として、1.5テスラ以上のMRI装置を有し、MRI撮影及び超音波検査融合画像機器を有していることとなっております。
 3番目のその他の要件として、頻回の実績報告は不要となっております。以上です。

北川座長代理
 これらの要件に関して、委員の皆様から、御意見、御質問はございますか。よろしいでしょうか。
 要件について、様式第9号については、委員の皆様から特に御指摘がないということでしたら、お認めするとしたいと思います。
 それでは、次に技術の概要と実施体制の評価について、主担当の真田構成員から御説明をお願いいたします。

真田構成員
 
真田です。この技術ですが、マイクロ波凝固による経皮的前立腺癌病巣標的化焼灼術です。遠隔転移がなく、癌が前立腺内に限局している前立腺癌を対象として、針、プローブを入れて、マイクロ波でそれを焼灼し、壊死させることによって、その癌の病巣を制御しようという技術です。
 研究者、先生方から御説明の図を提供いただいております。会議資料の35ページを御覧ください。対象患者は、「MRI画像」及び「前立腺針生検」によって、病巣の限局性が明らかであること、また、画像/病理組織診断上、「臨床的意義のある癌」で、癌病巣と直腸との距離が10mm以下、かつ遠隔転移を認めない患者というのが条件になっています。こちらに、砕石位を用いて、この下の図のように、プローブと電極を経皮的に前立腺に差し込みます。前立腺に差し込んだ電極、局所にマイクロ波を出して、周辺組織を電子レンジの要領で熱を加えて焼くということになります。そして、これが焼灼できたかどうかをエコーで確かめるわけです。こちらの技術の具体詳細については、本日、近藤先生もお見えでございまして、私が専門外のところで申し上げるよりは、近藤先生に具体的な御説明を頂いたほうが分かりやすいと思いますので、恐縮ですが、補足を頂ければ幸いでございます。
 このように焼灼する技術なのですが、現在、どのような状況になっているかということで、次のページにロードマップがございます。この試験自体の位置付けとしては、先行臨床研究で既に5例がトライアルをされていて、この5例については、術前に可視化された病変は5例全てで消失したという主要成績になっていて、これを基に、先進医療Bが計画されているというように理解しております。65例の目標症例数で、最大73例ということで、多施設で実施される予定です。ただし、単群試験ということになっております。これが、もし成功しますと、次に医師主導治験を実施し、それを経て、一部変更承認申請を出すというプランで、研究者が申請しているようです。
 現在、諸外国では、これがガイドラインに記載されているとか、薬事承認が出ているとか、進行中の臨床試験があるという状況ではないということですので、この適応でこの技術はオリジナルに近い技術だと考えられますが、本邦では、ガイドラインに推奨度C1で記載されており、つまり、前向き臨床試験が実施されるべきということで、本試験がそれに該当するということで申請を頂いているところになります。
 この前立腺癌の局所癌に対するアプローチは、今回のマイクロ波のほかに、既に先進医療として先行で別に実施されているような、集約超音波の技術や、本技術と同じグループが既に医師主導治験で症例登録を終えているクライオ、冷凍凝固という技術がございますが、これらは、今、まだ結果が出たわけではありませんので、現在の標準治療としては摘出になるのかなと理解しています。
 これは、今回は局所療法ですから、機能の温存が最大のメリットになります。それを保持した上で、癌の制御ができるか。これについては、画像で消失したかというところと、PSA、前立腺癌ではほぼゴールデンスタンダードに近い腫瘍マーカーと理解していますが、これが50%以上の減少を示すかどうかが、チェックされると理解しています。
 ですから、数あるそういった局所療法の1つということになりますが、熱を加えるというところで、幾つかのデメリットが考えられます。そちらについては、近藤先生からも御指摘を頂いていたところですので、後ほど御説明いただけると思いますが、私からは、特異的な照会事項として、資料の21ページ、22ページの事前照会事項1という所で、照会を行ったことがございます。
 例えば、人工肛門は一時的なものも重篤な有害事象になるかという御質問をして、これは「なります」とはっきり明言いただいております。PSA値の3か月と6か月の評価の仕方についても、どちらかが下がればいいというのは本当なのかをお伺いしましたが、これは合理的な説明をもって、「いずれでもよい」という御回答を頂いたと理解しております。それから、MRIで見えるものを施術するのですが、術中の評価はエコーですよね、両方見えるということでいいのかと聞きましたが、これも「大丈夫です」という御回答を頂いております。あと、クライオのほうについては、「今、医師主導治験を実施中」と書いてありますが、患者のエントリーの重複などは問題ないかを聞いたところ、「別の医師主導治験のほうは、既にエントリーは終了しています」という御回答でしたので、同じ適応症であっても、本技術を実施することには問題なかろうという理解です。もう1つ、様式第9号の緊急時の体制についても御質問申し上げましたが、こちらも妥当に修正されたと理解していますので、私は、実施体制その他は「適」の判断をいたしております。一旦、お返しいたします。

北川座長代理
 
ありがとうございます。真田構成員から、かなり的確な御質問をしていただいて、妥当な回答が得られているという御報告だったと思います。ここまでのところで、皆様から何かございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、後ほど討論をすることにして、近藤技術専門委員から、実施体制の評価について御評価をお願いしたいと思います。

近藤技術専門委員
 
先ほど真田先生からもお話がありましたが、この技術は、泌尿器科とか、ほかの何でも、いわゆるフォーカルセラピーという形で、今、日本ではクライオであったりHIFUというのが先進と医師主導で走っていますけれども、諸外国に関しては、この2つはある程度認められているという状況です。このマイクロ波に関しては、欧米ではまだ機器としては余り認められてはおらず、いわゆる肝臓などはラジオ波というものが主に行われているという状況です。ラジオ波とマイクロウェーブで何がどう違うかということに関して、私は、実際にマイクロウェーブで肝臓であるとか腎臓の治療を行った場合、水分成分が水蒸気爆発を起こしてしまう危惧があるということがありましたので、マイクロ波における例えば腎腫瘍に対しての治療というのは頓挫してしまったというのが現状です。
 肝臓においてはラジオ波が多く使われているのですが、水蒸気爆発とか、そういうものがほかにいろいろな所で。要するに、前立腺というのは、精液の前立腺液というものを作っている所ですので、当然、液体成分が多いという形になります。つまり、MRIでT2強調でも結構白く写っている所が多いので、それに関して、水蒸気爆発のような形が起こるのではないかということに関しては、精液とか、そういう経路があるので、「爆発には至らないのではないか」という回答を得ております。
 また、前立腺癌というのは特殊な癌でして、1か所ぽこっとできて、それが広がるというよりも、マルチフォーカルに、多発的に起きてくるということがあります。また、日本人としてはアンテリオールのapexと言って、いわゆる先端部のお腹側に癌が多いのですが、ときとしては、直腸に近い所であったり、いろいろな状況があるわけです。あと、多発というのもあるわけです。そうすると、それに対して何度も刺して何度もやるのかということに関しては、きちんと適応を選んで、そういった距離をもって、できる所だけ単回に行うという形になるので、基本的には非常に症例が絞られてしまいますが、そういった適応をきちんとするということで安全に行うというのが、申請者の回答でした。
 また、前立腺癌は尿道に近い部分にも癌ができるということがありますので、そこで熱傷、先ほどのフォーカルセラピーで、HIFUという超音波の集束の治療というので行っていましたが、その場合に尿道狭窄が起きることが結構多かったのです。要するに、全面的にHIFUをやってしまうと尿道狭窄が起きてしまうということがあったので、それに関して質問をさせていただきました。こちらに関しても、「適応をきちんと選んでやっていく」ということで回答が得られておりますし、今、前立腺肥大症に対して、熱によって治療をするということもされていますので、それに関しての答えも含めて、そういった熱損傷はあるにはあると思うのですが、狭窄が大きく起きるということではないのではないかと申請者らは答えておりますし、今までの私の質問を考えてみますと、非常に適応が限られてくる可能性はあるのです。つまり、65名のエントリーという形になっていますが、通常、限局性の前立腺癌というのは、多くて1施設で年間100例前後ぐらいだと思います。そうすると、その中で適応を選んでいくということになると、数が相当減ってくるという危惧はございますが、それをもって不適とはできないので、私は「適」とさせていただきました。以上です。

北川座長代理
 
非常に専門的なお立場からの御説明を頂きました。ありがとうございます。
 続いて、倫理的観点からの評価については、副担当の一家構成員にしていただいております。本日は御欠席ですので、事務局から代読をお願いいたします。

医政局研究開発政策課長補佐
 
事務局です。資料2-1の19ページを御覧ください。一家構成員からの倫理的観点からの評価として、4番の「同意に係る手続、同意文書」と、5番の「補償内容」について、「適」とされております。
 コメントとしては、「最終的に同意説明文書が適切に修正されたと判断して「適」としますが、国が認定した委員会(CRB)で審査・承認されたものであるにもかかわらず、修正指摘事項が多岐にわたったと言わざるを得ません。本研究を定期報告等を通じて監督する立場にあるCRBには、本部会での指摘の内容を報告し、適切に監督できるような関係・体制を作っていただきたいと考えます」とございます。以上です。

北川座長代理
 
CRBに対するある程度の言及もありました。CRBもいろいろございますので、そのCRBの審査のレベルにも少し言及いただいたところかと思います。よろしいでしょうか。
 続いて、副担当の伊藤構成員より、試験実施計画書等の評価について御説明をお願いいたします。

伊藤構成員
 試験実施計画書等の評価を行いました。ほとんどのところ特に問題はありませんでした。目立ったところとしては、主要評価項目に関する評価が、いわゆるベイズ流の評価が予定されているのですが、症例数の設定の根拠から、一貫してベイズ流の評価が予定されており、特に矛盾はないと考えますので、技術的には問題なく評価されるのではないかとみなして、「適」というように評価いたしました。以上です。

北川座長代理
 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
 それでは、1~16の総評について、主担当の真田構成員から御説明をお願いいたします。

真田構成員
 真田です。各先生方の御評価を踏まえて、総評としては「適」と判断いたしました。一方、一家先生のコメントをはじめ、一部に「適とはいたしますが御留意ください」というコメントを頂いている部分がございますので、そちらについては、「真摯に御対応いただきたい」というコメントを付けましたが、技術としては「適」と判断しております。以上になります。

北川座長代理
 ありがとうございました。それでは、質疑応答に移ります。以上の構成員、技術専門委員の皆様の御評価について、皆様からの御質問を受けたいと思います。いかがでしょうか。天野構成員、お願いいたします。

天野構成員
 御説明ありがとうございました。私からは2点ございます。1点目は、もう一度確認したいのですが、本技術については、本邦ではガイドラインに記載があって、C1の推奨度ということですが、欧米では薬事承認、ガイドラインの記載、進行中の臨床試験のいずれもないという記載になっていると思います。このような差異が生じている背景が分かれば教えていただきたいというのが1点目です。
 2点目は、一家構成員の御指摘なのですが、「CRBで審査・承認されたにもかかわらず、修正指摘事項が多岐にわたっていると言わざるを得ない」という御指摘を頂いていて、この指摘は、当然、京都府立医科大学にフィードバックされるものとは思うのですが、ただ、先進医療技術審査部会で、ここ最近、こういった指摘の付く案件が、今回が初めてではなく、複数のCRBでこういう指摘が評価者から出ていると承知しています。事務局に確認したいのですが、こういったフィードバックは、過去のフィードバックについては、全て当該CRBに対して行われているのか、あるいは、厚生労働省のCRBを管轄する組織に対して、先進医療技術審査部会でこういった事例が複数生じていることはフィードバックされているのかについて、教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。

北川座長代理
 1点目については、恐らく近藤専門委員が一番お詳しいかと思いますが、いかがでしょうか。

近藤技術専門委員
 近藤です。このマイクロ波に関して言うと、先ほどちらっとお話しましたが、肝臓のほうで焼灼術という形で、ラジオ波であったりマイクロ波であったりというのは行われていたと聞いております。ただ、マイクロ波の場合、1本の針を刺して、そこからマイクロウェーブで出して焼灼していくという形なのですが、ラジオ波の場合、針が進歩していまして、何本かに分かれて、ある程度の範囲を均一にラジオ波で焼くことができているというのが現状のようです。つまり、そのために、ラジオ波とマイクロ波というのが、ラジオ波のほうが扱いやすい、肝臓でも水蒸気爆発も余り起こらないような形で、何とか扱いやすくできているというのが現状のようです。ですから、欧米では、ラジオ波が全く主流であって、マイクロ波が使われていないということだと思います。
 ただ、マイクロ波そのものが日本発のような形だったと思いますので、そのために、国内では肝臓にも一部使われてはいたということで、適応になっていますし、一時期、我々泌尿器科も腎臓でそういった医師主導でやるかどうかということが起こったこともあったと聞いています。以上です。

北川座長代理
 ありがとうございます。とは言っても、マイクロ波の評価については、まだやってみないと分からないという評価でよろしいですか。

近藤技術専門委員
 そうですね。特に前立腺に関しては、本当にやってみなければ分からないというところがあります。ですから、本当にそれが直腸に、申請者らは1cmというところで距離を置いていますが、それが本当に大丈夫なのか。先行研究で5例で行って、問題ないという判断がありましたが、直腸損傷というのもゼロではないので、そういったところをきちんと適応を選んでやっていただかないと、危険なことになる可能性はあるとは思います。

北川座長代理
 分かりました。とは言っても、技術として不適とする根拠ではないということですね。

近藤技術専門委員
 そういうことです。適応をきちんと選んで、距離を取れるものにするであるとか、そういったコメントを頂いておりますので、適応がきちんと守られるのであれば、ある程度の安全性を担保できるのではないかというように判断いたしました。

北川座長代理
 
ありがとうございます。2点目については、事務局から何かコメントはありますか。

医政局研究開発政策課長補佐
 
事務局です。本部会で意見があった場合には、例えばCRBの審査についての意見があった場合には、医療機関を介してCRBに伝達していただくようにお願いしております。

北川座長代理
 天野構成員が御指摘のように、CRBのクオリティに若干ばらつきがあるというのは、皆様が感じていらっしゃるところです。例えば、他の機関のCRBで承認された試験を、病院長がもう一度それを見て、当該病院でやるかどうかを判定する際に、これがCRBを通ったものなのかというような評価を受けることもゼロではないので、その点は、制度としてしっかりとフィードバックしながら改善していくべきかなと思っております。天野構成員、回答としてそれでよろしいでしょうか。

天野構成員
 ありがとうございます。CRBの質の担保は、もちろん厚生労働省にも気を配っていただいているとは思うのですが、複数回、先進医療技術審査部会で、公開の場に、本当に適切に審査が行われたのかという案件が上がってくると、CRBの存続の意義が問われかねないので、こういった案件が先進医療技術審査部会で複数回生じていることについては、各CRBに改めて周知いただくのがよろしいのではないかと思いました。以上です。

北川座長代理
 
ありがとうございます。貴重な御意見でした。
 渡辺構成員、どうぞ。

渡辺構成員
 
天野構成員がおっしゃったCRBに関してですが、何らかの形で本部会の意見をCRBにフィードバックしていただきたいと思いますので、手順があるのかという確認をしたかったのが1つです。
 もう1つは、ほかの審議会でCRBの在り方を検討していると思います。詳細を私が言っていいのか分かりませんが、約90幾つあるCRBの中で、4割近くが3年後の更新時には認定要件を満たさない。満たさなかったら廃止になるのですが、そのほとんどが再申請をして再設置が認められて、数が減らないというのが現状です。どのぐらいCRBに対して指導があったかというところまでは、そちらの審議会には情報が入ってきません。
 審議会の立て付けが違うので情報の横の連携というのは難しいのかもしれませんが、CRBの認定を協議をする場には、そういうような情報を出していただいたほうがよいと考えます。今、CRB更新要件の検討としては、新規にどのぐらいの審議ができるかという数で質を担保しようとしているのですが、なかなかそれがうまくいっていないということもありますので、量ではなくて質のほうも検討できるように、これはここの会議の事務局にお願いするのは筋違いかもしれませんけれども、今後、是非御検討いただきたいと思います。以上です。

北川座長代理
 
ありがとうございます。渡辺構成員からも貴重な御意見を頂きました。
 そのほか、この技術そのものに関して、何か質疑はございますか。よろしいでしょうか。
 専門委員も含めて、委員の皆様からは「適」という最終的な判断を頂いておりますので、整理番号138については「適」ということにしたいと思います。
 近藤技術専門委員におかれましては、貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございました。御多忙のところ出席いただきまして、この時点で御退席いただくということになります。ありがとうございました。

近藤技術専門委員
 ありがとうございました。失礼いたします。

北川座長代理
 
続きまして、次の新規技術の評価結果について、事務局から説明をお願いします。

医政局研究開発政策課長補佐
 
御説明します。資料1の15ページを御覧ください。先進医療Bとして新規に御評価を頂く技術は、整理番号139、自家骨髄単核球移植による血管再生治療です。申請医療機関は、京都府立医科大学附属病院です。審査担当構成員は、主担当が松山構成員、副担当が後藤構成員、上村夕香理構成員となっています。
 それでは、資料3-4の55ページを御覧ください。審議に先立ち、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について御説明します。まず、1番目の実施責任医師の要件ですが、診療科は、循環器内科、心臓血管外科、血液内科、リウマチ内科のいずれかが必要、資格は、日本循環器学会循環器専門医又は日本血液学会血液専門医又は日本内科学会総合内科専門医又は日本リウマチ学会リウマチ専門医又は心臓血管外科専門医認定機構心臓血管外科専門医が必要となっています。当該診療科の経験年数は不要、当該技術の経験年数は1年以上が必要、当該技術の経験症例数は実施者として1例以上が必要となっています。
 2番目の医療機関の要件ですが、診療科は循環器内科、心臓血管外科、血液内科、リウマチ内科のいずれかが必要、実施診療科の医師数は、実施診療科において循環器専門医又はリウマチ専門医又は総合内科専門医又は血液専門医又は心臓血管外科専門医が2名以上常勤として配置されていることが必要です。他診療科の医師数は、経験年数5年以上の麻酔科医が1名以上いることが必要です。その他医療従事者の配置は、輸血を実施する部門が配置され、常勤の医療従事者が配置されていることが必要です。病床数は、200床以上が必要、看護配置は、10対1看護以上が必要です。当直体制は、循環器内科、血液内科、リウマチ内科、心臓血管外科のいずれか1名以上が必要で、オンコール体制を含む。緊急手術の実施体制は必要、院内検査の24時間実施体制は必要、他の医療機関との連携体制は不要です。医療機器の保守管理体制は必要、医療安全管理委員会の設置は必要、医療機関としての当該技術の実施症例数が、自家骨髄単核球を用いた血管再生療法の経験が1例以上あることが必要となっています。
 3番目、その他の要件として、頻回の実績報告は不要となっています。以上です。

北川座長代理
 
ありがとうございます。今、御説明いただきました要件について、何か御意見はありませんか。
 それでは、御意見がないようですので、様式9号についてはお認めするということで進めたいと思います。
 次に、技術の概要と実施体制の評価について、主担当の松山構成員より御説明をお願いいたします。

松山構成員
 
松山です。それでは、医療技術の概要を御説明させていただきます。会議資料の53ページ、それからロードマップの54ページを見ていただけたら有り難いと思います。
 まず対象ですが、閉塞性動脈硬化症に伴う包括的高度慢性下肢虚血に対する自家骨髄単核球細胞を用いた血管再生治療ということです。高度慢性下肢虚血ですが、動脈硬化あるいは血管炎等の炎症が原因で、末梢動脈の血流が著しく低下して、四肢に潰瘍や壊疽を生じてしまう疾患です。そのために血流の回復が必要ということで、京都府立医科大学のチームが見いだした単核球による血管新生療法を試みているというところです。
 本研究で行う血管再生療法では、この1.の所にありますが、全身麻酔下で500mLから1Lの骨髄液を腸骨から採取して、今回、適応内の医療機器で骨髄液を濃縮、40ccから100cc程度に濃縮します。それを虚血の部分の足に100か所程度、1mLぐらいずつ、細胞懸濁液を注射するという手技です。
 本試験は多施設の共同のランダム化試験を介入しておられるということで、ベースとして標準治療を行った上で、かつ非常に重篤な患者さんであるがゆえに血管形成術、EVTを行った患者さんを前提として、この試験介入に入っていただくというものです。簡単に概要に関しては御説明しました。
 それでは、実施体制の評価です。1.実施責任医師等の体制に関しては、骨髄液を採ってくださるのは血液内科の先生ということと、実際、全身管理は循環器内科並びに心臓血管外科の先生もバックアップに付いておられるということですので、「適」とさせていただきました。
 実施医療機関としては、緊急時、特にベースに虚血性心疾患等を持っている患者さんが非常に多いので、何かトラブルがあったときに緊急の手術もできるということで、実施医療機関の体制としても「適」、医療技術としても、我が国から発信されている骨髄単核球を使った血管再生療法ということで、医療技術の有用性等も「適」とさせていただきました。
 ただ、今回、実施計画届出書の所で、有効性がある症例と有効性を認めなかった症例ということで御記載いただいているのですが、有効性を認めなかった症例のうち、細胞を注入した患者さんで、注射した後、1か月程度の後に著しい蜂窩織炎、感染症を起こしたという症例がありました。これに関して、後ほどにも述べますが、特定認定再生医療等委員会では特段問題なしという形で御判断されたようですが、やはり蜂窩織炎というのは菌が残っていれば何年か後に再燃することもありますので、もともと骨髄を採ってくるときも完全に無菌というわけにはいきませんので、注意して進めていただければ有り難い。そういうことを御配慮いただけるということを、いろいろなやり取りの中で頂きましたので、今回、医療技術の有用性としては「適」とさせていただきました。一時、座長代理に戻します。ありがとうございます。

北川座長代理
 ありがとうございました。的確に質疑を申請者としていただいたということです。続いて、副担当の後藤構成員から倫理的観点からの御評価をお願いいたします。

後藤構成員
 副担当の後藤です。基本的には4と5で同意に係る手続、同意文書、そして補償内容について確認をしたところ、「適」としました。
 ただ、1つだけ、ちょっと皆様と情報を共有しておきたいと思う点があります。それは、本研究がランダム化比較試験ということで、例えば同意文書を読んでいきますと、私はこの治療をしてもらえるんだという期待感を高めるような書き方に最初はなっていましたが、やはりあくまでもランダム化の比較試験で、自分の思うとおりにはいかない場合もある、つまり、この有効だとされる治療がされない場合もあるということを、かなり早い段階で御理解いただいたほうがいいということを申し上げました。それについては、適切に追記をしていただきましたし、あとは、これについてはよくあるのですが、パートナーにも避妊を求めるということについては、なぜそうなのかという理由についても適切に書いていただいたところもありましたので、以上の理由で「適」と評価しました。以上です。

北川座長代理
 ありがとうございました。続いて、副担当の上村夕香理構成員が御欠席ですので、試験実施計画書等の評価については、事務局から代読をお願いいたします。

医政局研究開発政策課長補佐
 
事務局です。資料3-1の41ページを御覧ください。上村夕香理構成員からの試験実施計画書等の評価として、6番の「期待される適応症、効能及び効果」から16番の「個人情報の保護の方法」まで、「適」とされています。
 コメントとしては、「本試験は、閉塞性動脈硬化症に伴うCLTIを対象として、自家骨髄単核球細胞を用いた血管再生治療の有効性及び安全性を評価するオープンラベルランダム化比較試験である。主要評価項目は、患側肢への切断又は再EVTを実施した最も早い日までの期間である。盲検化していないことで主要評価項目の有効性にバイアスが入る可能性があるが、その実施の適切性を事後的に判断するため、第三者機関を設置し、評価に用いる基準も設定されている。また、その他複数の照会事項に対して適切にご回答を頂き、試験実施計画書への修正がなされましたので、いずれも「適」と判断する」とあります。以上です。

北川座長代理
 それでは、1から16の総評について、主担当の松山構成員より御説明をお願いいたします。

松山構成員
 
上村先生にもかなりしっかり見ていただいて、今回の案件は、修正しなければいけない所は先ほどの案件ほどではなかったというところがあります。そこは、このチームはかなりしっかりやってくださったということです。
 全て総合評価としては「適」とさせていただきました。ただ、ちょっとコメントですが、先行研究で血管再生療法後に患肢の蜂窩織炎を認めている症例があります。特定認定再生医療等委員会にて、因果なしとされていますが、いずれにせよ、このような有害事象が起こった場合、速やかに委員会に報告していただいて議論をしていただきたいということと、骨髄液を採取されて、そこからの創感染のリスクもありますので、注意深い観察をしていただければ非常に有り難いと思います。以上です。

北川座長代理
 
ありがとうございました。それでは、御討議をお願いしたいと思います。御質問等はありませんか。よろしいですか。
 先ほどのランダム化比較試験のことは、いわゆる説明文書の中で比較的分かりやすく改良されたという理解でよろしいですか、松山構成員。

松山構成員
 
仰せのとおりです。加えて、バイアスに関しては、独立した評価委員会が入られるということなので、しっかりとした研究になっていると思います。ありがとうございます。

北川座長代理
 
ありがとうございます。そのほか委員の皆様から御質問等はありませんか。よろしいでしょうか。
 それでは、構成員の皆様には「適」という判断を頂いています。御説明も頂きまして、特に大きな質疑事項はないようですので、整理番号139については「適」ということにさせていただきます。構成員の皆様、ありがとうございました。
 続きまして、試験実施計画の変更について、事務局から御説明をお願いいたします。

医政局研究開発政策課長補佐
 
御説明します。資料4の57ページを御覧ください。国立がん研究センター東病院からの申請で、告示番号39、周術期デュルバルマブ静脈内投与療法です。適応症は、肺尖部胸壁浸潤がんです。
 御審議いただく主な変更内容について、58ページを御覧ください。主な変更内容として1つ目、デュルバルマブの添付文書の用法用量変更に伴う追加デュルバルマブ療法例の用法用量の変更。2つ目、追加デュルバルマブ療法までの許容期間の修正で、手術不能と判断され、かつ術前化学放射線療法中に増悪が見られなかった場合は、変更前は「術前デュルバルマブ療法第2コースのday15からday28の間に追加デュルバルマブ療法を開始する」とあったものが、「day15からday42の間」となります。3つ目は、第156回先進医療技術審査部会からの指摘に伴う記載整備。4つ目は、病理判定委員の変更。5つ目は、誤記修正となっています。
 変更申請する理由としては、1つ目については、令和5年11月24日付けで切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌に対するデュルバルマブ(イミフィンジ点滴静注)の用法用量が、体重当たり10mgの2週間間隔投与から、1,500mgの4週間間隔投与に変更になったことに合わせて、本試験においても保険診療で実施している追加デュルバルマブ療法の用法用量を1,500mgの4週間間隔投与のみとする変更を行ったためとあります。
 2つ目については、術前デュルバルマブ療法後に画像検査を行い、キャンサーボードで切除の可否を決定、これらの結果を患者に説明し同意を得る期間を考慮すると、期間を遵守するために無理な調整をしている参加施設があったためとあります。以上です。

北川座長代理
 ありがとうございます。今の変更内容について、御質問、御意見はありませんか。用量用法のいわゆる保険適用の採用と、それから、いわゆるしっかりとした評価期間を置いたプロトコルという変更だということです。よろしいでしょうか。
 それでは、告示番号39の変更についてはお認めするということで進めたいと思います。
 続きまして、次の試験実施計画の変更について、事務局から説明をお願いいたします。

医政局研究開発政策課長補佐
 
御説明します。資料5の61ページを御覧ください。慶應義塾大学病院からの申請で、告示番号46、抗腫瘍自己リンパ球移入療法です。適応症は、子宮頸がんです。
 御審議いただく主な変更内容について、62ページを御覧ください。主な変更内容として、1つ目が研究実施期間の延長となっており、研究実施期間、エントリー期間、追跡期間がそれぞれ記載のとおりの変更となります。2つ目が実施者の削除となります。
 変更申請する理由としては、本先進医療で用いる特定細胞加工物を製造していたテラ株式会社が2022年8月に倒産したことに伴い、細胞培養加工施設の変更が必要となったため、2022年9月に患者登録一時中断の手続を行った。その後、事業譲渡先の選定が行われ、細胞培養加工施設変更に関する特定認定再生医療等委員会への変更申請手続の準備を現在進めているが、現在の試験実施予定期間が2024年3月までとなっているため、試験実施予定期間全体の延長を先に行うに至ったとあります。2点目については、人事異動のためとなっています。以上です。

北川座長代理
 この変更内容について、皆様から御意見はありませんか。よろしいでしょうか。
 それでは、告示番号46の変更についてはお認めするということにします。
 続きまして、先進医療Bの協力医療機関の追加について、事務局から御説明をお願いいたします。

医政局研究開発政策課長補佐
 資料6-1の65ページを御覧ください。告示番号48について1施設、告示番号56について1施設の協力医療機関の追加申請がありました。
 資料6-2の67ページ以降を御覧ください。事務局において、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件(様式第9号)を満たしていることを確認しました。協力医療機関の追加として御了承いただきたく存じます。特に御意見がなければ、手続を進めさせていただきます。以上です。

北川座長代理
 
これは様式9号をしっかりと満たしていることは、事務局で確認いただいているということですね。

医政局研究開発政策課長補佐
 
そのとおりです。

北川座長代理
 
よろしいですか。特に御意見がないようなので、手続を進めさせていただきます。よろしくお願いします。
 本日、用意しました議題は以上ですが、構成員の皆様、何か御意見、御質問等はありませんか。今日、頂きましたCRBのレベルの件は、可能であれば事務局から当局内での周知を図っていただきたいということは、複数の御意見を頂きましたので、そちらについては可能な範囲でよろしくお願いします。

医政局研究開発政策課治験推進室長
 事務局です。治験推進室長の飯村です。今、御指摘いただきましたCRBの質の問題に関しては、臨床研究部会のほうでも、やはり厳しい意見を頂いていますので、我々としても質の向上に向けた対策について、先生方の御意見も踏まえながら、しっかりと対応していきたいと思っています。本日、先生方の御懸念は十分に認識しましたので、適切に対応を検討させていただきます。以上です。

北川座長代理
 
ありがとうございます。この先進医療技術審査部会でも、複数の案件でそういう指摘が出ているということは、是非、情報共有していただきたいと思っています。
 皆様から更なる御意見がないようでしたら、次の日程の確認を事務局からお願いいたします。

医政局研究開発政策課長補佐
 
次回は令和6年3月14日の木曜日の開催とさせていただきます。時間は16時から18時までの予定で、詳細については、別途、御連絡させていただきます。また、本日の議事録については、作成次第、構成員の皆様に御確認をお願いし、その後、公開させていただきますので、よろしくお願いいたします。

北川座長代理
 
ありがとうございます。それでは、皆様の御協力を頂きまして、比較的迅速に進みました。第158回先進医療技術審査部会、これで終了とさせていただきます。ありがとうございました。
(了)