令和5年度 第6回化学物質管理に係る専門家検討会 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課

日時

令和5年12月22日(金) 14:00~17:30

場所

TKP新橋カンファレンスセンター カンファレンスルーム16B
(東京都千代田区内幸町1-3-1 幸ビルディング16階)

議事次第

  1. (1)濃度基準値の検討
  2. (2)濃度基準値設定対象物質ごとの測定方法について
  3. (3)作業環境測定(個人サンプリング法)の対象物質の拡大の検討
  4. (4)その他

議事内容

○環境改善・ばく露対策室長  本日は、大変お忙しい中、ご参集いただきまして、誠にありがとうございます。定刻になりましたので、令和5年度第6回化学物質管理に係る専門家検討会を開催いたします。
 私は、本日、座長に進行をお渡しするまで司会を務めさせていただきます化学物質対策課環境改善・ばく露対策室長の平川と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、前半に濃度基準値に関する事項について、後半に濃度基準値設定対象物質ごとの測定方法および作業環境測定(個人サンプリング法)の対象物質の拡大について検討することとしております。そのため、前半には開催要項別紙の構成委員名簿のうち、全般に関する事項、毒性に関する事項の欄に掲載の先生方に参集いただいております。
 出席者は本日13名で、武林委員が欠席、鷹屋委員、髙田委員、上野委員がオンライン参加となっております。
 また、後半には、構成員名簿のうち全般に関する事項、ばく露防止対策に関する事項の欄に掲載の先生方に参集いただきます。出席者は13名で、武林委員が欠席、鷹屋委員、髙田委員がオンライン参加となっております。
 なお、毒性に関する事項の欄に掲載の先生方につきましては、前半終了のタイミングで特段ご退席の案内はいたしませんので、ご都合の許す範囲で後半の測定関係の検討にもご参加いただければと思います。
 本日は会場とオンラインの併用で開催しておりますので、会場参加の皆様はご発言の際に必ずマイクを使用していただきますようお願いいたします。オンライン参加の先生におかれましては、周囲の音を拾ってしまうことがありますので、ご発言される場合を除きましてマイクをミュート、オフに設定していただきますようよろしくお願いいたします。また、ご発言の際にはあらかじめチャットでご発言の旨を入れていただくか、お名前を名乗っていただき、座長の指名を受けてからご発言いただきますようお願いいたします。
 なお、議事録を作成し、後日公表いたしますので、ご承知おきください。
 本日の会議は公開としており、一般傍聴者につきましてはウェブでの音声配信のみとさせていただいております。
 それでは、城内座長に以降の議事進行をお願いいたします。
○城内座長  城内です。よろしくお願いします。
 まず、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○環境改善・ばく露対策室長  かしこまりました。本日の資料は、全て紙で配付いたしております。
 資料は、議事次第と配付資料一覧、資料は資料1から資料7まで、参考資料は参考1から参考6までを用意しております。会場にお越しの皆様方におかれましては、資料に抜けなどはありませんでしょうか。
 また、オンラインで参加していただいている先生方にも資料を事前にメールで送付させていただいておりますが、何かありましたら事務局までお知らせください。
 なお、濃度基準値の検討に使用する一次文献は、著作権の関係があるため委員限りの資料としています。
 本日の資料は、厚生労働省のホームページにあらかじめ掲載しております。傍聴の方はそちらをご覧ください。
 資料の確認は以上です。
○城内座長  それでは、早速本日の議事に入ります。
 議事1、濃度基準値の検討について、事務局から資料の説明をお願いします。
○有害性調査機関査察官  説明させていただきます。
 本日、濃度基準値の検討を予定している物質は、資料1-1、それから1-2の表の濃度基準値の列に丸がついている合計で36物質になります。再審議対象の物質が4物質、新規の検討対象が32物質になります。
 まず初めに、再審議対象の4物質についてご検討をお願いいたします。濃度基準値の提案について説明した後、構成員の先生方から事前に頂きましたご質問、ご意見などを事務局から説明いたしますので、それらを踏まえていただいた上で、個別物質ごとにご議論いただきたいと思います。
 なお、検討に必要な一次文献の印刷したものが必要な方は、事務局にお知らせいただければ席までお持ちいたします。
 それでは、資料2-1をご覧ください。
 表紙1枚めくっていただきまして、下に1ページと印のあるものですけれども、1,1,1-トリクロロ-2,2-ビス(4-メトキシフェニル)エタンになります。
 8時間濃度基準値として1mg/㎥を提案しております。
 提案理由はコメント欄に記載のとおりですけれども、結論として動物試験の結果から、エストラジオールの減少を臨界影響としたLOAELを500ppm(43.5mg/kg/day)と判断し、不確実係数等を考慮した8時間濃度基準値を1mg/㎥と提案するとなっております。
 その他コメントも併せてご確認ください。
 めくっていただきまして、続いて六弗化硫黄になります。
 濃度基準値につきましては設定できないということで提案しております。
 提案理由につきましてはコメント欄記載のとおりですけれども、まとめとして本物質による固有の有害性およびその臨界濃度は不明であり、物質固有の有害性にかかる知見が得られるまで、濃度基準値を「設定できない」を提案するとなっております。
 その他コメント欄も併せてご確認ください。
 めくっていただきまして、続いてメタクリル酸になります。
 8時間濃度基準値として20ppmを提案しております。
 提案理由は下の提案理由の欄に記載のとおりですが、まとめとして動物試験による鼻腔・上気道の炎症性変化および腎尿細管上皮の組織学的変化を臨界影響とした100ppmをNOAELと判断し、不確実係数を考慮した20ppmを8時間濃度基準値として提案するとなっております。
 続きまして1枚めくっていただきまして、メタクリル酸メチルになります。
 8時間濃度基準値として20ppmを提案しております。
 提案理由は下に記載のとおりですが、まとめとして動物試験による鼻甲介の粘膜上皮の変性、炎症、再生変化を臨界影響として、NOAELを25ppmと判断し、不確実係数等を考慮した濃度基準値(時間加重平均)20ppmを提案するとなっております。
 再審議対象物質についての説明は以上になります。
○化学物質評価室長  それでは、委員限り資料としてお配りしておりますとおり、あらかじめご質問やご意見を頂いておりますので、まずは事務局からそれらご意見等に対する回答をいたしたいと思います。お手元に質問票があると思いますので、それをご覧ください。
 まず全体のご意見ということですけれども、基準値が妥当なものか判断するために、不確実係数の内訳を明らかにしてほしいというご要望がありました。こちらにつきまして、不確実係数は検討する際にある程度基準となる数字もありますけれども、これをベースに専門家検討会では試験内容など有害影響の重大性、試験結果の解釈等、様々な要素を加味して検討されて、専門家による総合的な判断により決定されています。このため不確実係数の考え方を一律に示すことは困難であり、本検討会では統一的に不確実係数やその考え方を記載しない方針としておりますというのが最初のご質問に対するお答えです。
 それから、続きまして先ほどの資料の1ページをご覧ください。メトキシクロルに関するご質問です。
 質問内容ですけれども、一般的な試験では交差は2~5倍程度で行われますが、本件については交差50倍の試験結果によりNOAELを求め、濃度基準を決めることとなっていますが、これは値の妥当性としては信頼性が下がり、過剰な規制になるのではないかというご意見でした。
 本件では、1ページ目を見ていただきますと、投与量が1行目にありますとおり0、10、500、1,500ppmをラットに投与しております。第5回検討会では、10の次の500で見られた体重増加抑制を臨界影響として、NOAELを10ppmとして濃度基準を算定しておりましたが、その際に公比が50倍でNOAELを取るというのは無理があるのではないかというご意見がこの場で出されておりました。それを踏まえて再検討しております。
 一番下のその他のコメント欄をご覧ください。その他のコメントにありますように、文献1では最小投与数を設定する際に、母体および出産後も子に最終的にメトキシクロルを投与した先行研究の結果を考慮して、最小投与量を50にできずに、10ppmにしたとされておりました。これを踏まえて、専門家会議では500ppm以上で見られるエストラジオールの減少を臨界影響といたしまして、混餌投与ですので、体重当たりに換算して43.5mg/kg/dayをLOAELのスタートとして濃度基準を導出いたしました。
 なお、不確実係数はこれがLOAEL出発であること、それから有害影響の重大性、種差、ヒトの呼吸量や投与期間などを考慮しております。
 続きまして、資料の5ページをご覧ください。メタクリル酸になります。ご意見、ご質問ですけれども、げっ歯類における吸入ばく露での呼吸系の影響は、感受性が高いことが一般に知られており、毒性指標としてヒトへの外挿を行う際は慎重に検討すべきと考えます。腎毒性は全身毒性として評価する項目としては適当と考えますというご意見を頂いております。
 本件は、文献1にありますように臨界影響を100ppmで見られたラットの鼻腔と上皮道の炎症性変化および腎尿細管上皮の組織学的変化で取っています。ご指摘のとおり、鼻腔だけであれば大きな不確実係数を取らないということも考えられますが、本件では腎毒性が見られているということを考慮いたしまして、種差による不確実係数を決定しております。
 続きまして、7ページをご覧ください。メタクリル酸メチルに関するご意見、ご質問です。これは2つ来ております。
 1つ目が理由で、追加で収集した1文献は濃度基準の導出に資する知見とは判断されなかったとありますが、具体的な文献と濃度基準値の導出に資さなかった理由についてご教示お願いしますというご質問を頂いております。
 当該文献は、medical examination of workers in Acrylic Sheet Production expose methyl methacrylate?というタイトルの非公表文献です。メタクリル酸メチルによる鋳造シートを製造する工場の従業員211人を対象に6ヵ月おきに4回問診や鼻鏡検査などが行われた疫学調査の結果でございました。検討の結果、本調査では除外規定が未設定であったこと、それから喫煙など結果に影響を与えるような交絡要因の調整がされていなかったこと、また対象群と比較するためのデータが不足していたということから、根拠論文としては採用されませんでした。
 もう一問、メタクリル酸メチルに関してご質問いただいております。安全係数等1.25で除している理由について科学的な根拠が見当たりませんということで、最初にあったような不確実係数が分からないですというのと、①、②、③、④とありますが、結果としてラットとヒトの違いやラットの呼吸量とありますが、それを考慮すべきではないでしょうかということと、ハムスターの試験もあったのですが、そっちを使ったほうがいいのでしょうか、省略してご紹介してしまいましたが、そのような内容です。
 本件は、臨界影響を100ppmで見られたラットの鼻甲介への影響で取りました。通常なら不確実係数として種差を取るところですけれども、ご指摘のとおり本件では感受性の問題がありますので、問題のみならず、多様な要素も含めて種差による不確実係数を判断しております。
 なお、今回のデータではハムスターの体重増加は必ずしも容量依存的ではなかったと思われること、また90日間吸入毒性試験や慢性毒性試験を規定しているOECDのテストガイドラインがありますが、こちらではハムスターよりもラットの使用が推奨されていることから、ラットの結果を採用しているということです。
 以上、今回対象となっております物質に関するご意見とご質問に対するお答えでした。
○城内座長  ありがとうございました。それでは、ただいまの説明を踏まえまして、1物質ごとに4物質議論していきたいと思います。
 最初の1,1,1-トリクロロ-2,2-ビス(4-メトキシフェニル)エタンについてご意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 ご意見等がなければ、1,1,1-トリクロロ-2,2-ビス(4-メトキシフェニル)エタンについては、8時間濃度基準値1mg/㎥としたいと思います。ありがとうございます。
 続きまして、六弗化硫黄についてご意見等ございますでしょうか。大前委員、お願いします。
○大前委員  大前です。この物質、その他のコメントに書いてありますように、比重が5でとても重たい物質です。したがって、換気が不十分な場所ではどんどんたまってきて窒息、酸欠を起こす可能性があるので、この部分はぜひ注意していただきたい。
 今回、基準値を設定できないとしておりますけれども、今まで設定できなかったのは、発がん物質でかつ閾値がないタイプの発がん物質を設定してこなかったのです。その理由と今回の六弗化硫黄の理由とは別なので、発がんではない理由で設定しないということなので、そこのところを何らかの形で表示していただきたい。オープンにするということです。それはぜひお願いしたいと思います。
 それからもう一個は、これは熱分解をするのです。熱分解すると、SO2とフッ化水素が出てくる。これは結構危険な物質なので、何らかの形で文章にするようなことをやっていただきたいと思っています。
○城内座長  この点について事務局から何かございますか。お願いします。
○化学物質対策課長  ご指摘ありがとうございます。こちらにつきましては、従来技術上の指針の別表では、設定できない理由として発がん性を表に入れた上で、有害性はあるのだけれども、設定できないという書き方でございました。こちらにつきましては、ご指摘のとおり有害性の閾値を根拠として十分ではないということで設定しないということでありつつも、比重が重いなど、熱分解で危険性があるということで今までと違いますので、どういう形で書くかは検討させていただきますが、技術上の指針の中で何らか記載できるようにしたいと思います。
○城内座長  ありがとうございました。六弗化硫黄については、濃度基準値は定めないとしたいと思います。
 続きまして、メタクリル酸についてご意見等いかがでしょうか。大前委員、お願いします。
○大前委員  今の室長のご説明で、ラットとおっしゃいましたけれども、これはマウスを根拠にしていますので、そこのところは間違いないようにしていただきたいと思います。
 それから、できれば最後の以上よりというところですけれども、腎尿細管上皮の前に、あえて「マウスの」と書いていただくと分かりやすいのではないかと思います。雄ラットの場合は、多分腎尿細管に関しては取らないので、雄のマウスだからというので取っているので、それを入れていただくと分かりやすいと思います。
○城内座長  ご意見等ございますでしょうか。
 では、メタクリル酸、8時間濃度基準値は20ppmにいたします。
 続きまして、メタクリル酸メチルについてご意見等ございましたらお願いします。よろしいでしょうか。
 では、メタクリル酸メチル、8時間濃度基準値20ppmにいたします。
 続きまして、新規の32物質の検討を行います。事務局から説明をお願いします。
○有害性調査機関査察官  それでは、資料2-2をご覧ください。新規の検討対象物質につきましては数が多いですので、前後半16物質ずつに分けてご検討をお願いしたいと思います。
 それでは、まず前半の16物質からご説明させていただきます。
 表紙をめくっていただきまして、エチルアミンになります。
 8時間濃度基準値として5ppmを提案しております。
 提案理由はコメント欄記載のとおりですが、結論として動物試験の結果から肺炎、心臓の筋肉変性、角膜への影響を臨界影響したLOAELを50ppmと判断し、不確実係数等を考慮した5ppmを8時間濃度基準値として提案する。なお、短時間濃度基準値を導出するのに適した文献は、認められなかったとなっております。
 その他のコメントはありません。
 続いて1枚めくっていただきまして、エタンチオールになります。
 8時間濃度基準値として0.5ppmを提案しております。
 提案理由はコメント欄記載のとおりですが、まとめとしてヒトボランティアのばく露研究での結果より、疲労感、吐き気、口唇粘膜の刺激、頭重感を臨界影響とした0.5ppmをNOAELと判断し、8時間濃度基準値として0.5ppmを提案するとなっております。
 その他コメントの記載はありません。
 1枚めくっていただきまして、イソプロピルアミンになります。
 8時間濃度基準値として2ppmを提案しております。
 提案理由はコメント欄記載のとおりですが、結論として動物試験の結果から、母体の体重増加抑制、鼻粘膜の刺激性を臨界影響としたNOAELを50mg/㎥(21ppm)と判断し、不確実係数等を考慮した2ppmを8時間濃度基準値として提案するとなっております。
 その他のコメントの記載はありません。
 1枚めくっていただきまして、1,1-ジクロロエタンになります。
 8時間濃度基準値として100ppmを提案しております。
 提案理由はコメント欄記載のとおりですが、まとめとして動物試験の結果から腎臓への影響を臨界影響としたNOAELを500ppmと判断し、不確実係数等を考慮した100ppmを8時間濃度基準値として提案するとなっております。
 その他のコメントはありません。
 1枚めくっていただきまして、ジクロロフルオロメタンになります。8時間濃度基準値として10ppmを提案しております。
 提案理由はコメント欄記載のとおりですが、まとめとして動物試験の結果に基づき、肝硬変および胆管細胞の増殖を臨界影響としたNOAELを49.3ppmと判断し、不確実係数等を考慮した10ppmを8時間濃度基準値として提案するとなっております。
 その他のコメントはありません。
 1枚めくっていただきまして、テトラクロロジフルオロエタンになります。
 8時間濃度基準値として50ppmを提案しております。
 提案理由は下に記載のとおりですが、まとめとして動物試験の結果から、軽度の肺炎を臨界影響とした1,000ppmをLOAELと判断し、不確実係数等を考慮した50ppmを8時間濃度基準値として提案するとなっております。
 その他のコメントはありません。
 1枚めくっていただきまして、1,2-ジクロロ-1,1,2,2-テトラフルオロエタンになります。
 濃度基準値として、8時間濃度基準値1,000ppm、短時間濃度基準値は天井値ですけれども、2,000ppmを提案しております。
 提案理由は下に記載のとおりですが、まとめとして動物実験の結果より100,000ppmをNOAELと判断し、不確実係数等を考慮した1,000ppmを8時間濃度基準値として提案する。また、短時間ばく露によるヒトボランティア試験の結果から、呼吸機能の低下を臨界影響とした21,400ppmをLOAELと判断し、不確実係数等を考慮した2,000ppmを短時間濃度基準値(天井値)として提案するとなっております。
 その他コメントも併せてご確認ください。
 1枚めくっていただきまして、1,1,2-トリクロロエタンになります。
 8時間濃度基準値として1ppmを提案しております。
 提案理由は下に記載のとおりですが、まとめとして動物試験の結果から、肝細胞の空胞化を臨界影響としたLOAECを15ppmと判断し、不確実係数等を考慮した8時間濃度基準値1ppmを提案するとなっております。
 その他コメントはありません。
○化学物質評価室係員  続きまして、神原から前半残り8物質について説明させていただきます。
 まず、p-アニシジンです。
 こちら8時間濃度基準値は0.5mg/㎥を提案いたします。
 提案理由はコメントのとおりで、ヒトの知見から赤血球系の異常を臨界影響としたNOAELを0.83mg/㎥と判断し、不確実係数等を考慮した0.5mg/㎥を8時間濃度基準値として提案する。なお、短時間濃度基準値については、本調査では文献が認められないので、設定しないことを提案するとしております。
 その他コメントについても併せてご確認ください。
 続きまして1-ニトロプロパンです。
 こちら8時間濃度基準値は2ppmを提案いたします。
 提案理由はコメントのとおりで、以上より、動物試験の結果から、嗅上皮の変性や扁平上皮の慢性炎症を臨界影響としたNOAELを48.4ppmと判断し、不確実係数等を考慮した8時間濃度基準値を2ppmと提案するとしております。
 その他コメントについても併せてご確認ください。
 続きましてエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートです。
 こちら8時間濃度基準値は1ppmを提案いたします。
 提案理由はコメントのとおりで、ヒトの知見から、貧血を臨界影響としたNOAELを2.65ppmと判断し、不確実係数等を考慮した8時間濃度基準値1ppmを提案するとしております。
 その他コメントについても併せてご確認ください。
 続きましてプロポキスルです。
 こちら8時間濃度基準値は0.5mg/㎥、IFV、短時間濃度基準値は2mg/㎥としております。
 提案理由はコメントのとおりで、動物試験の結果からChE活性阻害を臨界影響としたNOAELを2.2mg/㎥と判断し、不確実係数等を考慮した8時間濃度基準値を0.5mg/㎥と提案する。また、ヒトの知見より短時間濃度基準値を2.0mg/㎥と提案するとしております。
 その他コメントについても併せてご確認ください。
 続きましてジアセトンアルコールです。
 8時間濃度基準値は20ppmを提案いたします。
 提案理由はコメントのとおりで、ラットの吸入ばく露実験結果から肝臓の相対臓器重量の増加を臨界影響とした225ppmをLOELと判断し、不確実係数などを考慮した20ppmを8時間濃度基準値として提案するとしております。
 その他コメントについても併せてご確認ください。
 続きまして酢酸ターシャリ-ブチルです。
 8時間濃度基準値は20ppmを、短時間濃度基準値は150ppmを提案いたします。
 提案理由はコメントのとおりで、動物試験の結果から、肝肥大および神経毒性(一過性の多動)を臨界影響としたNOAELを100ppmと判断して、不確実係数等を考慮した8時間濃度基準値20ppmを提案する。また、ヒトの刺激性にかかる知見より150ppmを短時間濃度基準値として提案するとしております。
 その他のコメントはありません。
 続きまして酸化亜鉛(ナノ粒子以外)です。
 8時間濃度基準値はレスピラブルで0.1mg/㎥、インハラブルで2.5mg/㎥を提案いたします。
 提案理由はコメントのとおりで、ヒトの知見より、金属ヒューム熱およびそれに伴う影響を臨界影響とし、レスピラブル粒子でのNOAEL(2時間ばく露)を0.5mg/㎥、インハラブル粒子でのNOAEL(8時間ばく露)を2.5mg/㎥と判断し、8時間濃度基準値としてそれぞれレスピラブルで0.1mg/㎥およびインハラブルで2.5mg/㎥を提案する。なお、短時間濃度基準値はそれに資するデータが十分ではないことより提案しないとしております。
 その他のコメントについても併せてご確認ください。
 続きまして沃素です。
 こちら8時間濃度基準値は0.02ppmを提案いたします。
 提案理由はコメントのとおりで、日本人の耐容上限量3.0mg/dと、海藻消費量を基にした日本人の平均摂取量1.2mgとのマージンである1.8mg/dを沃素の過剰摂取による中毒を防ぐための許容量と判断し、労働者の呼吸量等を考慮した0.02ppm(0.18mg/㎥)を8時間濃度基準値として提案するとしております。
 その他のコメントについても併せてご確認ください。
 前半の物質についての説明は以上です。
○化学物質評価室長  続きまして、先ほどと同様、委員限りとしてお配りしております質問に対して事務局からご回答を申し上げたいと思います。質問票をご覧ください。
 ジアセトンアルコールと酢酸ターシャリ-ブチルについてご説明したいと思いますが、ジアセトンアルコールは25ページ、酢酸ターシャリ-ブチルは27ページの物質です。
 質問票を見ていただきますと、ラットとマウスで書いてありますけれども、同じような内容が書かれております。ジアセトンアルコールでご質問の内容を読み上げさせていただきます。ラットの呼吸量は、ヒトに比べて体重当たりの容積で5~6倍高く、体重当たりの化学物質のばく露量はこれに対してラットはヒトの5~6倍となります。したがって、ラットにおけるppmの単位のばく露結果をヒトに外挿する場合には、このことを考慮しなければなりません。現状の濃度基準の提案理由からは、ラットとヒトの呼吸量の違いについて考慮された記載が見られず、LOAELと不確実係数だけで算出されたように見受けられます。ここに呼吸量の比を単純に加味すると、ヒトにおける濃度基準は25ppmではなく100ppm相当になってしまうものと考えられますというご意見を頂いております。
 これに対する回答ですけれども、呼吸量の差につきましてはご指摘のとおりなのですが、呼吸量の差も不確実係数の差に種差として包含しております。種差というのは、感受性や体重当たりの呼吸量だけで決まるような単純なものではなくて、代謝系や代謝する臓器の違いなども含めて、物質の体内動静の全体に対する不確実性として評価されております。
 したがって、不確実性がある以上、安全側に考えるということで、1より小さい値で不確実係数を採用するということは通常行っていませんので、1より幾ら多く取るかというのが専門家の判断となるということです。
 酢酸ターシャリ-ブチルにつきましても、これがマウスで書かれていて、比率が少し違いますけれども、同じ内容ですので、ご回答としては今と同じように不確実係数は全体を加味して種差として取っておりますので、その点をご了承いただければと思います。
 25ページのジアセトンアルコールですけれども、見られた影響の程度などを加味すると、こちらでは種差を取っていないということになります。
 それからもう一点、29ページの酸化亜鉛につきまして特にありませんが、レスピラブル粒子、金属ヒュームとインハラブル粒子、ナノを除く粉末固体の違いを誤認しないような工夫が望ましいと考えますというご意見を頂いております。本件につきましては、後ほど議論させていただきたいと思います。
○城内座長  ありがとうございました。それでは、引き続きまして1物質ずつ議論していきたいと思いますが、最初のエチルアミンにつきましてご意見等ございましたらお願いいたします。大前委員、お願いします。
○大前委員 コメントのF-344雌雄ラットですけれども、最後にNOAECが100ppmとあります。その上に中等度から重度の萎縮性鼻炎、雄雌それぞれ事例が書いてありますけれども、種差を考える場合に中等度の萎縮性鼻炎は、本文を読むと鼻中隔の潰瘍、それから鼻中隔の欠損、鼻甲介の欠損という非常に強い影響が出ています。このような強い影響の場合は、種差が1ではなくて1より大きな数字を取ることになります。今回は直接関係ありませんけれども、そういうこともあるということなので、その点についてはご認識をお願いいたします。
○城内座長  そのほかコメント等ございますでしょうか。
 それでは、エチルアミン、8時間濃度基準値は5ppmといたします。
 続きまして、エタンチオールにつきましてご意見等ございましたらお願いします。
 それでは、エタンチオールにつきましては、8時間濃度基準値0.5ppmといたします。
 続きまして、イソプロピルアミンについてご意見等ございましたらお願いいたします。
 それでは、イソプロピルアミン、8時間濃度基準値2ppmといたします。
 続きまして、1,1-ジクロロエタンにつきましてご意見等ありましたらお願いいたします。
 それでは、1,1-ジクロロエタン、8時間濃度基準値100ppmといたします。
 続きまして、ジクロロフルオロメタンにつきましてご意見等ございましたらお願いします。
 それでは、ジクロロフルオロメタンの8時間濃度基準値は10ppmといたします。
 続きまして、テトラクロロジフルオロエタンにつきましてご意見等ございましたらお願いします。
 では、テトラクロロジフルオロエタンにつきましては、8時間濃度基準値50ppmといたします。
 続きまして、1,2-ジクロロ-1,1,2,2-テトラフルオロエタンにつきましてご意見等ございましたらお願いします。事務局、お願いします。
○化学物質対策課長  ありがとうございます。こちらにつきましては、短時間濃度基準値が2,000ppmということでして、根拠につきましては文献1ということです。こちらにつきまして、フロンは検知管などを使って15分間測定はできるのですけれども、今回ご提案いただいているように天井値となりますと連続測定が必要でして、かなり難しいという実態があります。
 こちらを踏まえまして、まず8時間濃度基準値が1,000ppmで今回設定されることになりますと、努力義務で3倍の3,000ppmを短時間濃度基準値として超えてはいけないということになります。3,000ppmと文献1で実際にLOAELとして使っている21,400ppmとなりますと約7倍の余裕があるということですので、1,000ppmの8時間濃度基準値を持ち得ることで、こちらを防止できるのではないかということで考えておりますので、ご意見頂ければありがたいです。
○城内座長  ご意見いかがでしょうか。事務局提案どおりでよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。では、1,2-ジクロロ-1,1,2,2-テトラフルオロエタンにつきましては――宮川委員、お願いします。
○宮川委員  事務局提案どおりなのか、それとも今課長から提案があった天井値を外すのか、私としては天井値を外すほうに賛成だったので。
○城内座長  失礼しました。それでは、事務局からの提案を含めまして、1,2-ジクロロ-1,1,2,2-テトラフルオロエタンにつきましては、8時間濃度基準値1,000ppmだけということにいたします。
 続きまして、1,1,2-トリクロロエタンにつきましてご意見等ございましたらお願いします。
 では、1,1,2-トリクロロエタンにつきましては、8時間濃度基準値1ppmにいたします。
 続きまして、後半の8物質ですけれども、p-アニシジンにつきましてご意見等ございましたらお願いします。
 p-アニシジンにつきましては、8時間濃度基準値0.5mg/㎥にしたいと思います。
 続きまして、1-ニトロプロパンにつきましてご意見等ございましたらお願いします。
 では、1-ニトロプロパンにつきましては、8時間濃度基準値2ppmにいたします。
 続きまして、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートにつきましてご意見等ございましたらお願いします。
 それでは、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートにつきましては、8時間濃度基準値1ppmにいたします。
 続きまして、プロポキスルにつきましてご意見等ございましたらお願いいたします。事務局、お願いします。
○化学物質対策課長  プロポキスルですが、8時間が0.5mg/㎥で、短時間は2mg/㎥ということでして、こちらの文献につきまして、短時間につきましては文献1および2ということですけれども、まず1につきましてはばく露の時間が4時間あったということです。それから、2つ目につきましては、これをダイレクトに文献に使っているかはっきりしませんが、30分間隔で5回の経口接種ということで、いわゆる繰り返し摂取ですので、文献1、文献2いずれにしても15分間値のエステルを定める根拠としては少し弱いのではないかと考えております。
 基本的に短時間濃度基準値というのは、数分間など少なくとも15分間を下回るばく露で何らかの影響ができたときに作成するものですので、こちらにつきましては定めないということがいいのではないかと考えておりますので、ご意見頂ければと思います。
○城内座長  いかがでしょうか。短時間濃度基準値は定めない、あるいは定める、ご意見等ございましたらお願いします。平林委員、お願いします。
○平林委員  念のための確認をさせていただければと思うのですけれども、8時間濃度基準値0.5ですので、そうしますと短時間は自動的に3倍ということがかかるのでしょうか。
○化学物質対策課長  努力義務ではありますけれども、短時間基準値が定められていない場合は8時間の3倍を超えないように努めなければならないという規定がありますので、1.5でmg/㎥で努力義務がかかる形になります。
○平林委員  そうすると、それよりも多い値をかけておいても、実質的にはあまり意味がないということですか。
○化学物質対策課長  そのように言われるとそのようなことだと思います。
○平林委員  先ほどの材でたしか安全係数が7倍になるから、これで外そうと決めた材があったかと思うのですけれども、そのときにも努力目標であって、もしかしてそれを少し超えてしまったときに7倍の安全係数が取れないとちらっと思ったものですから、努力目標がどの程度なのかということだけお伺いできればと思いました。
○城内座長  川本委員、お願いします。
○川本委員  先ほどの8時間濃度基準値と短時間の比については、2つか3つ後にも7.5倍違うものも出てきますので、私としては明らかな義務として超えてはいけないものがあるときには、3倍を超えても短時間濃度基準値は設定する必要があるし、努力義務で、3倍で十分可能であれば、あえて短時間濃度基準値はつくらなくてもいいのではないかと思っております。
○城内座長  事務局、お願いします。
○化学物質対策課長  法令上の規定の仕方で、3倍の努力義務がかかるのは短時間基準値が定められていないとき、そのような整理になっております。
○川本委員  ですので定めなくていいと。
○化学物質対策課長  定める場合については3倍ではなくて定められた値を守ってくださいという形になります。それが3倍を超える場合もありますけれども、それは科学的知見がありますので、それでやっていただくということになります。今回に関しては、2mg/㎥という科学的知見が必ずしも十分ではないので定めないほうがいいといったことです。
○川本委員  分かりました。
○城内座長  そのほかご意見ございますでしょうか。
 では、事務局案どおり短時間濃度基準値は外すということでよろしいでしょうか。大前委員、お願いします。
○大前委員  戻りますけれども、18ページのp-アニシジン、単純にミスなのですが、産業衛生学会の許容濃度が0.5ngになっています。これはmgだと思います。ナノになっているので、これはミリですので修正してください。今頃気がつきました。
○城内座長  訂正ありがとうございました。元に戻りまして、プロポキスルについては、8時間濃度基準値0.5mg/㎥にしたいと思います。よろしいでしょうか。
 続きまして、ジアセトンアルコールにつきましてご意見等ございましたらお願いいたします。
 ご意見等ないようですので、ジアセトンアルコールにつきましては、8時間濃度基準値20ppmといたします。
 続きまして、酢酸ターシャリ-ブチルについてご意見等ございましたらお願いいたします。川本委員、お願いします。
○川本委員  先ほど言った繰り返しになるかもしれませんが、8時間濃度基準値が20、短時間が150で、7.5倍ですけれども、あえてここで義務として150にするのが有効か、3倍の努力義務をかけるほうが有効かというのを少し考えてはどうかと思います。
○化学物質対策課長  コメントありがとうございます。先ほど申し上げましたように、努力義務がかかるのは短時間濃度基準値を定める十分な科学的知見がない場合に、ある意味念のため3倍を超えないようにしてくださいということで努力義務にしております。
 こちらにつきましては、蒸気に2~5分間ばく露した結果で大多数がのどの刺激を訴えたと確実なエビデンスがありますので、こちらは150ppmをきちっと数字を定めて、3倍というものではなくて150ppmで管理するのが妥当だと考えております。
○川本委員  分かりました。
○城内座長  そのほかご意見等ございませんでしょうか。
 それでは、酢酸ターシャリ-ブチルにつきましては、8時間濃度基準値20ppm、短時間濃度基準値150ppmといたします。
 次、酸化亜鉛(ナノ粒子以外)についてご意見等ございましたらお願いいたします。先ほど事務局からもありましたが、検討すべき点があるかと思います。事務局、お願いします。
○化学物質対策課長  こちらにつきましては、8時間濃度基準値にレスピラブルで0.1、インハラブルで2.5という数字が提案されているところです。こちらにつきましては、一番下に臨界影響としては金属ヒュームということになっております。ご案内のとおり、金属ヒュームは肺まで行って起こすものですので、基本的にレスピラブルの根拠として文献1から3はあるということです。
 文献4につきましてはレスピラブルではないということですけれども、こちらにつきましてもエンドポイントとしては肺機能の障害および、ぜん息ということでして、インハラブルの基準値を定める根拠にはなり得ないということと、25%が3㎛未満ということになっておりますので、インハラブルとレスピラブルの比は4倍ということになっております。仮に0.1mg/㎥でレスピラブルの基準をつくれば、インハラブルのばく露は1mg/㎥を超えないということですので、今回ご提案いただいている2.5よりもむしろ低い値で管理できるということもあります。こういったエビデンスの内容を踏まえますと、レスピラブルだけにすべきではないかと考えております。
 あと追加すべき点としては、レスピラブルとインハラブルを測ろうと思いますと、サンプラーを2つつけていただくということで、事業場の負担も非常に大きいということですので、それも含めた上でこちらにつきましては、0.1mg/㎥のレスピラブルだけとさせていただきたいと思いますので、ご意見頂ければと思います。
○城内座長  測定まで考えるといろいろ影響も大きい値になると思いますので、皆さん、ご意見をお願いいたします。最川委員、お願いいたします。
○最川委員  最川です。今課長がおっしゃった酸化亜鉛というのは、金属ヒュームに含まれる物質なのですか。
○化学物質対策課長  ヒュームというのは溶接ヒュームとは違う意味で、ヒュームは金属の蒸気という意味でして、亜鉛の蒸気という意味です。
○最川委員  0.1というのは結構低いなと。ほかのACGHIやDFGに比べても1桁違っているので、建設業に関係があるかどうかも分からないのですけれども、現実的な数字なのかというのは専門家ではないので分からないのですが、大丈夫かなという気がしてお聞きしました。
○化学物質対策課長  こちらエビデンスを取られているのは全部精錬工場のようなところで、建設業でエビデンスが取られているわけではありません。こちらの数字につきましては、エビデンスに基づいて一定の不確実係数を考えた上で、0.1が妥当であるという提案をさせていただいております。
○最川委員  亜鉛ですよね。金属の亜鉛メッキは建設業で使われていまして、溶接する場合があるのです。そのときに発生するヒュームも関係あるのですか。
○化学物質対策課長  溶接ヒュームは、基本的に溶接材に入っているものが出てくるのがほとんどで、この間溶接ヒュームの基準をつくったときもそういう議論になっておりまして、その中で亜鉛の議論はあまり出てこなかったということになります。今のご指摘は、母材の表面にメッキがあるということであると思います。実際測ってみないとはっきりは分かりませんが、基本的には問題になるような濃度になるとは考えにくいと思います。
○最川委員  分かりました。
○城内座長  宮内委員、お願いします。
○宮内委員  間違っているかもしれないのですけれども、基本的に恐らく亜鉛や金属を測るときに、インハラブルとレスピラブルを一緒に測ることは無理ではないと思うのです。私もマープル、カスケードインパクターやレスピコンなどいろいろ使っていましたけれども、粒径別に分粒し、おのおのを測り、合計してインハラブルというやり方がありますので、できないことはないと思います。
○城内座長  小野委員、お願いします。
○小野委員  測定の方法はないわけではないと思います。ただ、法令に対応する形で、ほんのちょっとしたことで分級の状態などが変わりますので、確実にレスピラブルで分かれているかどうかというのは、状態によって違ってくると思います。もちろんレスピラブルだけで測るときでも同じことが言えるのですけれども、不確実な部分を含んでいるのが粒子の測定をするということです。一般に作業環境での測定には使われていないレスピコンや、分級径を多段に分けるようなものを投入して測るということ――研究的に自分の事業場はそれで管理したいという一歩先の方以外にはお勧めしないですけれども、そういう測定法もあると思います。
 もし両方のサイズを測らなければいけないのだとすれば、やはりポンプを2つつけていただいて、インハラブルとレスピラブルはある程度確定したもので測るべきではないかと思います。
 インハラブルをここで入れるときのエンドポイントも、やはりヒューム熱なのでしょうか。同じと考えてよろしいですか。それによってインハラブルが必要なのかどうか。作業の形態によって粒子が出るところではインハラブルにして、蒸気しか出ないというのは言いにくいのですけれども、そのときはレスピラブルや、作業態様によって変えるということも可能ではあると思うのですが、皆さんを混乱に陥れてしまう可能性があることは想像できることであります。
○城内座長  事務局、お願いします。
○化学物質対策課長  文献4は、亜鉛焙焼工程でレスピラブルとそれ以外のより大きい粒子が混在しているような場面で行われたスタディですが、スタディ自体はケースコントロールスタディになっていまして、個人のばく露をきちんと管理したスタディではないということで、ばく露自体は別の研究を援用してやっております。
 そういったこともありますのと、エンドポイントは肺機能などのぜん息などもありますけれども、呼吸器系をエンドポイントにしておりますので、インハラブルにする根拠はあまりなくて、それであればレスピラブルなり、少なくともソラシックで行うべきだろうと思いますので、このエビデンスからインハラブルが直接出てくるのは、根拠としては弱いかなと考えており、インハラブルはそういう意味でも定めないほうがいいのではないかと考えているところです。
○城内座長  鷹屋委員、どうぞ。
○鷹屋委員  まず最川さんからあった話なのですけれども、確かに課長がおっしゃっているとおり、例えば亜鉛加工した鋼板の溶接で、どれくらい亜鉛ヒュームが出るかということなのです。障害例や事故例を手元で探していたらすぐ出てこないのですけれども、基本的に溶接する人の安全衛生の教科書的な知識として、一時防錆塗料に亜鉛が入っているものをそのままの状態で溶接するときには、亜鉛の金属熱に注意しろということがあるので、大抵のものはしてあると思いますが、溶接作業のときにヒューム中に亜鉛があるのではないかということは、ある程度気をつけておかなければならないのではないかということが1点。
 もう1つは、先ほど小野委員からありましたけれども、同時に測れないかということなのです。研究的にあってもなかなかないということと、非常に細かいテクニカルな話なのですけれども、この例でいくとインハラブルとレスピラブル25倍なので、多分1つで測ろうとすると分流装置の限界の関係で、インハラブルの2.5の上を超えているかどうかということ、例えばインハラブルで2.5いかない、1や1.5ぐらいのところでも、レスピラブルの0.1が正しく測れるかというと多分測れないです。
 分流装置の限界は先に来ると思いますので、現実に2本の濃度基準値を出した場合は、正しく行うために必ず2つサンプラーをつけなければいけないということで、今回に関しては様々な理由もあって、同時に測ることは現実的ではないと思いますので、レスピラブル1つに濃度を決めることに私も賛成です。
○城内座長  そのほかコメント等ございますでしょうか。
 先ほど最川委員から値がそれでいいのかという懸念も示されましたが、いかがでしょうか。そのほかの委員の方からご意見等ございませんでしょうか。ここで決めるか、再度検討するかということになると思いますが。宮川委員、お願いします。
○宮川委員  まず、インハラブルとレスピラブルを分けるかどうかと別な話ですけれども、値のことが出ましたから。まず、酸化亜鉛のほかの基準を見てみると、DFGではRがついていて0.1という値がついていると思いますので、それと比べて今回の提案が特に低いというわけではないのかなという気がいたします。これが1点です。
 それから、個人的には測定で難しいことがあるのであれば、レスピラブルに統一してもよいのかなという気がしております。
 もう一点、余計なことかもしれませんけれども、その他のコメントの最初の2行、ヒュームによる炎症反応に伴う二次的な影響云々とありますが、多分GHSで全身毒性と書いたのは、金属ヒューム熱などを含めたもののことを指しているわけで、今回はこれで基準値を考えているということであるとすると、適当な言葉ではないと思いますので、最初のGHSで云々で判断しなかったという2行はできれば削除していただいたほうがよろしいかと思います。
○城内座長  そのほかコメント等ありますでしょうか。宮本委員、お願いします。
○宮本委員  読み方を聞き漏らしているかもしれません。コメントにある第2パラグラフのところで、4行目ですけれども、先に5mg/㎥の濃いもばく露で、その後で0.5mg/㎥なら、どんどん下がっていって元に戻ったと書いてあるし、最後の行も0.5mg/㎥で2時間ばく露なのですが、何も問題がないというので、これからして何でこれよりも低い値が出てきたのか教えていただければ。この2つしか書かれていないので、0.5でいいのではないかという気もするのですが、いかがでしょうか。
○城内座長  事務局、お願いします。
○化学物質対策課長  まず、文献が複数ありまして、2の文献だけではなくて、例えば3の文献で0.5mg/㎥などほかの知見もありまして、こういったものを全部総合的に踏まえて、レスピラブルのNOAELとして2時間ばく露0.5mg/㎥としているところです。先ほどご指摘にあった文献だけで決まっているわけではないということになります。
○宮本委員  2時間ばく露で0.5だから、8時間0.1ということをおっしゃったのですか。
○化学物質対策課長  2時間ばく露の0.5mg/㎥というのがNOAELになります。そこから不確実係数を使ってこちらの提案になっておりますけれども、NOAELとしては0.5mg/㎥を使っている形になります。ばく露の時間は不確実係数の中に含まれますけれども、結果としては提案のとおりになっているということになります。
○城内座長  そのほかいかがでしょうか。川本委員、お願いします。
○川本委員  別件ですけれども、29ページのコメント下から5行目ですが、ボランティアに比して板金作業者では愁訴スコア、体温上昇共にばく露前のボランティアと差を認めなかったがということがどういうことか文章が少し分かりづらいので、もう少し分かりやすい文章にしていただければと思います。
○化学物質対策課長  こちらきちんと分かりやすい文章に修正したいと思います。
○城内座長  大前委員、お願いします。
○大前委員  文字の誤りだけです。第1パラグラフの最後の行、6時間値は優位に高値の優位が間違っていますので、文字を修正してください。
○城内座長  レスピラブル1本でいいのではないかという意見は収束したと思いますが、値についてはいかがでしょうか。最川さん、よろしいでしょうか。
○最川委員  私も0.1や0.5と言われても分からないので、いいとも言えないのですけれども、確かにDFGでレスピラブル0.1とあるのですが、低過ぎないかなというのは今感じているので、保留でだめですか。
○化学物質対策課長  科学的知見に基づいてやっているのと、0.1mg/㎥はレスピラブルですので、レスピラブルレベルのばく露基準値0.1は特に珍しくありません。これだけが特筆して低いということはないので、恐縮ですが、そういったご意見で再保留にすることはできないと思います。
○城内座長  よろしいですか。では、酸化亜鉛につきましては、8時間濃度基準値、レスピラブルだけ設定しますが、0.1mg/㎥にしたいと思います。ありがとうございます。
 次、沃素についてコメント等ございましたらお願いいたします。コメント等ございませんでしょうか。宮本委員。
○宮本委員  特殊なケースかもしれないですけれども、福島原発で働いている方は守れる値なのでしょうか、それともそこは例外になるのでしょうか。もう沃素は出ていないのですか。
○化学物質対策課長  沃素131や132のことをおっしゃっているのであれば、半減期が極めて短いので、新たに生成されない限り現状では残っていません。
○城内座長  ほかにコメント等ございませんでしょうか。
 それでは、沃素につきましては、8時間濃度基準値0.02ppmにいたします。
 続いて、後半の16物質の検討を行います。事務局から説明をお願いいたします。
○有害性調査機関査察官  それでは、後半の16物質を説明いたします。34ページをご覧ください。
 ここからですけれども、セレンとセレンの化合物の合計6物質あります。セレン化水素のみ根拠文献は2本多いですけれども、いずれにしましても濃度基準値の導出根拠全て同じになりますので、34ページのセレンで代表してまとめて説明させていただきます。
 濃度基準値は、8時間濃度基準値0.02(セレンとして)mg/㎥を提案しております。
 提案理由は下に記載のとおりになりますが、まとめとして日本人成人の耐容上限量(6.7µg/kg bw/d×50kg=335µg/d)と平均摂取量100µg/dayとの差235μg/dayを職業ばく露によるセレン中毒を防ぐための最大許容量と判断し、呼吸量で補正した0.02mg Se/㎥を8時間濃度基準値として提案するとなっております。
 その他コメントも併せてご確認ください。
 続きまして、47ページをご覧ください。トリメチルベンゼンになります。
 8時間濃度基準値10ppmを提案しております。
 提案理由はコメント欄記載のとおりですが、まとめとして動物試験の結果から神経毒性(行動影響および疼痛感受性の低下)および赤血球系の異常を臨界影響としたNOAELを25ppmと判断し、不確実係数等を考慮した8時間濃度基準として10ppmを提案するとなっております。
 その他のコメント欄も併せてご確認ください。
 1枚めくっていただきまして、フェノチアジンになります。
 8時間濃度基準値として0.5mg/㎥を提案しております。
 提案理由はコメント欄記載のとおりですが、まとめとして血液毒性、肝毒性、腎毒性、骨髄毒性、脾臓毒性を臨界影響としたNOAELを50ppm(1.59mg/kg/d)をと判断し、不確実係数等を考慮した0.5mg/㎥を8時間濃度基準として提案するとなっております。
 1枚めくっていただきまして、2-ジエチルアミノエタノールになります。
 8時間濃度基準値2ppmを提案しております。
 提案理由はコメント欄記載のとおりですが、まとめとして動物試験の結果から、呼吸上皮の巣状過形成と扁平上皮化生および鼻腔粘膜の多発性炎症細胞浸潤を臨界影響としたNOAELを10ppmと判断し、不確実係数等を考慮した8時間濃度基準2ppmを提案するとなっております。
 1枚めくっていただきまして、メタクリル酸2,3-エポキシプロピルになります。
 濃度基準値は設定しないということで提案しております。
 提案理由はコメント欄記載のとおりですが、まとめとして本物質は上記の比較的低濃度(最低用量)での発がんが認められており、また遺伝毒性があることが指摘されていることを考慮すると、濃度基準値は「設定できない」と判断するとなっております。
 1枚めくっていただきまして、フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)になります。
 8時間濃度基準値として1mg/㎥を提案しております。
 提案理由はコメント欄記載のとおりですが、まとめとして動物試験の結果から、セルトリ細胞の空胞化(雄)を臨界影響として、NOAELを3.7mg/kg bw/dと判断し、不確実係数等を考慮した1mg/㎥を8時間濃度基準値として提案するとなっております。
 その他コメント欄も併せてご確認ください。
 1枚めくっていただきまして、フェニトロチオンになります。
 8時間濃度基準値として0.2mg/㎥を提案しております。
 提案理由はコメント欄記載のとおりですが、ラットの試験からChE活性の低下を臨界影響としたNOAELを7mg/㎥と判断し、不確実係数等を考慮した8時間濃度基準として0.2mg/㎥を提案するとなっております。
 1枚めくっていただきまして、炭化けい素(繊維状炭化ケイ素に限る)になります。
 8時間濃度基準値として1ml当たり0.1繊維を提案しております。
 提案理由はコメント欄記載のとおりですが、まとめとして動物実験の肺の線維化をエンドポイントとしてLOAELを98繊維/ml相当と判断し、不確実係数等を考慮した0.1繊維/mlを濃度基準値として提案するとなっております。
 その他のコメントも併せてご確認ください。
 1枚めくっていただきまして、メチレンビス(4,1-シクロヘキシレン)=ジイソシアネートになります。
 8時間濃度基準値として0.05mg/㎥を提案しております。
 提案理由は下に記載のとおりですが、まとめとして動物試験の結果から、気管支および肺における組織病理学的変化を臨界影響としたNOAELを1.06mg/㎥と判断し、不確実係数等を考慮した8時間濃度基準値0.05mg/㎥を提案するとなっております。
 その他のコメントも併せてご確認ください。
 1枚めくっていただきまして、酸化チタン(ナノ粒子以外)になります。
 8時間濃度基準値として、レスピラブル粒子で1.5mg/㎥を提案しております。
 提案理由はコメント欄記載のとおりですが、まとめとして動物実験の結果より5mg/㎥をNOAELとし、吸入性粉じんの含有率および不確実係数を考慮した1.5mg/㎥を吸入性粉じんの8時間濃度基準値として提案するとなっております。
 1枚めくっていただきまして、最後になりますが、ビニルトルエン(異性体混合物)になります。
 8時間濃度基準値として10ppmを提案しております。
 提案理由はコメント欄記載のとおりですが、まとめとして動物試験の結果から、鼻上皮の嚢胞および過形成、気道上皮の嚢胞および過形成を臨界影響としたLOAELを100ppmと判断し、不確実係数等を考慮した8時間濃度基準値10ppmを提案するとなっております。なお、短時間濃度基準値は、情報が十分ではないため設定しなかったとなっております。
 その他コメント欄も併せてご確認ください。
 以上になります。
○化学物質評価室長  続きまして、事前の質問ですけれども、後半部分につきまして質問はありませんでした。
○城内座長  それでは、ただいまの説明を踏まえ1物質ごとに議論していきたいと思います。
 最初、セレンですけれども、これについては濃度基準値の提案理由がセレン化水素のところだけ少し違うかなと思いますが、あとは同じような提案理由になっていると思います。皆さんからご意見等あればお願いいたします。8時間濃度基準値0.02ということでまとめて出されておりますので、それも踏まえてご意見等ございましたらお願いいたします。小野委員、お願いします。
○小野委員  セレン化水素ですが、大昔、半導体産業が始まった頃に水素化物は基本急性毒性ということが言われていたと思うのですけれども、残念ながら根拠論文の中にそこでの濃度は測られていないということもあって、根拠論文がないのでそういうことについては考慮しなかったということでよろしいでしょうか。ほかのセレンと若干違うのですけれども、最終的に出てきた数字が同じになっているのです。
 かつセレン化水素はガスなので、mg/㎥ではなくてppmにするとすれば、40ページのDFGはやはり0.02mg/㎥という値を出しているのですけれども、濃度は0.006ppmとなります。ガスだとすればppmにするというお話だったと思うのですけれども、その2点どう考えたらよろしいかというのが質問です。
○城内座長  事務局、お願いします。
○化学物質対策課長  コメントありがとうございます。セレン化水素につきまして、ご指摘のとおり物性はガスであれば、ppm表示になろうかと思います。あるいはIFV表示にするのかということになると思いますが、いずれにせよご指摘を踏まえまして、ppm表示にするかmg/㎥表示とするか検討させていただきたいと思います。
○城内座長  あと急性毒性については……。
○大前委員  セレン化水素はガスですので、やはりこれだけppm表示にするのはよろしいかと思います。
 それから、急性毒性の中身については、1番の文献でこんなのがありますけれども、ヒトに関しては濃度の情報がない。それから、2つ目の文献がモルモットのセレン化水素の8時間の単回ばく露の実験ですけれども、これを見てもmg/㎥単位で0.02でしたら十分安全ではないかと思っています。これはうろ覚えですけれども、ガーリック?か何かのにおいがするのでしたっけ。
○城内座長  そのほかコメント等ございますでしょうか。
○大前委員  これは半導体工場もそうでしょうけれども、セレンの回収工場で結構セレン化水素が出るのではないかと思います。
○城内座長  小野委員、よろしいですか。
○小野委員  分かりました。1つ、私の知識不足かもしれないのですが、提案理由、下の箱の上から3行目のセレン整流工場の整流ってどういう作業なのでしょうか。間違いの可能性が高いような気もするのですけれども、ご確認いただけるとありがたいです。
○化学物質対策課長  原文を確認いたしまして、適切な日本語にさせていただきます。
○鷹屋委員  確証はないのですけれども、半導体として整流器をっているので、セレンの整流器という意味ではないのですか。
○小野委員  その可能性はありますね。
○鷹屋委員  いずれにしても原文を見てということですよね。勝手に発言しまして済みません。
○城内座長  そのほかご意見等ございませんでしょうか。
 それでは、セレン化合物については、0.02mg/㎥、それからセレン化水素についてはppm表示にするということにいたします。
 続きまして、トリメチルベンゼンについてご意見等ございましたらお願いいたします。宮内委員、お願いします。
○宮内委員  確認なのですけれども、その他のコメントには各異性体は混合して評価すると書いてあるのですが、上部の一覧表の値の書かれているところには、「異性体の混合」と評価するというコメントは特にないのですか。あえて書く必要はないと言えばそうなのですけれども、今までそういう取決めがあったのかを確認をしたく質問しました
 というのは、ここに特に異性体について詳しくコメントがあり動物実験とは別々にやっていたデータで特に差がないので合算で出すのが妥当だという理屈だと思うのですけれども、明記されていないので気になりました。異性体をどのように考えるか。たとえばキシレンなどもそうですけれども、一覧表に書くときには混合で評価するというマークや言葉が1つあると分かりやすいと思いました。確認の意味でお聞きしました。
○城内座長  事務局からお願いします。
○化学物質評価室長補佐  事務局からご説明します。
 リスクアセスメント対象物の名称については、異性体を特定していない場合は、全ての異性体を指すと法令上なっております。法令のラベル、SDS、リスクアセスメントの対象物の名称としてはトリメチルベンゼンとなっているのですけれども、これは全ての異性体を指すということになっていますので、今回異性体を区別する必要なく、この値でということになれば、混合物で測定していただければよいということになります。
○宮内委員  分かりました。多分この表自体が表にあまり出ないので、どこかでそういうことが分かるというのがあれば。事前に書いてあるということですね。ACGIHは多分ミックスアイソマーと書いてあると思うので、そういうのも参考になるかと思ったのでお聞きしました。
○小野委員  追加ですけれども、トリメチルベンゼンのCAS登録番号が25551-13-7になっています。これは、混合物としてのCAS登録番号ですので、CASがあれば分かる人には分かるのですけれども、ACGIHなどは宮内委員のおっしゃるように全部を並べて、一個一個書いてあって、その上にミクスチャーという形で、全部で4つ載っているような形になっていると思いますので、もちろん測定する側にとってはそれが書いてあるほうが分かりやすいと思います。
○宮内委員  印刷業の洗浄剤で最近たくさん使われていて、少し気になっていたので、一応念のためにお聞きしました。
 ○城内座長  そのほかコメント等ございますでしょうか。
 それでは、トリメチルベンゼンの8時間濃度基準値は10ppmといたします。
 続きまして、フェノチアジンについてコメント等ございましたらお願いいたします。
 それでは、フェノチアジンの8時間濃度基準値は0.5mg/㎥といたします。
 続きまして、2-ジエチルアミノエタノールにつきましてコメント等ございましたらお願いいたします。
 では、2-ジエチルアミノエタノールの8時間濃度基準値は2ppmといたします。
 続きまして、メタクリル酸2,3-エポキシプロピルについてご意見等ございましたらお願いいたします。
 では、メタクリル酸2,3-エポキシプロピルにつきましては設定しないということにいたしたいと思います。
 続きまして、フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)につきましてコメント等ございましたらお願いいたします。
 では、フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)につきましては、8時間濃度基準値を1mg/㎥といたします。
 続きまして、フェニトロチオンにつきましてご意見等ございましたらお願いいたします。
 では、フェニトロチオンにつきましては、8時間濃度基準値0.2mg/㎥といたします。
 続きまして、炭化けい素(繊維状炭化ケイ素に限る)につきましてコメント等ございましたらお願いいたします。宮内委員、お願いします。
○宮内委員  その他のコメントには「炭化けい素の粒子状物質での有害性は低い」と考えて、non-fiberとしての炭化けい素の濃度基準値は設定しないでfiberだけ設定するということなのですか。そういう意味でよろしいのですか。あえて繊維状だけにしたということなのでしょうか。
○城内座長  大前委員、お願いします。
○大前委員  ウィスカーばかりあって粒子状のSiCの情報はほとんどないのです。だからぜひSiCの情報をどこかで出していただきたいのですが、残念ながらそれがないのでつくれない。
○宮内委員  了解しました。
○城内座長  そのほかコメント等ございませんでしょうか。
 それでは、炭化けい素(繊維状炭化ケイ素に限る)につきましては、8時間濃度基準値0.1繊維/mlということにいたします。
 続きまして、メチレンビス(4,1-シクロヘキシレン)=ジイソシアネートにつきましてコメント等ございましたらお願いいたします。
 それでは、メチレンビス(4,1-シクロヘキシレン)=ジイソシアネートの8時間濃度基準値は0.05mg/㎥といたします。
 続きまして、酸化チタン(ナノ粒子以外)についてコメント等ございましたらお願いいたします。宮本委員、お願いします。
○宮本委員  素人的な話で済みません。レスピラブルで、8時間でナノ粒子を除いた分析はどうやって行うのか分からないのですけれども、大丈夫なのでしょうか。
○城内座長  小野委員、お願いします。
○小野委員  分けて採るには非常に高い機械を使わないと分けられないと思いますが、どちらかというと酸化チタン工場でなど、塗料の種類によって明らかにナノではないものを使うところが多いので、そういうナノ粒子以外の粒子を使うところという意味ではないかと思います。測定すれば必ず両方測りますけれども、重さで量る場合にはナノは10の3乗分の1で効いてきますので、重さで量る分にはナノ粒子があっても特にそこの寄与が大きくなるということはないと思います。
○宮本委員  ありがとうございます。ということは、酸化チタンはナノ粒子で別に規制があるのでしたっけ。これを何も書かなくても大丈夫ですかね。わざわざナノ粒子以外を一言入れている意味が分からなかっただけです。
○小野委員  産衛などもナノ以外やナノという形で許容濃度を設定していたと思うのですけれども、していませんでしたっけ。ナノは書いていないから分からないのですね。基本的には一般的な粉じんというか金属酸化物を考えるときの考え方で、ナノ粒子以外と書くのは誤解を生むかもしれないです。サンプリングすれば必ず小さいほうは入ってきますので、何か説明が必要かもしれません。鷹屋委員、ご意見ないでしょうか。
○城内座長  鷹屋委員、何かご意見ございますでしょうか。
○鷹屋委員  まず、ナノで別の数字がいろいろ提案されていて、もう少し小さい数字だったと記憶しています。
 それから、現実には普通のところというのは、作っているところでは合成段階ではまずナノに近いものが出た後、結晶を200や300ナノメーターぐらいに育てていくと思います。基本的にプラスチックのフィラー、紫外線などに持たせるなど、隠蔽性、そのままでいくと透明なので、光を不透明にして白くする――大体世の中の白いものには大抵入っているのですけれども、そのグレードは大体300ナノメーター以上ということで作っていて、酸化チタンというのは結晶構造や粒径が商品として非常に制御されているものだと理解していますので、逆にないとは言いませんが、今、小野委員がおっしゃっていたように、材料として例えば300ナノメーターや500ナノメーターの粉体を混ぜて使っている場合と、紫外線に対する吸収や散乱特性が変わるということで、20ナノメーターぐらいの材料が別に工業材料として売られていて、工業材料としては10倍ぐらい粒径が違う粉体として売られているので、基本的にはどっちを使っているということで区別はつくと思います。
 ただ、1つは酸化チタンを作っているところでは、比較的割合が高く混じっている可能性があると思いますけれども、物によっては意識的に2種類入れている場合もあるのです。ナノの二酸化チタンとナノではない二酸化チタンを入れているところがありますけれども、そういうものを使っているときは別立てのリスク評価は必要だと思います。いずれにしても基本的にはもちろん物質なので、分布はあるのですけれども、基本的には重さでいったときに無視し得る量しか入っていない状態で、ナノ粒子ではない酸化チタンは工業材料として存在していると私も理解しています。
○城内座長  事務局から何かございますか。大前委員、お願いします。
○大前委員  ナノの酸化チタンと顔料としての酸化チタンは全然用途が違って、毒性も違う。産業衛生学会は、たしかナノに関しては数字を出していると思います。ナノで出しているから、ナノ以外どうしようかという発想でナノ以外と書いているだけなので、さっき小野委員おっしゃっていたように、実際測定するときはナノも入ってしまう。おっしゃったように絶対的に重量が小さいので、無視していいだろうというお話だろうと思います。
 もう一つ酸化チタンで問題なのは、ほとんどコーティングしてあるのです。生の酸化チタンはほとんどない。一番よく知られている生の酸化チタンは食品添加物ですけれども、ほとんどコーティングしてあるので、今ここに出ているヒトの影響ですが、生の酸化チタンの影響かと言われると困るのです。でも、情報がないので、コーティングしてあるものもまとめて評価しているということになります。
○化学物質対策課長  コメントとご議論ありがとうございました。全体のご意見を踏まえますと、今回酸化チタンでナノ粒子の濃度基準値を特段定めるわけではありませんので、そういった意味で分ける必要は特にありませんので、「ナノ粒子以外」というのは削除して、測定するときに仮にナノがあれば、それを含めて測定することになりますが、要するに総粉じんとレスピラブルは同じ関係になりますので、レスピラブルとして酸化チタンを測定するということで、ここの括弧書きは消したいと思います。
○宮本委員  確認です。上の文献の古さは分からないのですが、10年間ばく露したヒトのデータで35~80mg/㎥がNOAELとして考えられたというのもあるのですけれども、こっちではなくて動物試験を使うという理解でよろしいですか。
○大前委員  ヒトのデータは濃度かける年数。単純に80が濃度ではない。それをばく露年数で割った数字が1年間の平均濃度という形になります。動物のほうが陰性対照群として使ったものですけれども、これのほうが濃度としてしっかりしているので使っているということです。
○城内座長  そのほかご意見等ございませんでしょうか。事務局、どうぞ。
○化学物質評価室長  事務局ですけれども、29ページの酸化亜鉛(ナノ粒子以外)というのが本日の議題にありましたが、こちらはどのようにいたしたらよろしいでしょうか。
○化学物質対策課長  こちらも先ほどご議論いただいたとおり、ナノ粒子に関する酸化亜鉛の濃度基準値を現時点で定められておりませんので、それと区別する必要もないということと、測定するときはレスピラブルで両方測ってしまいますので、先ほどと同じ理由で括弧書きを削除させていただきたいと思います。
○城内座長  ありがとうございます。あとコメント等よろしいでしょうか。宮川委員、お願いします。
○宮川委員  1点だけ。結論としてはそれでよろしいかと思うのですけれども、ナノ粒子とそうでないものと分けて、過去厚労省がリスクアセスメントをして、それなりに違った結果が出ていたと思いますし、モデルSDSも別なものとしてつくられています。
 そういう意味では事実上はほとんど問題ないと思うのですけれども、濃度基準値をここまでなら安全な量だという説明がどこかにあったと思います。それが本当に純粋なナノのサイズで全て大丈夫かというと、分からないところもあるということなので、個々のものに書くのは難しいかもしれませんけれども、全体として特に金属、あるいは繊維状のものもあるかもしれませんが、ナノ粒子について全部それで大丈夫というわけではないのでというのをどこかに残しておいていただけるといいような気がするのです。これからいろいろ出てくるかもしれません。ご検討願えればと思います。
○化学物質対策課長  ありがとうございます。技術上の指針の表に*のコメントがついている物質、例えば発がん性物質などもそうですけれども、そういった形でナノ粒子以外を消したものについてはアスタリスクをつけて、ご指摘のような内容を注意書きで書くようにしたいと思います。
○城内座長  そのほかよろしいでしょうか。
 それでは、酸化チタン(ナノ粒子以外)は削除して、8時間濃度基準値、レスピラブルで1.5mg/㎥としたいと思います。
 続きまして、最後の物質ですけれども、ビニルトルエン(異性体混合物)についてコメント等ございましたらお願いいたします。大前委員、お願いします。
○大前委員  最後の結論のところで以上よりのところですが、ラットとマウスで差があるので、今回はラットを使っているので、ここにラット、動物実験の結果からという形でしたほうがいいと思います。
○城内座長  そのほかコメント等ございますでしょうか。尾崎委員、お願いします。
○尾崎委員  これで物質の評価に関しては終わってしまうので、ここでコメントさせていただきたいと思います。
 まず、令和4年の積み残しでありましたメタクリル酸メチル、メタクリル酸に関して、また審議していただいてありがとうございます。採用しなかった論文の理由を挙げていたらきりがないという基本的な考え方を理解する中で、今回業界の専門家が妥当と判断している論文を提出して、それに対して適切なコメントいただきましてありがとうございます。これで持ち帰って今後の対応を進めたいと思います。
 あとこれは化学業界のぼやきになるので聞いていただきたいのですけれども、プロセス設計から運転までした人間からすると、化学の世界ではプロセスの工程毎に不安なところがあったら安全係数をかけます。設備的なところで配管を1.2倍太くしようなど、計装の弁のところをサイズアップしようということで、かけ算するとそういった不安要素があるプラントは1.2かける1.2という大体1.5倍の能力が出ることがあるのです。化学ではせいぜい1.2倍くらいが安全係数です。
 そういうところを考慮しながら、同様に毒性評価に関しても不確実係数をかけているのだと思います。私はプロではないので分からないのですけれども、例えばラットの上鼻腔が敏感でヒトとは異なる種差もありますし、混餌の場合などもガスではないばく露となり一般的な条件とは違うと思いますし、NOAELが分からなかった場合はLOAELからのアプローチをどうするのか等、全て数字のマジックだと感じています。そこが見えないので、今回業界から出した「提案された基準値が妥当なものか判断するために、不確実係数の内訳をもっとはっきりしてほしい」というコメントが出るというのは当たり前の話なのです。彼らにとってもよく分からないということです。
 それに加えて、現場の作業環境を測定する中で通らなければいけない話なのですけれども、リスクを見積りするツールの1つとして、クリエイトシンプルというのがあります。数回前の委員会のときに化学物質対策課長がおっしゃられた言葉が印象的に残っています。我々がやるとクリエイトシンプルの数値が高めに出るではないですか。その理由は何ですかと質問したときに、化学物質対策課長が元のデータが10倍ぐらいの幅があるのだと言われていました。現場は濃度基準値の半分が確認測定をするかしないかの勝負のポイントなのです。それを超えたら確認測定しなければいけないわけです。そういった中で、不確実係数は物質によってばらつきがある。それは化学業界からは見えにくくなっています。そういったところを払拭する意味もありますので、不確実係数はこの場合はこのくらいという値を、それがこの毒性の業界で常識なのだということを示していただきたいというのが私の意見です。私に対するお答えは結構ですから、私のぼやきとして聞いていただければよいです。
○城内座長  ビニルトルエンを閉めなければいけないので、ビニルトルエンについてご意見ございましたらお願いします。よろしいでしょうか。
 それでは、ビニルトルエン(異性体混合物)につきましては、8時間濃度基準値10ppmといたします。
 今の尾崎委員のご発言について何か。大前委員、お願いします。
○大前委員  おっしゃることは非常によく分かります。私もユーザーなら、多分数字をはっきり決めてくれというご意見は分かるのですけれども、例えばマウスからなど、もちろんヒトへの外挿ですから、どの動物を使うかによってUFは変わってくるでしょうし、同じ種の中でも系統が違うと考えなくてはいけないのです。今はあまり使っていないと思うのですけれども、昔非常に肝がんができやすいマウスがあって、今使っているマウスをどうするかというのもある。
 あと影響の大きさでLOAELからNOAELに外挿するときに、このLOAELは大したことはないLOAELなのか、結構大変なLOAELなのかということもあるので、単純に物質と使っている根拠、動物種、ヒトの場合、問題ないのですけれども、一つ一つの物質についてUFを明示するのはほとんど不可能なのです。
 だからヒトにも一般人口のデータを労働人口に持ってくるときどうするかというのもあるのです。今ビッグデータで一般人口のデータでカドミがどうのこうのだとこのぐらいになりますとたくさん出ています。一般人口と労働人口がどう違うのだということもあって、UFをおのおの明示するのは無理です。基本的にUFは判断のための数字なのです。判断のための数字に、判断の要素としてたくさんあり過ぎてなかなかクリアに出せない。
 体の差やさっきの鼻腔の話などがありますよね。あれは常識的にいいだろうという形で採用され始めていますよね。そこまでは恐らく合意しているのだろうと。それを一個一個に適用するときにその数字だけではなかなかいかないというのが原則です。鼻腔のときにヒトと動物の種差は1だと言いましたけれども、鼻中隔を壊したり、溶かしてしまうということですが、要するに腐食だと思うのです。そういう話と上皮だけで終わる話と全然違うというのがあるので、単純に鼻腔は全部一緒でいいですよと言えないし、統一的な見解で数字を出すのは難しい。おっしゃることは非常に分かります。
○尾崎委員  分かりましたとは言えないです。
○城内座長  平林委員、お願いします。
○平林委員  大前先生のおっしゃるとおりだとは思うのですけれども、一方で化審法の場合には種差1から10、それからLOAELからNOAELということで1から10、所見の重大性ということで1から10という目安が表記されてございます。
 それと化審法の場合には生殖発生毒性を時々見ますので、その場合の試験の不確実性というか、試験の質ということで1から10という基準を設けてございまして、その範囲の中であとはエキスパートジャッジということになるのですけれども、大体そのくらいの幅で見ている基準はありますので、もしそういったことで大枠を示す事ができるようならご検討いただいてもいいのかなと思いましたが、条件分け自体が難しいということが大前先生のおっしゃることかなとも理解しました。そのような情報がありますというコメントです。
○尾崎委員  ありがとうございます。
○城内座長  ありがとうございます。濃度基準値の話を一旦閉めなければいけませんので、濃度基準値の審議は一応終わりましたが、最終結果について事務局からまとめをお願いいたします。
○化学物質評価室長補佐  資料3-2をご覧ください。ご意見があった修正のところだけ確認させていただきます。
 まず1ページ目ですが、3つ目のメタクリル酸、基準値は了承いただきましたけれども、提案理由についてご指摘を踏まえマウスの試験によるものということを明確に修正させていただきます。
 続いて3ページ目の一番上、CFC-114は天井値2,000ppmについて削除して、8時間濃度基準値1,000ppmだけとさせていただきます。
 続いて4ページ目の1番目、プロポキスルは短時間濃度基準値を削除して、8時間基準値0.5mg/㎥のみとさせていただきます。
 続いて5ページ目の一番上、酸化亜鉛については、ナノ粒子以外という記載を削除いたします。8時間濃度基準値についてはレスピラブルのみとして、インハラブルの値は削除いたします。提案理由、その他コメントについては、ご指摘を踏まえて修正し、またナノ粒子についての注意書きもご意見を踏まえて記載したいと思います。
 続いて6ページ目、一番上のセレン化水素はガスということで、ppm表記に修正させて換算させていただきます。また、提案理由も確認の上、修正させていただきます。
 続いて9ページ目、酸化チタンについては、ナノ粒子以外を削除、また注意書き、何らかの形でナノについても記載させていただきます。
 最後、ビニルトルエンについては、提案理由の欄、ラットによるものであることを明確にさせていただきます。
 以上になります。
○環境改善・ばく露対策室長  それでは、議題2の濃度基準値設定対象物質ごとの測定方法に入る前に、ばく露防止対策に関する事項の欄に掲載の先生方に既に入室いただいておりますけれども、かなり時間をかけての審議でありましたので、一旦5分間の休憩にさせていただきたいと思います。目の前の時計で4時3分になっているかと思うのですが、4時8分ぐらいでよろしいですか。後ろが5時までとなっているようですので、迅速な開始にご協力いただければと思います。
     (暫時休憩)
 
○城内座長  短い休憩時間で申し訳ありませんが、後半の議事を再開いたします。
 議事の2の濃度基準値設定対象物質ごとの測定方法について、事務局から資料4-1、4-2、4-3の説明をお願いいたします。
○環境改善・ばく露対策室係員  それでは、事務局の臼井から資料の説明をさせていただきます。
 まず、資料4-1について説明させていただきます。こちらは濃度基準値設定対象物質の測定法の選定、提案にかかる考え方を示したものであり、測定法の選定、提案に当たって、bの①から④の項目を評価指標とし、そのうち3~4項目について定量的なデータがある方法は原則採用すること、それ以外に採用する場合についてはc以降に列挙しているところです。
 前回の検討会でのご議論を踏まえ、新しくiに破過の項目を追記いたしました。具体的には破過時間は試料濃度とサンプリング流量により異なるものなので、一律に破過時間を記載することが困難であることから、一律な記載を求めないこととし、さらに蒸気圧が低い粒子状物質のろ過捕集については、破過の評価がなくても測定法として許容する旨追記しております。
 次に、資料4-2をご覧ください。こちらはお手元に紙でも配付していると思いますが、ただいま説明した資料4-1の考え方に基づいて、今回新規で提案する6物質について検討した結果を一覧表にまとめたものです。
 6物質のうち令和5年度検討対象物質が3物質、上の3つになります。令和4年度検討対象物質で翌年以降に検討を持ち越した物質が3物質、こちらが下3つとなります。時間の関係もありますので、資料4-1のbで示した4つの項目に対する評価が○で、総合評価、実用上の評価も○である物質については、採用基準を踏まえても測定法として問題ないかと思いますので、今回も説明を割愛させていただき、一部△、ND、-評価がある物質について補足させていただきます。
 まず、令和5年度検討対象物質である1つ目のりん酸トリフェニルは、測定法の全体評価は△ですが、保存安定性がNDであるためです。ただ、従前から保存安定性がNDでも速やかな分析を行うことで測定自体は可能であることから、実用上の評価は○として提案させていただいております。
 次に、下から2つ目のカーボンブラックですが、②の抽出/脱着率および④の破過が-となっておりますが、ろ過捕集、重量分析法を測定法として提案しているため、抽出操作は行わず、また破過も想定されないことから、測定法の評価には影響せず、測定法および実用上の評価を○とさせていただいております。
 次に、資料4-3をご覧ください。前回の検討会でもお出しできなかった資料を含め、検討会で頂いたご指摘を踏まえ、内容を更新した個票をお示ししております。個票についても何かご意見等あれば頂戴できればと思います。
 以上となります。
○城内座長  ただいま事務局から説明がありました資料4-1、4-2、4-3に関してご質問やご意見等ございましたらお願いいたします。大前委員、お願いします。
○大前委員  今回検討している濃度基準値を設定する物質は、単体のばく露濃度に対するレファレンス値なので、重量法はできるだけ避けていただきたい。重量法しかないものは仕方ないですけれども、重量法以外であるのなら、その物質そのものを測るような形にしていただきたいと思います。
○城内座長  小野委員、お願いします。
○小野委員  今回はカーボンブラックがそれに該当いたしますので、これについての考え方をお示しいたします。カーボンブラックは、ご存じのように黒い粉体です。あと基準値が0.3だと実は重量法は厳しくなってくる。10分の1で0.03なので、測定機関が持っている天秤、持たなければいけない天秤では苦しいところになってくるかもしれません。
 天秤が1ランク上がれば十分測れる濃度ではあるのですけれども、カーボンブラックはカーボンでできていますので、そこら辺じゅうにカーボンがあります。ですから、バックグラウンドを測って、それとの差別化をすることで定量することが可能なのですけれども、どうしてもカーボンを測らなければいけないということになりますと、大気中に浮遊している粉じんのカーボンを測る装置がございます。それはテフロンバインダーのガラスろ紙ではできなくて、表面に有機化合物がついていない普通のグラスファイバーフィルター、本当はクオーツ、石英のフィルターのほうがいいのですけれども、それでサンプリングして、ある温度で蒸し焼きにして出てくる炭素を測る方法がございます。
 一般の環境系の分析センターは、当然空気中の炭素を測っていますので持っているのですが、作業環境測定機関は恐らく数社ぐらいしか持っていないということで、ナノカーボンの測定法を考える委員会が昔ございましたけれども、そこで提案したときには誰も持っていないから採用しないでくれというご意見がございました。
 もう1つ、バイオアッセイセンターがネズミの体内に取り込まれたカーボンブラックを測定するために、その表面により有害性の高いPAHをくっつけて、減った分をカーボンブラックの濃度であると測定する方法を提案したことがございます。
 カーボンブラックに対してそれだけ難しい実験をして、定量することに意義があるのかどうかということもございまして、そちらはここには掲載しておりません。ですから、方法があることはあるのですけれども、例えばカーボンの測定装置にしても、一緒にカーボンナノチューブが存在して、導電性を上げるために両方入れている職場もありますので、そういうときにその2つをきれいに分離できるかというと、条件設定がかなり難しくなります。
 そういったことで、取りあえず重さで量って、それで超えたときにはさらにもう一段階こういう測定法がありますよという2段階提案ということをするしかないかなと思っております。その際にも必ずバックグラウンド、作業していないときとしているときでの濃度の差は確認しておく必要があるかと思います。
○城内座長  そのほかご意見等ございますでしょうか。宮内委員、お願いします。
○宮内委員  資料2を見て思ったのですが、このような資料があると、既に測定を実施している人や、新しく個人ばく露測定のサンプリングするような資格、講習会等に参加する方々にとって、非常に重要なテキストになるし、これがバイブル的なものになると思います。まずはどういう機器が必要であるかを知り、測定方法を選べる、つまりファーストチョイスに役立つと思いました。ありがとうございます。
 それと、破過を知るにあたりデータがないものがありますが、先ほどお話があったような限界点、破過時間、推定する添加量の情報が非常に参考になると思いました。もし可能であれば、資料4-1の④にて「OELの2倍の濃度で破過なく測定できることが必要」との条件がありますので、既にこの段階で破過の量が推定できていると思います。可能な限りこのデータを書いていただけると、スムーズな測定ができるかと思いました。
 今後、確認測定のサンプリングができる専門の教育が開始されます。この中にはサンプリングのみをするという人たちも出てくると思います。この方々はもちろん専門家の指導の下に行うわけなので間違いはないと思うのですが、破過を予防するためにサンプリング時間を何分にするかというところを考えることが非常に要になると思います。間違いがあったらいけないので、必ずその都度、流量を設定して、測定時間を計算することが重要になると思います。そのためには可能な限り破過に関するデータを出していただいて、正確にサンプリングができることにつながると良く、重要だと思いました。そういう面でぜひよろしくお願いしたいと思います。
○城内座長  そのほかご意見等ございますでしょうか。資料4-2の測定法に関して承認いただくかどうかということですが、カーボンブラックでは重量分析法でいいかどうかというご意見がありますが、先生方からご意見等ございますでしょうか。事務局、お願いします。
○化学物質対策課長  毎回ご説明しておりますが、今回ご提案しているものはこれでなければならないという公定法ではありませんで、少なくともこれなら測れるということですので、ほかの粉じんも拾ってしまうこともありますけれども、測定自体はできるということですので、そういった最低基準は満たしているということかと考えております。
○城内座長  小野委員、どうぞ。
○小野委員  資料4-1に明記していないかもしれないのですけれども、例えば4-1のeの3行目に液体クロマトグラフ分析方法の検出器を質量分析計に置き換えるという今まで作業環境測定ではやっていないものでも、この方法しかない場合には入れさせてくださいということを書いております。それと同等と考えると、炭素分析計もこういうのもありますよというご紹介はできるかと思います。ただ、今までそういう形では出していませんので、その辺をどう考えるかだと思います。
○化学物質対策課長  コメントありがとうございます。例えば備考欄に先ほど2段階提案とおっしゃっていましたけれども、質量分析法で高めの数字が出たときには、こういったものでより詳細に測ることができますと備考欄に書くのはあるかなと思います。
○小野委員  分かりました。引用できるものがあったらそれを書くかどうか。個票ができますので、最終的には個票にこういう方法もありますよというご紹介ができるような形でまとめたいと思います。
○城内座長  そのほかいかがでしょうか。
○小野委員  もう1つご相談なのですけれども、カーボンブラックから離れてよろしいですか。最後の過酸化水素ですが、以前は液体捕集を出しておりました。液体捕集で測るのはできるだけ避けようという意見もありまして、今OSHAで提案されている方法を出したのですけれども、実は硫酸チタニル添着石英フィルターをアメリカから輸入する必要があります。
 多分液体捕集をしている人のほうが多いので、こちらはまれにしか使われないかもしれないのです。こちらを書いたのですけれども、このフィルターがアメリカのメーカーに依頼してできるのに2ヵ月かかり、輸入してから保存期間が2ヵ月というものなので、高いですし、時間的に使えない可能性があるので、液体捕集にしても過酸化水素の溶液ならば、もちろん刺激性はありますが、その後吸光光度法に持っていくか、電極で測るか。最後の部分は消してしまっているのですけれども、液体捕集法にするほうが皆様にとっては測りやすいかなと今考えて、差し替えをしようかどうかを考えているところです。
○城内座長  ほかの分析に関わる先生方から今のところにご意見等ございませんか。山室委員、お願いします。
○山室委員  液体捕集法については、やはり中災防でも検討するときに、労働者に液体がかかる可能性があるということで、できるだけ避けてきたところではありますけれども、今年調査する中で海外では行っているが、労働者にかかるおそれがあるときには、例えば横になったり前屈みを頻繁に繰り返すといった場合については、定点の測定でやっているようです。今回C・D測定方法でも液体捕集法をそういった意味で採用できますけれども、どの方法を採用するかは事業者の裁量に任すところもありますので、液体捕集法も載せて、こういった危険性がありますよということを載せていただければよろしいかと思います。普通に立って手だけで作業しているというケースでしたら、液体捕集法をやっても問題ないかと思います。
○城内座長  そのほかご意見等ございますでしょうか。事務局、お願いします。
○化学物質対策課長  今のご意見を踏まえますと、カーボンブラックにつきましては備考欄にさらに詳細な分析方法を追記していただく。過酸化水素につきましては、捕集法をそもそも追記するということであれば、もう一回再審議するのがいいのかなと思いますので、よろしくお願いします。
○城内座長  今の事務局提案でよろしいでしょうか。では、資料4-2については、カーボンブラックについて追記する、過酸化水素については別の捕集法も付け加えるということでご承認いただけますでしょうか。――ありがとうございます。
 測定法についてはご議論ありがとうございました。議事の2について今後さらに追加文章等を加えて、事務局からまた最終結果が出されると思いますが、まとめられますか。お願いします。
○環境改善・ばく露対策室係員  ありがとうございます。それでは、今回ご審議いただいた6物質のうち、カーボンブラックについては備考欄を追記して、2段階目の提案という測定方法を追記するということと、過酸化水素については再審議ということで、第7回に出せるかどうかも含めて検討させていただきたいと思います。
 以上になります。
○城内座長  続きまして、議事の3、作業環境測定(個人サンプリング法)の対象物質の拡大の検討ということです。事務局から資料5-1、5-2、5-3の説明をお願いいたします。
○環境改善・ばく露対策室長補佐  資料5-1、5-2、5-3、5-4も含めてまとめて説明させていただきます。
 資料5-1をご覧ください。まず3ページ目には、個人サンプリング法に関する資料の内容、4ページ目につきましては、A・B測定と個人サンプリング法の比較表がありますけれども、時間の都合上説明は割愛させていただきます。
 6ページ目をご覧ください。昨年度、個人サンプリング法の対象物質追加に関して、この検討会でご検討いただいたところです。その結果、令和5年4月17日付で個人サンプリング法の対象物質として、特定化学物質を15物質追加したり、粉じんを対象として追加するなどの改正を行ってきたところです。
 昨年度の検討会の資料で、今後引き続き検討を行う形でご報告させていただいた物質が6ページに記載されている物質となっております。今年度の補助事業により検討した結果、追加可能として提案された物質が6ページ目の表の右端部分に○がついている物質となっておりまして、今回検討いただく対象物質としております。
 6ページ目の上の表につきまして、現行の作業環境測定基準にない方法、NIOSH手法を取り入れることで、個人サンプリング法の対象物質に追加できるのではないかとされていた物質の一覧表になっておりまして、そのうち今回5つの物質につきましては、個人サンプリング法の対象物質として追加可能と提案させていただいている物質となっております。
 次に6ページの下の表です。物質ごとで引き続き検討が必要な理由が番号で記載されておりまして、このうち9物質につきましては、個人サンプリング法の対象物質として追加が可能と提案させていただいている物質になっております。
 次に9ページ目をご覧ください。9ページ目につきましては、委託事業で作業環境測定手法に関する調査研究を行っておりまして、その結果、9物質に対して誘導結合プラズマ質量分析方法(ICP-MS)につきまして追加可能であると報告があったところです。
 それぞれの内容ごとで検討結果概要という資料を作成しておりますので、順次説明させていただきます。資料5-2をご覧ください。
 記載されている物質がNIOSH法を取り入れることによって個人サンプリング法を測定対象物質に追加可能と提案させていただいている物質になっております。上の3つにつきましては、管理濃度がない物質となっておりまして、具体的にはジクロルベンジジン、オルト-トリジン、ジアニシジンという3つの物質につきましては、いずれの物質も定量下限の値がC測定下限濃度、D測定下限濃度を上回っているということでありますので、NIOSH法によって問題なく測定できると判断させていただいて、今回、個人サンプリング法の測定対象物質へ追加可という形の調査結果の内容になっております。
 4つ目、5つ目の塩化ビニル、塩素につきましては、NIOSH法により測定すれば、C測定、D測定いずれも管理濃度の10分の1まで測定可能であることから、今回個人サンプリング法の測定対象物質へ追加可という結論となっております。
 次に、資料5-3をご覧ください。こちらは記載されている物質は引き続き検討が必要となっている物質になっておりまして、そのうち9物質につきましては、記載されていた理由が確認できたことから、今回個人サンプリング法の対象物質として追加可と提案されているものになります。
 検討が必要な理由が表の右から4列目に記載されておりまして、それぞれ番号を記載しております。具体的なそれぞれの番号がどういう意味かが表の欄外に注釈※3という形でそれぞれ記載させていただいています。例えば②だとNIOSH法、OSHA法を検討しているという理由の内容になっておりまして、それ以外に④につきましてはD測定が管理濃度の10分の1の濃度は測定できないけれども、管理濃度と同じ有効桁で足りるとすれば実施可能であるとすれば、実施可能であるという理由になっております。
 それぞれの番号に対して評価結果が表の右から3列目に記載させていただいています。それぞれの物質ごとの説明は時間の都合割愛させていただきますけれども、例えば4の理由として、D測定が管理濃度の10分の1まで測定できないが、管理濃度の2分の1でいいと評価すれば、測定可能なものを今回個人サンプリング法の測定対象物質の追加可と提案させていただいています。
 これは、昨年度の検討会の中でD測定の定量下限値を管理濃度の2分の1としたらどうかという提案があったため、その提案を踏まえて、今回D測定に関しては管理濃度の2分の1まで測定が可能であればよいと判断して提案させていただいたところです。
 次に、資料5-4をご覧ください。こちらは委託事業の報告書という形で、ICP-MSを導入可能という物質として報告された9物質に関する捕集法、分析法などを取りまとめた資料となっております。
 資料5―4につきまして、ICP-MS関係を取りまとめた資料となっておりまして、物質ごとの調査結果等につきましては、参考6-1、6-2、6-3という形で9物質分それぞれ委託事業の調査結果などを抜粋したものを添付させていただいておりますが、こちらも時間の都合、説明は割愛させていただきます。
 今回の9物質につきましては、委託事業の中で新たな測定手法の開発を行った後に、現場での実証、確認試験を行っておりまして、全て特に問題がないということで、いずれの物質も定量下限値が検出限界値を上回っているということから、今回9物質についてICP-MSを導入可と判断されたところです。
 説明としては以上です。
○城内座長  ありがとうございました。ご意見等がありましたらお願いいたします。内容が個人サンプリング法の対象の追加と分析手法の追加の2つに分かれておりますので、まず個人サンプリング法の対象の追加、資料5-2および5-3についてご意見がありましたらお願いいたします。宮内委員、お願いいたします。
○宮内委員  サンプリング法でNIOSHのやり方を取り入れることで可能な方法が出たということだと思うのですけれども、新しいやり方が開発されて、むしろ既存の測定基準を変えるべきだなと。できる方法をどんどん取り入れるべきであって、それをスタンダードとして目指していくほうがいいかなと思いますので、これは非常に大事な話だということで、ぜひ取り入れる形でお願いできればと思います。
○城内座長  保利委員、お願いします。
○保利委員  今の5-2ですけれども、管理濃度がないものについては、定量下限がNIOSH、あるいはOSHAのマニュアルから出したということなのです。ということはC測定の下限濃度は、逆に言うと定量下限の10倍を定量下限濃度としたということですか。管理濃度があるものは、そもそも定量下限と管理濃度を比較して、それでどこまで測れるかということを出しているのだと思うのですけれども、ないものについては定量下限があったので、その10倍を逆にC測定、あるいはD測定の下限としたという考え方でよろしいでしょうか。
○城内座長  事務局、お願いします。
○環境改善・ばく露対策室長補佐  ご質問ありがとうございます。管理濃度のない物質につきましては、C測定の定量下限濃度はNIOSHやOSHA法に記載された分析の定量下限値と最大吸引量から計算した値となっております。D測定の定量下限濃度につきましても、NIOSHやOSHA法に記載された分析の定量下限値と、資料中に記載した指定の吸引量で15分間サンプリングしたときの吸引量から計算した値となっております。
○保利委員  そうすると、例えばC測定だとすると、そこから管理区分などが計算できるのですか。
○化学物質対策課長  管理濃度がもともとないので、そこから計算もありません。要するに管理区分はできない。
○保利委員  測定できるというだけの話ね。分かりました。
○鷹屋委員  鷹屋です。個別のことで恐縮ですけれども、1つ前の過酸化水素で液体捕集は必ずしも避けなくてもいいのではないかという議論になって、それ自身はいいのですけれども、この表は間違っていて、NIOSH法は液体捕集で水酸化カリウムで、かつ濃度が0.1モルと指定されていて、これは明らかに人の顔につけていい薬品ではないので。
 実施するとしたらプレフィルターで採って、ガス成分だけを液体捕集して、本当はシアン化水素と同じで固体捕集でもいけるのではないかと思うのですけれども、それだと新しい方法の開発となるので、ハードルは高いのかもしれないですが、液体捕集で行うとしてもプレフィルターから液体捕集のバブラーまでチューブで延ばして、バブラー自身は顔のそばに絶対使えないという方法で、人につけなくてもプレフィルターからバブラーまで最短距離で結んだものと、プレフィルターからバブラーまで1メートルぐらいのチューブをつけた状態で現実に現場でいくつかデータを採った上で検証したほうがいいと思います。
 基本的にこれをやってくださいというときに、0.1モルの水酸化ナトリウムを人の襟元につけるなんて乱暴なことは誰もしないと思うので、必ずチューブで延ばして行うと思うので、NIOSHの出している検出下限、定量下限が保たれているかどうかは要検討だと。
 それから、イオン選択電極は物によって性能が違うので、シアンの3つについては日本で入手可能な電極で本当にこの数字が出るかどうかについても実験的な検証が要ると思っています。
○城内座長  山室委員、お願いします。
○山室委員  今、鷹屋委員からお話がありましたシアンの件ですけれども、こちらには備考欄に注意事項が入っていないので、最終的に採用するのであれば注意事項が必要だろうと思っております。
 それから、今ご指摘があったように、シアン化水素は固体捕集できるということがNIOSHにありますので、急いで採用しないということで考えていくのであれば、そういった検討も進めていくこともよろしいかと思いました。
○化学物質対策課長  NIOSH法で実際に液体捕集法が定められているということで、先ほど山室委員からもご発言ありましたが、C・D測定は絶対に個人ばく露測定しなければいけないわけではなくて、安全に使えるときにやればいいし、安全にやれないときについてはA・B測定でやればいいというセレクションのものですので、今、鷹屋さんがおっしゃったように、どんな場合でも絶対大丈夫というところまで求められるレベルではないかと認識しております。
○鷹屋委員  であれば、当然採用されたときに日測協さんでガイドブックに書くと思うのですけれども、言わずもがな返す返すもこの部分の取扱いは注意しろとマニュアルにも書いてほしいですし、この表でも先ほど山室さんがおっしゃっていたような作業対応によって中身が漏れないような以外ではやってはいけないという注意書きは必要だと思いますし、不慮の事故があるので、それでも人の顔の近くに0.1モルの水酸化ナトリウムをつける自信はないです。
○化学物質対策課長  ご指摘踏まえまして、備考欄にはそのようなものを追記したいと思います。ガイドブックなどがつくられるときにもその辺りの使い方についてはきちんと明記するようにお願いしたいと思います。
○城内座長  小野委員、どうぞ。
○小野委員  今回のNIOSH法かOSHA法を取り入れるということでやっていらっしゃいますので、それはそれでいいのですけれども、濃度基準値もそうなのですが、似た系統で違う分析法を使っているということについて、再検証が必要かなと考えておりまして、濃度基準値の測定法についてはこれからまだバージョンいくつという形で、よりよい方法も提案していくということを考えております。
 それに対してこちらは法令に従った測定法になりますので、例えば資料5-2の1、2、3のジクロロベンジジン、オルト-トリジン、ジアニシジンはほぼ同じ構造のものです。ただ、1番のベンジジンだけがグラスファイバーろ紙で採ることになっていて、トリジンとジアニシジンは硫酸含浸フィルターで反応捕集する形になって、サンプリングの流量も違って、当然検出感度も違ってきている状態になっています。管理濃度がないので感度が違ってもいいといえばいいのですけれども、この辺が統一されると、実際にお使いになる方は便利なのかなと思いました。
 資料5-3については単純な文字の修正だけなのですけれども、6番の一・一-ジメチルヒドラジンの一・一は、法令は漢字ですが、この表の中では数字のほうが分かりやすいかと思いますので、よろしくお願いいたします。
○城内座長  ありがとうございました。時間も大分押してしまったのですけれども、そのほか。大前委員、お願いします。
○大前委員  ガリウム砒素のところなのですけれども、ガリウム砒素およびその化合物でアルシンを除くはいいのですが、ガリウム砒素はなぜ除くのですか。ガリウム砒素は固体なので、普通にろ過捕集できると思うのですけれども、ガリウム砒素を除く特別な理由はあるのですか。5-1の9ページの下から2つ目がガリウム砒素……
○鷹屋委員  これは分析法ではなくて、そもそも特化物に指定されていないという意味ではないでしょうか。測れる、測れないの問題ではなくて、既存の65条の測定ですよね。だからそちらでアルシンおよびガリウム砒素を除くという規定だと私は思いますけれども。
○小野委員  今ろ過捕集のものに固体捕集を追加するという表ですか。
○環境改善・ばく露対策室長  今皆様方のお話からしますと、特化則の対象から外れているということかと思いますので、それで外れているということだと思います。
○化学物質評価室長補佐  特定化学物質はアルシンおよびガリウム砒素を除いていますので、測れる、測れないの問題ではなくて、作業環境測定の方法としては対象外になっているということです。
○城内座長  それで話を戻さないといけないのですけれども、資料5-2と5-3に関して14物質を個人サンプリング法の対象物質として追加していいかどうかということで、いろいろ分析法についても追加の記述が必要ではないか等々ありました。基本的に14物質を個人サンプリング法の対象物質として追加いたしたいということですが、それについてはよろしいでしょうか。
 それでは、次に移りたいと思いますが、資料5-4について分析法の追加ということになるかと思いますが、ご意見があればお願いいたします。
○鷹屋委員  鷹屋です。基本的に金属類はICP-MSで測れますので、そのままで導入して、個別の分析法はどうするかというのはマニュアルにどう落とし込むかであって、ハイモルということを考えてフィルターを選んでいるけれども、現実に今だともっと感度を行うためにはきれいなメンブレンフィルターを使うといったことがあるので、それをマニュアルにどう落とし込むかだと思うのです。
 実質1つの物質なのですけれども、表でいうと2つに分かれていますが、4番と7番でクロムです。結局、トータルのクロムではなくて六価クロムだけ測りたいということでいろいろ工夫されていますけれども、例えばこの方法は有害大気汚染物質測定方法マニュアル、JIS K0102と書いてありますが、サンプリング法だけ環境省の有害大気汚染物質測定方法マニュアルに行っています。環境省のマニュアルそのままでいくと、ICP-MSではなくて法令上の用語でいくと高速液体クロマトグラフです。分析法で言いますと、ポストカラム、イオンクロマトという方法でやっています。六価クロムに関しましては、吸光光度法で測れる分なら測って、六価クロム特有の試薬はほかの金属で妨害があるので、妨害がある場合はクロマトで分けた後発色するというのがありとあらゆる分野でほぼスタンダードです。
 ただ、今までの原子吸光でやっているレベルで測るときには、六価クロムはクロム酸という名前のとおりアルカリでよく溶けて、そうでないクロムはアルカリでよく溶けないということを利用して、アルカリで溶かして原子吸光で行うという方法も世界的にある程度使われている方法なのですが、原子吸光からICP-MSに持っていくと、単純にアルカリで抽出すると、原子吸光だと測れたのだけれども、ICP-MSで測れないということで、工夫されて分析法をつくられたのだと思います。クロムについてまで無理してICP-MSを入れるのか、それとも液体クロマトを入れるのかということは再検討していただきたい。
 それから、法令上、展着フィルターを使った場合、固体捕集法という整理をされるのでしょうけれども、この方法でアルカリ含浸処理した定量ろ紙でろ過するというのは、アルカリで六価クロムを捕集する、つまり固体捕集として使っているわけではないです。これはあくまでもろ過捕集なのですけれども、捕集中に六価クロム自身がろ紙と反応して三価クロムになるのを避けるためにアルカリをつけているのにすぎなくて、実際にこの部分はこのマニュアルでいくと非常に手間をかけて作っているのです。
 そこまでしなくても実際は六価クロムを捕集して、六価クロムの濃度が下がらないテフロンや塩化ビニル製のメンブレンフィルターは売られていても、世の中的に六価クロムの分析はそこを行うので、1つは液クロの導入を今後検討していただきたいということと、クロム酸およびその塩に関してICP-MSを入れるに当たっても、作業環境測定基準の試料採取方法に固体捕集法と書くのをやめていただいて、ぜひ、ろ過捕集と書いていただければ。現場で難しいろ紙を使わなくて、普通のメンブレンフィルターで使った後、今検討されていた方法で三価クロムと六価クロムに分けてICP-MSで測れるかどうか、測定者で工夫の余地が出てくるのですけれども、ここで固体捕集法と書かれてしまうと、現実的に誰もやってくれないと思うのです。非常に面倒くさい、ろ紙の合成というパターンが入りますので、4番と7番に関してはそういった変更をぜひご検討していただきたいというのが私の意見であります。
○城内座長  ありがとうございました。そのほかございますか。津田委員、お願いします。
○津田委員  帝京大の津田です。少し戻ってしまうのですが、5-3の資料の件でよろしいでしょうか。先ほど水酸化ナトリウム溶液を使うところで行う、行わない、私も恐らく絶対行わないと思うのですけれども、A・B測定の方法があって、C・D測定を必ずしもつくらなくてはいけないわけではないと思うのです。
 明らかに作業者の方に対して不利益になるであろう事実が、ハプニングとしても起こるであろうものをわざわざ決めなくてはいけないかが私にはどうしても腑に落ちないといいますか、これがオーケーですと選んでもいいということになるわけですから、何らかのことで作業者の方に付着しないとは限らないと思うと、それを今必ずしも入れなくてはいけないC・D測定法ではないのではないかというのが私個人としての意見です。
○城内座長  ありがとうございました。そのほかご意見等ございますでしょうか。山室委員、お願いします。
○山室委員  今回ICP-MSを作業環境測定に導入するということで、今までも原子吸光光度法と同等の方法ということで、ICP-MSとICP発光分析の両方あったわけですが、今後はICPの発光分析方法も通達として残っていくという考え方でよろしいでしょうか。なくなってしまうと困ってしまう測定機関があると思っています。
○城内座長  事務局からどうぞ。
○化学物質対策課長  今のご質問は、ICP-MSを入れたらほかのものを消すのかというご質問……
○山室委員  ICP-MSを測定基準に採用したら、原子吸光と同等の方法ということで、ICP-MSとICP発光両方書いてあった通達が廃止されてしまうのかといった質問です。
○化学物質対策課長  今回の改正は追加ということで、これを入れることによって何かを消すという考えはありません。
○山室委員  通達もそのまま残るという考え方でよろしいでしょうか。
○化学物質対策課長  基本的にこれを追加するというやり方で、現状で認められているものを消すという発想はありません。
○環境改善・ばく露対策室長補佐  1点だけ。化学物質対策課長の説明のとおりなのですけれども、同等の分析法としてICP-MSは既に通達レベルでは認めているので、それはそのままにした上で、今回特定の物質について告示レベルに上げて、分析法としてICP-MSを追加するというイメージなので、それ以外の物質で、従前からICP-MSを使っている物質については、通達に基づき対応いただく形になるため、従前と変わらないというところです。
○城内座長  ご意見よろしいでしょうか。宮内委員、お願いします。
○宮内委員  聞き逃しているかもしれませんが、個人サンプリング法における測定手法の検討①で19物質ということで、理由の④が管理濃度と同じ桁数で対応とすれば実施可能ということで、10分の1は出ないけれども、同じ桁数ならいいと。例えば2分の1ぐらいは検出できるということなのですか。確認なのですが。
○環境改善・ばく露対策室長補佐  おっしゃるように今回有効桁という表現をしていたのですけれども、具体的には管理濃度の2分の1まで測定できれば対象としていいのではないかという提案の内容になっています。
○宮内委員  現実的に装着するポンプはそんなに大きなものは使えないし、開発することも限界があるので、これを踏まえた上で、基準を変えるのかどうか分かりませんけれども、扱えるようにしていただきたい。10分の1をD測定で求めることはしなくて、2分の1であれば恐らく誤差的にも問題ないと思いますので、ぜひ使えるようにしていただければと思います。
○城内座長  よろしいでしょうか。時間がなくなってしまったのですけれども、会場をどれだけ使えるかということもありますが、まず資料5の関係についていろいろご意見頂きました。これは法定のものなので、今後どのような修正をして手続を進めるかについて、事務局からご意見頂けますか。
○化学物質対策課長  ありがとうございます。まず、5-3につきましては、特にシアン化系の関係で液体捕集法を使うかどうかというところであります。こちらは先ほどご説明させていただきましたけれども、現に諸外国では使っている現実があり、日本だけなぜできないのか、使いたいと言われたときにお断りする理由もなく、安全に使える場面が全くないとも言えませんので、そういった注意書きを明確にした上で認めるという形にしたいと思います。もちろん危険がある場合については、従来どおりのA・B測定をやっていただくということでご理解いただきたいと思います。
 資料5-4につきましては、鷹屋委員からクロムと重クロムにつきましては、分析法、それから試料捕集法両方コメントがありまして、現状の文献等々から鷹屋委員のご指摘にすぐ答えられませんので、クロム酸およびその塩と重クロム酸およびその塩につきましては再審議ということでさせていただきたいと思います。
○城内座長  ということだそうですが、皆さんよろしいでしょうか。
 それでは、資料5関連につきましてはここまでにしたいと思いますが、会場の時間はどうでしょうか。あと委員の皆様へのお約束の時間も過ぎてしまいますけれども、まだ議題6と7があります。会場の時間は大丈夫なのですか。委員の皆さん、よろしいでしょうか。
 では、お残りいただける委員の皆さんで検討を進めたいと思います。
 続きまして、議題その他として、事務局から資料6の説明をお願いいたします。
○環境改善・ばく露対策室長補佐  事務局・小川から説明させていただきます。資料6をご覧ください。
 資料6につきましては、有機溶剤等の消費量の推定にかかる数値の改正にかかる内容となっております。
 資料の2ページ目をご覧ください。1点目、2点目あたり、有機則第2条では適用除外の判断のために消費する有機溶剤等の量を用いると規定されていて、加えて、有機則の第17条では全体換気装置に必要な換気量の算定のために、消費する有機溶剤等の量を用いるということが条文上規定されているところです。
 さらに、消費する有機溶剤等の量は、製品の量に厚生労働大臣が定める数字をかけた値とするということも条文で規定されておりまして、有機溶剤の告示で製品の区分別にそれぞれの数値が定められているという規定ぶりとなっております。
 次の3ページ目に現行の告示を一部抜粋しておりますので、ご覧ください。接着剤の場合の例を示しておりますけれども、接着剤の場合、例えばゴム系接着剤クリヤー、数値が0.7、ゴム系接着剤マスチックが0.4と製品ごとで個別に数字が定められておりまして、最後にその他の接着剤という形で数値が0.8と定められているところです。
 2ページ目の4点目に戻りまして、見ていただいたようにその他の接着剤などのように、多数の製品が含まれている区分となっていますが、定められている数値は共通の数値となっておりまして、この点製品ごとの有機溶剤の含有率も様々ですし、そのほかの接着剤などの多数の製品が含まれている区分に共通の数値を定めるというのは適切ではないと考えておりまして、今回所要の改正を行いたいと考えているところです。
 具体的な告示改正の内容としましては、3ページ目です。改正の内容としましては、接着剤の場合であれば当該接着剤に含有される有機溶剤の量を当該接着剤の量で除した値という内容になっておりまして、除した値というのは割るということですので、改正案文のイメージとしましては、例えば製品の量が100グラムあります。その中に含有される有機溶剤の量が60グラムということであれば、60割る100で0.6という値とするという内容になっております。
 説明は以上です。
○城内座長  ありがとうございました。これにつきましてご意見等ありましたらお願いいたします。
 ご意見等なければ、事務局案のとおりとしたいと思います。
 続きまして、事務局から資料7の説明をお願いいたします。
○化学物質対策課長  私から資料7をご説明させていただきます。こちらにつきましては、前回、前々回の議論でばく露される程度の濃度基準値を超えるおそれがあるときに確認測定を行うわけですが、ばく露される程度について議論があったところですので、指針の規定、法令の規定を整理したものです。
 第1の(1)に書いてあるものにつきましては、ばく露される程度が濃度基準値を超えるおそれがあるときに確認測定するというのは、あくまでリスク見積りの過程において行うものであるということが書いてあります。
 (2)につきましては、リスク見積りの結果に応じて、物質の代替、工学的対策、管理的対策、有効な保護具の使用という優先順位に従って対策を行うことと、保護具については最も低い優先順位が設定されるということを書いてあります。
 (4)からまとめですけれども、これらの規定から確認測定は明らかにリスク見積りの一環で行うものであるということと、リスク見積りは当然リスク低減措置を検討するに耐える材料を提供するということでありまして、これらのリスク低減措置は全て労働者の呼吸域の濃度が基準になっておりますので、リスク見積りにおけるばく露される程度が濃度基準値を超えるおそれの判断は、労働者の呼吸域の濃度によってなされる必要があるということです。これはフローチャートで示されているとおりです。
 (6)に書いてありますのは、仮にリスク見積りの段階でリスク低減措置を検討しないまま、その結果を先取りして最も優先順位の低い保護具をリスク低減措置とすることを前提として、数理モデルでばく露の程度を推計するとした場合、呼吸用保護具よりも高い優先順位の工学的措置などの検討を行う余地がなくなってしまうことが書いてあります。こういったことは、リスクアセスメント指針の考え方に合致しないということです。
 (7)に書いておりますのは、当然のことながらリスクの評価を行った上でリスク低減措置として呼吸用保護具を使うことは何ら差し支えないわけでして、その点は明確にしたいところです。
 2は、数理モデルも労働者の呼吸域の濃度の推計値を前提にやっておりますと書いております。
 それから、第2につきましては観点が変わりまして、呼吸用保護具を選定する場合におきましても、呼吸域の濃度を測定した上で要求防護係数を算定して、それを上回る指定防護係数を有する保護具を使用することが義務付けられておりますので、数理モデルなどによる呼吸域の濃度や呼吸用保護具の内側濃度の推定でそれを変えることはできないということです。
 以上、まとめましたのが5ページ目の第3ということですけれども、リスク見積りの趣旨をより分かりやすくするために、次の点について技術上の指針を改正して明確にしたいと考えております。
 まず技術上の指針3-1(1)ですけれども、リスクアセスメントによる作業内容の調査の結果、あるいは数理モデルによる解析の結果などを踏まえ、従来は「労働者のばく露の程度が8時間濃度基準値の2分の1程度を超える」というところでしたが、ここを「労働者の呼吸域におけるばく露の濃度が8時間濃度基準値の2分の1を超える」に改正したい。
 同時になぜこういう改正をしたかという趣旨として、この段階はあくまでリスク見積りの一環としてばく露される程度を判断するためなので、ここでは呼吸域の濃度を使いますということを明確に記載する予定です。
 また、その上で労働者の呼吸域の定義は指針の中に入っておりませんので、呼吸用保護具の外側であって、30センチメートルの半球の内側ということを指針に明記したいということです。
 説明は以上です。
○城内座長  ありがとうございました。今の説明に関しましてご意見等ございましたらお願いいたします。宮本委員、お願いします。
○宮本委員  ありがとうございます。趣旨はよく分かりました。私が前回コメントしてしまったのは、ばく露の程度という言葉に引きずられただけですので、改正していただくのなら問題はないと思います。
 もう1つなのですけれども、呼吸域の定義をここでしてしまうというのは、従来のB測定のような定義ではなくて、あくまでこれでいくと個人サンプラーでやらなければいけないことになりましょうか。
○化学物質対策課長  呼吸域の定義につきましては、もともと溶接ヒュームの測定の通達で定められておりまして、全く同じではないのですけれども、個人ばく露測定を行うときの基本的な考え方ですので、個人サンプリング法を行うときも同じことになります。
○宮本委員  一般的に確認測定は全部個人サンプリング法で実施することになっていると。
○化学物質対策課長  技術上の指針では、まず1回目は必ず個人ばく露測定してくださいということになっております。これはマスクを選ぶという趣旨もあります。ただし、2回目以降、例えば半年に1回測定するような場合につきましては、工程が安定している場であれば、例えば場の測定であるなど連続モニターにそういったもので変えることができるというのが指針上明確になっております。
○宮本委員  そこでいくと、呼吸域の濃度がここだと言ってしまうと、B測定と違うのではないかというので、不整合が発生しないでしょうかという心配です。
○化学物質対策課長  個人ばく露測定をするときには呼吸域ということで、当然連続モニタリングのときは個人ばく露測定ではありませんので、そういったところは明確に分かるかと思います。
○城内座長  そのほかご意見等ございませんでしょうか。
○宮本委員  何度も済みません。これでいくと例えばクリエイトシンプルなどは、最初は呼吸域の濃度で行うとなっていますけれども、それをやった後すぐにシミュレーションの意味もありますから、保護具が入力できるようになるというのは、下まで行ったらぽちを押してという、何かをクリックしたら入力できるようになるという感じでよろしいのですか。どういうイメージなのかよく分からないのですが、入力できないと言っておいて、次の瞬間入力できるようにするにはどういう手順が入るのでしょうか。
○化学物質評価室長補佐  具体的に今改修の検討中ですけれども、初回のリスク見積りの段階では、保護具を入れない形でばく露濃度を出す。その後のリスク低減措置の検討の段階で、保護具をつけたらどれぐらいになるというシミュレーションのために、保護具のオプションも残す予定で、どういう画面になるかなどその辺は今検討中ですけれども、今年度中に改修を予定しております。
 保護具をつけたときのシミュレーションができないようにする予定はありませんので、初めのリスク見積りの段階ではあくまでなしでやっていただいて、その後のシミュレーションの段階で保護具をオプションで選べるようにする機能は残す予定です。
○宮本委員  ありがとうございます。事業者というのが衛生管理者や化学物質管理者なら研修を受けているかもしれないですけれども、中小企業の事業者サイドで見ていったら最初にここで数理モデルに触れるところ、推定値に問題があれば確認測定でいくのだというので測定業者さんに頼む、保護具にしても、ここが最初にシミュレーションに触れるところだと思っていたので、分かっていない人でもちゃんと使えるようにということをやっていただければと思っております。よろしくお願いいたします。
○城内座長  そのほかございませんでしょうか。内容に関するものではなかったと思いますので、指針については事務局案のとおりとしたいと思います。
 時間が過ぎて申し訳ありませんでした。議事は以上になりますが、事務局からの連絡をお願いいたします。
○環境改善・ばく露対策室長  座長が申し上げましたとおり、本日の議事は以上です。
 本日の議事録ですが、後日構成員の皆様にご確認いただいた上での公開ということにさせていただきます。
 次回ですが、年明けまして1月15日の月曜日、14時から17時を予定いたしております。構成員名簿の先生方全員にご参集いただく予定としております。議事は、濃度基準値の検討、対象物質ごとの測定方法、ばく露測定関係、今年度の検討事項の取りまとめを予定いたしております。正式な開催案内は後日お送りさせていただきます。
 事務局から以上です。
○城内座長  私の進行の不手際で20分ぐらい過ぎてしまいました。申し訳ありません。
 以上で本日の化学物質に係る専門家検討会を閉会とさせていただきます。本日はありがとうございました。お疲れさまでした。