第19回 日EUシンポジウムについて

 2023年9月11日(月)から14日(木)にかけて、第19回日EUシンポジウム・労働専門家交流をオランダ・ベルギー(ブリュッセル)で開催しました。

1 開催の経緯

 1991年に、労働省(当時)と欧州委員会との間で交流の実施に合意して以来、定期的に日EUシンポジウムを開催し、雇用・労働分野におけるテーマについて意見交換を実施しています。

2 最近の開催実績/テーマ

第16回(2016年7月・東京)「現代における労使関係の役割」
第17回(2018年7月・ブリュッセル)「労働の未来―新しい就業形態」
第18回(2021年7月・オンライン)「女性活躍の観点からのワークライフバランス」

3 第19回(2023年)日EUシンポジウム概要

 今年は「社会経済の移行期における学び・学び直し」をテーマに開催しました。

講演・討議内容等

 田中誠二厚生労働審議官、ヨースト・コルテ欧州委員会雇用・社会問題・インクルージョン総局長及び、正木靖欧州連合日本政府代表部特命全権大使から開会挨拶を行いました。
 田中厚生労働審議官からは、主催者EU側への謝意、日本における潜在的なスキルミスマッチの課題、「人への投資」が経費ではなく投資であるとのG7合意、我が国の「新資本主義」アジェンダにおける賃上げ、労働移動、生産性向上の取組の方向性、人口の変化に伴う高齢労働者の受け皿整備やリスキリングのアクセス確保の必要性、日EUシンポジウムの今後の継続の期待等を述べました。

学識経験者・政労使の代表による報告、議論

 「学び・学び直しを推進すべき背景・課題」「学び・学び直しの取組・今後の方向性」について報告、議論が行われ、日EUともに足下の課題として人材不足や基礎的なDXスキルの必要性の認識、高齢化など人口動態の課題と今後の方向性について意見交換を行いました。また上記に加え、AI技術やケア労働についても様々な意見交換を実施しました。

(日本側報告者)※発言者順
株式会社エクサウィザーズ はたらくAI & DX研究所 所長 石原 直子
厚生労働省人材開発統括官付参事官(人材開発政策担当) 松瀬 貴裕
日本経済団体連合会 労働政策本部統括主幹 平田 充
日本労働組合総連合会 労働法制局長 山脇 義光
厚生労働省大臣官房国際課長 中村かおり

(EU側報告者)※発言者順
3S リサーチアンドコンサルティング ヨルク・マルコヴィッチ
欧州委員会雇用・社会問題・インクルージョン総局 職業教育訓練副課長 アナ・カレロ
欧州職業訓練開発センター技能労働市場局上級専門家 ウラジミール・クヴァタン
ビジネスヨーロッパ社 社会部シニアアドバイザー ロバート・プラマー
WKÖ/IBW SMEユナイテッド 専務取締役 トーマス・マイヤー
欧州労働組合総連合(ETUC)連合書記長 ルドビク・ヴォート
欧州職業訓練開発センター技能労働技能・市場局上級専門家 ジリ・ブランカ
欧州社会雇用者連盟理事 シルヴァン・ルヌーベル
公共サービス労働組合連盟社会福祉青年政策コーディネーター トスカーナ・ベル

シンポジウムの様子





4 その他

○バイ会談
 田中厚生労働審議官とヨースト・コルテ欧州委員会雇用・社会・インクルージョン総局長のバイ会談を実施。日EU双方が直面する人手不足の問題とリスキリングの重要性や日本とEUのリスキリング施策などについて意見交換を行いました。

○視察
 オランダ社会雇用省との意見交換、航空工学専門家を風力発電の専門家にリスキリングするオランダの訓練施設、求職者と雇用主のAIによるマッチングを実施しているフランドル州の職業安定所、ブリュッセルにある民間のデジタルに関する訓練施設の視察を行いました。