2024年1月17日 独立行政法人評価に関する有識者会議 労働WG(第53回) 議事録

日時

令和6年1月17日(水)15:00~17:00

場所

中央労働委員会 労働委員会会館 講堂

出席者

今村主査、梅崎構成員、小野構成員、酒井構成員、関口構成員、土橋構成員、西岡構成員、三宅構成員、宮崎構成員、安井構成員

議事

議事内容
○事務局
 定刻になりましたので、ただいまから「第53回独立行政法人評価に関する有識者会議労働WG」を開催いたします。本日の出席状況について御報告いたします。本日は、土井構成員が御欠席です。また、本日は労災病院の運営という労働者健康安全機構の業務を鑑み、地域医療機能推進WG主査の小野先生にも御参加いただいております。小野先生、どうぞよろしくお願いいたします。
 
○小野構成員
 よろしくお願いいたします。
 
○事務局
 続いて、事務局の人事異動について御報告いたします。参事官の三村から一言御挨拶申し上げます。
 
○政策立案・評価担当参事官室参事官
 昨年9月に調査分析・評価担当の参事官として着任いたしました、三村と申します。本日は、よろしくお願いいたします。
 
○事務局
 本日の資料に関しては、事務局から事前にメールでお知らせしているほか、厚生労働省のホームページにも掲載しております。構成員の皆様方に、資料の共有が開催直前になりましたこと、大変御迷惑をおかけいたしました。申し訳ございませんでした。
 本日の議事について説明いたします。本日の議事は、「労働者健康安全機構の次期中期目標(案)・次期中期計画(案)」に係る意見聴取を行うこととなっています。本件については、参考資料1の「独立行政法人評価に関する有識者会議開催要綱」の3の第4「その他1から3までに掲げる事項に関し重要な事項」に該当するものとして、本WGの意見を賜るものです。
 厚生労働省所管の中期目標管理法人については、厚生労働大臣が中期目標を定め、当該法人は定められた中期目標に基づき中期計画を策定することとされておりますが、法人の中期目標と中期計画は御意見いただく上で密接な関係にありますので、本日は、中期目標と中期計画について、同時に御議論を頂きたいと考えております。
 次期中期目標及び中期計画の策定の流れについて、簡単に御説明いたします。参考資料2を御覧ください。参考資料2の一番上の四角い囲みに、「令和5年8月 独立行政法人の「業務・組織全般の見直し内容」等を総務省へ提出」とあります。機構の「中期目標期間見込評価書」と、「業務・組織全般の見直し内容」については、昨年8月に開催いたしました本WGにおいて皆様から御意見を頂き、その意見を踏まえ、参考資料5、6にありますように、厚生労働大臣から総務省独立行政法人評価制度委員会に通知しております。
 参考資料2の中ほどの四角い囲みに、「令和5年9~12月 総務省独立行政法人評価制度委員会の審議・決定」とあります。
 参考資料7を御覧ください。昨年の11月27日に、総務省独立行政法人評価制度委員会が独立行政法人の「中期目標期間見込評価書」と「業務・組織全般の見直し内容」について審議し、目標策定に向けての考え方などを決定したものです。機構に関しては、6~7ページに、目標策定に当たって、目標に盛り込むことについて検討していただきたい点として整理された留意事項が示されております。
 参考資料8を御覧ください。昨年の4月13日付けで一部改定されたものです。総務省独立行政法人評価制度委員会が、独立行政法人の業務管理及び内部管理の共通的な方向性を取りまとめたものです。以上です。
 これらを踏まえて作成されたものが、本日御議論いただきます労働者健康安全機構の次期中期目標と中期計画の案です。次期中期目標の策定については、「独立行政法人の目標策定及び評価実施要領」において、参考資料4の「目標策定のルール」を定めておりますので、本日はこの観点からも御議論いただければと思います。
 事務局からの説明は以上です。それでは、以降の議事進行は今村先生にお願いいたします。
 
○今村主査
 今村です。どうぞよろしくお願いいたします。ただいまの事務局の説明について御質問等がありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。オンラインの先生、いかがでしょうか。ないようでしたら、後ほどでも御意見がありましたらお願いいたします。
 それでは、労働者健康安全機構の次期中期目標及び次期中期計画案について御議論いただきます。最初に、厚生労働省の法人所管課から「次期中期目標(案)」について御説明を頂き、その後、法人から「次期中期計画(案)」について御説明いただきます。この2つの説明が終わってから、質疑応答という流れで進めていきます。
 それでは、法人所管課から「次期中期目標(案)」について御説明をお願いいたします。
 
○労働基準局安全衛生部計画課長
 厚生労働省労働基準局安全衛生部計画課長の松下と申します。私のほうから、「独立行政法人労働者健康安全機構第5期中期目標(案)」について御説明いたします。資料1-1に基づいて説明させていただきます。初めに、「政策体系における法人の位置付け及び役割」について御説明いたします。1ページ目を御覧ください。労働者健康安全機構については、その機構法、法律に基づいて、職場における労働者の健康の確保や労働者の福祉の増進に寄与するという目的の下で、「勤労者医療の充実」、「勤労者の安全向上」、「産業保健の強化」を理念とし、これに基づいた運営が行われている状況です。
 法人を取り巻く環境と課題についてです。1つ目は、労災病院が行っている疾病の予防から診断、治療、職場復帰、治療と仕事の両立支援などを行う総合的な取組を勤労者医療と呼んでいますが、こうした勤労者医療を行っています。また、労働者の高年齢化とともに、職業生活が長期化しております。こうした流れの中で、勤労者医療の重要性が高まっているという認識をしております。
 2つ目は、勤労者の安全向上についてです。労働者の高齢化や第3次産業への就労者の増加に伴い、労働者の作業行動に起因する「転倒」などの労働災害が増加しております。また、中小事業場などにおける安全対策の遅れであったり、また、化学物質に対する事業場における自律的管理体制の制度移行といったものに対する対応が課題となっていると認識しております。
 3つ目の、産業保健の強化については、女性労働者・個人事業者の増加に伴い、健康推進等の産業保健上の対応が課題になっていると認識しています。
 4つ目は、勤労者福祉の向上等についてです。国民の利便性等向上のためのデジタル社会の実現に向け、デジタル技術を活用した新たな事業展開、それを担うデジタル人材の育成・確保が課題となっております。
 このような状況の下で、次期中期目標において、同機構においてはこうした今申し上げました課題を解決していくために、主に勤労者医療の充実、勤労者の安全向上への取組、産業保健の強化に取り組むこととしております。
 続いて2ページ目を御覧ください。「第5期中期目標(案)構成」について御説明いたします。第5期中期目標においては、第4期の中期目標から構成を変更しております。具体的には、機構の基本理念である勤労者医療の充実、勤労者の安全向上、産業保健の強化といった3本柱に沿った構成としております。こうすることにより、機構の職員にとっても中期目標がより意識しやすいものとなり、目標達成に向けた業務の取組につながっていくものと考えております。
 具体的には第3の所です。右側の柱の第3です。「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項」において、機構の3つの基本理念に沿った項目の並び替えをしております。詳細については3ページ以降で説明させていただきます。
 3ページを御覧ください。「1 勤労者医療及び地域医療における役割の推進」です。ここでは、主に労災病院で行っている事業の目標について御説明いたします。冒頭で申し上げました勤労者医療について、「(1)疾病に関する高度かつ専門的な医療の提供」において、引き続き労災病院において先導的に取組を行い、得られた知見については他の医療機関にも普及することを目標としております。
 「(2)大規模労働災害、新興感染症(再興感染症を含む。)等への対応」については、令和4年に成立をしております改正感染症法を踏まえ、新たに感染症発生・まん延時においては、各都道府県知事からの指示を受け、病床の割当て等に係る協定にのっとった対応を行うこととしております。また、厚生労働大臣からの要請が出た場合においては、可能な限り県境を越える医療人材の広域派遣を行うことを目標として設定しております。
 「(3)地域医療への貢献」についてです。労災病院においては、都道府県が策定しております第8次医療計画や医療圏ごとの特性を踏まえ、効果的な地域医療連携を推進することとし、地域の医療機関との連携に当たっては、地域の医療ニーズの分析や関係機関との調整など、機構の本部が必要に応じて支援を行うといったことを目標として設定しております。
 「(4)医療情報のICT化の推進」についてです。マイナ保険証や電子処方箋をはじめとした、政府が進めている医療DXの各取組に率先して取組を行い、医療情報のICT化の推進を図るといったことを目標として設定しております。
 「(5)患者の意向の尊重と医療安全の充実」、「(6)治験の推進」、「(7)産業医等の育成支援体制の充実」、「(8)労災病院ごとの目標管理の実施」、「(9)行政機関等への貢献」については、第4期の中期目標と同様の目標を設定しているところです。
 指標については、地域で求められている救急医療提供の役割を果たしていくために、労災病院の救急搬送応需率70%以上を毎年度確保すること、それと、各労災病院において、医療の質を更に向上させていくため、全ての労災病院が病院機能評価などの第三者評価の認定を受けることの2つを新たに指標として設定しています。
 4つ目の治験症例数については、コロナ禍前の第3期中期目標期間の実績を踏まえ、第4期中期目標の2万900件から2万2,000件以上に目標値を引き上げています。
 困難度については、労災病院が勤労者医療の中核的な拠点としての取組に加え、大規模労働災害や新興感染症等の発生時の公的な医療機関としての対応、地域から求められる役割に応じつつ、効率的な病院運営を行うことが求められている状況を踏まえ、第5期中期目標から困難度を「高」に設定したところです。重要度については、引き続き「高」に設定しております。
 4ページ目を御覧ください。「2 治療と仕事の両立支援の推進」です。労働人口の約3人に1人が何らかの疾病を抱えながら働いており、がんの診断を受けた就業者の約2割が退職するなど、治療と仕事の両立が重要な課題となっております。ここでは、労災病院や労災病院に併設している治療就労両立支援センターで行う治療就労両立支援事業の目標について御説明いたします。
 まず、「(1)治療と仕事の両立支援を推進するための治療や患者支援の推進」についてです。引き続き、労災病院や治療就労両立支援センターにおいて、仕事を有する患者に対して、診断時から治療の過程、退院時に至るまで、両立支援コーディネーターを活用し、患者へのきめ細かな支援を行うこととしております。
 また、労災病院以外の医療機関の患者に対しては、産業保健総合支援センターが両立支援コーディネーター等を活用しつつ、地域の医療機関との連携、協力関係を構築し、労働者への支援を推進することを目標としております。
 「(2)治療と仕事の両立支援を推進するための企業等に対する支援」についてです。引き続き産業保健総合支援センターにおいて、①企業等に対する正しい知識及び理解の普及、②企業や産業保健スタッフ等からの相談対応、③労働者と事業場との間の個別調整支援について、メンタル不調に係る対応も含め、円滑かつ適切に実施をしていくということ。また、併せて労災病院又は治療就労両立支援センターと連携した上で、企業等に対する支援を実施することとしております。
 「(3)治療と仕事の両立支援を推進するための人材の育成」についてです。治療と仕事の両立を推進するに当たり、両立支援コーディネーターが必要な知識を身につけ、患者・主治医・会社などのコミュニケーションのハブとして機能することが期待されております。
 こうしたことから、引き続き両立支援コーディネーター養成のための基礎研修を着実に実施していくということと、併せて、両立支援コーディネーターの更なる実践能力の向上を図るための研修といったことも実施するということを目標として設定しております。
 指標については、新たに支援した罹患者の件数を年間1,200件以上にすること、事例検討会の参加者の80%以上から有用であった旨の評価を得ることを指標として加えております。支援した罹患者の有用度については、令和元年から令和4年の実績を踏まえ、満足であった旨の評価を80%から90%以上へ目標値を引き上げています。重要度、困難度については、引き続き「高」に設定しております。
 5ページ目を御覧ください。「3 重度被災労働者の職業・社会復帰の促進等」です。機構においては、労災病院のほかに、専門センターと呼ばれる、重度の障害を負った被災労働者の職業・社会復帰の支援を目的とした、医療リハビリテーションセンター及び総合せき損センターを運営しております。引き続き、これらの施設の効率的かつ効果的な運営に努めていくことを目標としております。
 指標については、引き続き医療リハビリテーションセンター及び総合せき損センターにおいて、職場又は自宅復帰可能である退院患者の割合を80%以上確保することとしております。新たに、患者満足度調査において、全施設の平均80%以上の満足度を確保することを指標に設定しております。
 同じページの下段の「4 労働者の健康・安全に係る基礎・応用研究及び臨床研究の推進等」についてです。ここでは、労働安全衛生総合研究所や労災病院等で行っている研究・調査事業の目標について説明いたします。「(1)労働安全衛生施策の企画・立案に貢献する研究、労災疾病に係る研究開発の推進」です。労働安全衛生施策の基礎となる研究を体系的・継続的に推進していくため、労働安全衛生総合研究所等において、引き続き行政課題を踏まえたプロジェクト研究や協働研究等、各種研究を確実に実施することとしております。
 特に、プロジェクト研究においては、第14次労働災害防止対策計画で示された行政課題を踏まえて、資料に記載しております9つの視点をもとに研究テーマを設定することを目標としております。
 6ページ目を御覧ください。「(2)研究の実施体制等の強化」、「(3)国際貢献、海外への発信」、「(4)研究評価の厳正な実施と評価結果の公表」、「(5)研究成果の積極的な普及・活用」については、第4期の中期目標と同様の目標を設定しております。
 「(6)労働災害の情報分析機能の強化及び分析結果の効果的な周知」についてです。これは、労働基準監督署に提出されております労働者の死傷病報告については、令和7年1月から電子申請の義務化により、デジタル情報としてデータが蓄積されていく予定です。そうしたデータを、労働安全衛生総合研究所において効率よく統計処理をし、災害原因等の要因解析を行うことを新たに目標として設定しました。
 また、安全衛生の取組の効果について、事業者の納得性を高めていくため、科学的根拠に基づき労働災害防止対策の有効性を証明していくということ、また、災害発生要因等の安全衛生に関する研究成果等の情報発信について、より強化するということも併せて設定しております。
 「(7)化学物質の自律的管理への支援」についてです。令和6年度から完全施行される化学物質に対する事業場における自律的管理の規制に伴い、労働安全衛生総合研究所の化学物質情報管理研究センターにおいて、GHS分類、モデルSDSの作成、化学物質による労働災害の分析、情報発信等を行い、事業場における化学物質管理の支援を行うことを新たに目標として設定したところです。また、小規模事業場に対しても、化学物質管理に係る取組の支援や業種別のマニュアルの作成支援等といったことも目標として設定しております。
 指標については、研究成果の外部評価点数、これは1点から5点の5段階評価です。第4期の中期目標の平均点3.25点以上から、より高い評価を目指していくために、平均3.5点以上に目標値を引き上げております。
 また、新たに安全衛生技術講演会有意義度調査において、平均点2.0点以上の評価、これは0点から3点の4段階評価ですが、平均点2.0点以上の評価を得ることで指標を新たに設定しています。重要度については、引き続き「高」に設定しております。
 7ページ目を御覧ください。「5 労働災害の原因調査の実施」についてです。労働安全衛生法に基づき実施をしております労働災害調査についてです。引き続き迅速かつ適切に行い、調査結果については体系的に整理及び分析をし、再発防止対策の提言や災害防止のための研究への活用及び反映を行うこととしております。また、調査内容については積極的に公表をし、同種の災害の再発防止対策の普及等にも努めていくことを目標としております。
 指標については、引き続き災害調査報告及び鑑定結果報告の評価、これは0点から3点の4段階評価ですが、これについて平均点2.0点以上を得ることを指標として設定しております。
 同じ7ページの下段です。「6 化学物質等の有害性調査の実施」についてです。化学物質等の有害性調査について、現在は日本バイオアッセイ研究センターで行っておりますが、令和5年度末をもってそのセンターを廃止し、令和6年度からは労働安全衛生総合研究所で実施していくことにしております。このため、その旨記載を変更しております。試験については、短期の吸入試験、経皮試験を中心に実施することとしております。
 指標については、新たにOECDガイドライン等に基づき、試験を円滑に実施していくこと、それと、試験の迅速化・効率化等を図るための調査及び研究を行い、論文等として公表することを設定しております。
 8ページ目を御覧ください。「7 事業場における産業保健活動への積極的な支援と充実したサービスの提供」についてです。ここでは、産業保健総合支援センターで行っている産業保健活動総合支援事業の目標について説明いたします。
 「(1)産業医及び産業保健関係者への支援」については、引き続き産業保健総合支援センターにおいて、産業医と産業保健関係者を対象として、現場のニーズを踏まえた研修を実施していくということ、それと、産業医等が対応に苦慮する事案等に接した際には、アドバイザー産業医が相談に応じられるよう体制を整備し、効果的に運用することを目標としております。
 「(2)事業場における産業保健活動の支援」についてです。働く女性の健康支援に関する研修の拡充や事業者等向けに化学物質管理に係る研修を実施することを新たに目標として設定しております。
 また、新たな化学物質規制について、産業保健総合支援センターで相談対応できる体制を整備し、効果的に運用していくこと、産業保健総合支援センターで行う健康管理に関する研修の対象に、労災保険に特別加入している個人事業者等も加え、必要な研修や情報発信を行うといったことも新たに目標として設定しております。
 「(3)メンタルヘルス対策の推進」についてです。産業保健総合支援センターにおけるメンタルヘルス対策に係る支援体制を整備していくこと、それと、産業保健関係者を対象に、メンタルヘルス対策に係る専門的研修を強化する等、支援の充実を図るといったことを新たに目標として設定しています。
 「(4)産業保健活動総合支援事業の利用促進」については、労働基準監督署と連携をして、地域産業保健センターに配置されておりますコーディネーターを中心に、域内における新規利用者の活用促進等に取り組むことを目標としております。
 指標については、産業保健総合支援センター及び地域産業保健センターにおける相談対応件数について、令和元年度から4年度の実績を踏まえ、年間12万2,600件から13万件以上へ目標値を引き上げております。重要度、困難度については、引き続き「高」に設定しております。
 9ページ目を御覧ください。「8 未払賃金の立替払業務の着実な実施」についてです。「(1)迅速かつ適正な立替払の実施及び立替払金の求償」、「(2)情報開示の充実」については、第4期の中期目標に引き続き、目標を設定しております。
 「(3)未払賃金立替払請求等のシステム化」についてですが、現在は文書での提出を求めております未払賃金立替払請求については、令和7年度末までにオンライン化に向けて調整を行うこと、それと、労働基準監督署が把握・保有する立替払額の情報について、機構の未払賃金立替払システムと情報連携ができるように、可能な限り令和7年度末までにシステム改修を行うことを目標として新たに設定したところです。
 指標については、引き続き請求から20日以内の支払を指標に設定しておりますが、立替払請求がオンライン化された際には、その審査の実施状況等も踏まえつつ、更なる期間短縮が図られるかどうか検討し、必要があれば、指標の変更も考えていくこととしております。重要度については、引き続き「高」に設定しております。
 9ページ下段の「9 納骨堂の運営業務」についてです。機構においては、労働災害で亡くなられた方々の尊い御霊をお慰めするため、高尾みころも霊堂の運営を行っております。引き続き霊堂が慰霊の場としてふさわしい環境になるよう、適切な管理・運営を行うことを目標としております。また、新たにIT技術を活用した来堂の疑似体験システムを構築することを目標として設定しております。
 指標については、来堂者や御遺族の満足度調査で平均3ポイント以上を得ること。これは、1点から4点の4段階評価で、平均3ポイント以上ということで設定しております。重要度については、引き続き「高」に設定しております。
 10ページを御覧ください。「10 特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支払事業」についてです。引き続き個人情報の取扱いに配慮しつつ、国と密接な連携の上、業務の適切かつ迅速な実施に努めることを目標としております。
 同じ10ページの下段です。「第4 業務運営の効率化に関する事項」です。引き続き機構における働き方改革を推進していくことと併せて、新たに令和3年に成立しております改正医療法に基づく医師の働き方改革への取組を着実に実施していくことを目標として設定しております。その他の事項については、第4期の中期目標と同様の目標を設定しております。
 指標についても、引き続き中期目標期間の最終年度において、令和5年度の予算と比べて、一般管理費15%程度、事業費については5%程度、それぞれ削減することを設定しております。
 11ページを御覧ください。「第5 財務内容の改善に関する事項」です。赤字基調が続いております労災病院についてですが、経営改善を進めていくために、新たに各労災病院において、支出の抑制及び収益の確保を図りつつ、今後の地域における人口・疾病構造の変化等を踏まえ、地域の医療ニーズにより適合した病院となるよう、診療体制や病床数など病院機能の見直し、合理化を図ることを目標として設定をしているところです。その他の事項については、第4期中期目標と同様の目標を設定しております。
 指標については、労災病院の病床利用率を各年度全国平均以上とすることで設定しています。
 最後になりますが、11ページの下段の「第6 その他業務運営に関する重要事項」です。新たに内部統制について、その仕組みを有効に機能させていくために中期計画・年度計画の進捗状況について点検・検討等の自己評価を行い、理事長のリーダーシップに基づくPDCAサイクルを適切に実施していくこととしております。また併せて、機構の理念について、職員に浸透を図ることにより、職員一人ひとりが機構に与えられた役割を全うできるように努めることといった点について、目標として設定をしております。その他の事項については、第4期中期目標と同様の目標を設定しております。
 指標については、引き続き本部主催の職員研修の有益度調査において、全研修平均で85%以上の有益度を得ること、それと、看護師国家試験合格率を全国平均以上とすることを指標に設定しております。説明は以上となります。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○今村主査
 ありがとうございました。それでは続いて、法人側から「次期中期計画(案)」についてお願いいたします。
 
○労働者健康安全機構賃金援護部長
 失礼いたします。労働者健康安全機構賃金援護部長兼総務部次長の長でございます。私のほうからは「第5期中期計画(案)」について、お手元の資料1-2、パワーポイントの資料ですが、「第5期中期計画(案)説明資料」に基づいて御説明をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 まず、1ページ目です。赤字部分、第5期における新たな取組となります。この赤字部分を中心に御説明をさせていただきます。
 「第1 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に資する目標を達成するためとるべき措置」についてですが、9項目ございます。1つ目の項目が「勤労者医療及び地域医療における役割の推進」です。こちらは、労災病院の事業になります。1ページの下、「⑵大規模労働災害、新興感染症等への対応」として、感染症予防法等が改正されたことを踏まえ、感染症が発生・まん延した際には、医療の提供や医療人材の派遣といったものに協力してまいります。なお、先般発生した能登半島地震ですが、昨日1月16日時点です、労災病院から既に6施設8チームのDMATの派遣をしております。そのほかの労災病院のDMATについても、要請があれば派遣できる体制を取っているところです。加えて、能登地方の医療機関において看護師不足、喫緊の課題となっているということです。石川県能登地方の病院へ3名の看護師、各労災病院から交替で派遣しているところです。これからも公的な医療機関として、災害時におきましては迅速かつ積極的な支援に取り組んでまいりたいと考えているところです。
 次に、2ページ目です。地域医療への貢献になります。都道府県が策定する第8次医療計画などを踏まえ、地域医療連携の強化に取り組む。地域医療構想調整会議の議論にも参画し、必要に応じて病床機能区分の変更や診療機能の見直しを行ってまいります。また、今後は高齢化に伴い、高齢者の救急搬送の増加といったものも見込まれます。近隣消防署の救急隊と一層の連携を図るとともに、救急搬送の受入体制を強化し、救急搬送応需率の向上に努めてまいります。この救急搬送応需率については、地域医療支援病院の承認を受けている労災病院で、救急搬送応需率70%以上を毎年度確保するということで、新たな指標にされているところでもございます。
 下の「(4)医療情報のICT化の推進」のところです。現在、全ての労災病院で電子カルテを導入済みです。また、オンライン資格確認システムを全労災病院において導入し、運用を開始しているところです。また、電子処方箋について、来年度早期には全労災病院で導入すべく現在取り組んでいるところです。引き続き、政府が進める医療DXの施策に率先して取り組むこととしているところです。
 続きまして、3ページを御覧ください。「(5)患者の意向の尊重と医療安全の充実」です。医療の質の向上への取組に係る新たな指標として、全ての労災病院が病院機能評価等の第三者評価の認定を受けることが今回目標で掲げられております。これまでも大部分の労災病院で病院機能評価の認定を受けているところですが、医療の質向上に努め、引き続き認定が継続できるように取り組んでいくこととしております。
 5ページ目を御覧ください。「2 治療と仕事の両立支援の推進」の項目です。治療と仕事の両立支援ですが、指標として新たに支援した罹患者の件数を年間1,200件以上とするとか、また、事例検討会における有用度調査において80%以上の有用だった旨の評価を受けることなどが新たに盛り込まれたところです。
 機構では、引き続き国の施策である治療と仕事の両立支援の中心的な役割を担う両立支援コーディネーターの養成に、しっかりと取り組んでまいる所存です。加えて、労災病院や両立支援センターにおいて積極的に両立支援を実施し、その事例を収集・分析し、両立支援に資する医療提供のあり方について分析・検証・開発を行ってまいります。また、両立支援の周知・広報活動といったものも今まで以上に積極的に実施し、広く国民にこの事業のことを御理解、御活用いただけるよう努めてまいりたいと考えております。
 次期中期期間中には、北海道中央労災病院が岩見沢市立総合病院と統合することから、北海道中央労災病院に併設する治療就労両立支援センターについては廃止し、横浜労災病院に新たに治療就労両立支援センターを設置することとしております。
 (2)の企業に対しての支援ですが、産業保健総合支援センターが窓口となり、近年ニーズが高まっているメンタルヘルス不調に係る対応も含めて、相談支援等行ってまいります。
 次に、6ページを御覧ください。「⑶治療と仕事の両立支援を推進するための人材の育成」という観点です。両立支援コーディネーターの基礎研修について、メンタルヘルス不調に係る内容を拡充し、着実に実施していくと。また、両立支援コーディネーターの更なる実践能力の向上を図るということで、事例検討会等を実施していくこととしております。
 7ページを御覧ください。「3 重度被災労働者の職業・社会復帰の促進等」です。こちらは、医療リハビリテーションセンターと総合せき損センターの運営になります。新たな指標として、入院の満足度調査で80%以上の満足度を確保することが掲げられております。これまでも、重度の障害を負った被災労働者の職業・社会復帰の支援に取り組んでまいりましたが、次期中期においては、大学が実施します脊髄損傷治療の研究等にも協力してまいりたいと考えております。
 8ページを御覧ください。こちらは研究の関係です。労働安全衛生総合研究所や労災病院で実施する研究等になります。まずはプロジェクト研究ですが、労働安全衛生施策の企画・立案のエビデンスといったものを収集することを目的として、中期目標に示された視点を踏まえて実施するものになります。次期中期では、第14次労働災害防止計画を踏まえて新たに設定した6つのテーマを含む9つのテーマについて研究を実施してまいります。このほか、労働安全衛生総合研究所と労災病院とが協力して実施する協働研究ですとか、労災病院で実施する労災疾病等研究といったものについても引き続き取り組んでまいります。
 9ページを御覧ください。キのところですが、放射線に関する調査研究等です。こちらは、これまで労災疾病研究補助金で実施しておりました研究が機構の事業として指定されることを受けて、中期目標に倣い項目を追加しております。その下の研究の実施体制等の強化ですが、研究の実施に当たっては、大学や他の研究機関との連携を図ってまいります。また、機構では予防医療、病職歴、両立支援といった事業のデータを蓄積しておりますので、こうしたものを活用して、生活習慣病等の予防医療対策や両立支援等に関する研究、開発といったものに取り組んでいくこととしております。
 10ページを御覧ください。「(5)研究成果の積極的な普及・活用」ですが、労働安全衛生総合研究所で安全衛生技術講演会を開催し、調査・研究を紹介いたします。研究施設の公開なども行い、研究成果の普及・活用に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。指標としては、安全衛生技術講演会有意義度調査といったもので、平均点2.0点以上の評価を得るということで、新たな目標設定がされているところです。
 11ページを御覧ください。こちらは新たな項目になりますが、労働災害の情報分析機能の強化及び分析結果の効果的な周知ということです。先ほど厚生労働省のほうからもお話がございましたが、労働災害が発生した際に、労働基準監督署に報告される労働者死傷病報告がございます。これについて統計処理を行い、災害原因等の要因解析を行うものになります。また、今年度から労働安全衛生総合研究所に移管された「職場のあんぜんサイト」がございます。こちらにおいて労働災害に係る統計や事例などの公表に加え、研究成果等についても情報発信を行ってまいりたいと考えております。
 「(7)化学物質の自律的管理への支援」についてですが、事業者が自律的に管理することとなったために、安衛研に職場の化学物質管理を支援するためのWebサイトを設けて、情報を発信しているところです。今後もGHS分類、モデルSDSなどの情報を適宜発信することで、事業者の支援を引き続き行ってまいりたいと考えております。
 12ページです。「6 化学物質等の有害性調査の実施」です。有害性調査を実施しておりました日本バイオアッセイ研究センター、こちらは来年度から労働安全衛生総合研究所と統合となり、民間ラボに移転した上で、短期の吸入試験、経皮試験を中心に有害性調査を実施することとしております。
 13ページを御覧ください。こちらは産業保健事業の関係です。産業保健事業の関係では、次期中期におきましてはニーズが高まっておりますメンタルヘルス不調、化学物質規制に係る研修を拡充してまいります。また、化学物質規制については、産業保健総合支援センターの産業保健相談員として委嘱する労働衛生コンサルタントなどの方がいらっしゃいますが、そうした方が相談に応じられる体制を整備してまいります。
 14ページを御覧ください。産業保健総合支援センターで行う健康管理に関する研修の対象に、新たに労災保険に特別加入している個人事業者の方も加えることとしております。また、商工会、商工会議所、事業協同組合等のほか、労災保険の特別加入団体と連携し、事業主団体等における産業保健活動に対する助成等の支援を行っていくこととしております。
 その下の「(3)メンタルヘルス対策の推進」のところです。先ほど申し上げましたメンタルヘルス不調に係る研修の拡充のほかに、メンタルヘルス対応の専門的な知識・経験を有する産業医などのスタッフを産業保健総合支援センターに配置し、事業場におけるメンタルヘルス対策支援を行ってまいります。また、その下の(4)は、地域産業保健センターのコーディネーターを中心に労働局や労働基準監督署と連携を図り、新規訪問先を積極的に開拓してまいります。
 15ページです。未払賃金の立替払の関係です。未払賃金の立替払事業ですが、迅速かつ適切な立替払を実施していくためには、破産管財人となります弁護士などの関係者の理解・連携が重要になります。このため、破産管財人等への研修会、裁判所への協力要請を引き続き行うこととしております。また、請求者向けリーフレットの改訂等情報提供の強化にも取り組んでいくこととしております。また、先ほど厚生労働省からもお話がありましたが、未払賃金立替払請求のオンライン化を進めているところです。令和7年度末に改修を行う予定です。
 16ページを御覧ください。「9 納骨堂の運営業務」については、毎年の産業殉職者合祀慰霊式を滞りなく開催していくことと、新たな取組としてIT技術を用いた霊堂の環境整備を行いたいと考えております。具体的には、霊堂周辺や納骨堂、また、慰霊式の臨場感のある映像といったものを360度動画などで提供することにより、来堂が困難であっても、そうした場を疑似体験できるような新たなものを構築していきたいと考えております。また、納骨堂や慰霊式などについて多くの方々に知ってもらうために、厚生労働省にも御協力をお願いしまして、関係機関を訪れる国民の方々の理解を深めていただくことを考えております。
 17ページを御覧ください。「第2 業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置」になります。令和6年4月から、医師の時間外・休日労働上限規制が適用されることになります。このため、医師の労働時間短縮に向けて、引き続き取り組んでまいります。
 18ページを御覧ください。「4 情報システムの整備及び管理」です。デジタル庁の方針にのっとり、PMOの設置等の体制整備を行い、情報システムの適切な整備・運営を行ってまいります。
 19ページを御覧ください。「第3 予算、収支計画及び資金計画」の関係です。「1 労災病院の経営改善」としては、患者数の減少、物価の高騰など厳しい環境が続いております。支出の抑制及び収益の確保を図りつつ、地域における人口・疾病構造の変化等を踏まえ、地域の医療ニーズにより適合した病院となるよう、各労災病院の実情に応じて病院機能の見直し、合理化を図ることとしております。
 24ページを御覧ください。「3 内部統制の充実・強化等」になります。機構の理念であります「勤労者医療の充実」、「勤労者の安全向上」、そして「産業保健の強化」の3本柱がございますが、引き続き各種会議等で様々な機会を用いて職員に浸透を図る、職員一人ひとりが機構に与えられた役割を全うできるように努めてまいります。
 最後に25ページの「7 広報に関する事項」です。広報に関しては、これまでもホームページ等で情報発信してきたところですが、引き続き積極的な広報・情報発信に努め、機構の役割・業務等について広く国民の理解が得られるよう取り組んでまいりたいと思います。中期計画(案)に係る説明は以上です。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○今村主査
 ありがとうございました。中期目標・中期計画、共によく整理されて的確に御報告いただき、ありがとうございました。取り分け、個人的な印象でありますけれども、中期目標のところで目標を3種類の色に分けて、勤労者の医療の充実、勤労者の安全の向上、産業保健の強化と、機構の理念を、まずきちんと分かりやすく整理していただいて。これで、むしろ委員から、いろいろ積極的な意見が出るのではないかと期待されるぐらい分かりやすい報告で、本当にありがとうございました。それでは、これから御説明いただきました中期目標(案)と中期計画(案)について、どうぞ御自由に御意見、御質問等がございましたらお願いいたします。
 
○安井構成員
 御説明いただきまして、ありがとうございました。目標に関して3点、計画に関して1点、ご質問がございます。まず、資料1-1の1ページです。右上のところですけれども、勤労者の安全向上の2ポツ目に、労働災害が増加している要因として、労働者の高齢化や第3次産業への就労者の増加という記述がございます。高齢化は分かるのですが、第3次産業への就労者の増加が労働災害にどのようにつながっているのかについて教えていただけませんでしょうか。第2次産業が工業ですから、第3次産業はサービス業に当たります。サービス業のシェアが拡大すれば危険性を伴う業務は減るので、労働災害も減ると考えるのが自然ではないでしょうか。
 次に5ページ目、プロジェクト研究の②についてです。ここに中高年女性中心の作業行動に起因する労働災害防止対策の推進が挙げられています。中高年の女性の就労が進んでいるということを受けて、このようなプロジェクト研究を起案されたと思います。他方、中高年男性の作業行動に起因する労働災害に関する知見は、十分な研究蓄積があるという御認識なのかどうかについて教えていただければと思っております。
 それから10ページ目、業務運営の効率化についてです。指標として、一般管理費については15%程度、事業費については5%程度、もちろん人件費等を除くということですけれども、こうした削減目標を掲げられております。前回の中期目標を確認したところ同じ数字でした。今後、マイルドなインフレが今後定着していく中で、この15%減らしていくとか、5%減らしていくのは、かなり大変だと推察されます。削減見通しについて、やや詳細に教えていただけると有り難く存じます。
 最後に、計画に関してです。資料の1-2、17ページにおける、1 業務の合理化・効率化の2つ目の○で、今まで適用除外になっていた、時間外労働の上限規制が今年の4月から医師にも適用されることから、労働時間短縮に向けた取組を実施していくとしております。これはどのような手段で取り組まれるのでしょうか。下の○のところにあるWeb会議の継続的な実施とか、電子決裁の利用の徹底で、労働時間の短縮が実現できるとお考えになっていらっしゃるのでしょうか。これら4点について、教えていただけると幸いです。
 
○今村主査
 まず、所管課のほうからお願いいたします。
 
○労働基準局安全衛生部計画課長
 御質問ありがとうございました。厚生労働省でございます。まず、3点御質問いただきました。1点目の第3次産業のところでございますが、第3次産業の労働災害が増えており、具体的には、おっしゃるとおりサービス産業というところになってくるわけです。イメージしやすいところで申し上げますと、社会福祉施設、介護施設であり、そうしたところでは働いている高齢者の方が増えてきている。他方で若い方が、介護経験が浅かったりとかする方が、腰痛で労働災害になるといったことがあります。高齢者の方は転倒です。そうしたところで第3次産業の労働災害がかなり増えてきているというような状況があります。この1ページ目の「労働者の高齢化や第3次産業への就労者の増加に伴い」というところで、「転倒」、「動作の反動・無理な動作」というところ、動作の反動・無理な動作というのが腰痛の部分でございます。そこが1点目でございます。
 2点目の5ページ目のところでございます。プロジェクト研究の②の「労働者の作業行動に起因する労働災害防止対策の推進の視点」というところで、(中高年の女性中心)と書かせてもらっておりますが、この中高年の男性の部分の状況についてということで御質問だったかと思います。この部分につきまして、基本的には中高年の方、男性であれ女性の方であれ、労働災害が多い傾向にございます。今、データを持ってないので、データをお示しはできないところなのですが、他方で、特に中高年齢者の女性、男性と比べましても、かなり高い労働災害率という状況になっておりますので、ここのプロジェクト研究の②では、特にという意味で、中高年の女性中心という形で書かせてもらっているということでございます。
 3点目の15%、5%削減のところでございます。先ほど安井構成員のほうからお話がございましたが、これは現行の中期目標・中期計画でも同じような記述がございます。次期の目標・計画でも同じようにということで考えているというものでございます。基本的に独立行政法人は、業務の削減というか、業務の実施に当たって効果的・効率的に実施をしていくということが求められております。何らかの削減という形で求められているというところで、事業費で言うと5%削減といったところを示しておりますので、これは我々としてもかなり厳しい、辛い状況ではございます。特に独法自身におかれては大変な状況にあるかと思っておりますが、これは全体の政府の方針ということもございまして、こうした目標規定を書かせていただいているというところでございます。しっかりと、この目標の中にも書かせてもらっておりますけれども、業務の実施に当たって効果的・効率的な実施ということを引き続きやりつつ、この目標の達成に向けて、我々としても、また機構におきましても、しっかり対応していきたいと考えているというところでございます。以上でございます。
 
○今村主査
 では、法人のほうからお願いいたします。
 
○労働者健康安全機構理事(藤枝)
 総務担当理事の藤枝です。御質問いただきました労働時間の関係です。資料の17ページにあるWeb会議の実施や電子決裁の利用については、むしろ機構本部の事務職員を中心とした業務効率化の取組の記載です。医師の時間外労働の規制については、率直に言って大変な重い課題で、いよいよ今年の4月からということですので、今、各病院は非常に準備に追われているところです。まず、年間960時間の規制を上回る特例水準を申請している病院が、今は10病院ありまして、それぞれ申請に当たっての評価センターの評価を受けて、今後、都道府県の認定を受けて実施していくということです。特例水準を申請しない病院においても、いずれにしても、時間外労働の削減に努めていかなければいけないということです。
 特にドクターの方というのは、時間の長さを顧みず診療行為をこれまで必死にやってきたということもありまして、労働時間の把握がしっかりなされていない部分がありましたので、まずそこからしっかりやっていかなければいけないということで、医師の方の労働時間の把握、様々なシステムなども活用しながら把握した上で、例えば、特定のドクターの方に時間外が偏っていれば、その要因をヒアリングして、業務分担の平準化を図るというような地道な取組も行っているところです。
 あとはタスクシフトです。医師が行っている業務のうち、看護師でできるもの、あるいは看護師がやっていた業務のうち、ほかの医療職でできるもの、事務職でできるもの、そういったものをシェアすることによって医師の時間外を減らす。さらに、医療クラークと言いますか、事務補助者などの配置などによって、ドクターの事務仕事を減らす。これまではどうしても診療優先で、カンファレンスや勉強会を時間外に集まってやっていたということがありますので、できるだけ時間内にそういった会議等を実施するとか、それぞれ各病院で地道な取組を積み重ねて、何とか4月からの規制に対応しようということで現在取り組んでいるところです。
 
○安井構成員
 ありがとうございました。目標に関して、1点目と2点目はよく分かりました。もっとも、3点目の事業費の削減については、一般管理費には例えば、賃料、消耗品費、通信費、事業費には旅費、交通費等があるかと存じますが、そのどの費目を減らそうとしているのか、もしお考えがあれば教えていただきたいです。
 また、計画に関する質問へのご回答についてはよく分かりました。医師の労働時間の把握や、事務を補助してくれる方へのタスクのシフトなどによって改革されるということですね。一点よく聞き取れなかったのですが、カンファレンスについては、今まで時間外であったものを時間内にするということでしょうか。
 
○労働者健康安全機構理事(藤枝)
 時間内にすると。
 
○安井構成員
 時間内にする、ということは、労働時間が増える方向に働くのではないですか。
 
○労働者健康安全機構理事(藤枝)
 残業して行っていた会議を所定の時間内でできるように、職員間で業務を調整できないか、そういった仕組みを考えているということです。
 
○安井構成員
 所定内労働時間が増えるというわけではないということですか。
 
○労働者健康安全機構理事(藤枝)
 それはないです。所定内で、多数の職種が集まるのが難しくて、時間外、例えば、18時以降に集まっていたものを、なるべく残業にならない時間内でできないかといったことも取組の1つとしてやっていくということです。
 
○安井構成員
 それは労働時間の適正把握の一環であるとか、そういったことですか。
 
○労働者健康安全機構理事(藤枝)
 そうです。適正化という形です。
 
○安井構成員
 分かりました。ありがとうございます。
 
○今村主査
 ありがとうございます。どうぞ。
 
○労働基準局安全衛生部計画課長
 追加の御質問の件です。一般管理費の15%の削減、事業費の5%削減というところで、これをやっていくというのは難しいところかなと思っております。また、実際、機構で対応していただくということになります。この中期目標の中で書かせてもらっているのは、もちろんそれぞれの事業の効率化を図るのは当然ですが、一般管理費の部分で言いますと、なかなかこれは簡単には、難しいのかもしれませんが、給与面での見直しとか、そうしたところも適正化という形で、以前からも書かせてもらっていますが、そうしたことがあるのかと思います。
 一般管理費で言いますと、いろいろな会議等々の効率的な運営といったことも、場合によってはあるかもしれません。既に機構のほうでも行っているかとは思っております。そうしたところを中心に考えていきたいと思います。事業費については、事業の実施に当たって、それぞれの事業内容に応じて見直すべきところ、また、無駄があるところ、そうしたところについての効率化、削減といったところで、削減のパーセンテージの積み上げをしていくということになるのかと思います。直接的な回答になっていないかもしれませんが、そういう状況です。
 
○安井構成員
 これを見ますと、「人件費は除く」と書いてありますが、給与の適正化というのは、人件費には入らないのですか。
 
○労働基準局安全衛生部計画課長
 御指摘のとおりです。ここは、人件費は除くということになっております。先ほど私が説明させていただいた点は、訂正させていただきます。
 
○安井構成員
 ここに「国際的な議論を深める」と書いてある中で、旅費・交通費とかが過度に削減されて、リサーチなど、やるべきものがやれないという事態にならないようにお気を付けいただけるといいかなと思っております。以上です。
 
○労働者健康安全機構理事(藤枝)
 業務の効率化という形で計画には書かせていただきましたが、当然、コロナ禍からWebを使った様々な会議、オンラインでの取組を進めております。特に、両立支援コーディネーターの研修などは、オンラインでの受講が可能なことを仕組むことによって、逆に、受講者が増えて、より良い効果が出たというケースもあります。まだまだ我々もオンラインの活用が不十分なところもありますので、そういったことを広げていけば、物価高ではありますが、これまでのいろいろな事業もコスト面で削減しつつ、今まで以上の効果を出すことができるものもあるのではないかと感じておりますので、そういった取組を続けてまいりたいと思います。
 
○安井構成員
 ありがとうございました。
 
○今村主査
 是非、デジタルトランスフォーメーションの努力もお続けいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 
○宮崎構成員
 御説明ありがとうございます。中期目標について、資料1-1の4ページで、両立支援の所で、(2)に「近年社会的なニーズが高まっているメンタルヘルス不調に係る対応も含め」と書いてありますが、私は、去年の夏の評価のときも、やはり産業構造が大分変わっていて、サービス業が中心になっていますので、やはりメンタル不調というのが働く方の中では、リモートワークとかいろいろ増えていますので、ここへの対応が社会的なニーズとして高いのではないかというコメントをさせていただきまして、そういったのが次期中期目標に入っていて、非常に個人的には評価したいと思っております。
 この文言はよろしいかと思いますが、その下の指標の所を見ますと、罹患者の件数の対応が1,200件とか、満足度90%となっています。せっかく、メンタルヘルスにフォーカスしていただいているのであれば、トータルの件数はこれでよいと思いますが、何かメンタルヘルス対応に関しての取組の評価指標なり、件数なりを検討いただけるとよりよろしいかと感じました。この件数だけが増えても、個人的な印象ですが、余り指標が変わらないのではないかという印象が少しありまして、是非、御検討いただければと思います。
 同様に、資料1-1の8ページ、産業保健活動の支援やメンタルヘルス対策の推進となっていて、メンタルヘルス対応を非常に強化、体制整備していただけるという目標になっていまして、これは個人的に非常に評価したいと思っております。
 同様に、8ページの指標を見ますと、研修が5,300回とか相談が13万件以上となっていまして、同じく、メンタルヘルスケアに新たに取り組むことに関しての何か指標も検討いただけるとよりよろしいのではないかと思いましたので、この点だけ返答を頂ければと思います。以上です。
 
○今村主査 どうぞ、お願いします。
 
○労働基準局安全衛生部計画課長
 御質問、御意見ありがとうございます。今いただいたメンタルヘルス対応の指標の件については、我々としては、今回示した指標ということでお願いをさせていただいたり、この内容については、機構とも相談しつつ、こういう形で対応もさせていただきたいと思っておりましたが、今、御指摘いただきましたので、どういう形で対応が可能かどうかということについては、少し考えていきたいと思います。以上です。
 
○今村主査
 これは定量的な評価としてはこの数値目標ですが、定性的な評価としていろいろ規律する部分があるかと思いますが、その辺についてのお考えはいかがですか。
 
○労働基準局安全衛生部計画課長
 今、主査のほうから御指摘いただいた点も含めて、どのような形で対応できるのかというのはもう少し考えてみたいと思います。
 
○小野構成員
 私は病院関係で、労災病院のほうを注目しております。計画のほうでお聞きしたい点があります。まず、2ページの地域医療への貢献の、地域医療支援病院の救急応需率70%以上を目標ということになっていますが、お聞きしたいのは、ここ数年、どの程度の応需率があったかどうかということが1つです。
 次のページに、第三者評価の目標がありますが、現時点で、何病院中何病院が第三者評価を受けられているかどうか。もう一点は、ICTについてですが、先ほど電子処方箋の話がありましたが、今、電子処方箋がまだまだ進まないのが現実で、まだ取り組んでいる所は少ないわけですが、労災病院のほうでは、どの程度電子処方箋についての進捗状況があるかどうか。この3点についてお聞きしたいのですが、よろしくお願いします。
 
○今村主査
 法人のほうから、どうぞよろしくお願いいたします。
 
○労働者健康安全機構理事(永江)
 現在、救急搬送応需率については、69.8%ぐらいが地域医療支援病院の25病院の平均です。続いて、病院機能評価を受審している病院については、労災病院29病院中27病院が受審済みです。来年度の12月に1病院受審しますので、それが通りますと、28病院ということになります。医療DXの所で、電子処方箋については、今年の6月ぐらいを目途にシステムの導入、若しくは契約を済ませるという方向で進めているのが実情です。
 
○小野構成員
 ありがとうございました。救急応需率ですが、地域医療支援病院としての建前として、やはり、救急は重傷の方を受けるという1つの使命がありますので、現在、69.8%の応需率というのは高いとは思いますが、そうであれば、70%とは言わず、75%でも目標としていいのではないかとちょっと思ったところです。中の病院の事情もあると思いますので、是非、応需率を上げるように取り組んでいただければと思います。
 病院機能評価については、達成可能な範囲であるということで、まだ未認定の病院に対していろいろなアドバイスをするとか、是非、組織的に連携を取りながら、全施設が第三者評価の認定を受けられるように努力していただければと思いました。
 電子処方箋については多分、ハードルは高いと思います。病院だけの問題ではなく、調剤薬局側の問題もあるかと思いますので、大変難しい問題だとは思いますが、高いレベルで、取り組んでいただけるのは、日本のほかの病院に対しても良い影響があるのではないかと思いますので、是非、よろしくお願いします。ありがとうございました。
 
○今村主査
 法人からありますか。大丈夫ですか。
 
○三宅構成員
 横浜国大の三宅です。私からはコメントが2つと、質問が2つあります。まず、コメントというか全体の印象として、理念が明確になったということで、非常に分かりやすく業務が明示されて非常に良いことだと思います。
 もう1つは、どうしても評価をしなければいけないので、数値目標を掲げるということになるのですが、先ほど主査からもコメントがありましたように、余り数字だけにとらわれるのではなくて、定量的な評価だけではなくて、定性的なものも非常に重要な視点だと思います。その点で言いますと、例えば、前期の第4期のときというのは、やはり、コロナで3年間ほど非常に厳しい業務の中で尽力されてきたということがあって、それを実績として、また第5期に向けてということになりますと、余り数字というよりは、5期の終了時点での評価において、数値目標はある程度目安としながらも、中身の質のところで、定性的な内容で評価をしていくということも念頭に置かれたらいいかなと思っています。以上、コメント2件です。
 質問に関しては、計画のほうで2つほどあります。先ほどから事業費の削減で非常に業務が厳しい、しかも、その中で効率化を図っていくとなりますと、やはりDX化とか、情報システムとの連携というのは不可欠だと思います。これはセットで考えなければいけないので、どのように進めていくのかということです。特に、質問としては、そういったときに専門的な人材が必要になってくるであろうと思います。例えば、DXなり、情報システムを進めていくときの専門人材をどういうふうに確保して育てていくのか、あるいは、どういうふうにアウトソーシングを活用していくのかということを、1つ質問としてお願いしたいと思います。
 2つ目の質問としては、幾つかの組織の統合や連携を進めていく上で、ざっと見た感じで、安衛研に対して非常に負担が増えているように思います。これはセンターの統合や職場安全サイト、化学物質管理のための組織を整備するといったことで、安衛研の負担が非常に増えているなと思いますが、先ほどのDXと似たようなことですが、この辺りに関しての人材の確保、育成、あるいは新規の採用、こういったことをどういうふうに考えていけばいいのかということです。
 最後に、先ほど申し上げた理念を浸透させていくということが書かれていましたが、非常に多忙な業務の中で、その理念をどのような形で具体的に浸透させていくのか、その方向性についてお考えがあれば、お聞かせいただきたい。質問は、以上3点です。よろしくお願いします。
 
○今村主査
 重要な御指摘ありがとうございます。法人のほうから、計画ですので、お願いいたします。
 
○労働者健康安全機構理事(髙野)
 デジタル人材のことについて髙野から説明させていただきます。近年は、病院においてもサイバー攻撃事案が多発しているので、情報セキュリティ対策をはじめ、電子カルテや業務システムにおけるデジタル人材の重要性は増していると考えています。
 現在は、各施設において、当該のシステムの整備状況を踏まえ、必要に応じてデジタル人材を外部に業務委託しているのですが、今後は、デジタルトランスフォーメーションの進展などを踏まえて、職員の育成や確保を検討したいと思っています。例えば、職員にデジタル庁が実施するデジタル庁情報システム統一研修、また、厚生労働省が実施する医療情報セキュリティ研修を受講させることも検討していきたいと思っております。私からは以上です。
 
○労働者健康安全機構理事(丹羽)
 安衛研の組織充実等について御質問いただきまして、ありがとうございました。先生おっしゃるとおり、安衛研は安全と衛生の両者が18年に合体して以降10年以上たって、さらに、労働者健康安全機構としても8年たったわけです。その間、過労死や放射線、化学センター等、様々な分野で、取り扱う範囲が広がっておりますので、それぞれの専門分野で新たな人材を確保すべく、大学等とも連携して、新たな人材確保について、日々、スカウトではないですが、そういった形で人材確保に向けて活動しているとともに、当然、新旧交替と言いますか、年配の方が引退して、新たな人材を確保しなければいけないという場面も当然出てきますので、いろいろな分野で新たな人材を確保すべく、日々、頑張っていただいているということです。
 安衛研ですので、最初、入ってから3年の任期を経て、専門的にやっていただくような形で、本採用と言いますか、そういうシステムでやっております。先生からいろいろ御指摘いただいたとおり、今回、バイオの部分が統合しますので、そのバイオの部分は旧バイオと言っていいのか、その部分が基本的に合流しますので、まずはそこの融合を図っていくことが大事だと思っています。ただ、その有害性の調査の分野についても、また新旧交替とかいろいろありますので、その分の人材確保についても、日々、いろいろな形で努力していきたいと思います。以上でよろしいでしょうか。
 
○三宅構成員
 結構ですが、具体的にどういうふうに考えておられるのかということを、もう少し具体的なお話が聞きたいと思いましたが、現時点で難しければ結構です。
 
○労働者健康安全機構理事(藤枝)
 それでは私、藤枝から、理念の共有の話がありましたので、お話をさせていただきます。
 今回、勤労者医療の充実、勤労者の安全向上、産業保健の強化という理念に即した目標設定を厚生労働省にしていただいて、今日も御評価いただいたように、我々自身も分かりやすくなっているということがありますので、こういった理念について、改めて各種会議の場、例えば、病院長を集めた院長会議、新規採用職員の研修、階層別の研修、そういった場でも、これまでもやっていたつもりでしたが、改めて3つの理念を軸とした説明をしっかりしていきたいと思っております。
 これは前も申し上げたかもしれませんが、今日の我々の計画の資料の1ページ目にもありますが、johasのロゴマークを作りました。これは全職員に募集して、職員が考えたマークです。それも職員の投票で選んで決定しました。当然、ロゴマークを募集するに当たっては、機構の3つの理念を表わすものとして、どんなロゴがふさわしいかということで募集をして、職員も、改めてこの理念を考えた上で応募していただいたということで、1つのきっかけにはなったかなと思っております。いろいろな方法を考えながら、職員一人一人にこういった理念が浸透するように取り組んでまいりたいと思っております。
 
○三宅構成員
 分かりました。各企業におかれても、会社の理念や組織文化を、いわゆるトップ層から現場まで一体で考えていかなければいけないのですが、なかなか苦労しているところだと思います。ですので、機構のほうでも積極的に取り組んでいただければと思います。どうぞよろしくお願いします。どうもありがとうございました。
 
○今村主査
 時間まで若干ありますので、それに関連して、今、三宅先生がおっしゃったように、理念をきちんと明確に出して、それを末端まで共有するというプランは非常に素晴らしいと思います。具体的にどうするかというところで、今、正に一般職員が提案してというのは素晴らしいと思いますが、例えば、皆さん御覧になったと思いますが、この間NHKのBSで、『欲望の資本主義2024』という、「日本のカイシャと生産性の謎」という中で、ヴェブレンを取り上げて、一人一人がみんな職人技本能を持っていると。だから、ブルーカラーもホワイトカラーもないのだと。縦割りで、トップダウンでやるというガバナンスはもうやめて、みんなで共有して目標に向かって進むということをテーマの1つにしていたのですが、そういう方向に進んでいるのではないかと思って頼もしく思いました。
 それから、機構さんの理念の共有で、一番重要なのは、社会に貢献しているのだという、人の役に立っているという気持ちを皆さん持っているのは素晴らしいと思って、これはミーハーで申し訳ないのですが、今、世界を席巻している『ゴジラマイナス1』の映画の中で、吉岡秀隆さんが、「この国、日本は人の命を大切にしなさ過ぎた。戦闘機には脱出装置もなくて」というようなことを言っている。これは生産性の場合の働き方に関わってくるのですが、是非、機構の皆さんに、せっかく理念ができたので、そうやってみんなで社会に貢献しているのだという充実感というか意欲を共有させていただければ、例えば職員のメンタルヘルスの問題でも、もしかしたら、もう少しうまく回るのではないか。これは私の勝手な印象です。今の三宅委員の発言に関わって、発言させていただきました。ほかの先生、いかがですか。
 
○酒井構成員
 法政大学の酒井です。厚生労働省側及び法人側からの丁寧な説明をありがとうございました。
 私からは2点ほど質問があります。計画の11ページに基づいて話をさせていただきます。④の(6)、「労働災害の情報分析機能の強化及び分析結果の効果的な周知」ということで、ここの文言は、目標の文言とほぼ同じと認識しておりますが、「労働者死傷病報告のデータを効率よく統計処理し、災害原因等の要因解析を行う」ということで、私の認識では、オンライン化がこれから始まるだけであり、死傷病報告自体は今に始まった話ではなくこれまでのデータも蓄積されていることかと思います。
 具体的にデータを効率よく統計処理し、災害原因等の要因解析を行うということを目標、計画に掲げられていますが、従来の分析とどのように異なることをされようとしているのかということに関して、私は具体的なイメージが湧いておりませんので、新たにどういうことを行おうとしているのかということに関して、お考えがありましたらお知らせいただきたいと思います。
 そのことに少し関係するのですが、目標にしても、計画にしても、大きな日本の労働市場の変化として、高齢化や女性就業の増加、産業構造の変化という大きな流れが捉えられていて、それを前提にした計画目標と考えられますが、同時に、もう1つ大きな日本の労働市場の変化として、外国人労働者が今後増えてくることが挙げられるのではないかと思います。この外国人労働者の労災の問題というのは、在留資格によっては、日本人労働者よりも著しく高いのではないかという、一次的な分析の結果も出ているかと思います。そういった外国人労働者に関する労災要因の分析がここに入ってこないのかということで、入ってきたらいいのではないかという願いも込めて、その辺りのお考えを伺いたいというのが1点です。
 もう1つは、雲をつかむような質問、コメントになってしまうかもしれませんが、全体の業務運営、あるいは内部統制ということに関して非常によく考えられているなと好印象を持っているのですが、少しだけ思ったのは、理事長の強いリーダーシップや指導力といったことと同時に、これは先ほどの主査のコメントとも関わるかもしれませんが、ダイバーシティというか、もう少し組織の多様性みたいなことに関してはどのように考えられているのか。今、ガバナンスといったことが挙がってくると、必ずダイバーシティの重要性が言われるかと思いますが、そういったことに対して、特に問題ないという御意見でも構わないのですが、ダイバーシティという側面が見られないかと思われましたので、もしお考えがあれば教えてください。以上です。
 
○今村主査
 どちらでもお答えになりたいほうから、どうぞ。
 
○労働者健康安全機構理事(丹羽)
 災害分析のお話で御質問を頂きました。先生も御承知のとおり、労働者死傷病報告は今までは紙ベースで出されていたのですが、特に事業場名、各種データのほかに発生概要として略図があったのですが、あれは正に手書きのもので、打ち出してもPDF化なので、それが今後、オンラインで死傷病報告が出てきますと、その略図の部分もテキスト化されるので、非常に検索もしやすくなるということです。ここに書いてあるとおり、「データを効率よく統計処理し」ということにつながっていくものだと思っております。ちなみに、今までは読み取って手作業で集計していたので、非常に労力が掛かっていたのですが、それが基本的に効率化されるということです。
 それと、外国人労働者についてのお尋ねもございました。外国人労働者対策としては、安全衛生教育をする上で、危険予知も含めて教育をしていく上で、教材の充実、各種言語に対応した教材等の充実を図ること、十分なコミュニケーションを取っていただくことが必要だと思っております。そういった、外国人労働者に特有な事情を踏まえた、より効率的な教育が行えるように研究所で工夫してまいりたいと思っております。
 
○労働者健康安全機構理事(藤枝)
 ダイバーシティについてどうかという難しい御質問を頂きました。まず、女性活躍という面でも、医療現場は、女性中心と言ってもいいぐらいの職員の方々が活躍されております。機構本部においても、女性の登用に積極的に努めているところです。
 また、障害者雇用についても、過去に当機構では不適正な事象がございました。その反省を踏まえて、積極的に雇用を進めております。今、独立行政法人の障害者雇用率は2.6%ですが、現状は3%を超える数の障害者を雇用しております。仕事の内容も、例えば病院であれば単に事務補助ではなくて、薬のピッキング、仕分けといったものを手伝っていただいたり、精神障害者の方には、適切な環境を整えた上で、様々なデータ入力をしていただく、そういった取組を進めております。
 外国人材についてはまだまだですが、そういった多様な人材の活用とともに、外部の有識者の意見とか、先ほどDXの関係で人材確保の話もございましたが、組織の中で育てられない、あるいは確保できない人材については、外部の人材を確保する、あるいは協力をお願いするような形にして、組織として足りない部分を外部人材の力を借りながら補っていくことが基本になるのかなと思っております。
 
○労働基準局安全衛生部計画課長
 1点、追加でお答えさせていただきます。外国人労働者の対策、対応ということで申し上げますと、今回お示ししている資料1-1の5ページの第3の4の(1)のプロジェクト研究がございます。その中の「④多様な働き方への対応や外国人労働者等の労働災害防止対策の推進の視点」といったところで、先ほど構成員から話もございましたが、外国人労働者の労働災害は確かに増えてきておりますので、厚生労働省としましても、外国人労働者に対する労働災害防止対策を進めていかなければいけないということで、今回の中期計画にも書かれておりますが、プロジェクト研究の項目として、こうした外国人労働者の視点も入れさせていただいているということです。
 
○酒井構成員
 まず、ダイバーシティに関する御見解については了解しました。
 死傷病報告、特に外国人労働者に関する労災ということですが、死傷病報告はすごく有益で大規模なデータだと認識しています。それが、大規模に、そのまま定量的に分析された研究というのは、必ずしも多くないのではないかと考えておりますので、是非分析をお願いしたいと思います。同時に、数年前から死傷病報告で外国人労働者を識別できるようになっているのです。調査項目上、そのようになっていると思いますので、正に死傷病報告を使っての外国人労働者の労災要因の分析は有益なのではないかと思っています。
 
○今村主査
 西岡委員、お願いいたします。
 
○西岡構成員
 既にほかの委員から指摘のあった箇所は省き、私からは2点質問させていただきます。
 目標設定に関してですが、資料2を拝見すると、コロナ禍の影響を考慮している項目と、特に明記されていない項目が見て取れます。
 例えば目標設定の考え方の1の「勤労者医療及び地域医療における役割の推進」については、コロナ禍の影響を踏まえて目標設定されているというように書かれていますが、2の「治療と仕事の両立支援の推進」などは、令和元年から令和4年の実績平均を踏まえて目標設定ということになっています。コロナ禍の影響を考慮する項目と考慮していない項目の違いとその判断基準があれば教えていただきたいです。これが一点です。
 もう一点は計画についてです。資料1-2のスライドの25の広報に関してという部分です。今後、引き続きホームページとかSNSの活用で、広報を積極的に進めていかれるということなのですが、これまでも積極的な取組をされていたと思います。今回、新たに取組を考えていることがあれば教えていただきたいと思います。以上の二点となります。
 
 
○今村主査
 計画のほうでよろしいですか。
 
○西岡構成員
 はい。目標設定の部分です。
 
○労働基準局安全衛生部計画課長
 御質問の点ですが、目標設定に当たり、コロナを考慮する部分とコロナを考慮していない部分ということで、何か明確な判断基準があるのかというお話でした。
 基本的な考え方として、コロナ禍で影響を受けた部分について、指標の設定をするに当たって、過去の実績を見ながら新たな指標を設定する形を考えております。その中で、基本的にコロナの影響を受けている部分で見たときに、過去の実績を見て、新たな指標を設定するときに、第4期中期計画の指標と、新しく設定するに当たって、そのまま今期のものを来期も同様に、同じ観点で指標を設定していいのかどうかといったところで、そこはコロナの影響があるかないかということも加味しながら、指標の中身によって考えて、指標設定をしているという部分があるという認識で対応してきております。
 
○今村主査
 機構から補足等があればお願いいたします。
 
○労働者健康安全機構総括研究ディレクター
 機構の総括研究ディレクターの大西でございます。今の本省の御見解にプラスアルファさせていただきます。
 簡単に言うと、病院はまだコロナの最中で、ポストコロナになっていません。病棟ではクラスターが起こり、医療者、看護師は、たくさん病棟で感染し、そこで病棟を閉めます。そして、またそれを復活します。でも、またコロナが増えてきました。
 ということで、病院はまだコロナの最中なのです。5類にはなりましたがコロナウイルスに何も変化はありません。治療はある程度確立しましたが、インフルエンザのように、タミフルを飲んでいれば予防ができるというような薬はまだございませんので、病院の中でのコロナ対応というのは何も変わっておりません。
 一方で、社会はポストコロナで、どこのフェスティバル、音楽会場に行ってもマスクなしで、野球もサッカーもマスクなしで応援していますので、その差と簡単に考えていただければいいと思います。
 つまり、コロナを考えなければいけないのは、病院の運営、いわゆる患者を診るという医療においては、今もコロナの影響を受けていますので、その指標設定は考えざるを得ないです。でも、治療と仕事の両立支援は、そちらについては、育てるということは社会の問題で、社会に関してはWebでやっていますので、コロナなどは恐れてはいられないということで、そちらについては考慮をしない。
 そういうことで、あくまでも医療に関してはコロナを無視できないということと、社会的には社会状況が違うということを御理解いただければと思います。
 
○労働者健康安全機構総括研究ディレクター 
 小野先生、それでよろしいでしょうか。
 
○小野構成員
 ただいまの説明のとおり、病院はまだコロナ対応を実行中ですので、なかなか難しい現状にあると思います。一般社会とは違った見方で対応していかないといけないと思っております。
 
○今村主査
 次をお願いします。
 
○労働者健康安全機構理事(藤枝)
 広報について説明します。現時点で、何か新しい具体的なアイディアを持ち合わせているわけではありませんが、ホームページの改修、X(旧ツイッター)の改修など、着手したばかりで、内容はまだまだなところがございますので、よりブラッシュアップして、分かりやすいものに取り組んでいくということです。
 あと、動画の配信とか、いろいろな手段がございますので、いろいろな取組を、ほかの法人、企業のものも参考にしながら考えていきたいと思っております。広報については、永遠の課題でございます。
 
○西岡構成員
 ありがとうございました。コロナの影響に関しては、先ほどの御説明で理解できました。
 広報については、先ほど御回答いただいたように、いろいろなやり方がアイディアとしてまだまだあるかなと思います。広報も非常に重要な部分だと思いますので、是非積極的に進めていっていただきたいと考えております。
 
○今村主査
 関口先生、お願いいたします。
 
○関口構成員
 コメントが2つ、質問を1つ申し上げます。
 まず、コメントです。先ほど来、DX人材、ICTの話が出ています。今、官民ともにDX人材を確保しようと躍起になっている中で、どういう具体的な取組をされるのかに非常に興味があります。アウトソーシングも含めてお考えというところですが、予算のこともありますし、本当によい人材を確保しようと思うと、かなり予算的にも上げていかないと人材の確保は難しいのではないかと思いました。
 2点目ですが、先ほど第3次産業の労働災害というところで、福祉系の事例が出ました。以前に調べたとき、転倒災害でいくと、運輸、小売系で非常に増えているという話がありましたので、その辺りも今回はフォローされるのかというところが、コメントも含めてのところになります。特に、小売などですと、イオンなどといったところが、体操をして、咄嗟のところで転ばないようにとか、そういったことを毎朝やっているということも紹介としてありましたので、その辺も含めて今回は対象にされるのかなと思いました。コメントです。
 3つ目としては、産業医の育成、あるいは産業保健関係に関する支援は引き続きされるということですが、今、産業医自体が少なくなっているというか、希望される人が減っていると感じています。これは私の勘違いかもしれないので、その辺りも含めてなのですが、産業医科大学のほうも、医科大学の存在自体も余り認知されていないというところで、優秀な、そういう志を持った方がなかなか医学部に入っていただけないという話を以前に聞いたこともあるので、その辺も含めて、機構としてどのようにお考えでしょうか。こちらは質問です。
 
○労働者健康安全機構理事(中岡)
 まず、産業医の数に関してですが、数が少なくなっているということはないと思います。ただ、一方で、地産保の活動に御協力いただけるような産業医は少ないのが現状だと思います。
 あと、それぞれの診療所で働いている先生で産業医を持っている方に御協力いただいているのですが、診療所などは、忙しくて、木曜日が休みの診療所が多いのですが、木曜日の午後だけしか協力できないとか、そういったことで、御協力いただける産業医の先生の数が少ないというのが現状で、すごく熱意をもって御協力いただいている産業医の先生に頼りきっているというのが現状です。これについては、医師会ともいろいろと話をしていかなければいけないと考えています。
 
○今村主査
 関口先生、よろしいでしょうか。
 
○関口構成員
 ありがとうございました。
 
○今村主査
 梅崎先生、よろしくお願いいたします。
 
○梅崎構成員
 私の自分の研究分野、領域から関心を持っているのは、治療と仕事の両立支援、それから、メンタル不調者の就労のサポートということが、大変困難であり重要だと思っております。
 今現在の枠組みとしては、医療機関のサポートがあり、企業のサポートがあり、それを調整するようなものとして、両立支援のコーディネーターがいるというもので、これ自体は大きな枠組みとして私は重要だと思っています。困難を超えるためには、企業というものの中に誰が支援者としているかということになりますと、資料に書かれているものとしては、産業医、産業保健スタッフ、人事労務担当が、1つの企業の中にいるという想定になっていると思います。実は、大きなフレームの中で、企業の中に、産業医、産業保健スタッフの立場で支援しているものと人事担当者の側で支援しているものに、対立とは言わないまでも、大きな調整があるというように思います。
 産業医の方、若しくは産業保健スタッフの方であれば、個人のメンタル不調ならメンタル不調、リハビリならリハビリというものの個人のサポートということになるのですが、人事労務担当、しかもその人事労務担当のところには職場の管理職の人たちがいて、ときにバッティングしたり、調整が必要になる。そこにどうやって介入できるのかなという枠組みを考えると、アイディアがあるわけではないのですが、離職者が多いというのは、「支援」という言葉だけにいろいろと入ってしまうのですが、基本的には仕事を切り出したり、仕事を配分したりという、本当に管理職の現場の課長とか係長がやっていることと治療の問題などをどう両立させるかという問題になってくると思うのです。
 そうなりますと、これは一丁目一番地のところの仕事の配分と医療的治療の支援をどう両立させるかに関しては、最初に言った枠組みではまだまだ狭くて、企業内における幾つかのプレーヤーのことを考えなくてはいけない、支援者のことを考えなければいけないということになるので、何か取組があるのかというものが第1と、仮に取組というのは難しいと思うので、調査ですね、どのようなやり方だったら本当にうまくいくのかということは、医療機関と企業の中ではなくて、むしろ企業内における取組事例がかなり重要になってくるのではないかと思っております。今後の企画としてあったら教えてほしいと思いました。
 
○今村主査
 まず、厚労省からお答えいただけますか。
 
○労働基準局安全衛生部計画課長
 質問と意見を頂きました。ありがとうございました。
 確かに、企業の中における産業保健活動をどう維持していくかは大変重要な問題かと思います。産業保健スタッフの中に衛生管理者といった、ある意味では企業の立場でもあるし、人事労務管理担当者でもある一方で産業保健スタッフであるといった立場の方もいると認識しております。そうした中で、企業でどのような形で、実効的に産業保健活動を充実させていくのかというのは、我々としても大変重要な問題だと認識しているところです。
 他方で、産業医であれば企業の中の衛生委員会等に出席して、その中で意見を言っていく、事業主に指摘等をしていくこともできます。
 そういう観点で言いますと、産業医の方の人材育成と活躍の場を広げるといったところとして、厚労省としも大事な視点になってくるのかなと。そうすることによって、企業内における産業保健活動の充実にもつながっていくのかなと思っております。どこまでどういう形でできるのかというのは、厚労省としても、今、産業保健活動の充実については検討を深めてきていますので、今頂いた御指摘も踏まえて、しっかりと検討させていただければなと思っております。
 
○労働者健康安全機構理事(中岡)
 たくさんの点を御指摘いただきまして、どこまでお答えできるか分かりませんが。
 まず、メンタルについて、最初にも御質問があったのですが、社会的なニーズが高まっていることは認識していまして、それに対して対応していかなければいけないとは考えております。
 まず、両立支援に関して、今までメンタルの対応件数が少ないというのは事実です。これに何とか対応していかなければいけないということです。まず1つは、基礎研修で新たにメンタルヘルスの項目を増やして、基礎研修を受ける方に対して、それを周知します。あと、産業保健センターにおいていろいろと聞き取りをやったのですが、メンタル対応が得意であることは余り多くなくて、メンタル対応は苦手という産保センターは実際に多くあります。そういった所の人材の強化をしなければいけないということがあると思いますので、保健師とか看護学会、例えば日本産業看護学会とか保健師会といった所に話をしたり、心理職関係の団体に話をして、十分な知識と経験を有した方を御推薦いただけないかということで、産業保健センターの人材の充実を図ろうとしています。
 あと、産業保健センターで実際に対応するときに、難しい事案というのがあります。そういったところというのは、そういう問題点に対して相談できる体制も必要だと考えていますので、日本精神神経学会にお願いして、メンタルヘルス対策ができる支援、アドバイザーの方をお願いしようとしているところです。そういう形で、今の産保センターの状況を踏まえつつ、メンタルヘルスの対応を強化していくということは考えております。
 あと、両立支援を行う上で、事業場の認識が重要だというのは確かだと思います。それに対して、まず1つは、今の両立支援コーディネーターの育成をしているのですが、統計を取ってみると、医療関係の方が30数%、事業場の方が40数%ということで、今は事業場の方が多くいらっしゃいます。1つは、コーディネーターの数を増やしていくことが、事業場への周知にもつながっていくのではないかと考えています。
 事業場の産業保健ということですが、大企業と中小企業では全く状況が違っていると考えていまして、産業医の先生とか、安全衛生管理者の方がいらっしゃるような所というのは、ある程度そこで対応できていると期待したいと思うのですが、50人未満の小さな所、実際は10人以下の所もかなり多くありますので、そういう所での産業保健を今後の問題にしなければいけないとも考えているのですが、周知に関しても、事業主の方の関心とか、そういったものをどうやって喚起していくかということもありますので、すごく難しい問題と考えているところです。
 
○今村主査
 梅崎先生、よろしいでしょうか。
 
○梅崎構成員
 1つだけ、ちょっとずれてしまっているところがあるかなと思ったので補足しますと、健康な状態から治療が始まった、健康な状態からメンタル不調になった、メンタル不調でリハビリ的な出勤をするとなった場合に、私が今まで申し上げていたのは、いきなり前と同じだけ働けというのは無理なのです。当たり前です。もう1つは、何もしなくていいというのは無理なわけです。つまり、給料は払うけれども、何もしないでゆっくりしてくれというのはできないわけです。
 とすると、かつての働き方と、何もしないということはないとするならば、中ぐらいの、時間的なのか難易度なのか心理的不安なのかという仕事がなければ、職場の管理で言えば、どちらかの極端に寄ってしまうのです。とにかく、仕事がないから何もしないでくれ、仕事があるのですが、いきなり難しい仕事をしてくれと。そうすると、当座、復帰の前段階では中ぐらいの難易度、時間ということなのですが、「中ぐらいの」という言い方でお分かりいただけるかと思うのですが、これを生み出すことができるのは、基本的に職場の管理者でないと難しくて、産業医や産業保健スタッフというのは、医療とかサポート、心理の専門家かもしれませんけれども、中ぐらいの仕事を作り出すことが非常に困難で、外野的になってしまうということなのです。
 そうなりますと、誰がどうやって作るかというところに関して、積極的に企業の労務管理なり管理職の人に入ってきていただかないと、仮に産業医か産業保健スタッフがたくさん増えて、余りたくさんのことをやらせないでください、徐々にリハビリ出勤してくださいと理想論として言っても、管理職の方は、徐々にはできないということになります。階段的な徐々にというのを作っていくのは、職場の仕事内容が複雑になればなるほど難しいので、ここが一丁目一番地だと思うのです。いかに変えていくかです。
 だから、そのプレーヤーとして場合によっては人事担当、場合によっては現場の管理職の人たちにいろいろ御意見を伺ったり、工夫を集めていくことが重要だということになります。企業をイメージするときに、産業医か産業保健スタッフかと、メインプレーヤーだけではないということが、私が言いたかったことになります。
 
○今村主査
 大変重要な指摘をありがとうございます。厚労省も機構も、真剣にお答えいただきまして、ありがとうございました。時間が限られていますので、機構と梅崎先生でワークショップなどを展開していただいてもいいかと思います。
 土橋先生、お待たせいたしました。これで最後にしたいと思います。
 
○土橋構成員
 1点だけコメントです。目標にも計画にも関わってくると思いますが、かなりいろいろと研究部門を擁しているということで、プロジェクト研究等もいろいろと挙がっておりまして、確かに労働安全衛生施策的に重要なものがたくさん出ていると思います。
 ただ、相当な専門人材ですので、基礎研究のようなものをもう少し力を入れていけば、今後起こり得ることの先取り的なものもできるのかなという気もします。先ほど理念にもありましたが、そういったボトムアップ的なところがやりにくいといけないのかなということが気になりました。
 具体的に感じているところとしては、最近、カーボンニュートラルという流れがありまして、かなりエネルギーシステムを変えていくことも考えられています。全然そういうことをやったことのない事業者が燃料を作ってみたり、水素を使ったり、アンモニアを使ったりということがありますので、火災爆発系の産業災害も危惧しております。
 ただ、そういった分野については、安衛研などではかなり研究実績や蓄積があります。そういうところを更に進めて、うまくつなげていけるといいなと思います。
 ただ、このプロジェクト研究などの目標を見ていくと、余りマッチしないようなので、やっても評価されないのかなというマインドになってはいけないので、もう少し基礎研究、ボトムアップのようなところも重視されるような運営をしていただければというのがコメントです。
 
○今村主査
 機構側、お願いします。
 
○労働者健康安全機構理事(丹羽)
 御質問、御意見をありがとうございます。プロジェクト研究ではないのですが、安衛研では別途基盤研究もやっておりまして、そういった基盤的な研究も、目標にはないのですが、しっかり取り組んでいきたいと思います。
 また、GXについては、今後、成長戦略に沿って様々な分野での取組が想定されるのですが、そういった動きにも注視しつつ、どういった研究課題が今後あり得るか、厚生労働省ともよく相談して積極的に取り組んでいきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
 
○今村主査
 土橋先生、よろしいですか。
 
○土橋構成員
 基礎研究も評価されるような運営をお願いいたします。
 
○今村主査
 私の議事進行が悪くて10分ぐらい超過しておりますが、最後に法人所管課と法人から一言お願いしたいと思います。何より、今日の議論でたくさん出てきたのは、最初に理念を明確にして提示されたという、プレゼンテーションの成果ではないかと思います。まず、法人所管課、続いて機構側からお願いいたします。
 
○労働基準局安全衛生部計画課長
 安全衛生部計画課です。本日は、様々な角度から御意見、御助言、御質問を頂戴いたしまして、誠にありがとうございました。
 我々としましては、本日、この場で御議論いただき、また、出てきた意見、御質問等を真摯に受け止めまして、今後、新たな中期目標、中期計画の策定に、機構と一緒になり、連携して取り組んでまいりたいと考えております。本日、たくさんの御意見を頂きましたので、しっかりと対応してまいりたいと考えております。本日は誠にありがとうございました。
 
○労働者健康安全機構理事長
 本日のお話、有識者会議の構成員の皆々様におかれましては、私たちの中期目標や中期計画について、大変有意義な御意見を賜りました。誠にありがとうございます。
 私たちの機構は平成16年(2004年度)に独立行政法人、平成28年度に労働安全衛生総合研究所と統合して、それから、化学物質の有害性の調査事業などがあって、現在は4期20年ということになります。
 そういうことで、私たちの機構は、該当する法律に定められた目標を達成するために、先ほど来、「分かりやすい」と言っていただきましたが、大きな3つの理念を掲げて活動してきました。勤労者一人一人の人生、ないしキャリアパスを支えるという大きな目的がありますので、それに向かって日々努力しているということになります。
 今日も議論になりましたけれども、少子高齢化、人口減少という全体的なトレンドはあるのですが、働く現場においては高齢の労働者、特に女性の、いわゆる作業行動に起因する労働災害が増加しているということです。労働者そのものが亡くなるというデータは、どんどん減ってきているという中にあって、今お話したような、作業行動に起因する労働災害については、もちろん亡くなっている方はどんどん減っていますが、長らく休業しなければならない人はどんどん増えているという話です。
 このことは重要で、先ほど来の研究の対象にもなっているということになりますが、プラスアルファで発言させていただきますと、私たちの国の交通外傷に伴う脳外傷は着々と減っています。特に、最近ではヘルメットがありますが、その少し前から、飲酒運転に関する法令をきちんと守れというようになっていますので、俄然減っています。
 そのような形で、交通外傷に関する頭部外傷はどんどん減ってはいるのですが、実は労働災害に伴うそれについては、逆に増えていると。なおかつ、交通外傷は若者と、お年を召した方の二峰性という段階から、徐々に高齢者が増えてくるということになっているのですが、労働災害のみに関して言えば、大きな山が高齢者の所にどんときているということがあります。
 脳外傷そのものは、もちろん骨折やその他のけがも、お年を召した人のほうが若い人よりも治るのが遅いですけれども、取りあえず治ると。しかし、脳外傷に関して言うと、ここにおられる方は聞いたことがあると思いますが、高次脳機能障害ということで、誰かに助けてもらわないと日常生活もままならないという方も中には出てきてしまいます。
 そういう意味では、脳の可塑性という観点からすると、かなりお年寄りはつらいので、そういう意味では予防ということがとても大事になります。
 ですので、当機構が一生懸命やらなければいけない産業保健ということに関して言うと、例えば神奈川産業保健総合支援センターは、神奈川県の作業療法士協会と協定を結んで、出掛けていって、お年を召した方たちが転ばないようにどうするかというような話を一生懸命してくれています。そういう形で、少しずついろいろとやらなければいけないということがどんどん増えていますので、これからの疾病構造の変化等、全体の流れに沿った形で一生懸命やっていきたいと思います。
 今日も議論が出ましたが、医師の働き方改革については、4月から本当にどうなるのだろうということがあります。本当にどうなるのだろうという中に、恐らくたくさん働かなければいけないといった労災病院、10病院あると言いましたが、何とかなるのではないかといった残りの労災病院も、場合によってはかなり厳しい状況になることは想像しておかなければいけないのではないかと思っておりますので、そういう意味では、今後とも、平たい言い方をすれば、より充実したチーム医療を展開しなくてはいけないだろうというように思っている次第です。
 労災病院はそのような状況にありますが、コロナ禍を乗り越えるというか、今も戦っているわけではありますが、様々な社会的な状況で、大変な病院の運営になっております。ですが、そうは言っても、地域医療構想の中でそれなりの仕事をしていかなければいけないということになるので、頑張っていきたいと思います。
 第5期は、これまで当機構で行ってきた大事な事業をしっかりと継続しながら、社会的な変化に対応しながら、重要な中期期間になるということを腹に据えて、先ほど来お話した理念を皆で共有すると。さっきダイバーシティの話が出ましたが、多様な価値観をもった多数の職員が私どもの中で働くという話においては、確かにいろいろな人がいて、いろいろな価値観を持った、お互いにそれを尊重するというか、お互いに認め合いながらやっていくと。
 その中で大事なのは、共有する理念ということになるので、ダイバーシティを一生懸命やっているといった裏返しは、この理念に従って皆でスクラムを組んでいるという話と表裏一体だと思っていますので、その意味でのダイバーシティに関する価値規範を十二分に理解しながらやっていきたいと思う次第です。
 ということで、先生方に頂いた大変貴重な御意見を十二分に咀嚼させていただいて、今後の運営に取り組んでいきたいと思っているところです。
 本日は、大変貴重な御意見、重ねて御礼を申し上げます。誠にありがとうございました。
 
○今村主査
 大変意味深い御発言をありがとうございました。
 今日の議事は終了いたします。最後に、事務局からお願いいたします。
 
○事務局
 事務局より、今後の流れについて説明いたします。参考資料2を御覧ください。一番下の四角の囲みに、「令和5年12月~令和6年3月 独立行政法人の次期中期目標・次期中期計画の策定」とございます。機構の次期中期目標案については、本日頂いた御意見を踏まえ、必要な修正等を行い、厚労大臣が総務省独法評価制度委員会へ送付いたします。その後、同委員会において審議が行われ、その審議結果に基づいて出される意見を聴いた上で、財務大臣との協議を経て、次期中期目標が確定されることになります。
 一方、中期計画については、確定した次期中期目標を基に機構が次期中期計画を作成し、同計画について主務大臣である厚労大臣が、内容の精査及び財務大臣との協議を経て、年度内に認可する予定になっております。
 確定した中期目標と中期計画については、後日、構成員の皆様にもお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。
 
○今村主査
 本日はこれで終了させていただきます。長時間にわたる熱心な御議論をありがとうございました。