2023年12月26日 薬事・食品衛生審議会 指定薬物部会 議事録

日時

令和5年12月26日(火)9:00~

出席者

出席委員(9名)五十音順 

 (注)◎部会長 ○部会長代理 

欠席委員(2名)五十音順
行政機関出席者
  •  城克文(医薬局長)
  •  吉田易範(大臣官房審議官)
  •  佐藤大作(監視指導・麻薬対策課長)
  •  木村剛一郎(監視指導・麻薬対策課監視指導室長) 他

議事

○監視指導・麻薬対策課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから令和5年度第6回薬事・食品衛生審議会指定薬物部会を開催いたします。委員の先生方には大変、年末の御多用なところを御出席を賜り、誠にありがとうございます。本日はWeb形式と実際の会議の併用の開催となります。舩田先生、髙野先生、田中先生には会場のほうにお越しいただいてございます。当部会の委員数は11名ですが、出水委員、松本委員の御欠席の御連絡を頂いています。あとは、青山先生、池田先生、合川先生がまだWebのほうに到着されていないということですが、現時点で6名の御出席を頂いておりますので、定足数には達しておりますので、開催できることを初めに御報告いたします。
 続きまして、部会を開催するに当たりまして、本部会の公開、非公開の取扱いについて御説明いたします。審議会総会における議論の結果、会議を公開することにより、委員の自由な発言が抑制され、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあると判断されたことから、本会議は非公開とされております。また、会議の議事録の公開については、発言者氏名を公にすることで、発言者等に対して、外部からの圧力、干渉、危害が及ぶおそれが生じることから、発言者氏名を除いた議事録を公表することとされておりますので、あらかじめ御了承いただきたいと存じます。それでは、以後の進行は関野部会長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○関野部会長 それでは、本日の部会資料の確認及び注意点につきまして、事務局よりお願いいたします。
○事務局 本日の部会資料に関しては、事前に各委員宛に送付いたしております。また、会場出席の委員の方にはお手元の資料で、御確認をお願いいたします。
 資料No.1は、本日審議いただく物質群、資料No.2では、審議物質群の実験結果等を記載しております。文献は、文献1~18、参考資料としてNo.1~3を付けております。部会資料についての説明は以上です。また、審議物質の説明中は画面上に資料を共有いたしますので、併せて御覧ください。
○関野部会長 ありがとうございました。本日の議題は「指定薬物の指定について」です。それでは、審議に入りたいと思います。審議物質について、事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 では、一旦資料を共有いたします。資料フォルダー内の資料No.1、本日の審議物質の名称と構造式を記載しております。資料No.2は、審議物質群の動物実験等の結果について取りまとめたものです。それでは、本日の1物質群である合成カンナビノイドについて説明いたします。
○事務局 今回御審議を頂く合成カンナビノイドである物質群については、資料1でお示ししておりますとおりです。今回こちらでお示ししているものについて、指定薬物として指定をし、規制対象とする必要があるか否か、また、指定範囲が適当であるかについて、御審議いただければと存じます。
 資料2の1ページを御覧ください。物質群の名称・構造式は、記載のとおりとなっております。この物質群に含まれる化合物については、1ページの下側にお示ししております6化合物が対象となります。なお、n=5のHHC及びn=6のHHCHについては、それぞれ令和4年3月及び先月の本部会において御審議いただき、指定薬物として既に指定がなされておりますが、今回、御審議いただきました結果、物質群として指定薬物への指定が妥当との判断を頂いた場合、物質群として統合する予定としております。
 類似化合物といたしまして、2ページにお示ししております物質群を挙げさせていただいております。以降の行動観察等の結果については、物質群に含まれております化合物であるn=5のHHC、n=6のHHCH及びn=7のHHCPに係るデータを中心にお示ししております。
 3ページの中枢神経系の作用といたしまして、(1)の行動観察の結果を御覧ください。まず、n=5のHHCに関する試験結果となります。マル1のマウスの試験結果となります。マウスにHHC、陽性対照であるCP-55940又は陰性対照である10%DMSO添加をした生理食塩水を腹腔内に投与し、投与後180分までの運動活性及び体温に対する影響を評価しております。結果といたしましては、図1-1にお示ししておりますとおり、HHCの投与により有意なカタレプシー様無動状態及び体温低下の効果が確認されております。
 4ページになりますが、同じ試験において、CB受容体拮抗薬であるAM251を前処理することにより、4ページの図1-2にお示ししておりますとおり、先ほど認められた作用が抑制されたことから、HHCの作用はCB受容体を介して発現していることが確認されております。
 続いて、4ページ下にありますマル2におけるマウスの試験結果を御覧ください。マウスにTHC、HHC又は陰性対照としてのPG400を腹腔内投与し、行動観察を行っております。結果といたしましては、HHCでは自発運動量の低下、体温の低下、姿勢保持の増加が認められており、THCについては、これらの症状に加え痛覚感受性の低下が認められたとされております。5ページにあります表1-1については、ED50の値をお示ししております。
 続いて、5ページ中ほどにありますマル3アカゲザルの試験結果を御覧ください。アカゲザルにΔ9-THC、Δ8-THC、HHCを静脈内投与した後の行動の観察を行ったところ、表1-2の結果が示されております。この結果から、Δ8と比較して、9RのHHCは同程度、9SのHHCは約1/10の活性を有していることが確認されたとされております。
 6ページを御覧ください。n=6のHHCHに関する試験結果となります。マウスの試験結果となります。先ほどのHHCと同様の試験を実施し、投与後120分までの運動活性及び体温に対する影響を評価しております。結果といたしましては、図1-3にお示ししておりますとおり、HHCHの投与により、有意なカタレプシー様無動状態及び体温低下効果が確認されております。
 6ページ下段からになりますが、HHCと同様に、CB受容体拮抗薬であるAM251を前処理することにより、7ページの図1-4でお示ししておりますとおり、先ほど認められた作用が抑制されたことから、HHCHの効果はCB受容体を介して発現していることが確認されております。
 7ページの下を御覧ください。n=7のHHCPに関する試験結果となります。こちらもマウスの試験結果となっております。HHCPに関しまして、先ほど御説明いたしましたHHCHと同様の試験を実施したところ、8ページにありますが、図1-5にお示ししておりますとおり、HHCHの投与により有意なカタレプシー様無動状態及び体温低下効果が確認されております。
 また、8ページ下になりますが、HHCやHHCHと同様に、CB受容体拮抗薬を前処理することにより、9ページの図1-6でお示ししておりますように、先ほど動物実験で認められた作用が抑制されたことから、HHCPの作用は、他の2物質と同じように、CB受容体を介して発現していることが確認されたとの結果になっております。
 9ページ下にあります(2)受容体親和性評価を御覧ください。まず、n=5のHHCに関する試験結果となります。マル1として、カンナビノイド受容体に対する結果となります。ヒトカンナビノイドCB受容体を発現させたCHO細胞の培養液中にHHC又は陽性対照としてのCP-55940を添加し、細胞内カルシウム濃度の変化を蛍光強度として測定しております。結果については、10ページでお示ししております図2-1のとおりでして、S体については40μMで、R体については10μMで、有意な変化が確認されております。また、これらの変化については、行動観察試験で認められたのと同様に、CB受容体拮抗薬であるAM251の前処理により完全に抑制されたとの報告がなされております。
 続いて、10ページ中ほどにありますマル2オピオイド受容体に対する結果となります。雄のSDラットから調製したメンブレンを用いまして、μ受容体、オピオイド受容体のアゴニストでありますジヒドロモルヒネの結合に対するTHC又はHHCのKi値を算出いたしましたところ、それぞれ7μM、10μMと算出されており、HHCはTHCの0.70倍の親和性であるとされております。
 続いて、10ページの下を御覧ください。n=6のHHCに関する試験結果となっております。HHCと同様の試験を実施しましたところ、結果については、11ページでお示ししております図2-2のとおりです。S体については1μMで、R体については約0.16μMで、有意な変化が確認されております。また、これらの変化については、行動観察の試験結果と同様に、CB受容体であるAM251の前処理により完全に抑制されたとされております。
 続いて、11ページの下を御覧ください。n=7のHHCPに関する試験結果となります。HHCやHHCHと同様の試験を実施いたしまして、結果については、12ページの図2-3でお示ししている結果となっております。S体については10μMで、R体については1μMで、有意な変化が確認されております。また、これらの変化については、行動観察試験と同様に、CB受容体拮抗薬の前処理により完全に抑制されたとの結果になっております。
 最後、12ページのエを御覧ください。こちらについて、AutoQSARプログラムを用いまして、今回の物質群に含まれるカンナビノイド受容体に対するKi値を予測しましたところ、13ページの表2でお示ししている結果が得られております。一番低いもので、n=8の14μM、n=3の最大で122nMの結果が得られております。
 13ページ中ほどにあります、指定薬物への指定についてを御覧ください。以上の結果を踏まえまして、HHC、HHCH及びHHCPについては、動物による行動観察の結果及び受容体親和性の結果において、有意な影響が認められていること、HHCV、HHCB及びHHCjdについては、毒性に関するデータはないものの、HHC、HHCH及びHHCPの毒性等に関する結果やQSARによる予測結果を踏まえますと、これらの物質については中枢神経系への作用を科学的に類推でき、その強さについては、既に医薬品医療機器等法に基づき、指定薬物として指定されておりますHHCやHHCHと比較して同等以上であると考えられることから、本物質群について、医薬品医療機器等法第2条第15項に規定する指定薬物に指定することが相当であると、事務局では考えております。
 続いて、13ページの(4)の我が国・海外での流通状況について、御覧ください。物質群に含まれる化合物のうち、HHCB及びHHCPについては、我が国で販売されていることを確認しております。また、欧州薬物・薬物依存監視センターによりますと、HHCやHHCPについては、欧州市場で流通が確認されていることと報告されております。また、UNODCでは、HHCやHHCPについて、2022年以降、複数の国から報告されていることを受け、注意喚起がなされている状況です。
 最後に、13ページ、(5)の海外での規制状況について、御説明いたします。HHC及びHHCPについては、フランス、イタリアで規制対象となっておりますことを確認しております。また、米国では、企業からの照会に対しまして、HHCが規制物質法のスケジュールⅠとして取り扱われておりますTetrahydrocannabinolsに含まれるとDEAが回答した旨、企業のHPで紹介されていることを確認しております。このほか、米国コロラド州では、HHC、HHCH及びHHCPを中毒性カンナビノイドとして指定し、規制が行われていることを確認しております。
 物質群に係る説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○関野部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。
 最初に、流通実態について□□委員、お願いいたします。その前に、池田先生、合川先生、青山先生、御出席ということなので今、いらっしゃっていますよね。
○事務局 いらっしゃっています。確認が取れています。
○関野部会長 分かりました。それでは□□委員、よろしくお願いいたします。
○□□委員 今回の化合物につきまして、まず、C4のHHCB、ヘキサヒドロカンナビブトールにつきまして、□□□□での検出事例が5件あります。いずれも2023年11月で、製品の形状といたしましては、薄黄色から橙色の固形物として検出されております。
 次に、Cが7のHHCP、ヘキサヒドロカンナビフォロールにつきまして、□□□□におきましては12件の検出事例がございます。2022年11月に2件、2022年12月に2件、2023年1月に1件、2月に2件、4月に1件、8月に2件、9月に1件、11月に1件で、形態といたしましては黄色から茶色の色をしておりまして、液体又は固形物として検出されております。物質の形状としては、ちょっと今回、様々な色・形となっております。以上です。
○関野部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方に改めまして御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。すみません、今回、ほぼ全員がWebということなので、ちょっと御意見の確認が難しいのですけれども。
○事務局 御意見のある先生、いらっしゃいましたら、手を挙げるボタンを押していただくと分かりやすいですが、いかがでしょうか。
○関野部会長 それでは御意見はないということでよろしいでしょうか。
○事務局 今のところ、手が挙がっている先生はいらっしゃいません。
○関野部会長 分かりました。それでは、改めまして、賛同ということで挙手をお願いいたします。
○事務局 手を挙げるボタンを賛同いただける先生、お願いします。
○関野部会長 私が挙げまして、Web参加者全員が賛同ということですね。それで田中委員がそちらの会場ということで、賛同ということになります。全員よろしいですね。ありがとうございました。それでは、審議をまとめます。ただいま御審議いただきました物質群は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として、指定することが適切であると決議してよろしいのでしょうかということで、先ほど皆さんに手を挙げていただきましたので、決議されたということで異議なしということでよろしいですね。それでは、ありがとうございました。審議事項は以上となります。今後のスケジュールについてをお願いいたします。
○事務局 今後のスケジュール等について、御説明いたします。本件の結果につきましては次回開催の薬事分科会で報告させていただく予定です。本日の結果を受け、指定薬物を指定するための省令改正の手続を進める予定です。また、本日御審議いただいた物質群に関する、いわゆる正規用途については今のところ確認されておりません。いずれにしましても、可能な限り適正使用に支障を来さないように対応をいたします。以上です。
○関野部会長 以上で、本日の議論は終了いたしました。次回の予定について連絡をお願いいたします。
○事務局 次回の部会日程につきましては正式に決まり次第、改めて各委員の先生方に御連絡いたします。以上です。
○関野部会長 それでは以上をもちまして、令和5年第6回指定薬物部会を閉会いたします。お忙しいところ、ありがとうございました。
( 了 )
備考
本部会は、公開することにより、委員の自由な発言が制限され公正かつ中立な審議に著しい支障をおよぼすおそれがあるため、非公開で開催された。

照会先

医薬局

監視指導・麻薬対策課 課長補佐 竹内(2779)