第16回高齢者の保健事業のあり方検討ワーキンググループ 議事録

日時

 令和6年3月15日(金)14:00~16:00

開催方法

 オンライン開催

議題

  1. 1.高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施の推進等について
  2. 2.その他

議事

議事内容
○事務局 定刻となりましたので、ただいまより第16回高齢者の保健事業のあり方検討ワーキンググル―プを開催いたします。構成員の皆様にはご多忙のところご出席いただきありがとうございます。会議中ご発言の際は手を挙げるボタンをクリックしていただき座長の指名を受けてからマイクのミュートをはずしてご発言してくださるようお願いします。ご発言終了後は、再度マイクをミュートにしていただくようお願いいたします。また、今回構成員の交代がありましたのでお知らせいたします。伊藤早苗構成員がご退任になられまして福島県塙町健康福祉課長 遠藤安弘構成員にご就任いただいております。本日のご出席状況についてすべての構成員の皆さまにご出席いただいております。続きましてお手元の資料について確認させていただきます。議事次第および資料1_第16回高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施の進捗状況、資料2_高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施の推進に係る支援等、参考資料1_高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドライン第3版(案)、参考資料2_糖尿病性腎症重症化予防プログラム(改定案)、参考資料3_保険者インセンティブ(令和6年度分)における評価指標等、参考資料4_津下構成員ご提出資料、参考資料5_池田構成員ご提出資料、それから構成員一覧をおつけしております。不足等ございましたら事務局までお知らせ願います。本会議は公開とさせていただき会議終了後録画映像をYouTube厚生労働省動画チャンネルで公開いたします。公開期間は会議翌日から当省ホームページに議事録が掲載されるまでの期間となりますのでご了承いただきますようお願いいたします。また、本日の資料はホームページに掲載済みとなっております。それではここからの進行は津下座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○津下座長 はい、みなさん、こんにちは。ただいまご紹介いただきました、座長の津下と申します。本日もどうぞよろしくお願い致します。令和2年度から始まりました。一体的実施、かなり進んできた状況がございます。また、次年度に向けても様々な計画がご用意されていますので、今日はそのあたりについてご報告並びにご議論いただきたいと思っております。本日の議題は1.高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施の進捗状況、2.その他の二点でございます。それでは、まず議題の一つ目、高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施の進捗状況ということで資料1について事務局よりご説明をお願いいたします。
○事務局 保険局高齢者医療課 一体的実施調整官の宇野でございます。
資料1では、高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施の進捗状況を実施状況調査の結果からご報告いたします。
一体的実施の進捗状況でございますが、令和5年度までに実施済みの市町村数は1396。全体の8割、令和6年度までに実施予定市町村は1708で市町村全体の98%でございます。今年度の実施状況調査の調査概要を3ページ4ページでお示ししてございます。
広域連合・市町村・都道府県に調査を行い、回収率100パーセントでございます。
5ページでございます。一体的実施の実施状況を示したグラフです。令和6年度から開始が17.9%、未定が33市町村で離島へき地を中心とした小規模町村が中心となっております。
6ページは都道府県別の実施状況です。今後実施がピンク、赤が未定を示しています。未定が多い都道府県は、北海道、東京、島根、沖縄となっており、いずれも離島が中心であり、企画調整担当医療専門職の配置が困難なことが未実施の主な理由となっています。今年度、未実施市町村を抱える広域連合とは定期的に意見交換を行い、広域連合の対応や、支援の状況を共有していただき、国としてどのような支援が考えられるかを意見交換したところでございます。
7ページでございます。こちらは高齢者の保健事業で用いております「後期高齢者の質問票」となっております。
8ページでございます。質問表の使用状況についてお示ししています。質問票は98%の市町村で使用されており、健診時の問診の他、通いの場での健康状態の把握、保健指導時のアセスメントにご活用いただいております。
9ページでございます。ハイリスクアプローチの実施項目を左に示しています。
健康状態不明者の取り組みが6割を超えており最も多く、生活習慣病等重症化予防、糖尿病性腎症重症化予防の取組が6割近くの市町村で実施されております。実施上の課題として、目標・評価指標の設定、事業実施後の評価・改善策の立案、また左から4つ目の医療機関との連携調整が5割を超えております。またグラフの中ほどにございます通り地域を担当する医療専門職の確保について課題と感じている市町村は46.2%でございます。
10ページでございます。ポピュレーションアプローチの実施項目を左に示しています。
フレイル予防の普及啓発、運動・栄養・口腔などの取り組みなどの健康教育・健康相談の実施が最も多く98%の市町村で実施されております。ハイリスクアプローチ同様、ポピュレーションアプローチにおいても目標評価指標の設定、事業実施後の評価改善策の立案が課題となっております。こちらでもグラフ中ほどの医療専門職の確保が課題としている市町村が41%でございます。
11ページでございます。KDBシステム活用における課題については、KDBには様々な機能があることから、十分理解して活用することが難しいという課題がございました。本課題に対しましては、事業を実施するにあたり簡易に対象者を抽出することができるツールを作成してございます。12ページでございます。
一体的実施・KDB活用支援ツールの活用状況をまとめております。KDB活用支援ツールは1433市町村のうち82.3%で活用または使用の検討がされております。右のグラフでお示しした通り対象者の抽出で1305市町村と最も多く、次いで事業計画に用いるというところで多くなってございます。右側にお示ししている事業評価、保健事業の優先順位の検討については課題でございまして今年度再構築したKDB実践支援ツールで対応する予定でございます。
13ページでございます。ここからはデータヘルス計画に関してのご報告となります。今年度第3期データヘルス計画を各広域連合において策定しており、その際標準化の取り組みを進めています。データヘルス計画の標準化に期待する効果と課題については、左側に期待する効果が示されており「市町村間の比較が容易になる」が最も多く、次いで「成果を高めるための方法・体制の検討に役立てられる」が多くなっています。右側に標準化を推進する上での課題が示されており「市町村が独自の抽出基準や評価基準を使用しているため、標準化を求める説明が困難」が最も多く、次いで「市町村が使用している独自の抽出基準や評価基準について使用の妥当性に関して判断が困難」が多く挙げられておりました。
14ページでございます。データヘルス計画の評価指標においては、共通評価指標以外にも、広域連合が独自の評価指標を設定して差し支えないとされております。共通評価指標に加え、別の評価指標を使用している広域連合は18広域あり、内訳としてはこちらのスライドの通りでございます。
15ページでございます。データヘルス計画の策定にあたり、市町村に対し行う取り組みとして、広域連合からは広域連合が開催するセミナー・研修会の機会の周知・出席依頼が最も多く挙げられておりました。その他、市町村との直接対話や広域連合による市町村の健康課題の分析が多く挙げられてございます。
16ページでございます。第3期データヘルス計画策定にあたり、広域連合から市町村に対して市町村への説明状況を示しております。データヘルス計画の方針や概要の説明は、一体的実施を受託中の76%の市町村に対して実施されており、未実施市町村については55%に説明がなされております。広域連合からデータヘルス計画に基づく事業実施の支援について、840(48%)市町村が受けていると回答があり、その支援内容は「共通評価指標の提示」が最も多く、次いで、国データと広域連合の比較、市町村別の健康課題の提示でございました。
17ページは第3期データヘルス計画策定における他計画との整合性等を鑑みた取組・支援として左側に広域連合での取組、右側に都道府県の支援をまとめております。広域連合においては、「有識者から情報や助言を得る」が最も多く、次いで「必要なタイミングで広域連合から都道府県関係者及び構成市町村関係者に情報提供」が挙げられておりました。一方で、都道府県からの支援内容としては、「保健事業支援・評価委員会での助言」、「計画案に対する広域連合との意見交換」「健康増進計画・医療費適正化計画等との関連項目の整理」が多く挙げられておりました。
18ページでは、医療機関からの診療情報を健康診査の結果として活用する取組、いわゆるみなし健診についての調査結果でございます。後期高齢者の診療情報を健康結果として活用する取組を実施しているのは、10広域でございます。取組を実施している広域連合の取組内容として最も多かったのは「診療情報を健康診査の結果として活用する場合の手順を市町村に提示」でございます。実施していない場合の理由としては、主に「関係団体・医療機関との調整が困難」・「経費の調整が困難」などが挙げられております。
19ページでございます。都道府県による広域連合・市町村への支援の状況です。左に市町村が都道府県から今後受けたい支援を、右側に都道府県による取り組みをまとめております。市町村では、都道府県から今後受けたい支援として、「一体的実施に関する国の動きの情報提供、セミナー等」が最も多く、次いで「地域の課題分析手法に関するマニュアル提供、セミナー等」、「保健事業の実施に関する技術的助言・相談」が多くなっております。
都道府県による支援の取り組みとして最も多かったものは「特別調整交付金の実施計画書、実施報告書に関する支援・審査」でした。次いで「市町村及び広域連合に、一体的実施に係る事例等の情報提供」、「広域連合や国保連合会との連携により、市町村支援の体制を構築」が多く実施されております。
20ページでございます。都道府県が実施する一体的な実施の円滑な推進に向けた支援実施にむけた取組の例をお示ししております。地域の健康課題の分析、市町村における保健事業の取組状況等の整理・把握・分析・共有、医療関係団体等との連携、国保から後期への移行、一体的実施の事業評価、保健所等の専門職の活用・人材確保の支援について、様々な取組を実施いただいております。
21ページでございます。医療費適正化についての基本方針に、「高齢者の心身機能の低下等に起因した疾病予防・介護予防に関する目標 」が記載されたことを踏まえ、第4期医療費適正化計画に盛り込んでいる事項を都道府県に調査したところでございます。高齢者の保健事業の推進に向け、「好事例の横展開」「専門的見地等からの支援」「事業の取組結果に対する評価・分析」が多く挙げられております。
22ページでございます。都道府県の第3期データヘルス計画への関与について示しています。関与している都道府県は42であり、広域連合への支援内容としては、「保健事業支援・評価委員での助言」が最も多く、次いで「計画案に対する広域連合との意見交換」、「健康増進計画・医療費適正化計画等との関連項目の整理」が多くなっています。
23ページでございます。広域連合と関係団体の皆様との連携状況を経年的にみると、医師会、歯科医師会、薬剤師会、看護協会、栄養士会、医療機関、外部有識者との連携が経年的に増加しております。
24ページでございます。広域連合と関係機関との連携においては、研修の実施や広報等を通じての情報共有や協力依頼を行い、各事業への参画を推進しております。各関係団体との取組内容、連携状況は記載のとおりでございます。
25ページでございます。広域連合から市町村への働きかけ・支援についてまとめたスライドとなっております。左に市町村のニーズを、右側に広域連合が実施する支援についてまとめております。市町村が広域連合から今後受けたい支援として、「広域連合が開催するセミナー・研修会」が最も多く、次いで「課題分析、実施方法等に関する助言や指導」、「特別調整交付金の申請に関わる支援」が多くなっております。右側、広域連合による市町村への働きかけ・支援の取組としては、「一体的実施に関する研修会や意見交換会の開催」が最も多く、次いで「計画書の作成支援」、「契約手続き支援」が多くなってございます。
26ページでございます。広域連合のセミナー・研修会等で有効だったテーマをまとめています。左が市町村の回答で、「一体的実施に関する国の動き・制度」が最も多く、次いで「広域連合及び市町村による事例報告」、「高齢者の保健事業の実施におけるKDBシステムの活用」が多くなっています。右側に研修会の内容を示しており、ニーズに沿った研修が提供されていることがわかります。
27ページでございます。専門職不足の対応の1案として、ICTの活用があると考えられ、ICTの活用状況について調査しております。市町村の活用状況はハイリスク・ポピュレーションともに13%で、保健事業実施に当たり、ICT機器を活用した支援をしている広域連合は21%でございます。下の吹き出しに例をお示ししており、アプリケーションの活用やオンライン面談の実施、ウェアラブル端末の活用、ウェブコンテンツ配信などが挙げられております。
28ページでございます。一体的実施による効果を広域連合にお尋ねした結果でございます。「高齢者の保健事業を実施するうえでの市町村との連携ができるようになった」が最も多く挙がっており、次いで「広域連合として、市町村の課題把握ができるようになった」が挙げられております。
29ページでございます。こちらは市町村にお尋ねした一体的実施による効果でございます。最も多い回答は「高齢者の保健事業に取り組む体制構築につながった」が、挙げられており、次いで「健康課題が明確化した」「高齢者の健康状態や生活機能の課題をより把握できるようになった」「高齢者の保健事業を実施するうえでの後期高齢者医療広域連合との連携ができるようになった」「高齢者への個別的な支援が充実した」などが挙げられております。
30ページでございます。一体的実施の評価の実施状況についてお示ししています。評価を行っている広域連合は21件45%で、評価を行う予定の広域連合は17件36%でございます。具体的な評価方法は「取組状況と成果」、「健診データの変化」、「医療費の変化」が多く挙げられております。
31ページでございます。一体的実施を取り組む上での広域連合の課題として「市町村における専門職等の人員体制の確保への支援が困難」が最も多く挙げられております。
32ページでございます。
続いて、広域連合が市町村を支援する上での課題においても、「医療専門職不足への対応」が最も多くなっており、「市町村毎に取組が異なる等による評価の困難さ」「費用対効果を踏まえた事業評価の困難さ」といった評価に関する項目「市町村の負担軽減の方法」「市町村への助言・支援の充実」「広域連合としての質向上に向けた取組」、などが多く挙げられております。これらを踏まえ、国でも引き続きできうる支援を検討して参ります。
以上が令和5年度一体的実施実施状況調査から速報として一部ご報告させていただきました。年度末には、報告書としてとりまとめHPで公表予定でございます。
33ページに実施状況調査から見えた課題を左にまとめ、対応を右にまとめてございます。
左側の課題においては、黒字は継続課題で、医療専門職の不足や関係団体との連携、KDB活用などが継続的な課題でございます。赤字が今年度新たに見えてきた課題でございまして、広域連合においては、実施市町村数の増加に伴い、計画書・報告書の確認作業の負担、実施市町村の事業評価・支援の方法、他広域連合の取り組み状況についての情報不足が挙げられております。右側の対応について赤字部分は、今年度主に取り組んだ内容で、詳細は上3つの項目は資料2で詳細ご説明申し上げます。4つ目の標準化に向けた事業のあり方の整備、5つ目外部関係団体との連携については、夏のあり方検討ワーキングで各団体の皆様に事例集をお寄せいただき、秋の研修会で市町村に対して情報提供を行いました。以上が資料1のご説明となります。
○津下座長 はい、ありがとうございました。今、資料1に基づきまして、令和5年度の一体的実施の実施状況の調査結果を主にご報告いただきました。進捗状況それから
質問等や保健事業の実施状況、KDBの活用状況とその課題、それからデータヘルス計画、それからみなし健診の扱い、それから都道府県からの支援や関係団体との連携、それから研修会、ICT活用、それから効果分析評価ということで、全体像を網羅するようなご説明をいただいたと思っております。
ただいまのご説明に対して、ご質問、ご意見等をいただきたいと思いますので、まずどなたからでもいいですから、お願いできればと思います。いかがでしょうか。鈴木先生、お願いいたします。
○鈴木構成員 ありがとうございます。市町村、広域連合、それから都道府県でどういう点でいろいろ課題があるのかとか、どういう点がまた達成されたかというのを非常によくきちんと調査いただいたということで聞いておりました。その中でですね、例えば19ページの方で見ますと、市町村が都道府県に今後受けたい支援という中で一番多いのは、一体的実施に関する国の動きの情報提供、セミナー等となっております。ところがですね。市町村の視点で言いますと、同じように25ページで見ると、まあその中には受けたい支援というのは特にないんですけれども、一方で、26ページを見ると、広域連合のセミナー研修会等で有効だったテーマの中にその「一体的な実施に関する国の動き・制度」っていうものを教えていただいてありがたかったというようなことが並んでるんですね。
私の質問の意味はですね、この各市町村が国の動きっていうのを一体どこからどういう風に入手ができるかということ。一方で、都道府県に対しては国の動向を教えてくれっていうニーズがすごく強くて、広域連合については国の動向をちゃんとセミナーで言ってくれたから嬉しかったと、非常にありがたかったという評価報告が出ているんですね。そして一番最後の今回の取りまとめを見ると、市町村の側に立つとその国の動向っていうのが都道府県に対するニーズが高いにもかかわらず、言ってみれば国の動向に関してはちょっとあまりよく書かれていないと、市町村と国の間の関係性ですね。
なので、多分市町村っていうのは国の動向というのはやっぱりすごく気になってると思うのですけれど、一体市町村はどういうルートで、例えばこういう、今回のワーキングの動向とか、そういった情報をどういった形でこうリアルタイム的にうまく取り入れているのかっていうところがちょっとよくわからなかったものですから、質問をさせていただきます。本来であればどこがどういう形で都道府県にこの動きを伝えるべきなのかというあたりも含めて、もし教えていただけるならと思いました。以上です。
○津下座長 はい、ありがとうございました。事務局から何かコメントありますか。
○事務局 はい、ご質問ありがとうございます。国から市町村への情報提供の場面は何回か機会がありまして、まず一つは全国担当課長会議のような形で保険局高齢者医療課として進めている保健事業についてご説明する機会というのが毎年3月に行われております。それ以外に中央会様と共催という形で市町村向けの研修会というのが例年11月に行われております。また、広域連合、国保連、都道府県に対しての支援者向け研修会というのがこちらも中央会様と共催で、例年6月に開催されております。
様々私ども広域連合や連合会や都道府県の皆様にはお伝えする機会がありますが、直接市町村の皆様にお話しするという機会は少ない状況です。都道府県・広域連合により市町村に対しての研修会等が開催されているという実情がございます。それは広域連合が市町村に本事業を委託するという形で進められておりますので、広域連合が委託元として委託先である市町村に対して、わが広域においてはこういう方針で今年度進めるというようなご説明をいただいているものと思います。
○鈴木構成員 ありがとうございます。そうすると、この市町村さんが都道府県に対して今後受けたい支援の中に1700のうち約1200の市町村が、言ってみれば、国の動きの情報提供してくれって言ってるわけですので、何かやっぱりちょっとその市町村と都道府県の間でのその辺の情報がうまくいってないとか、あるいは市町村さんのニーズが非常にそういうところに強いのかなという風にも、思ったものですから、あの、そういう考え方でよろしいでしょうか?そういう見方っていうか、解釈でよろしいでしょうかね。
○事務局 先生ありがとうございます。本事業において一つ大きな特徴としては、健康増進部門・医療保険部門・介護予防部門と市町村においても複数の部門が関与しているということと、都道府県においても同じ状況でして、健康増進部門・医療保険部門・介護予防部門とが関与しています。それぞれ本来であれば介護予防部門の都道府県担当から市町村担当へ、健康増進部門の都道府県担当から市町村担当へ、医療保険の都道府県担当から市町村担当へという形で情報伝達が行われるのですが、一体的実施となるとかなり広範囲の連携が必要になるというところが、一つ課題としてあるのかなと思っています。医療保険での取り組みや検討も介護予防部門に連携していただく必要がありますし、健康増進部門の内容も介護予防部門や医療保険部門と共有していただくというような形の情報共有が必要になるかと思っています。
○鈴木構成員 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
○津下座長 ありがとうございました。貴重なご発言とコメントだったと思います。情報伝達について、都道府県として関係課が集まり、一度一体的に把握していただいて市町村関係課に伝えることがあればいいかもしれないんですけど、担当課の縦のラインだけで情報が流れてしまうと介護保険の部門とかに直接情報が伝わらない自治体もあろうかなと思います。ただ最近は、オンラインで研修会がなされています。かなり市町村では研修会に複数課で出席されているので、オンラインの普及というのも非常に情報伝達の上では有効な手段になっているという実感を持っています。都道府県の研修においては、主体的に市町村の意見を吸いあげて研修会を企画されていると一通りの伝達講習になっているところがあろうかなと思います。そのあたりで若干温度差があるのかなというところが私自身も感じているところになります。ご質問ありがとうございました。
○鈴木構成員 ありがとうございました。
○津下座長 ほかにいかがでしょうか。もしよろしければデータヘルス計画等を策定する実施主体ということもありますので広域連合を代表しまして、徳島県広域連合の川原様にこの実施状況についてご意見をいただければと思いますが、よろしくお願いいたします。
○川原構成員 徳島県広域連合の川原でございます。いつもお世話になっております。今回、一体的実施の進捗状況につきまして今ご説明いただきましたけれども、私ども徳島県広域連合を含めまして全広域連合におきまして懸命に全圏域で一体的実施ができるよう準備作業を進めておるところでございます。先ほどご紹介ありましたように困難な部分もございますけれども、まずはしっかり予定の通り実施ができるように懸命に準備を進めておるところでございますので、その分これまでに引き続きましてご指導や、ご支援を賜りたいと考えております。以上でございます。
○津下座長 ありがとうございました。進捗状況の表を見ると、だんだん赤いところが減って、青いところが増えてくるということで、関係者の方のご尽力が非常に大きかったかなというふうにも思います。どうもありがとうございます。それでは高知県高知市の水野様、進捗状況等いただけますでしょうか?
○水野構成員 はい、高知市の水野と申します。いつもお世話になっております。
高知市としましては、健康状態不明者の訪問等々やっておりまして、面会率ですが約65%ということで、不在の場合は3回ほど訪問しまして何とか訪問して会えるように努力を努めておるところです。先ほどの説明の中にもありましたが、課題としましてはやはり保健師ですとか管理栄養士等の専門職の人員が限られておりますことからなかなかこれ以上広げていく余力がないというようなところでして、そういったところの人材不足がありますので、今後効率的、効果的な業務の取り組みというのが課題となっていくかと感じております。以上になります。
○津下座長 ありがとうございました。健康状態不明者という今までにない新たな保健事業のタイプになると思います。医療介護健診のデータをすべて合わせていくと健康状態がわからない人が浮き上がってくると。そこに対するアプローチというのは今までできなかった。健診に来ない人の状況はわからなかったんですけど、そこに対して保険者として関わっていただくという新しい事業について取組と課題をご説明いただきました。毎年同じような状況にある方もいるし、また非常に状況が悪くて不明の方とまたは健康に自信があり過ぎて不明の方と両方あるので、効率的な運営が課題ということを受け止めました。ありがとうございます。そうしましたら福島県塙町の遠藤様いかがでしょうか。
○遠藤構成員 福島県塙町です。よろしくお願いします。我々は小規模自治体でございまして、それでも令和2年度から取り組みの方はさせていただいております。この実施状況等から見えた課題そのままではございますけれども、地域を担当する医療専門職としては保健師を、企画調整を行う医療専門職としては管理栄養士を担当とさせていただいております。
ポピュレーションアプローチといたしましては、通いの場ということで取り組み区分としては健康教育とか健康相談をさせていただいておりまして小規模ではありますが43地区で今実施をしています。スケジュール的なものは、うちの方の町は9月10月ぐらいが町の健診でございまして、6月7月ぐらいに通いの場に出向いて受診勧奨とか、町の健康課題を踏まえた健康教室などを行って、ここで第1回の質問票聞き取りを行っております。9月10月ぐらいになって健診会場とか通いの場で第2回の質問票聞き取りを行って個人ごとに評価を行っているところでございます。連携体制といたしましては、保健事業部、介護部門、社会福祉協議会とか包括支援センター、あと地元の保健師さんと連携して取り組んでおります。課題としましては、対象者の抽出基準であったり、選定方法の決定とかがちょっと対象者が多すぎたり、少なかったりするのでその辺かなというところもありまして、あとは目標・評価指標の設定でどこまで達成できればいいのかなっていうところもちょっと課題かなというふうに思っております。以上でございます。
○津下座長 ありがとうございました。地域ぐるみで様々な関係者と一緒に取り組んでいるということや、質問票については健診だけではなく通いの場などでも活用いただいて高齢者のフレイル状態の確認をしていること、保健事業等につなぐというような事業を丁寧に実施されているということでした。対象者の抽出や評価がもっと簡単に、効率的にできるといいのかなという、全国的な悩みと共通する部分があるというお話をいただきました。ありがとうございました。他の委員からいかがでしょうか。今の課題やその解決に向けて、もしくは先ほどの進捗状況についてのご質問等がある構成員については挙手をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。田中和美先生お願いします。
○田中構成員 ありがとうございます。もしわかればでよろしいんですが、標準化を進めていくということは今後すごく重要なことだと思うんですが、その中の一環につながるのかなとも思うんですが、スライドの番号で言いますとP.12のスライドですね。KDBの支援ツールの活用状況というところ、円グラフのものなんですが。わかればでいいんですが、「使う予定がない」とか例えば「未定」というふうなところがですね、15%以上2割近くあったりするんですけれども、その次のスライドとはちょっと意味合いが違うとは思うんですけれども標準化で独自に何かをこう決めていると、これは広域連合の方の表ではあるんですけれども、市町村の方が独自に何かを決めているので、なかなか比較することが容易でないみたいなこともここに書かれてあるんですけれども、P.12のスライドの円グラフでは「使う予定がない」とか「未定」のこの市町ですね、
ここにそういう標準的なものがなかなか独自のものを設定しているっていうそういう相関みたいなものっていうのはあるんでしょうか。ちょっとそこが知りたいなと思いまして、もしわかれば教えていただければと思います。
○事務局 はい、事務局でございます。KDB活用支援ツールについては、令和3年度に研究班からご提案をいただいて中央会に開発していただいたものになります。本事業は令和2年からスタートしておりまして、ツールの開発以前から実施されていたようなところは、独自の抽出基準や独自のシステム等をお使いになっていらっしゃったということは承知しております。したがって従来のものから今回の活用支援ツールへ移行していないというところも、ある程度存在するのかなと思います。一方で、次年度から一体的実施の実施計画書の様式を変更いたしまして本ツールを用いて、ハイリスク者数がどれだけいるのかということを書いていただくように様式変更しておりますので、使う予定はないとか未定と今回お答えいただいている市町村の皆様にも一旦はまず使っていただいてハイリスク者人数を記載いただき、広域連合様にご提出いただき、広域連合では同じものさしで市町村間の比較が可能になる予定でござます。
○津下座長 はい、よろしいでしょうか、田中先生。
○田中構成員 ありがとうございます。
○津下座長 KDBをこの事業に使っていない自治体もまだ実際にはあったり、それは別の情報を活用したりとかというようなこともあって、現状こういうような状況になっているようです。本当に必要な対象者をカバーできているかという評価をしていなかったり、それから保健事業のうちの一部だけ実施してますという自治体も多かったわけですけれど、だんだん制度的にも整理されつつあるので、現状はその過渡期的な状況ではないかなと思います。また一体的実施KDB活用支援ツールは抽出してcsvは出るんですけど、そこからの加工が必要だったということもあって少しKDBに慣れてないとかExcelデータの取り扱いに慣れてないと難しいということも問題でした。そこで新たに令和6年度からは実践支援ツールというより整理した形で示すことができるようにツールを全国で使ってもらえる形になりますので、もうちょっと前向きに使っていただけるといいのかなと私自身も感じているところです。ありがとうございました。それでは石崎構成員、お願いします。
○石崎構成員 ありがとうございます。先ほどの田中先生のご質問とも関係するんですが、この一体的実施活用支援ツールの活用のこの集計の仕方、1741のすべての市町村の回答なんですが、そのうち300近くはまだツールの活用をしていないところがあるわけです。ここの集計の場合は実際に行っているもしくは令和5年度から実施する予定があるんだけれども使っているか使っていないかというふうに絞り込まないとですね、実施していない自治体さんは未定になってしまうと思いますし、この実態が明らかになりにくいかなということがありまして、質問票の仕様に関しても同じことが言えて質問票本当にあの30ちょっとの自治体が使っていないんですけれどもそこもなぜ使わないのか、もしこれらの質問を使わない場合にこの一体的実施のハイリスクアプローチを実践するうえでどんな問題が起こるかどうかというところも見ていく必要があるかなと思いました。以上です。 
○津下座長 はい、ありがとうございます。今後も普及に努めていくということと、実際の活用事例の中でどうやって活用していくかということも広めていくことが重要かなと思いました。ありがとうございました、よろしいでしょうか。はい、他にいかがでしょうか。看護協会の宮崎構成員、お願いいたします。
○宮崎構成員 ありがとうございます。たくさんのデータで状況がわかるように見せていただいてありがとうございます。私たち日本看護協会としてはこの資料のデータに関して少しお伝えした方がいいと思っているのが、P.23の関係機関別の連携状況というのが出ているかと思います。先ほどもご説明の中で経年的に増えてきているということは、お伝えいただいている状況でもありますし看護協会のその数も増えてはきている。しかし、まだ令和5年度の状況では11と少しこれは少ない状況かなと認識をしている次第です。ただこの連携状況だけではないところでこの事業が定着してきている背景もあってか、実態としては増えてきていると認識をしておりまして、私たちも地域での看護の機能の強化を現在は進めているところですが、様々な地域で看護師が活動の場を広げていることは実感として持っています。この一体的実施に関する取り組みに関しては、市町村の保健師が企画の段階から住民を巻き込みながら取り組んで地域の特徴に応じてオンラインでのフレイル予防をしたり、自治体での活動経験をもつ保健師の方が引退され新たな組織を皆さんと作られて、そこを基盤に高齢者の健康づくりの訪問事業をハイリスク者の重症化予防につなげて、通いの場を利用して高齢者の健康相談を行ったりというような事例を把握しております。活動そのものとしては広がってきているのはないかと思っています。ただ具体的な地域の状況というのはやはり日本看護協会というよりは県協会が把握している状況でもございますので、看護職は地域の実態をとらえてポピュレーションアプローチ・ハイリスクアプローチ両方に力を発揮できると思っているので、ぜひ看護協会にそういう看護職の活用というところについてはお声がけをいただけるとより広がっていくきっかけがつかめていけるのかなと思いました。
○津下座長 ありがとうございました。保健事業の要にいる専門職として保健師看護職の皆様たいへんご尽力されています。マンパワー不足を多くの自治体が挙げている中で、マンパワーの確保にあたってはご苦労もあると思いますし、さらに連携が深まっていくといいのかなと私は思うのですが、事務局からは何かコメントありますでしょうか。
○事務局 ご意見いただきありがとうございます。今回全てをご紹介できていないのですが、実施状況調査の中では一体実施に関与いただく専門職について職種別にまとめているページがございまして、保健師においては1475の市町村で企画調整担当としてご尽力いただいているという調査結果でございます。他職種を比較しても、最も多く保健師さんに企画調整を担っていただいているという状況でございます。地域担当においてはもう少し幅広く複数職種で担当されていますが、そこでも保健師さんが訪問指導等中心的にご活躍いただいているという状況でございます。引き続きのご支援等どうぞよろしくお願いいたします。
○津下座長 ありがとうございます。企画調整を担当される保健師さんなど専門職も結構いろいろ悩みというか課題感を抱えていらっしゃると思います。自治体を超えての意見交換の場を設定していただいたり、研修会のテーマで一体的実施を取り上げていただけるとよいかなと思います。看護師・保健師さんについては、健康増進機関とそれから地域の医療機関や介護施設でお勤めの方々など、行政だけではない横の広がりで看護協会さん関わりを持てるという強みがあるのかなというふうに思います。座長としてはまたこれをさらにテーマとして取り上げていただくことや、それからリタイアされた保健師さんは高齢者にとってはちょっと年齢的に近くて自分の悩みをわかっていただけるという良さもありますので、そのあたりの方々の活用とか、様々な点で今後ともよろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。それでは、栄養士会の西村構成員、お願いいたします。
○西村構成員 栄養士会の西村でございます。同じくP.23のところで栄養士会としましてもまだ20ぐらい連携ができてないということもございますのでこちらの方を進めたいというところで、もし可能であればこれはちょっとお願いなんですけども20のまだ連携ができてないところの都道府県を是非教えていただければと思います。それともう一つですが、やはりP.6のところでですね。現状、もうかなり全体でも取り組みがすでに始まっているところそれからこれからというところで赤い箇所がだいぶ減ってきているんですけども、私は東京都の栄養士会の会長もしております関係上、東京都は5つ離島になりますので、離島に関しましてひとつ今年度から大島のすぐ隣にあります人口300人の利島村の方で我々ちょっと介入させていただくということが決まっておりまして、これをできれば他の伊豆七島のところに横展開できて、この赤がなくなるように少しアプローチをかけていきたいなというふうに考えておるところでございますので、一応皆様にその部分に関してはちょっとお報せをさせていただきます。以上でございます。
○津下座長 ありがとうございました。先ほどあの連携が取れてない自治体についてとか、離島の話が出ましたけど事務局からいかがでしょうか。
○事務局 報告書ができましたらまたご報告させていただきたいと思います。離島の支援については引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
○西村構成員 はい、よろしくお願いいたします。
○津下座長 あの、ちょっとお伺いしたいのは離島の支援というのは栄養士会さんが中心となって進めていらっしゃるプロジェクトと考えていいのですか。
○西村構成員 はい、そうですね。島の方々とですね。今ポピュレーションアプローチとハイリスクアプローチを実はこの高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施以外で総合事業として実は取り組んでいたところがありましたので、それをぜひこの一体的実施の方に今後展開して結びつけていただければというふうに、あの利島村とは一応村長さんも含めて実は、そういう話し合いができておりまして、その後のフォローもウェブ等を使って今フォローができますので、そういう方式で一つモデル的にやらせていただき、その後やはり他の離島の方に横展開できればという風に今取り組みを始めたところでございます。
○津下座長 はい、ありがとうございました。貴重な事例となりますので、またぜひあの公表等をよろしくお願いできればと思います。それでは薬剤師会の村杉先生、よろしくお願いいたします。
○村杉構成員 日本薬剤師会の村杉でございます。この度は毎回ではございますけれども、多くの調査票などわかりやすく取りまとめいただきましてありがとうございました。私の方からちょっと二点、一点は一緒にこういうようなこと検討できないかなって思うようなところと、あともう一点はお伝えしたいことということで、簡単にお話しさせていただきます。資料の方はまず23ページでございますが、薬剤師会も含めてですけれども、関係機関の連携状況というところが経年的に増加しているのはこれはもう関係者の皆様方のご理解とご協力の賜物かなと思ってここは非常に嬉しく思っております。少なくなるところがない、皆さんの意識が高いっていうところかと思います。今回、薬剤師会といたしましても、先ほども宮崎構成員からもお話ございましたけれども、薬剤師会といたしましても、企画の段階から主に市町村の保健師とともに企画調整の段階から関与するようなことが結構件数としても増えてきているようにお伺いをしているところでございます。ただ、全体の課題としていまだにやはり医療専門職の確保というところが多く見られているというところについては連携はできているけれども実行的に連携の成果としてというか専門職の具体的な確保に課題があるというところが示されているところだと思っております。このあたり個別に解決をしていくということは、それぞれの市町村の考え方であったりとか課題の内容によって異なってまいりますので、これをすれば一気通貫に解決できるというような夢のようなことはないわけではございますが、一つ今回といたしましても服薬に関するところですとか、また後発医薬品もそうですし、あと重症化予防とか健康状態不明者というところで関わっている領域もあろうかと思います。できているところともう少しここまで対応してほしいなというようなところですとか、こういうような内容までご提供いただけると良いなっていうようなさらなる支援、進めていくためにこういうような関係機関に対してよりポジティブな情報提供をいただけるとありがたいなと思いました。これが一点でございます。それからもう一点ちょっとお伝えしたいことにつきましては、資料の9ページのところでございます。左側のハイリスクアプローチの実施項目というところで服薬に関わる相談指導というところの割合が少し少ないなというような印象を私も受けてございました。もしかすると隣などの他の実施項目の中に含まれている内容もあるかとは思いますが、まず薬剤師会や地域の薬局資源といたしましては生活圏域の中に常に専門職がだいたい9時から18時とか地方によっては20時ぐらいまでずっと窓口を開けて対応してございますので、そこの中には健康サポート薬局の研修修了者もおります。この研修修了者はすでに研鑽を積んでおりますので、そのような薬剤師を活用することであったりですとか場合によっては市町村の取り組みに応じて必要な資質を備えている薬剤師を特別調整交付金の活用を通じて要請して、その市町村で活用するなどの発信ができると、この辺のところを課題に感じておられる市町村の支援につながるのではないかなというふうに思います。それに合わせてですけれども、ハイリスクアプローチその服薬に関する相談だけではなくて、ちょっと難しいこととは承知はしているのですがマイナポータルの活用などが推進されてまいりますので、薬剤情報ですとか健診情報をハイリスクアプローチのところで活用できる仕組みについて厚生労働省・デジタル庁・総務省などでまた前向きな検討をいただけると良いのかなと思いました。以上でございます。
○津下座長 はい、ありがとうございました。いくつかご意見もあったと思いますけど、いかがでしょうか。
○事務局 ご意見ありがとうございました。まず一点目。各広域連合・市町村と関係団体との皆様との連携事例については、当課としてもお示しして横展開を図っていきたいと考えています。今回は24ページに広域連合と各関係団体との連携状況等をお示ししておりますが、実施状況調査の中では市町村と各関係団体様との連携状況等も調査しておりまして、報告書の中でご報告をさせていただく予定でございます。こういった事例を研修会などでも資料として共有し、取り組み状況や成果、アウトプットやアウトカムが出ているようなところを今後広く周知できたらと考えています。また二点目の服薬指導のハイリスクアプローチの実施に関しましては後にご説明いたします「高齢者の保健事業のガイドライン第3版」の方で服薬指導について先ほど先生からご指摘いただきましたマイナポータルの活用なども新たに追記してございます。地域の薬剤師会の皆様が本事業にご参画いただく際のご参考にもしていただけると考えておりますので、ぜひ薬剤師会会員様の中で健康サポート薬局の中でも保健事業についてのご理解をいただきご支援を賜りたいと考えてございます。なかなか行政の中には薬剤師が配置されていないので、地域の薬剤師の皆様にご支援をいただく必要があると考えております。
○村杉構成員 ありがとうございます。また、健康サポート薬局については少しずつですけれども増えてございまして、ただ増えておりましても健康サポート薬局の研修を終了している人っていうのはそれよりもかなりの数がおりますので、また市町村の方にも情報提供いただいてご活用いただけるような流れを作っていただけるとありがたいなと思います。以上、ありがとうございました。
○津下座長 ありがとうございました。研究班で多剤の方の数とか、それから後で報告しますけども睡眠薬を飲まれていて転倒した経験がある方はかなり多い状況になっておりますので、服薬に関する相談指導の実績が今後高まっていくことを期待されていると思いますのでよろしくお願いいたします。それでは、国民健康保険中央会の池田構成員、お願いいたします。
○池田構成員 池田でございます。ありがとうございます。ちょっと一点教えていただきたいんですけれども23ページの関係機関別の連携状況の表でございますけれども、この中で一番右の「その他」という項目がございますが、その他に入っている機関団体というものをもし分かりましたら参考までに教えていただきたいと思っております。よろしくお願い致します。
○事務局 ご質問ありがとうございます。「その他」については、社会福祉協議会、ケアマネージャー協会、糖尿病対策推進会議などが挙げられております。
○池田構成員 わかりました。ありがとうございました。
○津下座長 ありがとうございました。ご質問、議題1に関してはここまでということでよろしいでしょうか。日本医師会の坂本構成員何かご意見等ございますでしょうか。
○坂本構成員 坂本です。ご丁寧なご説明ありがとうございます。全体を通して保健師さん管理栄養士さんも人材確保がどこの地区も特に人口の少ない地区は余計に難しいと思っております。私の地元でもその保健師さん管理栄養士さん専門職だけじゃなくて、行政の方、担当の方も非常に少なくて一人でいくつもの事業を抱えられていて、糖尿病腎症重症化予防事業から何から何まで抱えられてて、非常に行政の方のマンパワーもなんとかしないといけないというのを感じております。KDBデータに関しましてもそれの活用とありましたけれども、活用いたしましても受診中の方あるいは中断している方から、特に小さな専門家のいない行政ではその辺を分析して抽出してハイリスクの方を見つけ出すのは難しいのかなということ。もう一点は以前から申し上げているのですが、質問票も通いの場や健診ということでございますが、一番問題なのは医療も受けていない通いの場にも来られていない住民の方にハイリスクの方が多くいらっしゃるのではないかということが気になっています。以上です。
○津下座長 はい、ありがとうございました。貴重なご意見いただいた思っておりますので、また今後につなげていただくようよろしくお願いいたします。それでは次の議題に移っていきたいと思います。その他ということですけれども、資料2について事務局よりご説明をお願いいたします。
○事務局 はい。続きまして、資料2についてご説明申し上げます。表紙に記載してございます通り「高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドラインの改定について」「糖尿病性腎症重症化予防プログラムの改定について」「データヘルスの進捗」「特別調整交付金交付基準の変更について」「保険者インセンティブについて」「その他」についてご報告申し上げます。1ページでございます。
今年度、高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドライン第3版を策定しております。これまで公表している高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドライン第2版とガイドライン第2版(補足版)を統合し、一体的実施の進捗状況や、データヘルス計画策定の手引きの改定、厚生労働科学研究の成果等を踏まえ、有識者及び実務者からなる検討会議にてガイドライン改定案をお示ししたところでございます。お手元の資料、参考資料1に暫定版としてお示ししてございます。見直しの観点は3つございまして、1つ目は、データヘルス計画との整合と保健事業のさらなる推進でございます。右列に改定の方向性をまとめてございます。1ぽつ目第3期データヘルス画策定の手引きで示した標準化の意義、広域連合の役割を示しています。2ぽつ目共通評価指標(アウトプット、アウトカム)を示しています。3ぽつ目 KDB活用支援ツールの活用を推奨しております。続いて、2つ目の観点は一体的実施推進のための体制整備についてでございます。専門職不足等の課題に対応するため、右側にポイントをおまとめしております。1ぽつ目、一体的実施推進のための体制整備について整理し、好事例を紹介しています。2ぽつ目、広域連合、都道府県、保健所、市町村等役割を明確化しています。3ぽつ目、保健・医療・介護・福祉の関係機関等との連携、地域資源との連携の重要性や連携事例を提示しております。観点3つ目は、効果的な保健事業の実践についてでございます。右側ポイントといたしまして1ぽつ目、3年間の事業実施と、厚生労働科学研究で得られた知見や好事例を反映してございます。2ぽつ目、対象者抽出条件の提示と、適切な受診等への支援についての記載を充実させております。3ぽつ目、介護予防との連携を強化するため、ポピュレーションアプローチについて改めて重要性、意義、実践事例、評価指標をお示ししてございます。
2ページにガイドライン改定にあたって、有識者実務者からなる検討会議で検討し改定案を参考資料1としておまとめし、本日の本ワーキンググループでご報告の上、年度末にホームページで公表予定でございます。3ページにはガイドライン第3版の全体構成をお示ししています。総括編、実践編、事例編の3部構成となっており、大幅に追記した部分については、青字の下線でお示ししています。ガイドライン第2版が一体的実施を開始する以前に公表されたものでございましたので、第3版においては一体的実施を中心とした記載にしております。実践編では服薬や身体的フレイル、重症化予防、健康状態不明者、ポピュレーションアプローチなどの記載を充実させてございます。
4ページでございます。
資料1の33ページでお示しした課題を左側に、右側にガイドラインで対応した箇所についてお示ししてございます。専門職不足については、一つ目の枠で都道府県が実施する研修事例を掲載し、経験によらず関係する医療専門職が対応可能となるよう、データヘルス計画との関連性や広域連合と市町村の役割、各個別事業の実践方法について具体的に記載しております。評価が困難という課題に対しては、データヘルス計画における共通評価指標を提示し個別評価指標を例示しております。事業評価からその改善につなげるための方策方法についての記載を加えております。関係機関・関係団体との連携の課題に対しては、関係団体を含む関係者の役割についての記載を拡充してございます。KDB活用についての課題はKDB活用支援ツールの利用を想定した手順等をお示ししております。
広域連合の課題については、事業評価からその改善につなげる方法についての記載を充実させ、事例編でも広域連合の年間スケジュール事例をご紹介し、手引きにおける計画様式・評価指標の標準化についての記載を追加してございます。以上が保健事業ガイドライン第3版についてのご説明となります。本日の参考資料1は協議中の暫定版となりますが、所定の手続きを踏まえ、年度内の公表に向けて進めさせていただきたく存じます。
続きまして5ページからは糖尿病性腎症重症化予防プログラム改定案についてのご報告でございます。今年度、国民健康保険課と高齢者医療課で本プログラムの見直しを行いました。令和2年からの大規模実証、プログラム検討委員会でのご検討を踏まえ、重症化予防ワーキングでご報告し、3月末公表予定で進めているところでございます。ポイントは4つございまして、一つ目が対象者の年齢層を考慮した取組の推進ということで高齢者糖尿病診療ガイドライン等の公表を踏まえ、高齢者についての記述が追加されております。なお高齢者の保健事業実施にあたっては、高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドラインを参照し実施していただくことが示されております。二つ目は、関係者の連携に向けた役割の提示で、市町村、都道府県、広域連合、医師会等関係団体、国保連中央会の役割が示されております。
6ページでございます。ポイントの三つ目は、対象者抽出基準と対象者の状態に応じた介入方法の例示についてでございます。こちらは市町村国保での対象者についての記述となります。
7ページでございます。ポイント四つ目は市町村と都道府県が設定する評価指標例の提示でございます。以上が糖尿病性腎症重症化予防プログラムの改定ポイントでございまして、参考資料2で令和6年1月12日に実施した重症化予防(国保・後期広域)ワーキンググループにおける資料ですが、プログラム案をお示ししております。3月中には公表予定と聞いておりまして、具体的な手順等の内容については、別途糖尿病性腎症重症化予防事業実施の手引きを策定しており同じくプログラムと併せて年度内に公表予定で進めております。
8ページでございます。高齢者の重症化予防事業については、日本糖尿病学会、日本老年医学会から示されている高齢者糖尿病の血糖コントロール目標を踏まえ、一体的実施・KDB活用支援ツールを用いて、重症化予防の取組を進めていただくようお伝えしており、糖尿病性腎症重症化予防プログラムや、高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドラインに記載しています。
9ページでございます。こちらは研究班からご提示いただいた資料となりますが、今回保健事業ガイドラインにも追加を行っています。後期高齢者の質問票で評価したフレイル状態と要介護新規認定・介護給付費・医療費との関連性を検討したものになります。フレイル状態の高齢者では、年齢等の影響を加味しても要介護の新規認定者が多く、併存疾患が重なっている場合に最も高いハザード比でございました。フレイル状態の高齢者においては、要介護認定者が多く、年齢等の影響を加味しても、介護給付費・医療費が高く、重度ではさらに増加し、介護給付費で特に顕著であったという結果が示されております。フレイル予防の取組と、重症化予防の取組を合わせて実施していただくことが重要であることが示されてございます。
続きまして、10ページでございます。広域連合が策定する第3期データヘルス計画については令和6年度からスタートするものとして現在策定が進められております。
第3期データヘルス計画においては、標準化を推進し、総合的な評価指標としての共通評価指標の設定とともに、健康課題解決につながる計画を策定するための考え方のフレームとして、計画様式にて作成いただくこととしています。標準化を進めることで、計画策定や保健事業運営の負担が軽減されるだけでなく、共通の評価指標を用いることで広域連合間、広域連合内の市町村間の実績を比較可能とし、効果的な保健事業の方法や体制をパターン化することにより、事業効果を向上させるといったねらいがございます。
右側は東京大学未来ビジョン研究センターで示されている標準化の要素をまとめた図でございますが、こちらに示されているとおり、共通評価指標の設定により、客観的な評価を行い、アウトカム指標を見て、成果を上げる工夫。アウトプット指標を見て、実施率をあげる工夫を整理し方法や体制を見直すことで、成果・実施率の向上につなげることを可能といたします。標準化を進めることやアウトカムのKPIを設定することについては、政府全体の方針でも示されてございます。これまでは一体的実施を全市町村で実施するというフェーズでしたが令和6年度以降は、効率的・効果的な保健事業を実施し、アウトプットやアウトカムを高めるというフェーズに進みます。国としても、次年度以降もデータヘルス計画や、一体的実施の情報収集に努め事業検証等に取り組んでまいります。
11ページでございます。
こちらは、8月に発出しました高齢者保健事業実施等に関する指針の改正についてお示しています。こちらにも事業評価の項目について、共通評価指標をお示ししてございます。
12ページでございます。こちらも前回のワーキング資料の再掲となりますが、第3期データヘルス計画の評価指標等についてまとめており、左側の青い表が共通評価指標でございます。データヘルス計画を策定するにあたり、全広域連合に対して指標として評価をお願いしている項目となります。真ん中のピンク色の表は策定の際に確認にしていただくデータ例として、医療費や介護給付費をお示ししています。右側の緑色の表は個別事業の評価指標例として、作成しガイドライン等でお示ししてございます。
13ページでございます。健康寿命延伸のために必要な一体的実施の事業メニューとして以下の1から10までのメニューをお示ししております。この事業メニューの考え方について、後期高齢者のリスク等とともに整理したものになります。高齢者の保健事業として、厚生労働科学研究研究班から、こちらの表の10のメニューについて対応の必要性をご提示いただいており、ガイドライン等でもお示ししています。地域の特性やリソースに応じてその優先順位や対応の可否は異なると思いますが地域の実情に合わせてご検討いただき適切なハイリスク者の支援、事業実施に向けて進めていただくようお伝えしてまいります。
14ページでございます。
後期高齢者医療制度の保健事業についての財政支援についてまとめたスライドでございます。上段が、後期高齢者医療制度事業費補助金で、健康診査の経費、歯科健診の経費に係る財政支援についてまとめたものです。下段が特別調整交付金を活用した保健事業に係る経費でございまして、市町村に対して一体的実施、広域連合に対しては低栄養防止・重症化予防の取組等、市町村及び広域連合に対して長寿健康増進事業、広域連合に対して保険者インセンティブにて財政支援を行っております。15ページに今年度の特別調整交付金の交付基準の改正事項を示しています。
主に四つありまして、一つ目が先ほどご紹介した高齢者の保健事業の実施等に関する指針の一部改正の内容に合わせての取り組み区分の整理でございます。二つ目は、支援評価委員会の活用については、必須とはしないという整理でございます。三つ目は、市町村の委託事業費の算定方法の変更と様式の変更により、事務手続きの簡素化効率化を目指しています。四つ目は市町村が作成する計画書・報告書様式の改善と、集約ツールの活用により広域連合における一体的実施の進捗管理、事業評価をしやすいものに変更してございます。いずれも事務手続きの簡素化効率化標準化を目指した変更となります。
16ページでございます。一体的実施計画書、実績報告書の集計ツールの作成についてのご説明となります。毎年、市町村から広域連合を通じて国に提出されている一体的実施計画書、実績報告書の集計ツールを作成し、広域連合に対しご提供予定でございます。
広域連合が管内市町村の状況を把握し、進捗管理、事業評価に活用できるよう、市区町村から毎年提出される一体的実施計画書、及び実績報告書を集計できるツールを作成し、広域連合に提供するということと、市町村が記入しやすく、広域連合が状況把握、進捗管理、事業評価しやすくなるような集計ツール及び様式を提示いたします。一番右側の集約レポートについてはこのレポートを以て広域連合内が見える化することはできますので、こちらを用いて関係団体の皆様にご支援等お願いにあがるということを想定して作られたものでございます。
17ページでございます。保険者インセンティブについてのご報告となります。前回のワーキングでお示しした通りデータヘルスの推進、一体的実施の推進により、各指標の配点を見直ししてございます。指標については、広域連合の代表からなる実務者検討班会議における議論を踏まえ、前年度の実施状況を踏まえて見直しをしています。見直し案については、参考資料3にお示ししてございます。こちらも年度末予算成立後の発出を行う予定で所定の手続きを進めさせていただいております。
18ページでございます。令和6年度の予算においても横展開事業について予定をしています。具体的には、国保中央会による研修会の実施や、KDB二次加工ツールの充実、国保連合会による研修会や、市町村や広域連合に対するKDB活用支援のための経費でございます。事業実施にあたっては厚生労働科学研究研究班による事業検証やKDB二次加工ツールの検証等の研究成果を踏まえ、広域連合・市町村が事業実施するにあたり、業務の簡素化、標準化を進め、広域連合のPDCA支援、インセンティブの強化を進めてまいります。以上が資料2のご説明となります。
○津下座長 ありがとうございました。それでは今、資料2についてご説明いただきましたけれど、ちょっとそれを補完する意味で参考資料の4と5についてご説明を追加したいと思います。まず参考資料4ですけれど、これは私どもからご説明します。研究班で取り行ったことになりますけれども、研究班では二つの広域連合から保険者のデータをいただきましてKDB情報に搭載されている情報、質問票や健診データの入力状況またその回答状況などを分析しました。これは素集計になりますけれど、それを示しています。この約180万人の75歳以上のデータがございます。75歳以上84歳の区分また、85歳以上、それから男女に分けて、1ページ目は質問票の回答について悪い方の回答、問題がある回答の割合がどのぐらいあるのかということについて集計値を出したものにございます。
これを見ていただきますと、7番の以前に比べて歩く速度が遅くなったと回答をされている方が約60%ということで最も高く、そして運動ですね、9の質問ですけども、ウォーキング等の運動を週に一回以上していないという方が37.7%、そして85歳以上になると半数近くの方が週に一回の運動もできていない状況になっているということがわかります。一方、喫煙率については5%程度で、85歳以上の方のほうが喫煙率が低かったです。85歳以上になって健診時に質問票に答えている方となります。また、在宅で暮らしていらっしゃる高齢者の方はどなたかに相談する機会ですとか繋がりを持ちながら生活をされているというようなことがわかります。その他については、低栄養とか食事についても3食きちんと食べていない人は5%ということですので、食事にも一定の配慮をされながら暮らしているということがわかります。もちろんこれにも個人差はあり、悪い回答の方にどうしていくかということが必要になってくるかと思います。
続いて次の2ページでございます。これは先ほどからありました一体的実施活用支援ツールで、抽出した方々の割合を示しています。抽出条件については3ページに示していますが、例えば低栄養といいますと、BMIが20以下でかつ、高齢者の質問票でこの6か月以内に2、3キロの体重減少があった方がどの位いるかというと、75歳以上全体では3.4%
になります。これは質問票のある人を分母とした割合になりますけれども、85歳以上は75~84と比べてその割合が高くなってくるというようなかたちで見ていただければと思います。口腔についても質問票にある方で咀嚼機能、嚥下機能に該当し、かつ一年以内に歯科検診、歯科受診をしていないという方の割合は14%ということ、服薬については、レセプトで15剤以上ということを今回抽出しています。広域連合のデータは大変膨大でありまして、エクセル等で処理できるということも鑑みまして今回15剤以上で拾っておりますけれども、加入者全体を分母としたときに3.4%でありまして、人数的にはかなり多いことになります。質問票の回答率が1/3ですので、他の項目との比較を単純にいうと3倍していただくという、そのようなイメージになります。それから睡眠薬ですね。先ほど話題にもちょっとしましたけれども、睡眠薬を服用していて、そして転倒とかですね。睡眠薬処方の上、転倒または物忘れなどの認知機能の低下が疑われるという方については、かなり高率で7.6%、85歳以上の方に割合が多いということがわかります。身体的フレイルについてもこれは質問票のみで見ておりますけれども、質問票でフレイルに該当する方は20%、そして85歳以上で30%ということで、75歳から85歳にかけて急速にフレイルが進行している状況がわかります。重症化予防については4つの項目がありまして、受診糖尿病の治療データが悪くてA1c8%以上、または血圧が160の100以上で、未治療の方という割合は2.7%、そして、その中で75歳より若い世代の方が若干、有所見率が高いということになります。それから治療中断者は過去3年間に薬剤の処方があり、また最近処方が無いというような方を拾っておりまして、もちろんコントロール改善とか、高齢者の基準に合わせて処方がなくなったという方も含まれておりますので、ここから対象者を絞り込むということが必要なんですけど、6.2パーセント、それから、先ほどの研究班の飯島先生のデータでもありましたように、疾患とフレイルを合併している人がかなり要介護リスクが高いということなんですけれども、糖尿病等の慢性疾患、心不全、脳卒中の慢性疾患があり、かつ質問票で該当しているという方々の割合は24%とかなり高い状況になっています。CKDについてはEGFRが45未満または尿蛋白プラス以上でかつ、レセプトでどこの医療機関にもかかっていないという方々ですので、人数は少ないんですけれども、確実に医療機関につなげていく必要があるということで対応していただきたいというような項目になっています。
健康状態不明者、医療、介護、健診データ全て無いという方々が、加入者全体に占める割合は1.7%となっています。85歳以上の方が少なくなるというような傾向にあります。施設とか要介護保険につながりやすいということがあると思うのですけれども、75~84歳では、まだつながっていない人たちもいるということになります。このような抽出基準でいきますと、一つでも該当する人は加入者全体の23%を占めるということでございまして、これをどのように事業につなげていくか、さらに絞り込みが必要な部分もありますし、ポピュレーションアプローチと一体的に対応していくことでカバーしていくということ、どう事業を進めていけばいいのかということについて、研究班でもさらに研究を進めて情報提供していきたいと考えております。参考資料4については、以上のような内容となります。それでは参考資料5について中央会の取り組みということで池田構成員にご説明をお願いいたします。
○池田構成員 はい。それでは資料5、中央会連合会の一体的実施横展開事業の状況についてご説明をさせていただきます。中央会・連合会では一体的実施事業の支援といたしまして、KDBシステム活用推進も含めて研修会を開催しているところでございます。
二種類の研修会をやってございますけど、まず一つが中央会におきましては、一体的実施の支援者向けの研修会というものでございます。それからもう一つは市町村向けの研修会というものを開催しておりまして、概ねどちらの研修会におきましても、8割程度の参加者の方々から参考になったということで、開催後のアンケート調査でご回答いただいているところでございます。それから、下の段でございます。国保連合会における研修会の開催状況ということでございます。この集計状況につきましては令和4年度分ということでございます。令和5年度分につきましては、現在集計中ということでございますので、令和4年の分は最新の状況ということでございます。
令和4年度につきましては、43の連合会でこの保健事業セミナーというものが開催をされております。4つの連合会につきましてはセミナー開催をしておりませんけれども、県とかあるいは後期広域連合主催の研修会に参加して、そこで説明を行っているという状況でございますので、実質的にはそういったその他の機会を活用してセミナーを行っている、セミナーと同じ内容のことを行っているという状況でございます。それから次のページでございます。一体的実施・実践支援ツールについてということでございますけれども、厚生労働省の研究班におきまして設計開発をしていただきました。一体的実施・実践支援ツールプロトタイプというものに対しまして、令和4年度末に厚労省の高齢者医療課から所要の回収を行った上でKDBの一機能として連合会・中央会にて運用していただきたいという要請がございましたので、現在、令和6年度から活用ができますように令和5年の末頃のリリースを目指していま作業に取り組んでいるところでございます。報告につきましては大変簡単でございますが以上でございます。
○津下座長 ありがとうございました。資料の次のページにどんな画面かとか、対象者の集計が楽にできますよとか、重複状況が見えますよとか、また対象者が多い、または介護認定受けている方を除外するとかいろいろなケースに応じて、絞り込みのフローなどを示して、自治体の皆様の参考にしていただけるようなものを作ったつもりではありますけれども、是非ご活用していただきたいなと思っておりますし、研究班の方でも解説書もアップデートする予定にしておりますので、あわせて令和6年度からの事業で活用していただけるように準備できればと考えております。どうもありがとうございました。
○池田構成員 ありがとうございました。
○津下座長 はい、資料2につきまして厚生労働省よりご説明があり、またその補足説明をさせていただいておりますけれども、この議題につきまして、ご質問ご意見等がございましたら、挙手をお願いしたい思いますけれどもいかがでしょうか。吉村先生、お願いします。
○吉村構成員 津下先生、ご説明ありがとうございました。先生の資料を読んで、少しお伺いしたいのは、広域連合180,000人の大変な御苦労をなさって集計されたデータですが
○津下座長 1,800,000人です。
○吉村構成員 1,800,000人。失礼しました。そこでお伺いしたいのは92.2%に質問表示されて、回答者が29.6%という考えでよろしいでしょうか。
○津下座長 すみません、質問票の実施率については加入者全体から見ると29.6%なんですけれども、加入者の中でまず健診受診者があって、それが3割ぐらいなので、健診受診者のほぼすべての人に質問票がありました、という意味合いであの記載になりました。
○吉村構成員 あ、なるほど、わかりました。私これちょっと誤解してて、みんなに聞いたんだけど92%のうち29.6%しか答えてくれないんだったら、どういう人が拒否したのかっていうのをちょっと聞こうと思ったんですが。
○津下座長 拒否はほとんどなく、はい。
○吉村構成員 実施された方はほとんど答えてくださったという方ですね。
○津下座長 そうです。
○吉村構成員 わかりました。それでもう一つなんですけども、先生のこの集計の中で、フレイルという言葉が割と何か所かに出てくるんですが、後期高齢者のこの質問票のフレイルいわゆるフレイルというのと、本来の意味での身体的フレイルっていうのは、異なる定義でございますよね。この後期質問票でおけるフレイルっていうときはこれはいわゆるフレイルというふうに言われていて、要するにあの運動機の障害、つまりロコモも含むという風に考えておりまして、本来の意味での身体的フレイルという意味で使われているのか、それともいわゆるフレイルという意味で使われているのかが少し、ちょっと混乱が市町村の方とかにあるといけないと思いまして。もし本来の意味での身体的フレイルという意味で使うのであれば、例えば今世界的に統一した定義がありませんので、これこれを使ってフレイルと定義しましたよってことを書いておいていただくと理解がしやすいかと思いました。と申しますのも、途中出てきた糖尿病の重症化予防のフレイルの合併というお話があったのですけれども、あれにつきましても、恐らくこれは本来の意味での身体的フレイルではないかと私は考えているのです
が、どういう定義でフレイルなのかというのが統一した診断基準というのが今のところございませんので、この先生のこの定義を使ってこういう風にしました。ということをそれぞれ面倒くさいとは思うのだけれど、そのたびにちょっと書いていただかないと、例えばロコモを含んだフレイルっていう意味だとしますと、ロコモというのは例えば変形性関節症が入ってきますので、変形性関節症が入ってくると今度肥満も問題になってくるという問題がありますので、理解するときに少し間違いやすいというか、私自身も少し混乱してどういう意味なのかなって思ってしまったりしたので、フレイルの定義について書いていただけるとわかりやすいと思います。以上でございます。
○津下座長 はい。ありがとうございます。本当に吉村先生ご指摘の通り、スライドに書き添えておかなければいけなかったと思いますが、今回はこの3ページ目にですね。例えば、身体的フレイルですとロコモティブシンドロームも含むということで、これについては質問票の健康状態があまり良くないということと歩行速度に該当、また転倒などを拾ってます。保健事業の中でフレイルは、学会の診断基準とはちょっと違っているというのもあるので、これについてこういう定義ですということを抑えた説明が必要と思いました。それから糖尿病等がある場合の抽出については、健康状態、体重変化、転倒、外出頻度なども抽出条件に含まれています。
こういう項目で拾ったということを常に表示をしながらあのデータを示していく。これはしっかりと心掛けていかないといけないし、今回の保健事業で活用できる、していただく一つの抽出条件であるということで、間違えない情報提供を進めていきたいと思います。十分に言葉が足りなかったことを、お詫び申し上げます。ありがとうございました。
○事務局 事務局でございます。吉村先生、ご指摘ありがとうございます。フレイルについての記載についてとロコモティブシンドロームについての記載については、いま現時点でお示ししている参考資料1のガイドライン上、十分できてない部分もあるというふうに認識しております。例えば、10ページにフレイルについての記載を老年医学会による定義、フレイル診療ガイドでの定義等をお示ししているところでございまして、個別事業のところで身体的フレイルについての個別事業の説明の際に、ロコモティブシンドロームの説明もあわせてさせていただいて、健康日本21第三次の記載を参考に追記したいと考えてございますので、どうぞよろしくお願いします。
○津下座長 はい、ありがとうございます。他にいかがでしょうか?はい、看護協会の宮崎構成員お願いします。
○宮崎構成員 はい、ありがとうございます。意見というか感想か、ちょっとご質問もあるかなと思うのですけど、参考資料1のいまお配りいただいた資料で言うところの「高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドラインの改定について」に関連してのところのガイドラインそのもののことで、全体見させていただいて、大変内容が充実された、課題を踏まえてより実施される方たちが対応しやすいように具体的な内容とかが大変強化され、拡充されてわかりやすいものになったなという風に思っておりました。ただ、あの内容量が大変多くて、やはりこれを読み込んでとか取り組む時の個人差が出ると言うか、それぞれ取り組む方たちの環境とかいろんなことが影響すると思うのですけれども、すごくこれを自立的に取り入れられて、どんどんできるところと、そうでないところと差があるのではないかという話を本会の中でもしているところがあって、皆さんのより理解が進むような何か取り組みがもう少しされると良いのではないかと思った次第です。内容としては本当に充実されたところもあるので、本会としても保健師の皆様が集まるような場を会議体も持っていたりするので、そういったところでは発出の際には情報提供していきたいという風に思ったところでした。以上です。
○事務局 ありがとうございました。はい、ご意見いただきましてありがとうございます。次年は、上半期に市町村様向け全体に向けての研修会を予定しておりまして、その中でガイドラインの解説等も行っていく予定でございます。ご指摘の通りボリュームが多くなっておりますので、もう少しガイドのようなかたちをつけてどの内容についてはどの項目を見ていただきたいというような指示がわかるようなものをつけて、ご紹介等させていただきたいと思います。各団体の皆様にもガイドライン公表の際にはご案内させていただきますので、ご活用いただき研修等していただけると大変ありがたく存じます。
○津下座長 はい、ありがとうございました。市町村においてですね、企画調整をされる方と、それから高齢者に接して質問票等のデータの状況や生活背景を確認しながら支援する立場の方々がいらっしゃると思うのですよね。この企画調整の方についてはガイドラインの説明みたいな研修というのが不可欠と思うのですけれども、実際に保健事業に関わられる方については、支援のノウハウについては、これまでの保健事業の実績や経験値もございますし、それから、ガイドラインの後ろの方に質問票の活用について、どういう風に高齢者に説明したらいいんだろうとか、または高齢者の悪い回答があると言ってもそれを改善するだけじゃなくて、そういう状態を受け止めながら、支援を一緒に考えていくとか、今できてることを大事にしながらコメントを返していくというような、どちらかというと指導ではなくてご支援とかいろいろなものにつないでいくという視点になります。本当に現場の保健師さん管理栄養士さん、様々な関係者の支援力というのが重要になっていくと思います。この点、行政の説明だけではなく専門の関係団体の研修の中で、どう高齢者に支援していって、できるだけ前向きな気持ちで元気でお過ごしいただくか、また相談するとかSOSをきちんと出さなきゃいけないとか、医療につないでいくとかいうような様々なことや、それから地域のいろいろな資源につないでいくというそういう現場に合わせた研修っていうのは、地域ごとまたは専門家ごとで工夫の余地が非常に大きいのではないかなというふうに、私自身感じているところです。
そのあたりも含めていかがでしょう?何かご発言、田中先生いかがでしょうか?
○田中構成員 はい、ありがとうございます。私の方もいろいろなところでお話をさせていただいておりますが、いま津下先生がおっしゃったのはまさに殆ど質問と言いますか、リクエストはそのような内容にもう変わってきております。一応体制は整ったんですけど、どのように質を向上させていったらいいのか、今までの従来の考え方のような、必ず行動変容を求めるとか、そういう形ではなく、後期高齢者が中心ですので支援という今までできているものをどのように活用しながら、前向きなものに持っていきながら、その中の一部をどういう風に行動を一つでも前向きに改善していただけるか、っていうようなところで、お話をしていくそのスキルですね。その辺を今後の研修ではやはりどこも求められていくものだと思います。職能団体の方たちに、とてもその辺が求められていくことだろうと思いますので、私たちも一緒に協力したいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○津下座長 はい、ありがとうございます。ちょっとこの前、先日ですね、健康日本21第三次の会議がありまして、その時に睡眠の話もありました。高齢者において睡眠薬の処方を受けてる方が多いっていう、これもちろん毎日服用しているか分からないわけなんですけれども受けているということなんです。一方で高齢者は意外と寝てるんではないかという話もありまして、熟眠感が不足していることや、それから施設等では早めに消灯があって、9時ぐらいから寝て翌日の朝まで寝るっていうのがなかなかできないというような状況下でもって、睡眠不足をこう熟眠感が足りないと感じていて、処方につながっているケースもあるんじゃないかというようなご意見もありました。そういうような時に、単に薬をどうこうだけではなくて、どう受け止めるかとか、生活全体を昼間を活発にしないと夜眠くならないとか、早めに寝ようと思って早めに布団に入ると、これまたうまくいかないというようなこともあって、その生活全体をどう修正したらいいのかっていうあたりも、情報提供が必要かなと思いました。今後の研究も含めて、重複して出てくるとか総合的に考えるとか、あの口腔と栄養ともう非常にリンクしているとかいろんなことがありますので、これからさらにそのノウハウというものの蓄積や研究、また教材の作成などが必要になってくる分野かなというふうに感じている次第でございます。はい、よろしいでしょうか?他に何かご意見やご発言等は。
はい、安中課長よろしくお願いします。
○厚生労働省 厚生労働省 高齢者医療課長の安中です。
本日は活発なご議論、大変ありがとうございました。資料1、資料2を通しまして、皆様のお発言をお聞きして、少し感じたところをお話しさせていただければと思います。まずはこの一体的実施につきましてはコロナ禍で始まったわけですけれども、皆様のご努力のおかげで、実施箇所数としてはほぼ全市町村に行きわたるということで、ひとつの基盤ができてきたのかなというふうに受け止めています。皆さまのご尽力、誠にありがとうございます。途中の説明でもございましたが、次からはさらにその参加者数でありますとか、アウトカムでありますとか、よりその取り組みの中身を充実させていくというフェーズに入っていくのかなというふうに考えておりまして、私ども一層心して取り組まなければならないというところです。その際、自治体の皆様からは医療専門職の確保が課題であるということで、引き続きのご指摘がありました。
それに対して、医療関係団体の皆様からは非常に積極的な前向きなお話をいただいておりまして、すでに地域での実践例が出てきているということと、さらに地域におけるその身近な存在としての医療専門職の方々、例えば薬局であったり、管理栄養士の方であったり、看護師の方々からもお話がございましたので、ぜひ今後ともそういった形でその実践の場においてもご協力いただければ本当にありがたいと思っております。また坂本先生の方からは行政のマンパワー不足ということで、これもなかなか目にはつかないですけれども非常に重要な課題だというふうに思っております。そういったことで、今回の資料2のご報告の中でもKDBの活用支援ツールですとか、あるいは実績報告の集約ツール、あるいはガイドラインといった形で、私共としてもご支援できることはさせていただいておりますし、また好事例の収集なども今後引き続きやっていくということになろうかと思っております。それらを通しまして感じておりますのは、その一体的実施というのはまさに一体的でありまして、関係者様々いるわけですけれども、その風通しを良くしながら進めていくことが非常に重要だと思っております。これは私ども国の方でもそうでありまして、一番最初のご指摘にもありましたけれども、国の動きが現場の市町村の方々になかなか伝わっていないもどかしさみたいなものがあるんじゃないか、というご指摘もありましたので、私共としても研修ですとか、あるいは説明会とかそういったところで意見交換を積極的にさせていただきたいなと思っております。今回データヘルス計画で標準化が進みまして、一つの共通の基盤となるデータをもとに議論をしていけるということで、これも一つの対話のツールになっていくのではないかなと思っていますので、引き続き、現場の皆様とも意見交換をさせていただきながら、しっかりと取り組んでいきたいと思っています。構成員の皆様方のご支援、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
○津下座長 どうもありがとうございました。課長におまとめいただいて、本当にありがとうございます。令和2年度開始から4年間で、ここまで成長してきたっていうのは、本当に大変なご努力、ご尽力があった。本当に大変な時期を過ごされたという風に思っております。今後はさらに中身という話になってまいりますので、より中身の議論が深まっていくといいかなということを感じております。また、データヘルス計画の進捗の評価、特別調整交付金など、こういうエビデンスをもとにした、より効果的な実施方法についても引き続きの研究は検討が必要という風に感じております。また今回資料にてご説明いただきました実績報告書の電子化と言いますか、フォーマットの改正、これは今後に非常に大きな影響が出るんではないかなという風に思っています。あの自治体の実施状況がこう比較可能と言いますか、進捗をきちんと調査というよりも実績報告の中で把握できるようになっていくというフェーズに入ってくれば、PDCAサイクルを回した事業とか、好事例を見つけるということが優位になってくると思います。研修会にいくつか出させていただいたりする中で、非常に地域で好事例が出てきているということを実感しています。好事例を育てていく、またそれを展開していくということについて、引き続きご検討ご支援を
いただければと思います。本日予定していた議題につきましては全て終了いたしました。事務局に戻したいと思います。ありがとうございました。
○事務局 本日も活発なご議論を賜り、ありがとうございました。構成員の皆様方からの
ご意見を踏まえまして、今後検討を進めてまいりたいと思います。
次回の開催日程につきましては、次年度にあらためて調整をさせていただきます。
それでは本日も長時間にわたりありがとうございました。閉会させていただきます。
○構成員 ありがとうございました。